平成7年9月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号と第12号について、知事並びに関係部長に質疑いたします。
 95年度一般会計補正予算について、官官接待で大きな社会問題になっている食糧費が、635万4、000円が新たに計上されていますが、どういう理由でしょうか。特に、精神保健費が294万8、000円追加されている理由はなぜでしょうか。9月補正を加えると、95年度の食糧費は3億4、907万円余になると思われますが、前年比、前々年比ではどうなっていますか。
 また、款ごとの食糧費について明らかにしていただきたい。
 一部新聞報道にある3億9、700万円とはどういう数字でしょうか。総務部財政課が作成している予算事務提要によると、食糧費の単価が示されているようですが、具体的に明らかにしていただきたい。
 一昨年までは東京での接待についても単価が示されていましたが、どういう単価でしょうか。なぜ昨年から東京については削除となったのか。東京での接待は青天井ということでしょうか。
 また、特別の事情により、この単価によりがたいものについては、その都度、財政課長に合議して決定するものとするとありますが、一昨年、昨年、そして今年度、合議決定した件数はどれぐらいでしょうか。あったとすればどういう特別の事情でしょうか。その場には知事は出席しているのでしょうか。
 知事に伺います。
 知事は、9月18日の定例記者会見で、食糧費による官官接待について、県税を使っており、県民が納得できない執行はできない、精査し、予算面でかなりの額を減少させる必要があると述べたと報道されています。昨日の本会議での答弁では下半期20%の削減を表明しました。
 1つ、この発言は、食糧費による官官接待について、実態を調べた上での発言でしょうか。20%削減の根拠は何でしょうか。
 2つ、一昨年は3億9、400万円の食糧費が支出され、東京事務所の場合、夜などの宴会が607件7、108万円の官官接待が行われていますが、これは県民の納得を得られるものと考えていますか。
 3つ、93年度でも、13人で70万円、1人当たり5万円以上の接待、昨年も監査委員の記者会見によれば、4人で20万4、000円、1人当たり5万円以上の接待がありましたが、これらは県民の納得を得られるものと考えますか。
 4つ、知事は、昨日の答弁で食糧費の下半期20%削減を表明しましたが、今回の補正では、削減どころか増加しているのはなぜでしょうか。
 5つ、これまでの官官接待で具体的にどういう効果があったと考えていますか。
 6つ、官官接待について、高知県が全廃、鹿児島県、宮城県、そして秋田県が原則廃止との態度を既に明らかにしていますが、知事はどう受けとめていますか。岩手ではなぜ廃止できないのですか。
 7つ、知事、県職員が市町村から接待を受けていることはないですか。実態を掌握していますか。今後の対応について示されたい。
 次に、議案第12号政治倫理確立のための知事の資産等の公開に関する条例について質疑いたします。
 そもそもこの条例の制定が求められるようになったのは、リクルート事件、佐川急便事件、金丸不正蓄財事件、国と地方自治体にかかわる公共事業発注をめぐるゼネコン汚職事件の続発など、金権腐敗政治への国民、県民の怒りの広がりがありました。これらの事件の大もとには、企業などの献金によって行政が左右され、政治家が私腹を肥やすという構造がありました。これを断ち切るためには、根本にある企業団体献金を完全に禁止することが不可欠であると考えます。企業団体献金を受け取らないことが政治腐敗防止の上で不可欠のものと考えますけれども、知事、いかがでしょうか。みずからかかわる政治団体のものを含め、企業団体献金を受け取らないことを盛り込むべきではないでしょうか。
 資産公開制度について、今回の条例案は自治省のモデル案と違うところがありますか。資産公開の実効性を確保するためには、1つ、報告の対象として、知事等として、副知事、出納長も対象とすべきではないでしょうか。また、その配偶者と扶養親族名義のもの、また、秘書など、他人名義であっても実際上本人のものも対象とすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 2つ、報告すべき資産等から預貯金で普通預金などを報告から除いていますけれども、普通預金などに多額の残額を残しておけば資産が明確にならないのではないでしょうか。一定額、例えば100万円を超える預貯金については当座預金、普通預金、通常郵便貯金についても報告することが必要と考えますが、どのような判断のもとに除外規定に盛り込んだのか伺います。
 自動車、船舶、航空機及び美術工芸品の報告については、取得価額だけでなく、時価100万円を超えるものを対象にし、貴金属等も加えるべきと考えますが、いかがでしょうか。報告では資産の増加だけでなく、減少分も含めるべきではないでしょうか。
 資産公開の報告の正確さの確保のためには、第三者機関がチェックを行い、これにより資産報告書への有権者の信頼を高めることが必要と考えます。
 私が建議の条例案で既に意見を出しておりますけれども、知事の資産公開条例にも審査会の設置が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 なお、回答によっては再質疑をいたします。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) ただいまの斉藤信議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、食糧費の関係でございますが、食糧費の支出につきましては、昨日もこの本会議の席上で申し上げたところでございますけれども、それが公費をもって賄われているということにかんがみまして、簡素かつ公正を旨として、節度ある対応と法の定めにのっとった適正な予算執行を図ることが必要である、このように認識をしております。このため、食糧費の執行に当たりましては、従前にも増して厳正な執行を確保するよう職員を指導しております。また、あわせて、本県といたしましては、今回のような措置を講ずることとしたところでございます。
 なお、今回の補正におきまして食糧費を計上いたしましたのは、それぞれの事業費の補正に伴いまして、これらの事業を円滑に進めるため必要最小限の経費を計上したものでございます。
 それから、資産公開の関係でございますが、この資産公開制度は、公職者がその資産を公開することによりましてみずから襟を正し、その職務執行に当たり公正を示し、国民の信頼にこたえよう、こういう趣旨の制度でございます。この資産公開条例は、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律、この法律の第7条の規定に基づき制定しようとするものでございまして、したがいまして、条例に規定する内容につきましては、法律に定めております国会議員の措置や自治省から示されたモデル条例、これを基本としておりまして、さらに、既に制定をしています東京都や宮城県の条例をも参考にして、さらには、これから制定をいたします他県の動向も勘案しながら取りまとめ、今回の案が最善のものであるということで提案をしたものでございます。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) まず、食糧費につきまして、今回の食糧費の計上につきましては、各事業の円滑な推進を図る上で必要最小限の経費を措置しようとするものでございます。
 また、精神保健費に係る食糧費の追加につきましては、地域精神保健対策を推進するため、計画策定等のための協議会を保健所ごとに設置することとしておりまして、その運営に係る経費について、国庫補助金を導入して措置しようとするものでございます。
 それから、食糧費の予算計上につきましては、制度上は、議案とともにお配りしております予算に関する説明書の事項別明細書に示された節区分がございますが、これの第11節需用費というのがございます。この需用費の中には、食糧費とか、あるいは印刷製本費とか、光熱水費とか、こういうのが含まれますけれども、この需用費の枠内で執行が認められているということになりますけれども、本県の場合には、需用費のうち、あらかじめ事業ごとに予定される食糧費の額につきましては事項別明細書の説明欄においてこれを明記している、こういう扱いをしております。私、全都道府県を知っているというわけではありませんけれども、この種の取り扱いは他県では余り例がないのではないかと思っております。
 この額を合算しまして、お尋ねのありました近年の伸び率を申し上げますと、7年度対6年度ではマイナス0・3%、7年度対5年度ではプラス6・0%と計算されます。それから、款別について申し上げますと、9月現計で、第1款の議会費1、106万円余、第2款総務費7、762万円余、第3款民生費1、688万円余、第4款衛生費2、572万円余、第5款労働費697万円余、第6款農林水産業費9、592万円余、第7款商工費1、877万円余、第8款土木費4、580万円余、第9款警察費966万円余、第10款教育費3、307万円余及び第11款災害復旧費757万円余、こういうふうになるものであります。
 それから、食糧費につきまして、いろいろな基準があるんじゃないかという話でありますが、食糧費の予算につきましては、予算事務担当者における執行上の目安を定めるという趣旨で一定の目安があるわけでありますが、これは、同種の経費が多部局にわたることもありまして、予算要求上の目安等の趣旨から設けたものでありまして、いわば技術的なものであり、一定の額を保証したり、あるいは固定的に定めるといったものではございませんで、いずれ必要な範囲で、できる限り少ない経費とするよう適正な執行に努めているところであります。
 それから、中央との関係あるいは市町村との関係をあわせて御指摘があったと存じますけれども、いずれ県といたしましては、食糧費の支出が公費をもって賄われているということにかんがみ、簡素かつ公正を旨として、法の定めにのっとった適正な予算執行を図ることが必要であると認識しております。
 また、県と市町村の関係におきましても、社会的な批判を受けることのないよう節度ある対応を図るべきことについて、これは知事からも指示を受けているところであります。また、当職から職員に対しましてもこの趣旨の徹底を図っているところであります。
〇1番(斉藤信君) 答弁漏れがかなりありましたので、1つはまた改めて知事に質問しますけれども、20%削減の根拠は何か。なぜ廃止にならないか。知事は、市町村からの接待を受けていることはないか。また、官官接待について調査をしているか。これを改めてお答えいただきたい。
 市町村からの接待については、盛岡市も今、調査をして、10月5日にはわかるそうです。二戸市の官官接待について、こういう報告があります。31件、総額230万円、これは94年度です。このうち、中央官僚は6件、40万円、県職員は25件、190万円。二戸市の場合、官官接待の主要な対象は県職員、件数で80%、額で83%になります。官官接待の二重構造と言うべきものです。私はこの点で、こういう実態を県が調べて、直ちに中央官僚への接待はもとより、市町村からの接待も受けない、受けるべきでないとはっきりと指示をすべきだと思いますけれども、明確な答弁をお聞きしたいと思います。
 次に、秋田県では科目更正の名のもとに、公共事業の事務費から食糧費が使われていたことがありましたけれども、岩手ではこういうことがないかどうか。
 食糧費の情報公開について、接待の相手先、県側参加者、会場について、全国の状況を見ますと、少なくないところで公開をしています。なぜ岩手ではこの3つすべて非公開なのか、その事情について明快な答弁をいただきたいと思います。 
 いずれにしても、いわゆる県民の税金による官官接待、宴会政治は、県民に背を向けた行政のゆがみの象徴だと考えます。知事の責任で全面的な調査を行い、公開をする、そのことを強く求めたいと思います。その上で中央官僚への官官接待も市町村からの官官接待も直ちに廃止する、こうした措置をとるよう求め、明確な答弁を求めます。
 以上です。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、斉藤議員からお尋ねがございましたけれども、特に市町村との関係でございますが、私自身が市町村長さんからそういった形で接待を受けたということはございませんで、市町村長さん方に失礼のないように、そして、市町村との十分な連携がとられるようにこれからも行っていきたいと、このように考えているところでございます。
 それで、やはりいわゆる食糧費の執行の問題につきましては、いろいろな議論、そして御意見が多々あることは十分承知をしているところでございまして、こうした御意見に謙虚に耳を傾けながら、私どもこれからなお一層食糧費の厳正な執行に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) 秋田県の例をお引きになりまして科目更正等はないかどうかというお尋ねでありました。私ども、基本的に職員、一生懸命仕事をやっておりますし、不適正なことをしていないつもりであります。ただ、この種の問題につきましては、例年でありますけれども、監査委員の監査を受けますし、また、補助金については時期に応じて会計検査なども受けるわけでありますから、こういった検査あるいは監査なりの御指導を踏まえながら、正すべきは正してまいりたいと思っております。
 それから、情報の公開の問題についてでありますが、この公文書公開につきましては、県としましては、それぞれの情報内容ごとに、本県の公文書公開条例の規定にのっとって開示されるもの、開示されないものを決定したところでございます。
〇議長(堀口治五右衛門君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、お諮りいたします。認定第1号から認定第3号まで、以上3件については、50人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査をすることにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、認定第1号から認定第3号まで、以上3件については、50人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することに決定いたしました。
 お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長を除く全議員を指名したいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、議長を除く全議員を決算特別委員に選任することに決定いたしました。
 決算特別委員会は、委員長互選のため、10月2日午前10時に特別委員会室に招集いたします。改めて招集状を差し上げませんので、御了承願います。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第24号までは、お手元に配布いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれの所管の常任委員会に付託いたします。
委員会付託区分表
 (第3回県議会定例会平成7年9月29日)
総務委員会
1 議案第1号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第2款、第9款
   第2条第2表中
    1 追加中 1
   第3条
2 議案第12号
3 議案第13号
4 議案第14号
5 議案第15号
6 議案第24号
福祉文教委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款、第10款
   第2条第2表中
    2 変更中 1、10
2 議案第16号
保健商工委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第4款、第5款、第7款、
2 議案第6号
3 議案第17号
4 議案第18号
農林水産委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款、第11款第4項
   第2条第2表中
    1 追加中 2
    2 変更中 2、3、4、5
2 議案第2号
3 議案第3号
4 議案第4号
5 議案第5号
6 議案第7号
7 議案第8号
8 議案第9号
9 議案第19号
10 議案第20号
11 議案第23号
土木委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第8款、第11款第2項
   第2条第2表中
    1 追加中 3
    2 変更中 6、7、8、9
2 議案第10号
3 議案第11号
4 議案第21号
5 議案第22号
   休会の日における開議について
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、この際お諮りいたします。10月3日は委員会審査のため休会とすることに議決されておりましたが、国の経済対策に呼応した補正予算案審議のため、特に会議を開くことにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、10月3日は、国の経済対策に呼応した補正予算案審議のため、特に会議を開くことに決定いたしました。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時46分 散 会

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