平成7年9月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇22番(水上信宏君) 公平、公正中立な政治を志し、指導していただきたく、1度もお会いしたことのなかった山崎代表のわずか2分30秒間の電話での説明で県民クラブに所属いたしました水上信宏でございます。
 今期定例会におきまして一般質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員に対し心から感謝申し上げます。
 質問に先立ちまして、せっかく機会をいただきましたので、この席をおかりし、本当におくれましたが、さきの統一地方選挙において、若さと行動力、公約実現を期待され、岩手県知事に当選されました増田知事に対しお祝いを申し上げます。
 以下、通告に従いまして順次お伺いいたしますが、質問者の順番の関係で重複するところもあると思いますし、県北沿岸に偏った部分もあることをお許しいただきたいと思います。
 まず初めに、知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。
 知事のお父様であられました故増田盛先生は、県民から親しまれ、尊敬されながら、国政の立場にあって岩手県の発展のために御尽力なされ、今の揺るぎない岩手県を築いてこられた1人と、大変尊敬するものであります。先生は後年、自分はこれから県民党的立場に立って県民のために働きたいと言っておられましたし、選挙が終わってからの心のこもった対応のとり方に対し、政治に関心を持ち始めた私にとって大きな感銘を受けたものでございました。先生のお言葉を今思うとき、先生は長い間の政治活動の中からその経験を踏まえて、一方に偏らない政治を目指すことを強く感じられたことではなかったでしょうか。選挙を戦う者としては、そのときどきの情勢を分析し、また、みずからの政治信条があって当然のことと理解できますが、故増田盛先生が長年の経験から得た県民党的立場の意義を深く受けとめ、一党一派に偏することなく、岩手のリーダーとして堂々と県政のかじを取っていただきたいと思うものであります。一連の選挙の結果は結果として、優秀な人材を広く公平に登用し、意見を求めることも肝要と考えます。全国で一番若いと言われる知事には、広大な岩手の均衡ある発展、目前に迫る高齢化社会への対応、農林、水産物自由化に対する本県の課題等々、県政を取り巻く厳しい環境の中、目前の21世紀を見据えて、岩手の無限の可能性をどのように方向づけなされるのか、大きな期待が持たれております。このことを踏まえて、知事の政治姿勢をわかりやすくお伺いするものであります。
 次に、県土の均衡ある発展、格差是正についてお伺いいたします。
 知事は、さきの統一地方選挙において、過疎地における働く場、医療、娯楽、教育等の生活の場を整備し、県北、沿岸、県境と内陸の地域格差を是正することを公約の1つに掲げ、県民の多数の支持を得て当選の栄に輝いたところであります。知事も御承知のとおり、本県の所得水準は年々向上しており、県勢は着実な発展を遂げているところでありますが、全国との比較においてはなお低位にあり、県内においても地域格差が見られるようなところもあります。特にも県北、沿岸地域は豊かな自然環境に恵まれ、農林水産資源を初めとする地域資源にも恵まれておりますが、地形的あるいは地理的に不利な条件下で交通体系の整備も総体的におくれ、産業経済活動も必ずしも活発に行われていない状況にあることは知事もよく御存じのことと思います。知事は、6月議会の所信表明において、全国との格差是正と豊かな生活圏の形成による県土の均衡ある発展を図ることが本県の基本課題であり、このため、県民1人1人が豊かさを実感できる生活の実現に向けて積極的に取り組むと決意を表明されましたが、県北、沿岸に住む県民の1人として、この言葉に元気づけられた次第であります。
 また知事は、開かれた県政の実現を目指して、先月下旬から県北、沿岸の二戸市、久慈市を皮切りに、10市町村にわたり県政懇談会を開催し、交通網の整備、産業の振興など、市町村が抱える課題について精力的に聞いて回られているということですが、懇談会で出された切実な地域課題の一刻も早い解決と、県北、沿岸地域の発展を願うものであります。各市町村にあってもそれぞれ努力しているものの、財源に乏しく、どうしても国、県のバックアップなくしては事務事業の推進ができないのが実情であります。
 そこでお伺いしたいのは、知事は、公約の1つである県土の均衡ある発展、格差是正を図るために、具体的にどのような施策を計画実行されているのか、現在策定作業が進められておるところの3県総後期実施計画とも関連しますが、お聞かせ願います。
 次に、核実験反対の知事の決意についてであります。
 このたびフランスは、国際世論を無視し、核実験を再開しました。知事は、この核実験の再開に対しいち早く遺憾の意を表明していることは、県民ひとしく敬意を表しているところでございます。県議会におきましても、先般、中国及びフランスの核実験に抗議し、その中止を求めるとともに、すべての国の核実験の全面禁止を求める決議を全会一致で可決したところであります。このたびのフランスの強硬なまでの核実験には、被爆国日本のみならず、世界的規模で怒りがわき上がり、また、憎しみすら感じるものがあります。核による放射能汚染の恐ろしさは、広島、長崎、また、1954年、太平洋のビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験での第五福龍丸乗組員の被害等、最近では旧ソ連の原発事故等に見られる悲惨な被害の実態により、世界じゅうの人々にはかり知れない恐怖感を与えております。また、中国も核実験を強行しており、大国と言われる両国が核実験を強行し続けることは、全世界が死の灰の恐怖におびえ続けることであります。私は、文化的先進国として大変信じていたフランスが、なぜかたくななまでに核実験にこだわり続けるのか理解に苦しむところでありますが、恐ろしいことに、フランスの大統領は、実験を行う理由の1つとして、他国の政治不安定を挙げております。戦争を防ぐため装備し、平和を守るため核実験をするという論理は、まさしく大国のエゴ以外の何物でもありません。この核実験や核保有の問題は国レベルのものとは思いますが、重要なことでありますので、ここに改めて知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、農業対策についてお伺いいたします。
 新鮮で安全な食糧を安定して生産供給していくことは、我が国の経済社会の安定を維持していく上での重要課題であることばかりでなく、農業県である本県の地域経済の活性化のためにも最重要課題であります。しかし、その環境条件は厳しく、これらの推進のためのエネルギーがややもすると沈静化しているように感じられ、憂慮すべきものであります。これらの原因を見ると、1つは、最近の生鮮野菜の輸入急増であります。平成6年の生鮮野菜の輸入量は、国内の猛暑と水不足による生産の減少や、円高等が背景となって前年比66%増の65万トンという史上最高を記録したということであります。野菜などの輸入農産物の増大は、価格破壊となって消費者に利益をもたらす反面、生産国における品質の安全性はもとより、量的な安定供給の面でも決して安心できるものではないと伝えられております。第2に、生産振興のためのエネルギーとなる農業労働力の問題であります。農業労働力は依然として減少傾向にあり、地域の農業生産力の衰退ばかりでなく、農村社会の全体的な活力を低下させております。しかし一方では、平成6年の農業白書によると、全国の新規学卒で農業に従事した人は7年ぶりに増加に転じ、前年より約7、000人多い3万1、000人となっていること、また、このような若い担い手や意欲的な農家女性が施設型農業を選択していることなどが報告されております。本県の今後の農業振興策を展開していくとき、このような環境実態に適切に、かつ弾力的に対応できる施策や新たな動きを前進させていく支援施策を講じることが重要であると考えますが、今後、この野菜などの園芸部門を主体とした地域農業の振興のための県の具体的取り組みについてお伺いいたします。
 次に、シイタケ生産についてお伺いいたします。
 本県の干しシイタケの生産は、大分県、宮崎県に次いで全国第3位の生産量を誇るまでになっており、生産額では約32億円を上げ、自然環境の厳しい中山間地域の経済を支える重要な産業に位置づけられております。また、本県は、肉厚のいわゆるどんこと言われる種類を多く生産しており、香港やシンガポールなどにも輸出され、国の内外から高い評価を得てきたところであります。私の地元、種市町においてもシイタケの生産に力を注いできた結果、干しシイタケで県下1位、生シイタケでは県下3位の位置を占めるようになり、非常に喜んでおるところであります。しかし、懸念すべきことは、ここ数年シイタケの生産に伸び悩みが出てきたことであります。林野庁の発表によれば、干しシイタケの輸入量は、平成2年に2、400トンで全消費量の2割程度であったものが、昨年には7、800トンと5年間で3倍以上に急増し、国内で消費される量の約半分を輸入品が占める状況であります。このほとんどは中国産で、価格は国産品の約3分の1と、非常に低価格であることがシェアを伸ばした原因と思われます。中国産の攻勢は我が国の干しシイタケの輸出にも及び、昨年の輸出量は960トンと前年より増加はしたものの、平成2年の1、600トンと比較すると6割まで落ち込んでおります。加えて、平成3年に5、000円台であった市場価格が平成6年には3、000円を割っており、採算割れを起こしている生産者も出ていると聞いております。これは、本県シイタケ産業の発展にとって極めて憂慮すべき状況であると思われますが、県は、このように急増する外国産干しシイタケに対し、今後どのように取り組んでいくつもりかお伺いいたします。
 次に、テレビ、ラジオの難視聴地域の解消並びに移動電話の普及についてお伺いいたします。
 今日、我が国は、国際化や高齢化の進展とともに高度情報化という大きな潮流の中にあり、通信技術や情報処理技術の発展に伴って情報ネットワークが拡大し、国内はもとより、広く海外との情報の交換が活発化しております。このような高度情報化社会が到来する中、本県にあっては、私どもの日常生活にとって最も身近で基礎的な情報伝達の手段であるテレビ、ラジオが今なお見えにくく、聞きにくい地域が残されております。私の住む県北地域の中にもこのようなテレビ、ラジオの受信状況の思わしくない地域が残されており、高度情報化と言われる時代とのギャップをいやが上でも認識させられる実情であります。地震多発地帯に属する我が国においては、このところの三陸はるか沖地震や阪神大震災などが発生し、改めて防災に対する関心が高まっております。申すまでもなく、テレビ、ラジオは地域の人々にとって地震や津波などの情報をいち早く入手できる最も身近な情報媒体であります。県におかれましては、県単独の補助制度を創設されるなどの方法により難視聴地域の解消に積極的に取り組まれておりますが、今なおテレビ、ラジオの難視聴地域が残っているという現実は、防災対策の観点からもまことに心細い限りであります。情報格差の是正はもとより、防災対策の一層の充実を図る上からも、これら早期解消を図ることが重要な県政課題の1つであると考えますが、今後、テレビ、ラジオの難視聴地域の解消をどう進められるのかお伺いいたします。
 続きまして、移動電話の普及についてであります。
 情報通信分野における目覚ましい技術革新とも相まって、近年、移動電話の急速な普及が進んでおりますが、県北地域ではこの移動電話の通じない地域が広く存在しております。移動電話は、地域における産業経済活動の活性化や日常生活における利便性の向上のみならず、防災対策の面から見ても極めて有能な情報伝達媒体であります。現にさきの阪神大震災でも、寸断された電話にかわって大きな役割を果たしたと報道されております。県内のどの地域においても移動電話が使用できるような通信網の整備が望まれますが、今後の県の対応についてお伺いいたします。
 次に、高速道路と沿岸部を結ぶ道路整備についてお伺いいたします。
 我が岩手県においては、東北縦貫自動車道、東北新幹線の開通に伴い、その経済効果を全県下に波及させるため、内陸部と沿岸部を結ぶ横断的道路を重点的に整備され、この結果、沿岸部の各都市から盛岡までおよそ2時間で結ぶ構想を実現させたところであります。そして、地域間の一層の時間短縮を図るため、広域生活圏都市間をおおむね100分で結ぶことを目標に交流ネットワーク道路整備事業を創設され、その整備が進められていると聞いております。さらに、従来の高規格幹線道路を補完するための自動車専用道路並みの規格を持つ地域高規格道路の整備に取り組まれると伺っており、その整備促進を大いに期待しているところであります。御承知のように、本県沿岸部は、内陸に比べると厳しい自然条件、社会条件と相まって、沿岸地域の高規格幹線道路の整備の立ちおくれが産業発展の振興を阻害する大きな要因と考えられます。特に沿岸地域の久慈-宮古間は高速交通体系の空白地域となっており、私は、この地域の企業誘致や地場産業の振興を図る上からも、久慈-宮古間の高速交通体系の整備が必要と考えております。
 そこで、高速道路と一体となって機能し、沿岸部の活性化や産業の振興のため、地域の人々が大変期待を寄せている久慈-宮古間の地域高規格道路と、一部供用開始されていながら全線についての路線すら発表されていない八戸-久慈間の自動車道の今後の取り組みについてお伺いいたします。
 また、県は、東北新幹線盛岡以北の事業着手に当たり、沿岸北部地域と県央部の連携を強化し、新幹線整備の効果を広く普及させるため、平成6年度から県単独事業として新幹線関連道路整備事業を実施中と伺っておりますが、このうち、特に北部沿岸地域から新幹線二戸駅に連絡する種市ルートの整備の進捗状況と今後の取り組みについてお聞かせ願いたいと思います。
 次に、県立高校への専攻科の設置についてお伺いいたします。
 工業学科などの専門高校は、これまで主として地域に密着した中堅技術者の養成機関として大きな役割を担ってきました。しかし近年、実際に働きながらさらに技術の向上を望む人や、専門高校で身につけた技術を一層伸ばしたいという意欲を持つ生徒に対して学習機会を提供したり、産業社会の進展に対応した実践的な技術者の確保を図る観点から、工業等に関する専攻科設置の必要性が全国的に増大しておりますが、本県においても工業学科など、専門高校卒業生の継続教育の充実を図るため、専攻科の設置が求められておると伺っております。また、電気等、一般的な学科については大学や高等技術専門校がその役割を果たしているものの、地場産業と結びついた特色ある学科については大学や高等技術専門校にも設置されていないものがあります。例えば、県立種市高校の海洋開発科は、土木、潜水、海洋観測、電気、情報技術等、広範囲にわたる学習を総合的に学べる全国唯一の学科であり、高等技術専門校にもこのような学科はなく、大学でもごくわずかであると聞いております。しかし近年、水中土木の業界においては、本四架橋、関西新国際空港、羽田空港の拡張、東京湾岸横断道路の建設等、大型プロジェクトがメジロ押しでありますが、これまでの人力に頼る工法は少なくなり、むしろロボット等による機械化された工法、すなわち先端技術を取り入れた工法が要求されるようになってきております。このような技術の高度化は、水中土木のみならず、あらゆる分野に及んでいるところから、地元産業と連携できるなどの特色ある工業学科を有する専門学校にさらに上級の教育を行う専攻科を設置すべきであると考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。
 次に、公共事業の前倒し発注についてお伺いいたします。
 県においては、毎年度上半期の契約目標率を定め、公共事業の施行促進に努められているようですが、このことは積雪寒冷地の本県にとってはまことに重要であり、また、公共事業は建設業のみならず、他の産業に対しても生産を誘発する効果をもたらし、雇用の創出や所得の増大が図られるなど、県内経済の維持拡大に大きな影響力を及ぼすものと存じているところであります。先日の日銀盛岡事務所がまとめた県内金融経済概況によれば、県内景気は全体として足踏み状態ということであり、こうしたことからも公共事業の積極的な施行に一層の期待がかかるところであります。また、国においては、本年4月に緊急円高、経済対策を策定し、内需振興策の一環として、本年度の公共事業の執行に当たってはできる限り積極的な施行を図ることとしたところでありますが、本年度における本県の公共事業の前倒し発注の状況はどのようになっているのかお伺いいたします。
 次に、健常者や障害者の交流の場としての福祉施設の整備についてお伺いいたします。
 本県は全国を上回る速さで高齢化が進み、また、高齢化に伴って重度障害者が増加している一方で、障害者の就労、社会参加意欲の高まりが見られるところであります。私は、このような情勢のもとで、障害者に対する県民の理解を一層進めるとともに、健常者と障害者が交流し合い、生きがいを持って生活できる施策を推進する必要があると思うのであります。県は、この観点から、ふれあいランド岩手や大船渡の福祉の里センターを整備しているところであります。この施設は、だれでもが利用しやすく、県民すべてが交流の場を通じて住みよい社会の形成に参加する場となるものと確信するものであります。しかしながら、広大な本県にとって、これらの理念をより地域に根差し、醸成するためには、より多くの地域において障害者、高齢者などが相互に交流する場としての福祉施設の整備が必要であります。私は、県北を含めた全県的視野に立って、均衡のある配置が必要であると考えます。
 そこで、県においては、障害者の自立支援や社会参加を進めるための場としての福祉施策をどう進めていくお考えなのかお伺いいたします。
 最後に、知事の申されております全国に誇れる県土岩手のさらなる構築に期待し、私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 水上信宏議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、私の政治姿勢についてでございますけれども、今、私の父の話などを出していただきまして大変恐縮をいたしておりますが、議員御指摘のとおり、21世紀を目前に控えまして、高齢化社会への対応、農林、水産物の自由化等々、県政を取り巻く環境には大変厳しいものがありまして、数々の課題がございます。
 申し上げるまでもなく、県政の究極の目標は、県民の皆様1人1人が心から幸せを感じ、夢を抱き、生きがいを持って暮らすことのできる生活を実現することでございます。そのため、就任に当たっても申し上げたところでございますけれども、あらゆることにチャレンジ精神を持って取り組むこと、清新で公正な県政を実現すること、困難があっても情熱と信念を持って立ち向かうことなど、こうしたことを基本として県政の運営に当たっていく考えでございます。
 次に、県土の均衡ある発展、格差是正を図るための政策についてということでございますが、私は、県土の均衡ある発展を実現するためには、特に県北・沿岸地域の振興に十分留意をし、地域の発展の基礎となる社会資本を一層整備するとともに、産業全体の活発化を促すためのさまざまな施策を展開するほか、生活環境の整備充実を図ることによって、地域のあらゆる発展可能性を引き出し、これを具現化させることが大切であると、このように考えているところでございます。このため、東北新幹線盛岡以北の建設促進、八戸・久慈自動車道や三陸縦貫自動車道、久慈-宮古間の三陸北縦貫道路等の整備、さらには、陸・海運の結節機能を担う港湾の整備促進など、広域的な交通ネットワークの整備充実を図るとともに、下水道、公園等の居住環境の整備、県立久慈病院の移転整備など、医療、福祉の充実に努めているところでございます。
 また、産業振興の面では、夏期冷涼な気象を生かした野菜、花卉等の園芸作物の生産の拡大、南部アカマツなどの県産材のブランド化や日本一の炭の里づくり構想の促進、また、ウニ、アワビ、マツカワ、ヒラメなどのつくり育てる漁業の振興などによる力強い農林水産業の展開、さらには、拠点工業団地等の整備、テーブルランドなど、3つのリゾート地域の整備促進に努めるほか、三陸地方拠点都市地域の一体的な整備促進など、さまざまな施策を積極的に進めているところでございます。
 今後におきましても、現在策定を進めております3県総後期実施計画に、これらの施策を反映させるとともに、地域の特性を生かした新たなプロジェクトや施策についても盛り込むよう鋭意検討を進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 次に、核実験反対の決意についてでございますが、我が国は世界で唯一の被爆国として、あらゆる国の核実験に反対をしております。先般、フランスが日本国民の平和への願いに反し核実験を行ったことは、まことに遺憾であり、今後このようなことが絶対ないようにと切に願っているところでございます。私は、世界平和を願う立場から、今後ともすべての国における核実験に反対していく、このような姿勢を堅持してまいりたいと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承願います。
   〔農政部長佐藤昭美君登壇〕
〇農政部長(佐藤昭美君) 野菜など園芸部門を主体にした地域農業の振興策についてのお尋ねにお答えします。
 本県においては、野菜、花卉などの園芸作物を地域農業の再編の戦略部門として位置づけまして、これまでも地域ごとに重点品目を配置しながら、生産者を初め関係者一丸となって全県的にその生産振興に努めてきたところであります。その結果、県北・沿岸地帯の雨よけホウレンソウを初め、県南地帯の夏秋ピーマン、高冷地のレタスなど、全国的にも有数な産地が形成され、大消費地からも高い評価を受けているところであります。しかしながら、御案内のように、輸入野菜の増加による影響も懸念されますので、それにまさる本県ならではの安全で新鮮な野菜の生産供給体制の確立に、より一層努めてまいることが肝要でありますし、地域によっては、顕在化してきております労働力不足などの問題に適切に対処していくことが重要であります。とりわけ、労働力不足に対応しましては、今後、大根などの土地利用型野菜の機械化栽培一環体系の確立や、果菜類・花卉の苗供給体制の整備等により省力生産を一層推進してまいりたいと考えております。
 また、雨よけハウスの導入を推進しますとともに、種市町や山形村などで取り組まれております高齢者や女性労働力を活用した地域ぐるみ営農の組織化を他地域に普及するなどによりまして、園芸作物の振興を図り、地域農業の活性化に資してまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長田尾秀夫君登壇〕
〇林業水産部長(田尾秀夫君) 外国産干しシイタケの輸入急増に対する取り組みについてお答えをいたします。
 中国産を主体とする外国産干しシイタケの輸入量は、議員御指摘のとおり、年々増加しておりまして、平成6年には、ついに外国産干しシイタケが国内産を上回るまでになっておりますことから、外国産干しシイタケに対抗するための対策を講ずることが緊急の課題であると認識いたしております。外国産干しシイタケに対抗するためには、まず生産コストを低減することが必要でありますが、国庫補助事業はもちろんのこと、県単事業や融資事業など、あらゆる事業を活用して人工ほだ場の整備や自動植菌機の導入などを促進いたしまして、生産性の向上を図り一層の低コスト化を図ってまいりたいと存じます。
 また、技術講習会の開催などにより、さらに高品質な干しシイタケの生産に努めると同時に、国産と外国産の品質面の違いをアピールしていくことが何よりも肝要であると考えております。マツタケと同じように、国産干しシイタケと外国産干しシイタケには大きな違いがございますが、国産干しシイタケは、味、香り、歯ごたえなど、外国産干しシイタケに比べてすべての面ではるかにすぐれているところでありますが、必ずしも消費者の方々に理解されていない状況でありますので、国産干しシイタケのよさ、外国産との違いを正しく理解していただくことが重要であると存じます。このため、料理コンクールの開催、またイベントにおいて、外国産シイタケと県産シイタケの食べくらべなどを実施し、県産干しシイタケの品質の高さを積極的にPRしてきたところでありますが、幸い、ことしから、全国段階でも国産品の品質のよさを保証するシンボルマークを制定するとともに、マスメディアを通じて国産干しシイタケのよさを消費者に普及宣伝することとされておりますので、県といたしましても、このような全国レベルでの運動と連動しながら、生産者、関係団体と連携し、国産品の優位性、ひいては県産干しシイタケの品質のよさを今まで以上にアピールしてまいりたいと存じます。
 いずれにいたしましても、本県の干しシイタケは、議員御指摘のとおり、全国第3位の生産量を誇っており、また、中山間地域における大変重要な作目でありますので、今後とも外国産の干しシイタケに負けないように懸命に取り組んでまいりたいと存じます。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、テレビ・ラジオの難視聴地域の解消についてでありますが、御指摘にもありましたように、テレビやラジオは日常生活はもとより、防災対策の面でも欠かすことのできない重要な情報媒体であります。本県は、電波の届きにくい山間部が多く、かつ集落が点在しているという特殊な状況にありますので、県におきましてはテレビの難視聴対策といたしまして、昭和46年度に県単独の補助制度を創設し、以来平成6年度末までに県内の54市町村におきまして、合計約11万4、000世帯の解消を図ってきたところであります。しかしながら、難視聴世帯、すなわち県内のテレビ放送4局のうち1局でも視聴できない世帯──これを難視聴世帯と言っておりますが、この難視聴世帯は現段階において、なお約2万3、000世帯が残されております。したがいまして、県といたしましては、今後引き続き放送事業者に改善努力を強く要請するとともに、地元市町村との連携を強化しながら難視聴世帯の解消を支援してまいりたいと考えております。
 また、ラジオの難聴地域の解消につきましては、ラジオの電波自体が中波の電波でありますが、この電波自体が、昼夜の違いあるいは季節、あるいは気象条件などの影響を受けやすいという特性をもっておりますし、さらにまた、カーラジオや携帯ラジオなど、利用形態が多様化してきていると、このようなことから難聴問題が発生しやすく、これらの改善のためには費用の面のみならず、技術的な分野でも対応の難しいさまざまな問題がございます。しかし、今後におきましても、県内のどの地域にあっても良好な状態でラジオ放送を受信できますように、引き続き放送事業者に対し改善努力を強く要請してまいりたいと考えております。
 次に、県内におきます移動電話通信網の整備についてでありますが、近年における高度情報化の進展や交流の活発化などを背景といたしまして、移動電話に対する需要が大幅に伸びてきており、本県における平成7年3月末現在の加入契約件数は約1万6、200件となっておりまして、これは1年前に比べて2・2倍に増加している結果となっております。反面、県内に利用可能な地域は、おおむね二戸市から一関市にかけての県央部、それから沿岸部の一部というふうになっております。もとより、この移動電話の通信網の整備は、民間の事業者が郵政大臣の許可を得て取り組んでいるところでありますが、国におきましてはその整備をさらに促進するために、平成3年度に過疎地や辺地を対象といたしまして、電気通信格差是正事業費補助金交付制度を創設いたしまして、情報通信基盤の整備を促進してきているところであります。本県におきましても、この制度を利用いたしまして、平成3年度に衣川村と山形村、平成6年度に室根村においてそれぞれ移動通信用鉄塔を整備し、利用範囲の拡大を図ってきたところであります。県といたしましては、今後とも県内のできるだけ広い地域で移動電話が使用できますように、関係機関等と連携を強化しながら、事業者に対して情報通信基盤の整備の一層の促進を要請するとともに、国庫補助制度の活用をも含め積極的に対応してまいりたいと考えております。
 次に、いわゆる公共事業の前倒し発注についてでありますが、県におきましては、積雪・寒冷地であるという地理的な条件、そしてまた、公共事業が県内経済に与える効果が大きいということから、従前から積極的に公共事業の早期発注に努めてきたところであります。本年度は、4月の経済対策閣僚会議において決定されました緊急円高・経済対策等をも踏まえ、本県におきます公共事業の上半期の契約目標率を昨年度と同様の80%と設定したところであります。その契約実績を見ますと、8月末現在で、本工事費2、057億400万円のうち1、107億2、000万円が契約済みとなっておりまして、契約率は53・8%となっております。これを昨年同期に比べてみますと、4・3ポイントほど下回っておりますが、これは本年度の当初予算がいわゆる骨格予算でございまして、6月補正において本工事費が約240億円増加したことなどによるものであります。
 今後におきましても、公共事業が本県経済に与える影響の大きさに十分留意しながら、先般の国の経済対策によって追加が見込まれております公共事業をも含めて、その円滑な執行を図られるように努めてまいりたい、このように考えております。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) まず、久慈-宮古間の地域高規格道路についてでありますが、この地域高規格道路は、国の第11次道路整備5カ年計画における新たな施策として打ち出されたもので、高速自動車国道や一般国道の自動車専用道路と一体的に機能し、広域的な幹線道路ネットワークを形成するため、自動車専用道路もしくはそれに準ずる規格の高い道路として整備されるものであります。本県においては、昨年12月に、三陸縦貫自動車道と八戸・久慈自動車道との間を結ぶ国道45号の久慈-宮古間が、国道106号宮古-盛岡間及び国道46号盛岡-秋田間とともに路線指定を受けたところであります。その後、本年4月、国道45号の普代バイパスと国道106号の達曽部道路が整備区間に指定され、さらに8月には、国道45号の岩泉町小本地区の中野バイパス、それから、国道106号の簗川道路が新たな整備区間として指定されたところであります。このうち、久慈-宮古間の取り組み状況についてでありますが、普代バイパスは今回指定を受けたことに伴い、自動車専用道路として整備が進められることになり、本年度は用地買収に着手する予定と伺っております。また、中野バイパスについても、普代バイパスと同様に自動車専用道路として整備が進められることになり、本年度は詳細な調査・設計を行う予定と伺っているところであります。県といたしましても、両バイパスの早期整備はもとより、残る区間についても順次整備区間に組み入れられるよう、積極的に国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、八戸・久慈自動車道についてでありますが、御案内のように、久慈市内の道路につきましては、平成5年に3・2キロが供用されておりますが、残る区間につきましては青森県側から整備が進められており、本県分約27キロメートルにつきましては、現在概略ルートの検討が進められるというふうに伺っておりますので、これまでに引き続き早期に基本計画に組み入れられるよう、国に要望してまいりたいと考えております。
 次に、新幹線関連道路整備事業の種市ルートの整備についてでありますが、このルートは種市町から軽米町を経由して二戸駅に至るルートであり、このうち軽米町の市街地の隘路区間解消のために整備を進めております国道395号軽米バイパスにつきましては、平成9年度の供用を目指して工事の進捗を図っているところでございます。また、国道395号猿越峠につきましては、本年度から登坂車線の本格的な工事に着手するため、先般工事の発注を行ったところであり、また、主要地方道軽米種市線ノソウケ峠につきましても改良工事を進めておりますので、今後とも早期完成に向けて鋭意努力してまいりたいと考えております。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) 健常者と障害者の交流の場としての福祉施設の整備についてでありますが、御案内のとおり、障害者が家庭や地域において通常の生活ができるような社会づくり、いわゆるノーマライゼーションを基本理念に据えまして、スポーツやレクリエーション、趣味活動や学習などを通じた健常者との交流の促進や社会活動のモデルとなる施設として、昨年12月、ふれあいランド岩手を開設したところであります。
 また、福祉の里の整備は、福祉研修や各種催事・宿泊などのできる核施設を中心に、異世代交流を目的としたセンターや養護学校、特別養護老人ホームなどを一団の敷地内に、県、市、法人がそれぞれ整備したものであります。いずれの施設も国のリーディングプロジェクトとして、全国の先駆的な事業として全県域を対象に整備したものであります。
 お話のありました県北を初め、各地域における交流の場のあり方につきましては、地域の実情やニーズに沿って市町村や市町村の社会福祉協議会が計画する地域福祉の活動拠点となる総合福祉センターや地域福祉センターの整備に際しましても、障害者の自立支援や交流活動が促進されるような施設づくりを指導し、援助してまいりたいというふうに考えております。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) 県立高校の専攻科設置についてお答えいたします。
 本県の専門校は、これまで多くの職業人を育成し、産業経済の発展に大きく貢献してきたところでありますが、近年におきましては、特に産業社会の変化に的確に対応できる能力や判断力を身につけた専門技術者の育成が求められているところであります。そのため、県教育委員会といたしましては、本年3月に出されました県産業教育審議会の答申、本県高等学校における職業教育の振興について、これを踏まえまして、これからの専門高校のあり方について、既設学科の見直しや学科の新設等を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 専門高校の専攻科につきましては、これまでも時代の要請にこたえるため、宮古水産高校に漁業専攻科、盛岡農業高校に農業特別専攻科を設置してきたところでありますが、お尋ねのありました水中土木を含む工業などの専攻科設置につきましては、今後、志願者の予測や専攻科修了後の資格取得の見込み、卒業時の進路動向などを勘案し、設置の必要性について基礎的な調査をしてまいりたいと考えております。
〇22番(水上信宏君) ただいま、知事及び関係者の皆様方の誠意ある御答弁をいただき、まことにありがとうございました。ふなれのため、また時間の制約等のために申し上げられなかったことの一部と私なりの考え方──初めてですので、考え方、要望等を3点ほど申し上げたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 先ごろの新聞報道によりますと、国の道路審議会において整備がおくれている地方の高速道路の整備維持のため、現行の料金プール制は今後も継続すべきであり、さらに、償還期間後も維持管理費用分の料金については、継続して徴収すべきであるという議論がなされており、これに対し、大都市部や大都市部を中心とした利用者から反発が予想されるとの報道がなされておりました。私は、地方の高規格道路はまだまだ未整備であり、これらの整備を着実に進めていくためには、この道路審議会の提言を地方として強く支援していくことが必要であると考えるものであります。したがいまして、県御当局におかれましても、高速道路の早期整備を図るため、このような地方の切実な声を国に訴えていただきたいと提言申し上げます。道路整備は格差是正の即効薬と思うからであります。
 第2点目は、知事は、さきの参議院選挙におきまして、無所属で当選しました知事としてのよしあしは別としても、正々堂々と、しかもわかりやすく政党の公認候補を応援され、その候補は見事当選しました。私は、無所属議員としての公約と本人を私なりに見て、無所属の人を応援しましたが届きませんでした。私は思うには、当選した人も二位になった人も岩手県を代表する立派な人だと思いますし、岩手の発展のためには必要な人だと思います。私が申し上げたいのは、選挙の結果は結果として、このようなすぐれた人材を広く公平に登用してこそ生きた政治ができると思うのであります。統一地方選挙後、各市町村でもそれなりの確執があるやもしれません。そこで、県御当局と私たち議員が、これらの模範となるような政治姿勢をもって県政のかじを取っていくべきだと思うところであります。(「何が言いたいんだ。」と呼ぶ者あり)黙って聞いてください。
 うがった見方と非難されることを覚悟して申し上げたいことでありますが、3点目としてでありますが、県内格差の一因として、持てる者の持たざる者への優越感があるのではないかと考えます。例えば尊敬していた人の中にも、県土の均衡ある発展はあり得ない、県内格差は仕方がないということで、県北は我慢すべきだというような趣旨の発言があったのを聞いて、大変残念に感じたことがあります。そのような一部の大人の考え方がある以上、子供のいじめや沖繩での事件、また、身体に障害を持った方、高齢者の方々への配慮の欠如があらわれてくると思います。何年か前のある洋酒メーカー社長のクマソ発言をとってみても図らずも感じたものでありますが、関東、関西から見た東北はおくれており、県内の先進地域から見た県北の沿岸はおくれている、そして、これを当然のことだと思っているとすれば、すべての人間性を否定した曲がった優越感と思うのであります。また、このことを容認すれば、知事の言われる全国との格差是正の旗印もむなしい叫びとなります。発展し、成熟した社会では、持てる者が持たざる者に還元し、ともに平和な社会をつくり上げる広い心が必要であると思うのであります。
 このことを声を大にして申し上げ、私の再質問としての時間を終わらせていただきます。まことにありがとうございます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、佐々木一榮君。
   〔3番佐々木一榮君登壇〕(拍手)

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