平成7年6月定例会 第2回岩手県議会定例会 会議録

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〇46番(山崎門一郎君) 山崎門一郎でございます。
 謹んで、故片方盛議員の御冥福を心よりお祈りいたします。 
 去る4月9日の統一地方選挙において当選いたしました5人をもって議会交渉団体として県民クラブを結成いたしました。私は、同会派を代表いたしまして、知事の所信表明及び県政の諸課題について順次質問してまいりますので、誠意ある御答弁をお願いいたします。
 まず、増田知事は、みんなで創ろう夢県土いわてをスローガンに、基幹産業である農林水産業の活力ある発展、豊かな生活圏の形成による県土の均衡ある発展と個性豊かな地域づくり、豊かさを実現できる生活の実現、福祉立県を目指して、少子・高齢化対策の充実による豊かな長寿、思いやりのある福祉社会づくりなどを政策の重点として公約に掲げ、県民の強い支持を得られました。県民は、新知事に大いなる期待の念を抱きつつ、増田県政を選択したのであります。私どももまた、選ばれて県政に参画することとなり、その重責を改めて痛感する次第であります。ここに、改めて知事に就任されての所感をお聞かせ願います。あわせて、県政に取り組まれる基本理念をまず御披露いただきたいと思います。
 次に、知事は、所信表明において、21世紀に向けた県土づくりのため、県民からの負託にこたえ、ふるさと岩手の発展のために全力を傾注する旨の決意を表明され、さらには、あらゆる機会をとらえて県民と語り合い幅広い意見に耳を傾けるなど、県民に開かれたわかりやすい県政の実現を目指しておられます。まさに、県民とともに歩む県政への積極姿勢のあらわれと受けとめておりますが、その公約どおり、今後の県政運営に当たって140万県民と一緒になって苦楽をともにし、1つの政党にこだわることなく県民の声によく耳を傾け、県民の幸せ、そして県勢発展のため積極的に取り組まれるよう強く要望を申し上げるものであります。また、本県の地域基盤の整備として、若者が本県に定着することを促進する社会資本整備や、農林水産業の国際化に対応した施策あるいは商工業の振興施策、豊かな長寿社会、思いやりのある福祉社会づくりなど、本県の抱える課題に対して、情熱を持って積極的に施策を推進する姿勢を高く評価するものであります。しかしながら、あえて申すならば、私たちは長年本議会でも取り上げてまいりました、本県の地域格差の解消についての具体的な将来像が見えないのであります。本県は、高速交通時代を迎えて以来、その高速化の恩恵をあまねく県土に波及させるため交流ネットワーク道路整備を初め、多くの事業が展開されてきたのでありますが、所得との格差を見た場合、依然として内陸部と県北・沿岸との間にはその差が見られるところであります。もとより、本県は広大な面積を有することから、内陸、県北、沿岸とそれぞれの地方の特色を生かして発展してきたものであり、格差についても一概に論ぜられるものではないと思いますが、総合的な交通体系の整備を進め、地域間交通の促進をより一層進め、地域の特色を生かした産業を振興し、所得の格差を是正していく必要があるのではないでしょうか。この県土の均衡ある発展について、具体的にどのように取り組もうとしておられるのかお伺いいたします。
 次に、知事の提唱する若者の定住促進についてお伺いいたします。
 本県の人口の推移を見ると、減少傾向にあったものが、平成5年、平成6年と若干ながら増加に転じており、また、厚生省の平成6年度の人口動態統計を見ると、減少を続けていた出生数が昨年21年ぶりに本格的な増加を見せ、本県においては合計特殊出生率が1・71で、前年度を0・03ポイント上回るなど、人口の増加の兆しが見えてきたところと感じております。
 このような状況において、私は、やはり人口の県外流出に歯どめをかける施策を総合的に進めていく必要があると思います。地域から若者が流出し高齢者が多くなる地域では、今後、21世紀に向けて地域の活力さえ失わせる要因になるのではないでしょうか。知事は、若者がショッピングし遊べる定住の場の確保の必要性についても述べておられます。私は、地域産業を振興するとともに、若者が安心して楽しくふるさと岩手に定住し得る総合的プロジェクトを推進する必要があると思うのであります。若者の定住促進について、今後どのような施策を展開しようとしておられるのかお伺いいたします。
 次に、増田知事が初めて編成され、今議会に提案されている補正予算の特徴についてお伺いします。
 この予算額は約572億円で、当初予算に加えると約7、733億円となり、前年度同期と比べて実質5・3%増となり、地方財政計画の伸びを上回る積極的な予算であると思います。思いやりのある福祉社会の実現のためのひとにやさしいまちづくり推進資金貸付金、高齢者及び障害者にやさしい住まいづくり推進事業、阪神・淡路大震災に対応した防災対策、あるいは円高不況対策や農業の国際化に対応した事業などが盛り込まれており、知事の意欲的姿勢がうかがわれるのでありますが、知事は、このたびの補正予算はどのような特徴があると考え、どう評価されておられるでしょうか、お伺いいたします。
 次に、中山間地域の農林業の振興についてお伺いします。
 牛肉・オレンジの輸入に始まり、米の輸入自由化やリンゴの輸入など、我が国の農業は今国際化の荒波に直面しております。私は、農業は食料の安定供給と同時に、国土の保全、環境保全にも大きく貢献しており、国家存立の基本的産業であると認識しております。知事もまた、本県の基幹産業である農林水産業について厳しい環境にありながらも、いささかも揺るぐことのない力強い農林水産業を構築するため、中山間地域の活性化対策などの総合的な施策を講ずる旨表明しておられます。私は、本県の産業の振興のためには、県土の多くを占める中山間地域の産業、とりわけ農林業の振興なくしてはあり得ないと思うのであります。この中山間地域は傾斜地が多く、機械化による合理化も進まず、また、林業も安い輸入材に押され、加えて人口の流出、農林業労働力の減少が急速に進むなど、さまざまな課題が生じてきております。私は、この中山間地域は、食糧や木材の供給基地であるばかりでなく、森林保全などの環境保全や国土保全にも重要な役割を果たしているものと認識しております。したがいまして、国においても昨年度、農業の国内対策として6兆100億円の別枠予算を編成している今こそ、ぜひ農林業の活性化のため、中山間地域の総合的な事業を推進すべきであると考えるのでありますが、そのことがあすへの農林業の発展につながるものと確信しております。知事は、この中山間地域の農林業をどのように振興していくお考えなのかお伺いいたします。
 次に、阪神・淡路大震災に関連してお伺いします。
 我が国は、過去の地震から多くのことを学んできました。しかしながら、阪神・淡路大震災に際しては、過去に経験したことのない未曾有の被害に拡大しました。建物や土木構築物の倒壊といった災害の規模が想定をはるかに超え、また、倒壊によって多くの要救助者が発生したこと、時間的にも急速に進展してきたことなどにより、応急対策が後手後手に回ったことが指摘されております。今日の自治体の地域防災計画を見ると、事前の防災対策、災害発生時の応急対策、事後の復旧計画、復興計画に至るまでさまざまな対応が規定されており、必要にして十分な計画に見えるのでありますが、私は実際の災害に当たり、いかにこの計画が機能的に発揮し得るかということが大事であり、システムが機能するよう計画を見直す必要があると思うのであります。国は、阪神・淡路大震災の復興予算として第一次補正予算を計上し、防災施設の整備等を進めるということですが、本県においては地域防災計画の見直し、とりわけ機能的に防災対策がし得るようなシステムづくりをどのように進めていこうとしているのかお伺いします。また、社会資本の整備として、災害に強いまちづくり、例えば道路、橋梁などの施設整備をどのように進めていくお考えなのかお伺いいたします。
 次に、少子・高齢化社会における保健・医療サービスの総合的な推進についてお伺いいたします。
 我が国は、世界に例を見ない速さで高齢化が進行しているところであり、さらに昨年の出生率の低下により、子供が少なくなってきている現象、すなわち少子化も同時に進行しており、21世紀初頭には本格的に少子・高齢化社会を迎えることが予測されております。このような状況のもと、心豊かに安心して暮らせる社会の実現を果たすためには、来るべき少子・高齢化社会に適応した社会システムを構築することが必要であると思います。本県においても、全国を上回る速さで高齢化が進み、また一方では少子化も進んでいる現状にかんがみ、私は何よりもまず、生まれてくる子供が健やかに育つ環境を整備するとともに、すべての人が住みなれた地域や家庭のもとで生き生きと生活できる体制をつくり上げることが必要であると思います。また、在宅の要介護老人に対してもまた同様に、訪問看護などの在宅ケアの充実など、保健と福祉の連携が求められている中で、保健・医療サービス供給体制の整備が必要となってきております。県においては、地域保健医療計画の推進あるいは目前に地域保健法の施行などが決まっておりますが、この保健所、医療機関、市町村をより一層有機的に連携する保健・医療システムをどのように構築していくお考えなのかお伺いいたします。
 次に、三陸地方拠点都市地域整備についてお伺いします。
 このたび、宮古市から陸前高田市に至る10市町村からなる三陸地方拠点都市地域基本計画が示されたことは、沿岸住民にとってまことに喜ばしいことであり、県当局の御努力に対しまして深く感謝申し上げる次第であります。三陸地方は、美しい自然景観、豊富な海洋資源に恵まれ、また、港湾を初めとした産業基盤の整備、加えて三陸縦貫自動車道の整備など、開発可能性が大きく膨らんできているものの、交通アクセスなどの立ちおくれなどに起因して、冒頭申し上げたとおり、いまだ内陸部との格差が解消し得る状況となっておりません。このような状況において、今般、本地域の有する自然、社会、経済、歴史、文化等の特性を生かした、豊かさとゆとりを実感できる職・住・遊・学が備わった魅力ある生活空間の創造を目指したさんりくサンライズ交流都市圏を将来像とする基本計画が承認されたことは、三陸振興の起爆剤になるものと認識しております。また、この基本計画には、多様な都市機能の増進、海洋資源などの地域資源を生かした産業の振興などが基本方針とされているものであります。
 私は、平成5年2月定例会においても質問したのでありますが、本地域においてはベニサケ、シロチョウザメ、マツカワなどの冷水性高級魚の改良と新養殖システムの開発研究を行う冷水性高級魚養殖技術研究所などが立地し、三陸沿岸に高度技術産業が芽生えており、三陸の豊富な海洋資源を活用し、付加価値の高い産業を振興していくためには研究開発型の産業の振興が今後ともより一層重要であり、あわせて海運、道路など一体となった交通政策を進めていく必要があると考えるものであります。もとより、この地方拠点都市地域基本計画は、地元市町村の計画が主たる事業であることは承知しておりますが、財政力の乏しい市町村を抱える本地域において県の支援が不可欠と思うのであります。県は、この基本計画の承認を機に、三陸地方拠点都市地域の整備促進をどのように図っていくお考えなのか、根本的な方向についてお伺いします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 山崎門一郎議員の御質問にお答えします。
 まず、知事に就任しての所感でありますが、21世紀を目前にしたこの重要な時期に就任し、私に課せられた責任の重さと県民の皆様から寄せられている期待の大きさに、文字どおり身が引き締まる思いをしているところであります。今決意も新たに、県民の先頭に立って、あらゆることに対して全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 次に、県政に取り組む基本理念についてでありますが、私は、県政の究極の目標は、県民1人1人が心から幸せを感じ、生きがいを持って暮らすことのできる社会を実現することであり、そのためには県民の主体的な参画と協力のもとに、地域の個性や特色を生かした創造的で活力のある地域社会の実現に向けて、県民と行政が一体となって取り組んでいくことが重要であると考えております。このような認識のもとに、私は、常に県民の皆様と語り合い、そして県民の皆様の英知と創造力を結集しながら、広大な土地や緑豊かなかけがえのない美しい自然、さらにはすぐれた人材をはぐくんだ風土など、本県が持つ発展可能性を最大限に生かし、地域の発展を支える社会資本の整備や活力ある産業の振興、さらには思いやりのある福祉社会づくりやあすの岩手を担う人づくりを進めるなど、活力に満ちた夢あふれる県土づくりに向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、県土の均衡ある発展についてでありますが、私は、県土の均衡ある発展を実現するためには、県内各地域が持つ発展可能性を最大限に引き出しながら、産業経済活動の活発化と生活環境の整備充実を図ることによって、地域の個性や特色を生かした、活力に満ちた地域づくりを進めることが極めて重要であると考えております。このような認識のもとに、特に県北・沿岸地域に十分留意しながら、地域の発展の基礎となる社会資本の整備を初めとして、基幹産業である農林水産業の活性化や商工業等の振興を図ってまいりたいと考えております。このため、まず、三陸縦貫自動車道などの高規格幹線道路や仙人峠道路の整備、東北新幹線盛岡以北の建設や港湾整備の促進など総合的な交通網の整備を進めるほか、下水道、公園、住宅等の生活環境の整備に努めるとともに、保健・医療、福祉の充実、教育、文化、スポーツの振興を一層推進してまいる考えであります。また、産業の高度化や魅力ある就業機会の拡大を促進し、所得の向上を図るために収益性の高い作目の導入や中山間地域の活性化、つくり育てる漁業の振興など、力強い農林水産業の発展に努めるとともに、拠点工業団地の整備等による優良企業の導入、地域資源を活用した特色ある地場産業の振興、さんりく・リアス・リゾート等すぐれた自然環境や文化を生かした観光・リゾートの振興、三陸地方拠点都市地域の整備促進など、各般の施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。
 次に、若者の定住促進に関する今後の施策の展開についてでありますが、私は、地域の活力を高め、県勢の発展を図り、豊かな県民生活を実現するためには、あすの岩手を担い、地域の発展を支える若者の県内定住を強力に推進することが極めて重要であると存じております。このため、県立の4年制大学の整備を初めとする高等教育機関の整備など、進学機会の充実を図るとともに、本県の基幹産業である農林水産業の活力ある発展や特色ある地域産業の振興、拠点工業団地の整備や研究開発型企業の誘致などによる多様な就業機会の創出に努めてまいります。さらには、コミュニティー機能を備えた魅力的な商店街等の整備を促進するほか、特に若者のニーズに即した芸術文化、スポーツ・レクリエーション施設の整備、イベントの開催等による交流機会の拡大など地域の魅力を高めるよう、積極的に取り組んでまいる考えであります。
 以上、申し上げましたとおり、今後におきましても若者が主体的に喜んで定住できるよう、一層の施策の充実を図ってまいります。
 次に、6月補正予算の特徴とその評価についてでありますが、今回の補正予算は、当初予算がいわゆる骨格的な予算であったことから最近の景気動向に配慮するとともに、国の緊急円高・経済対策にも呼応するなど、積極的な予算編成に努めたところであります。その特徴といたしましては、まず予算規模についてでありますが、前年度と比較した伸び率は、実質で地方財政計画の4・3%を1ポイント上回る5・3%を確保いたしました。また、事業内容といたしましては、高齢者や障害者へのきめの細かい対策を講ずるなど、福祉の充実に努めるとともに、より安全な県民生活を確保するため、消防防災対策を一層強化するほか、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策や円高対策を鋭意推進することにより、県内産業の活性化を図るなど、各般にわたり積極的に取り組むことといたしております。しかし、県財政を取り巻く環境は依然として厳しいことから、今後とも財源の涵養に努め、限られた財源を効果的に活用しながら、多様化、高度化する県民の行政需要に適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、中山間地域の農林業の振興についてでありますが、本県の大半を占める中山間地域は、農林産物の生産や県土の保全にとって大きな役割と機能を担っており、また、これらの地域は農林業が地域経済の基礎となっております。私は、今後とも、こうした中山間地域の農林業の積極的な振興を図ることが、県土の均衡ある発展を期する上からも極めて重要な県政課題であると認識しているところであります。殊にも、山間地域は地形が複雑で土地条件が不利な状況にありますので、農林道や農地、森林等の生産基盤の整備を重点的に進めるとともに、特色ある地域資源を高度に活用した農産物の生産拡大とその加工などにより付加価値を高め、所得の増大を図ってまいらなければならないものと存じております。また、これらの地域は、農林産物の生産活動を通じてはぐくまれてきた美しい自然景観、郷土料理、伝統芸能など、たぐいまれな農林資源に恵まれておりますので、こうした資源をトータルとして生かしながら、都市住民が農村に滞在するいわゆるグリーンツーリズムなど、多様な取り組みを積み重ねることにより、都市との交流を深め、地域全体の活性化を図っていくことも重要であると考えております。こうした考えのもとに、地域住民の創意工夫を凝らした活動を促進する中山間地域活性化推進事業や、地域のシンボル施設を整備する活力ある村づくり促進対策事業、また、生産条件の整備を促進するための中山間地域農村活性化総合整備事業や、日本一の炭の里づくり事業などを実施しているところであります。さらに、6月補正予算において、新たに山間地域の基幹作目である園芸作目や日本短角種の経営安定を図る山間地域農業活性化特別対策事業や、地域住民が多彩な資源を活用して行う、ふれあい農業などを支援するいきいき農山村づくり促進対策事業を創設するほか、林業後継者、労働者の育成確保を図るための岩手県林業労働対策基金の充実強化などを予定しているところであり、今後とも、地域住民の内発的な取り組みを積極的に支援しながら、体質の強い産業として一層の振興を図ってまいりたいと存じております。
 次に、阪神・淡路大震災に関連してのお尋ねについてであります。
 まず、地域防災計画上の対策がシステムとして機能するよう見直しを図るべきとのことでございますが、御案内のとおり、さきの阪神・淡路大震災を貴重な教訓として、県の地域防災計画はもとより、市町村においても計画の見直しを行うこととし、その検討を鋭意進めているところであります。私は、災害に強い県土づくりを進めるためには、治山、治水、砂防など、災害の未然防止対策を一層充実するほか、地域防災計画の見直しの中で、消防防災体制のさらなる充実強化が緊急の課題であると考えております。
 今般の補正予算におきましても、さきの大震災において得られた多くの反省点の1つに、必要な情報の収集伝達が必ずしも円滑に行われなかったことなどが挙げられていることを踏まえ、防災行政情報通信ネットワークの一環として、衛生通信が可能な車両であるぎんが号への一斉指令装置の整備や警察本部のヘリコプターへのテレビシステムの搭載など、大規模災害に備えた装備や機材を整備し、災害発生時における対策がより円滑に行われるよう、所要の措置を講じたいと考えているところであります。
 今後、地域防災計画を見直していくに当たりましては、本県の地勢的特性や過去における災害体験等を十分に考慮に入れるとともに、国の防災基本計画の見直しの動向等を見定めながら、特にも初動体制や防災関係機関相互の情報通信、連絡体制、役割分担等について検討してまいるほか、北海道東北ブロックによる広域応援のあり方についても協議を進めているところであります。また、災害を未然に防止し、被害を最小限にとどめるためには、国や県、市町村あるいは民間の協力体制がまず基本であると存じておりますので、有事の際における防災関係機関の連携強化を図るため、毎年実施しております総合防災訓練におきましては、参加機関の拡大、訓練内容の充実を図ることとしております。さらに、こうした体制が十分に機能を発揮するためには、県民の方々に防災に関する意識を高めてもらうことが極めて重要でありますので、防災パンフレットの全世帯への配布による防災知識の普及啓発や、自主防災組織の育成強化になお一層努めてまいりたいと考えております。
 また、道路、橋梁などの施設整備についてでありますが、今回の大震災においては、落橋等によって幹線道路が寸断され、救援、復旧活動にさまざまな支障を来すなど、被災地のみならず全国に震災の影響が及んだところであります。これらの教訓から、国においては、当面の措置として重要な橋梁等の新設、補強については阪神・淡路大震災の災害復旧基準を準用し、鉄筋量の増強や落橋防止装置を強化するなど、橋梁、高架等の道路構造物の安全性の確保を図ることとしたところであります。県といたしましても、緊急に措置すべき既存橋梁の強化策として、新たに県単独の震災対策緊急橋梁整備事業を創設し、古い鉄筋コンクリート橋脚の補修や落橋防止装置の整備を進めることとしております。今後とも、道路、橋梁等の整備に当たりましては、地域防災計画の見直しとあわせ、重要な路線の橋梁等について、耐震性に十分配慮するとともに、震災等を念頭に置いた道路ネットワークの構築に努めるなど、災害に強い社会資本の整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、少子・高齢化社会における保健医療サービスの総合的推進についてでありますが、県民が生涯にわたって心身ともに健康であることは、豊かな生活を送るための基本であり、活力ある地域社会の維持、発展のための基礎的な条件であります。このため、すべての県民がいつでも、どこでも、ひとしく質のよい保健医療サービスを受けることができるよう、21世紀を展望し、本県の保健医療等の施策の方向を示した第三次岩手県保健医療計画を策定したところであり、これまでにも保健所保健・福祉サービス調整推進会議の開催等により保健医療の有機的連携に努めながら保健医療サービスの提供を推進してきたところであります。
 このような中で、昨年、地域保健法が制定され、平成9年度からは赤ちゃんからお年寄りまで身近な保健サービスは市町村が主体的に実施することとなり、また、保健所は、より専門的、広域的保健サービスのほか、地域の保健医療に関する企画調整も担うこととなったところであります。県といたしましては、この制度改正を好機として、保健所における企画調整機能を十分に発揮できる体制の整備や、保健所、医療機関、市町村等によって構成される地域の実情に即した保健医療サービスを推進するための機関の設置のほか、脳卒中情報システムの運用を強化していくなど、保健所、医療機関、市町村の連携をより一層強化し、県民1人1人が保健医療に関する各種のサービスをそれぞれの地域において円滑かつ適切に受けられるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、三陸地方拠点都市地域の整備についてでありますが、三陸地方拠点都市地域基本計画は、宮古市、釜石市、大船渡市を中心とする関係10市町村が長期的展望に立ち、地域の自主性と創意工夫を生かして共同で作成したものであり、地域の将来像さんりくサンライズ交流都市圏の実現に向けて地域の方々が一体となってこの計画の着実な推進を図っていくことは、当地域の振興のみならず、県土の均衡ある発展にも大いに寄与するものであると考えております。したがいまして、今後、この計画に即し、広域的な都市機能の増進と居住環境の向上による三陸連捻都市圏の形成や海洋開発研究機能、関連産業等の集積などによる新産業拠点の構築、さらには、陸・海運の結節機能等を生かした多様な交流拠点の形成を図っていくことにより、当地域が広く沿岸地域全体の発展を牽引する力を高めていくことが肝要であると考えております。
 このため、県といたしましても、国、市町村との密接な連携のもとに、地域の一体化を促す三陸縦貫自動車道や内陸部との交流を促進する幹線道路など、地域発展の基礎となる社会資本の整備を進めるとともに、ふるさと市町村圏基金の設置による人材育成、地域間交流等のソフト事業の展開を支援するなど、積極的に三陸地方拠点都市地域の整備促進を図ってまいりたいと考えております。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、千葉浩君。
   〔25番千葉浩君登壇〕(拍手)

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