平成7年9月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇2番(黄川田徹君) 無所属クラブの黄川田徹であります。
 私は、地元の市役所の一職員でありましたが、期するところがあり、先般の統一地方選挙に出馬し、県民の皆様の支持を得まして、今、壇上におるわけでありますが、初心忘れず、県土の発展と県民福祉の向上のため全力を尽くす覚悟でありますので、議長を初め先輩議員の皆様、知事を初め執行部の方々の御指導をよろしくお願い申し上げる次第であります。また、質問する機会を与えていただきました無所属クラブの先輩諸氏には、心から感謝申し上げます。
 それでは、通告に従いまして順次質問をいたしますので、明快な御答弁、元気のある御答弁を願うものであります。
 まず、リゾート構想の推進に向けた県の取り組みについてお伺いいたします。
 この件につきましては、これまでも定例会において論議がなされておりますが、二戸市を皮切りに県政懇談会をスタートさせ、県内陸部と県北・沿岸部との地域間格差を肌で感じてこられた増田新知事に、重要な課題でありますので改めてお尋ねいたします。
 御案内のとおり、本県には平成元年3月に、総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法に基づき承認を受けたさんりく・リアス・リゾート構想と、県の特定地域振興を担うべく平成2年及び3年に構想を策定した須川・焼石山麓、しらかば・高原、テーブルランド、この3つの県版リゾート構想があります。今日、リゾートを取り巻く社会経済情勢にはとりわけ厳しいものがあり、当初予定した民間事業者による整備が著しく停滞していることについては、既に御承知のとおりであります。しかしながら、本県のリゾート構想推進の歩みを振り返ってみますと、公共中心とはいえ、また地味とはいいながら、着実に一歩一歩前進していると私は理解しております。
 県立の高田松原野外活動センターでは、青少年が体を躍動させ、種山ケ原には満天の星を慕って全国から人々が集まってまいります。リゾートとは施設や環境の整備もさることながら、究極的にはその地域に住む人々のための地域づくりにほかならないものと私は確信しております。その意味では、地域の人々による、地域の人々のための手づくりリゾートを基本に置く本県のリゾート構想の推進は、高く評価するものであります。私は、国民の自由時間の増大によるリゾート需要の流れは後戻りすることはないと考え、リゾート構想の一層の推進を期待するものでありますが、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 また、平成5年度から県独自で支援しておりますリゾート施設整備補助事業は、リゾート構想の推進に大きな役割を果たしていると考えますが、これまでの実績と今後の需要見込みについて、企画調整部長にお伺いいたします。
 さらに、リゾートの推進は地域づくりの観点から、また県土の均衡ある発展は、県土の均質化を意味するものではないという立場から、イベントを含む、例えば全国太鼓フェスティバル、すたーうおっちんぐ種山ケ原などのような地域個性を生かしたソフト事業の掘り起こしが必要と考えられますが、県の関係市町村に対する指導状況等についてもあわせてお答えいただきたいと思います。
 また、近年の滞在型レクリエーション志向、アウトドア志向に伴い、リゾート施設の中におけるオートキャンプ場の役割は大きく、国民の潜在需要はかなりのものとなっているところであります。このような状況を踏まえ、県においては、温暖な気候の陸前高田に、大規模なオートキャンプ場の整備を進められていることはまことに時宜を得たものであり、さんりく・リアス・リゾート構想の推進に弾みがつくものと私は認識しているものであります。しかしながら、整備計画によりますと、1次整備、2次整備と、およそ10年もかかる計画となっております。
 8月31日付の日本経済新聞によりますと、福島県の大規模オートキャンプ場の整備は、3年間でオープンする計画とのことであり、本県においてもぜひとも早期に、なおかつ、一括で整備が進められるよう切望するものでありますが、この事業の進捗状況等について、商工労働部長にお尋ねいたします。
 次に、三陸沿岸地域の園芸振興対策についてお伺いいたします。
 総務庁では、先ごろ、過疎化と高齢化が進んでいる中山間地域の農林業に関する行政監察結果に基づいて、1年以上栽培していない耕作放棄地、いわゆる遊休地の対策推進について農林水産省に勧告いたしました。今回の行政監察によりますと、中山間地域では後継者不足などのため、耕作地の放棄が年々ふえているにもかかわらず、その実態を把握している市町村は、調査対象の4分の1に過ぎなかったということであります。このため勧告は、実態調査を行った上で、耕作放棄の解消や放棄地の土地利用促進などに取り組むよう強く求めておるところであります。
 御承知のとおり、三陸沿岸地域は耕地が狭く典型的な中山間地域であり、まさに耕作放棄地の割合が高いところでありますが、冬期は温暖で日照量も多く、また夏期は冷涼であるなど、気象条件にも恵まれており、南部では古くから施設園芸が導入されるなど、本県の園芸振興の中心地の1つとなることが期待されてきた地域であります。このような背景のもとで、イチゴ、キュウリ、トマト、そして最近では、ホウレンソウなどの導入・拡大により、一定の成果は上がっているわけではありますが、まとまった農地の確保ができないことや傾斜地が多いことなどもありまして、残念ながら県内陸部とは格差が生じてきており、いまだ満足すべき状況となっていないのが実情であります。
 私は、去る9月9日、陸前高田市民会館を主会場に開催された、サンライズ・ロード45花の祭典に主催者から招待を受けて出席いたしました。このイベントは、三陸沿岸地域の県出先機関や市町村、農協等で構成する三陸沿岸花と野菜のロード45推進連絡協議会が主催したものでありますが、三陸沿岸各地から生産者や指導者などが多数出席され、三陸沿岸で生産された花のコンクールや各地域で先駆的に花卉生産に取り組んでいる生産者からの事例紹介、さらには、今後の花卉生産振興のための意見交換が活発に行われるなど、沿岸地域の園芸振興の新たな胎動を目の当たりにし、非常に意を強くしたところであります。また、本県の花卉は1戸当たりの栽培面積が17・7アールと零細であり、生産額も141万円と全国平均の3分の1程度で、いまだ農業経営の機軸部門になっていない状況、そしてまた、品目別にはリンドウが花卉生産の大半を占め、リンドウに次ぐ品目が出てきていない状況にありますが、これらを踏まえて現状を打開するために、県農政部では、いわての花・アクションプランを策定し、平成10年の花卉生産額100億円達成を目標に第一歩を踏み出したところであります。
 そこで、農業の中でも花や野菜など園芸分野は若者の興味や意欲も高く、今後の発展が大いに期待される分野でありますことから、三陸沿岸地域の農業振興を図っていく上で、園芸部門の振興は必要欠くべからざるものと考える次第でありますが、三陸沿岸地域の花卉など園芸振興対策について、県はどのようにお考えになっておられるのかお伺いいたします。
 なお、現在、県で整備を進められている農業研究センターの中にあって、園芸試験場南部分場は山田町から室根村に至る県中南部沿岸地域の農業振興に係る先進的技術実証及び技術移転の施設として位置づけられておりますが、今後とも沿岸地域における野菜、花卉等の園芸振興のための拠点施設として、より高度できめの細かい機能を強化されますことを改めて知事にお願い申し上げる次第であります。
 次に、県産木材のブランド化の取り組みと利用促進についてお伺いいたします。
 本県は、北海道に次ぐ本州一の森林県であり、その面積は県土の約80%を占め、戦後営々と造成してきた造林は年々その蓄積を増してきており、21世紀には順次伐採時期に入り、県産木材の大量安定供給が期待されるところであります。県におかれては、21世紀に向かって我が国の木材供給基地を目指して、木材の生産から加工、流通、販売体制の確立に至る、いわゆる川上から川下までの総合的な施策を推進されており、その御努力に敬意を表するものであります。しかしながら、木材産業を取り巻く環境は、円高による外材攻勢の強まりや非木質系代替材料の進出等、非常に厳しい状況にあり、また各県においても、県産材の売り込みに必死になって取り組んでおり、国内における産地間競争もますます激化するものと考えられます。本県木材産業にとっては、まさに試練のときであり、21世紀の国産材時代に生き残るためには、県産木材のブランド化に取り組むことが何よりも必要であると存じます。また、山村地域の振興を図る上にも大きな課題となっております。このような中にあって、本県の代表的な樹種である南部アカマツについて、ブランド化の事業が動き始めましたが、ブランド化といっても、他県産材と価格の面で差をつけるほどの品質差が本当にあるのか、需要はあるのか、売れるのかといった声も聞かれるところであります。
 気仙地域においては、将来予測される素材生産量の飛躍的増大と激化する産地間競争に対応し気仙杉の銘柄化と産地化を図るため、森林組合、製材業協同組合、素材生産組合、建具組合が連携して、気仙木材加工協同組合連合会を発足させ、気仙杉のブランド化に取り組んでいるところであります。来月には、販路開拓のため、第8回目を迎える気仙材祭りを群馬県前橋市の市場において開催を予定しており、また一般消費者との触れ合いを深めるために、気仙杉祭りを継続して開催するなど、地域の特性を生かした林業対策を展開しているところであります。しかしながら、地域から出荷される製材品の規格や品質にばらつきがあり、製材品の規格統一が緊急な課題となっている現状にあります。今後ますます激化する産地間競争や外材の攻勢に打ちかつためには、消費者に信頼される高品質で規格の統一化した製品の安定供給体制の確立、いわゆる県産材のブランド化を早急に進める必要があると考えますが、県は、気仙杉のブランド化を含め、県産材のブランド化にどのように取り組んでいるか、林業水産部長にお尋ねいたします。
 また、小・中学校やコミュニティーセンターなどの公共施設の建設において、例え建設単価が割り増しになろうとも、木材のぬくもりを求めて、県産材・地元材を活用している市町村が少なくないわけでありますが、県においては、これをどのように利用され促進を図っていこうとしているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、今期の秋サケ漁の見通しと魚価の安定対策についてお伺いいたします。
 先般、平成7年度の秋サケ来遊予測が県水産技術センターから発表されましたが、まずまずの豊漁とのことであり、関係者は躍る銀鱗、今や遅しと待ち構えているところかなと思っておるところであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 秋サケは、近年、本県漁業生産額の約4割を占めるまでになり、本県漁業の重要な魚種として、漁業生産者はもとより、流通・加工業者にとってもかけがえのない水産資源となっております。しかしながら、昨シーズンは暖水塊が停滞して秋サケの南下や接岸が妨げられたため、漁獲量は3万6、000トンと前年の約7割の不漁となりました。特に、山田以南が極端な不漁で、上閉伊地区では前年の3割、気仙地区では2割にも満たない漁獲でありました。加えて、秋サケ価格が対前年比で約8割と下落し、多くの漁業者や漁協は大きな打撃を受けたところであります。
 平成6年度の県内漁協の決算は、秋サケの大不漁と魚価安などから、38漁協のうち22漁協が赤字決算となっております。また、不漁が著しかった山田以南の漁協は、軒並み前年の黒字から赤字に転落し、内部留保を取り崩しても13漁協は赤字を解消できず、7年度に繰り越したところであります。漁協経営におけるサケ依存度の高さが改めて浮き彫りとなり、経営改善に一層の努力が求められているところでもあります。したがいまして、まず、ことしの暖水塊はどのような状況にあるのか、非常に気になるところであり、その状況から見て、どのような漁獲見通しをしておられるのか、林業水産部長の御所見をお伺いいたします。
 また、いかに豊漁ではあっても、魚価が安ければ、いわゆる大漁貧乏となってしまうわけであります。もちろん、秋サケの魚価形成には、供給面では、輸入量の増大や国内生産の約7割を占める北海道の水揚げ状況、需要面では、国民の魚食動向など、本県だけでは対応し切れない難しい面があることは十二分に承知しておるところではありますが、秋サケが本県の最も重要な魚種であることから考えますと、このまま手をこまねいているわけにはまいらぬ問題であります。本県独自の消費拡大対策や付加価値向上などによる価格安定対策があってしかるべきものと考えますが、秋サケの価格を安定するために県はどのような対策を講じようとしておられるのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、終戦50周年に係る援護関連の記念事業についてお伺いいたします。
 あの苛烈をきわめた大戦が終わりを告げてはや50年が経過し、国民の7割が戦争を体験したことのない世代となり、大戦の記憶は平和と繁栄の中で日々風化していこうとしております。私自身も昭和28年生まれであり、まさに戦争を知らない世代であります。戦後補償、憲法問題、教科書への記述など、大局的に戦争を論じることは多いわけでありますが、過日、クロアチアの難民キャンプから救出され、帰国した一戸町出身のリビチ・イクコさんの例を引くまでもなく、世界各地で今も民族間抗争が続き、隣人同士が血を流し合うという現実があります。戦争の悲惨さの本質をどれだけ理解しているのかと問われると、私自身返す言葉もありません。
 ところで、50年という歳月を経た今日でも、戦争により最愛の肉親を失われるなど、筆舌に尽くしがたい、いやされぬ心の痛みを抱き続けている方々が大勢おられることを忘れてはならないと思うのであります。今次の大戦による犠牲者数は実に全国で310万人、本県でも3万8、268人の多きを数えております。今の平和な社会にあって、国のため、家族のためと戦火に倒れられた方々のお気持ちを察しますと、痛恨の思いを禁じ得ません。私どもには、このような悲劇を二度と繰り返さないためにも、悲惨な戦争の記憶を風化させず、次の世代に平和のとうとさを伝承する義務があると考えます。このような中にあって、戦後50年を契機として、民間においてはさまざまな活動が見受けられます。昭和54年にフィリピンのルソン島のナスグブ岬に本県出身者の霊を慰める慰霊塔を関係者の中心となって建立された沖繩県に住まわれる上原清善氏は、改めて戦争の残酷さを訴え、平和への願いを込められております。また、岩泉町のある地区では、委員会を組織して寄附を募り、平和祈念碑を建立し、二度と不幸な時代があってはならないという地区民の平和への一致した意思を示したところであります。そして先般、知事並びに議長にはシベリア抑留者県関係死没者慰霊祭に出席され、追悼の言葉を述べられたところであります。
 そこで、終戦50周年記念事業については、全国各地でいろいろな企画がなされ、実施されているようでありますが、初めに、戦後世代の知事として、終戦50周年の節目の御所感を賜りたいと思います。
 そして、本県においては、記念事業に対しどのような考え方で、また、具体的にどのように取り組んでおられるのか、あわせて生活福祉部長にお尋ねいたします。
 次に、生涯学習推進センターについてお伺いいたします。
 来るべき21世紀へ向けたこれからの教育を考えるとき、申すまでもなく、学校教育という限られた分野だけでは時代の変化や社会の進展に対応することは困難であり、県民が生涯を通じて、いつでも、どこでも、だれでもが参加でき、求める学習、開かれた学習、満たされる学習を行うことができる生涯学習社会を築いていくことは極めて重要であると考えるものであります。御案内のとおり、国におきましては、中央教育審議会の答申を踏まえ、平成2年7月、いわゆる生涯学習振興法を施行し、生涯学習に関連するさまざまな施策を展開しているところでありますが、特に答申においては、生涯学習を推進していく上での都道府県における中心機関として生涯学習推進センターの必要性が提言されており、その整備を求めているところであります。そこで、この趣旨にのっとり、本県でも昨年10月、花巻市の県立総合教育センターの隣に着工したところであり、来年2月の完成、そして、4月の供用開始を目指していると承知しているところであります。県民の生涯学習に対する関心は極めて高く、学習要求も多様かつ高度なものになってきており、また、市町村においても生涯学習を重点施策として、教育委員会の垣根を越えて積極的に推進しているところが多いと聞いております。このように生涯学習推進センターに対する県民の期待も大きいものがありますが、県は、広い圏域の多様かつ高度な学習要求にこたえるために、学習機会を直接住民に提供している市町村への支援、連携を深める必要があると私は考えます。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。県立の生涯学習推進センターは、各市町村への支援機能をどのように用意しておられるのか、そして、県と市町村との役割分担についてどのようにお考えになっておられるのか、また、センター開設後の県の施策の重点はどのようになるのかをあわせてお伺いいたします。
 最後に、愚公山を移すという中国の故事があります。昔、愚公という老人がおり、家の出入りの邪魔をしていた大きな2つの山を家族を従えてすきで削って平らにしようとしました。それを見て周囲の者は、おまえたち、それじゃ余りにも間抜けじゃないか、たった親子数人でこの大きな山を削り取るなんてできっこないじゃないかと言いました。しかし、愚公は平気な顔で、たとえ私が死んでも子供がいるし、その後には孫だっている。子孫が絶えることなく続いていけば、どんなにこの山が高かろうといつかは必ず削り取られるだろう、そう言って仕事をやめようとしなかったそうです。今、私は、この大きな山を知事が言われる大胆な発想に例え、そして、親を県に、子供や孫を市町村に例えてみたいと思います。強い意志を持って、県と市町村とが一体となって汗をかいて事に当たれば、間違いなくあすの岩手に希望が見えてくるはずであります。
 知事の今後ますますの御活躍を心から御期待申し上げまして私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 黄川田徹議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、リゾート構想の一層の推進についてでありますが、リゾート地域の整備は、人的交流の拡大や地域イメージの向上などの効果はもとより、地元雇用機会の創出などの経済的効果をもたらすなど、地域の振興に大きく寄与するものと、このように考えているところでございます。このため、本県におきましては、本県の持つすぐれた自然環境を生かしながら、地域の一層の振興を図ることを目的として、国のいわゆるリゾート法に基づくさんりく・リアス・リゾート構想を初めとして、須川・焼石山麓、しらかば・高原及びテーブルランドの3つの県版リゾート構想を策定し、その整備促進を図ってきたことは御案内のとおりでございます。御指摘のとおり、今日、経済社会情勢には厳しいものがありますが、今後、国民の価値観の多様化、意識の変化、さらには自由時間の増加などを背景として、リゾート需要が一層増大してくると、このように見込まれております。したがいまして、今後におきましても、それぞれの地域が持つすぐれた自然を最大限に生かして、いわゆる手づくりによる整備、これを基本として国の各種補助事業の積極的導入、民間活力の誘発に努めながら、リゾート構想推進の中核的役割を担う各地域に組織されている推進協議会に県も参画して施設整備の一層の促進を図るなど、地域と一体となってリゾート構想を促進してまいりたい、このように考えております。
 次に、終戦50周年の節目に当たっての所感ということでございますが、さきの大戦が終わりを告げてからはや50年の歳月が経過をいたしたところでございます。改めまして戦争の犠牲となられた多くの方々に思いをいたしますと、痛恨の思いを禁じ得ないところでございます。戦後、我が国は幾多の困難を乗り越えて今日の平和と繁栄を築き上げてまいりました。平和で豊かになった今、私たちはややもすれば平和のありがたさ、とうとさを忘れがちになりますが、この平和と繁栄は多くのとうとい犠牲の上に築き上げられたものであり、二度と悲惨な過ちを繰り返すことがあってはならないと、このように考えるところでございます。今、私たちにとって最も大切なことは、歴史の教訓に学び、こうした戦争の愚かさと平和のとうとさを肝に銘じ、これをいかに次の世代に伝えていくかであると、このように考えております。本年度はこの終戦50周年の節目に当たりまして、国、地方公共団体、民間においてさまざまな記念事業が実施されておりますけれども、本県におきましても、こうした観点に立脚して、戦没者の追悼と恒久の平和に資する各種事業を進めているところであります。このような事業を通じて、再び不幸な戦争のない、真に平和な社会を実現することが私たちの使命であると考えているところであります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、ご了承を願います。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、リゾート施設整備補助事業の実績と今後の需要見込みについてでありますが、この補助事業は、さんりく・リアス・リゾートを初めとします4つのリゾート地域の整備について、県といたしましても積極的に支援するため、平成5年度に県単独事業として創設したものであります。これまでの実績について申し上げますと、まず、久慈市におきます国家石油備蓄基地の作業用トンネルを活用いたしました水生生物科学館もぐらんぴあ事業、釜石市、鉄の歴史館のアンモナイトの壁レプリカ事業、そして、野田村の多目的イベント広場整備事業、これらにそれぞれ支援してまいりました。さらに、今年度におきましては、一関市の健康の森整備事業、湯田町の温泉会館砂ゆっこ増設事業、岩泉町の龍泉洞総合園地整備事業及び軽米町の折爪の里整備事業の4つの事業を支援することとしております。さらに、今後の事業について申し上げますと、現段階におきましては、平成8年度は7つの市町村、9年度は6つの市町村から希望がある見込みでございますので、県といたしましても可能な限りこれらを支援いたしまして、リゾート構想の一層の促進に努めてまいりたい、このように考えております。
 次に、ソフト事業の掘り起こしについてでありますが、県では、魅力豊かなイベントの展開をリゾート構想推進の重要方策の1つとして位置づけておりまして、県単独のイベント育成事業や地方振興局におきます地域活性化事業調整費を活用して市町村を指導してまいりました。さらには、各地域の推進協議会の育成強化を図り、新たなイベントの展開とソフト事業の掘り起こしなどを進めるために、平成6年度にリゾート地域活性化事業を創設いたしまして、県も地域と一体となってリゾート構想の推進に取り組んでまいりました。この結果、カシオペア構想関連イベント、全国太鼓フェスティバル、すたーうおっちんぐ種山ケ原が大臣表彰を受賞するなど、全国的に高く評価されるイベントとして定着してまいりました。また、陸前高田市の生出木炭まつり、大槌町の産業まつりなどが新たな地域イベントとして掘り起こされているほか、国土庁のリゾートアドバイザー制度の活用や各種のリゾートに関する講演会やシンポジウムの開催などを通じまして、地域の特色を生かしたソフト事業の創出に取り組んできているところであります。今後とも、引き続き関係地域と密接に連携を図りながら、地域に根差したソフト事業の創出と育成に積極的に取り組むなど、リゾート構想の一層の促進に努めてまいりたい、このように考えております。
   〔商工労働部長古館敏男君登壇〕
〇商工労働部長(古館敏男君) オートキャンプ場整備の進捗状況等についてでありますが、本事業は、自動車を利用した観光客の増加、自然、アウトドア志向、滞在型レクリエーションの普及などに対応するために、平成5年度から運輸省の自動車旅行拠点施設整備事業を導入いたしまして整備を進めておるところでございます。このオートキャンプ場は、陸前高田市の小友町地内に個別サイト104、フリーサイト30、ケビン15棟、管理棟1棟、トイレや温水シャワー、コインランドリー等の施設整備をしようとするものでございます。まず、この計画は、平成6年度から平成9年度までを第1期工事としまして、個別サイト55、管理棟1棟、附帯施設2棟を完成させ、平成10年度に部分開業しながら、残る施設整備は第2期工事として平成14年度までに完成させようとするのでございまして、したがいまして、全面開業は平成15年を予定しているものでございます。現在、取りつけ道路、テントサイトの造成及び調整池の工事を行っておりますが、第1期工事の進捗状況は平成7年度末でおおむね24%になる見込みでございます。
 なお、先ほど御要望がありました件につきましては、今後、検討させていただきたいと思います。
   〔農政部長佐藤昭美君登壇〕
〇農政部長(佐藤昭美君) 三陸沿岸地域の園芸振興対策についてのお尋ねにお答えします。
 三陸沿岸地域は、御案内のように、農地が狭隘であるなど、地形的には必ずしも恵まれないものの、冬春期が温暖であるという気象条件にあることを生かしながら、収益性の高い野菜や花卉などの園芸作物の産地化に一層の取り組みをしていくことが地域農業の活性化にとって極めて重要であると存じております。既に当地域におきましては、生産者、関係機関団体が協調を図りながら、今後の園芸作物の生産拡大を期すため、三陸沿岸花と野菜のロード45推進連絡協議会を設置し、取り組みを進めているところでありまして、これまでに沿岸南部では果菜類、北部ではホウレンソウなどを中心とした野菜生産が進められているほか、花では農協等の育苗施設を活用した切り花や花壇用苗の生産などが始められているところであります。県といたしましては、このような地域の取り組みを引き続き支援してまいりますとともに、新たに開発されました三陸なばなはるの輝の産地化や、施設型花卉経営の育成を図るほか、温暖な気象を生かした前進作型の確立により早期出荷を行うなど、本県園芸産地の一翼を担う特色ある産地づくりを進めていく考えであります。
 また、課題となっております遊休農地の活用に対応いたしまして、意欲的な農業者による農地の改良や貸し借りなどの利用調整を進めるとともに、試験研究機関及び地域農業普及センターと連携した新しい技術の導入や充実を予定しております県立花きセンターを活用した若い担い手の育成などにより、多様な園芸振興を積極的に推進してまいる考えであります。
   〔林業水産部長田尾秀夫君登壇〕
〇林業水産部長(田尾秀夫君) まず、県産木材のブランド化の取り組みについてでありますが、議員御指摘のように、外材攻勢や、今後ますます厳しくなる産地間競争に打ちかつためには、消費者に信頼される県産材のブランド化を早急に進めることが何よりも重要であると認識するところであります。このため、平成5年度にブランド化を推進するための基本的方針を作成いたしまして、現在、これに基づき、ブランド化を着々と進めているところでございます。
 具体的には、まず、規格を統一する必要がありますので、平成6年度にブランド化検討委員会を設置いたしまして、手初めに県の木でありますアカマツについて乾燥度合いや寸法等の品質基準を決定したところでございます。また、ブランド材を流通させていくためにはブランド材の安定供給が不可欠でありますことから、本年度はブランド材を供給する製材業者の組織化やブランド材の品質を保証する認証機関の設置に取り組んでいるところでございまして、本年度中には南部アカマツのブランド名で関東市場等に大いに売り込んでまいりたいと存じております。
 このように、アカマツにつきましてはブランド化の第1歩を着実に踏み出しつつありますので、今後は気仙杉や遠野カラマツなど、他の県産材についてもできるだけ早くブランド化を進めまして、21世紀の国産材時代に向かって他県に負けないように頑張ってまいりたいと存じます。
 次に、公共施設への県産材、地元材の利用促進についてでありますが、木に対する県民の理解と認識を深めるためには、公共施設の県産材利用を進めることが何よりも効果があると考えております。このため、県庁内の関係部局で構成いたします県産木材需要促進連絡会議を設置いたしまして、また、地方振興局には地方木材需要拡大会議を設置いたしまして、公共施設を初め、住宅、農林業施設等の木造化の促進に県を挙げて取り組んできたところであります。この結果、県内各地において、小学校や中学校の校舎、体育館を初め、集会所や物産館等が県産材で建てられるようになってきておりまして、平成6年度には松尾村の柏台小学校校舎や北上市の農村体験実習館、遠野市の木材加工工場など、合わせて466棟が県産材で建てられております。連絡会議を発足いたしました昭和59年度と比較いたしますと2倍以上の伸びとなっているところでございます。今後とも、関係部局、市町村等と密接な連絡をとりながら、公共施設はもとより、民間施設等につきましても県産材の利用促進が図られるよう努めてまいりたいと存じます。
 次に、秋サケ漁の見通しについてでありますが、放流数や回帰の状況等から見まして、本年の秋サケの水揚げは4万3、000トンと、昨年を上回る豊漁であろうと見通しているところでございますが、幸いこれまでの水揚げ量は、この予想を裏づけるような順調な滑り出しとなっております。また、昨年度、山田以南において極端な不漁をもたらした暖水塊の影響が心配されるところでありますが、昨年と異なって本年は暖水塊が岸から離れておりますので、昨年ほどの影響はないのではないかと考えております。
 次に、秋サケの魚価安定対策についてでありますが、秋サケは、議員御指摘のとおり、輸入の増大等により供給過剰となっておりまして、価格が低迷いたしております。構造的な供給過剰は今後も続くものと考えられ、加えて本年は円高により輸入が増加いたしますとともに、主産地であります北海道の豊漁も予想されておりまして、価格のさらなる下落が懸念されております。このため、秋サケの価格安定対策を講ずることが喫緊の課題であると存じております。このため、県といたしましては、まず、国に対し秩序ある輸入を要望いたしますとともに、消費拡大を図ることが何よりも重要でありますことから、学校給食への利用拡大や漁協のスーパーなどへの販路開拓を積極的に支援しているところでございます。また、秋サケの特性を生かした付加価値の向上を図って需要を拡大するため、水産技術センターと若手加工業者が連携いたしまして、骨粉のクッキーなど、中骨罐詰に続くヒット商品の開発を積極的に推進しているところでございます。さらに、これらの対策をより効果あるものとするためには、生産者や流通加工業者などの関係者が一丸となって消費拡大等に取り組むことが何よりも重要でありますことから、これらの関係者を網羅した組織づくりを現在進めているところでございまして、今後とも秋サケの魚価対策に懸命に取り組んでまいる所存であります。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) 終戦50周年に係る記念事業の取り組みについてでありますが、県におきましては、毎年度、戦没者の追悼と恒久の平和を祈念して慰霊行事を実施してまいったところであります。本年度は終戦50周年という節目の年でありますことから、慰霊行事の実施規模を1、200人から1、700人に拡大するほか、各種の記念事業の実施に取り組んでいるところであります。具体的には、当時をしのぶ写真や遺品を展示する平和祈念展の開催や講演会、映画会などの記念行事、さらには県内の平和祈念碑などを紹介する小冊子の作成、配布などであります。また、岩手県遺族連合会や岩手県傷痍軍人会が発行する記念誌に対する補助や、海外慰霊巡拝に対する補助対象者数の拡大などの支援を行っているところであります。
 なお、さきの大戦において犠牲となられた本県出身将兵3万4、800余柱を慰霊するため、昭和41年に、御案内のように、沖繩県糸満市の摩文仁の丘に岩手の塔を建立し、毎年現地で慰霊祭を実施しているところでありますが、今後とも御遺族の参列をいただきながら継続的に実施してまいりたいというふうに考えております。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) 生涯学習推進センターについてお答えいたします。
 現在、整備を進めております生涯学習推進センターは、県民の学習に関する情報の提供、市町村や大学、さらには企業、団体との連携による調査研究、指導者の養成のための研修などを主たる業務として、県民の生涯にわたる学習を支援するための拠点施設として、平成8年4月の供用開始を目指して諸準備に取り組んでいるところでございます。
 お尋ねのありました市町村への支援についてでありますが、本年3月に、県の教育委員会が実施をいたしました市町村における生涯学習推進状況調査によれば、市町村において、生涯学習に関する総合的な情報提供、相談体制の充実化、それから学習プログラムや学習方法の開発、関係職員や指導者の資質向上などについて共通の課題を抱えていることが示されております。したがいまして、当センターの運営におきましては、このような調査結果をも十分考慮し、市町村への支援に努めてまいりたいと考えております。
 次に、生涯学習を進めるに当たっての県と市町村の役割分担についてでありますが、市町村におきましては、主としてその圏域を対象とし多様な学習の場を提供するとともに、住民みずからの学習活動を援助・促進することが基本的な役割であるというふうに考えております。一方、県といたしましては、これらへの支援のほか、広域的な各種の事業の実施が主たる役割であるというふうにとらえております。
 このような観点に立ちまして、このたび市町村への支援をより効果的に推進するという観点から、今9月議会におきまして、学習情報提供ネットワークシステムの一体的整備のために、県の負担においてコンピュータ端末機を全市町村に配置するための予算の審議をお願いいたしているところであります。なお、このネットワークのねらいは、当センターが中心となり全市町村との協力のもとに、生涯学習に関する情報をデータベース化して、県内全域にわたり県民に幅広い情報を提供することであります。現在のところ、学習活動の場として利用できる施設名一覧、学習活動を行っている団体やグループの活動内容や参加方法、学習活動を行う場合に求められる指導者、講師のリストなど、4領域について約1万件のデータ入力を終了しております。将来的には、さらに多様な講座、催し物の内容や参加方法などの情報を含め8領域にまで拡大し、約5万件の情報を提供する予定のものとなっております。
 次に、センター開設後の施策の重点についてでありますが、センター運営の当初計画に基づく事業の推進に努める一方、県内の諸大学や放送大学岩手地域学習センターとの連携によりまして、現在職業についている方々の学習をする場を確保して、新たに、あるいは再度継続して学習できる、いわゆるリカレント教育の推進に努めるなど、生涯学習社会の形成に向けて諸条件の整備に努力してまいりたいと考えております。
〇副議長(及川幸郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時11分 休 憩
出席議員(48名)
1番 斉藤 信  君
2番 黄川田徹  君
3番 佐々木一榮  君
4番 小野寺好  君
5番 佐々木博  君
6番 中屋敷十  君
7番 大久保豊  君
8番 浅井東兵衛  君
9番 佐々木大和  君
10番 藤原泰次郎  君
11番 千葉 伝  君
12番 伊沢昌弘  君
13番 須藤敏昭  君
14番 折居明広  君
15番 田村正彦  君
16番 伊藤勢至  君
17番 佐藤一男  君
18番 高橋賢輔  君
19番 瀬川 滋  君
20番 谷藤裕明  君
21番 三河喜美男  君
22番 水上信宏  君
23番 船越賢太郎  君
24番 久保田晴弘  君
25番 千葉 浩  君
26番 渡辺幸貫  君
27番 長谷川忠久  君
28番 村上恵三  君
29番 村田柴太  君
30番 藤原良信  君
31番 吉田洋治  君
33番 工藤 篤  君
35番 菊池 勲  君
36番 小原宣良  君
37番 樋下正光  君
38番 藤倉正巳  君
39番 及川幸郎  君
40番 那須川健一  君
41番 伊藤 孝  君
42番 山内隆文  君
44番 千葉英三  君
45番 佐々木俊夫  君
46番 山門一郎  君
47番 菊池雄光  君
48番 佐藤啓二  君
49番 堀口治五右衛門  君
50番 吉田 秀  君
51番 藤原哲夫  君
欠席議員(3名)
32番 飯澤忠雄  君
34番 菅原温士  君
43番 佐藤正春  君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時30分 再 開
〇副議長(及川幸郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐藤一男君
   〔17番佐藤一男君登壇〕(拍手)

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