平成7年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(工藤篤君) 自由民主党の工藤篤でございます。
 質問に先立ちまして、このたびの阪神大震災で被災された方々に対し、衷心よりお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早い再建を祈念申し上げます。
 さて、工藤知事におかれましては、過般、知事として最後の所信を述べられましたが、これまで県勢発展のために全力で取り組んでこられたことに対しまして、深甚なる敬意と感謝を申し上げます。
 また、私どもにとりましても今任期最後の議会でありまして、その本会議において質問できる機会を与えていただいたことに感謝し、質問させていただきます。
 まず、東北新幹線盛岡以北についてお伺いいたします。
 平成7年度の政府予算案によれば、東北新幹線の盛岡から沼宮内までの32キロがミニ新幹線方式を改め、フル規格で建設されることとなり、その建設費等として102億円余りが計上されております。このことにより、東北新幹線盛岡以北は県内全線フル規格化が実現することになります。
 思えば、昭和48年に東北新幹線盛岡以北の整備計画が決定されて以来20余年、県北住民が毎年ことしこそはと待ち望み、やっと平成3年に着工したわけでありますが、このときはミニ新幹線でありましたから、そういう意味で、今度こそはまさに県民長年の悲願である東北新幹線の県内全線フル規格化が実現することになりました。私も二戸市民とともに整備新幹線の建設実現に取り組んできた者の1人として感無量であります。これも、執行部の皆さんと県議会、県民とが一体となって要望してまいった結果でありまして、特に工藤知事におかれましては、自由民主党所属の衆議院議員であった当時から常に第一線に立ってフル規格化に取り組んでこられたところであり、長年の御努力に対しまして心から感謝申し上げたいと存じます。
 この東北新幹線盛岡以北の建設により、県北地域が首都圏に直結するばかりでなく、本県と北海道や青森県などとの一層の交流の活発化が期待されるところであります。一刻も早い完成が望まれますが、工事の進捗状況、どこからどのようにといった工事経過の概要等について御説明いただきたいと存じます。
 また、一方で県北地域の振興を図る上での不安材料も数点挙げられます。
 まず第1点ですが、並行在来線問題についてであります。
 東北新幹線盛岡-沼宮内間のフル規格整備に伴って、政府・与党間の申し合わせにより、並行在来線については開業時にJRの経営から分離するとの方針が示されております。知事は、経営分離を確約する文書を国に提出されたとのことでありますが、その内容及びどのようなお考えで文書を提出されたのかをまずお伺いいたします。
 在来線は、地域の人々にとって通勤、通学に欠かせない生活路線であり、その経営は新幹線と一緒に運営して初めて成り立つのであります。並行在来線の分離経営は、三陸鉄道がついに赤字になったように、経営が難しく、新たな地元負担を課するばかりでなく、地域の足がなくなってしまうのでないかと地元住民は殊さら不安に感じております。
 私は、東北新幹線盛岡以北の県内フル規格化を大いに喜ぶものでありますが、それにより在来線の利用が不便になる、最悪の場合は廃止になるというようなことは何としても阻止しなければならないと考えております。新幹線と並行在来線とでは利用目的が異なるのでありますから、それぞれが互いに補い合って初めて地域振興に寄与するものであり、いずれかが欠けてもよいというものではありません。しかるに、去る2月13日に開催された東北新幹線盛岡以北関係市町村連絡会議におきまして、全線フル規格化に当たっては在来線をJRから経営分離する原則をやむなしとする方向で、3月下旬までに盛岡以北の沿線市町村の意見集約を行うことで了承したとの報道であります。昨日も県議会において我が自由民主党千葉英三議員の代表質問に対し知事から答弁がありましたが、並行在来線の存続問題については沿線市町村の意見集約を十分行うよう強く要望するものであります。
 次に、地元負担の問題であります。
 東北新幹線盛岡-青森間を一部ミニ方式から全線フル規格化に変更した場合の建設工事費の概要でありますが、報道によりますと、一部ミニ方式では約5、000億円だった建設費が全線フル規格化の場合は約9、000億円が見込まれるとのことであります。現在公表されております盛岡-青森間の新幹線建設費の負担割合は、国35%、県、市町村15%、JR50%となっているようでありますから、これをもとに計算してみますと、全線フル規格で建設した場合の岩手、青森両県の負担額は約1、350億円になり、両県の負担額について、仮に東北本線の距離で案分してみますと本県分の負担額は約550億円ぐらいになろうかと考えますが、県ではどのように試算されておられるのでしょうか。
 また、地方公共団体が負担する場合には、地方負担額の9割は地方債の発行が認められるとのことでありますが、地方債といっても借金でありまして、いずれにしましても多大な地方負担を伴うわけでありますから、ただでさえ財政力の弱い本県にとってこれを負担することは容易ではなく、県財政を圧迫することは目に見えております。県におきましては、県の財政運営に支障がないよう、交付税措置を含めて実質的な財源負担の軽減を強く国に働きかけていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、県立大学の整備についてであります。
 まず第1点は、県では滝沢村の県畜産試験場の用地の一部を使って4学部から成る県立大学を平成10年に設立することとしてその準備を進めておられますが、畜産試験場から36ヘクタールもの用地を大学に充ててしまって、畜産試験場の運営に支障を来さないのかということが心配されます。農業は本県の基幹産業であり、中でも畜産は稲作、野菜、花卉などと並んで農家所得の向上を図る上で重要な分野であります。日進月歩の研究の成果が家畜の人工受精や双子の出産などに結びついているのでありまして、試験場の縮小によって畜産試験場の試験、研究に支障が出るようでは困りますので、大学の設置と畜産試験場の関係についてお伺いいたします。
 第2点は、県立大学の設置には約500億円の費用がかかると報道されておりますが、これまでの県の検討経過を報道された内容から見ますと、21世紀の本県の財政運営さえ左右しかねない大事業であるにもかかわらず、大学設置を急ぐ余り、4学部を持つ県立大学設置の必要性やその経営見通し、学部決定方法などについて、日ごろ知事が述べておられる県民の理解と合意を得る努力が余りなされていないように見受けられるのであります。県財政に及ぼす影響は大きいものがあると考えますが、県立大学の設置について県民の意向をどのようにして把握したのか、また、その結果はいかがだったのか等についてお示しいただきたいと存じます。
 第3点は、既存の2つの県立短大は県立大学の短期大学部になると報道されておりますが、その場合、宮古短大は現在の宮古市に置くものの、盛岡短大は滝沢の県立大学と同敷地に移転させるということについてであります。御案内のとおり、盛岡短大には法経学科が設置されておりまして勤労青年が学んでおりますが、これが滝沢村に移転することとなれば、通学に不便を来すことは目に見えております。それが勤労青年の勉学の場となっている夜間短期大学進学の機会を奪うことにはならないのか心配するものであります。このような問題は、学生や卒業生の意見も十分聞くべきものと考えます。盛岡短期大学法経学科は県内唯一の夜間の高等教育機関であり、県職員を初めとする勤労青年がまさに螢雪の明かりの中で学んでいるわけでありますが、盛岡短大法経学科の設置意義と今後の取り扱いをどう考えておられるのかお伺いいたします。
 次に、農業問題についてお伺いいたします。
 まず、中山間地域の振興についてでありますが、私は、これまでの議会において、機会あるごとに中山間地域の振興について提言や質問をしてきました。それは、中山間地域の問題がまさに国土政策であると思うからであります。中山間地域が現在抱えている問題として、生産、生活基盤の整備のおくれがあります。このため、就業の機会が少なく、若年層の人口流出が続いているのであります。中山間地域は、農林産物の供給を初めとして、国土の保全、水資源の涵養、最近叫ばれている健全な生活環境の保全や生態系の維持、さらには心のふるさととして原風景を残し、人間性の回復の場などとしてかけがえのない役割を果たしてきております。しかし、ガットのウルグアイ・ラウンド農業合意後は、海外の農産物が相次いで輸入されてくることになりますので、これらに対抗するためには生産コストを一層抑え、あるいは生産性の低い中山間地域の生産基盤の整備を進め、地域特性を生かした高生産性農業の確立を図っていくことが重要であろうと考えます。幸い、岩手の中山間地域には実に多彩な地域資源が存在するわけですが、これらを生かしながら活性化を図っていくことこそ本県の中山間地対策の基本であると考えるのでありますが、県は、中山間地域の振興方針をどのように考えておられるのか、まずお伺いいたします。
 一方、政府は、中山間地域が持つ課題解決のため、1兆2、000億円に及ぶ農山漁村ふるさと事業を創設するようであります。本県では、平成7年度はウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策として、競争力のある水稲の低コスト生産に向け大区画圃場整備等を進めるようでありますが、中山間地域においてももちろん基盤の整備は重要であると考えておりますが、先ほども申し上げたとおり、これらの地域には多くの資源があり、それらを活用した活性化対策も極めて重要でありますので、地域の創意工夫に対する支援が大切と認識いたしております。こうしたことに対して、県では国の農山漁村ふるさと事業等の活用など、それと連動した支援事業は考えておられるのか、そして、市町村にはどのような指導をされていく方針なのかお伺いいたします。
 また、国においては、さきに第四次全国総合開発計画の総合的点検を行い、その後、4全総にかわる新しい計画の策定作業を国土審議会の計画部会で始めたようでありますが、次の全国総合開発計画策定のキーワードとして交流人口という考えが出てきております。これは、東京一極集中の流れに変化が見られてきたこと、あるいは、将来は日本全国が人口減少時代に入るであろうことなどから、これからの地域づくりは定住人口の増大が望めないような地域は、首都圏を初めとする他の地域から交流人口として流入させ、いろいろな人との交流を増大することによって地域の活性化を図っていこうとする考え方であります。
 私は、新しい全国総合開発計画の主流になってくるであろう交流人口の拡大は、それはそれで1つの流れでよいと思いますが、そのためには、例えば県北地域であれば、二戸という地域がある程度の定住人口があって、その中で人々が安全で快適な生活を営んでいるという基本的な条件があって初めて交流人口を受け入れることができるのであると思います。つまり、中山間地域の交流人口を拡大するためには、受け入れ先となる中山間地域、農山村や地方都市の文化とか生活、生産基盤をまずしっかり整備していく必要があると考えておりまして、こういった点から県北地域を見てみますと、例えば平成4年の水道普及率が、県全体の85・2%に対し県北地域は72・9%の普及となっており、いまだ交流人口を受け入れて、それを地域振興に生かしていけるほどの生産、生活基盤の整備が進んでいるとは考えられないのであります。もとより県北地域の人々は、山間地域の不利な立地条件の中で、また、やませ等の厳しい自然条件の中でも、ブロイラーや雨よけホウレンソウの生産拡大、牛乳やレタス、大根などの土地利用型農業の導入を図るなど、みずからが進むべき道をみずからの力で切り開いてきているのであります。県においても積極的な支援が望まれるところでありますが、二戸地域においては平成5年度に総合的な農業支援事業として二戸地域アグロポリス構想推進機構を設立し、アクションプランや実施計画を策定しているところであり、当面この事業の推進体制の強化と事業実施及び技術支援体制の強化が肝要であろうと存じます。
 そこでお伺いいたしますが、二戸地域アグロポリス構想の推進のための仮称県北農業研究センターや食の総合殿堂館整備など、各種事業の推進状況はいかがになっているのでしょうか。また、これらの事業推進体制の整備についても、どのように進めていかれるのかお伺いいたします。
 また、同じ農業基盤の整備事業として、馬淵川沿岸地区において国営かんがい排水事業を実施しております。この地域は、岩手県内においても特に畑作依存度が高く、高冷地野菜や工芸作物、果樹、酪農を主体とした農業経営を行っているところでありますが、年間降水量が少なく、干ばつの被害を受けやすく、加えて風食による表土飛散が激しいため、適期に作業ができないなどの大きな障害が出てきております。このため、ダム建設による水源の確保が課題となっており、当該事業の早期完成が期待されているところでありますが、その進捗状況はいかがでしょうか。また、事業の促進について特段の御配慮をお願いいたします。
 次に、簡易水道施設の整備についてでありますが、先ほど県北地域の水道普及率が72・9%と申し上げましたが、特に二戸地域の白鳥、坂本地区は上水道施設がなく、長年にわたり沢水や井戸水を生活用水として利用しております。しかし、近年は渇水期には水不足になったり、雨が多く降ると濁り水となるなど、地域住民は不安な毎日を送っているのでありまして、衛生面からしても早急に水道施設を整備する必要があると考えております。県におかれましても、白鳥、坂本地区の簡易水道施設整備の新規採択について特段の御配慮をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 また、斗米地区の検討状況はいかがになっておりましょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、医療体制の整備についてお伺いいたします。
 知事は日ごろ、県内どこでも十分な救急医療が受けられるような体制にしたいと述べておられますが、救急医療は、まず道路を整備し、病院や器材を整備することによって体制が整ってくるものであると考えます。そういった観点で地域医療を見てみますと、二戸地域では高血圧や脳血管の疾患による疾病は国保会計対象だけでも1、700人に上っており、これらの疾病等による脳卒中の発生や死亡率が非常に高い地域となっております。さらに、近年の食生活の変化などによりまして泌尿器系の患者が増加する傾向にあり、地域住民から県立福岡病院へのリハビリテーション施設の整備と泌尿器科の設置が強く要望されております。県におきましては、病院の類型化と機能分担の明確化を進めておられますが、地域医療重視の観点から、これらの整備について特段の御配慮をいただきたいと存じますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 また、知事は、年頭の記者会見において、高次救急医療体制の整備のため、基本構想の策定に着手され、その中で現在の第3次救急医療施設としての県高次救急医療センターのサブセンターを県北、沿岸地域に設置することについても検討されるとのことであります。先ほど申し上げましたとおり、県北地域は脳卒中の死亡率が高いのでありますが、これは高次救急医療サブセンターが設置されれば大幅に改善されることとなりましょう。ぜひとも早急に県北地域に高次救急医療サブセンターの設置をお願いしたいと存じますが、構想策定のスケジュールと構想に盛り込まれる主な内容について御教示いただきたいと存じます。
 次に、道路網の整備についてであります。
 県におかれましては、従来より県北地域振興の観点から、高速交通幹線へのアクセスとして、また、地域住民の利便のため、県北地域の道路網の整備について積極的に取り組んでこられたことに対し、まずもって感謝を申し上げます。
 さて、新幹線関連道路整備事業についてでありますが、県におきましては、東北新幹線盛岡以北の建設にあわせてその整備効果を広く県北地域に波及させるため、本年度から新幹線関連道路整備事業を創設され、新幹線二戸駅へのアクセスルートとして久慈ルート、種市ルート等の4ルートを設定し、道路の整備に御努力いただいているところであります。このうち、久慈ルートにつきましては、本年度はルート選定のための調査を実施されているとのことであり、また、種市ルートにおいては既に一部着工していただいている状況でありますが、久慈ルートについては、主要地方道折爪地区での急勾配、急カーブ解消のため早期の工事着工を、また、種市ルートについて一般国道395号猿越峠の登坂車線の早期完成が待たれるところであります。
 これら新幹線関連道路整備事業の進捗状況と平成7年度の事業見込みはいかがになっているのでしょうか。また、十和田ルート、安代ルートについてはいかがでしょうか、お伺いいたします。
 地元におきましても、昨年、県北横断ルート整備促進期成同盟会を設立し、県と一体となって事業推進に努力しておりますが、県北横断ルートが完成しますと県北各地域からの新幹線利用者の利便が図られるばかりでなく、地域間の交流や物流の円滑化が図られ、沿線地域の産業、経済、観光などの振興に大きく寄与するものと考えられます。また、阪神大震災のような災害が起き、東北高速自動車道等が麻痺したときの代替道路としての役割も担うことができると考えるものでありまして、早期の整備が図られますよう特段の御配慮をお願いしたいと存じます。
 また、都市計画街路荒瀬上田面線の街路整備についてでありますが、この路線は二戸市の中心市街地を南北に縦貫し、一戸町に至る路線であり、国道4号を補完する重要な路線であります。しかしながら、この路線は御案内のとおり、幅員が狭隘なことから一般車両の通行に不便を来しているばかりでなく、児童生徒の通学路ともなっており、子供たちや高齢者など、歩行者の安全上、大変危険な箇所もあり、事故などの発生が極めて心配されるところであります。当該地域は公共下水道事業実施の計画を進めている地域でもありますので、県におかれましても街路整備の促進について特段の御配慮をお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 また、一般県道についてでありますが、二戸軽米線及び上斗米金田一線はおかげさまで年々改良整備されてきておりますが、なお未改良の部分が多く、地域民から早期整備の要望がなされております。特に二戸軽米線は、アグロポリス構想の核ともなる県北農業技術センターの建設予定地へのアクセス道路としても重要な役割を果たすなど、両道路とも産業振興及び地域住民の生活道路として早期の整備が望まれますが、今後の見通しをお伺いいたします。
 最後になりましたが、知事におかれましてはくれぐれも健康に留意され、元気でお過ごしいただきたいと存じます。また、今議会をもって引退を予定されておられる先輩議員各位の御多幸を祈念申し上げますとともに、私を含めてこの春再挑戦される各位におかれては、また6月議会でお会いできるよう、必勝を祈念して私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事工藤巌君登壇〕
〇知事(工藤巌君) 工藤篤議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、東北新幹線盛岡-沼宮内間のフル規格化に伴う並行在来線の問題についてでございますが、昨年末の平成7年度政府予算編成時におきまして、東北新幹線盛岡-沼宮内間のフル規格化の決定に当たりまして、連立与党及び運輸省から急遽電話連絡がございまして、同区間をフル規格化にしてほしいということ、及び並行在来線の経営分離に同意することについて文書を提出するようにと求められたわけでございます。したがいまして、第1に、盛岡-沼宮内間はぜひともフル規格にしてほしいということ、第2には、並行在来線の経営分離、これは沼宮内以北の着工以前、平成2年12月に政府・与党の申し合わせによって決まっておったことでございますが、その経営分離の原則については十分承知しているので、今後、私の責任において、地元市町村や青森県とも協議を重ね、その方向に沿うように最大限努力をするということをお約束します。そういう旨の文書を提出したわけでございます。申し上げるまでもなく、このことは事前に地元市町村と十分に協議すべき問題であるのでありますが、そのいとまのない差し迫った状況下で、フル規格をとるのか、断念するのかという、いわば二者択一を迫られたのでありまして、私は、現実的な対応として、まずフル規格をとるべきである、こう考えまして、そのような文書を出したわけであります。そのために、関係市町村長に対しまして、直ちにその間の経緯等について説明するとともに、ことしに入りましてからも連絡会議を2度開催し、意見交換を行っているところでございます。
 なお、進捗状況とか並行在来線は、お話のとおり生活路線でもあり、私は、新幹線とのアクセスのためにも必要な路線だと考えているわけでありますが、その問題、それから地元負担などの問題についてもお尋ねございましたが、これは担当の部長よりお答え申し上げます。
 それから次に、中山間地域の振興方針についてでございますが、本県の中山間地域は総面積の約8割を占めておりまして、こうした地域を活力のあるものにしていくことが、県土の均衡ある発展を図る上からも、県政の最重要課題であると存じております。幸い、中山間地域は、多彩な農林業資源や伝統文化、美しい自然景観など、平場地域にはない資源に恵まれ、発展の可能性を秘めておりますので、これらを高度に生かし、観光や商工業とも結びついた産業の振興を初め、都市、農村交流の活発化など、地域、地域が特色と魅力のある村づくりに取り組むことが肝要であると存じております。私は、これまでも、生産や生活基盤の整備など各種施策を講ずることにより、中産間地域の振興に努めてきたところでありますが、こうした施策の充実強化と相まって、そこに住む人々が、地域の活性化に向けて一丸となって取り組むならば、ともに喜びや生きがいを感ずることができるような生き生きとした農山村が築かれるものと確信をいたしております。
 その他もろもろの御質問ございますが、関係の部局長から答弁いたさせますので、御了承願います。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、東北新幹線盛岡以北の建設工事の進捗状況及び計画概要についてでありますが、現在の工事の進捗状況を申し上げますと、沼宮内-八戸間のうち、岩手県分といたしまして、岩手トンネル、これは全長約26キロメートルで、陸上トンネルとしては世界最長となるものでありますが、このトンネルの7工区のうち4工区で工事が進められておりまして、延べ5キロメートル余りの掘削が行われております。また、青森県内におきましても、三戸トンネル及び金田一トンネルにおいて着工されております。
 また、盛岡以北のフル規格化に伴います全体計画につきましては、現段階におきましては工事実施計画が決まっておりませんので、その詳細については不明でありますけれども、平成7年度におきましては、御案内のとおり、新たにフル規格となりました盛岡-沼宮内間及び八戸駅に着工すると、こういうこととされております。県といたしましては、今後におきましても、関係県あるいは地元市町村等と連携を深めながら、東北新幹線盛岡以北の早期完成を図るように、国等に対して強力に働きかけてまいりたいと、このように考えております。
 次に、東北新幹線盛岡以北建設工事費の地元負担についてでありますが、盛岡-青森間の全線フル規格化による建設費につきましては、平成5年度の価格で約9、000億円程度というふうな感触は得ておりますけれども、工事実施計画等が決まっておりません現段階におきましては、工事費の詳細な内容については把握できておりませんので、本県の負担額についても試算いたしかねるという状況にございますので、御了承いただきたいと存じます。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) まず、東北新幹線盛岡-青森間の建設費の地方負担についてでありますけれども、この地方負担につきましては、従来のスキームでは充当率が90%の起債発行が認められておりますものの、その規模が相当多額に上ることが見込まれることから、御指摘のとおり、本県のような財政力の弱い地方団体にとりましては、将来の財政運営に大きな影響を及ぼすことが懸念されるところであります。このため、県といたしましては、できる限り地元負担の生じない形での新幹線建設を望むものでありますが、万一、多額の地方負担を行わざるを得ない場合にも、国において適切な財源措置を講じていただきたいと存じております。このような観点から、従前より国に対して所要の財源措置を要望してまいったところでありますけれども、今後におきましても、政府予算統一要望などあらゆる機会を通じ、重ねて強く要望してまいる考えであります。
 次に、県立大学設置についての県民の意向の把握についてでありますが、県立大学の設置に当たりましては、平成6年2月の看護の大学教育に関する懇談会からの御提言を基本に置きながら、高校生の進路希望についてのアンケート調査や産業界が必要とする人材に関するアンケート調査の結果、さらには、本県の大学進学率や収容力の実態を踏まえ、看護を含む複数学部を有する県立大学を設置することとしたところでございます。
 また、昨年5月から6月にかけまして、県立大学整備懇談会を開催し、教育界、産業界など、県内各界の方々から県立大学の基本的方向について御意見を伺ったところでありますが、この懇談会では、県立大学の設置につきまして、その趣旨に御賛同いただいたほか、大学の特色や理念を初め、学部・学科の方向などにつきまして、さまざまな観点から多くの御意見、御提言をいただいたところであります。これらの御意見等を踏まえ、昨年7月に設置した県立大学基本構想検討委員会におきまして、県立大学設置に当たっての基本的事項について種々御審議をいただいたところであり、先般、同委員会からの答申をいただきまして、基本構想を取りまとめたところであります。今後、開学に向けての具体的な準備事務を進めるに当たりましても、幅広く県民の皆様の声に耳を傾けながら取り進めてまいりたいと考えております。
 次に、盛岡短期大学法経学科第2部についてのお尋ねでありますが、法経学科第2部は、勤労青年の高等教育機関として昭和41年4月に設置されたものであり、法律学及び経済学を中心とした教育研究内容を有する学科として、設置以来1、200人余の人材を輩出しており、その果たしてきた役割は大きいものと認識しているところであります。
 また、法経学科第2部の今後の取り扱いについてでありますが、去る2月15日に策定した県立大学基本構想において、盛岡短期大学は、現行学科等の再編を行い、県立大学に移行するほか、県立大学の短期大学部として併設することとしているものであります。法経学科第2部について近年の状況を見ますと、志願者数及び定職を持ちながら修学する学生、いわゆる勤労学生が減少の傾向にございまして、勤労青年の高等教育の場という役割が質的に変容してきている状況が見られるところであります。したがいまして、このような状況を勘案し、県立大学の整備に伴う盛岡短期大学の再編に当たりましては、法経学科第2部の教育研究内容については、県立大学の総合政策学部に発展的に移行させることが適当であると考えているところであります。
 なお、県立大学の整備に当たりましては、社会全体の生涯学習ニーズの高まりを考慮し、附属施設として社会人学習センターも設けることとしたいと考えているところでありまして、社会人入学を初め、研究生、科目等履修生、さらに、将来的には昼夜開講制度など、勤労者等の積極的な受け入れ方策について、そのあり方を検討することとしているところでございます。
   〔農政部長高橋洋介君登壇〕
〇農政部長(高橋洋介君) まず、県立大学の建設用地提供に伴う畜産試験場の運営についてのお尋ねにお答えをいたします。
 新しい農業試験研究機関につきましては、現在その整備を進めているところでございますが、畜産研究部門につきましては、広大な草地や多種多様な施設の整備に要する新たな用地の確保が困難であるということから、現在地において既存の施設なり草地をできる限り活用して、拡充整備を行うこととしているところでございます。御指摘のありましたとおり、現在の畜産試験場の用地のうち、36ヘクタールは県立大学を建設するための用地として利用されることとなっているわけでございますが、大学の建設用地として提供することに伴い不足する用地などにつきましては、農業試験場の移転に伴い生ずる跡地を最大限に活用するとともに、周辺用地の取得などによりまして、必要面積を確保できるように現在検討を進めているところでございます。
 なお、施設の整備に当たりましては、用地の有効利用と効率的な研究推進という観点から、各種施設につきましては国道4号線の西側に集約的に配置することとしているところでございますが、大学の建設予定地に所在しています肉牛舎及び豚舎等の附属施設につきましても、この方針に沿いまして移転新築することとして、既にその用地の造成に着手をしているところでございます。今後とも畜産試験場の運営に支障を来さないように十分な連携を図ってまいる考えであります。
 次に、中山間地域の支援事業と市町村に対する指導方針についてでございますが、国におきましては、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の中で、農林漁業の振興や内発的な地域づくりを推進するソフト事業の経費に対しまして、地方交付税措置を講ずる農山漁村ふるさと事業を実施することとしておりますので、農林業等活性化基盤整備計画の実現なり、地域の創意工夫を生かした活性化に向けて、市町村に対し、この事業の効果的な活用を指導してまいりたいと、そのように考えております。
 県におきましても、今年度から、地域における活性化活動を支援いたします中山間地域活性化推進事業や、地域の創意工夫を生かして地域シンボル施設等を整備いたします活力あるむらづくり促進対策事業を実施しているところでございますが、さらに、現在、ガット対策委員会の中で、中山間地域の一層の振興を図るため、県独自の対策も検討しているところでございます。
 次に、アグロポリス基本構想の推進状況と体制の整備についてでございますが、二戸地域におきましては、アグロポリス基本構想を実現するため、社団法人二戸地域アグロポリス構想推進機構を設立いたしまして、さまざまな活動を展開しているところであります。この構想の中で核となる施設として位置づけられている県北農業技術センター--仮称でございますが--、これにつきましては、既に軽米町への整備が決定しておりまして、これに併設いたしまして、センターで開発された新しい技術の普及などを行う技術交流拠点の整備もあわせて行うこととしているところでございます。
 また、地域に伝承されております食文化等を通じて都市住民との交流を図る食の総合殿堂館構想につきましても、推進機構が検討チームをつくって具体化に向けた調査研究を行うこととしているところでございます。
 さらには、グリーンツーリズムを進める宿泊施設なり、広域的に利用する野菜、花卉の育苗施設など、この構想に沿った各種施設の整備も着実に進められてきております。
 また、この構想の一層の推進を図るため、来年度、推進機構が事務局体制を強化することとしておりますので、県といたしましても、推進機構と密接な連携を図りながら、積極的に支援してまいる考えであります。
 次に、馬淵川沿岸地区国営かんがい排水事業の進捗状況についてでございますが、二戸市、一戸町にまたがります馬淵川沿岸の畑作地帯におきましては、地域の立地特性を生かした多彩な農産物の生産拡大によりまして、収益性の高い畑作農業の確立を目指しているわけでございますが、御案内のとおり、干ばつ被害によりまして適期の定植ができないなど、畑作物の計画的な生産に支障が生じているわけでございます。このような状況を解消いたしまして、安定的かつ生産性の高い畑作農業の展開を図るため、本事業によりましてダムを建設し新たな水源を確保いたしまして、総延長121キロメートルに及ぶパイプラインを新設することにより、約2、600ヘクタールの畑地かんがいを行うこととしているわけでございます。この地区は平成5年度に着工いたしまして、平成16年度の完了を目標として目下事業の推進を図っているところでございますが、これまでダムの建設を最優先といたしまして、水没地権者への補償対策などを進めてきているところでございます。現在、関係機関一体となった取り組みによりまして、当面の課題でありました代替農地の確保の見通しもつくなど、順調に進捗していると、そのように存じております。
 県といたしましては、今後とも国に対しまして予算の一層の拡大を要望いたしまして、事業の促進を図るとともに、あわせて、末端かんがい施設や区画整理などの県営事業を積極的に実施いたしまして、地元のニーズが的確に反映されるよう配慮しながら、総合的な整備を推進してまいる考えでございます。
   〔環境保健部長松本義幸君登壇〕
〇環境保健部長(松本義幸君) まず、水道施設の整備についてでございますが、御案内の二戸市を中心とする地域につきましては、他の地域に比較いたしまして水道の普及率が低い状況にありますことから、水道施設の整備促進が必要であると考えているところであります。御質問のありました白鳥、坂本地区の簡易水道の整備につきましては、平成7年度から施設整備を実施することとして昨年6月、国に補助要望を行っているところでございますが、新たに開発された浄水技術を採用するということでございまして、国との技術協議などに時間を要しておりますが、平成7年度に補助採択されるよう、引き続き国に強く働きかけていくこととしております。
 次に、斗米地区についてでありますが、二戸市上水道の拡張により水道の整備を進めてまいりたい旨、二戸市から説明を受けているところでありますが、県といたしましては、二戸市上水道の給水区域、給水量などにつきまして、適切な水道事業計画となるよう、今後、二戸市と協議を重ねる中で実現に向けた指導をしてまいりたいと考えております。
 次に、高次救急医療体制の整備についてでありますが、本県の今後における救急医療体制のあり方について検討するため設置いたしました岩手県救急医療検討会議におきましては、3次救急医療施設の整備はもちろんのこと、これらを支える初期及び2次救急医療施設の整備あるいは患者搬送体制の整備、救急医療に対する県民への理解と協力など、総合的に検討を行っているところであります。この検討会の検討スケジュールといたしましては、本年3月までに3次救急医療体制を中心とした基本方向の中間的な取りまとめを行いますとともに、本年7月を目途に救急医療体制のあり方全般についての最終的な取りまとめを行う予定となっております。
 なお、本検討会では、現在、3次救急医療を中心に、医師確保、財政負担なども勘案しながら検討を行っているところでありますが、その機能を担う医療施設を整備する地域につきましては、岩手県高次救急センターのある盛岡市から地理的にも、時間的にも遠い沿岸の北部や南部には早急に整備すべきであり、それ以外の比較的遠隔な地域についても、将来的には救急医療施設の充実が必要であるなど、さまざまな意見が出されているところであります。これらの意見を踏まえ、本県の救急医療体制の充実が図られるよう、努めてまいりたいと考えております。
   〔医療局長中村盛一君登壇〕
〇医療局長(中村盛一君) 県立福岡病院の医療体制の整備についてでございますが、議員御指摘のとおり、リハビリテーション医療の充実は、近年の急速な高齢化に伴い、脳血管疾患等による機能障害の患者が増加しておりますことから、ますます需要が高まるものと考えております。県立病院におきましては、逐次、専任の医師及び理学療法士を充足し、現在まで福岡を初め19の病院において、厚生大臣の定める基準に適合する施設の承認を受け、急性期の患者に対し対応し得る機能の整備に努めてきたところであります。今後の院内リハビリにつきましては、いわてリハビリテーションセンターと、さらには、地域における保健、福祉施設との有機的な連携を図る中核機能としての役割を果たすべきものと考えております。
 また、泌尿器科の設置につきましても、老人特有の泌尿器系疾患の患者の動向などを見きわめながら、福岡病院が二戸地域の広域中核病院として、十分その機能が発揮できるよう検討してまいりたいと考えております。
   〔土木部長白波瀬正道君登壇〕
〇土木部長(白波瀬正道君) 道路網の整備についてでありますが、まず新幹線関連道路整備事業についてでございます。
 県北地域の道路網の整備につきましては、従来より、高速交通幹線へのアクセス性を高めるため、その整備に積極的に取り組んできたところでございますが、新幹線の延伸に合わせ、その整備効果を県北各地域に広く波及させるため、本年度新たに新幹線関連道路整備事業を創設したところでもございます。この事業は、新幹線二戸駅へのルートとして久慈、種市、十和田、安代の4ルートにつきまして、国庫補助事業にあわせて、本事業により新幹線の供用までに整備を図ろうとするものでございます。
 その具体の進捗状況と7年度事業につきましてでございますが、久慈ルートの主要地方道戸呂町軽米線の宮沢地区及び主要地方道二戸九戸線の折爪地区のトンネルによる抜本的改良につきましては、それぞれ今年度基本方針を立てるべく予備調査を行っているところでありますが、平成7年度には、地質調査とあわせ、ルート比較など概略設計を行う予定であります。
 さらに、種市ルートの国道395号猿越峠につきましては、今年度登坂車線の用地買収とともに一部工事に着手しており、平成7年度は工事を本格的に実施する予定であります
 また、十和田ルートの県道二戸田子線につきましては、下斗米地区において平成5年度から国庫補助事業によるバイパス整備に着手しておりますが、今年度は用地買収や一部土工工事を実施中で、平成7年度は用地買収をおおむね終了し、橋梁工事にも着手する予定であります。
 安代ルートの県道二戸安代線につきましては、似鳥地区において本年度から新規に国庫補助により事業に着手し、現在、延長約3・8キロメートルのバイパスの実施設計を進めておりまして、平成7年度は用地買収に入ることとしております。
 次に、都市計画街路荒瀬上田面線についてでございます。
 この路線は、二戸市を南北に縦断し、市街地の主要な骨格を形成する重要な幹線街路でありますが、交通量に比して幅員が狭く、拡幅改良が必要な道路であります。しかし、沿道には商店等が密集しており、この整備に当たっては、地元関係者の御理解と御協力とともに膨大な事業費を要するところでもあります。また、現在、二戸市内におきましては、新幹線関連道路久慈ルートの玄関口でありますところの主要地方道二戸九戸線の川又地内で、街路事業により新幹線の開業に間に合わせるべく、全力で整備を進めているところでもあります。このような状況を踏まえるとともに、荒瀬上田面線の重要性にかんがみ、その整備につきましては、川又地内の整備の進捗も見定め、二戸市とも密接な連携を図りながら、できるだけ早い時期に事業に着手できるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、一般県道二戸軽米線及び上斗米金田一線についてでございます。
 一般県道二戸軽米線につきましては、平成3年度に創設いたしました県単地域間交流舗装道推進事業等により砂利道等を解消する工事を進めており、また、上斗米金田一線につきましても鋭意改良工事を進め、早期に未舗装区間の解消を図るべく整備を進めているところでございます。県といたしましては、県北地域の振興を図り、産業経済をより発展させるためには道路の整備が最重要課題であると認識しており、今後とも新幹線関連道路整備を初めとするこれら道路整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木俊夫君) 次に、片方盛君。
   〔22番片方盛君登壇〕(拍手)

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