平成7年6月定例会 第2回岩手県議会定例会 会議録

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〇6番(中屋敷十君) 新進党の中屋敷十でございます。
 まずもって、26日急逝されました片方議員の御冥福を心からお祈り申し上げます。
 さて、先般行われました知事選挙におきまして、県民の絶大なる支持を受け、21世紀の活力ある岩手県政を担う若きリーダーとして、増田知事が誕生いたしましたことを心からお祝い申し上げる次第であります。
 また、不肖私も、先般の県議選におきまして、若輩者ながら初の議席を獲得させていただいたところでありますが、その上、改選後初の定例会におきまして、一般質問の機会を与えていただきましたことに対しまして衷心より感謝申し上げ、通告に従いまして質問させていただきます。
 まず、第三次岩手県総合発展計画、いわゆる3県総の後期実施計画の策定に係る基本的な方針についてであります。
 過日の演述におきまして、知事は、地域の発展を支える基盤の整備、活力ある産業の振興、豊かな長寿社会、思いやりのある福祉社会づくり、あすの岩手を担う人材の育成という4つの柱を今後の施策の基本方向に掲げ、21世紀に向け、岩手の個性、独自性を十分に発揮しながら、国際的視野に立って広く内外に多くの情報を発信できるような、活力に満ちた夢あふれる県土づくりに全力を挙げて取り組み、岩手が北海道、東北地域における先導的、中心的な役割を担える県として発展するよう最大限の努力をすると、力強く宣言されたところであります。私は、工藤前知事が策定された3県総を踏襲しつつ、さらに1歩進んで、21世紀における岩手の発展目標を高く掲げられた知事の県政への取り組み姿勢に深い感銘を受けたところであります。申すまでもなく、3県総は、県の行財政運営の基本指針として、県行政の各分野における施策の推進に当たっての計画性、実効性を示すものであり、基本計画と実施計画で構成されており、実施計画は基本計画に掲げられている施策の方向を受けて、その実効性を確保するために具体的な事業を明らかにするものであると認識しているところであります。平成7年度までの前期5カ年間の実施計画においては、314の重点事業、事業費ベースで2兆2、328億円余を掲げていることであり、事業の進捗率から見てもその成果は高く評価するものでありますが、前期の実施計画における重点事業は、高速交通体系が整備されて産業集積が進む北上川流域に集中しており、県北及び沿岸部、特にも北上山地エリアにおける事業展開がおくれていることが明白であります。知事は、所信表明において、豊かな生活圏の形成による県土の均衡ある発展を図っていくことが、本県にとって基本的な課題であるとの認識を示されておりますが、私は、この基本的な課題である県土の均衡ある発展の対応策を具体化し、県民の皆さんに増田知事の県政への取り組み姿勢を示すのが、本年度策定される後期実施計画であると考えるものであります。
 そこで伺いますが、3県総の後期実施計画の策定に当たって、県土の均衡ある発展という基本的な課題にどのように対応されるのか、その基本的な考えをお聞かせ願います。
 次に、地熱熱水の有効利用についてであります。
 雫石地域地熱熱水供給事業実証調査は、葛根田地熱発電所に発電用蒸気とともに湧出する熱水を多目的利用するため、昭和55年度から国の委託を受けて、県が地域住民の福祉の向上、産業の振興、地域開発等に寄与するとともに、石油代替エネルギー開発技術の開発に資することを目的として、総合的に調査を実施してきたところでありますが、平成6年度をもって終了となったところであります。15年間に及ぶこの調査は、実用規模の熱水供給施設を建設し、施設を実際に運転しながら、熱水供給システム全体の信頼性、熱水輸送管等の耐久性、供給事業としての経済性について実証調査を行ってきたもので、その評価とすれば、熱水供給システム全体の信頼性及び熱水輸送管等の耐久性につきましては十分に足るものであることが確認されたところでありますが、肝心の供給事業の経済性については、石油価格が計画当初に比べて大幅に下落したことや、新しい技術体系の中で設備費が膨らんだことなどにより、現状では経済性の確保が極めて難しいものであると聞き及んでおります。この熱水利用問題につきましては、過去の県議会におきましても先輩議員の方々が幾度か質問なされておりますが、私は地元選出の議員としてこの現状を非常に憂えているものであります。地熱資源はクリーンで再生可能なエネルギーであり、この利用開発を進めることはまさに国家的要請と考えられるもので、現に国費184億、県費48億もの経費がこの実証調査に投じられ、供給施設はもちろんのこと、温水プールを初めとする利用施設も一部建設されており、また、地元住民の地熱熱水利用に対する期待は地域振興の観点からも非常に大きなものがあります。供給事業の経済性の確保が非常に困難という評価が出て、地熱熱水供給実証調査が昨年度終了されたわけであり、県当局の対応も施設の維持管理等を考えると非常に厳しいものがあると判断されるわけでありますが、私は、単に採算性だけにとらわれず、地域活性化の面からも地熱熱水の有効利用を図っていただきたいと思いますが、県として、これまで進められてきましたこの実証調査の結果を踏まえ、今後どのような方針で対処するお考えなのかをお示し願いたいと思います。
 次に、東北新幹線盛岡以北及び田沢湖線ミニ新幹線の整備促進についてであります。
 東北新幹線盛岡以北のフル規格化については、盛岡-八戸間がフル規格により整備されることが決定し、去る5月29日に建設工事の起工式が盛大に行われましたことは、まさに21世紀に向けた東北の大動脈として、国土の均衡ある発展に大きく寄与する第一歩を踏み出したわけでありまして、まことに喜ばしいことであります。しかしながら、その代償として東北新幹線の盛岡以北はJRの経営から分離されることとなり、沿線の住民にとりましては、生活の足として不可欠な交通機関の代替輸送の確保が大きな問題となっております。この問題につきましては、先ほど千葉伝議員が質問を行ったところであり要望のみにとどめますが、ぜひ、知事並びに県当局においては、並行在来線がJRから経営分離されましても、沿線住民の方々がこれまでより、より不便にならないような万全の対策を講じられますよう、強くお願いするものであります。
 次に、盛岡-秋田間の新幹線直行特急化事業、いわゆる田沢湖線のミニ新幹線の整備についてお伺いします。
 JR東日本では、東北新幹線の持つ高速鉄道のメリットを横断軸である秋田県側にも波及させるため、現在、田沢湖線のミニ新幹線の事業に鋭意取り組んでいるところであります。このミニ新幹線化の事業は、利用者の乗りかえの不便の解消や高速化による時間の短縮のみならず、観光の振興や企業誘致の促進など、産業経済の面におきましても大きな効果が期待されます。平成4年7月に開業いたしました山形ミニ新幹線の例を見ましても、開業以来、その利用が好調に推移しているのみならず、沿線の市町村においても、開業に合わせたユニークな駅舎の整備や駅前開発など、それぞれの自治体が創意工夫を凝らして、新幹線を地域の振興の核とした取り組みが進められているところであり、地元雫石町におきましても、現在、駅舎の整備や駅前開発などの計画を構想しているところであります。しかしながら、ミニ新幹線は東北新幹線のような高架を走行する新幹線ではなく、現状の在来線の路線を活用して走行することから、本来の効果を発揮するためには、新幹線の高速運転の持続性が可能となる踏切の改良と踏切の交通安全対策が最も重要な課題であると考えているところであります。したがって、立体交差化や踏切の廃止などにより、現在の踏切をでき得る限り解消するとともに、踏切における交通安全の徹底を図ることが極めて重要であり、このことによって初めてミニ新幹線が高速運転することが可能となり、本来の機能が発揮されるものであると考えられるのであります。
 そこで、まず、このミニ新幹線化の事業は今後どのようなスケジュールで進められていく予定なのか、お知らせ願います。
 また、山形ミニ新幹線の開業時に、踏切に起因するトラブルが多数発生し、踏切の安全対策が求められたことは記憶に新しいところであります。
 そこでお伺いいたしますが、踏切の改良のためには沿線市町村と一体となった道路の改良、踏切道の改良が必要でありますが、県ではこれをどのように進めるおつもりなのか、また、これまでの列車と異なり、高速送行する列車に対する踏切での交通安全の確保対策をどのように進めるおつもりなのか、あわせてお伺いします。
 なお、これは要望にとどめますが、踏切の廃止や立体交差化に当たり、その整備に要する経費負担は、当初の計画では国庫補助50%、県30%、沿線市町村20%とすることとしていたが、県の負担が非常に厳しい現況になっているやに聞き及んでいるところであります。秋田県においては、沿線の市町村道踏切も県代行で立体交差化を進めている旨の話もあることから、県当局においても厳しい財政事情下ではありますが、沿線市町村の負担軽減が図られるような措置を講じられますよう、特段の御配慮をお願いするものであります。
 次に、青年の船等の3船事業についてお伺いいたします。
 近年、国際化、高齢化、情報化など、社会の変化は急速に進んでおり、21世紀に向けて本県が創造的で活力ある社会を築いていくためには、このような社会変化に主体的に対応できる資質と意欲を有し、活力に満ちた青少年を育成していくことが強く求められております。県においては、これまでも次代を担う青少年を育成するため、青少年活動の推進や青少年を取り巻く健全な社会環境の整備等に取り組んできたところであり、さきに経済企画庁が発表した新国民生活指標によりますと、育てるという分野で本県が全国で第2位の位置にあり、これは、昨年の第1位に引き続いて高い評価を受けたもので、青少年を育成する環境は着実に進展しているものと認識するものであります。さらに、郷土岩手をつくる有為な青少年の育成や女性の積極的な社会参加活動を推進するため、青年の船を初めとして少年の船、女性の船の各事業を実施し、参加された方々は研修の成果を生かし、地域や職場等でさまざまな御活躍をされております。しかし、青年の船を初めとする各船事業の実施以来長期間を経過し、事業を取り巻く環境が変化していることから、県では事業の見直しを進めていると伺っておりますが、どのような事業を実施するのかお伺いいたします。
 次に、地域保健法の施行に係る県の対応状況についてであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 申すまでもなく、戦後の我が国の公衆衛生行政は保健所を中心として実施されてきたところですが、人口の高齢化や出生率の低下、疾病構造の変化、さらには地域住民のニーズの多様化などにより、保健衛生行政を取り巻く環境が著しく変化してきていることを受けて、昨年保健所法が見直され、地域住民1人1人の健康の保持及び増進を目的とする地域保健法に改正され施行されたところであります。この法律は、国、県、市町村における地域保健対策の責務を明確にし、住民に身近な保健サービスは県の保健所から市町村に移譲し、県の保健所は広域的な観点から市町村を支援するとともに、医療や福祉との連携を強化することとなっております。このため、地域住民への保健サービス面では市町村の役割が大きくなり、保健婦等のマンパワーの確保、充実が必要となりますし、また、県の保健所機能も専門的、技術的拠点として施設の規模拡大や機能の強化が必要となり、また、その所管する区域は、医療法で規定する2次医療圏または老人福祉法及び老人保健法で規定する老人保健福祉圏とおおむね一致した区域が原則であるとされているものと理解しているところであり、まさに保健行政機構の大改革といっても過言ではないと思います。
 そこでお伺いいたしますが、市町村における保健婦等マンパワーの確保、充実といっても容易なことではないと思いますが、県ではどのように市町村への支援措置を講じていくのかをお聞かせ願いたいと思います。
 また、県の保健所の設置についてでありますが、現在、15の保健所が設置されているわけでありますが、基本指針によりますと、前述のとおり、2次医療圏または老人保健福祉圏とおおむね一致した区域ということが示されており、本県の場合、2次医療圏も老人保健福祉圏も9つとなっており見直しを余儀なくされるものと考えられますが、平成9年4月1日の施行に向けて、現在、新しい保健所のあり方の基本をどのように位置づけ、どのようなスケジュールで検討を進めているかをお示し願いたいと思います。
 次に、県立職業能力開発短期大学校に係る教員確保の取り組みと整備の進捗状況についてお尋ねいたします。
 県立職業能力開発短期大学校につきましては、近年における産業技術の著しい進歩、高度化の中で、これに対応し得る高度な技能技術者の育成が急務であるとの認識のもとに、平成9年4月の開校をめどに設置されるものと承知しております。御案内のとおり、全国的な技能技術者の不足は深刻なものとなっており、本県におきましても、21世紀に向けた産業の飛躍的発展のためには、これら技能技術者の育成は最も重要な課題の1つであり、短期大学校の設置には大いに期待しているところであります。設置学科としては、メカトロニクス、電子、建築、産業デザイン、情報の5科が予定されていると聞いておりますが、いずれをとりましても日々新たな技術が開発されている分野であり、生徒を指導する教員については、これら最新の技術、知識を柔軟に吸収し指導に反映させることができ得る優秀な人材を確保することが肝要であると存じます。
 そこでお伺いいたしますが、これら教員の確保のために、どのような考えのもとにどのような取り組みをなされているのかをお伺いします。また、短期大学校整備の全体的な進捗状況についてもあわせてお伺いします。
 最後に、新食糧法の施行に伴います米の管理システムについてお伺いします。
 本県農業の基幹である稲作経営を取り巻く環境は、異常気象や諸外国からの市場開放等の影響を受けて目まぐるしく変化しているところであります。このような環境下にあって、昨年12月に、自主流通米を米流通の主体としつつ、米の需給と価格の安定を基本としながら、生産者の自主性を生かした稲作生産の体質強化、市場原理の導入や規制緩和を通じた流通の合理化等を図ることをねらいとして、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律、いわゆる新食糧法が成立し、新しい米管理システムがいよいよことしの11月からスタートするところであります。私は、農業問題に精通しているわけではございませんが、たまたま新聞を見ておりまして、みずから切り開く米流通という見出しに興味を覚え内容を読みましたところ、新食糧法は米づくりに意欲のある人にはありがたい法律で、みずから切り開ける道があり、自分の経営を守るために認められた法律であると断言する稲作農家の方がいることを知りまして、具体的な政令や省令がいまだ制定されておりませんが、あえて質問事項に加えさせていただいた次第であります。
 新聞に掲載されていた方は、特別栽培米で直接消費者と契約販売を行っており、稲作経営についてかなりのノウハウを持っているので公然とこういう発言ができるのかもしれませんが、いずれにいたしましても、計画流通米にするのか計画外流通米にするのか、生産者にとっては自主的判断が求められることとなり、市場原理の導入が色濃く出され、また、本当に稲作で経営していこうとする生産者にとっては、体質強化にもつながるものであると考えるところであります。しかしながら、一方では、商品としての米が求められることになり、産地間競争がますます激化することは容易に想像できるところであります。
 そこでお伺いいたしますが、新食糧法の施行により新たな米管理システムが導入されることとなりますが、このシステムの導入によりまして、本県の稲作経営がどのように改革されると考えられるのかお聞かせ願いたいと思います。また、このシステムが導入されることによりまして、産地間競争に拍車がかかるのは明白でありますが、県としてどのような対応をしていくのか、基本的なお考えをお示し願いたいと思います。
 いずれにいたしましても、国の政令、省令が制定されていない段階においてコメントしにくい面もあると思いますが、よろしくお願いいたします。
 以上をもちまして私の一般質問を終了させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 中屋敷十議員の御質問にお答えいたします。
 まず、3県総後期実施計画の策定に当たり、県土の均衡ある発展という基本的な課題にどのように対応するのかについてでありますが、私は、県土の均衡ある発展を図るためには、産業経済の発展と県民生活の充実の両面から総合的な施策を展開することによりまして、県内各地域が持つ発展可能性を顕在化させ、地域の個性や特色を生かした豊かな地域づくりを進めることが極めて重要であると考えております。このような観点に立って、特に県北、沿岸地域に十分留意しながら、高速交通体系を軸とした広域ネットワークの形成や都市機能の強化など、基盤の整備を進めるとともに、基幹産業である農林水産業の活性化や商工業等の振興、さらには、居住環境の整備充実など、さまざまな施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。このため、今年度においては、三陸北縦貫道路や宮古盛岡横断道路について地域高規格道路として整備を促進するとともに、新たに、全国豊かな海づくり大会を支援するためのアクセス道路等の整備、さらには、ふれあい・安らぎ温泉地や自然環境保全活動拠点の整備などに着手することとしております。今後、3県総後期実施計画の策定に当たりましても、特に県土の均衡ある発展について強く念頭に置きながら、地域の特性を生かした新たなプロジェクトや施策を、可能な限り多く計画に盛り込むことができるよう、各分野にわたり鋭意検討を加えてまいりたいと考えております。
 次に、青年の船を初めとする船事業の実施についてでありますが、御案内のように、本県においては、青年、女性及び少年の3船のほか、平成元年度以降シルバーの船を加えて研修を実施し、地域活動リーダーの育成や高齢者の生きがいづくりに資するなど、多くの成果を上げてきたところでありますが、特に青年の船については、参加者の意識の変化や国際化の進展など、事業を取り巻く環境が変化してきており、新たな観点に立った事業の実施が求められてきているところであります。このため、これまでの成果を踏まえ、船と航空機を併用することとし、青年にあっては、研修期間を短縮するとともに、東南アジアのより多くの国を訪問し、現地青年との交流やボランティア活動の体験、ホームステイの実施等、体験型の研修を実施するとともに、女性及び少年にあっては、期間とコースを延長し、沖繩県との交流や寄港地活動を取り入れるなど、研修内容の充実を図り、21世紀のふるさと岩手の創造に向けて、主体的かつ積極的に参画する人材の育成に努めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承願います。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、地熱熱水の有効利用についてでありますが、雫石地域地熱熱水供給事業実証調査は、第1次及び第2次オイルショックを契機とします石油代替エネルギー政策の一環としまして、昭和55年度から国の委託を受け実施してきたものでありますが、平成6年度をもって終了したところであります。その成果につきましては、御指摘にもありましたように、なお若干の調整は残されているものの、熱水供給システム全体については十分信頼に足るものであり、熱水輸送管等についても十分な耐久性があることが確認されているところでありますが、熱水供給事業としての経済性の確保につきましては、現状では極めて厳しい結果が示されております。今後におきましては、この実証調査において蓄積されました技術的成果はもとより、葛根田地域において引き続き実施されております深部地熱調査等の開発技術や情報を貴重な財産として、これを集積、管理し、その活用を図ることが重要であると、このように考えております。
 また、現在、県営屋内温水プール、上長山小学校及び玄武温泉地区におきまして熱水を実際に利用しているところでありますが、今後におきましても熱水造成コストの低減化を図りながら、利用の拡大を進めていく必要があると、このように考えております。このため、専門家の方々で構成いたします地熱熱水の開発利用促進のための検討委員会を設置いたしまして、その指導、助言をいただきながら、熱水造成コストの低減化調査等について取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、これらの取り組みを効果的に進めるためには、国、県及び地元雫石町が一体となって取り組んでいくことが必要でありますので、国に対しまして理解が得られるように強力に要望を重ねるとともに、地元町とも十分に協議を重ねながら、なお一層の努力をしてまいる考えであります。
 次に、盛岡-秋田間新幹線直行特急化事業、いわゆる秋田新幹線整備の今後のスケジュールについてでありますが、この事業は、山形新幹線と同様に、在来線から東北新幹線に直接乗り入れることを可能とするため、在来線であります田沢湖線及び奥羽本線の線路の改良等の工事を行い、乗り継ぎ利便性の向上及び到達時間の短縮を図ろうとするものであります。本事業の工期は、平成3年度から平成8年度までの6年でありますが、JR東日本によりますと、平成8年度末の開業に向けまして工事は順調に進んでおり、特に田沢湖線部分につきましては、現在、盛岡駅付近における新幹線から在来線へのアプローチ部の高架橋工事等が行われておりますが、平成8年度には、盛岡-大曲間について1年間にわたり完全に運休いたしまして、路盤の改修、踏切立体交差化等の工事を行う予定であると伺っております。なお、この間は特急列車は北上線を迂回いたしますし、普通列車はバス代行輸送になると、このように伺っているところでございます。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) 田沢湖線の踏切の改良についてでありますが、県内でJR田沢湖線と国県道及び市町村道とが交差している箇所は36カ所あります。このうち国県道の7カ所すべてと、市町村道5カ所の計12カ所については立体交差済みとなっているものであります。残りの箇所につきましては、すべて市町村道に係る踏切道であり、これらの安全対策を早急に行う必要があるため、平成5年2月、県と関係市町村及びJR東日本で構成する田沢湖線踏切道改良連絡会議を設置し、踏切の立体交差化、構造改良、踏切の廃止などの検討を重ねてきたところであります。その後、これらの踏切対策や田沢湖線のレールの拡幅、路盤の改修など抜本的な整備を行うことを目的に、JRでは、平成8年度の約1年間、列車運行を全面的にストップするとしたことから、この機会にできる限りの立体化を行うための検討した結果、地形上の制約あるいは人家密集地のためその調整に長引く箇所を除いた9カ所について、立体化の工事に着手したところであります。県といたしましては、残る踏切道の立体交差化につきましても、交通安全対策上必要であるとの認識に立ち、今後とも整備促進のため関係市町村を指導、支援してまいりたいと考えております。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) 踏切における交通安全の確保対策についてでありますが、現在、第5次岩手県交通安全計画に基づきまして、関係機関が連携し合いながら各般の施策が進められているところであります。今後におきましても、この計画に定められた施設整備など各般の施策を推進するとともに、高速走行による踏切事故を防止するため、踏切通行者の安全意識を高める啓発活動や、交通安全施設等の総点検を通じた安全性の向上など、踏切における交通安全の確保に努めてまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長松本義幸君登壇〕
〇環境保健部長(松本義幸君) 地域保健法の施行に係る県の対応状況についてのお尋ねにお答えいたします。
 まず、市町村における保健婦等マンパワーの確保、充実に対する県の支援措置についてでありますが、このたびの地域保健制度の見直しは、急速な高齢化の進展、保健医療を取り巻く環境の変化等に即応し、地域における公衆衛生の向上、増進を図るものでございまして、住民の多様化、高度化するニーズに的確に対応できるよう、地域保健施策が総合的に推進されることを基本理念とするものでございます。このような基本理念に基づきまして、具体的には、3歳児健康診査などの母子保健業務や一般的な栄養指導業務などが県から市町村に権限が移譲され、市町村で従来から実施している老人保健、並びに母子保健のうち1歳6カ月児健診などとあわせて、生涯を通じて身近な保健サービスを市町村で一元的に実施するものであります。このため、市町村では、今回の制度改正に見合った保健婦等のマンパワーの確保、充実を要することとなりますが、平成7年4月における県内市町村の保健婦等の状況は、保健婦数が356人、栄養士数は51人であり、本県の保健婦等の整備は進んでいるものと認識しております。しかしながら、今回の法改正では一層の強化が必要となることから、マンパワーにつきましては、保健婦養成所において市町村の保健事業に対する理解を深める教育を行うとともに、人材の確保または質の向上の支援を希望する町村に対する小規模町村保健活動支援事業などの実施を通じまして、所要の支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、新しい保健所の基本的位置づけと検討のスケジュールについてでありますが、保健所の具体的な業務といたしましては、難病対策やエイズ対策あるいは食品衛生、環境衛生、医事、薬事等の監視指導などの業務や、そのほか地域における保健医療計画や高齢者保健福祉計画の推進などの企画調整業務を推進することとされております。このような分野におきます業務の充実強化を推進していくためには、集約化した保健所において複数の専門家の配置を進める必要もあり、現在、環境保健部内に検討組織を設けて、より専門性、広域性に即した方向で新しい保健所の基本的位置づけについて検討しているところであります。
 今後、県といたしましては、この地域保健制度の改正に即した体制づくりなどにつきまして、市町村とも協議を重ね、保健所の機能強化策及び所管区域のあり方等についての計画を、7年度中を目途に国との協議を終えて策定することとしておりまして、平成8年度には新しい保健所の実務的準備や事務移譲のための準備を行う予定でございまして、平成9年度に円滑に実施できるよう準備を進めて、21世紀に向けた県民に対する保健、医療サービスのさらなる向上を目指してまいりたいと考えております。
   〔商工労働部長古館敏男君登壇〕
〇商工労働部長(古館敏男君) 県立職業能力開発短期大学校に係る教員確保の取り組みと整備の進捗状況についてでございますが、平成9年4月に開校を予定しております県立職業能力開発短期大学校は、産業における技術の高度化、先端化に伴いまして、これに対応し得る高度な技術能力を持った者を育成するという目的で設置するものでございます。この短期大学校の整備は、県内の職業能力開発施設の活性化を図るということで、その核となるべき施設として、既存の盛岡高等技術専門校を再編整備するものでございまして、これによりまして企業が求めるすぐれた人材の輩出機能が強化され、このことによって高度技術に立脚した本県の工業開発が促進されまして、本県経済の活性化が期待されるというものでございます。この学科の編成にございましては、本県における産業施策の動向、人材育成方針及び人口定住策等を配慮するとともに、民間事業所の要望あるいは高校卒業者の進路志望等のニーズを踏まえまして、5科として設置することにしたわけでございまして、入学定員は100人、それから修業年限は2年ということで予定しているものでございます。
 ただいま御指摘のありました、最新の技術、知識を柔軟に吸収し、指導に反映させることができる優秀な教員の確保は、魅力ある短期大学校を整備するということで、やはり極めて重要なことであると認識してございます。このため、教員の確保に当たりましては、先端技術を指導できることはもちろんでございますけれども、情熱と豊かな人間性を備えた人材を広く招聘できるよう、県内外の学識経験者等に積極的に働きかけまして、現在、採用に努めているところでございますし、また、高度技術専門学校等に在職する指導員におきましても、短期大学校の教員として対応し得るような、職業能力開発大学校等への派遣研修を実施しまして、その資質の向上を図っておりまして、こういったことを踏まえまして、現在、計画的に教員の確保に努めているところでございます。
 次に、短期大学校の整備の全体的な進捗状況についてでございますが、既に矢巾町南矢巾地内に用地を取得しまして、昨年11月に造成工事に着手しております。建設工事につきましては、本年10月ごろに着工して、平成9年3月には竣功の予定でございます。現在は計画どおり進捗しているということでございます。
 また、カリキュラム等の教育内容につきましても、昨年4月に、外部の有識者からなる開設準備委員会を設置いたしまして検討を重ねてまいっておるわけでございますが、今後、設置認可申請、教員の確保、諸規定の整備等を進めながら、平成9年4月の開校に向けまして万全を期してまいりたいと考えております。
   〔農政部長高橋洋介君登壇〕
〇農政部長(高橋洋介君) いわゆる新食糧法の施行に伴います新たな米管理システムのお尋ねについてお答えをいたします。
 御案内のとおり、新たな米管理システムにおきましては、国民の主食であります米につきまして、政府管理に重点を置いたこれまでの制度を転換をいたしまして、規制を大幅に緩和して流通の合理化を進めることを大きなねらいとしていると伺っております。具体的には、政府の役割が備蓄とミニマムアクセスの運用に限られ、民間流通であります自主流通米を流通の基本とすること。また、生産調整につきましては、全体需給の調整を図ることを基本としつつ、生産者の自主的な判断を尊重すること、生産者の政府への売り渡し義務を廃止すること。また、計画流通米につきましては、売り渡し先をあらかじめ定めておくことといたしまして、計画外流通米につきましては、販売数量の届け出制としたこと。さらに、流通ルートにつきましても、多様化、弾力化することなどとなっているわけでございます。このような米流通における規制緩和は、米の需給が過剰基調で推移すると見込まれている中で、生産のみならず流通、消費の各段階におきまして、選択の幅を広げるということになりますので、今後、消費者、流通業界から産地や栽培法などでの選別が一層激しくなるものと予想しているところでございます。
 また、まだ政省令等が明らかにされていない段階でございますが、米流通の主体となる自主流通米の価格は、需給を反映したものになると予想されまして、適切な需給調整が実施されなければ、価格の下落や売れ残りが生ずるというようなことも懸念されますことから、秩序ある生産、流通体制を確立することが肝要であり、従来以上に生産者、生産者団体がまとまりを持って、良質米の生産や有利販売に取り組みますとともに、生産調整についてもみずからの課題として取り組むことが重要になってくるものと考えられるところでございます。
 一方、新制度におきます今後の稲作経営は、消費者ニーズに的確に対応し、より安全でおいしい米を、低コストで安定的に生産し、供給できるように、いわゆる商品としての売れる米づくりに徹するなど、これまで以上に緻密な経営努力が求められてくるものと考えております。したがいまして、県といたしましては、こうした生産者の経営努力に対しまして、積極的に支援をすることといたしまして、稲作主業型農家への農地の利用集積や生産の組織化などによりまして、低コスト稲作を推進するとともに、メッシュ気象情報システムの活用に加えまして、食味成分の分析などの科学的根拠に基づいた、適品種の配置や気象変動に対応したきめ細かな栽培指導などによりまして、良食味米の安定生産を徹底いたしまして、体質の強い産地の形成を促進してまいる考えであります。
 同時に、今後ますます激化すると予想されます産地間競争に打ちかつために、消費者や流通業界からの引き合いを強めまして、安定的な販売ルートを確保することが重要になってくるわけでございます。このため、農業団体と一体となりまして、有機質施用量が全国トップクラスであるということ、また、農薬使用量が少ないことなど、有機、低農薬栽培によります、安全な米という本県産米の優位性をアピールするとともに、オリジナル品種で食味が全国人気銘柄に匹敵いたしますゆめさんさ、あとさらに白度や搗精歩どまりの高いかけはし、これを販売上の戦略品種として位置づけまして、消費地における県産米全体の知名度の向上を図るほか、量販店、小売店と協調した積極的な販売活動を展開していく考えでございます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、谷藤裕明君。
   〔20番谷藤裕明君登壇〕(拍手)

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