平成7年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成7年3月7日(火)

1開会    午前10時7分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員 
  事務局長       古館敏男
  議事課長       小国平二
  議事課長補佐     西田幸男
  主任議事管理主査   中坪貞雄
  議事管理主査     吉田徹
  議事管理主査     八重樫典彦
  議事管理主査     小原敏文
  議事管理主査     中澤悟
  主事         平野信二

1説明員
  商工労働部長     神田隆
  商工労働部次長    中村實
  商政課長       阿部二導
  中小企業課長     山火弘敬
  工業課長兼地域産業高度化対策室長  畑野浩朗
  企業立地課長     大沼勝
  観光物産課長     相馬直人
  労政能力開発課長   千葉洋志
  職業安定課長兼人材確保対策室長   遠藤雅仁
  雇用保険課長     瀬川英二
  医療局長       中村盛一
  医療局次長      佐藤徳兵衛
  参事兼医師対策監兼計画推進室長   松森恭一
  管理課長       藤沢政則
  職員課長       高橋隆治
  業務課長       伊藤勝也
  システム管理室長   田高則男
  企画管理監      大川正裕
  経営管理指導監    小林繁芳
  地方労働委員会事務局長       藤田博信
  総務課長       佐々木功
  審査調整課長     砂子沢勝男
  参事兼財政課長    佐藤文昭

〇戸羽委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入る。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第23号、議案第27号から議案第33号まで、議案第36号から議案第40号まで、議案第42号、議案第44号、議案第45号及び議案第48号から議案第50号まで、以上39件を一括議題とする。
 本日は、商工労働部、医療局及び地方労働委員会関係を終わるように進行したいと思うので、御協力をお願いする。
 なお、説明、質疑及び答弁については、簡潔、明瞭に行い、議会運営委員会の申し合わせにより効率的に審査が進行するよう、御協力をお願いする。
 最初に、商工労働部長から商工労働部関係の説明を求める。

〇神田商工労働部長 平成7年度の商工労働部関係の予算について御説明を申し上げる。 まず、一般会計予算であるが、議案その1の7ページをお開きを願う。
 第5款労働費のうち、第3項労働委員会費を除いた42億3、051万4、000円と、第7款商工費の448億6、174万8、000円、合わせて490億9、226万2、000円が商工労働部関係の予算総額である。これは、一般会計予算総額に対して約6・9%の構成比となっておる。また、前年度当初予算との比較をすると、33億4、071万4、000円の減であって、率にして6・4%の減少となっておる。
 各項目ごとの内容については、便宜、お手元の予算に関する説明書によって御説明を申し上げる。
 予算に関する説明書の143ページをお開き願う。主な事業について御説明申し上げる。
 5款労働費1項労政費1目労政総務費の2億5、894万6、000円は、労政能力開発課の管理運営のほか、中小企業の労務改善や労使関係の安定促進等に要する経費である。2目労働教育費の755万9、000円は、岩手勤労学園の開設など、労働教育に要する経費である。次に、144ページ、3目労働福祉費2億3、578万円の主なものは、岩手労働金庫及び岩手県勤労者信用基金協会に対する貸し付けなど、労働者の福祉向上に要する経費である。次に、4目雇用促進費の7億1、039万5、000円の主なものは、障害者雇用対策費、中高年齢者等雇用対策費及び出稼ぎ労働者対策費など、雇用の安定に要する経費である。さらに145ページへ参って、財団法人ふるさといわて定住財団出捐金は、勤労者にとって魅力ある雇用機会の創出、地域の発展を担う人材の定住、定着を促進するための施策を総合的に実施するために、同財団に基金の原資を出捐しようとするものである。また、地域障害者雇用推進総合モデル事業は、重度障害者等の雇用促進のため、雇用部門と保健衛生、さらに福祉部門との連携を図りながら、各種情報のネットワーク化に要する経費である。
 次に、146ページ、2項職業訓練費1目職業訓練総務費の9億4、911万9、000円は、技能労働者の育成と技術水準の向上を図るための認定職業訓練、技能向上対策のほか、職業能力開発推進事業などに要する経費である。次に、2目職業訓練校費の20億6、871万5、000円は、公共職業能力開発校等の管理運営費や施設整備費及び技能労働者の向上訓練等の実施に要する経費のほか、より高度な技能・知識を有する技術者を養成する県立職業能力開発短期大学校の開設に向けて、用地造成及び建設工事などを進めるとともに、指導員の特別研修を実施する経費などである。
 次に、飛んで194ページをお開きいただく。7款商工費であるが、1項商工業費1目商工業総務費の14億3、463万4、000円の主なものは、運輸事業振興費補助のほか、商工業振興計画策定費は、商工業振興計画の後期5カ年計画の策定に要する経費であり、テクノポリス推進事業費は、株式会社盛岡地域交流センターへの増資など、テクノポリス計画を推進するための経費である。また、北上川流域高度技術産業集積計画(仮称)策定費は、第2期北上川流域テクノポリス開発計画、第2期盛岡地域集積促進計画等の策定に要する経費である。さらに、いわてまるごとキャンペーン推進費は、本県の総合的な魅力をアピールし、県産品の普及向上、多彩な観光資源の宣伝、人材の本県への還流などを促進するために、大都市圏において交通広告などを利用したキャンペーンを実施しようとするものである。次に、2目中小企業振興費の276億9、302万円の主な事業について御説明を申し上げる。商工業小規模事業対策費は、各商工会や商工会議所などが行う経営改善普及事業等に対し、また、商工業組織化対策費は、岩手県中小企業団体中央会が実施する組織化指導など、商工業振興のための各種事業に対して、それぞれ助成しようとするものである。商店街商業基盤施設整備事業費補助は、商店街の活性化を図るため、商店街の組合等が実施する街路灯など商業基盤の整備に対し、補助しようとするものである。次に、貸付金関係であるが、商工観光振興資金貸付金は、中小商工業者の設備の改善のほか観光施設等の整備拡充に要する経費に対する貸付金であり、小企業等小口資金貸付金は、小規模企業の振興を図るための貸付金である。中小企業経営安定資金貸付金は、経営の安定に支障を来すおそれのある中小企業に対して、運転資金の融資により健全経営を図ろうとする貸付金である。さらに、196ページに参って、信用組合経営基盤強化資金貸付金は、地域金融の円滑化を図るため、岩手信用組合に金融支援する貸付金である。次に、工業振興の関係であるが、同じく196ページの中小企業技術改善費補助は、中小企業が行う新製品や新技術開発等の経費に対して助成を行うものであり、地域資源等活用型起業化事業費補助は、中小企業の組合等が地域資源を活用し、起業化のために行う商品改良・デザイン開発・市場開拓等の事業に対し、補助しようとするものである。次に、197ページに参って、3目企業立地対策費の101億9、263万2、000円の主なものとして、工業団地整備事業費補助は、市町村が行う工業団地の整備事業に対して助成を行うものであって、工業立地促進資金貸付金は、県内の工場適地等に工場等を建設する誘致企業や県内企業に対して、長期低利の設備資金を融資することにより、工業立地の促進を図ろうとする貸付金である。次に、198ページに参って、4目中小企業経営指導費の3億9、440万3、000円の主なものは、財団法人岩手県中小企業振興公社に委託して、商工業研修事業を行う経費や、同公社が行う中小企業地域情報センター事業に対する助成などに要する経費である。次に、199ページへ参って、5目貿易振興費の1、718万円は、県産品の輸出拡大など経済の国際化を促進するために、日本貿易振興会盛岡貿易情報センターの事業運営費の一部を負担しようとするものである。次に、6目計量検定所費の1、839万3、000円は、計量器の検査や指導監督に要する経費である。次に、7目工業技術センター費の9億9、124万6、000円は、岩手県工業技術センターの管理運営経費や広域共同研究推進事業などの試験研究に要する経費である。次に、200ページへ参る。8目大阪事務所費の4、675万円、201ページの9目北海道事務所費の3、706万円、10目名古屋事務所費の3、018万1、000円は、それぞれの事務所の管理運営に要する経費である。
 次に、203ページへ参って、2項鉱業費1目鉱業総務費の1億6、068万9、000円は、工業課の管理運営に要する経費である。また、2目鉱業振興費4、600万3、000円の主なものは、中小鉱山が行う探鉱事業の促進を図るために、その事業費の一部を助成するものなどである。次の3目鉱害対策費の9億4、547万4、000円の主なものは、旧松尾鉱山の鉱害防止のための発生源対策工事、新中和処理施設の維持管理、及び和賀郡湯田地区等における休廃止鉱山の発生源対策工事の実施に要する経費である。次に、204ページへ参って、4目銃砲火薬ガス等取締費の601万8、000円は、火薬類、高圧ガス等の取り締まり、保安指導等に要する経費である。
 次に、205ページに参って、3項観光費1目観光総務費の4億5、388万1、000円の主な事業について御説明を申し上げる。観光宣伝費は、全国に向けて詩情ゆたかな岩手路キャンペーンなどを実施し、観光客の誘致を推進するための経費である。北東北3県観光立県推進事業費は、広域観光を推進するために、岩手、青森、秋田の北東北3県で共同して、各種の観光宣伝事業を実施しようとするものである。国際観光推進費は、海外観光宣伝強化のため、シンガポールの独立記念祭に郷土芸能を派遣するなどの事業を実施しようとするものである。また、全国菓子大博覧会推進費負担金は、平成10年に本県において開催される第23回全国菓子大博覧会の基本計画を立案するなどの準備経費を負担しようとするものである。次に、2目観光施設費23億9、418万4、000円の主なものとして、広域観光ルート整備事業費は、本県の多彩な観光資源・施設を体系づけた広域観光ルートの案内標識や、全県観光案内板を設置する経費である。さわやか岩手イメージアップ大作戦は、観光地のイメージアップを図り、観光客の誘致拡大に資するため、主要観光地の公衆トイレの水洗化等の環境整備を推進しようとするものである。
 以上で一般会計歳出予算の説明を終わって、次に債務負担行為について御説明を申し上げる。お手元の議案その1に戻って11ページをお開きいただきたいと思う。
 第2表債務負担行為のうち、事項欄の8から11までの4件が商工労働部関係のものである。内容を御説明申し上げる。
 8は、岩手県火災共済協同組合が行う火災共済契約の履行に関する損失補償であって、これは、5億円を限度として損失補償をしようとするものである。
 9は、財団法人岩手県中小企業振興公社が貸与した設備に係る被貸与者からの償還金の納入がない場合の不足額の損失補償であって、これは、6億6、200万円を限度として損失補償をしようとするものである。
 12ページの10は、市中金融機関が、財団法人岩手県観光開発公社に融通した資金について、元利金の償還がない場合の不足額の損失補償であって、これは、融資総額12億5、000万円を限度として、元本及びその約定利息に相当する額以内の額について、損失補償をしようとするものである。
 11は、職業能力開発短期大学校整備事業であって、これは、平成7年度から平成8年度までの間に、県立職業能力開発短期大学校建設に係る建設工事等を行おうとするものである。
 次に、特別会計について御説明を申し上げたいと存ずる。議案その1の33ページをお開き願う。
 議案第7号平成7年度岩手県中小企業振興資金特別会計予算についてであるが、これは、歳入歳出をそれぞれ54億6、789万円とするものであって、歳入及び歳出の区分は、34ページ及び35ページの第1表のとおりとするものである。
 次の、第2表地方債は、歳出予算の事業費に充当するものであるが、この限度額を15億3、521万円としようとするものである。
 詳細については、再び予算に関する説明書により御説明を申し上げたいと存ずる。お手数であるが、予算に関する説明書の373ページをお開き願う。
 歳入歳出の合計については、ただいま申し上げたとおり、まず、歳入について御説明を申し上げる。374ページをお開きいただきたい。1款繰入金1項一般会計繰入金1目一般会計繰入金の6億9、488万5、000円は、中小企業高度化資金の貸付原資として一般会計から繰り入れるものである。
 次に、375ページの2款繰越金1項繰越金1目繰越金の4、000円は、前年度からの繰越金を予定するものである。
 次に、376ページに参る。3款諸収入1項貸付金元利収入1目貸付金元利収入の32億3、377万2、000円は、中小企業設備近代化資金などの貸付償還金である。
 次の377ページ、2項預金利子1目預金利子の300万円は、歳計現金の利子である。
 378ページに参って、3項雑入1目雑入の101万9、000円は違約金収入などである。
 次の379ページ、4款県債1項県債1目県債の15億3、521万円は、中小企業高度化資金の貸付原資の一部として中小企業事業団から借り入れしようとするものである。
 次に、歳出であるが、380ページをお開き願う。1款中小企業近代化資金貸付費1項貸付費1目設備近代化資金貸付費の5億4、000万円は、設備の近代化を促進しようとする中小企業者に対して、所要額の2分の1以内で、4、000万円を限度に無利子で貸し付けしようとするものである。また、2目設備貸与資金貸付費の5億9、000万円は、中小企業の設備の近代化を促進するため、財団法人岩手県中小企業振興公社が行う設備貸与事業に要する資金の2分の1以内を無利子で貸し付けしようとするものである。次に、3目高度化資金貸付費の43億586万円は、工場等集団化資金貸付金などの貸付金及び中小企業事業団に対する償還金などである。
 次に、381ページに参って、2項貸付事務費1目貸付事務費の3、203万円は、貸付事務及び資金の回収などに要する経費である。
 以上で商工労働部関係の予算についての御説明を終わらせていただく。よろしく御審議の上、原案に御賛成賜るよう、よろしくお願い申し上げる。

〇戸羽委員長 ただいまの説明に対し、質疑はないか。

〇小原委員 商店街の活性化対策についてお伺いをする。
 地域の皆さん方の商店街、その都市、地域における中心商店街を意味するわけであるが、その商店街に対する要望、ニーズ、こういったものは多様化の傾向にあろうかと思うけれども、そうした中にあっても商店街の活性化、同時にまた、魅力ある商店街づくりということが強く求められているところである。しかし、近年の車社会への対応のおくれなど、そうしたことからこの商店街の現状というのは必ずしも活力あるとは言いがたい状況にあろうかと思うんである。そういう点で、その町の顔とも言われるけれども、その中心商店街を含めて商店街の活性化対策を、まず商工労働部としてはどのようにとらえながら指導をされておられるであろうか。この点を1つお伺いをしたいと思うわけである。大型店との競合あるいは共存ということも大変大事な視点になろうかと思うけれども、まず1点はその商店街の活性化対策の基本についてお伺いをしておきたいと思うわけである。
 それから、近年の小売販売額、これの動向をどのように把握をされておられるか。景気の低迷から浮上傾向にあるとは言われるけれども、そうした点で小売販売額の動向についてもお伺いをしておきたいと、こう思う。
 それから、3点目は、北上市においても市街化再開発事業と絡んで、商店街の活性化対策を今、計画中である。聞くところによると、特定商業集積整備基本構想、こういったものも市の方で策定をしながら県の指導を仰ぐと、こういうことになっているようであるが、この北上における商店街活性化事業についてどういう指導をなさっておられるのか、概要をお伺いをしておきたいと思う。

〇神田商工労働部長 小売販売額の傾向については、商政課長から御答弁申し上げる。
 まず、商店街の活性化についてであるが、御案内のとおり、最近さまざまな規制緩和ということがあって、特に大型店に関する規制の緩和が多いわけであるが、これに伴って従来の中心商店街というものの衰弱化がしてくるという現象が見られるわけである。県としては、この大型店と既存の商店街との共存共栄を図っていかなければならないという観点から、魅力ある商店街の形成のためにさまざまな手法を凝らして、さまざまな助成策を講じているわけである。しかしながら、なかなか既存の商店街としての団結と申そうか、共同化がなかなかならないというものもあるわけであるが、現在の県内の既存商店街ではかなりの地区においてそれぞれ大同団結をした上で商店街の魅力を高め、そして共同の施設等を施設しながら買い物客の誘導を図っていきたいという趣旨のもので進んできているのが現状である。県としても、そういう商店街等の組合、もしくはそれぞれの商店が一致してさまざまな事業を展開するためには、これからも従前どおり指導を強めながら、各種の国庫補助、さらには県単の補助金等を使いながら助成をしていきたいと考えているところである。
 それから、北上市の商店街のことについてであるが、現在、北上市においては平成3年から4年にかけて市の単独事業ということで、北上市の特定商業集積整備事業と記憶しておるが、これの案をつくった経緯がある。しかしながら、核となる店舗がないということから課題となってきたわけであるが、昨年7月であったか、川徳が進出ということでその問題が解決をするということから一段と計画が進んでおって、平成7年度においては商店街の振興組合の連合会も中心街で結成されるという動きもあって、今お話のあった計画の構想については、7年度中に県に対して事業承認の申請書が出されるだろうと推定をしておる。県としては、その事業の承認申請がなされた後は都市計画事業との調和を図りながら、その指導を強化してまいりたいと思っておるし、さらには、事業着手をという段階になったときには、商店街商業基盤施設整備事業という補助金を導入をするし、さらには、中小企業高度化資金等の貸し付けということをあわせ考えながら、商店街の振興に寄与していきたいと考えておる。

〇阿部商政課長 小売商業の販売の動向であるが、国の経済動向、月例の経済報告によると、ここ最近に至っては個人消費がやわらかな回復基調にあるというような報告をいただいているわけであるが、本県においても個人消費が、大型、小売店販売、ここ3カ月ぶりに上昇に転じたというような報告もいただいているわけである。具体的にはこれまでは非常に景気の低迷によって前年比を下回ってまいったわけであるが、ここに来て3カ月ぶりに上昇に転じているというような状況にあるようである。具体的な数字もあるが、いずれ傾向としては上昇機運にあるというように考えているところである。

〇小原委員 それでは、要望にとどめさせていただきたいと思うが、景気動向を示唆する指標としての小売販売額、これらも3カ月ぶりに上昇という傾向にあるということであって、そういう点ではますます商店街の近代化といおうか、活性化の方向づけも一層明確にしながら、地域の関係する皆さんと一緒になりながら、そうした機運を沈滞化をさせないように、一層の向上機運に乗せていただけるように要望して質問を終わる。

〇舘沢委員 平成8年度の宮沢賢治生誕100年についてお伺いをする。
 申し上げるまでもなく、宮沢賢治は本県が生んだ偉大な文学者であり、その作品は日本はもちろん世界各国で愛読され、そして、作品はもとより賢治という人そのものも世界各国で研究されてきておる。宮沢賢治研究の情報センターとも言うべき花巻市のイーハトーブセンターによると、確認できているだけでも賢治作品の翻訳は十数カ国にも及び、その研究書の数は三百数十点を数え、今やその研究は賢治学と称するものと聞いておる。また、昨今の環境破壊やいじめに見られる精神荒廃の中で、賢治の生きざまや作品に見られる自然や生きとし生ける者への愛情はまさしく現代へのメッセージであろう。
 また、宮沢賢治とともに忘れてはならないのは石川啄木である。皆様御存じのとおり、石川啄木は宮沢賢治より10年先輩であり、その作品は宮沢賢治にも影響を与えたとされておるが、同じ盛岡中学に学び、生き方は違うにせよ本県の自然、風土を愛し続けた人であり、そして賢治と同様その作品は世界各国で紹介され、そして研究されておる。本県が日本の故郷として全国に紹介されるのも、啄木の歌によるところが少なからずあると思うのである。
 このように本県のイメージに偉大な貢献をしている2人が、それぞれ平成8年に生誕100年と110年を迎えるわけであるが、このことは本県のイメージアップを図り、観光客誘客促進のための絶好の機会であると考える。私は、平成8年の生誕記念の年に2人をテーマとした全国に発信できるイベントを行うよう強く願っているものであるが、県の取り組みについてのお考えをお聞かせ願いたいと思う。

〇神田商工労働部長 今お話があったとおり、平成8年は宮沢賢治の生誕100年、それから石川啄木の生誕110年という節目に当たるわけであって、私どももこの郷土が生んだ2人の先達の検証をするとともに、これを機会として本県のイメージアップを図るための全国への情報発信の機会にしたいと存じているわけであって、昨年の8月から関係の花巻市、さらには玉山村といったところ、さらには関係の団体等々、協議を進めてきたわけであって、現在ほぼと申そうか、ある輪郭のものができ上がりつつある。お話のあったとおり、宮沢賢治1人だけをとってみても、詩人であり童話作家でもあるし、さらには、地質学者でもあり、天文学者でもありと、まことに現代で言うマルチ人間という方であったので、その各方面から光を当てた学術的な催し、さらには、音楽祭、演劇祭といったような一般の方にも楽しんでいただけるような催しというものを企画を今練っているところであって、年度内に県が中心となる準備委員会を設立を考えておる。なお、平成7年度の早い時期に県、関係市町村、それに県内の文化、経済団体というところを網羅した実行委員会を設立をしたいという形で、現在、鋭意準備を進めているところである。

〇堀口委員 通告をしていなかったけれども、けさの円高、円レートの急激な変動ということで、これが県内企業に与える影響、そういう点についてまずお聞きしたいと思う。また、神田商工労働部長は勇退されるということであるが、先輩として送別の辞を兼ねて質問するので、通告をしていなかったけれども、御理解をいただきたい。まず、円高の急激なけさの情報を見て、これが県内企業に与える影響というものについてお伺いをしたいと思う。

〇神田商工労働部長 けさで1ドル92円という形で、現時点においてはどこまで円高になるのかというところが予想もつかない状況にある。しかしながら、この急激な円高というものについては、大変県内の経済へ与える影響が大きいと認識をしているわけである。1つには、企業がそれぞれこの円高というのを避けて生産機能を海外に移していくということが既に始まっているわけであって、これがいわゆる海外シフト、そして産業の空洞化とつながっていくわけであるが、こうなると県内の言うなれば大企業との取引のある中小企業、特に下請業者等については、まず最初にコストのダウンを要請される。さらには、生産機能が海外へ移るということに伴っての受注の大幅減少ということが懸念をされるわけである。私どもとしても、これらの防止というものに万全を期していかなければならないと考えているところである。

〇堀口委員 デリバティブというのをどの程度理解されていらっしゃるか。それによってまた、これいろいろ関係があるので。これはベアリングのイギリスの今の倒産ということで、いろんな今、デリバティブ──金融派生商品──というのは、日本経済が恐慌になる原因になるという、いろんな新聞、雑誌等で言われておる。特に金融機関、生命保険会社等、本県の中でもこれから続々と影響が出てくるものもあると思うので、そういう点を調査をされて、そしてやっぱり県行政としても対応を検討した方がいいと、こう思う。そういうことで、特に円高、この円レートも80円ぐらいまでいくのではないか。そういうことによってデリバティブということに関連をして日本経済は、今の資本主義経済そのものが崩壊するような恐慌が来ると、そういうことも言われておるので、県の商工行政としてはやっぱりいろいろ研究をされていただきたいと、こう思う。
 円高であるけれども、これはどうなっていくかわからないが、これが一番県内企業、いろいろ大きなバッシングになる可能性もあるので、いまひとつ大いに研究されて対応をしていただきたいと、こう思う。
 さっきの予算の説明に信用組合に対するものもあるので、当県の信用組合としては大丈夫なのか、こう思うが、その点をひとつお聞きしたいと思う。
 通産省から来ている工業課長はデリバティブぐらいは相当知っていると思うから、知っている範囲でお答えいただきたい。

〇畑野工業課長兼地域産業高度化対策室長 デリバティブというものがどういうものであるかということであるが、立場を離れて個人的に勉強している範囲でお答え申し上げると、今、委員からもお話があったように、金融派生商品ということで、具体的には、将来の株価をどう予想するかというような先物、それから為替を将来どう見通すかというような話、さらには、変動金利とそれから固定金利、これを取引するというようなオプション、こういったいわゆるリスクヘッジのための商品と理解をしておる。しかしながら、御指摘あったベアリング社の例にも見られるように、こういった取引がごく一部の専門的な金融業者にのみしかわからないということで、十分に顧客に対する情報開示、透明性の確保が図られなかったというような話が、この問題の非常に根本的なものであると認識をしておる。

〇神田商工労働部長 現在、本県内にある信用組合は5つあるわけであるが、この中で監査を通じて見ている限りにおいては、そういうことは県内の信用組合に限ってはない。

〇堀口委員 わかった。まずしっかりやってもらいたい。
 神田部長、勇退だけど、盛商は伝統的に引け際のきれいなというのが伝統だろうと思う。ひとつ今後とも元気でやっていただくように。終わる。

〇吉田(洋)委員 ただいまの堀口委員の質問に関連して、今日の円高情勢にかかわって質問をさせていただくが、今の部長答弁の中に企業の海外進出というお話があったが、県内においても企業誘致で県内に進出した企業が、この円高によってコストの低減を図る意味から製造工場を海外に移転をせしめている実態がある。特に中国方面であると県内の賃金ベースで約20分の1でコストダウンを図ることができると、こういうことで海外へのさらなる進出を図っている企業があるわけである。現実に私もそうした相談事を体験しているわけである。そうすると、直接もろに影響を受けるのが下請企業であって、非常に雇用情勢に大きな影響を及ぼしているという実態がある。特に、下請の場合は、障害者の雇用というものも含めて厳しい実態が今あるわけであるけれども、そうした情勢をどのように把握をしているか。かつてこうした情勢、円高も、私もかつての円高情勢のときこのことも質問したことがあるのであるが、今日ほど厳しい状態ではなかったように思う。今、九十二、三円の状況になると大変な状況が今、下請企業等に影響している実態があるわけであるが、そうしたことをどのように把握をし、どう対応しているのか、お伺いをしたいと思う。

〇神田商工労働部長 お話のあったとおり大変厳しい状況にあるわけであって、県内の、県が誘致もしくは市町村が誘致をした企業が海外に立地をしたと、言うなれば海外シフトしたという事例も県内にはある。お話のとおりであって、確かに中国の深せんから広州にかけてのあたりであると、大体20歳ぐらいの女子の従業員で月給が大体3、600円から4、000円ぐらいというのが実態であって、やはり労働集約型、組み立て型という工場の進出が目立つわけである。こういうことからいくとかなり県内のそうした類似の企業にしわ寄せがくる。先ほど申し上げたとおり大変なまずコストダウンを要請される。さらには、海外へシフトしたことによる受注減というもので大変厳しい状況にあるわけであって、さらに、今お話があったとおり、県内の各企業はそれぞれ今までの円高等もあって、かなりリストラというものについてはほぼやれるところまで実施をしてきている。これ以上のコストダウンはなかなかできないという状況にある。あわせて派生してまいるのが雇用の条件ということになるわけであるが、これらについても私どもとしてはできるだけそれぞれの使える制度を使って、雇用が少なくならないように現在努力をしているところである。

〇吉田(洋)委員 障害者の雇用に関連してひとつお伺いしておきたいと思うが、第3セクタークリートピアいわて、これまでの経営内容等を含めて非常に好成績で推移をしていると、このようにお伺いをしておるが、また、障害者の雇用に関しても県当局の並々ならぬ御努力についても心から敬意を表しておるところであるが、第2のクリートピアいわて、新しい計画があるのか。第三次総合発展計画の中に新たに設ける計画があるわけであるが、その点についてどのようになっているか、お伺いする。

〇神田商工労働部長 クリートピアいわてはお話もあったとおり、現在、経営者の努力によって安定した業績を上げて、重度障害者の多数雇用事業所として活躍をしているわけであるが、私どもとしてもそのクリートピアいわてに続く第2の事業所をつくりたいということで、現在、関係者等と話し合いを続けている最中であるが、いずれ業種の問題もある。それから、どういうところにつくるべきかという問題について現在、勉強している最中であって、もう少し時間をおかしいただきたいと考える。

〇横田委員 各委員から申されたとおり、円高は県内の中小一般、零細という言葉は余り使いたくないが、そういう企業、商店に対して重大な影響を与えており、このまま推移すれば今までの中小企業対策で大丈夫なのかという懸念はないか。一般中小商店、企業というのは限度いっぱい融資なら融資、借りているという状況にあるんじゃないか。質問資料を準備してこなかったからであるけれども、そういう状況なのだと私は把握しているんであるが、中小企業の所管の課長の御所見はいかがなものであるか。
 円高について困っているところもあるんであるが、それによって喜ぶ企業もあるものか。在来の常識というか、今までの考えであると事前に契約して円高によってプラスになるという企業がないではなかろうと思うんであるが、それどういうものがあるものであろうか。そして、そういうところは社会的にいわば自己努力で潤うものではないわけであるが、どういう対応というものがあるものであろうか。

〇山火中小企業課長 円高については、昨年4月であるか、県内の製造業を中心に巡回総合指導を実施したが、実態としては、親企業の海外進出あるいは親企業の部門間の国内における再配置というか、そういうことで受注量が大幅に減少する見通しという傾向が出ておる。そういった中で従来、指導ないしは融資ということで対応してまいったわけであるが、むしろ新しく国の方で御検討いただいているようであるが、その中で新しい事業を生み出していく、あるいは新しい技術、新製品をつくっていくという企業の展開が求められているのではないかと考えておって、そういった企業に対して創業者支援あるいは新技術開発の支援という対策をこれから講じていく必要があるんではないかと考えておる。
 円高に関連して、差益を受ける業種にはどのようなものがあるかということであるが、輸入する原材料を使って製品をつくっているような業種、例えて申すと大豆とかそういったものをみそ、しょうゆに加工する、そういった業種については円高のメリットがあるのではないかと思う。

〇神田商工労働部長 ただいま中小企業ということで限って御答弁を申し上げておるので、こういうことになったわけであるが、大きくということになると、例えば、燃料等を海外から輸入をしてそれによって事業を起こす。言うなれば電力というもの、さらには、ガスといったようなものが大変メリットを受ける企業の1つではなかろうか。さらには、海外製品の輸入を大幅に扱っている商社というところが大きいというところに入るんではないかと考えておる。

〇横田委員 関連であるからこれでこの質問はやめるけれども、最近、東北電力さんは非常に社会的ないろいろな仕事に援助というか、助成というか、そういう非常に社会的に貢献をするお仕事に携わってきているように私は把握、認識しているけれども、ひとり電力さんに限らず大きな業種でそういう業種があれば、さらにいろいろお願いをするということがあっていいものかなと思ったりして、今、突然思いつきでお伺いするものであるから、それで対応というものをお聞きしたわけである。
 中小企業所管の課長には、前に常任委員会か何かでお聞きしたことがあると思うけれども、信用保証協会への出捐金というか、そういう対応が政府の対応で少し前進するように見ている。本県ではそれが具体化するのは一体いつごろになるか。この円高に間に合うものなんであるか。

〇山火中小企業課長 国の方で法制化を予定しておる中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法、この中で創業支援に関連して、設備投資減税あるいは信用補完制度の特例と信用保険法の改正による信用補完制度の特例を予定していると聞いておるが、実施時期については現在まだ把握しておらない。

〇横田委員 別な本質問に移っていっていいか。
 質問をしたが要望と受けとめられたような感じであるので、要望と受けとめていただいて、中小企業にはひとつ大いに円高を乗り切れるように対策をお願いするし、円高によって潤う大きな企業、会社があるようであるから、ひとつ社会的にいろいろ要請をするということがあっていいんじゃないかというように思うので、それは要望である。
 質問を申し上げるが、私、保健商工担当であるので極めて項目的にお尋ねする。
 1つ、完全失業率であるが、政府の調査では完全失業率は過去最悪のことであるとのことである。これでは景況は薄日が差してきたなどとは言えないと思うんである。どこに薄日が差していると認識されるのか。失業率との関連はどうなのか。
 本県のこの状況はどうで、いつ回復するのか。
 3、このような状況が長く続くのでは失業対策事業が必要となるのではなかろうかと思うんであるが、どうであろうか。
 次に、新潟県、山形県などにおいて芸子組合が設立されており、本県においても盛岡市内などにその動きがあるやに承知する。
 1、芸子が観光振興に果たしている役割をどう評価しておられるのであろうか。
 2、その県下における問題点をどうとらえておられるのであろうか。
 3、芸子組合設立は商工会議所が直接タッチすることであろうが、観光当局としてこれをどのように指導、援助なされるのであろうか。

〇神田商工労働部長 芸子組合については観光物産課長から御答弁をさせる。
 失業率と経済状況との関連であるが、確かに経済企画庁の月例報告によると、全体として緩やかな回復基調にあるということになっておるし、それから県内の状況についても、基調としては緩やかに回復の方向に向かっているという形の報告が出されているわけである。私どもとしても、例えば、数値的にかなり一ころよりはさまざまな数値が上がってきているということは言えるのではないかと考えているわけであるが、言うなれば個人消費も前年水準を大幅に上回って推移しているということ、さらには、家庭電気製品の出荷総卸額も前年を上回ってきつつある。建設投資も、特に住宅建設は高い水準を維持しているというふうに、さまざまな指数で見ておる限りにおいては緩やかながら回復の基調にあるのかと把握をしているわけであるが、残念ながら実感として回復しつつあるとはちょっととらえにくいかなという感じがする。そういう段階であるが、失業率について見ると、全国の失業率は昨年の10月の3%がピークであった。以来、月を追うごとに一進一退はあるけれども、1月には2・9%台まで下がったということもある。しかしながら、通常こういう雇用の情勢、特に失業率等については、景気の回復から半年から1年というふうな周期でおくれて回復してくるという現在までの状況等もあるので、この景気が回復基調に入った以後、徐々に失業率の問題も減少してくるのではないかととらえているところである。

〇相馬観光物産課長 芸妓組合のお尋ねについてお答えを申し上げる。
 歌であるとか踊りであるとか、そういう伝統芸能、伝統文化に秀でた芸妓の観光面に果たす役割は、あると認識をしておる。しかしながら、年々高齢化しておって、なり手がないということから後継者の不足を来しているなどの問題があると思っておるところである。近県の状況を見ると、山形市であるとか福島市においては芸妓組合が設立されておって、それぞれの市の観光協会の方から助成をしているという例があると伺っておる。盛岡市の場合については、現在、商工会議所の方で、観光文化委員会の方で設立についての検討、研究をしているようである。そういう検討の中で機運が盛り上がった時点において、県としては、会議所であるとか関係団体、機関といろいろと協議しながら必要な指導、援助を行ってまいりたいと思っておる。

〇神田商工労働部長 1つ答弁漏れがあった。
 失対事業──失業対策事業──が必要ではないかというお話であるが、実は、本県においては平成3年度において失業対策事業が完全に終了した経緯がある。また、国の方においても、失業対策事業は平成7年度をもって終了させたいという意向であると聞いているので、私どもとしては、失業対策事業を再開をするということは現在のところ考えておらないところである。

〇横田委員 本当は景況をよくするというのだったら、そういう完全失業でゆるくないところから先に措置していくというのが本当じゃなかろうかというように思う。まあ、これは議論であるから、常任委員会で申し上げたいと思う。
 大学生協連の調査では、学生のアルバイト収入が減じているとのことであるが、本県の実情はどうであろうか。アルバイト収入の増加のため、どのような措置をおとりになられるのであろうか。
 次に、県下の女子学生が求職活動に当たり男女間差別に苦しむとの陳情があるが、県はどのように認識しているのか。これが差別撤廃のためにどのような措置をおとりになられるのか。
 価格破壊商法をどう見ておられるのか。これが食品産業への影響をどう認識されておるのか。対策措置はどうか。
 以上である。

〇遠藤職業安定課長兼人材確保対策室長 学生アルバイトの件であるが、学生アルバイトの実態については、現在、把握はしておらない。しかしながら、所定外労働時間あるいはパートタイム求人を見ると、本県においては6年度においていずれも大幅な増加を示しているところで、労働力需要は全体として増加をしておる。このことから、学生アルバイトについても求人が上向いていると推測しておる。
 続いて、女子学生の問題である。県としては、大学生等の就職難を考慮して、今年度2、500事業所に対して知事名で採用枠の拡大要請を行ったほか、事業主団体を訪問して採用枠の拡大を要請してきたところである。その際に、あわせて女子学生に対する就職差別を行わないように要請してきたほか、合同面接会等、あらゆる機会を利用して男女雇用機会均等法の趣旨の徹底に努めてきたところである。今後とも岩手婦人少年室と連携して、企業に対して指導をしていくこととしておる。

〇神田商工労働部長 価格破壊、いわゆる価格破壊ということであるが、確かに最近クローズアップされておる問題に、いわゆる価格破壊という問題がある。バブル経済の崩壊、さらには、内外価格差に対する消費者の意識の変化ということを背景としてこういう現象が起きていると考えるわけであるが、特に大手の小売業者などが言うなればPB商品、プライベートブランド商品というものを低価格にして販売をしているということ、さらには、海外製品の輸入拡大に基づいたところの低価格化というものが背景にあろうかと存じておるし、さらには、生鮮食品については、特に生産の時期が限られているということ、さらには、天候に左右されやすいという特質があるわけであるが、これが季節的に高騰をするという現象もあったわけであるけれども、最近は市場情報であるとか産地の情報というものが全世界的に集約を的確にできるということもあって、言うなれば海外の生産地をも視野に入れた取引、仕入れができるということから、通年同じような価格で販売できる、製造の原料に回せるという状況にあるんだろうと認識をしているわけである。私どもとしては、やはりこういう安い、1年を通してほぼ同じような価格で季節の変動なく仕入れをするというところから、食品の製造、その他にもかなり低価格化が可能になってきているということを考えるわけであるが、いずれにしても、県内の生産者、さらには食品製造業者にとってはゆゆしき問題であるので、今、工業技術センター等を中心として、新しい食品の製造というものに力を入れているわけで、その結果、かなりの新しい商品が開発をされ、県内の製造業者に技術移転がなされている状況にあるので、今後においても、消費者のニーズ、さらには流通環境の変化というものを的確に把握しながら、競争力のある食品産業の育成に努めていかなければならないと存じているところである。

〇村上委員 通告なしの質問で大変恐縮に存ずるが、お許しいただきたいと思う。
 神田部長にお伺いをする。
 県は、民間企業に対して、その公共性あるいはその地域の活性化というか、発展につながるんだというような目的で資本参加して協力しているものもあろうかと思う。そこで、商工労働部関係で、資本参加あるいはまた協力してきた民間企業が、時間もたち、自立でき、安定経営をしているという企業もあると考えられるが、私、よくわからないが、考えられるが、そこでお伺いしたいと思う。この際、部長が引退されるようであるので、最後の仕事として、企業からの要請ではなくて、例えば資本等の引き上げも含めて、その見直しを商工労働部が自主的に総合的に、財源の有効活用ということも含めて検討してはいかがなものかと、こう思うわけである。そこで、部長の御所見があればお示しをいただきたいと思う。

〇神田商工労働部長 商工労働部関係で、確かにお話あったとおり、出資をする、出捐をするという企業があるわけであるが、私どもとしては、県全体の行革の方針の中にもあるが、既に目的を達した企業、それから経営が永続的に安定をしてきた、または安定するという見込みの立つものについてはできる限り順次資本を引き上げるという形で努力をしてきているわけで、本年度内においても、岩手流通センター管理株式会社、これは目的を達成したということで解散をさせて資本金の回収に入っておる。20日の日に終了する予定である。それから、盛岡ターミナルビル株式会社、これも既に安定をしているということで、近々これの資本を引き上げるという考え方である。いずれ今後とも、そういう形で出資をしている法人については、今、申し上げたような考え方で、順次引き上げるものは引き上げていくというふうに考えておる。

〇菊池委員 私も通告していないので、2点だけお願いをしたいと思う。
 当選をさせてもらってちょうど1年ぐらいではなかったかと思うんだけれども、神田商工労働部長のときに、例のテクノポリス構想の指定範囲、私ども平成3年4月1日に3市町村が合併をして、同じ市の中で同じ生産活動をしている企業で差別を受けておるわけで、その後どうなっているのかひとつお聞かせを願いたい。
 それから、商業の構造がかなり変化をして、大型店があちこちに新設され、中小商業者は現況を維持するのが精いっぱいの戦いをずっとしておるわけである。合併した私の地域でもそのまま商工会という組織の中で残っておるわけである。今から数十年前にその商店街でつくった街路灯などは、耐用年数が過ぎて、ちょっとした風でも倒れそうになっているような状態で今も使っておるわけである。先般、多分商工労働部の担当課にお願いをしてあったはずであるけれども、商店の数は減ってはいないけれども、周りに住宅がふえたために基準の割合がどんどん構造が変わってきているわけである。そうすると、街路灯の更新にも商工労働部の予算をもらうことは不可能だという話になっておるわけで、これは北上の一部に限らず、県内あちこちにある話であろうと思っておる。二十数灯あるのだそうであるけれども、その方々が自前で更新することは、これは全く不可能な話で、自然と消えていく。商店の活性化も消えるけれども、街路灯も消えていくとなれば、私は行政の責任においてはまずい方針ではないかなという感じを持っていつも心配をしておるが、いかんせんそういう制度の枠からはみ出れば策はないということであれば、全く無策に近い策ではないかなと思うわけであるが、救える方法はないのであろうか、部長。

〇神田商工労働部長 後段の方の商店街の件については商政課長から御答弁申し上げる。 和賀地区のテクノポリス開発地域への編入の問題については、確かにお説のとおり、私、質問をお受けして、御答弁申し上げた経緯がある。私どももその趣旨を体して、通産、大蔵、その他へかなり折衝をした経緯がある。実は、これは本県だけの問題ではなくて、他の地区にも同様の事例がある。何とかしてほしいというふうに申しているわけであるが、なかなか思うに任せないので、これも御答弁申し上げたときから実は進歩しておらない状況である。その節も申し上げたが、市町村合併によっての自動的な圏域の拡大はないということが1つあって、言うなれば面積要件を最初のときにやったはずだと、したがって、そういうふうな変化があってもそれは認めるわけにいかぬ、こういうのが大きな問題で、なかなか前に進まない。現在、通産省で、言うなればテクノポリス開発計画そのものが平成7年度に計画の最終年になるということもあって、現在、その後期計画についての策定の指針を今、4省庁間で話し合いをしている最中であるが、その中でも圏域の拡大は難しいという話になっておる。今後とも努力はしてまいりたいと思っておるが、現時点においては、お話の件については困難が伴っているということを御了承いただきたいと思う。

〇阿部商政課長 街路灯の話であるが、最近、小売商業をめぐる環境というのは非常に厳しくなっているということについてはお説のとおりである。県として、小売商業商店街の振興ということは、文化、伝統の中で、いわゆる買い物の場というより、まちづくりの中で商店街の整備は非常に大事なものだと認識しておるところである。したがって、県としては、地域の触れ合いの場あるいはコミュニティー施設等を含めていろいろな形での支援対策を講じているわけであるが、とりわけ先ほどお話があった江釣子の件であるが、実は北上の方から御相談があったわけである。しかしながら、この沿道そのものが個人住宅が非常に多くて、街路灯を設置するのは難しいというような考え方に立ったわけであるが、市当局ともお話し申し上げて、それでは何かいい代案がないものかということで再度市の方にもお願いした経過がある。しかしながら、市としては、そういう個人住宅を寄せたりとか、そういうことは難しいというようなことがあって、市の方から自主的に取り下げていただいたというような経過があるわけである。今後、今お話あったような形で、何かいい方法があれば、国庫補助あるいは県の魅力ある商店街整備事業というようなものがあるので、それらを活用できるかどうかについて引き続き地元と協議を重ねてまいりたいと考えているところである。

〇菊池委員 私は平成3年1月22日まで和賀町議会の議長職を拝命させていただいておったから、合併の協議の中で、二十数回議会全員協議会を開いて協議した結果の中で、当時の斎藤政憲町長が、県と協議した結果、合併をすれば今の都市計画の指定配分の中に、テクノポリス構想の中に入るという答弁をしている。だからこういう質問になるわけである。そういう答弁を何度も繰り返しておった。私は当時さっき言った議長をしておったからよく知っているわけである。そして当選してここに来たところが、小原宣良委員がこういう委員会の席で質問した。小原委員はこういう具体的な流れは多少わからなかったと思う。和賀町は合併の要素にそれも入っておった。竪川目工業団地と後藤野工業団地が都市計画の指定の中に入っているから、これは編入されると当時の斎藤町長が言明をしておったのである。どこから聞いて言明したのかさっぱりわからない。今、現職の助役でおるけれども、市役所に帰ってやらなきゃならないのか。
 どうもそういうのも合併の条件であったし、それを期待した企業、今、後藤野工業団地にいすゞキャスティングという大きな企業が張りついて、今月の24日に落成の運びになっているわけである。そういう大きな企業、世界の亀山ろうそくも入っているし、日産系列の厚和工業という大きな会社も入っている。そういう会社が、同じ市の中で営業活動をしながら国の施策の恩恵をこうむらずに一生懸命努力している姿を見たとき、私も政治家の1人として大変苦しい感覚を持っているわけである。勇退の前に部長にお願いするのは大変失礼であるけれども、あと残す数時間、精いっぱいの努力をして通産をくどくくらいの覚悟でひとつお願いしたいという要望を含めて答弁をお願いしたい。
 それから、市役所にやったら市役所は撤回したという話であった。地元の商店会の幹部連中は、これをぜひともやってくれと私に要請した。こちらに電話をかけたら、今、課長が答弁したように、市役所では撤回したとなっている。どうなっているのかさっぱりわからない、余り市役所に行ったことがないから、私は。そういうことで、再度地元と協議しながら、何かいい知恵をかして、合併をした地域というのは昔の江釣子村である。そのもっと西側に和賀町というのがある。野中商店会、横川目商店会となっている。合併しても商工会議所が1つあって、商工会が2つある。3市町村が18年かかって合併したけれども、残った組織は農協とこの商工会関係なのである、合併していないのは。あとはすべて合併している。全部一体になっている。農協も2つになっている。商店会は3つある、商工会議所と商工会が2つあるから。どうもこれでは行政の一元化が大変難しい方向になっていると私は思っている。そういう悩みもあるわけだから、将来はもしかすると街路灯と同じにその商店会がなくなるのではないかと私は思った。それでは余りにもみじめなのである。そういう政治は私は余り好きじゃない。だんだん悪く見える政治活動は不可能であるから、よくなるのこそ政治活動はよしとしたもので、悪くなるのを黙って見ているというのはないと私は思った。いい施策を課長、あなた方がつくってくれて、そして御支援していただきたい、御要望申し上げながら御答弁をいただきたいと思う。

〇阿部商政課長 今お話あったが、今回、北上市、和賀町、江釣子村が合併して商工会が2つ、会議所1つということで、商工団体としては3つあるわけであるが、県としても、人件費補助あるいは事業費の補助等を考えた場合、こういう財政難の時期であるから、本来であれば原則的に、制度的にも1行政区域では1カ所が望ましいという原則論があるわけであるが、しかしながら、地域のこれまでの歴史性等も考えた場合、今のところは3カ所ということで国ともそういう話し合いの中で設置されているわけであるが、いずれその時期が熟した時期には1カ所になるものと考えているところである。
 それから、街路灯の支援策であるが、これらについては、再度地元の商工団体あるいは市とも、前回撤回したわけであるが、早速協議を重ねて、商店街の活性化のためにできるものであれば検討してまいりたいと考えておるところである。

〇工藤委員 当該委員であるので、1点お尋ねする。
 県北、沿岸地域の振興、特に企業誘致による工業振興策については、今定例会の本会議においても同僚議員から質問がなされた。その際、県当局は、現在、久慈及び二戸地域において整備を進めている拠点工業団地を受け皿として企業誘致に取り組んでいるとの御答弁があり、大変心強く感じたところである。県北、沿岸地域の住民は、こぞって工業団地が早期に整備されるよう待ち望んでおる。久慈地域においては長内町の平沢地区に決定し、今年度は調査設計がなされているようである。一方、二戸地域においては数カ所の候補地について調査検討し、最終的な候補地については土地利用調整や地権者交渉等を行っていると聞いておる。私ども二戸地域の住民は、1日も早くこの決定を待ち望んでいるわけであるが、その後の選定状況はいかがになっているのか、その状況をお知らせいただきたいと思う。

〇神田商工労働部長 二戸地区の拠点工業団地については3県総にもある。そのために、さきにお話があったとおり、久慈地区には1カ所決定をした。県北2つ目の工業団地については、平成2年ごろから地権者といろいろな交渉を続けてきたわけであるが、このほどようやく地権者との合意もほぼ固まった。二戸市内ほぼ10カ所の中から、現在、下斗米の上野台地区を適地ということで選定をして、近々これに着工する予定である。現在、交通アクセス、それから造成コストというものをいろいろな面から検討したわけであるが、どうやらこの調べた10カ所のうち、下斗米の上野台地区が最適地と判断がされるので、地権者と交渉したところ、ほぼ同意が得られたところであるので、近々着工と考えておる。現時点においては、大体17ヘクタール程度について開発をする予定で、平成7年度に調査設計に入りたいと考えておる。
 なお、分譲の開始としては、平成9年度をめどとして事業を進めたいと考えているのが現在の状況である。

〇工藤委員 大変ありがたかった。いずれ早い機会に何とかこの工業団地の整備をお願いしたいと思う。
 さて、このたび神田商工労働部長におかれては、この3月をもって勇退されると伺っておる。この際、この機会をおかりして私から送別の言葉を述べさせていただく。
 神田部長は、昭和37年4月、岩手県経済部漁政課勤務を振り出しに、33年間の長きにわたり県職員として歩んでこられ、この間、数々の要職を歴任された。特に、平成3年からは三陸・海の博覧会推進局長、平成5年からは商工労働部長という重責を担われたが、あなたのお人柄と積極果敢な手腕によって数々の業績を上げられたところである。
 推進室長から引き続く三陸・海の博覧会推進局長時代は、岩手県初の企画イベントであり、国が指定したジャパンエキスポのトップを飾る三陸・海の博覧会の開催準備に全力を傾けられた。だれもが初めての経験であり、その御苦労は並み大抵でなかったものと拝察するが、全国で開催される同様のイベントが主として大手広告代理店の手によるものであるのに対し、できるだけ地元で企画、実行する手づくり方式で臨まれ、開催地の地理的条件や分散会場など、集客の困難性を見事乗り越えて、目標観客数70万人を大幅に上回る200万人余の観客を集め、74日間にわたるこのイベントを大成功のうちに終了させたのである。この博覧会の経済波及効果は約830億円と推計され、また、約10億円の剰余金を生み、これを原資として三陸・海の博覧会記念基金が設置されるなど、本県のイメージアップを全国にアピールするとともに、地域振興に大きく貢献したものと存じておる。この大成功は、ひとえに神田部長の豊富なアイデア、卓越したリーダーシップによるものと高く評価する次第である。
 また、平成5年からは商工労働部長として工業技術センター、産業デザインセンターの開設、岩手ソフトウエアセンターや北上オフィスプラザの設立など、本県産業構造の変化に対応し、21世紀を見据えた産業施策を積極的に推進するとともに、岩手ビジネスプラザの開設や商店街の近代化、中小企業金融の充実、雇用の安定対策など、経済情勢の変化の荒波にもまれる本県商工業の振興、労働政策の推進にも取り組まれた。
 さらに、岩手開発の解散、岩手信用組合の再建施策の推進など、まさに思い切った取り組みもなさった。
 また、観光行政にかけては部長の右に出る者はいないと言われており、詩情豊かな岩手路キャンペーンは15年前に部長が企画したものとも聞いておる。
 退職勧奨年齢を1年残して県庁を去らんとする部長の手腕には惜しみ余るものを感ずるのは私1人ではない。部長におかれては、新たな道に進まれても、御健勝の上、県勢の発展のためなお御尽力くださるようお願いを申し上げ、送別の言葉とする。
 なお、この際、部長の御所感をお伺いしたいと存ずる。(拍手)

〇藤尾委員 発言をお許しいただいた。
 ただいま担当の委員長である工藤委員からも意を尽くして申されたわけであるが、それに対して付言する必要はないが、私、かつて県民の1人として、また、議会に席を置いての今日まで、神田部長からいろいろと御指導、御厚情をいただいた経過があるので、一言私の方からもお礼を申し上げたいと思う。
 いろいろの業績については省略させていただくが、いずれ私は、岩手県の公務員としてまことに模範に足ると常々感じておったところである。事をやるには常に大胆、明快、しかも緻密に処するということ、今まで数々の業績にそれが如実にあらわれておったわけである。今もお話あった三陸・海の博覧会、まさに集大成と申すか、ここで男を上げたと申すか、英姿さっそうたるものだと。つまりその余力を買って東京や今日の部長職もやったわけである。
 お聞きすると、神田さんの先祖は嵯峨源氏の流れをくむというふうなことである。つまり事をやるには常に思いやりの心を持って接していく、これが今日の大勢であり、そして、皆さんから慕われる状況であったと思う。今も申したが、今度ここを勇退されても、ひとつ県民のために今までの良隠の情をもって世の中に貢献いただくことを切にお祈り申し上げてお礼の言葉にかえさせていただく。(拍手)

〇神田商工労働部長 ただいまは身に余るお言葉を賜ってありがたかった。
 お話にあったとおり、昭和37年に入庁して以来33年間の県職員の生活であった。今月末をもって退職をするわけであるが、今まで来し方を振り返る余裕もなかったわけであるが、ただいまお話を聞きながら、万感胸に迫るものがあるのは事実である。しかしながら、私も後進に道を譲るべき年になったわけであるので、私の方からことし限りで勇退をしたいという申し出をしてお許しをいただいた次第である。今後、県民として、微力ではあるけれども、県勢発展のために力となることができるのであれば幸せだというふうに感じておる。
 今期限りで御勇退をされる先生方各位には、さらに御健勝でお元気で過ごされるようにお願い申し上げたいと存ずる。さらに、4月の選挙に挑戦される先生方には、大願成就されて、さらに県勢発展のために御尽力くださるようにお願いを申し上げて御礼のごあいさつとさせていただく。
 33年間皆様の御支援によって生かされてきたということを常に考えておる。御健勝をお祈りして御礼の言葉とさせていただく。(拍手)

〇戸羽委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇戸羽委員長 質疑がないようなので、これで商工労働部関係の質疑を終わる。
 少々時間が早めではあるが、この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午前11時47分 休 憩
   午後1時9分 再 開

〇佐藤副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 医療局長から医療局関係の説明を求める。

〇中村医療局長 来年度予算の御説明を申し上げる前に、このたびの宮古病院における手術ミスについて、心からおわびを申し上げたいと思う。
 今回の事故は、手術に際し医師としてあるまじき注意を怠ったことにより起こったものであり、患者さんはもとより家族の方々に大変御迷惑をおかけし、また県民の皆様に県立病院に対する不信感を招いたことは、まことに申しわけなく存じておる次第である。
 幸いにも患者さんには誠心誠意治療を行った結果、経過は良好であるが、このたびの事態を真摯に受けとめ、近々中に全病院長会議を招集し、今後における事故防止の徹底を期するとともに、県立病院に対する県民の信頼回復のため努めるべく、強く戒めてまいる所存である。
 以上、経過の概要を御報告し、深くおわびを申し上げる次第である。
 次に、平成7年度の県立病院事業運営に当たっての基本的な考え方について、若干申し上げたいと思う。
 御案内のとおり、県立病院をめぐる環境は、―段と厳しさを増してきており、事業経営は容易ならざる事態と受けとめているところである。特にも、近年、国における医療制度の改革は急激な進展を見せ、治療法の大幅な改正により、病院を高度医療を担う特定機能病院と、長期入院患者を対象とする療養型病床群とに両極を位置づけした後、その中間に当たる総合病院や一般病院などの施設機能の体系化に向けて、第3次、第4次の改正が予想される大きな転換期にある。今後における県営医療の展開方向としては、こうした国の医療政策や県民の医療需要の動向を見きわめながら、県立病院がそれぞれの地域において果たしている役割を踏まえ、地域医療の確保のために、的確に対応していかなければならないものと考えておる。
 平成7年度の事業運営に当たっては、このような基本認識のもと、県下にあまねく良質な医療の均てんをという、創業の精神に立脚し、長期経営計画の見直しを含めて、その実現のため総力を挙げて取り組んでまいる所存である。
 それでは、予算に入って、議案その1の49ページをお開き願う。
 議案第13号平成7年度岩手県立病院等事業会計予算について御説明申し上げる。
 まず、第2条の業務の予定量であるが、病床数を6、358床と定め年間延べ患者数を、入院は194万4、000人に、外来は441万9、000人と見込むものである。
 次に、病院の建築工事であるが、胆沢病院については8年度末の開院を目指し、また、千厩病院については7年度末、さらに、東和病院については本年8月の開院に向け、それぞれ6年度に引き続き工事を進めようとするものであるし、久慈病院については、現在作業中の実施設計完了後に工事に着手するなど、それぞれ所要の事業費を計上したものである。
 なお、私どものかねてよりの念願であった大船渡病院が、委員各位の特段の御理解を賜り、去る2月1日に新しく開院することができたことを、ここに改めて御礼申し上げる次第である。
 次に、医療器械の購入費としては、39億7、718万2、000円を予定しているところであり、その主なものは、連続回転型コンピューター断層撮影装置などである。
 第3条の収益的収入及び支出と、次の50ページの第4条、資本的収入及び支出の具体的な内容については、後ほど予算に関する説明書により御説明を申し上げる。
 次に、51ページ第5条の債務負担行為であるが、これは、久慈病院の移転新築工事並びに釜石及び高田病院の附帯設備改修工事について、工事期間と限度額を定めようとするものである。
 第6条の企業償であるが、病院建築及び医療器械購入の財源として、起債の限度額を153億6、700万円とするほか、その償還方法等について定めようとするものである。
 第7条は、一時借入金の限度額を178億円と定めようとするものであり、第8条は、議会の議決を経なければ流用することのできない経費を定めようとするものである。
 次に、52ページに参って、第9条、他会計からの補助金であるが、一般会計から地方職員共済組合追加費用に充てるため、26億8、838万3、000円の補助を受けるものであり、第10条は、薬品及び診療材料等の棚卸資産の購入限度額を定めようとするものである。
 第11条は、重要な資産の取得であるが、購入予定価格が1件7、000万円以上と見込まれる医療器械の取得を予定したものである。
 それでは、予算に関する説明書435ページをお開き願う。
 平成7年度岩手県立病院等事業会計予算実施計画について御説明を申し上げる。
 まず。収益的収入であるが、第1款病院事業収益は1、003億2、200余万円で、前年度の最終予算と比較すると、54億8、800余万円、5.8%の増加となっておる。
 第1項医業収益は880億9、500余万円で、1目入院収益は486億3、200余万円、2目外来収益は351億1、600余万円である。また、3目その他の医業収益は43億4、600余万円で、その主なものは健康診断料等の公衆衛生活動収益である。
 第2項医業外収益は114億700余万円であるが、その主なものは、2目他会計補助金26億8、800余万円は共済組合追加費用に充てるための一般会計からの補助金、4目負担金交付金77億800余万円は高度医療や不採算地区病院等に係る一般会計からの負担金及び次のページに参って6目その他医業外収益5億600余万円は不動産貸付料等である。
 第3項特別利益8億1、900余万円は、大船渡病院跡地などを売却するものである。
 次に支出についてであるが、第1款病院事業費用は1、007億2、900余万円である。その内容は、第1項医業費用は948億5、600余万円で、その主なものは、1目給与費484億3、000余万円、2目材料費339億6、900余万円、3目経費84億8、400余万円、5目減価償却費34億8、400余万円である。
 次のページに参って、第2項医業外費用は51億700余万円であるが、その主なものは、1目の企業債等に係る支払い利息46億2、000余万円である。
 第3項特別損失7億5、900余万円は、大船渡病院の旧建物の除却費などや千厩及び東和病院の移転費用等である。
 以上、病院事業収益の合計額1、003億2、200余万円に対して、費用の合計額は1、007億2、900余万円となり、収益収支差し引き4億624万3、000円の純損失が見込まれ、この結果平成7年度末の累積欠損金は97億1、306万1、000円となるものである。
 次に、資本的収入及び支出について御説明申し上げる。438ページをお開き願う。
 資本的収入の総額は176億5、300余万円であるが、その主なものは、第1項企業債153億6、700万円で、これは、さきに業務の予定量で御説明申し上げた、胆沢病院の移転新築を初めとする病院等の施設整備費及び医療器械の整備費等に充てるためのものである。
 第2項出資金3億4、800余万円は、施設整備及び企業債の償還等に充てるための―般会計からの出資金である。
 第3項負担金18億300余万円は、施設整備等に充てるための―般会計からの負担金である。
 次に、資本的支出であるが、その総額は207億100余万円である。
 次のページに参って、その主なものは、第1項建設改良費162億3、300余万円であるが、その内容は、2目建物費117億4、700余万円は、先ほど御説明申し上げた病院等の建築費及び3目医療器械費39億7、700余万円である。
 第2項企業債償還金は41億4、800余万円。
 第4項開発費は、情報処理システム等の開発費3億1、100余万円である。
 なお、440ページ以下の資金計画、給与費明細書及び財務諸表については説明を省略させていただく。
 以上で説明を終わる。よろしく御審議くださるようお願い申し上げる。

〇佐藤副委員長 ただいまの説明に対し質疑ないか。

〇三河委員 それでは、質問をさせていただく。本県の県営医療は、発足以来40年余にわたるたゆまぬ努力により、今や全国にその例を見ない日本―の医療供給システムを誇るまでに発展をしておる。特に、急速に進展する高齢化の中にあって在宅医療の推進や医学、医術の進歩に伴う医療の高度化、専門化、さらには、県民の医療ニーズ、保健、福祉との連携など、多様をきわめる近年の医療環境の変化のもとにあって、県民医療の供給体制の拡充を図るため、医師の確保を初めとするマンパワーの充実や計画的な施設整備などに努められるとともに、職員の昼夜を分かたぬ努力により公的医療機関として、その役割を果たしておることに対し、改めて敬意を表する次第である。
 このような状況の中にあって、県立病院に寄せる期待はますます高まっていくものと考えられるが、現下の国の医療費抑制策のもと、先ほどの医療局長の説明にもあったように、今後においても第3次、4次医療法の改正、施設の類型化など、病院を取り巻く経営環境は、殊のほか厳しさを増していくものと予測されるが、県民医療の確保のため、今後とも一層の御努力をお願いを申し上げる次第である。
 それでは、平成7年度予算に関連してお伺いをする。
 ただいまの説明によると、年々事業規模は拡大しておるわけであるが、平成7年度も連続の赤字予算となり、累積欠損金も97億円台と、昭和57年度末の88億余万円を上回る過去最高を記録するものである。確かに累積欠損金は、これまでの40有余年の事業活動の結果であることは承知しており、これまでの医療局の説明によると、赤字の状況にあっても資金繰りは大丈夫と聞いて安心をしておるものであるが、このように多額の赤字ともなると事業経営上支障を来すのではないかと危惧をするものである。そこで、まずこのような赤字となる要因はどこにあるのか、お聞かせをいただく。
 また、いろいろな医療情報を見ると、都道府県立病院においては、平成6年度よりさらに30%弱も赤字がふえるように報道されておる。本県でも7年度予算を見る限りでは、累積欠損金100億円にならんとしており、このような経営環境を踏まえ、今後、経営改善にどのように取り組んでいかれるおつもりか、あわせてお伺いをする。

〇中村医療局長 赤字要因についてであるが、委員御指摘のとおりであって、国においては医療費の伸びを国民所得の伸び以下に抑えるべく医療費を抑制をしている現状にある。全国病院団体連合の資料を見ても、過去13年間で人件費が43.2%、消費者物価指数は30.2%上昇しておるところであるが、医療費は実質でわずかに4.7%しか上がっておらない状況にある。これを医療局の予算にあわせて見ると、例えば、長期経営計画を策定した平成3年から平成6年までの診療報酬改定の増収額と給与改定所要額の差を見ても、約20億円の不足を来しておるところであるし、また、平成元年度に創設された消費税についても、薬品等医療材料の購入などに係る経費について仕入れ控除できない部分が多額に生じておる状況にある。そういうことから、事業運営の約90%を占める診療報酬が実態を適正に反映しておる改定になっていないということが、収支を圧迫し赤字の大きな原因となっているものと考えておる。このような状況から、全国知事会及び全国自冶体病院協議会等の全国組織を通じて、適最な診療報酬になるよう繰り返し改定要望を行ってまいりたいと考えておるが、今後とも経営環境は厳しいものと理解しておる。
 そういうところから経営改善の取り組みについてであるが、厳しい見通しのもとにあるので、長期経営計画を着実に実行していくためには多額の投資が必要である。そのためには経営基盤の安定確立なくしては計画の推進が難しいというところから、主体的な取り組みとして経営改善を積極的に推進するため、緊急収支1%達成運動を平成3年度から継続して実施しておるところであるし、また、平成5年度の下期からは個々の医療行為の請求漏れ、あるいは調定漏れの防止、あるいはさらに一層良質な医療を提供して患者さんを確保するという点に着目して、病院の規模別に診療科ごとに診療行為を指標化して、各病院で経営研究会を開いておるところである。そういう経営研究会の場を通しながら、医師を初めとする病院スタッフの経営意識と申すか、原価意識の啓発を行いながら、今後とも健全経営に向けて頑張って取り組んでいきたいと考えておる。

〇三河委員 次に、長期経営計画についてであるが、国においては、医療法の改正を初め、医療改革は着実に進展しており、現下の厳しい医療環境を踏まえ、また、予想以上に進展をする高齢化社会に向けて、県営医療としても対応が求められるものと思う。長期経営計画は、急激に変化する医療環境に、将来を展望した良質で効率的な医療供給体制の整備と、安定した経営基盤の確立に向けて、事業活動の基本的方向を示したものと承知しておる。このような厳しい医療環境にありながらも、県民の医療ニーズにこたえ、良質な医療サービスを提供し続けていくために、より確かな計画の対応を望むものである。そこで、現在、新組織をつくって取り組まれているようであるが、長期経営計画の見通しをどのような視点から行おうとされておるのか、お伺いをする。

〇中村医療局長 長期経営計画後期の見直しの視点であるが、現在、検討を進めておる中期中間見直しは、今後における医療政策の展開方向あるいは現計画の進捗状況などを踏まえながら、平成8年度を初年度とする後期5ヵ年の経営計画を策定するもので、その主な検討項目としては、それぞれの病院が持つべき機能をより明確にし、診療科と医師の配置基準あるいは病床数など診療機能の見直しのほか、効率的な県立病院のネットワークシステムの構築や市町村立病院、診療所への支援体制のあり方についても検討を要するものと考えておるし、また、良質な医療サービスを支える、安定した経営基盤の確立のため諸経費の節減効率化、薬品等材料の廉価購入あるいは民間活力の活用方法等についても、具体的な経営健全化方策について検討してまいりたいと考えておる。いずれ先人の貴重な努力によって築き上げられたこの県営医療が、将来とも発展していくためには、しっかりとした土台づくりが肝要であるので、この中間見直しに当たってはいろんな視点から取り組んでまいる考えである。

〇三河委員 次に、医師確保対策である。
 良質な医療サービスを安定的に供給していくためには、医師の確保、定着は重要な問題であり、また、地域住民にとっても切実な願いでもある。そこで、さきの新聞報道にあったように、本年地元医大に本県出身の入学者はわずか5名である。年々減少傾向にあるようであって、医大自体でも本県出身者の絶対数が少なく、医師確保をめぐっては厳しい状況下にあると承知しておる。このような中にあって、事業運営の重点課題として必死に取り組まれ、年々充足されてきておることに対し高く評価をするが、診療科を標榜しているものの、常勤医師が配置されておらず、大学からの応援で対応しているため、診療のたびに医師が交代し安心して診療が受けられないという苦情が聞かれる。患者さんの信頼と継続した診療が受けられるようにするために、安定した医師の確保は不可欠である。平成6年度における医師の確保状況について今後の取り組みについてお伺いをする。

〇松森参事兼計画推進室長兼医師対策監 ただいまの平成6年度の医師確保の状況と今後の取り組みについてであるが、平成6年度の医師確保については、医療法に定める必要医師数を確保するということ、2つ目には、眼科及び耳鼻科などの特定診療科の医師を確保するということ、それから3つ目には、県北地域あるいは小規模病院の医師を確保するという、この3点を重点的に進めてまいった。その結果、平成7年2月1日現在では、正規医師が404名、常勤臨時医師が94名、合計で498名となっておる。これは5年度末と比較すると、正規医師では28人の増、常勤臨時医師では6名の減となっておるが、トータルで22名の増加となったものである。これを5年前の元年度と比較してみた場合に、正規医師では73人、常勤臨時医師では8人、合わせて81人の増加と、年々増加となってきておるものである。
 次に、眼科及び耳鼻科医師の確保であるが、大学においてもその絶対数が不足しておって、今の確保が非常に困難な状況にあるが、今年度は耳鼻科の医師を釜石、高田、―戸などへ岩手あるいは東北大学からの派遣で確保しておる。
 それから、県北地域及び小規模病院の医師確保については、福岡病院に内科、それから軽米病院にも内科を確保するなど強化を図っておる。また、懸案となっておった大東病院の医師の確保については、新年度4月1日付をもって2名の確保が見込まれたところである。
 次に、今後の取り組みについてであるが、全国的に医師過剰時代と言われてきておるけれども、高齢化社会が進み、医療需要がますます増大する一方、医師の専門分化が進み、医師不足は依然として解消されない状況にある。限りある医療資源の効果的、効率的な地域配分を行い医療機関の相互連携と機能分担による均衡ある適正な医師配置に努めてまいりたいと考えておる。また、安定した医師の確保を行うためには、これまでと同様に地元岩手医科大学及び東北大学などとの連携を強化しながら、さらには、東北地方以外の大学からの確保にもより積極的に働きかけるなど、医師の確保に努力してまいりたいと考えておる。

〇三河委員 次に、病院の耐震についての状況についてお伺いをする。
 阪神・淡路大震災で被災された5、400名を超えるとうとい人命が失われ、今なお多くの方々がけがや病気等で療養を余儀なくされておるところである。厚生省が去る1月26日に、兵庫県医師会等を通じて集計された兵庫県内の病院、診療所の被害状況の公表によると、地震またはその後の火災で全半壊、焼失により病院または病棟が使用不能の被害に遭った病院は13病院、全体の3.5%、壁の亀裂や高架水槽の破損等を受けた施設は190施設で、全体の55.6%に及び、全体の約6割近くの病院が壊滅状態となったと報じられておる。本県では、大正12年盛岡気象台が開設されて以来、震度6以上の地震はなく震度5は7回発生をしておるものの幸いにして大きな被害はなかったようであるが、特に病院の場合、災害時には最後のとりでとなって負傷者の治療等に当たる施設であり、より安全な施設整備が求められるわけである。建物の設計上にどのような配慮がされているのか、お伺いをする。

〇藤沢管理課長 病院の耐震設計についてであるが、基本的には建築基準法の耐震基準、これで設計施工しておる。この建築基準法も大きな地震があるたびにいろいろ変わって強化されてきておるわけであって、現在は昭和55年に策定された、いわゆる新耐震設計基準こういうものに基づいて設計施工しておるものである。さらに、県立病院においては、この上に建設大臣の官房の御指導がある重要度係数というものを上積みして、防災拠点としての機能の確保を行っているものである。したがって、現在の県立病院の耐震設計は昭和54年度以前の建物については震度5を確保しておる。それから、昭和55年度以降のものについて、4階以下の低層階のものについては震度5プラス25%の補強、それから5階以上の建物については震度6プラス20から25の補強ということの設計施工である。

〇三河委員 新しい久慈病院については、ぜひ災害に強い施設の建設に配慮くださるようお願いする。
 最後に、医療局におかれては、このたびの阪神・淡路大震災に対し全国に先駆けていち早く職員の派遣を行うなど、対応策が講じられ、28病院の組織医療の心強さを改めて感じた次第である。今後とも救急医療の充実等、ますます地域に信頼される医療局として発展されることを期待をして終わりとする。

〇大倉委員 医療局長に1つだけお伺いをしたいと思う。
 先ほど冒頭、うっかりミスについての謝罪の弁があったけれども それと関連をしたいと思う。県立宮古病院の医療のうっかりミスが2月末、新聞やテレビで報道され大きな話題になった。私は見ていないが、タモリの笑っていいともという番組で取り上げられて、岩手の田舎ぶりということで笑い話にされたようであるけれども、63歳のこの女性患者にとれば笑うに笑えない深刻な問題である。私はおととい5日の日、この家の御主人とたまたまお会いをした。私は宮古病院運営委員として、また、県議会議員としてまず心からのおわびとお見舞いを申し上げ、患者の状況をお尋ねをした。この患者は今、正常な方の右足の回復のためリハビリに専念をしていて、股関節炎だった左足のリハビリはまだなようである。だから相当退院が遅くなるのではないかと推察をされる。東京にいる家族からの問い合わせもあったり、お孫さんの世話など、大変御主人は困惑しておった。患者に対して病院側からおわびがあったようであるが、医療局長から先ほど今後の対応について、病院長会議を開くなどの対応が示されたが、本人、家族にどのような対応をなさるおつもりか。

〇中村医療局長 今回の医療過誤については、県民の医療を預かる者としてまことに残念なことだと考え、そして患者さんはもとより、家族の方々に申しわけなく存じておるところである。医療局としても、今後二度とこういう事故がないように十分に注意を喚起するとともに、また、県民の信頼の回復に努めていくことが最大の責務であると感じておって、患者さんの1日も早い御回復をお祈りしているところである。

〇大倉委員 わかったようでわからないような、医療局長、宮古へ行ってこの御家族にお会いするつもりはないか。局長がもしおいでになれない、日程的にどうしてもとれないというときは、しかるべき人を派遣して、まずおわびをするという誠意を示すべきだと私は思うんであるが、いかがであるか。

〇中村医療局長 現在は1日も早い回復の様子を見守っておるところであって、その様子を見ながら対応したいとは考えておる。

〇大倉委員 さっき言ったけれども、大変御主人は、別にお医者さんをなじったり、批判したり、非難したり、医療局当局に対してどうこうのというつもりはないようである。むしろかえって個室に移してもらったりなど、対応については感謝をしている。そういう心優しい人であるだけに、私は医療局が本当に誠意を持って、申しわけなかったというおわびをすべきだとしかもそれはさっき言ったように、今大変、奥さんが入院しているわけで困惑している。男手1つでやっているわけであるから、お孫さんの世話で大変だということもあるから、その誠意の示し方というのは私は早い方がいいと思っているんで、ひとつ善処方をお願いをする。

〇中村医療局長 患者さんからもいろいろ御心配いただいておって、大変ありがたく感じておるところである。したがって、今こういう状況になってちょっといろいろ騒がしい面もあると現地の病院からも聞いておるが、早々には参ってぜひおわびをしたいとは考えておる。

〇横田委員 当該委員であるから極めて項目的にお尋ねする。
 まず、県立病院の委託、派遣業務についてお尋ねする。
 派遣、委託業務は労働者派遣法で業務の形態、業務内容を厳しく制約しているはずであるが、現在、法違反の実態はないであろうか。法違反の実態がある場合はどのように対処なさるのであるか。
 次に、救急医療体制について専門の委員会を設置して検討していると聞き及ぶが、その内容、結果はどういうものであるか。
 最後に、救急医療の問題については、大船渡とか久慈とか、高次医療、その他についていろいろ知事からの言明があったようである。これについては環境保健部のことがいろいろあるようであるが、県として人員配置については、県立病院の職員定数を当てにしないというか、県病は県病として定数を守っていくということについて、これは質問することは不向きだと思うので、きっちりと皆さんは職員定数を守ってやっていっていただきたいということを要望したいと存ずる。
 前の方の件は御質問である。

〇中村医療局長 厳しい経営環境にあることから、業務の運営の効率化が求められておるわけであるが、患者中心の医療の展開あるいは職員が専門性の高い業務に専念できるよう体制を確立するため、民間活力の導入が必要だとは認識しておるところであって、今後においても、そういう面から必要であろうというようには考えておるが、導入に当たっては他県の事例あるいは監督官庁の指導も得ながら、ぜひ対応してまいりたいというように考えておるので、御了承を賜りたいと思う。

〇高橋職員課長 救急医療体制の関連で委員会の検討内容等についての御質問と存ずるが、週40時間勤務推進委員会をつくって、その中で今検討している段階であって、3月の末に委員会の最終的な協議された結果が医療局長に報告されるという予定になっておる。その結果を踏まえて、業務量に応じた必要適切な要員の配置を前提とした救急医療に係る勤務体制について検討してまいりたいと、そういうように考えておる。

〇舘沢委員 3点についてお伺いする。
 最初に、県立病院の施設整備についてお尋ねをしたいと思う。
 長期計画によると、病院は30年後をおおむねの目安として改築されているということであり、同計画は平成8年度から12年度までの後期について現在見直し中とのことであるが、現計画でも、現在工事に着手している胆沢、千厩、東和を初め、実施計画中の久慈病院に加え、少なくともあと5病院の改築が予定され、医療機能は大幅に向上が図られることにより、良質な医療を提供されることは、大変力強く、また、喜ばしく思うものである。このようにたくさんの病院を手がけられているわけであるが、各病院の進捗状況はいかがなものであろうか。
 また、反面、施設整備には多額の投資が件い、これが病院経営に影響を及ぼすこととならないのかと懸念するものであるが、累積赤字が100億円にならんとするとき、これらの投資が経営に支障を来すこととならないのかどうか、あわせてお伺いをする。

〇中村医療局長 病院の施設整備であるが、県民の医療ニーズに対応しながら、医療の高度化あるいは医療需要に対応していくためには、施設整備は不可欠なものと考えておる。したがって、今後とも建設投資額と収支バランスとを総合的に勘案しながら、計画的な整備に努めてまいりたいと考えている。
 進捗状況等については管理課長から答弁させる。

〇藤沢管理課長 病院整備の状況であるが、平成3年度に策定された長期経営計画全体に比べてみると、全体では大体半年くらいのおくれになっておる。ただ、今は過去最高の4つの病院の移転新築に鋭意取り組んでおるところである。契約しておる3つの病院、東和病院については大体20%のできである。千厩病院については内部に着手して全体で大体40%、それから胆沢病院については今くい打ちをやっているところである。それぞれ予定した開院に向けて契約時に策定した工程表から見ると、おおむね順調に進んでおるところである。それから、まだ契約しておらないが、久慈病院について今、設計中であって、秋ごろには工事に入れるのかなと、そう思っておる。
 これら病院整備には多額の費用を要するわけであるけれども、平成6年度は大船渡病院が最終ということもあって大体200億円くらいの規模になった。ことしは160億程度の規模である。今契約しておる胆沢、久慈がそれぞれ8年度、9年度、最終年度を迎えると、8年、9年までは200億台の事業規模になるのかなと、そう思っておるところである。これらが損益に影響を及ぼすのは企業債の利息、これの3分の1、それから病院の改善等に件う減価償却費、この2つなわけであるけれども、この2つの合計もそれぞれ毎年上がってはきておるけれども、運営の規模というか、そちらの方も大きくなっておるので、入院なり外来収益に占めるこの利息なり減価償却の率というのは、大体10%前後でずっと安定した数字になっておる。また、全国の様子を見ると岩手県の数字というのは大体70から80%という数字で、高い数字にはなっておらないので、現時点で考える限りでは経営上、特に圧迫しているという数字にはなっておらないのではないかなと、そう考えておる。

〇舘沢委員 それでは次に、医療器械整備についてお伺いするが、日進月歩と言われるこの医療にあって日常の診断に的確に対応し、より確かな診断をしていくためには、医療器械の果たす役割は大きく、診療機能の向上にとって、医療器械の整備充実は重要な課題であると思うわけである。県立病院においては、これまで年々計画的に整備され、特にも改築等には、多額の費用をかけ医療器械の整備に当たられており、先月オープンした大船渡病院も13億円近い額と聞いているわけである。しかしながら、これら器械の耐用年数は平均で5年から6年とのことであり、それからすると昭和62年整備の中央病院は、移転から7年、間もなく8年を経過しようとしておるが、既に更新の時期を過ぎているのではないかと思われるし、また、やがて宮古病院、大船渡病院と大型病院でもいずれその時期がやってくるものと思うわけである。医療器械の整備に当たっての予算措置のルールは、昨年9月の決算特別委員会で説明をいただいたところであるが、特に中央病院の更新整備について平成7年度でどう予算措置をされたのか、お伺いをする。

〇伊藤業務課長 中央病院の新築移転時における医療器械の整備額は、リースによる整備を含めて約37億円であるが、これらの医療器械の更新に係る所要額は約40億円と見込まれておる。したがって、更新を要する多額の医療器械を通常整備の予算で整備することは、他の病院の医療器械の整備に多大な影響を及ぼすことになるので、関係部局と協議して、通常整備とは別枠として3ヵ年計画で更新することとして、初年度である平成7年度予算には10億4、000万円を措置しているものである。

〇舘沢委員 それでは、最後に救急医療の現状についてお伺いしたいと思う。
 近年の高齢化の進展に伴って、心疾患あるいは脳疾患等の患者が増加しておることから、これら患者への速やかで高度な対応が求められているわけである。県においては、緊急時の高度な医療供給体制の構築を目指して、本県における緊急医療のあり方について検討するため、岩手県救急医療検討会を発足させたところであるわけであるが、そこでお伺いするが、県立病院で取り扱われている救急医療の現状と、今後の充実に向けどのように取り組んでいかれるつもりなのか、あわせてお伺いする。

〇伊藤業務課長 県立病院における救急医療体制は初期救急医療については精神病院を除く26病院が対応して、2次救急医療については病院群輪番制として広域中核病院を中心とする18病院が参加して対応しているところである。また、本年度からの週40時間勤務制を実施するに当たり、救急患者の多い広域中核病院等においては、従来からの医師のオンコール体制や診療放射線技師等の待機制に加えて、診療放射線技師等による土曜日または日曜日等の休日における日直制度を実施するなど、受け入れ態勢の充実を図ってきたところである。救急患者数は平成6年12月末の1日平均で、320人となっておる。前年度と比較すると約30%の増加になっている状況である。ちなみに、県内の病院における外来患者に対する県立病院の利用割合は48%であるが、県内の救急施設における時間外の救急患者に対する県立病院の利用割合は51%となっておる。
 今後の対応については、各病院が地域の救急医療に果たす役割に応じた体制をとることを基本としながら、現在検討中である岩手県救急医療検討会における結果を踏まえ、救急医療体制の充実に努めてまいりたいと考えておる。

〇佐藤副委員長 ほかに質疑ないか。
    〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇佐藤副委員長 質疑がないようなので、これで医療局関係の質疑を終わる。
 次に、地方労働委員会事務局長から、地方労働委員会関係の説明を求める。

〇藤田地方労働委員会事務局長 それでは、地方労働委員会関係の予算について御説明申し上げる。
 便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げるので、説明書の148ページをお開き願う。
 第5款労働費第3項労働委員会費のうち1目委員会費3、424万余円は、委員の報酬及び委員会運営に要する経費であり、2目の事務局費1億3、222万余円は、事務局職員の人件費等、事務局の管理運営に要する経費である。
 以上で地方労働委員会関係の予算についての御説明を終わる。よろしく御審議のほどお願いする。

〇佐藤副委員長 ただいまの説明に対し質疑ないか。

〇阿部委員 最近の労働争議にかかわってお伺いをしたいわけであるが、労働委員会に持ち込まれる労働争議の傾向というのはどういう傾向になっているのか、あわせて、どの程度の件数が持ち込まれていらっしゃるのかお伺いする。

〇藤田地方労働委員会事務局長 最近の労働委員会に持ち込まれる労働事件数であるけれども、10年前ほどは大変多くあったけれども、最近は労使関係が安定しているという事情もあって、だんだん少なくなってきた。ただ、平成6年度は不況の影響もあって若干ふえておる。具体的な数字を申し上げると、うちはいわゆる労働争議の調整事件と不当労働行為の救済事件を扱っておるわけであるけれども、平成5年度は調整案件が8件あったけれども、平成6年度は3件であるし、不当労働行為の方は平成5年度1件、平成6年が1件という状況である。ただ、そのほかにも相談件数が数件ある。

〇阿部委員 そこで、労働委員会に持ち込まれている争議のうち、調整に係る部分で、この委員会を通じてあっせん等で解決できた案件というのはどのくらいあるのか。

〇藤田地方労働委員会事務局長 いろいろなケースがあるけれども、持ち込まれた案件の中で、例えばその後労使交渉が円滑にいって取り下げられるというケースもあるし、また、実際に委員会の方であっせんに入って解決するというものもある。平成6年度の3件の例を見れば、1件は途中で労使交渉が円滑にいって取り下げられた。それから、もう1件については、調整に入ったけれども、なかなか労使関係の合意が得られなくて、それは打ち切りということになっておるし、もう1件は調整委員の努力の結果、円満に解決したというものもあるが、最近どういう割合になっているかということであるけれども、打ち切り、それから取り下げ、それから解決というのが大体同じ程度じゃないかと思っておる。

〇阿部委員 取り下げだとか解決については問題がないと思うが、問題は、労働委員会が調停等に入って打ち切らざるを得ないという状況なわけであるが、このことについては、いずれ基本的には労使間の問題ということは重々承知をしているわけであるけれども、ただ、そのための争議解決機関として労働委員会というのが設置されているわけであるから、もう少し労働者側あるいは経営者側も含めて強力な指導なり調整能力があってもいいのではないかという感じがするわけであるが、その辺についての所感はどのようにお持ちかお伺いする。

〇藤田地方労働委員会事務局長 今、委員からお話あったとおり、労使関係というのは基本的には自主的に解決するのが一番いいわけである。ただ、最近の事件は、いろいろの感情的なしこりとかあって、もつれてきているものが多いということで、なかなか解決に時間がかかるというのがある。ただ、私どもがやるわけでなくて、会長があっせん委員を指名して、あっせん委員の方があっせんに当たるわけであるけれども、事務局としては、あっせん委員の方ができるだけ円滑にあっせん活動ができるように、労使双方間の事情聴取とか、あるいは情報等を得ながら、何とか解決に向けた処理をしたいということで努力をしているところである。

〇戸羽委員長 質疑がないようなので、これで地方労働委員会関係の質疑を終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。
 本日はこれをもって散会する。
   午後2時15分 散 会


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