平成7年12月定例会 第4回岩手県議会定例会 会議録

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〇40番(那須川健一君) 那須川健一でございます。
 増田知事を初め、執行部の皆さんの県政執行に対する積極的な対応に感謝を申し上げながら、以下、通告に従いまして質問させていただきます。
 まず、市町村合併と広域行政についてお伺いいたします。
 地方分権法が施行され、地方自治体の自立性を高める地方分権の時代の到来が現実のものとなりつつありますが、知事は、この8月以来開催されている県政懇談会の席上で、市町村行政は先端行政であり、県民と最も身近な行政主体である市町村の役割はますます重要となってくると発言をされております。このためには地方分権を推進し、都市、農村、福祉、教育、文化等、地域づくりの分野において市町村の自主性、自立性を高めることが必要であると私は考えるものであります。一方、市町村においては、これらの権限を適正に執行し得る行財政能力を備えていくよう変革していかなければなりません。その権限の内容によっては、人口規模や地域の広がりを持つもの、また、住民の日常生活圏や経済圏の広がりに対応し、市町村単独での対応が困難なものについては積極的に広域行政を展開する必要があると思います。折しも、合併協議会の設置を住民が直接請求できるなど、積極的な支援内容となった市町村合併特例法の改正や地方自治法の改正による中核市の指定や広域連合制度は地方分権の推進に向けて大変意義あるものと考えております。
 そこで改めてお伺いしますが、市町村合併と広域行政に対する知事の基本的な考え方をお伺いします。また、市町村合併と広域行政についての取り組みの状況はどうかお伺いをいたします。
 次に、航空問題についてお伺いいたします。
 県政を推進する上での最重点課題の1つは県土の均衡ある発展を図ることにあり、このような観点から、県議会の場でも議会が開かれるたびに議論され、また、県御当局におかれましても、3県総において施策展開上の重要な視点として県土の均衡ある発展を掲げ、これまで産業振興や基盤整備などの各般の地域振興施策を展開されてきたところであります。しかしながら私は、この課題の解決を図っていく上では、県北・沿岸地域において、農林水産業を初めとする産業や観光の振興といった各般の施策の展開によってこれらの地域の振興発展を図ることも当然重要であると考えますが、より重要な課題は、高速交通時代の交通部門における格差の是正を図ることが先決であると考えるのであります。すなわち、地域の振興発展の基礎となる高速交通基盤が整備されることによって初めて企業誘致による雇用の確保や定住人口の増加が図られ、観光の振興などによる地域経済の活性化が実現するものであり、高速交通基盤の整備が進展しない段階では、各般の地域振興施策のみを展開したとしても、将来大きく振興を図る上の地域活性化の基本的な要素は解決されず、十分な効果は期待できないものではないかと私は考えるものであります。このような視点に立ち、私は、高速交通の恩恵を県内にくまなく波及させることが最も重要であり、特に四国4県に匹敵する広大な県土を持つ本県においては、航空機を活用した時間、距離の短縮が効果的な施策であると考え、これまで県議会の場で何度かヘリ・コミューターの導入による航空ネットワークの形成について提言をさせていただきました。これに対して県御当局からは、昭和63年度から3回にわたり部分的に行ったヘリ・コミューターの実験運航の結果が芳しくなかったこと、本県に先駆けてヘリ・コミューターを導入している他県の状況が厳しいことなどを理由に、将来にわたり継続して取り組むべき課題である旨の答弁を得ているところであります。しかしながら、県におかれましては、現在、総合交通体系についての計画を策定されていると承知しておりますが、私は、この計画の作成に当たっては、さきに述べましたように、高速交通体系の恩恵を県内くまなく波及させ、距離と時間を短縮し、交通格差の是正を図るという観点に立った高速交通体系の構築への取り組みを基本に考えていただきたいと思います。特に航空の分野については、コミューター航空の導入という視点をも踏まえた計画をぜひ立てるべきであると考えるものであります。
 そこでお伺いしますが、県では、新空港やコミューター航空を含む航空行政について、総合交通体系に係る基本計画の策定作業も含めて、どのように取り組むお考えなのかお示しを願いたいと思います。
 次に、工業振興の基本方策についてお伺いいたします。
 我が国経済は、石油危機や円高など、過去幾多の経済的困難に遭遇し、そのたびに政府の経済対策や企業努力により乗り越えてきたところでありますが、その結果、高度成長から安定成長への移行はあったものの、次から次へと新しいリーディング産業が生まれ、失業率は諸外国に比べればはるかに低く、戦後、長きにわたって経済的繁栄を謳歌してきたのであります。しかしながら、いわゆるバブル経済の崩壊に伴う平成の不況時代に入る中で、成長の限界が指摘されるとともに、アジア諸国の追い上げや社会主義国の市場経済参入、さらには今回の円高などを背景として、国内製造業の空洞化問題が大きくクローズアップされてきているのであります。アジアの諸国について見ると、隣国の韓国では輸出を中心にした高度成長を遂げ、産業構造は先進国とほとんど変わらないまでになり、着実に我が国を追い上げてきているのであります。また、中国、旧ソ連、ベトナムの3カ国にインドを加えると約24億人、実に世界の4割を超える人口となり、これらの国々の市場経済への参入が世界経済に与える影響ははかり知れないものがあります。このような背景のもとで、我が国製造業は量産機能を中心に海外シフトを強めているのでありますが、これに伴い、製造業全体の海外生産比率は間もなく10%を超えるであろうと予測され、遠からず米国の30%、ドイツの20%に近づく方向で海外生産が加速されるものと言われております。
 さて、このような空洞化が懸念されているような製造業の海外シフトが本県のような国内の地方圏工業のあり方に深刻な影響をもたらすであろうことは容易に予測されるところであります。本県は、新幹線や高速道路、豊富な労働力や工業用水、整備された工業団地などを背景に、首都圏からの企業立地を進め、多大な成果をおさめてきたところであります。特にも、工業出荷額は国内地方圏としては全国有数の伸び率を示し、既に2兆2、000億円を超え、その結果として若者が望む好条件の職場が増加し、新規高校卒業者の県内就職率は昭和60年代の5割から着実に改善し、この春には7割を超えるまでに至っております。長い間の県政の最大課題の1つであった若者の県内定着について企業立地が果たしてきた役割はまことに大きいものがあり、県御当局を初め、市町村など、関係者の努力に対して深く敬意を表するものであります。しかしながら、経済がグローバル化し、産業の国際間の立地競争の時代を迎えた今日において、企業立地がかつてのように順調に進むとは考えにくいのでありますし、また、立地企業も含めて、地域の中堅、中小企業はアジア諸国との厳しいコスト競争にさらされていくことは間違いのない事実と思われるのであります。既に空洞化の洗礼を受けた米国は、猛烈なリストラや研究開発による自動車産業などの復活、さらには情報産業企業の新たな台頭、そしてまた先端技術など、さまざまな分野におけるベンチャー企業の育成など、国際競争力のある産業構造の再構築が進みつつあります。本県においても、工業振興は雇用の場の確保を通じた人口の定住はもとより、県勢の発展にとって重要な施策であると認識しております。私が申し上げましたようなさまざまな状況変化の中で、本県工業振興も新たなステージに立つべき時期にあると考えるものであります。
 そこでお伺いしますが、今後の本県工業振興の基本方向について、知事の御所見をお伺いします。
 次に、西暦2000年世界地熱大会の招致についてお伺いします。
 この大会は西暦2000年に我が国で開催されると承知しているところでありますが、あわせて過日、北海道東北地方知事会において増田知事が提案した西暦2000年世界地熱大会の開催地を東北地域とすることについてという要望案が採択され、国などに働きかけが行われたと伺っているところであります。このことを聞いて私は、国際的な行事が本県で行われることに結びつくことになればと期待をしているところであります。このような国際的なイベントの開催は、国際化の潮流に沿うものであると同時に、岩手の存在感を内外に強くPRし、県民に新たな自信と連帯を生じさせるなど、地域の振興、ひいては県勢の発展に大きく貢献するものであります。このため、今般の西暦2000年世界地熱大会東北招致はまことに意義深いものがあろうかと思います。なかんずく地熱資源の開発利用において、全国有数の地位を占める本県での開催に結びつくことを願うものであります。
 そこでお伺いしますが、この西暦2000年世界地熱大会の開催の目的及び規模についてお伺いをします。
 また、本県開催については北海道東北地方知事会において本県知事が提案し、特別要望として採択されたと伺っておりますが、その考え方、さらには今後の国内開催地決定までのスケジュール、そして、これに対する本県への招致活動の進め方についてお伺いをいたします。私は、この世界地熱大会の招致が実現することにより、県民の国際理解がさらに深まるほか、地域の特性に根差した地熱エネルギーの開発利用に弾みがつくものと期待するものであり、招致実現に向けて一層の努力を重ね、成功に導かれるよう念願するものであります。
 次に、県立農業短期大学校の学科再編についてお伺いをいたします。
 近年の農業と農村をめぐる情勢は、農業労働力の非農業部門への流出が続く一方で、農業従事者の兼業化、高齢化の進行により農業の担い手不足が顕在化しており、とりわけ中山間地域においては、農業の生産活動の停滞等により、地域社会の活力の低下が懸念されるところであります。私から申し上げるまでもなく、農業は、県の基幹産業として、食糧の安定供給のほか、県土の保全など、県民生活にとって重要な役割を果たしており、私は、ウルグァイ・ラウンド農業合意後の新たな環境のもとでも農業農村を持続的に発展させ、地域経済社会における基幹的産業として次の世代に受け継がれるように万全を期していかねばならないものと考えております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 そのためには、魅力的な農業ビジョンのもとに、地域の特性を生かした営農の確立とあわせて、力強く実践的な担い手を育成確保することが極めて重要であります。このような状況の中、県立農業短期大学校は、発足以来、本県における農業者の教育施設として実践的な研修教育を行い、近代的な農業経営の担い手の養成に大きな役割を果たしてきたところであります。しかしながら、農業を取り巻く環境は、農業短期大学校が発足した当時に比べて、技術の高度化、経営の専門化に加え、農畜産物の輸入自由化による産地間競争の激化など大きく変化しており、さらに近年、若い担い手の就農経路も、Uターン者や農業以外の職業から農業につく、いわゆる新規参入者が増加傾向にあるなど、多様化してきております。私は、このようなことから、本県農業者の中核的研修教育施設である県立農業短期大学校についても、情勢の変化に的確に対処し、新たな視点での農業経営を担うすぐれた人材の養成と、農業者の資質の向上を図るため、学科の再編等を緊急に行う必要があると考えるものであります。ついては、県として県立農業短期大学校の学科再編をどのように行っていくのか、その考え方をお伺いいたします。
 次に、地域保健制度の改正についてお伺いいたします。
 申し上げるまでもなく、終戦直後の混乱期であった昭和22年に保健所法が全面改正され、自来、今日まで48年の間、保健所は結核などの伝染病の蔓延防止や食中毒の防止などを主要課題として活動し続け、まさに我が国の公衆衛生行政の中心的な存在として位置づけられていると言っても過言ではないと考えます。しかしながら、この48年の間に地域保健を取り巻く環境は大きく変化してきております。それは、我が国の老年人口比率が西暦2025年には25、8%にまでなると予測されている人口の急激な高齢化であります。また、もう1つの変化として出生率の低下が挙げられます。平成6年度の我が国の合計特殊出生率は1、5人となっており、このことは、2組の夫婦、つまり合計4人の男女から3人の子供しか生まれないということであります。また、結核が減少して成人病などの慢性疾患がふえているといったような疾病構造の変化があります。こうした変化に対応し、さらには地方分権を促進するために今回の地域保健制度の改正がなされたものと理解しておりますが、今後は、保健、医療、福祉の連携を強化しながら、住民に身近な保健サービスは市町村が中心となって実施し、保健所はより広域的、専門的な活動を展開していくことが求められてくるものと考えられます。これらを受けて、県におきましては、現在、保健所の機能強化を中心としたこれからの地域保健のあり方について検討しているとのことであり、年度内には国との協議を経て機能強化計画が策定されるようであります。
 そこでお伺いしますが、まず、保健所の機能強化計画の策定に当たってはどのような観点から取り組んでおられるのか、取り組みの基本的な考え方についてお示しを願います。
 また、保健所は、精神保健、難病対策などの、より広域的、専門的な領域を担当することとなりますが、本県においては、これら事業を推進していくため保健所の集約化を図るとのことであります。保健所を集約するに当たっては、地域保健法の趣旨を基本としつつ、本県の特性を総合的に勘案しながら検討を進めていくことと思いますが、これまでの検討結果についてお尋ねいたします。
 次に、知的障害者に対する施策についてお伺いいたします。
 近年の障害者福祉施策は、昭和56年の国際障害者年を契機に画期的に進展するとともに、障害があっても家庭や地域において通常の生活ができるような社会づくり、いわゆるノーマライゼーションの考え方が一般社会に徐々に浸透してきております。こうした中、本県の知的障害者は、現在、約5、500人おられますが、このうち約3、000人、5割以上の方々が家庭や地域で生活している状況であります。さらに、昨年、県が実施した社会福祉総合動態調査の結果によると、家族や障害者も在宅の生活を希望する傾向にあると伺っております。知的障害者、特に重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複している重症心身障害児者は、その半数が国立療養所等で保護、治療及び生活指導を受けながら生活をしている現状にあります。重度の障害がある方々はほとんどが家庭の中で暮らす毎日となっており、家族の介護疲れ等、苦労も多いことかと思います。私は、家族の方々が少しでも外出する機会を得られ、介護の負担軽減等に結びつくような援助がぜひ必要であると考えるものであります。
 そこでお伺いしますが、在宅の重度重複の障害のある方々に対してどのような県が対応をなされる方針なのかお伺いいたします。
 また、保護者の心配は、自分が病気になったり高齢になったとき、あるいは亡くなった後の親亡き後のことだと思います。今後、県として重症心身障害児者の施設の整備検討が必要となると思われますが、当局の御所見をお伺いいたします。
 次に、平成11年に開催される全国高等学校総合体育大会、いわゆるインターハイについてお伺いをいたします。
 この大会への県内高校生の参画状況等についてでありますが、これまで県高体連を初め、県御当局及び関係機関、団体が一体となって誘致運動をしてまいった高校生のスポーツの祭典でありますインターハイが平成11年度に本県で開催されることが正式に決定されたことについては心より敬意を表する次第であります。このような総合的なスポーツの本県での開催は、第25回国民体育大会を開催した昭和45年以来実に30年ぶりであり、県民の1人として、切に本大会の成功を祈念するものであります。この大会は、全国から来県する選手、監督が3万人を超え、競技役員、補助員等を加えると実に6万人を超えるなど、国民体育大会をしのぐ大会規模であると伺っており、本県における高校生の体育・スポーツの振興はもとより、21世紀を担うたくましい青少年の育成や県民の生涯にわたるスポーツの振興等、県民に活力を与えるとともに、県勢発展に大きな影響を及ぼすものであると私は考えるものであります。
 そこで伺いますが、この大会は、高等学校教育の一環として多くの高校生の参画のもとに開催されるのでありますが、県内の高校生はこの大会にどのような支援、協力体制をとろうとしているのか、具体的な参加形態についての考え方をお伺いします。また、このビッグイベントの成功に向けて、今後どのような準備推進を図ろうとしているのか、あわせて教育長の御所見をお伺いします。
 最後に、道徳教育のあり方についてお伺いをいたします。
 申し上げるまでもなく、教育は国家百年の大計であり、国家社会発展の基礎でもあります。また、教育は人格の完成を目指すものであり、国の教育方針においても、社会の変化に対応できる能力の育成や生命の尊重、他人を思いやる心の育成を重視し、豊かな心を持ち、たくましく生きる人間の育成を目指しているところであります。しかしながら、現実には、非行の低年齢化を初め、いじめ、不登校、さらには道徳性の欠如等、さまざまな問題が数多く生じております。戦後50年、日本は経済的にも世界第2位の経済大国となり、物質的には他の国から羨望されるとともに、ジャパンバッシング、いわゆる日本たたきが話題に上るようにまでなりました。昔の言葉に衣食足りて礼節を知るということわざがありますが、私は、この言葉とは反対に、経済的な豊かさが道徳など、社会規範を守る源となっていないということと理解しているものであります。むしろ衣食足りて礼節を忘れる結果となっているのではないかと危惧するのは私1人ではないと思うのであります。
 さて、私の小学時代を振り返るとき、父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭倹己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ学ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓発シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ広メ世務ヲ開キ云々の明治23年発布の教育勅語の一節がありました。私は、その時代に生きた者として、小学校教育の中で暗記をさせられたものであります。議場の皆さんが久しぶりに聞かれるであろうこの教育勅語の一節でありますが、若い世代の知事を初め、執行部の皆さんは、知っているとは思いますが、その時代の教育の中にはなかったものでしょう。私は、何も教育勅語を復活すべきだなどと言おうとしているのではありません。しかし、今、私が申し上げましたこの教育勅語の一節、一節は、人が人間として生きていくための基本的なこととして改めて考えさせられる貴重な言葉であると私は信じるものであります。学校教育の中で、道徳教育の重要性については重ねて申し上げるまでもありません。
 そこで教育長にお尋ねしますが、小中学校において道徳教育はどのように行われているのか、また、小中学校における道徳教育について、基本的にはどう考えておられるのか御答弁をいただきたいと存じます。
 以上をもって本席からの質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 那須川健一議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、市町村合併と広域行政についてでございますけれども、私は、住民に身近な行政は、住民に最も身近な行政主体でございます市町村において展開していくことが基本であると、このように認識をいたしておりまして、その意味で市町村行政はまさに先端行政であり、市町村の果たす役割といいますのは、この地方の時代と言われるこれからの時代におきましてますます重要になってくると、このように考えております。
 本年7月に施行されました地方分権推進法におきましても、国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にして、地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として、地方分権の推進が行われるものとされておりまして、市町村においてあらゆる分野にわたって自主的、自立的に決定できるよう、その権限とそれを遂行し得る行財政基盤の強化が必要であると、このように考えているところでございます。また、これからの地方自治は、市町村が創意や工夫を凝らしながら独自性のある行政を展開する必要があるとともに、他方においては、広域的な課題に対しましては市町村が連携して対応する必要があると、このように考えているところでございます。そのためには、市町村の合併を含めた広域行政の推進が重要となってくると、このように考えているところでございます。もとより、市町村の合併につきましては、その地域地域の住民の方々の間で論議が深められて合併の機運が高まることが肝要であって、県が決して上から押しつけて実現するようなものでないわけでございますけれども、先般、改正のあったいわゆる市町村合併特例法、この法律の改正趣旨をも踏まえまして、市町村の意向や取り組み状況に応じて県としても積極的に対応してまいりたいと、このように考えているところでございます。また、今後増大する広域行政需要に適切に対処していくためには広域連合制度、こうした制度などの活用も有力な方策と考えておりまして、市町村の実情を踏まえながら積極的な取り組みを促してまいりたいと、このように考えております。
 次に、航空問題についてでございますけれども、経済社会の発展や国際化の進展などに伴いまして、急速な発展を遂げた我が国の航空輸送が時間価値の上昇や旅行需要の増大などを背景にいたしまして、今後ともその重要性がさらに高まっていくものと、このように考えておりまして、本県におきましても、全国各地との交流の活発化や本格的な国際化時代の到来に積極的に対応するため、まず花巻空港の機能の一層の充実を図ることが喫緊の課題となっているところでございます。このため、県におきましては、まず、花巻空港の整備を県政の最も重要な課題として位置づけまして、滑走路2、500メートル延長整備が第7次空港整備5カ年計画への組み入れによりまして早期に実現するよう、利用促進に対する県民の皆様の御理解や御支援をいただきながら最大限努力していくとともに、新規路線の開設などによるネットワークのさらなる強化にも努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 また、新空港の開設やコミューター航空の導入の問題につきましては、我が県が有しておりますこの広大な県土、こうした広大な県土を有する本県において、特に沿岸地域を中心に存在をしております高速交通空白地域、この地域を解消する手段としての可能性を探るために、これまでに将来の需要や採算性、技術的な可能性などに関するさまざまな調査などを行ったところでございます。その結果、こうしたこれらを実現するためには、解決すべき大きな課題が残されているということが調査結果としては判明をしているところでございます。県といたしましては、現在進めております総合交通体系基本計画、この策定作業の中で、こうしたこれまでの調査などの結果も参考としながら、これらの空港、そしてコミュター航空、この問題に関する検討を引き続き積み重ねてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 次に、今後の工業振興の基本方向についてでございますが、本県の工業が高速交通網や産業立地基盤の整備を背景に、北上川流域テクノポリス開発計画などに基づくさまざまな施策を展開した結果として、北上川流域を中心に先端技術産業の集積圏が形成されつつあるところでございます。しかしながら、近年の円高などを背景とした生産機能の海外移転などに伴いまして、我が国産業全体が構造的な転換点を迎えていることは御案内のとおりでございます。本県におきましても、工業出荷額の伸び悩みや企業立地件数の減少など、工業を取り巻いております環境が厳しさを増している一方、技術革新ですとか高度情報化などの進展が企業の新たな成長を促していくものと、このように考えているところでございます。したがいまして、今後は、従来からやっておりました企業の誘致そして地場産業の育成を柱といたしました工業振興施策、こうしたものに加えまして、新たに地域における独創的な研究開発の推進ですとか、技術力と研究開発力を持った企業の育成、集積が重要でありまして、このどちらにも力を入れてそしてやっていく必要があると、このように認識をしているところでございます。このために、岩手大学ですとか工業技術センターを中心にした産学官共同研究を強化するとともに、企業の研究開発に対する支援の強化、新規創業の促進など、事業意欲の高いベンチャー企業の育成に積極的に取り組んでいく考えでございます。
 このような方針に基づきまして、これから策定いたします3県総後期実施計画においては、こうした観点からの各種の施策を一層充実しながら、地域間のみならず、国際間の競争にも耐え得る本県工業の振興に取り組んでまいる考えでございます。
 そのほかのお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願い申し上げます。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、西暦2000年の世界地熱大会の招致についてでありますが、世界地熱大会は、世界の一流の研究者や技術者が参加いたしまして地熱の研究や技術開発の発展を行い、地熱資源の開発利用を促進することを目的といたしまして、5年ごとに開催される権威ある大会であり、西暦2000年、つまり平成12年には我が国での開催が決定されております。そして、その規模についてでありますが、本年5月にイタリアのフローレンスで開催されました第5回大会におきましては、大会期間が現地視察や研修会等を含め全体で18日間であり、参加者は、登録者のほかに同伴者等を含めまして72カ国から1、451人が参加している状況にございます。日本で開催される場合も、現段階の情報によりますとおよそイタリア大会と同じ程度の規模になると、このように想定いたしております。
 次に、世界地熱大会の招致に関する北海道東北地方知事会の特別要望についてでありますが、御案内のように、東北地域におきましては、地熱資源が豊富に賦存しておりまして、日本最初の松川地熱発電所が設置されたのを初めといたしまして、現在7カ所の地熱発電所が立地しており、全国の地熱発電量の過半を占める発電をしておりますほか、地熱資源の開発では各地において地熱開発促進調査が進められ、例えば山形県の肘折におきましては高温岩体発電システムの技術開発、そして本県の葛根田地域におきましては、深部--深い部分の地熱資源の開発調査が実施されております。また、発電以外の地熱エネルギーの利用につきましても、本県の雫石地域及び秋田県鹿角地域におきまして地熱熱水供給事業実証調査が実施され、多くの成果を上げているところであります。
 このように、東北地域は地熱資源に恵まれ、その開発利用が積極的に展開されており、世界地熱大会の開催地としてふさわしい地域でもございますので、さきの北海道東北知事会議におきまして、本県知事から提案いたし採択をいただきました、そして、本年11月上旬に北海道及び東北各県の参加のもとに本県知事が代表いたしまして、国、その他の関係機関、団体等に要望したところであります。
 また、国内の開催地の決定までのスケジュールでありますが、現段階での情報では、おおむね年度内を目途に、新エネルギー・産業技術総合開発機構や日本地熱学会等の関係機関、団体等により構成されます実行準備委員会を設置し、大会開催地につきましては、会場視察、宿泊施設、交通機関、さらには視察コース等を総合的に判断して来年の秋ごろまでに決定すると、このように伺っております。したがって、今後におきましては、北海道や東北各県の応援をいただきながら、大会実行準備委員会を初め、関係する機関や団体に対しまして強力に招致を働きかけてまいりたいと、このように考えております。
   〔農政部長佐藤昭美君登壇〕
〇農政部長(佐藤昭美君) 県立農業短期大学校の学科再編についてのお尋ねにお答えします。
 岩手県立農業短期大学校は、昭和56年に開校して以来、多くの人材を養成してまいりましたが、近年の農業諸情勢に対応するため、実践教育を重視した本校の特色を生かしながら、生産技術のほか、農産物加工、販売にも果敢に取り組んでいけるようなすぐれた経営管理能力を有する人材の養成を主眼として教育体系を刷新してまいる考えであります。具体的には、農業者の養成を基本とする本科に、従来の農産、畜産課程に加えて園芸課程を新設し、本県農業の振興方向に即した課程に再編するとともに、生活課程を生活文化課程に改組したいと考えております。また、本科修了者等を対象とする研究科を設置し、生物工学に係る課程を充実するとともに、高度な経営手法やマーケティング能力を身につけた人材を養成する経営課程を新設するほか、研修部門におきましては、Uターンや非農家出身者等の新規就農希望者に対する研修コースを充実する考えであります。
 なお、高等科につきましては、最近の応募者の動向等を勘案して廃止することとし、校名も岩手県立農業短期大学校から岩手県立農業大学校に改称したいと考えております。こうした教育体系の改編を明年度から実施したいと考えており、本定例会において、岩手県立農業短期大学校条例の一部を改正する条例案の御審議をお願いしているところであります。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) まず、保健所機能強化計画策定への取り組みについてでありますが、新たな地域保健対策の基本理念は、急速な高齢化の進展、保健医療を取り巻く環境の変化に即応し、地域における公衆衛生の向上、増進を図るとともに、地域住民の多様化かつ高度化する保健、衛生、生活環境等に関する需要に的確に対応するために、地域の特性、社会福祉等の関連施策との有機的な連携に配慮しつつ、総合的に推進することとされております。このため、都道府県と市町村の役割を見直し、住民に身近で頻度の高い保健サービスは市町村が実施し、保健所は新たに広域的、専門的な拠点としての機能を担うこととされたところであります。こうしたことから、特に保健所については、精神障害者の社会復帰を促進するための精神保健対策や難病患者に対する保健指導の推進、また、例えば地域において特徴的な健康問題とか特産物の衛生管理などに関する調査研究、地域の新しい行政課題への対応を行うための企画機能、保健・医療・福祉の有機的連携を目指す趣旨での調整機能などの強化を図ることとしております。さらに、全国レベルからの高度の技術やさまざまな情報を市町村や地域住民に提供するとともに、これまでの技術的蓄積、専門的能力を生かしながら、市町村における保健サービスがより高次かつ円滑に実施されるよう、技術的援助や研修、市町村相互間の連絡調整を行うなど、地域における拠点機能の強化を図るとともに、それらに伴い必要な施設設備や体制の整備を図ってまいりたいと考えております。
 県といたしましては、平成9年度の地域保健法の全面施行に向け、年度内にも国との協議を行いながら保健所機能強化計画を策定し、計画的に保健所の機能強化を推進していくこととしております。
 次に、保健所を集約化することについてのこれまでの検討結果についてでありますが、地域保健法では、保健所を設置する場合においては、2次医療圏及び老人保健福祉圏の区域を参酌してその所管区域を設定しなければならないこととされております。御案内のとおり、市町村において母子保健や老人保健などの身近な保健サービスが提供されることとなったことから、保健所としての特色を高め、より専門的、技術的な地域保健の拠点として整備するためにはある程度の集約化を図りつつ、規模の拡大を行って機能を強化していくことが必要であります。県におきましては、環境保健部内に保健所の機能強化について検討組織を設けておりますが、特に保健所の配置につきましては、地域保健法の趣旨を基本としながら本県の地域特性などの実情を考慮し、法の運用の許される範囲内で弾力的な方法があり得ないかを、あわせて総合的な観点から国との協議をも含めて検討を行っているところであります。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) 在宅において生活している障害の重複する重度障害児者とその介護に当たっている方々に対する施策についてでありますが、御指摘のように、日々その介護に当たっている家族の方々の御負担は大変大きなものがあると存じております。県といたしましては、介護の負担から開放される時間を少しでも持ちたいという家族の願いはもとより、障害者に家庭外の雰囲気等に触れさせる機会を多く持たせたいという要望が強いことを踏まえ、これまで介護の負担の軽減とリフレッシュを図るため、平成5年から都南の園において重症心身障害児者の通園事業を始めたほか、施設等への短期入所事業やホームヘルパーの利用促進を図ってまいったところであります。
 今後におきましても、障害者の身近なところに保護者等から希望の多い小規模デイサービスセンターや福祉作業所など、通所施設の拡充を図っていくとともに、短期入所事業等がより利用しやすくなるよう、施設等関係機関の連携強化に努めてまいりたいと存じます。
 次に、重症心身障害児者の施設の整備についてでありますが、この施設は医療機能をあわせ持った施設でなければならず、専門スタッフの確保の困難さや施設整備に多額の費用を要することなど多くの難題がありますが、今後とも、関係の機関、団体等と協議を重ね、さまざまな角度から検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) まず、インターハイへの対応についてでありますが、この大会は、全国から集う2万5、000余の選手が全国高等学校体育連盟がその活動の理念とする力とわざと明朗な精神を、ここ岩手の地において、十分に発揮できるよう運営されなければならないものと考えております。また、この大会は、県内高校生の協力態勢と主体的な参画が必要であり、それぞれの役割を通して友情をはぐくみ、相互協力の精神やお客様をもてなす心の涵養など、高校生としての視野を広げ、社会性を養うまたとない機会であると認識いたしているところであります。このようなことから、この大会への県内高校生の役割についてでありますが、具体的には選手としての出場、各種補助員及び開会式の出演者としての参加、また、大会に使用するスローガン、シンボルマーク、総合ポスター、式典音楽の作詞、作曲など、作品の応募を通しての参加、さらには、県外からの選手等の案内や地域と一体となった環境美化運動など、いわゆる1人1役運動を合い言葉に、すべての高校生がこれら多方面にわたる諸準備に向け、一丸となって取り組むことが必要であると考えております。
 また、準備業務の推進状況についてでありますが、この大会は本県で開催するに当たり、広く県民の御理解と御協力のもと、円滑な大会運営を図るため、本年7月に、県内各界各層の代表者の皆様の御協力をいただきまして、平成11年度全国高等学校総合体育大会岩手県準備委員会を設立いたしたところであります。この準備委員会設立後は、競技、広報報道、式典演技、宿泊保健などの専門委員会を設置、開催し、活動の基本ともなるべき方針や業務推進の具体的な計画などについて、現在、鋭意、御検討をいただいているところであります。
 今後におきましては、この大会の成功に向け、会場地市町村となる10市8町2村はもとより、関係機関などとさらに連携を図りながら、岩手にふさわしい大会となりますよう万全の準備を進めてまいる考えであります。
 次に、道徳教育のあり方についてでありますが、まず、県内の小中学校における道徳教育は、学習指導要領において学校教育の全領域、すべての教育活動を通じて行うこととされており、これらの学習活動とのかかわりについて、週1時間、年間35時間の道徳の時間を特に設け、児童生徒の道徳的心情を豊かにし、判断力を高め、実践意欲と態度の向上を図るための集約的な指導が行われているところであります。特に、小学校低学年では、しつけの基本的な生活習慣、中学年では日常の社会規範を守る態度、高学年では公徳を守り公共に尽くそうとする態度、また、中学校においては人間としての生き方の自覚などに留意して、それぞれの各発達段階に応じた指導をいたしているところであります。また、校内での活動のほかに、地域の老人ホームや福祉施設の訪問活動を通じていたわりの心を養い、家庭や地域社会と連携し、地域の人々とともに愛の一声運動、ごみゼロ運動、さらには伝統芸能の伝承活動などを通じて社会の一員としての活動をする喜びを知るなど、具体的な体験を通じて道徳的実践力の育成を目指した取り組みを行っているところであります。現在、県教育委員会といたしましては、有識者や保護者など、20名からなる学校道徳教育振興会議の年4回の開催を通じ、御意見、御提言をいただきながら、学校教育指導指針において毎年度ごとの取り組みの重点を示し、道徳教育用郷土資料等の作成、配布とあわせて、指導の充実に努めているところであります。さらに、これまでの道徳教育推進校65校による実践研究や岩手県道徳教育研究会の研究協議の成果の県下への普及、徹底にも努めているところであります。
 お尋ねのありました基本的な考え方についてでありますが、道徳教育は、義務教育における教育課程を実施する上で不可欠の学習領域であると考えております。申し上げるまでもなく、道徳教育は児童生徒の個々人の特性の涵養のみならず、我が国や我が郷土の文化や伝統に関心を持ち、国や郷土を大切にする心を育てることを基本としているところから、学校教育の根幹をなすものとの認識に立ち、今後におきましても、市町村教育委員会とともにその充実に努めてまいりたいと存じております。
〇36番(那須川健一君) ただいまは大変御答弁ありがとうございます。
 重ねて質問をさせていただくわけでございますが、まず航空問題につきまして知事から御答弁があったわけでございますけれども、私は県土の均衡ある発展というものは、これはいわゆる交通格差の是正なくしてはできないんだと、これが私の持っている持論でもありこれは哲学でもございます。そういうことで、私は再三議会の中において申し上げたわけでございます。いろいろ地域においては地域の特性を生かした、また、特産を生かした、また、伝統文化に根差したそういう活動がなされておりますが、そういうものでの1つの地域の活性化というものは、これは私は限界があるのではなかろうかと。やはり、大局的な現代の高速交通体系の恩恵というものを地域に与えなかったなら、基本的な問題は解決されず将来大きく私は伸びていかないんだと、私はそれが持論でございます。そういう面から申し上げたわけでございますが、御承知のとおり、隣の青森、秋田、そして山形というのは、これは2つ空港があるわけでございまして、それから見ますと、岩手県はそれよりずっと広い県土を持っておるわけでございますが、そういう中において1空港というのは、いろいろな事情があるかもしれませんが、しかしながら現在において、航空行政においては岩手県は他県よりも1歩も2歩も私はおくれておるのではなかろうかと、そういうふうに考えるものでございまして、ひとつそういう面から新空港というものの建設というものを積極的にお考えいただきたいと思うんですが、これに対しての御意見を、これは企画調整部長で結構でございます、あなたでいいですから、ひとつお願いをいたしたいと思います。
 また、この新空港の設置までに私は大変時間がかかると思うんでございます。しかしながら、御承知のように、社会情勢というのは年々こういうふうに激しく変わってきておるわけでございますので、こういうものに一日も早く対応しなくちゃいかぬ。こういう面では、やはり申し上げましたようなヘリ・コミューターの導入というものによる岩手県の航空ネットワークの形成というものが大変大事なことなんだと。これにはいろいろな採算性の問題とか難問がたくさんあると思います。しかしながら、今、申し上げましたような目的達成のためには、県土の均衡ある発展という、そういう目的を達成するためにはどうしてもやるべきことではなかろうか。いろいろなそういう難題を乗り越えて、県とか関係市町村、それから企業等が第3セクターのようなものをつくってもこういうものを完成させていかなくちゃいけないだろう。申し上げましたような陸の交通網の現状の整備だけでは広大な県土の格差の是正というものはなかなか大変ではなかろうかと、そういう面から申し上げたわけでございますので、何かいい案があったらお示しいただいても結構だし、今後の、私が申し上げましたこういうヘリ・コミューターの導入による航空ネットワークというふうな、航空という問題に対しての県の考え方をお伺いいたしたいと思います。
 次に、工業振興でありますが、知事から、今後はやはり大きな課題の1つはベンチャー企業の育成なんだと、こういう御答弁があったわけでございますが、私もこれには考えを同じくするものでございます。そこで、本県におけるベンチャー企業の育成に関する取り組みの状況と今後の方策をどのようになさるのか、これをひとつ御説明をいただきたいと思います。
 また一方、本県のテクノポリス開発計画、これは大変な、例えば北上川流域にあのような企業立地のようなものを県内に大きく進め、また、工業技術センターの整備のようなもの、こういうものもつくり、本当に成果をおさめて今日まで参ったわけでございますけれども、伺うところによると、これは平成7年度で計画が最終年度を迎えると聞いておるわけでございまして、そうした場合に、平成8年度以降の次期計画策定の準備をどのように進めておるのか、これもお伺いしたいと思います。
 次に、地域保健制度の改正についてでありますが、部長から御答弁があったわけでございますけれども、私は、行政の原点というのは、やはり地域住民へのサービスであると思います。そういう面からすれば、保健所の再編に当たっても住民サービスを低下しないような基本的配慮をすべきだと、このように私は思います。一方、職員の増加が見込まれない中で、保健所の機能強化を図るためには再編もやむを得ないことだと私も考えます。そういうことではございますが、統廃合に当たっては、県民が納得できるような形で実施すべきである、こういうふうに考えます。
 そこで、これは部長でよろしゅうございますが、再編後の保健所の設置箇所について、地域保健法の趣旨から、あるいは特性などからどのように選択があるのか、これもお示しをいただきたいと思います。
 最後に、本質問でいろいろ申し上げました道徳教育についてでございますが、昨今の若者を見ますと──これは断っておきますが、議員の若い方々、執行部の皆さん、これは別でございますので──、どうも自己本位の、私もそう年をとったわけじゃないけれども、30、40も年の違う、息子よりもまだ下のような年代を見ますと、どうも自己本位の風潮が非常に強い。そして、そういう面から社会の一員に欠けるというふうな、そういう面が見られる。今、いろいろ新聞等を大変にぎわしておるわけでございますが、オウム真理教の問題とか、各地のいろいろな凶悪犯罪を見ますと、非常に犯罪者に若者が多い。こういうものはやっぱり、今、申し上げましたような自己本位の若者の風潮というものに多く起因するものではないだろうか、私はそういうふうに思いまして、こういう現代の若者の風潮というものは、一体それではどこから来たのか。私はこれは教育者じゃないからわかりませんけれども、やっぱり私が考えますときにおいては、学校教育や社会教育の子育ての甘さがあるのではなかろうか、こういうふうに自分で思っております。私たちが子供のころは、親というのは非常な権限を持っている。そして、絶対的な力を持って厳しくしつけられ、学校においても、学校の秩序を乱したり規範を守らなかったりした者に対しては今よりももっと教師が厳しくしつけ、罰したものであります。それがいいか悪いか、今の教育から別にいたしまして、そういうふうにしたものでございます。昔のやり方がすべていいとは思いませんが、今日においても、私はこうして見ますときに、悪いことをした子供にはもっとびっちりした学校のしつけ、教育というものが必要であると思っております。私は、子供に甘いという、そういう風潮は今の教育の欠落ではなかろうか、欠陥ではなかろうか、そういうふうに思いますので、子供の成長期である最も大事な学校教育の中において厳しい指導を行うことがより大事なことであると、こういう点から質問申し上げましたので、改めて教育長のこの問題に対する見解をお伺いいたしたいのでございます。
 以上をもって終わります。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、新空港の設置についてでありますが、県におきましては、高速交通空白地域を何とか解消したい、そのための有力な手段の1つであると考えまして、沿岸地域における空港の設置を平成13年度を初年度とします第8次空港整備5カ年計画に組み入れることの可能性について、専門機関への委託による調査を行いましたところ、物理的な面からは久慈地域に7カ所ほど空港適地が選出されたんでございますが、空港需要の面から、少なくとも現行の国の制度のもとでは2、000メートル滑走路を持つ空港を平成22年度までに開港する、このことは困難であるなどの報告を得たところであります。また、一方におきまして、県北地域の市町村等で構成されます同盟会によります調査の結果についても承知いたしているところでありますが、県といたしましては、これらの調査結果を参考とした上で、目下進めております総合交通体系基本計画の策定作業の中で、外部の専門家等の方々で、この方々は委員になっておりますが、この方々で構成します岩手県総合交通体系協議会、この場におきまして御指導をいただきながら、今後とも検討を引き続き行ってまいりたい、このように考えております。
 次に、ヘリ・コミューターの導入によります航空ネットワークの形成についてでありますが、御案内のとおり、県におきましては、昭和63年度から3年間にわたりまして内陸部と沿岸部の都市間におきましてヘリ・コミューターの実験運航を行ったところでありますが、その結果につきましては、まず、就航率の向上あるいは定時性の確保が図られる必要があり、さらにまたコストの低減や安定した需要の確保等による採算性の維持、そしてまた、常設ヘリポートの設置、運営など、事業として成立するためには多くの課題が残されていることが判明いたしました。こうした課題を解決するためには、何よりもまず定時性を確保するための計器飛行方式の導入あるいは技術革新による機材価格あるいは運航コストの大幅な低減が求められておりますけれども、これらの条件につきましては、実験運航を実施してあのとき以来、改善が見られていないという状況にございます。また、国内の他の地域におきます事業化の事例を見ましても、例えて申し上げますと、需要面の条件が本県よりも格段に良好な首都圏におきまして、成田空港-羽田空港間及び成田空港-横浜市間の運航が就航率や座席利用率の低迷から開業後3年で休止され、その後も再開できないままに企業解体に至る、このように、全国的にもヘリ・コミューター事業を取り巻く環境は極めて厳しいものがございます。このため、本県におきますヘリ・コミューターの導入につきましてはなお相当の期間を要するものと考えておりまして、当面は事業化のための必要な技術革新や制度改正等の状況、さらには国内他の地域の動向などを十分に注意しながら引き続き研究を重ねてまいりたい、このように考えております。
   〔商工労働部長古館敏男君登壇〕
〇商工労働部長(古館敏男君) まず、ベンチャー企業の育成についてでありますが、県といたしましては、本年4月に制定されました中小企業創造活動促進法に基づきまして、意欲ある企業の技術開発への支援施策を大幅に充実してまいっているところでございますほか、東北経済連合会が提唱しました東北ベンチャーランド運動への県内企業の参画の促進やいわて起業家フォーラムの開催、起業家大学の開設などによりまして、新規操業や企業の新分野進出への機運醸成に力を入れているところであります。今後ともベンチャー企業の研究開発やその事業化に対する資金支援などの諸施策を一層充実してまいりたいと考えております。
 次に、テクノポリス開発計画に係る次期計画の策定についてでありますが、現在、通商産業省を中心とする主務4省庁間で次期テクノポリス開発計画策定の基本となります高度技術に立脚した工業開発に関する指針、いわゆる開発指針について、現在、協議中であると伺っております。したがって、県といたしましては、国の定めるこの開発指針の内容を見きわめながら、先ほど知事から答弁されました企業誘致や地場産業の育成、地域における創造的な研究開発の推進、技術力と研究開発力を持ったベンチャー企業の育成、集積などを柱とした次期テクノポリス開発計画の策定に鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) 再編後の保健所の設置箇所についてどのような選択があるかについての御質問でありますが、保健所の配置については、地域保健法の趣旨を基本としつつ、例えば保健所として存続できない場合に、その一部については支所などとして存続が可能かどうかについても、国との協議を含め、検討してまいりたいと考えております。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) お尋ねの指導のあり方についてでありますが、御家庭でのあり方とか地域社会のあり方ということにつきましてはともかくとして、学校教育における児童生徒の指導ということにつきましては、一番大事なことは教師と児童生徒あるいは児童生徒相互間、そういう関係の中に信頼し合える人間関係をつくり上げるという、そして、その中で1人1人の児童生徒が存在感を持ちながら充実した学校生活を行うことができるように、そういうものをつくり上げていくということがやはり一番大切なことであると考えております。
 なお、御指摘のありました厳しさの必要性ということにつきましては、学校教育全体を通じて、児童生徒の個性やさまざまな状況や局面に応じて、やはり教師1人1人が教育的な信念に基づいて毅然とした態度で臨まなければならないことも必要であるというふうに考えております。
〇副議長(及川幸郎君) この際、暫時休憩をいたします。
   午後3時53分 休 憩
出席議員(42名)
1番 斉藤 信  君
2番 黄川田徹  君
4番 小野寺好  君
5番 佐々木博  君
6番 中屋敷十  君
7番 大久保豊  君
8番 浅井東兵衛  君
9番 佐々木大和  君
10番 藤原泰次郎  君
11番 千葉 伝  君
12番 伊沢昌弘  君
14番 折居明広  君
15番 田村正彦  君
16番 伊藤勢至  君
17番 佐藤一男  君
18番 高橋賢輔  君
19番 瀬川 滋  君
20番 谷藤裕明  君
21番 三河喜美男  君
22番 水上信宏  君
23番 船越賢太郎  君
24番 久保田晴弘  君
25番 千葉 浩  君
26番 渡辺幸貫  君
27番 長谷川忠久  君
29番 村田柴太  君
33番 工藤 篤  君
34番 菅原温士  君
35番 菊池 勲  君
36番 小原宣良  君
37番 樋下正光  君
38番 藤倉正巳  君
39番 及川幸郎  君
40番 那須川健一  君
41番 伊藤 孝  君
42番 山内隆文  君
45番 佐々木俊夫  君
46番 山門一郎  君
47番 菊池雄光  君
48番 佐藤啓二  君
49番 堀口治五右衛門  君
50番 吉田 秀  君
欠席議員(9名)
3番 佐々木一榮  君
13番 須藤敏昭  君
28番 村上恵三  君
30番 藤原良信  君
31番 吉田洋治  君
32番 飯澤忠雄  君
43番 佐藤正春  君
44番 千葉英三  君
51番 藤原哲夫  君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   午後4時13分 再 開
〇副議長(及川幸郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。三河喜美男君。
   〔21番三河喜美男君登壇〕(拍手)

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