平成8年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成8年3月12日(火)

1開会    午前10時3分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
  事務局長       渡邊勉
  議事課長       小国平二
  議事課長補佐     西田幸男
  主任議事管理主査   駿河勉
  議事管理主査     吉田徹
  議事管理主査     小原敏文
  議事管理主査     中澤悟
  議事管理主査     木村稔

1説明員
  副知事        千葉浩一
  副知事        吉永國光
  総務部長       上田紘士
  総務部次長      大隈英喜
  県立大学整備室長   川崎功
  参事兼人事課長    飛澤重嘉
  秘書課長       佐々木徳治
  総務学事課長     盛合桂三郎
  行政情報室長     及川宣夫
  国際交流課長     保坂貢一
  財政課長       佐藤勝
  施設管理課長     大槌典男
  税務課長       梅木敬時
  地方振興課長     赤津征男
  消防防災課長     本田敏秋
  通信管理室長     小田中善治郎
  県立大学整備監    石川戡
  企画調整部長     小野寺英二
  企画調整部次長    佐藤孝司
  企画調整部次長    小森睦夫
  企画調整課長     馬場竹次郎
  科学技術振興室長   邨野善義
  地域計画課長兼海洋開発対策室長兼リゾート対策室長  菊池毅逸
  交通政策課長     瓦林康人
  資源エネルギー課長  相原正明
  青少年女性課長    高橋洋子
  公聴広報課長     晴山祐典
  議会事務局長     渡邊勉
  議会事務局次長兼総務課長              高橋盛
  議事課長       小国平二
  調査課長       武田牧雄

〇那須川委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入る。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第23号、議案第27号から議案第33号まで、議案第40号及び議案第41号、以上31件を一括議題とする。
 本日は、昨日に引き続き総括質疑を行った後、議会、総務部関係を終わるように進行したいと思うので、御協力をお願いする。
 また、説明、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議会運営委員会の申し合わせにより、効率的に審査が進行するよう御協力をお願いする。
 なお、関連質疑については、質疑冒頭に質疑を表明している委員より優先して発言を認めているものであるので、その性格上、関連性の強いもののみ短時間、簡潔に発言されるよう御協力をお願いする。
 総括説明に対する代表質疑を続行する。

〇黄川田委員 無所属クラブの黄川田徹である。無所属クラブを代表して、平成8年度予算について、各方面にわたって総括的に御質問をさせていただくので、よろしくお願い申し上げる。
 我が無所属クラブにおいては、県民生活のより一層の向上を願い、さきに予算編成に対する要望書を知事あてに提出し、さわやかな岩手、希望と情熱の岩手、歴史と文化の岩手、次代をつくる岩手という4つの基本理念のもとに、基盤の整備、産業の振興、福祉の充実、人材の育成、安全及び防災の5分野、31項目について、各般の重点施策を要望したところである。
 以下、これらの要望事項が当初予算にどのように反映されているのかという観点からお尋ねするので、明快な御答弁をよろしくお願い申し上げる。それでは、順次質問してまいる。
 初めに、財政問題についてお伺いする。中でも県税収入のうち、その大宗を占め、特にも景気の動向に左右される法人事業税の税収見込みについてお尋ねする。
 平成7年度の法人事業税は、当初288億7、800万円を計上したところであるが、最終予算額では1億2、600万円余りの増額補正となったところである。これは景気が低迷する中で、税務職員が税収の確保に鋭意努力された結果によるものと理解しておるところである。また、平成8年度における上場企業の業績動向を見ると、製造業では大幅な増益を確保する見通しであり、他方、中小企業は、製造、非製造とも収益予想を下方修正したなどと報じられており、大企業と中小企業、また業種間でもばらつきが見られるところである。これらを考慮して、平成8年度の法人事業税は5・2%減と見込んだものと思われるが、この法人事業税の伸び率は、東北各県と比較してどのような状況にあるのか、まずお伺いする。
 また、県内企業の景気の動向が気になるところであるが、税収面から県内企業と県外企業に分けてみた場合、前年度に対してどの程度の伸びを見込んでおられるのか、あわせてお尋ねする。

〇上田総務部長 まず、8年度の法人事業税の税収見積もりについてであるが、全体では7年度決算見込みに対し5・2%減、276億60万であるが、東北各県の現在わかっておる見込みを比べてみると、7年度を上回って見込んでおるのが山形県でプラス2・0%、それから宮城県が0・8%、一方、7から8に対してマイナスを見込んでおるのは福島県マイナス1・6%、青森県3・4%、秋田県14・5%となっておって、この中で本県の場合は青森県と秋田県の間ぐらいということになる。
 それから、税収見積もりに当たっては、平成7年度の決算見込みをベースに、大きな企業については業績見通しを個別に照会調査しておるし、また、全体的には民間の経済研究機関等の予測資料を活用するなどして見積もったところであるが、これを県内企業、県外企業に分けてみると、県内企業については全般的に県内の景気回復の動きが弱いということから、企業収益が前年度を下回ることが予想される。したがって、平成7年度の決算見込みに対し10・4%のマイナスを見込んでおるところである。一方、県外企業については、特に半導体関連業種等が好調であることから、2・0%のプラスを見込んだところである。

〇黄川田委員 税の適正な調定行為と徴収率の向上に今後努力していただきたいと思う。 次に、地域の振興に関して、地域活性化プロジェクトとしてのオートリゾートの形成についてお尋ねする。
 まず、平庭高原におけるオートリゾートについてお伺いする。
 知事は、さきの所信表明演述において、県土の均衡ある発展を図るため、平庭高原におけるオートリゾートの形成について調査検討を行うと、具体的に述べておられる。県北・沿岸部と内陸部との格差を是正する上で、地域の資源や特性を生かした地域づくりを進めることは極めて重要であり、これを積極的に支援し取り組もうとする県の姿勢の対応を、私は高く評価すべきものと考えておる。そこで県は、平成8年度において、平庭高原におけるオートリゾートの形成について、具体的にどのような視点に立って調査検討を行うお考えなのか、まずお伺いする。

〇千葉副知事 平庭高原は、近年、地域が一体となってスキー場、宿泊交流施設、ワイン工場等の整備やイベントの開催などに取り組んできているところである。したがって、このような地域の取り組みを支援して当地域の一層の振興を図るためには、基幹産業である農林業の振興に加えて、恵まれた自然を活用した通年観光・リゾートの振興を図ることが必要と考え、平庭高原においてオートリゾートの形成を図ることとしたものである。具体的には、平庭高原においてモデル的なオートキャンプ場を整備して、それを核として周辺市町村との連携のもとに、魅力あるオートリゾートを形成することを考えておる。平成8年度においては、そのための基本的な構想づくりを行うこととしているものである。調査検討に当たっては、県北地域の振興を図る、あるいは広域的な連携、交流の促進を図る、自然との望ましい共生を図ると、こういったことを基本に置きながら、オートリゾートの整備による、平庭高原地域の魅力の一層の向上、あるいは県北地域における広域的な観光・リゾートネットワークの形成、県内のオートキャンプ場のネットワークの一翼を担う、高原型のグレードの高い施設などを目標とした構想づくりを進めてまいりたいと考えているところである。

〇黄川田委員 次に、まさに具体的な先発例であり、現在、陸前高田市に整備が進められておるオートキャンプ場についてお尋ねする。
 私は、昨年9月の本会議における一般質問で、事業の進捗状況をお伺いするとともに、整備計画については、第1期工事、第2期工事に分けて進めると、全体開業が平成15年度となることから、一括整備による早期開業を御要望申し上げたところである。オートキャンプ場施設の整備は、近年における余暇時間の増加や、アウトドア志向といった、国民のレクリエーションニーズに対応したもので、地域活性化のための拠点施設として、地域の期待もまことに大きいものがある。県におかれては、こうした地元の熱意等を酌まれ、大局的見地から、早期整備に向けて方針を固めたと聞いておるが、当該事業の推進状況、整備規模、開業予定時期等についてお尋ねする。

〇吉永副知事 陸前高田市に整備するオートキャンプ場については、当初、平成9年度のところで分けて1次、2次と分割して整備することになっていたわけであるけれども、委員御指摘のとおり、こういうやり方だと全面開業まで工事が長期にわたる、また、経営面での効率的な利用がその場合図れないんじゃないかといったようなことがあって、何より地元の非常な熱意があるので、私どもは委員御指摘のとおり、この工事期間を平成10年まで短縮して一括整備を行い、平成11年度には全面開業したいと、そういうふうに考えておる次第である。現在までに取りつけ道路、調整池及び敷地造成工事を行っておって、3月末時点での工事の進捗率は14・2%になる予定である。このオートキャンプ場の規模であるが、全国に誇れるグレードの高いオートキャンプ場として整備することとしておって、施設は、テントサイト134、ケビン15棟、水洗トイレやシャワー室を完備したサニタリーハウス5棟などを整備することとしておる。このオートキャンプ場の運営については、運営効率や利用者へのサービスを考慮して、陸前高田市に管理を委託する予定であるが、地元市においては、平成8年度にその管理運営方針を具体的に検討すると聞いておる。そういった面においても県としても適切な指導助言を行ってまいりたいと考えているところである。

〇黄川田委員 今後とも積極的な取り組みをよろしくお願い申し上げる。
 次に、さきの総務常任委員会でも触れられたが、三陸鉄道についてお伺いする。
 昭和55年、当時既に経営が破綻していた国鉄の再建を図るため、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法が施行され、全国に先駆けて三陸鉄道が第3セクターとして誕生し、これを契機に、全国各地に第3セクター鉄道が開業したのは記憶に新しいところである。そこで、まずお伺いする。
 三陸鉄道の経営はまことに厳しい状況にあるが、全国の他の第3セクター鉄道の経営状況はどうなっておられるのであろう。お知らせ願う。

〇小野寺企画調整部長 全国における他の第3セクター鉄道の経営状況ということである。
 御案内のように、旧国鉄の経営再建あるいはその後の分割・民営の過程において、国鉄みずからが運営が困難であるとされた営業線、あるいは建設中の路線、これが全国では37社に引き継がれたわけである。その37のうち第3セクターの会社は35である。民間が2となっておる。この第3セクター35社の経営状況について申し上げると、これらの路線はそれぞれの地域において、地域住民の足としてあるいは産業振興上大きな役割を果たしていると伺っておるけれども、多くの路線では過疎化が進行しておって、そして旅客数が最近特に減少が激しくなってきていると、そういうことで厳しい経営環境下にあると伺っている。その結果、35の鉄道の会社のうち18社──18社が開業以来連続して赤字経営を続けておって、平成6年度には、新たに赤字に転落した会社も含めて全国で35のうち30社が赤字経営となっておる。これらの赤字額の合計約26億円と伺っておる。このため各社では、その収益の向上あるいは経費の節減等の経営努力を懸命に続けているということであるけれども、マイカー利用の拡大であるとか、あるいは沿線人口の減少、そういったことで今後も厳しい経営環境が続くと憂慮しているところである。

〇黄川田委員 次に、本県の三陸鉄道の運営についてお伺いする。
 三陸鉄道は、昭和59年4月に開業して以来、会社を初め、県、沿岸市町村等関係者の御努力により、9年連続で黒字決算を続けてきたところであるが、平成5年度、6年度と2年連続で赤字決算となった上、7年度も厳しい経営を続けていると伺っておる。これは、沿岸地域の人口の減少やマイカー利用の増大により、三陸鉄道の利用客が年々減少を続けていることが大きな理由であると言われておるが、開業当時のような沿岸地域住民のマイレール意識が低下してきていることや、長年の黒字で沿岸市町村の危機意識が薄れてきていることも要因として挙げざるを得ないと思う。三陸鉄道は、第3セクター鉄道の第1号として華々しくデビューしてから、はや12年が経過しようとしておるが、三陸縦貫自動車道の整備等が進むにつれ、三鉄の将来はますます厳しいものが予想されるところである。そこで、伺うが、県においては、三陸鉄道の赤字転落以来どのような支援策を講じてきたのか、また、同社の7年度の収支見込みはどうか、さらに、今後の業績改善のためにどのような方針で取り組むつもりなのか、あわせてお聞かせ願う。

〇小野寺企画調整部長 三陸鉄道の運営についてであるが、まず県が実施してきた支援ということである。県においては、ただいまお話があったように平成5年度において三陸鉄道が開業以来初めて当期損失を計上した。これを踏まえて、6年度から同社による安全対策の推進、あるいはサービスの改善、そういったもののための投資、これが計画的に進められるように、国の鉄道近代化補助制度の活用、さらには、三陸鉄道運営助成基金の取り崩しによって補助を出し、そして市町村ともども支援してきているところである。
 やや具体的に申し上げると、平成6年度においては、風速計あるいは暴風さく等の安全対策、さらには、事故で2両車両が壊れたわけであるが、そのうちの1両の更新ということも含めて、事業費としては1億4、493万円かかっているわけである。それに対して県としては一般財源による補助、あるいは先ほど申し上げた基金の取り崩し、そういったことによって9、086万円助成しているということになっておる。
 そしてまた、平成7年度についてまた申し上げると、暴風さく等の安全対策あるいは駅の案内放送であるとか、あるいは車両のエンジン更新、冷房化、そういったことのサービスの改善、こういうふうなことで、事業費としては1億1、033万円かかる。これに対して一般財源あるいは基金取り崩しによって7、253万円の助成をするということになっておる。そしてまた、以上の施設設備の補助のほかに、三陸鉄道が平成6年度に初めて経常損益の段階で赤字を計上したということもあって、本年度は、この赤字額に相当する4、076万円を三陸鉄道運営助成基金の方から補助することとして、さきの2月補正予算においてその旨措置したところである。平成7年度の見込みであるけれども、引き続き利用者の減少、これが進んできておる。そういうことで本年1月の旅客輸送実績は、昨年同期に比べて6・6%ほど減少しておる。このことから運賃収入も4・5%程度の減収となる見込みである。これらを見るとこのまま年度末まで継続するとした場合、6年度の4、000万円を上回る経常赤字になるということが憂慮されるところである。
 そのような状況下にあるので、県としても、先ほど来申し上げているように、今後とも経営環境の悪化、これは続いていくだろうという見込みである。しかし一方では、再三御議論いただくように、三陸鉄道の果たしている地域住民への役割、そういうことも非常に大事なことである。そういうことを踏まえて、今後、経営が一層悪化しないように抜本的な改善策を講ずる必要がある。今、委員がおっしゃった地域住民の方、あるいは市町村の当初のマイレール意識の喚起、そのことも非常に大きな要素であるが、いずれ抜本的な改善策を講ずる必要があるということを考えておる。その場合に、当然、会社には経営努力を求めるわけであるけれども、県としても沿線市町村等と一体となって、原点に戻って一体的な利用促進を図るなど、相当の覚悟でやらなければいけないと、このように考えておる。また、平成8年度においては、その一環として、関係市町村とともに鉄道の利用実態、あるいは沿線住民の方の意識、そういったものを調査して、その分析に基づいて新たな支援策の必要性についても検討してまいりたいと、このように考えておる。

〇黄川田委員 県当局の特段の御健闘を要望する。
 次に、本県の障害者福祉に関してお伺いする。
 まず、本県の身体障害者療護施設の整備状況と、今後の見通しについてお尋ねする。
 本県の身体障害者は、現在約4万8、000人おられるが、このうち65歳以上の高齢者が約2万6、000人と半数を占め、また、重い障害のある人は約2万人おられると伺っておる。また、こうした身体障害者の重度、高齢化の傾向は年々高まってきているとも聞いておる。障害となる主な原因は、脳血管障害や心臓、腎臓等の内部疾患によるものが多いと思われるが、障害者の方々は、医療の手当てを常時必要とせず、障害が固定した段階で福祉の援護措置が受けられるわけである。しかしながら、身体障害者療護施設に空きがないため、待機を余儀なくされている方がおられるとも伺っておる。そこで、本県の施設の整備状況と今後の見通しについてお尋ねする。

〇千葉副知事 身体障害者療護施設の整備の関係については、3県総の重点事業として取り組んでいるところである。既に5つの施設が整備されて、当初の計画目標を達成したところである。本年度も2つの施設において18床の増床を行って、本年度末の定員は268人となる見込みである。しかしながら、現在、入所待機者が約70人と増加の傾向にある状況である。したがって、平成8年度においてショートステイやデイサービスの機能をあわせ持った施設1カ所の整備を図る予定にしておる。今後、需要の動向を見ながら、施設整備を計画している社会福祉法人に対しても設置の協議を進めてまいりたいと考えておる。

〇黄川田委員 次に、在宅福祉の推進についてお聞きする。
 これまで身体に障害がある方々を援護する方法としては、ただいま申し上げた、施設で援護するという施設福祉が中心に行われておるが、その一方、最近では、重度の障害者の方々でも、できるだけ地域で生活したいというニーズが高まってきておる。こうしたニーズにこたえるために、ホームヘルパー派遣事業や日常生活用具の給付等の在宅福祉サービスが、年々充実してきていることは御案内のとおりである。さきに国において策定された障害者プランにおいては、その推進方向の1つとして、介護等のサービスの充実を掲げておる。従来の在宅福祉サービスに加えて、病気等緊急の際に対応し、常時介護支援ができるシステムが整備されれば、重度の障害があってこれまで地域で生活することが困難であった方々も、比較的容易に日常生活を営むことができるようになろうかと存ずる。こうした介助システムの整備の促進についてはいかがお考えであろうか、御所見をお伺いする。

〇千葉副知事 障害者の多くの方々は、施設よりも自宅で地域の人々と生活を送りたいと、そういった希望を持っていると認識しているところである。県では、これまでも障害者の自立支援のためのホームヘルパーの派遣や機能訓練、介護指導を行うデイサービス、さらには、障害者が日常生活に必要な用具の給付などのサービスの充実に努めてきたところである。委員御指摘のとおり、特に重度の障害者にとって、地域で安心して生活していくためには、障害者が住みよい住宅の確保と、夜間を含む日常生活での介護サービスの提供が必要であると考えておる。このようなニーズに対応して、平成8年度から新たに一関地区において、東北で初めて公営住宅等に居住して授産施設に通っている重度身体障害者に対して、専任の介護グループが昼夜の身辺介助や家事援助などのサービスを提供する身体障害者自立支援事業を実施することとしておる。今後、順次県内にこの事業を拡大をしてまいって、地域社会での障害者の自立した生活を積極的に支援してまいりたいと考えておる。

〇黄川田委員 県民の要望にこたえられるよう、よろしくお願い申し上げる。
 次に、医療の均てんという、県立病院の創業精神に基づき、救命救急センターの整備についてお伺いする。
 本県における救急医療は、在宅当番医制や、休日夜間急患センターによる救急医療の基盤を構成する初期救急医療、病院群輪番制による2次救急医療、そして県高次救急センターによる3次救急医療というシステムにより、対応していると承知しているところである。知事は、岩手県救急医療検討会から、昨年7月に救急医療体制のあり方に関する基本的方向についての最終報告を受け、今般、盛岡市にある県高次救急センターから地理的にも、そしてまた、時間的にも遠い地域にあり、かつ救急医療資源も希薄な久慈地域と大船渡地域に、それぞれ救命救急センターを整備することとされたところである。この知事の英断に対して、私は県民の1人として心から拍手を送るものである。そこで、お伺いするが、整備をしようとする救命救急センター施設の設置形態や運営主体等、基本的な内容についての現時点でのお考えをお示し願う。

〇千葉副知事 現在整備しようとしておる救命救急センターの運営主体については、救急医療サービスにおける公的責任、あるいは医療資源の有効活用の観点から、地域において中核となっている県立病院が適切であると考えておる。したがって、具体的には、県立久慈病院と県立大船渡病院に設置する方向で準備を進めているところである。
 設置の形態としては、マンパワーの確保の問題や人員の効率的活用を考えて、原則として病院付設型と考えておる。整備する施設の規模としては、病床数が20床で、そのうち重篤救急患者の集中治療に対応するための病床、いわゆるICU病床を6床程度予定しているものである。
 また、医療従事者については、高次救急医療を担う医師の確保という課題もあるけれども、24時間体制で重篤救急患者の医療を確保するために必要な人員を配置したいと考えておる。
 整備スケジュールとしては、2つのセンターとも平成8年度から平成9年度にかけて、施設、設備の整備を行って、多少ずれはあるかと思うけれども、運営は平成10年のできるだけ早い時期に開始したいと考えておる。

〇黄川田委員 救命救急センターの運営の開始に向けてなお一層の御尽力をお願い申し上げる。
 次に、人材の育成に関してお伺いする。
 まず、職業能力開発施設の整備についてお尋ねする。
 県では、当初予算の中でベンチャー企業の育成等、新規事業創出のためさまざまな施策の展開を図っておられるが、これを支えるのはまさに有能な人材の育成である。最近、終身雇用制度が見直されつつあるが、このような状況の中では、特にも、労働者自身の職業能力開発の必要性が一層高まるものと考える。また、高齢者、女性など、特定の対象者を前提とする職業能力開発の役割も、ますます増大していくものと思われる。本県には、職業能力開発を推進するため、高度技術専門学院を初めとして、高度技術専門校、人材開発センターが県内各地域に整備されておるが、平成9年度には、新たに職業能力開発短期大学校が開設される予定であり、関係者の寄せる期待はまことに大きいものがある。そこで、お伺いするが、県では職業能力開発短期大学校の整備とあわせ、各地域に設置されている県立職業能力開発施設の性格、機能を今後どのように見直し、そしてまた、どのように展開しようと考えておられるのか、また、その中で職業能力開発短期大学校はどのような役割を担うのか、現時点での御所見をお示し願う。

〇吉永副知事 労働者自身の職業能力の開発を通じて有能な人材を育成すべきだという、その重要性の御指摘は委員御指摘のとおりである。県としてもそういう問題意識で職業能力開発施設の整備を行ってきているところであるが、さらに、最近の少子化傾向あるいは高校進学率の上昇に伴う中学校卒業者の入校減少、あるいは産業技術の高度化に対応して、労働者や民間企業の支援体制を強化するといったそういったことの必要性から、平成5年2月に策定した県立職業能力開発施設再編整備基本計画、それに基づいて推進してきているところである。
 具体的に申すと、御案内のとおり、県内に現在7つある職業能力開発施設、これについては盛岡校は新たに短期大学校として整備し、水沢の学院は県南の、宮古校は沿岸の、二戸校は県北の、それぞれの拠点校として、新規卒業者を対象としたものに特化する。それから、大船渡校及び久慈校は、これは離転職者や在職者、あるいは委員御指摘になった高齢者、あるいは女性、そういった方々を対象とした施設に集約化、機能強化する。それから、千厩校については、学院の分校ということを考えておる。この中で、盛岡校が変わる短期大学校は、本県の北上川流域テクノポリス開発計画や頭脳立地構想等を踏まえて、産業技術の高度化、先端化に対応できる高度な技能と知識をあわせ持つ実践的な技術者を養成する。そういったほか、県内の公共、民間の施設と補完、連携の核となる、いわばセンタースクールとしての役割を持たせたいと考えているところである。

〇黄川田委員 職業能力開発短期大学校の役割を大いに期待するものである。
 次に、私立高校の経営基盤の強化についてお伺いする。
 本県の私立13高校は、高校生全体の17・6%を占める約1万100人の生徒を擁し、私学の特性を生かしながら、建学の精神に基づいた特色ある教育の充実に努力しているところである。しかしながら、出生率の低下に伴い、県内の児童生徒がこれまでになく大幅に減少してきており、平成6年度からの10年間の推計でも5、000人に近い中学卒業者が減少すると言われておる。これに伴い、私立高校においても、今後10年間で相当の入学者が減少することが見込まれておる。その数は私立高校1校分にも匹敵するほどである。このことは学校の活性化にとってマイナス要因となるばかりではなく、生徒の納付金に大きく依存する私立高校の経営にも多大な影響を及ぼすものであり、将来にわたる経営状況の悪化が強く懸念されるところである。もとより、私立高校は、自助努力の精神に基づき、自主的に財政運営の見直しや経営の適正化を図るなど、可能な限りの合理化に努めているところとは存ずるが、もともと経営基盤の弱い本県の私立高校の努力には、おのずから限界があると言わざるを得ないのである。そこで、伺うが、私立高校がさらに経営基盤の強化を図り、より一層の魅力ある学校づくりを進めていくためには、長期的展望に立った県の支援が不可欠であると考えるが、今後における県の具体的対応についてお尋ねしたいと思う。

〇上田総務部長 私立高校の経営基盤の強化については、これまでも特色ある教育事業に対する補助など運営費補助の充実を行ってきたほか、施設整備あるいは教員の研修に対する補助など助成措置を講じてきたところであるが、御指摘にもあったとおり、私立高校の生徒数は平成3年度をピークに減少の傾向にあって、今後ともかなり長期にわたって減少傾向と考えられておるわけである。こういった生徒の減少に伴う厳しい経営環境に対応するために、私立高校においては、建学の精神に基づいて、特色ある教育の充実あるいは個性化、多様化を目指した教育の推進など、個性的で魅力ある学校づくりを一層推進するとともに、中長期的な見通しのもとにそれぞれの自助努力による経営基盤の強化を図ることが重要な課題となっておる。このため、県としても平成6年度から県単独で経営改善推進費補助を措置した。また、さらには、来年度8年度においては、特色ある教育事業に対する補助を本年度7年度の1億1、000万円から54%増の1億7、000万円に増額するなど、私立高校の特色ある教育や魅力ある学校づくりを推進するための助成の充実強化に努めることとしておるところである。今後においても、厳しい財政事情のもとではあるけれども、私立高校の教育条件の向上、父母の経済的負担の軽減及び学校経営の安定に資するため、その運営費あるいは施設整備に要する経費についてできる限りの助成措置を講じ、私立高校の経営基盤の強化に努めてまいりたいと考えておる。

〇黄川田委員 県当局の特段の御支援を要望する。
 次に、国際交流、国際協力の推進についてお伺いする。
 今日、国境を越えた人、物、情報の交流はますます盛んになってきておる。本県においても、こうした国際化の進展を背景に、県民の国際交流や国際協力活動がさまざまな形で活発化してきており、このような活動は、国際感覚を身につけた人材の育成にもつながり、地域づくりの原動力にもなってきているものと理解しておる。県では、県立国際交流プラザの整備など、国際交流や国際協力の推進に意欲的に取り組んでおるが、現在、平成2年に策定した岩手県国際交流推進指針を全面的に見直し、新たな計画づくりを進めておられるやに聞いておる。そこで、お尋ねするが、今後、本県における国際交流や国際協力を一層推進するため、新しい計画においてはどのような考え方で、どのような施策を展開しようとされているのか、その基本的な方向についてお伺いする。
 また、県内市町村と海外の都市との姉妹友好の提携が相次いでおるが、県自身の提携については、どのようにお考えになっておられるのか、あわせてお尋ねする。

〇上田総務部長 まず、新しい計画に関してであるけれども、御案内のとおりであるが、近年の国際化の急速な進展という状況に対応して、県で平成2年3月に策定した岩手県国際交流推進指針、これを全面的に見直して、今年度末をめどに新計画を策定する。こういう段取りをとっておる。
 新しい計画においては、国際化が進展する21世紀に向けて、国際社会の一員として世界と共生する国際県岩手の実現というのを基本理念としたいと考えておる。この基本理念のもとに3つの柱を考えておるわけであるが、1つは世界に開かれたいわて、2つは世界とふれあういわて、3つは世界と共に歩むいわてとしておる。この世界に開かれたいわてと申すのは、国際化に対応した地域づくり、例えば細かいことで言うと、まちを歩いていて外国人の方ができるだけ不自由がないようにする。あるいは人材の育成、こちらの県民が外国人の方といろいろコミュニケーションをするのにできる限り不自由がないようなそういう条件をつくる。こういった地元における国際化対応、これを世界に開かれたいわてと、こういうふうに申しておる。それから、世界にふれあういわてとしては、海外との多彩な交流の展開ということを考えておる。海外からいろいろなお客様がおいでになる機会を積極的に設ける、あるいは青少年の派遣等によって県民が海外に直接行って触れる機会を設ける。こういったような観点に立つものである。それから、3番目の世界と共に歩むいわてについては、本県の特性を生かした国際協力の推進、こういうことであるが、例えば外国の留学生を積極的に受け入れる、あるいは外国への技術的な協力で人材を派遣する。こういったような形で国際協力にも力を入れる。こういったような観点に立つものである。この3つをポイントにして施策の推進を図ってまいりたいと考えているわけである。 新たに取り組む施策として当面考えておるのは、これは県ばかりでなくて県の国際交流協会等の事業も含むわけであるが、例えば外国人に対する日本語講座の開設、それから海外研修の充実などによる地域づくりや人材育成、それから駐日大使とのセミナー、これは昨年秋にやったけれども、駐日大使を何人かお招きして県民との触れ合うようなチャンス、あるいは岩手県を知っていただくチャンス、こういうものを設けたい、これを続けたいと考えておるし、いわて親善大使というものを考えておるわけであるが、これまで我が県に研修とか留学等でお見えになった方、あるいは我々の方から青年海外協力隊で海外に行った方とか、そういう多数の国に籍を置いた方々をいわての親善大使というような形で、県のネットワークの一環に入っていただこう。こういうようなことも考えておる。さらには、民間の国際協力活動に対して若干なりとも財政的な支援を行うような仕組みを考えたい。それから、外国人研修生の受け入れの拡大を図ってまいりたい。それから、留学生支援のためのいわて講座の開設、これは具体的に言うと、県においでになっている留学生の方を、仕事としてはそんなにややこしい話ではないけれども、バスの1台でも借り上げて県内の幾つかの施設とか、いろいろなポイントを見ていただいて、岩手をただ学校だけじゃなくて知っていただくようなそういう工夫もしたい。こんなようなことも考えておって、こういったことで国際協力、国際交流を推進していきたいと、こういうふうに考えているところである。
 それから、県の姉妹友好提携については、民間有識者による岩手県国際交流推進懇談会において、昨年3月にこういうふうに言われておるんであるが、当面、これまで交流を重ねてきた国、地域を中心に、その他の地域も視野に入れながら幅広い交流を行っていくこととし、その過程で交流の密度が深まり、機運が熟するような段階になって姉妹友好提携を結ぶことが望ましい。こういう報告をいただいておる。県としては、こういう御報告であるので、基本的にこれにのっとっていくということであるわけであるけれども、私の考えは、姉妹提携というのは公共団体同士が提携するわけであるけれども、やはり顔の見える関係であることが必要であると思っておる。そういう意味で市町村の姉妹提携と県の姉妹提携とは若干性格が違うんじゃないか。市町村レベルの住民の交流というのはかなり顔の見える関係も、特に小さい団体の方がそういう関係は築きやすいが、県の場合は140万人おるから、この間で姉妹提携というのはかなり熟度を要する。ただ知事が握手をすればいいというものではないんじゃないか。こういうことでこの報告に従って、その密度が深まって機運が熟するということをやっぱり見きわめた上で、そういう姉妹提携ということに運ぶのが適切なのではないか、かように考えているところである。

〇黄川田委員 姉妹友好の提携など国際交流には多面的な御検討をよろしくお願い申し上げる。
 次に、農業問題についてお尋ねする。
 まず、国内外の厳しい産地間競争の中で、いかにして競争力のある産地をつくっていくのか、このことについてお伺いする。
 申し上げるまでもなく、我が国の食糧自給は平成6年度の食糧需給表によると、カロリーベースで46%となっており、我々日本人の胃に入る食料は、その半分以上を外国に頼っているわけである。このようなことで、将来とも国民の食料を安定的に確保することができるのか、不安を隠せないものである。加えて、近年は、米のミニマムアクセスの導入により、米までもが輸入され、また、牛肉やリンゴ、野菜を初めとする農産物の輸入が年々増加し、我が国の生産者に大きな影響を与えているところである。こうした農産物輸入の増加は国内の産地間競争にも拍車をかけるものと予想され、今後、真剣に生産、販売対策を講じていかないと、本県の農産物の地位はますます低下していくのではないかと、大きな危惧の念を抱くものである。そこで、こうした産地間競争の中で、本県農業の維持発展を図っていくため、どのようにして競争力のあるたくましい産地をつくっていくのか、まずお尋ねする。

〇吉永副知事 御指摘の国内外の厳しい産地間競争に打ち勝つためには、まず本県の広大で豊かな土地、あるいは平場から中山間地域までの変化に富んだ地形、それと気象条件といったそういうような多彩な立地特性を生かして、適地適作ということを基本として、新鮮で安全性を重視した特色のある農産物を低コスト、高品質で生産するという、そういったことをも進めるとともに、ブランド化や差別化等により有利販売ができるような生産、販売体制を早期に確立していくことが重要であると考えておる。
 このため、生産面においては、農業生産基盤の整備による生産条件の改善ということを図りながら、稲作については、適地への適品種の配置や徹底した低コスト化といったことを基本として、味のいい主食用米を主体としながら、モチ米あるいは酒米など多様な需要に対応した生産と、その銘柄の確立といったことを行っていきたいと考えておる。また、作業の受委託等の促進による効率的な生産体制といったようなものも構築していく考えである。
 次は野菜であるが、野菜などの園芸作物については、地域の立地条件に応じて、パイプハウスの導入による作期の拡大や需要の多い品目の産地づくりといったようなことを進めるとともに、端境期出荷をねらった作型を配置する等、産地間相互の生産分担あるいは長期安定出荷に向けた広域的な取り組みを支援する考えである。
 畜産については、公共牧場の活用による自給飼料の確保あるいは低コスト畜舎の普及、そういったことによる収益性の向上を図るとともに、県産優良雄牛の造成や乳成分にすぐれた高能力牛の飼養拡大などによる畜産物の高品質化を図っていく考えである。
 それから、こうした畜産と稲作両方持っている本県の特色を生かして、畜産部門と稲作畑作とが相互に連携した土づくり、あるいは夏期冷涼な気象条件を利用した低農薬栽培といったようなことをやって、環境への負荷を軽減し、環境に優しい持続的な農業といったものを展開していきたいと考えておる。
 また、販売面においては、こうした環境に優しいというところを前面に打ち出して、有機、低農薬栽培によって、安全で品質のいい農産物ということを前面に打ち出して、岩手は純情産地であるという統一イメージで宣伝活動を強化するなど、そうした県産農産物の有利販売に向けた販売戦略を展開していく考えである。こうした生産から販売に至るきめ細かな対策を農業団体と一緒に考えながら、具体的にどうしたらいいかを知恵を出し合って強力に展開していく考えである。

〇黄川田委員 県内の農家に希望を与える施策の展開をぜひともお願いする。
 次に、本県花卉の生産振興と沿岸地域の位置づけについてお尋ねする。
 本県の花卉生産は、リンドウなど急速に産地化が進んでまいったことは、関係者の御努力によるものであり、敬意を表する次第である。しかしながら、平成6年度の花卉の生産額は、いまだ51億円で、全国34位にとどまっている実態にあり、産地化の推進が急務であると考えるところである。具体的に申し上げれば、本県の農業生産額は、昭和60年度の約3、600億円をピークに伸び悩み傾向にあり、このような状況を打破するためにも、全国的に伸び率の高い本県の花卉生産をさらに加速させる必要がある。本県の花卉生産は、最近ではリンドウに加え、小菊やストック、スターチスなど、生産品目も増加しつつはあるが、一部の品目を除き、その出荷時期は8月から9月が中心となっており、市場からも出荷期間の拡大が求められていると聞いておる。本県は広大な県土と多彩な気象条件を有しており、私はこのような条件を最大限に活用していけば、出荷期間の拡大も可能であり、特にも、冬期温暖で日照量も多い三陸沿岸地域の活用は、本県花卉の生産振興上、極めて重要性が高いと考えるものである。そこで、このような状況を踏まえ、今後の本県花卉の生産振興方策と、その中における沿岸地域の位置づけについて御所見をお伺いする。

〇吉永副知事 本県では、花卉を地域農業再編の重点作目と位置づけておって、その生産も着実に進展してきたところである。しかしながら、本県の花卉生産は歴史が比較的新しいことから、リンドウが、これは生産額日本一であって全国シェアは50%であるが、これ以外の品目は十分育っていない。これは委員御指摘のとおりの平成5年度の生産額あるいは全国の数字であるが、そういったことのために生産、指導に携わる人材が十分いないとか、そういった問題をやはり抱えておる。県としては、こうした課題を解決して、さらに生産を拡大していくために、平成10年度を目途に、生産額を現在の約2倍にまで拡大し、全国有数の花卉複合産地を目指してまいりたいと考え、本年度、いわての花100億円達成アクションプランを策定したところである。
 これによると、平成7年度から8年度までは、2カ年にわたって県立花きセンターを拡充整備し、生産者や指導者の研修機能を強化するということをやるほか、試験研究機関においてリンドウのほかに小菊やユリなどといったオリジナル品種の開発を促進することとしておる。また、優良苗の一元的な供給や生産コストの低減を図るために、広域的な育苗施設の整備も進めてまいる。また、生産の安定化や出荷期間の延長に極めて有効なパイプハウスの導入を促進するなど、産地拡大のための総合的な対策を引き続き促進してまいることとしておる。
 花卉の生産に当たっては、御指摘のとおり、標高差や気象条件など、地域の立地条件に配慮して、各地域に重点品目を定めて推進していくことが重要かと思う。特に委員御指摘のとおり、沿岸地域は、農地は狭隘であって、地形的には必ずしも有利とは言えない面があるわけであるが、気候的には冬期温暖で夏期冷涼な気象条件を有しておって、県内では、最も春早くから秋遅くまで生産が可能な地域ということであるので、県としては、花卉生産の振興を図る上で、この地域を極めて重要な地域と考えていて、大幅な生産の伸びを期待しているところである。既に当該地域においては、生産者や関係機関、団体などが協調しながら園芸の振興を図ることを目的として、三陸沿岸花と野菜のロード45推進連絡協議会が設立され活動しているほか、大船渡市においては、本年度から農業構造改善事業でフラワーセンターの建設が進められているなど、新たな動きが出てきておる。委員御指摘のとおり、当県のこれまでの花卉生産は出荷期間が非常に限られているということがあるので、こういったことを拡大するという意味からも大きな期待がかけられるものである。こうした当該地域の産地化に向けての取り組みに対しては、県としては積極的にできるだけのことをして支援してまいる所存である。

〇黄川田委員 アクションプランの目標達成に向けて一層の推進を要望する。
 次に、漁村の環境整備についてお尋ねする。
 本県の漁村の実態は、背後に山が迫る限られた土地に集落が形成されているため、集落内の道路や下水道、公園等の整備が著しくおくれ、日常生活はもとより、防災面などさまざまな不便を余儀なくされておる。このため、多くの漁村では、若者が都市に流出するなど過疎化が進み、漁村全体の活力低下の大きな要因となっており、ひいては沿岸地域の地盤沈下につながっていることを私は大変憂いているものである。御承知のとおり、本県の水産業は、水産物の食料供給基地として、また、沿岸地域の基幹産業として、今日まで重要な役割を果たしてきておるが、沿岸資源の減少、サケの価格の低落、漁業従事者の高齢化、後継者難など多くの課題を抱えており、あらゆる施策を講じて本県の水産業を持続発展させていく取り組みこそ、現下の県政課題と思うのである。中でも、若者が夢と希望を持って漁業に従事できる、快適で住みよい漁村の整備を急ぐことが大変重要である。そこで、お伺いするが、漁村の集落内道路や公園の整備、生活雑排水の処理等、環境整備の現状をどのように認識しているのか、また、これらの今後の取り組みについてお聞かせ願う。

〇吉永副知事 若者が夢と希望を持って漁業に従事できる快適で住みよい漁村の整備を急がねばならないという、委員御指摘のことはまさに私どもにとっても重要な課題と考えておる。県としては、そういった観点から昭和53年度から漁港集落環境整備事業を導入して集落内道路、公園、下水道、そういったものの漁村の生活環境の整備を進めてまいったところである。現状について申し上げると、漁業集落総数183地区のうち、平成6年度末までに事業を完了したのは21地区で、集落内道路90路線、17キロ、緑地公園3カ所、防災安全施設46カ所を整備しているところである。しかしながら、下水道については5地区が供用開始されたのみで、その整備率は2・5%である。この数字は内陸都市部の52・8%、県平均の26・2%に比較しても著しく立ちおくれている状況と言わざるを得ない。こういうところを正しく認識して、今後、さらに一生懸命頑張って整備してまいる必要があると考えているわけである。そのためには、漁港については、例えば公共事業の中においてはCランクに位置づけられておる。Cランクに位置づけられているということは、これは生活に関連するということがないと大ざっぱな枠の中で考えられているわけであるが、実は、この漁港整備の中にも、委員が御指摘になった非常に生活整備にかかわるところが随分あるので、こういった中身をよく国に説明し、今後とも国に対しては予算の獲得、また、県としては最重点施策としてこういった積極的に漁村の環境整備といったことを図ってまいりたいと考えておる。

〇黄川田委員 県土の均衡ある発展、そしてまた県内陸部との格差是正という視点からさまざまな質問をさせていただいたが、終わりに、沿岸部の振興を図る上で最も基本となる道路整備についてお伺いする。
 さきの国勢調査結果によると、県の総人口は約142万人と発表されておる。前回の調査から約2、600人増加したことになるが、新幹線沿線地域を中心にふえている一方、沿岸地域は軒並み落ち込みが見られ、内陸部と沿岸部との格差が象徴的にあらわれておる。また、これらの東北新幹線や東北自動車道の沿線筋から離れている人口減少地域は、基幹産業である第1次産業の生産性も低く、住民所得水準も総じて低いのが実情である。このような地域格差を是正するためには、まずもって定住の促進が必要不可欠であるが、沿岸地域においては、このための雇用の場と魅力的都市施設が不十分であり、これが人口流出に拍車をかけているところである。特に、本県は面積が広大で人口がまばらな地域も多く、商品や生産物の輸送のコストが高くつき、経済交流の促進の支障となっていることからこれを打破することが必要であり、また、文化施設、娯楽施設についても内陸部との適切な機能分担が必要であるが、まずもって交流の促進を図り、地域の自立化、活性化を進めることが肝要であると感じておる。このためには、現在、沿岸部と内陸部との間が2時間程度を要しておるわけであるが、内陸部の高速交通体系の恩恵をさらに沿岸部にも波及させることが大変重要なことである。また、沿岸部は高速交通体系の空白地帯となっており、これらの地域は三陸縦貫自動車道を含め、高規格幹線道路の整備効果を最も期待しているところである。
 そこでお伺いするが、沿岸部の振興を図る道路整備について、県では、今後どのような取り組みをなされるおつもりかお尋ねする。

〇吉永副知事 三陸沿岸地域の振興を図るためには、その連携、交流の基礎となる交通網の整備、とりわけ道路の整備が重要であると認識しており、県においても、これまで体系的かつ総合的な道路整備に努めてきたところである。しかしながら、沿岸地域相互間あるいは内陸部との交流を促すための高速交通ネットワークというものがまだ未整備であり、この整備促進が緊急を要する課題と考えておる。このため、県としては、三陸縦貫自動車道については大船渡三陸道路、釜石山田道路など、事業実施区間の一層の整備促進、未着手区間の早期事業化、また、八戸久慈自動車道の久慈以北についても事業着手を国に対して働きかけてきているところである。また、東北横断自動車道釜石秋田線については、現在、事業に着手しておる東和-花巻間や仙人峠の整備促進に努めるとともに、基本計画区間となっておる遠野-東和間について、早期の整備計画への格上げを目指して国に働きかけているところである。さらには、3県総に位置づけられておる県内90分構想を実現するために、平成8年度から地域高規格道路など、規格の高い道路の整備を組み込んだ新交流ネットワーク道路整備事業として16ルート、24路線の整備を進めることといたしているところであり、その主な事業は、国道106号、281号、284号ほか横軸となる幹線道路の整備を中心に、沿岸部と内陸部との時間距離の短縮を目指したものとなっておる。このほか、日常生活を支える地域道路についても、半島地域の生活基盤の安定を図るため、これは県単独事業であるが、半島地域生活路線確保道路整備事業、そういったものを使ってその整備を進めているところである。県としては、沿岸地域の振興のために、平成8年度以降についてもこういった道路整備を積極的に取り進めてまいりたいと考えているところである。

〇黄川田委員 予算は適正な執行をもって意味を持つものであるので、夢県土岩手の創造に向けて今後の県当局の御尽力をよろしくお願い申し上げる。
 これをもって、無所属クラブの総括質問とする。

〇那須川委員長 以上で総括説明に対する代表質疑を終わる。
 これより自由質疑に入る。自由質疑は、答弁を除き1人15分を限度とすることとし、午後2時までに終了することを目途とすることになっておるので、御協力をお願いする。
 ただいま、緑政会及び日本共産党の委員から申し出があるので、この順に発言を許す。

〇佐々木(大)委員 緑政会の佐々木大和である。
 たびたび質問の機会をいただき、先輩議員そしてまた同僚議員に、改めて感謝を申し上げる次第である。
 藤原委員が都合で退席しておるけれども、ただいまから質問をさせていただく。
 まず、地方分権に関連し、地方税財源の充実強化についてお伺いをする。
 今日、成熟化を迎えつつある我が国においては、各地域がそれぞれの歴史、文化、自然条件などの個性を生かした、多様で活力あふれる地域づくりを進めることができる分権型行政システムへの転換が求められておる。私は、このような流れの中において、地方公共団体の役割はますます重要になってくると考えるものであるが、新しい時代に即応した地域の振興、社会資本の整備、長寿社会への対応等、地方公共団体がこれからの課題に的確に対応して各種の施策を展開できるようにするためには、何よりも自主財源の充実強化が図られなくてはならないと考えておる。地方分権推進法は第6条で、国は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保を図るものとすると定めておるが、具体的な方策には触れておらず、現時点では明らかでないところである。
 そこでお伺いするが、県としては将来の税のあり方は別としても、現行の地方税制の中で、県独自にできる法定外普通税の創設は考えていないであろうか。また、現在、法人県民税で超過課税を行っておるが、これ以外の税目で超過課税を行う考えはないであろうか、お伺いする。

〇上田総務部長 地方分権の推進に当たっては、その財源の裏づけが大変重要であり、また、財源の中でも自主財源の充実強化は必要であり、まことにそのとおりであり、県としても、従来より全国知事会等を通じて政府等にも要望をしているところである。
 具体の法定外普通税ということについて少し申し上げると、他県においては、例えば福井県などにおける核燃料税、青森県の核燃料物質等取扱税など、14団体において法定外普通税を課しているところである。法定外普通税は、国税あるいは他の地方税と重複しないこと、住民の負担が過重とならないこと、国の経済施策に反しないこと、こういった条件に合致して自治大臣の許可があった場合に創設できるものであるが、本県の場合には、現在のところこのような財源を見出すことはちょっと難しいのではないかということを考えておる。
 それから、超過課税については本県でも法人県民税があるが、法人県民税以外の税目で申すと、東京都、神奈川県など、大都市圏の7都府県が法人事業税について実施しているという実態がある。本県の場合には、県民所得の向上と地域の振興を図るために優良企業の誘致を推進しているところであり、税制面においても、低開発地域工業開発地区における県税の課税免除に関する条例等によって税負担の軽減を図っているというような状況にある。こういった企業を導入するというような施策との関連、あるいは近隣関係においても法人県民税以外の超過課税を行っていないという事実などを総合的に勘案すると、現在のところ、法人県民税以外の税目について新たに超過課税を導入するということは、ちょっと考えておらないという実態にある。

〇佐々木(大)委員 県税において、他県との差別化等、県の独自性を出すためにいろいろ検討していただきたいと思うし、さらに県の課題である県内の格差是正に向けても税制面からもいろんな取り組みができるんではないかと、そういう面でも御検討賜るように御期待を申し上げる。
 次に、交通問題についてお伺いをする。
 本県は、広大な面積を有しておることから、内陸部に整備されておる高速交通の効果をいかに全県に波及させるか、そしてそれを一層効果をあらしめるために、地域内の交通といかに連携させるかということが重要な課題である。県においては、このような観点から、新交流ネットワーク道路整備事業の推進により、沿岸部と内陸部を結ぶ道路や広域生活圏相互の高速化を進め、県都圏と県内各都市との間を90分で結ぶ交通ネットワークづくりに取り組んでおる。私は、こうした県の取り組みについて高く評価をさせていただくものであるが、交通問題を考える場合に、常に忘れてはならない重要な視点がさらにもう1点あると思うのである。それは交通弱者対策である。全国を上回るスピードで人口の高齢化が進む中で、高齢者や障害者を中心としたいわゆる交通弱者にとっては、バスや鉄道といった公共交通機関はまさに生活をする上に欠くことのできない大切な乗り物である。したがって、私は県内90分構想があるならば、交通弱者が利用する公共交通機関のあるべき方向を明らかにする構想が必要ではないかと考えるものである。
 そこでお伺いするが、県ではこのような構想をつくるお考えを持っておられないであろうか。高齢者や障害者の方々の交通について基本的な考え方も含めてお伺いする。

〇小野寺企画調整部長 高齢者や障害者いわゆる交通弱者に対する考え方であるが、まず基本的な考え方をちょっと申し述べると、交通の使命、それはさまざまな交通機関を利用してあらゆる人にそれぞれのニーズに合わせた、安全かつ快適な移動を提供するということにあると思う。このようなことからいくと、高齢者及び障害者、これも例外ではなくむしろ大事にしなければならないものであり、公共交通機関が中心となってそのニーズに対応した交通サービスが提供される必要がある、このように考えておる。特に、今委員お話しあったように、近年は高齢者もふえてきておるし、そしてまた障害者の方の社会参加の意欲も高まってきて、実際にその機会も増大してきておる。こういったことを考慮すると、これらを含めてすべての人々にとって、住みやすい生活環境を整備することが社会全体の大事な課題になっていると、このように考えておる。日常生活の一端を担う公共交通機関においても、そのサービスについて優しさ、優しいというその観点、視点から、質的に充実する必要があると、その必要性が高まってきていると存じておる。このために、現在策定中である岩手県総合交通体系基本計画においても対応させていただきたいと考えておる。現在、21世紀初頭を目指した交通体系の整備のあり方、これをハードとソフト両面から詳細に示すためにこの3月中を目途に計画策定中であるが、この中で新たなニーズへの対応、この新たなニーズへの対応の一環として、高齢者や障害者を中心とするいわゆる交通弱者に対する配慮も適切に反映させたいと、このように考えておる。具体的に申し上げると、長寿社会の進展あるいは障害者の方の社会参加の要請の高まり、こういったものに伴う新たな交通ニーズに積極的に対応することとして、地域の足としての役割を担う公共機関の維持、整備、これを本県における交通体系整備の課題の1つとして明確に位置づけをした上で、そのための方策について、例えて申し上げると床の低いあるいは扉の広いバスであるとか、あるいはリフトつきのバスの導入、さらには障害者等に配慮したエレベーター、エスカレーター、こういうものを駅であるとか交通ターミナルに設置するとか、さらには例えば大きな文字の表示であるとかあるいは聞き取りやすい放送、あるいは誘導チャイム、そういった細かいことまで気を配りながら施設を整備していくことを考えており、可能な限り幅広く盛り込む方向で現在最終の詰めを行っているところである。

〇佐々木(大)委員 それぞれの施策の推進を期待申し上げるが、あわせてJR岩泉線の問題等は別の意味で象徴的な時の課題である。ぜひ交通問題として積極的な取り組みをお願い申し上げたいと思う。
 次に、北上山地を縦走する国道340号の整備についてお伺いする。
 この国道は、県北地域においては住民の生活と地域間交流を支える重要な社会的な基盤である。着実にその整備が進められてきたところであるが、この中でも新里村と岩泉町を結ぶ区間では未改良の部分が多く残されておる。この地域に、先ほど申し上げたJR岩泉線が国道340号と並走しておる。通勤、通学の大切な足となっているところから、私どもはこの鉄道の存続について多くの方々の御支援をいただいて強力に運動を展開してきているところである。一方、今日の車社会において、国道340号の整備もまた重要な課題である。特に、災害緊急時などは鉄道と道路が相互に補完し合って機能することが必要であると考えておる。このような観点から、新里村茂市地区と岩泉町落合地区との間の整備を早急に進めるべきと考えておるが、これまでの整備状況と今後の取り組みについてお伺いする。

〇吉永副知事 国道340号は陸前高田市を起点として青森県八戸に至る総延長約240キロの道路であり、国道4号と45号の中間部を縦走し、県土の産業経済の発展と生活を支える重要な幹線道路ということは御案内のとおりである。これまで県は、全線にわたってこの国道の整備に取り組んでいるところであり、路線全体の改良率は約76%であるが、委員御指摘になったとおり、新里村茂市から岩泉町落合に至る区間は谷間の急峻な地形の間を道路と鉄道が並行しており、全体の改良を進める上で技術的難度が高く、また、多額の事業費も要するということから、これまで整備がおくれているというのが現状である。全体の改良率が76%であるのに対して、この当該地区間の改良率はまだ20%にとどまっておる。現在、新里村においては刈屋バイパス約6キロ、これの整備を進めており、これが進むと本年度末での改良率は先ほど20%と申したのが26%ぐらいに上がる予定である。また、岩泉側においては、2・7メートルの高さ制限となっておる浅内トンネルを含む隘路区間の改修のために、川代工区として現在改良工事を進めているところである。また、新里村と岩泉町の境界付近には難所となっておる押角峠があることから、今後この峠に向かって逐次整備を進めることとしており、新里村側については和井内地区の改良整備の早期事業化を目指すほか、岩泉町側の川代地区の早期完成に努力するとともに、連担部である浅内地区の整備についても調査検討を進めてまいりたいと、そう考えているところである。

〇佐々木(大)委員 次に、観光振興についてお伺いをする。
 観光は地域の自然、歴史、文化等の資源を活用することから、地域ぐるみの観光地づくりは地域の文化の発見、創造を通じてよりよい地域づくりに貢献するものであり、住民が地域の魅力を再認識し、郷土愛と誇りを育てていく効果があると思うのである。また、観光は地域の特色ある食材や工芸品等の地場産業への波及効果を発生させ、所得と雇用を拡大し、地域経済を活性化するための先導役として大きな役割があると存じているところである。
 平成7年6月に、観光政策審議会が答申した今後の観光政策の基本方向についての中でも、地元の食材の提供や農山漁村、森林を初めとする豊かな自然を観光の場として活用することにより、観光産業と第1次産業が連携して農山漁村や中山間地域を活性化できる可能性があると言われているところである。幸いにも、本県には豊かな自然系資源や多彩な山の幸、海の幸、工芸品等があることから、これらを活用し多くの観光関連業界が連携する中で、おのおのの役割を果たしながら、地域の活性化や産業振興が図られるように観光行政を推進していく必要があると考えているところである。
 そこでお伺いするが、県においては観光行政の施策の立案や事業の展開に当たって、JRや観光エージェント会社等の観光関連業界のノウハウをどのように生かしてこられたのか、また、今後これをどのように活用していくお考えなのかお示しを願いたいと思う。

〇吉永副知事委員 御指摘のとおり、観光というものは地域の特色ある食材や工芸品等の地場産業への波及効果を発生させ、所得と雇用を拡大し、地域経済を活性化させるための先導役としての大きな役割があるということはまさにそのとおりであり、私どもも同感である。観光は、県政の重要な柱と考えて推進してまいっているところである。県においては、岩手県観光審議会の場やあるいは首都圏あるいは関西圏で旅行エージェント等の間で観光客誘致懇談会を開催しており、こういった場の際、関係業界から幅広い御提言を受けるとともに、また、日常的に観光関係業界と協議をしながら関連事業の実施といったことに取り組んできているところである。具体的には、首都圏の旅行代理店を利用したミニ観光展の実施あるいはスキーと温泉とグルメを組み合わせた宣伝あるいは民間業界とタイアップした岩手及び陸中海岸の観光情報誌の発行、あるいは新幹線の社内劇と体験観光を組み合わせた誘客事業などについて、JRや旅行代理店のノウハウを活用した事業展開を図っているところである。また、委員御指摘のとおりJRやあるいは旅行代理店とよく話し合っているかという点であるが、また、彼らのアイデアをどう生かしているかということであるが、私どももそういう専門の人たちの意見はなるべく生かしたいと考えているところである。最近、そういったJRあるいはエージェントから指摘されているところは、1つには、国内旅行が個人、家族、小グループ中心となり団体旅行じゃなくなっておる。また、自然、歴史、文化などの触れ合いや地域独自のそういう食材を利用した体験型観光ができないか。それからもう1つは、何とか岩手の地域の観光については、値ごろ感のある価格設定ができないかといったような指摘がいろいろあり、これらを何とか生かせるような商品設計といったものを考えていきたい。それからもう1つは、空港におり立ってから各観光地をめぐるようなそういったバスが走っておれば、それをそのまま商品の中に組み入れてできるといったような指摘もいただいており、こういったエージェント等の指摘については私ども何とか実現したいということで、現在、市町村あるいは関係業界に対してお話をしており実現に努めているところである。一層、こういったいろんな手段を使って観光振興に意を用いていきたいと考えているところである。

〇佐々木(大)委員 観光エージェント会社ももう1兆円企業に成長した時代であるので、専門的分野が要求される事業である。ぜひ今後も積極的に取り組んでいただきたいと思う。
 次に、試験研究機関における研究交流や共同研究についてお伺いする。
 本県における各研究機関は、県当局の英断と御努力により既に工業、林業、水産の各技術センターが整備されたほか、現在は農業関係の試験研究センターの整備に取り組んでいるところであり、また、引き続き環境保健センターの整備も着手されようとしている。一方、他県においても、東北では青森県、秋田県などにおいて、特にバイオテクノロジー関連研究施設の整備が最近行われたと伺っておる。こうした先端的な研究施設でそれぞれ研究が競われることになろうかと思うのであるが、研究の効率性といった観点に立った場合、お互いに研究成果の交流を行い、その情報を研究に役立てていくことが重要になるのではないであろうか。今、まさに品種戦争の時代と言われており、それぞれの県の事情や戦略上、研究の交流が限定される部分があろうとは思うが、できる限り交流や共同研究を行い、研究の効率化を図るべきであろうと思うのである。
 そこでお伺いするが、バイオ技術を駆使した品種開発等、農業関係における研究成果の交流や共同研究がどのように行われているのか、また、県内の他の研究機関、工業、林業、水産との交流はどうなっているのかお聞かせを願いたいと思う。

〇吉永副知事 農産物の貿易自由化や産地間競争の激化など、急激に変化する農業をめぐる情勢に対応して農家が求める先駆的な試験研究を行うために、委員御指摘のとおり、研究の効率性という観点に立って他県の研究機関とお互いに研究成果の交流を行い、その情報を研究に役立てていくことが重要であると認識しておる。現在、農業研究機関では、この他県の研究機関のほかに国の研究機関ともいろんな交流や共同研究を実施中であり、9年度に開始を予定しておる農業研究センター(仮称)においても、その連携を一層強化していくことといたしておる。具体的には、東北農業試験場等の主催により定期的に開催される水稲、野菜、花卉など、各分野ごとの新技術に関する現地検討会あるいは研究成果検討会には毎回参画しており、技術や情報の交流を進め、本県の試験研究の効率的な推進に役立てておるところである。また、他県との共同研究については、水稲の直まき栽培技術やリンゴの早期多収技術等、解決が急がれる重要問題については、国の助成を受けて各県研究機関の地域性や得意分野を生かした研究分担のもとに、現在、11課題の共同研究を実施しているところである。得られた成果は随時普及に移し、農家の経営技術指導に役立てているところである。さらに、最近はバイオテクノロジー技術による品種開発について各県とも研究に着手したところであるが、これまでこの分野での研究提携というのは希薄であったが、優良品種の早期作出を図るため、現在、東北各県のバイオテクノロジー研究機関において具体的な研究連携の進め方について検討中である。本県の生物工学研究センター及び農業関係研究機関も積極的に参画することといたしておる。
 なお、県内の異業種の研究機関との交流についても工業技術センターとの連携のもとに、農畜産物加工や酒米育種の研究を実施しており、さらにバイオテクノロジー関連課題については、生物工学研究センターを中心として工業、林業、水産技術センターとの情報交換により交流を深めるなど、異業種研究機関との研究連携を強化しているところである。

〇佐々木(大)委員 次に、本県の電力自給についてお伺いをする。
 先般の岩手日報の報道によれば、葛根田地熱発電所の2号機が完成し、3月1日に運転を開始したとあった。出力は3万キロワットで、本県の電力供給に大いに寄与するものと期待しているものである。
 さて、本県では大規模電源が立地しておらず、小水力や地熱発電で賄っているため、いわゆる電力自給率が東北各県に比較しても低いと伺っておる。もとより、電力の供給は電力会社が広域的に行っているものであり、直ちに不都合というわけではないと思うが、電力自給率を高めていくことは、電力の安定的供給や発電施設の建設に伴う地域振興の観点からは重要な課題ではないかと承知いたしておる。
 そこで、本県における電力自給の現況と今後の見通しについてお伺いをする。

〇小野寺企画調整部長 電力自給の現況と将来の見通しであるが、まず本県における年間の電力需要量、これは年々増加してきており、平成6年度において年間約74億キロワットアワーである。その反面、県内の発電施設による供給量は、年間であるが、約16億キロワットアワー前後ということでほぼ横ばいで推移してきておる。このため、電力自給率はここ数年来20%台で推移してきておるが、若干低下ぎみである。
 なお、平成6年度は、御存じのとおり夏季の猛暑による冷房需要の増大あるいは異常渇水による水力発電所の稼働率の低下、こういったことが影響して、その自給率は17・9%まで落ち込んだ経緯はあるが、平成7年度には例年並みに戻るということを予想しておる。
 次に、今後の見通しであるが、今お話しあった葛根田地熱発電所2号機が稼働いたしたし、それから現在建設中の松川発電所及び早池峰発電所などの水力発電所の稼働、さらにはいろんなことが進み、3県総の目標年度である平成12年度においては県内の需要量が年間約82億キロワットアワーと見込んでおり、それに対する供給であるが17億キロワットアワーということで、自給率は21%程度見込んでいるところである。今後、県としては、引き続き地熱発電あるいは水力発電等の開発を促進するとともに、クリーンで環境にも優しい太陽光発電であるとかあるいは風力発電、そういった新しいエネルギーの導入にも努めながら、またさらには、新日本製鉄株式会社釜石製鉄所で計画されておる民間の電気卸供給事業への新規参入、そういったものを促進しながら、県内における発電量の増大そして自給率の向上を図ってまいりたい、このように考えておる。

〇佐々木(大)委員 用水発電の実施等も進んでいるようであるし、ぜひ今後も自給率の向上に努めていただきたいと思う。そしてまた、新しい技術もどんどん開発されるようなので、県内の電力の安定供給を進めていただきたいと思う。
 次に、資源循環型社会の構築に向けた廃棄物のリサイクル推進についてお伺いをする。 近年の経済発展は、国民生活を大変豊かにした一方で、多種多様な廃棄物が増大される背景ともなっておる。したがって、出されたごみを処理するという考え方を見直していかなければ、本県においても将来適正な処理が困難となり、県民生活に支障を及ぼすことが危惧されるところである。このような中で、昨年6月にいわゆる容器包装リサイクル法が制定され、容器包装廃棄物について、消費者、事業者及び行政が一体となって資源化する方向が示されたところである。このようなことは、資源循環型社会への転換に向けてリサイクル推進の必要性が大きく位置づけられたものと理解されるところであるが、この法律が最大限の効果を発揮するためには、すべての関係者がそれぞれの役割を果たさなければならないと考えるのである。特にも、住民協力のもとに、市町村の分別収集が適切に実施されるとともに、再生事業者が十分に機能するよう体制づくりを行うことが肝要なのではないであろうか。
 そこでお尋ねするが、県では、県、市町村、再生事業者並びに県民の役割をどのように構築し指導調整していくお考えをお持ちであるのか、御所見をお示し願いたいと思う。

〇千葉副知事 容器包装リサイクル法が制定されたわけであるけれども、この法律の成果を上げるためには、市町村がごみの減量化と資源再生利用に向けて、地域の実情を踏まえながら意欲的な分別収集体制の構築に取り組むことが重要であると考えておる。また、住民がごみの減量化と資源再生利用の必要性をよく理解し適正に分別排出すること、さらには、再生事業者等が十分に機能して回収廃棄物をリサイクルルートに乗せていくということが基本的に必要な役割分担と認識しているところである。県としては、このような役割分担が構築されて実際に機能していくように、各市町村におけるこれまでの取り組み度合いを勘案しながら、平成8年度中に市町村分別収集計画が策定されるよう指導してまいる所存である。さらに、広域的な連携による取り組みの誘導や自治会あるいは子供会等による既存の集団回収システムの活用を促進したいと考えておる。また、県内における再生事業者の現状分析に基づいた資源の回収、再生ルートの調整等関係団体の意見を聞きながら、円滑なシステムの構築に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇佐々木(大)委員 間もなく21世紀を迎えるが、次の21世紀は動脈産業の時代とも言われておる。広い範囲での視野を持って岩手県の産業をこれから興していただかなければならないと思うので、県行政の積極的推進を御期待を申し上げる。
 以上で私の質問を終わる。

〇斉藤委員 日本共産党の斉藤信である。
 最初に、岩手県土地開発公社の贈収賄事件について副知事にお聞きする。
 現在までに県が掌握している贈収賄事件の概要はどうであろうか。

〇千葉副知事 このたびの事件については、岩手県土地開発公社建設部公共事業課課長補佐川村寛が、平成6年度に担当した県からの受託事業である設計、補助監督業務において、建設資材業者に有利な取り計らいをする謝礼として、業者から現金を受け取ったという容疑により、去る3月4日、深夜であるけれども岩手県警に逮捕され取り調べを受けているというものである。県として、事件の事実関係について直ちに土地開発公社を通じて調査を行っているところである。また、公社においては、事件発覚後理事長を委員長とする業務改善検討委員会を設置し、事件の究明を行っているところであるけれども、まだ県に対する調査結果の報告はないものである。県としては、できるだけ早い機会に事件の掌握に努め、再発防止のために必要な改善措置を講ずるなど、指導に万全を期してまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 川村容疑者は、担当した設計図に贈賄側の製品名を指定したというが、公社におけるチェック体制はどうだったのか。

〇小野寺企画調整部長 公社のチェック体制であるが、設計図のチェックについては全体として県の方法に準じていると伺っておる。すなわち、設計者が作成したものを公共事業課長が精査を行った後に、さらに上司である建設部長及び建設参事が最終審査すると伺っておるが、これ以上の細部については不明である。

〇斉藤委員 県立水沢工業、盛岡養護学校のグラウンド整備工事、造成工事、県立釜石南高のテニスコート改修工事、県立盛岡短大のテニスコート整備事業などに製品名の指定があったというけれども、確認しているであろうか。県教委は後から聞くけれども、総務部のチェック体制はどうだったのであろうか。

〇上田総務部長 今回の事件に係る岩手県土地開発公社が作成した設計書等について調査を行ったところ、製品名の記載がある旨の報告を受けておる。チェック体制については、今回の事件を踏まえ、今後、十分に検討する必要があると考えておる。

〇斉藤委員 チェックされていたのかどうかを聞いている。新聞報道では、県立盛岡短大の場合、チェックできる専門職員がいないため、公社から納入された設計書を全面的に信頼して発注していたと、事実であろうか。

〇上田総務部長 いろいろ事業を公社に委託する場合には、それなりの責任を持ってしていただくように委託するところである。

〇斉藤委員 答弁になっていない。県としてチェックしていたのか。総務部に技術職員もいるであろう。もう1回。

〇上田総務部長 チェック体制については、今回の事件も踏まえて十分検討いたしたい。

〇斉藤委員 結局、チェックしていなかったと、こういう告白だと思う。県の責任、私は極めて重大だと、このことを指摘しておく。
 次に、公社のこれまでの事業の実態を具体的に示していただきたい。公社の役員構成、職員、技術職員の現状、県の天下り、他県の状況はどうだったのか。

〇小野寺企画調整部長 公社の役員の状況であるが、まず理事長が1人、副理事長が1人、そして理事が5人、監事が2人、計9人が役員となっておる。そしてまた職員であるが、事務職員が18人、それから技術職員が9人、合計27人である。そのうち建設部においては9人が技術職員として従事しておる。
 これまでの事業であるけれども、この事業については公有地の拡大の推進に関する法律でもって限定列記されておるが、主なものを申し上げると、その範囲は公有地等の先行取得事業、2つには土地の造成事業、公共施設等の整備、4つ目が土地の取得のあっせん、調査、測量となっておる。これまでの具体的な事業については、例えば公有地等の先行取得事業については盛岡新都市開発整備事業等があるし、土地の造成については花巻第一工業団地等がある。それから、公共施設等の整備については、県立学校のグラウンド整備に係る設計等がある。それから、土地の取得のあっせん、調査、測量については、県立大学用地の調査、測量等がある。

〇斉藤委員 技術職員9名程度で、今紹介のあったような大変大きな仕事をたくさんされている。県立博物館や農業センター、新盛岡競馬場などの設計、施工監理業務など、こういうものが技術職員9名でやれるのであろうか。結局、ゼネコンなどに委託しているのではないだろうか。実態はどうであろうか。

〇小野寺企画調整部長 9人でやれるかということであるが、技術職員の設計及び施工監理業務への対応、これについては大きな工事が同時期に多数行われるという例がない。そしてまた、工事の規模に応じて発注者と協議の上その期間等は決められる。そういうことから、適切に処理されていると伺っておる。
 なお、土木工事と建築工事を請け負う総合工事業者、つまりゼネコンへの委託、その例はないと伺っておる。

〇斉藤委員 次に、競馬組合のあり方について質問する。
 95年度競馬組合からの収益分配金が当初予算8億2、500万円の半分、4億1、250万円となった。盛岡市、水沢市への分配金を含めると15億円だったのが半分の7億5、000万となったと思うけれども、なぜこうなったのか、半減した具体的理由を明らかにしていただきたい。分配金はこれまでどうだったのか。

〇吉永副知事 平成7年度の配分金についてであるが、競馬組合では当初発売金額を約646億円と見込んで、払戻金などの法定支出金や競馬開催経費等の費用を除いた結果、剰余金が約15億円と見込まれることから、構成団体配分金を15億円予算計上していたわけである。しかしながら、景気の低迷等の影響により、発売金額が当初計画比約50億円落ち込んだ。発売金額は約595億円となったところである。この結果、発売金額に応じて一定割合で支出される払戻金等の法定支出金の支出減約40億円により、15億円に比べて約10億円の剰余金の減少が見込まれた。すなわち、5億円まで落ち込んだということになったわけである。これに対して、諸経費を節減約2億4、000万円に努め、当初計画の15億円から7億5、000万円少ない7億5、000万円という配分金になったものと聞いているところである。

〇斉藤委員 8年度当初予算で競馬組合の収益分配金は6億6、000万円と計上されているが、その根拠は何であろうか。

〇吉永副知事 これは県の予算の方であるが、競馬をめぐる情勢は依然として景気の低迷等の影響があるが、8年度は新盛岡競馬場が開場になり集客数が増加すると見込まれること、あるいは8年度から新たに導入される電話投票による増収等が期待されることから、発売金額の増を期待してこの配分金の総額を12億円と見込み、その55%の6億6、000万円の歳入予算を計上しているところである。

〇斉藤委員 先ほどの質問で答弁漏れがあったと思う。これまでの分配金はどうだったのか。

〇吉永副知事 これまでの分配金は、何年度から見るかということがあるわけであるが、昭和55年は27億円、これが一番大きいわけであるけれども、それから昭和58年度まで27億円だったけれども、その後17億円になり、61年度に15億円、この15億円が平成6年度まで続いているという状況である。

〇那須川委員長 斉藤委員の質疑中であるが、この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
 斉藤委員、御了承願う。
   午前11時54分 休 憩
   午後1時3分 再 開

〇那須川委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 自由質疑を続行する。

〇斉藤委員 次に、水沢市議会が昨年12月22日、分配金の削減に対して反対の態度を明らかにし、4つの問題点を指摘した。1つ、組合のずさんな新盛岡競馬場建設計画は組合運営の重荷になっていること、2つ、分担金は2度既に引き下げられ、売り上げがふえても増額されていないこと、3つ、自主財源の減少が市財政に深刻な影響を与えること、4つ、組合事業がこのままでは暗礁に乗り上げることなどを指摘していた。県はこの異例の指摘をどう受けとめているであろうか。

〇吉永副知事 平成7年度の競馬組合の構成団体の配分金の額をどうするかという問題については、独立した法人格を持っている一部事務組合──特別地方公共団体でもあるわけであるけれども──の岩手県競馬組合が3月28日に予定しておる競馬組合議会の議決により決定することになっておる。水沢市議会での考えについて、個別それぞれに私の考えを述べることは控えさせていただきたいと思うわけであるが、県としては、構成団体配分金、これは水沢市はもとより、それぞれ水沢市、盛岡市とも各構成団体の財政運営上極めて重要なものであるので、県としては2月26日の岩手県競馬運営協議会、その場には水沢市も盛岡市もいたわけであるけれども、その場で私の方から、安易な配分金の減額はすべきでなく、また、配分金の重要性についての認識を新たにするよう競馬組合に対して強く申し入れているところである。

〇斉藤委員 競馬組合に対する県の指導責任について私聞くけれども、管理者は知事である。副管理者は県庁OBである。審議会の会長が農政部長、運営協議会の会長が副知事、委員に農政部長、県出納長も名前を連ねている。私は県の指導責任極めて重大だと思うのである。そういう他人よがりの話ではだめなんで、もっと県が責任を持って指導すべきだ。これは指摘だけにとどめておく。
そもそも水沢市議会は、盛岡競馬場移転計画に対し1988年、今後の見通しが大いに懸念されるとして凍結を要望した。しかし、競馬組合はそれを無視し、配分金を減らさないことを約束して建設に着工したと聞いているが、どうであろうか。これは約束違反じゃないであろうか。

〇吉永副知事 まず、約束違反ではないかという御指摘であるが、昭和63年に競馬組合が新競馬場の建設を決定するに際して、3月の水沢市議会において、この盛岡競馬場移転にかかわる、移転自体は既に競馬組合の議決を経ていたわけであるので、そのかかわる予算執行を凍結するということの要望を市議会で議決され、そのことを競馬組合の方にその文書を提出に参ったわけである。そのとき競馬組合の方から水沢市議会側に配分金15億円を、それから今後確保できるという旨の発言があったように聞いておる。ただ、ここは水沢市議会の方の文書というか、議会の議決等の文書はあるんであるけれども、そこでどういう会話が行われたかは一切文書が残っておらないので、私どもの方でもその辺がどうなっているかいろいろ調べたんであるが、そこが約束があったかどうかというのについては、正直申し上げてわからないという状況である。
 配分金の減少自体については、先ほど申し上げたとおり、いろんな事情があってそうなっているわけであるが、配分金というのは構成団体たる地方公共団体で重要なことであるので、その旨の遺憾ということは運営協議会の席上で申し上げている。
 それから、御指摘であった県の指導方針ということであるが、これは委員に対しては釈迦に説法になると思うんであるが、競馬組合というのは、これは県と同様な立場に立つ地方公共団体であって独自の議会が設けられておる。競馬組合の事業運営については、それぞれ競馬組合議会の議決等に基づいて行われている。そのために私自身もいろいろこの指導とか監督とかという権限が県にあるかどうかについて勉強させていただいたんであるけれども、今のところ、いろんなところ勉強したところは、県が岩手県競馬組合、この地方公共団体である岩手県競馬組合を指導監督する法的な権限は、これは残念ながらないということである。であるので、先ほどおしかりを受けたが、私どもとしては、県はその構成団体の1人として運営協議会とか、あるいは競馬組合の審議会の場でみずからの意思を述べる機会が設けられておるので、その場を通じて先ほどのようなことを申し述べたということである。競馬事業からの配分金というのは、繰り返すが県の自主財源の確保に極めて重要なものであるので、今後はこうした許されているいろんな場を十二分に活用して、競馬組合の健全な運営等について積極的に意見を申し上げ、そうした手段を通じて指導あるいはそういったこと、競馬組合に対する実質的な指導といったようなことを強化してまいりたいと考えているところである。

〇斉藤委員 知事、副知事、農政部長、出納長を含め県の重要幹部がこの組合の運営にかかわっているわけであるから、私はその立場でひとつやっていただきたい。
 水沢市議会の反対を押し切って盛岡新競馬場が建設をされた。その造成建設は談合疑惑にまみれたものであったが、当初計画の237億円が2度にわたる修正で410億円と1・7倍に事業費が膨れ上がった。関係者の声を聞くと、これほどずさんな修正はあり得ない。こういう指摘もあるけれども、この建設事業の影響をどう見ているであろうか。

〇吉永副知事 7年度に限ってお話しすると、平成7年度の建設事業費は128億円となっておる。その財源は、基本的には起債収入と財政調整基金繰り入れによって賄われているところであって、今回の配分金の減は発売金額の減少がやっぱり主要な原因であって、この新盛岡競馬場の建設事業がこの7年度の収支に影響したとは考えにくいという感じである。

〇斉藤委員 平成7年度の当初予算額、新競馬場建設費が72億4、500万であった。それが今お話しあったように128億になっている。これが影響ないというのであるか。

〇吉永副知事 全体としては、例えば新競馬場建設事業というのは、その競馬事業とは別の収入、支出になっているわけであるけれども、新競馬場建設事業は建設費が今おっしゃった128億あるわけであるが、この財源としては地方債財政調整基金繰入金、それから前年度の繰り入れ財源等で充てておって、ここでほぼ収支がとんとんになっておるので、その競馬事業の収益事業の方の総収入、総費用のところの直接的な影響はこの7年度に関する限りは、数字の上から分析するとないと考えられるのではないかと思っておる。

〇斉藤委員 一言だけ指摘しておく。財政調整基金、いわゆる基金保有額は平成3年度87億あったものが今7億7、000万になっている。これは大変なことである。これは本当に1・7倍に膨れ上がった建設事業費の大きな影響だと指摘しておく。
次に、競馬組合の財産について。
 財産に関する調書を見ると、絵画10点、彫刻5点とある。その内容、額、総額はどうなっているであろうか。どう活用されているであろうか。保存はどうなっているであろうか。

〇吉永副知事 絵画については、カイム・スーチンの大樹、ラウルデフィのパドックなど10点で、その購入金額は約1億9、000万円となっておる。彫刻については、アントワーヌ・ブールデルの馬像など5点で、その購入金額は約1億7、000万円である。絵画、彫刻あわせて購入総額は約3億6、000万円となっておる。

〇斉藤委員 この絵画、彫刻が平成3年度に集中して購入されている。絵画6点、そして彫刻1点、いずれも高額の1億円を超えるものである。私はこういう競馬組合の運営というのは本当に大問題だと思うのである。聞いたけれども、活用されているのか、保存されているのか。

〇吉永副知事 活用状況については、テレトラック水沢等の施設で絵画2点、彫刻3点が既に展示されているところであるが、その他については、新盛岡競馬場等で順次展示していくと聞いておる。
 それから、平成3年度に集中されていることであるが、これは競馬組合がこの美術品を購入するに当たって、馬事文化資料収集検討委員会ということを設置して行っていったわけであるが、これが平成2年9月にそういう検討を行って、10月にその検討結果をまとめて出したわけであるので、平成2年10月にそういうことが行われたので、平成3年度の売買額が多いという、そういう結果になったのではないかと考えておる。

〇斉藤委員 平成3年、だれが副管理者だったのか、後から教えてもらいたい。
それで、次に天下り人事と待遇についてお聞きする。
 県からどういう方が副管理者に再就職されているか。その報酬、退職金はどうなっているか。部長級の天下りはどうか。

〇上田総務部長 競馬組合の副管理者に行っている方の名前、後で調べてお答えする。
県からの、まこと言うとよくわからないけれども、ちなみに県から公社等へ退職後に役員で再就職したと、こういう観点から私の持っているケースを申し上げると、平成7年8月1日現在で関係の39の法人に対して45人が就任していると、こういう実態である。

〇斉藤委員 答えがなかった。これは競馬組合の条例で決まっているので言うけれども、副管理者は月額82万円である。これは例えば部長級が再就職した場合に、住宅供給公社はおよそ40万円、土地開発公社の理事長も40万円である。今、競馬組合は利益が減少して分配金を減少しているときに、私はこういう水準でいいのかと、少し常識外れているんではないか。あわせて、例えば管理者は知事になっているけれども、その報酬は年額94万円なんである。私はこれは出し過ぎじゃないか。そういう点でひとつ、どう認識されているか。副知事でもいいし部長でもいいし。

〇上田総務部長 県からいわば再就職の形で公社等に再就職なさっている方との比較あったけれども、競馬組合の場合には、先ほど副知事から御説明したとおり、独立の地方公共団体であり、かつ県との関係で言うと県と同格の公共法人ということになっておる。その議会において決定された額について私が所感を申し述べることは適当でないと考えているところである。

〇斉藤委員 ちなみに退職金は4年勤めて1、150万円になる。私は、知事や副知事や農政部長かかわっているんだから、この改善を申し入れるべきだと、要望しておく。
競馬組合、大変ずさんな運営が明らかになったと思うけれども、私はその指導、またチェック体制に問題があると思う。競馬組合議会、わずか岩手の場合は4名である。全国の例どうなっているであろうか。

〇吉永副知事 地方競馬を実施しておる一部事務組合、同じような資格のものを例にお話しすると、平成6年度で見ると全国に14組合ある。その議員数は一番多いところが東京の特別区、これは23名、愛知県が18名、多くが大体8名ぐらいであって、それを大体平均すると約10名である。当県のような4名になっているところは、ほかに佐賀県のみという実情である。

〇斉藤委員 これは極めてチェック体制が弱いと言わざるを得ない。私は、知事や副知事や農政部長が全国並みに、水沢や盛岡市議会も複数出れるような体制にしなければならないんじゃないか。そのことを強く申し入れておく。
競馬場の最後に、新盛岡競馬場のオープンにかかわって新たな交通混雑が予想される。関係住民が不安を高めているけれども、その対策はどうであろうか。

〇吉永副知事 新競馬場のオープンにかかわる交通混雑対策であるが、関連する道路整備については、国道106号から直接新競馬場に連絡する約3キロの市道川目上八木田線があり、4月5日の開業と同時に供用を開始することになっておる。また、競馬場の北へ抜ける県道上米内湯沢線八木田工区、約2・5キロメートルの整備を平成5年度に完了しているほか、その他の区間の隘路区間についても、逐次、改良を図っておって、今後とも競馬場に関連する交通指導については、盛岡市等関係機関とも協議しながら、必要な対応を考えていきたいと考えておる。
 また、5月のゴールデンウイークのときには、動物公園や岩山パークランドへの家族連れでの交通混雑が予想されるので、この期間中は水沢の方で開催するといったような配慮を考えておる。その他、無料招待バスを運行するなど、交通混雑の回避を図っていきたいと考えておる。

〇斉藤委員 次に、官官接待の問題についてお聞きする。
 食糧費が2億2、233万円計上されている。前年比1億2、000万円の減額、一昨年比で1億8、000万円の減額となるけれども、どういう基準で削減をしたのか。どういう懇談会を削減し、どういう懇談会を継続しようとしているか。

〇千葉副知事 食糧費については、その支出が公費をもって賄われているところから、簡素かつ公正を旨として、節度ある対応と法の定めにのっとった適正な執行を図る必要があるものと認識しておる。このため平成8年度当初予算の編成に当たっては、その必要性を従前にも増して精査の上要求するよう各部局に指示をした。原則要求枠として、平成7年度9月現計予算額の30%相当額を減じた範囲内での要求を認め、さらに財政当局において一層精査、検討した結果、9月現計総額に対して36・3%削減の2億2、000万円余となったものである。

〇斉藤委員 昭和54年12月6日の副知事依命通知について、官公庁との接待及び贈答品の授受は行わないことはもとより、官公庁との会議等における会食についても必要最小限にとどめるとある。副知事依命通知である。この通知から見ると官官接待許されないのではないか。
 ビール券の配布は贈答品の授受にならないのであるか。

〇千葉副知事 昭和54年12月6日付の依命通知は、官公庁との接遇等の自粛について、趣旨の徹底を図ったものである。
 なお、ビール券の配布については、中央省庁における各種の情報提供、助言等に対して社会通念上、儀礼の範囲で行うべきものと考えておる。

〇斉藤委員 副知事通知は、接待及び贈答品の授受は行わない。官公庁との会議等における会食については必要最小限、こう言っているんである。どこに接待ができるか。
 ビール券は贈答品じゃないのか。もう一度。

〇千葉副知事 食糧費の関係については、この依命通達が出た時点以降も全部予算上措置されているものである。したがって、この通知の趣旨は、その接遇の自粛についてその趣旨の徹底を図ったものである。
 なお、ビール券の関係については、先ほど申し上げたとおり、社会通念上、儀礼の範囲内でというふうに考えているものである。

〇斉藤委員 結局、通知は出したけれども接待をやっていたのでこの通知は守られていないと、私はこういうことだと思うんである。それで、聞く。
 ホステスつきの接待について私は本会議で聞いた。県の答弁は、会場の接遇職員の配置能力を超えるような規模のパーティーや、県にとって大切な賓客との懇談などの場合に、社会通念上必要と認められる範囲で依頼するという答弁であった。パーティーではホステスは要らないから賓客の場合ということになるが、社会通念上必要というのはどういうことであろうか。実際の領収証を見るとバーないしキャバレーでの接待のように見られるけれども、どうであろうか。

〇上田総務部長 ホステスさんがどうかという議論であるが、私、議会でしゃべった中身については、懇談会等における接客業務全般について、一般論としてお答えしたものであって、懇談等における接客業務については、会場の接遇職員の配置能力を超えるような規模のパーティーや県にとって大切な賓客との懇談などの場合に、社会通念上必要と認められる範囲で依頼することがある。こう言ったとおりである。

〇斉藤委員 ホステス接待の必要性、社会通念上どういうときに認められるか、もう1回聞く。
あわせて、2次会について原則として行わない方針としておると答弁があった。いつから2次会はやめているのか。身内の宴会はなかったのか。お聞きする。

〇上田総務部長 余りこういう言葉は私、議場で使うの気が進まないけれども、ホステスさんがどうかという話であるが、私はこういった懇談、こういったいわば礼を尽くすということが基本になると思うわけであるけれども、そういう考え方に立って、その都度その都度何が適切かを判断することが基本だろうと思う。ただし、これは議会で知事も繰り返し申し上げておるとおり、食糧費が公費をもって措置されているということから、簡素かつ公正をもって対処すると、こういう考えを頭に入れて処理をするということである。これは具体的に余り言うのも気が進まないが、ホステスさんをどんどん呼んでいいと、こういうことではないので誤解のないようにお願いする。
それから、2次会という話であるが、原則として行わない方針としておるとも申し上げたわけであるけれども、これはもともと2次会は原則として行うという方針だったわけではなくて当然のことであって、このことの性格上、従来からその今申し上げた礼を尽くすという観点に立って必要な場合があったと思うけれども、原則としては2次会をやるというようなことは考えていないところである。

〇斉藤委員 従来から認めていないということになるわけである。それで、昨年5月の支出分で見ると230回の官官接待のうち40回2次会やっている。原則やらないということが守られていなかったんじゃないか。どうであるか、総務部長。

〇上田総務部長 従来より原則としてやるということではないと申しただけで、例外的にやる場合もあるということである。

〇斉藤委員 230回のうち40回というのは2割である。5回に1回2次会やっているということなんである。身内の宴会にお金を使ったという問題、1回の伺い書に3万円の請求書がついている。最後はホテルの4人の飲み会で0時22分のオーダーであった。知っているか。

〇上田総務部長 恐縮であるが、その件、具体の調書について私は拝見しておらない。

〇斉藤委員 ぜひこれは、身内の接待に公金を支出したというのは大問題だから、後から言うから調べてもらいたい。
次に、私は、知事の夫人同伴の海外視察についてお聞きする。
 昨年アメリカにアンテナショップが開催をされ設置をされた。その際、増田知事は御夫人同伴で参加をしたようである。御夫人の旅費はどこから出ているであろうか。

〇上田総務部長 ロサンゼルスのアンテナショップの機会に知事出張した際の知事夫人の旅費であるが、これは県費で支出しておって、秘書課の予算から支出をしておる。

〇斉藤委員 その際の視察の日程はどうなっているか、いつからいつまで、どこどこを視察していたのか、旅行日程をお知らせいただきたい。

〇上田総務部長 日程については、国内での移動を含めて平成7年11月2日から7日までの6日間となっておって、主な行事を申し上げるが、アンテナショップオープニングセレモニー、同前夜祭、ロサンゼルス岩手県人会長夫妻との懇談会、トーレンス市長表敬訪問、こういったものが主な行事である。

〇斉藤委員 知事の夫人の旅費を支出するという根拠は何であるか。

〇上田総務部長 県の仕事をやってもらう以上、県で費用を負担することが当然だと思う。

〇斉藤委員 実は秋田県で知事の夫人同伴公費観光が問題になった。私はあわせて聞くけれども、7月19日に東北6県知事懇談会に出席後、全国知事会議、知事夫人招宴があったと聞くが、増田知事の御夫人も参加しているのであろうか。

〇上田総務部長 平成7年7月20日開催の全国知事会議に知事等が出席したけれども、知事夫人も同行しておる。それから、これは会議開催県の大分県から、知事の出席に当たっては夫人を同伴するように御案内があったものである。

〇斉藤委員 それでは次に、私、本会議で質問した振興局の幹部職員の研修視察の実態についてお聞きする。
 本会議の再質問で、私、具体的な実態について指摘をしたけれども、県は調査したであろうか。

〇上田総務部長 地方振興局は、地域の振興策を総合的に推進する拠点として設置したものであり、その推進を図るために他県等の先進事例を調査したものと承知をしておる。

〇斉藤委員 私の調査であると、1月、2月、年度末に6つの振興局の幹部が視察、研修を行っておった。これについて調査したか。実態調べたか。

〇上田総務部長 振興局の職員の個々の行動を調査するというのもいかがかと思うけれども、お尋ねあったので6つの振興局については電話で聞いておる。盛岡、花巻、北上、水沢、宮古、二戸について、ことしに入ってから1月、2月の間に九州方面への調査を実施したと聞いておる。

〇斉藤委員 私は2月29日付の岩手日報の声の欄に載ったこの指摘を重視して本会議でも取り上げた。それを改めて言うとこういうことである。──年度末になると県、市、町村の各部、各課とも予算消化のため研修が多くなり出張する。研修名目の旅行のように見受けられる。──こういう指摘であった。これは実態だとすれば極めて私は重大だと思うんである。私も調べたけれども、確かに視察目的あって、それはやっているようである。ただ、5日、6日のそういう旅行日程が必要か。これは極めて疑問である。そして、調べたところ、みんな九州、沖繩である。みんなそろって九州、沖繩に寒いときに行っているわけである。私は、ここではひとつそういう研修視察の日程を吟味していただきたい。県民の厳しい批判に耐えられるようなものかどうか。その点を指摘をしておく。
次に、農業問題について簡潔にお聞きする。減反問題について。
 政府の18万7、000ヘクタールの減反の上乗せは、米のミニマムアクセス導入に伴う転作の強化は行わないとした閣議決定に違反すると思うが、どうであろうか。

〇吉永副知事 委員の挙げられた18万7、000ヘクタールという数字は、これは平成8年度の生産調整対象水田面積、いわゆる転作面積を平成6年度と比較した数字かと思うわけである。国は、新生産調整推進対策における転作面作の算定に当たっては、国産米の過剰在庫を縮減するという観点に立って行われておって、ミニマムアクセス米導入にかかわる要素は一切加味していないということである。より具体的に申すと、生産調整の算定に当たって、8年度末米の国産米の在庫220万トンを3年間で150万トンに縮減するという、こういう考えに立って計算しているわけである。この計算の過程においては、ミニマムアクセス10万トンは全く計算の外に置かれておる。そういうことから考えて、ミニマムアクセスに伴う転作の強化を行わないという閣議了解は遵守されていると考えているところである。

〇斉藤委員 これは極めて重大な答弁で、外米輸入に上乗せが18万7、000ヘクタールというのは、米の需給計画で見るとそのとおりになっている。96、97米穀年度の需給見通し、ミニマムアクセス米が96年43万トン、97年51万トン、緊急輸入米の残りが6万トン、これが需給見通しに外米で入っているんじゃないか。

〇吉永副知事 英邁な斉藤委員とここで議論するのはちょっと避けたいと思うわけであるが、もし後で私の方に来ていただいたら、ここについてはきちんとした数式で説明することができるので、後で私のところに来ていただくか、あるいは農政部の方から人を派遣するので、そこでちょっとそこのところの技術的な数字の方は議論させていただきたいと思う。

〇斉藤委員 場外になったけれども、それはじゃさておいて、実態は外米輸入分である。それだけあわせて指摘しておく。
 それで、私は、今、減反問題大変重要になっているけれども、市町村への生産調整水田面積配分について、水田面積で見ると20・9%から67%、大きな開きがある。どういう基準方針、考え方で配分されたのか。これまでの減反面積との比較はどうなっているかお聞きする。

〇吉永副知事 県は、これまで市町村別の生産調整面積の配分に当たっては、稲作地帯あるいは畑作地帯、あるいは畜産が主な地帯など、それぞれの地域農業の振興方向に配慮して傾斜配分を行ったところである。具体的には、潜在水田面積の割合を基本として、稲作の生産性や稲作への依存度、あるいは稲作主業型農家割合、そういったことを要素として、米産地化の程度、畑作面積の割合あるいは乳牛、肉牛の飼育頭数などを要素とする畑作、畜産の産地化の程度、そういったものを算出するとともに、これに基づいて市町村別の生産調整面積を決定してきたところである。平成8年度分の面積配分に当たっては、従来からのこうした考え方を踏まえて、平成7年度分の配分面積をベースとして、これを超える面積については同様な方式で算出し、市町村別の生産調整面積を決定したところである。市町村別の転作率のばらつきというのが、委員御指摘のとおりあるわけであるが、これは基本的には今申し上げたような事情を反映したものと考えていただいて結構である。ただ、委員が挙げられた例、非常に数字で見ると極端な数字が出ている例が幾つかあるわけであるけれども、これは非常に酪農を振興しているところ、そういうところが飼料基盤の整備を進めるため、あるいはリンドウの生産拡大を行いたいとしているところ、そういったところはその当該市町村が了解して転作面積を多く引き受けたという、そういう事情があるわけである。

〇斉藤委員 遠野市農協では3ヘクタール以上の農家には2割の減反、3ヘクタール以下の農家には平均の3割以上の減反という方針が出されているけれども、これは農家の選別、差別、そういうやり方ではないであろうか。

〇吉永副知事 転作面積のガイドラインの提示に当たっては、市町村段階において市町村と農協とが協議の上、生産者別のガイドラインを定めて通知しておる。この場合、市町村によっては農業生産の振興方向、あるいは農業者の育成方向などに即して、生産者別の転作面積を定めているところもあると伺っておる。御質問の遠野市の例であるが、これは遠野市が出しているガイドライン、紙で見るとちょっと誤解を招くようなところがあるわけであるが、これは3ヘクタールを超える部分について、3ヘクタールを超えるところについて、3ヘクタールを超えるものについて、超える部分についてのみ言っているところであるけれども、ペーパー上は全部について言っているように見えるわけである。事実は、3ヘクタールまでは一定率と、これは3ヘクタールまでは3ヘクタールを超える農家も一定率である。ここがちょっとそうでないようにして非常に差があるように見えるわけであるが、そうでなく3ヘクタールまではすべて一定率、それから3ヘクタールを超える部分については、3ヘクタールを超える農地を持っている農家については、その超えた部分について軽減の率、それからさらに、認定農業者についてもその3ヘクタールを超える部分についてさらに軽減の率と定めているようである。こういったところはやはり先ほどの、もっと農業をやりたいというところに配意したいという、市町村の創意工夫の1つだと考えておって、これはそういった方針から定められていると考えておる。

〇斉藤委員 私は減反は強制すべきでないと思うが、どうであろうか。

〇吉永副知事 そのとおりと思う。

〇那須川委員長 ほかに質疑ないか。

〇伊藤(勢)委員 機関銃によるバラバラバラバラという質問がいいのかどうかは置いて、私はもと込め式村田銃でぽつりぽつりと県政課題について御質問をしていきたいと思うので、当局の御答弁をお願いしたいと思う。
 まず、本県の21世紀に向かっての重要な県政課題であろうと思う港湾の整備についてお伺いをする。
 本県には、重要港湾として北から順に久慈、宮古、釜石、大船渡の4港が、また地方港湾として八木、小本の2港があり、それぞれ本県の将来にわたっても産業、経済を支える重要な機能を有しており、県ではこれまで港湾整備とあわせてポートセールスを積極的に進めてきたところである。そこでまず、港湾整備事業特別会計について、その公債費は8年度予算では24億1、600万円余となっており、その財源のほとんどを一般会計からの繰入金に頼っていることからしても、ポートセールスがいかに重要であるか自明の理と言えると思うが、このポートセールスの現状はどうであろうか、お伺いをする。
 また、宮古港では海洋性レクリエーション基地として、また平成11年のインターハイ会場ともなる神林地区にマリーナを整備することとし、国に要望してきたところ、7年度に新規着工が認められたところである。しかしマリーナの整備計画素案によると、神林漁港のクルーザーすべてを収容し切れないのではないかという懸念があるようであるが、いかがであろうか。
 また、身体障害者も利用できるようスリップウエーをつくるべきだとの要望もあるが、県ではどのように対応するつもりなのか、あわせてお伺いをする。
 次に、県内唯一の定期貨物船に対する助成の強化についてお伺いをする。
 県では、宮古にある県内唯一の定期貨物船に対してその積極的な利用促進を図るとともに、港湾利用諸費用の減免や水道料の減免などの措置をとるべきではないかと思われるがいかがであろうか、お伺いをする。

〇吉永副知事 まず、ポートセールスの現状についてであるが、県は漁業振興の重要性にかんがみて、昭和62年度から港湾振興担当職員というものを配置しておって、港湾物流の活発化、客船等の誘致、港湾利用型企業の誘致を柱としたポートセールスに積極的に取り組んでいるところである。委員御指摘のとおり、今、御審議願っておる予算の港湾特別会計のところは、歳入のところは一般会計からの繰り入れ、歳出のところはほとんどかなりの額が公債費という状況であるので、ポートセールスの重要性というのは非常に委員御指摘のとおりだと考えておる。このポートセールスの結果、県全体としてのまず成果であるが、物流の面では、宮古港で本県初の定期貨物船が就航した。それから、釜石港のトヨタ自動車及び関東自動車が利用を指定している。大船渡港がいすゞキャステックの原材料陸揚げ等を実現したところである。客船等については、お挙げになった重要港湾4港で延べ72隻が寄港しておる。また、港湾利用型企業の誘致という点では、大船渡港盛川右岸工業団地が完売したほか、久慈港及び宮古港においてはそれぞれ6ヘクタールが売却されたところである。宮古港においては、これまでも工業用地のこうした売却あるいは輸入木材の野積み場使用料など、さっき申し上げた本県の港湾整備特別会計の歳入に大きく寄与しているところである。今後とも港湾の一層の振興を図るために船舶や企業の誘致など、ポートセールスを積極的に展開してまいりたいと考えているところである。
 次はマリーナであるが、御指摘の宮古港神林地区に計画しておるマリーナは、平成7年度から港湾改修事業等により着手したものである。これは海洋性レクリエーションの需要が高まる中で、青少年の健全育成の場として活用するため、現在、主に高校生等が利用しておるディンギーヨットを中心に計画したものではある。現在、神林漁港にクルーザーヨットが係留されておるわけであるけれども、この収容については、委員の御指摘もあるので、何とかマリーナ水域内に係留等が可能であるかということを検討してまいって、今後ディンギーヨットの利用状況あるいは関係者の意見等を聞きながら、それが実現できるかどうか検討してまいりたいと考えているところである。
 それから、委員御指摘になったマリーナ整備に当たって身体障害者の方々にも利用できるようにすべきという意見は、まことにもっともな御意見であるので、委員が御指摘になったスリップウエーのほかにもトイレ等を含めて、身体障害者の方に利用できるような形を、詳細設計を進める中で実現できるよう検討してまいりたいと考えているところである。
 最後の定期貨物船に対する助成であるが、港湾施設の利用については、その維持管理等に多額の費用を要することから、県の港湾施設管理条例の定めによって、利用者からその使用の対価として岸壁等の使用料を負担していただいているわけである。この使用料については港湾施設の利用促進や利用者の負担等を総合的に勘案して設定しているものである。委員御指摘の宮古港の例であるが、今までに港湾施設使用料を減免した事例が全体としてあるかということを調べたんであるが、これは例えば昨年の飛翔のように一時的に寄港したとか、あるいは飛鳥、それから客船を、そのほか帆船の商船大学の日本丸とか、ああいったものを除くと客船を、特にポートセールスの一環としてぜひお寄りいただきたいとして、1回限り寄っていただいたといったようなものについては、広域的観点から岸壁使用料等その他を免除したことはあるんであるが、その他唯一の例は、宮古港における貨物船を、これも試行期間ということで1年間免除したことがあるんであるけれども、恒常的に使っていただいているものについては、むしろポートセールスの結果としてそこで収益を上げるということも、それがポートセールスかということもあるので、なかなか恒常的に来ていただいているものを免除するというのは、その後そういったものが入ったときへの波及その他もあるので、何とかそこら辺は御負担をお願いしたいと考えておって、御理解を賜りたいということである。

〇伊藤(勢)委員 いずれどういう事業でもそうだと思うんであるが、ゼロから1の間が大変に遠いわけであって、1になると、整数になると3、5、10とすぐふえていくわけであるが、ゼロから頭出しの部分が大変につらいという部分で、いまだに宮古港唯一の、これは県と宮古市が一生懸命取り組んだポートセールスの成果としての唯一の定期航路確保ができているわけであるが、これをぜひゼロに戻さないようにするためにも、どうぞ格段の御支援策をさらに検討いただきたいと思う。
 それから、港湾というものは21世紀の岩手県を語るにどうしても避けて通れない重要な部分であろうと思う。これは昨年の6月に運輸省の港湾局が出した大交流時代を支える港湾、世界に開かれ活力を支える港づくりビジョンという冊子であるが、これは言ってみれば運輸省港湾局の政策であろうと思う。ちょっと読ませていただくけれども、まとめの部分として、今後さまざまな競争が一層激しさを増すと予想される国際社会において、我が国の港湾が近隣諸国の港湾と相互に競争しつつ、我が国の経済にふさわしい機能を維持していくためには、さらに効率性の高い港湾の整備を目指さなければならない。加えて、急激に社会の成熟化が進む中で、長期にわたり国民の安定した生活を支えていくことが求められているが、そのためには安全の確保と環境の保全、港湾空間の再編と活用に向けて新鮮なアイデアの導入と広範な施策の展開が不可欠である。本政策で明らかにした目標を達成するためには、過去の経験、知見を生かすことはもとより、港湾行政の制度全体について適時適切に幅広く検討を加え、必要に応じて抜本的な見直しを行う。港湾法が制定されて45年が経過し、その再点検が必要であるとの指摘も多い。今回、大交流時代を迎えたとの時代認識に立ち、長期に将来を展望しつつ、今後の15年間に港湾が果たす役割と、それを具体化するための施策を示したとある。これは言ってみれば運輸省の、いわゆる港をつくる方の骨子になる政策であろうと思う。
 また一方、昨年11月に今度は通商産業省あるいは貿易局が出しておるいわゆるFAZの部分であるが、このFAZ──フォーリン・アクセス・ゾーン、こういう部分であるが、これについては言ってみれば要約してみると、輸入コンテナ貨物の我が国への到着地は3大都市圏に集中している。それから、地方の消費者は輸入品のメリットを受けにくい。それと標準的な、ここが大事だと思うんであるが、標準的な40フィートコンテナの東京-新潟間の国内運賃は18万1、000円、これはシンガポール-東京間の外航運賃の2倍以上とある。また、ヨーロッパ-東京間の外航運賃にほぼ匹敵をする。海外とダイレクトに地方が結ばれれば地方の活性化に大きなメリットになる。こういう部分である。したがって、これは運輸省の港湾局が港湾がどうあるべきかを出して、通産省がその貿易という部分についてこれは出してきた国としての方向性だと思う。
 一方、この岩手県は、港湾というと土木の中にあって、仮に運輸省港湾局が出したものを土木下に置くと、通産省で出したFAZというのは商工労働部に匹敵をするのじゃないのか。そういう中で今回、今年度中に岩手県港湾整備長期構想対策事業という部分をこの3月中にまとめるということであったが、そのメンバーを見ると、いわゆる学識経験者の方々、それから県内の経済界の方々、そして運輸省関係の方々が入っておるわけであるが、そういういわゆる貿易という観点、物流という観点からぜひこういう会議にも県のいわゆる商工労働部の方々が入って、物流という部分で提言をするべきだ、このように私は思う。
 また、一方では、商工労働部がいわゆる物流という部分で物流拠点整備事業というのを今年度から始めるようであるが、この部分にかかわっても物流という部分には当然港湾を活用したポートセールスというのも岩手県の方向性として入れるべきだと思うので、そういう部分を相互乗り入れをしながら、ひとつ目的を持って少し先を見た政策を展開をしていただきたいと思うと、これはどうしても県政の重要課題ということで今、発言をさせていただいたわけであるが、これについての御所見をもし承れればお願いをしたいと思う。

〇吉永副知事 委員御指摘のとおり、今まで港湾の整備というのは土木部関係というか、運輸省の港湾建設局の関係の話が多かったわけであるけれども、ポートセールスあるいはそのポートで行われることを考えると通商産業省所管、あるいは部で言うと商工労働部の所管の仕事が大いに中身としてかかわってくることであるので、県で港湾についての何らかの長期計画を立てるような審議会、その他の場においては、従来そこはその件が不明であったわけであるので、委員の御指摘で目を開かせられた気がするので、今後そういう通商産業省あるいは商工労働部の関係の方を何とか委員の方に入れれるように、そういう方向で検討したいと考えておる。

〇伊藤(勢)委員 昨年、宮古港に試験寄港ということでTSLが来てくれた。これは言ってみれば今後の日本の、あるいは東北の岩手県の将来の海運という部分については、これは絶対黒船に匹敵する部分であろう。つまり300年の惰眠をむさぼっていたと言われないように今後の港湾を活用しての、いわゆる海外を含んでの政策を展開をするという部分について、TSL、黒船がいい部分を投げかけてくれたということをぜひとも肝に銘じていただきながら、今後の港湾に対する政策を進めていただくように強く要望をしたいと思う。
 次に、北上川の清流化対策事業という部分についてお伺いをするが、昨年がこの事業を始めて20周年の記念すべき年であったようである。これは言ってみれば担当的には環境保健部に属するのか、あるいは商工労働部の工業課に属するのか、あるいは県の河川課という部分かもしれないが、いずれ総合的な成果としては県のこれは成果であろうと思うのでここでお伺いをしたいわけであるが、20周年ということになると、いわゆる20年を経過したということについて、では20歳以下の子供たちがかつて北上川があのように汚れていた部分をもう既に知らない。こういう点があろうと思う。したがって、こういう20周年あるいは15周年、10周年とかいう記念のときにいろんなビデオを撮って皆さんに放映をするのもいいわけであるが、岩手県は大変環境保全に積極的だという観点から、言ってみればかつて東洋一を誇った松尾鉱山の決して後始末ではなくて、環境保全という部分で将来に向けて取り組んでいるんだ、積極的にやっているんだ、総投資額100億円、これからも約7億近いお金を毎年やっていかなきゃないわけであるが、これは次の世代に残すためにやっていることだととらえると、ぜひともこういう部分を次の世代を背負う子供たちにもっと知らせるべきであろう。私は思う。そういう中で北九州市はかつて炭鉱のまちであったから、当時、1平方キロに80トンの廃じんが降っていた。最大では100トン。こういう部分も随時公害対策という部分を取り入れてやった結果、今はほとんどそういうものがなくなってきた。そして、さらには、リオデジャネイロの環境と開発のための地球サミットというところで北九州市は表彰された。あるいはまた、今度は国連の中のグローバル500という賞であるが、これも受賞をしておる。これはいわゆる環境保全をするという部分に一生懸命取り組んだ自治体として表彰をされておる。この表彰を目指すというわけではないが、決して後始末のためにやっている事業とお考えにならないで、次なる世代に残す事業として前向きにやっているということをもっと宣伝をするべきであろうと思うんであるが、例えばそれを県立博物館にショー等の時間でビデオの放映をするとか、そういう部分についてはいかがお考えであろうか。

〇千葉副知事 北上川の清流化の関係については、関係者の大変な努力と大変な費用、そして時間を費やして実現したものである。したがって、北上川の清流化は貴重な歴史の教訓であると考えておる。したがって、このことはできるだけ多くの方々に認識していただくことが大事だと感じているところである。そのため、旧松尾鉱山の新中和処理施設や環境保健部に設置しておる環境情報センターにビデオを備えつけて情報提供をしておる。ただ、今、委員の方から御指摘があったとおり、子供向けのビデオというものは残念ながらない。それから、ビデオの設置場所もごく限られた場所という形になっておる。したがって、今、貴重な御提言をいただいたわけであるので、多くの方々に北上川の清流化の貴重な歴史を認識していただく方法について、これから検討してまいりたいと考えておる。

〇伊藤(勢)委員 いずれこれは大変な岩手県にとっては教訓にもなるし、また、これからの世代に向けてのお手本にもなる事業であろうと思うので、岩手県はみんなでお金を出し合ってこういうものをやってきた。これも継続をしていかなければならない。これは環境保全のいいお手本だと。今、川についていろいろなシンポジウム等、あるいは川という、リバーという部分についてのいろんな部分が出てまいったから、こういう川を守る、洪水対策だけじゃなく川というもののとらえ方が違ってきた、いろんな集まりの中の根本の理念にまずこの北上川の清流化というものを置いていただいて、これからそういう部分を進めていただければいいと思うので、ぜひひとつそのようにお願いをしたいと思う。
 それから、もう1つであるが、本年は宮沢賢治生誕100周年、啄木の生誕110周年記念ということで、これは岩手県が全国に発するイベントであろうと思う。そういう中で岩手県が全国に発するイベントを象徴するのが私は県立博物館だと思うわけであるが、この県立博物館の中に宮沢賢治、そして石川啄木に関する展示、陳列、記述、1行もないのが現実である。私はこの前参ったときに宮沢賢治の何かがないかと説明をしている女の子に聞いたらば、特にないが、1つだけあったと案内をしていただいて、見せてもらったところ、これは宮沢賢治が命名をしたイギリス海岸に落ちていたクルミであると、そういう説明だけであって、私は、例えば岩手県に来た方で岩手県を短時間に知りたいと思う方は大体県立博物館を訪ねるのではないのかなと思う。一方、陳列、展示をする方にはそれぞれ学術的なあるいは文化的ないろんな部分があってやっておられるかもしれないけれども、岩手県を短時間で知りたいと言って来る人は、何々を見たいじゃなくて、あそこに来れば岩手県が大体わかる。こういう部分で来られるんだと思う。したがって、賢治がないのとか、啄木がないのと聞く人はいないかもしれないが、仮にそういう人があったとしたらば、やはり全部詳しくじゃなく、花巻に行けば賢治記念館がある、あるいは渋民には啄木記念館があるとおっしゃるかもしれないが、そうじゃなくて、来てくれる人を大事にするという観点に立つと、どうしても賢治、啄木、あるいはまた、先覚者たちというところの表示にはたった4人の名前しかなくて、芦東山、大槻玄沢、高野長英、大島高任、たったこの4人である。例えば、五千円札になっている新渡戸稲造とか、いっぱいいるわけである。金田一京助、原敬、後藤新平、いっぱいいるわけであるが、そういう部分が全然記述がない、展示がない。こういう部分は大変残念に思うんであるが、これについてはいかがであろうか。

〇千葉副知事 岩手県立博物館は昭和55年に開設されたものであるけれども、開設当初より地質、生物、考古、歴史、民俗、近代美術の6部門について展示を行ってきておる。ただいまの委員御指摘にあった文学については、作家の記念館や文学館など、別の専門の施設において展示することがふさわしい分野であると考えておる。このため、御指摘の宮沢賢治あるいは石川啄木についても、博物館の常設展において関連した展示は行っておらないところである。ただ、石川啄木あるいは宮沢賢治は、本県が輩出した近代日本を代表する詩人あるいは文学者である。特に本年は宮沢賢治の生誕100年、石川啄木の生誕110年に当たる記念すべき年でもある。したがって、宮沢賢治の生誕100年を記念して県立博物館の特別企画展として、本年6月から7月にかけての約1カ月を会期に生誕100年記念宮沢賢治の世界展を開催することとしておる。県立博物館は、開設以来既に15年を経過しているわけであるが、また、県立美術館の開設の構想があるけれども、現代美術部門も県立美術館が開設されればそちらの方に移設されるということになる。したがって、展示内容全般について根本的な見直しを行う時期に来ていると考えておるところである。
 新たな展示内容は、具体的にどのようなものにするかについては今後検討を深めてまいりたいと考えておるけれども、いずれにしても県民の要望に積極的にこたえながら、多くの方々に親しんでいただける博物館にしていかなければと考えておる。

〇伊藤(勢)委員 県立博物館は県政100年を記念して建てたということで、昨年が15周年である。この15年の中にいろいろ世の中も変わってまいったし、特にも入館者数がどんどん減っている状況にある。平成5年度は1万4、871人であったが、平成6年度はその半分以下の六千七百幾らに減っておる。こういう部分はやはり世の中が変わってきたということと、あるいは1回行ったからもういいんだということ等いろいろあるかもしれないけれども、岩手県を全国に発信する中心たる県立博物館として来ていただける方に、短い時間でも大体の概略がわかってくれるような、専門的じゃなくてもやっていただきたい。
 それから、賢治あるいは啄木のイベントを1カ月間やるようであるが、それが終わっても全部撤収をせずに幾らかを残していただいて、賢治、啄木がわかるような状況にしていただきながら次を考えていただければいいなということを要望して終わる。

〇藤原(良)委員 委員長の2時を目途にというお話しもあったので、意を体して、1回限りで終わるのでよろしく御理解いただきたいと思う。
 副知事が出席されておるのは総括だけであるので、吉永副知事に御見解をひとつお示しをいただければということである。
 生活雑排水対策について、その整備強化に向けての御見解をいただければと思うが、今各会派のそれぞれ総括で取り上げていただいてお話を聞かせていただいた。菊池勲委員からも出た、下水道の整備。そしてまた黄川田徹委員からは、国際化の対応についてお話があった。私は、岩手県のこれからの大きな政策の中でいろんな課題はあるけれども、その中心を占めていくのではないかと思っておる。今、それぞれお話しあったけれども、国際化に対応するために世界に開かれた岩手をつくっていくんだと。その中身は、外国人が日常生活の中で何不自由なく暮らせるような、そういう不足のないような対応ができるようなまちづくりをするんだと、それが国際化の強化であると、そういう岩手県づくりを目指したいんだという総務部長の御見解もあった。私は、そういうこと等も含めて、昨年の12月決算特別委員会で各部局にわたってこのことについて提言を踏まえながらも申し上げてまいった、強化をすべきであると。
 4人家族で、1日に排出される生活雑排水は平均1トンだそうである。これは何の規制もないのであり、河川に流れてそして海に流れていくわけである。地球的な環境汚染の問題も取り上げている今日であるけれども、トイレがポトンポトンの世界では、これは自信を持って胸を張って、岩手県が世界に開かれて何不自由のない岩手県だということが言えるのはいかがかという感じをする。私は議会の理解をいただき、菅原温士委員と吉田洋治委員と私と、スイスの老人ホームを見させていただいた。その折、富士山より高い3、800メートルを超えるある村に宿泊をさせていただいたが、そこでは2メートルぐらいの畦道にマンホールがあるわけである。何だろうと思ったら下水道整備をしておると。三十数戸の村でそういう富士山より高いところでも下水道整備がされている。これは歴史観も違うので一概には比較できないけれども、物質文明がかなり発達をしておっても、いざ足元を見ると、本当に地域は地方になればなるほどトイレが御案内のとおりであり、そしてそれだけではなくて、今環境汚染の問題も叫ばれておるけれども生活雑排水対策、これを強化していくことが生産性の向上にもなると、産業の進展にもつながっていくと、そう思うわけである。ところが、国の方針も、生活環境の整備ということで下水道予算の強化は年々なされておることは御承知のとおりであるが、それぞれの合併浄化槽あるいは漁業集落排水、農業集落排水あるいは下水道、建設省、農林水産省、厚生省それぞれの国庫補助での施策であるけれども、すべてこれは事業主体は市町村である。そうすると、予算の獲得については極めて容易な環境条件になっておるけれども、しかし起債を各市町村がやるわけである。公債比率が出てまいって、やりたいんだけれども──さあ、使ってもらいたいと、予算はどうぞ使ってもらいたいという流れであるが、いざ事業をするとなるとなかなか進捗はこれはやれないと。公債比率のそういうような問題を抱えておるので、借金をするということ、一時的に借金をするということで、私はそれでもやった方がいいと思うけれども、しかし総務部長の足元となっている自治省は一定の限度を設けておるから、それ以上の公債比率を高めないでほしいという限度を設けておる。したがって、それらと相まって、今の状況下でなかなか進捗が進まないんじゃないかと、そう思っておる。よって、県がその市町村の事業主体が進みやすい環境づくり、進捗がしやすい環境づくりをどう整えていくかということが、岩手県の大きな政策の中心になっていく、これから。私は、岩手県は下水道を含めた農業、漁業の集落排水の整備を全国平均以上に進めていった場合、イメージアップも高まるし胸を張れる、いわゆる世の中に対して、日本だけじゃなくて外国に対して胸を張れる岩手県づくりにつながっていくのではないかと思う。実もとれるのではないかと、生産性の向上にもつながるのじゃないだろうかと思う。吉永副知事は外国生活も長いわけであるし、立場上、仕事上で、国際的によく熟知されている方なので、今までの経験から踏まえて、ぜひ、せっかく岩手県に来られたので、また担当部署の副知事、岩手県の最高執行部の1人であるので、ここでひとつ御見解をお示しいただいて、その進捗を強化する上で岩手県としていろんな制度──制度がなじむかどうかもあろうと思うけれども、しかし過去において例えば道路で言うと、県単高速ということで今新交流ネットワークということで、県単の予算、今回5カ年で400億とっておるけれども、そういうことで道路網の整備をしてまいった、県単独予算である。私は事業主体が市町村であるので、岩手県がどういう形で応援をしたならば進捗が進みやすいのか、これはいろんな方法論があろうと思うけれども、具体的に今出しにくいかもしれないけれども、決意を含めてその御見解お示しをいただきたいと思う。

〇吉永副知事 生活雑排水対策、下水道対策が非常に重要なものであるということについては、委員御指摘のとおりである。下水道が整備されているということは私どもにとってはシビルミニマムのようなものであり、これは本来ならば当然のものとしてまず真っ先にあるべきものと私も考えておる。今後の県政の中で重要な課題として取り上げられてくるものと思う。また、委員御指摘のとおり、下水道をきちっと整備していくと観光その他でも十分なイメージアップにもつながるし、かつまた生産性も向上するものと考えておる。委員御指摘のとおり、当県の場合は全体の率としての下水道の普及率が低いというだけでなくて、その普及率に県内に大きな格差があるというものがもう1つの問題としてあるかと思う。過疎という問題もそういう下水道に対する格差をなくしていけば、ほかのものもそういうところに定着するといった、そういった効果もあり、県全体としてのイメージアップ、その力のアップ、また、県土の均衡ある発展というものもそうした下水道格差みたいなものを是正ということで行われるという、そして全体として県政としては非常に大きなものになり、県民生活にとっても非常に重要なものとして世界に胸が張れるようになるということは委員御指摘のとおりであり、私も全く同じ考えである。委員御指摘のとおり、国も実はこういう下水道の整備については確かに重要だと考えており、例えば国の公共都市基本計画においても、こういう下水道を含める生活環境に最も重点を置いた社会資本の整備をするべきだと言っておる。国全体においても、社会資本は81年、90年、生活関連50%であったものをこれを60%に高めるということを言っておる。こうした生活関連の社会資本の整備が日本国全体として非常におくれてきたということがやっぱり今日のような、委員がスイスでごらんになったようなことをもたらしているかと思うわけである。ヨーロッパとかアメリカでは、既に18世紀、19世紀に行われていることを、私どもの場合おろそかにしてきたということではないかと考えるわけである。
 次に、国はそういうことで、こういう下水道の整備には非常に重点を置いているわけであるが、委員が鋭く御指摘になっているとおり、この下水道の整備というのは市町村が事業主体であり、国費が2分の1出るからどんどんやろうと言っても、市町村にとったら起債の問題もあるが、自分からそれに対して出す額、これはパーセントは低くてもかなりの額になるわけであるので、なかなかその辺が進まないという問題である。そこで、市町村にそういったものを進んでやらせるような何らかの方策がとれないかというところで委員の御提案があるので、そういう地域の負担を軽減する方法としてどういった方法があるかということを含めて、委員の御提言を真剣に検討させていただいて、何とかそれが成果を生むように考えていきたい。

〇伊藤(孝)委員 吉永副知事にお伺いする。
 県勢の発展計画についていろいろとお話をちょうだいした。均衡ある県勢発展という課題について、今まで岩手県においでになられてからいろいろとお考えになったと思う。私は特に先ほどFAZという問題に手を挙げたわけであるが、4大港湾と称する岩手県の三陸海岸に対する港湾をどのように発展させなければならないのか、あるいは均衡ある県勢発展というものは、どういう色合いをつけながら沿岸部分と内陸と中間の山間部との発展をどうすればいいのかということをお考えになっておるとするならば、最初に一言その部分をお伺いしたいと思う。

〇吉永副知事 大変に大きな問題であるし、非常に重要な問題だと考えているわけである。そのFAZに関係するその前ということであるので、岩手県は重要港湾はあるわけであるけれども、特定重要港湾がない。これはあれだけ港は海岸線がありながら──私は最初に岩手県に来て地図を見たとき、不思議だなと思った。特に、東北地方は特定重要港湾がない。全国地図を見ると、やはり西の方に偏っているという現実である。そういうのが那辺にあるだろうかということを考えてまいったわけであるが、やはりこれは全国的に見た場合には、1つは空港あるいは道路といったものが戦後西の方に延ばすことをまず行われたということ。西の方に延ばしていったときにちょうど高度成長とぶち当たって、物流というものがちょうど起こっていたころにそういうことが行われたために、特定重要港湾を含めたそういう港、空港、道路といったもの、そういったもので西の方にそういうことが発展していったのではないかと考える。そういうことから考えると、今岩手県にとって海岸部、沿岸部の地位を高めていって均衡ある県土の発展を図るためには、まずは今真ん中を通っておるところとの間の交通の便をよくするということで、道路整備をきちっと図るということがまず第一ではないかと思う。まず道路整備をきちっと図るとともに、沿岸部は沿岸部独自で交通できるような道路をまた整備すると、そういった道路整備をきちっと図っていくと港湾整備といったものもおのずから必要性が出てまいるし、そういったところから、あとは岩手県のいろんなよさを見て企業進出といったことも起こってくる。日本国全体の経済成長率がかつてのような高度成長の時代でないので、そういう点ではいろいろと不利があるが、そういうことを図ることが、まず県勢を均衡がとれて発展させるために必要ではないかと考えておる。

〇伊藤(孝)委員 岩手県では庁議というものが月曜日10時から毎週やられているように伺っておる。その庁議の中に、県勢発展にかかわる問題というものは出ないはずはないと私は思う。今おっしゃられた日本の国土全体を見た場合に、西側に先にそうした発展計画をつくり、後進的に東北方面に来たと。東北方面は内陸から始まったと今御答弁伺ったが、しかし、それが正論だろうかと思うわけである。沿岸に沿って発展性というものが自然的現象で私はそうなってきたのであろうと、こう思うわけであるが、庁議の中に──言いたいことは、時間が、本当はこういうことを言うつもりではなかったが──テクノポリス構想というものを県勢発展計画の基盤にした。これは議会総挙げて結論を出したのも今から十数年前のことである。その構想は、国の指定が盛岡を母都市にして北上下流に走ったわけであるが、それも北上から中心、花巻以降、特に工業団地が誘致運動を展開してあのとおり工業化が促進をし、まずまずの角度まで来たのではないかと私はそう思う。しかし、そこで庁議の問題がどのような辺となってきているのか。今までの間にどこまでそういう庁議の中に話が出たのか。テクノポリス構想の根源は産官学となっておるが、学は庁議の問題ではないと思う。これは研究機関の問題だと思うが、その研究機関を持ってくる場合においては、県庁のそういう総合的な総括のきょうは場所であるから申し上げたわけであるけれども、その場合に、学の問題という話が出なかったであろうか。何遍話し合いが出たであろうか、それをお伺いする。

〇吉永副知事 私の先ほどの説明が非常に不十分であったかと思い、不十分な点は深くおわびするが、私はテクノポリス構想の前の段階、新産業都市とかそういった段階でどういったことが国について行われたかということを、そういったことのために特定重要港湾が西にあったということを説明したわけである。テクノポリス構想が出た後、それから後は重厚長大型じゃないような産業が日本全国に求められてきたわけである。そういう時代になって、岩手県、東北というものは非常に脚光を浴びてきて、そのころから新幹線も縦貫道もできたという実態で、それから東北の時代になってきたんだと。しかし、そのときはむしろ重厚長大型の産業を持たなかったがゆえのいろんなメリットというものが生かせているんじゃないかということを考えているわけである。
 それから、庁議ということであるが、北上川流域のテクノポリス構想というか、産業とそういった技術を結びつけて岩手県の県政を引っ張っていこうという感じの議論というものは、これは岩手県について長期構想を考える場あるいは庁議、あるいは庁議の後に、庁議メンバーで行われる協議の場で何回も出ていると、私が参ってからでもかなりの回数出ておる。何回というのはちょっと私考えておらないのでお答えしかねるわけであるけれども、これは知事以下、皆、真剣に委員御指摘の問題を常に考えていると考えていただきたいと思う。

〇伊藤(孝)委員 最近の副知事であるから、以前のことからということになるとちょっと申しわけない話であるが、職場上お聞きいただきたいと思う。
 重厚長大産業というものはずっと以前の問題であり、本県も新しい産業構造に突進をし、そして肩を並べるわけにはいかないにしても、西の経済圏と同様にいきたい、あるいは東北6県の中にも岩手県政というものを誇りにしたいというのが我々議会の一同の心でもあるし、また、県政に携わる知事初め副知事あるいは各部長方の御同意でもあろうと思う。しかし、進める順序として、今岩手県の空港がしからば長大産業から軽小産業になってきたからといって、花巻空港にそれだけ重要に政策を向けてきたかということが第1点。私は、テクノポリスとのつながりを重要視した話し合いというものはないのではなかったのかと。だから今のようにおくれてしまっているんだと、このようにしか言えない。それで、最後にまただんだんに重厚長大産業に変わりつつもある。同じようなレベルで今進んでいる。半導体1つとれば軽小産業であるけれども、重厚長大産業にも今出てきているのは関東自動車である、わかりやすく言うと。そのほかにもたくさんある、江刺の工業団地や鉄工団地もたくさんある。そうなると、やっぱり軽小産業だけを論ずるのではなくて、すべての分野にわたって岩手県政の広い分野を眺め均衡ある県土の発展というものに注目をしなければならないと、このように私は思うわけである。したがって、先ほど4大港湾だけを付したが、大船渡、釜石あるいは宮古、久慈、均衡ある県政となると、これに色目をつけた場合にどういう色張りをしたのかというのは最初の第1点なんである。ところが、それにはまだ色張りがなっていないと、私はそう言って過言でないと思う。その色張りさえなれば、ここはこう持っていく、ここはこのようにいく、このようにしたいという、そういう県政の指針というものが私はあっていいと、こう思う。
 FAZに戻るが、今、FAZの問題を論じていないのは岩手県政だけである。6年前からこういう問題が発生して秋田県議会、山形県議会、あるいは青森県に行っても、FAZの問題を今論じない県は岩手県だけである。だから、私は何としたことだということで再三これを1人で論じてまいった。4回目、しつこいだろうがということで、少ないたった20分間の中に代表質問もさせていただいたが、思うような答弁内容が得られなかったので今やむを得ずまたここに立ったわけであるが、そうした色合いの中に、重厚長大産業も今ぽつぽつと工業誘致の中に出てきた関係の中で、フォーリン・アクセス・ゾーンという話がいまだかつてなかったのかということが私が一番聞きたいところである。それがあったのかないのか、ひとつ庁議を1週間に一遍ずつやっているのだからお伺いしたいと思う。

〇吉永副知事 私は昨年7月に参って、今日までの庁議に出た経験から正直に申すと、FAZ自体は庁議とかその他でそのまま取り上げたことは私の記憶ではなかったかと思う。ただ、しかしFAZの重要性は委員御指摘のとおりであり、確かに委員の御指摘の点で私考えるのは、新産業都市以来いろんな構想が国で出たときに、とにかくまず手を挙げて何らかの指定をもらうということをする県が大変多い中において、岩手県というのはそういう点ではやはりいろんな県民性がそこにも出ていると思うけれども、つつましくそういうことをしなかったという点はあるのかもしれない。やはり、例えば岩手県は4重要港湾全部あわせても、現在の荷取扱量が青森県の八戸に及ばないといったような事実だけで尻込みしてしまって一切やらないとか、一切そういうことは最初声も出さないというようなことがあるのかもしれない。しかし、他県においては、そういう状態においてはまず手を挙げるということから、それから帰ってそういう手を挙げたことにふさわしい実態の方をつくっていこうとするという、そういうことの違いがあるのかと思うわけである。ただ、このFAZの問題においては、委員からの御指摘を何回も受けており、私どももFAZの前提となるいろんな物流が起こるという、あるいは荷物量がどの程度の量として見込めるかといったようなことについて勉強するとともに、かつまたそういったFAZが本当に指定にできるような、そういう環境になるような努力というもの自体は、これは県勢の発展にとって重要なことであるので、そういう点はやっていきたいと、そういうことで考えており、そういう議論、FAZに関係なくても県勢の発展を目指したときに、物流量をどうふやしたらいいかといったような議論は県庁内においても今まであったと考えておる。

〇伊藤(孝)委員 非常に残念であり、これ6年前から私しゃべっていることである。ところが、その問題が無視されてきたということにしかならない。大体、議会で議論してみんないろんな委員方が真剣に議論している。その議論している中から何点が取り上げられているのかということになると、岩手県議会というものは、質問して答弁すれば、それであとはその後は終りなんだと、そういう雰囲気で仕方がない、今まで過去振り向いてみても。そういうような観点の中で、なぜテクノポリスからFAZに私は結びつけたかということは、今の大量物流輸送時代というものは国内だけじゃない。アジアまで今伸びてきた。アジアが今まで何もなかったころにはそういうものは出てこなかった。御時世の変化というものは、世界の経済変動を大きく揺るがしていることは御承知のとおりだと思う。その変動のあるたびごとに県政も変わってくるわけであるから、政策面において今度は大量物流輸送時代ということになってくると、あるなしにかかわらず、内陸のなぜテクノポリス構想の荷の扱い方について注目しないのかと、そういう段階であるからどこまでもおくれていく。均衡ある県土の発展なんということは、ただの言葉遣いだけだということになりはしないのだろうかということである。道路を幾らつくったって、拠点がなかったら沿岸はいつまでも寂れる。私はそんな感じがしてならない。沿岸とともに内陸も発展することによって、県土全体が潤ってくる。先ほど藤原委員が申されたような、雑排の処理の問題から何から皆必要になってくる。すべての生きる産業構造の中の指針というものは、この2つの構造にあるのではないか。
 また戻って聞くと、テクノポリス構想という問題の中に、研究機関を連ねるというそういう構想は、考え方はないのだろうか。ただ、工場だけ誘致、市町村やればそれでいいんだということなのであろうか、いかがであろうか。

〇吉永副知事 その前に、県議会の委員方の御質問あるいはそこでいただいたものについては、私どもは最大限に──初めてその場で目を開かせられたようなことがいっぱいあるので──最大限に尊重して、県勢の発展のために実現できるものは最大限実現するように努力してきていると思うし、私自身はそういうふうにしてまいりたいと考えているところである。
 それからテクノポリスであるが、テクノポリスについては研究機関を連ねるというか、単なる工場誘致ではなくて、そこには研究機関のようなそういったものも一緒にしたものを置いていくというのがテクノポリスの、本来北上川で考えているのは、そういったものを見ているということになっていると存じておる。

〇伊藤(孝)委員 これで終わるが、いずれテクノポリス構想を始める段階には、産官学を主張し研究機関も必要だ、そして産業構造も強化していく、誘致工場を展開する、民間もそれに対して協力しろと、こういう基本方針のもとに十数年前に始まった。そしてようやくテクノポリス構想、バイオテクノロジーという研究機関が1つ出たが、完全なものでないから今基礎的研究と名づけている。あれをほどいていくとまた時間がかかるから言わないが、いずれにしても内陸にこれだけの工場誘致が出てきた、そしてアジアの韓国、台湾、中国、それぞれが物流が大きく動き出した。その影響で我が国も今の不景気になったり価格破壊現象が発生したりややこしい経済構造になってきた。これは言わずとおわかりであろうが、こういう中で、物流の大量輸送時代というものが否応なしに本県もその仲間入りをしなければならないことは、もう上司各位の皆さん方は御承知だと私は思う。これを一向話し合いをしないで来たということになると、何を目標にして県勢発展計画というものをやっているのだろうと、私からはそういう疑問がある。県政は、これだけの2つの問題ではないが、それが始まりとなっていろんな医療福祉の問題から環境保護の問題からさまざま発展していく問題だと私は思う。今、林業も漁業も農業も、飯を食えないような商業会もそのとおりである。前途は真っ暗、希望は何もない。そういう状態の中で、貿易という問題をいかに強調しなければならないかということを考えた場合に、もっともっと真剣に庁議の中に県政課題というものを引き出して、そして御検討くださるように私はお願いを申し上げたいわけである。
 いつまでもいる副知事ではないが、県政にそれだけの大きな功績をお残しになるようにこれからの努力に御期待をしたいわけであるが、その努力のほどをひとつお示しをしていただいて終わりたいと思う。

〇吉永副知事委員 御指摘及び御提言のことを踏まえて、私は非常に能力が限られており、できることには限りがあるけれども、全力を奮って、全能力を奮って、何とか委員皆様方の御期待に沿えるように、私がここにおるときは最大限頑張ってまいりたいと考えておる。

〇那須川委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇那須川委員長 質疑がないようなので、、これで総括説明に対する質疑を終わる。両副知事ほか執行部の方々、御苦労さまであった。
 これより各部局の審査に入る。
 最初に、議会事務局長から議会関係の説明を求める。

〇渡邊議会事務局長 平成8年度の議会関係の歳出予算について御説明申し上げる。
 恐れ入るが、議案その1の6ページをお開き願う。
 第1款議会費は総額15億4、019万円余であるが、この詳細については、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げるので、予算に関する説明書の85ページをお開き願う。 1目議会費の11億73万円余は、議員51人の報酬、旅費等議会運営に要する経費である。次に、2目事務局費の4億1、488万円は議会事務局職員35人分の人件費及び事務費等で、事務局の管理運営費に要する経費である。86ページであるが、3目議員会館費の2、457万円余は、議員会館の管理運営に要する経費である。
 以上で、議会関係の予算について説明を終わる。よろしくお願いする。

〇那須川委員長 ただいまの説明に対し、質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇那須川委員長 質疑がないようなので、これで議会関係の質疑を終わる。
 次に、総務部長から総務部関係の説明を求める。

〇大隅総務部次長 総務部関係の歳出予算等について御説明申し上げる。
 便宜、お手元の予算に関する説明書で御説明をするので、予算に関する説明書の87ページをお開き願う。
 2款総務費1項総務管理費1目一般管理費41億207万円余のうち、総務部関係各課の人件費等の管理運営費は23億6、606万円余であり、共通経費は休職者に係る人件費、人事異動に伴う赴任旅費等である。88ページ、2目人事管理費は39億3、623万円余で、この主なものはオンラインシステム運営費、退職手当及び公務災害補償費等に要する経費である。3目文書費は、文書収発、公文書公開等に要する経費であり、次ページ、4目財政管理費は、財政調整基金、公共施設等整備基金及び地域振興基金の果実収入の積み立てが主なものである。次に、90ページに移る。6目財産管理費は、県庁舎、地区合同庁舎、職員公舎並びに通信施設の維持管理に要する経費等が主なものである。次ページ、7目東京事務所費は、施設整備に要する経費等を計上しており、8目公会堂費は、管理運営に要する経費、9目恩給及び退職年金費は、恩給、退隠料及び扶助料等に要する経費であり、10目諸費は、次ページ説明欄に記載の国際交流推進及び国際協力推進に要する経費並びに財団法人岩手県国際交流協会出捐金等が主なものである。93ページ、11目庁舎等施設費は、地区合同庁舎の整備に要する経費である。
 次に、98ページをお開き願う。3項徴税費であるが、1目税務総務費は、税務関係職員の人件費等の管理運営費であり、2目賦課徴収費は、個人県民税徴収取扱費交付金など賦課徴収に要する経費である。
 100ページ、4項地方振興費であるが、1目地方振興総務費は、地方振興局総務部職員の人件費を含む管理運営費を計上しておる。2目市町村振興費は、自治振興基金貸付事業費、市町村振興宝くじ交付金、ふるさと創生推進事業費等を計上しているものである。 102ページであるが、5項選挙費1目選挙管理委員会費は6、289万円余、2目選挙啓発費は1、235万円余、次ページ、3目海区漁業調整委員会委員選挙費は3、224万円余を計上しておる。
 104ページをごらんいただく。6項防災費1目防災総務費は8億818万円余で、この主なものは総合防災センター施設等整備事業費、航空消防防災体制強化推進事業費等に要する経費であり、2目消防指導費は、消防学校施設整備事業費、コミュニティー防災資機材等整備事業費補助等が主なものである。
 次に、恐れ入るが256ページをお開き願う。10款教育費8項大学費1目大学費は71億5、788万円余で、県立大学の整備に要する経費であり、2目短期大学費は12億6、344万円余で、短期大学及び附属幼稚園の運営に要する経費等を計上しておる。
 258ページ、9項私立学校費は53億3、258万円余であるが、その主なものは、私立学校運営費補助、私立高等学校の新時代を開く特色ある学校づくり推進事業費補助等である。
 次に、267ページをごらんいただく。12款公債費は総額711億6、326万円余であり、前年度に比べ10・7%の増となっておる。
 次に、272ページをお開き願う。13款諸支出金である。5項利子割交付金は計上額20億4、510万円余、次ページ、6項ゴルフ場利用税交付金は4億8、066万円余、274ページ、7項特別地方消費税交付金は1億9、637万円余、次ページ、8項自動車取得税交付金は42億6、148万円余で、いずれも市町村に交付するものである。276ページ、9項利子割精算金は1、655万円余の計上額である。
 次ページ、14款予備費は前年度と同額の3億円を計上しておる。
 次に、債務負担行為について御説明を申し上げる。恐れ入るが議案その1をごらんいただく。11ページである。第2表債務負担行為のうち、事項欄の1から4までの4件が総務部関係のものである。これは、県庁舎管理費に係る電気設備改修工事等について、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものである。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げる。
 61ページをお開き願う。議案第16号防災行政情報通信ネットワークの建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、平成8年度において実施する防災行政情報通信ネットワークの建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものである。
 次に、議案その2をごらんいただきたいと思うが、14ページをお開き願う。議案第23号岩手県職員定数条例の一部を改正する条例であるが、これは、警察官の増員を図るため、職員定数を改正しようとするものである。
 次に、18ページをお開き願う。議案第27号自治振興基金条例の一部を改正する条例であるが、これは、自治振興基金の額を増額しようとするものである。
 次に46ページをお開き願う。議案第40号当せん金付証票の発売に関し議決を求めることについてであるが、これは、公共事業等の財源に充てるため、全国自治宝くじ及び関東・中部・東北自治宝くじの発売限度額を88億円に定めようとするものである。
 以上、総務部関係の議案について御説明を申し上げたが、よろしく御審議くださるようお願いする。

〇那須川委員長 ただいまの説明に対して、質疑はないか。

〇佐藤(正)委員 御指名をいただいてありがたい。
 私事であるが、先般の私の入院に際しては、知事初め執行部の皆さん、それから正副議長、先輩、同僚の皆さんには大変に御心配いただき、激励やらお見舞いをいただき本当にありがたい。本席を借りて御礼を申し上げる次第である。
 さて、総括も終わって副知事も退席されたわけであるが、昨年の12月、吉永副知事には、各部長ともども予算獲得の陳情に大変に御苦労をおかけしたわけであり、吉永副知事はその際、12月24日のコメントでこのように述べておる。
 厳しい財政状況の中で、本県関係予算は100点満点に近い獲得をしたと、こうおっしゃっておられた。それに対して知事は、2月6日の記者会見で、当初予算で一部やりたいことが盛り込めなかったが、厳しい財政の中で必要な限りやったと、こうおっしゃっているわけであるが、知事と副知事のコメントでちょっと微妙なずれがあるわけであるが、一部やりたいものがやれなかったと、いわゆる政策案件であるが、何か非常に大きな案件があるようであるが、これは何であったかひとつ伺いたいと思う。
 第2点は、財政運営についてである。
 これも先般来の各党、各派の皆さんの総括でかなり出尽くしているわけであるので省略をしておくが、質問通告をしていた分、特に代表質問の中で工藤篤議員の答弁で、知事は、税収は不景気で見込めないが、歳入の洗い直し、経費の節減、県債の活用で何とかやっていきたいと、こう言っているわけであり、いわゆる歳入の洗い直し、経費の節減というような具体的なものがどの程度盛り込まれているか伺っておきたいと思う。
 次に、私は病院で各党の代表質疑をテレビで見ておったが、伊藤孝議員は質問の中で、住専に絡んで大蔵省役人の天下りを大変に御批判されておられた。私もかねてから天下りについては功罪ともどもあると、こう申し上げてきたわけであるが、本県ではまた4月の異動時期に当たり人事が発表されるわけであるが、この際私は国からの天下りが──総務部長、余りジロッと見ないでほしい──国からの天下りについては再三申し上げてきたので、この際申し上げない。
 そこで、県からの天下り、県からの外郭団体、公社あるいはただいま斉藤委員からもお話があった競馬組合等々、法人が約128あるわけである。ここに現在どの程度県の幹部が天下っているのか、これをお示し願いたい。これは質問通告してあるからわかると思う。
 それから、第4点である。
 高知県では知事が、職員の受験資格の中で、国籍条項の撤廃を断行した。ことしから採用すると、こう言っているわけであるが、高知県の知事の決定に対して本県ではどのような御見解を持っておられるか。また、本県の外国人の採用状況はどの程度、これを伺っておく。
 次、第5点であるが、岩手21国際化推進計画、これは昨日であったろうか、黄川田委員からの詳細な質問があったので省略をする。
 そこで、この中で外国人の研修生の受け入れ拡大、留学生の支援という部分があるが、この外国人研修生の受け入れの状況、現在何人ぐらい受け入れているのか、また、拡大ということは将来どういう方法で拡大していくのかどうか、これを伺っておく。
 それから姉妹友好クラブ、これは大分前から議題になっているが、これは現在では当面特定のところとは交流クラブをつくらないでやっていこうということであるが、最初はどうであろうか、これは姉妹クラブをつくろうということで何カ所か相手方を見つけ交渉しておったが、その後どうなったんだろうか、立ち消えになったんだろうか。それともこれは一切やめて、言われるように各国、各都市との姉妹提携と準じたものをやっていこうということなのであろうか、これもひとつ伺っておく。
 それから6番目であるが、平成7年12月26日の岩手県報を見ると、人事課では、免職処分にかかわる書面の交付にかかわる告示と、こういうことが出ておる。これはいかなる理由で免職されたのか、これを伺っておく。

〇上田総務部長 千両役者が登場なさって、大変緊張しておる。
 私から、高知県の知事の見解に対する考え方とそれから姉妹提携についての考え方をお答えさせていただきたいと存ずる。
 高知県の知事が、県職員採用について、一般行政職について国籍条項を取り外すんだと、こういう御発言があった。これについて国の方では、国家としての当然の法律ということがあると聞いておるが、私どもとしては国の考え方にもそれなりの考え方があるものと存じておるけれども、特定の知事の見解に対して一部長が論評することは差し控えさせていただきたいと存ずるものである。
 それから、姉妹提携についてであるけれども、この問題は私も御縁あって、ここ3年近く直接かかわらせていただいているわけであるが、この間の経緯を見てみると、確かに国際交流推進懇談会の一定の時期に姉妹提携を念頭に置いて検討を進められたことは事実である。その懇談会の議論をずっと見ておったけれども、どうしてもこの国、この省あるいは州と提携できるあるいは提携すれば、県民として全体に納得できるという状況に立ち至らなかった状況と受けとめており、そういうことも踏まえて、午前中のときにもあるいは御紹介申し上げたかと思うが、そういう姉妹提携等の機が熟した段階でそういう段取りに進むべきではないかと、こういう懇談会としての一応の最終的な御判断をいただき、これを踏まえて今後対応していかなければならないと考えているところである。

〇佐藤財政課長 それでは、私から政府予算統一要望の件と、それからもう1つ歳入等の洗い直しの件であるが、この2点について御答弁申し上げる。
 予算統一要望については、御案内のとおり、昨年の11月17日、県議会と一体となって統一要望を実施したわけであるが、この中身としては、県政推進上重要な事業ということで108項目を選んでその実現に向けて要望申し上げたということになる。その成果ということで委員から御指摘のあったとおり、吉永副知事のコメントについては、東京で行われたようであるが、新聞でもちろん知っているわけであるが、もう1つ、次の日、たしか25日に閣議決定ということで、あわせて知事からもコメントが出されて、その内容とするところは副知事と全く同じであるけれども、ほぼ要望どおり配分されるなど、全体を通じておおむね所期の目的が達成されたということで知事からもコメントが出ておる。
 委員からお話しのあった2月6日について、これを調べたところ、これについては先ほど委員からも予算というお話しあったが、まさに当初予算それから平成8年度の主要施策重点事業についての記者発表の中で同様のお話が出ており、幾つかもっとやりたいと思っていることもあるが、それは来年度以降のテーマと考えておるということで、ここの背景はかなりことしの予算編成については財政環境厳しい中編成したわけであるが、したがって、緊急度、優先度、そういうものを厳しく選択して、限られた財源の重点的あるいは効率的なそういう配分に努めた結果、やむなくしてそういう事業も幾つか出てきたというお話かと思う。それについては、来年度以降の課題にしようと、こういう趣旨であろうと存じておる。
 それからもう1つ、財源確保対策であるが、ただいまも申し上げたように大変県財政の状況については厳しいわけであるが、そこで財源確保ということでいろいろ努力をした。 具体的にちょっとお話し申し上げたいわけであるが、まず1つには、歳入関係で使用料、手数料、これらの見直しを行っておる。その使用料については8件、1億600万、それから手数料については6件、1、200万、あわせて1億2、000万ほどになる。これらについては毎年度見直しを行っておるが、今年度についても同じように行った結果である。
 それから、財政調整基金の取り崩し、これが10億、それから県債管理基金の取り崩し、これが140億、それから公共施設等整備基金についても160億と、これは基金を取り崩しておる。それから、法人県民税の超過課税については平成8年からさらに延長するということにして、6億200万確保いたしておる。また、マイナスシーリング、これは経常的経費に5%を掛けており、それによって浮いた額が9億円ほどある。それから県単独補助金の整理合理化、これも80件になり45億3、200万、それから県の単独事業、これの見直しをして思い切って廃止したものが53件、それが31億1、100万ということになっておる。ただ、県単補助金については、整理合理化するというのは廃止すると同時に、あわせて別な形でより一層効率的な、あるいはより一層需要のある行政に向けるような形のものに置きかえたというようなものもこの中にはもちろん相当数含まれておる。

〇飛澤参事兼人事課長 2点について御説明をする。
 天下りと申し上げたが、県の退職者が公社等に就職しているかという御質問であり、各部局に県が出資しておる公社等について照会して役員に就任している状況、これを調べたところであるが、39法人に対して45人就任しておる。それから、これを部局ごとに申し上げると、農政部の所管する法人では12人、以下、商工労働部10人、土木部7人、総務、企画調整部、生活福祉部が各4人、教育委員会、林業水産部各2人となっておる。 それからもう1点、免職処分の件であるが、この職員については長期の無断欠勤ということで、分限免職処分としたところである。

〇保坂国際交流課長 海外技術研修員の受け入れの状況等について御説明する。
 この事業は、開発途上国または本県出身者のおる南米移住国に対する技術協力援助の一環である。対象者としては、受け入れ対象国の経済発展に必要な職種に従事している方で中堅指導者となり得る方、18歳以上40歳未満の方々を対象として、毎年10カ月研修を実施しているものである。
 受け入れの推薦をいただく機関であるけれども、これは各国の政府、地方政府も含む、それから在外の県人会長、それから国際協力事業団のそれぞれの事務局等々から御推薦をいただき、56年度から事業が始まったものであるから、今年度で114人の技術研修員を受け入れておる。平成7年度、本年度については、アジアから6人──中国4人、バングラデシュ1人、インドネシア1人の6人である。それから南米からはブラジル、パラグアイ、アルゼンチンであるが6人、あわせて12人を引き受けておることになっておる。引き受け先としては、県の試験研究機関、林業技術センター、工業技術センター等の県の試験研究機関が半分、それから民間の企業半分、こういう格好となっておる。
 なお、今後の拡大の方向であるけれども、平成8年度からは海外自治体研修員、こういう制度ができた。それで地方自治を研修したいということで、これはタイの方から1人参ることになっておる。さらには、現在交流を続けておる中国の方から医療研修生という形で中央病院の方に2名8年度研修に参ると、私どもとしても随時こういう研修生の枠の拡大を図っていきたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 それぞれに御答弁をいただきありがたい。予算議会であるので、何を言っても財政が一番大事である。恐らく知事も県内の景気を刺激するために大型予算というものを組んだのではなかろうかと、こう思っておるが、一方では、議会からもそれぞれに質問があったとおり、非常に健全財政についての心配があるようである。それは、やはり一般会計の借金の残高というのが6年度末で5、939億、これは言われるところの県民1人当たり約41万円、このような計算になっているようであり、いずれこのような状況の中で将来の本県の財政運営というものに対する議会側の心配というものもあるわけであるから、ひとつ十分御配慮賜りたいと、こう思っている次第である。
 それからいわゆる天下り、これは県が関係する法人が約128、うち39法人に対して45人が天下っていると、こういうわけである。なぜ天下りが一番問題になるかというと、先ほど伊藤孝委員の例を引くまでもなく住専もしかりであり、本件では昨日の吉田洋治委員が総括で取り上げた。公社等の運営協議会というのは開かれていないんじゃないかと。であるから、こういう天下りがいる法人の中で、いわば県が4分の1出資あるいは特別職が役人になっているというようなところで、何となく皆それぞれにお互いにもたれ合っているという状況の中で、一番肝心なことであるところのチェック機関の運営協議会さえ開いていないというところがあるわけであり、総務部長は、これに対して将来見直すべきであるという答弁をしているようであるが、一番端的な例は開発公社のスキャンダル、これなど理事長、専務が皆天下りである。今度どういう責任をとるかわからないが、そういうところにもたれ合いが公然と行われているということが問題であろうと、こう思っているわけであり、こういう問題に対してどのようなお考えでいるか伺っておきたいと思う。 それから、高知県の問題であるが、今部長は一部長としてコメントできる段階でないと、こう答弁されている。知事は、知事演述の中で何と言っているかというと、国際的視野に立った地域経済の構築、すなわち国際化時代への対応についてである。さらに、国際交流の一層の活発化を図るため、外国人や外国の文化、慣習についても十分に受け入れることができるような社会を築き、外国人にも暮らしやすい地域の形成に努めてまいる、こう言っている。部長、知事演述読んでいるだろうか。あなたの答弁と違うじゃないか、これは。あなた一部長としてコメントできないというけれども、知事ははっきり言っている。外国人にも暮らしやすい地域の形成に努めたいと、こう言っている。答弁が食い違っている、知事演述と。もう一度この取り組みについて御答弁を願いたい。
 それから、国際交流についてであるが、どうであろうか、今のお話なかなか前向きの御答弁であるが、これは将来教育委員会で問題になろうかと思うが、例えば県立大学、県立大学などにも外国人の留学科みたいなのをつくってどんどん外国人を入れる。これは担当部局でも申し上げるが、そうしていくことによって、外国人との交流をふやすということも1つの方法であろうと、こう思っているわけである。
 次に、これはゼロに近いと思うが、総務部長、本県の外国人の採用状況というものをこれ答弁漏れしておるので伺っておく。
 それから免職処分、これは県報に出ているから、今聞くと長期無断欠勤、立派な御答弁だけれども、要するに行方不明であろう、これ。行方不明。何カ月か何年行方不明なんであろうか。黙っていたのであろうか。これも同じく知事演述の中の14ページにはこう出ている。職員の資質向上と士気の高揚を図り、綱紀を厳正に保持しながら、多様化、高度化する行政需要に積極的に対処してまいると、知事演述14ページ、こう書いてある。いいであろうか。今、私が申し上げた免職処分のほかに、平成7年度には非常に悲しい出来事であるが、県職員の自殺が1件ある。亡くなっている。この理由もどうも余りはっきりしないが。亡くなった方のことであるから余り言いたくないが、なぜ亡くなったのか、どういう理由で亡くなったのか、どこの課かという、亡くなった人に問題があるわけじゃないが、綱紀に非常に緩みがあるんだ。それが結果的には今回の土地開発公社の職員の贈収賄事件ということに発展しているわけである。知事は綱紀の緩みは厳正に保持しようと、こう言っている中において行方不明者、あるいは自殺した職員、そのほかにもまだスキャンダルがあるんである。問題になっていないが。問題になったのはこの土地開発公社の職員であって、この実態をもう少し明らかにして、本当の知事がおっしゃるところの士気の高揚と綱紀の厳正を保持していくということにこたえていかなきゃいけないであろう。特に幹部の皆さんは。どうであるか。その実態と責任者の責任の取り方、ああそうか、部下がどこかへいなくなった、部下が自殺した、スキャンダルを起こした、贈収賄を起こした。しかも、それが天下りの理事長、専務が天下りであるというところに問題がありながら、責任者である上司は頑張ってそのまま居座るということがあったらどういうことになるか。全く知事の言っていることの足を引っ張ることになるんじゃないか。その責任の所在をひとつ伺っておきたい。それを聞いてから、またその後。

〇上田総務部長 まず、公社の関係、それから高知県知事の関係について申し上げる。
 公社の運営の中でもたれ合いがあって不適正な事態を惹起しているのではないかということであるが、この点に関して昨日からも大変厳しい議論をちょうだいしているところである。今回の土地開発公社の事件については、ただいまいろいろ調査を進めているところであるので、その問題はその問題として1つの対策を考えていく必要があると思うけれども、当部の所管として公社等運営協議会、これがかなりの期間開催されていなかったと、こういう事実にかんがみて、こういった事態を踏まえてそのあり方を十分に踏まえた上でその機能を高める方策を考えたいと思っておるので、よろしくお願いしたいと存ずるものである。
 それから、高知県の公務員の国籍条項の問題であるけれども、確かに知事の演述、私も読んでおるけれども、国際化の時代にあっていろいろなチャンスに日本人以外の、外国人の方々が我が岩手県で暮らしをよいようにしなきゃいけないということは、当然我々も心がけていろいろの施策でそれを反映したいと考えておる。ただ、一方で公務員の公権力の行使にかかわる国籍条項という問題については、詳しい議論をすべて知悉しているわけでないが、その特定の外国籍の方が自分の母国の憲法を遵守する場合に、我が国の憲法遵守義務等どうなるかとか、いろいろビジョン的にも、突き詰めると難しい問題があるやに聞いておる。したがって、もちろんその国際化の時代という時代認識は十分踏まえながら、この問題についてはその問題としての判断はまたしていく必要があるのではないかと存じているところである。

〇飛澤参事兼人事課長 外国人採用状況についてであるが、平成5年度、これは医師であるが1人、それから各年度、4年度、6年度、7年度と、医師について1名から3名の範囲で採用をしておる。また、平成7年度においては、講師であるが1人採用しているという状況である。
 それから、先ほど委員から御指摘があった職員管理の問題であるが、県としてもこれまでも職員の綱紀の保持、あるいは服務規律の確保、あるいは研修所における資質の向上ということで随分気を配りながら努めてまいったつもりであって、今回のような事態が発生したということについては、まことに残念ということに思っておって、今後なお一層気を配って服務規律の確保なり、あるいは綱紀の保持といったことで努めてまいらなきゃならないと思っておる。この長期無断欠勤者についてであるが、この職員については11月21日以降行方不明ということであって、結果として無断欠勤の状態が続いておるということで免職処分をしたところであって、この行方不明の原因というものが把握されておらないので、その管理監督者の責任といったようなお話もあったけれども、その点が究明されてから対応するべきものと存ずるので、御了承願いたいと思う。

〇那須川委員長 佐藤委員にお伺いするが、まだまだ御質問はお持ちか、時間が……、まだかかる。あなた、腰が悪いので、できれば、休憩を挟んだんじゃまた大変だろうと思うので、予定時間をオーバーしたけど休憩をしないで継続しているのだが、もしもっと時間をかけてやりたいというならここで10分間休憩しようと思う。

〇佐藤(正)委員 委員長の御配慮であるので、休憩挟むとまた1時間ぐらいかかるから、その前にやりたいと思う。
 そこで、今申し上げたとおり、天下りの弊害というのはいかにあるかということ。今これは総務部長は開発公社の天下りの事件については、含めて責任者というものをこれから考えていかなきゃないと、こう答弁であるから。ところが、どうであるか、行方不明、それから自殺なさった本人は非常に家族ともども気の毒であるが、理由がある。ただ、あなたの方で言わないだけ。私の方で皆調べてある。これ以上追及しないが、そういうものが皆いろんなものが含んできて、きのうおとといから職員の綱紀の粛正というものが出ているわけであろう。であるから、知事はわざわざ知事演述の中でそのことを取り上げているわけであるから、ひとつ十分に注意してほしいと、こう思っているわけである。
 それでは、我が盟友の那須川委員長の御配慮であるので、これ10ページあったが皆飛ばして最後のページである。
 最後になるが、上田総務部長には今回限りで御栄転と伺っておって、まことに残念である。私はこの天下りについては反対の立場であるが、この天下りにも1つぐらいいいのがあって、天からの授かり物が上田総務部長であろうと、こう思っておる。あなた非常に将来の洞察力、それから企画あるいは決断というものがすばらしいものがあって、県議会の質問の答弁については、恐らくこれからお帰りになっても国会においてもあなたの答弁は光るものじゃないかと、このように私は思っておる。そこで、最後にひとつ1点だけ伺っておく。
 先般の総理府の世論調査では、今、日本の向かっている方向は悪い方向であるという回答が5割を超しているんである。ごらんのとおり5割、半分以上の人が日本が今、悪い方向に向かっているということが総理府の世論調査でもってはっきりしたんであるが、あなた今、今度岩手県を去るに当たって、岩手の方向というものはいい方向なのか悪い方向なのか、最後に伺って終わりたいと思う。

〇上田総務部長 ありがたい御質問であるが、私はいい方向であると存じておるし、また、これは私どもが精いっぱい努力をしていい方向に持っていくべきものであると考えておる。

〇那須川委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩する。
 午後3時30分休憩
 
 午後3時44分再開

〇那須川委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 重ねて申し上げるが、この際、進行に御協力を願うため、質疑、答弁は簡潔に願う。

〇中屋敷委員 それでは、私からは地域活性化事業調整費と食糧費に関して2点だけ簡潔にお伺いしたいと思う。
 地域活性化事業費については、今般、御英断を持って7億と、形とすれば新年度からは企画調整部に移行という形で、具体策については企画調整部の方でこれから補助金の交付要領等を策定すると思われるけれども、予算編成に当たっては総務部ということで、あえてお伺いするけれども、その7億のうち2億については広域的に使うということであるけれども、この広域的概念というか、その基本的考え方、またどういうものを対象とするのかという基本的な考え方をお示し願いたいと思う。
 それから次に、食糧費に関してであるけれども、これはいろいろ議論を呼んでおるが、今年度は30%を超える削減をしたということで、その御努力には敬意を表するところである。しかしながら、私も当然知事が申しているとおり、適正な範囲で節度を持って適正に執行するという考えは当然のことだと思うけれども、私も御承知のとおり県職員としていろいろ国等の接触にも対応してきたところであるけれども、いわゆる官官接待イコール飲み食いとか補助金獲得のためと言われるのは、私いささか疑問を持つものであって、いろいろ私の経験から言っても、県の今後のための、将来のための十分な情報交換とか意見交換、その中であったような感じで大いに意義のあるものと、議論を尽くされたということで認識しているところである。そこで、今後とも、まさしく県土発展のため、県民福祉の向上のためというと、適正かつ公正であるというものであれば、憶することなくこれからもどんどん政策的に必要なものは活用すべきであるという考えもあるんであるけれども、この辺は部長の御所見を忌憚のないところでお聞かせ願いたいと存ずる。
 それに関連してもう1点、文書公開制度の運用についてであるけれども、さきに宮城県においては、他県に先駆けて本年4月から懇談の相手方を官民問わず開示公表する方向で検討しているとの報道がなされたけれども、食糧費の執行の透明性の確保には極めて有効な手段ではあると思う。しかしながら、透明性だけですべて事足りるのかと、むしろ大きなプロジェクト等を進める場合、やはり国、官民問わず内々に進めるケースもあろうと思う。そういう場合において、明らかに初めから相手方がだれで、どのような職でということはいささか、そういう内々的に問題を抱えて協議を進める状態では、逆に協議が調わないという状況にもなる可能性もあると思われるわけである。そういう観点からぜひ透明性の確保、適正な執行という形で情報開示がすべてで事足りるかというと甚だ疑問を持つもので、逆にそういう形をとれば失うものも大きいのではないかと思われるところである。そこで、これも答えにくい点もあろうかと思うけれども、最後に部長、県を去るに当たってもぜひ率直な御見解を賜ればなと思う。

〇上田総務部長 実は県庁というのは行政職員だけで申しても5、000人の職員が働いておる。その過程でいろいろ仕事をしておるわけであるが、その中で会食を伴う部分だけをズーッと横ぐしに取り出して、こんな食っているなと言われるのは、正直せつない思いをしておる。我々の組織体の仕事というのは、例えば県庁が一般行政だけで5、000人、教育とか警察を入れればもっと、2万何千人いるわけであるけれども、そういう組織で動いておって、国家行政、実は中央官庁ばかりでなくて民間でもそうだと思うけれども、そういう大きな組織同士で仕事をしておる。そうするとその個々の仕事の衝に当たる人間は、それぞれその組織の中のポストというか、いわば個人の顔ではなくてポストとして動いている。何々課長、何々部長、そういうポストで動いているわけであるけれども、実際に仕事を進めていく局面になるとやっぱりこれは、人間のやっている仕事であるから、人間としてお互い折衝に当たる人間同士が胸襟を開いて話のできる関係を築いていくことは、私は生きた行政をやっていくためには本当に重要なのではないか。通達に書いてあるとおりマル・バツ、足し算、引き算やるだけであればこれは別であるけれども、やっぱり書かれていないところにどういう発展の余地があるのか、あるいはこれから国策をどういうふうに持っていくことが考えられるのか、これは岩手県のためにどうなるかということを、お互いに構えることなくその会話をしていけるような関係を築いていくということは、やっぱり組織の場合には必要だと思っておる。そういう場合に、たまたま私みたいに国との間を行ったり来たりしている人間の場合には、電話1本で話のできる人もいるわけであるけれども、一般的に別個の組織の人間が顔を合わせて、いきなり分け隔てなく話ができるという関係にはなかなかならないわけであるから、どうしてもそういう場合にはある一定の時間お互いに時間を割いていただいて、我々の話を聞いていただいたり先方さんの話を聞いたり、そういうことで、あ、この人間はこういうことを考えていると、この人間の言うことは間違いないというふうな、いわば信用してもらうようなそういうやっぱり過程が必要なのではないかと思うわけである。そこで、そういうことをよく、昼間やればいいじゃないかということなんであるが、絶対飲み食いなきゃいかぬということは確かにないかもしれないけれども、中央官庁にいると昼間の時間に2時間も3時間も特定の地方の方に一定の決まった時間を割くということは、これは実際問題、物すごく難しい問題であって、はっきり言って不可能だと思うし、また、東京都とかああいう近いところはあるいは違うと思う。電話1本で、きょうこれから行くから時間割いてもらいたいと言ったらできるかもしれないけれども、岩手県から往復6時間かけて行って、きょうは国会で会えなかったじゃ、これはちょっと我々としてみれば仕事ができない。そういう意味でどうしても、そういう過程で食事をともにするということは、私は人間同士がある一定の時間を持つために、間を持つためのそんなに不自然でない手法なのではないかと考えているところである。そういうことでやっぱり、まさに知事が答弁申し上げたとおり、簡素かつ公正を旨としてと、これは重要なことであるけれども、やっぱりそういう面でこれを全然やらないで仕事をやれと言うのは、大変せつないというのが心情である。
 そこで、斉藤委員のためにつけ加えさせていただくけれども、私はこういういわば会食をともにするコミュニケーションというものをどんどんやった方がいいじゃないかということを必ずしも申し上げているわけではない。この問題にはやっぱり、この際であるから整理して言わせてもらいたいんであるけれども、2つ問題があって、1つはやっぱり構造的な問題がある。構造的な問題というのは何かと言うと、国と地方とがコミュニケーションを図るのが必要な場面があるわけであるけれども、過度の中央集権というか、地方の人と国の人とがそのことについて、もともと意見交換しなくても地方に任せればいいじゃないかということについて、わざわざ国の人と意見交換をする、そのために会食もしなきゃいかぬ。こういうことがありはしないだろうか。そういうものがあるとすれば、そういう分権を進めることによって無用の事務を減らす。これは会食ばかりじゃなくて、出張旅費だって、書類の交換等も全部同じことであるけれども、そういう構造的な問題に今後対処していく必要があるんじゃないか。これは1つ。
 それから、もう1つは、どうしても食事を伴うということになると、これはたしか小原委員からもお話あったと思うけれども、慣例というか、例えば前の部長のときにこの課長さんとこういう会合を持ったと、そうすると後任の人がそれよりレベルを下げるとか、前の人はちゃんとコミュニケーションとって、今度はちょっとサボるというのはなかなかしにくい。そういう意味でどうしても、今までやっていたんだからということで、若干下方硬直性があるという場合がなしとしない。これは事実あると思う。そういうことから、この際、いろいろな御批判を受けておるけれども、そういう御批判を踏まえて根っこから洗い直しをして、ただ漫然とやっていくということはこの際やめさせていただきたい。それから、地方分権を進める中で無用の事務は国、地方それぞれやめるようにしていきたいと思うけれども、しかしこれ人間が仕事しているものであるから、こんなものをむだというのもどうかと思うけれども、私としては県勢発展のための必要な仕事はさせていただきたいというのが切なる願いである。
 それから、公開の問題もあったけれども、確かに私はもう1つ、公開という話あるけれども、そういう人間同士の、私は先ほどから申しておるけれども、礼儀の問題だと思うのであるけれども、礼を尽くして我々を知っていただくというものだと思うのであるけれども、礼を尽くす席をこれをほかの方に大っぴらにするというのはやっぱり、役人だからいいじゃないかというのはちょっと私は、これは私個人の考えであるけれども、なかなかそうであるかと言うわけにはいかない。しかも、仮に私が国家公務員であって、地方にぜひ一緒に食事をしたいと言われた場合に、すぐ新聞に出るということを言われて私が出席するかというと、いや、決してやましいこととは思わないけれども、そんな新聞の人気者になってまで一緒に飯食おうとは思わないと思う。そうすると、地方の側としては、私みたいにたまたま岩手県の方知っている場合にはそれは構わないけれども、知らない人に接触をするということはこれは極めて難しいことになるので、これは不服申し立ての審査とかこういうことがあるので、私がどうこうというようなことは、とりあえずきょう現在考えていること、単にそれだけのことであるけれども、実際に仕事をしている立場から言うとこういう感じがするので、厚かましいのであるが発言させていただいた。
 地域活性化調整費という政策的課題については、課長から答弁させる。

〇大隅総務部次長 その前に、大変恐れ入るけれども補足説明をさせていただく。
 ただいま中屋敷委員から予算に関する説明書の96ページにある地域活性化事業調整費7億円についての御質問があるわけであるが、これは先ほどもちょっと委員お話しのとおり、平成7年度は総務部の所管、総務費であった。平成8年度から企画調整部の方に移管をして、計画調査費と企画費ということになったものである。こういうケースは従前、現行の対応をしておる方の部で御説明申し上げておるのが例であるので、これについて先ほど私、冒頭御説明を漏らしておったので、大変恐縮であるがこの点について御了解をいただきたいと思う。よろしくお願いする。

〇赤津地方振興課長 それでは、活性化調整費のいわゆる今回別枠分を設けた出資、あるいはその事業の範囲等について御説明申し上げたいと思う。
 まず、趣旨としては、社会経済情勢の変化等に伴って、最近、単一市町村の行政区域を超えたような人あるいは物の流れ、こういったものが常態化しているというような状況にもあろうかと思う。こういったことで行政ニーズそのものが広域的に多様化してきているというような状況を踏まえて、さらには、今後ますます複数の市町村等が共同して連携をして、こういったニーズにこたえていくことが求められてきているというようなこと等を考え、そして市町村の一層の連携の強化、そういった観点からの地域の活性化、こういったもの等も考えていきたい。そういった事業実施をする場合に支援してまいりたいというようなことで設けたものである。
 それから、具体的にその事業の範囲ということになると、一応広域的事業というような形で考えておるが、地域活性化のための対象事業ということであるけれども、これは従来もあったわけであるが、産業振興なりあるいは観光物産振興、あるいは基盤整備事業、地域文化振興事業、さらには、地域保健福祉事業、環境保全事業等、これらのうち広域的と考えておるのは、いわゆる広域圏というようなことじゃなくて、複数の市町村でこういった問題で共同で取り組むような事業、こういったものについて支援をしていこうという考え方である。

〇久保田委員 私は、2つの側面から税務課の関係することと消防防災課に関すること、ここに絞って御質問をする。
 まず最初に、税務関係のことであるが、1つは、県税の滞納状況についてお伺いをする。簡潔にお尋ねする。
 1つは、県税税目のうち滞納の実態はどうであろうか。
 2、長期滞納がある場合の税目はどれであるか、その要因は何であろうか。
 3、滞納整理の対応はどのように図られておるか。
 4つ目、県税の徴収率はどうなっているか。他県との比較、全国レベルという意味でどうであろうか。
 これが滞納状況についての質問である。
 第2点は、事業税の見積もりについてである。
 歳入見込みの積算の根拠となる景気動向をどのようにとらえているかということである。平成8年度法人事業税を計上するに当たっての認識をお伺いしたいのであるが、まず近年の緊急経済対策の効果はどうであったのか。公共事業の波及効果はいまだ生じていないとの観測に立って予算計上をされておるのか。
 第2点は、法人企業の業種間において業績や収益の状況で特徴的な点は何であろうか。 以上、税務関係についてお伺いをする。まず、税務関係の方を片づけてから次に消防防災課に移りたいと思う。

〇梅木税務課長 それでは、まず県税の滞納状況から申し上げる。
 平成4年度においては10億1、827万2、000円、平成5年度においては10億322万6、000円、平成6年度では6、590件で9億4、770万8、000円となっておって、前年対比で見ると1、076件の減少、そして税額では5、551万8、000円の縮減となっておるところである。この滞納の主な税目は何かということであるが、9億4、770万8、000円のうち最も大きなウエートを占めておるのは個人県民税であって、6億1、090万2、000円となっておる。次に不動産取得税が8、711万9、000円、特別地方消費税が5、318万1、000円、自動車税4、528万2、000円などが主な滞納の税目である。私どもとしては、これらの収入未済額の縮減を図るために、県税事務の運営方針などを作成して滞納整理の促進に努めておるところである。特にも個人県民税のウエートが非常に多いので、各市町村との連携を図りながら滞納整理の縮減に努めておるところである。
 次に、徴収率はどうか、全国レベルではどうかということであるが、平成6年度の徴収率は岩手県は99・1%である。続いて新潟県と鳥取県が99%、愛媛県が98・9%であって、幸いに岩手県は全国第1位と、これは平成5年度に引き続いて全国一の成績となったところである。
 次に、法人事業税の税収見積もりについての御質問であるが、税収見込みに当たっては主な企業について業績見通しを照会調査したほか、民間の経済研究機関等の予測資料を活用するなどして見積もったところであるが、平成8年度の前半の県内景気は回復の動きが弱く推移し、後半には緩やかな回復傾向に向かうものと予想して、平成8年度の税収としては、8年度の前半は主に7年度の経済情勢が余りよくなかったので、確定ベースでは5・7%の減、それから後半においては景気の回復などを期待しながら、確定ベースで2・6%の増と見込み、平成8年度の調定ベースでは5・2%の減と見ておるところである。 経済効果はどうなのかということであるけれども、平成7年9月の経済対策の効果としては、これが税収に反映してくるのは多分平成8年度の後半からではないのかなと、こういうふうに見ておって、この分に対して区分をして説明申し上げるというのは甚だ困難であるので、御理解を賜りたいと、このように思っておる。
 それから、最後の質問であったけれども、企業の業種間についての収益の状況はどうか、こういうことであるが、私ども企業照会によった内容から申し上げると、半導体の好調などによって電気・機械業がプラスのウエートに転じている。電気業が26%、それから機械が15%強という状況を見込んでおる。それから、建設業は御案内のとおり、バブルの崩壊によって不良債権の償却、これなどから10%前後の減、それから金融業が不良債権の償却などによって40%以上の減と見込んで、平成8年度の収入見込み額を積算したところである。

〇久保田委員 地方財源の確保に日夜努力されていることに、改めてこの機会に御苦労さんと申し上げたいと思う。
 ところで、税務職員の人員配置についてであるが、聞くところによると、行革の関係もあるようであるが、人員の削減の方向で動いているようなことである。税務の仕事を私自身も経験があるのであるが、目に見えないところで大変苦労をする。言うなれば陰の力で動いておる特に重要なポストであるという認識を私は持つのである。そういう意味で税務職員に対する配慮というものは、十分に管理者として意を注いでいただきたいと思うのであって、部長にお願いするのであるが、税務職員体制の強化について一層の努力を図っていただきたいことを要望しておく。
 次に、消防防災課長にお伺いする。
 防災計画の見直しの中で最も目に見える実践的な事例としてヘリコプターの導入があるわけである。今後の防災において、あるいは災害発生時における機動力が期待されるわけであるが、次の点についてお伺いをする。
 航空消防防災体制についてであるが、1つ、航空隊員の編成における市町村、あるいは消防事務組合の協力の体制はどのようになって組織編成がなされておるであろうか。
 第2点は、隊員の研修及び訓練への対応はどのように計画をされておるか。
 第3、隊員の勤務、出動の態様、勤務条件についてこの機会に伺う。
 管理事務所の運営及び人事配置はどのようになされる予定であろうか。
 第2点であるが、隊員を養成する基本的な姿勢について、この際、伺っておく。
 配備された装備の機能、性能をフル活用するには、何といっても人材の育成が大事であるが、そのことについての基本的な考えを伺いたいと思う。特にも、特殊な勤務にあることの自覚をまず持っていただかねばならないし、やる気や意欲の醸成が必要であるが、これに対する教育指導のあり方についてお伺いをしたいのである。
 最後の点であるが、隊員相互の人間関係が何といってもこの種活動を行う場合には絶対的な必要条件であり、そういう職場をつくることが不可欠な条件だと思うのであるが、こうした基本的な姿勢、養成に対する考え方について伺って、私の質問を終わる。

〇本田消防防災課長 航空消防防災体制の御質問にお答えする。
 まず、航空隊の編成における市町村あるいは消防事務組合の体制の問題はどうなっているかというお尋ねであるけれども、航空隊の編成に当たっては、県下59市町村あるいは14消防本部のそれぞれの担当課長、あるいは消防長さん方と何度も意見を交換し、その体制の整備に努めたところである。その結果、航空隊の編成ということで10名隊員を確保するということで、とりあえず14消防本部のうち盛岡地区消防本部から2名、それから両磐、花巻、宮古、久慈、胆沢、二戸、北上、大船渡、各消防本部から各1名ということで、10名の消防隊員を派遣していただくことで話し合いがついておる。これは消防長会においても既に了承されておって、ただいまそれぞれ8月1日の派遣に向けての人選に当たっているところである。
 それから、隊員の研修及び訓練への対応であるけれども、やはりこれは非常に重要なことである。8月1日にはそれぞれただいま申し上げた消防本部から派遣をしていただくわけであるけれども、直ちに先進県、既にヘリコプターを導入し活動しておる先進県に派遣して事前訓練を行いたいと考えておる。
 それから、隊が編成されるわけであるので、実態における訓練等を行った後、本格運航という形で10月1日をもって本格運航を開始するという形で対応したいと考えておる。 それから、隊員の勤務、それから出動態勢等勤務条件ということであった。隊員の勤務時間は原則として8時30分から17時15分までということにしておる。ただ、災害時において、勤務時間が終わったからというわけにいかないので、災害時においてはヘリコプターが運航できる日の出から日没までという形で対応したいと考えておる。ただ、365日運航するということになるので、休日については交代制勤務という形での対応になろうかというように考えておる。
 それから、管理事務所の運営及び人事配置である。これについては本年4月1日をもって消防防災課内に運航管理を専門に担当する課長補佐を配置することにしておる。本格運航開始までの諸準備に当たるとともに、運航開始後においては花巻空港の方に建設する現地の管理事務所において運航管理に当たる担当という形で張りつけすることになろうかと思っておる。
 それから、装備の機能、それから性能をフルに活用する人材の育成ということのお尋ねである。これは、隊員の派遣に当たっては各消防本部に対して救急や救助等、非常に高度な技術を要する活動を行うことになるわけであるので、そういった高度な活動に対応できるような、おおむね30歳から40歳ぐらいまでということで、救急標準課程等を修了した者で救助業務等に5年以上従事している者、年齢は30歳から40歳ぐらいというような条件を付して、その隊員の派遣を依頼しておる。この隊の編成後においては、こういった日常の訓練あるいは各種装備の操作方法などの習熟訓練などを行いながら、技術の高度化に努めるように努力してまいりたいというように考えておる。
 それから、特殊勤務に応じた自覚とやる気、あるいは意欲の醸成を図るべきじゃないかということであって、これはただいま委員が申し上げたとおりもっともなことだと考えておる。したがって、岩手県航空防災隊員として派遣された場合においては、自覚と責任は当然持ってもらわなくてはならない。特殊勤務手当といったものも支給することということにしておるので、あるいは被服の貸与や、あるいは先進県における訓練、あるいは他県への防災訓練へ直接参加するなどしながら、航空防災隊員の士気向上に努めてまいりたいと考えておる。
 それから、職場環境の問題について、これも私ども非常に重要視しておって、何せそれぞれの消防本部からの寄り合いで混成チームになるわけであるので、お互いの人間関係には十分配慮しなきゃならないと考えておる。交代制勤務であること、そういったこともあるので、隊員相互の意思疎通が十分働けるように、その職場環境には十分意を用いてまいりたいと考えておる。ただいま花巻空港内に管理事務所を建設中であるけれども、休養室であるとかあるいは浴室などを備えながら、そういったハード面での職場環境についても配慮してまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 最後に要望して終わるが、ただいまお答えいただいたように、この事業は初めてのスタートであるので、そういう意味では担当課の皆さんに大変御苦労いただくと思う。最初が肝心なことであるので、十分意を尽くして万全を期していただきたいことを要望して終わる。

〇佐々木(博)委員 県立大学のことについてお伺いする。このことについては、昨日の総括質疑で菊池勲委員が質問しておって、設備、施設整備に係る費用だとか、あるいは年間の管理運営費についての費用だとかは既に答弁をいただいておるので、それら以外の2点について質問したいと思う。
 第1点は、いわゆる教授陣を初めとする教師陣のスタッフの確保の問題についてである。
 既に確保されていれば一番問題ないわけではあるが、なかなか多分そうではないだろうと思っておるわけである。それで、今、文部省の認可を得る関係でカリキュラム等もいろいろ考えなければいけないと思うけれども、教授陣が決まらないとカリキュラムも決まらない。むしろこういった反対の問題もあるんじゃないかなと思っているわけである。そういった意味でいつごろをめどに決めなければいけないのか。その期限をどの辺において現在進めていらっしゃるのか、その点についてまずお伺いしたいと思う。
 私も全国の公立大学二、三校視察してまいったが、どこの大学でもこの教授陣の確保ということで随分頭を痛めているというのが実態のようであった。特に関西などに参ったときには、関西圏は非常に大学が多いわけであるから、専任の教授を除いて講師の交流なんか案外簡単なのかなと思っておったら、やはりそういった状況のところであってもなかなかいい先生方をそろえるのに大変いろいろ御苦労なさっているというお話も伺っているわけであるが、大学の場合、確かにハードも大切であるけれども、より以上にソフトの充実が大切だと思う。まずこのことについてお伺いしたいと思う。

〇川崎県立大学整備室長 委員おっしゃるとおり、最大の課題は教員確保にかかっていると、このように考えておる。スケジュール的に申し上げると、平成9年4月に認可申請を出すわけであるが、その際の教員確保は、主要教員ということになっておるので、これは学長、学部長までということになっておる。一般教員については平成9年7月に追加資料として提出するということになっておるので、めどとしては7月申請をめどに教員の確保を図ると、こういう格好になっておる。一方、教員確保の手順であるが、これは鶏と卵の関係のようなこともあるが、基本的には先にカリキュラムを決めて、それに沿った教員を確保していくということを原則としておるが、カリキュラムの編成に当たってはこれは一応建学の理念に沿って、非常に理想を高く掲げてカリキュラムを編成しておるが、必ずしもそれに沿った教員が確保できるかとなると、そこは若干修正も要するのではないかということを考えておる。カリキュラムについては4月8日に開設準備委員会を開催する予定であるが、それまで大体概定して、それに沿って教員の確保を図ってまいると、このように考えておるところである。大体現在のところ200人を超える教員の先生方を新たに採用するという状況になっておるので、私ども確たる採算はないが、いずれいい大学をつくるために懸命に努力をして平成10年の開学に向けて間に合わせたいと、こういうふうに思っているところである。

〇佐々木(博)委員 教員の新たな確保と同時に、県立大学が開学することによって、今の盛岡短期大学が移転をするわけである。それで、移転することによって、例えば法経学科で、夜間なわけであるから、市内で今、勤務しながら学校に通っている学生さん方が通うのに大変な問題になるんじゃないかというような声もあるので、その辺についてもできれば何か対処方をお願いしたいわけであるが、それ以上に県立大学の開学に伴って、盛岡短期大学で例えば保育科などは学科がなくなると伺っておるわけである。それで、学科がなくなるということは、今までの保育科を担当しておった教授を初めとする教師の処遇がどうなるかという問題が発生してくるのではないかなと考えておるわけである。もしそういったことになると、平成9年度も保育科の学生は募集すると伺っておるわけであるが、平成9年度でもって短期大学としての教授としては終わりであるし、それからその先の見通しも立っていないということになると、学生を教えるどころかなかなか教えるスタッフ自身も身もそぞろで教育に情熱も入らないだろうと思うわけである。そういうことではせっかく入学した学生にとっても不幸なことであるし、その辺、廃止される学科の、例えば教授のスタッフを含めて今の盛岡短期大学の教師陣がどういった形になっていくものなのか、その辺の見通しについてお伺いしたいと思う。

〇川崎県立大学整備室長 県立大学の設置に伴って、盛岡短期大学の再編を図るわけであるが、現在、盛岡短期大学には3科ある。生活科学科、保育科、それから法経二部とあるが、生活科学科はそのまま現在の短大に残すというふうに考えておる。保育科については4年制大学の社会福祉学部に移行する。それから、法経二部については同じく4年制大学の総合政策学科の方に吸収するということを考えておるが、現在、盛岡短期大学に移行する学科に勤務している先生方については、原則的には4年制大学の学部においてそれぞれその専門性を生かして御活躍をいただきたいと、こういうことを原則にしながら検討しているところである。
 それから、法経学科の関係であるが、これは先ほど申し上げた募集の関係であるが、これは平成9年度までは従来どおり募集をするが、平成10年度から募集停止ということに相なる。したがって、逆な面からいくと既存の大学は保育学科については平成10年度まで残る、それから、法経学科については3カ年であるから11年までは残ると、いずれも平成10年の時点で新しいキャンパスの方に移っていただくというふうに考えておるので、この勤労学生についてはスクールバス等を用意するとか、いろんな方法で交通の便は確保したいと、このように考えているところである。

〇山内委員 部局別審査であるので款項目に従って極力質問をさせていただく。
 今、佐々木委員から質問のあった県立大学開学に関連して質問させていただく。
 本県内の大学は、短期大学を含めて約12校あると伺っておる。そして、これら12校に進学することによっての本県の実態はというと、18歳人口に対する収容率は15%、それから進学者の県内残留率は30%、こういう実態にあると伺っているわけである。これらを改善していくために県立大学の早期開学、こういうものが今、県民に強く望まれているわけである。私も早期開学を望むものであるけれども、本日は、県立大学の開学にかかわって、今まで余り表に出てこなかった部分についての議論をさせていただきたいと、このように思っておる。その質問に入る前に確認のためにお伺いしたいわけであるけれども、今、一定の御答弁があったが、県立大学の短期大学部を設置する方向にある。そして、その短期大学部の中に国際文化学科なるものを設置していこうと、こういう方針であると伺っておるけれども、先ほどの佐々木委員の質問にあわせて、短期大学部がどういった学科を持って編成をされるのか、まず確認のためにお伺いをする。

〇川崎県立大学整備室長 先ほど盛岡短期大学の御説明をしたわけであるが、現在3科ある学科のうち生活科学科を残すと言ったが、この再編の中身は保育学科、それから法経二部を4大の方に移行するわけであるが、それにかわって新たに国際文化学科を設置する。これは定員は生活科学科は現在70名であるが、これを50名、新たにつくる国際文化学科は50名、計100名の定員で盛岡短期大学部を編成すると、こういう考え方である。

〇山内委員 そこで、今まで余り表に出てこなかった観点からの議論というのは、この県立大学開学に伴っての県内の他の高等教育機関、殊にも既存の私立大学等、こういったものとの競合性をどう調整をしていくのか。こういったことについてお伺いをしたいわけである。
 私なりに考えると、4年制の学科のうち看護系、社会福祉系、総合政策系というものは、これは新たな需要にこたえるという側面が強いだろうと、こう思っているので、それほど既存の高等教育機関との競合性はないのではないのかなと、こう思うんであるけれども、ただ、一方ではソフトウエア情報、これは4年制の方である。それから、今お答えのあった短期大学部の国際文化科等については、これは既存の高等教育機関との競合性というのは非常に高いのではないのか、こう思っているんであるけれども、これら県内の既存の高等教育機関と新たな県立大学、これの競合性についてどのような議論が今までになされてきて、これをどう調整していくという方針が定められ、実際にどういう手を打とうとしていかれるのか、この3点についてお伺いをしたいと思う。

〇川崎県立大学整備室長 まず、4年制大学を設置する際の基本的な考え方としては、既存の高等教育機関と競合しないような学部、学科を設置したいということを基本にして検討してまいったわけであるが、委員御提案の情報であるが、これは今、岩手大学に工学部の情報がある。今、県立大学で検討しておるソフトウエア情報学部は、基本的にはソフトに集約しておるので、このことについては教育研究分野では競合しないということで考えておるわけであるが、ただ、一部分でとらえていくと確かに全く競合しないということではなくて、やはり関連分野というのはかなり出てくるんではなかろうかと、こう考えておる。したがって、4大でいくと総合政策学部の中には法律とか経営経済とかというのが出てまいるので、その分野でいくと岩手大学の人社と一部関連があるし、それから富士大学の経済学部では経営経済の分で関連分が出てくるということはあろうかと、そのように考えておるし、また短期大学であるが、確かに国際文化学科といった場合に、山内委員の地元のアレン国際短期大学とはほとんど競合するようなイメージではあるわけであるが、ただ、中身においてはアレン国際短期大学の場合は英語学、英米文学、英語コミュニケーションといったことを中心にやっておるようであるが、盛岡短期大学に新たに設置しようとする国際文化学科については、英語もそうであるが日本及び諸外国の文化という幅広い観点でやりながら、今まで盛岡短期大学の卒後の就職状況等を見ていると、本来の学科に合わないようなところに就職しているのが多いということもあって、現実的な就職の面に合わせるということもあって、この国際文化の中にさらに情報科も相当力を入れながらやっていくということも入れておるので、完全な競合ではない。ただ、関連する学科であろうと、このようには考えておるわけである。
 それから、やはり今後18歳人口の減という切実な問題を控えておるわけであるが、これについては4年制大学、それから短期大学も含めて将来とも生徒の確保が大丈夫かということでシミュレーションをしたわけであるが、本県の進学率については、御案内のとおり全国最下位クラスということで、現在、国の平均の進学率が45%ぐらいいっておるわけであるが、本県は30%ちょっとぐらいで、格差14ポイントぐらいある。これを何とか国並みに上げていきたいという面から見ると、受験生ないしは実際の進学についても向上してまいるという面で見ると、絶対数においては減っていかないと、今のところ6、000人ないし6、500人ぐらいでこの進学者数が推移しておるわけであるが、これは確保できるのではなかろうかと、こういうふうに考えておるので、このうち4年制大学の場合は4人のうち3人は県外に進学している。それから、短大の場合であると3人のうち2人は県外に行っているということから、地元に定着していただければ生徒の確保は十分できるのではないかと、このように考えているところである。

〇山内委員 御丁寧な答弁ありがたい。もう少し簡潔で結構である。
今、アレン国際短期大学のお話をいただいたが、これも実は私、問題意識を持っておる。これからさらに検討を私なりにしていきたいと思っておるけれども、競合性はかなり高いなと、こういうふうに思っておる。せっかくお話が出たのでアレンのことについて若干お話しさせていただけば、あれは私学として県北唯一の短期大学である。当初は非常に定員割れの状態がずっと続いて、御承知のとおりであるけれども、それが学内の努力、カリキュラムの編成、さまざまな新機軸を出してやっとその定員を保つようになってきた。最近では、これは定員を保ったと言っても当初は県外からの学生が大変多かった。最近は県内の子供らにも理解をいただいて、大分県内の子供たちが入学をするようになってきている。そういった中にあって、もしこれが競合性が高くなった場合に、私学と公立学校とのやはり競争力というか、これによって大きな隔たりがあることはもう御承知のとおりである。授業料の面だとか、さまざまな面で大変厳しい経営状況に置かれている。
 それから、もう1つあえて言わせていただければ、各種専門学校等もあるわけである。これらとの競合ということも念頭に置いていかなければならないのではないのかなと、そういった意味で実はお聞きしたかったのはここから先になるけれども、公教育──公の教育としての私学振興、このことについてさまざま県でもやっていただいておる。説明書の258ページにもさまざまな私学助成ということが書かれているわけであるけれども、こういった大学に対する助成というものがまことに少ないわけである。このゆえんは文部省が直接所管をしているからと、こういうことになるわけであるけれども、これからさらに厳しい状況になるだろう私学振興に対して、県は新たな助成措置策というものを考えていく必要があるのではないか。こういうふうに思っておるけれども、これは川崎室長ではなくて総務学事課長になるのかな、お答えをいただければ、上田部長、何か見解があれば一言どうぞ。

〇上田総務部長 委員、今、御指摘いただいたように、文部省と、要するに国とそれから県との私学助成に対するすみ分けというのが原則としてあって、大学の関係については国の方で直接行い、高校以下の場合は県がやるということであって、詳細ちょっと、課長の方が詳しいかと存ずるけれども、大学の場合に施設整備費にキャンパス等の整備費の一定の建設基準額の10分の1というような助成措置が整備されておって、これは県でもこれまでもやっておろうかと思うけれども、御指摘あったように、まず我々としては県立大学をつくる以上は、いやしくも同じテレトリーに学生を求めて、現にある私学の経営を圧迫するということはしてはならないと思っておって、そういう意味で学部の構成については、個々の科目を見てみるともちろん何々学という点で共通する科目はあると思うけれども、いろんな学科構成の全体として目指すところの学生像という点では、少なくとも新しい大学は独自の学生像を目指すという気持ちで構成をしておるので、全く同種の学生を養成するための教育機関ということで競合はしないようにしていきたいというのがまず第1である。
 それから、もう1つ、私立の大学が高校以下の状況もさることながら、大変厳しい面もあるということは理解できるので、これはやっぱり基本的にはこれまでのルールに基づいて、国の方でどういうような措置をとるのか、そういった国の施策との整合性も図る必要があると思うけれども、県としても、私自身は今後大学進学率自体がもう少し高くなる。進学率という観念がいいのかどうかわからないが、要するに18歳から大学に行くというだけじゃなくて、もう少し違った展開があるんじゃないかと見ておるんであるけれども、それはちょっとまだ決まった見通しがあるわけじゃないんで、人口の数だけの心配でするのであれば、私立の大学についても経営上の問題が、要するに懸念がなしとしないところであるから、ただいま申し上げたとおり、国の施策との関連も考慮する必要はあると思うけれども、県としても当然検討の1つの重要な課題であると認識しているところである。

〇山内委員 これで最後にする。国土庁の大都市圏整備局が平成7年2月にまとめた文書があった。これは地方自治体による大学への支援ということでまとめたものである。それによると、新しく大学をつくるに当たって地方自治体がどのような支援をやっているかというアンケートをまとめたものなんであるけれども、これによれば用地確保、建設費、経常経費、その他、このその他というのは自治体職員が大学に派遣をされるとか、そういったものがあるんであるけれども、いずれ用地確保、建設費、経常経費、その他ということについてかなりの自治体が助成を行っている。今、部長の答弁は、建設費について10分の1を今まで本県としてもやってきている。ことしも予算に計上されているんであるけれども、こういった経常経費ということについての補助、助成というものを他の地域ではかなりやっているな、こういうふうに思っておる。しかも、それは全部補助というのもかなり──かなりではない、これは1割ぐらいは全部補助、一部補助というのが50%ぐらいということになっている。そういった意味で本県のこれまでの大学に対する助成がこのままでいいのかなという、私なりの感想を持った。そして、この同じアンケートの中で、大都市圏と地方圏を比べた場合に、どうしても地方圏の方が助成をしている自治体が多い割合に出ている。これはどういうことに由来するかと言えば、大学に対するさまざまな期待がある中で、殊にも若者が定住するだとか、そこに学者さんたちが張りつくことによっての文化レベルのアップだとか、そういったところに対する期待が地方に行けば行くほど多いという、こういうことの裏返しだろうと思っておる。したがって、さらに私は私学の助成を厚みを増していくべきだと、こう申し上げたいわけであるが、この点についてお答えをいただいて終わりたいと思う。

〇上田総務部長 私、委員今、御紹介になった国土庁の調査そのものを見ておらないが、どういう中身であるか。例えば、近年の場合であると私立大学の分類にされておっても、いわゆる3セクというか、例えば山形の、県としての双方で出した大学、あれも多分私学になっているんじゃないかと思うんであるけれども、いろいろ大学のパターンもあると思うので、これらを全部同様に見ることができるかどうかわからないわけであるが、ただ、方向性として、だれか教育減反というようなことを言っている、岩國哲人さんであったか、教育減反とか言って都市部から大学を外に出したらいいじゃないかという議論をされた向きがあるけれども、考え方としてなるほどなという気がする面もある。やっぱり大学というのは核となる機関というか、ものがあってその土地の地域が成り立っていくという面も、これもあるものであるから、やっぱりこういう大学の数の少ない地域で大学というものを大切にしていくということは、考え方として重要なことだろうと思う。ただ、そういう助成施策を考える場合に、これ財政の一般論であるけれども、ただ、経営の足りないところを助成するという方法はなかなか単純にはとりにくいわけであって、どういう形で独自性のある経営を維持しながら、しかし本当に足りない部分にどういうふうに公が関与できるのか、そういうところを十分に検討した上で、地域振興という観点も含めて県内の大学に対する県のもう少し、これまでにとどまらない支援のあり方、これについては検討する必要があると考えておるので、御了承願いたいと存ずる。

〇谷藤委員 時間も大分迫ってきておるので、簡単に質問させていただく。
 一般質問でもちょっと触れさせていただいたけれども、行政改革大綱について関連する部分であるけれども、昨日来いろいろ公社、それから出資法人についての質疑がなされておるわけであるけれども、そこの中でOBというか、天下りというか、再就職というか、そういうところは39法人に45人ということだったわけであるけれども、現職というか、県の職員──県職が現在役員に就任している出資法人というのは、これは128法人のうちに170人ととらえていいのであろうか。そして、その場合の報酬というのはどういう支払い方になっているのか、お知らせいただきたい。

〇飛澤参事兼人事課長 職員が公社等の職員を兼ねた場合、あるいは役員を兼ねた場合であるが、現在のところ無報酬ということで御理解をいただきたいと思う。

〇谷藤委員 無報酬という中でいろいろ御努力されているということ大変御苦労さまであるが、県の方でこのたび出資法人への役職員就任をできるだけ縮減するというような方向を打ち出してきておるわけであるけれども、これ新たに必要だからそこに出向いているんだろうと思うけれども、これを例えば引き揚げると、縮小するというようなことになった場合に、法人自体の運営というか、この中で報酬が新たに生まれてくるんじゃないかと思うが、それともリストラによってそこをやっていくというような形になるのか、その辺がちょっと県職を縮小して引き揚げてきたと、そうすると新たにその部署を円滑に運営していくために新たに民間からそこのポジションに人を入れるということになれば、県から持っていった場合は無報酬でその職責をやっていると。それを円滑に業務をやっていくために新たに入れるということになれば、これは大変な負担が出てくるんじゃないかと思うわけである。その辺の考え方についてお伺いをしたい。
 それから、これはそういう意味では、県職だから役員に就任するのは縮減した方がいいという考え方もあるであろうけれども、県職を充てていた方がそれなりの人物であれば報酬等が支払われないわけであるから安上がりな人材登用ということになるのかという考えもあるわけである。その辺の考え方いろいろあると思うけれども、県の方から出向という形で人が入っているということでは、県の責任というかその辺も問えるという1つのメリットもあるのかと思う。ただ、目的を達成した法人とか類似法人、これらの整理統合というのは常時行っていく必要があるんじゃないかと思っておるわけであるけれども、その辺についての県の考え方をお知らせ願いたい。

〇盛合総務学事課長 まず第1点の出資法人の役員の引き揚げについてであるが、これについては定款等により定数が定まっておるので、引き揚げによって定款の定数を減らすかあるいは委員御指摘のように民間等から埋めるか、これについては公社の運営上大きな問題であるので、公社あるいは所管する部局の意向を十分踏まえながら慎重に対処してまいりたいと、このように考えておる。
 それから、出資法人の統合についてであるが、この問題については、去る1月29日に行政改革推進本部が決定した行政改革大綱に基づいて現在出資法人全般について見直しを行っておるので、出資の引き揚げ等の検討に当たっては、委員の御提言をも含めて実効ある方向での検討を行ってまいりたいと、このように考えておる。

〇谷藤委員 ひとつその辺十分検討していただいて、効率のいい運営をしていただくようにお願いをしたいと思う。
 次に、行政改革大綱の中で言われておるけれども、組織の肥大化を抑え、簡素で効率的なものとすることを基本とするということでうたってあるわけであるけれども、このたび知事直轄の政策調査監を置くというような新聞記事が出ておるけれども、これは企画調整部から事業実施事務を他の部門へ移管することとし、それにより政策機能や調整機能を充実させるとしているのに対して、このような組織を新たに増設しなければならないのかとちょっと疑問を感じる。肥大化につながるような方向じゃないのかというとらえ方もされるんじゃないか。今、部署をそれぞれ効率よくやろうということになっているのに、さらに1つの部署を、どういう役割を果たしていくかそれぞれ考えがあってのことだろうと思うけれども、それと逆行しているように受けるわけであるけれども、その辺の考え方をお伺いする。

〇上田総務部長 政策調査監の創設については、これは知事がいろいろな政策調査を行うために、何というかわかりやすい説明難しいかもしれないが、各部とか各課といった規定の大きな組織を動かそうとするとかなり弾力的な動き、それぞれ課とか部というのは通常の職務を抱えておるので、それらとの関係だったりしていささか弾力性について知事も十分得心がいかないという面があったのではないかということで、そういうことにも配慮してこういう組織を設けることとしたところであるが、企画調整部との関係については一応区分をすることにしておる。企画調整部は県政全般にわたる企画等政策部門という位置づけであるし、これは今般の新組織の設置によって基本的に変わることにはならないと思っておるが、政策調査監の方はそういった新たな政策を考える場合のいろいろな情報収集とかデータ集め、こういった部分にいわば既存の組織にぶら下がらないで機動的に動けるようなスタッフという意味で設置しておるので、事務の上で屋上屋にはならないというのが1つの考え方である。
 それから、定数の問題については、確かに当該部分を見てみると3人ほど配置しておるから総務部が膨れたという結果になろうかと思うけれども、これは県庁全体の一般行政だけで約5、000の定数全体をいろいろあちこち省略できれば省略して、人間を節約する過程で全体として総数がふえないようにという範囲で措置をさせていただきたいと考えておるので、そのように御理解をいただきたいと存ずるものである。

〇谷藤委員 どうも当初の大綱の流れとはちょっと違ってきているのかと思って残念な気がするけれども、いずれ設置されるのであろうからぜひ効率のいい働きをしていただきたいと思う。県民のために全力でやっていただければと思う。
 最後に、行政の情報化ということにかかわることであるが、県民サービスの向上それから行政事務の高度化、効率化のために、電算システムの適用範囲の拡大を図るということで進められるということで全く異論はないわけであるけれども、しかしこれを現実にはむだなく効率よく使っていくということで、新しい例えば機械を入れていく、既存の今ある機種との整合性とか、その辺をいろいろ結びつきというのをちょっと心配もするし、さらにどんどん新しい先端の機種、最先端をいくような機種、専門知識が非常に必要になる分野というのがどんどんふえていくんだろうと思うわけである。そういうことになれば、それに対応し得る人材、質の高い、そういう人的なソフトウエアの整備というのが非常に必要になってくるんじゃないかと思うけれども、その辺についての対応というのはどのように今考えておられるかお示し願いたい。

〇及川行政情報室長 ソフト開発あるいはそれに関連する人材の育成ということであるが、県としては毎年度約200人余の職員研修等も実施しておるし、それから昭和41年に設立した岩手電子計算センターとの連携も保ちながら、これまでも情報処理技術の実際的な向上に努めてきたところである。今後のサービス向上について新たなネットワークの更新等も控えておるけれども、新たなものだけをどんどん取り入れるというものではなくて、多大の投資もしてソフト開発しておるので、使えるものは有効に使って、そしてその上で新たなものを導入できるような体制をとってまいりたいと思っておる。

〇斉藤委員 簡潔に数項目お聞きする。
 1つは県債の借りかえ、繰り上げ償還の問題についてであるが、8年度末7、782億円余県債残高が計上されておる。1%低利にかえるだけで78億円の節減になると、単純な計算であるが、12月の決算特別委員会の私の質問に対して佐藤課長は合意があれば可能だと、こういう答弁であった。
 それでお聞きするけれども、平成7年度の銀行等から借り入れている縁故債の状況はどうか。額と比率の状況を伺いたい。どのように引き下げの努力をするか。

〇佐藤財政課長 ただいま委員からお話しあったように、合意があればということでお話し申し上げたわけであるが、なかなか相対で合意が得られる状況は見出しがたいということも御理解いただいたかと思うが、そこで、きょうただいまお尋ねのあった縁故債の額とそれから利率の状況であるが、縁故債については平成7年度ということで今現在の御質問であるが、資金区分があり、7年度の縁故債の額については発行額はあるが資金区分がまだこれからというものもあり、7年度についての実績は今のところ出ていないわけであるが、平成6年度で申し上げると、平成6年度の発行総額が1、110億3、000万ある。そのうち銀行等の縁故債が755億1、000万ということで、率にすると68%、7年度については、実は御案内のとおり事業が完了することによって起債の充当それからどういう起債の配分が来るかこれらで決まるので、7年度については資金区分がまだ明らかでないということでお話し申し上げたわけであるが、ただ、ほぼ6年度と同じようなあるいはそれを超えるぐらいの、7割前後の割合になるだろうと、こう考えているところである。その縁故債については、この前お話ししたようにほとんどが証券発行ということで、実は借りかえが不能なものが縁故債になる。ただし、縁故債は銀行等と県との交渉によって利率を決定し得る。かなりそういう意味では県の自主的な判断というか、例えば発行時期をどうするかあるいは発行利率をどうするかについては、県とその発行を引き受けしてくれる銀行等との話し合いで決まるというようなことで、大変ウエートを今高めていることについては、今現在、超低利の状況からして県にとっても有利な利率設定が行われているということが言えると思う。例えば、平成7年の4月、これが例えば政府資金の場合には4・2%であったものが、縁故債で相手方と交渉して定めた利率が3・804となっておる。それから、その後昨年末の12月は政府資金の方も引き下げあったが、3・15であるが、これに対して2・810という利率を設定して縁故債を発行いたしておる。これは2%台というのは県債発行史上恐らく最低だろうと思う。こういうことで、でき得る限り県にとって低利率になるような有利なもの、しかも発行時期についても県の独自判断でできるから、その時々の利率の状況を見ながら発行すると、こういうことに努めておる。

〇斉藤委員 質問を事前にやっているのだから、もっと簡潔明瞭にひとつお願いする。
 12月決算のときに、5%以上の県債は2、098億あった。私は本会議でも言ったけれども、今銀行は超低金利で岩手銀行は年間100億の利益である。住宅ローンなんというのは、途中で低利に今切りかえている、交渉次第で。だから、ぜひ。例えば今755億と言ったけれども、1%下がったって7億円、これは本当に県民のために立派な仕事をできるわけであるから、強くこれは要望しておく。
 次に、消費税5%の県政に対する影響についてお聞きをしたいと思う。

〇佐藤財政課長 消費税が3%から5%になることによってそれに対する県政への影響と、こういうことであるが、平成9年の4月1日以降に4%の消費税、それから地方においては地方消費税が1%の消費税が創設される、導入されると、こういうことになっておるが、今現在、地方財政全体としては常々財源の不足が生じた場合にはいかなる措置を講ずるか、これについては常に国全体として地方の財政状況、これをどうするかについては毎年定められるわけであるが、いずれにしても平成9年、つまり明々年度における財政の状況、例えば国がどういう措置を講ずるのか、あるいはそれに絡んで財政制度の制度的な改廃等もあるかもしれないと、そういうようなことから、今現在、8年度の予算の状況を見てそれに合わせて消費税の影響額というのは出せないということで、御了解をいただきたいと思う。

〇斉藤委員 出せない理由が長くて、私93年度で試算をしたら今の3%で191億300万、消費税、県政に大きな影響があった。約200億である。だから、これが3%から5%になったら、これは300億超えるような県政の負担になる。本当にこれは重大な問題だと、都合の悪いのは試算できないようであるが、消費税5%増税、秋にはこの税率さらに変えようという話もあるので、この点については指摘だけにとどめておく。
 次に、沖繩県大田知事への支援、連帯の具体的推進についてお聞きをする。
 本会議で私の質問に対して、知事がこれは立派な答弁を行った。沖繩県民が歩んできた戦後50年の御苦労に思いをいたし、その心情を十分理解しているところであり、その動向について大きな関心を持っている。さらにこう言っている。主義、主張は別として、知事として沖繩県民の先頭に立って、いろいろ御苦労されていることについて深く敬意を表するものである。
 私、この知事の表明、大変評価をするものである。それでぜひ、この答弁に基づいて沖繩県民に対する具体的な支援、連帯の取り組みを進めるべきではないか。今農業問題で、農業青年などの交流、県レベルの交流はあるけれども、きのう沖繩の裁判などもあったけれども、私は米軍基地の縮小、撤去にかかわる平和視察、沖繩県民各界との懇談、観光旅行ではない沖繩県民の切実な実態、要求にかかわる具体的な支援の取り組みを県としてもやるべきではないかと思うが、いかがであろうか。

〇保坂国際交流課長 沖繩県への具体的な支援についてであるけれども、御案内のとおり、本県と沖繩県とは種もみの増殖事業でお世話になったことをきっかけにし、農業関係を中心に交流が非常に活発になってきておる。これはまた農業だけではなくて、物産展の開催であるとかイベントの開催、参加、さらには青年海外セミナー等による交流等も非常に活発に行われてきておる。こうした交流をさらに進めることにより、沖繩の方々との理解や連帯というものが私は深まっていくものと考えておる。そういうこともあり、御提言があったような具体的な行動については、県としては今のところ考えていない。

〇斉藤委員 最後の結論がよくない。国際交流課長が沖繩の支援、連帯で答弁するというのも異様な感じである。私、国際交流じゃないと思う、これ。沖繩県との友好である。平和問題で大いに交流できるようなことを私は強く要望しておく。
 次に、陸前高田市のりっけん観光株式会社への1億円の損失補償、5、000万円の増資措置について県の認識をお聞きする。
 りっけん観光株式会社の現状、実態をどう県として把握しているであろうか。

〇赤津地方振興課長 力建の実態ということであるが、りっけん観光株式会社についてはリゾートホテル経営が低迷し、約6億円の累積赤字を抱えておるということである。ホテル経営の困難というようなことから、主力融資先の北海道東北開発公庫を中心とした金融団と一緒に経営改善施策を策定して、その過程において陸前高田市の方に支援を要請してきているというように承知しておる。

〇斉藤委員 りっけん観光株式会社の実態をお知らせすると、株主は力建が筆頭株主で41・9%、アベインターナショナルコーポレーション、これ19%、西松建設が9・5%、高弥建設が5・7%、5番目が陸前高田市の4・7%、これは株主の状況である。役員は社長が力建の社長、副社長がアベインターナショナルコーポレーションの専務、取締役に力建の専務、りっけん観光取締役支配人が入っている。監査役には力建建設工業社長がなっている。力建が中心の企業である。それで累積赤字は6億358万だけれども、固定資産税は3年間滞納で4、600万の滞納、借入残高が11億円でほとんど不良債権化している。
 それでお聞きするけれども、筆頭株主である力建とアベインターナショナルは、住専から融資を受けてその借金を踏み倒しているのではないであろうか。第一住宅金融から力建グループが融資残高59億、不良債権額58億と言われている。アベインターナショナル融資残高40億、不良債権額40億である。私はこういうりっけん観光株式会社に陸前高田市が1億円の損失補償をする、5、000万の増資をするということが本当にいいことかどうなのか。県の地方振興課に相談があったと思うけれども、県はどう指導したのであろうか、また、私が言った住専とのかかわりについてどう認識されているか。

〇赤津地方振興課長 力建グループとのかかわりということであるが、そのような問題については、私ども新聞報道等では一応第一住宅金融の大口貸付先であるということは承知しておるという状況であるが、今回の損失補償については、まさにりっけん観光株式会社の設立経緯なりあるいは市のリゾートの中核施設として位置づけ、地域の経済効果とかあるいは今後における経営改善計画、こういったものを踏まえて、今回のいわゆる1億円の補償というものは陸前高田市の方で提案され、市議会においても既に議決になっておるということである。いずれにしても、これに関連する県の指導ということであるが、これについては実はこの種のものというか、具体には事前の相談等はいたしておらない。たまたま私ども知った最初は報道の時点ということであるが、これはなぜかと申すと、本来的に予算の変形であるので、できるのであればこういったことは差し控えた方が、慎重に取り扱った方がいいのじゃないかということになるわけであるが、この案件については、地域のそうした特殊な事情等を踏まえてのある意味では判断のもとに行われておるものだろうと思っておる。

〇斉藤委員 これは陸前高田版住専というべき問題で、本当に借金を踏み倒される危険性がある。そこに1億円の損失補償や5、000万の増資というのは、私は地方自治体はやるべきじゃないと思う。それで、金融改善計画が金融団によってつくられた。陸前高田市議会に出されたのはその骨子で、計画が示されなかった。全く根拠がない。1億円の損失補償はどう使われるか。4、600万円の固定資産税の納入に使われて、5、400万円は買掛金の支払いだという。経営の改善に何も使われない。私は本当にこれは驚くべきことだと思う。それで、市議会でこういう答弁をしたそうである。県と相談したら法的には問題ないと。こういうことなんで、もう聞いてもまともな答弁ないだろうからこれで終わるが、極めてこれは重大な問題だと指摘にとどめる。
 北上市の合併による新庁舎建設問題について一言お聞きする。
 本会議でも総括質問でもあったが、北上市は合併の際、新庁舎建設が約束をされた。これは合併の条件とされたいわゆる住民不在の密約のようなものである。北上市、旧和賀町、旧江釣子村の庁舎は比較的新しいもので、今だにその借金返済の過程である。新庁舎建設の必要性は市民の立場から見れば考えられないとの声が強いものである。建設予定も実際ずれ込んでいるようであるけれども、総合運動公園など少なくない開発がメジロ押しの北上市において、新庁舎を建設するとすれば約100億円の財源が必要だと言われている。県はこれをどう見ているであろうか。相談があるのであろうか。このような起債というのは可能なのであろうか。

〇赤津地方振興課長 北上市における新庁舎の建設問題については御案内のとおりだと思うが、平成2年12月3日に合併協議会があり、ここでいわゆる新北上市建設計画、これを盛り込んだ協定書が締結されておる。この協定書でいわゆる新事務所の位置を江釣子村上江釣子村地内と定めて、建設期間も平成6年から平成9年ということで決めておるというものである。このため市においては、新庁舎用地を平成5年度に江釣子村地内に既に取得しておる。具体的な庁舎の建設時期については、今11年開催のインターハイ関連、あるいは市街地開発事業等大きなプロジェクトがあるというようなことで今はめどが立っておらないと、今後検討したいと聞いておる。県としては、新庁舎建設計画に盛り込まれておるいわゆる合併協定書の関係があるし、これは新北上市建設計画は合併後のいわゆる北上市の基本となるものである。地域づくり、その他ということがある。そういった観点から、当然この協定書に盛り込まれておるいわゆる建設計画、こういったものは尊重されていくべきものだろうと考えておる。
 現在の動きであるが、先ほど申し上げたように用地は既に取得しておるということであるが、庁舎建設基金を設けて計画的に積み立てている状況だということでは伺っておるが、建設時期あるいは事業費等具体的な相談はないのが実態である。

〇斉藤委員 具体的相談がないというところが私みそで、これは大変矛盾に満ちた計画だと思う。約100億円を超えるような新庁舎になると、市民1人当たり12万円の負担で、総合運動公園とかオフィスアルカディアとかたくさんやっている中で、私はこれは市民犠牲のものになるんじゃないか、立派な庁舎が3つもある、北上市には。だから、庁舎は狭くて新庁舎じゃない。本当にこういう密約というのはまた市民に犠牲を強いるものではないかということだけ指摘をして、次に私学助成についてお聞きする。
 私教連の全国調査によると、高校生1人当たりの一般補助単価は岩手県25万3、242円で、現在東北第4位であるが、宮城県は通常9月補正で大幅に増額するので、結局東北第5位ということになるのではないか。青森県が4万七千三百……、これは1人当たり、そういうことであるが、東北中位という、これまでの県の公約は来年度も果たせないのじゃないか。
 2つ目に、増田知事は選挙公約の中で、公立高校1人当たりの助成額の2分の1助成に最大限の努力をすると約束をしている。公立高校1人当たり助成額は幾らになるか、その2分の1は幾らになるか。

〇盛合総務学事課長 私学について2点のお尋ねがあったが、まず第1点の平成8年度の私立高校に対する運営費補助の数字についてであるが、1人当たりの単価は委員御指摘のとおり25万3、242円である。これは本年度に比べて6・3%増と、本県を除く東北5県の平均伸び率の5・7%を0・6ポイント上回っておる。この結果、当予算においては、本県の運営費補助の水準は東北の中位にあると認識いたしておる。
 それから、第2点の公立学校1人当たりの助成額についてであるが、お尋ねの助成額というのは教育費という理解でよろしいであろうか……。これは私学の助成対象とは異なるものであるが、県教育委員会が調査した地方教育費の調査報告書によると、平成5年度における高校の生徒1人当たりの公費の額は101万1、000円余となっておる。

〇斉藤委員 私学助成でこうなっている。県単独分の一般補助、東北で比較すると青森が4万7、340円、岩手2万7、122円、山形2万8、780円、福島3万2、000円、宮城がちょっと空欄であるが、私は中位にならないんじゃないか、宮城県が補正すればやっぱり5位になるんじゃないかということを指摘する。
 特色づくりの推進事業が来年度増額されている。これは県補助が3分の2、学校負担が3分の1というものである。結局学校負担がふえることになる。その点で私2つ聞きたい。
 一般補助をふやすべきではないのか。2つ目は、特色推進事業をふやすとすれば、学校負担の割合を3分の1から引き下げる手段はないのか。

〇盛合総務学事課長 魅力ある学校づくりの推進事業の補助についてであるが、まず運営費補助の増額については、ただいま御説明申し上げたように、東北で中位の水準となる予算措置をしたところであり、厳しい財政状況のもとであるが、私立学校に対する運営費補助の充実に努めているところである。
 次に、魅力ある学校づくりの推進については、本年度の1億1、000万円から6、000万円増の1億7、000万円と大幅に増額をいたしておるが、この補助率については建学の精神に基づいた特色教育を積極的に支援するためにその補助率を3分の2と、県の補助金の中でも高い補助率で運用を行っているところである。

〇斉藤委員 県の行革大綱についてまとめてお聞きする。
 1つは、行政の情報化について。
 大綱では、電算システムの適用範囲の拡大を図るとしているが、私のところに寄せられた声によると、岩手電子計算センターの独占になっているのではないか。コンピューター業者も着実に成長していると思われるので、特別な場合を除きオープンな入札の機会を広げるべきだと、こう指摘があるがいかがであろうか。
 2つ目に、定数3%の縮減問題について。
 最小の人員で最大の効果をうたっているが、大規模イベントの開催、公共事業の推進、県立大学など新事業でそれぞれ主な人員増はどう見込まれているのか。スクラップ・アンド・ビルドが提案されているが、結局、人員を減らしてこれまでと同じ仕事をこなすということにならないであろうか。スクラップされるのはどういう分野であろうか。
 3番目、職員の健康管理について。
 健康障害、ストレスの要因が存在している、ふえていると指摘をされている。職員の健康管理の状況について療養人員、要保護人員、精神疾患の状況などを知らせてもらいたい。
 行政改革に関する県民アンケートが行われた。これを見ると、行政改革に関心のある理由、第1位が税金を有効に使ってほしい55・9%、県民からの要望にこたえてほしい42・1%、これは前回調査から倍増している。行政改革の影響について、サービスの低下はできるだけ避ける51・9%、県の組織体制については県民の要望にこたえるものであるなら部や課をふやしてもよい、第1位で37・9%。県の職員数についても、仕事の見直しなどを行い、それでも足りない場合増員もやむを得ないというのが第1位で51・1%であった。私は、どんどん行政需要がふえていく中で、3%縮減でいいのか。これは前回の行政改革と違うのは、県民の要求にこたえるなら人員増も認めるというのが県民の声である。私はそういう点で、3%縮減は極力抑えると言っているが、極力であるからふやす可能性もあると思うが、その点をひとつ県民アンケートをどう見ているか、それがどう大綱に反映したのか、極力抑制というのはどういう意味かお聞きしたいと思う。

〇及川行政情報室長 ICSの独占になっているのではないかという点についてであるが、県の行政情報ネットワークシステムを利用する岩手県オンラインシステム27業務あるけれども、その運営委託についてはICS──岩手電子計算センターと契約しているところである。これはあくまでもネットワークとオンラインシステムの連接性、換言すれば密接不可分の状況にあることから、ネットワーク管理の受託者であるICS以外の社とオンラインシステムの管理委託することは責任の分界点等が不明確となるなど、トラブル発生時の迅速な復旧を図る等の保守管理、あるいは県として安定した便益を享受することが困難なためである。そのほかの既存のシステム等、連接性のない単独業務については他社の参入を拒むものではなく、現実参入の実態がある。いずれにしても、電算業務が適正、安全に行われるよう努力してまいりたいと考えておるけれども、一方で電算システムあるいは情報通信システムについては、単に物を購入しあるいは据えつけるというものでは終わらず、ソフト開発からその後の円滑な運用のためのメンテナンス等が重要な要素でもあるので、その点に難しさがあろうかということも御理解を賜りたいと存ずる。

〇飛澤参事兼人事課長 3点ほどお尋ねがあったのでお答えしたいと思う。
 まず定数の3%縮減ということであるが、委員既に御案内のとおりであり、行政改革は簡素にして効率的な執行体制を維持しながら、財政運営の弾力性を堅持する、これが1つの眼目であろうと思っており、そういった弾力性を維持しながら県民福祉の向上、あるいは社会の変化に適切に対応していくための施策、あるいは事務事業を推進するといったようなことがあろうかと存じておる。そういった意味合いでこの定数、義務的経費の増嵩の原因になる定数は、できるだけ抑制基調でいって財政の弾力性を維持するんだと、こういう理解でよろしいかと思っており、いずれそういう意味合いで3%の縮減計画というものを立てたということであり、ただ、この定数は各年度ごとに調整してまいろうと考えておるので、具体の年度別の数字についてはここで具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思う。ただ、県立大学などの新規事業あるいはこの大学の開設に伴う増員についてはこの計画には含まれておらない。イベント事業については、ある程度の見通しを持ちながら計画を立てたいと、そう考えておる。
 それから、2点目の職員の健康管理であるが、病休等の状況、療養ということであるので、14日以上の継続療養者について申し上げると、療養人員は平成6年度136人ということで、5年度に比較して157人であるので減少傾向にある。さらに7年度、2月1日時点であるが、これが109人ということで減少傾向にある。
 なお、疾病の状況というか分類別で申し上げると、循環器系と申そうかそういったもの、あるいは精神障害といったものが多くなっておる。
 それから、健康診断の結果の概要であるが、これは保護措置と申しておるが、何と申そうか、ちょっとあなた飲み過ぎとか、週1回のやつを二、三日に一遍とか、そういったレベルの保護措置まで含めると大体4割くらいの方が保護観察となっており、このレベルは過去五、六年軽減化しており、大体継続的に4割程度と御理解いただければと思っておる。
 それから精神疾患のお尋ねがあったが、平成6年度の場合で申すと、療養人員が27人、平成5年度20人であるので若干ふえたということであるが、ただ、平成7年度に入り精神障害者、これは減る傾向にあり、現在時点で15人ということで大幅に減っておる。私どもこのメンタルヘルス、非常に原因が複雑多様、また、ケース・バイ・ケースということで、非常に対応が難しいと思っておるが、ただ、最近医師と職場あるいは家庭との連携と、そういったものが大切であるので、そういったことで適切な対応をしてまいりたいと考えておる。
 それから3点目のアンケートであるが、行政改革に関するアンケート調査、県民の意見を反映していないのではないかというお尋ねであるけれども、行政改革に関する県民アンケートについては、行政改革推進懇談会の場において詳細に説明をし、また、同懇談会においても9広域生活圏で行政改革の集いというものを開催して、各懇談会のメンバーの方々が直接県民の意見、要望等を把握する上でこの最終報告をまとめたということであるので、県民の方々の意見、意向というものは十分反映されていると理解しておる。

〇那須川委員長 斉藤委員にお伺いする。質問項目はまだたくさんあるだろうか。
   (斉藤委員「あとは官官接待だけである。」と呼ぶ)

〇那須川委員長 ひとつ簡潔に、また、執行部の答弁もひとつ簡潔にお願いする。申し合わせの時間を大きく過ぎておるので、進行に御協力をお願いする。

〇斉藤委員 今の点で1つだけ確認したいが、県立大学などの三百数十人の人員増はこれは定員でふえるということであろうか、そう理解してよろしいわけであろうか。

〇飛澤参事兼人事課長 県立大学の定数については定数条例上別項目になっておるので、議会の方にその時点でお諮り申し上げたいと、そう思っておる。

〇斉藤委員 では、官官接待について項目的にお伺いする。総括質問で抜けたところであるので、総務部長、先ほど大変能弁な発言があったのでお聞きしたい。
東京事務所の食糧費の半分以上が翌年の5月に集中的に処理されているのはなぜであろうか。390件の支出のうち、212件が1月、3月の年度末に集中しているのは予算消化のためではないだろうか。例えば、昨年3月の東京事務所の官官接待は22日間、95件、こうなっている。その中で、例えば3月23日9件、3月22日9件、3月15日9件、1日で142万、113万、101万、こういう懇談をやっている。この実態についてお聞きする。
 東京事務所の単価上限について、節度ある接待をしていると言っているが実態は決してそうではない。1人当たり4万6、000円の接待とか、4万円、3万円の接待、これが調査で出ておる。それで全国の状況を調べてみた。上限1万2、000円というところが北海道、山口、三重、愛知、大分、佐賀。1万5、000円、埼玉、広島、岐阜。2万円、香川。部長級は8、000円というところが愛知、徳島、大分である。私は、岩手県は3万9、500円の上限を取っ払らった。だから4万円を超えるような官官接待をやられているが、これは異常なことではないだろうか。
 東京事務所の需用費、電気代、ガス代などに土地改良費から支出されているのはなぜであろうか。よろしいんであろうか。
 情報公開について。
 公開しようとしている東京、宮城、青森と条例の内容が違うのであろうか。どこが違うのであろうか。県発行の公文書公開実務の手引きによると、公務員の職務に関する個人情報は非開示事項に該当しない、こうあるけれども、開示すべきじゃないであろうか。

〇盛合総務学事課長 平成6年度東京事務所の食糧費の支出が年度末に集中しているのではないかというお尋ねについてであるが、これについては当該年度の懇談の実態がその時期に集中したためである。したがって、支払いが5月に多いのはこれの影響によるものであると考えておる。
 それから、総務学事課関係では東京事務所の需用費について、土地改良費から支出されているのはなぜかというお尋ねについてであるが、東京事務所の事務は県政全般にわたっておるが、関係する事業の費目によってその経費を措置していただいているところである。
 なお、土地改良費については、県単独経費から充当したものであると伺っておる。

〇佐藤財政課長 東京事務所の単価の件でお答えを申し上げる。
 東京での食糧費の単価の取り扱いについては実態を考慮したものであるが、当然のことながら、東京など県外における食糧費についても必要最小限度の範囲で適正に執行してまいりたいと、こう考えておる。
 なお、全国の状況については把握していないので御了承願う。

〇斉藤委員 東京事務所の需用費について、例えば新聞代、図書費、電気料金、ガス代、これがなぜ土地改良費で出されているのか。私は東京事務所費にすべきではないだろうか。

〇盛合総務学事課長 東京事務所の需用費についてであるが、確かに大変な額が必要である、1年間の経費として。先ほど申し上げたように、関係する事業の費目によってその経費を措置していただいておるので、総務学事課からは令達した分はいろんな経費のあるうちこれを充当すると、こういう経理を行っているところである。

〇斉藤委員 総務学事課が令達しているんじゃない。農政企画課の土地改良費から新聞代、図書費、電気、冷暖房料、ガス代が出ている。これでいいのであろうか。

〇盛合総務学事課長 東京事務所の需用費、先ほども申し上げたけれども、土地改良費だけから賄われているものではない。総務学事課からも令達しておるし、それから他の部局からも令達をしておりそれで年間の運営を賄っていると、こういう実態にある。

〇斉藤委員 これは平成7年度6月の支出分である。東京事務所費で電気料金が払われた、5月分。ところが、6月分は土地改良費から出された。なぜこうなるのであろう。そして7月になると、農政部じゃなくて土木の所管になるんであろうか。

〇盛合総務学事課長 同じことを繰り返すようで大変恐縮であるが、東京事務所の1年間の需用費の総額というのは大変な額になるわけであるが、これについてはそれぞれ県政全般にわたっておるために、関係する事業の費目によって令達をいただきながら年間の経費を賄ってきておるところである。

〇斉藤委員 これは何だか行ったり来りなんで、最後に、タクシー券の利用についてお聞きする。
 どういう基準でこれは活用されているのか。部局長、課長、一般職員で利用される基準が違うのか。必要以外の者に使用されることはないか。東京事務所ではタクシー券を配布していると聞くが、これは何から支出されているのか。

〇盛合総務学事課長 タクシー券に関連して4点の御質問があったが、まず第1点のどういう基準で利用しているかについてであるが、これについては公用車に余裕がない場合、それから使用時間が職員の勤務時間に及ぶ場合であって、それで3つのケースについて認めておるが、課長もしくはこれと同等以上の職務にある者がその職務を行う場合、それから2つ目としては、公務のため来県した国または他の都道府県の職員がその職務を行う場合、それから3つ目として、その他タクシー券の発行について発行者が必要と認めた場合という、この3つのケースについて認めておる。したがって、第2点の部局長、課長、一般職で利用に違いがあるか、それから第3点目の必要以外の者に使用されることはないかについては、そのようなことはないと、このように認識しておる。
 それから、第4点の東京事務所におけるタクシー券の購入の費目についてであるが、これについては使用料及び賃借料で購入を行っているものである。

〇及川行政情報室長 情報公開、公文書公開についてのお尋ねであるけれども、東京、宮城あるいは青森との条例の相違点であるが、東京都、宮城、青森県の条例との比較については、端的に申して条例制定の目的や請求権者の範囲等の規定が若干異なっておるけれども、その構成そのものにおいてはおおむね同様となっているところである。
 それから、手引きについてであるけれども、条例第9条第2号のただし書きに関連して、公務員の職務に関する個人情報は直ちには非開示事項には該当しないものであると説示されているところである。

〇斉藤委員 タクシーチケットについて、私のところに届けられた。私はこの活用、重大だと思う。部局長は束で使っているということもある。東京では配布されていると。恐らく接待のときに配布していることもあるのじゃないだろうか。私は、この調査を求めて私の質問を終わる。

〇村上委員 このたび上田総務部長には、この3月末をもって自治省に復帰されると伺っておるので、ここに送別の言葉を述べさせていただきたいと存ずる。
 総務部長は、平成3年8月、自治省行政局行政課理事官から企画調整部長として岩手県に着任され、そしてまた総務部長という重責を担われ、多くの業績を残されてまいられた。
 着任された当時の本県は、全国健康福祉祭を初め三陸海の博覧会、アルペンスキー世界選手権大会そして国民文化祭など、国際的にも国内的にも注目を集める大きなイベントが相次いで開催されるなど、まさに本県が21世紀に向け、大きく飛躍していくための基礎が整いつつあるときであった。このような状況のもとで、企画調整部長時代においては、特に県政の基本指針として、みんなで築くふるさと岩手、第三次岩手県総合発展計画や北海道東北21世紀構想であるほくとう銀河プランの策定について21世紀を目前に控え、時代の流れを的確にとらえながら本県の進むべき道筋を見定めた台本をまとめ上げられたのであった。また、本県のすぐれた自然環境や景観が次代に継承されるよう努められるとともに、科学技術の振興への取り組みや盛岡-秋田間の新幹線直行特急化事業の促進などに積極的に取り組んでまいられたのである。
 総務部長は、言うまでもなく、人事、財政など、県政運営の基幹部門を統括する重責にある。部長には、平成5年4月の就任以来、抜群の指導力を発揮され、堅実にその重責を果たしてまいられた。特に、人間性豊かな社会の形成に寄与する深い知性と豊かな感性を備え、高度な専門性を身につけた技術的な人間を育成する大学を基本理念に掲げた県立大学の設置と、その開学に向けた具体的な取り組みに当たっては御苦心が多々あったのではないかと推察申し上げ、改めて敬意を表する次第である。また、絶えず財政運営の健全化を進め、行政改革の着実な推進による効率的かつ機動的な執行体制の確保に努められたことについても、衷心からその労を慰めするものである。
 上田総務部長は、東京で生まれて東京で育ったと伺っておるが、県政におけるさまざまな行動はすべてにおいて岩手県人であった。また、多忙な業務の中にあっても、我々県議会議員を初め部下職員との交流を心がけられるなど、その人柄は多くの人から慕われておる。趣味豊かで生彩にあふれ、誠実に事を運ばれる部長が岩手を離れることはまことに惜別の情にたえない。しかし、部長が岩手において残された数々の業績を糧として、後に続く職員は必ずや部長の決断の真意を酌み、一丸となって足跡を踏まえながら、県政運営の推進に当たり、部長の期すところをなし遂げてまいるものと信ずるものである。
 最後に、上田総務部長におかれては、御健康に気を配り、自治省に戻られても、岩手県勢の発展のために引き続き御尽力を賜るようお願い申し上げて、お別れの言葉とする。本当にありがたかった。
 なお、部長には、御所感を聞かせていただければ幸いに存ずる。(拍手)

〇上田総務部長 ただいまは、総務常任委員長より大変身に余るお言葉をちょうだいし、大変恐縮いたすとともに、心から御礼を申し上げたいと存ずる。どうもありがたかった。 実は、まだ4月からどういう職につくかということについて内示を受けておらないで、一応自治省ではないかと言われている段階で、はっきりしたことは申し上げられないので私も困っているけれども、この場をお借りして、私がこの約5年間で大変感銘を受けたこととそれから委員方におわびを申し上げたいこと、それから決意について申し上げたいと存ずる。
 感銘を受けたことと申すのは、これは1つの事例であるが、今いらっしゃらないので固有名詞を出してよろしいかと思うが、約4年ぐらい前に、県議会の委員方と御一緒に盛岡南でゴルフをやったことがある。私のゴルフというのは、どちらかというと力任せに打つ方であり、よほどいいスイングをしたんだろうと思うけれども、あるホールでふくらはぎがつるというのか、こむら返りというのか、からすまがりというのか、そういうのを起こしたことがある。そのときに、何人かの委員方に心配していただいたけれども、佐々木洋平委員が、上田さん、余り無理するなと、こうおっしゃった。
 私、これ大変感銘したというのは、大変失礼であるけれども、私は前熊本県におって、県議会の議員というのは割合と荒っぽい人がおるものであるから、そういうお言葉をちょうだいできるとは正直言って余り予想しておらなかったことから、こういう心配りがこの岩手の土地に住む方々の心根なのかと思って、大変感銘した。これは一番最初だから、私、事例として今あえて白状するわけであるけれども、その後いろいろな、もちろんこの席におられる委員方にもそういう温かい目をかけていただいてきたし、また、県職員の同僚の皆さんにもそういう優しい思いやりを向けていただいたところである。こういった心根というものを大変感銘を受けた次第である。私にとって大変光栄な御縁をいただいたものだと思っておる。
 それから、おわびを申し上げたいというのは、私いささか口数が多いものだからいろいろ御迷惑をかけたことが──きょうも御迷惑かけたかもしれないけれども──あろうと思う。先日のまつりごと・ほんねの川柳の秀作シリーズの中で、今、在席でないが、佐々木俊夫委員が、のど元でとめて評価が高くなりという名句を残しておられる。私の場合には、のど元を出て評価が低くなりということで、口数の多いことに基づいて大勢の方に御迷惑をかけたことがあろうと思うけれども、これは私の性分であるので、ひたすら御容赦を願うほかないと存じておる。
 それから決意であるが、私は、私というか、自治省の職員はいろんな縁があっていろいろな都道府県あるいは市町村に一緒に同勤させていただくという機会を得るわけであるけれども、私の場合は、たまたま血縁も地縁もないこの岩手県というところに御縁をいただいたわけである。しかし、我々国、地方を行ったり来たりする人間の場合、自治省ではとにかく自分の勤務地については、これは生涯常に念頭に置くというのがしきたりだろうと思う。私は、今後いかなる仕事であれ仕事以外であれ、この岩手県というものを常に頭に置いて生きていきたいと思っておるし、こういった意味で、もともと岩手に赴任したこと自体は全くの偶然であるけれども、今後、私が岩手県に寄せる思いというのはこれは必然のものであると考えておるので、どうかこの3月いっぱいを最後ということではなくて、どうか引き続き委員方には御指導を賜るように切にお願い申し上げて、御礼の言葉とさせていただきたいと思う。本当にありがたかった。(拍手)

〇那須川委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇那須川委員長 質疑がないようなので、これで総務部関係の質疑を終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。本日はこれをもって散会する。
   午後5時49分 散 会


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