平成7年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇農林漁業振興対策特別副委員長(谷藤裕明君) 農林漁業振興対策特別委員会の調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 本委員会は、平成5年6月定例会において設置されて以来、7回にわたり委員会を開催し、農林漁業に関する諸課題について県当局から説明を求め、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外調査を各2回実施するなど、21世紀を見通した、さらには激動する社会経済情勢にも適切に対応した本県農林漁業のあり方、振興策等について調査、検討を重ねてまいりました。この間、委員会が発足した平成5年には、未曾有の大冷害に見舞われ、農業県である本県は大きな被害をこうむりました。次年度の米の種もみ不足も深刻となり、急遽沖繩県に対し、本県の米のオリジナル品種である岩手34号と36号の種もみの緊急増殖を依頼するに至ったのでありますが、沖繩県の農業関係者の方々には、事情を御理解の上快く御承引いただくこととなり、本県農業関係者はもとより、県民ひとしく喜び、そして感謝の気持ちでいっぱいになりましたことは、各位御案内のとおりであります。
 そのような状況を踏まえ、本委員会としては昨年2月に沖繩県を訪れ、同県農林水産部を表敬訪問したほか、種もみの増殖地である同県石垣市に参り、委託農家の方々を初め地元関係者の方々と懇談し、感謝の意を伝えるとともに激励してまいったところであります。本県及び沖繩県の関係者の方々の努力が実り、昨年秋には大豊作の朗報がもたらされ、また、新品種の名称もかけはしとゆめさんさという、親しみやすい、かつ、すばらしい名称に決定されたところであります。さらに、米を通じ、いろんな面で本県と沖繩県との交流が活発となり、両県での物産展の開催や農業者同士の人的交流も促進されるなど、両県は強いきずなで結ばれ、それぞれの県のイメージアップにも一役を買うこととなったところであります。まさに、米はさまざまな実りを私たちにもたらしてくれました。この場をお借りいたしまして、改めて関係者の方々に心から感謝申し上げるとともに、今後においても農業の振興になお一層御尽力されますよう、お願い申し上げておきたいと思います。 さて、県においては、平成3年12月、21世紀に向けた農林漁業振興の指針となる第3次新いわて農業確立計画、第5次岩手県林業基本計画及び第3次岩手県水産業基本計画がそれぞれ策定され、地域の特性に配慮した各般の施策が積極的に推進されております。また、平成8年度には、全国食文化交流プラザ事業の本県開催が内定したと伺っております。高品質で豊かな本県の農林水産物、食品素材を広く全国にPRできる絶好の機会であると思います。県においては、関係機関などとの連携、協調しながら、事業の成功に向けて万全を期されるようこの際要望しておきます。
 以下、調査事件について、諸施策の進捗状況などを踏まえながら申し述べさせていただきます。
 初めに、農業の振興に関する調査のうち、効率の高い農業生産体制の確立についてであります。
 本県の農業構造は、農業労働力の減少、高齢化が進行しており、また、経営規模の拡大が進みがたい状況にあることから、まず、米、畜産に加え、野菜、花卉など収益性の高い園芸作物の積極的な導入、拡大を図るなど、地域の農業資源を高度に活用し、農業全体の生産性を高めていく必要があります。また、地域農業の中心的担い手として活躍するすぐれた農業者を育成し、これら担い手を中心とした農作業の受託組織や法人化など生産の組織化を図りながら、地域の農地、労働力、機械施設など、利用調整などを促進し、地域全体として効率の高い地域ぐるみ農業を形成することが重要であります。県においては、効率の高い農業構造の確立を関係機関、団体と一体となって推進するため、昨年7月に農業構造政策推進大綱(新しい農業生産体制づくりのために)が策定されたところでありますが、先進的な農業経営改善の取り組み事例を普及指導活動を通して広く波及させるとともに、県独自の施策や国の諸施策も積極的に活用しながら、地域の実情に応じた具体的な取り組みについての積極的な支援、指導を望むものであります。
 次に、農業の振興に関する調査のうち、農産物加工の推進についてであります。
 農産物加工は、農産物の高付加価値化による農業所得の向上や地域の活性化を図る上からも有効であり、特にも、中山間地域においては、豊富な素材、資源を有効に活用し、地域ごとに特色ある加工を推進することが重要であります。しかし、現状においては、加工に携わる人材や組織の育成、適正規模の施設整備、商品性の高い新製品の開発、周年稼働の確保、多面的な販路の拡大などの諸課題を抱えていることから、これら諸課題を解決するためには、県農産物加工指導センターや農産物加工指導アドバイザーの活用による加工技術の向上、各種補助事業や融資制度の活用による施設整備、消費者志向に対応した新商品の開発促進、加工品目の組み合わせによる周年稼働のできる体制づくりの促進、広範な販売ルートを持っている企業、デパート、生協などとの連携強化を一層推進する必要があると考えます。
 本県においては、一昨年の冷害により大きな被害をこうむった際、県内の漬物加工業者の方々が、加工用原料の確保に大変苦労なさったと伺っております。どのような条件下においても、一定の品質の加工用原料を安定的に確保できる体制を確立することは、地場産業の振興の面からも商品の安定供給の面からも極めて重要であると思われますので、県においては契約栽培などによる産地の育成、強化に努力するとともに、加工用原料の価格の安定にも意を用いる必要があると考えます。また、県においては、先ごろ首都圏へのアンテナショップの設置がなされたと伺っておりますが、今後においては、このアンテナショップを大いに活用したすぐれた県産品のPRの仕方を工夫する必要があります。具体的には、テレビ、ラジオ、新聞、映画など、あらゆる広報媒体を活用することはもとより、本県独自の他県に先駆けた独創的で思い切ったPRの方法を検討し、それによりPRを継続的に展開していくことこそ、その一方策ではないでしょうか。アンテナショップが名実ともにいわゆるいわてブランドの情報発信基地となり、さらに充実されていくことが、とりもなおさず農業の振興、発展に結びつくものと思いますので、なお一層の努力をお願いしたいと思います。
 次に、農業の振興に関する調査のうち、農村における生活環境の整備についてであります。
 農村には、豊かな緑、清らかな大気や水、美しい景観など誇るべき自然、郷土芸能、伝統芸能などの歴史的資産があり、また、人情豊かな近隣関係が保たれ、安全で新鮮な食料や自然と調和したゆとりのある住環境にあるものの、生活環境基盤の整備が都市部に比べ立ちおくれている状況にあります。快適で活力ある農村社会を建設するためには、そこに住む人々が生涯誇りを持って定住し快適な生活が送れるよう、農業の振興とあわせて、道路、下水道などの保健衛生施設、コミュニティー施設などの基礎的な生活環境基盤の整備を図ることが肝要であり、特に農業集落排水施設などの重点的な整備を図ることが必要であると考えます。
 次に、林業の振興に関する調査のうち、木材の生産・流通についてであります。
 全国の木材需要量を見ると、おおむね1億立方メートル前後で推移をしており、これに対する供給は外材が主であり、また、国産材価格も低迷している現状にあることから、流通対策は全国的な課題の1つとなっております。
 まず、素材の流通対策についてでありますが、零細な素材生産事業体の協業化、共同化等組織化を促進するとともに、近代的雇用体制の整った新しい事業体組織の設立と高性能機械と共同利用する機械化センターを設置するなど、計画的、安定的な素材生産体制の確立を図ることが重要であります。また、素材需要に対応した素材生産体制を整備するには、木材流通センターの整備拡充を図るとともに、生産者と需要者双方の情報を収集、提供する木材総合情報センターを設置するなど、合理的な流通システムの確立を図ることも肝要であります。
 次に、製材品についてでありますが、木材関連企業の共同化、再編などを助長するとともに、経営規模の拡大と施設の合理化を図ることにより、地域の特性を生かした木材産業の拠点づくりを進め、また、多様化する消費者ニーズと大口需要者への安定供給に対するため、木材製品集出荷センターを設立するとともに、流通コストの低減、効率化を図るため、素材の流通情報をも兼ね備えた木材総合情報センターの設置を進めることが必要であると考えます。
 次に、林業の振興に関する調査のうち、山村における生活環境の整備についてであります。
 本県の山村は、広い面積を有し、農林産物などの安定供給、自然環境の保全、県土の保全に貢献するとともに、豊かな緑、清らかな水、美しい景観や伝統文化などの歴史的資産にも恵まれ、森林性のレクリエーションの場の提供を通じて、豊かな県民生活の実現に重要な役割を果たしておりますが、山村の集落は地形的にも急峻なところに位置し、都市部に比べ道路、上水道、下水道などの生活環境基盤の整備が立ちおくれております。したがいまして、林業集落定住基盤整備事業による集落道の整備に積極的に取り組み、林業生産基盤と一体となった整備を推進するとともに、上水道、下水道の整備を計画的に進め、また、これとあわせて安らぎや潤いの場ともなる森林公園などの整備を進める必要があると考えます。
 次に、水産業の振興に関する調査に関し、若干申し述べておきたいと思います。
 まず、内水面漁業の振興についてであります。
 本県について、基幹産業の1つとなっている漁業は、沿岸部のみならず、内陸部における内水面漁業という形で各地において行われており、地域に根差した産業となっております。本県の緑豊かな自然ときれいな水を活用した内水面漁業を活性化させることは、地域の振興、特にも中山間地域の振興の観点からも非常に重要であると考えます。県においては、内水面水産技術センターが中心となって漁業者への技術指導などの支援を初め、諸施策の積極的な推進を図る必要があると考えます。
 第2点目は、県水産技術センターの拡充強化と魚介藻類の病害対策についてであります。
 水産技術センターは、水産技術の高度化を推進し水産業の振興に寄与する目的で、総合的な試験研究機関として昨年釜石市に開所をされましたが、今後さまざまな研究成果がもたらされ、水産業の振興の先導的役割を果たしていくものと期待されております。そこで、重要なのがその研究成果をどう活用するかであります。研究成果を地域に還元、反映させるためには、地域拠点となる同センターのサブセンター的施設の設置が不可欠と思われます。所要の検討を進める必要があると考えます。また、魚介藻類の病害対策については、同センターにおいて研究・技術指導が行われているところでございますが、特にワカメについては、最近、病気の発生、蔓延が懸念されているところでもあり、これら病害対策については万全を期す必要があると考えます。
 次に、水産業の振興に関する調査のうち、水産物の流通加工対策についてであります。 本県の水産物の流通加工の現状を見ると、全国に比べ練り製品、冷凍食品などの高次加工品の割合が低く、また、クリーンルームを設置した衛生的な加工施設が少ない状況にあり、さらに多様な消費者ニーズに対応した新商品の開発が課題となっております。今後においては、補助事業、加工機械類貸与制度などを活用し、高次加工施設やクリーンルームを設置した近代的な加工施設の整備を積極的に推進することが重要であります。また、新商品開発については、県水産技術センターの利用加工部において積極的に取り組むとともに、同センターの水産開放実験室の利用を促進するなど、加工業者の新商品開発を支援するとともに、近年、活発な活動を展開している水産加工業界の若手研究グループの活動を、積極的に支援していく必要があると考えます。
 次に、水産業の振興に関する調査のうち、漁村における生活環境の整備についてであります。
 本県の漁村は、さきに述べた山村と同様、都市部に比べ、道路、上水道、下水道などの生活環境基盤の整備が立ちおくれており、地域から道路を初め、潤いの場ともなる緑地広場などの整備を求める声が高まってきている現状にあります。
 道路については、漁港整備長期計画により関連道や集落道の整備が進められておりますが、国道などの主要道路や漁業集落を結ぶ幹線道路に比べ集落内の道路は未整備箇所が多いことから、この整備に積極的に取り組む必要があります。
 また、飲用水や排水施設について計画的な整備を行うとともに、緑地広場などについては精神的豊かさ、自然志向による漁村の生活環境へのニーズに適切に対応した地域の環境の保全、向上に配慮した整備を積極的に進めることが重要であります。
 最後に、県当局におかれましては、以上述べました意見や要望などに十分に配慮されまして、本県農林業の振興、発展のため、なお一層の努力を傾注されますことを希望いたしまして報告といたします。(拍手)
〇議長(佐々木俊夫君) 次に、三河人材・福祉対策特別委員長。
   〔人材・福祉対策特別委員長三河喜美男君登壇〕(拍手)
〇人材・福祉対策特別委員長(三河喜美男君) 人材・福祉対策特別委員会の調査の経過と結果につきまして御報告をいたします。
 当委員会は、平成5年6月定例会において設置されて以来、7回にわたり委員会を開催し、人材育成の推進を初め、国際交流の推進、文化、体育、スポーツの振興、保健医療、福祉の充実増進の4項目を主要テーマとして、県当局から説明を求め、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外の現地調査をそれぞれ2回実施してまいりました。
 まず、人材育成の推進に関する調査についてでありますが、今日、技術革新、情報化、国際化、高齢化が一層進展するとともに、所得水準の向上や自由時間の増大などにより、人々の生活意識や価値観が多様化してきております。このような中にあって、県民1人1人が社会の変化に適応しながら、生きがいのある人生を創造し、活力に満ちた地域社会を築いていくためには、生涯にわたって主体的、継続的に学習をすることができ、その成果が適正に評価される生涯学習社会を構築していくことが重要であります。県においては、生涯学習推進本部を中心とした生涯学習関連施策の効果的な推進や、県、市町村における生涯学習推進体制の整備充実を図るとともに、県民の多様かつ高度な学習要求にこたえるため、生涯学習推進センターの整備や社会教育関係職員の研修の充実に積極的に取り組んできたところであります。今後においても、新しい郷土岩手をつくる有為な人材を育成するため、家庭、学校、地域社会が教育におけるそれぞれの機能を高め、連携を強化しながら、生涯学習社会の構築に向けて広くその環境の整備を図られることを期待するものであります。
 次に、国際交流の推進に関する調査についてでありますが、今日の国際社会は、政治、経済面での相互依存関係が強まるとともに、学術、文化面での交流もますます活発化してきており、また、国内の各地域においても、渡航者や外国人入国者の増加など、国際化が着実に進展し、国際交流に対する意識も高まってきております。このような状況の中にあって、地方公共団体としても国際化の進展に対応し、総合的な国際交流施策を積極的、計画的に推進していくことが求められているところであります。県においては、国際化の動向に適切に対応していくため、語学指導等を行う外国人青年の招致、海外技術研修員の受け入れ、青年海外協力隊の派遣などを通じて、国際理解教育の充実や国際協力の推進に努めるとともに、先般、国際交流の一層の推進を図るため、その活動の場となる岩手県立国際交流プラザを整備したところであります。今後ますます国際化が進展するものと予想されることから、今後においても、県民の国際理解を高め、意識の涵養を図りながら、国際交流拠点施設の整備、外国人受け入れ態勢の整備などにも鋭意取り組まれ、本県の豊かな文化、風土に根差した特色ある国際交流を推進し、世界に開かれた活力ある地域社会の形成に努められるよう望むものであります。
 次に、文化、体育、スポーツの振興に関する調査についてであります。
 本格的な生涯学習社会を迎え、県民の芸術や文化に対する関心と期待が高まってきております。このことは、一昨年本県で開催された国民文化祭いわて'93が成功のうちに終了したこと、また、昨年、県立博物館で開催された中尊寺黄金秘宝展に4万人を超える人々が入場したこと等に典型的にあらわれております。地域に根差した文化を創造するためには、県内各地に所在する貴重な文化財を県民共有の財産として保護するとともに、文化財に対する県民の理解を深めることが大切であります。近年、急激な生活様式の変化によって失われようとしている文化財も存在することから、県においては、その保護と活用を図るために文化財の指定や保存展示施設の整備を図るとともに、史跡の公有化や埋蔵文化財の発掘調査等を促進してきたところであります。今後においては、広範囲にわたる各種文化財の調査と保護、管理の徹底を図ることはもとより、歴史、文化に関する研究機関の整備に取り組むとともに、文化財を県民の身近なものとして日常生活や学習の中に生かしていくため、それらの公開と活用を促進されるよう期待するものであります。
 次に、平成11年度全国高等学校総合体育大会についてでありますが、この大会を本県で開催することは、単に本県高校生のスポーツ振興のみならず、県民の体育、スポーツの振興と21世紀を担う心豊かでたくましい青少年の育成、ひいては地域の活性化と県勢の発展に資するものであります。県においては、競技種目別会場地の選定、専任職員の配置、準備態勢の検討などに取り組んでこられたところでありますが、今後においては、市町村、関係団体との連携を強化しながら、準備態勢の拡充、強化、児童生徒の参加意識の高揚、県民に向けた大会内容の周知、選手強化対策の充実等に積極的に取り組まれるよう要望するものであります。
 次に、保健医療、福祉の充実増進に関する調査についてでありますが、我が国では、平均寿命の伸展や出生率の低下によって高齢化が進んでおり、活力と潤いに満ちた長寿社会を形成するためには、総合的な長寿社会対策を着実に進める必要があります。特に保健医療、福祉の分野においては、県民のニーズが増大かつ多様化してきております。このため、保健医療、福祉のそれぞれのサービスを充実することはもとより、相互の連携の強化を図りながら、計画的かつ総合的なサービスの供給システムの構築を進め、すべての県民が生涯を通じ、必要なときに必要なところで必要とするサービスの提供を受けることのできる体制の整備を図る必要があります。県においては、地域の事情に応じた保健医療、福祉のきめ細かなサービス供給体制を整備するため、高齢者保健福祉計画を策定し、老人保健施設、特別養護老人ホーム、ケアハウス等の整備を促進し、また、いわてリハビリテーションセンターを整備するなど、保健医療、福祉体制の整備を図るとともに、それを支える人材の育成、確保にも努めてきたところであります。今後においては、少子、高齢社会への適切な対応を図るため、いわゆる新ゴールドプランやエンゼルプランに沿って、保健医療、福祉サービスをより一層充実するよう望むものであります。
 県当局におかれましては、本委員会の意見や要望などに十分配慮され、今後、一層努力されることを切望いたしまして報告といたします。(拍手)
〇議長(佐々木俊夫君) 次に、折居岩手のイメージアップ推進対策特別委員長。
   〔岩手のイメージアップ推進対策特別委員長折居明広君登壇〕(拍手)
〇岩手のイメージアップ推進対策特別委員長(折居明広君) 岩手のイメージアップ推進対策特別委員会の調査の経過と結果につきまして御報告申し上げます。
 本委員会は、平成5年6月定例会において、イメージアップの方策等に関する調査、生活環境保全に関する調査及び大規模催事の推進に関する調査を付託事件として設置されて以来、7回にわたり委員会を開催するとともに、県内、県外の現地調査を各2回実施してまいりました。
 まず、イメージアップを図るための方策等に関する調査についてでありますが、地域間交流が活発化する中で、地域の活性化や産業の振興を図る上でも良好な地域イメージの形成が重要となってきており、全国的にも、ここ数年、県のキャッチフレーズやシンボルマークの制定、テレビコマーシャルの実施など、地域のイメージアップを図るためのさまざまな取り組みが行われているところであります。本県においても、観光情報誌岩手王国の発刊や新たなキャッチフレーズ岩手の風にふれたくての制定、3大都市圏における交通広告による大型キャンペーンの実施などにより観光情報の発信を強化するとともに、岩手のイメージについての全国調査を行うなど、イメージアップに向けての取り組みを積極的に行ってきたところであります。今後は、全国調査の結果をもとに、岩手の新しい魅力づくりにも大いに取り組みながら、本県のイメージを高めるよう、種々の施策に積極的に取り組まれることを要望いたします。
 また、景観形成推進事業につきましては、平成5年10月に岩手の景観の保全と創造に関する条例を制定し、景観形成基本方針などを決定しているところでありますが、県民が誇りと愛着を持つことができる美しい県土の実現に向けて今後の施策の展開を期待するものであります。
 なお、交通安全の確保につきましては、本県の交通死亡事故の多発に伴い、特に回数を重ね、重点的に調査してまいりました。県においては、生活福祉部や警察本部を中心に各種交通安全施策の推進を図っているところでありますが、交通事故を防止し、安全で住みよいまちをつくることは県民すべての悲願であることから、議会においても交通死亡事故の防止に関する決議を行う必要があると判断し、今定例会に委員会として決議案を提出したところであります。
 次に、生活環境保全に関する調査でありますが、岩手のイメージを形成する点で、ごみの散乱防止対策は重要な課題であります。県においては、クリーン岩手運動推進要綱を中心に散乱ごみ対策などに取り組んでいるところでありますが、現実には、ごみのいわゆるポイ捨てが後を絶たない状況にあります。したがいまして、各種団体や市町村の連携はもとより、住民1人1人の意識の高揚を図ることが肝要と思われることから、住民に対する啓発活動や環境教育への取り組みのなお一層の充実、強化を要望するものであります。今後とも、地域の特性や課題に対応した快適な生活環境の保全と創造を図るため、積極的な取り組みを期待いたします。
 最後に、大規模催事の推進に関する調査についてでありますが、第8回国民文化祭いわて'93が成功裏のうちに終了し、いわゆる県の4大イベントがすべて大成功に終わり、本県のイメージを大いに高めたところであります。また、平成6年10月には、国際家族年を記念した初の行事である全国ファミリンピックいわて大会が開催されるなど、その後も各種のイベントに積極的に取り組んできているところであり、今後においても全国豊かな海づくり大会や全国菓子大博覧会の開催などが予定されているところであります。これら大規模イベントの開催は、本県の文化、歴史、風土等を国内外に紹介し、イメージアップを図る絶好の機会であるとともに、産業、文化の振興、国際交流等、地域の活性化を図る上で極めて重要なことと考えられます。県においては、大規模イベント構想連絡会議の設置やイベント振興主査の設置など、今後においても大規模イベントの計画及び招致を積極的に推進することとしているところでありますが、これらの開催に当たっては、単に一過性のものに終わらせることのないよう、各種イベントの成果を踏まえ、県民が一体となって取り組むことはもちろん、イベント終了後の地域振興についても考慮しながら具体的な事業に取り組む必要があるところであります。
 終わりに、県当局におかれましては、これまでの本委員会の意見や要望等に十分配意され、岩手のイメージアップに向けて今後一層努力されることを強く要望いたしまして、岩手のイメージアップ推進対策特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(佐々木俊夫君) 次に、藤原地域振興対策特別委員長。
   〔地域振興対策特別委員長藤原良信君登壇〕(拍手)
〇地域振興対策特別委員長(藤原良信君) 地域振興対策特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告申し上げます。
 本委員会は、平成5年6月定例会において設置されて以来、7回にわたり委員会を開催し、地域振興対策の推進を初め、4項目のテーマについて県当局の説明を求め、質疑、討論、意見の交換を行うとともに、県内、県外の現地調査をそれぞれ2回実施してまいりました。
 まず、地域振興対策の推進に関する調査でありますが、盛岡南地区都市開発整備事業については、盛岡駅西口地区や既存市街地と連携して、都市型の産業拠点機能等に居住機能を組み合わせた、いわゆる複合的な魅力あるまちづくりを進めていこうとするものであります。盛岡都市圏の新しい地域社会の中心としてふさわしい新都市機能を総合的に整備するよう要望するものであります。
 観光による地域振興については、本県の観光客入り込み状況を見ますと、平成5年は3、848万人回に達し、異常気象や景気の低迷等の影響によりやや低調であったものの、各種キャンペーンの実施や、あるいは広域観光ルートを初めとした各種観光施設の整備等により、ここ数年は堅調に推移し、また、大規模イベントについても昨年の全国ファミリンピックいわて大会、全国ボランティアフェスティバルなどに引き続き、平成9年度以降は全国和牛能力共進会などの開催が予定されているところであります。今後におきましては、観光地間競争がますます激化してくるものと予想されますので、魅力ある観光地づくりやキャンペーン活動などを積極的に展開するとともに、大規模イベントの開催は、地域産業の振興はもとより、国際交流の推進、地域住民の意識の高揚など、地域の活性化を図る上で極めて重要であると考えますことから、引き続き大規模イベントの計画、招致を積極的に推進されるよう要望するものであります。
 次に、科学技術振興対策の推進に関する調査でありますが、科学技術は、産業経済の発展や生活水準の向上に大きく貢献しており、経済の活性化や地域資源等の活用を図る上で極めて重要な役割を果たしております。県におきましては、東北インテリジェント・コスモス構想をぜひ推進していただきたいと思います。昨年7月には超伝導工学研究所分室が招致され、本県に集積するエレクトロニクス産業やメカトロニクス産業等の高付加価値化や関連産業の立地の面で将来的に大きな波及効果が期待されるものであります。今後におきましても、本県の特性を生かした先端的、独創的な科学や学術研究を振興し、北の学術研究機能集積構想の実現に向けて積極的に取り組まれるよう要望するものであります。
 次に、資源・エネルギーの確保に関する調査でありますが、地熱熱水供給事業実証調査事業は、葛根田地熱発電所に発電蒸気とともに湧出する熱水を地域暖房、給湯、工業等に多目的利用するため、国の委託を受けて、技術的、経済的に未解決な分野の総合的実証調査を15年の歳月をかけて行ってきたところでありますが、地熱資源を有効に活用して地域の振興を図り、住民福祉の向上に役立てるために、今後、地熱熱水の一層の効率化や利用普及に努力されるよう要望するものであります。
 最後に、総合交通体系の推進に関する調査でありますが、まず、道路整備は、高規格幹線道路から市町村道に至る体系的かつ総合的道路ネットワークの整備を目指してその整備に努めてきたところでありますが、高規格幹線道路は東北横断道の北上以西間が供用を開始され、三陸縦貫自動車道、八戸久慈自動車道など、着実に進展してきているところであります。今後は、これら高規格幹線道路のもたらす効果を広く県内に波及させるとともに、地域間交流促進の隘路となっている峠道の解消等のために交流ネットワーク道路整備事業や地域高規格道路を一層整備することにより地域交流が促進され、地域特性を生かした主体的な地域振興に一層の弾みがつくことが期待されます。
 また、鉄道については、東北新幹線盛岡以北の本格着工が実現するとともに、盛岡-秋田間の直行特急化事業、いわゆるミニ新幹線事業が順調に進むなど、高速鉄道の整備も進展してきております。
 花巻空港の整備については、滑走路の強度不足により小型ジェット機しか就航できなかったのでありますが、昨年度と今年度の2カ年で滑走路のかさ上げ工事等を実施し、平成7年度からは中型ジェット機の就航が可能になり、さらに、官民一体となって空港の利用促進を積極的に展開されたことにより、昨年9月には関西空港への乗り入れが実現するなど、本県における高速交通幹線の整備は着実に進展してきております。
 今後におきましては、生産、生活両面にわたる交通基盤の整備に向け、高規格幹線道路や東北新幹線盛岡以北の整備、空港機能の強化等、高速交通幹線を軸に、幹線道路、鉄道等が一体となった交通網を整備するとともに、日常生活に最も密着した地域交通の確保を図られるよう要望するものであります。
 終わりに、県当局におかれましては、これまで申し上げました諸点に配慮しながら、今後とも県民生活の向上を図るため、地域の振興について一層努力されんことを要望いたしまして地域振興対策特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(佐々木俊夫君) お諮りいたします。各調査事件についてはこれをもって調査を終了したいと思いますが、これに御異議ございませんか。 
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木俊夫君) 御異議なしと認めます。よって、各調査事件についてはこれをもって調査を終了することに決定いたしました。
   日程第57 発議案第2号阪神・淡路大震災の復興と震災対策の推進についてから日程第60 発議案第5号交通死亡事故の防止に関する決議まで
〇議長(佐々木俊夫君) 次に、日程第57、発議案第2号から日程第60、発議案第5号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木俊夫君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより発議案第4号過去の戦争を反省し、未来の平和への決意を表明する決議を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木俊夫君) 起立多数であります。よって、発議案第4号過去の戦争を反省し、未来の平和への決意を表明する決議は原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第2号、発議案第3号及び発議案第5号を一括して採決いたします。
 各案件は原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木俊夫君) 起立全員であります。よって、発議案第2号、発議案第3号及び発議案第5号は原案のとおり可決されました。
 
   知事のあいさつ
〇議長(佐々木俊夫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 知事から発言を求められておりますので、この際発言を許します。工藤知事。
   〔知事工藤巌君登壇〕

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