平成7年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇6番(三河喜美男君) 自由民主党の三河喜美男でございます。
 まず初めに、私に対しまして、今任期最後となる一般質問の機会をお与えくださいました同僚各位に対しまして、感謝を申し上げる次第であります。
 工藤知事におかれましては、平成3年4月に就任して以来、県政の推進の基本指針として、3県総を策定し、県土の整備、産業の展開、福祉の充実、さらには、人づくりの4つの領域からなる、各般の施策を積極的に展開してこられるとともに、特にも、県土の均衡ある発展を重要政策の1つとして、内陸部と県北、沿岸部の格差の解消に向けて、生産、生活両面にわたる条件整備に御努力いただきましたことに対し、高く評価するとともに、深く感謝を申し上げたいと思います。
 さて、私にとりましては6度目の一般質問となりますが、これまでの質問を振り返りながら、県北、沿岸部の振興策を中心として、順次質問をさせていただきます。
 まず、県北空港の問題についてお伺いをいたします。
 県におきましては、昨年末に第2空港の立地可能性調査の結果を公表いたしました。それによりますと、久慈地区においては物理的には第2空港の建設が可能であるが、小型ジェット機の就航に見合うだけの十分な航空需要が見込めないというものであり、予想されていたとはいえ厳しい内容でありました。この調査結果を受けて県では、これを踏まえながら、空港需要予測についてさらに精査するとともに、総合交通体系の整備の観点から、引き続き検討していく旨、さきの議会で答弁がなされたところであります。私は、かねてより、県北空港問題について再三にわたって取り上げ、その必要性を訴えてまいったところであります。県南、県央と県北地域との間には歴然とした経済格差が存在しておりますが、その要因の1つは、高速交通体系の整備格差にあると言わざるを得ないのであります。県土の均衡ある発展を図る上で、県北空港の建設は重要な課題であり、また、地域住民の切なる願いでもあるのであります。県北地域におきましては、市町村、経済団体等からなる県北空港建設期成同盟会が結成され、県北空港の早期建設を目指して積極的な運動を展開しておりますが、この期成同盟会が先月独自の調査結果をまとめて発表したところであります。
 それによりますと、県北地域には2、500メートル空港を建設することが可能な適地があり、かつ、これに見合うだけの十分な空港需要が見込めるという内容のものであります。この調査も専門のコンサルに委託して実施したものであり、意を強くしたのは私1人だけではないと存じます。いずれの調査も専門的な見地から行われたものでありますが、期成同盟会の調査によっても、物理的には県北空港の建設が可能であることが明らかになったわけであります。したがいまして、大きな隔たりがある空港需要について、さらに精査するとともに、それでもなお空港需要が見込めないというのであれば、次に需要を満たすための方策を検討していくことが必要であると考えるものであります。高速交通体系の整備がおくれている県北、沿岸部の振興という観点から、地域住民の願いである県北空港の建設について、前向きに検討していくことが県に求められているのではないでしょうか。そこで、知事にお伺いをいたしますが、空港需要予測の精査を含めて、その後の県の検討状況と御所見についてお尋ねをいたします。
 次に、久慈地区への大規模電源立地についてお伺いをいたします。
 この問題につきましては、過去に同僚議員からもたびたび県の取り組みに対する考え方などについて質問がなされたところであり、私からも昨年の6月議会において、知事の所見を伺い、県としては国の動向把握に努め、電気事業者による技術面や環境保全のための検討を踏まえ、岩手県エネルギー問題懇話会などの御意見、御提言をいただきながら、可能な限り支援してまいるとの御答弁をいただいております。申すまでもなく、久慈地区への大規模電源立地のメリットは、各種交付金により公共施設の整備が図られるほか、発電所及び関連施設の立地による雇用、人口の増加、さらには、税収の増加をもたらし、久慈地域の産業の発展に大きなインパクトを与えるものであります。県北、沿岸部と内陸部との格差是正のためには、最大の効果を上げ得るビッグプロジェクトであると考えるものであります。地元久慈市においては、昨年7月に個人をも含め617団体による久慈火力発電所誘致推進協議会を結成し、民間レベルの設置運動を展開しておりますが、11月には久慈市の策定いたしました久慈湾総合開発構想において、最重要プロジェクトとして位置づけられ、まさに官民挙げての運動となってきております。こうした地元の熱意にこたえる形での県の絶大なる支援を期待するものでありますが、久慈地域への大規模電源立地に対する知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、企業誘致の問題についてお伺いをいたします。
 最近の経済動向については、昨年9月、経済企画庁が、我が国経済は緩やかながら回復の方向に向かっているという判断を示し、事実上の景気回復宣言をしております。しかしながら、確かに個人消費は緩やかな回復傾向にあり、住宅建設も高い水準で推移しているものの、いまだに雇用情勢は厳しく、企業の設備投資も総じて低迷が続いていることから、本格的な景気の回復はもう少し時間を要するのではないかと考えております。このような状況のもとで、本県への企業誘致についても、高速交通網の整備や諸教育機関の開設等、本県の持つ立地優位性をもってしても困難な時期に差しかかっているのではないかと危惧しているのであります。さらには、昨今の円高により、力のある企業は海外への工場進出を考えており、日本の製造業等の産業の空洞化が懸念されているという状況もあり、岩手への企業進出を実現することは容易でないものと理解をいたしております。
 したがって、私は、企業誘致の1つのあり方として、既に本県に立地されている企業の、県内におけるさらなる展開を図ることも必要ではないかと考えるものであります。本県には既に数百を超える誘致企業が立地し、それぞれ地域の発展に大きく貢献をしております。これらの誘致企業が岩手に根をおろし、地域に愛される企業として発展することが大切であります。そこで、県外からの企業を誘致することに加え、既に県内に立地している企業に対し、県内の別の地域への新工場の展開あるいは関連会社を設立し業務の拡張を図ることなどを要請し、県内において新たな立地展開を図る、すなわち誘致企業の2次展開を促進してはどうでしょうか。このいわゆる2次展開について、どのような状況になっているのか、また、今後この2次展開にどのように取り組んでいくお考えか、お尋ねをいたします。
 また、県北、沿岸部の企業誘致については、以前にも考え方なりを質問申し上げたのでありますが、あわせて、この地域への2次展開の取り組みについてもお伺いをいたします。
 次に、県北沿岸部の交通網の整備についてお伺いをいたします。
 本県においては、県北横断自動車道の整備を初め、三陸縦貫自動車道や八戸・久慈自動車道などの高速交通網の整備が着実に進められており、この中で一昨年12月、八戸・久慈自動車道のうち久慈市内の3・2キロメートルが供用されたわけでありますが、これによって当地域にもたらされたインパクトは相当大きなものがあり、改めて高速交通体系の重要性を感じたのであります。しかしながら、内陸部までの時間距離は依然として大きく、これがさまざまな格差を生む大きな要因となっていることから、この問題の解決こそが今後の県北沿岸部の発展にとって最も重要かつ緊急な課題であると考えております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 このことに対応するためには、久慈地区と県都盛岡とを結ぶ県北沿岸地域の大動脈とも言うべき国道281号の機能の強化がぜひとも必要であります。幸いにしてこの国道281号も着実に整備が進められ、昨年暮れには山形村川井地区の改良工事の完成を見たところであり、私は、盛岡に来るたびごとに大変便利になってきたものだと感じております。しかしながら、まだ交通の難所が残っており、県のなお一層の御努力を願うものであります。御承知のとおり、当地域は重要港湾久慈港や久慈国家石油備蓄基地があり、今後、水産業や工業の発展が期待されているほか、海岸線、国道の沿線は豊かな観光資源に恵まれており、これらを有効に活用するためにも、この281号の早期改良を望んでいるものでありますが、特にも久慈市内は朝夕の交通混雑が著しく、1日も早い解消が望まれているところであります。
 さらに、新しい県立久慈病院が建設されますが、患者の通院等の便宜を図る観点からも、大川目から新県立病院を通り国道45号に至る道路の新設についても期待しているところであります。そこで、お伺いいたしますが、この国道281号の整備状況と、久慈市内の281号の切りかえについてのお考えをお尋ねいたします。
 また、新県立病院に係る道路の新設についてのお考えもあわせてお伺いをいたします。 次に、地震津波の観測体制についてお伺いをいたします。
 御承知のとおり、1月17日に発生した兵庫県南部地震では、5、400余名のとうとい命が失われ、3万4、000余名の方々が負傷されました。また、住家の全半壊は約15万8、000棟に及び、避難所生活を余儀なくされている方々はいまだに20万人を超えております。犠牲になられた方々に対し心より哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞い申し上げ、1日も早い復興をお祈りするものであります。
 さて、本県においても、昨年暮れから今年初めにかけて三陸沖での地震が頻発いたしております。昨年12月28日の三陸はるか沖地震とそれに続く元日及び1月7日の余震では、県内で久々に震度5が観測され、また津波警報も発令されました。本県では、この地震による被害は比較的軽微でありましたが、過去においては、明治29年及び昭和8年の三陸沖地震津波、さらには、昭和35年のチリ地震津波により多くの人命が失われており、津波に対する警戒を緩めてはならないと存じております。地震や津波による災害を未然に防ぐためには、観測体制の強化とともに地震、津波情報の迅速かつ正確な伝達と避難勧告等、住民に対する適切な処置が求められております。本県においては、宮古に津波情報を早期に把握する観点から、津波観測システムが設置され、また、東京大学地震研究所が潮位を観測するため、津波観測システムを三陸町及び田老町に設置しているとは伺っておりますが、本県、特に宮古-八戸間の地震津波観測体制及び地震情報や気象情報の発表区分の考え方はどのようになっているのか、お伺いをいたします。
 また、地震津波観測体制の強化についてどのように考えておられるのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、県北農業の振興についてお伺いをいたします。
 県北地域の農業は、従来極めて劣悪な条件のもとで、生産性の低い農業を余儀なくされ、また、幾度となく冷害に悩まされるなど、厳しい状況下に置かれてまいりました。しかしながら、近年、道路網の整備を初め、農用地の開発、さらには、冷害を克服する技術の開発により、夏期冷涼で、冬期温暖な気候、また、やませを逆利用した高収益野菜の導入が拡大するなど、県当局の御努力、農業者の熱心な取り組みにより、徐々にではありますが、新しい農業の姿が見えるようになってまいりました。また、一昨年の冷害においても、園芸の振興によって稲作の減収をカバーし、最小限に生産の減少をとどめることができたという、これまで地域が取り組んできた農業に自信を深めております。しかしながら、県北地域はいろいろな面でまだ格差が生じていることは否めない事実であります。さらには、本年度からウルグアイ・ラウンド農業の合意が実施されるという時期を迎えたとき、地域全体が中山間地域という不利な状況の中で、今後どのような県北農業の姿を描いて展開していくことができるのか、まさに農業者の心は大きく揺れ動いているのであります。確かに平成3年からの牛肉の自由化により、これまで価格が異常なほど大幅に値下がりするという厳しい経験をしておりますが、また、米の部分開放によって今後の米をめぐる情勢についてもまことに不透明であります。
 3県総においては、その基本の1つとして県土の均衡ある発展ということを掲げております。この県土の均衡ある発展を実現していくためには、地域住民の所得の基本でもあり、また、地域の活性化の基本とも言える産業の振興を図っていくことが必要なわけでありますが、私は、まさに県北地域の基幹的な産業である第1次産業、とりわけ農業の振興を図っていくことが何としても重要なことであろうと考えております。そういった意味で、今日の農業の置かれた厳しさとしても、こうしたときにこそ農業者は元気に農業の営みを続け、地域の活力を維持していけるよう何とかしていかなければならないと考えるものであります。
 例えば、畑作振興の観点から申し上げれば、昨年の6月議会でも取り上げたところでありますが、県北地域はソバ、ヒエ、アワなどの本県雑穀の一大産地となっております。雑穀はアトピー性皮膚炎や食物アレルギーの体質改善、また、健康食品として注目をされており、雑穀に対する評価が見直され、今や需要も増加してきているところから、この生産の振興を図ることが、農業所得を向上させる意味からも、極めて有効であると考えております。このため、昨年の8月1日に、私も発起人の1人でありますが、農家、消費者、医療関係者らが一体となって、本県産雑穀の生産、流通体制や品質保証体制を確立するため、環境保全型新需要穀類生産・加工・流通公正取引協議会を設立したところであります。協議会では、農薬、土壤に含まれる微量元素、肥料などに細かい基準を設け、安全性が確認されると推奨マークを添付して品質を保証し、また、食糧事務所による等級検査も実施して出荷することとしております。現在、県北地域のアワ、ヒエは庭先買いでキロ当たり60円とか70円で取引されております。生産者にとっては、雑穀は収益性も低く、作物としての魅力に欠けるのが現実であります。本来の雑穀の持つ本当の値で取引をされるような形での生産者価格、より高く設定をし、安全な本県産雑穀として消費地へ送り出す流通体制を整備する必要があると考えております。協議会のお力添えに加え、県の生産流通体制整備への支援をぜひ期待をしたいものであります。そこで、県北地域の農業の振興についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
 また、雑穀の需要に対応するため、どのような振興策を考え、さらに、付加価値を高める方策をどのように考えておられるのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、獣医師の確保対策についてお伺いをいたします。
 本県の畜産は、農業粗生産額で40%以上のシェアを占め、本県農業にとって米、園芸と並ぶ基幹作物となっておりますが、畜産経営を取り巻く環境は、平成3年度の牛肉自由化を境として、牛肉を初めとし畜産物の価格が低迷するなど、厳しい状況となっております。このため、主産県岩手として激化する畜産物産地間競争に打ちかっていくためには、生産性の高い安定的、効率的な経営体の育成を図るとともに、消費者の関心が高い、高品質で安全な食品確保への取り組みも一層強化する必要があると思うのであります。
 また、近年、本県の家畜飼養形態は、多様化、集約化が進展し、これに伴い多発する慢性疾病等の発生阻害要因の防除、飼養管理技術の向上等の対策が特にも重要な課題となっております。生産現場で農家と密着して活躍している獣医師は、家畜の健康管理、迅速、適切な治療などを通じて畜産農家の経営安定と、良質で安全な畜産物の生産、供給、また、家畜畜産物の広域交流に伴う各種疾病の侵入防止、さらには、受精卵移植技術を活用した家畜の改良等、畜産振興の重要な分野を担っております。
 毎年、獣医師国家試験の合格者は1、000名前後であり、昭和57年から獣医学生の修学年限が6年制になったことや、民間の研究部門が拡大したこと等が相まって、その職域は、飼育動物の診療分野から医薬品、飼料、食品関連企業等の分野に拡大をいたしており、このため、産業動物に携わる獣医師については、民間企業との待遇面での格差もあり、本県においてもその確保が十分でないと伺っております。岩手県では、獣医師の確保対策として平成3年度、独自の獣医学生いわてふれあい事業を創設し、獣医師確保対策を行っているところであります。畜産振興及び公衆衛生向上の観点からも、獣医師の安定確保が極めて重要であると考えておりますが、本県における獣医師確保の現状と今後どのような確保対策を講じようとしているのか、お伺いをいたします。
 次に、日本一炭の里づくり構想の推進状況についてお伺いをいたします。
 本県の木炭は、豊富な森林資源を背景に生産されておりますが、その生産量は8、000トンで全国生産量の4分の1を占めており、本県は全国1位の生産県となっております。一時、固形燃料から液体燃料への転換により生産量は激減いたしましたが、近年レジャー用や業務用として人気が高まると同時に、水質浄化や土壤改良など、新たな分野での活用が増大し、生産量は徐々に回復してきております。消費はさらに拡大すると予想されております。こういった中で、平成5年に久慈市、山形村など九戸高原6市町村を対象として、木炭を核として地域振興を図ることを目的に、日本一炭の里づくり構想が策定されたと伺っておるところであります。本構想は、生産、学究、交流の3本の柱からなっており、近代的な大規模製炭設備の整備、情報、流通体制の整備、木炭の新たな用途開発及び森林の空間を生かした都市住民との交流促進など、木炭を中心として総合的に地域振興を図ることが提言されていることから、県北地域の振興を図る上で重要な施策の1つになるものと存じております。現在、木炭や木酢液の生産施設設備を中心に整備が進められていると伺っておりますが、この構想の早期実現を強く望むものであり、また、平成4年2月の定例会において提言申し上げておきました木炭研究所の開設についても期待をしているところであります。つきましては、この構想の現在までの進捗状況と今後の進め方についてお伺いをいたします。
 次に、干しシイタケ生産振興対策についてお伺いをいたします。
 本県のシイタケの生産量は880トンと、生産者の方々の御努力と熱意によって年々増加し、大分、宮崎に次ぐ全国第3位の地位を確保するとともに、品質においても全国乾燥シイタケ品評会で毎年上位に入賞しているほか、今年度の農林水産祭りの林業部門において釜石市の菊池六郎氏が天皇杯を受賞するなど、本県は全国でも有数の生産県となっております。中でも久慈地方における生産量は160トンと、本県生産量の約2割を占めており、当地方の極めて重要な作目の1つとなっております。しかしながら、昨年の干しシイタケの生産量は全国的に減少し、特に久慈地方の生産量は平年作の4割程度と伺っております。これは春先の降雨が極端に少なかったことが災いしたと思われますが、このような異常気象が頻発することとなりますと、安定した生産が困難となり、生産者の意欲を減退させるばかりでなく、全国第1位の生産県を目指して頑張ってきた県の努力が水泡に帰することにもなりかねないと危惧するものであります。
 そこで、異常気象など、天候に左右されることなく安定的に生産ができる散水施設などの施設整備を進めることが最も重要であると考えますが、今後どのような対策を講じようとしておられるのかお伺いをいたします。
 以上をもちまして私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事工藤巌君登壇〕
〇知事(工藤巌君) 三河喜美男議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県北空港問題についてでありますが、私は、県土の均衡ある発展を図るためには高速交通体系の整備が重要な課題であるとの認識のもとに、県北地域についても、東北新幹線盛岡以北のフル規格化や八戸久慈自動車道及び三陸北縦貫道路などの整備促進に努めるとともに、空港の立地可能性について調査検討を進めてきたところでございます。特に、お尋ねの空港につきましては、沿岸全域を対象としてその立地可能性について専門機関に委託して調査を実施した結果、久慈地域において、物理的に見た場合に数カ所の空港適地が選出されたものでありますが、航空需要の面から、現行制度のもとでは国の基準に達しないとされたところでございました。
 一方、岩手県北空港建設促進期成同盟会による調査につきましては、本年1月下旬に、県に対する県北地域への空港設置に関する陳情に際して報告書が提出されたものでございます。
 県といたしましては、この調査報告について、三沢空港との機能分担や東北新幹線フル規格化による影響など、需要面に関しまして、現在、専門機関に分析を依頼するなど、事務的に検討を行っているところでございます。したがいまして、今後、総合的な高速交通体系の整備について、調査検討を重ねる中で新空港についても引き続き検討してまいる必要があると存じております。
 次に、久慈地域への大規模電源立地についてのお尋ねでございますが、久慈火力発電所の誘致については、過日、推進協議会の皆様からの陳情をいただいたところであり、私もその動きにつきましては承知いたしております。御案内のとおり、大規模な電源立地は地域の振興を図る上でも有力な手段でありますが、その反面、地域に与える影響も非常に大きいものがございます。このため、その立地促進に当たりましては、地元の方々にはさまざまな考え方があると思いますが、住民の皆様方の御理解と合意が大前提になるものと存じております。県といたしましては、地元の皆様方の合意が得られるならば、国のエネルギー政策の動向の把握に努めるとともに、電気事業者との協議を進めていく必要があると存じております。そして、これらについて、岩手県エネルギー問題懇話会において幅広い御意見や御提言をいただきながら、地元市、関係町村とも連携を密にいたしまして的確に対応していくことが肝要であると存じております。
 その他もろもろのお尋ねがございましたが、関係部長より答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔商工労働部長神田隆君登壇〕
〇商工労働部長(神田隆君) 誘致企業の2次展開についてでございますが、本県の企業誘致の実績につきましては、昭和30年から起算をいたしまして、現在までで延べ586件となっております。このうち、県内に立地をいたしました企業が県内の他の地域に新たに工場を展開するという、いわゆる誘致企業の2次展開につきましては現在までに86件を数えているところであります。この企業の2次展開につきましては年々その割合が高まっている状況にございまして、平成5年、平成6年においてもそれぞれ3件が2次展開をいたしてございます。
 なお、企業の2次展開への取り組みにつきましては、いわゆるバブル経済の崩壊の後、景気が低迷をいたしてございまして、企業の設備投資が低調に推移しているわけでございますが、本県の工業集積をさらに高めてまいりますためには、御指摘のございましたとおり、県外企業の誘致はもとよりでございますが、既に県内に立地をいたしてございます企業の2次展開を誘導していくということも大変有効な手段の1つであるというふうに考えているところでございます。幸いにいたしまして、本県に立地いたしました企業の多くは、地域とともに歩む企業として発展をしている企業が多うございますので、今後ともそれぞれの企業、工場を訪問いたしまして、さらには各種の説明会等の機会を通じまして、工場や研究部門のさらなる展開の誘導に努めてまいりたいというふうに考えているところであります。
 県北沿岸地域につきましては、これまでのところ北上川流域に比べまして企業の立地件数が少ない状況にございますので、この地域への企業誘致の促進につきましては大きな課題であるというふうに県としても認識をいたしてございます。このためもございまして、現在、久慈及び二戸地区におきまして拠点工業団地の整備を進めているところでございますので、これらを受け皿といたしまして、関係市町村との連携を図りながら、今後とも県外からの優良企業の誘致にあわせまして県内の企業集積の高い地域の優良企業の2次展開を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
   〔土木部長白波瀬正道君登壇〕
〇土木部長(白波瀬正道君) まず、国道281号の改良整備についてでございます。
 国道281号は、県都盛岡都市圏と久慈地域を結ぶ県北沿岸地域の振興、発展を担う広域的な幹線道路であるとともに、地域の生活に欠くことのできない極めて重要な道路でございます。しかしながら、岩手町より山形村にかけての北上山地は、厳しい地形と自然条件に加え、近年の交通量の増大や車両の大型化の進展に伴って、冬期交通の安全確保対策とともに、隘路の解消や人家連捻部の交通安全対策のより一層の推進が必要となっているため、県におきましては、交流ネットワーク道路整備事業においてこの道路を久慈ルートとして位置づけ、鋭意その整備に努めているところであります。
 また、この道路は、平成5年12月策定いたしました岩手県広域道路整備基本計画において盛岡・久慈連絡道路として位置づけ、交流促進型の幹線道路として整備を図ることとしたところでもあります。具体には、これまでにも葛巻町鈴鹿口地内の隘路区間の解消を図ったほか、山形村川井バイパスにつきましても昨年12月に全線を完成し、供用したところであります。このほか、現在、岩手町の大坊峠で登坂車線の設置を含めた改良工事を、葛巻町繋地内においては局部的な線形改良工事を、また、久慈市山口地内では歩道を含めた拡幅改良工事を進めているところであり、今後ともこれらの事業の推進を図るとともに、逐次隘路となっている箇所の改良に取り組み、久慈地域と内陸部の一層の時間距離の短縮に努めてまいりたいと考えております。
 また、久慈地区の国道281号の切りかえについてでありますが、久慈市の市街地におきましては、近年、交通量の増大に伴って朝夕の交通混雑が著しく、渋滞の解消や沿道環境の改善が必要となっていることから、円滑な交通を確保するため、バイパス計画について調査を進めてきているところであります。現在、ルートの比較検討を鋭意行っているところであり、今後、国や地元との協議調整を行いながら、このバイパス計画の早期事業化に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、県立久慈病院の移転改築に伴う道路の整備についてでございます。
 平成5年9月、県立久慈病院が久慈市旭町へ移転改築されることが決定されたことに伴い、久慈市街地や周辺町村から新病院へのアクセスの確保のため、市道門前源道線及び2号線の整備が必要となったところでございます。しかし、このアクセス道路は病院の開業に間に合うようその整備が急がれるとともに、現況道路を大幅に拡幅することが必要なことから、急遽本年度から国庫補助事業により本格的な整備が進められることとなったものであります。現在、鋭意用地取得を進めており、来年度からは工事にも一部着手できる見通しとなったところでございます。県といたしましては、この市道が将来の久慈市の主要な骨格を形成する幹線道路ともなり得る道路でありますことからも、この市道の整備が新病院の開業時に間に合うよう、国庫補助の確保を初めとして、市を積極的に支援してまいりたいと考えております。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) 地震津波観測体制についてでありますが、本県には、気象庁や東北大学地震予知噴火予知観測センターなどの所管する施設が31カ所に設置されており、これらのうち、宮古-八戸間には青森県内のものも含めまして12カ所に設置されております。特に気象庁の施設につきましては、全国23カ所の気象官署に設置されている地震観測システムに加え、昨年4月、新たに全国150カ所に設置されました地震津波早期検知網、これが整備されたことによりまして、以前は7分から8分ぐらいを要しておった津波予報が3分程度で出せるようになったところであります。
 次に、気象情報の発表区分についてでありますが、予報技術上、現在、岩手県内を細分化する方法としては、1次細分として内陸部と沿岸北部と沿岸南部、さらにこれを必要に応じて2次細分する場合があるようでありますが、これが内陸北部と内陸南部とされております。合わせて合計の4区分とされております。
 また、地震情報につきましても、従来は気象官署の所在地である盛岡市、宮古市、大船渡市における震度情報のみを発表してきておりましたけれども、本年の3月からは気象情報の、ただいま申し上げた4区分の地域ごとに震度を発表するシステムに変える方針であるというふうに伺っております。
 御案内のように、本県では幾度も津波災害を受けていることから、本県沿岸地域の特定観測地域への指定と地震津波観測体制の強化について繰り返し国に要望してきておりますけれども、今後とも引き続き強く要望してまいりたいと考えております。
   〔農政部長高橋洋介君登壇〕
〇農政部長(高橋洋介君) まず、県北地域の農業の振興についてのお尋ねにお答えをいたします。
 県北地域におきましては、高原地帯は大家畜や高冷地野菜、平たん地は中小家畜や施設型野菜など、それぞれの立地条件を生かした多彩な農業生産が進められているところでございまして、全国に誇れる優良産地も形成されてきているところでございます。もとよりこの地域は、夏期冷涼な気象や豊富な有機物資源など、自然、生態系を活用した農業を推進する上ですぐれた条件を有しており、安全で健康な食、これを売り物とした産地づくりのまさに適地であります。したがいまして、今後におきましては、こうした特性を前面に打ち出し、これまでのホウレンソウ、レタス、大家畜などを軸とした園芸と畜産に加えまして、需要の増大している雑穀の生産拡大などを図るとともに、販売面におきましても、農薬、化学肥料を最小限に抑えた生産方式、さらには品質、味、栄養価など、商品そのものの特性に着目した売り方なり販路の開拓など、この地域ならではの農産物の生産とか販売を総合的に展開することが肝要である、そのように存じております。県といたしましても、県北農業技術センター--仮称でございますが--、これの整備を進めるなどによりまして、地域の課題解決に向け積極的に支援してまいる考えでございますが、さらに地域の方々の主体的な取り組みがなされることによりまして園芸と畜産の一大基幹産地が形成されまして、これからの時代を切り開いていける力強い農業が構築されるものと存じております。
 次に、雑穀の振興策と付加価値を高める方策についてでございますが、御案内のとおり、新穀類につきましては、現状では栽培規模が小さい、また、機械化もおくれている、さらに流通ルートも確立されていないために販売価格が低く抑えられているなどの問題があるわけでございます。したがいまして、新穀類の振興につきましては、まず、葉たばこや麦、野菜等の他の作物との輪作体系、これを組み立てることが大事でございまして、また、機械利用による効率的な生産体系の確立を図るほか、有利販売につなげます一元的集荷とか、それから、さらに加工や料理の提供などにより所得拡大につながる、そういういろいろな取り組みを推進していくことが重要であると考えております。県では、これまで品種、栽培技術の実証試験や生産流通研究会の開催などに取り組んできたわけでございますが、新たに平成7年度から革新的農業技術・経営実証モデル事業を県北地域で行いまして、大型機械による輪作体系の実証と普及を図りまして、年間を通じて供給できるような生産の拡大に取り組んでまいる考えであります。
 さらに、有利販売と付加価値を高めていくために、全国的にもまれなケースでございます生産者、消費者双方の利益を考えた新穀類の流通取引を目指している民間団体の取り組みをさらに促進させまして、地場で生産されたこれら穀物を地元で製品化する企業の育成とか、地域独特な料理として観光客等に提供するなどの取り組みまでに発展させてまいりたい、そのように考えております。
 次に、獣医師の確保対策についてでございますが、産業動物に携わる獣医師の安定確保は、生産費の低減や畜産物の品質向上、安全性の確保等に極めて重要な役割を担っておりまして、畜産振興上欠かせないものと考えております。県及び農業団体等の獣医師採用の状況ですが、平成6年度は18名の募集に対しまして採用が12名、平成7年度は募集12名に対しまして10名が内定しているというような状況でございまして、年々採用割合は高くなっているわけでございますが、ただ、農業団体での確保が十分でないというような状況にあるわけでございます。
 本県におきまして獣医師が不足する背景といたしましては、獣医師の職域が食品産業等の研究分野への拡大なり、また、愛玩用動物の診療等、都市部に集中しているというようなことと、産業動物関連では、勤務条件がきついこと等が挙げられているわけでございます。このため、本県では、県及び農業団体等の産業動物関連の獣医師確保対策といたしまして、獣医学生修学資金制度、獣医学生いわてふれあい事業、これを平成3年度に創設をいたしまして、現在、計画どおり30名に修学資金を給付いたしまして、一定の成果を見ているわけでございます。
 県といたしましては、今後も引き続き農業団体等と連携を図りながら、本県出身者の獣医学科設置大学への進学促進、また、本県におきます獣医領域での活躍の場を積極的にPRをする、さらに、診療施設の整備や相互の連携を強化いたしまして休日診療体制の確立を図る等、獣医学生にとりまして魅力のある職場環境を整え、獣医師の確保に努めていきたい、そのように考えております。
   〔林業水産部長田尾秀夫君登壇〕
〇林業水産部長(田尾秀夫君) 日本一の炭の里づくり構想についてお答えをいたします。
 本県の木炭生産量は、最盛時より減少したとはいえ全国第1位の生産量を誇っておりますが、本県生産量の8割以上を占めます久慈市や軽米町、山形村など、県北6市町村を対象として、お話のありましたように、日本一の炭の里づくり構想が策定されているところでございます。本構想は、木炭の生産から流通に至る産地体制の整備を初めといたしまして、木炭の新用途の研究や新商品の開発、木炭文化の展示や研修など、木炭を核として総合的な整備を推進し、県北6市町村を全国に誇れる日本一の炭の里に振興することを目指しております。
 まず、推進状況についてでありますが、平成5年度に久慈市で日本木炭サミットを開催いたしまして、シンボルマークも制定し、県内外に日本一の炭の里をアピールしたところでございます。また、軽米町において、木炭及び木酢液の生産やこれらを利用して土壤改良材等を製造いたします総合的なプラントを整備したほか、大規模製炭窯21基、木酢液貯留施設1棟、製炭者の休養施設4棟を整備いたしますとともに、これと並行いたしまして、木炭による水質浄化の試験を山形村で行っているところであります。
 次に、今後の進め方についてでありますが、日本一の炭の里づくりはまだ緒についたばかりでありますので、今後は関係市町村と一体となりまして、整備が急がれております製炭施設や、木炭の集出荷や販売の拠点となります--仮称でありますが--木炭ターミナルセンターなど、流通施設の整備を優先して進めますとともに、その他の施設につきましても具体的な計画がまとまり次第、順次整備を進めてまいりたいと存じます。
 また、各地で製炭協同組合が組織化されてきておりますので、これらの育成強化にも努めるなど、文字どおり日本一の炭の里となるよう、積極的に推進してまいる考えであります。
 なお、お話のありました木炭研究所につきましては、現在、関係市町村や木炭協会が中心となってつくることができないか調査検討が行われているところでありますので、その結果を踏まえて今後検討してまいりたいと存じます。
 次に、干しシイタケの生産振興対策についてでありますが、本県では昭和40年代の初めから干しシイタケの生産に積極的に取り組んでまいりました結果、現在では生産量が約900トンに達しておりまして、大分、宮崎県に次いで全国第3位の生産県に発展したところであります。また、近年、全国品評会で農林水産大臣賞をたびたび受賞いたしますとともに、昨年は天皇杯を受賞するなど、本県の干しシイタケの品質は日本一の折り紙がつけられているところであります。しかしながら、昨年の生産量は、議員御指摘のとおり、春先の降雨量が極端に少なかったため、平年に比べまして高い地域で6割、低い地域では3割程度と、過去に例のない結果に終わったところでありますが、このような中にありましてもスプリンクラーなど、散水施設を有効に活用いたしまして平年作に近い生産量を確保した生産者が県内にもおられますので、今後は異常気象などに左右されずに安定的に生産できるよう、散水施設等の整備を進めることが喫緊の課題であると存じております。このため、平成7年度以降は早急に散水施設や栽培ハウス等の整備を積極的に進めますとともに、施設の機能が十分に生かされるよう、きめ細かな技術指導を行ってまいりたいと存じます。
 
〇副議長(山崎門一郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時6分 休 憩
出席議員(43名)
1番  佐藤知世  君
4番  谷藤裕明  君
5番  折居明広  君
6番  三 河 喜美男  君
7番  村上恵三  君
8番  長谷川 忠 久  君
9番  瀬川 滋  君
10番  渡辺幸貫  君
11番  村田柴太  君
12番  阿部富雄  君
13番  菊池 勲  君
14番  舘沢秀徳  君
15番  伊藤榮一  君
16番  工藤 篤  君
17番  菅原温士  君
18番  岩渕信郎  君
19番  山内隆文  君
20番  飯澤忠雄  君
21番  藤原良信  君
22番  片方 盛  君
23番  小原宣良  君
24番  大欠市蔵  君
25番  千葉 浩  君
26番  戸羽一男  君
28番  坂本昭三  君
29番  千葉英三  君 
30番  藤尾永悦  君
31番  樋下正光  君
32番  吉田洋治  君
33番  及川幸郎  君
34番  那須川 健 一  君
35番  大倉栄吉  君
37番  山 崎 門一郎  君
38番  横田綾二  君
39番  堀口 治五右衛門 君
40番  佐々木 俊 夫  君
41番  佐々木 重 雄  君
42番  鈴木三郎  君
43番  吉田 秀  君
46番  伊藤 孝  君
48番  佐藤啓二  君
49番  藤原哲夫  君
50番  藤根順衛  君
欠席議員(5名)
27番  佐藤正春  君
36番  野舘泰之  君
44番  吉田義正  君
45番  佐々木 洋 平  君
51番  千葉 一  君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時25分 再 開
〇副議長(山崎門一郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。横田綾二君。
   〔38番横田綾二君登壇〕(拍手)

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