平成7年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(伊藤榮一君) 自由民主党の伊藤榮一であります。
 任期最後の今議会において質問の機会を与えていただきまして、まことに感慨深いものがあります。知事におかれましても最後の議会となられるわけですが、これまでの数々の実績を踏まえ、ふるさと岩手が健やかな子供たちの声であふれるあしたを迎えられるよう、その進むべき道をお示しいただきたいという気持ちから質問をさせていただく所存でありますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず、これからの公共投資のあるべき姿について知事の御所見を賜りたいと存じます。 最初の質問を少し悲観的な話から始めますことをお許しいただきます。
 それは、本年元日のある経済紙によりますと、我が国のビジネスマンの多くは、将来の世代の生活が現在よりも貧しくなると考えているということであります。自分たちが高齢者となり、子供たちの世代に多くの負担をかけることになる、そして、自分たちは生活の維持のため預貯金を取り崩し、子供たちが投資しようにも資金がないという将来を思い描いての意識でありましょう。さらに、今日の豊かな生活を保障している我が国の産業社会についても、いわゆる空洞化が進み、世界の先端に伍していくだけの創造的な技術開発力にも自信が持てない、そんな後退した気分が徐々に強まってきているような気がいたします。
 我が国は、これまで幾つかの経済的な試練を乗り越え、今日の繁栄を見ているわけであります。戦後50年を通じ、この豊かな安定した経済社会を築き上げたこと、これは次の世代にも誇り得る事実であると思います。しかし、これまでの業績を語るだけではビジネスマンたちの将来への不安は解消されません。私も、さきの阪神大震災の惨状と、それに対するもろもろの対応を見るにつけて、いささか悲観的な思いにとらわれざるを得なかったのであります。関東大震災が帝都を襲ったとき、後に復興院総裁となった我が郷土の大先達後藤新平伯は、まず何をなすべきか、かねてよりのブレーン、米国のビーアド博士から助言を得ました。それから70余年、この阪神大震災に遭遇して、私どもはやはり米国の連邦緊急事態管理庁長官に先覚者の風格を見なければならなかったのであります。天災は、それに学び、備えなければ、ついに人災なのであります。私は、次の世代に渡すべきものは、時期を失することなく整備された牢固たる社会資本であると思うのであります。さきのビジネスマンたちも、今ここに十分整備された社会資本があるならば、将来をもう少し明るくとらえられるのではないでしょうか。
 さて、これからの高齢化社会に至るまでの10年ほどが我が国の社会資本整備のためのラストチャンスだと言われております。そして、国においては、本年から新しい公共投資計画をスタートさせます。この計画によれば、公共投資額のうち、生活環境、福祉文化機能に係るものの割合を60%台に増加させるとされております。確かに本県においてもこれらの機能の整備は重要でありますが、本県の実情などを考えれば、県土保全や産業基盤の整備をしっかりと行い、次の世代に託すことがなお一層重要であると考えるものであります。
 そこでお伺いいたしますが、知事は、我が郷土にとって、これからの公共投資はどのようになされるべきものと認識されておられるのか、御所見を賜りたいと存じます。
 次に、災害緊急時における空港等の役割についてお伺いします。
 阪神大震災によって周辺の交通機能が大変な混乱を来しました際、関西新空港は人工島であることもあって物資輸送の拠点となったとのことであります。陸上の交通網が機能麻痺に陥ったとき、空と海の輸送ルートが大きな力を発揮することは自明であります。国においては、そのような観点から全国の空港を点検するようでありますが、私も緊急の事態に備え、内外への出入り口を確保しておくべきものと考えます。そこで、県としては、現在、災害緊急時における空港、ヘリポートの役割をどのようにお考えか伺いたいと存じます。
 そのような観点とは別に、花巻空港の周辺整備につきましては、騒音対策などに努力いただいておりますが、懸案であります花巻農業高校の移転問題につきましても十分地元の声をお聞きいただき、善処されるようお願いいたします。
 また、花巻空港につきましては、一層の利用促進を図るため、当初予算案に事業費が計上されておりますが、効果的な運動を広く展開していただくようお願いするものであります。隣県の空港の利用状況を見ましても、東京便があればビジネス客など安定した利用客もより見込めるのでありましょうが、本県の場合、やや事情が異なり、利用拡大にも難しさがあるように思います。いずれ利用者のニーズをよくとらえ、貨物の動向にも注意を払った運動が必要ではないかと思うものでありますが、県は利用促進運動の戦略をどのように立てておられるのかお聞かせいただきたいと思います。
 ただ、東京便復活の兆しがあるようでもありますので、関係方面への働きかけを官民ともども強めていかなければならないと思うのでありますが、県はどのような取り組みをしていかれるおつもりか、あわせてお聞かせ願います。
 次に、ビジネス客の利用拡大ともいささか関係いたしますが、企業立地動向と企業誘致方針についてお伺いいたします。
 次の世代に託すべき我が郷土には、まずもって安定した雇用の場がなければなりません。そのことによって活力ある人口層が定着し、世帯を形成し、健全な地域社会を築いていくのであります。私が本議会に席を得ました平成3年は、ちょうどバブル経済崩壊後の景気後退のさなかでありました。ここにきて経済情勢は好転しつつありますが、これから先を見ますと、冒頭に述べましたとおり、我が国の経済社会は空洞化などの問題に直面しております。このような状況下にあっては、企業誘致活動は従来とは大きく異なったものとならざるを得ないのではないかと思われるのであります。
 そこで、県は、最近の企業立地動向をどのように分析され、今後どのように企業誘致に取り組んでいこうとされているのかお尋ねいたします。
 次に、農業関係の試験研究機関の整備等についてお聞きいたします。
 円高、高齢化、高コストといった我が国経済社会の行く手に立ちふさがる壁を乗り越えるためには、技術開発力を高め、独創的な事業を起こしていくことが肝心であると言われておりますが、現実はなかなか厳しいと感じております。本県は、その問題に対しては、試験研究機関の整備などを通じ、これまでも積極的に挑戦してきており、その取り組み姿勢に敬意を表するものであります。平成5年には財団法人岩手生物工学研究センター、林業技術センターが開所したところでありますし、昨年からは工業技術センター、水産技術センターが新たな体制のもとに試験研究を進められているわけでありますが、これらに続いて農業関係の試験研究機関についてもその整備を鋭意進めていただきたいと思うものであります。農業は、一層厳しい情勢のさなかにあります。したがいまして、これからの本県農業の高度化を図る上で、先導的役割をよく発揮し、画期的な研究成果によって多くの機会を創出できますよう、新しい試験研究機関の研究体制や施設の整備につきましては十分吟味していただきたいと考えるものであります。
 そこでお伺いいたしますが、県は、機関の整備につきましていかなる基本的考えをお持ちなのでしょうか。また、農業の未来に備えた研究課題を考えましたとき、どのような研究施設や附属施設を整備しようとされているのか、あわせてお聞かせ願います。
 さらに、現在の進捗状況と今後のスケジュール等をお示しいただきたいと存じます。
 次に、認定農業者制度の普及についてお伺いいたします
 農業経済基盤強化促進法に基づいて、市町村長が認定する認定農業者という制度がありますが、本県におきましては、この認定農業者が1月末まで683人と、全国第2位の人数となったように聞いております。意欲ある農業者を積極的に認定し、地域農業の担い手として力を発揮していただくべきだろうと思いますが、条件の悪い遊休農地まで管理耕作を頼まれるのではといった不安などから、認定を受けるのに消極的であるようにも聞いております。意欲ある農業者の育成、確保が重要な課題となっている中で、数々の支援措置のありますこの制度の普及促進を図るべきであると思うのでありますが、今後どのように取り組んでいこうとされているのかお尋ねいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、道路の整備についてお伺いいたします。
 言うまでもなく、道路は次の世代に残すべき社会資本のうちでも最も基本的な生活、生産基盤であります。県においては道路網の整備に力を注いでまいられ、県民の1人として感謝申し上げる次第でありますが、初めに述べましたような観点から、なお一層の御努力をお願いしながら、地域課題を含め、当局のお考えをお聞きしてまいります。
 まず、東北横断自動車道における北上から湯田間については、昨年8月に北上ジャンクションと北上西インターチェンジ間が開通したばかりであるにもかかわらず多くの利用者があり、自動車道開通の効果には目をみはるものがあります。北上西インターチェンジ以西の区間につきましても、トンネルや橋など、大規模な工事が進められておりますし、また、先般、東和-花巻間につきましても待望の路線発表が行われ、工事着手に向けた第1歩を踏み出したところから、私どもの期待は高まるばかりであります。さきに東北縦貫自動車道が開通して以来、首都圏との時間距離が短縮され、企業立地や県外からの入り込み客も大幅に伸びるなど、縦貫道のもたらした経済効果ははかり知れないものとなっております。次は横断道であります。1日も早く隣県秋田と県沿岸部とを高速道で結び、広く多様な交流に基づいた新たな生活、経済圏域を築きながら県土の均衡ある発展を現実のものとしていただきたいのであります。
 そこでお伺いいたしますが、秋田-北上間の工事の進捗状況と今後の見通しはいかがでしょうか。また、東和-花巻間の整備の見通しはどうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、一般県道花巻温泉郷線の整備についてであります。
 この道路は、その名称のとおり、花巻温泉、台温泉、鉛温泉など、名高い温泉地を結ぶ路線でありますが、残念ながら台温泉から鉛までの間は車が通れない実態にあり、幻の県道と言われていることは御承知のとおりと存じます。私は、かねてより、本県の観光産業の振興の上からも、この路線の早期整備が重要な課題であると訴えてまいりました。この路線が整備されますと、花巻から鴬宿温泉、繋温泉など、本県の誇る名湯をめぐる観光ルートの充実が図られるのであります。最大の観光資源である温泉をつなぐルートの設定は、本県にとって大きなセールスポイントとなるのではないでしょうか。現在、台温泉地区においてはバイパス工事が進められておりますが、この県道は狭く、坂の多い道路となっております。また、雪の量も多く、緊急の場合などを考えますと1日も早い工事の完成が待たれるところであります。さらには、その先鉛地区までの交通が確保されますよう、引き続きこの路線の整備を進めていただきたいと切実に願うものであります。
 そこで、この台温泉地区のバイパス工事の進捗状況と今後の整備見通しについてお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、教育問題に関してお伺いいたします。
 21世紀を間近にして、我が国が直面し、また、改革すべき事柄について議論が活発に行われております。政治改革しかり、規制緩和しかりであります。それらの改革の方向についてはさまざまな議論があり、結論も一様ではありません。しかし、我が国がこれからの国際社会において確固とした地位を占めていくためには、現在の教育のあり方を改革する必要があるとの認識では多くの論者が一致しているようであります。規格化された人材を生むだけの教育、知識偏重の暗記教育、これらが著名な方々の現在の教育制度への評価であります。もちろん教育問題は、現在の子供たち1人1人の立場に立って対処していかなければならない問題でありますが、我が国や我が郷土の将来を語る際の根本的な問題としても広く論議をし、改革すべきは改革していかなければならないと考えるものであります。
 さて、私は、現在においても独創的な教育が私立学校においてはなされているのではないか、あるいは可能性があるのではないかと感じております。本県の私立学校は、幼稚園から高校まで学校数で全体の15%、児童数で12%というまさに公教育の一翼を担っているわけであります。各園、各校は、それぞれの建学の精神と独自の校風に基づいた個性豊かな教育を行い、特に伝統ある各高校はこれまでも幾多の有為な人材を輩出していると承知しております。しかし、さきに述べたとおり、近年の経済社会の変化は、問題を乗り越え、切り開いていく創造力を持った人材を必要としております。したがいまして、私学、特に高等学校には長年培われてきた特色ある教育力を存分に発揮し、先に立ってこの時代にふさわしい教育を実践していくよう期待しているのでありますが、実際に、花巻東高校を初め、各校は40人学級の改革や施設の近代化を図るなど、教育条件の向上に努力してきております。県におかれましても、これまでにも増してこれら私学の努力に対し適切な指導と助成措置を講じられる必要があるのではないかと思うのであります。
 また、私学を取り巻く環境には、出生率の低下に伴う児童生徒の減少など、容易ならざるものがあります。年間の出生数が1万3、000と、ここ20年で1万人近くも減少している実態にあります。単純に見て、1年ごとに500人も新入生が減っていくという現実は、厳しいという言葉を超えた暗黒を見る思いすらするのであります。このような趨勢の中で、私学がどのように対処していくべきか、県は長期的な展望に立った対策を学校ともども研究し、具体化していく必要があると考えます。私は、さらに、幼稚園などは私立が大きな役割を担いながら保育料などに公私の格差が小さくないことから、父母の負担軽減をも視野に入れて、きめ細かく、かつ大胆な振興策を講じてまいるべきではなかろうかと思うのであります。
 知事は、県民がひとしく期待申し上げた教育立県を目指され、これまで数々の実績を上げられたのでありますが、今後の私立学校の振興につきまして基本的な道筋はどうあるべきとお考えか、御所見を賜りたいと存じます。
 次に、美術館の整備についてお伺いいたします。
 美術館の整備につきましては、昨年3月、建設地が盛岡市の中央公園内に決定され、6月には美術館整備基本構想が策定されたと承知しております。私は、これまでの美術館の整備につきまして、地元の要望も踏まえつつ、本県の美術文化の向上を図る上で重要な課題であるとの認識から、一般質問において取り上げてまいりました。現在は、より具体的な基本計画の策定に向けて鋭意検討を進められていることと思います。知事は、昨年2月議会において、県内ネットワークの構築などについて触れられております。私も、県内に存ずる記念館などの広く知られた貴重な文化的資産の持つ魅力をさらに増し、また、教育施設との連携により、地域の子供たちと新しい美術館の持つ楽しさを共有するために、ぜひすばらしいネットワークを築いていただきたいと思うのであります。
 そこで、改めて教育長にお伺いいたしますが、このネットワークについてはどのように具体化されていくお考えなのでしょうか。さらに、9月議会におきまして、教育長は、県立博物館の近代美術部門で約3、000点の作品や美術資料を収集してきているほか、積極的な作品の収集に努めていると答弁されております。私は、できれば美術館完成までの間におきましても、収集されたこれらの作品群に接する機会をつくっていただきたいと思うのであります。それが本県の美術文化の向上にとって大きく貢献すると思いますし、美術館への期待を高めることにもなると思います。昨年末、県民会館で開催されたフランス絵画展には3万人近い入場者があったように聞いております。団体も34団体が花巻からも大船渡からも来ております。まず、県の収集している作品を県の施設や地域の施設を活用して県民の鑑賞に供していく、そこから始めていいのではないかと考えるものでありますが、教育長のお考えをお聞かせいただきます。
 最後に、阪神大震災で亡くなられた方々の御冥福と被災地の1日も早い復興とをお祈りいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事工藤巌君登壇〕
〇知事(工藤巌君) 伊藤榮一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、本県におけるこれからの公共投資のあり方についてでございますが、議員御指摘のとおり、国の公共投資基本計画によりますと、これからの公共投資は、直接的に国民生活の質の向上に結びつく生活環境、福祉、文化機能に対し重点的な配分を行うこととしているところであります。私は、今後の県民生活の向上を図るためには、上下水道、公園、廃棄物処理施設、住宅、福祉や教育文化スポーツ施設など、この計画で言うところの生活環境等の整備に積極的に取り組む必要があると存じますが、同時に、本県の実情を見た場合、新幹線、高速自動車道あるいは空港、港湾など、高速交通幹線を軸とした陸、海、空にわたる交通基盤や通信ネットワーク、治山、治水等の県土保全、さらには、農林水産業の生産基盤などについても、長期の展望に立った県勢の発展を考えると極めて不十分であると思われるものもございまして、これらの分野につきましても、より一層整備が必要なことは議員御指摘のとおりであると存じております。したがいまして、今後におきましても、国等に対し、あらゆる機会をとらえて、本県の実情について理解を求め、必要な公共事業の導入を強く要望するなど、本県の社会資本の整備を図っていかなければならないと考えております。
 次に、私立学校の振興についてでありますが、本県の私立学校は、それぞれ独自の建学の精神に基づいて個性豊かな特色のある教育を行うなど、本県学校教育の充実発展に大きな役割を果たしてきたところでございます。しかしながら、私立学校を取り巻く経営環境には、御案内のとおり、教育対象人口の急減の動向、教育条件の向上のための施設整備への投資や教育管理経費の上昇など、厳しい面があることも事実であります。このため、県といたしましては、これまでも運営費補助を初め、各般にわたる助成措置を積極的に講じてきたところでありますが、今後におきましても、私立学校について自主性、自立的な努力が基本ではありますけれども、御指摘のように関係者の御意見をも十分承りながら、経営の改善や、さらに特色ある教育の推進、教員の研修、教育環境の整備に対する助成など、総合的な施策の充実強化に努めることにより、私立学校が個性的で魅力ある教育の場となるように、一層の振興を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 その他もろもろのお尋ねございますが、関係部長より答弁させますので、御了承願います。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) 災害緊急時におきます空港あるいはヘリポートの役割についてでありますが、県地域防災計画の輸送計画におきましては、被災者、避難者及び災害応急対策要員の移送並びに災害応急対策用の資材、物資の輸送について定めているところでございまして、このうち、航空機による輸送につきましては、陸上交通が途絶し、輸送または移送に緊急を要する事態、または、人の生命、身体の保護上緊急を要する事態、こういう事態が生じた場合に、これを実施するということになっております。そのための施設といたしましては、災害緊急時等に臨時に離発着が可能であるヘリポートが、県管理の花巻空港を初めといたしまして県下に211カ所、この中には林野火災の活動拠点となる空中消火等補給基地6カ所がございますが、これを含めて211カ所ございまして、地域防災計画に定めているところであります。
 今般の阪神・淡路大震災におきましては、被災地周辺の主要空港は、陸上交通が寸断、麻痺した状況下にありまして、他県からの緊急救援物資の搬送中継基地、あるいは応援部隊の集結基地などとして重要な役割を果たしたところであります。したがいまして、このような事態が発生した場合、空港やヘリポートは、単に航空機の離発着場というにとどまらず、災害応急対策を実施する上で、被災者や生活物資の輸送基地などとして大変重要な役割を担うということが期待されるところでございます。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、花巻空港の利用促進についてでありますが、御案内のとおり、花巻空港の滑走路2、500メートル延長整備を第7次空港整備5カ年計画に組み入れることによりまして、早期に実現を図ることは県政の重要課題であります。しかし、そのためには、1路線50万人の基準を達成する必要がございます。このため、県といたしましては、官民挙げて設立されました岩手県空港利用促進協議会と一体となりまして、最大路線であります大阪線を重点路線として、県民の利用拡大、そして近畿地域からの観光客の誘致を図るなど、利用促進を強力に展開しているところでございます。その結果、昨年9月の関西国際空港線の開設、さらには、12月の伊丹線の増便によりまして、大阪線の輸送実績は、昨年の4月からことしの1月までで約14万7、000人となりまして、前年同期に比べまして2万4、000人、19%の増となっているところでございます。
 また、国や航空会社に対しまして、航空路線の充実を働きかけるとともに、中型機に対応した地上支援機材の整備を促進してまいりました結果、本年4月25日から中型機が就航する運びとなり、輸送力は大幅に増加する見込みとなっております。しかし、反面、最近におきましては、さきに発生しました阪神・淡路大震災によりまして、旅行のキャンセルが相次ぎ、あるいは伊丹線が2月から暫定的ではありますが1便減便されるなど、厳しい状況下に置かれております。しかしながら、花巻空港の滑走路延長整備を実現するためには、平成7年度はまさに正念場となるものでございまして、利用実績をさらに増大させることが不可欠の要件となるものであります。したがいまして、県といたしましても、空港利用促進協議会への支援の強化を図るとともに、この協議会ともどもに、さらに一層利用促進が図られますように懸命に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 次に、東京線の復活についてでありますが、御案内のとおり、東京線は新幹線との競合によりまして、昭和60年以降休止されているところでございます。しかしながら、羽田空港は、国内線の拠点空港としての機能を有しておりまして、首都圏との交流はもちろん、乗り継ぎ中継地点としても重要な空港でありますことから、県といたしましては、東京線の復活に向けまして、国や航空会社に対して、今後とも粘り強く要望活動を続けてまいりたい、このように考えております。
   〔商工労働部長神田隆君登壇〕
〇商工労働部長(神田隆君) 最近の企業の立地動向についてでございますが、通産省が毎年実施しております工場立地動向調査、いわゆる1、000平方メートル以上の工場用地としてどのくらい取得されたかという調査を毎年実施しているものでございますが、この調査によりますと、全国の工場立地件数は、ここ数年、景気の低迷もございまして減少が続いているという形のものが出ております。特に製造業を中心といたします企業の設備投資が全体として伸び悩んでいるという調査結果が出されております。これは本県にとりましてもおおむね同様の傾向を示しているわけでございますけれども、平成5年度におきましては誘致実績が9件ございました。平成6年度は現在まで7件というふうになっているわけでございます。
 次に、今後の企業誘致への取り組みについてでございますが、御指摘のございましたように、全国的には円高等によります国際競争力の低下に伴う産業の空洞化という問題に直面をしているわけでございますけれども、特に労働集約型、さらに量産型の企業と言われるものにその傾向が顕著にあらわれている状況にございます。ただ、その反面、研究開発部門を初めといたしまして、高度な技術力を持っております先端技術産業など、言うなれば付加価値生産性の高い企業につきましては、依然、国内、国際の競争力も高くなっているわけでございまして、国内においてさらに事業の拡大を図っていくという企業が多くございます。現在、県が誘致のために接触をいたしてございます企業の中にも、国内において地方への展開を考えている企業が結構ございます。本県への工場の立地も期待できる状況になってきつつあるものと考えているところでございまして、幸い、最近の経済情勢が全体として穏やかながら回復の基調にございますし、企業の設備投資意欲も徐々にではございますが上向きつつございますので、今後とも、市町村、さらには、関係機関との連携を図りながら、今後は業種、業態ごとに経営環境などの把握に努めまして、的確な情報収集を図りながら、優良企業の誘致に今後とも努めてまいりたいというふうに考えてございます。
   〔農政部長高橋洋介君登壇〕
〇農政部長(高橋洋介君) まず、農業関係試験研究機関の整備についてのお尋ねにお答えをいたします。
 21世紀に向けた岩手農業の確立のためには、体質が強く収益性の高い農業への再編を推進いたしますとともに、新たな需要を創造する農業の展開が重要であると、そのように考えておりますが、新たに整備いたします試験研究機関は、こうした目標達成に向けて先導的な役割を担うものとしなければならない、そのように考えております。したがいまして、その整備に当たりましては、新たな試験研究ニーズや地域課題等に適切に対応し、迅速かつ効率的な試験研究の推進を図る研究体制を確立するとともに、バイオテクノロジー等先端技術を駆使した技術開発に対応した研究施設の拡充整備を図ることが極めて重要であり、これらを基本といたしまして、現在、鋭意取り組んでいるところでございます。
 具体的に申し上げますと、専門別に設置をしておりました4試験場を組織的に一元化いたしまして、極力集中化を図ることとしておりますが、特にも研究を進める上で重要な研究体制につきましては、新たに企画調整機能を持たせた企画経営情報部門や、生物工学研究所との連携のもとに新品種や省力革新技術の開発等を推進する農蚕、園芸畑作研究部門及び畜産研究部門を拡充強化するとともに、環境保全型農業等に対処する環境資源研究部門を新設することとしております。また、長期的な研究課題の解決に向けた研究施設の整備につきましては、超低コスト稲作を実現するための大区画水田、また、肥料養分の変化を測定できる精密圃場などを設けますほか、先端技術を応用した、水稲及び園芸作物などの独自品種開発を促進するための遺伝資源保存施設、さらに、農産物の付加価値を高める研究を促進するための輸送技術の実験施設などを整備することとしております。
 一方、農業に対します消費者の理解を得るために、広く県民に開かれた施設の整備を目指しまして、研究本館には新技術の展示コーナーや農業者の交流スペースを設けました。また、身近に農業が理解できる体験圃場や散策等も可能な緑地帯等を備えました農業公園もセンター本部敷地内に整備する計画でございます。
 進捗状況についてでございますが、現在、センター本部の建築設計と圃場等の造成設計を行っているところでございまして、平成7年度には造成工事や建築工事に着手することとしております。これと並行いたしまして、県北農業技術センター--仮称でございますが--、さらに、畜産研究部門の各種施設につきましてもあわせて整備を進めることとしておりまして、平成9年度に開所する予定といたしているところでございます。センターの開所まで残り2年となったわけでございますが、本県農業の技術開発拠点にふさわしい施設となるように今後とも鋭意努力してまいりたい、そのように考えております。
 次に、認定農業者制度の普及についてでございますが、この制度は、今日の農業が大きな転換期にある中で、将来とも農業で頑張っていこうとする意欲ある農業者を市町村長が認定をいたしまして、これらの方々の営農が早期に確立されるよう、各方面からいろいろと支援しようとするものでございまして、県といたしましても、これまで普及月間を設けるなどいたしまして、その推進に努めてきたところでございます。その結果、1月末現在で女性10名を含みます683名の認定農業者の誕生を見たところでありますが、殊にも、花巻市では303名を認定いたしまして、全国で一番多い人数となっておるわけでございます。この制度が、徐々にではありますが、農業者の方々に浸透し、動き出し始めた、そのように存じているわけでございます。
 また、この認定に当たりまして、市町村では、特別に認定証交付式を催していただきましたり、また、認定証を額に入れて差し上げるとか、また、認定農業者の名刺をつくって配ってあげるというような、農業者を元気づける工夫をしている市町村もございまして、これは大変結構なことだと、そのように思っているわけでございます。今後におきましては、この制度を、いわばガットを吹き飛ばす運動の一環といたしまして、県下全域に波及するとともに、この制度をさらに魅力あるものにするために、認定農業者に対する支援措置の充実なり、組織化によりまして相互研さんを図るような取り組みを促進いたしまして、この制度が真に地域に定着されるよう、市町村、農業団体と一体となってその普及促進に努めていきたい、そのように考えております。
   〔土木部長白波瀬正道君登壇〕
〇土木部長(白波瀬正道君) 道路の整備について、まず東北横断自動車道についてでございます。
 東北横断自動車道釜石秋田線につきましては、北上-秋田間が昭和41年に、釜石-花巻間が昭和62年に、それぞれ国土開発幹線自動車道として整備が進められることになった道路でございまして、昭和62年に全国の高規格幹線道路網計画にも組み込まれました広域交流の基幹をなす北東北唯一の横断道であります。このうち、昨年8月に供用されました北上-北上西間につきましては、開通後8月中旬には交通量が日約6、000台に及ぶなど、地域間の交流の促進に大いに寄与しているところでございます。また、この横断道の北上西インターチェンジ以西につきましては、秋田県の横手-秋田間が完成供用しておりますが、残る区間につきましても、平成7年度に湯田-横手間を、さらに、平成9年度には北上西-湯田間及び秋田南-秋田北間を、それぞれ完成させることを目標に鋭意工事が進められており、県といたしましても北上-秋田間が1日も早く開通するよう、その促進方を道路公団等関係機関に対して強く働きかけているところであります。
 さらに、本年1月18日、道路公団によって路線発表が行われました東和-花巻間の整備につきましては、本年度中に地元関係者から測量のための現地立ち入りの了解を得た後、来年度から工事を実施するために必要な測量や設計が行われる予定であり、その後、関連する道路、水路の管理者等との協議を行い、用地買収、工事と進められる予定でございます。県といたしましては、地元市町村とも十分連携をとりながら、東和-花巻間の早期完成につきましても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、一般県道花巻温泉郷線の整備についてでございます。
 花巻温泉郷線は、県道花巻大曲線と連携し、花巻地区の観光ネットワークの強化など、地域の振興を支援する重要な道路でございます。県といたしましては、本路線の重要性を踏まえ、交流ネットワーク道路の沢内ルートと位置づけまして、鋭意整備を進めているところでございます。中でも台温泉地区につきましては、道幅が狭く、坂道が多いため、特に冬期積雪時には消防活動や救急活動等に支障を来すおそれがありますことから、温泉街を迂回する延長800メートルのバイパス工事を進めているところであります。現在の整備状況につきましては、延長約300メートルの改良工事が概成しており、この2月からは延長115メートルのトンネルに着手するなど、今後とも早期の完成に向けまして、整備推進に努めてまいりたいと考えております。
 なお、台温泉から鉛温泉間は、御指摘のとおり交通不能区間となっておりますが、この区間は険しい山岳地形で、計画、施工上、技術的に難しく、さらに、路線延長も長いことから、その改良には相当の年月を要することが予想されますが、今後とも必要な調査を進め、極力早い時期にこの交通不能区間の解消のための方策を見定めるよう努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) 美術館の整備についてお答えします。
 県におきましては、新しい文化創造の拠点として美術館を整備することとし、昨年6月にその基本構想を策定いたし、現在、基本計画の検討を行っているところであります。この基本構想において、教育施設との連携を図ることを重要な機能の1つとして位置づけております。
 お尋ねのありました県内ネットワークについてでありますが、この美術館が、学校はもとより、県内の博物館、記念館を初めとする諸施設との連携、交流のネットワークを形成し、さまざまな事業に取り組んでいくことが必要であると考えております。具体的には、本県の美術作品に関する独自のハイビジョンソフトの制作、そして提供、さらには、所蔵作品による移動展などによりまして、諸施設との連携、交流のネットワークが形成できるよう検討してまいりたいと考えております。
 次に、現在、県立博物館が所蔵している美術作品の活用についてでありますが、県は、本県出身作家であります萬鉄五郎や松本竣介などの物故作家の絵画など、さらには、舟越保武氏の彫刻など、数多くのすぐれた美術作品を所蔵し、引き続き収集に努めているところであります。これらの所蔵作品につきましては、県民の大切な財産として保存にも配意しながら、県立博物館の近代美術部門において常時公開しておりますほか、県内外の美術館や民間団体が開催する企画展への貸し出しなどを通して、広く作品の活用を図っているところであります。御指摘の趣旨をも踏まえまして、今後とも所蔵作品の積極的な公開に努めてまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木俊夫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時31分 散 会

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