平成7年9月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇8番(浅井東兵衛君) 自由民主党の浅井東兵衛でございます。
 初めての質問でありますので、意の尽くせないところあるいは適正を欠く箇所もあるとは思われますが、御寛容のほどお願い申し上げます。
 第1番目に、まず、経済環境の急激な変化に伴う県勢の発展計画について知事にお尋ねいたします。
 知事は、さきの6月県議会定例会におきまして、21世紀の岩手の創造に向けて大胆に挑戦し、柔軟な発想と情熱、信念を持ってあらゆる困難に立ち向かうと言われております。実に若さにあふれた頼もしい決意と評価するものでありますが、同時に、県民1人1人が心から幸せを感ずるとともに、夢を抱き、生きがいを持って暮らすことのできる生活を実現するとも言っておられます。まことに結構な所信であり、これに全幅の賛意を表するものであります。
 さて、我が国は去る8月15日に終戦50周年を迎えました。この終戦は、それまでの軍国主義、全体主義から民主国家への大転換をもたらしたのでありますが、この民主主義に基づく国政の安定は、その後驚異的な経済の復興となり、さらに順調な高度成長を続け、今日においては戦後の混乱期には到底想像すらできなかった豊かさが我々の日常生活の上に実現されたのであります。さらには、国際的にも、米国、欧州連合とともに世界経済をリードする3極の一員として、より高い役割を果たすべく位置づけられている現状でありますが、我が岩手県におきましても、この日本経済の成長とともに今日まで着々と発展を遂げてまいったことは、県民各位とともに、まことに御同慶の至りであります。しかしながら、振り返ってみますと、戦後半世紀近くも続いたこの繁栄も、実は東西冷戦構造下における繁栄であったわけであります。1989年から91年にかけてのあのベルリンの壁崩壊に象徴される東欧民主主義革命と東西イデオロギー対立の終えん、すなわち東西冷戦の終えんによる世界政治構造の大変革は当然世界経済の急激な変動を招き、それが我が国には大幅な円高をもたらす結果となったのであります。すなわち、1989年12月末には1ドル143円40銭であった円が、94年6月27日にはついに100円となったのでありますが、本年に至りさらに急騰を続け、3月8日には90円、4月19日には瞬間的ながら79円になるなど、この4年半ほどの間に実に45%もの値上りとなったのであります。そのため、これまで輸出を主としてまいった我が国の産業界は、この円高に対処するため、やむを得ず成熟産業を中心にその生産拠点の海外移転を図るなど、大きな変化が起こりつつあります。最近こそ若干の修正はあったものの、今後とも当分この円高基調は変わらないものと思われ、さらに、さきに実施されましたNHKの調査によりましても、既に生産拠点の海外シフトを実施、もしくは計画している企業のそのほとんどが、今後多少の円高の修正がなされたとしてもその計画の実施には変更がないとされております。したがいまして、本県内におきましてもこの影響は免れず、工場の閉鎖、転出あるいは倒産等が極めて憂慮されるところであります。世界が変わり、日本も変わる、そして産業界が変わるというこの大変革の時代に、さきに知事が言われた県民に夢を抱かせる県土づくりは、従来とは違った新たな発想が必要と思われますが、それはどう図られていくのか、知事にその基本方針をお伺いいたします。
 次に、行財政改革についてお伺いいたします。
 これにつきましては、先に佐々木議員が質問されましたので若干重複するとは思われますが、簡単にお尋ねいたします。
 行政改革推進懇談会は、去る8月4日の中間報告において、次の観点からその必要性を提言しております。
 まず、第1番目は、高齢化社会の進展等、社会経済情勢の変化への対応についてであります。長寿化及び少子化の進展は、社会、経済のあらゆる面に大きな影響を及ぼすものと考えられ、急速な高齢化の進行に対応した保健・医療、福祉、教育のあり方など、多方面の検討が必要であり、さらに、国際化、高度情報化の進展や産業構造の変化等、社会経済情勢の変化に伴う新たな課題に適切に対応することの必要性であります。2番目には、県勢発展を期する体制の整備についてであります。第三次岩手県総合発展計画の推進、地方分権の推進に伴う国からの権限移譲、さらには環境の保全や文化の振興など、県民の多様なニーズに的確に対応するため、事務事業の増大が予想される中、行政の肥大化を抑えながら、これらの行政需要に積極的に対応する体制の整備についてであります。3番目には、県民に信頼され、県民に開かれた県政の実現、すなわち県民の県政への参加意識を高める必要性、そして4番目には、財政の健全性の確保についてであります。国は、内需を中心とした安定成長の確保に努めることとしておりますが、本県を取り巻く行財政環境は依然として厳しい状況が続くものと考えられ、このため、事業効果、受益と負担の関係、民間との機能分担等に十分に留意しながら事務事業を厳しく選択することとしております。
 これら行財政改革の必要性につきましては私も全く同感であり、長期不況、急速な高齢化の進展等、目下の厳しい社会経済情勢下におきまして、行財政改革はまさに喫緊の課題であると考えます。また、行財政改革には県民の理解と協力が必要であり、今後の行財政改革の推進に当たっては、県民の意向をできるだけ反映させることが必要であると考えます。これら行財政改革に対する県の取り組みにつきまして、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、均衡ある県土の発展についてでありますが、知事は、さきの所信表明において県土の均衡ある発展をうたっておりますが、これも全く同感であります。本県は広大な面積の上に、さらに北上山系という峻険な山間部に遮られ、地形的にも実に厳しい条件下にありますが、さらに、沿岸部、県北、県南部等に分かれ、これらの地域の発展が県勢拡大の大きな課題であります。ちなみに、県の調査並びに推計による資料によりますと、平成12年度を平成4年度と対比した人口動態の推移では、人口の増加が推定される圏域はわずかに盛岡、岩手中部、胆江の3圏域だけであります。しかも、これらの地域はいずれも県央部にあり、本県においては人口の比較的密集した地域であります。一方、減少が推定される地域は県北部、沿岸部、県南部と、ほぼ横ばいが推定される気仙圏域を除く他のすべての圏域であります。県央部3圏域の人口は、この推計によれば、平成4年度におきまして県全体の人口に占める割合は約58%でありますが、平成12年度に至りますと60・6%、一方、他圏域の合計は、平成4年度の42%から12年度には39・4%となり、県央部に人口の集中化が進み、他圏域におきましてはますます過疎化が進むことになるわけであります。さらにまた、高齢者の全人口に占める割合も、盛岡圏域の16・7%を筆頭に、これら県央部3圏域は極めて低く、釜石の27%を初めとする他地区とは、久慈市の例外を除けば大変な差異があります。これは、県央部に若年層が集中するために県央部以外の地域に定着する若者が減り、その結果高齢化比率が一層高くなるものと思われるものであります。若者が去り、残るは高齢者のみという状態では、当然地域の活性化は望むべくもないわけであります。若者の定着には、まず、大学を初めとする高等専門教育機関の設置を初め、魅力ある職場の確保、さらには文化的施設、体育レクリエーション施設の充実等、さまざまな施策が必要と思われるものでありますが、これらの施設は比較的県央部に集中している現状であり、このままの状態を続けるならば一層の集中化が進むものと思われます。ちなみに、宮城県におきましては、広域圏活性化プロジェクトの一環として、施設は県、運営は広域圏という形で、登米地区広域圏に音楽、演劇の上演を主とした祝祭劇場が立派に完成されており、さらに現在、気仙沼圏域に美術館、県南部の柴田圏域に文化ホールを建設中であり、また、県北栗原圏域には地域交流センター、大崎圏域には生涯学習センターの設置が計画されている由承っております。若者はアフターファイブと休日生活の充実を求めていると言われております。したがいまして、本県におきましても圏域ごとに住民のニーズに合った施設等の設置を図り、地域活性化を求めてはいかがなものでしょうか。
 また、大学は若者の集まる場であり、卒業後は優秀な人材のある程度の定着も見込める大きな活性化要因であります。したがいまして、この際、既に盛岡地区に設置が決まっている県立大学を近い将来さらに学部の増設を図り、それを県北、県南部、すなわち二戸、両磐圏域にそれぞれ分散設置するなどの措置がとられるならば、地域の進学率の向上と優秀な人材の確保が図られ、さらに活性化に一段と弾みがつくものと思われますが、いかがでしょうか。
 平成12年度まであと余すところわずかであり、現在も既に過疎化は着々と進行中であるものと思われますが、これら地域への対策は、その地区にとっては時間の経過とともにまさに死活の問題であります。均衡ある県土の発展は知事の大命題でありますが、その対策についてどのように対応されるのかお伺いいたします。
 また、県境に所在する市町村は、隣県市町村との連絡協調なくしてその発展は期し得ず、特に経済、生活基盤たる道路整備あるいは市街地の近代化、社会機能の整備、そのいずれをとっても隣接県との広域的協調が不可分であります。今後、これらの地域の振興発展のため、いかなる方策をとられるのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、最近頻発しております金融機関の破綻についてでありますが、さきに旧東京協和と安全の2信用組合が破綻し、そして間もなくコスモ信用組合、さらに8月末に至り、信用組合では国内最大手とも言われる木津信用組合が破綻を来しました。ともにバブル崩壊に伴う多額の不良債権の焦げつきを原因とするものであります。東京都は、コスモ信用組合の処理策として、10年間に200億円の資金拠出案を9月都議会に提出、審議中のようであります。監督官庁としての責任上、預金者保護のためのやむを得ざる措置ということでありましょうが、しかし、これは都民の汗の結晶とも言うべき貴重な税金からの捻出であります。年次ごとの報告に基づき、もっとしっかりとした調査監督を実施し、適切な指導を行っていたならばこのような状況には至らなかったのではなかろうかと思われるのであります。本県におきましては幸いにしていまだこのような事態は発生してはおらないのでありますが、県の監督下にある信用組合に関する指導監督はどのように実施されているのか、また、その結果、現在の状況はどうなっているのかお伺いいたします。
 次に、現在、多額の不良債権を抱え、経営難に陥っている住宅金融専門会社に対する融資残高の問題であります。
 新聞報道によりますと、8兆円を超えるとも言われる不良債権を抱えたこれらのいわゆる住専の母体行は、これ以上の再建は困難として、8社中7社までが整理に踏み切る方針を固めたとされておりますが、その整理案は、目下のところ貸し手責任、すなわち母体行を初め、それに融資している貸し手が融資残高に応じてそれぞれ損失を負担する案等が出されている模様であります。目下の我が国の最大の急務は景気浮揚であります。そのため、政府は、去る20日、総額14兆2、200億円に及ぶ大型の経済対策を決定したわけでありますが、経済界には予想以上の内容との評価があり、先行きに大いに期待感を抱かせるものでありました。しかしながら、このせっかくの対策も住宅金融専門会社問題の対処の仕方によっては金融不安も招きかねず、そのために景気回復の足を引っ張る事態も考えられますので、その対応に万全を期されることが望まれるものであります。
 本県におきましては、岩手県信用農業協同組合連合会及び岩手県共済農業協同組合連合会がこれら住宅金融専門会社に対し多額の融資を行っている模様でありますが、新聞報道によりますと、県信連は約356億円、県共済連は約171億円をこれまでに住宅金融専門会社に融資してきたようであります。この500億円を超える非常に多額な融資残高の回収問題は組合員農家の重大な関心を呼んでいるところでありますが、さきに申し述べましたように、その残額の全額を負担することはないとしても、その一部でも貸し手責任として負わされるような事態に陥ったならば、組合員農家に及ぼす心理的な影響はまことに大きなものが予測され、場合によっては金融不安も惹起される可能性さえも予測されるものであります。また同時に、岩手県信用農業協同組合連合会のニシキファイナンスに対する融資についてでありますが、これも新聞報道によれば、同信用農業協同組合連合会のニシキファイナンスに対する融資残高は8億7、000万円となっており、これに対する債権の保全、回収もまた大きな問題であります。信用農業協同組合、共済農業協同組合両連合会に対する指導監督は国が負うところではありますが、もしこれらの結果次第では、県民に与える影響もまことに大きなものがあると考えられます。
   〔副議長退席、議長着席〕
 したがいまして、県当局は、このような事態についてどのような認識でおられるのか。
 また、国に対し何らかの要望、申し入れ等を含めてどのような対応を考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。
 また関連して、一部農協におきましては多額の焦げつき債権、すなわち回収不能あるいはそれに近い不良債権を抱え、ためにその運営がかなり圧迫されている農協もあるやに聞いておりますが、あわせてその現状と対応についてお伺いいたします。
 次に、高齢者福祉対策についてお尋ねいたします。
 本県は全国を上回る速さで高齢化が進行していると承っておりますが、このような状況を踏まえて、さきに平成12年度、すなわち西暦2000年を目標年度とする高齢者保健福祉計画が平成5年度を初年度として策定されております。援護を要する高齢者にはいつでも、どこでも、だれでもとの標榜のもとに、必要とする良質な保健福祉サービスが十分かつ効率的に受けられるようこれを推進するとうたわれ、実に時宜を得た施策であると思うわけでありますが、現在の進行状況はどのようになっているのか。
 また、特に待機者が多いと言われるデイサービス、特別養護老人ホーム等の介護者の人員増あるいは施設の増・新設計画はどうなっているのか。
 また、高齢となった知的障害者の問題でありますが、養護老人ホームにおいて、健常者であった者の痴呆高齢者と知的障害者の高齢者とはなじみにくい面があるなどと言われております。高齢となった知的障害者のための福祉施設の設置についてはどのように考えておられるのか御所見をお伺いいたします。
 次に、北上川上流改修一関地区遊水地事業についてであります。
 佐々木一榮議員と質問が重複いたしますので内容は省略いたしますが、私からも大幅な予算拡大による工期の最大限の短縮を要望申し上げたいと思います。
 ただ、これに関連して2点お伺いいたします。
 磐井川堤防の補強についてでありますが、磐井川堤防は一関地区遊水地事業の周囲堤より低く、さらに上の橋上流左岸部はいまだ弱小堤となっており、かつてのカスリン、アイオン台風時の出水があれば再び大惨事が懸念されるところであります。これに対する土木部長の御所見をお伺いいたします。
 さらに、北上川上流改修一関地区遊水地にかかわる農業振興についてでありますが、御承知のとおり、当該遊水地内の農地は稲作を中心とする極めて優良な農地でありますが、この遊水地内に農地を所有する農家にとりましては、その高度利用による農業振興の推進は一刻も揺るがせにできない最重要課題であります。したがいまして、小堤の築堤工事の早期着工は喫緊の課題ではありますが、さらには基盤整備に関連する施設を圃場整備事業との整合も図りながら、これを先行的に進めるなどの施策の強力な推進が求められているところであります。これにつきまして農政部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、道路の整備についてお伺いいたします。
 道路は、産業、経済、文化の振興や日常生活を支える上で大変重要な社会資本であり、面積が広く、北上、奥羽両山系を横断する道路の多い本県において、県土の均衡ある発展のためにはその整備が緊急な課題となっております。また、都市部周辺の幹線道路は年々交通量が増大しており、その中でも整備が不十分な区間は交通混雑や交通渋滞を引き起こすなど、住民生活や経済活動に支障を来しているほか、この整備のおくれが交通事故等を誘発する一因となっていると考えるものであります。幸い、県当局におかれましては、高規格幹線道路や交流ネットワーク道路整備事業等を初めとした交通網の整備に積極的に取り組んでおり、この整備の一層の促進を期待しているところであります。
 さて、本県の南の玄関口であります一関市を中心とする両磐地域においては、国道284号と342号は交通量も多く、大変重要な幹線道路となっております。そこで、この道路の整備状況についてお尋ねいたしますが、まず、国道284号は県南地域を横断する広域道路であり、現在、一関市沢地区の4車線化事業が進められているほか、千厩町の西小田地区についてもバイパス整備が進められております。また、一関市弥栄地区から川崎村薄衣地内にかけての区間はたびたびの洪水により通行どめが余儀なくされており、加えてこの間の北上大橋は補修を繰り返すなど傷みがひどくなっており、地域住民はこの橋梁の一日も早いかけかえを熱望しております。そこで、これらの事業の進捗状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 また、国道342号は秋田県から宮城県にまたがる広域的な道路であり、栗駒地域の観光ネットワークを形成する重要な路線として、県においては厳美地区のバイパス整備の計画を進めているほか、この路線の中でも交通の難所となっている真湯-須川間においても改良整備が進められておりますが、これら事業の推進状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 最後に、西磐井地区広域農道の建設促進についてお尋ねいたします。
 西磐井地区広域農道は、胆江地区広域農道と連携し、本県北上川流域の農業経済の流通幹線として、あるいは国道4号を補完する公共性の高い幹線道路としてその建設促進が期待されているところであります。しかしながら、今回、整備計画区域として採択になりました胆沢町から衣川村に至る区間の完成につきましては平成15年ごろとのことですが、全線が開通するにはさらに十数年という長い期間を要すると聞いております。ガット・ウルグァイ・ラウンドにより大きな転換を余儀なくされている農業経営に少しでも明るい展望を与え、農業後継者に意欲を喚起させるためにも基盤整備は何よりも大切と思うのでありますが、この西磐井地区広域農道整備事業につきましてはできる限り整備計画期間を短縮し、早期に全線開通することを期待いたすところでございます。このことにつきまして農政部長の御所見をお伺いいたします。
 以上、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。御答弁よろしくお願いいたします。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 浅井東兵衛議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、県民に夢を抱かせる県土づくりについてでございますが、議員御指摘のように、最近の我が国経済社会情勢は、世界的な政治経済の変化の潮流の中で、急激な為替レートの変動や産業・雇用の空洞化の懸念が生ずるなど、構造的な課題が顕在化をしているところでございます。このような中にあって、私は、これからの時代は県民と一番身近なところでの行政を担っている市町村が自主性、自立性をより一層発揮して、活力と魅力にあふれた地域の創造に着実に取り組んでいくことが肝要であり、また、県といたしましては国との連携を図りながら、そのような市町村の活動を十分に後押しをして、個性豊かで特色に富んだ地域づくりを進めることが県政の究極の目標である県民1人1人が心から幸せを感じ、夢を抱き、生きがいを持って暮らすことのできる、いわゆる参加型の地方自立社会の実現につながるものと、このように考えております。このような考え方のもとに、私は、県内の市町村に可能な限り足を運んで、さまざまな機会をとらえて県民の皆様方と語り合い、そして、すべての県民の英知と創造力を結集し、また、国、県、市町村の連携を強化しながら、地域の課題にきめ細かく対応し、活力に満ちた県土づくりに全力を挙げて取り組んでまいる覚悟でございます。
 次に、行財政改革に対する県の取り組みについてでございますが、厳しい行財政環境の中で、本格的な高齢化社会を迎えて社会経済情勢の変化に伴う新たな課題に適切に対応するとともに、県勢発展に必要な施策を強力に推進するためには、機動的かつ効率的な行政執行体制の整備に努めることが肝要であると考えております。このような認識のもとに、簡素で効率的な行財政運営を目指して、各般にわたる事務事業の見直しによって生じる行財政上の余力を一層強化すべき部門や事業に重点的に振り向けて、来るべき21世紀に即応できる施策を推進するという意味からも、この問題に積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 なお、行財政改革の推進に当たりましては、各界の有識者などで構成する行政改革推進懇談会の御意見を尊重することといたしておりますし、また、この同懇談会においても、県内各地域に出向いて行政改革の集いを実施して直接県民の御意見を伺っていると、このようにお聞きをしているところでございますし、また、私どもも県民アンケートなどを実施して、そうしたものを通じて、県民の皆様の御意見を幅広くお聞きしながらこの問題に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 次に、県土の均衡ある発展のための対策についてでございますが、県政の基本的な課題である県土の均衡ある発展を図るため、従前から産業経済の発展と県民生活の向上と、この両面から総合的な施策を展開してきたところでございます。しかしながら、本県の所得水準は、全体としては年々向上してきておりますものの、依然として地域別に格差が見られるほか、人口動態についても若者の流出や高齢化が進む中で減少を続ける地域が見られるところでございまして、これは議員御案内のとおりでございます。したがいまして、私は、今後とも高速交通体系を軸とした広域ネットワークの整備、産業の高度化と就業機会の確保、都市機能の強化と居住環境の整備充実、地域間交流の促進、自立的な地域振興体制の整備、こうしたものを基本に据えまして、従前にも増して地域の発展と定住を促進する基盤となる社会資本を整備していくとともに、それぞれの地域の特色や個性を生かしながら、農林水産業や商工業の振興発展を図り、就業の場の拡大を促進してまいりたいと、このように考えております。
 また、保健医療や福祉の充実、あるいは教育、文化、スポーツの振興を一層推進するといったことによりまして、県民1人1人が豊かさを実感できる生活の実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いいたします。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、若者を中心とした人口の定住を図るための施設の整備についてでありますが、若者の定住を促進するためには、魅力ある就業機会の確保を初め、良好な居住環境の整備や多様な都市機能の集積、さらには高等教育機関の整備などを進めることによって、いわゆる職、住、遊、学の備わった生活空間を創造していくことが大切であると存じております。中でも、議員の御指摘もありましたが、若者にとって魅力ある教養文化、スポーツ・レクリエーション施設などの整備充実を進めていくことが肝要であると、このように考えております。このような観点から、これまでも県立宮古短期大学や高田松原野外活動センター、県北及び陸中海岸の青少年の家など、各種施設の整備を進めてまいりましたが、今後におきましても、各地域の特性や実情などを十分に考慮しながら、国、市町村等との適切な役割分担と密接な連携のもとに、住民のニーズに即した施設の整備に努めてまいる考えであります。
 なお、このような施設の整備の手法といたしまして、県が施設を設置し広域圏が運営を行うという御提言につきましては、有効な示唆の1つであると受けとめておりますので、今後、この手法も含め多角的に検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、県境地域の振興についてでありますが、県境の地域におきましては、以前からの、いわゆる地縁、血縁のほかに、近年の交通網の発達などに伴いまして、県境を越えた住民の日常生活あるいは産業経済活動がますます拡大してきておりまして、これまでにも増して隣接県との連携強化が重要な課題となっております。このため、県といたしましても、隣接県との連携強化に留意しながら、これまでも東北横断自動車道釜石秋田線など、幹線道路網の整備や、岩手、宮城、秋田にまたがりますM・A・I栗駒ほっとプランの推進、さらには、北東北3県の広域観光キャンペーンの実施など、それぞれの県境地域において施策の推進に取り組んできたところであり、また、市町村のレベルにおきましても、北奥羽開発促進協議会や三陸広域地域産業開発促進協議会など、県境を越えた連携のもとに、さまざまな計画等への取り組みがなされているところであります。
 また、昨年度におきましては、国土庁及び秋田県と共同で、釜石・宮古から盛岡・北上、横手・秋田を結ぶ地域を対象といたしました地域連携軸事例調査を実施したところであり、今後におきましても、県境地域の特性を生かした地域の振興を図るために、隣接県との共同でフォーラムを開催するなど、隣接県や市町村相互のより一層の交流連携を促進してもらいたいと考えております。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) 県立大学の学部の増設とその分散設置ということでございますけれども、県立大学は、経済社会環境の変化への対応あるいは本県の地域特性、進学希望者や産業界のニーズ等を踏まえまして、看護学部、社会福祉学部、ソフトウェア情報学部及び総合政策学部の4つの学部で構成することとしておりまして、その入学定員は440人、収容定員で申しますと1、840人、さらに、学部の充実を待って大学院を整備するという近年設置された大学と比べましても、まず最大の規模といっていい規模を持つ大学として整備をしようとするものであります。
 大学の新設につきましては、文部省におきまして18歳人口が大幅に減少するということから、原則抑制という方針としていることもございまして、基本構想の規模で設置認可を受けることにつきましては、必ずしも当然にこれが認められるというものではないというところでありますので、当面、その実現に向け全力を傾注してまいる考えであります。したがいまして、大学の設置は地域に対して大変意義あるものと存じておりますけれども、県立大学の学部をさらに分散増設するということにつきましては、現時点においては、まず現行の計画の達成に向けて、精いっぱい努力しなければならないという事情を御賢察賜りたいと存じます。
   〔商工労働部長古館敏男君登壇〕
〇商工労働部長(古館敏男君) 信用組合の指導監督についてでありますが、本県には中小企業者、勤労者などの協同組織の専門金融機関として5つの信用組合があります。その指導監督につきましては、法令に基づきまして業務状況に関する定期報告を求めるなど、経営実態を把握し適時適切に指導監督に努めるとともに、国の指導もいただきながら、おおむね2年に1回、経営全般にわたる総合的な立入検査を実施しているところであります。検査の結果、指導改善事項等がある場合は、その改善策を具体的に提示させるとともに、逐一改善状況についての報告を求め、適切な処置を講ずるよう指導しているところであります。また、本年度からは金融自由化など、信用組合のおかれた厳しい環境変化のもとで、経営の健全化の確保ができるよう県の信用組合に対する指導方針を示すなど、組合の実態に即した指導監督に万全を期しているところでございます。
 現在の経営状況についてでございますが、5つの信用組合のうち、岩手信用組合は、御案内のとおり、地域の厳しい経済環境にあって不良債権が増高するなど、厳しい経営環境にあったわけでございまして、昨年11月から関係機関によりまして支援を開始し、現在、経営の健全化に鋭意取り組んでいるところでございます。また、そのほかの4つの信用組合につきましては、おおむね順調な経営状況にあります。
   〔農政部長佐藤昭美君登壇〕
〇農政部長(佐藤昭美君) まず、県信用農業協同組合連合会等の住宅金融専門会社及びニシキファイナンスに対する融資についてのお尋ねにお答えいたします。
 住宅金融専門会社、いわゆる住専は、銀行並みの信用力を有する金融機関として格付された会社であることなどから、農林中金、各都道府県信連など、農林系金融機関が融資を行ってきたと聞いております。連合会に対する指導監督は国が行っているところでありますが、県としても、農協経営に影響を与え、農家の方々に不安や心配をかけることがないよう、国が責任を持って有効な対策を早急に構ずべき極めて重大な問題であると認識しているところであります。
 また、農林水産省は、この問題は住専を設立した銀行等が責任を持って処理すべきであり、農林系金融機関に支障のないよう取り図っていきたいとの姿勢であります。県としては、9月27日に出された国の金融制度調査会の中間報告を受け、年内に策定される処理策の方向など、その推移を見守りながら連合会に対し必要な助言をしてまいりたいと考えております。
 また、ニシキファイナンスの融資に関しましては、信連自体が債権回収に鋭意努めているところであり、また、国は、県信連から詳しく事情を聞いて、今後の指導方針を決めたいとしております。県としても、国との情報交換を密にしながら、その動向を注意深く見守っているところであります。
 次に、農協経営の現状と対応についてでありますが、今日の農協を取り巻く環境は、農産物の販売ルートの多様化や金融の自由化の振興などにより、他業者との競争が一層厳しいものとなっているところであり、一部の農協においては、事業の伸び悩みや固定化債権の増加等により経営に影響が出ているところも認められるところであります。県は、これまでこうした農協に対し、財務の健全化や経営体質の強化などの指導を行ってきたところでありますが、今後とも農協系統組織整備促進事業等を活用し、農家の営農指導を強化しながら固定化債権の解消を図るとともに、回収が困難なものについては、計画的な償却に努めるよう農協中央会と連携しながら濃密な指導を実施し、組合員の負託にこたえられる農協の育成に努めてまいりたい考えであります。
 次に、一関遊水地内の農業基盤整備についてでありますが、御案内のように、当地域は遊水地の役割を持つことになりますが、優良な農地が広がっており、今後、農地を囲む小堤工事の早期完成を図るとともに、生産性の高い稲作農業展開が期待される地域でもあることから、その基盤整備を早急に進めることが重要であると考えております。
 遊水地事業の小堤工事につきましては、ことしの4月、県及び地元の強い要請に基づき、建設省より小堤及び地区内排水路などの関連施設の配置計画が発表されたところであり、これを受け、まず第3遊水地内の圃場整備の来年度採択に向け、現在、事業計画を取りまとめているところであります。また、圃場整備事業の実施に当たっても、小堤及び関連施設の整備の調整も図りながら進めることが、事業の円滑な実施にとって必要不可欠であることから、建設省と緊密な連絡調整を図りながら基盤整備を進めてまいりたいと考えております。さらに、第1・第2遊水地についても、今後、地元の合意形成を図りながら、圃場整備事業の推進に向け取り組んでまいる考えでございます。
 次に、西磐井地区広域農道の建設促進についてでありますが、同地区の、衣川村から一関市を通り花泉町に至る全長35・5キロメートルの整備計画のうち、平成6年度には、1期地区として13・5キロメートルが事業採択され、残りの区間については、2期地区として早期の事業採択を目指し、関係機関との調整、事業計画の策定を鋭意進めているところであります。
 西磐井地区広域農道は、西磐井地方の農業生産、生活基盤として重要な役割を担うことが期待されており、事業の早期着工と完成は地域農業の振興を図る上で緊急の課題と認識しております。今後とも事業促進に向けて地元の協力を得ながら、予算確保については、現在実施されているウルグァイ・ラウンド関連の農業農村整備緊急特別対策を最大限に活用し、早期開通に向け、なお一層努力してまいる考えでございます。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) まず、高齢者保健福祉計画の進捗状況についてでありますが、今年度の整備予定を含めた進捗状況は、デイサービスセンターが目標200カ所に対して93カ所、特別養護老人ホームの定員が、目標4、230人に対して4、055人となっております。その他の施設につきましては、現在、老人保健施設の定員が2、662人、ショートステイ用居室が555床、在宅介護支援センターが47カ所となっており、制度が発足したばかりの二、三のサービス提供施設で若干おくれが見られるものの、全体としてはおおむね順調に推移しているものと考えております。また、サービス従事者は、現在、ホームヘルパーが常勤職員換算で730人、老人福祉施設の介護職員が3、077人となっており、マンパワーの確保もおおむね順調に推移していると考えております。今後におきましても、高齢者保健福祉計画に沿って、ホームヘルパー等の介護職員の計画的な増員を図っていくとともに、デイサービスセンターや在宅介護支援センターの一層の整備促進と特別養護老人ホームの未設置市町村の解消を図るなど、各種の保健・福祉サービスの一層の充実に努めてまいります。
 次に、知的障害者を対象とした福祉施設等の設置についてでありますが、議員御指摘のとおり、知的障害を有する高齢者が徐々に増加する状況にあります。これまでも県内の福祉施設においては、入所者個々の身体状況等に応じた生活プログラムの設定や健康管理について細心の注意を払い、適切な処遇に当たっているところであります。現在、国においても、知的障害を有する高齢者の処遇課題に対して研究されておりますが、本県におきましても、昨年、精神薄弱者愛護協会に委託して、施設内における知的障害者の高齢化の実態と施設における処遇のあり方などについて、調査研究を行ったところであります。今後、これらの検討経過を踏まえまして、障害者の家族の希望など、ニーズの把握に努め、知的障害を持った方々が安定した老後を送るための施設のあり方等について検討を進めてまいりたいと存じます。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) まず、磐井川堤防の補強についてでありますが、一関遊水地の周囲堤は、標高約30メートルの高さで計画されているところでありますが、磐井川にかかるJR東日本の鉄道橋梁より上流の堤防は、現在、カスリン台風時の洪水位に対応した27・9メートルの高さとなっております。したがいまして、御指摘のように、今後、堤防の補強やかさ上げが必要な状況にありますので、現在進めております遊水地の周囲堤工事の進捗状況にあわせ整備するよう、国に対し要望してまいりたいと考えております。
 次に、国道284号の整備についてでありますが、この道路は宮城県気仙沼市から東磐井地区を横断し、一関と連絡する重要な幹線道路でありますので、広域道路整備基本計画において、交流促進型道路、いわゆる規格の高い道路として位置づけ、その整備に取り組んでいるところであります。特に、一関市の沢地区については、一関東工業団地の整備等によって年々交通量が増大しておりますので、市街地周辺部の渋滞対策として旭町の交差点から一関流通センター間、延長約3・9キロメートルについて4車線化を進めてきたところであります。この進捗状況は現在95%となっており、既に供用した区間は混雑が緩和するなど、着実にその効果を発揮しているところであります。また、幅員が狭く、急カーブが連続している千厩町の西小田地区につきましても、バイパス事業として工事を進めておりますが、平成9年度には、この隘路区間の解消が図られるよう整備に努めているところであります。さらに、北上大橋につきましては、昭和13年にかけられた橋で、老朽化が著しく幅員も狭いため、大型のすれ違いに困難を来しておりますことから、平成4年度、橋長482メートル、幅員15メートルの3径間連続アーチとしてかけかえ事業に着手したところであり、今年度はいよいよ下部工に着工することとしております。また、橋梁のかけかえとあわせて、国道284号の弥栄・薄衣地区におきましては、洪水時の通行どめが解消されるよう、延長3・4キロメートルのバイパスの整備も進めることとしております。
 次に、国道342号についてでありますが、この道路は栗駒国定公園を横断している広域的な幹線道路であり、特に、一関市から秋田県境までの区間につきましては、交流ネットワーク道路整備事業の県南ルートとして位置づけ、鋭意その整備を図っているところであります。このうち、厳美地区は観光客も多く、交通が渋滞し隘路区間となっておりますので、本年度から厳美バイパスとして新規に事業着手したところであります。また、真湯-須川間は、幅員が狭隘で急勾配が多く、未改良区間となっておりますので、さしあたり真湯から広水沢付近までの4・2キロメートルの区間について、県単や国庫補助など各種事業を導入して改良事業を進めているところでございます。
 これらの国道につきましては、広域的な道路として、また観光周遊ルートとして、その機能が十分果たされるよう、なお一層整備促進に努めてまいりたいと考えております。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 認定第1号平成6年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第28 議案第24号財産の取得に関し議決を求めることについてまで
〇議長(堀口治五右衛門君) この際、日程第2、認定第1号から日程第28号、議案第24号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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