平成7年6月定例会 第2回岩手県議会定例会 会議録

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〇42番(山内隆文君) 山内隆文であります。
 質問に入るに先立ち、逝去されました同僚片方盛議員に対し、心から哀悼の誠をささげます。ありし日の温容をしのび、これまでの御功績をたたえ、御冥福を祈るものであります。
 質問に入ります。
 私は、増田新知事のもとで進められる県政が、すべての県民がひとしく県政による利益を享受し得る体制が築かれることを願いつつ、自由民主党を代表し、以下、順次質問をいたします。
 本年度、平成7年度は、3県総後期計画に向けての見直し年度であります。若さを誇る新知事が、どのようにして山積する諸課題を解決していくのか、これを県民が注視する中にありますし、また、増田知事にとりましても、今後、21世紀に及ぶ県勢発展方向をみずからの手で定め得るという、いわゆる増田カラーを鮮明にし得る絶好の機会でもあり、非常に重要な年度であります。
 このような状況下にありますことから、このたび編成されました6月補正予算の注目度は、まことに高かったと思われます。マスコミ論調の中には、知事就任直後の予算編成でもあり、また、財政環境が厳しい中での編成作業であったことを挙げ、増田カラーを鮮明にし得なかったとの同情的論調が見られたのでありますが、知事自身、初めての予算編成を終えてどのような感想をお持ちになったのか、まず御披瀝願いたいと存じます。
 さて、知事はさきの演述において、本県の現状に対する認識を示されましたが、その中で所得水準等に触れ、全国との格差是正、県土の均衡ある発展が基本課題であると述べられました。私の認識と一致するものであり、率直に評価申し上げたいと存じます。御承知のとおり、広域生活圏の県平均と比較した場合、二戸広域圏が79・7%、久慈広域圏が83・5%、宮古広域圏が85・9%となっており、県北・沿岸部の所得水準は県のこれまでの努力にもかかわらず、今なお低位にあります。
 知事、私は、県土の均衡ある発展を実現するためには、当該地域に対する重点的かつ重層的施策の展開が必要と考えるものでありますが、知事の認識はいかがでしょうか。
 さらに伺いますが、知事は演述において、基本とみずから定めました県土の均衡ある発展という課題を解決するため、社会資本の整備を初めとして農林水産業や商工業等の活力ある発展を図り、働く場を確保するとともに、保健・医療、福祉の充実や教育、文化、スポーツの振興を推進する旨表明されましたが、これら各分野において、当該地域に対し、今後、どのような新たな施策を展開されていかれるのか、具体的施策もしくは構想があればお示し願います。
 ところで、私は、これまで県営施設等の分散配置を唱えてきたのでありますが、免許センターなど県内複数配置の方向にあるものもありますが、合理化の名のもとに、試験研究機関あるいは他の枢要な県営施設が一極に集中する傾向にあると認識をしております。均衡ある発展という基本課題に沿った検討が等閑視されてきたのではなかったかとの思いを強くするものであります。県営施設の設置について、知事の言われる基本課題に沿った検討を求めるものでありますが、知事の御所見を賜ります。
 次の質問に移ります。
 知事は今回の選挙に際し、米の部分開放を含めて国際競争に打ちかつために、農林水産業を再構築──リストラすると選挙広報等を通じて訴えられました。リストラという言葉には、不用部分の排除といったニュアンスが含まれておりますため、国際競争力に打ちかつための再構築──リストラという観点でのみ、本県農業を語ってよいものかどうかとの感想を抱いたのであります。御承知のとおり、本県の中山間地域は県全体の約8割を占めておりますが、中山間地域では生産コストの引き下げ等に苦労している現状にあり、したがって、経済合理性のみの視点で対応しようとすれば、中山間地域での営農は極めて困難なものとなりましょう。産業としての農業を確立することと定住社会としての農村の維持発展という両面から、本県農業は語られるべきであります。知事の認識はいかがでしょうか。あわせて、知事は演述において、中山間地域における新たな特産物の産地づくりに取り組みたいと述べられましたが、その具体と中山間地域における高収益性農業の具体的取り組み方策をお示しいただきたいと存じます。
 次に、本県沿岸漁業等の今後の取り組みについて伺います。
 本県では、これまでに周辺海域の特性を生かした、つくり育てる漁業を積極的に推進してきたところであります。平成5年の本県沿岸漁業の生産状況を見ますと、生産量で18万6、000トン、生産額で478億円となっておりますが、このうち、つくり育てる漁業の対象種の生産額は439億円と全体の約9割を占めるに至っており、まさに本県沿岸漁業は、つくり育てる漁業の先進県と誇れる状況にありますが、先ほど吉田議員が指摘されたような状況の中にあって、本県沿岸漁業の生産高が伸び悩んでおりますし、特にも、本県沿岸漁業の4割を占める秋サケの生産高が昨年度において大幅に減少したことなど、懸念材料も少なくありません。今後、高品位サケ・マス類の安定生産に向けての取り組みと、現在取り組みを始めているヒラメ、カレイ類の栽培漁業の構築が喫緊の課題であると考えます。あわせて、海域により微妙に環境が変化するという海の特性に的確に対応するためには、一定海域ごとの試験研究や魚類種苗の生産が重要でありますから、これら施設の充実も急務であると考えます。さらにまた、内水面漁業におけるアユ等の中間育成施設の拡充と新たな魚種の選定についても積極的に取り組むべきであります。
 以上、4点につきお示しいただきます。
 次に、知事は選挙戦に当たり、種市町二ツ森地区ゴルフ場建設差し止め訴訟を支援する会からの質問状に対し、A紙によれば許可しない、B紙においては、自然環境への影響なしと判断されるまで許可しないと回答した旨報道されております。私は、県内外に存在する格差を解消するためには無秩序であってはなりませんが、さらなる開発を指向せざるを得ないと考えるものであります。開発と環境保全は重要な命題であり、当該ゴルフ場建設問題に対する判断は、個別事案としての問題にとどまらず、今後の県政推進方針を決定する上で大きな要因になるものと思料するものであります。当該ゴルフ場建設問題に関し、基本認識を問うと同時に、林地開発申請がなされたときの対応をどのようにされるのか、また、なされる対応と県が定める大規模開発要綱との間にそごの生じるおそれがないのかどうか、明快な答弁をお願いをいたします。
 次に、本県と宮城県との漁業の操業区域問題について伺います。
 当課題については、岩手・宮城両県の間で協議が重ねられてきたところであり、両県水産担当者レベルにおいては一定の合意が形成されておりますが、本県水産団体から異議が唱えられ、最終合意には至っていない状況にあります。知事は選挙戦に際し、当該問題に関し県漁連会長とたびたび会われたようでありますが、県漁連の意向は那辺にあるのか、また、両県漁業者の友好関係を保ちつつも、なおかつ、県漁連の意向を反映させ得る方法は何か、いつの時期までに解決しようとするのか明確にしていただきたいと存じます。
 次に、警察力の整備についてお伺いをいたします。
 御承知のとおり、我が国では昨年来から阪神・淡路大震災、松本・東京地下鉄両サリン事件といった、我が国の伝統的な治安基盤を根底から揺るがす重大かつ特異な事件が相次いでおります。幸い、本県はこの種重大事件に直接見舞われることなく現在は推移しているものの、決して対岸視し得ない状況にあると考えております。元来、本県は四国4県に匹敵する広大な面積を有しているため、本県警察官の負担は他県に比し相当高いものと承知いたしております。加えて、ここ数年間の刑法犯の増加率、人口比の犯罪率等、県内治安の悪化は各種統計、数値に如実にあらわれてきているのであります。
 増田知事は、かつて千葉県警察の交通指導課長としての経歴をお持ちであり、また、当時みずから現場に出て事に当たる幹部警察官の姿に感じるものがあり、以来、率先垂範を座右の銘とされたと伺っております。警察行政に一定の感慨をお持ちである知事は、本県治安維持の最高責任者として本県治安情勢をどう認識されているのか、また、警察力の増強、とりわけ本県警察官の第一線への有効配備及びそれに伴う事務職員の増強、並びに空中指揮機能の早期整備についてどのような御所見をお持ちかお示しいただきたいと存じます。
 あわせて、かねてから導入を急ぐべきと訴えてまいりました防災ヘリの導入についてでありますが、他県では既に14道県が導入済みであり、また、13政令指定都市において25機保有をしているため、結果、22都道府県が配備している状況となっております。本県においても防災ヘリの導入を急ぐべきと考えますが、その見通しを明らかにしていただきたいと存じます。
 次に、知事の県政に対する基本となる幾つかの点につきその姿勢を伺ってまいります。
 最初に、副知事2人制について伺います。
 副知事2人制がスタートしたのは昭和42年、千田知事のときからであり、既に30年近く経過しております。私は、この間の交通・通信網の発達や千田知事当時2人制が採用されたときの理由、経緯等にかんがみて、2人制を保持する積極的な理由があるのかとの問いを投げかけたいのであります。大都市圏を有する都道府県を除く他県を見れば、副知事2人制を採用している例はむしろ少数であり、その実態から判断すれば、副知事1人であっても、県政遂行上大きな障害は生じないものと思われます。また、これまで副知事のうち1人は、いわゆる中央省庁より派遣されていたのでありますが、その大きな根拠となっていたものは、国とのパイプ役を担ってもらうというものであります。派遣された歴代副知事の残した功績は、確かに小さいものではなかったと存じますけれども、中央官僚出身であるあなたが知事に就任されたのでありますから、重ねて迎える必要性は少ないとも思料するものであります。
 さらに基本的なことを申し上げれば、本県副知事ポストを中央省庁の既得権とすべきではないと思うのでありますが、いかがでしょうか。不断の行政機構の改革、簡素化を県民から求められている今日であります。副知事2人制に対する判断は、そうした意味においても重要であります。若さと行動力を誇る増田知事であります。副知事1人であっても、県政を遅滞なく推進するとの気概を示していただきたいのでありますがいかがでしょう、御所見を賜ります。
 ところで、今回の知事選において、特定業種によるこれまでにない締めつけ選挙が行われたと指摘する県民やマスコミ論調があります。私自身、各所においてあなたの陣営に対する動員を指示する文書を見ておりますし、知事、あなたも企業締めつけ選挙等を批判して、あなたを推薦した政党の県連幹部が離党した事実を御記憶でしょう。知事は、このような指摘や事実に対し、どのような認識をお持ちであるのか、まずお示しいただきたいと存じます。
 次に、あなたの陣営にくみしなかった者に対して、報復的措置がなされるのではないかといった指摘や不安が県民の中にあるようであります。このような状態は、県民にとってもあなたにとっても不幸なことでありますから、このような状態を解消するために、あなたみずからが県政執行上の透明性、公平性は確保されるべきと明言をされ、さらにはその言葉を担保すべく、具体的行動規範を県民に対し示すべきと考えるのでありますが、知事の御所見を伺います。
 次に、あなたの支持を決定したある組織が、組織の決定に反する行動を展開したことは極めて遺憾であり、前記の行動についての事情等につき、弁明があれば4月26日までに申し立てなさいとの文書をあなたはごらんになっておりますか。このような行為は、組織内部における秩序維持の限界を逸脱し、営業上の自由競争や選挙における投票の自由を損なうものと思料するものでありますが、知事の判断はいかがでしょうか、お聞かせください。我が党は、このことにつき重大な関心を寄せているところでありますが、県は関心をお持ちになるのでしょうか。本件に関し、調査するお考えはありますか、お示しください。
 次の質問に移ります。
 知事は、6月13日の記者会見で、7月23日執行予定の参議院選挙において、新進党公認の候補を応援する旨、表明したと伺っております。事実でありますか。事実であるならば極めて遺憾であります。
 知事、あなたは、新進党の推薦を受けてはいるものの、無所属という立場で県民の審判を仰いでいるのであります。当選以前から態度を明確にするならばともかく、当選後の態度変更は、ある種公約違反との批判を浴びても仕方のない行為でありましょう。あなたは、人物本位を免罪符にしたいと企図しているようでありますが、知事選、参議院選の過程を見れば、心から納得する県民は極めてまれでありましょう。また、あなた以外の候補に寄せられた44万の支持にも思いをいたすべきであります。また、あなたが特定政党へ傾斜することにより、国政との連携が困難になるのではないかとの指摘があることでもあり、知事は、県民全体の利益に奉仕するとの姿勢を貫くと明言される以上は行動をもって示すべきであり、いやしくも自身の地位保全を優先し、特定勢力だけとの関係維持に腐心する愚を避けるべきであります。
 以上のことを勘案をすれば、あなたの記者会見での表明に対し同調し得る根拠は見出しがたいものであり、猛省を促すものであります。所見があればお伺いをいたします。
 最後に、知事、あなたは基本姿勢の第一に、清新で公正、県民にわかりやすい県政の実現を掲げました。その言やよしであります。県民の多くは、この点に強い関心を持っており、したがって、あなたの具体的行動の1つ1つを注視しております。政治は、理念において指導性を発揮し、結果において責任を負うものと考えます。あなたの言葉が行動となってあらわれることを県民とともに願い、代表質問を閉じます。御清聴ありがとうございます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 山内隆文議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、6月補正予算編成を終えての感想についてでありますが、今回の予算編成は、私にとりまして知事としての初めての予算編成ではありましたが、厳しい財政環境の中にありながらも、21世紀の県土づくりに向け、経済社会情勢の変化にも的確に対処するとともに、多様化する県民の行政需要に可能な限りこたえたいと考え、各般にわたり積極的に諸施策を盛り込んだところであります。その結果、予算規模では、地方財政計画を上回る実質5・3%の伸び率を確保し、福祉の充実や防災対策、ガット・ウルグアイ・ラウンド対策、円高対策など、緊急度や必要性などを勘案しながら、限られた財源の重点的かつ効率的な配分に努めたところであり、おおむね所期の目的どおりの予算編成ができたのではないかと考えております。
 次に、県北・沿岸地域の振興についてでありますが、御指摘のとおり、当地域においては、他地域と比較して所得水準において低位にあるほか、人口も若年層を中心として減少傾向にあります。私は、県土の均衡ある発展を実現するためには、産業経済の発展と県民生活の向上の両面から総合的な施策を展開することによって、当地域の持つ発展可能性を最大限に引き出しながら、個性や特色を生かした豊かな地域づくりを進め、その振興を図っていくことが極めて重要であると考えております。
 このような観点に立って、八戸・久慈自動車道や三陸縦貫自動車道などの高速交通体系を軸とした広域ネットワークの形成や、下水道などの居住環境の整備、都市機能の強化などを進めるとともに、地域資源を活用した農林水産業の振興や拠点工業団地等の整備、観光・リゾートの振興などによる産業の高度化と就業機会の確保などに努め、当地域の振興を積極的に図ってまいりたいと考えております。
 次に、県北・沿岸地域の振興のための新たな施策の展開についてでありますが、今年度において、地域高規格道路として三陸北縦貫道路及び宮古盛岡横断道路の整備を促進するとともに、新たに大槌町における全国豊かな海づくり大会開催を支援するためのアクセス道路などの整備や、二戸市におけるふれあい・やすらぎ温泉地の整備などに着手することとしております。
 今後におきましても、県北・沿岸地域の振興を図るために各分野における施策について検討を加え、3県総後期実施計画に反映させながら、その積極的な展開を図ってまいりたいと考えております。
 次に、県営施設等の配置についてでありますが、申すまでもなく、県営施設などの配置に当たっては、施設の性格や規模などに応じ、それぞれの設置目的に沿ってその機能が十分発揮できるよう、利用者の利便性なども含めて総合的に判断すべきものであると考えております。したがいまして、今後におきましても、当地域の持つ特性や実情なども十分考慮しながら、その適正な配置に努めてまいりたいと考えております。
 次に、中山間地域の農業振興に対する認識についてでありますが、中山間地域は県土の大半を占め、農業生産の大宗を担う重要な地域でありますので、本県農業の発展を期する上からも、これら地域の農業を一層振興してまいらなければならないものと存じております。こうした中山間地域の状況を見ますと、中間地域の比較的まとまった農地が開けている地域においては、野菜や酪農を中心とした土地利用型の農業が展開されているところであります。一方、山間地域においては、その大部分は傾斜地が多く、農地が分散しているなどの条件下にありますので、中間地域や平場地域と同じような効率の高い農業が成立しがたい状況にあり、こうした地域とは異なった形の農業の振興を図ってまいらなければならないものと存じております。したがいまして、これらの山間地域におきましては、地域の方々が創意工夫を凝らしながら限られた農地を最大限に活用し、新作物の導入や農産物加工など多様な経営部門を巧みに組み合わせることにより、言うなれば山間地域型の集約度の高い複合経営を展開することが肝要であります。しかしながら、こうした農業だけでは周年就業がしがたい状況にありますので、林業や観光、商工業など、各種の産業部門と連携しながら、農外所得の確保により、地域全体の所得の増大を図ることも重要であると存じております。こうした各般にわたる取り組みを促進するとともに、若者も魅力を持って定住できるような生活環境の整備を進め、活力ある地域社会の維持、形成を図ってまいらなければならないと存じております。
 なお、山間地域の産地づくりのための具体的な取り組み方策についてでありますが、特定農山村法に基づき、既に平成6年度において、各市町村が新作物の導入方針等を内容とする農林業等活性化基盤整備計画を策定したところであり、さらにこの具体的な計画として農業経営改善安定計画の策定を指導することとしておりますので、これらの計画に基づき、農業者の意欲的な取り組みを促進するとともに、関係機関、団体が一体のもとに支援指導を行うことにより、山間地域農業の活性化に向けた新たな産地形成を図ってまいりたいと存じます。
 次に、本県沿岸漁業等の今後の取り組みについてでありますが、議員御指摘のとおり、本県沿岸漁業は秋サケの不漁と魚価安によって低迷するなど、極めて厳しい状況下にありますことから、将来の展望を切り開いていくためには、つくり育てる漁業をさらに積極的に推進していくことが重要であると考えております。
 第1点目の高品位サケ・マスの生産につきましては、品質のよい早期ギン毛資源の造成について、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 第2点目の魚類栽培漁業の構築についてでありますが、本県漁業を振興するための最重要課題として積極的に推進してまいりたいと存じます。具体的には、現在、各界の専門家で構成する懇話会を設置して検討をいただいているところでありますので、当懇話会の提言を踏まえて、関係市町村や漁協関係者一体となって推進してまいりたいと存じます。
 3点目の一定海域ごとの試験研究等の充実についてでありますが、水産技術センターでは各海域ごとの特性を適正に把握するため、沿岸6地区にテレメーターブイを設置するとともに、調査船による観測を行っているところであり、今後とも各海域の特性を十分勘案した試験研究を進めてまいりたいと存じます。
 第4点目の内水面漁業への取り組みについてでありますが、アユ等の中間育成施設につきましては、今後とも要望にこたえて整備するとともに、内水面漁業の振興を図るため、新たにカジカの増殖等に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、種市町におけるゴルフ場開発計画についてでありますが、ゴルフ場等大規模開発行為につきましては、平成2年7月に制定いたしましたゴルフ場等大規模開発行為指導要綱に基づき、まず、ゴルフ場の総量規制を実施するとともに、個別の案件については事前協議を経て、環境影響評価の実施、開発協定の締結などについて適正な指導をしてきているところであります。
 お尋ねの種市町のゴルフ場開発につきましては、この指導要綱に基づく事前協議がありましたので、地元町長の意見を参考として、町の基本構想あるいは土地利用計画等との整合、地域振興への寄与、自然環境の保全及び災害防止等の面から、岩手県ゴルフ場等大規模開発行為調整協議会において総合的に審議、調整した結果、適当であると認められたところであります。このため平成4年12月、事前協議終了後の緒手続が適正に行われるよう、例えば、この通知は関係法令による許認可等の手続にかわるものでない趣旨などの一般的事項や、関係漁業協同組合に対し十分な説明をし、理解を得ることなどの個別的事項等、留意すべき事項を付して当該協議を了承する旨通知し、また、環境影響評価につきましても、公害の防止や自然環境の保全等の必要な意見を述べてまいったところであります。
 また、森林法に基づく林地開発許可申請につきましては、その前提条件として、事前協議の際の留意事項の内容を十分満足することが必要であると考えておりますが、それらを含めて申請要件が満足され、申請書が提出された場合には森林法に基づき慎重に審査を行い、適切に対処してまいる所存であります。
 次に、宮城県との漁業の操業区域に関する問題についてでありますが、この問題は長年にわたる宮城県との折衝の結果、一昨年、共同利用海域の設定により、問題の解決を図ることで宮城県と合意したところであります。当初、この考え方は、県内の漁業関係者の理解を得ることができませんでしたが、その後の話し合いの結果理解が得られ、現在、共同利用海域の範囲等について具体的な詰めを行っているところであります。
 この問題は、本県の漁業にとって極めて重要な問題でありますので、一日も早く本県漁業者との調整を終えて宮城県と折衝し、問題が早期に解決するよう最大限の努力をしてまいる所存であります。
 次に、警察力の整備についてでありますが、これまで我が国の治安のよさは、世界に誇り得る貴重な文化であると言わしめるほどのものでありました。しかしながら、現下の治安情勢は、我が国がこれまで経験したことのない未曾有の極めて深刻、困難なものであると認識しております。また、県内の治安情勢につきましても、10年来の犯罪認知件数などを見る限り増大の一途をたどっており、治安は悪化の傾向にあると言わざるを得ないものと考えております。
 警察本部におきましては、本部の要員を大幅に削って、第一線に配置するなどの努力をされていると聞いておりますし、県といたしましても、過去3年間で一般職の警察職員を10名増員し密漁対策などを強化したところであります。今後も、治安の低下を来すことのないよう、さらに多面的な警察力の整備充実に努めてまいりたいと考えております。
 航空警察の分野におきましては、盛岡周辺における大規模災害、重大事案への的確な対処を図るため、本年度からヘリコプターテレビ中継システムを導入することといたしており、事案の迅速かつ正確な把握によって飛躍的な対応能力の向上を期待しているところであります。今後も、広大な県土一円における各種事案への迅速な対処を図るべく、航空警察の整備充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、防災ヘリコプターの導入の見通しについてでありますが、本県におきましては、これまでも平成8年度までに導入を図るため、関係機関との協議を進めるなど、努力をしてまいってきたところであります。このたびの阪神・淡路大震災において、ヘリコプターが救急搬送や物資輸送等に多大な成果を上げたところでもあり、また、生活の安全確保に対する県民のニーズに的確にこたえるためにも、県としては、これまでのスケジュールをできるだけ早めることが必要であると考えております。したがいまして、防災ヘリコプターの早期導入に向け、市町村、消防機関の協力を得ながら、運航体制の整備を進めるとともに、国に対しその財政的な支援措置について強く要望し、できるだけ早い段階に実現できるよう最善の努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、副知事2人制についてでありますが、この制度は昭和42年以来採用しており、そのうち1人は国に派遣を要請してまいっているところであり、この間、県勢は順調な発展を遂げ県民生活も逐次向上してまいっておりますが、これは県民のたゆまぬ努力のたまものでありますとともに、副知事2人制を含む執行体制の強化に努め、各般の施策の積極的な展開を図ってきたところによるものであろうと考えているところであります。
 本県は、今まさに21世紀に向けた県土づくりの重要な時期にありますが、県立大学の整備や全国高等学校総合体育大会の開催準備などの当面する課題はもとより、高速交通幹線網の整備等の社会資本の充実、ウルグァイ・ラウンド合意の実施への対応を初めとする産業の振興というような課題に積極的に取り組んでいく必要があります。また、少子・高齢社会の到来を控え、すべての県民が健康で生きがいのある人生を送ることができる福祉社会の実現などの諸課題の解決に向けて、各般の施策を積極的に推進していく必要があると考えております。したがいまして、このように激動する内外の経済社会情勢に的確に対応しながら、所要の施策を着実に推進していかなければならないという現状にかんがみ、引き続き副知事2人制をとることが適当であると考えております。
 次に、今回の知事選挙についてでありますが、今回の知事選挙に際しましては、ひたすら私自身の人間と政策を知っていただくことを旨として努力をしてまいりました。その結果、多くの有権者の方々の厳粛な御判断をいただき、県政を担当することになったものと認識をしております。
 次に、県政執行上の透明性、公平性の確保についてでありますが、もとより行政は、法令に基づいて厳正、公平に執行されるべきものでありますから、私は、今後、できる限り幅広く県民の皆様の御意見を承りながら、清新で公正、県民にわかりやすい県政の実現を目指していきたいと考えております。このような姿勢で県政に臨むことについて県民の皆様の御理解を賜りたい、このように存じております。
 次に、知事選挙の際、私を支持した組織の内部文書についてでありますが、私は、そのようなものは承知しておりませんので、御了承願います。
 次に、参議院議員選挙の候補者の応援についてでありますが、知事という職は、地方公共団体の責任者としての立場と同時に、それが公選によって選ばれたものであるところからおのずと政治的な主張を持つものであり、私なりの政治的な考え方を県民の皆様にお示しすることが、私の公約でもあります透明性の高い、わかりやすい県政を推進する上からも妥当ではなかろうかと考えているところであります。いずれにいたしましても、私は、県政の責任者として常に県民の先頭に立って、公平、公正な県政の実現に向けて渾身の力を込めてまいりたいと考えております。
〇副議長(及川幸郎君) この際、暫時休憩をいたします。
   午後2時48分 休 憩
出席議員(49名)
1番 斉藤 信  君
2番 黄川田徹  君
3番 佐々木一榮  君
4番 小野寺好  君
5番 佐々木博  君
6番 中屋敷十  君
7番 大久保豊  君
8番 浅井東兵衛  君
9番 佐々木大和  君
10番 藤原泰次郎  君
11番 千葉 伝  君
12番 伊沢昌弘  君
13番 須藤敏昭  君
14番 折居明広  君
15番 田村正彦  君
16番 伊藤勢至  君
17番 佐藤一男  君
18番 瀬川 滋  君
19番 渡辺幸貫  君
20番 谷藤裕明  君
21番 三河喜美男  君
22番 水上信宏  君
23番 船越賢太郎  君
24番 久保田晴弘  君
25番 千葉 浩  君
26番 長谷川忠久  君
27番 村上恵三  君
28番 村田柴太  君
29番 藤原良信  君
30番 吉田洋治  君
33番 工藤 篤  君
34番 菅原温士  君
35番 菊池 勲  君
36番 小原宣良  君
37番 樋下正光  君
38番 藤倉正巳  君
39番 及川幸郎  君
40番 那須川健一  君
41番 伊藤 孝  君
42番 山内隆文  君
43番 佐藤正春  君
44番 千葉英三  君
45番 佐々木俊夫  君
46番 山門一郎  君
47番 菊池雄光  君
48番 佐藤啓二  君
49番 堀口治五右衛門  君
50番 吉田 秀  君
51番 藤原哲夫  君
欠席議員(1名)
31番 飯澤忠雄  君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時57分 再 開
〇副議長(及川幸郎君) 休憩を打ち切り、会議を再開いたします。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐藤啓二君。
   〔48番佐藤啓二君登壇〕(拍手)

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