平成7年6月定例会 第2回岩手県議会定例会 会議録

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〇30番(吉田洋治君) 吉田洋治でございます。
 我が同志、片方盛議員がきのうの朝、急逝いたしました。痛恨のきわみでございます。御生前のありし日をしのび、謹んで哀悼の誠をささげ、心より御冥福をお祈り申し上げます。
 私は、新進・公明を代表いたしまして、増田寛也新知事に対し、選挙公約、所信演述を中心に質問させていただきます。そして、本日のはえある代表質問の機会を与えていただきました同僚議員各位に対しまして衷心より厚く感謝申し上げます。
 さて、さきの第13回統一地方選挙は、県知事及び県議会議員選挙を初め、地方選挙が施行され、工藤知事の御勇退を受け、激しく厳しい選挙戦が展開されましたが、見事その栄冠に輝き、43歳という我が国日本で一番若い増田知事が誕生いたしましたこと、その栄誉を祝し、心よりお喜び申し上げる次第であります。選挙勝利は140万県民の厳粛な審判の結果であり、大いなる自信と誇りを持って県民の先頭に立ち、強力なリーダーシップを発揮していただきますよう念願するものであります。
 工藤前知事は、県職員の皆さんへのお別れの言葉の中で、これからの県政は増田寛也知事に託されました。活力にあふれ、心の触れ合う未来の岩手を担うにふさわしいすぐれた人材です。かつて若い大統領ケネディは、アメリカ全国民の希望の星でありました。職員の皆さんは、新しい知事のもとに結集して、一致協力、今まで以上のすばらしい県政を創造し、これを支えてくださるよう期待してやみませんと述べておられ、私は、増田知事が岩手全県民の希望の星となりますよう御期待申し上げる次第であります。
 私は、まず、知事が目指す活力に満ちた夢あふれる県土岩手づくりの推進に当たって、改めてその基本姿勢と強固な決意をお伺いするものであります。
 知事は率先垂範を心がけ、多くの仕事に前向きに取り組むとし、そして、ここ岩手に住んでいる人間にとって豊かさとは何かを原点として、21世紀を迎えるふるさと岩手づくりのため、情熱と信念を持ってあらゆる困難に立ち向かい、やり遂げるとする心意気、大変心強い限りであります。また、知事は、県民の皆様と語り、幅広く御意見をお伺いし、生活者の視点に立って県民に開かれたわかりやすい県政の実現に努めるとしておられますが、対話の県政のあり方についても知事の率直なお気持ちをお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、3県総の後期計画についてお伺いいたします。
 平成3年から始まった第三次岩手県総合発展計画は、今年度で中間年度を迎えたことにより後期実施計画の策定に着手することになります。知事は、施策の基本的な方向について、1、地域の発展を支える基盤の整備、2、活力ある産業の振興、3、豊かな長寿社会、思いやりのある福祉社会づくり、4、あすの岩手を担う人材の育成を挙げ、21世紀に向け、岩手の個性、独自性を十分に発揮しながら、国際的な視野に立って広く全国に多くの情報が発信できるような活力に満ちた夢あふれる県土づくりに取り組むとし、3県総後期計画の策定については、新たな課題や今後の経済情勢の変化を踏まえて進めるといたしております。
 そこでお伺いいたしますが、これまで進めてきた前期実施計画の評価と環境、情勢変化に柔軟に対応した新規事業や国の大型事業の導入など、後期計画の策定をどのように進めていくお考えなのか、基本的な考えについてお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、国際競争に打ちかつ農業の構築についてお伺いします。
 御承知のとおり、ウルグァイ・ラウンド農業合意によって、ことしから我が国の農業は、米を含め、あらゆるものが国際競争の中で展開される事態となりました。私は、こうした状況の中で、本当に国際競争に打ちかつ農業をつくっていくことができるのであろうかと懸念をしているのであります。確かに、国においては、国際競争力の強い農業を構築しようとして平成4年にいわゆる新政策を発表し、大規模農家の育成を目指して構造政策を展開しておりますが、規模の面、コストの問題等から見ましても、本当に外国農業に太刀打ちできるのであろうか、その行方を心配しながらも、国際競争に耐え得る生産性の高い農業を早急に実現しなければならないと思うのであります。私は、そのために農地の集積、大区画化、かんがい排水施設の拡充など、生産基盤の整備促進が重要と考えますし、県においても、これまで構造政策を進め、先般はウルグァイ・ラウンド合意関連対策推進方針を公表したところであります。知事は、選挙を進めるに当たっての政策の重点の第1に基幹産業である農林水産業の活力ある発展を掲げ、その課題として、米の部分開放を含んで国際競争に打ちかつために農林水産業を再構築するとしておりますが、特にも農業政策においてどのように再構築し、どのように展開していこうとなされているのか御所見をお伺いします。
 次に、今後の水産業の振興方策についてお伺いします。
 本県の水産業は、ことしは春漁のイサダやイカナゴ漁業が好調で、さい先のよいスタートを切っておりますが、タラ、イワシ、サバなどの資源は依然として低水準にあります。また、水産物の輸入増加に伴う価格の低迷や漁業就業者の減少、高齢化の進行に加え、日本の花形的存在であった遠洋漁業は国際的な漁業規制の強化により縮小を余儀なくされるなど、厳しい状況にあります。特に昨年は、秋サケが価格の暴落と県南地域を中心とする不漁によって大きな打撃を受けたところであります。本県は、これまで沿岸域の恵まれた漁業条件を有効に活用して栽培漁業の振興を図り、全国でも有数の水産食料供給基地として位置づけられてきたところでありますが、水産業を取り巻く環境が一段と厳しさを増していることから、21世紀を展望して魚類栽培を積極的に推進していくことが肝要であると考えております。また、後継者対策を積極的に進め、水産業を夢の持てる魅力ある産業にするとともに、住民が誇りを持てる漁村に整備することが重要であると認識しているところであります。
 そこで知事、このように国内外の情勢が厳しい中にあって、水産業の振興をどのように進め、漁村の活性化を図っていくお考えなのか、その基本的考えについて御所見をお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、21世紀の国産材時代への対応についてお伺いいたします。
 本県は北海道に次ぐ森林県であり、木材の生産量も全国第2位の地位を占めていると承知しておりますが、間もなく到来する21世紀には、その森林資源の内容がさらに充実し、今以上の木材の供給が可能になると存じます。しかし、林野庁の資料によりますと、平成5年の我が国の木材の供給量のうち輸入材の割合が実に76%にもなっており、輸入材の割合は今後さらに高くなるのではないかとさえ言われておりますことから、国産材のシェアはますます狭められることが懸念されるところであります。一方、国内における国産材の産地間競争は既に始まっており、今後、外材との競争に加えて、国産材のシェア争いは一層厳しくなるものと予想されます。このため、私は、県産木材の一層の需要拡大を図っていくためには、県産材のブランド化などを推進し、本県産の杉、アカマツ等のより一層の需要拡大を図っていくことが肝要と考えるものでありますが、知事は、県産木材の需要拡大に今後どのように取り組んでいこうとするのかお伺いをいたします。
 次に、行政改革についてお伺いします。
 新進党は、たゆまざる改革、責任ある政治を目指す観点から、行政改革の積極的な取り組みを進めるべきものと考えております。本県は所得水準が全国との比較でなお低位にあり、また、県内においても地域により格差が見られるなど、県土の均衡ある発展を基本的な課題として抱えており、あるいは若者の県外流出、高齢化社会への対応など、多くの課題が山積しております。こうした課題への取り組みを推進するためには、行政改革を引き続き強力に全庁的に推進し、行政の簡素化、効率化に努め、生じた余力を必要な課題に投入していくことが重要であると考えるのでありますが、行政改革に対する基本的な考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、私は、行政改革を進めるに当たり、政策審議や各種審議会委員に女性の登用を図るべきと考えております。知事は、社会のあらゆる分野に男性と女性がともに参画し、その能力が十分に発揮できる男女共生社会の形成が不可欠であるとし、その実現に向けて意識の啓発やさまざまな条件の整備に努めるとしておりますが、男女共生社会の実現に向けてどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします
 次に、福祉の問題についてお伺いします。
 我が国は、人類がかつて経験したことのない高齢化社会に向かって進んでおり、本県もまた全国を上回る速さで高齢化が進んでおります。このような状況において、増田知事は、その公約において、豊かな長寿、思いやりのある福祉社会づくりを進めるため、福祉施策に力点を置き、少子・高齢者対策を進めるといたしまして福祉立県を標榜され、また、所信表明においても、健康で生きがいのある人生を送ることができる福祉社会の実現に積極姿勢を示しておられます。私は、これまでの主張として、県民がひとしくふるさと岩手に住み、また、住んで誇れる郷土とするためには、豊かな福祉優先社会を形成することが重要であることを提起してきたところであります。
 そこで改めてお伺いしますが、今後、福祉社会の形成についてどのような基本姿勢で臨もうとしておられるのかお伺いします。
 また、本県は、昨年、高齢者保健福祉計画を策定し、高齢者対策を推進しており、全国的にも高い水準にあることは評価しているものであります。しかしながら、一方で障害者施策についてはより一層の推進が望まれております。一例を申し上げるならば、筋ジストロフィー患者の状況を見ますと約180人の疾患者がおり、その一部は県外の施設に入所し、大半は在宅で生活し、車いすでの移動についても制約が多い状況であります。また、知的障害者についても近年はその重度化の傾向があり、中軽度対策については福祉作業所の普及など一応の成果が上がっているものの、今後においては、在宅介護を進める一方で、介護者の負担の軽減にも配慮しながら重度の障害者施策を推進していく必要があると思うのであります。今後、この重度障害者施策をどのように進めていくのか、基本的な考えをお示し願いたいと思います。
 次に、円高等雇用対策と新卒者の就職戦線についてお伺いします。
 最近の急激な円高は、昨年6月に100円台であったものがことし3月に80円台、4月19日には70円台と進行し、予断を許さない為替動向となっています。そのことにより、本県においても海外直接投資の活発化や製品輸入の拡大による産業の構造変化が生じ、円高の影響を受けるおそれのある業種を中心に雇用面に悪影響が及ぶことが懸念されております。特に、本県は中小企業が多く、しかも下請依存度が高い状況の中で、雇用の維持、確保を図っていくことは本県の経済政策上、正念場と考えるものであります。また、来春卒業予定者の学生の就職戦線は6月20日から県内の職業安定所で一斉に始まりました。ことしの就職環境は、長引く円高や企業のリストラなどが背景となって、4月の完全失業率が4・2%と統計史上最悪となったことで3年連続の狭き門の厳しい就職戦線が展開されるものと思います。昨年は、就職できずに泣き寝入りしないよう学生さんたちの陳情が県議会にあったほどで、1万数千人余りの学生生徒の就職活動に万全の体制で取り組まなければなりません。
 そこでお伺いしますが、円高等に関連する雇用対策をどう推進するのか、来春卒業予定者の就職戦線をどう展開していくのか基本的な考えをお示し願いたいと存じます。
 以上で私の代表質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 吉田洋治議員の御質問にお答えいたします。
 まず、活力に満ちた夢あふれる県土づくり推進に当たっての基本姿勢と決意についてでありますが、私は、県政はすべての県民のためのものであり、県政の究極の目標は、県民の皆様の1人1人が心から幸せを感じるとともに、夢を抱き、生きがいを持って暮らすことのできる社会を実現することにあると考えております。このため私は、できるだけ多くの機会を設けて県民の皆様と語り合い、幅広く御意見をちょうだいしながら、県民に開かれたわかりやすい県政の実現に努めるとともに、すべての県民の英知と創造力を結集し、本県の発展可能性を最大限に引き出しながら県政を推進してまいる考えであります。
 このような基本姿勢のもとに、私は、岩手の個性、独自性を十分に発揮しながら、経済活動や県民生活の基礎となる社会資本の整備を進め、本県の基幹産業である農林水産業を一層活性化するとともに、商工業等の振興を図ってまいります。また、保健医療、福祉の充実や教育、文化、スポーツの振興を一層推進するなど、生活者の視点に立って県民1人1人が安全で豊かさを実感できる生活の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
 本県を取り巻く諸情勢は大きく変化をしてきております。このような中にあって、私は、21世紀に向けた県土づくりに大胆に挑戦をし、柔軟な発想と情熱、信念を持ち、常に県民の先頭に立ってあらゆる困難に立ち向かい、県勢の発展と県民生活の向上に取り組む決意であります。
 次に、対話の県政のあり方についてでありますが、私は、県民の皆様の御意向を広くお聞きし、可能な限り県政に反映させるとともに、県政の現状や課題、施策などについて御理解と御協力を得ることが何よりも大事なことと認識をしております。このため、県内各地にお伺いし、県民の皆様の御意見、御提言を直接お聞きする県政懇談会をできるだけ早い機会に全市町村を回る意気込みで積極的に開催してまいりたいと考えております。
 また、県政が抱える産業や福祉などの特定の課題について、それらに携わっておられる方々から経験に基づいた生の声をお聞きするとともに、21世紀の岩手を担う青年との懇談会を新たに開催するほか、従来から実施している県政モニターや、さらには県外に在住しておられる本県に縁のある方々からも御意見をいただくなど、あらゆる機会をとらえて多くの県民の皆様と語り合い、幅広く御意見をお聞きし、県政に反映してまいりたいと考えております。このほか、地域住民に直接接している地方振興局などの職員とも十分に意思の疎通を図り、県民に開かれたわかりやすい県政の実現に努めてまいりたいと考えております。
 次に、第三次岩手県総合発展計画、いわゆる3県総の前期実施計画の評価と後期実施計画策定の基本的な考え方についてでありますが、本県におきましては、これまで3県総の積極的な推進が図られてきた結果、高速交通網や上下水道などの基盤整備が進み、また、農林水産業の振興、先端技術産業の立地、さらには各種試験研究機関の整備などにより産業経済活動が活発化するとともに、長寿社会に対応した保健医療、福祉の体制や教育環境の充実が図られるなど、県勢は着実に発展してきているものと考えております。
 後期実施計画につきましては、このような前期実施計画の成果を踏まえ、また、国際化、少子・高齢化、高度情報化、さらには環境保全への要請の高まりなど、経済社会情勢の変化に適切に対応するほか、特に、急激な円高の進行やウルグァイ・ラウンド合意の実施による地域経済への影響あるいは安全な県土づくりなど、新たな課題に積極的に取り組むとともに、新しい経済計画や全国総合開発計画の策定など、国の動向をも十分見きわめながら策定してまいりたいと考えております。
 次に、国際競争力の強い農業の再構築についてでありますが、本県は広大な農地と変化に富んだ気象条件を有しており、こうした恵まれた自然条件などを活用しながら多彩な農業が展開され、全国に誇り得る優良な産地が各地域に形成されてきております。私は、こうしたこれまでの成果を踏まえながら、21世紀を展望し、本県農業の一層の発展を図るためには、第三次新いわて農業確立計画の目標達成に向け、このたび策定した岩手県ウルグァイ・ラウンド合意関連対策推進方針による諸対策等の加速的な推進により、この6年間のうちに盤石な体制を築き上げていかなければならないと考えております。
 このため、まずもって気概のある生産者の経営の確立に向けた取り組みを重点的に支援し、その経営能力が最大限に発揮され、豊かさ、楽しさが実感できるような農業を早急に実現するとともに、地域が有する農地や労働力、機械施設等の農業資源を高度に活用する地域ぐるみ農業のさらなる展開を図っていくことが重要であると存じております。また、農業生産基盤の整備など、生産条件の飛躍的な改善を図りながら、農産物の低コスト、高品質生産やブランド化などを進め、競争力のあるたくましい産地づくりを一層強化するとともに、今後はこうした物の生産供給に加え、食を軸として、食にまつわる岩手の風土や文化、歴史などを丸ごと発信する、いわゆる食の文化発信基地の形成に努め、岩手のイメージアップ、ひいては県産農産物や加工品の有利販売、農村の活性化につなげてまいりたいと考えております。こうした経営づくり、産地づくり、さらには食の文化発信基地づくりに向けた取り組みを県内各地域において強化することにより、国際化の波を乗り越える力強い農業が必ずや構築されるものと確信をしております。
 次に、今後の水産業の振興方策についてでありますが、沿岸地域をより豊かにするためには、基幹産業である水産業の振興が極めて重要であると考えております。議員御指摘のとおり、本県水産業を取り巻く環境は極めて厳しい状況にありますが、幸い、本県は世界有数の恵まれた三陸漁場を有しておりますので、私は、その特性を十分に生かしながら、つくり育てる漁業を一層推進することにより、21世紀に向かって本県水産業の展望を切り開いていけるものと確信しております。具体的には、漁場や漁港の整備を進めるとともに、これまでのワカメやアワビ、ウニ等の栽培漁業に加え、ヒラメやマツカワ等の魚類栽培を積極的に推進してまいりたいと存じます。
 また、消費者ニーズに対応した新商品開発や近代的な高次加工施設整備を積極的に進めるなど、生産から加工、流通に至る一貫した体制を整備し、輸入水産物に対抗し得る足腰の強い水産業を築いてまいりたいと存じます。
 さらに、漁業の担い手対策や漁業協同組合の合併を推進して経営基盤を強化するとともに、快適な生活環境を整備し、魅力ある漁村社会を創造してまいりたいと考えております。もとより、このような施策の推進に当たっては、関係者が一丸となって取り組むことが重要でありますので、市町村及び関係業界と手を携えながら各般の施策を講じてまいりたいと存じます。
 次に、21世紀の国産材時代への対応についてでありますが、本県は県土の約8割が森林であり、林業の振興は県政の重要な課題であると認識をいたしております。御案内のとおり、林業を取り巻く環境は非常に厳しい状況にありますが、幸い本県は、杉、アカマツ、カラマツや広葉樹など、多種多様な森林資源に恵まれており、全国第2位の森林県でありますので、私は、この豊かな森林資源を有効に活用し、木材の生産から加工、流通に至る総合的な整備を21世紀に向かって進めていけば、本県は我が国の木材供給基地として確固たる地位を確保することが可能であると確信をしているところでございます。このためには、議員御指摘のとおり、外材や国産材との競争に打ちかつことが重要でありますので、高性能林業機械の導入や林道網の整備を進めるとともに、集成材やプレカット等の高次加工施設や情報ネットワークの整備を進めるなど、加工、流通体制の整備を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 また、県産木材の一層の需要拡大を図っていくためには、消費者に信頼されるブランド化の確立が何よりも必要でありますので、九戸地域のアカマツや気仙地域の杉等のブランド化を積極的に推進をし、本県木材産業の育成と県産木材のより一層の需要拡大に努めてまいりたいと存じます。
 次に、行政改革についてでありますが、今後厳しい状況が続くと予想されます行財政環境の中で、本格的な高齢化社会を迎え、社会経済情勢の変化に伴う新たな課題に適切に対応するとともに、県勢発展に必要な施策を強力に推進するためには、限られた行財政資源を最大限に活用して、機動的かつ効率的な行政執行体制の整備に努めることが肝要であると存じております。行政改革は、もとより簡素で効率的な行政運営を目指すものであり、各般にわたる事務事業の整理合理化によって生じる行財政上の余力を一層強化すべき部門や事業に重点的に振り向けて、新しい時代に即応できる施策を推進するといった積極的な一面を持つものであると考えております。今後におきましては、行政の組織、運営全般にわたる全庁的な総点検を行い、従来の考え方にとらわれない柔軟な発想を大切にしながら、事務事業を見直すとともに、個々の職員が意欲を持って仕事に取り組むことのできるような職場環境の整備に配慮し、県民の理解と協力のもとに引き続き行政改革の推進に積極的に取り組んでまいる所存であります。
 次に、男女共生社会の実現に向けた取り組みについてでありますが、本県におきましては、御案内のように、これまでもいわて女性さわやかプランに基づき、21世紀に向けた総合的な施策の推進を図ってまいりました。この結果、社会に果たす女性の役割に対する県民意識も高まり、女性の地位と福祉の向上のための条件整備が図られ、女性の社会参加が進んでまいりました。今後におきましても、平等意識の啓発や多様な生き方の選択を可能にする条件の整備などのほか、少子・高齢化社会に対応した施策の推進に努めてまいります。
 このため、新たな洋上研修の実施、子供や高齢者を一時的に預かる機能を持った勤労者家庭支援施設の建設、育児休業の普及促進のための融資制度の創設などのほか、乳児保育や時間延長型保育の促進などにより子育てに優しい環境づくりを進めるなど、社会のさまざまな分野に女性が進出し、その能力を十分に発揮できるよう、男女共同参画社会の実現に向けた諸施策を鋭意進めてまいります。
 次に、福祉社会形成の基本姿勢についてでありますが、少子・高齢化が進む中で、県民1人1人が幸せを感じ、生きがいを持って暮らすことができる生活を実現することは極めて重要であるとの考えのもとに、豊かな長寿、思いやりのある福祉社会づくりを進めてまいりたいと考えております。
 このため、県民の生涯を通じた健康と生きがいづくりの積極的な推進はもとより、すべての県民が必要とする保健医療、福祉サービスを受けられる体制の整備を図るとともに、ノーマライゼーション理念を基本とした社会づくりや子育てに優しい環境づくり、障害者等の自立の助長と社会参加の促進、さらには地域の中で相互に支え合う心をはぐくむ人づくりなどを推進してまいります。
 次に、重度障害者施策推進の基本的な考え方についてでありますが、重度の障害を持つ方々が自宅や施設等において充実した生活ができるよう、条件を整えることが重要であると考えております。
 このため、在宅において生活することが困難な方々のための福祉施設の計画的な整備を促進するほか、外出等を容易にする生活環境の整備、住宅改造の支援、就労の場の確保及び文化、レクリエーション活動の普及等を図ってまいります。
 さらに、長い間障害者を介護している方々の負担の軽減を図るため、ショートステイ、デイサービス、ホームヘルパー派遣等の居宅生活支援事業を拡充するなど、積極的に施策の充実を図ってまいりたいと存じます。
 次に、円高等雇用対策についてでありますが、御案内のとおりの急激な円高のもとで、本県企業にも倒産、事業所の閉鎖などが見られるところでありますが、県民の雇用の安定を図ることは県政の喫緊の課題であります。これまでは、不況時における雇用対策として、雇用調整助成金の活用により雇用調整による離職者発生の未然防止に努めてまいったところでありますが、7月1日からは、特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法に基づき、雇用調整助成金の適用範囲が不況による雇用調整だけでなく、円高などに関連した構造転換による雇用調整に対しても拡大されるので、これを活用して雇用維持に努めるほか、円高等により、やむなく離職者が発生することが見込まれる場合には、同法律に基づく出向、再就職に係る助成措置をも活用し、失業を経ずに再就職できるよう努めてまいりたいと考えております。このため、県に円高等雇用対策協議会、県内各公共職業安定所に円高等雇用対策連絡協議会を設置し、商工団体等と連携しながら雇用動向をきめ細かく把握し、雇用調整助成金の活用、出向、再就職のあっせん等を円滑に進めるなど、雇用の安定に努めてまいる所存であります。
 次に、来春卒業予定者の就職についてでありますが、急激な円高による先行き不透明感から、求人受理状況は、高卒、大卒等とも前年に比べて減少しているところであります。私は、来春の新規学卒者の就職戦線は厳しいものがあると認識しており、このため、商工団体や個別企業に対して就職難についての理解を求めつつ、求人拡大要請を積極的に行ってまいる考えであります。さらに、県内各公共職業安定所を通じ、求人開拓に努力するよう指示するとともに、各教育機関とより一層の連携を図り例年以上に就職指導を行うほか、求人情報の提供等も早期に行うなど、就職支援策を積極的に展開してまいる所存であります。
 以上であります。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、山内隆文君。
   〔42番山内隆文君登壇〕(拍手)

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