平成7年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇22番(片方盛君) 新進党の片方盛でございます。
 質問に先立ちまして、戦後最悪の地震被害となった阪神大震災で犠牲となられました方々と、その御遺族に対し衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災された多くの方々に心からお見舞いを申し上げる次第であります。
 想像を絶するこの大震災から1カ月が過ぎましたが、5、400人を超す死者を出し、瓦れきと化した大都市は復興へと動き出したものの、今なお20万人を超える被災者は不自由な避難生活を強いられているところであります。被災地の様子を伺うにつけ、胸の締めつけられる思いであります。1日も早い復興を切に願うものであります。
 それでは、通告に従い、私の提言も含めながら順次質問をしてまいりますので、誠意ある御答弁を望むものであります。
 工藤知事におかれましては、平成3年4月、知事に就任されて以来、健康に悩まされながらも県政の推進に一生懸命に取り組んでこられました。私は、工藤知事の、岩手のため、県民のためを常に念頭に置き、謙虚に、かつ積極的な諸施策への取り組み姿勢に接し、大きな感銘を受けてまいった1人であります。これまでの御功績に対し心から敬意と感謝を申し上げる次第であります。特にも、知事は教育立県の確立を掲げ、各種教育施設の整備や教育環境の整備に尽力する一方、かねてから県民の念願でありました高等教育機関の創設に意欲を持って取り組んでこられました。
 そこで、質問の最初に、工藤知事の最後の遺産とも言える県立大学の整備についてお伺いをいたします。
 本県が社会経済の変化に的確に対応し、県勢の一層の発展を期していくためにはすぐれた人材の育成が肝要であります。そのため、高等教育機関が果たすべき役割はますます大きくなるものと考えられます。しかし、本県の現状を見ると、大学等の収容規模が不足しているため、進学希望者の多数が県外への進学を余儀なくされている状況にあります。このようなことから、向学心に燃える若者が県内で進学できるよう、高等教育機関の整備を図ることは県政の大きな課題であります。知事が平成10年の開学を目指して県立大学の整備を進めていることは、本県の進学率の向上はもとより、地域の産業や文化の発展にも大きく寄与し、県民の期待にこたえるものと高く評価をしております。県立大学の整備に当たっては、専門家で構成する県立大学基本構想検討委員会が昨年来検討を重ね、先般、基本構想を答申されたと伺っておりますが、この答申を受け、知事は県立大学の教育理念についてどのような所感をお持ちなのか、改めて御披瀝を願いたいと思うのであります。
 また、県立大学は、地域振興に配慮した4つの学部を有する総合大学を目指しており、地域の特性、学問の独自性、創造性などから多彩な教員の確保が必要と考えられるのであります。特にも、大学の魅力は教授陣の顔ぶれと言っても過言ではないと思うのであります。特定の大学の入試を勧めるのも、ぜひこの大学に入るといった気持ちになれるのも、教授陣の顔ぶれではないかと思うのであります。そうした中からすぐれた優秀な人材が生まれ育っていくものと思います。そのためにも、それぞれの専門分野で国内のみならず、国際的にも名の知れた教授陣をいかに確保するかが県立大学の評価を大きく左右するものと考えるものであります。
 そこでお伺いをいたしますが、今後、教授陣の確保のために、どのような考えのもとにどのような取り組みをしていこうとされているのでしょうか。また、県立大学整備の全体的な進捗状況についてもあわせてお伺いをいたします。
 次に、工業の振興についてであります。
 1985年のプラザ合意以降、円相場の上昇、国内における地価や人件費の上昇などは国内生産コストを大きく押し上げ、低廉な労働力を求める生産機能の海外移転が本格的に進められてきたところであります。1985年には3%であった製造業の海外生産比率は、近年では6から7%にまで上昇していると言われているところであります。これまで工業化でおくれをとってきたアジア圏は、日本や欧米諸国からの技術移転などを背景に近代工業化が進んでおります。安価な人材費などを求める量産型の日本製造業のアジア圏進出は、今後ますます増加することが予想されるのであります。このような我が国製造業の趨勢は、当然のことながら国内の地域工業のあり方にも大きな影響を与えつつあると考えられます。本県の工業は、多くの雇用の場をつくり出すことによって地域経済を支えてきたところであり、高速交通網の整備を基点にした企業誘致の進展は、若者の地域への定着や自治体の税収の増加、関連する商業、サービス業の発展など、県内各地域の活性化に大きく貢献してきたところであります。しかしながら、近時の円高を背景とした量産機能の海外移転の加速化などに伴い、地域の工業の空洞化の危険が指摘されているところであります。私は、仮に空洞化が進むようなことになると、県民生活を支える雇用の場の確保についても大きな問題が生じることになりかねないと危惧するものであります。また、自治体の税収の減少など、地域経済を活性化させていく上でさまざまな困難が発生してくることを懸念するものであります。このような大きな環境変化が進む中で、国内の各地域は地域経済を支える工業振興のあり方を見直しながら、次の新たな展開を多様な視点から模索し始めているように思われます。本県もこの例外ではないはずであります。
 そこで、以上申し上げました環境変化に対応した今後の本県の工業振興の方向性についてお伺いいたします。
 次に、花巻空港についてであります。
 本県の高速交通体系の最近の動向について見ますと、昨年末、長年の県政課題でありました東北新幹線盛岡以北の県内フル規格化が決定されるとともに、宮古盛岡横断道路、三陸北縦貫道路及び盛岡秋田道路が地域高規格道路に指定されるなど、本県の高速交通体系の一層の充実に向けて大きな前進が見られたところであります。私は、今後残された最大の課題は、花巻空港の滑走路2、500メートル延長整備の実現に尽きるのではないかと考えるのであります。空の時代と言われ、グローバル化が進展している今日、大型ジェット機に対応した花巻空港の拡張整備は本県の国際化を進展させるとともに、産業経済のあらゆる分野において大きなインパクトを与えるものと確信するものであります。県においては、花巻空港の滑走路2、500メートル延長整備を早期に実現すべく、1路線50万人という国の基準達成に向けて空港の利用促進運動を鋭意展開しているところでありますが、平成8年度からスタートする国の第7次空港整備5カ年計画に組み入れるためには、今年度、そして来年度の利用実績が大きなかぎを握っているものと考えるのであります。このような状況の中、昨年9月4日には内外の注目を集めて我が国初の本格的な24時間運用可能な空港である関西国際空港が開港し、東北では仙台空港、青森空港とともに花巻空港からの乗り入れが実現したことにより、本県と関西地区との空のパイプが大幅に強化されました。 そこでお伺いをいたしますが、関西国際空港への乗り入れ開始後、花巻空港の利用実績はどのように推移しているのでしょうか。また、関西国際空港への乗り入れ効果を今後どう生かし、どのようにして花巻空港滑走路2、500メートル延長整備の実現につなげていくお考えなのかをお伺いいたします。
 次に、電線類の地中化についてであります。
 県土の均衡ある発展、国際化や高齢化社会への対応等、真に豊かさを実感できる社会を実現するために道路は欠くことのできない社会資本でありますが、その整備に当たっては、量的需要に対応することはもとより、ゆとり、やさしさなど、質的充実が重要となっており、今後は高齢者や障害者にもやさしい道づくりや景観に配慮した美しいまちづくりが求められてきております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 一方、この道路を介在して日常生活に欠くことのできない社会基盤の1つとなっている電力線や電話ケーブルは、先般の阪神大震災においてもライフラインとしての重要性が再認識されたところであり、また、これら通信網を支える電柱等の倒壊が都市機能に深刻な影響を及ぼしたことは大きな衝撃でありました。今日、高度情報化社会の波が押し寄せている中、通信基盤施設の充実強化は重要な課題となっております。今後、国の各省庁においても高度情報化の推進を緊急に図ると聞いており、情報ハイウエー構想などという言葉も報道されております。本県の電線類地中化につきましては、盛岡市内で初めて実施され、その後、花巻市や北上市などでも実施されるようになり、大変喜ばしい限りであります。先ほど申し上げましたように、都市の防災機能を充実強化させるためにも、電線の地中化、無電柱化は極めて重要な課題であり、緊急時や災害時の安全確保や高度情報化社会実現のための通信基盤施設のなお一層の充実が望まれるところであります。
 そこで、今後これらをどのような計画で展開していくのか、その見通しについてお伺いいたします。
 次に、高齢者の保健福祉についてであります。
 高齢化の進展に伴い、介護を要する高齢者の増加が予想されておりますが、これに対応するため、県及び市町村では老人保健福祉計画を策定し、21世紀までに緊急に整備すべき保健福祉サービスの目標量を定め、ホームヘルプサービスなどの在宅福祉サービスや特別養護老人ホームなどの施設整備の拡充に積極的に取り組んでいると承知しておりますが、国においては、昨年12月に大蔵、厚生、自治の3大臣の合意のもとに、高齢者保健福祉推進10カ年戦略を見直し、高齢者介護対策のさらなる充実を図ることとし、平成7年度から新ゴールドプランをスタートすると伺っております。この新ゴールドプランにおいては、高齢者介護に係る在宅福祉サービス及び施設福祉サービスの目標量の引き上げが示されているほか、今後取り組むべき高齢者介護サービス基盤の整備に関する施策の基本的枠組みとして、新たな施策の実施についてもうたわれていると伺っております。
 そこで、まず、新ゴールドプランの策定に伴い、県の老人保健福祉計画を見直すこととなるのかどうかをお伺いいたします。
 次に、高齢者介護対策のメニューが年々充実してきているところでありますが、今後これらのサービスを利用者本位に提供していくためには、量的整備のみならず、サービスの質的充実が重要になってくると考えるものであります。
 そこでお伺いをいたしますが、ホームヘルプサービス等の在宅福祉サービスの質的充実を図るために、今後県では市町村に対してどのように指導や支援をしていくのか、また、特別養護老人ホームにおいて入所者の希望に沿ったより質の高いサービスが提供できるよう、どのように指導、支援していくのか、県の取り組みをお伺いいたします。
 次に、老人保健施設の整備についてであります。
 本格的な長寿社会に対応し、県においてはハード、ソフト両面にわたる各般の施策に取り組んでおり、これは先般策定した高齢者保健福祉計画にも積極的な姿勢がうかがわれるところであります。この計画も、国が示した新ゴールドプランを踏まえ、所要の見直しを行うなど、さらに充実した計画のもとに、その着実な推進と成果に期待するものであります。老人保健施設は、老人の方々が健やかで安心し充実した生活を送ることができるよう、要介護老人対策あるいは寝たきり予防対策の一環として、その整備の一層の促進が望まれるところであります。県においては、平成11年度までに4、400床を整備することを目標に、現在、整備促進に取り組まれておりますが、その進捗状況はどうなっているのでしょうか。整備促進は、設置者となる自治体や地域の医療、福祉関係者等の積極的な姿勢にまつところが大でありますが、地域住民がひとしく施設を利用していくためにも県内の均衡ある配置が肝要であります。この件については、過般の議会において同僚の議員からも質問があり、県の基本方針について承ったところでありますが、現在の設置状況を仄聞いたしますと、都市部と比べ県北、沿岸部の整備がややおくれているようにも見えます。
 そこで改めてお伺いをしますが、各保健福祉圏域の状況と今後の整備の見通しはどうでしょうか。また、高齢化の進行により、寝たきりなどの介護を要する老人だけでなく、痴呆性老人の増加も見込まれております。痴呆性老人対策については国レベルで種々の対策が検討されていると聞いているところでありますが、私は、家庭における介護力が低下してきている現状を考慮すれば、老人保健施設においても要介護老人のみならず、痴呆性老人の介護にも着目した施設の積極的な整備を促進していく必要があると思うのですが、県の今後の整備促進に当たっての御所見をお伺いいたします。
 次に、青年の船事業についてであります。
 今日、我が国の経済社会情勢は、国際化、高齢化、情報化などの大きな変化の中にあり、このような時代の変化は、とりもなおさず本県が適切な対応を求められている課題でもあります。このような中で、目前に迫った21世紀を希望に満ちたものとして切り開いていくのは、活力にあふれ、豊かな感性と創造力に満ちた、まさに今日の青少年であります。現代の青少年の特性については、かねてから、耐えることが苦手なこと、自分から考えて何かをやろうとする自発性に乏しいこと、さらには、社会、公共的なものへの関心の薄さなどが指摘されているところでありますが、去る1月17日に発生した阪神大震災における若者のボランティア活動には実に目をみはるものがありました。何の気負いもてらいもなく、黙々と被災者の救援活動に従事するさまを目の当たりにし、まことに頼もしく感ずるとともに、自分が価値を認めたことについては懸命に努力をする、まじめさを持っている現代青年の特性の一端をかいま見た思いがしたのであります。私は、このような青年たちの姿を見て、改めて社会の発展に果たす青年の役割と貢献の重要性に思いをいたしたところであります。県においては、地域の振興に寄与し、新しい郷土岩手をつくる有為な青年を育成するため青年の船事業を実施されてきたところでありますが、平成6年度の実施をもって第15回を数えたこの事業の成果をどのように評価しているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、青年の船事業実施に当たっては、参加団員の確保が年々難しくなっている状況にあるやに伺っておりますが、第15回の大きな節目を終えた今、今後、この青年の船事業をどのようにしていかれるのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、全国食文化交流プラザについてであります。
 今や我が国の食生活は、飽食の時代と言われるほど豊かで、いつでもどこでも好きなものを好きなだけ食べられ、生きるためや健康のためというよりは、おいしさや楽しさが優先されるようになってきております。食生活の形態は、洋風化に加え、外で食事をする外食の進行、さらには女性の社会進出や余暇時間の増加を求める社会環境の変化などにより、家庭での食事づくりに時間がかからない手軽な半製品や加工食品が多彩に利用されるなど、大きく変化をしてきております。
 一方、このような豊かな食生活実現の反面、そのマイナス面として、輸入農産物の増加、米消費量の減少、食べ過ぎ、偏食、栄養素のアンバランス、一家だんらんでの食事の減少、成人病の著しい増加と若年化などが表面化してきており、私は、日本人の食生活は曲がり角に差しかかっているのではないかと思っております。
 食事は最も基本的な生命の源であり、毎日の食事を決しておろそかにしてはいけないのであります。私は、このように食環境や食事観が大きく変化してきているときこそ、これまでの日本型の食生活や食習慣のすぐれた点を見直し、再構築していくことが最も重要であると考えるのであります。こういう時期にあって、県では全国規模な食の祭典である全国食文化交流プラザを平成8年度に本県に招致すると聞いており、食文化を見直すまことに時宜にかなった祭典であろうと確信するものであります。
 そこで、この催事の内容と、期待される効果は何なのかお伺いをいたします。
 最後に、職業高校の将来像と、その振興に向けての方策についてであります。
 本県産業の振興については、これまで我が国の農林水産物の総合供給基地としてその整備を図るとともに、先端技術産業などを導入した工業の集積や地場産業の育成など、地域の特性を生かした活力ある産業の展開を推進しながら、北東北の中核としての地位の確立のために努力されてきたところであります。この間、高等学校における職業教育は、産業の各分野にわたる有為な人材を育て、社会に送り出すことによって人材育成の面から本県産業経済の発展に大きく寄与してきたことは申すまでもないところであります。近年、国際化や情報化、高度技術化、サービス経済化など、産業社会の変化は著しく、このような中にあって、各産業の活性化や地域経済の自立的発展を図っていくためには、産業間、異業種間の連携強化が必要であり、また、本県が長期的、安定的な経済成長の道を歩むためには、各産業の中堅となる人材の確保が緊急かつ重要な課題となるものと考えます。今後、高等学校の職業教育においては、国際感覚を身につけ、創造性が豊かで実践力に富み、社会の変化や高度化に柔軟に対応していくことのできる人材の育成が望まれるところであります。私は、そのような観点から、職業学科で学ぶ生徒が物づくりの意欲に燃え、積極的に学習に取り組めるよう、ハード、ソフトの両面にわたって学習環境を整え、高等学校職業教育の一層の振興を図っていくことが肝要であると考えるのでありますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事工藤巌君登壇〕
〇知事(工藤巌君) 片方盛議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県立大学の教育理念についてでありますが、県立大学基本構想検討委員会の答申を受けて策定をいたしました基本構想におきましては、自然、科学、人間が調和した新しい時代の創造等を建学の基本理念として掲げ、豊かな教養の習得、人間尊重の精神を涵養する大学、本県の産業、経済、文化の発展に寄与する地域に開かれた大学、さらには、国際的な教育研究活動の推進などを各学部に共通する教育研究の特色として掲げたところでございます。
 県立大学においては、地域の保健医療を支える人材を育成する看護学部、豊かで活力ある福祉社会の実現に寄与する社会福祉学部、情報化の著しい進展に対応し、かつハードウエア中心の学部が多い我が国の情報系学部の中では皆無に等しいと言われるソフトウエアに関する教育研究に取り組むソフトウエア情報学部、豊かな地域社会の形成に寄与する総合的な問題解決や政策立案能力を備えた人材育成を志向する総合政策学部と、多彩な学部を設置することとしております。私は、4つの学部を有する総合大学の特徴を生かしながら、各学部の連携により、高齢化、情報化、国際化といった時代の変化に適切に対応できる能力を育成するほか、地域をフィールドとした調査研究、実習等の実学実践や社会人の積極的な受け入れにも意を用いるなど、これらの学部の特色の中に、人間性豊かな社会の形成に寄与する、深い知性と豊かな感性を備え、高度な専門性を身につけた自律的な人間を育成する大学を目指すという、そういう建学の基本理念が具体化されていると認識をしているところでございますが、それぞれの分野で地域社会の諸課題に対応できる、すぐれた人材が育成されることを期待いたしておるわけでございます。
 次に、青年の船事業の成果についてでございますが、昭和55年度から実施しておりますこの事業は、本年度の実施をもって15回を数えたところであり、この間、実に5、000人を超える青年の参加を得ているところであります。さまざまな地域や職場で活躍しているこれらの青年たちは、船という通常では体験し得ない特殊な空間の中で、自立心を養い、語り合い、友情と連帯感を培い、また外国における寄港地活動を通して国際的な視野の拡大を図るなど、多様な研修を重ねてきたところであります。そして、下船後も青年の船の会を結成し、例えば北上市における鬼ッズフェスティバルに参画するなどの地域づくりや、二戸市における映画会の開催などの文化活動、あるいは各種のボランティア活動など、多彩な事後活動に励んでいると聞いているところであり、まことに頼もしく、うれしく存じているところであります。今後におきましても、全市町村に設置されております青年の船の会を中心とし、地域も船と同様にまた運命共同体であるという意識を持って、さまざまな活動がさらに活発化するならば、必ずや21世紀に向けた郷土岩手の発展の原動力として寄与してくれるものと、大きく期待いたしておるところでございます。
 その他さまざまなお尋ねございましたが、それぞれ関係部長より答弁させますので、御了承願います。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) まず、県立大学の教員の確保についてでございますが、御指摘のありましたとおり、優秀な教員の確保は、魅力ある大学づくりにとって大変重要なものと認識しております。このため、教員の確保に当たりましては、すぐれた教育研究実績はもちろんのことでありますが、情熱と豊かな人間性を備えた人材を広く招聘できるよう、県内外の学識経験者に積極的に働きかけを行いますとともに、各学部の教育研究内容が先進的で魅力的なものとなるように努めるほか、ゆとりのある快適なキャンパスの整備あるいは教育研究条件の充実などにも配慮してまいりたいと考えております。
 次に、県立大学整備の全体的な進捗状況についてでありますが、平成10年の開学を目標にいたしまして、平成9年4月に文部省へ認可申請を出さなければならないと思っております。こういうスケジュールのもとに本年度、6年度は基本構想を策定したところであります。平成7年度からは、仮称でありますけれども、開設準備委員会といったようなものを設置いたしまして、具体のカリキュラムの作成あるいは教員の確保等を具体的に進めてまいりたいと考えております。
 なお、あわせて認可に向けて関係省庁との協議を取り進めているところでございます。 また、施設整備の面では、平成9年度末の完成を目指しまして、本年度は建築基本設計及び用地造成設計に取り組んでいるところでありますが、平成7年度には建築設計及び主要部分の用地造成工事を終了し、以下、順次、建築工事に着手できるように、そういうような計画で準備をしているところでございます。
   〔商工労働部長神田隆君登壇〕
〇商工労働部長(神田隆君) 工業振興の方向についてでございますが、本県の工業は、御案内のとおり、円高等による生産機能の海外への移転などというさまざまな要因もございまして、厳しい環境の変化によりまして工業出荷額の伸び悩み、さらには、企業立地件数の減少というふうな影響もございまして、厳しい環境にあるものと認識をいたしてございます。県といたましては、技術革新や高度情報化等の進展が企業の新たな成長を促していくというふうな観点に立ちまして、今後は、企業の誘致と地場産業の育成を柱といたしました工業振興施策に加えまして、地域における独創的な研究開発の推進でございますとか、技術力や研究開発能力を持ちました企業を育成いたしまして、その集積を図っていくことが重要であると考えているわけでございます。このため、工業技術センターを中心といたしました産学官共同研究の強化を初めといたしまして、盛岡西リサーチパークや研究開発工業団地等を生かしました研究開発型企業の立地の促進などによりまして、本県における研究開発能力の強化を図りますとともに、その成果の県内企業への技術移転を進めてまいりたいと考えているところであります。
 また、国におきましては、経済の構造変化に対応いたしまして、技術開発や新規創業を促進する創造的中小企業振興法などの法律の制定を進めておりますので、県といたしましても、平成7年度予算における中小企業技術改善費補助金の大幅な拡充強化を図りまして、新規創業の支援施策の検討など、事業意欲の高い企業の育成に取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、平成7年度には商工労働部内に設置を予定いたしております岩手ブランド推進室を中心といたしまして、南部鉄器でございますとか漆器、家具、さらには、食品製造業など、本県の地場産業の一層の振興を図るための商品開発や販路の開拓を積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、花巻空港の利用実績と滑走路延長整備への取り組みについてでありますが、花巻空港の滑走路延長整備の早期実現、これは県政の重要課題でありますことから、県といたしましては、官民挙げて設立されました岩手県空港利用促進協議会ともども、関西地区の旅行代理店に対する送客要請、県民の翼の実施など、かねてから大阪線の需要拡大に努めてきたところでございます。この間、お話にもございましたが、関西国際空港への乗り入れが実現いたしまして、大阪線の提供座席数は従来の約1・5倍に増強されたこともございまして、昨年9月からことしの1月までの大阪線の利用者数は約8万人となりまして、昨年の同期に比べまして約2万人と大幅に増加しております。また、その利用者のうち、関西国際空港線は約2万6、000人、つまり32%を占めているところでございます。
 さらに、大阪線につきましては、昨年末、伊丹の増便によりまして4便化が実現したわけでございます。しかしながら、ことしに入りましてさきの阪神・淡路大震災の影響によりまして旅行のキャンセルが相次ぐとともに、伊丹線が2月から暫定的に1便減便されるなど、厳しい状況下にございます。しかしながら、県といたしましては、このような状況を乗り越えるべく、関西国際空港路線開設による増便効果、これはもちろんのことでございますが、同空港の特色でございます国内線、国際線への乗り継ぎの容易さを生かして海外旅行需要を開拓するとともに、県内はもとより関西地区を中心として需要の一層の拡大に努めるなど、路線開設効果を最大限に引き出しながら、空港利用促進協議会ともどもに一層強力に運動を展開し、滑走路延長整備の早期実現を図ってまいりたいと、このように考えております。
 次に、青年の船事業の今後のあり方でございますが、事業の実施に当たりましては、これまでも毎回関係団体の方々にも入っていただきまして、検討を重ね、そして必要な改善を加えながら実施してまいったわけでございまして、先ほど知事からも申し上げましたが、所期の成果を上げてきたというふうに認識いたしております。しかしながら、15年という長期にわたる実施の中で、近年は特に参加者が減少してきていること、それから海外旅行の一般化等によりまして寄港地についても検討する必要が生じてきていることなど、青年の船事業を取り巻く環境が変化してきております。このため、これまでの成果を踏まえながら、そしてまた、少年の船あるいは女性の船などとの関連も十分に考慮しながら本格的な見直しを行うとともに、市町村等関係機関や団体の方々の御意見も十分にいただきながら、新たな観点に立って所要の検討を行ってまいりたい、このように考えております。   〔土木部長白波瀬正道君登壇〕
〇土木部長(白波瀬正道君) 電線類の地中化についてでございます。
 道路は、人や物の交流のほか、防災空間として、さらに、地下空間の利用の観点からも重要な役割を担っているものでございます。また、ゆとりと潤いが求められる今日、快適な道路環境に対する社会のニーズは一層高まってきており、安全で快適な歩行者空間の確保、都市景観の向上などの観点からも、都市内における電線類の地中化は欠くことのできない重要な事業でございます。この事業は従来、電線類をケーブルボックスの中におさめるいわゆるキャブ方式で事業が進められてまいりましたが、制度の制約が大変大きく、県内では盛岡市内の一部でのみ実施されてきたところであります。その後、平成4年度から、このキャブ方式についての採択基準が緩和されたほか、自治体が電線管を直接地下に埋設し、それに対して財政支援措置が図られる自治体管路方式が制定されたことによりまして、県内各都市でも電線地中化が実施可能となり、現在、盛岡市のほか、北上市、花巻市、一関市においても電線地中化の推進に鋭意努めているところでございます。
 一方、21世紀の高度情報化社会に向けて、通信手段としての光ファイバー網の整備が不可欠とされているところでございます。国におきましては、これを支援し高度情報化社会の早期実現に寄与するとともに、電線類の地中化の一層の推進を図るべく、平成7年度から道路の地下空間に簡易でコンパクトなボックスを埋設し、光ファイバーや電力線等をまとめて収容する電線共同溝事業を創設することとしております。この事業は、道路管理者が電線共同溝整備道路を指定し、整備計画を策定の上、商業業務地区やまちの玄関口の道路等、良好な景観を保全、形成する地区、あるいは学校、病院、行政機関の周辺などの地域の情報化を図るべき地区等で重点的に整備を推進するものであります。
 県といたしましては、国のこの電線共同溝事業の制度の制定状況を注視し、市町村、電線管理者等と連携をとりながら、来年度からスタートいたしますところの第3期地中化5カ年計画に基づき、高度情報化を支援するとともに、道路空間の適正利用、歩行者空間の確保、良好な景観の形成等に寄与する電線地中化を積極的に推進してまいりたいと考えております。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) まず、岩手県高齢者保健福祉計画を見直すかどうかについてでありますが、新ゴールドプランは、昨年度策定した全国の老人保健福祉計画の集計値が、現行のゴールドプランの目標水準を大幅に上回ることが明らかになったことから、その集計値を踏まえて策定されたものであります。したがいまして、県の高齢者保健福祉計画は、今、直ちに見直す必要はないというふうに考えております。
 なお、新ゴールドプランにおきましては、介護サービスの量的拡充とあわせ、介護対策の基本的枠組みや新しい方向性も示されておりますことから、もし新たな施策が具体化され、計画の見直しが必要となるような場合には、迅速かつ柔軟に対応してまいりたいというふうに考えております。
 次に、高齢者に対する介護サービスの質的充実についてでありますが、住みなれた家庭や地域で生活を続けたいという高齢者の希望を踏まえまして、在宅福祉サービスの量的拡充を図るとともに、良質なサービスを、受ける側の立場に立って提供し、高齢者福祉のさらなる充実を図っていく必要があるものと考えております。このため、新ゴールドプランにおいて示された巡回型で24時間対応のホームヘルプサービス事業など、在宅福祉サービスの質の向上を図るため、新しい事業の導入について市町村を支援するとともに、在宅介護支援センターを中心に、個々の高齢者ごとにケアプランを作成して、きめ細かなサービスを提供するケアマネジメントの機能強化を図るよう市町村を指導してまいりたいと考えております。
 また、特別養護老人ホームの入所者に対するサービスの質的充実につきましては、これまでも入所者の処遇に重点を置いた指導を実施してまいりましたが、さらに入所者の希望に沿った質の高いサービスが提供されるよう、施設みずからが行うサービス水準の向上を支援するため、施設のサービス評価事業を実施することとしており、これらを通じて質の高いサービスの提供に向けた指導と支援をしてまいりたいというふうに考えております。   〔環境保健部長松本義幸君登壇〕
〇環境保健部長(松本義幸君) 老人保健施設の整備についてお答えいたします。
 まず、施設整備の進捗状況についてでありますが、平成7年2月現在、21施設、1、804床が整備されておりまして、現在建設中のものが6施設ございます。これを含めますと平成7年度末で27施設、2、334床となる予定でございます。その時点におきます整備率は、岩手県高齢者保健福祉計画の整備目標であります4、400床に対しまして53%となる見込みでありまして、整備は順調に推移しているものと認識しております。
 次に、各保健福祉圏域別の整備状況でございますが、各圏域の整備目標に対します整備率は、最高は盛岡圏域の75%でございまして、県北部の久慈圏域が46%、二戸圏域が40%、一番低いところは釜石圏域の21%となっております。御指摘のとおり、県北、沿岸での整備率が県央部に比べ低い状況にございますので、これらの圏域におきましては、今後一層、整備を促進する必要があると考えているところであります。
 今後の整備の見通しについてでありますが、最近、老人保健施設建設に対する関心が年々高まってきている状況にありまして、また、昨年10月には、施設整備に対する新たな助成制度が創設され、補助金額も従来より増額されたことから、今後も着実に整備が促進されていくものと期待しておるところであります。県といたしましては、特にも、整備のおくれている圏域への整備を優先し、市町村との連携を強化しながら、地元関係者などへ開設方を働きかけていくなど、いつでも、どこでも、だれでも県民がひとしく利用できるよう、地域のバランスのとれた整備に配意していく考えであります。
 さらに、個々の設置計画の審査に際しましては、デイケアなどの在宅支援機能の高いもの、あるいは訪問看護ステーションなどを併設して在宅ケアに積極的なもの、また、痴呆性老人の専門棟を付設しているなど、施設の機能にも着目しているところでございます。 なお、開設を希望している医療法人などに対しましては、それぞれの計画が地元関係者に十分な理解と協力が得られるための条件を整備していただきたいということで、万全の計画の詰めをお願いしておりまして、期待される機能が十分発揮されるような施設の整備に努めてまいる考えであります。
 次に、痴呆性老人の介護に着目した施設の整備についてでありますが、老人保健施設における痴呆性老人の受け入れ可能な定員は、平成7年度に開設する予定の施設を含めまして573床であります。御案内のとおり、岩手県高齢者保健福祉計画では、平成12年における痴呆性老人を約2、300人と見込んでおるところでございますが、それに対応した整備が急がれるところでもございますし、今後とも、そのサービス機能を持つ施設整備の促進に努めてまいる考えであります。
   〔農政部長高橋洋介君登壇〕
〇農政部長(高橋洋介君) 全国食文化交流プラザについてのお尋ねでございますが、平成3年度から毎年開催されておりますこの祭典は、平成8年度には本県で開催することが決定されているところでございます。御案内のとおり、本県は広大な県土を有しておりまして、県内各地におきまして、それぞれその風土、歴史に根差しましたすぐれた食文化が形成されてきており、全国プラザの開催は、これら先人の知恵を見直し、真の豊かな食のあり方を考える、そういう絶好の機会となる。また、岩手ならではの食文化や食を演出する漆器とか南部鉄器などの伝統工芸品、さらには、新鮮で多彩な食材などを全国へ強くアピールするよい機会ともなりますことから、岩手らしい意義のある祭典といたしたいと、そういうことで催事内容を現在、鋭意詰めておるところでございます。この祭典を契機といたしまして、食を軸とした、また食にまつわる岩手の風土なり文化、歴史などを広く全国に紹介し、岩手のイメージアップと県産の農林水産物の評価向上に資してまいりたい。そのように考えております。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) 職業高校の将来像とその振興についてお答えいたします。
 県教育委員会といたしましては、昭和61年度から既設学科の見直しなどを進めてまいりましたが、これまで学科の改編は、水産系の再改編などを含めて、福祉系や高度情報技術化に対応した学科などを中心に、全日制で61学科、7コース、定時制で2学科について実施してきたところであり、これは全職業学科の約4割に相当するものであります。この間、新設学科の設置と並行して、情報やバイテク関連の施設整備の拡充など、学習環境の整備に努めるとともに、学習指導要領の趣旨を踏まえて、特色ある教育課程を編成するために、本県として独自に社会福祉基礎、それから潜水など39の新設科目を設置し、学習内容の充実を図ってきたところであります。
 また、県立高等学校の再編につきましては、多様な生徒の興味、関心に対応して、学系制を導入した不来方高校を新設、それから生涯学習の観点にも配意した杜陵高等学校への単位制の導入、さらには、高校改革で示されております総合学科制を岩谷堂高等学校に設置して、特色ある新しいタイプの学校づくりに努めてまいりました。今後、職業教育の振興につきましては、国において、平成6年7月、職業教育活性化方策に関する中間まとめが出されましたが、この中で幅広い教養を身につけたスペシャリストの養成、このようなことを提言しているところであり、本県におきましても、この3月上旬に岩手県産業教育審議会から、今後の振興策について答申をいただく予定となっております。
 県教育委員会といたしましては、今後、急速に進む生徒急減期を視野に入れながら、これらの答申を十分に勘案して、本県職業教育の振興に向けて、さらに特色ある学校づくりに努めてまいりたいと考えております。
〇副議長(山崎門一郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時10分 休 憩
出席議員(43名)
4番  谷藤裕明  君
5番  折居明広  君
6番  三 河 喜美男  君
7番  村上恵三  君
8番  長谷川 忠 久  君
9番  瀬川 滋  君
10番  渡辺幸貫  君
11番  村田柴太  君
12番  阿部富雄  君
13番  菊池 勲  君
14番  舘沢秀徳  君
15番  伊藤榮一  君
16番  工藤 篤  君
17番  菅原温士  君
18番  岩渕信郎  君
19番  山内隆文  君
20番  飯澤忠雄  君
21番  藤原良信  君
22番  片方 盛  君
23番  小原宣良  君
24番  大欠市蔵  君
25番  千葉 浩  君
26番  戸羽一男  君
27番  佐藤正春  君
28番  坂本昭三  君
29番  千葉英三  君 
30番  藤尾永悦  君
31番  樋下正光  君
32番  吉田洋治  君
33番  及川幸郎  君
35番  大倉栄吉  君
37番  山 崎 門一郎  君
38番  横田綾二  君
39番  堀口 治五右衛門 君
40番  佐々木 俊 夫  君
41番  佐々木 重 雄  君
42番  鈴木三郎  君
43番  吉田 秀  君
45番  佐々木 洋 平  君
46番  伊藤 孝  君
48番  佐藤啓二  君
49番  藤原哲夫  君
50番  藤根順衛  君
欠席議員(5名)
1番  佐藤知世  君
34番  那須川 健 一  君
36番  野舘泰之  君
44番  吉田義正  君
51番  千葉 一  君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時31分 再 開
〇副議長(山崎門一郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。伊藤榮一君。 
   〔10番伊藤榮一君登壇〕(拍手)

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