平成7年6月定例会 第2回岩手県議会定例会 会議録

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〇20番(谷藤裕明君) 自由民主党の谷藤裕明でございます。
 質問に先立ち、故片方盛先生の御逝去に対し、心から哀悼の意をささげる次第であります。
 さて、このたびの知事演述に関連した県政の諸課題の幾つかについて質問してまいりたいと存じますので、誠意ある御答弁をお願いいたします。
 まず、スポーツの振興に関連した諸課題についてお伺いいたします。
 スポーツ振興を図るために、何よりもまず第1に、スポーツの振興体制の充実と施設面での整備促進が必要であると存じます。振興体制につきましては、県、市町村相互の連携は言うに及ばず、スポーツ関係機関との円滑なる協力関係や、スポーツ振興基金の造成などによる財政支援の確立が急務であります。
 また、施設整備の面におきましては、地域スポーツの受け皿づくりの観点から、例えば、国際的な大規模大会開催可能なスポーツのメッカとしての総合的、恒久的かつ多目的なドーム型の県営スポーツセンターの整備が考えられているところであり、いかがでしょうか、御所見を承りたいと存じます。
 第2に、生涯スポーツの普及振興に積極的に取り組んでいく必要があると存じます。
 生涯の各時期を通じて、県民の健康を確保し、もって病気や障害と縁のない長寿社会の実現のために、県下全市町村にわたって組織化されている生涯スポーツ推進組織の活性化を図り、その集大成としての全国スポーツ・レクリエーション祭の早期開催が必要と存じますがいかがでしょうか、御所見を承りたいと存じます。
 第3に、県民の活性化も含めた岩手のイメージ戦略としての競技力の振興が挙げられなければなりません。
 当面は、平成11年度開催のインターハイに向けた十分な強化支援策が要請されているところでありますが、それへ向けての具体的な取り組み内容をお示し願いたいと存じます。とりわけ、その場合の成否は指導者の養成、獲得に尽きるのではないかと存じるものであります。県としては、来年度の教員採用試験にスポーツ特別選考試験を導入することとしたと聞いております。本県の競技スポーツの水準の引き上げが図られ、また、学校スポーツの充実につながるものと期待されますが、当面は中学、高校で四、五人の採用を予定しているとのことでありますが、私はさらにその数をふやし、また、その人材は国内のみにとどまらず、海外諸外国にも求めるべきものと存じますがいかがでしょうか、当局の御所見をお伺いいたします。
 第4には、インターハイ開催成功に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 このたびの6月補正予算におきましては、インターハイ整備に係る市町村への補助金につきましては大幅に拡充されたところであり、今後、急ピッチでその整備促進が図られるところと期待しているところであります。
 さて、問題は、広域開催であることから、その円滑なる運営が確保し得るかどうかということが懸念されるところであります。もとより、県及び市町村相互の有機的な連携のもとで、大会運営や人員輸送の面でいかなる方策を考えているのかお示し願います。大会成功へ向けた、目下の取り組みの一端を紹介していただきたいと存じます。
 次に、盛岡地区における広域合併の推進について伺いたいと存じます。
 県都盛岡市の拠点機能の充実強化を図り、名実ともに北東北の拠点都市整備を実現するためには、人口、面積、経済などの規模の集積が必要であり、また、この県都の底上げは県全体の発展をもたらすという観点からも、積極的に推進していくべきものと考えます。また、盛岡市と周辺市町村の日常生活圏の広がりや従来の行政区域を越えた生活基盤の整備を初め、生産基盤の整備、防災対策、環境保全など効率のよい一体的な整備を推進していく上で、さらには広域化、高度化する行政課題に適切に対応しなければならない現状にあって、盛岡圏広域合併は急務と言わざるを得ないのであります。時あたかも、先月、地方分権法が国会において成立し、地方自治の充実強化が要請されている中にあって、地方分権の受け皿としての自治体においてその規模を拡大し、規模の経済性を発揮させることがまずもって必要であると考えられているところでもあります。合併については、基本的には地方自治の精神からして、関係市町村の自主的な判断に基づいて進められるべき性格の問題とは申せ、当事者の利害得喪に左右されず、合理的に判断し得る立場にある県の主導で、例えば関係市町村の住民、言うなれば主人公たる県民が自主的に判断できる材料を示すなど、その環境の整備に努める必要があると存じます。さらには、前述したとおり、県都の底上げは県全体の発展をもたらすという観点からも、県の立場として積極的に推進していくべきものと考えますがいかがでしょうか。県御当局の積極的な対応を望むものであります。御所見を伺いたいと存じます。
 次に、防災対策について伺いたいと存じます。
 目下、県におきましては、岩手県地域防災計画を見直し中とのことでありますが、その中でも、私は、とりわけ重要なのは自衛隊の災害派遣要請であると存じます。震災に際し、県民の人命や財産保護のため、機敏に救護活動を実施していただきますことは、実に心強く感じられているところでありますが、要は機敏、迅速なる対応と存じます。現在、国の中央防災会議で防災基本計画の見直しが進められ、緊急災害時における派遣要請についても検討がなされていると伺っておりますが、阪神・淡路大震災におきましては、地震発生から約2時間後に伊丹市から250人の部隊が派遣されたものの、兵庫県からの出動要請は午前10時、実に発生から約4時間以上もたってからとのことで、もっと早い要請派遣があればより多くの人命が救われ、また、被害ももっと食いとめられたのではないかとの反省がございます。自衛隊法によれば、防衛庁長官の判断で派遣することができる場合があるとされているものの、基本的には知事が必要と認める場合は、その要請により派遣できるものとされております。それだけに、災害の態様に応じ、機を逸したりすることなく機敏に要請する必要があると存じます。そのためには、不断から円滑にその協力が得られるようなシステムをつくり、すなわち情報の伝達、調整、そして自衛隊の受け入れ態勢の整備などが必要と存じますが、いかがでしょうか。
 本県からは、知事のお父さんであった増田盛先生とも縁のある玉沢防衛庁長官が輩出されている現在を好機として、特に全国に誇れるようなシステムの整備に全力を傾注していただきたいと存じますが、目下の取り組みの現状についてお伺いいたします。
 次に、産業空洞化対策についてお伺いいたします。
 急激な円高に伴う製造業の海外シフトなどにより、国内産業の空洞化が深刻な問題として取りざたされているところであります。本県の誘致企業においても、少なからず影響が懸念されているところであります。本県においては、従来から、本県工業の高度化と地域経済の活性化を求める観点から積極的な企業誘致を展開してきておりますが、その結果、例えば県内の全製造業に占める割合は事業所数で11・7%と低いものの、従業員数では40・9%、工業出荷額では51・4%と大きな依存状態にあります。したがって、これらの企業については産業活動の波及効果が大きいだけにそのマイナスの影響も大きく、また、本県における従業者数の約4割を誘致企業に負うている実情からすれば、企業の動向いかんによっては雇用状況の悪化を招くのではないかとの懸念もあるのであります。
 そこで伺いますが、目下の影響の実態をどうとらえているのか、また、県としての対策はどうするのかお聞かせ願いたいと存じます。
 また、このように避けては通れない国際経済の激動の中にあって、今後の産業振興対策はどう考えているのでしょうか。
 私は、現在の企業誘致に重点を置くいわゆる立地重点施策のほか、新たに産業の育成、支援にも取り組んでいくべき時期に来ているのではないかと考えるものであります。今重要なことは、国際競争に打ちかつことができる地域産業の育成が何よりも必要であると考えるからであります。これまでのような画一的な加工、組立型の産業誘致だけではなく、新しい時代の課題に対応した、例えば、環境、スポーツ・レジャー、情報などの分野における産業を育成し、地域産業を活性化していくことこそ肝要であると存じます。本県の産業振興計画については、本年度において見直し、明年度から実施されると伺っておりますが、申し述べたような視点に立って取り組んでいただきたいと考えるものでありますがいかがでしょうか、御所見を承りたいと存じます。
 次に、少子化対策について伺いたいと存じます。
 いわゆる合計特殊出生率について言ってみれば、平成5年は史上最低の1・46を記録し、平成6年は1・50とやや上昇したとはいえ依然として低水準にあり、本県においても全国平均を上回っているとはいえ、平成6年は1・71と低水準にあります。このことに伴い、10歳代の人口は80年代後半から減少に転じ、20才代の人口は来年をピークに、以後、減少をしていくことが指摘されております。このことは、本県においても例外ではないわけであります。このような中にあって、21世紀の岩手を担う子供たちについて、心身ともに健やかに育つための環境づくりを進めていくことは、本県の将来を考えていく上で今や極めて重要な課題であると存じます。行政としての役割を考えてみまするに、安心して生みあるいは育て上げることができる環境をいかにつくり上げるかが、しかも女性の雇用機会の拡大、社会参加の増大という状況の中、積極的に取り組んでいく必要があるわけであります。具体的には、保育所の充実、育児休業などのための労働環境の整備、広い住宅などの整備推進、教育費の負担軽減など、多岐にわたる分野での対応が必要であると存じます。県としての目下の具体的な取り組みの状況について伺いたいと存じます。
 また、とりわけ就労と出産育児の両立ということからすると、子育て機能を有した保育所の役割というものが非常に重要であり、本来は市町村の役割というかもしれませんが、子育て支援の立場からすると、県としても積極的に取り組んでいくべきものと考えます。具体的には、24時間保育の実現、そしてまた、首都圏に比較しその負担が大きいとされる保育料負担の軽減などの課題があると存じますが、少子化対策の一環として今後どうすべきか、県としての具体的な展望とその対応についてお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、保健・医療及び福祉のマンパワー対策について伺います。
 知事演述によれば、保健・医療及び福祉サービスの享受できる体制の整備が必要であるとしております。近年の急速な人口の高齢化に向け、当該サービスの充実を図っていくために、高齢者保健福祉推進10カ年戦略、いわゆるゴールドプランが策定され、これに基づく各種事業の展開が進められておりますが、このためには施設の整備もまた重要でありますが、同時にまた、従事する人材の要請、確保が何よりも重要であります。現在、県内においても看護婦や介護福祉士などの資格や経験を有しながらも、なおかつ仕事に従事したいという意欲を持っておりながらも、現実には労働条件が完備されておらなかったり、また、非常に過酷な労働条件であったり、相応の処遇がなされていないという実情もあり、そうした方々の知識や経験が十分に活用されていないのではないかとの指摘も聞かれているところであります。
 そこで伺いますが、今後において看護婦や介護福祉に従事される人材の養成、それからまた、処遇の改善についても必要であると考えておりますが、当局の方針についてお伺いいたします。
 次に、福祉の充実に関連して障害者歯科医療対策について伺います。
 県内の障害者の方々の歯科医療は、障害に伴う歯科医療の受療が困難な状況にあることや、口腔衛生指導を受ける機会が少ないことなどから治療率が低く、しかも重症化しているという実態にあると聞いております。そのような中にあって、本県においては、今般、県内の障害者の方々の歯科診療体制の整備を図るほか、岩手医大の協力を得て、障害者歯科医療の拠点施設として岩手県障害者歯科医療センターを設置することとしたということであります。知事演述におきましては、当該センターを障害者歯科医療の拠点施設として位置づけておりますが、今後、県内在住の障害者の方々がどこにいても治療が受けられるよう、例えば、県北、県南、沿岸と県内各区域をカバーできるよう整備を進めていく必要があると存じますが、いかがでしょうか。さらに、障害者が容易に適切な歯科保健サービスが受けられるよう、そのためのシステムの確立と歯科保健事業の導入も要望する次第であります。前向きの御答弁をお願いいたします。
 次に、環境保全に向けた積極的な取り組みについて伺います。
 近年においては、二酸化炭素、メタンガスなどの温室効果ガスの増加と蓄積により気候の変動がもたらされ、農業などへの悪影響が懸念されております。このことについては、もとより私自身が加害者であり同時に被害者でありますことは明白の事実であります。したがって、私は常々、行政はもちろん、日常における事業者や県民の地域レベルでの取り組みが必要であり、そのためにはそれぞれの立場で環境保護のための具体的な目標を掲げ、それに向けて具体的な行動が必要であると訴えてきたところであります。折しも、政府においては、このほど環境保全行動計画を策定し、今後5年間に国みずからが取り組むべき環境保全活動をまとめ、平成12年、西暦2000年までに各省庁の廃棄物の量を現状よりも25%削減する一方で、電気自動車などの低公害車の導入比率を10%まで高めるなど、11の数値目標を盛り込んだと言われております。県におきましても、私はいわゆる県版の具体的な行動指針たるべき環境保全行動計画なるものが必要ではないかと存ずるものでありますがいかがでありましょうか、御所見を承りたいと存じます。
 第2に、環境共生都市と言われるエコシティー構想について伺いたいと存じます。
 建設省においては、環境負荷の軽減や人と自然との共生、ゆとりや快適さの創出を図った質の高い都市環境を有する都市づくりのため、エコシティー整備推進事業をもって取り組んでいると聞いております。私はかねてより、都市整備の方向は、環境に十分配慮したものを目指すべきであると訴えてまいりました。特に、目下進行中の盛岡南地区・盛岡駅西口地区都市開発においては、盛岡駅西口の下水道熱を利用した地域冷暖房の導入もよい例でありますが、さらにこれら開発における街路、下水道、交通、公園整備などの都市基盤整備やエネルギー施設、リサイクル施設に最新技術を適用し、世界にも誇れるようないわゆる都市環境負荷の逓減を志向したまちづくりの実現を願うものであり、県としてもこれに積極的に取り組んでいくことが重要ではないかと考えるものであります。県当局の御所見をお願いいたします。
 第3に、環境保全型農業について伺いたいと存じます。
 農業を取り巻く環境にありましても、オゾン層の破壊や酸性雨による土壤や淡水の酸性化のほか、農薬、化学肥料の多用による環境汚染など、極めて憂慮される事態となっております。とりわけ、土壤が汚染されたり地力が低下している現状にあっては、健康で活力に満ちた作物の成育の確保は不可能と言ってよろしいでしょう。環境を保全し、安全な食料を供給する観点からも自然との共生を重視し、農薬や化学肥料を多用しない、環境に配慮した農業への積極的な取り組みが必要であると存じますがいかがでしょうか、目下の取り組みについてお伺いをしたいと存じます。
 最後に、試験研究の今後のあり方について伺いたいと存じます。
 知事演述によれば、各試験研究機関については、それぞれにおいて各種試験研究の充実を図ることとされておりますが、将来にわたりいかなる成果を得て県施策を生かしていくのか、具体的な方向が明らかでないのであります。
 私はまず第1に、その時代における行政需要に的確に対応した独創的かつ先導的な試験研究課題を選択していく必要があると考えますが、県としての役割の中にあって、現在設置されている工業技術センター、生物工学研究所、さらには平成9年度開所予定の農業研究センターにおいては、いかなるテーマのもとで研究を選択し促進していこうとしているのか、その展望について改めて伺いたいと存じます。
 第2に、これらの機関と国や大学など、他の試験研究機関との効率的な研究分野の調整や、さらには相互の研究交流、連携、相互の研究開発支援機能の充実も必要であると存じますが、今後のお取り組みについて伺いたいと存じます。
 第3に、物的整備がある程度の水準を確保し得たとしても、要は必要にして十分な研究投資であると存じます。したがって、厳しい財政環境とはいえ、失敗を恐れず、多額の資金を長期にわたって投資し研究成果を待つという姿勢で、十分な研究投資を毎年度確保するための措置が必要であろうと考えられますが、この点特に要望申し上げておきたいと存じます。
 第4に、研究成果というものは具体的に県施策の方向に沿った形で生かされるべきものと考えられますが、その評価というものはいかなる形で行われているのか、いわば事後の評価システムのごときが研究投資の効率性を高める上で必要であると存じますが、いかがでしょう。
 第5に、人的な整備、すなわち優秀な研究スタッフの育成、確保、定着化と活性化が不可欠であります。そのためには、流動研究員制度の導入やフレックスタイムなど、就業条件の整備など国内外のすぐれた研究者を受け入れるための環境整備が必要であると存じます。また、大学などの既存研究機関との不断の相互の交流が必要であると存じますが、その点について御意見を伺いたいと存じます。
 質問を終わるに当たり、新知事におかれましては、若さと行動力、そして企画力を十分に発揮されまして、県民の幸せのために全力で取り組んでいただきたいと希望するものであります。そしてまた、一部推薦政党もあるわけでありますけれども、県民の全体の幸せという立場に立って常に取り組んでいただきたいわけでありますし、また、現政府・与党との関係におきましても、本県にとってそしてまた県民にとってマイナスになることのないように、良識ある行動を望みながら質問を閉じたいと思います。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 谷藤裕明議員の御質問にお答えいたします。
 まず、全国高等学校総合体育大会、いわゆるインターハイの開催成功に向けた今後の取り組みについてでありますが、平成11年にインターハイを本県で開催する運びとなったことは、生涯スポーツの振興を主要な施策の1つとして取り組んでいる本県にとりまして、県勢発展の上で大きな意義を持つものと考えております。御案内のとおり、インターハイは高等学校教育の一環として開催されるものであり、参加選手団等の規模においては、国民体育大会を上回る国内最大のスポーツイベントであると承知しております。また、来県される多数の大会関係者を迎えるに当たっては、本県の美しい自然、さらには平泉文化に代表される貴重な文化遺産など、本県の歴史や伝統を心にとどめていただく絶好の機会でもあろうと思っております。したがいまして、本大会の開催準備に当たりましては、広く県民の理解と協力のもとに、来る7月には、県内の各界各層からなる平成11年度全国高等学校総合体育大会岩手県準備委員会を設立する予定としているところであります。幸い、本県におきましては、これまでアルペンスキー世界選手権大会や国民文化祭など、いわゆる4大イベントの実績もあり、これらの経験を生かし、会場地市町村及び関係機関等と連携を図りながら、議員御指摘の大会運営面につきましても岩手にふさわしい大会になりますよう、県を挙げて万全の準備を進める考えであります。
 次に、自衛隊に対する災害派遣要請についてでありますが、大規模災害が発生した場合は、迅速、機敏に自衛隊に対し派遣要請を行い、被災地において一刻も早く災害応急対策活動を展開する等、機動力を有する自衛隊の応援を得ることが不可欠であると考えており、これまでにおいても、大規模林野火災発生時等においては自衛隊の災害派遣をいただいているところであります。県地域防災計画においては、これらの派遣要請手続等を定めているところでありますが、こうした計画上の手続が災害発生時においても円滑に行われるよう、例年9月1日に開催している県総合防災訓練においては、自衛隊災害派遣要請訓練を初めとして、関係防災機関との連携のもとに、負傷者救出・救助訓練、空中消火訓練等さまざまな訓練を実施していただくなど、全面的な協力を得ているところであります。さらに、市町村等が開催する水防訓練や地震津波対策訓練等にも積極的に参加をいただいているところであります。県としましては、今後においてもこのような訓練を積み重ねるとともに、現在、国において進められている防災基本計画の見直し等の動向も十分踏まえながら、県、市町村及び自衛隊の連携を強化し、有事の際にも相互の信頼関係を機軸とした迅速かつ円滑な対応が図られるよう、協力体制の一層の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、障害者歯科医療対策についてでありますが、県といたしましては、これまでにも在宅障害児・者歯科保健モデル事業や、県下の歯科医師を対象とした研修会を実施するなど、障害者の歯科保健医療の向上に努めてきたところであります。しかし、全身管理を要する症例のように、歯科診療所では対応が困難と思われる歯科治療につきましては、これを担う拠点施設の整備が望まれていたところであります。このため、今般、岩手医科大学の協力を得て障害者歯科診療事業を実施しようとしているものであり、当面はこの事業の円滑な運営に全力を傾注するとともに、そこで得られた技術、データをもとにさらなる展開を検討してまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承願いますが、最後に議員の方から私の姿勢につきまして御要望等がございました。私は、公約を守り、常に県民に目を向け、公平で公正、力強い県政の実現に全力を傾注してまいりたいと考えております。
〇議長(堀口治五右衛門君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) 盛岡広域圏における合併の推進についてでありますが、盛岡広域圏が北東北の拠点として、本県はもとより、東北全体の発展にも貢献し得るためには、都市機能の充実など、諸条件の整備状況を勘案しながら、より広域的な合併への取り組みを進めることが望ましいものと考えております。もとより市町村の合併の問題は、御案内のとおり住民意思の集約のもとに、関係市町村の自主的な判断に基づいて進められるべき性格のものであり、住民の間で論議が深められ、合併の機運が高まっていくことが肝要でありますが、先般改正されました市町村の合併の特例に関する法律では、新たに合併協議会の設置に関する住民からの直接請求制度や、合併市町村に対する地方交付税措置の充実強化等が盛り込まれましたので、県といたしましては、これらの内容等について市町村あるいは県民の皆様に周知を図りながら、市町村の取り組み状況に応じ、また、市町村の意向を踏まえつつ積極的に対応してまいりたいと存じております。
   〔商工労働部長古館敏男君登壇〕
〇商工労働部長(古館敏男君) まず、誘致企業への円高の影響の実態と県としての対策でございますが、誘致企業は、本県工業の高度化を初め、地域経済の活性化など、その波及効果は大きいものがありますが、最近における急激な円高の進行によりまして、一部誘致企業に倒産、事業所の閉鎖、撤退等が見られるほか、財団法人岩手県中小企業振興公社の先般の調査によりますと、下請関連中小企業におきまして、親企業の製造部門の海外シフト等による受注の減少を初め、単価の引き下げの要請など、厳しい経営環境に置かれているところであり、このため、各企業におきましては、経費の節減など、経営の合理化はもちろんのこと、新商品の開発や製品の付加価値の向上に努めるなど、経営体質の改善に努めているところでございます。
 また、雇用面におきましても残念ながら離職者が生じるなど厳しい状況にあります。県といたしましては、内外のこのような情勢を踏まえまして、県、商工指導団体等で構成する中小企業円高対策連絡協議会を設置しまして情報の把握に努めるとともに、中小企業技術改善費補助金の大幅な拡充強化を初め、県単融資制度の融資枠の拡大、下請受注あっせん、雇用安定のための相談、指導など、円高対策を機動的かつ総合的に展開しているところでございます。
 次に、産業振興についてでございますが、御案内のとおり、商工業振興計画及び観光振興計画の後期計画は、現在その策定作業中でございます。これまでの本県産業振興の施策としては、企業誘致と地場産業の育成を重点に取り組んできたところでございますが、今後は、企業誘致と地場産業の育成に加えまして、地域における研究開発の推進や、技術力と研究開発能力を持った企業の育成、あるいは集積を図る必要があるものと考えているわけでございます。
 また、御指摘のありましたスポーツ、レジャー、情報等のサービス産業の振興につきましても、県民の自由時間の増大やら産業構造の高度化などによりまして、大いに成長が期待されますことから、後期計画の策定におきましては、それらも含んで十分検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、本県の試験研究機関のあり方についてでありますが、まず、工業技術センターの研究テーマにつきましては、昨年4月の開所に伴いまして、岩手県工業技術センタービジョンというものを策定し、その研究業務の方向づけを行ったところでございます。その1つは、鋳物や清酒などの岩手の伝統技術、2つ目はメカトロ、バイオ、新素材などの先端技術、3つ目はこの両者の融合技術、この3本柱を岩手の独自技術の形成のための研究課題として鋭意取り組んでいるところでございます。
 次に、他の研究機関との交流などについてでございますが、工業技術センターの基本理念が開放型、交流型研究施設ということでありますことから、国立研究所や大学等との研究交流を積極的に進めるところでありますし、岩手大学との硫黄有機化合物の開発や超電導工学研究所との超電導材料の開発など、所要の成果を上げつつあるものでございます。また、国際的視野に立った共同研究を行うために、アイルランドのリマリック大学との針葉樹の高度利用に関する研究を、今年度から着手することとしたところでございます。
 次に、研究成果の評価についてでございますが、県として、昨年度から新たに産学官の専門家20名からなる研究評価計画委員会というものを設置しまして、専門的な見地から、研究成果に関する評価や研究推進の方向についての指導を受けるなど、効果的な試験研究の推進に努めているところでございます。
 次に、研究スタッフの育成等についてでございますが、大学等との共同研究の充実を通じた人材育成を進めているほか、大学研究者等を客員研究員として迎えまして、具体的な研究指導を受けますとともに、国立研究所への研修派遣などを進めているところでございます。
 また、研究環境整備の一環として、今年度におきまして、国際的な研究情報ネットワークであるインターネットに加入することとしているところでございます。今後におきましても、本県の技術振興の拠点にふさわしい工業技術センター機能の充実強化に、さらに努めてまいりたいと考えております。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) まず、少子化対策についてでありますが、お話のとおり、次代を担う子供たちが健やかに生まれ育つための環境づくりは、21世紀に向けての重要な課題であると認識しております。したがいまして、県としては、先般、子育てにやさしい環境づくり対策指針を策定したところであり、子育て環境づくりのために、時間延長型保育など多様な保育サービスの充実や育児休業制度の普及などの就労条件等の整備など、各般にわたる施策を総合的、計画的に推進することとしたところであります。
 次に、保育対策についてでありますが、御指摘のありました24時間保育は、県内では若干の事業者が実施してはおりますが、これにつきましては、限られた職域におけるニーズになろうかと考えられ、現段階では、特定職域における取り組みを見守りたいというふうに考えております。むしろ保護者の残業などにより生じております通常の保育時間を超えた保育ニーズにこたえることが、喫緊の課題であるというふうに考えており、当面、時間延長型保育サービスの大幅な拡充を図ってまいりたいというふうに考えております。
 また、保育料の負担についてでありますが、保護者の負担感等を考慮し、平成7年度から乳児及び第3子以上のいわゆる多子世帯などの保育料の軽減が図られたところでありますが、今後とも保育料の徴収基準の改善見直しについて、市町村ともども国に要望してまいりたいというふうに考えております。県としましても、子育てに優しい環境づくりの一環として、保育料の負担のあり方などにつきまして、関係機関等と検討してまいりたいというふうに考えております。
 次に、保健医療・福祉の人材の養成及び処遇の改善についてでありますが、増大かつ多様化する保健医療・福祉ニーズに的確に対応するためには、サービスの担い手の確保が重要であるというふうに考えております。このため、今後におきましても修学資金の貸与制度等により看護職員、介護福祉士等の養成に努めるとともに、在宅福祉を担うホームヘルパーの養成研修を実施してまいりたいと考えております。
 また、病院等に勤務する看護職員及び福祉施設職員の処遇改善につきましては、勤務時間等の改善や機器導入による業務の省力化、福利厚生の充実等を進めるほか、ホームヘルパーの処遇も逐次改善し、専門職として意欲ある人材の就業の支援に鋭意努めてまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長松本義幸君登壇〕
〇環境保健部長(松本義幸君) 環境保全行動計画についてのお尋ねにお答えいたします。
 県では、環境保全のためには、県民1人1人が環境に優しい暮らし方を実践していくことが肝要であるとの認識のもとに、平成4年3月に策定いたしました環境保全計画に基づき、ごみの減量化、資源化及び再生利用の促進など、各般の環境保全施策について取り組んできたところであります。特にも平成6年度からは全国に先駆けて、県下全市町村で廃家電製品からのフロンの回収を実施しているところであります。今後とも、御提言の趣旨をも踏まえながら地球規模で考え、足元から行動するという環境問題への対応の基本に立って、環境保全のための積極的な取り組みを県民ともども一体となって推進してまいる所存でございます。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) 環境共生都市、いわゆるエコシティー構想についてでありますが、この構想は、環境負荷の軽減、自然との共生、アメニティーの創造など質の高い都市環境を創造し、安全で快適な生活環境を有する都市の形成を目指すもので、国におきましては、平成5年度に都市環境基盤推進モデル事業を創設し、全国11都市を指定し事業の推進を図ってきているところであります。
 本県におきましては、盛岡市が平成7年度のモデル都市指定に向けて積極的に取り組んでいるところであります。この盛岡市の構想では、盛岡南地区、盛岡駅西口地区を重点整備地区として位置づけ、交通ネットワークの整備による環境負荷の軽減と、歩道の融雪や電線類の地中化、街路の緑化などを行うとともに、下水道熱などを利用した地域冷暖房を予定するなど、県都として一層魅力ある都市空間の形成を図ろうとしているものであります。県といたしましても、このモデル都市としての指定及び構想の実現に向けて、盛岡市を指導支援してまいりたいと考えております。
   〔農政部長高橋洋介君登壇〕
〇農政部長(高橋洋介君) まず、環境保全型農業の取り組みについてのお尋ねでございますが、近年、自然環境の保全や農産物の安全性についての関心が高まっておりまして、環境に配慮した農業の推進は極めて重要であると、そのように考えております。幸い、本県は冷涼な気象にありまして農薬の使用が少ないことや、豊富な有機物資源を活用した土づくりが可能であることなど、環境に優しい農業を展開できる条件が備わっているわけでございます。このような特性を生かしまして、特別表示米や新需要穀類、有機野菜等の栽培が年々増加してきているわけでございますが、いまだ本県のこの有利な条件を十分に生かし切っている状況にあるとは言えないと考えておるわけでございます。したがいまして、今後さらに性フェロモンや微生物を使った害虫防除技術の確立など、試験研究面での取り組みを強化するとともに、生産者の啓発に努めまして、環境保全型農業の推進に一層努めてまいる考えでございます。
 次に、農業分野における試験研究の今後のあり方についてでございますが、現在、整備を進めております、仮称農業研究センターにおける課題の設定につきましては、バイオテクノロジー等先端技術利用による商品性の高い独自品種の開発や、環境保全に配慮した生態系活用型生産技術の確立など、農業の発展方向を先取りした研究テーマにつきまして重点的に取り組むことが重要であると考えております。このような研究を進めるに当たりましては、国や大学との連携が重要でありますことから、国などの基礎研究、また、県におきます応用化研究という研究分担を基本としながら、これまでも地域バイオテクノロジー実用化技術研究開発促進事業や地域基幹農業技術体系実用化研究などの共同研究を通じまして、国との積極的な連携を図ってきたところでございますが、今後におきましても、一層連携の強化を図ってまいりたいと考えております。
 また、研究成果の評価と適正な研究の進行管理を行うために、農業試験研究推進会議の拡充強化を図りますとともに、現場における技術定着をきめ細かに把握していく方法などについて検討を行っているところでございます。
 なお、生物工学研究所におきましては、既に弾力的な研究体制のもとに大きな成果を上げておりますことから、このような取り組みを参考にしながら、農業研究センターのあり方につきまして鋭意検討してまいりたいと考えております。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) スポーツの振興についてお答えいたします。
 まず、スポーツの振興体制の充実についてでありますが、県教育委員会といたしましては、現在、市町村並びに各市町村生涯スポーツ推進協議会や県体育協会などの関係団体と連携のもとにスポーツの振興体制を確立し、生涯スポーツ、競技スポーツ両面にわたり各種事業を推進しているところであります。
 また、財政支援につきましては、これまでも体育団体に対する助成、各種大会の開催派遣に対する補助などを実施しているところであり、その必要性については十分認識しているところであります。
 なお、御提言のありましたスポーツ振興基金につきましては、今後十分検討してまいりたいと考えております。
 次に、施設整備についてでありますが、県教育委員会におきましては、身近なスポーツからハイレベルの競技会にも対応できる施設の整備を、市町村との連携を図りながら計画的に進める必要があると考えております。今般、平成11年度全国高等学校総合体育大会、いわゆるインターハイの開催決定を契機に、高規格の競技施設を整備する関係市町に対し財政支援を拡大するほか、県営スキージャンプ台の全面改修を初め、県営体育施設の計画的な改修を行うなど、広くスポーツ活動の場の整備拡充に努めているところであります。
 なお、お尋ねのありました、大規模スポーツ施設の整備につきましては、先発施設の状況等を十分に調査し、今後の方向づけをしてまいりたいと考えております。
 次に、生涯スポーツの推進組織の活性化についてでありますが、御案内のとおり、本県におきましては、全市町村に生涯スポーツ推進協議会が設置されております。この中でスポーツ講演会やレクリエーション交流会などの各種事業を実施し、その推進を図っているところであります。御指摘のありました全国スポーツ・レクリエーション祭の招致につきましては、本県の生涯スポーツ振興に大きく寄与するものとして期待されるものであり、インターハイ終了後のなるべく早い時期に開催できるよう、関係機関への働きかけなど、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、インターハイに向けて具体的な強化策についてでありますが、県教育委員会といたしましては、平成6年度から全日本のトップレベルの指導者を招聘しての高度の技術習得を図る指導者養成事業の実施や基本的な技術習得、基礎体力の養成に係る強化合宿の実施、全国の強豪との練習試合などを内容とする県外交流事業の実施といった強化事業について県体育協会を通じ、高等学校体育連盟及び中学校体育連盟に助成措置を講じているところであります。
 さらに、本年度から新たに高等学校の強化指定校における競技用具の充実、水球などの未普及競技の育成を図ることとし、所要の予算を本議会に御提案申し上げているところであり、今後とも競技力向上に向けた事業を着実に進めてまいりたいと考えております。
 次に、教員採用試験におけるスポーツ特別選考についてでありますが、本県の体育・スポーツの競技力向上を図る上で、指導者養成、確保は重要な課題であることから、来年度採用の教員についてスポーツ特別選考試験を導入したものであります。採用数につきましては、公立高等学校の設置、適性配置及び教職員定数の標準等に関する法律などに基づいて算出されるものであることから、スポーツ特別選考に当たっては、その範囲内において、指導者または競技者としての実績、さらには、教科バランスに配意しながら、人材の確保に努めてまいりたいと考えております。
 なお、人材を諸外国に求めることにつきましては、このようなことから制度上予定いたしておらないところでありますので、御了承をお願い申し上げます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時18分 散 会

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