平成7年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成7年3月8日(水)

1開会    午前10時5分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
  事務局長       古館敏男
  議事課長       小国平二
  議事課長補佐     西田幸男
  主任議事管理主査   中坪貞雄
  議事管理主査     吉田徹
  議事管理主査     八重樫典彦
  議事管理主査     小原敏文
  議事管理主査     中澤悟
  主事         平野信二

1説明員
  林業水産部長     田尾秀夫
  林業水産部次長    佐々木祐
  林業水産部次長    大倉重信
  技術参事兼漁政課長  飯岡主税
  技術参事兼漁港課長  伊藤博
  林政課長       田頭善美
  森林造成課長     吉見眞三
  松くい虫対策室長   谷村武雄
  林産振興課長     秋山英男
  木材振興対策室長   吉川保
  森林土木課長     橋本利一
  漁業振興課長     齋藤覺
  農政部長       高橋洋介
  農政部次長兼地域農政推進室長   佐藤昭美
  農政部次長      藤沢健吉
  農政部次長      村上勝治
  参事兼農政企画課長  鈴木一夫
  技術参事兼農村振興課長      和田正寛
  技術参事兼農蚕課長  田中義一
  農地計画課長     熊谷良夫
  総合国営対策室長   菊地英
  農地建設課長     平野達男
  農業経済課長     佐藤勝
  畑作振興課長     猪股正二
  畜政課長       増田直弘
  畜産課長       菊地茂樹
  地域農政推進監    佐々木正勝
  参事兼財政課長    佐藤文昭

〇佐藤副委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入る。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第23号、議案第27号から議案第33号まで、議案第36号から議案第40号まで、議案第42号、議案第44号、議案第45号及び議案第48号から議案第50号まで、以上39件を一括議題とする。
 本日は、林業水産部、農政部関係を終わるように進行したいと思うので、御協力をお願いする。
 なお、説明、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議会運営委員会の申し合わせにより効率的に審査が進行するよう御協力をお願いする。
 最初に、林業水産部長から林業水産部関係の説明を求める。

〇田尾林業水産部長 平成7年度の林業水産部関係の予算について御説明申し上げる。
 予算の御説明に入る前に、平成7年度の林業水産施策の推進に当たっての基本的な考え方を申し上げる。
 まず、林業であるが、近年、林業を取り巻く環境は、木材価格の低迷や経営コストの増大等により採算性が悪化するとともに、林業労働者が減少、高齢化するなど、極めて厳しい状況にある。これらの諸課題を克服し、本県を我が国の木材総合供給基地に発展させるため、平成3年度に策定した第5次の岩手県林業基本計画に基づき、各般の施策を展開したところであるが、平成7年度においても、引き続き基本計画に基づき、森林山村対策を総合的に推進してまいる考えである。
 まず第1に、木材の総合供給基地の建設を目指した県産材の安定供給体制の確立については、大規模林道などの整備を積極的に進めるほか、乾燥材の安定供給体制の整備に対して助成するなど、木材の生産、流通体制の整備を推進してまいる考えである。
 第2に、林業の担い手対策の推進については、林業事業体の育成強化を図るため、森林組合の財務改善等に必要な資金を低利で融通するほか、林業労働対策基金の益金を活用して林業労働対策を充実するとともに、高性能林業機械の整備を促進するなど、総合的な林業労働対策を推進してまいる考えである。
 第3に、恵み豊かな森林の整備を目指した多様な森林の整備については、計画的な造林、森林病害虫の防除、除間伐、山腹崩壊地の整備など、森林の適正な管理を進めるとともに、森林環境の保全に配慮しながら、人々がゆとりと潤いを享受できる多様な森林を整備してまいる考えである。
 第4に、潤いのある山村社会の形成を目指した森林の総合的利用の促進については、本県の主要な特用林産物であるシイタケや木炭の生産施設の整備を促進するほか、豊かな自然を生かして、質の高い森林レクリエーションの場として活用するため、県民の森や地域環境保全林の整備を促進するほか、本年7月には県民の森において第6回緑の少年団全国大会を開催するなど、森との触れ合い空間を積極的に整備してまいる考えである。
 第5に、林業新技術の開発促進についてであるが、林業技術センターにおいて、アカマツ資源の高度利用技術やバイオテクノロジーを活用したキノコ類の新品種の開発を推進するほか、リモートセンシング技術を森林の管理などに活用するための研究に取り組むなど、森林林業に関する総合的な研究を推進してまいる考えである。
 次に、水産業であるが、200海里体制の定着のもとで、公海漁業に対する規制の強化や輸入水産物の増大、消費者ニーズの多様化などに加え、漁業就業者の減少や高齢化が進んでおって、水産業を取り巻く環境も極めて厳しいものがある。このため、水産業においても、平成3年に策定した第3次岩手県水産業基本計画に基づき各般の施策を展開しているところであるが、平成7年度においても、引き続き基本計画に基づき、水産振興対策を総合的に推進してまいる考えである。
 まず第1に、資源の積極的な増大と有効利用を目指した漁業生産の安定向上については、サケ、ヒラメ増殖のための沿岸漁場の開発や、マツカワなどの新しい魚種の種苗生産技術の開発を進めるとともに、サクラマスの放流手法の開発、研究を行うほか、平成9年に開催される全国豊かな海づくり大会の準備を行うなど、積極的に資源の培養、増養殖生産の拡大に努めてまいる考えである。
 第2に、水産資源の維持、培養を目指した資源の管理については、漁業秩序を確立するため、漁業取り締まり体制を強化するとともに、資源の合理的な利用、管理体制の確立を図り、あわせて漁場環境の維持保全に努めるなど、資源の積極的な保護、管理を推進してまいる考えである。
 第3に、漁業生産活動の円滑な推進を目指した生産基盤の整備については、流通加工基地や漁業生産活動の拠点となる漁港について、それぞれの規模と利用形態に応じて、機能的で安全かつ快適な、しかも県民に開かれた施設となるよう、第9次漁港整備長期計画に基づき整備してまいる考えである。
 第4に、本県に水揚げされる資源の有効利用を目指した流通加工体制の整備については、多様化する消費者ニーズに的確に対応するとともに、付加価値の向上を目指した流通加工体制の確立を図るため、流通加工関連施設の整備に努めてまいる考えである。
 第5に、漁業者及び水産加工業者の経済的、社会的地位の向上を目指した水産経営の安定充実については、厳しい漁業経営環境に対応するため、経営の低コスト化、漁業協同組合に対する経営指導の強化を図るほか、すぐれた漁業後継者の育成や漁村女性の地位の向上、高齢者の生きがい対策などを推進してまいる考えである。
 第6に、水産技術の高度化については、先端技術の進展に即応した技術開発など、多様化する試験研究課題に積極的に取り組むほか、バイオテクノロジーを活用した魚介藻類の増養殖技術や水産加工技術の開発推進に努めてまいる考えである。
 第7に、漁村に生きる人々が定住できる、活力ある社会の形成を目指した住みよい漁村の形成については、快適で潤いのある漁村の形成を図るため、生活環境の整備を促進するほか、漁港機能を十分に活用した地域振興や、漁村を津波や高潮などの災害から守るため、海岸保全施設の整備に努めてまいる考えである。
 それでは、林業水産部関係の議案について御説明を申し上げる。
 まず、議案第1号の平成7年度一般会計予算についてであるが、お手元の議案その1の7ページをお開き願う。
 6款農林水産業費のうち、4項林業費と5項水産業費及び9ページの11款災害復旧費のうち、1項農林水産施設災害復旧費の一部を合わせた総額426億5、545万9、000円が当部関係の予算である。これは、前年度の当初予算に比べ30・7%の減となるものである。
 また、この予算額の一般会計予算総額に占める割合は6%となるものである。
 以上、一般会計の総括について申し上げたが、この具体的な内容については、お手元に配布しておる平成7年度の予算に関する説明書により、その主なものについて御説明申し上げる。
 176ページをお開き願う。6款農林水産業費4項林業費から御説明申し上げる。177ページの2目林業構造改善対策費18億9、523万7、000円の主なものは林業構造改善事業費であるが、これは、県内37地域、50市町村で実施する林道などの生産基盤の整備や林業近代化施設などの整備に要する経費に対し助成しようとするものである。次に、3目林業振興指導費37億7、043万5、000円の主なものであるが、説明欄3行目の木材産業振興対策事業費から、このページの末尾までの3つの事業は、県内の木材産業の経営安定を図るため、素材の共同購入などに要する運転資金の貸し付け、並びに木材製品の高次加工施設の整備及び木材チップス製造業の再編整備に要する経費に対し助成しようとするものである。次に、178ページの説明欄2つ目の、県産材流通促進対策事業費は、県産材の需要拡大やブランド化の推進、乾燥材の安定供給対策などを総合的に実施しようとするものである。次に、中ほどの森林組合経営体質強化資金貸付金と、1つ飛んで、林業振興資金貸付金は、経営不振な組合や合併森林組合の経営安定を図るための運転資金並びに森林組合の系統事業の拡大に要する資金を岩手県森林組合連合会に貸し付けしようとするものである。次の林業労働力対策事業費は、林業労働人口の減少に対処するため林業機械施設を整備するほか、林業労働者の就労安定や労働安全衛生対策に要する経費である。次に、少し飛んで、179ページ中ほどの森林計画樹立事業費は、北上川上流森林計画区の地域森林計画の樹立に要する経費である。次に、180ページ、3つ目の干しシイタケ等主産地形成促進対策事業費から特用林産産地化形成総合対策事業費までの5つの事業は、すぐれた品質を誇る県産干しシイタケの生産施設の整備や原木確保、流通対策などに要する経費並びにマツタケの発生環境の整備など、森林資源を有効に活用した特用林産物の生産振興に要する経費である。次に、2つ飛んで、日本一の炭の里づくり事業費のうち、産地化形成対策事業費補助は、日本一の炭の里づくりを目指す九戸高原地域に木炭製品の集出荷、販売施設を整備するための経費に対し助成しようとするものである。次に、181ページの6つ目の緑の少年団全国大会開催費負担金は、本年7月に県民の森において第6回緑の少年団全国大会を開催するために要する経費を負担しようとするものである。次に、4目森林病害虫等防除費2億4、540万5、000円の主なものは、松くい虫などの森林病害虫の防除や五葉山周辺のシカ被害対策に要する経費である。次に、182ページの5目造林費12億2、665万円の主なものであるが、説明欄の造林事業費は、人工造林や保育事業などに要する経費に対し助成しようとするものである。次の健康とゆとりの森整備事業費は、県北の折爪地区、県南の六原地区において県民の憩いの森を整備しようとするものである。次に、6目林道費86億5、697万9、000円の主なものは、素材の生産体制を整備するため、県営71路線、市町村営42路線の林道整備などに要する経費である。次に、183ページの7目治山費61億3、717万4、000円の主なものは、森林の適正な管理により、県土を保全するため、山腹崩壊地の整備など、205カ所で行う山地治山工事などに要する経費である。
 以上で林業費を終わって、次に、水産業費について御説明申し上げる。
 186ページをお開き願う。5項水産業費であるが、2目漁業構造改善対策費19億6、128万8、000円の主なものであるが、説明欄の沿岸漁場整備開発事業費は沿岸漁場の整備を図ろうとするものであるが、ヒラメの増殖を目的とした広域型増殖場2カ所のほか、地先型増殖場5カ所、人工礁漁場2カ所などの造成をしようとするものである。次に、187ページの説明欄2行目の沿岸漁業活性化構造改善事業費は、漁業近代化施設など8カ所の整備に対し助成しようとするものである。次に、3目水産業振興費16億425万7、000円の主なものであるが、説明欄3行目のサケ、マス増殖費は、サケ、マス資源の増大を図るため、各河川に放流する稚魚の買い上げに要する経費並びにサケが遡上する13河川の環境整備などに要する経費に対し助成しようとするものである。次に、1つの事業を飛んで、特定海域栽培漁業定着強化事業費は、栽培漁業の強化を図るため、三陸町で行う生産基盤施設等の整備に要する経費に対し助成しようとするものである。次に、1つの事業を飛んで、サクラマス資源増大対策事業費は、サケ、マス類の中で、品質のすぐれたサクラマスの経済効率の高い放流手法を開発するため、安家川において幼魚の秋放流を実施しようとするものである。次に、188ページをお開き願う。説明欄4行目の資源管理型漁業推進総合対策事業費は、資源管理の将来方向及び漁獲管理の方法等を明らかにし、沿岸漁業の経営の安定と振興を図ろうとするものである。次に、6つの事業を飛んで、水産物流通加工活性化総合整備事業費は、労働力不足や物流の高速化、消費者ニーズの多様化などに対応しながら、水産物の流通加工業の振興を図るため、宮古地区における総合的な流通加工関連施設の整備に要する経費に対し助成しようとするものである。次に、9つの事業を飛んで、社団法人岩手県栽培漁業協会育成事業費は、本県栽培漁業の推進を目的に設立された社団法人岩手県栽培漁業協会の事業の円滑な運営を確保するため、運転資金の貸し付け等を行い、協会の育成を図ろうとするものである。次に、189ページの説明欄7行目の全国豊かな海づくり大会対策事業費は、平成9年度に本県で開催される全国豊かな海づくり大会の対策、準備をしようとするものである。次に、4目水産業協同組合指導費3億6、277万5、000円の主なものであるが、説明欄6行目の漁業協同組合事業基盤強化総合対策事業費は、漁業協同組合の再編整備と事業規模の拡大を図るため、合併や事業統合などの推進、指導に要する経費と、財務内容の改善を図る必要がある漁業協同組合の借入金に対し利子補給をしようとするものである。次の漁業近代化資金金融対策費は、漁業者に長期、低利の施設整備資金を融通する金融機関に対し利子補給をしようとするものである。次に、1つの事業を飛んで、水産加工業協同組合経営安定化資金利子補給は、水産加工業協同組合に加工原料などの購入資金を融通する金融機関に対し利子補給をしようとするものである。次に、少し飛んで193ページの11目漁港建設費108億3、863万6、000円は、漁港及び海岸関係事業に係る県営延べ43港、市町村営延べ57港の整備に要する経費である。
 以上で水産業費を終わって、次に、少し飛んで254ページをお開き願う。
 11款災害復旧費について御説明申し上げる。1項農林水産施設災害復旧費2目林道災害復旧費2億9、011万5、000円、次のページの3目治山災害復旧費1億2、845万8、000円、4目漁業用施設災害復旧費2、000万円及び256ページの5目漁港災害復旧費6億1、533万2、000円は、いずれも過年災害及び現年災害の復旧に要する経費である。
 以上で一般会計歳出予算の説明を終わる。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げる。恐れ入るが、再び議案その1の14ページをお開き願う。
 林業水産部関係は、事項欄の43から49までの7件で、これらは、農林漁業金融公庫が社団法人岩手県林業公社に融通した造林事業資金について、元利金の償還がない場合の不足額の損失補償及びいわて優良木造住宅建設資金など、5つの資金の融通に伴う利子補給並びに漁港の修築事業において、工期が翌年度以降にわたる工事について、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものである。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げる。25ページをお開き願う。
 議案第4号平成7年度岩手県県有林事業特別会計予算についてであるが、歳入歳出それぞれ50億4、758万3、000円である。
 28ページをお開き願う。第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金及び県債が主なものである。
 次に、27ページの歳出の主なものは、1款県有林事業費であるが、これは、県行造林造成事業や模範林造成事業の新植、下刈り及び素材の生産などに要する経費である。
 次に、第2表地方債についてであるが、これは、歳出予算の事業費に充当するものであり、その限度額を24億8、000万円にしようとするものである。
 次に、28ページをお開き願う。議案第5号平成7年度岩手県林業改善資金特別会計予算についてであるが、歳入歳出それぞれ14億9、219万円である。
 29ページの第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金及び貸付金の元利収入がその主なものである。
 次に、30ページをお開き願う。歳出であるが、1款林業改善資金貸付費は、市町村や森林組合等に対し、林業生産高度化資金などを貸し付けしようとするものである。
 次に、2款木材産業等高度化推進資金貸付費は、森林組合や木材加工業者に対し、木材生産などに必要な短期の運転資金を貸し付けるため、その原資を農林中央金庫などに預託しようとするものである。
 次に、31ページの議案第6号平成7年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算についてであるが、歳入歳出それぞれ3億894万1、000円である。
 32ページをお開き願う。第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金及び貸付金収入がその主なものである。
 次に、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、近代的な漁業技術の導入を促進し、漁業経営の改善を図るため、沿岸漁業者に対し、無利子の経営改善資金などを貸し付けしようとするものである。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げる。74ページをお開き願う。議案第17号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、平成7年度に実施する林業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町である大船渡市ほか2市町に負担願おうとするものである。
 次に、75ページの議案第18号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、平成7年度に実施する水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村である久慈市ほか12市町村に負担願おうとするものである。
 以上で林業水産部関係の議案の説明を終わる。よろしく御審議のほどお願いする。

〇戸羽委員長 ただいまの説明に対し質疑ないか。

〇山内委員 ただいま御説明をいただいた林業水産部関係の予算についてお伺いをする。 概括見てみると、例えば林業振興指導費、これが前年が103億円余、今年度予算が37億円余、△の65億と、こういった数字が見受けられるし、また、林道費についても前年度94億円、今年度予算が86億円、また、水産業振興費、これが前年が21億円、これに対し今年度予算が16億円、それから、漁港建設費、前年が119億円、今年度が108億円、これは骨格予算ということもあっての減額計上、こういうことになっているんだろうと承知はするんであるけれども、それだけの理由だろうかということを感じるわけである。細川内閣が誕生した際に公共事業の配分見直しということが行われた。生活者重視ということで、産業面、そういった面については低いランクに置こうと、こういったことに方向が変更されたわけである。その影響も出ておるのかな、こういった気がするわけであるけれども、果たして骨格予算だから減額されているという、こういった全般的な状況にあるのか、やはりそういった公共事業の見直しということがきいてきているのか、この点についてまず明らかにしていただきたいと思う。

〇田尾林業水産部長 お話あったように、本年度の当初予算は昨年度に比べて相当大幅な減になっておる。この理由であるが、お話にあったように、骨格予算ということである。大きな減のお話をさせていただくと、平成6年度は県民の森の購入という大きな事業があった。それからまた、先ほどお話しさせていただいたように、岩手県の栽培漁業協会の出資金であるとか、いろいろな種苗購入費に対する補助など、6年度固有の大きな事業があって、7年度にはそれらの事業が予定されていないので大幅に減ったものと考えておる。細川内閣が発足した折に、生活関連重視ということで、生産施設というか、そういうものの施設が抑制されたという経緯があったわけであるが、確かに漁港関係の予算は大変伸び悩んでいるけれども、水産庁に対してその予算配分に当たっては大変大幅な増額をお願いしているところなので、見かけ上は当初予算が減っておるけれども、林業、水産関係の施策は決して後退するということではないと思っておる。
 また、先の話になるけれども、6月補正については今、鋭意検討しているところなので、林業、水産ともども大変厳しい時代であるので、さらに頑張ってまいりたいと思っておる。

〇山内委員 御努力はお願いをしたいと思う。
 そこで、漁港建設費にかかわってお伺いをするけれども、先ほどの御説明にもあったとおり、平成6年に県の第9次漁港整備計画、これが6カ年計画が定められたわけである。当時、御説明を伺ったら、6カ年で約900億円投下していくと、こういうお話だったと認識しておるけれども、平成6年度は先ほど申し上げたとおり119億円の執行実績と、こういうことになる。本年度当初予算が108億円、こういうことになるが、こうなると、果たして900億円というその目標を達成できるのかどうか、こういった心配も数字上は出てくるわけである。なおかつ、漁港予算というものは、本県にとっては生活者のための施設整備も同時に行っているわけである。集落環境整備事業であるとか、漁港関連道等、これは産業面プラス生活面、こういった性格を持っているものが漁港予算あるいはこの後審議される農業予算、こういったものに含まれているわけである。だから、生活者重視ということを否定するものではないけれども、こういった漁港予算には生活者ということも含まれているんだと、こういうことも考えると、果たして今の予算計上で900億円という計画が達成するのかどうか、こういった見通しについてお話を聞かせていただきたいと思う。

〇田尾林業水産部長 お話あったように、昨年、平成6年度から11年度までの6カ年間の第9次の漁港整備長期計画が定められたところである。委員御承知だと思うけれども、第8次の本県の長期計画は700億円であったが、1・29倍というか、約130%ということで、大変努力して900億という計画にさせていただいたところである。お話あったように、漁港は単に生産施設である漁港を整備するだけではなくて、下水、その他含めた生活環境の整備まで含めて、また、地域によっては公園といったような、また、必ずしも私どもの県内の漁業者全員の御理解は得られてないけれども、マリーナ、そういうレジャー施設まで整備できる大変重要な事業であるし、まだまだ本来の漁港としての、生産施設としての整備がおくれているわけであるので、果たして本当に900億円大丈夫かというお話であったが、こういう言い方は余り適切でないので聞き流してほしいが、水産庁の漁港部長は本県の漁港課長をされた方で、大変本県に対しては好意を持っていただいておる。それに甘えるつもりではないけれども、大変強力な陳情活動を行っておるので、私どもとしては、こういう言い方も余り適切でないかもしれないけれども、余り心配してないで、いけるんじゃないかというようなことで考えておるので、また、委員の方もひとつ御支援のほどをよろしくお願いする。

〇山内委員 わかった。私どももその立場、立場で頑張ってまいりたいと、このように思っておるけれども、いかんせん執行当局が最大のポイントになってくるだろうと、こう思うので、なお御努力を私からもお願いを申し上げたい。
 なおかつ、先ほどのCランクという位置づけについてであるけれども、これは国に対して見直しを当然求めているものだと思うけれども、その点についての今までの状況、そして御決意を御披瀝いただければ幸いである。

〇田尾林業水産部長 お話のあったように、漁港についてはCランクという格付が行われたわけで、委員からもお話があったように、本県の漁港の整備は他県に比べるとやや進んだところがあるとは思っておるけれども、しかし、私どもとしては決して満足しているわけではない。そういう意味から申し上げて、Cランクというランクづけをされたことについては私どもとしては大変不満で、水産庁を通じ、また大蔵省に対し、また、関係の本県の国会議員の先生方を通じ強力にその是正方を求めているところである。現実的には平成6年、7年の予算は大変厳しい状況であったけれども、かえって、こういう言い方も適切でないかもしれないが、漁港関係の皆さん方はこれからやっぱり一丸となって頑張っていかなきゃいかぬという機運が出てきたのではないかと思っておる。先ほど委員からお話あったように、単に生産施設ばかりでなくて生活関連の事業でもあるということも大いにPRしながら頑張ってまいりたいと思う。

〇伊藤(孝)委員 内陸の南地区に存在しておる者が林業水産部の質問ということになるとちょっと偏屈になろうかとも思うが、私がきょう申し上げたいことは、本県の約70%を占める山林を有する面積の中で、岩手県の林業水産関係が大変大きな御努力をしていることに対してまずもって敬意を表しながら、本県木材、緑の供給県としてのこの業務に対して心から敬意を表する次第である。
 先ほどの御説明の中に、リモセンを利用しながらの管理運営という問題、どの程度のものをやっておられるか、まずこれを1点お伺いする。
 それと、アカマツの総合研究開発事業という問題が計上されておるが、余りにも総合研究開発事業費としては少ない金額なわけである。本県の林業の主体となっているのはアカマツと伺っておるが、この費用では林業を象徴するアカマツの成果を上げるまでのものにはならないのではないかという感じがしたものだから、まずこの2点をお伺いしたいと思う。

〇田尾林業水産部長 お話あったように、アカマツは本県の県木である。アカマツ林の面積も全国的に見ても広島に次いで全国第2位という大変大きな面積を有しておって、本県はアカマツの主産地であると思う。そんなことで、これから本県の県木であるアカマツを大いに売り出していかなければいけないと思っておる。
 第1点は、やっぱり今、木材が使われるためには内装材として使われる必要があるわけなので、アカマツの難燃化処理の技術を開発しておる。一応試験場の実験室段階では成功して、これの実用化に向けて、今、研究をしているところである。お尋ねあったように、大変心細い予算じゃないかということであるが、継続して研究を進めてまいったので、私どもも決して十分と思っているわけではないけれども、それなりに大きな成果が上がりつつあろうかと思っておる。
 また、お尋ねのあったリモセンについては、県庁内で、こういう言い方も余り適切でないかもしれないが、林業施策はいち早くリモセンに取り組まさせていただいておって、現在、アカマツのマツタケがどんなところに発生するか、それが人工衛星からの情報によって発見することができないかということを具体的にやっておる。まだ昨年度から始めたばかりであるので具体的な成果を得るまでには至ってないが、マツタケも大変本県にとって重要な副産物であるので、リモセンの研究も大いにやっていきたいと思っている。

〇伊藤(孝)委員 リモセンの研究でマツタケの栽培法、それに専念をし始めたということは、大変これも先見的で、敬意を表するものである。
 先ほどのアカマツの件であるが、アカマツの大きな山林の範囲を持っている代表県のように今お伺いしたが、それにつけても研究費の予算というものが非常に少ないということで質問申し上げた。これはとやかく申し上げないが、70%もの大きな広い面積の中での研究費としては、ただ名ばかりのものになってしまいそうな感じがしてならない。長期戦線にかけていろいろな部材、建材等の面まで普及をさせておるという話であるから今後に期待をかけるわけであるが、現在の取り巻く環境、例えば運搬費、積載オーバーの制限については大変厳しくなっておるから、どこを目がけて主産地としてやるのか。これから主産地形成をするのには、今の岩手県の林業を取り巻くこの地形、主産地としてアカマツを売り出すのには、もちろん加工産業ということをさっき申されたのでその方法で出されるものだと思うが、主産地形成としての場所と位置の問題からすると、販路が運賃で食われてしまうという形になるのではないかという心配を持つものであるから申し上げたわけである。
 もう1つ、要望から申し上げると、和歌山県ではヒノキの産地で売っている。当県の教育委員会でも図書館の話が出たが、和歌山県の図書館には大体15メートルぐらいの長さで1つの棚を持ちながら、和歌山県のヒノキに関する一切の資料を大きく提示している。育て方から材料の刻みから、そしていろいろな使用する部材のつくり方、各種さまざまある。15メートルぐらいだから、想像してみていただきたい。その高さが大体2メートルぐらいの高さ、棚段が5段ぐらいできている。そのようにしてヒノキの宣伝と、和歌山はヒノキの主産地だということをまさに形成している。それから見た場合の我が県のアカマツ主産地というものは、ここにある研究費用3万6、000円のようなものでは何ともならないのではないかと感じたわけである。林業業者は目をむき出して、今、悲壮な立場にあるわけである。これでは何ともならないと。部長が一生懸命御答弁なさっても、現状は林業業者は飯を食えない。どこへ行ってもみんなその声である。そういうことを強く感じたもので、これに対しては来年度は例に倣う予算ではなくて、抜本的に林業界を変えるんだということで10倍も20倍も100倍も多いお金をつけながら、どうして加工して部材にして出すか、こういった方向に専念をなさっていただくことを、これは要望する。
 それから次に、これは申し上げておったはずであるが、山という広い70%の県土を有するために、アカマツもいいが、もっと成長率の速い樹木として、これは私が随分前に、六、七年ぐらい前か、ホッカイポプラという木を探して、これは王子製紙である、前に調査したのだから資料があるだろうということで調査課にお願いしたところ、余り前だったので、今、見えないからということになって、調査課の方から早速ファクシミリで取り寄せていただいた。ホッカイポプラと称するのは15年から20年で成木として使える。つまり理論を大きく広げると、当時私が言ったのは、御山の木は切るな、水資源として残せ。そして、里の木を畑で野菜を耕すような感覚を持ちながら、45年とか50年で伐採して1山売って何ぼだというのではなくて、計画的栽培、つまり15年から20年で目通り20から30に育つ速度の速いこの樹木を植えて、パルプなり家具材なり、いろいろな部材、これはベニヤにも使えるようであるが、そのような方向で林業県岩手の標榜を高めたらどうだろうということを申し上げたのが六、七年前の、あるいはもっと前かもしれないが、そのころの話である。王子製紙である、これは。ホッカイポプラは王子製紙林木岐阜市研究所が北海道野生のポプラとドロノキ、内容を細かく言うと、さまざまに研究なさっているようであるが、そのほかアカマツだのトドマツだの、それからドロノキだの、そういったものの交配などもやりながらつくっている樹木もあるようである。やっぱり北海道は山国であるという点もあるだろうし、北海道の山林というものの貴重な工業、産業としての考え方に立っておるということからしても、研究種目の内容が非常に大きな違いがある。こういうふうに考えたものであるから、どうかひとつこのホッカイポプラという面にも目をくれて、ただ単にこれは伸びやすいからやわらかい木で何にも使えないだろうというのではなくて、樹木は大きくなる木であるから、20メートルにも25メートルにもなる。木の肌木は白色となっておるが、建築部材にも使えるということを考えると、アカマツの主産地岩手県の林業県はいいが、研究費が少ないということからして、この相乗効果というものはまことに微々たるものだ。だから、林業業者は飯を食えない。去年の額とことしの価格はパルプ材でも半分になったというようなことで、何として飯を食えばいいのかと、こういうお話でいっぱいである。片方はチップ材が片側から営業停止をしながらいくような状況下である。こういう現状を見た場合に、やっぱり大きく予算を取りつけてこの救済制度をしなければならないのではないか、私はそう思うが、部長の心強い、力強い、来年度に向けての予算構成をここでお話をしていただければ幸いである。

〇田尾林業水産部長 お話にあった成長が速くて短期間に成木となる樹種の開発については林業界の悲願であって、大学、また、国、県、また、お話あったように民間の研究所でも長年にわたって取り組まれてきておる。お話のあったホッカイポプラ、通称改良ドロノキとも呼ばれているようであるけれども、15年から20年で収穫ができるということで、王子製紙が自社有林などに大変積極的に植栽を進めたと聞いておる。また、私どもも、県独自に61年度からバイオマスの変換計画としてシラカンバの超短伐期林の研究を行っておる。ただ、きょうまた円高が大変進んでおって90円を割ったという情報もあったけれども、こういう大変急速な円高等の進行によって、外国から大変安いパルプが大量に入っておって、このホッカイポプラも、それから私どもの県が独自にやってまいったシラカンバの超短伐期林の造成もコスト的には合わないというような状況に現段階ではある。しかしながら、お話あったように、こういう研究を常にやっていくということは大変重要であるので、これらの研究にもまた伊藤委員の御指導をいただきながら頑張ってまいりたいと思う。 それから、林業技術センターの予算が大変心もとないんじゃないかというお話である。私どもも決して十分だと思っているわけではないが、来年度に向かってさらに頑張ってまいりたいと思うので、ひとつまた御指導のほどよろしくお願いする。

〇伊藤(孝)委員 ぜひともこの予算の問題では、これは遠慮しないで私は庁議にかけても持っていくべきだと思うので、部長、これは力強く頑張っていただきたい、お願い申し上げる。
 それから、先ほどバイオマスという言葉が出たが、バイオマスというのは、バイテクの中の5項目の中の重大な1項目なわけである。これを調査研究していくと限りがない。広い範囲になっていくが、今、1つにアカマツに絞ったわけであるけれども、これについてもどんどん予算を拡大しながら、林業県岩手を象徴するならば、やっぱりこれも大きな予算をもらって研究開発するようにしていただかなければならない、こう思う。
 それから次に、サクラマス、さっきお話があって研究をやっておる。これはつまり淡水魚の面になっていくわけであるが、最近これも円高によって、外国から来る魚の方が安いから内水面の魚というものに余り関心がないようになってきておるが、岩手県の象徴するところは、本当はこれは分野じゃないだろうが、微生物の研究をしながら清流化していく。そして、このサクラマスでも、あるいはニジマスでもカジカでも、昔の川に戻していくという横の連携も大切だろう。バイオリアクターの研究、これをひとつ連携プレーでおやりになって、バイオマス研究とバイオリアクターの研究、そして、サクラマスを初め、新魚、昔の魚、そして新魚なども含めながら、観光地として売り出す大自然、工藤知事が常に自然は宝だ、所得に値すると言われておるが、ビニール袋がひっかかってごちゃごちゃなってるいるのが大自然なのか、それを整理しながら、昔の小魚が、カジカが、エビが飛び回るような川、その中にサクラマスあるいはイワナなどが生存する、さらには研究を深めた新しい魚、こういうので付加価値を上げて総体的に環境の観光地形成に持ち込むこと、岩手県の生きる道としてはこれしかないのではないか。そういうときに、あわせて加工を加えた木材産業の部材を売りつけていくというような複合的な研究も大切だろうと、こう思うが、部長の力強い御所見をお伺いする。

〇田尾林業水産部長 お話あった淡水魚の研究については内水面の水産技術センターにおいて積極的に取り組んでおって、特にお話のあった新たな魚種としては、カジカとかイトウ、ヒメマス、チョウザメの養殖技術の研究に取り組んでいるところである。特にカジカについてはやはり清流の象徴とされておって、この研究を本県としては進めていくことが大変重要ではなかろうかと思っておって、一番、今、力を注いでおるところである。
 お話あったように、バイオマスだけではなくて、バイオリアクター、その他、観光、加工、木材まで、研究というのは単に1つの研究では成り立たないわけなので、視野を広げながら、また、幾つかの視点を持ちながら、しかもまた将来を見据えながらやっていくことが重要だと思っておる。本県の淡水魚の養殖は必ずしもほかの県に比べて盛んなわけではないという状況を踏まえて、やっぱり新たな魚種を目指すということが一番重要な課題であろうと思っておる。お話をいただいた、カジカ、イトウ、ヒメマス、チョウザメなどを念頭に置きながら、特にカジカに力点を置いて頑張ってまいりたいと思う。

〇伊藤(孝)委員 これで終わりにするが、いずれ岩手県は産業経済が非常におくれておるように私は感じる。一方、港湾のFAZの問題を出しても、輸出するものがないからだめだとか、そんなことで全然前に進む形成の県政ではない。悪いけれども、そのようにしか言えないと思うが、FAZの問題だって、これは売る材料がないから、出す材料がないからという内容ではない。ここで加工工場を設けないかということなのである。加工工場を設けて出すのだから、それに対しては木材も関連があるということで代表質問でやらせていただいたが、私が要求した答弁は1つも入っていなかった。
 ただいまカジカ1つ取り上げたのは、これは見れば小さいものである。そして、魚の範囲からしてもこんなものと思うわけであるが、このカジカが生存する清流というものは、見ただけでここは何でもできる本当の大自然だ、その水も飲めるんだというようなことが岩手県の70%の面積を占める森林を持つ森林主導型の県政というものにカジカ1つで誇りを持てるのではないか。イトウの養殖、それから、いろいろな分野の養殖等もそれ1つで全部でき上がるということであるので、力を入れて、たかが知れたカジカということではなくて、これをとらえて県行政の内容が全部わかるという問題の大きさを考えて、ひとつ大奮発してやっていただきたい、このようにお願いを申し上げる。
 これについては御答弁は要らない、要望にとどめて終わりたいと思う。

〇横田委員 伊藤孝委員の御質問に答えてリモセンを研究している、松の木などの話があったが、研究しているというのは、県がデータ解析センターでも設置して、そして研究するということなのか。それとも、センターからそういうものをもらってきて、読み取ることについていろいろやっているということなのか。先ほど部長はリモセンのことについて一定の評価をなさったようにお聞きしたが、リモートセンシングデータ解析センターを岩手大学工学部情報工学科が管理していろいろやっているわけであるけれども、これをつくった原動力になったのは、当時自由民主党に所属しておられ、科学技術振興特別委員長の要職にあられた伊藤孝委員であったわけで、ところが、行って聞いてみるというと、岩手県はさっぱりリモセンデータ解析センターを利用してくれないと、去年、おととしあたりまでそう聞いたけれども、第1点は、岩手大学との提携はどうなっているのか。
 第2点は、その応用範囲は、今、部長は林政について言ったけれども、漁政の関係にも及んでいるのかどうか。県が研究しているというのなら、その内容をお知らせを賜りたい。
 第4点として、暖水塊のためサケが一定の打撃を受けた。リモセンはこういう暖水塊の存在なんていうのをキャッチできるはずである。県は、リモセンでことしはサケの不漁だぞということを予測できたのであろうか。

〇田尾林業水産部長 お話にあったように、岩手大学には大変熱心にリモセンの研究に取り組んでいただいておって、私どもも横山先生の御指導をいただいているところである。県が独自にリモセンの研究ができるわけではなくて、常に岩手大学の指導を得ながらやってるところである。また、職員も私ども県庁内で養成できるわけではないので、横山先生のところに派遣をさせていただいて養成をさせていただいているところである。今後とも岩手大学の指導を得ながらやってまいりたいと思っている。
 今、林業技術センターでやっておる内容は、岩手大学等からいただいた資料、マツタケがリモセンから得られる情報のどんな林に発生するか解析するということをやっておる。現実に、マツタケが生えている林と生えてない林について、リモセンから得られた情報に何か差異があるのかどうか、ある因子をとらえることができればそれがリモセンで予見できるわけであるので、マツタケが発生するアカマツ林をリモセンのデータによって予測することができないかという研究をやっているところである。
 お話にあったように、リモセンはもともとは水産の関係にいち早く取り入れられた経緯があって、特に海水の温度については最初に実用化された項目である。お話にあったように、本年、暖水塊が本県の沖に張りついて、サケが接岸しないために大変大打撃を受けたところであるが、これが予測できたのではないかというお話であるが、実は、私ども今、水産技術センターに水産の総合的な情報システムを構築しておる。これは、例えば海の温度であるとか、潮の濃度であるとか、それから、そういう物理的な情報だけに限らず、魚の値段であるとか、それから、市場の動向であるとか、そういう水産に関するすべての情報を一元管理する水産情報システムというものを今、水産技術センターで取り組んでいるところである。残念ながらこれは昨年というか、本年度6年度から取り組んだばかりであって、このシステムが完成しておらなかったために、残念ながら暖水海が接岸したことについて予測できなかった。早急にこの水産情報システムを確立して、今後はこういう予報、予測が的確にできるように努めてまいりたいと存ずる。

〇佐藤(啓)委員 ただいま伊藤委員から研究開発費等含めて、本県林業の振興を目指してもっともっと頑張れという激励を込めた質問があったわけで、私も質問をする気はなかったんであるが、部長の答弁の中にもあったので、これは予告はしていないけどもう一度部長の見解をお伺いしたい。恐縮である。
 部長からもう一言いただきたいと思うんであるが、先ほど来問題になっている、本当に国産材時代が来るのかということで、私2度も3度も部長のお考えを聞いた経緯がある。やっぱりネックは外国からの輸出攻勢というか、外圧と言えると私は思うんであるが、それに便乗したという言い方は適切な表現じゃないと思うが、大手商社のおびただしい輸入が、これは農政部じゃないから、当部の関係から言えば林業の面でもあるいは漁業の面でも大変な圧迫を受けているということは事実だと思うわけである。であるから、せっかく部長が開口一番話のあった林業構造改善、確かに生産基盤の強化ということはやはり本県林業にとっても大事なことだと思うんであるが、そのつながる国産材の時代の到来というのが、どうも明確になっていないところに林業者の意欲をそいでいるという、これは事実だと思うわけである。本県漁業界の中でも基幹産品であるサケの増殖の問題についても、展望はどうなんだというそういう心配があるんだと思う。私はこれはやっぱり国の産業政策の中で、農業政策も林業政策もあるいは漁業政策も、工業とバランスのとれた明確な位置づけの中で振興が図られるという、そういうことが極めて大事だと思うわけである。いつも部長はガット・ウルグアイ・ラウンドの合意事項だという、そのことで木材産業についても関税の切り下げという攻勢がかかっている。一体、適切な農林漁業が国の産業政策の中に位置づけられるというのは、これはやっぱりWTO協定に抵触するということになるんであるか。部長の見解をお聞きしたいと思うし、恐らく林業関係団体も共通のそういう問題意識は持っておられるだろうと思うんである。確かに安い輸入材によって消費者が潤っているという面は否定できないとは思うけれども、同時にそういう保護的な政策がとられるというのは、やっぱりWTO協定違反ということになるんであろうか。これは予告していなかったけれども、ぜひ部長の見解をお伺いしたい。
 以下、通告に従って一括して申し上げる。
 これも問題意識は同様の意識でお尋ねをするわけであるが、労働基準法が昨年4月1日から林業労働者にも全面適用になった。基準法が施行されたのが昭和22年の4月であるから、47年経過して初めて林業労働者にもこれが適用されるということになったわけである。林業、山村の現在を考えた場合に、こういう労働基準法が完全適用になったというそういう中で、やはり新たな環境づくりをどうやって着実に進めていくのか、これは関係者一同の一層の努力が必要なところだと思うわけである。こういう労働基準法が林業労働者にも適用になるんだと、こういう事態を受けて県として事業体ないしは労働者に対する指導をどのように行ってきたか、また、現状について明らかにしていただきたい。私は、やっぱり一番の問題は雇用契約の締結あるいは就業規則の制定等が、言うのは易しいんであるが具体的にこれを生かしていくというのは、これは大変なことだと思うわけであるが、特にそれらの点について県としてどう努力をされているのか、明らかにしていただきたいと思う。
 第2点は、やはり冬山、冬の作業を通じて林業労働者にかかわる労働災害の発生が既に新聞で報道されておる。県はこの実態をどうとらえて、災害防止についてどう指導しておられるのか。これは第一義的には労働基準局の所管の問題であろうけれども、林業県岩手としてもどういう指導をされているのか。
 また、災害に遭った方々の災害補償、これはいろいろ保険加入等の問題等もあるんだろうと思うんであるが、実情と県としての指導についてお伺いしたい。
 その次は、県内の不在存所有林の現状はどうなっているのか、これに対する県の指導方針。
 最後に、流域林業活性化推進について、平成6年度の実績、平成7年の計画についてお知らせをいただきたい。

〇田尾林業水産部長 佐藤委員からお話があったように、林業、水産業ともども海外から大変安い商品が入っておって、あえいでいるのが現状だろうと思う。ただ、委員御承知のとおり、日本は国際社会の中でともども生きているわけであるので、やっぱり世界の人々とともに手を携えながら、日本だけが勝手なことをやっているというようなそしりを受けないようにやっぱり生きていく必要があるわけであって、そういう過程の中でガット・ウルグアイ・ラウンドの合意が行われたものと承知しておる。私どもとしては大変つらいわけであるけれども、やはり海外から入ってくる林産物、水産物にコスト的に対抗できるような製品をつくり出していくということが大変重要だろうと思っておる。なかなかこれは言うはやすく行いがたいわけであるけれども、歯を食いしばってでも頑張ってまいりたいと思っておる。
 それから、お話があった林業への労働基準法の適用の問題であるが、委員のお話しいただいたように、昨年4月1日、全面適用されたところである。大変長らく林業の場合には適用されないということであったわけであるが、そういう面では林業も初めて一人前の産業になったということかなとも思っておる。これに伴って県としては、早速、労働基準局、関係団体、学識経験者などで構成する岩手県林業労働環境整備推進協議会というものを設けさせていただいて、労働基準法の周知や就業規則例を作成すると同時に、パンフレットも作成して林業事業体や労働者の方々に配布しているところである。また、今年度から林業事業体を対象として社会保険労務士による研修会や中小企業診断士による経営診断も実施しておるが、この中でも労働基準法の定着に努めているところである。今、施行後1年を迎えようとしているわけであるので、この定着状態がどうなっているか、県としては早急に調査をしなきゃいかぬと思っておって、正直申し上げてまだその調査を行っておらないので明確なことは申し上げられないが、いまだ十分にお話があった雇用契約の締結と就業規則の制定等について、100%達成されたというようには認識しておらない。残念ながら十分に行われていない状況があるのではないかと危惧をしておるので、今お話しさせていただいたように、施行1年を迎えて早急に実態の把握に努めると同時に、もし十分に行われていないという実態があれば、さらに労働基準局の方と相談をさせていただいて、その指導強化に努めてまいりたいと存じておる。
 それから、不在存地主の問題であるが、1990年の世界農林業センサスの統計によると、本県の森林を県外の方、いわゆる県内に在住されていない方々が本県に所有されている森林面積は約6万7、000ヘクタールに及んでおって、私有林に占める面積は11%となっておる。全国が約22%であるので、そういう面で言えば本県の場合には不在存の方々が持っておられる所有森林は、全国平均というのは小さいと考えるわけであるけれども、その面積は年々増加傾向にあって、また、この不在存者が所有する森林はほとんど手入れがなされていないというのが、本県だけじゃなくて全国的な傾向である。県としてはやっぱりこれを放置できないということで、県森連に中心になっていただいて平成2年度から毎年、これは首都圏に住んでおられる方を対象にしてあるけれども、アンケートの用紙をお配りして、まず岩手県に森林を持っていただいているということを認識していただくと同時に、ふるさと森林会議というのを東京で開催させていただいて、適正な森林を行うよう市町村や森林組合に経営委託をしていただくようなお願いをしているところである。おかげさまでこれまで540ヘクタールについて森林組合等に、例えば除伐であるとか下刈りなんかの委託が行われておって整備が進んだところであるけれども、今お話しさせていただいたように不在存の方が持っておられる面積は6万7、000ヘクタールであって、やっと経営を委託していただいたのが540ヘクタールであるから、ごく一部であるわけであるので、今後は首都圏だけではなくてもっと別の地域にもふるさと森林会議というものをふやすなど努力して、不在存者の森林についても適正な整備が図られるように取り組んでまいりたいと存じておる。
 お尋ねあった林業労働災害、また、流域林業活性化推進事業については、関係の課長からお答えをさせていただく。

〇秋山林産振興課長 それでは、私の方から林業労働災害についてお答えさせていただくが、まず県としても林業労働者の安全衛生を確保するということから、これまで林業労働災害防止地域活動研修会というものを県内5地域で実施しておるし、また、安全衛生指導員25名を配置しておって、安全巡回指導を実施しているところである。この結果と申すか、それもあると思っておるけれども、休業4日以上の死傷者数の統計であるが、昭和55年、345人ということで今までのピークだったわけであるが、平成5年には128人、そして昨年平成6年には103人ということで、年々減少しているというのが実態である。ただ、委員御指摘あったように、昨年は死亡者が4人ということで、前年1名ということであるので大幅にふえている。ただ、昨年、一昨年を見ると、例年4人から5人が林業関係の死亡事故ということであって、例年に戻ったということで今までの苦労がまたもとに戻ったという感じをしておるけれども、いずれにしてもこの死亡事故をいかになくすかということが大きな課題であるというぐあいに考えておる。昨年の4件の死亡事故を分析してみると、いずれも伐採するときあるいは伐採したものを集材する際に起きておって、そういう観点からの安全衛生を強力にしていかなきゃいけないということで、安全衛生指導員によるそういった伐倒とか、あるいは集材の巡回指導を今まで以上に強めていきたいというぐあいに考えておる。
 災害防止の補償関係のお尋ねもあったが、これについてはいわゆる小規模な個人経営と申すか、一部の事業体については任意加入ということで入っていない方もおるけれども、あとすべての事業体というものは労災保険制度が適用になるということになっておって、今回発生した4件の死亡事故についても労災保険が適用になるものというぐあいに思っておる。と申すのも、適用になったかどうかは監督署等あるいは関係等に照会しても判明しない、教えていただけないが、いずれにしても事業体がその保険に入っておるし、そこで使われている労働者ということであるので保険が適用になるものというぐあいに判断しておる。ただ、林業においては御存じのように1人親方とか、あるいは共同請負というような雇用形態があって、こういった方々については労災保険への特別加入という制度があるので、それへの加入を促進して適用にならない人を少なくするということに努めてまいりたいと思っておる。

〇田頭林政課長 お尋ねのあった流域林業活性化推進事業の取り組み状況と今後の計画ということについてお答えを申し上げたいと思う。
 お尋ねのあった流域林業の活性化推進事業であるが、この事業はこれまで別々に作成をされておった国有林と民有林、これを一体的にやる。それから、川上と川下の計画を、これも流域単位として一体的に、しかも地域の森林林業関係者がみずからがみずからの発想、あるいはみずからのアイデアでもって策定をしていくということである。このことから、地域の特色を生かした林業の推進を図っていこうという趣旨である。本県では県内を5つの流域に分けておって、それぞれの流域においていわゆる将来ビジョンというものを策定をしておるが、これまでにこのすべての5つの流域に流域林業の振興方策について協議、検討するという目的のための流域林業活性化協議会を既にもう設置をされているところである。具体的に5つの流域について申し上げてみると、1つは大槌気仙川流域である。2つ目は北上川中流流域、3つ目が久慈閉伊川流域、4つ目が馬淵川の上流流域、そして5つ目が北上川の上流の流域、都合5流域になっているものである。
 この将来ビジョンの作成状況であるけれども、平成3年度の大槌気仙川流域を初めとして、平成4年度は北上川中流流域、それから平成5年度は久慈閉伊川流域においても既に策定をしておる。これらの流域においては、具体的には高性能林業機械の作業をいかにシステム化して効率化を図っていくかということであるとか、あるいは高性能林業機械を装備した事業体の組織化をいかに図っていくかというような内容について既に検討を行ったところである。それから、平成6年度に活性協議会、これは新たに設置しておる北上川上流流域と、それから馬淵川上流流域については現在ビジョンの作成を進めているという実態にある。これは6年度中、もう少しであるけれども策定を終わるという見込みである。 それから、お尋ねのあった平成7年度では何をするのかということであるが、それぞれの流域において引き続きこれはビジョンの今度達成に向けて協議、検討を進めると、したがって、取り組み方向を具体化するための実施計画であるけれども、これらの策定を大槌気仙川流域で行ってまいりたいと考えておる。

〇佐藤(啓)委員 要望である。本当に林業労働の、特にも雇用にかかわっては特殊条件というか、半ば伝統的なものにも近い、そういう雇用状況と申そうか、そういう中で大変御苦労なさっている皆さんに心から敬意を表したいと思うわけであるが、申し上げたように、初めて労働基準法が全面適用になったというこの機会に、今後ともひとつ粘り強く御精進をお願いをしたいと思う。特に労働安全とかかわって災害補償の問題、これもいろいろ検討されて御努力いただいているようであるが、これはできれば皆保険というか、そういうことができるのが一番いいんじゃないかと思うんで、必要な場合には県も一定度の援助も惜しまないという、そういう方法等も勘案をしていただきたい。さっきお話の中で、これは新聞の報道でもあったんであるが、倒木の最中に下敷きになって死亡するという、これは技術の未熟さというようなことではなかろうと思うんである。本当に伐採に従事する方はかなりの経験も踏んでいらっしゃる、にもかかわらず下敷きになるというのはこれはどういうわけか。うちの父も林業労働者だったんであるからよくわかるんであるが、何かの、本当に事故なのかなと思うんであるが、それにしても皆保険ということができるんであれば、その道を追求していただくように強く要望申し上げて終わる。

〇横田委員 幾つか通告をしておる。ガットの合意の具体的な展開がなされた場合、県内漁業に与える影響をどう認識しておられるであろうか。国では何しろ合意してしまったものであるから、これまでの状況でも水産物交渉では285品目のうち219品目を5年間で関税率平均33%引き上げなどなどということで、日本の国は大変、水産日本は今や世界最大の水産物輸入国になっている。こういうふうに私は把握するわけである。本県の影響はどんなものであろうか。先ほど部長は佐藤啓二委員の御質問に答えられて、ガット合意をいわば受け入れなければならない理由として私が受けとめたのは、日本だけが勝手な行動は許されないから忍びがたきを忍んで受け入れたんだというような意味のことをお答えになられたように承知する。批准反対をあるいはガット合意を受け付けない、やめろということになって、日本だけであるか、もしそういうことやるとすれば。世界各国で何ぼもあるんじゃないか。要するに、国際交流の関係でと言うならアメリカの関係だけであろう。あなたがおっしゃったのは、アメリカに黙ってはいはいと従えとしか受けとめられないと私は聞いたが、どんなものであるか。そんなことで本県の水産物を、漁民を守ることができるか、その根性で、ど根性で、ど根性がなくちゃならない。こんな国際認識でよく本県の林業水産部長などやれるものだなと私は思ったが、どんなものであろうか。ここの漁連なんかでもガット合意の問題については非常に批判的な態度で、県に来なかったか、ガット合意するななんて、それを政府へ言ってやれなんて来なかったか。少し厳しいお話をしたが、まず表現の方法はお許しいただきたい。
 私は、アラスカのサケ生産の実情を自民党の水産議員団に同行させてもらって行って見てきた。現地で加工して日本に輸出してよこすのはNという大手流通業者だと見てきたが、県はどう認識しているだろうか。これでは本県漁民の敵は大手流通企業ということになりはしないかとさえ私は思っている。県の御認識はいかがであろうか。この場合、もし何であったら水産担当の次長、あなたが大変いろいろお世話をなさってくださったことがあるわけであるから、この認識についてお尋ねをしたい。
 次に、教育委員会との関連があるが、県内の諸学校の給食に本県産水産物を供与するということを大いに進めるべきと考えるが、現状はどうなっているであろうか。あわせて、今後のお見込みをお聞かせを願いたい。
 アワビ、ウニの増養殖場等の問題について行監から県が指摘されたことについては、同僚委員が卓見を御披瀝した御質問をなさっているところである。私もその驥尾に付してお伺いするが、久慈や田老や田野畑というところが名前を挙げられて報道されている。そうするとこういう漁協というのは補助を一部でも返還するということになるか。また、県がずさんだったとして部長でもこれは処分を受けなけりゃならない筋合いのものなんであるか。
 次に、玉川浜漁協に係る問題は、裁判になっているので軽々しい発言は控えねばならないと存ずる。現状を林業水産部としてどう受けとめておられるであろうか。
 海と森との連帯について県はどう認識しておられるであろうか。山の養分解明を目指すとの釜石のセンターの事業に私は大変注目するものである。平7からの事業実施と言うが、方針と具体的措置はどうであろうか。玉川浜のような場合もあり、この調査は充実を期しながらも、なるたけ早くできればよいと思う。県漁連との提携なども必要と思うが、いかがなものであろうか。

〇田尾林業水産部長 ガット・ウルグアイ・ラウンドに関連して大変厳しいお話をいただいたが、私も本県の林業、水産業を守るために精いっぱい頑張ってまいりたいと思っておるので、ひとつよろしく御指導のほどお願いしたいと思う。
 お話あった水産物のガット・ウルグアイ・ラウンドの合意では、水産物285品目のうちの219品目について、平成7年7月から5カ年間で現行の関税率をおおむね3分の1に引き上げるということにされたところである。ただ、現行の関税率はサケ・マスが5%、エビは3%であるなど、既に相当低くなっておるので、数字だけから見ればガット・ウルグアイ・ラウンド合意に伴う影響は、一般的にそれほど大きくないのではないかと言われておる。ただ、もう既にサケ・マスなど大量の安い水産物が輸入されておって、本県もその影響を受けているわけであるので、このガット・ウルグアイ・ラウンドの合意されたという機会をとらえて、安い輸入水産物に対抗し得るような足腰の強い水産業に育てていくことが何よりも重要だろうと思っておる。
 それから、お話にあった第2点の本県の学校給食への利用状況についてであるが、現在、学校給食ではエビであるとか、サケ・マス、イカ、アサリなどがメーンのおかずとして週5日のうち二、三日使われていると聞いておって、ほぼ肉類と同程度の使用日数になっているようである。国内産が7割で輸入品が3割というようなお話を承っておるが、本県産のものがどれくらい利用されているか詳細はわからないようである。いずれにしても委員御指摘のとおり、将来を担う子供たちが魚を食べてもらうということは大変重要であるので、平成2年度から国の補助事業をいち早く導入して、釜石市、東和町、盛岡市及び久慈市において学校給食への利用促進を図ってきたところである。ただ、先般もお話しさせていただいたが、当該事業は本年度をもって国の助成が終了することとしておる。残念ながら本年度は骨格予算であるので当初予算には盛り込めなかったが、来年度以降も、国の補助が打ち切られた場合であっても、県単独事業として事業を実施していくことができないか、鋭意検討しているところであるので、さらに頑張ってまいりたいと思っておる。
 それから、アワビ、ウニの増養殖の問題について、このたび岩手行政監察事務所から指摘を受け、委員御指摘のとおり、一部の漁協において計画どおりに種苗放流がなされていなかったということについては大変遺憾なことであると存じておる。県としては、事業実施に当たり関係市町村及び漁協と十分な打ち合わせを行って整備を進めてきたところであるけれども、残念ながらこのような事態が発生したわけである。指摘のあった漁協について補助金返還等の問題が生じないように、適正な種苗放流を指導するとともに、今後このようなことがないように最大限の努力をしてまいりたいと存ずる。
 それから、種市町のゴルフ場の問題についてお話があった。委員からお話があったように、本件事案は現在係争中の事案であるので、県としての見解を申し述べることは適当でないと存ずる。御了承をお願いしたいと思う。
 それから、海と森との関係についてお話があった。大変海と森は深いつながりを持っておって、古くから本県の漁業者は魚つき保安林などを大切に保護してきたところであって、本県の魚つき保安林は日本有数の面積を誇っておる。また、近年、漁業者の方々が森は海の恋人というキャッチフレーズで、山に木を植えるなどの運動を行っておられるところであって、やっぱり海と山が連携していくということは大変重要なことだと存じておる。しかしながら、委員御指摘のとおり、海と森との関係は多様であって、必ずしもその因果関係がはっきり解明されていないということであるので、できるだけ早く解明されることが必要だろうと考えておる。このため、お話あったように水産技術センターで平成7年度から研究を行うこととしておるが、その方針は山の栄養分が川を伝って海に流れ込み、海の生物生産を支えているという考え方を科学的に証明しようとするものである。具体的には2カ所程度の調査区域を設定し調査をしたいと考えておるが、調査に当たっては、お話があったように県漁連を初めとする関係団体等の協力が必要であるので、関係団体の協力を得ながら、できるだけ早く調査が完了するように進めてまいりたいと存ずる。
 その他、アラスカのベニザケ等の御質問あったが、担当の次長、課長からお話をさせていただく。

〇大倉林業水産部次長 委員の方から特に御指名ということで、3年間おるが初めて答弁させていただく。ただ、残念ながら質問の内容は大変難しいものである。たとえ私が水産庁から来た人間であっても、アメリカのベニザケを現地で加工してそれを日本に輸出してきているのがNという社ではないかという御質問であるけれども、残念ながら私どもは承知していないというのが現状である。現在、アメリカのアラスカ州から約8万トンのベニが我が国に入ってきておる。それらに関連して日本の商社であるとか、また水産会社が現地に法人をつくって直接加工したり、また現地の工場にいわばその関係会社のブランド的な意味で委託加工して、それを日本に輸入しているといったようなことは事実としてあるということは伺っておるけれども、詳細については、申しわけないけれども承知していないというのが現状である。いずれにしてもこれからのサケ・マスをめぐる供給過剰の構造というか、これは恐らく変わらないと思う。これに対して県としては国に対して、いわば秩序ある輸入を強く要望してきたし、また、これからもそのようにしていきたいと思う。 また一方でサケの付加価値を高めるといった意味から、できるだけ消費者ニーズに合ったようなサケを提供するとか、また、学校給食であるとか自衛隊、こういった消費拡大、また、水産技術センターにおいて、例えばサケの中骨罐詰に続くようなヒット商品、これの開発に努めて、本県の重要漁業であるサケ・マス漁業について今後ともその振興に努めてまいる考えである。

〇横田委員 何しろ米の輸入自由化阻止とか、輸入農産物に対して自給率を向上させろなどという政党が、ある日突然公約を投げ打って大転回をするなどという、こういう複雑な政治情勢の中で、なかなか県の林業水産行政も難しかろうと思うが、ひとつ鋭意頑張っていってもらいたい。(「地方自治だ。」と呼ぶ者あり)どこの政党を指すかとかということは言わない。
 次に、今、大倉漁業担当次長のお話、そのとおりであろうが、私たちが行って見てきたときは、今、状況がどうなっているかわからないけれども、スジコなんていうのはあっちの方の人たちは食べないんだ。そういうのを集めてそして加工して日本に輸出してくるというのが、実は現地に行っているNだとかそういう大手流通業者なんだなと、私は認識してきた。本県三陸の漁民なんていうのは一生懸命サケ・マスやっているわけなんで、まるっきり踏みつけにされるような、同じ同胞から踏みつけにされるような結果になっているんじゃないかと思って、いたく私は感じ入ってきたんである。こういうものをどういうふうに本県漁民を守るためにお話を申し上げたらよいものかどうか。部長や次長に申し上げてよいのだか、政府に対して行って話すればいいのだか、いずれ実情はそういうことにあると認識するので、こういうことを何とかやめてもらうような働きかけというのはできないものなのか。あなたは先ほど初答弁だそうであるが、ひとつあわせて第2回目の答弁もお伺いしたい。
 林道夏油湯田線は既に着工しているわけであるが、自然保護団体から反対が出たそうである。
 1、自然保護は時代の要請である。反面、林道開発は地元民を裨益することになろう。県が林道を敷設しようとする場合、今日の時代においてどのように対処していかれるのであろうか。この林道の今後のお見込みはどうなるのであろうか。
 アメリカ原産のブラックバスという何でも食う魚が大変ふえてきたようである。淡水漁業担当当局はどのように把握、認識しておられるであろうか。生態系が乱れる。いろいろな環境問題については先ほど伊藤孝委員が大変鋭く御指摘をなされたところであり、私も同感であるから繰り返さない。環境保全という面についても問題がありはしないのであろうか。いかがであろうか。

〇田尾林業水産部長 それでは、先に夏油湯田線のお話をさせていただきたいと思う。
 委員から御指摘があったように、林道開設に当たっては、自然的、社会的環境の調査を行い、自然環境をできるだけ損なわないように配慮しているところである。本県林道についても、開設に当たって自然環境と調和のとれたものとするため、現地調査や聞き取り調査等を実施して、自然環境に与える影響はほとんどないと判断されたことから着工したところであるが、お話があったように着工後に、事前調査では確認できなかったイヌワシやクマタカが観察されているという情報があって、慎重を期すため再度それらの生息確認等を行うこととしたところである。具体的には先般4名の専門家による調査委員会を設置させていただいて、生息確認等をお願いしたところであって、今後についてはこの調査結果をを踏まえて対応していきたいと思っておる。
 なお、ちょっと説明が後先になったが、この夏油湯田線は実は改良部分が6・7キロメートル、新設部分が8・2キロメートル、合計14・9キロメートルであるが、改良部分の6・7キロメートルについては関係の団体の方々からも、特に問題はないんではないかというお話を承っておって、本年度も順調に着工しているところであるが、引き続きこの改良部分については野生鳥獣にも十分な配慮をしながら事業を実行してまいりたいと思っておる。ただ、先ほどお話しさせていただいたように、新設部分については問題が提起されておるので、専門家による調査委員会の結論を待って対応してまいりたいと思う。
 その他の問題については関係の次長、その他からお答えをさせていただく。

〇大倉林業水産部次長 サケに関係してお答えさせていただきたいと思うけれども、大変難しい御質問で答弁のしようがないというのが実情である。このベニザケについては、従来はどちらかというと我が国の大手、また中小漁業者が北洋で採捕してそれを日本に持ち帰ってきたと、それ以外に沿岸漁業者はどちらかというとシロザケというような構造で需給関係が推移してきたと思う。御案内のように、北洋でのサケ・マスが事実上全面的にフェーズアウトされた現在、それにかわるものとして輸入という形態できているのが現状だと思う。ただ、こういったお互いの需給関係において沿岸漁業のシロザケへの価格の影響、これは確かにある。先ほど来そういった実情をだれに申し述べたらいいのかというお話あったけれども、県としても本県漁業者のそういった要請等を受けて、水産庁に対して、先ほど部長等も答弁あったように、秩序ある輸入形態、こういったものを図るように強く要望してきたところである。国の考え方としては趣旨はわかるけれども、大変難しいといったような回答がされたと伺っておる。いずれにしても本県の沿岸漁業の柱であるサケ・マス漁業の振興という点について、そういった点も配慮しながら今後とも一層振興に努めてまいりたいと、かように考えておる。答弁にならなかったけれども、かえさせていただく。

〇飯岡技術参事兼漁政課長 ブラックバスの御質問についてであるが、外来魚種としてこのブラックバスはかなり古い時代、大正14年に神奈川県に初めて入っておる。その後、釣り人たちの好みというか、そういった釣りの引きがすばらしいということで全国的に広がっていって、私今、詳しい、都道府県全部に広がっているかどうかはちょっと承知しておらないが、北海道については承知しておらないが、それ以外の都府県についてはほとんどもう分布されているのが実情である。そういったようなことで、今、委員のおっしゃった生態系についてどうだろうかということであるが、このブラックバスは魚食性の強い魚である。そういった意味でほかの魚を食べるといったようなことがある。そういうことで従来からある生態系が変わってくるということは十分考えられる。そういう意味では釣り人からも規制してもらいたいといった要望が以前からあって、県の方としては平成5年に岩手県の内水面調整規則を改正して、この外来魚、ブラックバスの移殖を禁止する処置をとっておる。ただ、その後も県内にはいろいろ各地区で生息しているということを私たちも承知しておるし、内水面の水産技術センターを通じて調査をしたりもしておるが、これからも市町村等も通じながら、こういった外来魚を無秩序に放流することがないよう、また移殖することがないよう広報指導に努めてまいりたいと、こう考えておる。

〇横田委員 最後に、材木、林産物を運搬するのに法令に違反するのはうまくないことだ。しかし、慣例みたいな感じで過積載ということがいろいろあって、過積載問題についてはどこかの場所で漁業に関連してお伺いしたいきさつがあるけれども、本日は木材等の生産資材の運搬について、道路交通法が大変厳しく運用されることになって、林産関係の製造業者が非常に苦しんでいるのは、在来の、今日のように国産材をひとつ大いに見直そうという時代になって、その需要を賄うためには今までの倍の車両がなければできないのではなかろうかというように仄聞をしておる。しかし、そういう措置がなかなか難しいという状況にもあるし、まさか道路交通法で目こぼししてくれと言うわけにもいかないであろう。県としてはこのような実情をどのように把握なされており、どのように対応なさろうとしているのであろうか。

〇田尾林業水産部長 お話あったように昨年道路交通法が改正になって過積載の問題が発生しておる。委員の方から先般、水産関係の問題をお話を承ったところであるけれども、林業も大変重量物であって大きな影響を受けているところである。聞くところによると、二、三割以上のコストアップになるんではなかろうかというお話を承っておる。一部の業者の皆様方はトレーラーに切りかえることができないかという検討もされておるし、また、遠くまで運ぶとコストがかかるわけであるので、近場のところに売り先を変えるというような検討もされているわけであるが、県としては、やっぱり木材を葉枯らし材というか、山で一たん切って乾燥した後に丸太にして運び出すということで、少しでも重量を減らすことができないかというような検討もしているところである。また、運輸省が、いずれにしてもやっぱり陸路から鉄道、また海というようなことでモーダルシフトというか、いろんな研究なされているわけであるけれども、私どもの木材というのも大変安くて大変重いという、大変運賃負担力のない商品であるので、やっぱりもう少し大量輸送を考えると、例えば海の船を使って大量輸送するというようなことも今後検討していかなきゃいけないのではなかろうかなと思っておる。当面の対策としては、やっぱり木材を軽くするということで、まず長期的には今お話しさせていただいたように、大量輸送方式をもう少し検討すべきではなかろうかと思っておる。私どもとしてもそれなりに研究もし、将来を見詰めた対策についても頑張っているつもりであるけれども、具体的にまだまだ、林業関係者の皆様方、大変な苦労をされているようであるので、その辺の実態も伺いながら頑張ってまいりたいと存ずる。

〇堀口委員 関連しろと、メモがここへ来たものだから。
 今の過積載のことであるけれども、道交法の改正で、木材業者に限らず県内の輸送関係は死活問題になっている状況なんだそうである。特に木材製材業者、死活問題となっておるわけである。そして、やがて来る県産材に対応していろいろ県内業者の共同工場とかやっているけれども、特に今回の過積載問題は県内の製材業者としてはもう死活問題になっている状況なんである。それで、県の行政として、やがて到来する県産材に対応する行政として、やっぱり木材業者もきめ細かくひとつ調査を移行をしていただいて、できることなら、要するに今まで持っている輸送トラックの倍必要になってくるわけだから、新たに台数をふやすというと1台1、000万ぐらい、少し頑丈なものをつくるというのはかかるらしいけれども、これをひとつ県の方で増車する者に対して、県木連とかそういうものにある程度の補助するような対応とか、そういうことをひとつ業界をきめ細かく調査をされて検討していただきたい。これは本当に業界は死活問題になっている。その点をひとつ、やがて来る県産材時代対応として調査をして対応していただきたい、こう思うので、その取り組み方についてひとつ教えてもらいたい。

〇田尾林業水産部長 お話あったように、林業団体との懇談会を昨年以来幾つか何回にもわたって持たせていただいておるが、常にこの過積載の問題が県森連、県木連初めすべての団体から出されておる。県としてはそれらの実情についていろんなお話を承ってまいったけれども、お話あったように相当施行されてから日時を要しているわけであるので、本当に実態がどうなっているのか早急に把握をしたいと思う。また、お話あったように、どなたも本当に県産材時代、国産材時代が来るんだろうかという御懸念を持っておられるわけであって、私どもも業界の皆様方に接するときに、やっぱり今、正直申し上げて業界の方々も声も出なくなるような大変厳しい状況なんだろうと思っておる。こういう時代であればこそ将来ビジョンをしっかり持ちながら頑張っていくことが大切だということをお願いしているわけであるので、ことしはそういうことに精いっぱい取り組んでまいりたいと思っておるが、やはりそれにつけてもこの運搬の問題は大きな問題だろうと思う。すぐに補助金をどうするかということについては即答を差し控えさせていただくけれども、大きな課題としてしっかり頑張っていきたいと思う。

〇佐藤副委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午後0時4分 休 憩
   午後1時7分 再 開

〇戸羽委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 午前中の説明に対する質疑を続行する。

〇舘沢委員 3点ほどお伺いする。
 最初に、高性能林業機械の導入状況と今後の支援についてお尋ねをしたいと思う。
 林業を振興するためには解決しなければならない課題は多いと思うが、外材や産地間競争に対抗していくためには、効率のよい生産システムにより生産力を高め、低コスト化を図ることが喫緊の課題であると考えるものである。このため、高性能林業機械の導入を早急に進めていく必要があると考えるが、本県においては現在どの程度導入されているのか、また、高性能林業機械は高額であるため森林組合などでは導入が困難であると聞いておるが、今後どのような支援をしていくのか、まず最初にお伺いをする。

〇田尾林業水産部長 お尋ねのあった高性能林業機械であるが、委員お話しのとおり、林業の生産性が飛躍的に向上するために、大変きつい林業労働からも軽減されることから、県としては積極的にその導入を進めているところである。本県には平成2年に初めて導入されて、現在、40台が導入されておる。さらに、高性能林業機械の導入を促進すべく、昨年、高性能林業機械の機械化の推進シンポジウムを開催させていただいたところであるけれども、今年度から2カ年で林業技術センターに5台の高性能林業機械を導入することとしておるので、森林組合や林業事業体の方々に実際に体験していただいて、そのよさをわかっていただくことによってさらに普及が進むものではなかろうかと思っておる。また、オペレーターの養成も大変重要であるので、林業技術センターで平成5年度から行っておって、現在まで20名のオペレーターを養成させていただいたけれども、今後は平成9年までにさらに30名のオペレーターを養成してまいりたいと考えておる。しかしながら、委員御指摘のとおり、高性能林業機械は1台1、500万円程度もする大変高額な機械であって、おいそれと買うというわけにはいかないので、森林組合や林業事業体の方々が導入されようとする場合には、国の補助制度であるとか、制度融資を最大限に活用して、できるだけ自己負担を軽減する方法を考えて、その導入が促進されるように頑張ってまいりたいと存ずる。

〇舘沢委員 それでは次に、マツタケの発生促進事業の成果と今後の取り組みについてお伺いしたいと思うが、新聞によると、岩泉町でマツタケ酒を発売すると報道されておったが、地域の資源を有効活用しようとする意義ある試みであると思う。マツタケの発生は気象に大きく左右されるだけに、原料であるマツタケを継続して入手できるようにすることが重要であると考えるが、県が平成3年度から実施しているマツタケの発生促進事業の成果はどうなっているのか、また、今後、マツタケの増産に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いをしたいと思う。

〇田尾林業水産部長 マツタケの発生のお尋ねであるが、一般的に、マツタケは20年生以上のアカマツ林で、養分の少ないやせたところに発生していると伺っておる。しかしながら、近年は生活習慣が変わって、松林から落ち葉を採取したりするということがなくなったことから、落ち葉が堆積したり、また、広葉樹が浸入して日光が不足しているようなアカマツ林が大変増加しておって、マツタケの発生環境は年々悪化している状況にある。こういった状況の中で、京都府であるとか広島県などでは、林内の落ち葉や枯れ枝を取り除いたり、不要な樹木を間引くなど、マツタケが発生しやすい環境づくりに取り組んで相当の効果を上げているというお話を承って、本県も、お話があったように、平成3年度からマツタケ発生環境整備事業を実施しているところである。これまで岩泉町、東和町、川崎村、山形村など、13市町村で約28ヘクタールの整備を完了したところである。マツタケの発生は、この環境整備後、少なくとも5年以上経過しなければ発生しないのではないかと言われておるので、また、年によって豊凶もあるので、まだ事業を始めて3年しか経過していない現段階で成果を云々することは適当ではないとも考えられるけれども、少なくとも事業を実施した箇所ではいずれも生産量が増大しているという状況にある。その意味では、軽々な判断かもしれないけれども、それなりの効果はあったのではなかろうかなと思っておる。
 また、一方では、林業技術センターの方で胞子の散布によるマツタケ発生の研究もしているので、早急にこれの技術の確立を図るとともに、先ほどのお尋ねにも答えさせていただいたけれども、本県のアカマツ林は全国第2位の面積を誇っておるので、まだまだマツタケの生産量はふやせるのではないかと思っておる。広島が全国一であるけれども、広島目指してさらに頑張ってまいりたいと存ずる。

〇舘沢委員 それでは、最後に、木材の需要拡大についてお伺いする。
 さきの阪神大震災において8万3、000余りの住家被害が報じられており、この報道の一部で、木造建築、特に在来工法が地震に弱いかのように伝えられておる。私は、このような報道により、世間の人々の中に木材住宅は危険だとの認識が広まり木材住宅の着工戸数が減少することになれば、木材産業界にとってまさに死活問題にまで発展しかねないと危惧するものである。
 そこでお伺いするが、県は、このことについてどのように認識し、木材の需要拡大に向け今後どのような取り組みをしようとしているのか、あわせてお伺いをする。

〇田尾林業水産部長 木造住宅の耐震性の問題であるので本来的には土木部の所管かとも存ずるけれども、私どもの部に対する御質問なので、私からお答えをさせていただきたいと思う。
 今、御指摘あったように、大震災の直後、テレビ、新聞を通じて木造住宅の被害が大変大きかったということが大々的に報じられておる。木造住宅が大変地震に弱いという印象を国民に与えたのではなかろうかと危惧しているところである。しかしながら、その後、学者や建築の専門家、また、住宅メーカーなどの関係者が現地に入って詳細な調査を行っておられると聞いておるが、中間的な報告であるが、現在、被害を受けた木造住宅の大部分は筋交いがないなど、新しい耐震基準が施行された昭和56年以前の建築物であって、築後10年以内の新しい木造住宅はほとんど被害を受けていないという報告を承知しておる。このことから、今回の地震による木造住宅の被害は、木造であることが原因ではなくて、もともと地震に耐えられるような建て方がなされなかったことが原因ではなかろうかと考えておるので、今回の震災直後の報道によって多くの方々が木造住宅に対する不安を抱かれたとすれば、そういう誤解を解くようなPRをしていかなければならないのではないかなと思っておる。いずれにしても、木造住宅はぬくもりと安らぎのある大変すぐれた特性を持っているわけであるので、本県においても木造住宅がさらに着工され、ひいては木造の需要が拡大するように努めてまいりたいと存ずる。

〇戸羽委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇戸羽委員長 質疑がないようなので、これで林業水産部関係の質疑を終わる。
 次に、農政部長から農政部関係の説明を求める。

〇高橋農政部長 平成7年度における農政部関係の当初予算等について御説明を申し上げる。
 その前に、昨年の本県農業を振り返ってみると、一昨年とは打って変わって記録的な猛暑に見舞われながら、水稲の作況指数が110という大豊作になるとともに、待望久しかった本県初のオリジナル水稲品種かけはし、ゆめさんさのデビューを果たすことができたわけである。
 一方、国においては、ウルグアイ・ラウンド農業合意に対応して、昨年8月には農政審議会から新たな国際環境に対応した農政の展開方向が報告されて、これを受けて10月には合意関連対策大綱が定められたところである。国の平成6年度の補正予算や平成7年度予算においても、農業合意に伴う国内農業関連対策に係る各種の事業が重点的に盛り込まれておるところである。県としては、ガット対策委員会における検討結果をも踏まえ、平成7年度をガット対策元年として位置づけながら、国際化の波を乗り越える力強い本県農業を構築するため、諸施策の積極的な推進を図ってまいりたいと考えておる。
 それでは、ただいま議題となっておる農政部関係の各議案について御説明を申し上げる。
 まず、議案第1号平成7年度岩手県一般会計予算について御説明を申し上げたいと存ずる。お手元の議案その1の7ページをお開きいただきたいと思う。
 農政部が所管する予算は、第6款農林水産業費のうち、第1項農業費、第2項畜産業費、第3項農地費及び9ページの第11款災害復旧費第1項農林水産施設災害復旧費の一部と第4項庁舎等施設災害復旧費とを合わせた総額887億7、640万3、000円で、前年度の当初予算に比較すると、金額で28億3、500万円余、率にして約3・1%の減となっておる。しかしながら、前年度の当部の予算には、国の財源不足に伴う特定資金公共事業債、いわゆるNTT債の繰り上げ償還分として約85億300万円余が盛り込まれておったところで、この償還金を除いた実質予算で比較をしてみると、骨格予算ではあるが、金額で56億6、800万円余、率にして約6・8%の増となっているものである。
 また、県の一般会計予算総額に対して当部の予算の占める割合は約12・4%になっておる。
 以下、予算の内容については、便宜、予算に関する説明書により御説明を申し上げたいと存ずる。
 なお、金額の読み上げについては省略させていただいて、主な事業を中心にその内容を御説明申し上げるので、その旨御了承賜りたいと存ずる。
 それでは、予算に関する説明書の149ページをお開き願いたいと思う。第6款農林水産業費第1項農業費関係から申し上げる。まず、第1目の農業総務費であるが、この主なものは、農業委員会等に対する運営費の補助並びに市町村が行う国土調査法に基づく地籍調査等の実施に要する経費などである。次に、150ページの第2目農業金融対策費であるが、まず、農業近代化資金、地域農業担い手育成資金及び中山間地域活性化資金などに係る利子補給は、農業者の金利負担の軽減を図るため、それぞれの資金を融資する機関に対して利子補給をしようとするものである。また、農家負担軽減支援特別資金利子補給は、これは新たに措置しようとするもので、今後とも農業を維持発展させる意欲のある農業者がこれまでの負債の借りかえを行う場合に、その負担の軽減を図るために融資機関に対し利子補給をしようとするものである。農業経営改善促進資金貸付金は、農業経営基盤強化促進法の経営改善計画の認定を受けている農業者に対し、農業経営基盤強化資金を融資する融資機関にその原資を預託する岩手県農業信用基金協会にその資金の一部を無利子で貸し付けしようとするものである。次に、第3目の農業構造改善対策費の主なものであるが、農業構造改善事業費のうち、事業費補助は、市町村等が事業主体となって実施する土地基盤及び農業近代化施設等、農業生産条件の整備や集落の環境条件の改善等、各種事業の推進に要する経費に対し助成するものである。次の地域農業基盤確立農業構造改善事業費は、ガット農業合意後の新たな国際情勢のもとで、経営感覚にすぐれた経営体を早急に育成するため、土地基盤の整備や経営改善に必要な施設の建設等を進めるもので、江刺市ほか5地区の基盤整備等に要する経費である。また、農村地域高密度情報社会形成事業費のうち、事業費補助は、都市と農村の均衡ある発展を図るため、多元情報システムの構築など、情報関連基盤の整備等に要する経費に対し助成しようとするものである。次に、第4目の農業改良普及費の主なものであるが、まず、地域農業改良普及センター管理運営費は、県下17地域農業改良普及センターの管理運営等に要する経費である。また、財団法人岩手県農業担い手育成基金出捐金は、県、市町村、農業団体で基金を造成し、その運用益で農業担い手育成確保対策等の施策を総合的かつ長期継続的に進めることを目的に設立した財団法人岩手県農業担い手育成基金に対し出捐しようとするものである。次に、152ページに参って、第5目農業振興費の主なものであるが、まず、農業経営基盤強化促進対策事業費のうち、農用地利用集積促進事業費補助は、地域農業の担い手育成確保及び地域における効率的な生産システムを構築するため、市町村、農業団体が連携しながら農地流動化等の推進活動に要する経費に対し助成しようとするものである。基礎的バイオテクノロジー技術開発促進事業費は、財団法人岩手生物工学研究センターへの遺伝子組みかえ研究開発などの委託経費である。また、農業研究センター(仮称)整備事業費は、センター本部の建物敷地及び圃場の造成等の工事並びに県北農業技術センター(仮称)の用地取得、補償等に要する経費である。次に、山村等振興対策事業費は、山村における農林漁業の振興や農林漁家の就業機会の安定確保対策、さらには、生活環境改善等の施設整備に要する経費である。次の農村地域定住促進対策事業費は、農村地域の総合的な定住条件の整備を図るため、市町村等が実施する土地基盤や生活環境施設等の整備に要する経費である。次に、153ページの全国食文化交流プラザ開催事業費負担金は、平成8年度に本県で開催される全国食文化交流プラザの円滑な運営を期し、県及び関係団体で組織する全国食文化交流プラザ事業岩手県準備委員会、これもまだ仮称であるが、これを設立するとともに、その準備委員会で検討を進める基本計画及び運営計画等の策定に要する経費の一部を負担するものである。また、いわてオリジナル水稲品種銘柄確立対策推進事業費は、新品種の早期銘柄化、県産米の販路拡大及び安定した取引の確保を図るため、かけはし、ゆめさんさを中心とした広告宣伝、販売促進活動の展開に要する経費である。次に、沖繩県農業機械流通促進事業費補助は、社団法人岩手県農業機械協会が設立60周年の記念事業の一環として実施する沖繩県への農業機械の贈呈に要する輸送経費の一部に対して助成しようとするものである。次に、154ページに参って、中山間地域活性化推進事業費は、特定農山村法に基づく農林業等活性化基盤整備計画に即した新規作物の導入、地域特産物の生産及び販売、都市と農村との交流活動等、地域活性化の取り組みに資するため、市町村が造成する基金の一部に対し補助するもので、また、地域農業確立総合対策事業費のうち、事業費補助は、主業型農家を中心とした集落の農業資源の有効活用と地域の条件に合った地域ぐるみ農業の展開によって、生産性が高く、特色ある地域農業を確立するため、生産から流通に至るまでの各種条件整備等に要する経費に対し助成しようとするものである。次の活力あるむらづくり促進対策事業費補助は、地域社会の活力の低下が懸念されておる中山間地域の活性化を図るため、特定農山村、過疎及び準過疎に該当する市町村の地域において、地域住民の自主的な取り組みにより小規模な農林業施設や地域のシンボル的な施設等を整備する場合、これに要する経費に対し助成しようとするものである。次に、第6目農作物対策費の主なものであるが、シカ特別対策事業費は、五葉山及びその周辺に生息するホンシュウジカによる農作物被害防止等について総合的な対策を講じようとするものである。また、水田営農活性化対策費は、市町村が行う転作等の推進に要する経費である。次に、第7目畑作振興費であるが、まず、農業生産体制強化総合推進対策事業費は、国際化の進展に対応して、県内農業生産体制の強化を図るため、経営体育成を加速化するための共同利用施設等の整備を推進するとともに、ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う国際化に対応した果樹の生産改善の一環として、リンゴの矮化栽培等、各種事業を緊急に実施しようとするものである。また、地ビール産地育成事業費は、恵まれた自然とビールの原材料であるホップの主産県となっておる条件を生かしながら、本県独自の地ビールを開発するため、県、市町村及び農業団体等で構成する研究会を組織し、醸造、販売に必要な情報の収集、研究等を進めるとともに、地ビールを試作しようとするものである。次の青果物等価格安定対策費のうち、事業費補助は、野菜供給安定基金及び社団法人岩手県青果物価格安定基金協会が実施する野菜、加工果実及び花卉など、県内産青果物等の市場価格が著しく低下した場合に、生産者の経営に及ぼす影響緩和のため交付する資金造成費の一部に対し助成しようとするものである。次のページに参って、第8目北上奥羽山系開発費であるが、広域農業開発事業償還金は、広域農業開発事業の完了区域に係る建設費用の地元負担額等を農用地整備公団へ償還するもので、新山貞任ほか9区域の償還金である。また、北上山系入植農家経営安定緊急対策費補助は、広域農業開発事業で北上山系に入植し、経営不振に陥っている負債農家に対し、その経営改善を図るための支援を行おうとするものである。次に、第9目植物防疫費の主なものは、植物防疫法に基づき設置しておる岩手県病害虫防除所の管理運営に要する経費である。次に、第10目農業協同組合指導費は、農協系統組織が進めておる組織再編を促進するための補助及び農協の経営指導や検査等、指導監督に要する経費である。次に、158ページに参って、第11目農業共済団体指導費の主なものは、農業災害補償法第14条に規定する岩手県農業共済組合連合会及び県下15の農業共済組合の運営事務費に対する補助金である。次に、第12目食糧管理費の主なものは、米穀出荷対策費のうち、米穀集荷調整費補助は、市町村が行う米穀の事前売り渡し申し込み限度数量の決定及び他用途利用米対策、不正規流通防止対策等に要する費用に対し助成するものである。次に、第13目農業試験場費及び第14目園芸試験場費は、県立農業試験場及び園芸試験場の管理運営及び岩手県農業試験研究構想に基づき、それぞれが実施する試験研究に要する経費である。次に、160ページに参って、第15目農業短期大学校費は、農業短期大学校の管理運営費及び主業型農家、青年農業者等を対象とする農業研修の一層の充実を図るため、整備を進めておる農業研修施設の建設工事等に要する経費である。次に、第16目蚕業費から162ページの第18目蚕業試験場費までは、生産性の高い養蚕産地の育成を推進するための補助金並びに繭検定所及び蚕業試験場の管理運営等に要する経費である。

 次に、第2項畜産業費について御説明をする。まず、第2目畜産振興費の主なものであるが、畜産再編総合対策事業費は、国際化の進展に対応して、効率的で生産性の高い経営体の育成を図るために、従来の地域畜産活性化総合対策事業費及び広域畜産総合対策事業費を見直し、事業の統合メニュー化を進めるとともに、経営感覚にすぐれた意欲ある農業者等の自主性や創意工夫が生かされ、また、地域の特性に即した地域畜産構造に再編するための各種事業を総合的に実施しようとするものである。次に、164ページに参って、家畜改良増殖対策事業費のうち、乳用牛群総合改良推進事業費補助は、生乳生産性の向上によるコストの低減や品質の向上を図るために実施する乳用雌牛群の能力検定に要する経費である。また、黒毛和種牛群育種改良推進事業費補助は、肉量、肉質ともにすぐれた県産の黒毛和種種雄牛の作出に要する経費等に対し助成しようとするものである。次に、家畜畜産物価格安定対策事業費は、肉畜経営の安定的発展と食肉の安定供給に資するため、社団法人岩手県畜産物価格安定基金協会が行う生産者補給金交付準備金等に対し助成するものである。次に、166ページに参って、国産食肉産地体制整備事業費補助は、株式会社岩手畜産流通センターが行う先進的食肉等の処理加工施設等の整備に要する経費の一部に対し助成しようとするものである。次に、農業研究センター(仮称)整備事業費は、農業研究センター(仮称)整備の一環として、国際化に対応し、新たな試験研究ニーズや地域課題への的確な対応等、効率的な試験研究を推進するため、畜産試験場を整備しようとするもので、本館等建築設計や肉牛、中小家畜関連施設等の整備に要する経費である。日本短角種肥育牛周年安定出荷対策費補助は新たに措置しようとするもので、日本短角種の有利な販売に不可欠な周年出荷体制の一層の強化を図るため、秋生まれの子牛の生産に要する経費に助成しようとするものである。次に、第3目草地対策費の主なものであるが、まず、担い手育成畜産基盤総合整備事業費のうち、事業費補助は、畜産を取り巻く情勢変化に的確に対応しつつ、担い手へ離農跡地の集積等を図り、経営展望に示された望ましい経営体を育成するため、岩手中部地区ほか3地区の草地整備、畜産施設整備等を総合的に実施する経費に対し助成しようとするものであり、また、担い手育成畜産基盤総合整備事業等資金貸付金は、社団法人岩手県農地管理開発公社が実施する担い手育成畜産基盤総合整備事業及び農業公社牧場設置事業の円滑な推進を図るため、同公社に対して補助残に相当する金額を貸し付けしようとするものである。次の県営畜産経営環境整備事業費は、総合的な畜産経営環境の整備等を図るため、軽米、九戸地区ほか2地区に草地等を造成し、及び家畜排せつ物処理施設等を整備する経費である。次に、第4目家畜保健衛生費から168ページの第6目牧野費までの主なものは、社団法人岩手県家畜畜産物衛生指導協会が行う家畜伝染性疾病の発生予防等の事業費に対する補助並びに畜産試験場及び種山牧野事務所の管理運営等に要する経費である。
 次に、170ページに参って、第3項農地費であるが、第2目土地改良費であるが、まず、県営事業で実施するものについて申し上げたいと思う。かんがい排水事業費は、花巻市の豊沢川地区ほか11地区において、ダム1カ所、用排水路約33キロメートルを整備するものであり、農道整備事業費及び農免農道整備事業費は、この2事業を合わせて二戸地区広域農道など、71地区で約34キロメートルの農道整備等を行うものである。また、圃場整備事業費は、花巻市の豊沢川地区ほか35地区で約732ヘクタールの区画整理等を行う経費で、中山間地域農村活性化総合整備事業費は、中山間地域の立地特性を十分生かした農業生産、生活環境基盤等の整備を推進するもので、安代町の細野地区ほか13地区において農道の整備や活性化施設の建設を行うものである。次に、171ページの下から4番目のふるさと農道緊急整備事業費であるが、これは県単独事業で、農業の振興と定住条件の整備等を図るため、大東町の大門地区ほか31地区において農道約23キロメートルを整備しようとするものである。次に、市町村及び土地改良区等の行う団体営事業について御説明を申し上げる。まず、上から2番目の農村総合整備モデル事業費のうち、事業費補助は、農業農村の健全なる発展を図るため、軽米町軽米地区ほか33市町村、34地区で実施する農道、集落排水及び公園等の整備に要する経費に対し助成しようとするもので、また、農業集落排水事業費のうち、事業費補助は、農業集落の住環境改善のため、盛岡市太田第2地区ほか18市町村24地区が実施するし尿、生活雑排水等の整備に要する経費に対し助成しようとするものである。次に、173ページに参って、第3目農地防災事業費であるが、防災ダム事業費は、中小河川沿いの農地及び農業用施設を洪水被害から防止し、農業経営の安定と国土の保全を図るため上流部に防災ダムを構築するもので、衣川4号ダムほか2カ所の工事を継続して実施するものである。また、ため池等整備事業費は、農地農業用施設等の災害を未然に防止するため、石鳥谷町の石仏地区ほか18市町村、29地区の老朽化したため池、取水施設等の補強改修工事を行う経費である。次のページの第4目開墾建設事業費であるが、農地開発事業費は、農業の生産性の向上等を図る観点から、大野村の大野地区及び普代村の普代地区において実施する区画整理、ダム等の建設工事に要する経費である。また、開拓地整備事業費は、旧制度の開拓事業によって造成した道路、または飲雑用水施設について、開拓地農業の近代化、生産物流通の合理化及び環境の改善を図るため、松尾村の刈屋地区ほか48地区において約13キロメートルに及ぶ道路の整備や3系統の飲雑用水施設を整備するものである。次に、第5目農地調整費の主なものは、農地保有合理化促進費であるが、これは、農業経営の規模拡大、農地の集団的利用及び農地保有合理化の促進のため、社団法人岩手県農地管理開発公社が行う農地の売買事業及び貸借事業の推進並びに担い手規模拡大円滑化助成金等の交付などに要する経費に対し助成しようとするものである。 次に、ちょっと飛んで254ページをお開きいただきたいと存ずる。第11款災害復旧費の第1項のうち、第1目農地及び農業用施設災害復旧費であるが、その主なものは、団体営農地等災害復旧事業費で、これは、平成5年及び6年に発生した災害69地区等の農地及び農業用施設の原形復旧に要する経費である。
 次に、260ページまで参って、第4項庁舎等災害復旧費第1目庁舎等災害復旧費は、昨年9月の台風26号の大雨により被災した畜産試験場外山分場の施設の復旧工事に要する経費である。
 以上で歳出予算の説明を終わって、次に債務負担行為について御説明を申し上げたいと存ずる。恐れ入るが、議案その1に戻っていただきたいと存ずる。議案その1の12ページをお開きいただきたいと思う。
 第2表債務負担行為の表中、12ページの事項欄12、市中金融機関が社団法人岩手県農地管理開発公社に融通した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、14ページの事項欄42、農地環境整備事業までの31件が農政部関係のものである。これらは、岩手県信用農業協同組合連合会等が社団法人岩手県農地管理開発公社に融通した資金に係る元金等の償還に対する損失補償及び農業近代化資金など、各種資金の融通に伴う利子補給並びに農業農村整備事業など、県営事業等において、工期等が翌年度にわたるそれぞれの工事について、期間及び限度額を定めて債務負担するものである。
 以上で議案第1号の説明を終わって、次に、議案第3号平成7年度岩手県農業改良資金特別会計予算について御説明を申し上げる。議案その1の22ページをお開きいただきたいと存ずる。
 この予算は、歳入歳出それぞれ19億1、606万8、000円を計上するものである。予算の内容については、予算に関する説明書により御説明を申し上げたいと存ずるので、再び説明書の332ページをお開きいただきたいと存ずる。
 第1款農業改良資金貸付費第1項貸付費の各目の費目は、近代的農業生産方式の導入や農家生活の改善及び農業後継者の育成に要する一般資金のほか、畜産の振興に要する資金並びに経営規模の拡大に要する資金を無利子で貸し付けを行うものである。また、第4目特定地域新部門導入資金貸付費は、中山間地域等、農業の生産条件が不利な地域において、地域の特性を生かした新規作物の導入等により、農業経営の改善を図ろうとする農業者に対し融通する無利子資金である。
 次に、334ページの第2款就農支援資金貸付費第1項貸付費第1目就農支援資金貸付費は、新規就農青年の技術経営研修等、就農の準備に必要な資金を無利子で融資する岩手県青年農業者育成センター、仮称であるが、これに対しその原資を無利子貸し付けするものである。
 次に、予算以外の議案について御説明を申し上げたいと存ずるので、議案その1に戻っていただいて、61ページをお開きいただきたいと存ずる。
 議案第16号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、平成7年度において県営で実施するかんがい排水事業等、農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものである。
 以上で予算に関連する議案の説明を終わって、次に、議案その2について御説明を申し上げる。議案その2の34ページをお開きいただきたいと存ずる。
 議案第42号卸売市場条例の一部を改正する条例であるが、これは、地方卸売市場の開設許可の申請等に係る手数料の額を増額しようとするものである。
 以上、農政部の関係する各議案についてその概要を御説明申し上げたが、何とぞよろしく御審議くださるようにお願いを申し上げる。

〇戸羽委員長 ただいまの説明に対し質疑はないか。

〇坂本委員 ただいまの積極的な農政予算に対して敬意を表したいと思う。
 それでは、質問に入りたいと思うが、6点である。
 その前に、急激な円高ドル安、こういう状況があるが、世界あるいは我が国の経済に及ぼす影響が懸念されるところであるが、特に、畜産物の価格の動向が農家にとって心配されるところである。
 それでは、平成7年度の農政部予算に関連して質問するわけであるが、第1点として、農産物の生産出荷動向、そして、農業粗生産についてお伺いするが、御案内のように、一昨年は米が大冷害、そして、昨年は天候にも恵まれ、反対に米が大豊作となったわけである。本年度からウルグアイ・ラウンド農業合意が実施されるということになっておるが、本県がこれまで営々として築いてきた農業の地位を確保していくためには、何としてもさまざまな試練、困難を乗り越え、生産を上げていくよう努力していくことが大事だと思っておる。そういった意味で、昨年の本県農業もまずまずだったのではないかと思っているわけであるが、実際のところどのように把握しておられるのか、主な作目で結構であるが、生産出荷の動向についてお伺いをしたいと思う。
 そしてまた、農業粗生産額の見通しもあればお伺いしたいと思うが、あわせてウルグアイ・ラウンド農業合意の中身について、できるだけ簡単に説明願えれば幸いだと、このように思う。よろしくお願い申し上げる。

〇高橋農政部長 農産物の生産出荷動向と農業粗生産額の見通しについてお答え申し上げたいと思う。
 昨年は、御案内のような記録的な高温小雨ということで、果樹についてはやはり生産量が伸び悩んだわけであるが、米は先ほど申し上げたように作況指数が110の良、収穫量も約45万トンということであった。また、花卉についても、リンドウが栽培面積の増加によって出荷量が大変大幅に伸びておる。野菜については、出荷量は農協出荷分で前年対比101%ということで、まず前年並みという状況である。しかし、畜産部門については、記録的な猛暑によって生産量が大幅に減少した鶏卵、これを中心に、ブロイラー、肉用子牛等の生産も前年を下回ったということで、畜産部門は全体的に低下をしたという状況である。
 このような生産出荷動向をもとに平成6年における農業粗生産額を予測してみると、米が大豊作だったこともあって、全体では3、500億程度になるのではないかと、そのように推計をしておるところである。ただ、委員御指摘のように、急激な円高等もあるし、また、米については、平成7年度にはミニマムアクセスによって37万9、000トン、これは精米換算であるが、これが輸入されるということ、12年度には75万8、000トンまで拡大されるわけであるが、11月には新しい米の管理システムが導入されるということで、やはり今後、売れる米づくりというものにどのように対応していくかということが非常に重要になっておるということで、積極的に販売対策を講ずると同時に、園芸、畜産部門の生産振興を図りながら、やはり農業粗生産額、ひいては生産の一層の増大に努めなければならない、そのように存じておる。

〇坂本委員 次に、農作物の技術対策の基本的方向についてお伺いしたいわけであるが、一昨年は、先ほど申し上げたとおり大冷害、そしてまた昨年も冷害かと思われたわけであるが、結果は冷害どころか、まれに見る高温気象の大豊作、これはいずれも異常気象そのものである。ことしの冬も、12月に発表された1月から3月までの3カ月予報によると、東北地域の気温は平年より高めに推移すると、こういうこと、暖冬の予報があったわけであるが、ところが現実は、1月は平年並みであったわけであるけれども、関西より南の方では例年より多い降雪というか、積雪というか、これを記録したと言われておる。そういったことから見ると、ことしの暖候期の気象動向も、これは油断ができない状況にあるような気がするわけである。こういったときにこそ農作物の技術対策の指導が何としても大事になってくるのである。県では、農作物の技術対策の基本方向をどのようにとらえ、指導していかれるのか、そのお考えをお伺いする。

〇和田技術参事兼農村振興課長 ただいまお尋ねの農作物の技術対策についてであるけれども、最近の気象の経過を見ると、国内的にも世界的にも非常に変動が大きくて、委員御指摘のとおり、ことしも油断ができない状況にあると思っておる。したがって、ことしの農作物の技術対策については、気象台発表の長期予報などを参考としながら、作物ごとの基本技術の励行を徹底するとともに、リアルタイムメッシュ気象情報システムや生育診断圃のデータを高度に活用して、生育状況に応じた栽培管理や病害虫防除など、気象変動に対応した技術の指導を行い、生産の安定化に努めてまいりたいと思っておる。
 特に稲作については、平成5年の大冷害を教訓にして策定をした冷害防止実践マニュアルを活用しながら、異常気象に備えて水管理の徹底ができるよう、畦畔のかさ上げ等を指導していきたいと考えておる。
 また、去る2月10日には第1回のいわて純情米生産技術対策会議を開催して、この席上で、関係機関、団体の指導者の方々には、ことしの稲作指導の指針を示しながら技術対策の周知を図ったということであるし、また、稲作以外の畑作物についても、気象変動に強い栽培方法として、有機物の施用による土づくりであるとか、地域に合った品種の選定、適期作業を進めるとともに、やませ地帯における雨よけハウス栽培の一層の普及を図るなどして指導の徹底を図ってまいりたいと思っておる。
 今、申したほか、気象台から異常気象の予報等が出された場合には、対応技術について、臨時の農作物技術情報を発行するなどして、また、農業情報ネットワークシステムを活用して情報を迅速に現地に伝達し、指導の徹底を図っていきたいと考えている次第である。

〇坂本委員 ひとつ十分注意していただきたいと、こういうふうに思う。
 次に、広域農道事業の実施状況についてであるが、本県の農業をしっかりしたものにするためには、どうしても農業基盤整備関係が基本である。それについてお伺いするわけであるが、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意関連対策として、農業基盤の整備とか中山間地域の活性化を図るということで農業農村整備関係の対策事業が重点的に実施されるとのことである。大いに期待しているところであるが、特に地域の農産物流通の動脈ともなる広域農道、これを今後どのように推進していかれるのかお聞かせいただきたいと思う。
 また、これは私の地域であるが、軽米九戸地区の広域農道は平成4年度に国に採択されて、平成5年度の7月には地元軽米で工事の安全を祈願して起工式を行ったところである。その後、2カ年を経て工事も順調に進んでおるようである。この間の関係者の努力に対し本当に感謝しているところである。この地域の事業は大変大きな工事でもあり、完成までにはかなりの時間がかかる大型の事業かと思っておるが、今後の事業の実施見通しはいかがなものか、お伺いをする。

〇平野農地建設課長 ただいま委員から御案内があったように、広域農道は、市町村を超える広域の産業、交通の基盤として大変重要な役割を担っておるので、本県においてもその積極的な整備の推進に努めてきておるところである。特に、今回のウルグアイ・ラウンド関連対策の中では広域農道が重点実施事業と位置づけられておるので、この関連予算を積極的に活用すべく、国に優先的な予算配分や新規地区採択等を要請してきたところである。この結果、さきに議決をいただいた平成6年度補正予算においても、広域農道のウルグアイ・ラウンド対策分事業費だけで約16億円弱と、6年度当初の5割を超える予算が確保されておる。県としては、従来、事業を促進するに当たって隘路となっておったような長大橋梁あるいはトンネルというような大型工事をこの機会に一気に促進させて、事業の加速的促進と事業効果の早期発現に努めてまいりたいと、このように考えておる。
 それから、軽米、九戸地区の御質問があったが、この地区についても、御承知のように瀬月内川にかかる大規模橋梁の建設が事業の大きな柱となっている。また、地元においてもこの事業に対する期待は非常に高いと承知をしておるので、この事業の推進には積極的に取り組んで、特にこのウルグアイ・ラウンド関連の特別対策が講じられるこの機会にできるだけ進捗を進めたいと、このように考えておる。

〇坂本委員 この機会ということであるので、大いにお願いを申し上げたい。
 次に、県北畑作地帯の基幹的農業用水施設整備の推進についてお伺いしたいわけであるが、何回も繰り返すが、昨年は48日間もの真夏日、そして雨も少ないといったことで農業用水の恵まれないところでは農作物に随分被害があったというのもあった。そういった意味でしっかりした農業用水を確保しておくかがいかに重要であるか、これを強く感じた年はなかったわけである。特に中山間地域の県北畑作地帯で高収益な園芸作物の生産を安定して拡大していくためには、いつも申し上げておるが、農業用水の確保、これが重要な課題であるわけである。そこで、県北畑作地帯で基幹的な農業用水の施設整備を今後どのように進めていくのか、お伺いをする。

〇菊地総合国営対策室長 お尋ねの県北の畑作地帯の基幹的農業用水施設の整備についてお答えをしたいと思う。
 県北の畑地帯にとっていわゆる畑地かんがいの農業用水の確保と、それから基幹的な用水施設の整備というのは早急に進めるべき重要な課題だと感じておる。そのため国営や県営で土地改良事業において広い範囲で積極的に取り組んでおるところである。現在、具体的に申すと軽米町では八戸平原地区、それから二戸市と一戸町においては馬淵沿岸地区の2つの国営土地改良事業、これを実施しておる。それから、九戸村、普代村あるいは大野村といったところでは県営事業によって大規模な畑地かんがい事業を実施しておるところである。これらの事業によって、あわせると農業用のダムが5カ所、全部で4、000ヘクタールの畑地に対して基幹的な用水施設が整備されることになっておる。今後これらの地区については一層の事業の促進を図って早期完成を目指すということにしておる。また、これらの事業効果について周辺の地域にも広く示しながら、地域農家の合意形成を図って県北畑作地帯における用水の確保と基幹用水施設の整備というものに努めてまいりたいと思っておる。

〇坂本委員 御承知のとおり、県北地域は冷害、干ばつの常襲地帯ということで今まで苦しんできたわけであるが、これが完成されることになれば夢を実現が可能だと、こういうふうにも常に思っているものであるので、積極的にとにかく進めていただきたいとお願いを申し上げるわけである。
 次に、県北農業技術センター、これは仮称なようであるが、この整備についてお伺いしたいわけであるが、県が進めている農業関係の試験場の再編整備の一環として現在の農業試験場県北分場と、そして園芸試験場高冷地開発センター、そして蚕業──これは蚕の方の蚕業であるが──試験場一戸分場の3つの分場を1つにして、仮称であるが県北農業技術センターと、こういうふうに呼んでいるようである。軽米町に統合整備するということで、鋭意作業が進められていると聞いておる。この技術センターが整備された暁には、県北畑作地帯や北部沿岸を中心としたやませ地帯の地域農業を推進する上で、その技術開発の拠点として大変重要な機関になるものと期待をしておるわけである。このセンターはまた二戸地区のアグロポリス構想における農業支援機能集積拠点としても位置づけられており、技術指導や研修などの総合的な技術の普及や交流機能も兼ねた施設としても整備されるものと思う。そういった意味で早く完成してほしいと願っているわけであるが、整備完了後にこの技術センターが行う研究等の業務はどのようなものであるか。
 また、開所に向けてのスケジュールはどうなっておられるのか、あわせてお伺いをする。

〇高橋農政部長 ただいま整備に向け作業を進めておる県北農業技術センター、これはまだ仮称であるが、この技術センターは開所後の研究業務を現在のところ、地域のまず立地特性を生かした自然生態系、これの活用型農業技術、これの実証研究、それから野菜とか花卉、これの品種、作型の選定試験、また中山間地域が多いわけであるので、その活性化のための営農技術の組み立て実証試験、さらには、やませの対策としてやませ気象下における水稲の耐冷安定栽培技術の実証研究等の、いずれ地域の課題解決に直結する実証研究、これを中心にやらせたい、そういう方向で今進めているわけである。また、お話があったように、二戸地域のアグロポリス基本構想との関連もあって、これの技術開発拠点として位置づけられているわけであるが、地域の農業者とか技術者を対象として、ここで開発された新しい技術の普及指導とか、それから研修、さらには技術交流、そういうようなものも行えるような、そういう施設にしたいと、そのように考えておる。
 この整備のスケジュールについては、本年度軽米町の山内地区に用地を選定して、現在、用地取得の交渉中である。今後、平成7年度に用地取得と造成設計、さらに建築設計を行って、平成7年度から8年度を中心に造成工事や建築工事を行って、本センターと同様に平成9年度にオープンをさせたい、そのようなスケジュールで、目下、鋭意整備に向け取り組んでおるところである。

〇坂本委員 ひとつこの技術センターが真に県北の農業の発展の拠点になるように、できるだけ早く完成させて機能していただきたい、このようにお願い申し上げる。
 これで最後になるが、中山間地域対策であるが、昨年末に国はウルグアイ・ラウンド合意関連対策の全体の枠組みを示したわけであるが、合意期間6カ年間に6兆100億円という額を投ずるようであるが、このほかに自治省から1兆2、000億という対策も打ち出され、その中には、以前、竹下総理のときのふるさと創生事業のようなものも含まれていると聞いておるわけであるが、その内容についてわかる範囲で結構であるが、ひとつ説明をいただきたいと、こういうことである。これで終わるからひとつよろしくお願いする。

〇佐々木地域農政推進監 中山間地域対策に関連して農山漁村ふるさと事業についてであるけれども、この事業の直接の所管は総務部であるが、私、総務部から聞いている範囲内でお答えをさせていただきたいと思う。
 この事業の考え方としては、自主的な地域づくりを促進する経費に対して、普通交付税において措置されることとなっておる。その使途としては、例えば農林漁業の担い手対策であるとか、あるいは付加価値の高い農林漁業の振興対策というようなことで、地域活性化に資する事業となっておって、地域の創意工夫を生かしたさまざまの取り組みに支援をしていこうという事業である。予算的には全国枠で単年度550億円、これが6カ年継続されるわけであるけれども、この550億円を、市町村分500億円、それから県分50億円と分けられて、市町村分については3大都市圏の一部を除く約3、100市町村を対象にするということで、その試算値としては第1次産業就業者数等の指標を使われるようである。単純にその500億円を3、100市町村で割ると、大体単年度1、500万円前後ということになるし、それから、同じように県分は1億円ぐらいになるのではないかと、そのように総務部から聞いているところである。

〇菅原委員 まず、厳しい農業情勢の中で農政部の方々、大変御努力なさっているわけである。心から感謝を申し上げたいと思う。
 畜産振興について、特に食鳥生産についてお尋ねをしたいわけである。
 まず、平成5年度の農業粗生産額が発表になっているわけである。畜産1、400億円、米400億円、これは冷害であったから3分の1に減っているわけである。畜産1、400億円で53・9%あるようである。野菜、果樹が560億円、工芸作物、そのほか244億円、合計で2、615億円と、そのように承知をしているわけである。そこで、畜産1、400億円の内訳であるけれども、食鳥が36・7%ぐらい、約500億円、肉用牛が24%、乳用牛、生乳が20・7%、豚が14・4%、こういうことになって、いかに食鳥生産が岩手県の農業生産額に占める割合が大きいということ、そして岩手県の農業振興に大いに寄与しているんだと、こういうことになっているわけであるが、こういう状況に対して農政部はどういう評価をしているかということを、まずお尋ねをしたいわけである。

〇高橋農政部長 委員からお話あったように、本県は畜産も大変大きなウエートを占めておるわけであって、その中でも食鳥、ブロイラー関係が最も大きいわけである。全体でも年間出荷羽数は8、800万羽ということで全国第3位というような生産量を誇っておるし、粗生産額でもただいまお話あったように畜産部門では最大の作目というようなことである。これを農業全体の中で見ても全体の約1割というようなことであるから、このブロイラーというものは本県の農業の基幹作目として大変重要な位置を占めている。そのように評価をしているところである。

〇菅原委員 今お話あったわけであるが、上位5県の食鳥の生産状況であるけれども、まず1位が鹿児島で1億1、371万5、000羽、2番目が宮崎県で1億500万羽、次は岩手県、今お話あったとおりである。次は徳島、青森といく。そこで、5年対比を見るといずれも岩手県、青森以外は生産羽数が減っている。岩手県が上昇しているんだと、そういうようなことであるから、これはやっぱり全国一の生産県にしなければいけないんではないか。そんな感じをしておるんである。やるならやっぱりナンバーワンだと、そういうことでなければうまくないんではないかと、そんな感じをしておるわけである。
 御承知のとおり、平成4年度から食鳥検査制度が実施になったわけであるけれども、当初、廃棄率が全国平均の倍ぐらいあったわけである。そこで、農政部は、そういうことじゃうまくないということで、県産鶏肉産地向上特別対策費に4、300万計上していただいたわけであるが、そういうことになっておって、年々廃棄率あるいはまたマレックによる廃棄率が減少してきているわけである。平成7年もそういう予算をつけていただいたわけであるけれども、これはやっぱりもっともっと対策費というか、振興費をあらゆる面で計上してもっと支援対策を進めるべきではないかと、そんな感じをしているわけである。お話によると、ことしから食鳥検査手数料が4円から3円になったと、あるいはそれでいいのではないかというような論議もあるようであるが、もともと宮崎、鹿児島は3円であったから。岩手県4円なんである。下げたからいいんだということにはならないんではないかと、そんな感じをしておるわけであるが、そういう考えなければ結構であるけれども、そういう考え持ってもらうと困ると、こういうことであるが、これからの対策、お考えがあればひとつお聞かせを願いたい、そのように思うわけである。

〇増田畜政課長 ただいま委員お尋ねのマレック病対策の件であるが、マレック病対策は食鳥検査が始まった平成4年度、その結果、本県においては特に廃棄率が他の主産県よりも高いというような結果が出たことから、まず1つは家畜保健衛生所を通じて衛生対策の改善指導に努めるということとともに、あわせてその廃棄率の主な原因であるマレック病に対する生産者の防疫体制を強化すると、そのために一時的に助成をすると、ワクチン接種に必要な経費を助成するということで平成5年度から助成をしているものである。この事業については当初平成5年度から3カ年計画ということで、防疫対策のてこ入れをしようという形で始められたものである。したがって、平成8年度以降の取り組みについては、来年度、平成7年度1年あるわけであるから、その時点での改善状況というものを見きわめながら検討してまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 来年のことであるからこれはことしじゅうにひとつまた検討していただくというようなことにお願いをしたいわけであるけれども、ブロイラーを飼養する農場が31市町村で399ある。岩手県の業者が生産をやっているところが県外に104ある。ブロイラーの処理工場が13工場あって5、000人従事していると言っている。そうすると、県の職員は給与1人当たり平均670万という統計あるけれども、とてもとてもそんな高い給料はこのブロイラー処理工場は払えない。250万と見たんである。すると125億円になっている。これは地域経済に与える影響は非常に大きいんではないかと思うんである。だから私は中山間地域農業に最適のブロイラー生産、これをもっともっと奨励をすべきではないか。そういう対策があるか。大動物関係は非常に大型の予算を使っておるんであるけれども、これは4、300万円だけである。それでは全国一にならないんではないかと思う。
 それから、もう1つ、いろんな補助金とかあるいはまた資金の貸し付けの制度が実はあるわけである。畜産振興資金であるか、あれは需要額の90%、10年無利子、そういうような制度もあるんであるが、これは昨年もたしか質問したと思うわけであるが、この小動物が適用しないという。なぜこういうような大きな成果を上げている食鳥産業にそういうものが適用にならないのかということ不思議なんである。岩手県の農業振興を図るには、何でもとにかく今、一生懸命やらなきゃいけない時代なんである。中山間、中山間と言ったって、成果の上がっているのもあるし上がっていないのも実はある。成果の上がっているのに力を入れたらなお成果が上がってくるんではないか、そう思うんである。その辺の見解、4、300万だ、4円を1円に下げた、それだけでいいのかという考えある。その辺ひとつ前向きなお考えをお聞かせ願いたいと思う。

〇増田畜政課長 委員御指摘のとおり、食鳥産業というものは生産農場における雇用にとどまらず、処理工場、その他流通関係など、非常に多くの雇用に貢献しておる。特に本県においては、県北の久慈、二戸地域あるいは県南の東磐井、気仙地域といった中山間地域の重要な産業になっておるということは十分認識しておる。そういう状況の中でもっと支援対策に取り組むべきではないかということ、ある意味でごもっともである。我々としても十分今後とも支援すると、あるいは振興についていろいろ努めていきたいという考えは持っておって、これからもそれは知恵を出していきたいということは十分考えておる。しかしながら、一方で、申し上げにくいことではあるが、ブロイラーについては非常に企業化されているという実態があって、従来型の農政部の助成制度というのはストレートにはなかなか反映できないということも言ったんである。そういうこともあるから、この点についてはさらに勉強を進めて考えていきたいと思う。
 次に、お尋ねがあった畜産振興資金の対象になぜされていないのかという件であるが、これについては畜産振興資金、今、農業改良資金の制度の1つとして組み入れられてあるわけであるが、まずこの農業改良資金制度、実際に国の制度であって、貸付対象などは国の予算の中で決められるという仕組みになっておる。それで一般的ではあるが、特に農業改良資金のうち生産方式を導入するというタイプの資金については、なぜ無利子かという考え方であるが、畜種ごとあるいは耕種、それぞれの農業の種類ごとに経営規模であるとか、技術水準であるとか、そういったものから見てなかなか有利子の資金をもっては取り組みが困難なような、そういうリスクを伴う新しい技術あるいは新しい生産方式というのを導入すると、それを援助するために有利子でもなかなか進まないものに限って無利子を認めるという形で制度が認められてきておる。それで、この資金については現在食鳥については生産環境改善資金として家畜排せつ物処理施設、これが対象となっておる。これは家畜排せつ物処理施設が基本的に直接収益には結びつきづらいということで、なかなか既存の有利子の制度でも対応が困難だということで認められたものと考えておる。ブロイラーについては現在これ以外貸付対象とされているものはないわけであるが、その理由、なかなかこれは国の制度であるのではっきりとした回答を得ているわけではないが、1つは従来からの畜産振興資金が小規模農家の多い大家畜農家を中心につくられたということと、ブロイラーについては一般に農家の飼養規模が他の畜種に比べると大きいということから、特に畜舎など、直接収益の増に結びつくような施設については、他の低利資金というもので活用して対応すると整理されているのではないかと考えておる。

〇菅原委員 御丁寧な御答弁ありがたかったけれども、いずれ食鳥生産が大きなウエートを占めているのだから、それからブロイラー生産の企業化とか何とかという今の言葉あったけれども、県内で生産した鶏を県内の工場で処理しているんであろう。付加価値を高くしているんであろう。全部じゃないけども大動物はみんなよそへ行っちゃうわけである。そういう付加価値も高いんじゃ、だから私言ったんである。従業員の数とかそれに対する給与とか、こういう効果あるんだよということ言っているわけなんであるけれども、何か別なあなたたちはその考え持っているんではないかと思うんである。いずれ県内の農業生産、これ考えて県単でもいろんな有利な貸付制度とか何かつくったっていいんじゃないか。それやらなければそういう気持ちがあると言ったってうそになるんじゃないか。そういうことなんである。だから、いずれあなた農林省から来たんだか何かわからないけれども、そういうことなんである。岩手県の農業振興どうやるんだ。1つずつ決めていけばいいんである。そいつにはこの対策、これにはこの対策とやっていけば振興するの。中山間農業、農業と、どこへ行ってもそんな話ばかり聞くけれども、どれだけの成果上がっているか。ブロイラーが一番成果が上がっているんじゃないか。だれ、それを抜きにして言葉だけで濁す、そんなのうまくない、それは。そういうことで、私は何もブロイラー会社の利益代表で言っているのじゃないのだから、くどいようであるけれども、そういうことを踏まえてひとつ頑張っていただくように、物の考え方を変えていただくということ、そのようにお願いして、私だけ申しわけないからやめる。

〇戸羽委員長 ただいまのは要望であろう。

〇瀬川委員 認定農業者制度による女性の認定、それと制度の今後の運用についてお伺いする。
 認定農業者制度については、本会議でも大分議論されておるわけであるが、農家の方々の関心も高まってきておる。そういう中で女性も、数はまだ少ないものの認定されているようであるが、どういう方々が認定されているのか、概略でいいから教えていただきたいと思う。
 もう1つ、それからこの制度は言うまでもなく、認定してしまえばそれで終わりという制度でないわけであるので、今後どのような魅力のある制度としていくのか、この点を教えていただきたいと思う。

〇佐々木地域農政推進監 女性の認定農業者についてであるけれども、本県の2月末現在の認定農業者数、全体で820名になっておる。そのうち女性が14名である。こうした方々のだんなさんはほとんどがサラリーマン等で外で働いておって、農作業の大半は女性が担っているという状況にある。経営内容について見ると、自作地のほかに稲作作業を受託したり、あるいは人を雇用するような規模の大きい農業経営を営んでいる方もある。また、将来の改善計画を見ると、パソコンによる経営管理であるとか、中には法人化を目指した意欲的な経営を考えている女性の方もある。いずれこうした地域で活躍している方々を、女性の方々たくさんおるので、できるだけ多く認定するように市町村を指導してまいりたいと考えておる。
 それから、制度の今後の運用についてであるけれども、この制度は、将来とも農業で頑張っていこうとする意欲のある農業者に対して生産技術であるとか、経営の合理化などの各面から支援指導していくものであるけれども、そのことにとどまらずに、例えば組織化を通じた仲間づくりであるとか、あるいは技術の研さん、情報の交換の場づくりと、そういったまだ認定されていない方々もぜひ自分もこの制度に乗りたいという、魅力のあるような制度に工夫をしていかなければならないと思っておって、市町村、農協等を指導してまいりたいと思っておる。

〇瀬川委員 ありがたい。それで、パソコンの経営管理ということの御答弁があったが、それはどの程度農家の経営の中に浸透して、それが農家経営の改善に役立っているのか、その辺お伺いしたいと思う。

〇佐々木地域農政推進監 これからの農業経営、言うなれば農業生産の分野だけではなくて、経営管理面を特に重要視していかなければならないと思っておる。特にも自由化時代に突入するので、コスト意識を特に持っていただかなければならないというようなことで、かなり現在、普及センターで重点的にそういうパソコン指導も行っておるわけであるし、そういう行う農家、かなりの人数である。今、個別に指導しているところであるので、これからさらに特に経営面での指導強化という意味で、そういうパソコン管理であるとか、それからさらには、青色申告等も導入しながら、そういう経営管理面の指導を強化していきたいと思っておる。

〇瀬川委員 今コスト意識という話が出たけれども、コスト意識の中で本当に採算に合わないと、そういう部分とか、それが今までの慣習にとらわれないでそういうものを切り捨ててとか、改善に向けてとか、そういう農家経営の様子がうかがわれるのかどうか、その辺お伺いする。

〇佐々木地域農政推進監 先ほども申し上げたとおり、普及センターでかなり濃密な指導をしているわけであって、特にも改良助長法が変わって経営体の育成ということに重点的にこれから取り組んでいくことになっておる。そういう意味でこれからそういう指導を強化していくわけであるけれども、現実にかなりの地域の、特に青年農業士であるとか、指導農業士であるとか、かなりの方々がそういうコスト意識を持って営農に取り組んでいる方がたくさん現状においても見受けられるところである。

〇横田委員 ただいまお話をお伺いしておって、関連質問である。
 農家の戸数で見るというと、認定以外の農家は90%以上はあるように認識している。今の御答弁をお伺いすると、全農家が認定士、認定農家ということになっていくのが望ましいか。それともそうではなくて、結局、農家をこれは差別、選別して、そうでない農家は切り捨ててしまうという方向に結果としてはなるものであろうか。

〇佐々木地域農政推進監 今、農業、農村をめぐる課題、たくさんあるわけであるけれども、その中で最も大きな課題だと思っておるのは、これからの地域農業を担う方々を重点的に育成していかなければならないということである。そういう意味で9割の方々がどうなるのかという話もあるけれども、現に集落の実態を見ると、一部の主業型農家とそれから多数の複合型あるいは自給型農家で構成されているわけであって、複合型なり自給型農家については将来的には規模の縮小なり、あるいは経営を断念するというような方々もかなり出てくるのではないかと懸念しておるわけであるけれども、そうなった場合に認定農業士の方々には農地の受け手になっていただく、あるいは周辺農家にその技術展示をするというような、そういう言うなればその地域の担い手として活躍していただく方だと思っておる。そういう意味では全体、農業で頑張っていただければ一番結構なわけであるけれども、現状を見たときにこういう形で地域の中心となる担い手を育成していかなければならないと、それを支援するのがこの認定農業者制度だということである。

〇小原委員 中山間地農業の展開についてお伺いをする。
 さきの一般質問でもお伺いをした点であるけれども、改めて農政部長から御見解をいただきたいと思うわけである。私の質問に対しては、これまでの園芸あるいは畜産に加えて、いわゆる新穀類や特用林産物などを総合的に供給できる体制を進めていくということ、それに加えて特色ある郷土料理を初め、地域特産物や手づくり加工品などの多彩な地域の食品や食にまつわる情報など、言うなれば岩手ならではの食文化をトータルとして全国に向けて発信していくことも、地域の活力を高める上で極めて大事であると、こういう趣旨の知事の御答弁であった。そこで、中山間地域農業の振興と、こういう点にかかわってこの岩手ならではの食文化、これをどのように結びつけていきながら活力をそこに見出していこうとしているのか、あるいは明るい展望を切り開く1つの手段として位置づけていくということになれば、どういう施策の展開をお考えであるのか、お伺いをしておきたいと思うわけである。
 なお、加えて、先ほども予算の中で御説明あったが、全国食文化交流プラザ、平成8年、本県での開催ということであるので、これらと関連をして地域の振興に結びつけていくとすれば、これらにも関連をしながらの御見解をいただきたいと思う。

〇高橋農政部長 ちょっとこれは一言でなかなかお答えするのは難しい話であるが、岩手には大変すばらしい農産物があるわけであって、これは商品としてだけではなく、1つは加工素材でもある、加工原料でもある、また、1つは工業原料でもあり食材でもある。そういうような岩手の食というものを中心として、これを本当に岩手ならではと、岩手らしい特色のあるものを掘り起こし、またつくり出し、そして全国に広めていく。こういうような活動を全体的に仕組み上げる、ネットワーク化することによって全国にすばらしい農林水産物なり加工品があるんだと、食べ物があるんだと、また、地域に根差したこういうすばらしい食文化があるんだと、また、新しいこういうような食の可能性があるんだとか、魅力があるんだとか、食をはぐくむ豊かな自然なり風土というようなものもあるんだと、そういうような情報をトータルとして全国にPRできるようなソフトの仕組みづくり、これをやっていくことが大事じゃなかろうかなと、そのように考えておる。そういう意味では工業技術センターのデザインのアドバイス部門とか、いろんな形でのつながりをもっともっと密接にしながら、そういうシステム化に向けた取り組みをしていく必要があろう。そしてまた、来年度行われる全国食文化交流プラザというのは、まさにそれを組んでいく上での大変いい機会でもあるというようなことで、この全国交流プラザの内容については今検討しているわけである。本格的には7年度に検討するわけであるが、こういうような中で、全体的にこの交流プラザが終わっても、岩手がもっともっと全国に向けた新しい岩手のイメージアップのための情報を発信できるような、そういうシステムづくりに努めていきたいなと、そういうふうに考えておる。

〇小原委員 今までもいろんな機会をとらえて、これらの地域が持っているすぐれた素材なりあるいは加工技術なり、製品なり、こういうものはもちろん農政部では把握をされておられると思うし、そうした情報の集積というのはもうある程度というか、かなりあるんじゃないかと思うわけである。それらを迅速に発揚していくということの体制づくりが必要ではなかろうかと思うんであるが、そういう点の体制整備、これらの必要性についてはどうお考えであろうか。特に、現場というか、地域に密接をしておる、農業改良センターと改称になったようであるけれども、そうした出先で大変頑張っておられる皆さん方、こういったものと連動していくということも重要なことではなかろうかと考えるが、その点、再度これらのソフト部門の強化ということであるが、これらの情報の集積体制について今後の見通しを含めて再度お伺いをしておきたいと思う。
 それから、もう1点は、沢内村で取り組まれておる氷室──氷の室、この氷室によって、例えば花の出荷時期の調整、こういったものも行われているわけであるけれども、農政部としてはこの氷室の活用についてどのように評価をされておられるのか、あるいは今後改善をすればもっと有効活用ができそうだというような点があったら、ぜひお教えをいただきたいと思う。

〇高橋農政部長 農政部として大変情報が集まっているんじゃないかというようなことであったが、率直に反省して、ある程度の情報は私どもも押さえているわけであるが、なかなかこの広い県内にはまだまだすばらしい、そういうような商品段階になっているもの、またちょっと磨けばなりそうなものもいっぱいあるわけであって、そういう意味では、全県に散らばっているそういう情報が完全に1カ所に集まっていると、そしてそれをまた上手に全国にPRしている、それをまた県外客にもPRする、そういうような体制には残念ながらまだほど遠い。そういうことでそういう体制、仕組みをつくり上げるということが大事だろうというようなことで考えているわけである。当然、改良センター、これも大事な役割を果たすわけである。また、生活改善グループがかなりの活動をしているわけである。それらだけではなく、特に農業だけではなく林業も水産も入れた形でやれればなお理想的かな、そういうような考え方をしておるところである。
 それから、氷室については畑作振興課長の方からお答えをさせる。

〇猪股畑作振興課長 沢内村の氷室の評価についてであるが、委員御案内のように、古来、豪雪地帯であるので、実はこれを積極的に活用しようということで、平成元年度に氷室型予冷貯蔵施設、こういったものを設置してこの利用を始めておるわけである。現在、野菜類、花、キノコ類もそうであるが、そういったものの予冷あるいはユリの球根とか、あそこは花も非常に盛んであるので、あるいはイチゴ苗の貯蔵、そういったものに活用して、実は年間を通じて利用しておる。また、そういったものをやる場合に単なる貯蔵だけでなくて、例えばイチゴの遅出し栽培、こういった技術の開発あるいはユリの抑制栽培、そういった技術の開発をあわせてこれを利用していこうということで、したがって通常の栽培と技術の開発されたものを組み合わせて、青果物あるいは花でも長期間出荷していく。そういったことで多大な効果があると理解しておる。ただ、この氷室というのは湿度が非常に高いわけである。したがって、すべて何でもできるかというと、まだ課題があるということであるので、そういった作目による技術の課題も研究しながらこれを進めてまいりたい。ただ、何といってもエネルギーが安いということと、ランニングコストが非常に安いということであるので、地域に普及は図ってまいりたい。2つ目の施設を、現在、新農法で建設中である。

〇阿部委員 北上川一関遊水地の圃場整備についてであるけれども、建設省は小堤建設を平成13年度からということで進んでいないわけであるが、こうした中で第3遊水地については小堤建設を待たずに進めるとしておるけれども、その手法、計画というのはどういう形で行おうとされているのか、お伺いする。

〇熊谷農地計画課長 委員御質問の一関の遊水地内の圃場整備であるが、第3遊水地については、遊水地事業との整合が絶対的な条件として必要となってまいる。特に、小堤の工事とは密接があることから、その計画を明示していただくことが圃場整備計画を充実していく上での必要不可欠な条件である。そのために今まで建設省と協議を重ねてきたところであって、その結果、小堤等の基本計画については、本年度内──3月になるわけであるが──をめどに作業をしていただいていると聞いておる。それが決まれば速やかに基本計画が提示されるものと受けとめておる。そういうことで平成13年度ということにかかわらず暫定施行、前倒しの部分的な暫定施行での対応も考えておるので、もっと早い時期に圃場整備にかかれるものと判断しておる。

〇阿部委員 そこで、地権者が心配しているのは、以下5点ぐらいあるようである。
 その1つは、小堤、それから堤内の排水路を含めた圃場整備をするとしている。いわゆる共同減歩、これでは困るという、こういう意見がかなりあるようである。
 2つ目は、仮にそういう形で進めたとしても、小堤、それから堤内排水路は非農地として扱うんだと、したがって、そこには小堤が完成するまでは耕作地としては認めないという、こういう考え方が示されているようである。
 それから、3点目としては、当初、圃場整備については小堤が完成して水害の心配のない時点で行うのだと、こういう考え方で進めていたものが、小堤が完成しないまま圃場整備に着工すれば、当然のこととして水害、こういう心配が起きる。したがって、やはり小堤完成後でなければ難しいのではないかという、こういう意見もあるわけである。
 さらに、4点目とすれば、いわゆる受益者負担についてである。当初は21世紀型の事業を導入してということで、できるだけ受益者負担の軽減をということで取り組んできたわけであるが、残念ながらこの制度についてはたくさん利用するところがあって適用にならないという、こういうことでかなりの負担増が懸念をされるという問題。
 それから、最後に、この第3遊水地内には県道一関北上線、それから県道薄衣前川線という、いわゆる冠水道路があるわけである。土木の方でもこれら冠水対策として道路切りかえなども計画をしているわけであるが、同じ圃場整備をするのであれば、効率的にこうした道路切りかえとあわせて土木部との連携をとりながら進めてもらいたいという、こういう意見が強くあるわけであるけれども、こうした5点についてはどのようなお考えをお持ちであるのか、お伺いする。

〇熊谷農地計画課長 まず1つは、小堤及び小堤に関連する用地の喪失の問題だと思うが、これについては委員の御指摘のような御意見があるやに伺っておる。そういうことで今後は農家を含めた地元の意向を踏まえたいろんなコンセンサスを得ながら、今後この手法については検討してまいりたいと思っておる。
 それから、非農用地の作付の問題であるか、これについてはそのとおりであって、今のところその辺の検討はまだ深く詰めておらないので、この点は御容赦願いたいと思う。
 それから、小堤の完成しないままの圃場整備をということになれば被害をこうむるということで、難しいのではないかというお話であるが、今この平成13年という相当将来の時期にその圃場整備が実施されるということになれば、地元を初め、いわゆる農業情勢の問題等、いろんなことがあって、今まさにこの時期に整備をしなければならないという声の方が私らは強いと思っておるので、その辺をまた地元とのコンセンサスを得ながら進めてまいらなければならない、こういうふうに思っておる。
 また、負担の問題であるが、21世紀事業であるが、これは平成2年に創設された事業であるが、当時、地元の説明に入った時点では農家負担の最も安い事業というのはこの21世紀のみであった。そういう関係で当時は21世紀事業ということで説明をしてまいったが、その後、それに匹敵するというか、これはモデル的な事業であったので、現在は国の予算枠も小さくなっておるので、新たに創設された担い手育成基盤整備事業というものができて、これも遜色のない地元負担になっておるので、将来的にはこの事業にシフトがえしていきたいということで、地元のコンセンサスを得てまいりたい、こういうふうに思っている。
 次に、県道の整理地内を走っておる冠水する道路、県道等があるわけであるが、この道路については土木部並びに建設省含めていろいろ検討を重ねてきているところであって、それぞれの事業がそれぞれ発効しないように、そごがないように調整をとりながら進めることで、今、鋭意努力しているところである。

〇戸羽委員長 阿部委員の質疑中ではあるが、この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩する。
   午後3時5分 休 憩
   午後3時21分 再 開

〇戸羽委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 質疑を続行する。

〇阿部委員 小堤については、本年度内に位置についてはめどをつけるように作業を行っているということであるから、そういう意味では1歩前進という形で受けとめていいんだろうと思う。先ほど申し上げた5項目についてはここで幾ら議論しても解決できる問題ではないので、ぜひ地元あるいは地権者も含めて強力に煮詰めて取り組んでいただくようにお願いを申し上げて、この部分については終わらせていただく。
 次に、日本の農業の現状というのは、よく過疎化、高齢化、後継者難、こういうことで言われているわけであるが、本県の新規就農者というのはどういう状況にあるのかお伺いをする。
 続けてもう1項目、平成7年度の減反、米の生産調整については、昨年12月に本県としても県内市町村に配分をしたところであるが、昨年は復田をしたということで、一部の市町村においてはこうした配分作業もかなり困難を極めていると聞いているけれども、その配分状況についてはどのようになっているのかお伺いをする。

〇高橋農政部長 新規就農者の状況であるが、35歳未満で申し上げると、新規学卒、Uターン、それから、農外からの新規参入者を含めて、ここ数年60名から70名程度で推移しておる。ちなみに、平成5年度の実績は64名ということである。
 また、転作面積の割り当てであるが、これについては、2月20日現在で申し上げると、市町村の配分はおおむね7割の市町村において実施されておるところで、今月末でほとんどの市町村の配分が終了するものと、そのように見込んでおるところである。現在、そのような市町村においては集落座談会等を開いて、農業者による話し合いを積極的にして転作の調整を図っている、そういう段階である。

〇阿部委員 新規就農者というよりは後継者の考え方であるけれども、現在の経営規模あるいは経営内容で、例えば親が農業に従事している、そういう中にあって、後継者ということで新規学卒者なり、あるいはUターンなりで帰ってきても、実際は農業につけない、親がリタイアしない限り。言うなれば飯が食えない、経営として成り立たないというのが今の岩手県の農業の実態ではないかと思っておる。したがって、後継者難ということについての考え方であるけれども、今、農業を行っている人がいなくなった時点で後継者が出ればいいのだという、こういう考え方での育成方法を考えていこうとするものなのか、それとも、今、現に親がやっていても、そこにさらに後継者として確保していくという、こういう考え方で後継者対策というのは対応されるとお考えなのか、その辺についての基本的な考え方をお聞かせいただければと思う。
 それから、米の生産調整にかかわる部分については3割がまだ済んでいないということであるが、仮の話をすると大変恐縮であるが、市町村間の中で転作配分ができないといった場合にはどういう対応を今後考えているのかお伺いをする。

〇高橋農政部長 後継者対策についての考え方であるが、これは、委員がおっしゃった後者の方で、確かに後継者の例えば新規学卒者の場合に、一番のネックというのは、やはりそういう経営基盤がどうしても限られておるので、入っていってもなかなかつけないということで1回農外に出ていくというケースが結構農業短期大学の卒業生を見ても多いわけであるが、これからは親がやめたときに来るという考え方ではなく、若いうちから農業をやりたいという方に、そういう意欲のある青年に対して経営の基盤を別に確保してやるとか、それから、ひとり立ちするための技術の習得、そのためには、やはり四、五年はどうしてもひとり立ちがなかなかできない、経営が安定するまでには時間がかかるという問題もあるので、そういう環境を整備してやるということを考えていかなければならない、そのように思っておる。
 市町村間調整の配分の問題については農蚕課長の方からお答えをさせる。

〇田中技術参事兼農蚕課長 既に70%方配分が終わっておって、あと残り30%云々という話であるけれども、市町村から聞き取り調査をやっておって、ほぼ今月いっぱいぐらいには終わると聞き及んでおる。一、二カ所でなかなか大変だなというところもあったわけであるが、担当レベルでは鋭意前向きで取り組むよう話し合いをしておる。理解を得られるまでやっていかなければならないなと。要するに、これは助け合いみたいな形でみんなでやっていかなければならない問題だと、そうでないとどこかで穴があくと大変だということで、鋭意努力中である。
 それから、市町村調整については、現在まだ農家への配分の段階で、出したいというところは出ておるけれども、受け手の方はまだこれからである。これからの調整ということになる。

〇阿部委員 最後にしたいと思うが、昨年復田した水田面積、これは今度の生産調整の面積から外すべきだという根強い声もあるわけである。したがって、今、市町村の中で調整がつかない部分というのはそういうところに起因しているのが非常に大きいのではないかと思うわけであるが、こうした復田面積の部分については今回の配分の中から外すという配慮はできないものなのであろうか。

〇田中技術参事兼農蚕課長 復田をやったわけで、大変な事態だと。県とすれば、国からそこら辺も配慮を受けて追加的転作の配分面積をいただいたわけである。そういうことも勘案して、県とすれば市町村に10%だけであるけれども、要因とすれば、そういうことで考慮して配分しておる。市町村においては、全部転作を復田してしまったとか、いろいろな形態、まちまちである。それで、市町村では傾斜配分をするといった市町村が結構あって、そういうことを考慮してやる市町村もあると聞いておる。

〇佐藤(知)委員 厳しい農業条件の中で農業者に経営意欲の増進を図るという意味において、産業基盤の整備、すなわち区画整理あるいは圃場整備等の事業は非常に地域に恩恵を与えているということ、そして、この進め方において県当局並びに関係者の皆様に非常な御協力を賜り、御労苦をいただいておるということに改めて敬意を表する次第である。 そこで、この圃場整備計画に当たって、1つは産業基盤であり農業基盤の整備であることは間違いないけれども、もう少し広く考えて、農山村の環境整備を図る、こういう観点から、いろいろそれに附帯するところの、1つは市町村道もあろうし、あるいは河川の改修等も伴う、規模が大きくなればなるに従ってそういうことに波及されるだろうと思う。そこで、河川においては土木部であろうか、あるいはその事業範囲において市町村道の道路整備というものも当然それに伴ってくるだろうと思う。そうしたそれぞれの横の連携を密にして、整合性ある、そして財政的にも事業的にも効果を図るという方向をどのように御検討なさっておるかお伺いしたいと思う。
 遠野市は40年代の農村の豊かな時代に、カントリーパーク構想という構想の中において、市民がそれを目標として進めてまいった。10年間にわたる松崎地区などは、まさにそのときの条件は一変した。夢がまさに実現したような感がする。自然景観が保たれ、そして、固有の文化も守られ、道路は縦横に結ばれ、まさにその明るい条件というものを期待できるようなことに改めて敬意を表する次第である。ただし、そうした中においても、行政の恩恵を享受したそれぞれ農民は、必ずしもすべてがそれに満足するということはない。御承知のとおり、この改良区の事業運営において換地という大きな問題がある。その中においても、利益を享受した者でありながらも、場合によっては、極端に言うならば被害者意識的のような不平不満というものもあると思うので、今後、赤沢川流域あるいは綾織地域等において大きな計画が進められようとしているので、これらをひとつ経験の上に立って、今後どのように進めようとなされるか所見をお伺いしたい。

〇平野農地建設課長 まず最初は、圃場整備事業と他事業との調整、ないしは圃場整備事業の役割ということに関する御質問であったと思うが、今、委員御案内のように、圃場整備事業というのは生産基盤の整備という役割だけではなくて、特に重要だと思われているのは土地利用形成の秩序形成ということで、例えば圃場整備事業と河川の改修を一緒にやるとか、それから道路整備と圃場整備を一緒にやると用地の生み出しが非常に楽である。それから、河川改修、道路の整備によって圃場に対する悪影響も除去されるということもある。さらに、工事を一緒にやると工事費も軽減されるということで、1つの事業をやるときに、道路とか河川とか、そういう事業があった場合にはできるだけそれを積極的に事業の中に入れるということで、共同事業化という形で事業を今まで進めてきておる。ただ、この中で問題になるのは、破衡という問題があって、圃場整備予算と他の事業との予算がなかなか一緒につかないということがよく起こるわけであるので、そのあたりについては土木部あるいはほかの担当部局とよく計画を調整して、予算についても国土調整費などを使いながら、整合をとりながら進めていきたいと、このように考えている。
 それから、松崎地区については、これは換地について、今、手続を進めておって、実は異議申し立てというようなものが出ておって、その対応をどうするか、今、検討しておる。これは、事業の実施の過程において、いろいろ土地利用調整上、やはり我々としても今後の事業に向けてよく検討すべき材料がいろいろあるのではないかと思っている。先ほど委員御指摘のように、遠野地域においてはこれからいろいろな圃場整備をやるので、そういう松崎の事例をよく踏まえて事業の円滑な実施に努めてまいりたいと、このように考えておる。

〇横田委員 ただいま佐藤知世議員から非常に心胆を砕きながら御質問をなさったものだなという感じがした。
 関連質問、遠野松崎圃場整備事業である。
 この地域のいわゆる圃場整備事業がなかなか思うようにいっていないということについては2つの問題点があると思う。第1点は、同意というか、進める過程で県の職員が念書めいたものを出している。個々の農民がそれでもって自分の願いは聞き入れられるものと思って事業の進展に協力することを誓ったのに、そうならなかった。行政不信が1つである。もう1つは、現地に結成された正当な換地を求める会というものが、換地委員の相当の人々が我田引水を図っている、こういうふうに訴え出ている点である。
 まず、部長にお尋ねするが、私が最初に述べた問題について、その他、部長級の大物が現地でこういう事態になってきていることについて、農家の方々におわび、陳謝すべきではなかろうか、このように思うが、部長の御見解いかに。
 次に、農地建設課長にお尋ねする。
 当該地域に結成されている正当な換地を求める会は、私を通じて一部換地委員が不正を行ったと県に対して文書を提出し、個人名を明らかにしてその不正を訴えている。事実とすれば事業成否にかかわることであるし、事実でなければ求める会側は名誉棄損となるであろう。そして、この問題は、たび重なる県との話し合い、私の調整でも依然としておさまっていない。
 1、貴職は、この現状をどう受けとめられるのか。
 2、事態が解決する、求める会が納得できるまで、この事業はその事務等すべてを凍結すべきではないのか。
 3、今日、不服申立者が何人あるのか。こんなに多いのは、この種事業で異例ではないのか。審尋の結果はどうなるのか。
 4、改めて全体を白紙に返し、イロハのイからやり直した方がこの地域の場合、最善ではないのか。
 5、工事の手直しを求められた場合、その要請要求が根拠あり妥当なものと判断されたとき、これが100%実行できるものなのか、予算の上でも心配である。
 6、事態解決のため、調整としてこの地域の公共事業導入を提案すれば受け入れることは可能であろうか。
 7、営農水準を低下させないという原則が農政部にあるわけであって、その営農水準なるものは、農政部は道路等、環境、そういうものを評価するものだから、個々の農家が自分のところはどうも不便になったと、そう思っても、実際には県のそろばんでは営農水準は低下しないというそろばんになる。こういう計算方法になるのか。営農水準低下しないということの考え方のモメントはそういうふうに考えることなのか。
 それから、課長はただいま今後の事業に参考と言ったけれども、そうではないであろう。この事業そのものにこの話はぶつかるわけであるから、今後に参考というのでは、今の農民はかわいそうではないか。

〇高橋農政部長 松崎地区の圃場整備事業について、23名という多くの権利者からの異議申し立てが出たということについては大変残念なことだと、そのように思っておって、厳粛に受けとめておるところである。委員がいろいろとその原因に対して御見解を述べられていたが、そういうことも大きな原因であれば、やはり大きな圃場整備、換地ということになると地権者が大変多くなって、いろいろと土地利用調整では大変な苦労を伴うのが通例であるので、今後の圃場整備事業を進めるに当たってそういうことがないように適切を期してまいりたい、そのように思っておる。

〇平野農地建設課長 県営の圃場整備松崎地区については、御案内のように昭和57年度に着工したもので、平成6年度までにハード事業、いわゆる面整備が終わったものであるから、農家の方々の権利確定をするために換地計画というのをつくって、県が換地計画をつくった昨年の11月に換地会議を開催したところ、3分の2以上の同意が得られたことから、土地改良法の手続に従って県が換地計画を決定したところである。その後、これを確定するという手続が必要であるから、それを縦覧公告したところ、ただいま部長が申し上げたように23名の異議申し立てがあったということである。換地計画の決定に当たるまでは、関係機関、地元の方々、いろいろ精力的に取り組んできたわけであるけれども、最終的に23名の受益者から異議申し立てが出されたことについては、ただいま部長が申し上げたように大変残念であるとともに、私も真摯に受けとめなければならないと、このように考えている。この異議申し立てについては、法の定めるところに従って、去る3月1日、2日に請求の趣旨あるいはその理由、そういうことを明らかにするために審尋を行ったところである。
その審尋の結果はどのようになるのかという御質問もあったかと思うが、今、現地調査であるとか、関係者の事情聴取、そういったものも踏まえつつ審理中であるので、大変恐縮ではあるが、この場ではそれに関する発言は差し控えさせていただきたいと思う。
 ただ、本地区の換地計画については、先ほど申したように、本地区の事業はもう昭和57年度に着工したということもあるし、換地計画が一応換地会議で可決されたということもある。
それからもう1つ、やはり地元では早く権利を確定していただきたいという要請も非常に強い。そんなこともあって、異議申し立ての審理を慎重に行った上で、それが済んだらできるだけ早急に必要な事務処理を進めてまいりたい、このように考えている。
 それから、工事の手直しについての御質問があったけれども、原則としては、施行者側に疵のあったもの、こういったものが原因となって手直しが求められたものについては追加工事をやって、問題が生じないように対応しておる。現在、受益者から寄せられた要望をもとにして、今、申し上げたような、おおむねの基準であるが、基準に該当するものについてはすべて補完工事として対応しているところである。
 公共事業導入の可否についてであるが、これは原則論で申しわけないが、事業の目的、効果、費用などを総合的に判断して公共事業の導入を決定されるべきものであるから、今後、松崎地区から具体的な事業要望が出てきた場合には、今、申し上げたような趣旨に沿って内容を審査して具体的に適切に対応してまいりたいと、このように考えている。
 それから、営農水準については、これは私ども換地基準というのをつくって、個々の農家に不利益が生じないようにということを念頭に置いて事業をやっておる。したがって、総体として地域がプラスになったということではなくて、総体なおかつ個々の農家についても営農の水準は低下しない、こういうことで事業を進めておる。
 それから、先ほどの佐藤委員に対する私の発言についての御指摘があったが、私の舌足らずな面もあったと思う。ただ、私どもは事業の推進をするに当たって、いろいろな個別の具体で問題が起こると、それをまずよく分析して次の事業に役立てるということをやっておる。そういう一般論として申し上げた。ただ、だからといって松崎地区についてもう何もしないとか、終わりとか、そういうことではないので、先ほども申し上げたような審理を慎重に継続してまいりたい、このように思っている。

〇横田委員 冒頭に申し上げたように、正当な換地を求める会というものが文書等も提出して訴え出ている問題をどうするのか。何度も話し合いをしているんだが、換地を求める会の会長さんは、自分が換地委員だったのである。同僚換地委員のやることを見ているよということを前提にして訴え出てきているわけである。この問題を置いて前進するということは、私はなるまいと思う。だからさっき言ったように、むしろ白紙に返したらいいのではないかということまで申し上げたのである。
 あなた方は説明に行った、ところが現地の方々は納得しない、この問題をどうするおつもりなのか。

〇平野農地建設課長 大変かたい回答になるかもしれないけれども、一応今、法手続、所定の手続に従って、先ほども申したように審尋を行って、その結果を今、検討しているところである。その結果をもとにして、恐らくこれはまた地元の方々とお話をして今後の対応を進めていくことになると、このようになると思う。

〇谷藤委員 1点だけお伺いする。
 平成8年に盛岡に新競馬場が移転オープンするわけであるけれども、緑が丘にある現在の競馬場の跡地についてのお考えをお伺いしたいと思うが、これは県の方でも一部所有をしておるし、また、競馬組合も所有している、それから民有地、それから盛岡市ということで、広さの20・4ヘクタールのうち県の競馬組合が60・1%、民有地が25・3%、県有地が14・5%、市有地が0・1%という比率で競馬場の用地を持っておるようであるけれども、今、盛岡市の市議会の方でも、主義主張がちょっと違う方であるが、そういう方も取り上げたりしておるけれども、要は、その地域の住民の方々の要望がいろいろな形で盛岡市に上がってきたり、以前、知事なり農政部長の方にも盛岡市の方にそれを譲渡してほしいとか、そういういろいろな形で働きかけがなされてきているようである。そこの中で、盛岡市としては、市長の考えであろうけれども、平成6年末までに1つの方向を出したいということで動いてきているようであるが、ただ、6年度末といったらもう今月いっぱいの話で、今、議会をやっていて、早速質問された方の答弁を見るとなかなか踏み込んだ答弁もできないでうろうろしているようであるけれども、そういうことで、盛岡市として持っている比率というのは0・1%という異常に少ない、所有しているうちに入るか入らないかぐらいの比率の所有面積なわけであるが、全体としては、県と競馬組合が所有している面積が非常に大きいわけである。この辺について、県の方で特別県の事業として何かを今後考えていくということであれば、逆に県が主体的に何かを考えなければならないだろうし、今、いろいろな形で動きが出ているのは、県有地及び競馬組合の用地、これらについて市の方に譲渡なり、貸すとか、いろいろなやり方があるのかもしれないけれども、そのことで盛岡市の方に対して使いやすいような形に県の方で動いてくれないかという形でいろいろ住民の運動が起こっておるわけであるけれども、その辺についての考え方、県としても主体的に盛岡市と協議をしてみたらどんなものかと思っておるわけである。というのは、新しい競馬場が建設されるに当たってかなり膨大な建設費がかかるということになれば、競馬組合とすればこの用地を早めに処分したいというのが当然だろうと思うわけである。そのようなことで、県の方もかかわってまいらざるを得ないのではないかなと思って、この用地の取り扱いについての考え方、これについてちょっとお聞かせをいただきたいと思う。

〇鈴木参事兼農政企画課長 現競馬場は御指摘のとおり平成8年に移転するわけであるけれども、委員先ほど御指摘のとおり、所有者が随分入り込んでいるというふうに感じているわけである。そのほかに、当該地域、実は都市計画法上の全体市街化調整区域になっておる。また、南側半分が風致地域というふうに、いろいな問題がある。したがって、これらの調整をまず図る必要があるんじゃないかということで、その上で跡地全体を一体的に利用するのが一番望ましいんじゃないか。かつ、まずもって、所有がどのぐらいあるかということではなくて、盛岡市のあのような地域にあるものだから、まず、地元の盛岡市がいかなる利用をするかということを検討していただいた方がいいんじゃないかということで、これまで県としても事務的なレベルの打ち合わせでは対応してきたところである。そういう中にあって、地域の住民の方々からも、ぜひ市の方で有効利用されたいという要望があって、これは県に対する要望の中でも、市の方で使うように何とか県部分もお譲りするようにという要望になっておるわけである。そんな中で、市の方でもいろいろな要望を踏まえながら、これまで、先ほど御指摘にあったように平成6年度を目途に方針を決めたいということできたわけであるけれども、昨日の市議会で盛岡市長さんが引き続き検討を進めたい、こういうことであった。したがって、県としては、今後においても一応基本的には先ほどの考えを踏襲して、ただ、市において早い時期に利用計画を樹立するように要請をしてまいりたいと考えておる。

〇谷藤委員 そういうことで、ぜひ協議の場に、特に部長は競馬組合の関係とかで市の方のそれなりの立場の人とも一緒になる機会ももちろんあられると思うけれども、そういう機会をとらえながらでも結構だと思うけれども、その辺の考え方、その辺についても県と市の、それから競馬組合とのかかわりもあるであろうけれども、そのすり合わせにぜひ一汗かいていただきたいと要望する次第である。

〇横田委員 関連質問で述べたのは全部終わったから、通告をしていた残っている部分についてお尋ねをする。
 平成5年の食料自給率は、農林水産省発表によれば穀物22、カロリー37%、記録的低水準に落ち込んだとなっている。原因をどう認識されるのか。冷害の影響とすれば、平6以降は回復するのか。県下の現状はどうか。自給率の低下についての県の基本的認識はどうか。
 この際、野菜の自給率は89%であり、昨年は生鮮野菜だけでも全国50万トンを超えたという。本県野菜生産にどんな影響があるのか。
 地元の消費量はすべて地元産野菜で賄う、身土不二の需給原則を貫くべきだという提案についてどう御認識なされるか。また、どう対応されておられるのか。
 日本生協連調査によれば、安全な野菜に関心が高いようである。無、低農薬野菜の生産流通にどのような援助、助成を行うのか。
 教育委員会関連であるが、県下給食実施諸学校に牛乳、県産米を供与していることに敬意を表する。以前にも提言したが、さらに1歩を進め、県産牛肉を供与することについてどのように認識され、どのように進めようとしておられるのか。

〇高橋農政部長 食料自給率のお尋ねがあったが、平成5年度の低下原因であるが、これは、やはり何といっても平成5年の水稲冷害による国内生産量の大幅な落ち込みが主たるものであるが、ただそれだけではなくて、肉類、また、魚介類等の輸入が増加している、また、油脂の消費が増加しておって、大豆等の油糧原料の輸入増、こういうものが原因ではないかと考えておるところである。したがって、平成6年度以降は、冷害を原因とする部分はあのとおりの大豊作で回復をするということになろうかと思っておるが、ただ、食料自給率というのは、御案内のように、消費構造とかいろいろな問題もあるので、単純にはなかなかいかないのかなと、そのように思う。
 それから、県下の現状ということであったが、輸入という面でお答えをすると、県内にもかなり輸入ものが入ってきているということは確かであるが、ただ、本県では、全体的にはやはり県内産の消費、これが大宗を占めている、そのように認識しているところである。このような自給率の低下については、やはり本来もともとが先進国中でも異常に低い、そういう水準であるから、これがさらに下がるということは私どもからすると極めて遺憾なことだと。特にも中長期的には世界の食料需給というものがかなり逼迫するという見方もあって、国内供給が可能なものは国内で供給するということをやはり基本とすべきだと、そういう認識におるわけである。
 それから、身土不二というお話があって、これは言えば土産土法というようなことか、地産地消と申すか、そういうことであろうと存ずるが、いずれ野菜で申すと、野菜消費量の74%ぐらいは、これは県内産で供給しているという実態もある。いずれ、本県産のものをやはり本県内で県民の方々に食べていただくということが、これは食文化というような面から申し上げても基本だ、これがやはり農業の基本だろうということで、いずれそういう地場消費の拡大については前向きに積極的に対応していかなきゃらならない、そのように思っておるところである。
 あと、野菜の輸入増加の問題とか無農薬、低農薬野菜の生産流通、それから、学校給食の関係があったが、それぞれ畑作振興課長と畜政課長の方からお答えをさせたいと思う。

〇猪股畑作振興課長 輸入問題に関連して自給率の問題であるが、従来の野菜輸入というのは、塩蔵加工であるとか、あるいは枝豆の冷凍だとか、そういった形態が輸入がされておったわけであるが、近年、生鮮形態で輸入されるということで、本年度においては昨年の63%増ということで輸入がなされておるわけである。これは、国内自給率が下がるということは非常に困ったことだなと、そんな認識を持っているところである。
 その影響であるけれども、今、生鮮形態で輸入されている品目、あるいは今後も見込まれるものは、例えばカボチャであるかとかタマネギであるとか、そういった品目が大多数を占めるわけであるが、これらは本県の端境期の入荷に当たる、あるいは本県の主力品目でないということもあって、直接的な大きな影響はないのではないのかと考えておる。
 それから、無農薬、これは非常に関心が深いわけであるが、県では、野菜を含めて平成4年度からいわて純情産地を守り育てる運動というのを全県的に展開しておるわけである。野菜についてもいわて純情産地づくりということで、これは、全く消費者のそうしたニーズにこたえるという運動で、ほぼ全県的に統一された意識でもってこの運動を展開しているということである。
 こういった問題に対してどう具体的に支援していくかということであるが、いずれそういった視点で、我々とすれば病害虫の抑制効果もある雨よけハウスの導入であるとか、あるいは環境保全型農業総合推進事業あるいは有機農業導入資金等、直接的にそれに対応した制度もあるので、こういった活用を図りながらひとつ純情産地化を進めてまいりたい、かように思っておる。

〇松田畜政課長 委員お尋ねの学校給食に県産牛肉を活用してはどうかという点であるが、私ども農政部としても、学校給食に県産の農産物を活用していただくということは児童生徒の農業に対する理解を深める上でも非常に好ましいことであると考えておる。また、現在においても、これは学校給食を実際運営されている各市町村におかれては、それぞれ地域で生産された農産物を積極的に活用するという配慮もいただいているところであるが、一方、品目によっては、県産を使うことによって父兄の負担が増加するという問題もあって、なかなか使えないという面もあると承知しておる。
 また、県産牛肉を使うということに各種助成制度等も考えられるわけであるが、これについても、他の品目とのバランスというものを考えて検討しなけばならないと考えておる。ただ、いずれにしても、地域で生産されたものを地域の児童生徒に食べていただくということ、これは非常に農業の観点から見ても重要なことであるし、好ましいことでもあると考えておるので、農政部としては、1つは県産の農産物あるいはその加工品をできる限り安く提供できるような条件づくりを進めるとともに、教育委員会等とも相談しながら、学校給食への県産品の供給拡大を図るうまい方策がないかどうか検討してまいりたいと考えておる。

〇横田委員 最後に、これは同僚議員からも機会があればいろいろ述べられたことであるが、どうであろうか、アメリカのリンゴはうまいか。これは環境保健部の所管だと思うが、残留農薬があったりして非常に大きな衝撃を与えている。県下ではこういうリンゴは流通しておるのか。県下の現状ではどんなものであろうか。
 日本、我が国から、青森県なんかでは逆に輸出してやれということでいろいろやっているようであるが、リンゴは国内で十分ではないのか。だから冒頭にうまいのかと聞いたけれども、野菜とか果物とかで輸入してくるもの、例えば国内にないもの、国民、県民の要求があるものと合致すれば、これはとどめることはできないわけであるけれども、リンゴなどの場合は明らかに所々地で本県産リンゴ、国内リンゴで間に合うということになる条件を備えておると思うが、今後のお見込みについてお尋ねをする。

〇猪股畑作振興課長 米国産のリンゴの輸入に関する御質問であるが、米国産のリンゴがうまいかということになると、率直に言ってそんな感じは試食した段階ではしなかったという印象を持っておる。
 防カビ剤が検出されたということで新聞等で報道があったわけであるが、これが県下で流通したかということであるが、これについては、県衛生研究所において2月10日現在で一斉にサンプル調査をしたわけであるが、県下に流通したものについては検出されなかったということで環境保健部の方から伺っておる。
 もう1つ、リンゴは国内で十分ではないのか、要するに輸入をやめたらいかがかということかと思うが、実は、リンゴの輸入の自由化というのは昭和46年度から国際的に決定されている品目なわけである。日米等においてはこれまで植物防疫上の問題でそれが凍結されておったということである。したがって、最近、植物防疫の問題が双方で解決したという確約を得たということなのでこれの輸入に踏み切った、解禁になったという状態なので、輸入自由化をやめろ、あるいは禁止するということは国際条約上もできないんだと伺っておる。
 なお、県内のリンゴの自給率は98%に現在なっておる。

〇舘沢委員 2点ほどお伺いする。
 県産米の販売促進対策に関連をして、本県における特別表示米の取り組み実態と県の評価についてお伺いする。
 御承知のとおり、昨今の米をめぐる情勢は、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉におけるミニマムアクセスの受け入れや昨年の大豊作による自主流通米入札価格の低下など厳しさを増しており、産地間競争はこれまで以上に厳しくなることは間違いのないところである。したがって、このような状況の中においては、いかに早く、しかもしっかりと消費者の心に訴えることができる米づくりに取り組むかが今後を決すると言っても過言ではない。その具体的な取り組みの1つとして、過般、県南のJA水沢市において、本年産米から市内全域を対象に特別表示米栽培を行うこととし、全農家を対象とした栽培講習会を開き、売れる米づくりに本格的に乗り出したとの報道があったわけである。1つの市全域で取り組む例は全国的に珍しいとのことであるが、このような動きは、本年11月からの施行と言われている新食糧法による米流通の大幅な変化に対応し、いわば生き残りをかけた取り組みとして注目すべきことであると思うわけである。
 そこでお伺いするが、県内における特別表示米生産の取り組みの実態はどのようになっているのか、また、このような取り組みを県はどのように受けとめているのかお伺いする。

〇田中技術参事兼農蚕課長 特別表示米についてであるけれども、ここ平成5年度等の大冷害のさなかでも、米不足、これを完全に確保するというようなことから、消費者と生産者の結びつきといったことが非常に強まったわけである。そういう中で、平成6年度は県内では江刺、東和など、県下11農協で取り組まれ、栽培面積としては1、300ヘクタール、生産量は6、000トンほど生産されておる。
ことし7年産米は、委員おっしゃるとおり、水沢でも全面的に取り組むと伺っているところであるが、県としては、安全で健康な米を求める消費者ニーズに対応したこのような取り組みも付加価値の高い米として県産米販売の1つの方法であると理解しておる。申すまでもなく、このような取引は産地と消費地との信頼関係のもとに成り立つものであるので、地域の自主的な取り組みを尊重しながら生産技術の指導に万全を期し、かつ消費地への情報提供などを通じて支援をしてまいりたいと考えておる。

〇舘沢委員 冷害対策についてお聞きしたいと思う。
 近年、世界各地において異常気象が頻発しておって、農作物に対しても深刻な被害が発生していると聞いておるが、本県においても、一昨年の未曾有の大冷害、一転して昨年の記録的な猛暑と渇水に相次いで見舞われたところであり、今さらながら自然の脅威をまざまざと感じさせられた次第である。このような自然災害は大きな周期性を持っており、必ずしも異常なものではないとの見方もあるようであるが、本県では、程度の差こそあれ、昭和55年から57年までの冷害、63年の冷害、平成に入ってからも3年の冷害と、まさに忘れるいとまがないほどに多発しているわけである。また、最近の東北地方の3カ月予報では、赤道付近の海水面が平年より高い状態が続いており、いわゆるエルニーニョ現象が継続していると報じられており、いささか気になるところである。こうした状況の中で、本年もまた冷害の襲来がないとも限らないわけであるので、この際どのように対応しようとしておられるのかお伺いをして終わりたいと思う。

〇鈴木参事兼農政企画課長 近年の世界的な異常気象の発生あるいはエルニーニョ現象の継続など、委員御指摘のような点、私どもの方でもいろいろ情報が入るにつけ、本年の気候について大変心配しているところである。このため、今後の対応として、この10日に出される予定になっておる暖候期の状況、これは4月から9月までであるが、この予報や、あるいは1カ月予報なども出されることになっておって、これなどを十分に活用、分析しながら、昨年策定した冷害防止恒久対策の方向に基づいて基本技術の徹底など、各般の対策を講じていかなきゃならぬと思っておる。
 また、異常な低温が予想されるような場合においては、これもまた昨年冷害防止緊急技術会議というものを設置したが、これにおいて農業被害発生の危険度などを徹底して解析するとともに、その危険度に応じて注意態勢とか警戒態勢を講ずることになっておるけれども、これらを発令あるいは伝達するなどして、用水系ごとの組織的な水管理を実践するなど、冷害防止実践マニュアルに基づいて迅速に対応してまいりたいと考えておる。
 なお、過般、地方振興局、これは全部の地方振興局の関係の課長会議が開催されたわけであるけれども、その際も冷害防止実践マニュアルの実践について改めて指示したところで、今後においてもその周知徹底に万全を期してまいりたいと考えておる。

〇戸羽委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇戸羽委員長 質疑がないようなので、これで農政部関係の質疑を終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。
 本日はこれをもって散会する。
   午後4時20分 散 会


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