平成7年12月定例会 第4回岩手県議会定例会 会議録

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〇21番(三河喜美男君) 三河喜美男でございます。
 恐らく、民主主義国家となって以来、ことしほど日本人自身が危機感を抱いて暮らしたことはないでありましょう。よく考えてみますれば、これからでも同じような感性を持ち続けなければならないはずであります。なぜならば、その危機感を構成してきた諸要素が、1つとして消え去っていないからであります。
 神戸を中心として起きた巨大な地震を含め、自然災害に直面しないという保証は全くないのであります。加えて、国民総生産──GNP大国日本は、いつの間にか、負のGNP大国日本なる著書が示すように、その経済の前途にただならぬものが立ちはだかっている現状にあります。経済も危機的であり、そして我々日本人が誇りとしてきた治安のよさが、何と、国民の目の前で根底から崩壊していくさまを見せつけられたのであります。残酷な人殺し集団が、何と、国家転覆計画までも立て着々と準備をしつつあったのであります。
 ここで思うことは、宗教法人の前提にある信仰の自由という日本国憲法が掲げた個人の内面に関する権利と、世俗的な法的支配に服さなければならない宗教法人という団体の権利とをごちゃまぜにして、宗教法人を絶対的な聖域と誤認しているところに過ちがあり、危機の深さがあると思うのであります。主権在民の社会制度のもとで、災害、経済、治安等の面にあらわれた危機管理への対応の遅さが今日の危機を慢性化させていると思うのでありますが、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、大規模電源立地についてお伺いをいたします。
 現在、ポスト4全総の骨格が明らかにされつつあります。その中の1つの柱となるものに、地域連携軸構想があります。地域の特性を生かし連携を図ることにより、大都市の人々を魅了するとともに、地域に住む我々が自信と誇りを抱く地域づくりをするということであり、そのためには、地域の魅力を最大限に引き出す工夫が求められているところであります。一極集中を是正するには、国家的な見地からの施策が当然不可欠でありますが、一方、その受け皿としての地域の役割、責任も大きくなってくるものと考えられます。遷都問題も、平成9年の決定に向けていよいよ動きを始めており、この動向に合わせて、我が岩手も名乗りを上げていることに対し敬意と賛意を表するものであります。勝利に向けての御努力を願うものであります。
 幸いにも、我が岩手は広大な県土を有し、その中に、岩手山を初めとして秋田県、青森県にまで広がる山紫水明なる山岳地帯、風光明媚な陸中海岸、北上山系を配し、また、豊かな水資源等良好な自然環境に恵まれております。さらに、歴史的、文化的な遺産も多く、過去に数多くの偉人、賢人を輩出してきた岩手の風土は依然として健在であります。しかし、これまでのように、過去を単に掘り起こすだけでは繰り返しにすぎず、将来、何かが生み出されるものとは決してならないと考えるものであります。地元だけしか範疇にない開発や整備にとどまるならば、新たな価値が付加されるものとはならないであろうと確信をするものであります。
 今、我が県が将来に向かって取り組まなければならない多くの課題の中で、最も重要かつ急を要するものの1つが電力自給率の向上であります。住民生活の向上はもとより、通信、交通・輸送、産業発展の原動力となる電気エネルギー、本県におけるこの対策の立ちおくれは否めない事実であります。この問題につきましては、多くの先輩、同僚議員とともに、私も再三にわたり自給率の低い現状を訴え、県産の低コスト電力を安定的に供給できる体制の必要性とその波及効果について訴えてきたところであります。現堀口議長におかれましては強い推進派でありますし、御指導をいただいてきたところであります。昨年6月の定例会におきまして、私の一般質問に関連質問をいただき、当時の濱田副知事に伺いましたが、副知事からは、県勢発展には必要不可欠とし、3県総においても地域振興の一環として大規模電源立地を進めることといたしておると、前向きの答弁をいただいたところであります。幸いにも、昨年6月13日に久慈広域圏の商工会議所を中心に、久慈火力発電所誘致推進協議会が発足し県当局に陳情を行うなど、地元での機運も高まっているところであります。増田知事並びに県当局の積極的、具体的な取り組みを願うところであります。今後、政府統一要望にはこれを最重点要望項目として掲げ、通産省、エネルギー庁への陳情活動等、具体的行動をされることを要望するものであります。御決意のほどをお伺いをいたします。
 次に、本県畜産の振興についてお伺いをいたします。
 本県の畜産は、広大な県土の立地特性と先人のたゆまざる努力により本県農業の発展に大きく寄与してきたところであり、現在では農業粗生産額の実に4割を占め、県農業の基幹部門となっていることは御案内のとおりであります。しかしながら、最近の畜産を取り巻く情勢は、平成3年4月からの牛肉自由化に加え、本年4月からのウルグァイ・ラウンド農業合意の受け入れに伴い乳製品については関税化が実施され、また、その他の畜産物についても輸入量急増時の緊急措置はあるものの段階的に関税が引き下げられ、国内価格が低迷する等の影響を強く受けているところであります。このような状況から、県内畜産農家は減少傾向にありますが、一方では、飼養規模の拡大が着実に進展する等、意欲的に取り組んでいる畜産農家も多くいるところであります。県におきましては、第3次新いわて農業確立計画において、畜産、米、園芸を本県農業の柱としているところでありますが、畜産の現状を見るにつけ、県の畜産に対するさらなる支援が求められているものと思われます。知事におかれましては、今後、本県畜産の振興をどのように図ってまいる所存なのかお伺いをいたします。
 また、本県畜産の振興を図るためには、畜産関係施策を推進していく体制、特にも人的体制が十分でなければなりません。将来に希望の持てるような畜産行政を展開していくためにも、それを担う職員の資質の向上はもとより、処遇の改善、さらには人材の登用を積極的に行う等、職員の士気高揚を図ることが大切であると考えるところであります。農政部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、林業の担い手育成確保対策についてお伺いをいたします。
 山村地域は豊かな自然に恵まれ、林業生産活動の場であるばかりでなく、水資源の涵養、国土の保全、県民に対する保健休養の場の提供や、若者の教育の場として重要な役割を果たしておりますが、この山村地域において特に問題となっているのが人口の減少であり、林業従事者も減少の一途をたどっておるところであります。昭和63年度に6、400人いた林業従事者が、平成4年度には4、300人に減少し、5年間で何と2、000人もの減少を見ているところであります。このような状態が続くならば、林業の採算性の悪化と相まって林業従事者がいなくなり、枝打ち、つる切り等の保育や間伐など森林の適正な管理が放置され、将来、木材生産ばかりでなく、本県の豊かな生活環境の維持に重大なる影響を及ぼすものと懸念されるところであります。このような状況に対処し、本県の緑あふれる森林資源を次代に引き継ぐためには林業の担い手の育成確保が何よりも重要であり、林業行政の喫緊の課題であると考えます。
 県においては、このような状況に対処するため、各種の担い手確保対策を実施するとともに、県、市町村、林業団体の出捐による林業労働対策基金を創設し、就労条件の改善や新規参入の促進に取り組まれているところであります。しかし、これらの施策を講じても若者の新規参入が少なく、高齢化がますます進んでいるということの現状にあります。今こそ、抜本的な新規参入対策が必要であると考えるものであります。
 私は、その方法の1つとして優秀な林業従事者を育成する教育機関、例えば林業大学校の設置を提案いたします。このような教育機関は既に岐阜県や長野県などに設置されており、大きな成果を上げているところであります。林業水産部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、国連海洋法条約への対応についてお伺いをいたします。
 新聞報道等によりますと、我が国は次の通常国会において国連海洋法条約の批准を行う予定であり、この批准によって、魚種ごとに漁獲することのできる上限の量が定められることと伺っております。このように、漁獲量までも規制するというやり方は、これまでの国内漁業では経験のないものであります。このため、全く新しい制度の導入によって本県漁業がどのような影響を受けるのか、大変心配をいたしておるところであります。また、関係漁業団体におきましても、情報が少なくその対応に戸惑っているのが実情であります。我が国の漁業は、戦後、沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へと発展し、国民への水産資源の安定供給に大きな役割を果たしてまいりましたが、昭和52年に到来した国際的な200海里体制により大きな打撃を受けたところであります。このたび、海洋法の批准によって再び打撃を受けるようなことがあってはならないと存じますが、海洋法条約の批准によって本県漁業がどのような影響を受けるのか、また、県は漁業者に対する説明を含め、今後どのように対応しようとしているのかお伺いをいたします。
 次に、福祉について御質問をいたします。
 来る21世紀には、日本国民の4人に1人は65歳以上の高齢者となり、本格的な高齢社会の到来が目前に迫っております。それに伴いまして、寝たきり老人や痴呆性老人等、いわゆる介護を必要とする高齢者も増加し、将来は300万人を超えるのではないかと言われております。本県の場合も相当数に達するものと思われます。これらの方々は、施設あるいは在宅で専門的な介護サービスを受ける必要があり、経済的にも人間的にも、いろいろな対策を講じなければならないと考えられるところであります。国においては、介護のための財源対策として、公的介護保険制度について平成9年度導入を目指していると伺っております。導入しようとしている公的介護保険制度の内容とその進行状況について、また、本県の対応についてお伺いをいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、在宅での介護についてでありますが、御承知のとおり、小家族化が進展している現状の中で、家族共倒れという悲劇も生じていると聞かれます。行政としても、ホームヘルパー制度による支援等の対応がなされておりますが、民間の力、地域住民がともに支え合い、つまり、ボランティアによる支援も大切なものであると思われます。先般、県が制定したひとにやさしいまづくり条例は時宜を得たものと思いますが、県はボランティア育成について具体的にどのように考えておられるのかお伺いをいたします。
 民間福祉団体、社会福祉協議会の育成強化につきましては、さきの小原議員の御質問がなされたところであります。小原議員に対する答弁を了とするところでありますので、割愛をさせていただきます。
 次に、道路交通網の整備についてお伺いをいたします。
 四国4県に匹敵する広大な面積を有する本県にとって、県土の均衡ある発展を図り、活力ある県土づくりを一層推進するためには、その基盤となる道路網の整備が緊急な課題となっております。県もこうした認識に立って、高規格幹線道路や交流ネットワーク道路整備事業等に重点的に取り組んでこられたところであります。その結果、効果は着実にあらわれており、私が盛岡に来るときに通る281号についても、昨年は山形村川井バイパスが完成したことによって大変便利になったと感じているところであります。しかしながら、久慈-盛岡間はいまだに2時間以上もかかり、なお一層の整備が必要と考えております。
 そこで、道路の整備について4点ほどお伺いをいたします。
 その第1点は、国道4号の厨川から滝沢・分れ間についてであります。
 国道4号は、言うまでもなく本県中央を南北に縦断をする大動脈となっており、産業、経済活動の発展はもとより、地域の日常生活道路としても欠かすことのできない重要な道路であります。しかし、この4号の中でも、滝沢村分れから盛岡市までの区間は、私たちが県北地域から盛岡市に来るときにたびたび渋滞に悩まされている区間であります。この沿線には、農林関係の研究機関を初め、催事施設、大学、高等学校が集積しており、また、滝沢村巣子地区周辺は宅地開発が進み交通量が著しく増大しており、渋滞はますますひどくなってきております。幸いにも、分れ交差点は4車線で改良されたものの、分れから盛岡市茨島跨線橋の区間は2車線となっており、特に茨島跨線橋は円滑な交通の流れのネックとなっております。そこで、この茨島-分れ間の整備にどのように取り組んでいかれるのかお聞かせを願います。
 2点目は、国道281号の改良整備についてであります。
 本県においては、既に三陸縦貫自動車道や八戸久慈自動車道などの沿岸地域における高速交通網の整備が着手されており、また、昨年度には国道45号の久慈-宮古間も地域高規格道路として国から指定を受けたところであります。しかしながら、県北沿岸地域にあっては、その整備は八戸久慈自動車道の一部が供用されたのみで、その他の区間の整備はまだこれからというのが実情であります。加えて、久慈から内陸部までの時間も相当に要する現状を考えますと、県北地域を横断をする道路網、特にも国道281号の整備はこの地域の発展にとって大変重要かつ緊急な課題となっております。県では、県都盛岡市と県内各市を90分で結ぶいわゆる県内90分構想の実現を打ち出し、久慈-盛岡間については、規格の高い道路として整備する構想を立てたと伺っております。この道路が整備されれば、県北沿岸地域の産業経済の発展はもとより、観光、文化などの交流機会の拡大あるいは高度医療サービスの広域化が図られるなど、多くの効果が期待されるところであります。そこで、この国道281号の現在の取り組み状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。
 次に、第3点目は、国道281号の久慈市内のバイパスの整備についてであります。
 久慈市内の国道281号は、近年、交通量の増大が著しく、朝夕は交通渋滞を来しているところであります。御承知のとおり、久慈地区は重要港湾久慈港を初め、久慈国家石油備蓄基地があり、今後水産業や工業の発展が期待されているほか、北部陸中海岸を初めとする観光資源にも大変恵まれており、これらを有効に活用するために、国道281号の久慈市内における円滑なる交通の確保がぜひとも必要となっております。そこで、この国道の切りかえにどのように取り組んでいかれるのかお示しを願います。
 次に、県立久慈病院の移転改築に伴う道路整備についてお伺いをいたします。
 久慈地区の医療を担う総合病院としてこれまで多くの住民に利用されてまいりました県立久慈病院は、医療施設の狭隘、老朽化等により久慈市旭町に移転改築され、平成9年度の開業を目指して工事が進められているところであります。現在、敷地の造成工事を終え、近々建設工事に着手する予定と伺っております。しかし、病院に接する市道は砂利道で道幅も狭く、車の通行にも不便を来すことから、病院利用者の足を確保するため市道整備が極めて重要となってきております。このため、県では、この道路整備について市を支援していると伺っておりますが、現在の進捗状況をお聞かせ願いたいと思います。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 三河喜美男議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、災害、経済及び治安などに対する危機管理についてでございますけれども、議員御指摘のように、近時、阪神・淡路大震災やいわゆるオウム関連事件など、国家的レベルでの危機管理のあり方が問われる事象が発生しておりまして、我々も大変危機感を持って受けとめているところでございます。私は、最近の政治の動き、経済金融の動き、そして災害発生等社会の動き、いずれをとってみましても、今、大変な構造変化が起きつつあると感じざるを得ない状況だと考えております。そういう中にあっては、今後、我々は従来の枠組みにとらわれない、新しい発想に立った物事への対処が求められているものと、このように存ずる次第でございます。そのためには、国においても危機管理の問題を初め、高い立場に立って多角的な視点からの施策を講じられる必要があると、このように考えますし、また、県としても、例えば防災面における初動体制の確立や通信手段の整備、経済面における迅速で機動的かつ効果的な対応、そして治安面における必要な体制の整備、装備の充実など、精いっぱい努力をしてまいりたいと考えておりまして、ただいま議員が御指摘されましたような、県民が抱いております危機感、こうしたものがあるとすればその払拭に全力を尽くしたいと、このように考えているところでございます。
 次に、大規模電源立地についてでございますけれども、御指摘のありましたとおり、本県における電力自給率を高めまして必要な電力の安定的供給を確保することは重要な課題であると、このように認識をしているところでございまして、このため、県といたしましては、発電力の向上を図るために、これまでにも地域の特性を生かしまして北ノ又、北ノ又第二、入畑などの水力発電所の建設のほか、松川地区及び葛根田地区におきます地熱発電所の建設を促進してきたところであり、さらに現在、松川水力発電所や葛根田地熱発電所2号機の建設が進められているところでございます。
 お尋ねのございました大規模な電源の立地は、発電所建設に伴う直接的な効果のほかにも、企業誘致、産業の活発化、さらには各種交付金を活用した公共用施設の整備など、地域の振興を図る上で有力な手段でありますけれども、その一方で、地域に与える影響も非常に大きいものがあると、このように存じております。このため、地元においても住民の方々にはさまざまな考え方があると思いますけれども、住民の皆様方がこぞってこれを理解していただき、合意することがその立地促進の大前提になるもの、このように考えております。
 久慈地区の火力発電所誘致の動きにつきましては、地理的な適地があり、電気事業者の計画に組み込まれるなどの諸条件が満たされる必要があると、このように考えておりますけれども、特にも地域住民の皆様の十分な御理解と合意が得られますならば、県といたしましても可能な限りこれを支援してまいりたい、このように考えておりまして、その際には、当然国に対しましても必要な要望活動を行ってまいりたい、このように考えております。
 次に、今後の本県畜産の振興についてでございますけれども、畜産は本県農業の基幹部門でございまして、殊に傾斜地や山林が多い中山間地域においては、広大な草地や豊富な草資源等を合理的に活用した畜産が営まれておりまして、その振興は、地域の維持発展を図っていく上で重要であると認識をいたしております。したがいまして、県としましては、畜産を取り巻く厳しい状況を踏まえまして、経営に意欲を持って取り組む農家への積極的な支援により飼養規模の維持拡大を図りますとともに、低コスト畜舎の普及や公共牧場の活用などによる収益性の向上や、本年度設置されます種山におきます大家畜改良増殖施設での県産優良種雄牛の造成などによる畜産物の高品質化を推進してまいりたいと考えております。また、産地間競争が激化する中で、畜産物の販売対策がより重要となっておりますことから、首都圏等、大消費地におきましていわて牛枝肉共励会やいわて牛フェアの開催、いわて牛取扱推奨店の拡大などによる銘柄確立に努めるとともに、岩手畜産流通センターや産地の施設を利用して処理しました県産肉を各地のホテル、レストランに提供して、県民はもとより、本県を訪れる人々に岩手ならではの味わいのよさを理解していただくなど、地元での消費拡大にも努めてまいりたい、このように考えております。今後におきましても、こうした施策を総合的に実施をいたしまして、新たな国境措置のもとにおいても揺るぐことのない本県畜産の確立を目指したい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願い申し上げます。
   〔農政部長佐藤昭美君登壇〕
〇農政部長(佐藤昭美君) 畜産関係職員の士気高揚についてのお尋ねにお答えします。
 現在、獣医師を初めとする畜産関係職員は、畜産行政部門、試験研究部門、普及活動部門などに210名が配置されております。畜産農家を初め、市町村、関係団体と一体となって本県の畜産振興に取り組んでいるところであります。
 議員御指摘のとおり、国内外における畜産を取り巻く環境が大きく変化していく中にあって、受精卵移植等の先端技術の活用による低コストで高品質な畜産物の生産や多様な宣伝活動による本県畜産物のブランドの確立等が課題となっており、これらに的確に対応していくためには、職員1人1人がそれぞれの立場で柔軟な思考力と豊かな創造力を養いながら、意欲を持って職務を遂行できるようにすることが何よりも肝要であると考えております。このため、自治研修所における研修の確実な履行はもとより、畜産振興のための業務研究発表会の開催による相互研さんに努めるとともに、国等が行う家畜衛生講習会や海外研修への職員の派遣や、ほかの農政分野との職員交流を実施するなど、行政環境の変化に柔軟に対応しながら、職員が積極的に施策を立案、実行し、課題を解決していけるよう、総合的な能力の向上に努めているところであります。
 また、畜産関係職員の処遇の改善につきましては、これまでも家畜保健衛生業務手当の引き上げや獣医師に係る初任給の改善等を図ってきたところであります。今後におきましても、畜産行政の重要性にかんがみ、職員の資質向上に一層努めていくとともに、国や他県等の状況等も勘案しながら、職員が安心して職務に専念できるような条件の整備に努めるほか、適材適所の人材配置を基本としながら、意欲や熱意を持って職務を遂行している有能な人材の積極的な登用に努め、職員の勤務意欲の高揚と公務能率の向上を図ってまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長田尾秀夫君登壇〕
〇林業水産部長(田尾秀夫君) まず、林業の担い手の育成確保対策についてでありますが、林業従事者は、議員御指摘のとおり減少の一途をたどっておりまして、このような状態が続きますと、林業生産活動ばかりでなく、水資源の涵養や国土の保全など、森林の持っている公益的機能の発揮ができなくなり、県民生活に支障を来しかねないことから、林業の担い手の確保が何よりも重要であると認識しているところであります。このため、岩手県林業労働対策基金を造成いたしまして、新規参入を促進するための事業を実施するとともに、林業技術センターで各種の研修を実施いたしまして、林業の担い手の育成確保に努めているところでございます。中でも、平成5年度に開所した林業技術センターでは、それまでの林業講習所の機能や施設を大幅に拡充いたしまして、林業技術者や従事者を養成するための研修を積極的に実施しているところでございまして、具体的には、総合的な林業技術者の養成を目的とした専門研修、指導的な林業従事者の養成を目的としたグリーンマイスター研修、林業架線作業士など、林業に必要な資格の取得を目的とした研修など、各種研修を実施しているところでございます。しかしながら、将来の本県の林業を担う、若くて優秀な林業技術者を養成するためには研修内容の一層の充実を図っていかなければならないと考えているところでございまして、林業技術者養成のための高等教育機関の設置について、御提言がございましたので、早速関係団体のニーズを把握いたしますとともに、林業技術センターの研修のあり方や高等教育機関の研修内容などを含めまして、幅広く調査研究したいと存じます。
 次に、国連海洋法条約への対応についてでありますが、本条約の批准に伴い、漁業関係では必要に応じて魚の種類ごとにとることができる上限を定め、その範囲内で漁獲することが義務づけられることとなります。これまでの我が国の漁業規制は、漁船の隻数や使用する漁具など、いわばとり方を規制する方法であり、漁獲の総量を規制する方法は全く新しい制度でありますが、欧米などの諸国では以前から導入されており、資源の維持管理を行う上で大変有効な手法であると聞いております。批准に伴う国内法の整備につきましては、現在、水産庁で鋭意検討中であり、最終的な案はいまだ県に示されておりませんが、漁獲量の多い魚種や資源状態が極めて悪く、管理する必要のある魚種については、全国的観点に立って農林水産大臣が総量規制を行うことになると聞いております。その対象としては、イワシ、サバ、スケトウダラ、スルメイカ、ズワイガニなどを検討しているとのことでありますが、漁獲量の上限の設定に当たっては、これまでの漁獲実績を十分考慮し、関係者の意見を聞いた上で決定すると聞いております。また、ふ化放流を行っております秋サケや外国の水域まで回遊いたしますマグロ類については、将来的にも総量規制の対象にはしないと聞いているところでございます。したがいまして、本県漁業に関係する魚種といたしましては、当面、イワシ、サバ、スケトウダラやスルメイカが規制の対象になるものと考えておりますが、漁獲量の上限はこれまでの漁獲実績等を十分考慮して定めると聞いておりますので、本県の漁業に大きな影響はないものと考えているところであります。いずれにいたしましても、漁獲総量規制制度は我が国では全く新しい制度であり、その内容も流動的でありますので、情報収集に努めまして、県内漁業者の不利益とならないよう適切に対応してまいる所存であります。
 また、議員御指摘のとおり、新制度の導入について漁業者に戸惑いがあると聞いておりますので、これまでに得られた情報をもとに、できるだけ早く説明会を開催いたしまして、漁業者の皆様方の不安の解消と混乱の防止に努めてまいりたいと存じます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) 公的介護保険制度の内容と本県の対応についてでありますが、国におきましては、本年2月から厚生大臣の諮問機関であります老人保健福祉審議会において、高齢者に関する介護問題について集中的な審議がなされ、同審議会は、去る7月に中間報告を取りまとめております。この中間報告によりますと、適切な公費負担を組み入れた社会保険方式によるとの方向が示されておりますが、介護保険の事業主体、保険料の設定方法あるいはサービスの範囲と水準などについては、現在、同審議会の小委員会において審議がなされていると聞いております。県としましては、ホームヘルパーや特別養護老人ホームなど、各市町村の介護基盤の一層の強化を図り、介護保険導入後、県内どこでも必要とする良質なサービスが格差なく受けられるよう、市町村ともども努めてまいりたいと考えております。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) まず、国道4号の厨川から分れまでの整備についてでありますが、この区間は、北東北の交通拠点となっている県都盛岡市の北側の玄関口として、県内はもとより、北東北各県からの自動車交通が集中する極めて重要な区間であり、国におきましても重点的にその整備を進めているところであります。このうち、厨川地内におきましては、2、2キロメートルの区間を盛岡拡幅として、また、分れ交差点を含めた2キロメートルの区間を滝沢改良として、それぞれ4車線道路として整備を進めておりましたが、茨島陸橋を含む600メートルを除き、既にその整備が完了しているところでございます。この残された600メートルの整備につきましては、東北新幹線との交差の問題等があって一部事業を中断しているもので、今年度フル規格化が決定されたことから、国においては来年度の調査費を要望し、JR東日本との交差協議を再開する予定と伺っているところでございます。
 一方、盛岡拡幅の工区の終点から分れまでの3、7キロメートルの区間につきましては、現在、事業が未着手の区間となっております。この区間は、沿道が環境緑地保全地域に指定されていること、及び周辺が農林関係の試験研究施設用地となっていることから、国においては、これらの沿道環境に十分配慮した道路として、慎重な検討を行う必要があるとしております。県といたしましては、厨川-分れ間の拡幅が盛岡都市圏と県北地域との有機的連携を図る上からも大変重要であると認識しており、今後とも盛岡市、滝沢村等の協力を得ながら、国に対し早期に整備計画を策定するよう要請してまいりたいと考えております。
 次に、国道281号の改良整備についてでありますが、この国道は盛岡都市圏と久慈地域を結ぶ広域的な幹線道路であり、県北沿岸地域の振興発展を担い、地域の生活に欠くことのできない重要な道路であります。県においては、この国道281号を交流ネットワーク道路の久慈ルートとして位置づけ、これまでにも、御案内のとおり葛巻町の鈴鹿口や山形村の川井バイパスの整備を図るなど、その重点的な整備を進めてきたところであり、現在も岩手町の大坊峠など、各地において改良工事を実施中であります。県といたしましては、この路線を平成5年度に作成いたしました広域道路整備基本計画において交流促進型の高速走行性を確保できる規格の高い道路として整備を進めることとしたところであり、今後とも順次この路線の隘路箇所の整備を進めるとともに、葛巻-盛岡間に関しましては、新設道路の調査も含め、その整備促進に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、国道281号の久慈市内のバイパスの整備についてでありますが、久慈市の市街地は、近年の交通量の増大に伴い朝夕の交通混雑が著しくなってきておりまして、渋滞の解消と沿道環境の改善が大きな課題となっております。これまで県は、久慈市内や港湾との連携を図るため、久慈市の都市計画の見直しとあわせ、このバイパス計画案の策定を進めてきたところでありますが、この国道281号を交流促進型の広域道路として位置づけしたことや、国道45号の久慈-宮古間が昨年12月、地域高規格道路として指定されたことなどから、これまで検討してきたバイパス計画の見直しが必要となり、現在、その調査を進めているところであります。したがいまして、今後、国や地元と協議、調整を行いながら、都市計画決定の手続を進めるなど、早期に事業化が図られるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、県立久慈病院の移転改築に伴うアクセス道路の整備についてでありますが、現在、事業が進められている県立久慈病院は地域医療の中枢施設であり、主要な道路とこの病院とを円滑に連絡する道路の整備は、委員御指摘のとおり重要な課題と考えております。このアクセス道路としては、市道である門前源道線及び2号線がありますが、御案内のとおり、道幅も狭く、現在は砂利道であることから緊急に整備する必要があり、平成6年度から国庫補助事業の導入によって本格的な整備が進められているところであります。現在の事業の進捗状況についてでありますが、用地取得や補償につきましては、電柱や水道管の移設などの一部補償を除いては今年度中に完了する見込みとなっており、工事につきましても、一部ではありますが、既に着手し、その整備は順調に推移していると伺っております。県といたしましては、この道路が久慈市の主要な交通ネットワークを形成するものであり、引き続き新病院の開設時に間に合うよう、事業費の確保を図るなど、積極的に支援してまいりたいと考えております。
〇21番(三河喜美男君) 再質問をさせていただきます。
 導入部分におきまして危機管理の問題を取り上げたわけでありますが、担当本部長であります石川本部長にお伺いいたします。
 オカルト集団的なオウム教団が間もなく解散命令が出されて解散されるものというふうに思うわけであります。そういう方々が県内になだれ込んでいる可能性もあるわけでありまして、万全の体制をとっていただくことが必要であろうかというふうに思うわけであります。先ほどの私の一般質問に対する本部長の御所見を、知事でよろしゅうございますけれども、本部長からもお聞きしておきたいというふうに思うわけであります。
 2点目は、火力発電の問題でございます。
 久慈地域にカネボウという、当地域にとりましては最大級の誘致企業がございます。カネボウの工場長が申しますに、キロワットアワー当たりの電力料金が高い。東京圏に比べて単価が高い。1日、月、年となると物すごい額になる。それが製品にはね返ってくる。さらには久慈地域でありますので、交通の隘路がある。輸送費がかかる。翻って労賃は安いのかと。最低賃金制がございますので、そう変わらない。海がきれいだ、緑が美しいだけでは地域の工業の進展にはつながらないというふうに思うわけであります。今、東北6県の電力自給率の状況を見ますと、手元に資料がございますので申し上げますが、お隣青森県、必要量に対しまして41、5%。秋田県──東北6県の中でただ1県100%を超えている県でございます──、109、6%。宮城県、これは女川原発を擁しておりますけれども、それでもなおかつ79、5%の自給率であります。山形県、99、1%。福島県、これも原発を抱えておりますけれども、92、6%。当岩手県に至っては23%であります。実に77%もよそから購入してこなければならない現状にあるわけであります。先ほど一般質問の中で申し上げました。また、壇上におられる議長も昨年6月の私の一般質問に対して関連をして、もう決断をして走るべきだという質問までしていただきました。先ほど電力とは関係ないような4全総の問題から導入をさせていただきました。やがて地方が魅力を持って都会の方々を受け入れ、あるいは企業、産業が進展していくためにはどうしても電力が必要不可欠であります。先ほど申しましたけれども、安い安定的な電力の供給体制の整備がぜひとも必要であります。今、知事が新しく就任されたばかりでありますけれども、勇断を持ってこの問題に対処されることを希望するものであります。
 3点目でございますが、281号の整備について、高規格化の段階での計画進捗状況をお伺いしたわけでありますが、その中で、平庭のトンネル化の問題、それから、葛巻地内のバイパスの問題、これは質問の仕方が悪かったのかわかりませんけれども、241号の高規格ということでお伺いをいたしましたので、その中に当然出てくるだろうと思っておりましたけれども、出てこなかったので、あえてお伺いいたします。
 今月の8日、盛岡から帰る途中、大変な雪でございました。大坊峠は何とかクリアしたわけでありますが、平庭峠に参りまして、何年かぶりかで路肩を踏み外しました。幸いにも顔見知りの方に通っていただきまして、いやいや先生と、押し上げてくれました。上がったわけであります。二、三度挑戦をしましたけれども、ついに越えることができずに戻りました。葛巻まで戻りましてチェーンを探しましたけれども、チェーンもありませんでした。やむを得ず、葛巻に車を置いて違う手段で家に帰りました。帰る途中、久慈に向かう大型トラック等が四、五台路肩を外して休んでおりました。あれは朝までエンジンをかけて休むんでありましょう。そういうものを見るにつけ、やはりあの地区のトンネル化がどうしても必要だというふうに考えるものであります。その辺も含めまして御答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
   〔警察本部長石川正君登壇〕
〇警察本部長(石川正君) 災害あるいは治安等に対する危機管理についての御質問でございますので、お答え申し上げます。
 阪神・淡路大震災あるいはオウム真理教にかかわる事案等、警察にとってもことしは大変厳しい、治安に関係して大変厳しい年であると認識をいたしております。災害関係につきましては、本県では津波等、過去において未曾有の災害があります関係から、大規模災害マニュアル等を策定して、また、ヘリコプターテレビの導入等、県の御協力をいただきながら鋭意その対策も講じておりますし、また、治安の問題に関しましては、年々悪化する治安に県組織を挙げて鋭意取り組んでおるところでございます。先ほど知事からも御答弁がありましたように、なお一層の体制の整備、装備の充実等を図りながら、県民の皆様方の安全を確保してまいりたいと、このように考えております。
 次に、オウムの関係について若干御質問がありましたが、確かに仙台市のオウム真理教の支部が過日、取り払われて、本県の、盛岡周辺でございますが、そちらに荷物が搬入されております。また、警察庁長官の狙撃犯と目される重要被疑者が全く未検挙でございまして、東北方面にも逃走のあかしがあるというふうに言われておるところでございまして、過日、緊急に警察署長会議を開催して、できるだけ早期にその犯人を検挙し、県民の皆様方の御心配を取り除きたいと、このように考えて、現在も鋭意捜査を進めているところでございます。いずれにいたしましても、治安は最大の福祉であるという観点から、私ども県警察職員2、300人余が一心に治安維持に邁進いたしておりますので、そういった面を御理解をいただきながら今後とも御指導を賜りたいと、このように考えております。
 以上でございます。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) 281号の整備についてでありますが、先ほどちょっと舌足らずでお答えしかねましたけれども、隘路箇所につきましては久慈から盛岡まで長い道のりの中にたくさんあるわけでございまして、その中に平庭峠あるいは葛巻の町の中、あるいは多々ございますので、それを包含してお答えしたので、大変申しわけなく思っております。いずれ平庭峠も含めましていろいろ内部的には議論しているところでございますので、御了承願いたいと思います。
〇21番(三河喜美男君) 火力発電について答弁をお願いします。
〇議長(堀口治五右衛門君) 要望でなくて、知事に答弁ですか。
〇21番(三河喜美男君) 余り前進がなかったような気がしたものですから、再度質問した次第でございます。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 火力発電所のお尋ねがございました。
 我が県の電力自給率が東北各県の中で格段に数字的には低いということについては、非常に問題がそこにあるというふうに認識をいたしております。それで、具体的な久慈地域の火力発電所の問題につきましては、県と市でよく連絡調整をすることがまず必要であると思っておりますし、また、こういう非常に大規模な、そして地域住民の方々の生活にも大変影響があるこうしたプロジェクトの進め方につきましては、まず、これは各地の火発あるいは大規模な発電所すべてに共通していることだろうと思いますけれども、いささかも地元において意見の不一致があっては、すべてそういった計画が進行するについて支障が出てきておりますので、やはり地域での、そこにお住まいになっておられる住民の方々のこぞっての同意を取りつけるということについて、地元でのまた大変な作業が必要だろうというふうに思っているところでございまして、そうしたことにつきまして地元での十分な御協力をお願いいたしたい。そして、そうしたことを進めていきながら、機運がそうした形で十分に醸成されてきたというところで、やはり国なり、そして電力会社に対するいろいろな活動がなし得るものと、このように考えているところでございます。したがいまして、この問題につきましてはこれからも県として十分に検討していく必要があると、このように考えているところでございますし、また、ぜひ地元におきましてもその具体的な進め方につきまして、いろいろな角度から市も含めまして十分な御検討をお願い申し上げたいと、このように考えているところでございます。

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