平成7年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(小原宣良君) 日本社会党・県民共同の小原宣良でございます。
 まずもって、このたびの阪神・淡路大震災によってお亡くなりになられました皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様の一刻も早い復興を御祈念申し上げる次第でございます。
 以下、通告の順にお伺いいたします。
 初めに、ボランティアの育成と活動に対する支援についてお伺いいたします。
 このたびの阪神・淡路大震災においては、主婦の方々や、学生など若者たちがたくさん救援に駆けつけたとの報道に接し、大変頼もしく、また、その熱い思いに敬意を表するものでございます。また、せっかく何かしたいとの思いで現地に行っても、どこで何をしたらいいのかわからなく、その善意がむだになる場合もあるとも報道されております。欧米などでは、ボランティア活動は社会制度の中に組み込まれており、今回も海外の救援団体の行動は素早かったと伝えております。2年前、カンボジアで亡くなった中田厚仁さんのお父さんで、国際ボランティア名誉大使である中田武仁さんは、2月21日付朝日新聞紙上で、行政のおくれを指摘する声もあるが、日常生活を想定している自治体に非日常的な緊急処置を期待するのは無理だ。ボランティア団体と行政が手を組めば、もっと敏速で的確な仕事ができると思うと述べております。ボランティア活動とその支援は、県政においても重要な課題と位置づけられているところでございます。今回の大震災の多くの犠牲の上に立ったとうとい教訓を、本県においてもどのように生かすのか、これからの大変重要な課題であろうかと存じます。
 質問の第1点は、県民から寄せられました多くの支援物資の輸送に当たって、多数のボランティアの皆さんの協力があったと聞いておりますが、どのような呼びかけの方法をとられたのか、また、その状況はどのようなものであったのか、お伺いをいたします。
 第2点は、現地被災者の要望にこたえるには、現地で的確に指揮するコーディネーターが必要と言われますが、こうした指導者の養成はどのようになされているでしょうか。
 第3点として、このように非常に重要な役割を果たすことができるボランティア活動を、今後さらに推進していくために、このたびの震災救援活動からどのようなことを教訓として感じ取られたのか、お伺いをいたします。
 関連して教育長にお伺いをいたします。
 今回の大震災の救援活動に当たり、福祉協力指定校の反応が早かったと聞いておりますが、ボランティア関係の学校教育はどのようになされているのか、今後の方針も含めてお伺いをいたします。
 次に、財政問題についてお伺いいたします。
 1995年度の地方財政を取り巻く状況は、極めて厳しいものがございます。法人関係地方税を中心とする税収の伸び悩みと、景気対策等に伴う地方債の増発という二重の面で財政悪化が進み、借金依存体質を強めているからであります。こうした中で、1995年度地方財政対策の最大の焦点は、94年度の5兆8、779億円を上回る約6兆9、500億円の地方財源収支財源不足額にどのように対処し、必要な地方財源を確保するかにかかっているものと思われます。当面、交付税特別会計借入金と地方債とで対応することとなったようでありますが、将来に大きな不安材料を残したのではないかと懸念するものでございます。今後においては、地方分権とのかかわりの中で、交付税制度そのものの改革を含め、総合的な検討がなされるべきと考えます。
 さて、本県の1995年度当初予算はいわゆる骨格予算であり、対前年度比較でマイナス6・5%となっていることから、収支バランスの是非を論ずることは必ずしも適当ではないと考えますが、ともあれ、歳入面の確保に当たっては大変な御苦労があるものと推察をする次第でございます。
 質問の第1は、地方交付税の当初計上額は2、191億円余となっておりますが、年度内トータルとしてどのような伸びを見込んでおられるのか、お伺いをいたします。伸びが期待できないとすれば、県債発行か、または事業縮小となる以外にないのでありますが、いかがでしょうか。
 第2は、市町村合併に係る財政措置の充実についてであります。
 国は、市町村の自主的合併を推進する観点から、合併市町村におけるまちづくりを支援するとともに、その行財政基盤の強化を図るため財政措置を充実するとしているようであり、その中で、合併算定がえの適用期間を、現行の5年度間から10年度間に延長するとしているようであります。これらの措置によって、北上、盛岡両市における財政的メリットをどのように把握されておられるのか、お伺いをいたします。
 次に、首都機能移転問題への本県の対応についてお伺いいたします。
 首都機能移転問題を審議している政府の国会等移転調査会新都市部会は、昨年11月に、新首都ビジョンを提示した中間的取りまとめを公表いたしました。これによりますと、新首都づくりの基本理念として、日本国憲法の制定以後の我が国の歩みを踏まえ、新首都づくりを通じて国際社会に対してアピールすることにふさわしいテーマを総合的に検討し、国と国、人と人、人と自然とのかかわりを考慮して、平和、文化、環境の3つとする。これは、将来にわたって、国際平和を希求する我が国の立場を内外に明示すること。これまでひたすら経済大国の道を歩んできた我が国が、真に豊かさが実感でき、世界に誇れるような文化国家へと発展すること。地球規模で取り組むべき人と自然との共生という課題に対しても、先導的役割を果たしていくことを期待したものであるとする日本の進路を象徴する都市像を示しております。新首都イメージの一部分ではありますが、これからの都市づくりにとって大変示唆に富んだ方向性をくみ取ることができるものと考えます。
 昨年12月15日付河北新報の社説は、新段階迎える新首都論議と題して、東北から積極的な提言を行うべきだと主張しております。この社説の中で、国会等移転調査会が提唱する小都市群のイメージは、過密の首都圏や開発され尽くした太平洋ベルト地帯よりも、豊かな自然環境に恵まれた東北にこそふさわしい。東北は早くからこの問題に関心を持ち、地域としての提言も行ってきた。新首都建設論議が新段階を迎えた今、東北としての新しい取り組みを考えたいというものであります。
 もう1つは、昨年12月5日付日本経済新聞に掲載をされました衆議院議員村田敬次郎氏のインタビュー記事でございます。超党派の議員連盟である新首都推進懇談会の会長を務める村田氏は、新首都建設の条件はとの問いに対して、広大な用地が確保でき、大地震など災害に強く、水資源が豊富で交通至便なところが必要だ。リニアモーターカーで東京から1時間半程度のところが望ましい。こういう場所は国内で10カ所ぐらいあると述べております。さらに、このインタビューで、国土庁のアンケートなどでは東京から北の方向を支持する声が強いがどうかとの問いに、国土の北側が発展余地の大きい地域であるのは確かで、北上川流域や仙台周辺、福島、栃木県那須高原などが当てはまる。ただ、余り東京に近過ぎてはいけないと述べております。
 ちなみに、この首都機能移転の検討は、ことしの夏には国会等移転調査会基本部会が中間報告を出し、これをもとに、来年春をめどに、移転先の選定基準や移転の時期を盛り込んだ最終答申をまとめるとしているものであります。
 私は、この問題に強い関心を持つものでありますが、工藤知事は、この首都機能移転問題をどのようにとらえているでしょうか。また、東北知事会などでどのような意見交換がなされているものでしょうか。誘致運動を展開すべき性格のものかどうかはわかりませんが、少なくとも、首都機能を補完する役割を担う用意は持ち合わせるべきと考えるのでありますが、知事の御所見を承りたいと存じます。
 次に、自治体平和施策の展開についてお伺いいたします。
 東西冷戦構造の終えんは、平和の時代の到来の実現可能性を示しましたが、その後の国際的な動向の推移は、平和な時代への過程が決して平たんなものではないことを示しております。しかし、不確定さを残しながらも、平和な時代到来への展望が開けつつある今日、平和政策をいかに展開するかは、人類の未来にとって極めて重要な課題でございます。大規模な国家間戦争の危機が去った一方で、小規模な国家間や国内の民族間の紛争が激化する状況が生まれているのも事実であります。こうした時代に、ともすれば攻撃的、管理的である国家と違って、武装することのない地域の公共機関である自治体が持つ平和施策の意義は、国際的にも、国内的にもますます大きくなっていると認識をいたしております。自治体の平和外交の推進が、平和の時代の実現を確実なものにするかぎを握っていると言っても過言ではないと思います。
 私は、戦争で父を亡くした遺族の1人として、戦没者追悼式にとどまらず、積極的な平和施策の展開を望むものであります。日本は平和憲法を持ち、歴代内閣は非核3原則を掲げています。また、人口の60%以上の自治体で非核自治体宣言を決議しております。戦後50年という節目の年を迎える今こそ、積極的に自治体平和施策を展開し、平和・非核のメッセージを国際社会に発信することの意義はまことに大きいものがございます。県は、早い機会に非核自治体の仲間入りをすると同時に、県内市町村の先頭に立って、戦争のない平和な社会を築くために奮闘すべきであると思いますが、いかがでしょうか、お考えをお示し願います。
 次に、農業問題についてお伺いいたします。
 質問の第1は、岩手型農業の展開についてであります。
 本県は、温暖な県南地方、冷涼な中山間地、やませの常襲地帯である県北、沿岸地方など、多様な気象条件、地形、土質を有しており、これらを有効に活用した岩手の農業を確立する必要があると考えます。とりわけ、中山間地農業のあり方については、環境と調和のとれた農業の展開、そして付加価値を高める工夫など、今後の中山間地農業の展望をどうお持ちか、知事の御所見を承りたいと存じます。
 第2は、農家負債対策についてであります。
 近年の農産物価格の低迷やウルグアイ・ラウンド農業合意の実施などにより、農業を取り巻く情勢は大変厳しくなっております。このため、農業経営が悪化する農家が増加してくるのではないかと危惧いたしているところであります。
 顧みますと、戦前戦後を通じて、本県の農家は、自然災害とともに負債との闘いの歴史と言っても過言ではないと思います。最近では、昭和59年度から取り組まれました農家経済更生対策が記憶に新しいのであります。この問題は、若干下火になっているようにも見受けられますが、むしろ、総じて顕在化してきているのではないでしょうか。今後、この厳しい農業環境を反映して、再び大きな地域問題、社会問題とならないよう願うものであります。
 そこで、お伺いいたしますが、これまでの県の農家負債対策の取り組みと経営改善の状況はどのようになっているでしょうか。また、負債を抱えながらも、将来とも農業経営を維持、継続し、あるいは発展していこうとする農家の肩の荷を軽くすることが、経営の指導とともに重要なことであると思います。こういう農家を資金面で救済、支援するような施策についてどのように考えているか、お示しいただきたいと存じます。
 第3は、農業生産物の利用拡大のための研究開発についてであります。
 本県は、その気候、風土を生かした多様な農産物を産出しておりますが、その生産者と本県の地域工業者との結びつきを強化し、農業と工業の双方を振興する観点が重要であると考えております。農業者にとっては、その生産物の安定的な生産と収入の確保につながるとともに、地域の製造業者にとっては、地域の特色ある商品開発により、全国市場に向けて成長する機会が得られるのであります。このためには、県内外の消費者市場をにらんだ競争力のある商品の開発が基本となるのであり、その研究開発の充実こそが求められていると思います。設備や研究員を充実された工業技術センターにおいて、県産原料の利用増大につながる研究開発について、いかに取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
 第4は、地場産業の振興についてであります。
 本県に豊富に存在する農産物はもちろんのこと、県産原料を活用した地場産業の振興を図るため、これらを具体化する機関として、地域における産業団体、金融機関、県・市町村などで構成する、仮称でありますが、地域総合開発機構を設置し、地域の特性を生かして、地域全体の複合型産業の振興や企業興しなど地場産業を一層促進してはどうかと考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、環境基本条例の制定についてお伺いいたします。
 環境基本法の制定に伴い、国は昨年12月、環境基本計画を策定し、循環、共生、参加及び国際的取り組みが実現される社会を構築することを長期的な目標として掲げ、その実現のための施策の大綱、各主体の役割、政策手段のあり方を定めました。各自治体においては、総合的かつ計画的な環境施策を推進することが望まれており、そのための政策手法の1つとして、環境基本条例の制定がございます。この条例制定に当たっては、自治体のすべての行政分野を通じて、総合的な環境施策に対応できるものでなければならないことはもちろんでありますが、住民参加を保障するものでなければならないことも当然であります。
 そこで、お伺いいたしますが、本県における環境基本条例の制定をいつごろとお考えか。また、県内市町村に対し、同条例制定について、どのような指導を行うお考えか、お伺いをいたします。
 次に、行政の情報化と地域情報化の推進についてお伺いいたします。
 今日の経済社会活動を支えているものとして、コンピューターは大きな役割を果たしており、技術進歩により、データの処理、加工、蓄積などの機能は飛躍的な発展を遂げております。また、コンピューターが情報通信ネットワークと結びつくことにより、情報は時間や空間を越えて利用されるようになっております。このような中で、自治体におけるコンピューターの利用も、例えば県においては、税務、福祉など県民に直結する業務や、財務会計、土木設計積算など、行政内部の多くの業務に活用しているのを初め、地域情報化や全国的なネットワークなど広範に活用され始めております。今、情報化政策の中で最も重要なことは、行政における情報化とともに、この発展した新技術を住民自治の確立のためにどう生かしていくかという点にあろうかと存じます。本来、地域に暮らしている住民が自治体行政に参加し、住民自治を実現するためには、何よりも住民が自治体行政や地域について十分な情報を持っていることが必要であります。
 また、自治体が地域において情報化の施策を展開する地域情報化は始まったばかりであり、計画実施に伴う費用対効果の問題などの課題もあろうかと存じますが、それぞれの地域での経済活性化と生活の豊かさを進める上で、地域の情報センターとしての自治体の役割と情報発信機能の拡大は、今後大きな役割を果たすものと考えます。もちろん、プライバシーの保護に十分留意すべきことは言うまでもございません。
 質問の第1は、県におけるコンピューターシステムを活用した業務はどの程度になっているでしょうか。また、システムが整備されても、十分にその機能が生かされるためには、職員の研修も極めて重要と考えますが、どのような体系でなされているでしょうか。さらには、政策判断を支援すると思われるデータベースの構築についてはどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 第2は、郵政省などにより、光ファイバー網による情報通信基盤の整備が具体化しつつあり、2010年までには各家庭までカバーするとされていますが、このような状況を踏まえ、県民が電子化された行政の情報にパソコンを通じてアクセスできるようなシステムの構築について、県として検討すべき課題ではないでしょうか。ぜひ、お考えをお示しいただきたいと存じます。
 次に、保健所の機能強化についてお伺いいたします。
 地域における保健所の役割は、今後ますます大きく、重要性を増してくるものと思われます。保健所は近年、安全な食糧を求める県民のニーズにこたえるためにも、食品の安全性の確保を図ることはもちろんのこと、食品衛生管理思想の普及など、県民生活の基盤を支えていること、また、少子・高齢化社会を迎え、地域保健、予防、医療機関との連携など、多様な要望にこたえるため、懸命の努力をいただいていることに敬意を表する次第でございます。
 また、市町村の老人保健福祉計画の実施段階を迎え、市町村との連携は一層重要となってきました。私の地元北上市は料飲店が多くあり、衛生管理面においても、保健所と環境衛生同業組合、料飲店組合、調理師会などが一体となって事故防止対策などに当たっているところであります。加えて、環境保全対策については、公害防止や水質管理面などについても、県民の強い期待が寄せられているところであります。つきましては、保健所の機能強化策について、県当局のお考えをお伺いしておきたいと存じます。
 次に、バスなどの地域交通問題についてお伺いいたします。
 乗り合いバスや在来鉄道は、地域住民の足としてこれまでも大きな役割を果たしてきたところであり、とりわけ人口の流出が進む過疎地域にあっては、高齢者や学生などにとって、なくてはならない交通手段となっております。しかし、近年、人口の減少と自家用車の普及などから利用者が減少し、バス路線が廃止に陥るケースが増加する状況にあるなど、憂慮にたえないところであります。過疎地域の路線を初めとする多くの不採算路線の乗り合いバス事業の赤字は、補助金のほか、一部の採算路線や高速バス路線などからの内部補助と、貸し切り事業等の兼業部分の黒字で埋められているのが現状でございます。地方バスへの補助金交付実績によりますと、第2種路線バスが地方バス補助金の約8割を占めているようであります。最近は廃止路線代替バスへの補助金の割合が高まっているようでもあります。これは、過疎地域における民間バス事業の経営が成り立ちにくく、民間バスが撤退した後の住民の足の確保のために、自治体みずからがバスの運行を余儀なくされているからにほかなりません。このように、経営環境が厳しく、路線の維持・確保が課題となっている現状については、在来鉄道も同様と考えられるところであります。
 こうしたバス、鉄道等の地域交通については、地域住民にとって不可欠な交通手段として極めて重要なものであり、大都市でも、地方でも、平等にその恩恵を享受できることが望ましい姿と考えられます。問題は、地方における必要な路線等をどのように確保していくのか。具体的には、民間事業者のみでは成り立たない事業について、そのサービスの提供に必要な経費をだれが負担すべきか、国を含めて公的助成のあり方を検討していくことが重要であり、現在の地域交通問題の根本は、このようなところにあるのではないかと考えているところであります。この点についての御認識をお伺いをいたします。
 また、地域に密着した地域交通については、地域の実態に即した柔軟な対応が必要と考えておりますが、こうした視点から、高齢者など住民の足の確保という、極めて公共性の高い地方バス路線維持費補助についてお伺いいたします。
 一例を挙げますと、この補助制度によって購入されましたバスについては、当該路線で走行キロの50%以上の運行が義務づけられていることから、事業者においてはダイヤ編成と運転手の勤務体制などに大変苦労しているとも聞いております。この補助制度については、平成7年度から新たな制度に移る方向にあると聞いておりますが、地域住民の利便性が高まるよう、地方バス路線維持費補助制度を改善すべきと考えますがいかがでしょうか、お伺いをいたします。
 住みよい郷土岩手の創造に向かって、県御当局のさらなる奮闘を願う次第でございます。
 最後になりましたが、工藤知事におかれましては、健康に御留意をいただき、これからも県民が親しみを持って接したいとの思いにこたえ、県民の父なる存在であることを願いつつ、私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事工藤巌君登壇〕
〇知事(工藤巌君) 小原宣良議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、首都機能移転問題への本県の対応についてでありますが、私は、首都機能の移転は東京圏への一極集中を是正し、多極分散型国土の形成など、21世紀にふさわしい国土構造の実現を図っていくという視点が極めて重要であり、加えて、地震などの大規模災害に対する安全性についても十分に留意すべきものと認識いたしております。東北地方は、地震・火山による災害が少なく、広大な土地と豊かな水や緑の資源に恵まれ、また、高速交通幹線の整備が進んでいることから、近接する東京圏の諸機能の受け入れが可能となっているところであります。このため、北海道東北地方知事会等を通じ、東北地方への国会等の移転について国に対し要望を行うとともに、昨年策定したほくとう銀河プランにおきましては、首都機能の移転を戦略プロジェクトとして掲げ、北海道・東北が一体となってその推進に取り組んでまいったところでございます。また、本県といたしましても、3県総におきまして、首都機能を積極的に受け入れながら、新しい国土の軸を形成することが重要であるとしているところであり、今後におきましても国の動向を踏まえながら、本県の果たすべき役割について十分に検討を加え、北海道・東北各県が一層の連携のもとに国に対し要望するなど、積極的に取り組むことが肝要であると存じております。
 次に、今後の中山間地域農業の展望についてでありますが、中山間地域農業の振興に当たりましては、それぞれの地域資源を高度に活用しながら、単に農産物生産にとどまらず、地場加工、商品づくりまで、一貫した取り組みによって付加価値の高い農業を展開することが肝要であると存じております。とりわけ、山間地域の農業生産につきましては、これまでの園芸、畜産に加え、いわゆる新穀類や特用林産物など、総合的に供給できる体制づくりを進めるとともに、気象条件を生かした環境にやさしい農業を推進する必要があると考えております。さらには、特色ある郷土料理を初め、地域特産物や手づくり加工品などの多彩な地域の食品や食にまつわる情報など、言うなれば、岩手ならではの食文化をトータルとして全国に向けて発信していくことも、地域の活力を高める上で極めて大事であると存じております。今後とも、こうした地域に住む方々の内発的、創造的な活動の盛り上がりを関係機関、団体が一体となって支援することにより、中山間地域農業に明るい展望が開かれるものと存じております。
 そのほかいろいろなお尋ねがございましたけれども、それぞれ関係部長より答弁をいたさせますので、御了承をいただきたいと思います。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) まず、救援物資の集配に当たり協力いただいたボランティアに対する呼びかけの方法等についてでありますが、これらの物資は、県内各市町村において延べ1、000人を超えるボランティアの協力によって集められ、物資の集積地としたふれあいランド岩手などで、岩手県社会福祉協議会が呼びかけた盛岡市とその周辺の福祉団体やボランティアグループ、あるいは福祉施設等のボランティアの方々、延べ百十数人の協力により積み込み等の作業が行われ、計画どおり発送することができたところであります。
 次に、ボランティアコーディネーター等指導者の養成についてでありますが、県社会福祉協議会のボランティアセンター事業の中で、今年度からボランティア活動のリーダー及びコーディネーターの養成事業が開始され、今年度、延べ240人以上がこの研修を受講しております。研修を受けたボランティアは、県内各地におきましてボランティア活動の啓発、組織化などの中心的な役割を担って活動しているところであります。
 次に、震災救援から何を教訓として得たかというお尋ねでありますが、今回の阪神・淡路大震災において、これまで本県からの50人余りを含む多くのボランティアが自発的に現地に赴き、救援活動の大きな力となっていることは御案内のとおりであります。しかし、このような大災害のもとでの救援ボランティア活動はこれまで例も少なく、現地での受け入れ等、今後に向けてさまざまな課題が指摘されているところであります。具体的な教訓として、1つは、ボランティアと地域のニーズを結びつけるなど、ボランティア活動を連絡調整する仕組みがないことから、ボランティアの受け入れが不十分であったり活動の地域的偏り等が見られたこと、教訓の第2は、被災者、特にも高齢者、障害者等、災害弱者と言われる方々についての情報が十分に把握されておらず、ボランティアによるきめ細かな支援が立ちおくれたこと、教訓の第3は、行政とボランティアあるいはボランティア相互の連携が十分でなく、それぞれの仕事の分かち合いが機能的に行われなかったことなどがあります。
 県といたしましては、ただいま申し上げた事柄を教訓として、災害時にも機能できるようなボランティアの連絡調整組織や情報ネットワークのあり方等について、関係の機関や団体等とともに十分に研究、検討してまいりたいというふうに考えております。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) まず、本県の地方交付税の平成7年度の見込みについてでありますが、関係省令がいまだ定められておりませんために正確な試算はできないわけでありますが、去る1月の全国総務部長会議におきまして自治省から示された目安となる伸び率、すなわち基準財政需要額につきましては、経常的経費で1・5%増、投資的経費で6・5%減、基準財政収入額では法人関係税で1・5%減、住民税所得割で3・5%増、その他の税で4・5%増などといった目安をもとに試算をいたしますと、平成7年度の普通交付税は、投資的経費の地方債への振替措置がとられていることなどもありまして、結果としておおむね前年度並みの額になるのではないかと見込まれるところであり、現時点におきましてはかなり厳しい試算値だなと受けとめております。しかしながら、平成7年度の事業執行に当たりましては、地方財政計画におきまして、地方団体全体の投資的経費の伸び率である4・6%が達成できるよう、財源対策債等の措置がとられることとなっておりますので、本県もこの趣旨に沿いまして所要の財源の確保を図ることにより、財政運営に支障が生じないよう取り進めてまいりたいと考えております。
 次に、市町村合併に係る財政措置の充実についてでありますが、これまで県といたしましても、合併市町村の財政運営が円滑に行われますように、合併に伴う財政措置の充実、強化について国に要望してまいったところでありますが、国におきましては、今国会に財政支援措置の拡充を盛り込んだ市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案を提出したところであります。この改正による各種財政措置は、原則として平成7年4月1日以後の市町村合併について適用されることになるわけでありますが、地方交付税の合併算定替えの適用期間の延長--従来5年のものを10年ということでございますが--この措置につきましては経過措置が設けられまして、平成2年4月1日以後の市町村合併についても適用されることとされております。したがいまして、平成3年4月1日の北上市それから平成4年4月1日の盛岡市につきましては、この合併算定替えの適用期間が延長されることによりまして、地方交付税の増額が図られるメリットがあると考えております。ただ、具体的な地方交付税額につきましては、需要額の算定に用います一定の率を定める自治省令の内容が明らかにされておりませんために、もちろん現在よりも有利に変わることは間違いないわけでありますけれども、現時点では計数的な把握が困難であることを御了承いただきたいと存じます。
 次に、非核自治体宣言についてでありますが、平和は人類普遍の念願であり、恒久平和の実現はすべての人々の願いであると考えております。しかしながら、それを実現するための方策につきましては、主として国政レベルの問題であり、また、さまざまな論議のあるところでもございまして、したがいまして、御提言のような宣言につきまして、本県としてこれに直ちに対応することが適当とは考えておらないところであります。
 なお、県といたしましては、地道な国際理解やあるいは諸外国の方々との交流を図ることを通じまして、平和な世界の実現に幾らかでも貢献できればと考えております。
 次に、県におけるコンピューターシステムを活用した業務についてでありますが、現在、オンライン処理されている25業務を含めて、全体で217に及ぶ業務についてコンピューター処理を行っております。特にも、平成4年3月に本庁各課、各地区合同庁舎及び各単独公所間で、瞬時に大量の情報処理ができる岩手県行政情報ネットワークシステムを構築したところでありまして、例えば財務会計事務につきまして申しますと、大幅な効率化が図られたところであります。
 一方、職員の研修につきましては、一般職員から管理監督者に至るまでOA機器操作や情報処理技術など、年間700人余りの職員を対象として研修を実施しておりますほか、システム開発等の中央研修などに対しましても積極的に職員を参加させているところであります。今後とも、職員研修につきましては、情報化の進展に対応したより効果的な研修を実施するために、絶えず研修内容の充実に努めてまいりたいと考えております。
 また、データベースの構築につきましては、現在稼働しているシステムそれぞれに関連するデータが蓄積されているところでありますが、これらの情報を統合するような統合的なデータベースの構築ということにつきましては、その方法や経費あるいは効果などについてさらに研究をする必要があると考えております。
 次に、県民がパソコンにより行政情報へアクセスできるシステムの構築ということについてでありますが、近年における情報・通信技術の発展に伴いまして、産業・経済分野や行政機関を中心に進んできた情報化は、今後はパソコン等の普及によりまして一般家庭へも浸透するものと予想されるところであります。したがいまして、そう遠くない時期に、県民がパソコンを通じて各種情報を家庭にいながらにして得られるというようなことも考えられるところであります。
 御提言のありました行政情報にアクセスできるシステムにつきましては、データベースの構築、県民の需要の動向あるいはセキュリティー対策等、幾つかの重要な問題も想定されるわけでありますが、今後の情報化施策として検討すべき課題の1つであると考えております。
   〔農政部長高橋洋介君登壇〕
〇農政部長(高橋洋介君) 農家負債対策についてのお尋ねにお答えをいたします。
 県におきましては、負債農家の経営再建に向けまして、農協中央会など関係団体との連携のもとに濃密な指導を行うとともに、農家経済更生資金などの県単の負債対策資金や国の制度資金である自作農維持資金、また、畜産特別資金等、昭和55年以降で見ますと今日まで延べ6、400件、総額にして420億円余を融通いたしまして、農家の負担の軽減に鋭意努めてきたところでございます。この結果、経営が安定あるいは自助努力によって農業経営を継続でき得るような経営体が相当数育成されてきたところではございますが、依然として固定化負債に苦慮している農家も見受けられるところでございます。また、一方では、新たな負債を抱え込む農家も少なからず生じている状況でもございます。県といたしましては、農家のこうした現状を真摯に受けとめ、ガット関連対策の一環として、明年度から創設あるいは拡充強化されます、かつてない低利な制度資金である農家負担軽減支援特別資金、自作農維持資金、農業経営基盤強化資金を導入いたしまして、関係機関、団体等との連携を密にしながら積極的にその活用を図るとともに、これらの資金の借り受け農家がみずから立てました経営改善計画を着実に達成させるため、新たに特別指導員、経営指導班等の組織を設けるなど過去の負債を整理し、効率的、安定的な経営体への移行が的確に実現されるよう、強く指導してまいりたいと考えております。
   〔商工労働部長神田隆君登壇〕
〇商工労働部長(神田隆君) 県産原料の利用増進につながる研究開発についての問題でございますが、現在、工業技術センターには、醸造食品部門といたしまして応用生物部、醸造技術部そして食品開発部の3部がございまして、本県産の原料を生かしました特色ある商品の開発に努めているところでございます。これまでにも、県産米のオリジナル品種でございますかけはしを原料といたしました清酒の試験醸造でございますとか、県産の果実を用いました各種のワインやジュース、さらにはナンブコムギを原料といたしましたパンやうどんの開発などさまざまな研究開発を行ってまいりまして、その成果を県内の企業に対しまして技術移転をさせているわけでございますが、これらの多くは本県の特産品として定着しつつあるところであります。また、現在、取り組んでおります研究テーマといたしましては、バイオテクノロジーを利用いたしましたいわゆる先端技術利用の植物たんぱく食品の開発でございますとか、県産牛を原料といたしました発酵ソーセージの開発などに努めているところであります。今後は、平成10年度に本県において開催が予定されております全国菓子大博覧会に向けまして、県産米やアワ、ヒエなどのいわゆる新穀類を素材といたしました特色あるお菓子の開発でございますとか、県産の原料のみを使いました岩手ブランドのビールの開発などについても検討を進めているところであります。工業技術センターにおきましては、本県産の原料の高付加価値につながる研究開発に今後とも積極的に取り組んでまいるという考えであります。
 次に、地場産業の振興についてでございますが、御案内のとおり、地場産業につきましては、本県の恵まれた気候風土の中ではぐくまれました各地域の原材料や技術力などを基盤といたしまして、広範な波及効果をもたらすものでございまして、地域経済の振興、発展には大きく寄与するものでございます。しかしながら、多様化する消費者ニーズに的確に対応できる特色ある商品を開発いたしまして、県内外に安定いたしました販路を拡大していくというためには、地域の特性を最大限に生かしました商品開発を基調とした生産基盤をまず整備する、さらに絶えず変化をいたします流通ルートにも迅速に対応することが不可欠であります。このために、県は新商品の開発を進めるための事業に対しまして従来から助成をしているわけでございますが、工業技術センターや産業デザインセンターの充実強化をも図りながら、販路開拓などの流通面において頑張っていかなきゃないだろうというふうに思っているわけでございますが、昭和39年には、御案内のとおり、全国に先駆けまして官民挙げての第3セクターでございます岩手県産株式会社を設立いたしまして、産地問屋としての機能の強化に努めてまいったところでございます。さらには、平成7年度からは、新商品の開発に係る制度の一層の拡充強化を図りたいと考えておりますし、地場産業振興対策を全庁的さらにかつ総合的に推進いたしますために、商工労働部の中に岩手ブランド推進室を設置いたしまして、県の関係部局はもとよりでございますが、市町村さらに各分野の試験研究機関、それに関係団体等とも連携を密にしながら、地場産業の振興に努めてまいる所存でございます。
 御提言のございました地域総合開発機構の設立につきましては、その可否を含めまして今後の研究課題とさせていただきたいと存じます。
   〔環境保健部長松本義幸君登壇〕
〇環境保健部長(松本義幸君) まず、環境基本条例の制定についてでございますが、本県では環境保全に関する基本指針といたしまして、岩手県環境保全計画というものを平成4年3月に策定いたしまして、地球環境保全対策を含む各般の環境保全施策を総合的かつ具体的に展開してまいりました。この計画は、全体としてその後制定されました環境基本法の趣旨を先取りしたものということでございまして、国からも総合計画との評価をいただいておるところでございます。今後とも、広く県民の理解と協力を得ながら、さらに本県独自の環境保全施策を展開してまいりたいと存じております。
 なお、市町村が構ずべき環境施策につきましては、個々の市町村が判断すべきものと考えておりまして、県といたしましては、市町村から条例の制定等について相談があった場合には、所要の指導をしてまいりたいと考えております。
 次に、保健所の機能強化策についてでありますが、今般の地域保健法の制定によりまして、市町村は母子保健など住民に身近な保健サービスを一元的に提供するということとなり、保健所は専門的、技術的及び広域的業務を行うことと位置づけられたわけでございます。県といたしましては、今回の制度改正に伴う保健所の見直しに際し、保健分野のみならず、生活衛生や環境保全分野の見直しも行い、保健所全体の機能強化を図る考えで現在検討を進めております。具体的には、精神保健、難病対策、エイズ対策あるいは食品の安全対策でございますとか環境保全対策などの業務の充実を進めますほか、企画調整機能、市町村に対する技術的支援機能などの強化を検討し、県民の健康や快適で安心できる生活環境の確保に、十分機能する保健所となるよう努めてまいりたいと考えております。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、地域交通問題の根本認識についてでありますが、御案内のとおり、バス及び鉄道は地域住民の日常生活の足として重要な役割を担っておりますが、近年、過疎化の進行やマイカー利用の増加などによりまして輸送人員が大幅に減少するなど、取り巻く環境はまことに厳しいものとなっております。
 このような状況の中で、事業者の経営努力が必要なことは申すまでもございませんが、その努力のみでは、サービスの提供を維持していくことは困難になってきておりますので、現在、地方バスや三陸鉄道に対する支援措置が講じられているところであります。もとより、交通サービスの提供に当たりましては、効率性が求められるのでありますが、一方では、各地域におきまして、住民が享受できるサービス水準を高めることも求められております。したがいまして、県といたしましては、今後とも市町村との連携を密にしながら、どのようにして地域住民の利便性の確保・充実を図っていくべきか、また、公的助成の可能性を含め、どのような支援を行い、どのようなサービスの提供を確保していくべきかなどにつきまして、地域交通のあり方について多面的に調査研究していく必要があると存じております。
 次に、地方バス路線維持費補助制度の改善についてでありますが、この制度は、地方におけるバス路線の運行維持対策を講ずることによりまして、バス事業の自立を図ることを目的として昭和47年度から実施されてきましたが、近年におけるバス事業を取り巻く環境は、輸送人員の減少等から一層厳しさを増してきております。御案内のとおり、平成7年度はこの制度の改正の時期に当たっておりまして、現在、国においてその見直しが行われているところであります。その概要を申し上げますと、生活路線については、制度の適用期間を5年から10年に延長し、運行回数制限等を緩和する一方で、経営改善査定制度を導入し、事業者の経営改善努力を促すものになる方向で検討されております。また、廃止路線代替バスについては、許可手続の簡素化を図るとともに、輸送の内容やサービス水準について、できる限り地方公共団体の意向を反映させる方向で検討されておりまして、また、その財源については、これを一般財源化して、地方交付税により所要の財源措置を講ずることとされております。県といたしましては、地方バス路線の維持確保について、市町村との連携を深め、制度改正の動向を的確にとらえながら、より利便性が確保されるように適切に対処してまいりたい、このように考えております。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) 学校におけるボランティア教育についてお答えいたします。
 本県における社会福祉協力校は、現在、小・中・高等学校で96校が指定を受け、老人ホームやひとり暮らしの高齢者の居宅訪問、地域の清掃などの活動に取り組んでおります。協力校においては、このたびの阪神・淡路大震災に対する救援活動として、募金活動を行った義援金や絵の具などの学用品、激励の作文などを被災地の学校に送る活動を行っているところであります。これらの活動は、奉仕活動を通して、社会奉仕、社会連帯の考え方を養うという社会福祉協力校指定の目的を、具体的な活動を通して示したものであります。なお、このようなボランティア活動は、協力校のみならず、広く県内の小・中・高等学校においても行われているところであります。
 お尋ねのありましたボランティア教育は、社会奉仕の精神を養い、公共の福祉と社会の発展に尽くす態度を育成することを重視し、将来の社会人としてのあり方や考え方を深める上で、極めて重要な教育活動ととらえ、県教育委員会といたしましては、その推進に取り組んでいるところであります。今後におきましても、協力校などの具体的活動の経験をもとに、学校教育全体を通じて、他人を思いやる心や感謝の心、公共のために尽くす心、このような心を育てる教育の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木俊夫君) 次に、舘沢秀徳君。
   〔14番舘沢秀徳君登壇〕(拍手)

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