平成7年12月定例会 第4回岩手県議会定例会 会議録

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〇36番(小原宣良君) 日本社会党の小原宣良でございます。
 一般質問冒頭に質問の機会をいただき、まことにありがとうございました。通告の順に従い、お伺いをいたします。
 質問の第1は、県政に臨む知事の基本姿勢についてであります。
 お伺いする前に、まず、我が党の県政に臨む基本姿勢について申し述べます。
 その第1は、常に公正と公平な姿勢を保ち、すべての県民の英知の結集を図り、開かれた県政を目指すことであります。このことは、先人の労をとうとび、大自然の恵みに感謝し、四季折々の自然との交流を通して人としての感性を高め、実直、誠実な県民性を培ってきた人々に対する県としての誠実な姿であると考えるからであり、そのためには、知事は特定の政党に属しあるいは偏ることなく、広く県民1人1人の力の結集が可能な立場に立つ必要があると考えるからであります。
 第2は、平和と民主主義を基本とした憲法を遵守し、その精神を県政に生かすことであります。このことは、平和への願いはすべての国民、県民の一致した願いであり、平和な社会を実現するためには、私たち1人1人の県民が、平和を守りはぐくんでいくために具体的な行動を示すことが大切であると考えます。そのために、核兵器廃絶希求県宣言を行うなど、すべての県内自治体で、憲法を暮らしに生かす行政施策の推進が必要であると考えるからであります。
 第3は、県政の新たな発展期に当たり、県民の立場から3県総の見直しを行い、県民生活の向上を目指すことであります。このことは、産業構造の変化と新たな産業化の始動、県民のライフスタイルの変容や新しい生活文化の胎動、地域間競争と地域自立の時代の到来など、経済、社会の変化に的確に対応できるものでなければならないと考えるからであります。こうした我が党の県政に臨むに当たっての基本姿勢を知事はどのようにお考えか、御所見を承りたいと存じます。
 次に、ただいまの質問とも関連いたしますが、3県総の後期実施計画の策定についてお伺いいたします。
 申し上げるまでもなく、3県総の基本目標は、豊かな自然の中に活力と希望にあふれ、心のふれあうふるさと岩手の創造であり、その施策の基本方向は、緑あふれる快適な県土の整備、未来をつくる活力ある産業の展開、健やかな暮らしを支える福祉の充実、はつらつと生きる心豊かな人づくりであります。こうした基本目標や基本方向に沿って施策が着実に展開されてきたことに対しまして、県当局の御努力に敬意を表するものであります。ただ、私は、どうしても納得のいかない問題がございます。
 その第1は、本県人口の見通しであります。
 3県総策定年度である平成3年10月1日現在の本県の人口は、141万5、000人であります。しかし、中間年次である平成7年度の目標数値は140万4、000人であり、目標年次である平成12年度見通しは141万5、000人であります。ちなみに、平成7年1月1日現在の本県人口は141万8、000人であり、今月22日、県が発表した国勢調査速報値は141万9、507人となっているようであります。先ほども触れましたが、未来をつくる活力ある産業の展開を基本方向としつつ、農林水産業を初め各産業の振興を図るため、後継者対策など各種施策を10年にわたって展開しても、なお、計画年次の人口とほぼ同じ目標数値を設定していることに私は納得できないのであります。結果において、目標を超えることができないことはあるにせよ、目標数値に変動がないこと自体、活力ある産業の展開に対する県の姿勢に疑問を感じるのであります。私は、人口動態の推移は、その地域社会が持つ活力、成長度合いを示す主要な指標であると考えますが、3県総後期実施計画の策定に当たり、本県の人口の目標数値を上方修正する考えはないかお伺いをいたします。もちろん、このことによって、生活基盤整備や産業振興など、諸施策の配置を含め各種目標数値に変動の伴うことは当然であります。
 第2は、これまでの総合計画が積み残した課題を、どう、次期計画に引き継いできたかという問題についてであります。
 具体的には、北上山系開発は既に完了したとされております。しかし、今日においても多額の負債に苦しんでいる畜産・酪農農家がおります。この人たちは、当時、県が設定した肉・乳価格を信じて事業に参加したのであり、個人的努力の限界を超える要因については、県として適切な対応があってしかるべきと考えます。こうした問題について、3県総はどう位置づけどのような対策を講じてきたのか、また、後期実施計画策定に当たってどういう位置づけをしようとしているのかお伺いをいたします。
 第3は、後期実施計画策定のポイントとも言うべき、21世紀を開く主要構想についてであります。
 増田知事にとりましては、いわゆる増田カラーを前面に出し得る絶好の機会でありますが、知事は、21世紀に向けた理想郷岩手の姿をどのように描こうとしているのか、主要構想の一端を交えこの際御所見を承りたいと存じます。
 次に、経済対策についてお伺いいたします。
 いわゆるバブル崩壊以降の景気後退局面を受けて、国においては計7回、総額で約60兆円の景気対策が打ち出されました。また、公定歩合も0、5%に引き下げられたにもかかわらず、景気回復の確実な兆候はいまだ見えていない現状にあります。本県においても、平成4年以降、総額1、875億円の総合経済対策を講じてまいりました。平成5年度においては、4次にわたり約1、027億円の補正がなされ、今年度も約412億円の補正がなされるなど、公共事業を中心とした大型景気対策が行われてきたところであります。しかし、地価の長期低落と株価の急激な下落が呼び起こした金融不安などのため、生産の縮小あるいは海外移転、雇用の停滞、消費の低迷へと連鎖するなど、このごろはデフレ傾向を懸念する声が聞かれるのであります。いわばこうした現象は、経済成長一辺倒の経済対策のため、その手法もまた建設部門に集中し公共投資の配分が硬直的となり、従来の景気浮揚に直結しなくなっているのではないか、むしろ、継続的な公共投資を行いつつも、個人消費に直結した内需拡大対策が求められているのではないかとの指摘がございます。
 そこでお伺いいたします。
 第1に、これまで本県が経済対策として投入した対策事業費が本県経済にどのような効果をもたらしたとお考えなのか、また、本県の景気見通しについてどのように把握されているのかお伺いをいたします。
 第2は、企業倒産の現状と雇用情勢についてであります。
 ここ数年の動向と倒産の原因をどう分析されているでしょうか。また、雇用情勢はどうなっているか、新規学卒者の就職見通しとあわせてお伺いをいたします。
 次に、環境保全対策についてお伺いいたします。
 県は、平成4年3月に、3県総の部門別計画として水きよく緑あふれる快適な環境の保全と創造と題し、岩手県環境保全計画を策定いたしました。今年度は、この計画の見直し年次に当たります。この間、県は、岩手県自然環境保全審議会や同環境審議会などを通じ県民意向の反映に努めるなど、その推進に鋭意御努力いただいておりますことに敬意を表します。近年、環境に対する県民意識は生活の豊かさ、快適さと同時に、精神的感性の豊かさをも志向しており、特に自然環境の保全、公害の防止、開発と環境保全との調整を求めております。
 質問の第1は、水質汚濁防止についてであります。
 申し上げるまでもなく、水は限られた貴重な資源であると同時に、県民の諸活動にとって欠くことのできないものであります。県においても、河川環境保全、水道水源の保全などに取り組まれているようでありますが、これら河川及び水道水源保全の現状をどう把握しておられるのかお伺いをいたします。
 また、長野県では、平成4年に水環境保全条例を制定し、県、市町村、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、水環境保全総合計画の策定、水質の監視及び水道水源保全地域の指定等、体系的な水環境保全対策を講じているようであります。本県においても、水環境保全対策の体系整備が必要と考えますが、御見解を承りたいと存じます。
 第2は、生活排水処理施設の整備状況についてであります。
 これらの施設は、公共下水道、農業集落排水施設、合併処理浄化槽等がございます。昨年、市町村が設置主体となって合併処理浄化槽の設置整備を行う事業として特定地域生活排水処理事業が創設され、これに合わせて個別排水処理施設整備事業及び小規模集合排水処理施設整備事業が地方単独事業として創設されたところであります。これらの諸施設の整備状況と今後の整備見通しについてお伺いいたします。
 第3に、環境保全指針の策定についてであります。
 私は、機会あるごとに、自然環境保全指針を早期に策定すべきであると訴えてまいりました。県環境保全計画においても、環境資源の計画的な管理に資するため、県独自事業として環境保全指針の策定調査事業が設けられているところであります。既に、北海道においては、平成元年に自然環境保全指針が策定されており、道民意識の高揚とともに有効性を発揮していると聞いております。申し上げるまでもなく、自然環境は一度破壊されますと復元することが大変難しいため、これからは自然環境を保全するための取り組みを計画的に進めることが大切であります。本県の良好な自然環境を将来にわたって適切に保全していくため、すぐれた自然の地域や身近な自然地域がどこにどれくらいあり、これらの地域をどのようなレベルで保全していくのかを明らかにするとともに、自然環境の保護と利用に関する取り組みを長期的に進めていくための目標と方向を示すことが、今、強く求められているのであります。この環境保全指針の策定に当たっての作業はどのようになっているのか、また、今後の作業スケジュールについてお示し願います。
 次に、農業問題についてお伺いいたします。
 農業問題に触れるに当たり、改めて平成5年12月14日、我が党の村山委員長が、ガット農業合意を苦渋の選択によって受け入れることを決めた経緯に触れさせていただきます。
 当時我が党は、細川連立内閣の与党第一党の立場にありました。細川首相は同年12月9日、国際的に見てドゥニ案修正は困難との立場から、日本がラウンドを交わしたことにならないよう努力していただき、何とかまとめてほしいと、連立与党各党に協力を要請しました。連立与党各党が調整案を受け入れを表明する中で、社会党は、12月13日夜から断続的に中央執行委員会と両院議員総会を開催し、調整案への対応について賛否両論の立場から議論を積み重ねました。その結果、12月14日早朝、調整案には反対だが了とする趣旨の村山委員長まとめが発表され、反対の怒号渦巻く中、細川内閣の調整案受け入れを認めることを決定したのであります。12月28日、我が党は、村山委員長を本部長とする緊急農業・農村再建振興対策本部を設置し、米の部分開放、農畜産物の総関税化、自由化という、我が国農業の歴史的な転換期に向けて対応に全力を挙げてまいりました。しかし、結果において、3度にわたる米自給の国会決議を守ることのできなかったことを深く反省するものであります。同時に、時移り、今あの苦渋の選択を余儀なくされた我が党の村山委員長を首班とする連立内閣であります。なるがゆえに、昨年10月、政府・与党は、今後6年間に6兆100億円、農山漁村ふるさと事業費1兆2、000億円の国内対策費を実現したのであります。
 そこでお伺いをいたします。
 さきに触れました地方単独施策として新たに創設された農山漁村ふるさと事業についてでありますが、どのような活用状況になっているでしょうか。この事業は、農山漁村地域の活性化を図るため、農林漁業の振興を初め、自主的、主体的地域づくりを推進するためのソフト事業に要する経費に対し、地方交付税措置を講じるとされているようであります。なお、またウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策は、本県農業の盛衰にかかわる重要な事業であるだけに、県としても十分な対応が求められるものでありますが、これら関係対策の特徴的事業の現状についてお伺いする次第であります。
 この際、さきの強風と積雪による農作物被害の状況についてお伺いいたします。
 11月7日から8日にかけまして、本県を襲った強風、積雪により、特にリンゴの落下、枝折れなど、かなりの被害が発生をいたしました。被害を受けられた農家の皆さんには、心からお見舞いを申し上げます。これらの被害状況と共済金支払いのめどについて、また、落下しなくとも傷のついたリンゴの査定についてどう把握し、指導されているかお伺いいたします。
 また、県央部では、ブドウ棚など施設被害も相当あると聞いておりますが、これらについてどう対応されるお考えかあわせてお伺いをいたします。
 次に、いわゆる官官接待についてお伺いいたします。
 客を接遇することは、社会の営みの中にはあり得ることでありましょう。問題は、その持ち方であります。1つは、そうした機会を必要最小限にとどめることであります。したがって、従来の慣行は全面的に見直す必要があります。知事は、さきに食糧費予算を3割削減するとの考えを打ち出したようでありますが、何割の削減とかではなく、食糧費の全面的見直しの中で必要最小限の予算とすべきものではないでしょうか。いわゆるゼロベースからの検討をすべきものと考えます。
 第2に、食糧費の予算化と支出のあり方についてであります。
 この、いわゆる官官接待が問題化した背景には、公共事業など、国の補助金から食糧費に流用された事例が会計検査院の特別検査で明らかになったことなど、不正な予算執行が問題視されているところにあると考えます。したがって、本県においては、いやしくもかかる事態はないものと信じますが、前項でお伺いいたしました食糧費のゼロベースからの検討とあわせ、今日までの食糧費の予算執行のあり方について、知事は、いかなる検討、点検を行ってきたのか、また、これからの予算計上の仕方と支出方法について、どう改善を図るお考えか御所見を承りたいと存じます。
 次に、福祉課題についてお伺いいたします。
 質問の第1は、平成5年度に策定されました岩手県高齢者保健福祉計画の進捗状況であります。
 県の保健福祉計画は、市町村策定の老人保健福祉計画を踏まえて策定したものであります。市町村段階における計画策定のポイントは、地域の実情と独自性を生かした計画とすることにあったと思います。しかし、その作業過程においては、国が示したマニュアルの存在、財政事情、時間的制約などで、必ずしも地域の独自性は生かし切る計画にはならなかったのではないかと私は考えます。
 こうした事情を勘案しつつお伺いいたしますが、県高齢者保健福祉計画の進捗状況と地域の独自性発揮とのかかわり、今後の計画見直し作業はどのようになるものかお伺いをいたします。
 第2は、地域福祉の基盤強化についてであります。
 国が示した国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための基本的な指針に基づいて、自治体と福祉団体は、住民参加型福祉サービスの振興や民間ボランティア活動の促進のための条件整備や社会福祉協議会の活動基盤強化を図る必要があろうかと存じます。こうしたことから、地域福祉活動の基盤強化について、県はどう対応なさるお考えかお伺いをいたします。
 次に、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に定める、専ら異性を同伴する客の宿泊・休憩の用に供する施設、いわゆるモーテルの類似施設建設規制に係ることについてお伺いいたします。
 最近、北上市において、このモーテル類似施設と思われる施設建設が行われており、地域住民の強い反発を招き、建設反対の署名活動が行われ北上市長に提出されたようであります。一方、北上市においても、同市が持つ北上市モーテル類似施設建設規制条例の定めにより、その業者に対し、工事中止命令を発しているところであります。こうした施設は、いわば法の網から漏れたいわゆる谷間産業ということができるものであります。したがって、北上市は、合併以前の昭和59年4月1日に条例を定め、モーテル類似施設の建設を一定の条件のもとに規制しております。その規制要件は禁止区域の設定で行われており、ただいま問題にしております所在地は、工業地域からおおむね200メートル以内との規制区域に該当いたします。北上南部工業団地から30メートルと離れていない隣接地だからであります。しかも、平成11年に開催されるインターハイ主会場にも近接している場所であります。
 さて、問題は、この施設が市条例で言うモーテル類似施設かどうかという点にあるかと思われますが、市条例は、モーテル類似施設とは、宿泊料または休憩料を受けて異性と同伴する客の宿泊または休憩に供すると認められる施設であって、次の各号の1つに該当するものを言うと定め、それは、1、玄関帳場から客との面接に適さず、または、附帯設備により客と直接面接することを要しない利用を可能とする構造のものであるもの、2、玄関帳場から、客室に通ずる共用の廊下等がなく、または、玄関帳場から共用の廊下が見渡せない構造であるもの、3、車庫または駐車場から玄関帳場を経由せず、直接客室へ通ずることができる出入り口を有する構造であるものと限定的に定めており、この条例で見る限り、拡大解釈の余地はないものと思われます。なぜなら、予定されている施設は、それぞれ2室を有する別棟を予定しているからであります。この問題は、かかって、北上市と業者との関係ではありますが、市町村を指導する立場にある県として、こうした事態をどのように見ているのか、また、北上市長が発した工事中止命令に業者が従わなかった場合、市はどういう対抗手段があるとお考えかお伺いをいたします。
 この際、県警察本部長にお伺いをいたします。
 先ほど申し述べました北上市モーテル類似施設規制条例第11条は罰則規定であり、第6条の規定による、市長の中止命令に違反した事業者は6カ月以下の懲役または3万円以下の罰金に処すると定めております。中止命令が出たにもかかわらず業者が工事を継続しているようでありますが、警察当局は、こうした実態を把握されているかどうかお伺いをいたします。また、市長が業者を条例違反として告発することは可能でしょうが、北上市民からの第三者告発は可能であるかどうか、御見解を承りたいと存じます。
 次に、本県職員の給与の改定についてお伺いをいたします。 岩手県人事委員会は、去る10月6日、岩手県議会議長と岩手県知事に対し、職員の給与に関する報告及び勧告を行いました。その内容を見ますと、行政職給料表適用者で、1人当たり平均2、885円、0、82%の改定となっております。また、盛岡市における1人世帯の標準生計費は9万4、190円で、全国平均10万8、140円を下回っているなど、現下の厳しい経済情勢を反映したものとなっております。また、この人事委員会報告は、早期改定について次のように述べております。すなわち、議会及び知事におかれては、給与勧告制度が果たしている役割及び職員が県行政の各分野において、真摯に職務に精励している実情に深い理解を示され、この勧告を速やかに実施されるよう要請すると述べております。この人事委員会勧告の早期実施は、かかって、執行部の給与関連予算等の早期議会提出と議会の早期開催、早期議決にかかっているものでありますが、県当局は、今後いかなる考えのもとに職員給与の早期改定に臨むお考えか、お示しいただきたいと存じます。
 なお、人事院においては、ボランティア休暇のあり方について研究を進める旨、表明しているようでありますが、県当局において、この点をどのように検討されるお考えかお伺いをいたします。
 以上をもちまして本席からの私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 小原宣良議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、私の県政に臨む基本姿勢についてでございますが、私は、就任以来今日まで、公正、公平を旨としつつ、県民にわかりやすい県政の実現を目指して、市町村ごとに県政懇談会を開催するなど、あらゆる機会をとらえまして県民の皆様と直接語り合い、幅広く御意見をお聞きしながら、県民の英知と創造力を結集することに努めているところでございます。
 また、日本国憲法につきましては、国民主権主義、平和主義、基本的人権の尊重という崇高な理念が掲げられておりまして、私はこれを高く評価をしているところでございますし、今後におきましてもこのことは最大限に尊重されるべきものであると考えているところでございます。
 さらに、現在、策定中の3県総後期実施計画につきましては、経済社会情勢の変化やこの間に生じました新たな課題に的確に対応できるよう、積極的に多種多様な施策の展開を図ってまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、今後とも県議会を初め、県民の皆様方の御理解と御協力をいただきながら、県勢の発展のために全力を傾けてまいる考えでございます。
 次に、理想郷岩手についてでございますが、私は、理想とする岩手の姿とは、広大な土地や緑豊かなかけがえのない美しい自然、さらにはすぐれた人材をはぐくんでまいりました風土など、本県が持つ発展可能性を最大限に引き出す中で、県民お1人お1人が心から幸せを感じるとともに、夢を抱き、生きがいを持って暮らすことのできる社会であると考えております。私は、そのような社会の実現に向けまして、さまざまな機会をとらえて県民の皆様と直接語り合いながら、そして、県民の皆様の英知と創造力を結集をするとともに、さらに重要なことであると考えておりますけれども、個性豊かで特色に富んだ地域づくりを目指し、県民の最も身近なところで行政を担っている市町村の活動、この活動が大変重要でございまして、県がこうした市町村の活動を十分に把握しながら後押しをすることがこれから必要である、極めて重要なことである、このように考えているところでございます。このため、既に県内市町村ごとに県政懇談会を開催するなど、地域の実情と県民の意向の把握に努めているところでございますが、今後におきましても、引き続き地域の課題にきめ細かく対応しながら、活力に満ちた夢あふれる県土づくりに全力で取り組んでいきたいと考えております。特に3県総の後期実施計画の策定に当たりましては、これは例えば1つの例示でございますけれども、災害に強い県土づくりという観点が必要でございますし、また、産業の空洞化などの経済社会の新たな動向にも的確に対応するという観点、これも必要であるというふうに考えております。また、これも1つの例示ではございますが、県北地域の振興を図るためには、単にこの岩手の県内だけを視野に入れて考えるのではなくて、青森、秋田をも含む北東北3県の連携を強化するということによりまして、多種多様な施策の展開を図ることが必要であって、こうした観点を計画に反映させることが重要ではないか、このように考えているところでございます。さらに、3県総で、今、掲げております21世紀をひらく主要構想というものが9つほどございますけれども、こうした構想の調査検討の成果をも十分に反映させながら計画を策定していく考えでございます。
 次に、水環境保全対策の体系整備についてでございますが、水は限られた貴重な資源でございますとともに、水道や農業、工業等に多面的に利用されているほか、水辺は地域住民の憩いの場ともなっているところでございます。このことから、県におきましては、第三次岩手県総合発展計画及び岩手県環境保全計画はもとより、県民、地域、学校、民間団体、企業などの各主体の自主性を生かしながら、県民総ぐるみで今後の環境保全を推進していく上での指針となります岩手県環境学習推進基本方針、そして、生活排水対策等を推進する上での基本となる活動目標や各主体の役割、推進体制等を明らかにいたしましたふるさと清流プランを策定をいたしまして体系整備を図ってきたところでございます。また、このような体系のもとで、河川などの公共用水域の定期的な水質調査、水道水源の水質監視、工場や事業場に対します監視指導を初めといたしまして、水道水源保全に配慮したゴルフ場などの大規模開発の適正な誘導、下水道や合併処理浄化槽整備の推進、児童生徒による水生生物調査や環境アドバイザーの派遣を通じての意識啓発、水辺環境の整備など、各種事業の展開についても取り組んできたところでございます。今後につきましては、環境との共生、これを念頭に置きまして、より多くの県民の参加をいただく中で、水環境保全対策を一層推進をいたしまして、豊かで快適な県民生活の実現に努めてまいる所存でございます。旧松尾鉱山の公害によりまして汚染されました北上川を清流に戻すために何十年間にもわたりまして毎年6億円前後の費用を投じているというこのことを考えますと、水といいますのは一たん汚せば後世にまでその苦しみが残るものでございまして、水環境の保全は極めて重要なことであって、こうした教訓に学び取りながら、私はこの対策に全力を挙げて取り組んでいきたいと、このように考えているところでございます。
 次に、いわゆる官官接待についてでございますが、食糧費の予算執行につきましては、食糧費の支出が公費をもって賄われているというこのことにかんがみまして、簡素かつ公正を旨として、節度ある対応と法の定めにのっとった適正な予算執行を図ることが必要であると、このように認識をいたしております。このような観点から、職員に対しまして、食糧費の適正な執行につきましてその周知徹底を図りますとともに、今年度下半期の食糧費につきましては、厳正な執行を図るための目標といたしまして予算の20%を保留することとしたものでございます。また、従来行っておりました食事券の購入につきましては今年度からは行わない、このようにしたところでございますし、平成8年度の予算要求に当たりましても、より一層厳正な食糧費の執行を図るため、今年度9月現計予算総額の30%を削減するよう指示をしたところでございます。こうした予算要求を経て行われてまいりますそうした要求を予算査定するに当たりましても、単に従来の慣行ですとか、前例あることをもって措置するということはやめることといたしておりまして、県政推進上真に必要なものかどうか、従前にも増して厳しく精査するとともに、その厳正な執行に鋭意努めていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、3県総の人口の見通しについてでありますが、3県総におきます総人口の見通しは、計画作成当時におきまして、自然動態におきましては出生率の低下が見られ、また、社会動態におきましては転出超過が続くということで、今後も相当期間これが見通されるということなどを勘案いたしまして、計画期間のうち当分の間は人口が減少傾向をたどるものと、こう見込んだところでございますが、その後はしかし、各般の施策の展開によりまして経済社会活動が活発化し、そしてまた人口も増加に転じるものと見込んだものでございます。その結果、中間年次であります平成7年は140万4、000人、また、目標年次であります平成12年は141万5、000人程度と設定したところであります。
 最近の本県の人口の推移を見ますと、住民基本台帳に基づきます本県の推計人口は、昭和60年以降人口の減少が続いたものの、平成5年以降には増加に転じました。また、去る10月1日に行われました国勢調査の速報値でも約142万人となるなど、現時点においては計画の見通しを上回って推移しているところであります。しかしながら、御案内のとおり、人口の動態は一般的に県内外の経済社会情勢の影響を受けるものとされておりまして、また、3県総の人口の推計でありますけれども、この推計に当たりましては、男女別かつ年齢階層別に推計いたしているものであり、このたびの国勢調査結果につきましては総人口の速報値が示された段階でございまして、男女別、年齢階層別人口は平成8年、つまり来年の秋以降の集計結果をまたなければならないということになっております。このようなことから、現時点におきましては、必要な新しいデータに基づきまして3県総と同様の手法で推計することは困難でございまして、総人口の見通しを修正し得るという段階には至っていないところでございます。
 次に、これまでの経済対策が本県経済にもたらした効果と景気見通しについてでありますが、県といたしましては、国の経済対策に呼応いたしまして、平成5年度におきましては、4度にわたる補正予算により本工事費約654億円、また、今年度6月と9月の補正予算においては本工事費の合計約322億円の公共事業を追加したところであります。これらが本県経済に及ぼす影響について見ますと、産業連関分析をいたしますと、第1次波及効果、すなわち工事発注によります建設業の生産によります、いわゆる直接効果、それから、この生産に伴う建設資材等の生産を通じて他産業の生産を誘発します間接効果、この第1次波及効果と、この第1次波及効果から誘発されます雇用者の所得、これがまた一部生産に回るというふうな第2次生産というふうなことも誘発するということも考えますと、これをあわせました総合的な効果、これを申し上げますと、平成5年度分につきましては1、144億円程度、また、今年度の6月、9月補正分につきましては541億円程度と推計されるところでございまして、県内経済の活性化に寄与しているものと、このように考えております。
 また、景気の見通しにつきましては、目下、策定が進められております国の新しい経済計画の中間取りまとめなどにおきましても、今後におきます景気の見通しは必ずしも明確になっておりません。そういうことで、本県の景気を現時点において見通すことは非常に難しい状況にございますが、最近の県内景気は、基調としては穏やかながら回復の方向に向かっている。向かってはいるものの、引き続きその動きは鈍いものになっておりますので、今後とも県内外の景気動向を十分に注意していく必要があると、このように考えております。
   〔農政部長佐藤昭美君登壇〕
〇農政部長(佐藤昭美君) まず、北上山系開発後の負債問題と3県総における位置づけについてのお尋ねにお答えします。
 北上山系開発は、畜産を中心とした地域振興の拠点の整備を目的として昭和50年に事業に着手し、昭和62年をもって完了したところでありますが、経営開始後の畜産をめぐる情勢は、生乳の計画生産や牛肉輸入自由化の受け入れなど極めて厳しい状況にありましたので、第三次岩手県総合発展計画におきましては、負債農家の早期経営安定と大規模酪農の育成を重点課題として掲げ、飼養技術や経営管理について濃密指導を行ってきたところであります。殊にも、入植農家におきましては、負債額が多額で償還金の返済に苦慮している状況にありましたので、平成5年度から県独自の対策として、償還の平準化を図るための低利資金を融通するほか、高能力牛の導入、機械、施設の整備等に対する助成事業を実施してきたところであります。こうした対策にもかかわらず、入植農家の大半は負債額が累増傾向にあり、加えて、酪農をめぐる情勢は、ウルグァイ・ラウンド農業合意の受け入れの中でその影響が懸念されますことから、県は、関係町、農業団体と一体となって、今年度から向こう10カ年にわたり制度資金の利子相当額を全額補助し、無利子とする北上山系入植農家経営安定緊急対策事業を新たに創設したところであります。北上山系の入植農家は、開発地域における酪農の中心的な役割を担う方々でありますので、後期実施計画におきましても、これら農家の経営再建を含め、地域畜産の一層の振興が図られるよう重点的に指導してまいりたいと考えております。
 次に、ウルグァイ・ラウンド合意関連対策として創設された農山漁村ふるさと事業の活用状況についてでありますが、本県に対する平成7年度における当該事業の交付税措置額は、県及び市町村あわせまして14億2、900万円となっているところであります。県といたしましては、この財源を積極的に活用し、山間地域の農産物価格支持対策や中山間地域の創意工夫を凝らしたおもしろ農業の支援対策など、県独自の新規施策の創設を主体とした11事業を推進してまいっているところであります。市町村におきましても、農業の振興対策を初めとし、例えばマツカワ、チョウザメなどの高級魚の地域特産化やせせらぎの水路整備、都市との交流縁組の実施など、それぞれの地域特性を生かした事業を創設し、推進しているところであります。
 また、本県におけるウルグァイ・ラウンド合意関連対策の特徴的な事業についてでありますが、まずもってこの合意期間中に体質の強い農業構造を確立していくことが極めて重要でありますことから、農業生産基盤の整備を加速的に推進するとともに、認定農業者等への農用地の利用集積等による経営規模の拡大や、地域農業改良普及センターの活動を通じた経営改善指導など、経営体の育成対策を強化することとしているところであります。さらに、新規就農青年が行う農業技術等の習得研修や就農準備に要する資金の融通を行うなど、農業内外からの就農を促進するとともに、作目振興対策として、生産性の高い稲作の営農システムや共同利用施設の整備、日本短角牛の周年安定出荷対策、花と野菜の里づくり産地育成対策、意欲的な酪農経営体に対する生乳生産枠の流動化対策などを措置し、強力に展開することとしているところであります。
 次に、11月7日から9日にかけての暴風雪による農業被害の状況についてでありますが、被害総額は41市町村にまたがり、約4億1、600万円となっております。このうち、リンゴの落果等の被害が約2億9、300万円、ビニールハウスの破損やブドウ棚の倒壊等の被害が約1億2、300万円となっております。県といたしましては、こうした被害農家の所得の減少を最小限にとどめるため、直ちに関係団体との連携を図り、生食用に供し得る落果リンゴ等については生協や直売施設、さらには県内外の量販店等において極力有利販売を行うよう指導してまいったところであります。
 また、共済金の支払いは、収穫終了後、国の損害評価高認定等の手続によりまして来年2月中旬までには支払われることとなっておりますが、できるだけ早期に支払われますよう重ねて要請してまいりたいと存じております。
 なお、被害の査定は、落果の有無にかかわらず、ジュースなど、加工用として利用可能なものについては調整果実として80%の被害があったものとみなされ、加工用にも供し得ないものは100%の被害とされることになっております。今後におきましては、被害農家が早期に生産を開始できるようにしていくことが肝要でありますので、リンゴの倒木等の被害については、改植のための苗木購入費等に対して速やかに助成措置を講じるとともに、ブドウ棚の倒壊等に対する支援方策につきましても、現在、鋭意検討を進めているところであります。
   〔商工労働部長古館敏男君登壇〕
〇商工労働部長(古館敏男君) まず、県内企業の倒産の動向とその原因についてでありますが、平成4年から昨年までの3カ年の企業倒産は年平均で74件、負債総額は118億円となっておりますが、本年は10月までに既に90件の倒産を数えておりまして、その負債総額は189億円に上っており、この数年の中では件数、負債とも多くなっているほか、業種では製造業の割合が高くなっております。また、倒産の原因は、業績不振や他社の倒産の余波といった、いわゆる不況型倒産の割合が最も多いことからうかがえますが、長引く景気の低迷というものがあるものととらえておるわけでございまして、本年はこれに加えまして、円高に起因したものと思われる大型倒産、それからニシキファイナンス等の関連倒産が見られるところでございます。
 次に、雇用情勢についてでございますが、長引く不況の中にありまして、有効求人倍率は2年半以上にわたりまして1倍を割り込んでおったわけでございますが、これに加えまして、企業の合理化等に伴う離職者も4月から10月までで1、017名と、昨年同期の596名と比べまして大幅な増加になっているところでございます。また、新規学卒者の就職内定状況は、高校卒業生では10月末現在71、1%と、昨年同期より0、4ポイント上回っております。一方、大学卒業者及び短期大学卒業者では10月末現在51、2%及び31、6%となっておりまして、おのおの6、3ポイント及び10、6ポイントの大幅な落ち込みとなっているところでございます。高校卒業者の就職内定につきましては昨年並みのペースで現在のところ推移するものと見込んでおりますが、大学等卒業者は、求人、求職のミスマッチが大きいことなどから例年より厳しい状況にありますので、就職内定は例年に比べましておくれるものと予想しているところでございます。したがいまして、学卒者への就職支援等につきましては、主要経済団体等へ求人枠拡大を引き続き要請するほか、合同面接会等の追加開催も検討してまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) まず、河川及び水道水源保全の現状についてでありますが、平成6年度には、渇水の影響等から一部の公共用水域で水質の悪化がありましたが、水道の利水面では特に大きな問題はありませんでした。また、水環境基準の達成率は、例年、全国平均を上回るとともに、中長期的に上昇傾向にありますことから、県内の河川及び水道水源はおおむね良好な状態で推移しているものと認識しております。しかしながら、依然として都市内の一部中小河川では有機汚濁が見られることから、必要に応じてこれを生活排水対策重点地域に指定するなど、地域の実情に即した対策を促進してきているところであります。今後とも水質監視、指導の充実強化を図り、関係市町村等との連携のもと、河川及び水道水源の保全に努めてまいりたいと考えております。
 次に、生活排水処理施設の整備状況と今後の整備見通しについてでありますが、県は、汚水処理施設の計画的な整備を図るため、市町村との協議をもとに全県域汚水適正処理構想を策定し、処理施設の整備促進を図ってきたところであります。その整備状況でありますが、公共下水道及び合併処理浄化槽などの施設整備を55市町村で行っており、平成6年度末における県内総人口に対する整備普及率は26%となっております。
 なお、今後の整備見通しでありますが、平成12年までの目標普及率を50%と掲げており、この実現に向けて、昨年度創設された特定地域生活排水処理事業などの導入を含め、市町村と調整を図りながらその整備促進に努めてまいる考えであります。
 次に、環境保全指針の策定についてでありますが、自然環境保全指針は、自然環境に関する基礎データの集積及び評価、解析を行って、広く県民の方々に本県の自然環境の実態及び保全の重要性を理解していただき、今後における開発と自然環境の保全の調和を図っていくための指標として利用できるよう策定しようとするものであります。今年度は、指針の策定に関する基本的な考え方及び指針の構成について検討を行うべく、学識経験者による第1回検討会議を11月24日に開催し、具体的な作業に着手したところであります。平成8年度からは、本県の自然環境の実態を明らかにするためのデータ集積を行いながら、データの解析評価、保全目標の設定等の作業を順次行っていきたいと考えております。今後は学識経験者や関係機関からの御意見を十分お聞きして、できるだけ早い時期にすぐれた指針を構築できるよう、策定に向けて具体的な作業を鋭意進めてまいりたいと考えております。
 次に、御質問のモーテル類似施設の建築規制についてでありますが、当該施設は、北上市の建築確認を得て工事に着手したと聞いているところであります。旅館業法では、今後、県に許可申請があった場合、構造設備が政令で定める基準に適合しないと認めるとき、設置場所が公衆衛生上不適当であるとき、学校、児童福祉施設等からおおむね100メートルの区域内にある場合などは許可を与えないことができるものでありますが、旅館業法の要件に適合する場合には許可せざるを得ないものと考えております。
 一方、北上市では、市民の健全な生活環境の保持及び青少年の健全な育成を図ることを目的として、独自に北上市モーテル類似施設建築規制条例を定め、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の規制は受けないものの、いわゆるモーテル営業に類似した施設について、区域を定めてその建設を規制しているものであります。したがいまして、業者が工事中止命令に従わなかった場合につきましては、市は条例に基づき適切に対応されるものと考えております。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) まず、県の高齢者保健福祉計画の進捗状況についてでありますが、今年度末見込みでホームヘルパーが61%、デイサービス47%、特別養護老人ホーム96%、老人保健施設61%の進捗率となっております。そのほか、在宅介護支援センターなど、二、三のサービスに若干のおくれは見られるものの、全体としておおむね順調に推移しているものと考えております。このほか、質的な充実策として、24時間巡回型ホームヘルプサービスや、休日デイサービスにも取り組んでいるところであります。
 また、計画の見直しについてでありますが、市町村計画はニーズ調査を実施するなど、地域の実情を踏まえて策定されたものであり、県計画についても、市町村との協議を重ねながら策定したものであります。しかし、現在、国において、新たな介護システムの検討が進められていることから、新たな施策が具体化され計画の見直しが必要となるような場合には、市町村の実情を十分勘案しながら迅速かつ柔軟に対応してまいりたいと考えております。
 次に、地域福祉の基盤強化についてでありますが、少子・高齢社会においては、公的な福祉施策の充実とともに、住民参加型の福祉サービスや民間ボランティア活動の振興を図ることが極めて重要であると認識しております。このため、県としましては、地域住民の創意工夫と自主性を尊重しつつ、地域におけるボランティア活動の重要性等について普及啓発を行い、地域社会の中で、ともに支え合う福祉コミュニティーづくりを目指すボランティアリーダーの養成や団体の育成を図るとともに、ボランティア活動促進の中核をなすボランティアセンターの設置拡大、さらには具体的な活動事例等の情報提供を行うなど積極的に支援してまいります。
 また、社会福祉協議会の活動基盤の強化については、地域福祉活動が極めて重要になってきている今日的要請に即応した事業展開を行うよう指導に努めてまいります。特にも、市町村社会福祉協議会については、市町村と連携し、ふれあいのまちづくり事業の拡充による地域福祉活動コーディネーターの設置を支援するほか、活動拠点となる地域福祉センター等の整備を推進してまいりたいと考えております。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) 県職員の給与改定についてでありますが、本年度におきましては、国や他県の動向等を勘案しながら、関係条例案等の議案を今県議会当初に提案させていただいたところでございまして、来年度以降につきましても、給与改定に関する人事委員会の勧告があった場合におきましては、勧告を尊重するという従来の基本姿勢に立ちながら、地方公務員法に定める給与決定の諸原則にのっとり、さらには本県の財政事情などを総合的に検討いたしまして、適時適切に対処してまいりたいと考えております。
 また、ボランティア休暇についてでありますが、人事院は、さきの阪神・淡路大震災などを契機として、ボランティアの意義、その必要性についての認識が社会一般に浸透する一方、高齢社会の進展等によりボランティア活動への要請が強くなっていることなどを踏まえ、国家公務員のボランティア休暇について研究を進める趣旨を表明したものと聞いております。県といたしましては、今後、こういった国の動向などをも勘案しながら、適切に対処してまいりたいと考えております。
   〔警察本部長石川正君登壇〕
〇警察本部長(石川正君) 北上市内に建設中の市条例違反のおそれがあるとされる建築物についてお答えいたします。
 北上市内の建築物については、市条例に規定しているモーテル類似施設に該当するとされ、さらに建設現場は同条例に規定する禁止区域内であるとして、北上市長から建築中止命令が出されたことは承知しております。
 告発については、北上市長あるいは北上市民からの第三者告発も法令上可能であると考えられます。
 なお、告発がありましたら、警察としては真摯に対応してまいりたいと考えております。
〇36番(小原宣良君) 再質問をさせていただきます。
 知事からは、県政に臨む基本姿勢ということでお答えがございました。とりわけ、憲法を遵守して平和な社会を築いていくということでございます。残念でしたのは、私が触れましたけれども、核兵器廃絶希求県宣言を我々は実施をする必要があると、県内各市町村においては、既に大方この非核自治体宣言を行いながらそれぞれ創意工夫を凝らして活動が行われていると、こういう現状でございますので、県としても早期に核兵器廃絶希求県宣言、こういう方向に向かっていただきたいと、これは御要望を申し上げておきたいと思います。またの機会に御質問させていただきます。
 次に、3県総の後期実施計画の策定に当たって、私は大変重要だと思いまして先ほども御質問申し上げました。平成7年度の中間年次における人口の目標設定、そして平成12年の最終年度における目標設定、ただいまの企画調整部長の御答弁ですと、上方修正に足る要素あるいは見通しというものに確たるものを持ち得ないと、こういうことでございますけれども、先ほども数字を御紹介を申し上げました。平成7年度140万4、000人というのが目標数値でございますね。平成6年度ではもう既に141万7、000、ごく最近のものでは約142万、こういう状況になっている。ただ、県内的には人口増地域あるいは横ばい、減少地域、こういう地域間格差といいましょうか、こういう状況もございますので、そうした均衡を図っていくという面でも適切な生活基盤の整備あるいは産業振興、こういう事業を配置しながらそれぞれ地域において人口減少に歯どめをかけながら、活力、勢いをつけていかなければいけないと、こういうことがこの3県総が目指す基本的な目標ではないだろうかというふうに考えますときに、向こう5年間でも、なお確たる人口増につながる要素を見出し得ないということは私はどうも納得できないんですよ。今月時点で約142万、こういう状況ですから、しかも就業者の見通しということ、第1次、第2次、第3次ございますけれども、就業者数で見ますと平成7年度、中間年次の目標は73万人というふうに設定しておりますね、就業者数です。これは資料がないと、事前にお尋ねしたらそうなんですが、平成4年の数字で既に76万1、000人という数字になっていますね。平成7年度で既に就業者数の目標数値を超えているんですよ。これは最終年次という部分であと5年、最後ございますね。こういう岩手県の総合計画策定上、慎重と言えば慎重、石橋をたたいても渡らないというたぐいの状況に見えてならないんですよ。ここは思い切って人口を上方修正しながらそれに伴った、それに近づけていける生活基盤整備あるいは産業の振興にかかわる事業配置と、さまざまな手だてというものがそこに向かって進んでいくべきではなかろうかというふうに考えますけれども、この点、このまま後期見直し、平成7年度でこのままの状況で141万5、000人と、平成12年度、最終年次でですよ、このままで数値を動かさないというのは全くもって消極的だというふうに思いますので、ここは難しい見通しということもあるんだろうとは思うんですが、やっぱり気持ちの持ち方あるいは対応する県の姿勢という部分では、これはいささか消極的であるというふうに思いますので、今の時点でも人口減少地域という部分がございますから、このままでいくとその減少傾向に歯どめがかからないと、あるいは適切な事業配置がそこに出てこないと、こういうことにもなってまいりますので、ぜひここは企画調整部長、再度その辺の、見直し作業が今行われていると思うんですが私は重要なポイントだというふうに考えておりますので、再度御答弁をいただきたいと、こう思います。
 それから、順序が若干違うかもしれませんが、景気対策につきまして大変厳しい状況にあるということが先ほどお話しございました。そこで、年末を控えましてこういう状況の中では中小零細、それぞれ業者の皆さん御苦労なさっているだろうというふうに思いますが、年末を控えてどういう手だてをお考えですか。例えば低利の融資制度、これらについて総枠を拡大するとかあるいは利子の軽減、こういったことなどを含めて年末を控えた対応策について御答弁を再度いただきたいと、こう思います。
 それから、いわゆる官官接待であります。
 過日、県の監査委員の方から知事に対していわば異例の報告がなされたというふうに承っております。
 そこで、総務部長、県の監査委員の皆さんから指摘をされたその内容、これはどういうものでしたでしょうか。当時また、その指摘を受けた部分について、どういう改善策を検討に入っておられるのか、これは異例の報告というふうに承っておりますが、その内容、どういうものでしたかお知らせをいただきたいと、こう思います。
 それから、モーテル類似施設についてでございますが、警察本部長も告発があった場合には真摯に対応すると、こういう御答弁でございます。ぜひ事前の資料、情報収集と申しましょうか、こういう点についてもお願いを申し上げたいと、これは部長にお願いを申し上げておく次第です。
 このモーテル類似施設建設規制条例というのは、岩手県内では7市町村というふうに聞いております。これ条例のある市町村ですね。これは圧倒的に少ないわけです。しかし、あちこちで私が先ほど問題にいたしましたようなことが起こっていると、地域住民と業者の方あるいは市町村、対応に苦慮しておられるというような実態があるようでございます。そこで県としては、条例のあるところはそれに基づいてしかるべき告発等の手段があるとは思いますけれども、こうした規制条例のない市町村に対して、県はどういう指導を行っておるのかということをお尋ねをしておきたいというふうに思います。
 とりあえず以上です。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) 人口見通しに関する再度の御質問でございます。
 先ほど答弁申し上げましたのは、このような現状で現在総人口としては計画目標値を上回って推移してきておりますけれども、この推計した、つまり見通しを推計した根拠となります人口の男女別さらに年齢別の人口、これは来年の秋以降でないと判明いたしませんので、同様の手法で推計することは現段階では困難でありますということを申し上げたわけであります。
 もう少し補足説明申し上げますと、この場合に、単純に人口だけではなく、今おっしゃるように人口から労働力人口を推計し、そしてまた就業率を推計して就業人口をはじく、そしてまた一方、各部門での就業人口がありますからそれとの調整を図るということで、それらの全体を組み立てているわけであります。そうした中で、総人口に話を戻しますと、男女別、年齢階層別、特に女性の場合、合計特殊出生率という合計数値がありますが、年齢階層別にどのくらいの子供さんを産むかということも推計の根拠としながら、それを次々に足して同時に発生した集団、つまりコーホート方式と申しますけれども、同時に出生した、同じ年に出生した人がどのように経年変化で出たりあるいは定住したり、そういうことをするかということを置きながら推計するわけであります。余り専門的になりますので細かいことは申し上げませんけれども、そういうことから、今年度いっぱいを目途として平成8年度からの実施計画を策定作業中でありますが、3月までにはそのもとになる数値が出てこないものですから、それでそういうことを推計することはできないということを申し上げたわけであります。しかしながら、来年の秋以降に年齢階層別人口が出てきた段階では、当然ながら事務的にフォローして追求していくということを考えておるわけであります。申すまでもなく、人口につきましては、総人口はいろいろな形で、例えば住民基本台帳で速報値が出てきますけれども、年齢階層別というのは国調しか出てこないということでございますので、そのときを待ってまたさらにチェックをしてみたいと、このように考えております。しかしまた、お話がございましたが、その間、地域的な格差あるいはその問題につきまして、均衡ある発展につきましては、十分そういうことも考えながら施策を進めながら数値が固まった段階で再度チェックさせていただくと、こういうことを考えておりますので御了承いただきたいと思います。
   〔商工労働部長古館敏男君登壇〕
〇商工労働部長(古館敏男君) 年末の中小企業者向けといたしまして、例年でございますけれども12月1日から金融相談ということで窓口を設置することにしてございます。それから、資金等につきましては、6月補正におきまして経営安定資金あるいは商工観光資金等、大幅に枠を増額いたしましたので、それで十分対応できるものではないかと考えてございますし、また先般、金利につきましても金融機関等々と相談をしまして、東北で一番安い金融情勢になっておるところでございます。今のところ利用状況を見ますと、先般も新聞等で報道されておりましたように、平均して33%、35%弱の利用状況でございますが、しかし例年でありますと年末に向けましてその需要も多くなってまいりますけれども、先ほど申し上げましたように、6月補正で大幅に資金枠を拡大してございますので、十分対応できるものと考えてございます。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) 食糧費の関係につきまして、御指摘のとおり、先般、平成6年度の決算に関係しまして監査をいただき、その結果について御指導をいただいているところであります。留意改善を要する主なものとして、食糧費にかかわる予算の目的に沿わない支出や支出目的が明確でないものなどが見受けられたと、こういうふうに御指摘を受けております。したがいまして、まず1つは、目的に沿わない支出、こういったものは我々現に注意をしなければいけないことでありますから、今後の事務執行に当たって従来以上に厳しいチェックをして執行に当たりたいと。それから、支出目的が明確でないと指摘された点につきましては、これは事務の処理の仕方を根本的に洗い直しまして、どういう形でそういう目的を明らかにするのがいいのか、これを根っこから考え直したいと思っております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) モーテル類似施設の建築を規制する条例のない市町村につきましては、県においては旅館業法による指導のほか、モーテル類似旅館業によって善良な風俗、良好な生活環境が害されることのないよう、モーテル類似旅館業指導要綱を定め必要な指導を行っているところであります。
〇36番(小原宣良君) 環境保健部長、今御答弁いただきましたけれども、このモーテル類似施設にかかわる各地域のトラブルといいましょうか、そういう問題について、これは今回があってトラブっているわけですから、それぞれその地域の人方が、住んでいる環境というものが悪くなるんだということの意味、あるいは青少年の健全育成というふうな面においても問題視されているわけでありますから、これはひとつ県として十分な対応ができる、そういうものについて今指導要綱等がおありのようでありますけれども、これらは十分に今後検討いただきたいと。有効なそれぞれ市町村の指導を含め、あるいは県独自としても対応し得るような手だてについて十分な御検討をいただきたいというふうに御要望申し上げたいと思います。
 もう1点御要望申し上げますが、先ほどの生活排水処理施設の整備状況ということでお話を伺いました。そこで、先ほど私が触れたように、個別の排水処理施設整備事業、さらには小規模集合排水処理施設整備事業、実はこれは去年、平成6年に自治省が創設をした事業であります。そういう面では、市町村指導という点で普及あるいは拡大、こういったものは県でいいますと地方振興課対応ということになるんでしょうか、いずれにしても新たな事業創設というものにかかわっていると。したがって、農政部が所管をいたします農村集落排水施設あるいは土木部が所管でしょうか都市下水道、こういったものとそれぞれ中央に行くと所管する省庁が別々にあるというものを、県とすればあるいは市町村も同様ですけれども、それを一体としていずれにしろ排水処理施設整備というものが地域全体として整備されていくという目的に最終的には合致をすればいいわけでありますから、そこのところをぜひ環境保健部長にはリーダーシップをおとりいただいて、それぞれ省庁間の調整もおとりいただきながら、市町村指導あるいは我が県の生活基盤環境整備という部分に一層御努力をいただきたいということをお願いを申し上げまして私の質問を終わります。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、那須川健一君。
   〔40番那須川健一君登壇〕(拍手)

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