平成7年9月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇3番(佐々木一榮君) たゆまざる改革、責任ある政治、新進党の佐々木一榮でございます。
 この4月の統一地方選挙におきまして県議会に初めての議席をいただきました。何分にも若輩者でございますので、議長を初め、先輩議員の皆様の御指導をよろしくお願い申し上げます。
 それでは、通告に従いまして、私の提言等も含め、順次質問をしてまいりますので、誠意ある御答弁を望むものであります。
 増田知事におかれましてはこの4月に知事に就任され、間もなく5カ月を経過しようとしておられます。この間における知事の県内外での精力的な行動力には多くの県民が好感と期待を抱いていると私は考えております。増田知事は、政治姿勢として、県民に政策決定がわかりやすい開かれた県政、柔軟な発想と大胆な挑戦、そして、清新で公正、県民の英知と創造力の結集、国、県、市町村の連携を掲げておられます。現実に山積いたします県政課題に具体的にはどのように取り組んでまいられるのかをお尋ねいたします。この6月には県内各市町村からの統一陳情を受けられ、また、各地方振興局回りをされ、そして、8月下旬からは二戸市を皮切りに全市町村での県政懇談会を開催される予定と伺っております。知事は、21世紀の県土づくりには、県民が県政にかかわることが必要条件と述べられておりますが、私は、今までのリーダーとここが違うという独自のお考えがありましたらお伺いしたいと思います。
 また、これまでの5カ月間におきまして、特にも緊急課題として新たに取り上げなければならないと考えている問題があればお伺いいたしたいと思いますし、知事就任5カ月の新たな県政への決意等をお尋ねいたします。
 昨日の一般質問においても取り上げられ、御答弁をいただいたところでありますが、次に、県における食糧費の取り扱いについてお伺いします。
 世論は、官官接待における食糧費のあり方について非常に厳しい見方をしておりますことは御存じのとおりであります。3割自治と言われますように、地方におけるさまざまな諸問題の解決のためには、国の協力と援助なしでは施策や事業の円滑な推進が不可能になることは私も理解をしているところでありますが、県当局の基本的認識をお尋ねしたいと思います。従来よりの慣習と言えばそれまでかと思いますが、この食糧費が国の補助事業から目的を逸脱して転用されたことが発覚した自治体があるなど、今後ますます議論をされることと思います。現在の中央集権の中にあって、とても難しい問題であります。早くに地方分権を積極的に進めていかなければならないと考えます。
 先月23日には、自治省が都道府県などの総務部長を集め、官官接待の問題に関し、食糧費の執行に当たり疑惑を招くことのないように求め、今月7日には、村山総理が全国都道府県知事会議において自粛を要請されたところであります。調査機関によりますと、これを受けまして、43都道府県が何らかの見直しを行うとのことであります。鹿児島県においては、この21日、また、お隣宮城県におきましては26日、官官接待を今後は原則的に行わないとの方針を、また、高知県におきましては25日、全廃との方針を出したわけでございますが、本県におきましては今後どのように対応されていかれるのかをお尋ねいたします。全国的な問題でもあり、非常に難しい問題でありますが、ぜひ開かれた県政を目指す我が岩手においては時期を逃すことのないような形での方向づけをお願いしたいと思います。
 次に、一関遊水地事業の促進についてお伺いいたします。
 昭和22年、23年のカサリン、アイオン台風の2度にわたる台風は、一関、県南地方を中心に死者502名、行方不明者353名という大変な惨事を引き起こしました。毎年やってくる台風シーズンには、今なお地域住民は不安な日々を送っております。本年8月2日から7日にかけまして東北北部に停滞した前線による長雨は、一関を初め、県南の北上川流域を中心に、田畑の冠水や住家の破損など、多くの被害をもたらしました。北上川の狐禅寺地区では、警戒水位7メートルに対し最高水位10・3メートルを記録しまして、主要な県道3路線とも水没した状況でありました。被害総額も8億7、900万円余りと、地域に大変な被害を与えたことはつい先日のことであります。増田知事におかれましては、さきの統一地方選挙におきまして、一関遊水地事業の促進につきまして、御自身が担当されたこともあるとのことから、地域の方々に公約として掲げられました。積極的な事業促進策についてお尋ねしたいと思います。
 御案内のとおり、一関遊水地事業は、北上川上流改修計画の最も重要な事業として建設省が昭和47年に計画、着手されて以来、本年で23年を迎えます。この間、5大ダムが完成し、遊水地につきましても一関市街地をアイオン台風並みの洪水から防御する第1遊水地の堤防が整備されるなど、着実に進められてきております。しかし、現在の事業の進捗状況を考えてみますに、昭和47年の当初計画事業費1、300億円に対し、平成6年度末までの投資額は約597億円であり、約46%の進捗率と発表されておりますが、23年間の物価の変動等も考慮しますと、およそ30%、約3分の1の進捗状況でございます。事業完工にはこれからさらに50年以上もかかる事業であります。知事におかれましては、どのように事業促進をなされていくお考えなのかお尋ねいたします。
 次に、本県の行政改革の推進についてお伺いいたします。
 昨今の我が国の経済環境は長引く不況からいつ脱出することができるのか予測もつかず、低成長、高失業率時代の到来を余儀なくされようとしています。税収の増加も余り期待できず、国、地方とも財政環境もますます厳しさを増してまいります。反面、急速に進む高齢化社会への対応、少子対策、生活基盤整備等、21世紀に向けて急務の課題が山積しております。地方分権推進についてこれから本格的に議論されようとしております。地方においては、社会資本整備、高齢・少子化社会対応、産業の振興、地域の活性化対策、環境保全問題等の課題に積極的に地方の独自性を持って的確に施策を展開していくことが求められます。地方公共団体がそれぞれの地域課題に迅速に対応していくことが必要であります。そのためにも、行財政システムの改革は21世紀に向け重要な課題であります。先月4日、県行政改革推進懇談会より、行政機構、事務事業、職員管理、財政運営、県、市町村の役割分担の5項目を重点事項として知事に中間答申されました。これに対し増田知事は、報告の提言を最大限尊重して早急に検討を始めたい、行革は県勢発展に不可欠の課題であり、県民の期待も大きいと述べられております。また、14日に開かれました岩手情報文化研究会例会におきまして、今後、行政で最も重要なのは市町村、末端行政ではなく先端行政、規格を統一する必要はなく、それぞれの道を考えてほしい。県はそれを後ろから支えるし、全体の力を高めるために広域的に役割分担できるよう誘導行政が必要と考える。また、県の財政構造は、国庫支出金などの外部財源が7割、このため、支出には負担が伴うとの認識がしにくい。自主財源の拡充はもちろん必要であり、厳しい財政の中で住民の責任で事業を選択していかなければならない。そのアイデアを出すことこそが地方分権の推進につながるとも述べられております。
 そこで知事は、実際にどのような手順で、いつごろを目標年度としてこれら行政改革を進めていかれるお考えでしょうか、お尋ねいたします。
 さきの6月定例議会におきましても、県土の均衡ある発展、地域格差の是正についての質問があったわけですが、私は、この四国4県分の県土を持つ我が岩手において、これからの課題を解決していくためには、もっと地域の特性を細分化し、その地域、地域の特性を考慮した将来の方向性等を見定めた上での議論が必要と考えます。県北、沿岸、県央、県南とそれぞれ地域環境も異なり、人口動態、高齢化比率、出生率、また、産業形態、県境においては経済圏と、それぞれの圏域、自治体の課題は総体的には同じにとらえがちですが、具体的解決のための施策のあり方は異なってくるかと思います。
 そこで私は、知事もおっしゃっているように、国において中央集権から地方分権の推進と言われております今、我が県におきましても、県、市町村間の機能分担と権限の移譲を進めていくべきであろうと考えます。県内に現在12の地方振興局があり、所管の市町村と常に密接な連携を図り、それぞれの地域振興に取り組んでいるわけですが、先ほど申し上げましたように、これからの時代、ますます地域の課題解決策をいかに県、市町村が一緒に進めていくかにあると思いますし、県民の声を適切に県政に反映させ、また、県の事務事業について県民が理解しやすいように努力する必要があると考えます。どうしても県都盛岡へのさまざまな面での一極集中が進みがちであります。何といいましても、この広大な県土であります。本庁権限の地方振興局への委譲や機能の充実強化、また、振興局の再編等につきまして御検討されてはいかがかと考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。
 次に、国立博物館誘致運動の展開についてお伺いいたします。
 国立博物館の誘致につきましては、昭和62年より平泉町が国立文化財研究所の誘致活動を続けていたところでありますが、平成3年の9月議会において、工藤前知事が国立博物館は平泉が適地であるとの発言を契機に国立博物館誘致に方向転換されたことは御案内のとおりであります。現在のところ、国立博物館等の文化施設はほとんどが関東、関西であり、北海道、東北地方は文化的国家施設の空白地帯であります。今、首都圏への一極集中の是正、首都機能の移転等、真の地方の時代を迎えようとしている中、十分意義ある運動であると私は考えます。本年も平成8年度の政府への統一要望の中で、文化庁への重点要望事項として6月に要請したところであります。地元平泉町議会の国立博物館誘致特別委員会のメンバーは、先月9日までに県内58市町村すべてへの協力要請活動を行いました。国立博物館誘致運動のバックアップをお願いしてきたところであります。これから市長会、町村会、また、私ども県議会、関係団体への協力要請を行っていくとのことでありますが、私は、ぜひとも知事を先頭に一大県民運動を展開し、まずは岩手県民が1つになり、そして北海道、東北各県の皆さんの協力をいただき、強く国に対し要望していくべきと考えますが、いかがでしょうか。私は、北海道、東北地方の文化的拠点として実現させるためにも、まずは地元岩手からの情報、そして情熱の発信が必要と思いますが、県といたしましてはどのような運動の展開をお考えなのかお尋ねいたします。
 次に、本県における空港整備計画についてお伺いいたします。
 さきの6月議会におきましても質問があり、答弁をいただいたところでありますが、改めて県のお考えをお尋ねいたします。6月議会におきまして、企画調整部長より花巻空港の将来における位置づけとさまざまな観点から総合的に勘案すると、県としては、国内各地との航空ネットワークの拡充を図ることはもとより、国際チャーター便が制限なしに就航でき、かつ少なくとも国際定期便が就航できるような、県民にとって利便性の高い空港を目指してまいりたいとの答弁をいただきました。私も賛成であります。が、しかし、現実には非常に厳しい状況下にあることが事実であります。平成8年度から始まる第7次空港整備5カ年計画への組み入れ可能性を現在どの程度見込んでいらっしゃるでしょうか。
 また、最近の花巻空港の搭乗者数を見ますと、総体的には増加傾向が見られますが、3路線のうち大阪、名古屋便は微増、札幌便は横ばい状況であります。利用者数増加のための具体策をあわせてお尋ねいたします。
 次に、昨年4月策定されました北海道、東北21世紀構想、ほくとう日本の将来像、スーパーネット構想において、新千歳を国際ハブ空港と位置づけ、東北各県の空港を本格的な国際空港と位置づけております。とてもすばらしい構想であります。この構想のねらいは、我が国の40%に及ぶ地域にほくとう新国土軸を形成し、両地域の広域連携と相互発展を目指すことにあります。なぜ私がこの話を出したかといいますと、隣の宮城県の仙台空港の位置づけを我が岩手県としてどう考えるのかということであります。私は、花巻空港と仙台空港の近い将来の連携について考える必要があり、また、高速交通空白地域の解消という観点から、先日も誘致陳情のありました県北空港の整備のあり方についても考えるべきであろうと思うからです。
 現在、仙台空港には国際定期便7路線、国内線は10路線あります。平成6年にはそれぞれ33万7、834人、214万181人と、合わせて247万8、015人の利用者があります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 私は、花巻空港の整備を考えた場合、国内各地との航空ネットワーク拡充のため、ある程度仙台空港整備計画等の状況からの位置づけと同空港との連携を考えるとともに、空港利用の観点から、新幹線開通後廃止になりました花巻東京線の早期復活に向け、県を挙げて取り組んでいくことが花巻空港の将来、また、利用者の増加に好影響をもたらすと思いますが、いかがでしょうか。
 また、高速交通空白地域におけるコミューター航空を含め、県北地域への空港設置の可能性について、現在の御検討の状況等を含めお尋ねいたします。
 次に、次代の本県農業を担う青年農業者の育成確保についてお伺いいたします。
 農業は、国民生活に不可欠な食糧の安定供給という大切な使命のほか、自然環境の維持など、地域社会の発展の上で多面的かつ重要な役割を果たしております。一方、農業をめぐる情勢は、ウルグァイ・ラウンド農業合意による新たな国境措置のもとで、国際化に対応した体質の強い経営体の育成が求められております。このような状況下の中、本県での新規就農者数は、昭和63年と平成6年を比べてみますと136人が60人と、55・9%の減少であります。東北においては青森に次いで減少が著しい状況であります。このため、農村においては若い農業就業人口の減少に伴い、農業労働力の減少、担い手不足が顕在化し、近い将来、農業生産力及び農村社会の維持が困難となることが懸念されるところであります。このようなことから、本県農業がその機能を十分に発揮し、その着実な発展と農村の活性化を図っていくためには、何よりも次代の農業を担う意欲とたくましい実践力を備えた若い農業者の確保が緊急の課題であると考えます。私は、このような状況に対処するためには、新規学卒者を初め、Uターン青年、非農業からの新規参入青年など、県内外から幅広く人材を求め、青年の就農を促進し、将来、効率的に担い手に発展するよう積極的な対策を講じていく必要があると考えます。本県におきましては、新規参入者就農円滑化事業として、参入者の初年度経営の支援を行う農協、また、受け入れ農家等の支援機関に年70万円、3年間助成を行っております。また、新規就農者研修として、県立農業短期大学校では本科とは別に基礎技術研修を行っているところでありますが、これにつきましては要望が多様で、対応に苦慮しておられるとお聞きいたしております。まことに残念なことは、農業短大本科の応募者が、昭和58年、59年50%台から最近は70から100%と増加傾向に推移しておりますが、逆に卒業生の進路を見ますと、昭和50年代には就農する自営の方が30から50%の割合でありましたが、平成5年、6年度では10%を切っている状況ということであります。東北6県とも厳しい状況下にある中で、お隣の新潟県においてはこの7年間で27・7%の新規就農青年の増加を見ております。
 そこで、地域の農業振興を図っていく上で極めて重要な青年の就農促進について、県として今後どのような将来展望を持ち、具体的にどう取り組んでいくのかをお尋ねしたいと思います。
 次に、保健医療システム、特に救急医療対策についてお伺いいたします。
 高齢化やライフスタイルの変化に伴う慢性疾患の増加等、疾病構造の変化、医療の高度専門化の進展、そして科学技術の進歩の普及等、環境の変化、健康に関する意識の高まりなどを背景として、県民は質の高い医療サービスを求め、そのニーズもさまざまであります。本県におきましては、来るべき21世紀を展望し、平成4年、第三次岩手県保健医療計画を策定されております。救急医療においては、在宅当番医制、休日夜間センターによる初期救急医療、病院群輪番制による2次救急医療、そして、3次救急医療として岩手県高次救急センターによる対応を行っているところでございます。しかし、盛岡保健医療圏外におきましては、3次救急医療の整備が強く要請されております。本年2月議会におきまして、この3次救急医療については、岩手県救急医療検討会議が医師確保や財政負担なども勘案しながら本年7月をめどに最終取りまとめを行うとの当局の御答弁がございました。
 そこでお伺いいたしますが、県北、沿岸、県南地区への高次救急医療施設につきましての考え方と、また、いつごろをめどに施設整備を進めていかれる御予定かをお尋ねいたします。
 次に、震災対策に伴う今後の宅地開発のあり方についてお伺いいたします。
 さきの阪神・淡路大震災の大規模な災害の礎に、防災業務計画及び地域防災計画においても重点を置くべき事項の指針として防災基本計画が発表されました。私はこの中で、地震に強い都市構造の形成について、とりわけ宅地開発あり方についてお聞きしたいと思います。
 計画によりますと、国及び地方公共団体は、避難路、避難地、延焼遮断帯並びに防災活動拠点ともなる幹線道路、都市公園、河川、港湾など、骨格的な都市基盤施設及び防災安全街区の整備、老朽木造密集市街地の解消等を図るための土地区画整理事業、市街地再開発事業による市街地の面的な整備、建築物や公共施設の耐震、不燃化、水面、緑地帯の計画的確保、防災に配慮した土地利用への誘導等により、地震に強い都市構造の形成を図るものとするとあります。都市計画法においては、無秩序な市街化や都市環境の悪化防止のため、一定規模以上の開発には開発行為の許可制度がとられており、市町村によっては宅地開発等指針要綱を策定し、行政措置を行っているところであります。しかし、この要綱が各種法令を補完し、良好な都市環境の整備、保全を図る上で一定の役割を果たしてまいりましたが、これらのうち、一部行き過ぎた内容を有する要綱及び行政指導が良質かつ低廉な住宅、宅地の円滑な供給を図る上で支障があるとの指摘から、規制緩和対策、行政手続法の施行に伴う行政指導の適正化の観点から、建設省、自治省より要綱の行き過ぎ是正の見直し推進が図られております。私が懸念いたしますのは、一定規模に満たない各種法律に適用を受けないミニ開発がそれぞれ無計画に行われた場合、避難路の確保も避難地の確保もできず、袋小路的な緊急車両も通行できないような状況下に置かれ、そこに住む住民の安全対策に不安を持たれるのではないかということであります。現在、県としては、県内のこのようなミニ開発の状況につきましてどのように把握しておられるでしょうか。また、防災面から見た場合、問題視されることはないのでしょうか。あるとすれば、防災基本計画に沿った宅地開発のあり方を県として検討いただきますことをお願い申し上げます。
 以上で私の質問を終わりますが、増田知事におかれましては、若いとはいえ、十分に御健康に留意され、岩手のリーダーとしてますますの御活躍を御期待申し上げます。
 何分にもふなれなことでお聞き苦しかったと思います。最後までの御清聴ありがとうございます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐々木一榮議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、県政課題への取り組みと県政の新たな決意についてでございますが、私は、知事に就任以来、県内各地を数多く訪問し、地域の方々から生の声をお聞きするとともに、県内各地で働いております県職員との意思の疎通を図りながら、それぞれの地域課題の把握に努めてきたところでございますが、このような中にあって県民の皆様が県行政に対して多くの期待を寄せられていること、改めて痛感をいたしたところでございます。
 御案内のとおり、今日、ウルグァイ・ラウンド合意の実施や急激な為替レートの変動による地域経済へのさまざまな影響あるいは安全な県土づくりなど、新たな課題が生じてきております。このため県といたしましては、ウルグァイ・ラウンド合意関連対策推進方針を策定し、農地の集積や農業生産基盤の整備を進めるなどの施策を積極的に推進するとともに、国の緊急円高・経済対策と呼応して景気浮揚を図るほか、中小企業対策の充実強化にも努め、また、国の動向等を見定めながら、地域防災計画の見直しや消防防災体制の整備を図るなど、多種多様な施策の推進に鋭意取り組んでいるところでございます。今後におきましても、本県を取り巻く経済社会情勢の変化にも積極的に対応しながら、県民の皆様の英知と創造力を結集し、活力に満ちた県土づくりに全力を挙げて取り組んでまいる考えでございます。
 また、今までのリーダーとここが違うという独自の考えはとのお尋ねもございましたが、やはり必要なことは口や言葉であらわすことではなくて、みずからが率先して行動で示すことだというふうに考えているところでございます。教科書やお手本となるものが今ない、非常に先行き不透明の時代でございますが、できるだけみずからが県内各地を歩き回り、働く現場を大事にして、多少の時間がかかっても県民の方々とともに考えながら県勢の発展を築き上げていきたい、このように考えているところでございます。
 次に、一関遊水地事業の促進についてでございますが、一関遊水地は、一関市、平泉町の恒久的治水対策や北上川の洪水調節などを目的とした大規模遊水地で、北上川治水計画上、最も根幹的な施設であり、現在、国の直轄事業で整備が進められているものでございます。このような大規模な事業は、膨大な費用と長い期間を要しますので、整備の各段階でその効果を発揮させるような事業の展開が必要だと、このように考えております。したがいまして、一関遊水地におきましても、周囲堤の高さを段階的にかさ上げをしてきておりまして、これまでに計画高約30メートルに対しまして、昭和23年のアイオン台風時の洪水位である25・5メートルの高さまででき上がったところでございます。このため、本年8月の洪水におきましても、一関市街地や前堀地区などにおける被害を最小限にとどめるなど、その効果が発揮をされているところでございます。さらに現在は、昭和22年のカスリン台風時の洪水位に対応した27・9メートルの高さに向けた築堤工事が鋭意進められているところでございます。
 県といたしましては、この事業の促進が地域住民の生命及び財産を災害から守ることはもとより、県勢発展を図る上で欠くことのできない重要な施策の1つであると、このように認識をしておりまして、これまでも政府予算統一要望の最重点項目として、国に対して強く要望してきたところでございます。今後とも早期完成が図られるよう、あらゆる機会をとらえて要望をしてまいりたいと、このように考えております。
 次に、行政改革の進め方についてでありますが、私は、国際化や長寿社会の進展等の社会経済情勢の変化に伴う新たな行政需要に適切に対応して、県民1人1人が、ゆとりと豊かさを実感できる生活の実現に向けて全力を挙げて取り組んでいきたいと、このように考えております。そのためには、長期展望に立った施策展開にこたえ得る、いわゆる機動的で、かつ効率的な行財政運営の執行体制を整備して、県勢発展に必要な施策を強力に展開するため、行政改革を積極的に推進することが必要であると、このように考えております。
 現在、本県の行財政運営の改善に係る当面の重要課題について、行政改革推進懇談会からいただいた中間報告を踏まえて、庁内で検討を進めているところでございますが、今後におきましても、本年12月までに、同懇談会に取りまとめていただく最終的な御提言を尊重して、実施期間も含めた具体的な改善方策について引き続き検討を進めまして、平成8年の1月を目途に新たな行政改革大綱を策定する考えでございます。
 なお、早急に対応すべき課題につきましては、平成8年度の予算等を通じて、速やかに実施に移す予定でございます。
 次に、地方振興局の機能強化についてでございますが、地方振興局は、地域の特性を生かした振興施策を総合的に推進する拠点として設置したものでございますが、その円滑な運営に資するため、逐次、組織体制の整備を図るとともに、現地処理になじむ事務については、できる限り現地で処理するという、こういう考え方のもとに、本庁権限の委譲を進めるなど、その機能の充実に努めてきたところでございます。また、それぞれの地域における活力に満ちた個性豊かな地域づくりへの取り組みに対して、市町村や地域の方々と連携を取りながら、県としてこれを積極的に支援する必要があると、このように考えておりまして、その中で地方振興局が果たす役割はますます大きくなっていくものと考えております。したがいまして、今後とも地方振興局の強化充実を図ってまいりたいと考えておりますが、具体的な方策につきましては、現在、審議をお願いいたしております行政改革推進懇談会の御意見などを踏まえながら、地方振興局が地域活性化の推進役として、その役割を十分発揮し得るよう総合的に検討を進めていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承願います。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) 食糧費の取り扱いについてでございますけれども、食糧費の執行に当たりましては、それが公費をもって賄われていることから、簡素かつ公正を旨として、節度ある対応と法の定めにのっとった適正な予算執行を図ることが必要であります。このため、従前にも増してその厳正な執行を確保するよう、全庁に周知徹底を図ってきたところであります。
 また、平成7年度下半期の食糧費については、今般、予算額の20%の執行を保留することとし、さらに、平成8年度の予算編成におきましても、可能な限り抑制してまいる考えであります。具体的には、10月中旬に各部局に通知する予定の平成8年度予算要求要領の中において、明年度食糧費の取り扱い方針を盛り込む方向で検討を進めているところでございます。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、花巻空港の滑走路延長整備の第7次空港整備5カ年計画への組み入れについてでありますが、同計画につきましては、去る8月に、航空審議会から中間取りまとめといたしまして、計画の基本的考え方が公表されたところであります。
 これによりますと、関西国際空港2期、それから中部新国際空港、それから首都圏第3空港などの大都市圏における拠点空港の整備を最優先課題として位置づけた上で、地方空港の整備につきましては、従来からの継続事業を中心とすることとし、大型就航機のための滑走路の延長等を今後新規に着手する場合には、需要への対応を基本とするなどの厳しい方針が示されたところであります。
 本県といたしましては、知事はもとより県内経済界等からも、運輸大臣を初めとする運輸省幹部等に対し、将来需要等の観点に基づく花巻空港の整備の必要性を強く繰り返し訴えてまいりました。5カ年計画への組み入れについて要望してまいったところであり、官民挙げて全力で働きかけているところでありますが、現段階におきましても、実現の見通しにつきましては、依然として楽観を許さない状況にあるものと認識いたしております。したがいまして、今後も平成8年11月ころに予定されております第7次空港整備5カ年計画の閣議決定に向けまして、こうした取り組みを一層強力に展開してまいりたいと考えております。
 また、空港利用促進策についてでありますが、県におきましては、平成5年度に設立されました岩手県空港利用促進協議会と連携しながら、官民一体となって最大路線であります大阪線に重点を置き、利用促進運動を進めているところでございます。具体的に申し上げますと、今年度は高等学校の修学旅行への助成や本年4月の中型ジェット機就航を記念した利用者へのプレゼントなどを通じた県民へのPRはもとより、県外観光客の誘致拡大のため、近畿地区の旅行代理店に対して協力を要請するなど、できる限りの努力を重ねているところであります。こうした取り組みの結果、今年度は、修学旅行に花巻空港を利用する県内の高等学校の数の大幅な増加が見込まれるなど、成果が出てきておりまして、大阪線の利用実績自体も本年4月から8月までの時点で、昨年度同期に比べまして27%の増加となっております。しかしながら、中型ジェット機の利用率が必ずしも十分な水準に達していないなどの課題も多く残っております。県におきましては、このようなことから、その利用の拡大に向けまして、引き続き積極的な運動を展開してまいる、そのように努めてまいりたいと存じますが、県民の皆様におかれましても、係る事情を御理解の上、1人でも多くの方が空港を利用していただけるようにお願い申し上げたいと存ずるものであります。
 次に、花巻空港の整備と仙台空港の位置づけについてでありますが、御案内のように、花巻空港は東北新幹線や東北縦貫自動車道に隣接しているというすぐれた立地条件にありますので、引き続きその優位性を十分に発揮できますように、滑走路延長整備を通じて国内各地との航空ネットワークの拡充を図るとともに、お話にもありました、少なくとも国際定期便が就航できるような、県民にとって利便性の高い空港づくりを目指してまいりたいと考えております。
 また、御指摘にもありましたように、花巻空港を起点とする航空ネットワークを拡充し、内外との交流の活発化を図るためには、その整備充実はもとより、利用者のニーズに応じまして、仙台空港など、近県の空港の利用について考慮していくことも必要であると、このように考えております。さらに、東京便につきましては、首都圏との交流や羽田空港を通じた国内航空ネットワークへの有力なアクセス手段としての位置づけ、国や航空会社に対してこれらを強く訴えて、今後とも粘り強くその復活を要望してまいりたいと考えております。
 次に、県北空港問題についてでありますが、県におきましては、高速交通空白地域を解消するための有力な手段の1つであると考えまして、県北地域を含む沿岸地域における空港の設置が平成13年度を初年度といたします第8次空港整備5カ年計画に組み入れられることの可能性につきまして、専門機関に委託し調査を行いましたところ、物理的な面から久慈地域に7カ所の空港適地が選出されたものの、航空需要の面からは2、000メートルの滑走路を有する空港の整備は困難であるなどの報告を得たところであります。一方、県北地域の市町村等で構成される同盟会において実施いたしました調査では、同地域に2、500メートル滑走路を有する空港の立地可能性が認められるとの報告が得られておりまして、その報告をいただいているところであります。県といたしまして、この両報告書の違いについて精査いたしましたところ、同盟会の調査では、航空需要の予測に当たり、三沢空港との競合あるいは東北新幹線盛岡以北の高速化や、八戸・久慈自動車道等の整備の動向を想定していないなどの事情も一部判明しております。もとより、このような調査につきましては、その方法の違い、あるいは前提条件の設定等によりまして、その結果に差が生じるものでございますが、県といたしましては、この2つの調査の結果を参考とした上で、専門家からなります岩手県総合交通体系協議会の御審議をいただきながら、現在進めております総合交通体系に関する基本計画の策定作業の中で、高速交通空白地域の解消という観点に立ちまして、コミューター航空のための空港をも含め、空港立地の可能性について引き続き検討してまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤昭美君登壇〕
〇農政部長(佐藤昭美君) 青年農業者の育成確保についてのお尋ねにお答えします。
 青年農業者の育成確保は県農政の主要な課題であり、農家子弟に限らず有能な人材を幅広く求め、本県農業の将来を担う主業型農家として育成していくことが極めて重要であると考えております。こうしたことから、本年度から地域農業改良普及センターに経営・担い手育成班を設置し、個別の育成プログラムにより濃密指導を行うこととしたところであり、また、農業担い手育成基金の就農促進事業や無利子資金の貸し付けなど、支援対策の充実を図っているところであり、特に、青年の就農促進と定着を図るための就農支援資金につきましては、5カ年間継続して農業に従事した場合、償還の一部を免除する本県独自の措置を新たに講じてまいる考えであります。
 また、県立農業短期大学校において、自営者を養成するための実践教育と農業者研修を行っているところでありますが、今後は、特に農業者研修について受講者の多様なニーズに対応できるよう、新規就農者研修や経営課題解決のための研修コースなど、その充実強化を検討してまいりたいと考えております。さらに、農業以外からの参入を促進するため、受け入れ窓口を設置し、就農情報の積極的な提供や相談活動を実施するなど、総合的な対策を講じ、本県農業の担い手となる青年農業者の育成確保に鋭意努めてまいる考えであります。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) 救急医療体制についてのお尋ねにお答えいたします。
 近年の車社会の進展に伴う交通事故の増加や人口の高齢化に伴う心疾患の増加に対し、これらに対応する高度な救急医療体制への期待が高まってきております。このため、昨年の12月に、救急医療関係者により岩手県救急医療検討会を設置し、3次救急医療体制の整備のみならず、職員及び2次救急医療体制の充実、道路整備を含む患者搬送体制の強化、救急医療に対する県民の理解と協力などを含め、本県における救急医療体制のあり方についての総合的な検討を行い、本年7月にその最終報告をいただいたところであります。
 その提言によりますと、3次救急医療体制の整備について、岩手県高次救急センターから地理的にも時間距離的にも最も遠く、かつ救急医療資源の希薄な沿岸北部の久慈地域及び沿岸南部の大船渡地域については、早急に救命救急センターを整備することが望ましい。また、比較的遠い地域に当たる二戸地域、両磐地域及び宮古地域については、中長期的見地から既存の救急医療体制を逐次充実する方向で整備することが望ましいとされております。県といたしましては、高度の救急医療を担う医師の確保等の問題もありますが、県民がどこに住んでいても、速やかに高度な医療が受けられるよう、提言の趣旨に沿って鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) 防災に配慮した宅地開発についてでありますが、都市計画法におきましては、御案内のように、都市計画区域のうち一定規模以上の開発につきましては知事の許可を受けることとされており、その許可に当たりましては、防災面に配慮しながら良好な市街地の形成を図るよう道路や公園等の配置、構造等について、適切な指導・審査を行っているところであります。
 また、建築基準法では、建築物の敷地は防災上の観点などから、原則として幅員4メートル以上の道路に接することが必要とされておりますが、この条件を満たさない土地を利用する場合には、一定の道路幅員の確保や車両の回転場所の設置等の措置を義務づけて、道路位置の指定を行っているところであります。
 お尋ねのありました、いわゆるミニ開発でありますが、造成された宅地につきましては、その実態の把握は困難でありますが、建築基準法による道路位置の指定申請は、平成6年度は県内で124件あったところであります。
 県といたしましては、今後とも開発行為等、適正に指導してまいりますとともに、防災面に配慮した道路の整備や土地区画整理事業等を積極的に推進し、防災空間の確保を図るなど、関係市町村との密接な連携のもとに、安全で快適なまちづくりに努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) 国立博物館の誘致についてでありますが、本県は、日本列島の北の文化の中心として歴史の各時代を通じて特色ある文化をはぐくみ、すぐれた文化財を数多く生み出してまいりました。北の文化に重点を置いた国立博物館を新たに設置することは、我が国全体にとりましても大きな意義を持つものであると考えております。このため、平成3年度以降、政府予算要望を初めとして、あらゆる機会をとらえて、文部省、文化庁に対しその誘致を要望してまいりましたが、今後とも、御指摘の平泉町を初めとするさまざまな運動と連携しつつ、また機会をとらえて、北海道、東北の各道県などの理解も求めて、強力に誘致活動を展開してまいりたいと考えております。
 なお、国におきましては、平成8年度の概算要求で、九州国立博物館(仮称)設置調査等に係る予算を計上したと聞いております。県といたしましては、九州における誘致運動も参考にしながら、長期的展望に立って誘致の働きかけを行ってまいりたいと考えておりますが、今後、とりわけ平泉文化を初めとする北の文化の歴史的重要性を明らかにする研究努力が必要であります。学術的な研究成果を通じまして、本県への国立博物館設置の必要性について、強力に情報を発信していくことが重要であると考えております。こうしたことから、現在検討を進めております柳之御所遺跡など、広範な分野に及ぶ平泉文化を研究テーマとする考古学研究機関についても整備促進に努め、国立博物館の誘致に向けた機運の醸成につなげてまいりたいと考えております。

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