平成7年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇38番(横田綾二君) 皆様の温かい拍手、ありがとうございました。今回をもちまして、私、一般質問は62回目と相なります。これまでの先輩同僚議員の寛仁大度に心から感謝するものでございます。
 知事におかれましては、どうぞ知事にお伺いしましたものは知事御自身なるべくお答えくださるようお願いいたします。
 さて、4年前にスタートした工藤県政が終わろうとしています。ここに私は、我が党のこの県政に対する総括的認識を示し、知事の御所見を尋ねたいと存じます。
 この4年間で評価できる相当の事績があることは否定するものではありません。しかしながら、工藤県政の実態、特徴の第1は、金権腐敗政治の中心人物に直結すると思われるゼネコン優先の利権政治がはびこったことであります。県政を舞台にしたゼネコン疑惑、談合疑惑が相次いでいます。この背景に県幹部職員のゼネコンなどへの天下りを推進している実態があります。
 第2の特徴は、政府・自民党政治の悪政の下請県政化を強めたことであります。全国23の都府県が県単独医療費助成制度で入院給食費の無料化を継続したのに対し、工藤県政は国の言いなりに有料化を強行しました。県版行革に基づく福祉切り捨てのため込み主義は、この4年間で600億円を上積みし1、536億円にも及んでいます。教育立県の実態も臨教審路線に基づく高校の多様化、再編、新学力観に基づく新たな差別と選別、管理主義教育の推進でした。
 第3の特徴は、こうした政府・自民党政治の悪政、利権政治が、社会党の国政、県政における歴史的変節、県政のオール与党化、翼賛化の中で強められたことであります。
 今や、福祉や教育、不況打開、米、農業の問題など、県民の切実な要求、願いを県民とともに県政に届けることができるのは、唯一の革新野党である日本共産党のみとなっているのではないでしょうか。以上の認識に対する知事の御見解はいかがなものでございましょうか。
 阪神大震災は5、000人を超える犠牲者を初め、戦後最悪の人的、物的被害をもたらす大惨事となりました。まず、初めに私はこれらの方々に哀悼の意を表し、心からお見舞い申し上げたいと存じます。今回の被害の大きな広がりは、大都市圏での地震災害に対して、歴代政府が事実上何の対策も持っていなかったことを浮き彫りにしました。安全保障を言うなら、軍事力の強化などではなく、世界に例のない地震国日本の国民の生命と財産を災害から守ることほど切実で重大な課題はありません。知事は、これまでのこのような政府の対応について御所見はいかがですか。
 岩手県も昨年12月28日、三陸はるか沖地震で盛岡市でも震度5を記録する地震があったばかりです。専門家は北海道、東北地域にかけて地震の活動に入っていると指摘しています。ところが岩手県の震災に関する防災計画--85年4月--は最大震度5を想定したもので、実際上、何ら必要な防災の対策がとられていないのが現状と認識します。県としての食料、飲料水の備蓄はゼロ、災害消火対策の中心部隊である消防職員は基準人員の60・7%にとどまっています。耐震性貯水槽も盛岡市など主要市でもゼロ、秋田県や宮城県で実施されている地盤調査など被害の予測や対策もほとんど手がつけられていない現状ではないですか。観測予知体制ですが、三陸沖地震では前震活動が数時間から数日前にあると言われています。ところが肝心の海底地震計も設置されていません。大切なことは、本県の大学に地震に関する専門学者が多数存在するにかかわらず、これがほとんど全く生かされていないことです。もし本県をこのような直下型地震が襲ったとするならと考えると、まさに慄然とする思いがあります。しかるに、知事演述には、一言の反省も、ろくな御所見もないというのはどういうわけでしょうか。しかも、岩手防13、震災対策編でやることになっているはずの、例えば12節の2地盤に関する調査研究などは全く等閑に付されているのではありませんか。これは怠慢ではないですか。これらについての知事の御見解を承りたいのであります。
 私は、私自身深い反省を込めて次のように提言し、答弁を求めるものでございます。
 1、県の防災計画を震度7の直下型地震にも対応できるものに改めること。それに基づき被害予測調査を行い、これに対応した防災対策に改めること。
 2、橋の点検と補強は緊急を要します。県庁、ダム、橋梁の耐震基準は具体的にどうなっているのでしょうか。耐震性の調査、補強は喫緊とされているわけですが、いかがでしょうか。
 3、防災を最優先する立場で、大型開発計画を見直しすること。その際、専門家と住民の参加を保障しなければなりません。
 4、震災時の即応態勢、救済対策を確立することでありますが、消防職員、消防団員の基準人員を速やかに確保し、消防水利73・3%、消防ポンプ自動車の整備充実を図ること。特にすべての市町村で耐震性貯水槽の設置を進めること。
 5、避難場所に想定されている学校体育施設等に暖房を設置すること。あわせて、これは現状はどうなっているのかをお示しをお願いいたします。
 6、個人被害の補償、救済制度の創設を政府に求めるとともに個人被害救済対策を確立すること。
 7、さらに地震観測と予知の体制を強化することでありますが、県内地質調査、活断層の調査を専門家を結集して進めること。
 8、岩手県地域防災計画にある震災に関する調査研究に各分野の専門家を結集して直ちに着手すること。あわせて、県民の防災意識の向上であります。この際、学者と協力し災害アセスメントとも言うべき災害危険区域図を住民に示すこと。
 以上の点につき県の御見解はいかがでしょうか。詳しくは委員会で取り上げさせていただきます。県におかれましても、引き続き各般の分野で阪神大震災の救援を可能な限り行っていくことを要望いたします。
 次に、福祉、医療の問題について質問いたします。
 1月1日付岩手日報の県民世論調査によれば、県政の課題として第1に医療、福祉の充実、32・5%が挙げられています。しかし、岩手県政の実態は、生活保護人員が10年間で9、000人も削減され、老人医療費の有料化と相次ぐ値上げで年間42億円--93年度--の自己負担額、国保税は1世帯当たりでは全国4番目に高く、保険証の未交付が434件、資格証明書発行が227件など、県民の願いに背を向けた福祉、医療政策は冷たい県政と言わなければなりません。特に昨年10月の入院給食費の有料化の強行は、村山自民党内閣に追随する工藤県政の実態を示すものとなりました。今、赤ちゃんからお年寄りまで、入院した場合、例外なく1日600円の入院給食費が徴収されています。1カ月入院すると1万8、000円にもなります。高齢者の多くは国民年金で、その受給額は月額3万円程度と言われています。そこで、お金を心配して入院もできない、退院を急ぐという深刻な事態が起きています。私の調査では、全国27都府県が単独医療費助成制度では入院給食費も助成の対象として実施する、あるいは来年度から実施予定と把握していますが、知事は、全国の過半数を超える都府県が入院給食費の無料化を実施している実態を、またその意義をどう受けとめておられますか。岩手県としてなぜ全国の流れに沿って県単独医療費助成制度について入院給食費の無料化が実施できないのか、県民に理解できるように答弁を求めます。
 先日の新聞に、公立保育料の高さに泣く親という投書がありました。ごらんになりましたか。月6万8、090円も払っていたのでは第2子など考えられませんと訴えておられます。秋田県では既に第3子以下の保育料無料化を実施していますし、県内でも遠野市、湯田町で実施されようとしています。少子化対策からも福祉の充実からも岩手県として実施を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。高過ぎると悲鳴の上がっている保育料対策のお示しをいただきたいと存じます。
 ことしは戦後50年の歴史の節目の年であります。日本共産党は戦前の侵略戦争に反対を貫いたただ一つの党として、今、改めて侵略戦争の教訓を新たにして非核平和の行政を本格的に推進すべきと考えるものです。そこで、知事に伺います。
 1、第2次世界大戦、太平洋戦争での県民の犠牲者、死者の状況はどうなっているのでしょうか。軍人、軍属のみならず民間人を含めてお示しをいただきたい。艦砲射撃や空襲による犠牲者はどうですか。こうした戦争被害の記録は、県、市町村でまとめられているのでしょうか。県として改めて第2次大戦の犠牲者など、戦争被災の記録をまとめるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 2、工藤知事は、1931年から45年までの中国に対する戦争と、1941年の真珠湾攻撃に始まる対米英戦争について、これは侵略戦争であったと認識されておられるでしょうか。
 3、被爆50年を迎えますが、既に県内市町村のうち29市町村で非核宣言が行われ宣言塔や被爆写真展、講演会など行催事も行われています。岩手県としても、被爆50周年を記念して非核平和岩手県宣言を上げ、具体的な平和行政を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。この際、県としてお考えになっておられる50周年記念事業、行催事があればお示しをいただきたいのであります。
 次に、米の輸入自由化に関する農業問題についてお尋ねいたします。
 昨年末の国会で、まともな審議もなく各党の公約に反して米の輸入自由化が強行、批准されました。工藤県政は、国会批准前から米の輸入自由化を前提とした対策を検討、実施するなど、米自由化容認の姿勢は異常なものと感じました。そこで、知事にお伺いいたします。
 1、既に牛肉が自由化されて3年過ぎました。黒毛も短角も、また乳用牛も保証価格を割る、生産費さえもとがとれない、こういう事態となっています。この6年間で8、350戸の肉牛、酪農家が離農されましたが、牛肉自由化が本県畜産に与えた影響をどう受けとめていますか。それでも自由化を進めていこうとするのですか。畜産農民の立場に立ってお考えをいただきたいと存じます。
 現行鉄道事業法は、その第1条で鉄道経営の目的は公共の福祉の増進にあるとうたっています。知事はこの法の趣旨についてどのような御見解を有しておられるか。あわせて、今日、本県、県民とJRとの関係において、これが隅々にまで生かされていると把握されておられるか、御所信を承りたい。
 昨年12月19日、申し合わせの第5項の後段に、盛岡-沼宮内間をフル規格着手するかわりに、並行在来線は開業時、JRから経営分離することを認可前に確認するとしています。これにより回答を求められた県は、同日、工藤知事名で、その方向に沿うよう最大限の努力を約束しています。そこでお伺いします。
 1、沿線住民の命をかけたともいうべき在来線の存続の願いは、これにより否定されたことになるのですか。在来線分離受け入れの知事は工藤巌との名を、子々孫々にまでとどめることになりますが、それでもよいのですか。
 2、平成2年12月24日の政府・与党申し合わせを、12月19日の知事答弁書は原則としていますが、原則は法にまさるのですか。
 3、大義の前には小の虫を殺してもやむを得ないという行政思想は、重大な悪例を後世に残すことになりましょう。いかがですか。
 不採算部門切り捨てということでありますが、JR東日本全体としては、この部門を抱えてもマイナスとはならない、なっていないと見てよいでしょうか。
 5、北陸新幹線の当初地元負担は778億とされていました。しかるに、昨年10月にはこれが1、200億と推算されたのであります。総工事費増額のゆえであります。しかも、最終的には1、800億円となるかとしていますが、これでは地元県、市町村では、負担について塗炭の苦しみに突き落とされざるを得ないのであります。しかも、第3セクターなどの措置をとるとすれば、さらに地元負担はこれに輪をかけることになりましょう。この際、県は、地元負担の額、その負担の割合を見込みとしてお示しいただきたいのであります。
 6、新幹線の出現により長野県では在来線がむしろ不便になるとの情報がありますが、県は御承知ですか。本県のお見込みはいかがですか。
 本県内既成新幹線の環境基準達成状況はどうでしょうか。整備新幹線設置で環境悪化があってはならないと考えますが、県としてのお考えはいかがでしょうか。
 教育白書に盛り込まれた児童生徒の意識調査では、学校生活に対する満足度は高学年になるほど低下しています。不満の最大の理由は成績、そして授業がおもしろくない、規則などが示されています。本当に満足しているという割合は中2で18%、高2では14%にすぎません。この数字は学校生活の上で全国的に、文部省や現在の受験戦争的教育を推進してきた教育者の皆さんが落第したことを物語ると存じますが、委員長の御所見はどうでしょうか。
 うっくつした学校生活の中でいじめにはけ口を求める子供たち、いじめられるのが嫌で登校できない子供たち。識者は、いじめはふえ続けていると見ています。しかし、文部省調査では、平5のいじめ件数は60年の調査開始以来最低と報告されました。これはおかしい、不思議だと思うのは私1人だけでしょうか。申し上げましたこの間の関連の数値は、本県においてはどうなっているのか、まず明らかにしてください。
   〔副議長退席、議長着席〕
 そもそも学校生活の不満の大半を占める成績、授業がわからないとの原因は、我が党がかねて警告してきた差別、選別の教育、詰め込み主義に由来するものではありませんか。本議場、また予算、決算委員会において私は、詰め込み主義の学習指導要領を改訂すべきと主張したのに答えて県教委は、授業は理解されているとしてきました。全国調査と本県教委答弁とのこの乖離はなぜなのか、本県教委、教育だけが全国に超然としているということなのでしょうか。教育委員会は、さきの私への答弁について、何らかの反省はないのですか、明らかにお答え賜りたいのでございます。
 調査にありありと見える、みじめな学校生活を根本的に転換させる必要があるとの考えはその限りにおいては、教育委員長と私との間に、今や乖離はあるまじと存じますが、いかがでしょうか。
 私の転換について言えば、この教育基本法の教育理念に立てば、学校教育は、成長期にある子供たちに知識と体力、情操を子供の発達に即して身につけさせ、子供たちが次の時代をみずからの力で創造できるようにするという人間形成を助けることに専念するものでなければなりません。これが教育基本法の示す人間を大事にする教育の中心点です。ところが、村山内閣を含む歴代自民党政府は、教育基本法の教育目的にかえて、少数エリートと大多数の低賃金労働者をより分けて育成するという財界の要求にこたえて、できる子、できない子に差別、選別する諸制度をつくり上げ、またそれを実行しています。最近では、個性重視などと称して、その差別、選別の教育を一層徹底--臨教審2次答申86年--、できないことも個性として切り捨てる方向をとっています。こうした教育政策を実施するために学習指導要領の改訂ごとに学習事項の詰め込みを強化し、89年改訂の現学習指導要領では、かつて中学校で習った学習事項を小学校に持ち込むなど、競争、超スピードの授業で3割の子さえわかればよい--文部省関係者--という教育を公然と行っています。この教育では、他人をけ落として1点でも多く取ることが重視され、人間の評価がすべて偏差値、点数、勝敗でなされ、人よりおくれたり、できないことはぐず、猿などと侮辱の言葉が浴びせられる風潮を生み出しています。切り捨てられる子供には、屈辱感、人生に対する無力感が蓄積されてきています。この子供たちの中で特定の人間に対する軽蔑、侮辱が横行しているのです。これがすなわちいじめ発生の1つの大きな原因と考えますが、教育長の御所見はいかがでしょうか。
 本年は統一地方選挙、参議院選、また予想される総選挙など、国、地方の命運を分けるべき3大選挙が施行されるものと把握します。これらの選挙が、主権者として自由に公正に行われねばならないことは言うまでもありません。しかるに、一昨年行われた総選挙では、赤旗新聞が投票日前日、我が岩手県を引例して、ゼネコン型選挙を全国的に報道したところであります。これによれば、国、県とも密接なかかわり合いのある、清水、大成、鹿島など大手ゼネコン、また地場でも最大手と目される建設業など、企業が隠れ選対をつくり、当該企業の現職幹部職員が直接これに関与しているのであります。これは選挙の公正を著しく阻害するものと認識しますが、御所見はいかがですか。例えば、当該業種の政治団体をつくるというのは合法的でしょう。しかし、現職幹部が直接選対にかかわるのは明らかに行き過ぎと言うべきと考えますが、どうですか。
 次に、住民票の短期移動による移動先の地域支持票を水増しする問題について。これは前例なしとしません。近日のマスコミにも大々的に報道されている実例もありますが、私は、滋賀県虎姫町議選挙について引例いたしましょう。これは報道によりますと、本県議会にも議席を有する政党と同じ党名の候補者が、当選後失格を宣言されたものでございます。選管、県警はこのような情報を承知していますか。本県にも過去、住民票移動の実例がありましたか。今回の予定の県議選には、どうもこのような事例が続出するのでは、という予感がしてなりません。あなた方は、これが防止、摘発のためどのような実効ある手だてをするおつもりでしょうか。この際、選管委員長に、選挙違反は1件も出すまいとの御決意のほどをお伺いいたしたく存じます。
 最後に、ゼネコンの談合疑惑はあってはならないことは当然であり、知事も繰り返しこのことを申し述べられました。しかし、知事の言葉とは裏腹に、この疑惑が相次いだことは各位御承知のとおりであります。この問題については県民の多くは県政に対し不信感を示していますし、正義感に基づいてでしょうが、鋭くこれを追及しているマスコミもあります。知事はまた、過ぐる議会におきまして、李下に冠を正さずとのことわざを述べ、疑われることも恥じだと言ったではありませんか。ところが、知事の演述には、これが防止、根絶について一かけらもないというのはどういうわけですか。私は、ここに改めてあなたの談合疑惑に関する問題意識をお尋ねしたいと存じます。
 知事は、談合疑惑は根拠がないものと認識しておられるのですか。
 県民の中にわだかまる不信感を解く必要なしと考えておられるのですか。
 現知事は、次期知事に談合疑惑をついに防止できなかった者として、いかなる要請、期待をするのですか、この際、明らかにせられたいと存じます。それとも、そのような期待などは一切ないということなのでしょうか。
 知事は今期で勇退するわけでありますが、先ほど申し上げました整備新幹線、在来線につきましては、知事の感覚としましては気の毒だとか、あるいは住民の心はわかると、そういうことを知事は考えておられると思うんですね。しかし、あなたはそういうお感じ、気の毒だという気持ちを持っておられながら、実際の行為は全然それがないわけです。在来線存置したいとおっしゃるならば、その行動に出られたらいかがですか。残る任期は幾ばくもありませんけれども、全力を挙げてこのことを行動に移していただきたい。このように私は在来線沿線の住民の心を心としてあなたに要請を申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上で私の一般質問の本質問を終わるわけでございますが、議員生活を終わるに当たっての謝辞は、再質問、再々質問の最後に申し上げたいと存じます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事工藤巌君登壇〕
〇知事(工藤巌君) 横田綾二議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県政運営全般に対し、冒頭にお述べいただきました所見についてどう考えるかという御質問なのでございますが、議員のお示しになられました認識につきましては、横田議員のお考えとしてそのまま承ることとさせていただきたいと存じますが、私としては、これまで県政運営に当たりましては、ひたすら県民の幸せを願うという基本的な考えのもとに、できるだけ広い視野に立ち、長期の見通しに立ちながら県民各位の御意見を伺い、それに即した仕事を進めてまいったものと存じているのでございます。このことを申し上げて御答弁にさせていただきたいと存じます。
 次に、震災対策についてでございます。
 我が国の大都市圏での地震災害対策は、中央防災会議で決定された大都市震災対策推進要綱などに基づいて諸般の施策が講じられてきておるところでございます。さらに、災害発生時における政府の対応につきましては、各省庁等が定める防災業務計画により行われるものでありますが、今回の阪神・淡路大震災では、大都市での直下型地震という未曾有の災害であったこともあり、初動時における政府の対応に批判が寄せられているのは御案内のとおりであります。こうした状況にあって、政府では、21日の閣議で初動体制の確立に関する緊急措置を決定するとともに、近く危機管理体制の抜本的見直しに着手すると伺っており、国の大災害発生時における対応が一層充実されることを期待するものであります。
 また、本県におきましては、昭和39年に策定した岩手県地域防災計画を基本として防災対策を実施してまいったところであり、特に防災行政情報通信ネットワークの整備や救急業務の高度化など、消防防災体制の充実強化を図ってきているところであります。この計画の見直しに当たっては、このたびの阪神・淡路大震災で指摘された反省点を踏まえるとともに、震災に関する調査研究の実施についても検討を行い、総合的な防災対策を一層推進してまいる所存でございます。
 次に、入院時食事療養費の一部負担の無料化についてでございますが、この入院時食事療養費は、入院と在宅療養との費用負担の公平化を図るために、健康保険法等の一部改正により昨年の10月から導入されたものでございます。これは、入院時の食事が疾病に伴う特別な負担となるものではないこと、低所得者には負担の軽減措置のあることなどから、法改正の趣旨を踏まえ、すなわち公平という見地に立って県単独医療費助成制度の助成対象としないこととしたものであります。
 なお、本県では、全国的にも例の少ない妊産婦医療費助成を実施し、また、医療費助成の額においても東北の上位にあり、さらには明年度から医療費助成制度の大幅な改善を図ることとしておるところでございます。
 次に、過去2回の戦争についてでございますが、この問題につきましては、国政の場でさまざまな論議があったことは承知しておりますが、一地方公共団体の首長として意見を述べることは差し控えるべきことと存じておりますので、御了承願います。
 次に、談合疑惑についてでございますが、談合はあってはならないことであると考えておることは申すまでもないところでございます。また、談合は基本的には企業の事業活動における倫理観の問題であると考えており、建設業界に対し、機会あるごとに独占禁止法の遵守の徹底など、事業活動の適正化について指導してきているところでございます。
 また、具体に談合情報が寄せられた場合は、その都度事実確認や公正取引委員会への通報等、できる限りの対応をしてきているところでもありますが、県民に不信感を生じさせないためにも、今後とも県営建設工事の執行に当たりましては、厳正公正に業務に当たるとともに、建設業界に対しましては、さらに事業活動の適正化について指導していく考えでございます。
 在来線の存続についての御質問が最後にございました。
 新幹線の建設に伴って、在来線は通勤、通学、通院等、欠くことのできない住民の足になっております。また、新幹線と地域とのアクセスにもなっているわけであります。したがって、極めて重要な役割を果たしているものでございますから、在来線がJRからの経営分離という方針は平成2年の暮れ以来の方向になっておりますから、前にもお答え申し上げておりますように、現時点においてはその二者択一をしなければならないという現状で、私はフル規格の新幹線を選んでいるわけでありますが、在来線の問題に関しても、住民の皆様方が今までよりも不便になったというようなことは絶対にないように住民の生活を守っていかなければならない、かように考えているところでございます。
 その他、さまざまな御質問が知事という御指名であったものもございますけれども、関係の部長からそれぞれお答え申し上げますので、よろしく御了承を願います。
   〔土木部長白波瀬正道君登壇〕
〇土木部長(白波瀬正道君) ダム、橋梁の耐震基準、耐震性の調査、補強についてでございます。
 ダムにつきましては、個別のダムごとに地形、地質に配慮した綿密な調査を行い、法令に定められました構造基準に基づき、耐震性も含め、安全性に十分配慮した設計を行っているところでございます。
 また、道路橋につきましては、従来から国の技術基準に基づき、関東大地震クラスの地震に対しても落橋が生じないことを目標に設計を行ってきたところであり、既設橋梁につきましても、震災点検を実施し、耐震対策を順次実施しているところでありますが、今回の地震では高架橋が倒壊するなど被害が発生したところであり、このため、建設省においては被害原因の徹底的な究明を図り、必要な措置を講ずることとしておりますことから、県といたしましても国の動向を見きわめながら、適切に対応してまいる考えであります。   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田絋士君) まず、県地域防災計画を震度7の直下型地震にも対応できるものに改めるべきではないかという点についてでありますが、国におきましては、防災基本計画の抜本的な見直しを行うため、主要検討項目の1つとして震度7に耐え得るインフラの整備等を掲げて検討作業に入ったとされております。このため、県といたしましても、こうした国の動向を見定めながら、県地域防災計画の見直しに当たっての検討項目の1つとして、災害想定の見直しや被害予測調査の実施について、県防災会議の場で委員各位による御検討、御協議をお願いしたいと考えております。
 次に、県庁舎の耐震基準についてでありますが、県庁舎は昭和37年に設計されており、関東大震災を想定した建築基準法に基づくことはもとより、より耐震性を向上させるため、建物の構造をシンプルな平面、立面構造としていることや、バランスのよい耐震壁を配置するなど、耐震性に配慮したものでございます。また、平成4年度から5年度にわたりまして実施した県庁舎外壁改修工事に際して行いましたコンクリート強度等の保全状況の調査によれば、建物の躯体はなお良好に維持されているものと判断されております。
 次に、消防職員等の基準人員の確保及び消防水利等の整備充実についてでありますが、このことにつきましては、これまでも市町村に対し適正な人員配置や基礎的な消防施設の充実を計画的に実施するよう指導してきたところであり、今後におきましても引き続きこれを指導してまいるとともに、耐震性貯水槽についても設置が図られるよう指導してまいりたいと考えております。
 次に、県内の地質調査、活断層の調査等、震災に関する調査研究についてでありますが、地震被害は、その災害事象が広範、複雑で連鎖的、広域的なものでありますことから、調査の方法、そしてその活用の方法についてよく研究してまいりたいと考えております。 また、災害危険区域図の作成ということでありますけれども、いわゆる防災アセスメントの実施による地区別防災カルテの作成につきましては、市町村地域防災計画を整備充実し、効果的な防災行政を推進するため重要なものと考えられることから、消防庁においてもその推進方、指導を行っているところでございます。県といたしましても、今後も未整備の市町村に対し指導してまいりたいと考えております。
 次に、非核平和宣言についてでありますが、平和は人類普遍の念願であり、恒久平和の実現はすべての人々の願いであると考えております。しかし、それを実現するための方策につきましては、主として国政レベルの問題であり、また、さまざまな論議のあるところでもございます。したがいまして、お説のような宣言につきまして、本県としてこれを直ちに対応することが適当とは考えていないところであります。
 なお、大戦終結後50周年を1つの節目として行う事業を何か考えておるかということでございますが、海外慰霊巡拝事業を拡充して実施することなどを検討中でございます。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) まず、保育料の負担についてでありますが、市町村では、国の徴収基準に準拠し、地域の実情等を勘案しながらそれぞれ徴収しているものであります。
 県は、保育対策について、これまでも乳児保育、障害児保育の県単独措置を含め、積極的に推進してきたところであります。また、国は、いわゆるエンゼルプランの中で多様な保育サービスの充実を図る一方、子育てに伴う経済的負担を軽減するため、保育料の軽減や公平化を図ることとしており、明年度は乳児、多子世帯の保育料を軽減する予定と聞いておりますので、これら国の動向を見ながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、第2次大戦等における県民の犠牲者の状況でありますが、本県の軍人、軍属や海外での一般邦人、さらには艦砲射撃や空襲による戦災死没者は、合わせて3万8、268人となっております。
 また、戦争被害の記録について、県では昭和47年に援護の記録を、昭和53年に郷土将兵の記録を発行しております。また、市町村では、昭和51年に釜石市の釜石艦砲戦災誌など、数市町村で発行したものがあります。したがいまして、県としては新たに戦争被災の記録を作成する予定はありませんが、県遺族連合会等が記念誌の発行を計画しているというふうに聞いております。
   〔農政部長高橋洋介君登壇〕
〇農政部長(高橋洋介君) 牛肉輸入自由化の影響についてでございますが、平成3年4月の牛肉輸入自由化以降、安い輸入牛肉がふえておりまして、国産牛肉の枝肉価格や子牛価格が低下するなど、肉牛経営には大変大きな影響が出ていると受けとめているところでございます。しかしながら、消費者の方々からは安全で品質のよい国産牛肉に対する需要、これがまだ根強いものがございまして、県といたしましては県産優良種雄牛の造成などによります県産牛肉の品質の向上に取り組みますとともに、本県の牛肉のよさについての積極的な普及宣伝等を行うことによりまして、国内外の産地間競争に打ちかつことのできる足腰の強い畜産農家の育成に努めてまいりたい、そのように考えております。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、鉄道事業法の趣旨についてでありますが、鉄道事業法は、鉄道事業について輸送の安全を確保するとともに、安定的かつ継続的に良質な輸送サービスを提供することを目的として所要の規制を行うことを内容とする法律であると、このように承知いたしております。
 また、県民とJRとの関係につきましては、JR東日本は同法の趣旨に基づき、所管官庁の監督のもとで適正に運営がなされているというふうに理解いたしております。
 次に、在来線存続の住民の願いは否定されたことになるのかということについてでありますが、東北新幹線盛岡-沼宮内間のフル規格化と、それに伴う並行在来線のJRからの経営分離の問題については、現在、東北新幹線盛岡以北関係市町村連絡会議の場で沿線市町村長と意見を交換しているところでありますが、県といたしましては、知事からも申し上げましたように、経営分離後においても住民の方々がこれまでよりも不便になったということが決してないように、今後とも沿線市町村や青森県等とも十分に協議を重ねて万全の対策を講じてまいりたい、このように考えております。
 次に、経営分離の原則は法にまさるのかということでありますが、経営分離の原則を定めた平成2年12月の政府・与党の申し合わせは、整備新幹線に関する施策の方針や予算の取り扱いについて取り決めたものでございまして、整備新幹線の建設は、現在、全国新幹線鉄道整備法を初めとする関係法令及びこれまでの各申し合わせに基づいてなされているものと理解いたしております。
 次に、大義の前には小の虫を殺してもやむを得ないという行政思想は重大な悪例を後世に残すことになるのではないか、こういうお尋ねでございますが、東北本線盛岡-沼宮内間は、御案内のとおり、地域住民の生活の足として重要な役割を担っておりますので、同区間のJRからの経営分離に当たっては、これまでよりも不便になったということが決してないように、地元市町村等とも十分に協議を重ねて万全を期してまいるということでございます。
 次に、不採算部門を抱えてもJR東日本全体としてはマイナスにならないのではないかということについてでありますが、県といたしましては、JRの個々の線区ごとの採算性はもちろんのこと、会社全体の経営状況等についても承知いたしておりませんので、御了承をいただきたいと存じます。
 次に、東北新幹線盛岡以北に係る地元負担額及び負担割合についてでありますが、盛岡-青森間の全線フル規格化による建設費につきましては、平成5年度価格で約9、000億円程度という感触は得ておりますけれども、現在、工事実施計画が定まっていないので、工事費の詳細については把握できておりません。したがいまして、本県の負担額についても試算いたしかねる状況にございますので、御了承いただきたいと存じます。
 次に、新幹線の出現により、長野県では在来線が不便になるとの情報があるが、承知しているかということについてでありますが、長野県においては、御案内のとおり、現在、北陸新幹線の建設が進められておりますが、同新幹線の建設により、在来線の利便性がどうなるかということについては存じておりませんので御了承いただきたいと存じます。また、本県の場合には、再三繰り返して申し上げて恐縮でございますが、新幹線の建設によって在来線が不便になったということが決してないように最大の努力をしなければいけないと、このように考えております。
   〔環境保健部長松本義幸君登壇〕
〇環境保健部長(松本義幸君) 東北新幹線の県内における環境基準の達成状況についてお答えいたします。
 新幹線鉄道の騒音につきましては、これまで県及び沿線市町が測定したところでございます。平成6年度の騒音の環境基準達成率は、軌道から25メートルの地点で63%でございまして、平成3年度の50%に比べ改善を見たところでございます。しかしながら、いまだに環境基準の未達成地域がありますところから、県といたしましては、今後とも監視体制の充実を図りながら、国及び東日本旅客鉄道株式会社に対しまして、改善方をこれまでも要望してまいりましたが、引き続きその要望を行ってまいる所存でございます。
   〔教育委員会委員長上山司光君登壇〕
〇教育委員会委員長(上山司光君) 教育問題についてお答えします。
 まず、教育白書における児童生徒の満足度に関する調査結果についてでありますが、この白書は、平成6年12月に平成6年度我が国の文教施策と題して文部省が編集し、副題を学校教育の新しい展開--生きる力をはぐくむとし、刊行されたものであります。御指摘のありました児童生徒の学校生活への満足度につきましてはこの白書の中で示されており、満足している、やや満足していると答えている者は、小学生では91・2%、中学生で70・6%、高校生で64・3%となっております。さらに、同白書においては、この意識調査の結果から判断する限り、大多数の小学生は学校教育活動全体を楽しんでいるという様子があらわれているわけでありますが、中学校、高等学校と進むにつれて成績に関する悩みが増大し、受験に対する意識が高まっていることが推測されると分析しているものであります。県教育委員会といたしましては、この調査結果を真摯に受けとめ、学習指導要領のねらいが学校において十分に展開できるよう、所要の施策を進めてまいりたいと考えております。
 次に、本県におけるいじめの発生件数についてでありますが、調査を開始した昭和60年度には1、674件でありましたが、最近の状況では、平成4年度は108件、5年度は141件となっております。
 次に、学習内容の理解についてでありますが、学習指導要領においては、国民として必要とされる基礎的、基本的な内容を重視し、個性を生かす教育の充実を図ることをその基本方針の1つとしております。本県におきましては、学習指導要領に示されている基礎的、基本的な内容について、その達成状況を把握するため、毎年度、小中学校を対象とし、市町村教育委員会の協力のもとに学習達成状況調査を実施しているところであります。この調査の分析結果によりますと、平均正答率が60%を上回り、全体としておおむね達成しているものと考えております。
 なお、この調査は学習指導の改善に役立てるために行っているものであり、教科の領域の一部にはなお達成不十分なものもあることから、県教育委員会といたしましては、その指導の徹底を図るために実践事例集を発行するなど、各学校における指導力の向上に努めているところであります。
 次に、学校教育のあり方についてでありますが、県教育委員会といたしましては、学校教育のあらゆる場において学習指導要領の趣旨が生かされなければならないと考えております。しかし、学校不適応等の今日的な課題のあることも事実であります。したがいまして、今後におきましても、学校教育では生涯学習の基礎を培うという観点に立ち、基礎的、基本的内容を確実に習得させながら、児童生徒の個性を重視し、多様な能力、適性を伸長させるとともに、社会の変化にみずから柔軟に対応できる、たくましく心豊かな人間の育成に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) まず、学校体育館の暖房設備の設置状況につきましては、小学校で491施設のうち23施設、中学校は216施設のうち9施設、合わせて707施設のうち32施設に設置されております。また、県立学校におきましては、高等学校で設置している施設はなく、特殊教育諸学校において、13施設のうち12施設に設置されております。
 次に、いじめの原因についてでありますが、平成5年度における本県のいじめの発生件数は141件となっており、発現の態様はさまざまでありますが、その多くは教育の場である学校における人間関係、これを要因として挙げることができます。県教育委員会といたしましては、いじめの事例発生の機序が複雑化していることから、このたび専門家からなる学校適応指導支援チームを設置し、学校における指導の支援体制を強化することとしたところであります。今後とも学校においては、家庭、地域社会などと連携を図り、いじめの未然防止と早期発見に努めていくことが必要であると考えております。
   〔選挙管理委員会委員長岩崎康彌君登壇〕
〇選挙管理委員会委員長(岩崎康彌君) まず、選挙の公正な執行についてでありますが、一昨年行われました衆議院議員総選挙に関し、民間企業の幹部職員が選挙に関与したことについてどうか、とのお尋ねでありますが、公職選挙法で許容される範囲内では、何人も選挙運動を行うことができるものであります。仮に公職選挙法違反の疑いがある行為がなされたとすれば、これに対しては、警察当局において適切に対処するものと存じております。
 今後におきましても同様に、公職選挙法及び政治資金規正法に反しない範囲においてこれらの諸活動が適切に行われるよう、切に望むものであります。
 次に、選挙を目的とした住民票の移動についてでありますが、御指摘のありました滋賀県虎姫町の事例につきましては、市町村選挙管理委員会の職員研修等において説明し、このような事例があった場合には、住民基本台帳所管課と十分に連携をとり、慎重な調査の上、適正に登録事務を行うよう指導してきているところであります。
 本県における類似の事例といたしましては、昭和58年に行われたある村の村長選挙及び村議会議員選挙をめぐって、選挙の効力に関する異議申し立てがなされた例があります。 なお、去る20日に開催しました市町村選挙管理委員会委員長会議におきまして、選挙人名簿の選挙時登録の際、適切な登録等を行うように改めて注意を喚起したところであります。
 いずれにいたしましても、今回の統一地方選挙に当たりましては、関係機関との連携のもとに各種の啓発事業の実施等を通じて、有権者、候補者及びその関係者の意識の高揚を図り、明るくきれいな選挙の推進に全力を尽くしてまいる所存であります。
   〔警察本部長石川正君登壇〕
〇警察本部長(石川正君) 今次の統一地方選挙における警察の違反取り締まりについての基本方針等についてお答えいたします。
 申すまでもなく、法の範囲内における自由かつ公正な選挙の確保は、民主主義の根幹でありますので、警察といたしましては、不偏不党、厳正公平を基本方針として選挙違反取り締まりを行ってまいる所存であります。
 昨日、県警察本部と各警察署に警察官のほぼ6割に当たる約1、200人からなる統一地方選挙事前運動取締本部を設置し、組織の総力を挙げて違反の取り締まりを実施しているところでありまして、買収、供応等の悪質事犯はもちろんのこと、法に抵触する行為につきましては、これを看過することなく厳正に対処してまいりたいと存じます。
〇38番(横田綾二君) 再質問させていただきます。
 盛岡タイムスという新聞が1月10日付、知事談話といいますか、載っていますが、国の交通政策は、ただ利益を上げればよいのか、と言いたい気持ちがあるというくだりがありました。知事は、確かにそのとおりだとするならば、私は非常な正論なのではないかと思うんですがね。整備新幹線ないしは国鉄問題について知事がこのように申している真意は何でしょうか。
 所信に従い連立与党申し合わせの第5項後段撤回のため全力を傾けていただきたいと思うんです。二者択一だから今、在来線、在来線と言って動くのはちょっとどうかなどと、総務部長なんかは言いたいのかなと思うんですがね。しかし、踏ん張りどころがあると思うんです。知事はおっしゃることとやることが一致しなくちゃならないんですね。ですから私このことを申し上げているわけで、にっこり笑って何もやらないというだけじゃだめだ。
 昨年12月のJR列車ダイヤ改正で実施された東北本線盛岡-一関間の新型電車が引き起こしている利用者、住民の苦情、トラブルなど問題点について、県は実情を把握しているでしょうか。把握しているとすれば、これについてJRに対し意思表示等をこれまでしてこられたのでしょうか。しているとするならば、その内容についてお示しを願いたいのであります。電車、列車は座ってこそ快適であり、立っての我慢は弱者にとっては耐えられません。そのためにぐあいを悪くした人々が続出しているそうですし、駅員とのもみ合いなどトラブルも出ているそうです。詳しくは委員会で取り上げますが、あえてこの問題を本会議で取り上げましたのは、事態の改善にほとんど全く動こうとしないJRのやり方が、余りにも、知事が言ったらしい、国の交通政策は利益を上げればよいのかと、知事は、今、タイムスで、国の交通政策は、ただ利益を上げればよいのかと知事がおっしゃったのだとすれば、この新型電車のくだりはぴったりなんですよね。まさに知事の感じたとおりであると私は思うんですが、JRは1本1両だけ増加したようですけど、車両本数の増加、座れるようにする、サービスの向上を図るなど、新型車両の見直しを求められたいと存じますが、いかがでしょうか。
 次に、ワンマン化を本線にも導入しようとしていますが、これはやめてくださいと言ってもらえないでしょうか。
 次に、滝沢駅構内事故のように、行き過ぎた営利政策の結果なのかなと思われるのですが、鉄路安全への不安感が、今、県民の中にあるんですね。これを解消するよう緊急に申し入れをなされてはいかがでありましょうか。
 知事は、過去の戦争を侵略戦争かとお伺いしたら、地方の首長が答えるのはどうかとお答えになられた。地方の首長だから答えられたらいいじゃないですか。外務大臣だの総理大臣だのなら、あたりほとり考えていろいろやらなくちゃならないことあるんですが、あなたの先輩の中村直さんという人は、売上税の問題のときに、知事自身はどうなのですかと聞いたら、中村直さんはそのとき、私自身は売上税に反対ですと、委員会で言ったことがあるんですよ。前例があるんです。知事はこういう問題について危ないなと思ってですか、口をつぐむというのはどうも知事御自身としてどんなものなのですかね。思っていることをおっしゃってください。
 次に、関東大震災の規模と上田総務部長も白波瀬土木部長もおっしゃいましたね。関東大震災の規模という、何ですか、その基準は。これは私、新聞の受け売りで御本人から確かめたわけじゃないんですけど、太田外気晴足利工大教授という人が朝日新聞に談話を載せてますね。これはごらんになっておるでしょうか。これを見ますというと、最近の建物は関東大震災級の地震が来ても大丈夫と聞いて安心していたんだがと言ったら、関東大震災級の地震というのは誤解を招く表現だった。きちんとした記録はない。東京は震源地から数十キロ離れている。その東京の推測値で関東大震災の規模というのを表現しているのだから、これを基準にということは県では今、上田総務部長と白波瀬土木部長が述べたことはあいまいな表現だと見ていいですか。
 いろいろ言いたいことがありますが、委員会で申し述べることにいたしまして、米の自由化は当面、部分自由化輸入で進められていますね。平年度から約40万トン、本県の全生産量に匹敵する米が輸入されようとしています。昨年は冷害のために復田を奨励し、ことしは豊作と自由化だから大幅な減反を押しつける。こんな農政があるものでしょうか。公約違反の猫の目農政に翻弄される農民の怒りは各地で広がっています。知事は、米の輸入自由化を認めて岩手の農業と農村が成り立つと考えるでしょうか。成り立つと言うならそれは一部の大型農家だけということになりはしませんか。
 岩崎さんにちょっとお尋ねいたします。
 何人も選挙活動をやるのは自由だ。わかりました。しかし、例えばゼネコンのしかるべき幹部職員が隠れ選対のようなものをつくって、選挙運動を特定の候補者のためにやる。それは知事選挙だとか衆議院、参議院選挙だとか、つまり公共事業と関連のある候補者に会社ぐるみで幹部職員が行くということがあってよいんですか。少なくともこういうあり方というのは決してよいあり方とは言えないんじゃないですか。選挙管理委員長のお考えをお尋ねしたいと思います。
 再質問の最後に、いじめられる子にも問題があるという観点がないでしょうか。こういうことを言っている人があるので私は申し上げたいのですが、そうした間違った観点に立てば、自分の学校にはいじめはないとか、教師がいじめの3割程度しか発見できないとか、いじめは統計上わずかしか数えられないという状況が生まれるものと思うんですが、どうでしょうか。今、委員長、教育長がお答えになられたのを聞きますというと、けた違いにいじめが減ってきていると本県ではそういうふうに把握しておられるんですか。しかし、本県の状況でそういうふうな事態になっているということがどうも私には、先ほど申し上げたように信じられないわけです。教育委員会は、いじめによる被害者と加害者の双方をつくり出している学校のあり方を根本から問い直し、子供たちが生き生きと通ってくる学校を目指すという決意を表明し、教職員はいじめの子を中心に今の学校、子供について職場討論をするなどなど、さまざまないじめ即時解消の方向を目指して手だてをとっていくべきだと思いますが、いかがなものでしょうか。
   〔知事工藤巌君登壇〕
〇知事(工藤巌君) 再質問にお答え申し上げますが、まず新聞に掲載された国の交通政策と私の談話の真意についてということでありますが、これは、先月9日に開催いたしました東北新幹線盛岡以北関係市町村連絡会議における私の発言でございまして、盛岡-沼宮内間の並行在来線のJRからの経営分離、この問題は県の方からお願いして持ち出したものではない。かねてからの政府・与党間の申し合わせによって決まっておることで、これは沼宮内-八戸間についても同様であったわけでございます。そして、今度また盛岡-沼宮内間をフル規格化することによって同じようなことが出てきたわけであります。したがいまして、私どもはまずフル規格というものの効果が、いわゆる県土の均衡ある発展にとって極めて有効であるという考え方から、これは沼宮内以北の場合と全く同様なのでありまして、わかりましたと、それで工事着工ということになって、その上で、何で盛岡以北だけそういうふうな形ではおかしいのではないか、在来線も残すことができないのか、地元負担がなぜ盛岡以南と違ってこっちだけやるんだといったような、そういう諸問題を青森県ともどもに国に対しての要請を続けているわけでございます。盛岡以北-沼宮内間も同様でございまして、そのいわゆる連立与党申し合わせの第5項後段撤回のために全力を傾けたらどうだということについては、お話はそのとおりでございますけれども、昨年末にも同じような連立与党の申し合わせ、関係大臣申し合わせがありまして、盛岡-沼宮内間の並行在来線についても、開業時に経営分離について工事実施計画認可前に確認することとなっているわけであります。それで、前回、平成3年の県北部分の着工と同じような手続をとる。そのための関係市町村の会議を開いてその推進を図っているわけでございます。
 その他、戦争が侵略だったかどうかということについて知事が言えというの、おまえどう考えるかと言われても、やっぱり知事という立場は公共団体を代表する立場でありますから、その権限としている行政範囲外のことについて、殊にこれは国の行動の問題でもございますから、言わない方がいいと、こう確信をしているわけであります。
 それから、米の自由化、現実の問題として対応を迫られている問題でございますので、鋭意我々検討をいたしておるわけでございます。このことは議員も御承知のとおりでございます。御了承願います。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、JR東北本線の新型電車についてでありますが、東北本線の新型電車は、乗降車時間の短縮、運転速度の向上、冷房設備の装備等のサービス改善を図ることを目的といたしまして、昨年12月3日に実施されましたダイヤ改正時から、従来の客車にかえまして盛岡-一関間に15編成30両が導入されたところでございます。新型電車を導入いたしました結果、おくれが少なくなった、あるいはマナーが向上したなどの評価がある反面、ダイヤ改正前と比較して編成が短くなり、座席数も減少したため座れなくなった、あるいはより混雑するようになったなどの不評があることは仄聞いたしております。また、JRに対しましても、同趣旨の要望が出されていることを伺っている次第でございます。
 県といたしましては、早速この間の事情につきまして、JRに伺うとともに意見交換を行っているところでございまして、JRからは2月20日から一部車両を2両編成から4両編成に増結することとしたほかに、今後におきましても新型電車についての対応を検討する旨、伺っているところでございます。申すまでもなく、在来線は県民の通勤、通学、そして通院など、日常生活を支える大事なものでございますので、今後とも市町村の意見等も踏まえながら、サービスの向上改善についてJRに要望してまいりたいと考えております。
 次に、JR東日本に対する新車両の見直し等の申し入れについてでありますが、県といたしましては、現在、担当職員をこの新型電車の車両に試乗させたほか、JRを利用して通勤している県職員から意見を聞くなど、その実態の把握に努めております。今後ダイヤの改正あるいはサービスの向上等につきまして、市町村の意見も踏まえながら、必要な事項についてはJR東日本に対して要望してまいりたい、このように考えております。
 次に、東北本線へのワンマン化導入につきましては、基本的にはJRの経営上の問題でございますが、既に導入されております北上線、大船渡線及び釜石線におきましては、特に支障は生じていないというふうに伺っております。
 次に、鉄路の安全への不安の解消についてでありますが、お話のありましたJR東北本線滝沢駅構内で発生しました脱線衝突事故の原因は保線作業員の確認ミスによるものと伝えられております。県といたしましては、事故後に直ちにJRに対しまして安全確保の徹底を要請したところでございますが、今後におきましても、安全運行の確保とこれにつきましては、機会あるごとに要請してまいりたいと、このように考えております。
   〔土木部長白波瀬正道君登壇〕
〇土木部長(白波瀬正道君) 関東大震災クラスの地震動というのはどういう地震動であるかという御質問だったかと思います。
 建築の場合も基本的に同じ程度の地震動をとっておるわけでございますが、橋の場合で申し上げますと、先ほど申し上げました国の基準、技術基準、これによりますと、関東大震災クラスの地震動というのは、加速度で申し上げますと300から400ガルというようなことでもって与えておるわけでございます。これは先ほどの大学の先生のお話、承知はしておらないわけでございますが、先般の国の予算委員会でも御議論あったようでございますが、関東大震災時の地震動につきましてはいろいろ御意見があるようでございますが、そのときの国の方の答弁によりますと、当時は、観測技術、十分発達していない状況であったと、そういった中で墓石の倒壊、被災状況から推計したもので、それが300から400ガル、これをベースに耐震設計をしていると、そのような答弁だったというふうに承知をしておるところでございます。しかし、いずれにいたしましても、今回の阪神・淡路大震災では高架橋が倒壊するなど、未曾有の被害が発生したところでございます。このために建設省におきましては、被害原因の徹底的な究明を図り、必要な措置を講ずることとしておるところでございます。県といたしましても、国の動向を見きわめながら適切に対応してまいる考えでございます。
   〔選挙管理委員会委員長岩崎康彌君登壇〕
〇選挙管理委員会委員長(岩崎康彌君) 公職選挙法第199条の規定によりますと、県と請負関係にある企業が知事選挙や県議会議員選挙に関して寄附行為をすることは禁止されておるということについては議員御存じのとおりでありますが、一昨年の衆議院議員総選挙に対して会社の幹部職員が関与したということでありますが、私たちとしましては、関与の実態や職務の具体的内容が明らかでありませんので、一概に判断できかねますので、御了承をお願いします。
 いずれにいたしましても、関係法令に抵触しないよう、適正な活動がなされますことを切に希望いたしております。
〇議長(佐々木俊夫君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) いじめの問題についてでありますが、私どもとしては、平成5年度の発生件数が141件、これを大変深刻に受けとめております。その理由は、その多くの派生要因というものが学校教育の場における人間関係に起因しているということであります。したがいまして、学校における指導のあり方はもちろんであります。それから、児童生徒の生活全体に及ぶ問題もかかわってきますので、家庭、地域との関連もございます。そういう意味で、昨年来、各学校区を基礎単位として、ほとんどがそうなんでありますけれども、教育振興運動の実践区がございますが、そこで既にこのいじめの問題につきましてさまざまな形で取り組み方について相談をしているということであります。このようなことで、いじめの問題につきましては、学校はもとより、社会全体がそれぞれの立場や役割において協力し合って解決のために努力していかなければならないものと考えており、このような意味で、ただいま議員から御例示がございましたようなお考えにつきましては、御示唆に富んだものとして受けとめさせていただきたいと存じます。
〇38番(横田綾二君) 最後に、要望を簡単に申し上げます。
 選管に対しましては、それでは、私どもの方で情報を把握したらすかさずお知らせしますから、どうも見ててこれはどうかなと思うようなことがこれまでいっぱいあったものですから、逐次お知らせしますから、厳しくひとつ指導方をお願いします。県警本部も1、600人ですか、1人1人の警察官は筋金を持っている方々の皆さんでありましょうから、ひとつとことん頑張ってください。
 次に、防災対策とか戦後50周年の問題とか、いろいろな施策はあるんでしょうが、骨格予算だから余り取り上げられなかったのかなという、そういう感じもするんですが、戦後50周年のこの節目に、何か施策が少し乏しいような感じがします。さっきの上田総務部長の話なんかをお伺いしますと、慰霊巡拝の拡充などというふうな、いいことですが、もっと何かやったらいいじゃないですか。3万何千人も亡くなって、あれだけの大被害を受けたものに対して、工藤知事も軍隊には行ってきたんじゃないですか。こういう未曾有の経験をやられた知事として、やっぱり私はちょっと今の内容だけではケネなという感じがしてならないんです。ひとつ50周年の行催事、ソフトでもハードでもそれはいろいろあるでしょうが。
 それから、防災対策なんかでは、学者さんの活用--言い方がおかしいですかな、物じゃないんですから--、そういうふうなことは私はすぐできることだと思うんです。だから、今の関東大震災級というのは、予算委員会でまたお尋ねしますが、何となくあいまいな基準であります。数字から離れたところの基準などをもって基準にするなんておかしなことはやめた方がいい。
 部長なり、副知事なり、新型電車にちょっと乗ってみたらどんなものなんでしょうか。 以上は要望でございます。
 最後に、この際、この時間をかりて議場の皆様への謝辞を申し述べることをお許しくださいませ。
 藤根先生や大先輩たちがおられるところでお話をするのは非常に恐れ入りますが、暫時御寛容賜りたく存じます。
 私、本議場に席をいただきましたのは1971年--昭和46年--でありますから、今日まで6期24年、各位に伍してまいりました。この間、未熟な批判、義理人情に必ずしもそぐわない言動など、各位にひんしゅくを買ったことが数々あったのではなかろうかと、顧みれば冷汗三斗の思いがございます。しかしながら、各位におかれましては、同僚としてよくよくおつき合いをいただきました。最後の一般質問を終わるに当たり、改めて議場の各位に対し心から感謝いたします。
 あわせて、この4月の選挙に立候補される各位には武運と御健勝をお祈り申し上げる次第であります。
 これをもって終わりでございます。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木俊夫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時3分 散 会

前へ 次へ