平成7年6月定例会 第2回岩手県議会定例会 会議録

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〇11番(千葉伝君) 私は、さきの統一地方選挙で初当選いたしました県民クラブの千葉伝でございます。
 初めに、片方盛先生の御逝去をいたみ、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。
 質問に先立ちまして、一言申し述べさせていただきます。
 私は、今回の選挙に当たりまして、無所属の立場、いわゆる県民党的立場で戦ってまいりましたが、私の今後の政治姿勢といたしまして、地域住民とともに歩む政治を目指し、地方政治を原点とする県民による県民のための政治を行い、緑豊かな自然を守り、岩手の持っている個性を十分に生かし、21世紀に向けた岩手のあるべき姿、岩手に生まれてよかった、岩手に住んでよかった、岩手に来てすばらしかったという心の触れ合いを感じるふるさと岩手の建設に、県民の1人としてよりよい地域社会の形成に向け、微力ではありますが1歩1歩努力をし、多くの県民の負託にこたえるために職責を全うする決意でありますので、先輩の皆様方の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。加えまして、本議会において初めて質問する機会を与えていただきましたことにつきましても、感謝を申し上げる次第です。
 さて、増田知事におかれましては、今春の統一地方選挙において、全国最年少知事として御当選の栄に輝かれました。あらゆる面で御期待が大きいものがあると思いますので、国政、県政の場におきまして、現在新しい21世紀に向け、時代の流れといいますか、非常に混砦とした状況に置かれているように感じるわけですが、県勢発展のためその若さを十分に生かし、ぜひ公正、公平を期し、課題の多い郷土岩手のために、みずからの手で全力を傾注してくださいますようお願いいたしますとともに、御期待を申し上げます。
 さて、質問に入らせていただきます。
 まず最初に、所得の格差についてお伺いいたします。
 この問題につきましては、昨日の一般質問でほかの県議も取り上げておられましたが、私も重要な県政の課題であると考えられますので、重ねてお尋ねいたします。
 過去、数代にわたる知事が、県土の均衡ある発展を図るべく鋭意努力され、その結果、県勢は着実な発展を遂げていることに対しまして、知事を初めとする執行部の皆様方には敬意を表する次第です。しかしながら、知事演述にありましたように、本県の所得水準は向上しておりますが、全国との比較で低位にあり、県内においても地域別に格差が見られますことから、全国との格差是正と豊かな生活圏の形成による県土の均衡ある発展を図ることが、本県の基本的課題と位置づけられております。私も、行政の一端を担った1人として県内各地を回らせていただきましたが、地理的に歴史的にあるいは気象的に、いろんな条件が異なっておりますことは承知しているところでありますが、地域による格差を非常に感じております。
 まず、県の広域生活圏ごとの人口の推移を見ますと、昭和60年を基点としてここ10年の推移では、盛岡生活圏で105、県南部でおおむね98から103となっており、一方、県北・沿岸では91の指数となっており、人口の集中化が進む地域と年々減少する地域が見られます。また、県民所得は、平成4年度において前年度より1・6%増加し237万6、000円となったものの、国民所得に比較し本県の所得水準は83・1%にすぎないのであります。また、広域生活圏ごとに見ますと、市町村民所得の推移が県平均を100とし県北・沿岸が86、盛岡生活圏が117と地域格差が大きくなっているのが現状であります。このことは、県北・沿岸の抱えている自然条件や第1次産業に依存する割合が高いことなど、いろいろな課題が多いことが原因であると考えるのであります。私は、このような所得の低い地域にこそ、産業の振興や文化の振興により、若者が定住し得る環境整備を図るための基盤整備を推進し、地域間の格差解消のために十二分なる施策を展開することで底上げをしていくことが、県民がひとしく安心して暮らせる県土の均衡ある発展に結びつくものと常々思っております。
 県勢の一層の発展を願う立場としお伺いいたします。
 県内において、地域間格差のある所得の現状をどのように認識し、また、今年度以降、所得水準の低い地域の施策に当たり、道路整備を初めとし、今後、重点的な取り組みとしてどのように配慮されるのか、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、前工藤知事から引き続き推進してまいっております第三次岩手県総合発展計画、いわゆる3県総についてお伺いいたします。
 この3県総は、本県が21世紀に向かってさらなる発展を期し、長期的な展望に立ち、本県が進むべき方向と目標及びその実現方策を総合的に明らかにするため、平成3年11月に、平成12年度を目標とした計画が作成されております。豊かな自然の中に、活力と希望にあふれ、心のふれあうふるさと岩手の創造を基本目標に、施策の展開上の重要視点として、心豊かで創造性に富み、進取の気性を持った人づくりの推進、地域の特性を生かした県土の均衡ある発展、全国に誇り得る郷土岩手の創造を据え、各年度着実に推進していると思われるわけでありますが、今年度が中間年度として前期計画の見直しの時期と伺っております。現在、我が国の経済状況を見ますと、景気が上向く兆しが見え始めたときに、阪神大震災による大きな打撃や急激な円高、輸入外圧などにより、国内生産を縮小せざるを得ないような状況下で日本経済の空洞化が懸念されているところであります。また、ガット・ウルグァイ・ラウンド農業合意により、米の部分開放や牛肉・林産物等の関税率の引き下げが地域経済へ与える影響は大なるものがあり、こうした経済変動が、本県においてもさまざまな面においてその影響をこうむる事態に置かれており、今後、適切なる対応が求められております。さらに、本県を取り巻く状況として、国際化、長寿社会の進展、環境保全への配慮といった経済社会情勢の変化が見られております。このことから、私は、後期実施計画の策定に当たっては、地域住民との十分な相互認識を深め、地域的に早急に整備を進めるもの、地域の情報発信の場、地域の拠点づくりのモデルとして定着させ、また、新規事業の創出や新しい視点に立った施策を展開していく必要があると思うのであります。
 そこで、お伺いいたします。
 3県総の中間年度を迎え、現在までの計画達成率及び前期計画において達成の困難な事業があれば、その主な要因をお知らせいただきたいと思います。さらに、後期計画の策定に当たっての基本的な取り組み方をお伺いいたします。
 次に、農業の問題についてお伺いいたします。
 現在、我が国の農業が抱えている課題として、水稲を中心とする土地利用型農業での規模拡大のおくれ、担い手の減少と高齢化の進展、耕作放棄地の増大等の問題に直面しており、ウルグァイ・ラウンド農業合意の受け入れにより、こうした状況がさらに進むことが懸念されます。また、食糧自給率については、主要先進国がこれを上昇させてきている中で我が国は低下する傾向にあり、人口問題や環境問題などにより、中長期的には世界の食糧需給に不安定な局面も予想される中、このような低下傾向に歯どめをかけることが必要となってきております。
 一方、本県でも、中山間地域を初めとする地域において、気象、地形等の自然的条件が不利なことで生産基盤整備の水準がおくれております。このことにより、若い人の人口流出等による過疎化、高齢化が進み、十分な農業生産が行えない状況となり、農業、農村の有する県土、自然環境保全などの機能を十分発揮できず、農村のみならず、県土全体の荒廃が懸念されるところであります。このようなことから、本県農業振興を図る上で、とりわけ中山間地域に対する取り組みが重要と考えますので、昨日の一般質問にもありましたが、今後、対策を推進するに当たっての重点的な方針についてお伺いいたします。
 加えて、農業従事者のうち、高齢者や女性の方々に対する施策として、これまでの取り組み状況と、今後、どのような対策を考えているのかお伺いいたします。
 次に、このような農業をめぐる状況の厳しい中で、経営感覚に富んだ意欲ある担い手や地域の条件を活用した生産振興などの積極的な取り組みにより、今や本県農業の粗生産額において第1位を占める畜産についてお伺いいたします。
 本県の畜産は、従来から畜産岩手を標榜し、広大な県土を背景に、県農政の積極的な推進により今や本県農業の基幹産業となり、さらには意欲のある酪農家に対して、産乳量や乳たんぱく質等の乳成分全国屈指の畜産県としての地位を確立しております。しかし、最近の畜産を取り巻く状況は、牛肉の輸入自由化以降、ガット・ウルグァイ・ラウンド農業合意や円高の進行等により畜産物価格が低迷し、畜産農家の経営環境は多難な局面を迎えております。申すまでもなく、本県が農業立県として、さらには我が国の食糧供給基地として発展していくためには、豊富な草資源と立地条件を生かした酪農及び肉用牛の振興は欠かすことのできない部門であると思うものであります。とりわけ、本県の酪農は、飼養頭数において北海道に次ぐ全国第2位を占めているわけでありますが、1戸当たりの飼養頭数が約23頭であり年々増加しているものの、全国平均の44頭に比べて飼養規模においてはいまだ弱体であります。県においては、平成3年12月に策定した第3次新いわて農業確立計画の中で、生産性の高い大規模酪農経営の育成と産乳能力の向上により、低コストで高品質乳の生産を目指しておりますが、現在の生乳生産調整下の中で産地間競争がさらに激化することが予想されますことから、私は、今後とも生産性の向上と所得の増大を目指す意欲のある酪農家を積極的に育成すべきであると思うのであります。こうした向上を図るために優秀な牛の受精卵移植を積極的に推進し、高能力な牛群を整備するなど、より一層の家畜改良の推進が必要であると思うのでありますが、県としてのこれまでの取り組みの状況と今後の乳用牛の改良の取り組みについての御所見をお伺いいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、人口の高齢化に対応した高齢者の福祉対策についてお伺いいたします。
 御案内のとおり、我が国においては諸外国に比べ急速に高齢化が進んでおりますが、特に本県は全国を上回る早さで進んでおり、21世紀前半には、4人に1人が65才以上の高齢化社会が到来すると予測されております。このような本格的な高齢社会の到来に備え、人生80年時代にふさわしい高齢者施策の充実を図り、明るい活力のある長寿社会を実現していくことは、喫緊に取り組むべき大きな課題であります。特にも、人生の完成期とも言える高齢期を、健康を保ちながら生きがいを持っていかに充実した人生を送れるかということがますます重要な問題となってきております。また、いわゆる寝たきりの状態になり、介護を必要とすることとなる場合には、地域、家庭がそれぞれの役割に応じた福祉政策を推進するとともに、行政の支援はもとより、民間ボランティアによる支援を含めて、適切な介護サービスを十分に受けることができる体制を整備することが重要であります。私は、これからの高齢社会を、活力を保ちながら生きがいを持って充実した生活を送ることができるように、また、介護を必要とする場合も安心してサービスが受けられるようにするために、高齢化の進展に対応した福祉体制の整備が急務であると思うのであります。
 そこでお伺いいたしますが、県としての高齢社会に対応するため、ソフト面及びハード面を含め、どのような施策の推進を図ろうとされているのか、その取り組み方についてお伺いいたします。
 次に、東北新幹線盛岡以北の問題についてお伺いいたします。
 この問題については、過去において多くの議員の方々が取り上げておりますが、本県にとりまして重要な課題であると思うのであります。
 顧みますと、東北新幹線盛岡以北の着工については、昭和47年6月に基本計画が決定されて以来、実に23年目にして、東北新幹線盛岡-八戸間のフル規格による建設工事の起工式が、平成7年5月29日にとり行われました。1県民として、特にも県北住民にとりまして、長年の悲願がようやく実を結び、感慨深いものがあり、また、喜ばしい限りであります。これも執行部を初め、県議会、県民、多くの関係者が一丸となって取り組んでまいった成果でありまして、この御努力に対し心から敬意を表する次第です。
 この新幹線盛岡以北のフル規格につきましては、昨年12月の連立与党申し合わせ及び関係大臣の申し合わせにより実現したわけでありますが、東北新幹線の持つ意義として、日本列島を縦貫する幹線としての機能を果たすことはもとより、本県の県北地域にとりまして、首都圏と青森、北海道との交流が活性化し、ひいては北東北の振興と県土の均衡ある発展に大きく寄与するものと期待されるところであります。この上は、残されております八戸-青森間のフル規格化の実現とあわせ、東北新幹線の早期完成が望まれるところであります。しかしながら、一方では、いわばフル規格化の代償として、開業時における並行在来線のJRからの分離と県及び沿線市町村に地元負担が課せられるという大きな課題が残されております。
 第1に、在来線の問題でありますが、在来線は利用する地域の住民にとり、通勤、通学あるいは通院などに欠かすことのできない生活路線となっており、現在の並行在来線がJRから分離されることについて廃止にならないのか、また、接続する場合の運営はどうなるのか、あるいは存続した場合に付随して、多額の地元負担が課せられるのではないかという地域住民の不安の声を多く聞かされております。私は、このような沿線地域住民の不安を解消するためには、これまでの沿線市町村との協議、取り組み状況を示し、県民に広く理解していただくとともに、在来線の将来を見通した運営方策や経営のあり方について、民間委託を含めた県の調査を早期に開始し、また、専門的知識を有するJRの参入等幅広い視点で検討を行い、できるだけ早期に対策を示す必要があると思うのであります。
 お伺いする前に、この問題に関する知事の答弁を振り返ってみますと、平成2年12月議会におきまして当時の中村知事が、JRから経営分離される場合であっても、地域住民の利便性を第一に考えなければならないことは当然でありますと述べ、また、平成7年2月議会におきましては工藤知事が、住民の方々がこれまでよりも不便になったということが決してないように、万全の対策を講ずる必要があると述べられております。さらに、増田知事におかれましては、さきの知事演述におきまして、沿線地域住民の利便性を損なうことが決してないように最大の努力をすると述べられておられ、県における一貫した姿勢がうかがえるわけであります。ここで、改めてこの問題に対する知事の決意と、今後どのように取り組まれるのかをお伺いいたします。
 第2に、東北新幹線盛岡以北のフル規格化に伴う建設工事費の地元負担の問題であります。
 盛岡以北全線フル規格での早期実現を図るということは、県民の長年の悲願であるわけですが、県民にとりまして、特にも沿線市町村にとりまして、建設工事に伴う地元負担についてその負担割合と負担額が重大な関心事となっております。さきの議会におきまして、建設工事費が盛岡―青森間の全線フル規格化の場合、平成5年度の価格で総額約9、000億円程度と見込まれるということでありますが、本県のような財政力の弱い地方団体にとりまして、将来の財政運営に大きな影響を及ぼし県財政を圧迫することが懸念されます。このことから、私は、国において適切な財源措置を講じて、できる限り地元負担が生じないよう、また、負担が生ずる場合においてもできる限り軽減させ、県及び沿線市町村の財政運営に支障を来すことがないよう強く望むものであります。
 そこでお伺いしたいのは、本県分の所要額及び建設工事の内容による地元負担割合がどのようになるのか、また、その財源確保に当たってどのように考えておられるのかをお伺いいたします。
 次に、河川の改修に当たっての考え方についてお伺いいたします。
 言うまでもなく、河川は自然を構成する重要な一要素であり、もともと人工的に造成したものではありませんので、そういう意味では、河川の改修は道路や鉄道などをつくることとは少し違ってくるものと思われます。つまり、自然そのものである河川を相手とするのでありますから、必然的に河川の改修についても自然に配慮した取り組みをとっていかざるを得ないことになるのではないかと考えられます。自然としての河川は、ときには大洪水を、また、雨がないと、特に我が国の河川のように急流で流域面積が小さく、延長も短い場合は、たちまちに渇水状態になってしまいます。そこで、何とかこれを回避しようとして堤防をつくったり、護岸を整備したりして河川改修を行ってきているのでありますが、高度成長期は河川技術の進歩も著しく、これを実行する財政基盤も充実し、加えて、住民の要望も、まず第1に治水事業の促進でありますから、全国の河川でコンクリートによる護岸の整備が進められました。このため、治水安全度は高まりましたが、都市化の進展などに伴う水質の悪化などとも相まって、河川の生態系に影響を及ぼし、河川の景観は自然性を失い、画一的に規格化され、結果的に人々の河川への親しみを失わせることとなったのではないかと考えられます。確かに、治水第一ということになりますと、限られた断面で可能な限り大量の洪水を海まで流すためには、コンクリートの水路にするしか方法がなかったのかもしれません。しかし、これでは水は流れるかもしれませんが、魚はすみにくいし、水鳥も休むことはできなくなるわけです。今さら川幅を昔に戻すのは容易なことではないし、かといって、今の狭い河川敷の中で川をよみがえらせることは、もっと困難なことであります。今や地球規模で自然環境が危機的状況に追い込まれていると言われております。一昨年、釧路で開催されましたラムサール条約締結国会議では、地球環境の中でも、とりわけ河川や湖沼、海岸などの水辺の環境が開発によって失われている現状が大きく取り上げられたのは記憶に新しいところであります。幸い本県は、自然環境には恵まれており、比較的多くの自然が残っていることは非常に喜ばしいことではありますが、今後ともそうあり続ける保証はどこにもないわけであります。我々には、この貴重な自然をできるだけ後世に残していかなければならない責任があります。
 そこで、お伺いいたしますが、県は水害から県民のとうとい命と貴重な財産を守るため、これからも治水を基本とした河川の改修に努めていかなければならないわけですが、一方では、河川は自然を構成する重要な要素であり、これが失われつつあるという現実にかんがみ、今後どのようなお考えを持って河川の改修を進めていくのか、その基本的な考え方をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 千葉伝議員の御質問にお答えします。
 まず、県内における所得の地域間格差の現状と今後の重点的な取り組みについてでありますが、御指摘にもありましたが、県北、沿岸地域においては、所得が着実に向上しておりますものの、依然として他地域に比較して格差が見られるところであります。これは、地形や気象などの自然的条件が厳しく、また、経済の中心から遠距離にあるなど社会的条件が不利であることから、産業経済活動が必ずしも十分に行われていないためと、このように考えております。したがいまして、私は、県北、沿岸地域の振興を図るためには、交通網を初めとする地域の発展の基盤を一層整備するとともに、産業全体の活性化を促すためのさまざまな施策を展開するほか、生活環境の整備などを進めることによって、地域の持つ発展可能性を十分に引き出し、活力ある地域づくりに努めてまいりたいと考えております。これを具体的に申し上げますと、東北新幹線盛岡以北の建設促進や、広域的な交流を促進するための交流ネットワーク道路などの整備など交通網の整備充実を図ってまいります。
 また、地域の特性を生かした農作物の導入や県産材のブランド化、また、つくり育てる漁業の促進など、収益性の高い農林水産業の展開に取り組むとともに、拠点工業団地などの整備による工業の振興、豊かな自然環境や文化を活用した観光、リゾートの振興などを図ってまいります。
 さらに、下水道や公園等、居住環境の整備を促進するなどにより、当地域の振興に努めてまいる所存でございます。
 次に、並行在来線問題についてでありますが、御案内のとおり、昨年12月の連立与党申し合わせ及び関係大臣申し合わせによりまして、東北新幹線盛岡-沼宮内間のフル規格化決定に際し、同区間の並行在来線については、開業時にJRから経営分離することを工事実施計画の認可前に確認することとされましたので、県といたしましては、3回にわたる沿線市町村との意見交換を踏まえて、平成3年の沼宮内-八戸間と同様、やむを得ない選択として、ことし4月に知事名で運輸省に対し、同区間の経営分離に同意する旨、回答したところであります。
 申し上げるまでもなく、並行在来線は、通勤、通学、通院など沿線住民の日常生活の足として重要な役割を担っていることから、私は、JRからの経営分離後も沿線地域住民の利便性を損なうことが決してないように、万全の対策を講ずる必要があると考えております。このため、先般の平成8年度政府予算統一要望におきまして、並行在来線につきましては、JRから経営分離された後も利便性が確保されるとともに、その経営が成り立つような支援措置が講じられるよう、国及びJR東日本に対して強く要望してきたところでございます。今後におきましても、JRからの経営分離後のあり方について、沿線市町村や青森県と十分に協議を重ねまして、さらには、整備5線関係道府県とも連携をとりながら検討を進めるとともに、国等に対して支援の具体化などについて強く働きかけていく考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承願います。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、3県総の計画達成状況と、後期実施計画策定の基本的な取り組みについてでありますが、3県総の計画達成状況につきましては、この計画で重点的に取り組むべき事業として掲げております314事業のうち、現在までに約96%に当たります301事業に着手いたしておりまして、既に久慈国家石油備蓄基地建設事業、生物工学研究所整備事業、リハビリテーション中核施設整備事業、地域共同研究センター整備事業など30事業が完了しているところであります。
 また、県民生活に関します44の指標につきましても、都市計画区域内人口1人当たりの都市公園面積や新規学卒者の県内就職率、さらには、乳幼児健康診査受診率、特別養護老人ホーム定員数、大学や高校への進学率などが目標に向けおおむね着実に進んでおります。このように3県総は、総じて順調に推移しているものと考えております。
 後期実施計画につきましては、これまでの成果を踏まえるとともに、国際化、少子・高齢化、高度情報化、さらには、環境保全への要請の高まりなど、経済社会情勢の変化に適切に対応することはもちろんでございますが、急激な円高の進行やウルグァイ・ラウンド合意の実施による地域経済への影響、あるいは安全な県土づくりなど、新たな課題に積極的に取り組むほか、新しい経済計画や全国総合開発計画の策定など、国の動向をも十分に見きわめ、さらには、21世紀を見通した新たな施策についても可能な限りこれを取り入れるように、そして策定するように努めてまいりたい、このように考えております。
 次に、東北新幹線盛岡以北のフル規格化に伴う建設工事費の地元負担についてでありますが、御案内のとおり、東北新幹線盛岡以北につきましては、去る4月28日に盛岡-八戸間が全線フル規格で工事実施計画の認可がなされるとともに、5月29日には東北新幹線盛岡-八戸間の建設工事の起工式が行われたところであります。この区間の工事費につきましては、運輸省の資料によりますと、平成6年4月価格で──消費税を含みますが──4、550億円となっております。
 また、地域の負担割合につきましては、平成元年1月の政府・与党申し合わせによりますと、第1種工事費、すなわち線路等を中心とする鉄道施設、これにつきましては10%、それから第2種工事費、すなわち駅その他地域の利便に密接に関連する鉄道施設、これにつきましては25%となっております。この負担割合に基づきますと、地元負担額は、第1種工事費に係る分が238億円、第2種工事費に係るものが128億円、そして管理費等両者に共通する経費の分が81億円ということで、合計で447億円と見積もられているところでございます。このうち、第1種工事費分及び両者に共通する経費分につきましては県が地元負担分すべてを負担し、第2種工事費分につきましては、90%を県が負担し残る10%を市と町が負担するというのが現行のルールでございます。県といたしましては、これらのルールを踏まえて今後とも対応してまいりたいと、このように考えております。
   〔農政部長高橋洋介君登壇〕
〇農政部長(高橋洋介君) まず、中山間地域における活性化対策の重点的な方針についてのお尋ねにお答えをいたします。
 中山間地域の活性化の基本は、そこに住む人々が安定的に所得を確保し、心豊かな生活を営みながら、生き生きとした地域社会を維持、発展させていくことであると、そのように存じております。このためには、生産、生活両面にわたります総合的な条件の整備を図る必要があるわけでございますが、その考え方といたしましては、まずもって、これらの地域の多彩な資源を生かしながら、住民みずからの取り組みによる内発的な地域づくりを促進していくことが肝要であると存じております。
 また、基幹産業であります農業の振興が重要でありますので、生産基盤の整備を進めながら、新作物の導入拡大などによりまして、集約度の高い農業を展開していくことであると考えております。
 さらには、農産物加工への取り組みや商工業等の関連産業との連携を強化いたしまして、就労の場を確保するとともに、生活環境施設の整備や都市住民との多様な交流などを促進をいたしまして、活力に満ちた地域社会の形成を図ってまいらなければならないと存じております。このような考え方に基づきまして、これまでもソフト、ハード両面から各般の施策を講じてきたところでございますが、本年度から新たに、地域の特色ある取り組みを顕彰いたしますいきいき中山間賞の創設なり、また、山間地域の基幹作目の所得の安定を図るための、山間地域農業活性化特別対策事業の実施などを予定しているところでございます。今後とも、中山間地域対策を充実強化しながら、これらの地域の活性化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、高齢者及び女性農業従事者に対します施策についてでございますが、高齢者や女性の方々が地域地域において、農業、農村に生きがいを持って、みずからが主体的に農業生産や地域づくりに活躍していただくということが大変大事なことだと、そのように思っております。このために、これまでも高齢者対策といたしましては、家畜の導入や農村高齢者の創作活動を支援してきたところでございますし、また、女性の方々に対する対策といたしましては、農業を担いながら地域の中核となって活躍している女性の方々を農村生活アドバイザーとして認定いたしますとともに、平成6年にはいわて・ふるさと女性ビジョンを策定いたしまして、経営能力の向上なり農産加工の起業活動など、各種の支援策を講じてまいったところでございます。
 今後におきましては、農村における高齢化や女性の就農拡大が一段と進むものと考えられるところでございますので、これらの諸施策に加えまして、岩手県ウルグァイ・ラウンド合意関連対策推進方針に高齢者、農村女性の活動支援を位置づけますとともに、食文化発信基地づくりやグリーンツーリズム等の推進を通じまして、高齢者や女性が、例えば地域に根差した伝統食の発掘、継承なり、各地で取り組まれております新しいメニューの創造に実践者として意欲的に活躍していただくことなどによりまして、そこで生活することに幸せを実感できるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、乳用牛改良の取り組み状況と今後の方針についてでございますが、本県の酪農は、豊富な飼料基盤を背景といたしまして、これまで着実に発展してきたわけでございますが、昭和54年からの生乳の需給緩和によりまして計画生産が実施され、その経営は厳しい状況にあるわけでございます。また、飼養規模を見ますと、年々増加はしているわけでございますが、議員御指摘のとおり依然として全国平均の半分というようなことでございまして、また、経営体の70%は複合経営というような状況にあるわけでございます。
 このような状況の中で、本県におきましては高能力牛群の整備を目指しまして搾乳牛個々の産乳量や乳成分、さらには、飼料効率等の経済能力を把握する乳用牛群検定事業を実施をいたしまして、順次高能力牛を選抜、保留いたしますとともに、これまで3、700頭余りの受精卵移植を実施してきたところでございます。この結果、県下全域に検定が定着いたしました昭和60年対比で見ますと検定加入率は42%、乳量で17%、脂肪率で3%、無脂乳固形分率で1%それぞれアップいたしまして、順調に改良が進んでいることが認められるわけでございますが、なお、乳量及び無脂乳固形分率では全国平均をやや下回っている現状にあるわけでございます。さらに、最近の生乳の需要動向は無脂乳固形分の一層の向上が求められているわけでございます。このため県といたしましては、無脂乳固形分の主成分でございます乳たんぱく質にすぐれた遺伝能力を有する牛群を早急に整備することといたしまして、産乳量1万キログラム以上、乳たんぱく質率3・6%以上の優良受精卵を外国から輸入いたしますほか、雌雄生み分け技術等を駆使した受精卵移植によりまして、順次全県的に高能力牛の増殖を図るための乳用牛改良技術高度活用モデル事業を新たに展開してまいる所存でございます。
 また、これらの技術者養成のための研修を充実をいたしまして、高能力牛に対応する搾乳技術等の飼養管理改善を積極的に推進するなど、良質乳の生産に努めてまいる考えであります。
 さらに、ウルグァイ・ラウンド農業合意を受けまして、今年度から意欲ある経営体に対する生乳需給調整の弾力的な運用が可能になったわけでございますので、生乳生産枠の流動化を図るなど、収益性の高い酪農経営を目指して、積極的な指導に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) 人口の高齢化に対応した福祉対策についてでありますが、お話のとおり、全国を上回る高齢化が進行している本県におきましては、高齢者の生きがいづくりや介護問題への対応が重要な課題となっております。このため、高齢者がその貴重な知識や経験を生かしながら、健康で生きがいを持って地域づくりに参加していくための方策として、高齢者能力開発情報センターなどによる就労の確保を初め、高齢者大学の開設、健康と福祉の祭りの開催、情報誌ぶりっじの発行などを通じた生きがいづくりや健康づくりの啓発、普及、さらに高齢者保健福祉基金による高齢者等民間地域活動に対する支援などを行っているところであります。
 また、介護を必要とする高齢者に対しましては、住みなれた家庭や地域で生活を続けることができるよう、ホームヘルプサービスを初めとする各種住宅福祉サービスの拡充を図るとともに、特別養護老人ホームなどの施設の整備を計画的に進めてきているところであります。
 さらに、県民に対する介護知識や技術の普及を図るための介護・実習普及センターを新たに開設することとしているほか、高齢者などの在宅での生活を支援するため、住宅改善に要する経費を助成する高齢者及び障害者にやさしい住まいづくり推進事業を実施したいと考えているところであります。
 今後におきましても、民間地域活動を支援するなど、地域全体で高齢者の福祉を支える意識をはぐくみながら、高齢者の自立に必要なサービスを身近に受けることのできる体制づくりに努めてまいりたいと考えております。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) 新幹線の建設の地元負担の財源確保についてでありますけれども、従来の財源措置のスキームによりますと、この地元負担に充てる財源につきましては、充当率が90%の地方債の発行が認められているところであります。しかしながら、その発行額が相当多額に上ることが見込まれますことから、公債費の増高等将来の財政運営に多大の影響を及ぼすことが懸念されるところであります。したがいまして、県としましては、何とか国において適切な財源措置を講じていただきたいと存じておりまして、従前より国に対し、所要の財源措置を要望してまいったところでありますけれども、今後におきましても、政府予算統一要望などあらゆる機会を通じ、重ねて強く要望してまいる考えでございます。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) 河川改修に当たっての考え方についてでありますけれども、河川改修は、洪水による災害から県民の生命財産を守り、安全で豊かな県民生活を確保するために欠くことのできない根幹的な事業であると考えております。したがいまして、県といたしましては、治水対策を県土の保全を図る上での重点施策の1つとして位置づけ、積極的に取り組んできているところであります。本県における本格的な河川改修事業の着手は、昭和22年、23年と連続して襲来しまして県土に大きな被害をもたらしたカスリン台風、アイオン台風を契機としているところであります。その後、高度成長期に入りまして、河川流域の開発や都市化の進展に伴って、河川周辺への人口の集中や資産の集積が進み、加えて、集中豪雨などによる被害が甚大となってきたことから、洪水に対する安全性を緊急に向上するという流域住民の要請に効率的にこたえるために、限られた河川空間の中で洪水を処理する必要があり、コンクリートを主体とした護岸等の整備を行ってきたところであります。しかしながら、近年、ゆとりあるいは豊かさが実感できる生活への志向の高まりとともに、河川など水辺が持つ水と緑は人々の文化的な生活の向上を図る上でも、極めて重要な要素であることが認識されてきており、これに伴う新たな対応が求められてきているところでございます。
 このため県といたしましても、河川環境整備事業あるいは地方特定河川等環境整備事業を実施するとともに、県単独の水辺空間創造事業を創設し、水生生物等の生態系に配慮しながら、親水性豊かな護岸工法を採用するなど、水辺環境の保全や創造に積極的に取り組んできているところであります。今後とも河川改修に当たりましては、治水安全度の向上はもとよりでございますが、それぞれの地域が持つ固有の景観との調和や、魚類等の生息に配慮し、瀬あるいはふちを保全するなど、自然環境をできるだけ生かし地域の生活との調和を図った整備を進めてまいりたいと考えております。
〇副議長(及川幸郎君) この際、暫時休憩をいたします。
   午後3時4分 休 憩
出席議員(44名)
1番 斉藤 信  君
2番 黄川田徹  君
3番 佐々木一榮  君
4番 小野寺好  君
5番 佐々木博  君
6番 中屋敷十  君
7番 大久保豊  君
8番 浅井東兵衛  君
9番 佐々木大和  君
10番 藤原泰次郎  君
11番 千葉 伝  君
12番 伊沢昌弘  君
13番 須藤敏昭  君
14番 折居明広  君
15番 田村正彦  君
16番 伊藤勢至  君
17番 佐藤一男  君
18番 瀬川 滋  君
19番 渡辺幸貫  君
20番 谷藤裕明  君
21番 三河喜美男  君
22番 水上信宏  君
23番 船越賢太郎  君
24番 久保田晴弘  君
25番 千葉 浩  君
26番 長谷川忠久  君
27番 村上恵三  君
28番 村田柴太  君
29番 藤原良信  君
30番 吉田洋治  君
33番 工藤 篤  君
35番 菊池 勲  君
36番 小原宣良  君
37番 樋下正光  君
38番 藤倉正巳  君
39番 及川幸郎  君
41番 伊藤 孝  君
42番 山内隆文  君
46番 山門一郎  君
47番 菊池雄光  君
48番 佐藤啓二  君
49番 堀口治五右衛門  君
50番 吉田 秀  君
51番 藤原哲夫  君
欠席議員(6名)
31番 飯澤忠雄  君
34番 菅原温士  君
40番 那須川健一  君
43番 佐藤正春  君
44番 千葉英三  君
45番 佐々木俊夫  君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時20分 再 開
〇副議長(及川幸郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。中屋敷十君。
   〔6番中屋敷十君登壇〕(拍手)

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