平成8年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成8年3月11日(月)

1開会    午前10時3分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
  事務局長       渡邊勉
  議事課長       小国平二
  議事課長補佐     西田幸男
  主任議事管理主査   駿河勉
  議事管理主査     吉田徹
  議事管理主査     小原敏文
  議事管理主査     中澤悟
  議事管理主査     木村稔

1説明員
  副知事        千葉浩一
  副知事        吉永國光
  総務部長       上田紘士
  総務部次長      大隈英喜
  県立大学整備室長   川崎功
  参事兼人事課長    飛澤重嘉
  総務学事課長     盛合桂三郎
  国際交流課長     保坂貢一
  財政課長       佐藤勝
  施設管理課長     大槌典男
  税務課長       梅木敬時
  地方振興課長     赤津征男
  消防防災課長     本田敏秋
  企画調整部長     小野寺英二
  企画調整部次長    佐藤孝司
  企画調整部次長    小森睦夫
  企画調整課長     馬場竹次郎
  科学技術振興室長   邨野善義
  地域計画課長兼海洋開発対策室長兼リゾート対策室長  菊池毅逸
  交通政策課長     瓦林康人
  資源エネルギー課長  相原正明
  青少年女性課長    高橋洋子
  公聴広報課長     晴山祐典
 

〇渡邊議会事務局長 年長の委員を御紹介申し上げる。
 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっておる。出席委員中、藤原哲夫委員が年長の委員であるので御紹介申し上げる。藤原哲夫委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いする。
   〔年長委員藤原哲夫君委員長席に着く〕

〇藤原年長委員 ただいま御紹介いただいた藤原哲夫である。よろしく御協力をお願い申し上げる。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開く。
 これより委員長の互選を行う。委員会条例第7条第2項の規定により委員長互選の職務を行う。何とぞよろしくお願い申し上げる。
 お諮りする。委員長互選の方法については指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることに決定した。
 お諮りする。指名推選の方法については、当職において指名することにいたしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。  予算特別委員長に那須川健一君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した那須川健一君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した那須川健一君が予算特別委員長に当選された。
 ただいま当選された那須川健一君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。那須川委員長、委員長席にお着き願う。
   〔予算特別委員長那須川健一君委員長席に着く〕(拍手)

〇那須川委員長 一言ごあいさつ申し上げる。
 平成8年度の予算審査に当たって特別委員長に互選をいただいて大変光栄の至りである。
 きょうから8日間、長丁場であるが、実のある委員会に終わるよう職責を果たしてまいりたい、このように思っておるので、どうぞひとつ委員各位の心からなる御協力をお願い申し上げて一言ごあいさつにかえさせていただく。よろしくお願いする。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇那須川委員長 御異議なしと認め、さよう決定する。
 これより副委員長の互選を行う。
 お諮りする。副委員長互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇那須川委員長 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることに決定した。
 お諮りする。指名推選の方法については、当職において指名することにしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇那須川委員長 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。 予算特別副委員長に水上信宏君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した水上信宏君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇那須川委員長 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した水上信宏君が予算特別副委員長に当選された。
 ただいま当選された水上信宏君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。
 水上副委員長、ごあいさつをお願いする。

〇水上副委員長 ただいま副委員長に指名推選いただいた水上信宏である。
 浅学非才、その器ではないが、皆様方の御指導をいただきながら円滑な議会運営に努めてまいりたいと思うので、よろしくお願い申し上げる。(拍手)

〇那須川委員長 お諮りする。当予算特別委員会に付託された議案31件についての審査の方法であるが、お手元に配布してある日程案のとおり、本日から15日まで、18日、19日及び21日の8日間は関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、議案31件に対する意見の取りまとめと採決については、21日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇那須川委員長 御異議なしと認め、さよう決定する。
 これより議事に入る。議案第1号から議案第21号まで、議案第23号 、議案第27号から議案第33号まで、議案第40号及び議案第41号、以上31件を一括議題とする。
 これより平成8年度予算の総括説明を求める。

〇上田総務部長 最初に、総括について、第1に国の予算と地方財政対策、第2に本県の予算編成、第3に歳入歳出予算の概要、こういった3点に分けて順次御説明申し上げる。 まず、国の予算及び地方財政対策についてであるが、国の予算については、平成7年度末には約222兆円に達する多額の公債残高を抱え、引き続き厳しいものが見込まれる税収動向のもとで、従来にも増して徹底した歳出の洗い直しに取り組む一方、限られた財源の中で資金の重点的、効率的な配分に努め、質的な充実に配慮することなどを基本方針として編成されたところである。この結果、平成8年度の国の一般会計予算の規模は75兆1、049億円余、前年度に比較して5・8%の増、国債費及び地方交付税交付金等を除いた一般歳出では2・4%の増となっておる。
 次に、地方財政対策についてであるが、所得税及び住民税の制度減税に伴う平成8年度の地方財政への影響額2兆8、745億円については、地方交付税の増額や減税補てん債の発行により完全に補てんされ、また、減税以外の地方財源不足見込額5兆7、533億円については、地方交付税3兆7、233億円の増額と建設地方債2兆300億円の増発により完全に補てんされ、当面の財政運営に支障が生じることのないよう配慮されているところである。この結果、地方財政計画は3・4%の増となっておる。
 地方財政計画の主な内容であるが、地方税は、全体としては0・1%の増であり、うち道府県税は1・8%の減と見込まれておる。地方譲与税は0・6%の増、地方交付税は4・3%の増、また、国庫支出金は2・1%の増と見込まれておる。地方債は、住民税減税に伴う減税補てん債や地方財源不足等に対処するための措置を講ずるとともに、公共投資基本計画等の考え方に沿って、生活関連基盤の整備を重点的に推進するため、必要な地方債資金の確保を図ることとされ、14・7%の伸びとなっておる。また、使用料及び手数料の収入見込額については1・9%の伸びが見込まれておる。
 歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化を図るとともに、公共投資基本計画等に沿った住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安全なまちづくり、総合的な地域福祉施策の充実、それぞれの地域の特色を生かした自主的、主体的な活力ある地域づくりなどを積極的に推進するための事業費の確保に配意する等、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、地方財政の健全性の確保にも配意しつつ、節度ある行財政運営を行うことが基本とされているところである。
 次に、本県の予算編成についてである。平成8年度は、国の経済見通し及び県内経済の動向から、自主財源の大宗をなす県税収入の伸びや地方交付税に多くを期待できず、また、歳出面においては、公債費等義務的経費の増加や多様な財政需要の増大が見込まれることなどから、従前にも増して厳しい財政環境下に置かれるものと予測しておる。このような中にあって、平成8年度の予算編成に当たっては、国の予算編成方針及び地方財政計画等の趣旨を踏まえながら、従前にも増して事務事業の優先度、緊急度等による施策の選択を徹底して行い、限られた財源の重点的かつ効率的な配分に徹し、財政の健全性の確保に留意しつつ、可能な限り積極的に諸施策を推進することを基調として編成されたものである。
 予算の大綱について申し上げると、歳入面では、使用料、手数料などの適正化により自主財源の強化に努め、国庫支出金や県債の効率的な導入を図ることとし、歳出面では、一般行政経費の節減合理化、県単独補助金の整理合理化等、事務事業の徹底した見直しを行い、限られた財源の効率的、重点的配分に努めたところである。この結果、当初予算の規模は8、071億3、700万円余で、前年度当初予算対比で12・7%の増、また、実質的な当初予算とも言える前年度6月現計予算対比では4・4%の増となるものである。
 次に、歳入歳出予算の概要について申し上げる。便宜、お手元に配布しておる予算に関する資料の1ページをお開き願う。厚い資料の一番下の方の薄い冊子である。
 平成8年度の一般会計歳入歳出予算総括表第1表であるが、歳入のうち、自主財源は県税、分担金及び負担金、使用料及び手数料、さらに財産収入から諸収入まで、これらが自主財源に該当するわけであるが、この総額は2、519億5、300万円余で、前年度6月現計予算に比べると6・5%の増となり、歳入に占める割合は31・2%である。これは、県税収入が減少したものの、繰入金が増加したことによるものである。
 また、依存財源は、地方譲与税、地方交付税、交通安全対策特別交付金、国庫支出金及び県債であるが、総額5、551億8、300万円余で、前年度6月現計予算に比べると3・4%の増となり、その構成比は68・8%となるものである。
 次に、歳出であるが、主要事業についてはそれぞれの所管部局の審議の際、関係部局長から詳細に説明するので、款別歳出については説明を省略させていただいて、私からは性質別の主なものについて申し上げる。同じ資料の3ページをお開き願う。
 第2表であるが、人件費は、表の右端の増減率欄をごらんいただくとおり、0・8%の増となっておる。同様に右側を御着目いただきたいと存ずるが、下から5行目であるが、物件費は5・4%、維持補修費は下から4番目であるが、1・9%の増となっておる。4ページ、扶助費であるが、0・3%の増である。6行目であるが、補助費等は6・7%の増であるが、これは、農業の新生産調整対策を円滑に進めるための地域調整推進事業費補助金を計上したことや、県立病院等事業会計に対する負担金が増加したことなどによるものである。普通建設事業費、同じ4ページの下から7つ目であるが、26・1%の増となっておるが、前年度6月現計予算対比で見ると5・6%の増、うち県単独普通建設事業費は16・8%の増となっておる。次に、5ページ、上から5つ目であるが、公債費は13・8%の増となっておるが、これは、平成4年度以降、国の経済対策に伴い、地方負担額の財源とされた補正予算債等の発行が増加しており、この元金償還が始まることなどによるものである。積立金は69・8%の減となっておるが、これは、低金利による県債管理基金、公共施設等整備基金等の果実収入の積立金の減少を見込んだことによるものである。出資金が33・8%の減となっておるが、これは、前年度措置した財団法人林業労働対策基金への出捐金がことしは計上されていないことなどによるものである。貸付金は19・6%の増となっておって、繰出金は、中小企業振興資金特別会計への繰出金の増などにより79・2%の増となっておる。
 一般会計歳入歳出予算の概要は以上のとおりであるが、特別会計については所管部局において御説明申し上げるので、当職からは省略させていただきたいと存じる。
 なお、歳入、その他について、大隅総務部次長から御説明申し上げる。
 以上で総括説明を終わらせていただく。

〇大隅総務部次長 それでは、歳入、その他について御説明申し上げる。お手元の議案その1の1ページをお開きいただきたいと思う。
 議案第1号平成8年度岩手県一般会計予算であるが、第1条は、歳入歳出の総額を8、071億3、738万6、000円と定めるものである。
 第3条は、地方債の限度額等を定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を700億円とするものである。
 第5条は、職員の給与についての流用を定めたものである。
 次に、歳入について説明する。便宜、厚いものであるが、予算に関する説明書をお開きいただきたいと思う。3ページをお開き願う。
 まず、第1款県税1項県民税は297億5、900万円余で8・0%の減となっておるが、これは、3目利子割が預貯金利率の低下により33億4、100万円余の減収が見込まれることによるものである。
 4ページの2項事業税は292億9、700万円余で4・2%の減となっておるが、これは、県内の景気回復の動きが弱く、企業収益は前年度を下回るものと見込まれることによるものである。
 5ページの3項不動産取得税は51億2、800万円余で1・5%の減となっておるが、これは、大口取得分が前年度を下回る見込みであること等によるものである。
 6ページ、4項県たばこ税であるが、36億100万円余、5項ゴルフ場利用税は6億6、100万円余、さらに8ページであるが、6項特別地方消費税は9億7、700万円余となっておる。
 9ページの7項自動車税は187億5、900万円余で4・4%の増である。
 次に、10ページであるが、8項鉱区税、次の9項狩猟者登録税は、最近の課税実績等を勘案し、それぞれの収入見込み額を計上したものである。
 次に、12ページであるが、10項自動車取得税は64億800万円余で1・0%の増となっておる。
 13ページ、11項軽油引取税は234億4、600万円余で1・5%の増となっておるが、これは、軽油使用車両の保有台数が増加していること等によるものである。
 次に、14ページをお開きいただきたいが、12項入猟税は、狩猟者登録税と同様、課税実績等を勘案し、計上したものである。
 なお、15ページの13項は、平成元年度に実施された税制改革に伴う旧法による税である。
 以上、県税の合計額は1、181億6、100万円余で、前年度当初予算額に比べ29億1、400万円余、2・4%の減となるものである。
 次に、16ページをお開きいただきたい。16ページの2款地方譲与税であるが、1項消費譲与税は73億2、500万円余で0・9%の増、17ページの2項地方道路譲与税は26億3、500万円余で1・1%の増となっておる。
 次に、18ページ、3項石油ガス譲与税は3億3、800万円余、19ページの4項航空機燃料譲与税は3、300万円余と見込んでおる。
 次に、20ページ、地方交付税であるが、2、323億7、400万円余、6・0%増を計上しておる。
 次に、21ページ、4款交通安全対策特別交付金は6億5、000万円である。
 次に、22ページの5款分担金及び負担金であるが、1項分担金は、圃場整備事業等に係る分担金であり、次のページ以降の2項負担金は、総務、民生、衛生、農林水産、土木及び教育に係る受益者負担金を計上したものである。
 次に、26ページをお開きいただきたい。6款使用料及び手数料について主なものを申し上げる。2目民生使用料では、肢体不自由児施設使用料、28ページの7目土木使用料では、県営住宅使用料がその主なものであり、9目の教育使用料では、高等学校の授業料が主なものである。これら使用料の総額は、29ページのとおり84億5、500万円余で、1億4、100万円余の増となっておる。
 なお、これらには、今回改定を予定しておる産業文化センター使用料など8件、1億600万円余の増収を見込んでいるところである。
 次に、30ページである。2項手数料であるが、1目総務手数料から9目教育手数料まであわせ、33ページに記載のとおり総額30億3、400万円余で、このうち改定を予定しているものは、食品営業許可手数料など6件である。
 次に、34ページをお開き願う。7款国庫支出金であるが、1項国庫負担金の主なものを申し上げると、1目民生費負担金では9節の生活保護29億1、700万円余であり、3目農林水産業費負担金では、1節の農業共済団体等事務18億5、600万円余、4目土木費負担金では、中小河川改修事業、砂防事業などがその主なものである。5目教育費負担金では、義務教育人件費に係る国庫負担金がその主なものである。36ページ、災害復旧費負担金を含め、国庫負担金の総額は673億1、400万円余となっておる。
 次に、37ページの2項国庫補助金であるが、その総額は、恐れ入るが、ずっと56ページまで飛んでいただく。56ページであるが、そこの下の方に1、208億1、400万円余、前年度対比15・4%の増になるが、前年度6月現計対比では1・6%の増である。
 次に、3項委託金であるが、総額は60ページに記載してあるとおり、14億800万円余となるものである。
 次に、61ページ、8款財産収入1項財産運用収入は、2目利子及び配当金収入の低金利による基金運用収入の減収などにより16億9、800万円余となる見込みであり、次のページの2項財産売り払い収入は7億2、600万円余と見込んでおる。
 次に、64ページ、9款寄附金は1、200万円余を計上しておる。
 次に、65ページ、10款繰入金1項特別会計繰入金は9億9、200万円余となっておる。
 66ページであるが、2項基金繰入金は310億7、700万円余となっており、前年度に比べ249億200万円余の増となっておる。これは、県立大学や職業能力開発短期大学校、さらには農業研究センターなどの──これは仮称であるが──建設事業に充てるため、公共施設等整備基金から160億円を繰り入れたほか、県債の償還に充てるため、県債管理基金から140億円を繰り入れたことなどによるものである。
 なお、平成7年度末の基金残高は、財政調整基金は64億9、700万円余、県債管理基金は953億7、800万円余、公共施設等整備基金は426億5、300万円余を見込んでおる。
 次に、67ページ、11款繰越金は整理科目である。
 68ページ、12款諸収入1項延滞金、加算金及び過料は2億3、100万円余を計上しておる。
 69ページ、2項預金利子は3億2、600万円余である。
 次に、70ページ、3項公営企業貸付金元利収入は173億1、500万円余で、県立病院等事業会計からの収入が主なものである。
 次に、71ページ、4項貸付金元利収入は、総務、民生、衛生など各行政部門における貸付金元利収入であり、合計額は73ページに記載されてあるが、457億400万円余となっておる。
 次に、74ページ、5項受託事業収入の総額は、次のページであるが、31億500万円余となっておる。
 次に、76ページ、6項収益事業収入は、宝くじ収入及び競馬収入であるが、36億5、200万円余を見込んでおる。
 7項の利子割精算金収入は2、600万円余、次のページ、8項雑入の総額は、81ページであるが、65億4、100万円余となっておる。
 次に、82ページは、13款県債であるが、その総額は、84ページに記載してある1、222億8、700万円であり、前年度6月現計対比で15・4%の増となるものである。
 なお、県債の残高については、恐れ入るが、321ページから322ページをごらん願う。平成7年度末現在高は、前年度末現在高見込額の計欄に記載されているわけである。322ページがその計欄であるが、左から3列目であるけれども、6、961億6、900万円余、平成8年度末では、同じく計欄の右端になるが、当該年度末現在高見込額の欄で7、782億6、000万円余と見込まれておる。
 以上で歳入についての説明を終わらせていただく。

〇那須川委員長 ただいまから総括質疑に入るわけであるが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、代表質疑、自由質疑の順に行うことになっておる。代表質疑は各会派1人ずつとし、発言時間は、答弁を除き、新進・公明45分、自由民主党、社会民主党、県民クラブ及び無所属クラブはそれぞれ30分となっておるが、会派の発言時間に残時間があるときは、その範囲内で当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっておる。自由質疑は、答弁を除き、1人15分を限度とし、交渉団体に属していない委員を優先して質疑を認めることになっておる。
 また、説明、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議会運営委員会の申し合わせにより、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いする。
 これより代表質疑に入る。

〇吉田(洋)委員 吉田洋治である。ただいま平成8年度予算について説明があったが、私はこれらについて、新進・公明を代表して、総括的に質問をする。
 まず、千葉副知事にお伺いする。
 岩手県地方労働委員会が創設50周年を迎えた。地方労働委員会制度は、終戦後間もない昭和21年3月、労働組合法の施行とともに発足し、50年の節目を迎えたのであるが、私も過去に9年間ほど労働者委員としてかかわっておったので感慨無量のものがある。 地労委は、終戦直後の動乱期から高度経済成長期を経て今日まで、目まぐるしく変転する社会経済情勢に即応しながら、不当労働行為の審査や労働争議の調整などを通じて、我が国における近代的労使関係の形成、経済の発展にその一翼を担ってまいった。この間に岩手地労委で取り扱った事件は、労働争議の調整事件が902件、不当労働行為が185件となっており、この長きにわたり積み重ねられた数字の1つ1つには、その時代、時代の世相を反映した労働紛争があり、その解決のため心血を注がれた地労委の努力が込められているものと存ずる。
 そこで、地方労働委員会創設50年の歴史を振り返って、千葉副知事の所感をまずお伺いする。

〇千葉副知事 岩手県地方労働委員会は、労働組合法の施行により創設されたものである。以来、今日に至るまで半世紀にわたって労働争議の解決を通して健全な労使関係の確立を図ってきたところである。また、本県産業の発展あるいは労働者の生活の安定と向上に大きな貢献をしてきたものと考えているところである。特にも、発足当初多発した鉱山の休廃止問題に絡む労働争議や昭和30年代から40年代にかけて県民の足に大きな影響を与えたバス争議等の解決に当たっては、連日にわたって夜を徹してのあっせん作業をやったところである。これらについては広く県民に知られているところである。この間、歴代の会長を初め、委員各位あるいは関係者の御尽力に対して、改めて感謝を申し上げる次第である。
 今後、産業構造や雇用慣行の変化等に伴って労使関係も複雑、多様化していくと考えられる。そういった中で、地方労働委員会の役割はますます重要なものになってくると考える。その活動に今後大いに期待申し上げたいと考える。

〇吉田(洋)委員 私は、近代的労使関係の基本は事前協議の徹底にあると思っている。岩手県の労使関係について、過去を振り返りつつ、今日の現状をどのようにとらえ、今後の本県労使の信頼関係をどのように構築していこうと考えているのかお伺いをする。

〇吉永副知事 近代的労使関係の基本は、労使相互の立場の尊重、意思疎通、相互理解の増進にあって、事前協議制が極めて有効な手段であるということは委員御指摘のとおりである。我が国の長い労働運動の歴史の中で、幾多の先達が多くの困難な中で民主的労働運動を推進、展開され、これによって今日の良好な労使関係が徐々に形成され、労働者の地位、福祉の向上と我が国の経済の繁栄が導かれたことは高く評価するものであって、そういった先達に対しての御苦労に敬意を表するものである。
 最近の県内の労使関係は、労働争議の状況から見ると、その発生件数は昭和60年115件であったのが平成6年には11件と減少しておる。また、地方振興局に開設されておる労働相談では、労使関係に関する相談が昭和60年には130件であったが、平成6年では22件となっておって、争議行為と同様、減少の傾向にある。このような状況からいって、最近の労使関係は、全体として安定化の傾向にあると考えられるところである。労使の信頼関係を一層高めるため、県としては、労使の自主性を尊重しつつ、岩手勤労学園、労使関係セミナー等の労働教育を初め、職場巡回指導の実施、さらには労働相談に応じてきたところであるが、今後ともこうした労働教育などを通じて、労使の信頼関係の確立を促進してまいりたいと考えている次第である。

〇吉田(洋)委員 同時に、これは要望であるが、まず、岩手県と県庁内における労働組合があるわけであるが、そうした庁内の労使関係のあり方というものについても非常に本県は厳しい状況であるから、労使の信頼関係というのが事を起こす場合の大きな前提になる、こういうように私は思う。したがって、どうかひとつ、庁内における自治労を初めとする労使が存在するわけであるので、そうした私の思いを今お伝えをしたかったわけであるが、今後の労使の運営についてぜひそうした姿勢をとって進めていただければと、これは要望である。
 次に、財政問題についてお伺いをする。
 増田知事の手による初めての年間予算である平成8年度一般会計当初予算は過去最高の8、000億円の大台に乗り、本年度6月現計を4・4%上回る積極型となった。私は、非常に厳しい財政事情の中にあって、大胆かつ極めて細やかな配慮が随所に見られ、長引く不況、不景気の中であえぐ県内経済に新鮮な活力を与える予算となっているものと評価をし、増田知事を初め、執行部の皆さんの御努力に対し、心より敬意を表するものである。一方で、県職員は萎縮している、もっと元気を出してやってほしいとの声もあるが、明るく元気に、そしてさわやかに頑張っていただきたいと願うものである。
 知事は、景気が低迷しているときは積極型でいこうというのが基本哲学、逆に好況になったら、引き締めて過熱を抑えることが重要だと言っておられるが、私も基本的に賛成である。
 ところで、最近、本県出身の国会議員の発言がさまざまな波紋を呼んでおる。衆議院予算委の公調委で、北海道豊浜トンネル岩盤事故について、一体この事故は何日間も中央議題のトップの記事を飾る問題なんだろうか、ひょっとするとローカルニュースと受けとめていい話などと述べ、これは朝日新聞が報道しておった。私は、岩手のイメージダウンになるのではないかというふうに危惧をした。また、同氏の発言で、本県財政にかかわる問題があり、私は疑問と思ったので、共通認識を持つ意味で質問をさせていただく。
 3月3日付岩手日報朝刊に、同氏は住専問題について、さきの予算委員会では国家予算の1%にも満たない住専関連予算だけにとらわれて全体の予算審議がおろそかになるのは問題と指摘をしたそうである。岩手県予算の1、200億円の借金の方が問題ではないか。県民1人当たり八、九万円の借金となり、住専の5、000円よりははるかに大きいと語ったとあった。私は、これは問題のすりかえではないか。ただいま予算説明があったように、確かに一般家庭の借金に当たる8年度予算における県債は1、222億円、歳入に占める割合は15・2%と過去最高であるが、地方財政計画に示された目安も15・2%と健全財政の範囲内。今、底が見えたと言われつつ、足踏み状態の景気と超低金利は、自主財源が3割しかない本県財政を直撃。主要自主財源の県税見込み額は2・4%減の1、181億円、法人税関係が15億円減、預貯金利子にかかわる利子割収入も33億円減を見込んでの予算編成。加えて、各種基金運用益が主な財産収入見込み額も平成7年6月補正時点より27億円減であり、これらだけでも合計すると80億円近くの財源の減収である。だから、これを穴埋めするとともに、県民の多様な行政需要にこたえるため、積み立てておいた財政調整基金、公共施設等整備基金などから310億円を取り崩し、積極的な予算を組んだのである。
 そこで、まず、私のこうした財政運営についての認識について、どのように思うか。間違っているかどうかお伺いをする。

〇千葉副知事 今回の予算編成に当たっては、歳入の面では県税や地方交付税の伸びに多くを期待できない状況にあった。また、歳出の面では、公債費等の義務的経費の増加が見込まれるところから、従前にも増して事務事業の厳しい選択を行ったところである。そして、財源の計画的、重点的な配分に徹することとして、3県総後期実施計画に盛り込む予定の事業を中心として、可能な限り積極的な予算編成に努めたところである。
 一方、このような厳しい財政環境のもとにあって、自主財源の確保にも留意したところである。歳入面では、使用料、手数料等について適正な見直しを行うとともに、財政調整基金、公共施設等整備基金の取り崩しなど、積立基金の有効活用を図ったところでもある。また、歳出面では、県単補助金の廃止あるいは縮減など、経費全般にわたって徹底した節減合理化に努めたところでもある。
 なお、県債の発行に当たっては、後年度の財政負担が軽減される措置のある優良な起債をできるだけ活用することとし、将来の財政負担の軽減にも十分配慮したところである。

〇吉田(洋)委員 ほぼ同一認識だと思った。
 次に、県債の発行についてであるが、近年、県債残高は確かに増嵩しておる。これは全国的な傾向であり、背景には、国が公共投資による景気対策を進め、地方債の増発を容認してきたという事情がある。したがって、各自治体は、本県のようにおくれていた社会資本を整備する絶好のチャンスととらえ、県債を発行し、積極的に事業を拡大してきたのである。こうした県債の発行の中で、近年、一定の条件のもとに後年度の財政負担が軽減されるような優良な県債の発行が認められているようであるが、平成8年度においては、具体的にどのような優良な県債をどのような事業に活用しようとしているのかお尋ねをする。

〇上田総務部長 平成8年度において交付税措置のある、いわゆる優良な県債をどこに充てたかということについて御説明申し上げるが、交付税措置の伴う県債、近年、いろいろな種別がふえておるけれども、主なものを申すと、地域総合整備事業債あるいは臨時道路整備事業債、臨時河川等整備事業債、それから、一般事業債の中でも緊急防災基盤整備事業分、こういったようなものなどがある。
 これらについて個々の事業を例示をさせていただくが、地域総合整備事業債については、新交流ネットワーク道路整備事業、これは全体、たしか歳出では67億ぐらいかと思ったけれども、起債の方としては60億円余を充当させていただく予定としておる。それから県立大学整備事業、歳出が六十八、九億お願いしていると思うが、このうち看護、社会福祉系の部分についてはやはりこういう措置が認められておるので、この分で約15億円を充当させていただきたいと予定しておる。それから臨時道路整備事業債については、これは補助事業、単独事業組み合わせの国、県協力の事業であるが、地方特定道路整備事業について約94億円、それから農道関係で、ふるさと農道緊急整備事業に約26億円、ふるさと林道緊急整備事業に約52億円、それから、臨時河川等整備事業債の中で地方特定河川等環境整備事業、これに約18億円、それから、先ほど申し上げた一般事業債の中で緊急防災基盤整備事業分というもののうち、震災対策緊急橋梁整備事業に5億4、000万円、それから航空消防防災体制整備事業に約1億5、000万円、こういったところが重立った活用例である。

〇吉田(洋)委員 ただいま千葉副知事と総務部長から御答弁をいただいた。私が先ほど問題のすりかえではないかと指摘したのは、県民1人当たり八、九万円の借金云々については確かに岩手県がその責任を負うべきものであるが、県債1、222億円は、社会資本の整備など、投資のための借金なわけである。一方、平成8年度政府予算案では、借金に当たる国債依存度は28%とけた外れであり、その中から国会議員が言う1%にも満たない、私にすれば国民の大切な血税と考えるわけであるが、この1%に満たない6、850億円、国民1人当たり5、000円だというのであるが、それを住専という民間会社の借金に穴埋めするというのはどうなんだろうかという大きな疑問を持つ。今、国民は本当に怒っていると思う。このように、県の借金は住専の負担とは性格が全く異なるものだということである。私の問題のすりかえとの指摘について、大蔵省出身の吉永副知事の御所見を伺う。

〇吉永副知事 県債1、222億円の発行に当たっては、千葉副知事、総務部長が答弁したとおり、できるだけ交付税措置が期待できる優良な起債を活用することによって後年度負担の財政負担を軽減するということに配意しているところである。また、公債依存度は15・2%で、委員御指摘のとおり、地方財政計画と同率の数字となっておる。
 一般的に、公債負担が高いかどうかということを判断する1つの考え方としては、その後の償還可能性を考慮するという意味において、その公債残高と国または県の総生産あるいは所得と比較するというのが1つの方法かと考えるわけである。国の公債残高の国内総生産GDP比を見ると、平成8年度には約49%に達する見込みであるが、県債の場合は、これは平成8年度の県内総生産という数字が見込みでもないので、これはかなり乱暴なやり方であるが、仮に平成8年度末の県債の残高を平成5年度の総生産で割る、これは分母が小さいから率が大きくなるわけであるが、そういう乱暴なことをやってみても、その数字は18・7%程度である。実際はこれよりもっと小さな数字になるかと思うわけである。こういう数字から考えて、また、優良な起債に配意しているということ等を考えると、今回の県の予算においては、最近の景気の現状にかんがみて、その景気の足取りを確実にするという観点から、委員御指摘のとおり、各種の社会資本を整備する財源として世代間の負担の公平化を図るという見地から、県債を充てることには問題がないと考えておる。
 なお、国の住専処理のあり方については、これは国政の場で十分論議がなされるべきものであって、広く国民の理解が得られるよう、適切かつ迅速な処理が図られるよう考えておる。

〇吉田(洋)委員 前段の方はさすが吉永副知事で、よくわかった。
 次に、超低金利時代における各種財団法人に対する財政支援策についてお伺いする。
 昨年9月に公定歩合が史上最低の0・5%に引き下げられ、世界経済市場未曾有の超低金利時代を迎えることとなった。このような低金利の影響としては、我々県民1人1人の家計のみならず、県の財産運用収入の減少など、財政にも少なからぬ影響があるのではないかと考えられるが、特に私が指摘したいのは、公益性が強いことなどの理由から県が出捐している財団法人への影響である。これら財団法人の中には、基金の運用利息によって各種の公益事業を行っているものがあるが、この多くは近年の超低金利によって運用利息に相当の打撃を受けているのではないかと思料されるのである。
 そこで、これまで地方公共団体等と連携しつつ、県民福祉の向上に貢献してきたこれら財団法人に対し、県は何らかの財政支援措置を講ずるべきであると思うが、いかがであろうか、お伺いをする。

〇上田総務部長 御指摘あったとおり、各種の財団法人と、設立当初、基金の果実をある一定の財源として予定していた法人がかなりあるわけであるが、最近の金利低下による運用益の減少によって事業運営についてかなり不自由を来している、こういう話をよく聞いているところである。県としては、これら財団法人の場合に、基本的には独立の法人であるから、これを直接に一々財政支援というのはなかなか困難な面もあろうかと思うけれども、財団運営において、特に資金運用を十分に、上手にというとちょっと俗になるけれども、適切な基金の運用を図ることによってこういう低金利下でもできる限り原資を確保してもらいたいと思っておって、現在、大口定期の金利が大体0・55%ぐらいかと思うけれども、これを国債、地方債、公社債等いい商品を選べば3%台の金利が確保できるものがあるようである。これは、従来は基金の場合には金利が上がるか下がるかわからない、特に上昇局面などでは長期の資金運用というのはなかなか決断がつきかねたものであるから、恐らくこういった財団においてもこれまでは余りこういった債券の運用をしてこなかったのではないかと思うけれども、事ここに至ると、こういった5年とか10年とかという長期のものも含めて、ある程度の金利を確保できる措置が必要かと考えておって、これまでそういう措置を余り行っていない団体に対してはこういうものをするように、指導というか、助言をいたしてまいりたいと思っておる。国債とか、岩手県でも県債を発行しているから、こういったものも積極的に引き受けていただくように助言をしてまいっておる。

〇吉田(洋)委員 立つ鳥跡を濁さずという言葉もあるが、ぜひひとつしっかりと御指導をお願い申し上げる。
 次に、防災対策についてお伺いをする。
 さきの阪神・淡路大震災は、私どもの住んでいる社会が自然災害に対しいかに脆弱であるかということを改めて強く認識させ、また、多くの教訓を得たところである。県当局においては、大幅な地域防災計画の修正、見直しを行うとともに、防災ヘリの導入決定、衛星通信を利用した情報通信手段の確保など、逐次その教訓を踏まえた対応を進めておることは大変心強いところであり、私は防災元年と位置づけ、多少突っ込んでお伺いしてみたいと思う。
 私は先般、防災対策特別委員会で、同僚委員ともども、大震災からちょうど1年を迎え、復興のつち音の高い神戸の実情と、また、本県と同様、長大な海岸線を有し、過去においても津波に襲われている和歌山県の実態等について調査する機会があったが、神戸税関長に就任しておられる濱田前副知事には、バスのチャーターや御案内など大変お世話になり、深く感謝申し上げているところである。
 私は、その際感じたことを踏まえ、今後の防災対策への取り組みについてお伺いをする。
 まず、阪神・淡路大震災からちょうど1年目に当たる1月17日、あの大震災を教訓として、大がかりな訓練が行われたところである。この訓練の成果及び今後の課題等については、さきの本会議において、折居委員の質問に対し知事から答弁をいただいているところであるが、それによると、当日、知事が出張不在で千葉副知事が訓練に参加されたとのことである。ついては、厳冬期、市街地での実際に即した訓練ぶりを直接目の当たりにして、率直にどのような感想を持たれたのか、まずお伺いをする。

〇千葉副知事 1・17合同防災訓練では、私が訓練災害対策本部長を務め、各訓練に参加した。厳冬期、しかも市街地を会場としての訓練を実施するのは今回が初めてであったわけであるけれども、陸上自衛隊や県警察本部、地元消防機関など、36の関係防災機関が21項目にわたる訓練を実施したところである。消火栓が使用できないことを想定した中津川からの遠距離中継送水訓練や下橋中学校の体育館を開放しての避難所の設置、運営訓練など、阪神・淡路大震災を教訓とした新たな訓練が数多く試みられ、より実践的な内容になったものと考えておる。また、当日、平日の午前という時間帯にもかかわらず、多数の地域住民の方々や周辺の事業所、デパートの従業員の方々あるいは学校の生徒や教職員の方々などにも参加していただいたが、広く防災知識の普及を図るという観点からは、非常に意義があったものと考えておる。
 ただ一方、交通規制訓練は事前に市民に対して広報を行った上で区域を限定して行ったわけであるけれども、実際の災害時には相当の混乱が生ずるであろうということが予想される。また、当日、非常に寒い日であった。避難所における暖房対策も十分でなかったなど、今後課題とすべき点も明らかになったところである。
 こうした防災訓練は、県民の防災意識の高揚と、関係防災機関の相互の連携を図るための方策として極めて有効であると考えておる。今回の結果を十分踏まえながら、今後とも積極的に実施してまいりたいと考えておる。

〇吉田(洋)委員 多くの成果と反省が掲げられておるようであるが、ぜひ反省点については早急にひとつ対策を講じていただくようにお願い申し上げる。
 次に、さきの大震災においては多数の建物が倒壊し、住民が下敷きとなり、同時に火災が発生した。神戸市においては、地震の発生から6時までの15分程度の間に59件の火災が発生し、また、直後に119番通報が接続されなかったため、地域住民が近隣の消防署からバールやスコップなどを持ち出し、地域総ぐるみで必死の救助活動に当たったとのことであった。神戸あるいは淡路における当時の状況を見ても、自分たちの地域はみずからが守るということが極めて重要であると考えるものである。
 そこで、本県における自主防災組織の組織率は現在どれぐらいになっているのか、自主防災組織が災害時に活動するための資機材の整備状況はどうなっているのか、また、今後、これら自主防災組織をどのように育成するとともに防災資機材を整備していくのか、お伺いをする。

〇上田総務部長 婦人消防協力隊や町内会などによって組織されておる自主防災組織に加入している世帯数、これを平成7年4月1日現在で申し上げると約22万世帯で、県内全体で45万世帯であるから、組織率は48・9%ということに相なる。災害から生命と財産を守るためには、県民1人1人が協力し合って、いわば助け合う地域ぐるみの防災体制の確立は大変重要なことである。このため、県としては、自主防災組織の中でも大きなウエートを占めておる婦人消防協力隊あるいは婦人防火クラブ、こういったものをこれからどんどん守り立てていく必要があるのではないかと考えており、こういった組織を対象に火災予防フェスティバルあるいはリーダー養成研修会、こういったものを行い、防火知識の高揚と災害に適切に対応できる自主防災組織の育成に努めてきているところである。
 今後においては、平成8年度中に現在の矢巾の総合防災センターがあるが、これを全面的に改修し、新たに煙体験室あるいは縦揺れの震度7クラス、現在のものは横揺れしかできないが、縦揺れのかつ震度7クラスの地震を体験できる設備を設置するとともに、防災指導車を導入し、自主防災組織の方々などに現実味のある地震を体験してもらうことなどを通して、より一層、自主防災組織の育成に努めてまいりたいと考えておる。
 それから、市町村における防災資機材の整備状況であるが、代表的なもので申し上げると、初期消火資機材として可搬式の小型動力ポンプ、これは43市町村に146台、それから救助用の資機材の中で投光機──光りを放つ機械であるが──投光機が4市で7台、それから担架が5市町で12台、救護用の資機材の救急医療セットが7市町村で21セットという整備状況であるが、これは必ずしも十分な整備状況とは言えないと認識しておる。このため、災害発生時の初期活動に使用するこれら資機材については、緊急に整備を進める必要があると考えることから、市町村が行うコミュニティー防災資機材等の整備に対して、県単事業として2分の1の補助を行う。それから、これは事業費の大きいまとまった資機材整備については国庫補助もある。国庫補助は3分の1であるので、国庫補助を得た3分の1のものについては県から上乗せをし、国庫補助が採択されたものについても実質2分の1の負担で済むように、こういう財政措置を8年度は考えており、こういった措置を講じながら、今後、おおむね3年程度を目途に、各消防団の分団単位に防災資機材の整備が図られるように支援をいたしてまいりたいと考えておる。

〇吉田(洋)委員 次に、防災ヘリコプターの有効活用についてお伺いをする。
 先般、和歌山県において、本県が導入を決定したアメリカ製のベル412型機と同型のヘリコプターを視察をしてまいったが、15人乗りの中型機で、災害発生時にはかなり活躍するであろうと感じてまいった。さきに県が発表したところによれば、今月末には納入され、早速試験飛行を行うこととされておる、愛称もひめかみと決定したとのことである。
 そこでお伺いするが、さきに導入している警察ヘリコプターとの連携あるいは青森県や宮城県との連携をどのように図る考えなのか、また、ヘリポートの場所についてもどのように考えているのかお伺いをする。

〇上田総務部長 まず第1に、県警のヘリとの連携についてであるけれども、防災ヘリは災害状況の把握、避難における捜索、救助、林野火災における空中消火、患者の搬送、いろいろ広範な活動が期待されているわけであるけれども、効果的な活動を展開するためには、やっぱり複数のヘリの協力ということは大変重要なことだろうと思う。具体的な連携の仕方いろいろあろうと思うが、例えば県警ヘリの場合には、8年度に新たにヘリテレシステムというか、これが運用できるように立ち上げる。県警の比較的小型のヘリが災害の現地を偵察し情報収集をし、一方、防災ヘリは中型であるからいわばパワーがある、それから航続距離も長い、こういうことを活用して、物資の輸送あるいは患者の搬送、こういったそれぞれの機能を生かした活躍というか、災害応急対策活動が展開していけるのではないかと考えているところである。また、ヘリは、その安全性の確保のために定期的な点検整備がかなり必要となっておる。運航できない期間が年間数十日それぞれあるわけであるが、この点検期間ができるだけ重ならない、2機のヘリで重ならないようにする、こういうことにより、運航管理面においても十分連携を図ってまいりたいと存じておる。
 それから、近隣の道県との連携であるが、昨年10月に北海道・東北8道県において、大規模災害時における相互応援協定を締結したわけであるが、その中でもヘリによる被災状況の迅速、的確な情報収集などのヘリの活用、これを盛り込んでおる。現在、ヘリを持っているのが北海道、青森、宮城、新潟となっており、本県もヘリの運航開始後においては、これらの近隣県との相互応援協力を積極的に行ってまいりたいと考えておる。そのためには、常日ごろから情報交換が必要であるし、各道県がそれぞれ実施する防災訓練にも可能な限り相互に参加するということなども行いながら、現実の場合において円滑に連携が図られるように努力をしてまいりたいと思う。
 それから、ヘリポートの状況であるが、現在、中型ヘリの離発着が可能なヘリポートについては、6カ所の空中消火補給基地、これは矢巾の消防学校のほか、花泉、三陸、宮古、久慈、二戸にあるが、この空中消火補給基地のヘリポートを含めて、全体で県内で150カ所ほどが中型ヘリの離発着が可能ではないかと見込まれておる。災害等の緊急時には、これらを活用することとなるが、3月末には防災ヘリの現物が納入されることとなっておるので、早速、新年度、試験飛行等を実施しながら、これらのヘリポートの離発着訓練を行い、さまざまな活動に現実に対応できるように努めてまいりたいと存じておる。
 また、患者輸送の搬送を行うためには、医療機関との連携が必要であるから、そのアクセスが容易な適地の選定を進め、国の財政支援措置を活用したヘリポートの整備についても対応してまいりたいと考えておる。

〇吉田(洋)委員 次に、津波対策についてであるが、本県は過去において幾度となく津波に襲われて、私も沿岸出身であるので昭和35年のチリ地震津波、そして昭和53年の十勝沖地震津波を経験したが、そのたびに大きな被害を目の当たりにし、非常にその対策の重要性を身を持って感じてまいった。
 去る2月17日のニューギニア沖を震源とする遠地津波にあっては、夜9時過ぎに警報に切りかえられ、それに伴い、県を初め沿岸市町村においては災害対策本部を設置し、住民の避難誘導等に当たられたところである。報道によると、避難率が低く、意識の風化が問われているとのことであったが、県においてはこの状況についてどのように認識されているのか、また、こうした状況に対し今後どのように対策を講じていくのか、お考えをお伺いする。

〇上田総務部長 去る2月17日の津波警報の際の避難状況について、今般、改めて市町村から報告を求めたところである。この結果によると、避難した住民の数は4、870名である。避難勧告、避難指示の対象地区の人口9万3、775名に対する割合は、5・2%となっているところである。過去における津波警報時の避難状況を近時で言うと、平成6年10月4日の北海道東方沖地震、このときは8、665名、それから同じ6年12月28日、三陸はるか沖地震、このときは1万1、567名となっており、これらと比べると今回の避難者数はかなり少ない結果である。
 この原因であるけれども、考えられることは、1つは、ニューギニア付近で発生した遠地の津波に対する津波情報であって、また、あらかじめ津波注意報が発表されておったことから、いわば直近の三陸沖等の地震による津波と比べて、現実の現場での緊迫感が少し低かったのではないか。それから、津波に関する情報がテレビ、ラジオ等で逐次知ることができたことから、各自の判断により避難を見合わせた住民の方もかなりの数おられたのではないか。あるいは、指定された避難場所ではなくて、知人、親戚等のお宅に避難された住民の方もあったのではないか、こういったことが考えられるところであるが、幸いのところ、現実にその日は大きな津波は来襲しなかったわけであるけれども、過去においてチリ津波等を経験している本県にとっては、今回の避難状況は津波対策を講ずる上では大きな問題提起であろうと受けとめておる。
 今後、津波災害から人命を守るために、とにかく現在取り得る最善の方法はまず避難するということであるから、沿岸市町村における避難勧告、避難指示それから対象地区の住民への周知、広報のあり方、避難先の現状等についてさらに調査検討を行う必要があると考えておる。このため、今般、岩手大学等との共同で沿岸地域の約4、000世帯の方々を対象とし、津波に対する意識や行動、津波注意報、警報に対する認識、行政に対する要望等についてアンケート調査を実施しているところである。この4月にはその結果を取りまとめることとしておるので、現在、各市町村において進めておる地域防災計画の見直しにその結果が反映されるよう指導するなどして、津波対策の充実を図ってまいりたいと考えておる。

〇吉田(洋)委員 なお一層、防災意識の徹底を図っていただくように要望する。
 次に、葛根田地熱発電所の原熱水を直接利用した実証試験についてお伺いをする。
 この実証試験は、平成7年度から12年度までの6カ年事業として、国が財団法人新エネルギー財団に委託し調査するもので、従前、国の委託を受けて県が行ってきた原熱水を河川水と交換する方式の実証試験とは異なり、原熱水から砒素や珪酸などの有害物質を除去する技術を確立しようとするものである。もしこれが可能となると原熱水の直接利用が図られることになり、熱水造成コストが大幅に削減されるとともに、原熱水を地域振興に活用でき、事業化への期待が膨らむものである。このような点を踏まえ、長期的な展望に立って、県としても大型施設園芸や分譲住宅などの整備を進めるべきであり、このため、通産省資源エネルギー庁や地元雫石町などとプロジェクトチームをつくって積極的に取り組むべきと考えるがいかがであろうか、お伺いする。

〇小野寺企画調整部長 地熱発電所地域原熱水供給システム実証調査についてであるが、御指摘あったように、原熱水中の有害成分である砒素であるとかあるいは熱水の供給配管等に付着するシリカを除去する技術を確立するために、原熱水の直接供給を実現するということを目的とし、資源エネルギー庁が平成7年度から6カ年の予定で開始したものである。この中に、本県の葛根田地域も含まれており、隣の秋田県鹿角市の大沼地域さらには大分県九重町の八丁原地域、国全体で3カ所でもって調査をするということになっておる。しかしながら、この実証調査は今年度着手したばかりであり、その中身とすると非常に高度な技術的な分野がたくさんあるということで、今後解明すべき点が多々あると、そして未知の部分が非常に多いと伺っているわけである。したがって、現段階においては、その成果についてはまだ未知数であるというのが正直なところである。
 一方、本県においては、国から委託を受けて、昭和55年度から15年にわたって熱水供給実証調査、これは熱交換方式であるが、それによって実証調査をやってきたわけであり、その成果については既に申し上げたが、システムの信頼性あるいは熱水輸送管等の耐久性は十分これは確認されておるけれども、肝心の経済性の面について非常に問題があるという結果が出されておる。したがって、今後においてはこれらの熱交換方式の利用について、今後とも引き続き造成コストの低減化を図るなどしてその有効利用の促進に努めてまいるとともに、前段申し上げたこのたびの新しい国の実証調査、つまり原熱水を直接利用する方式、これが確立するならば、かなりコストの面でも低減が図られるということが期待されるので、そういったことも十分に見きわめながら、御指摘のあった熱水利用の施設についても、当面は専門家で構成する県の地熱資源の開発利用促進委員会、ここの場でいろいろつぶさな指導を受けながら取り組んでまいりたいと、このように考えておる。

〇吉田(洋)委員 エネルギーに関しては非常に息の長い事業であるから、今、部長答弁のようなことで進めていっていただくわけであるが、しかし過去15年間、熱交換方式における実証調査を行って、今、御答弁があったような成果を確認したわけである。それは終了したわけである。そして今度、平成7年度から12年度まで6カ年の事業として、新しく今御提案をした実証試験が事業として認められてまいったわけである。私は昭和40年代に、石油代替エネルギーを開発するという際に、国ではエネルギーに関してサンシャイン計画というのをつくって、そして新たなエネルギーの開発をしたわけである。そして、これは第2次オイルショックから石油代替エネルギーをいかに求めるかということで、地熱に注目をして進めてきたのは御案内のとおりである。であるから、私はこのサンシャイン計画の中で、かつて四国の三野町において太陽熱発電をつくった。これは2、000キロワットの出力を確認して、当時昭和40年代に、50億円を投入した大プロジェクト事業であった。そして、それは実証試験が終了したということでそのプロジェクト、それはすべて解体をして今は何もない。であるから、私は、この地熱の熱水供給事業もそういう二の舞にならないように、今まで何度も警鐘を乱打してまいったけれども、そうしたことにならないように、これはじっくりと6年間のこの事業の中で今からその事業の見込みのためのプロジェクトをつくって、そして先取り先取りと対応をしていかないと、いつものような何だか機構で、専門家の皆さんの御意見を聞きながらだけでは絶対だめである。今のうちから、県の中にこれを有効活用するため事業を展開いかにするかという形の中で横の連携をとって、そうしたものを地元ともちゃんと信頼関係を築いてやっていかないとだめだと思う。雫石町で、例の団地なんかへ供給しておったのも全部ストップであろう。であるから、地元と県との不信感が出てきていると私は思う。この前の国見開発でないけれども、何かをやればだめと、そうであろう。事を起こそうという意欲が沸いてこないわけである。これには何ぼ投入したと思うか。県費でもデモンストレーション施設もつくってある。県費も投入した。バイナリー発電をつくるというような調査もした。相当な県費、巨費を投入している。これは撤退は絶対許されないから。したがって、これをやるためにしっかりとしたプロジェクトをつくってやらないと手おくれになってしまう。ぜひ私は要望して今後に対応してもらいたいと思う。いかがであろうか。

〇小野寺企画調整部長 委員御指摘のとおり、15年間にわたりかなりの投資をいたしておる。そしてまた、それなりの成果もあったわけであるけれども、肝心の経済性がどうも採算上合わないということもある。そういうことはあるが、委員御提言のとおり、これはもう地元の貴重な資源でもある。そういうことで、国の新しい直接熱水を利用する方式も十分推移を見守りながら、できるだけそれを本県の方にも導入できれば、持ってくるというようなことで、先ほど専門家の方と申し上げたのは、非常に地下のことでもあるので技術者数人でははかり知れないところがたくさんある。そういう意味で、いろいろ専門的なアドバイス、指導を受けながら取り組んできておるし、今後もそういうことをやっていく。そしてまた、御提言のあったプロジェクトチームについても、そういったことを十分に踏まえて取り組んでいかなければいけないと、このように考えておる。

〇吉田(洋)委員 ぜひこれは、いつも県の答弁では積極的にやると、こういう答弁を本会議でもいただくわけであるが、文字どおりこれは積極的にやらないと、本当に取り返しのつかないことになってしまう。県民の批判が大きなものになってくるから、ぜひこれは事業化にめどをつけていくように。今の6カ年の事業というのは、国もチャンスを与えたと理解をしていいと思う。であるから、この絶好のチャンスを生かしていくということだと思うので、ぜひ積極的な対応をお願い申し上げる。
次に、進行性筋ジストロフィー症患者に対する福祉施策についてお尋ねをする。
 御案内のとおり、この病気は筋肉の細胞がだんだんと変質して次第に力が弱くなり、その機能を失っていくという病気であり、なぜ筋肉がそうなるのか、どうしたら病気の進行をくいとめられるのか、薬を使って治すことができるのかどうかということなど、現在のところ残念ながらほとんど解明されておらない。また、進行性筋ジストロフィー症という診断をされても、いろんな病型や先天性の筋ジストロフィー、その他類似の筋疾患があり、病状の進行はさまざまで障害の部位もその状態も異なっているのが現状である。
 そこで、本県でこの病気に罹患されている方々の状況をどう把握されておるであろうか。また、県内に専門医療機関がないために県外の病院に入院し治療を行っている状況下で、患者さんたちから多様な希望が寄せられておるが、例えば県内にも入院治療を行える専門病棟を設置してほしいということなどの切実な声がある中で、筋ジストロフィー症患者の福祉についてどのように取り組んでいくのかお考えをお伺いする。

〇千葉副知事 平成8年3月現在で、県内には進行性筋ジストロフィー症により体の不自由な方が218名おる。うち、在宅の患者は185名となっておるけれども、また、在宅の185名のうち、介護が必要と思われる患者は158名となっておる。県内には筋ジストロフィー症専門の医療機関がないため、昭和55年度から東北で唯一の事業として、専門医療機関における受診機会が非常に少ない在宅の患者を対象として、専門医等による診査、相談、指導等を行う在宅進行性筋萎縮症者指導事業を実施しているところである。この事業は、宮城県の専門医療機関である西多賀病院のスタッフが、県内6カ所で診査、相談、指導するものであり、平成7年度は介護が必要と思われる患者の57%に当たる90名が受診しており、患者の療養の心の支えとなっているものである。今後、この巡回指導の日数をふやすなど、事業の充実を図ってまいりたいと考えておる。また、地域の医療機関あるいは県外の専門医療機関や日本筋ジストロフィー協会岩手県支部などの関係団体と在宅の患者に関する情報の提供等により、相互の密接な連携を図りながら、患者に対する日常生活の相談や介護の体制が十分とれるよう配慮してまいりたいと考えておる。

〇吉田(洋)委員 昨年、この患者さんたち、あと付き添いの方々が、遠距離、秋田の方に行く際に、ふれあいランド、社協の方からリフトつきのバスの運行について御配慮をちょうだいし、初めての御配慮だったそうであるが大変喜ばれて、今までは私有車で行くから乗りおりもすべて健常者がやるというようなことで大変な状況であったが、そうした方々が移動する際に、リフトつきバスなどの地域的な連携を図ってもらうように、障害福祉課長の方に私お願いをしておるけれども、そうした地域の体制を整備強化すると、こういうことなどもやっぱりきめ細かな対策を講じていく必要があると思う。そういうことを今後進めていただきたい。でき得るならば、県内にそうした専門医が配置され、県立も28病院あり、その中に専門医が1人もいないというところに疑問を感じる。それから、国立の病院も県内には3カ所ある。そうした国療との関係等についても、もっともっと県が出向いていって連携を密にすると、こういうことも私は重要になってきていると思う。これからは、いろんな老人医療対策も大切である。これもどんどん進めなければならないが、私はこうした特定疾患、難病対策というのをこれは国がやるんだからということであるけれども、県が主体的に単独的な行動を起こしていく時期じゃないかと、重心をきちっとした対応をする時期に入っているんじゃないかと、こう思うので、ぜひ今後強力な検討をお願いをしたいと、このように思う。
続いて、肢体不自由児施設都南の園についてであるが、本施設は、昭和32年に都南学園として開園され間もなく40年を迎えることになるが、この間、障害を有する児童の治療、訓練と学校教育の場としてその役割を果たしてきており、また、平成5年度からは重症心身障害児者通園モデル事業の実施施設として国の指定を受けるなどし、新しい事業を取り入れておられるようである。しかしながら、一部の利用者の声として、同園の運営について、より民間的な発想に基づき、柔軟で利用者の立場を尊重し、また、人間味あふれる処遇を求める声があるのも事実である。一方、少子化の流れの中で、障害のある児童数が減少し、都南の園でも入所定員と入所者との定員開差が生じており、障害の原因もかつての小児麻痺から脳性麻痺へと変わってきているほか、肢体不自由のほかに知的発達障害もあわせ持つ重複障害児が多くなってきているのが現状である。さらに保護者は、施設への入所よりも通所による治療、訓練を望む傾向にあると聞いておるが、こうした周囲の変化を踏まえ、都南の園も見直しの時期が到来していると存ずるが、県としてどのようにお考えなのかお伺いをする。

〇千葉副知事 ただいまの御指摘があったとおり、障害児施設の入所児童の減少、重度化等は全国的な傾向である。したがって、入所需要に即した適正な定員設定や重複障害児の治療、療育に対応できる施設への変革が求められているというのが実態である。こうした状況を踏まえ、平成6年度から担当部に肢体不自由児施設等見直し検討委員会を設置、現在検討を進めているところである。見直しに当たっては、入所児童の減少と障害の重度化、重複化に対応できる看護体制と定員の見直し、通所による治療、訓練等を希望する保護者のニーズに対応した外来診療部門の強化、市町村で実施されている障害児の相談、療育事業等の支援の拡充、あるいは重症心身障害児通園事業の拡充等、これらを重要な視点と位置づけ、今後施設利用者の立場に立って、きめ細かなサービスが提供できる施設への再編を目指して、ハード、ソフト両面から見直しについて引き続き検討を進め、できるだけ早い時期に一定の結論を出したいと考えておる。

〇吉田(洋)委員 次に、障害者の雇用対策についてであるが、本県では平成元年5月に全国で13番目、東北では唯一の第3セクターとして、県、盛岡市などが共同出資し、(株)クリーントピアいわてを設立し、重度障害者の雇用拡大と雇用啓発に努めており、大変感謝しているところである。
 そこでまず、この(株)クリーントピアいわての現状をどう評価しているかお伺いをする。3県総では、県内にもう1カ所このような重度障害者雇用企業をつくる予定であったが、国においては、既に設置されている県にあっては複数の設置は原則認めないとの方針変更があったと聞いておるが、この点について事実であろうか、確認しておきたいものである。また、障害者の雇用については、依然として強い必要性があることから、これにかわる何らかの対策が必要であると考えるが、県では障害者の雇用対策としてどのような取り組みを考えているのかお示しを願いたいと思う。

〇吉永副知事 平成元年に第3セクターとして設立したクリーントピアいわてについてであるが、この現状は、雇用する障害者数も徐々に増加しており、現在は20人を超える障害者を常時雇用する一方、平成3年度以降、収支が黒字を続けているなど、障害者雇用の確保と他企業のモデルとしての役割を十分果たしていると考える。
 次に、もう1カ所つくるという話の方であるが、昨年12月に、総理府障害者施策推進本部で策定した障害者プランにおいて、第3セクター方式による重度障害者多数雇用企業の設置については、今後はまず全都道府県への設置を推進するという観点から、未設置県への設置を最優先すると国の方針が変わったわけであり、これは委員御指摘のとおりである。こういう方針を踏まえ、県としてはこれにかわる障害者雇用対策として福祉部門と雇用部門の連携のもとに、福祉施設や在宅で福祉サービスを受けている障害者の方々に、一般雇用の機会を提供する地域障害者雇用推進総合モデル事業、これは当県では北上、水沢、江刺等7市町村を指定しているところである。ほかには、地域レベルできめ細かな職業リハビリテーションサービスの提供などを行う障害者雇用支援センター、そういったものを設立することでこれにかえていきたいと考えているところである。

〇吉田(洋)委員 ぜひ積極的な対応をお願いする。
 次に、イベント振興についてであるが、平成8年度はかつてないほど盛りだくさんのイベントが準備されているところである。例を挙げれば、宮沢賢治、石川啄木生誕記念事業を初め、6月の第4回地域伝統芸能全国フェスティバルの開催や7月の第8回全国農業青年交換大会、8月の世界少年野球大会、10月の第6回全国食文化交流プラザ、そして9年2月の全国高等学校スキー大会の開催など、年間を通じて他県からさまざまな人々が本県を訪れる年になるものと思われる。こうしたイベントを通じて、本県のイメージアップを図る絶好の機会ととらえ、大いにPRすべきところであると考えるが、例えば宮沢賢治、石川啄木生誕記念事業の取り組みを見てみると、現時点では三陸博のような全県的な盛り上がりに欠けるのではないかと思えて仕方がないのである。特に、市町村段階での取り組みが弱いような気がするが、県民総参加の盛り上がりを演出していくための今後の取り組みについて、県のお考えをお伺いする。

〇吉永副知事 宮沢賢治、石川啄木生誕記念事業は、本年度の県の一大イベントであり、全力を挙げて取り組んでいるところである。この記念事業は、関係4市町村においてそれぞれ実行委員会が組織され、童話村フェスティバルや姫神修羅の大地を謳う、国際啄木学会など、市町村のみならず、報道機関、賢治学会、啄木学会など、多くの団体が一体となって県内の芸術文化等関係者の参加、協力のもとに実施することになっておる。これ以外にも賢治、啄木にゆかりのある市町村が独自に企画し実施する宮沢賢治みちのくフォーラムIN東山、すたーうおっちんぐ種山ケ原などの事業もあり、それらを含めると現在までに10の市町村が48の事業を実施する計画であり、多くの市町村で記念事業が展開されることになるのではないかと考えておる。また、昨年来、テレビ、ラジオ、出版などマスメディアが宮沢賢治、石川啄木、特に宮沢賢治を取り上げる機会が多くなり、民放32局ネットによる賢治先生樺太に行くや、TBS系28局ネットによる銀河鉄道の夜の旅、NHKの啄木のうためぐりなど、いろんな企画がある。また、関係書籍の相次ぐ出版など、宮沢賢治、石川啄木生誕に関する関心は高まってきており、全国的なブームになっており、こういった全国的なブームを何とかこの県内で行ういろんなイベントに見つけ、陸続として岩手に人が来ていただきたいと、そう考えておるわけである。県においても、FMラジオで銀河鉄道の百年の全国放送やエコーはがきの発売などにより、本事業を盛り上げようと考えておる。今後とも、事業開催が近づくについて、もっともっとそういった方向が出てきて県民の意識も高まってくるのではないかと考えておる。ほかには県内テレビ局がそれぞれ全国、東北、北海道エリアで宮沢賢治百年目のタイムカプセルとか、そういった生誕記念番組を放送するほか、宮沢賢治記念切手の発行という機会もあるので、これを利用して各市町村に対しても一層この生誕祭の協力要請を行うなど、あらゆる手段、方法を尽くして、県民総参加のイベントとして盛り上げてまいりたいと考えておる所存である。

〇吉田(洋)委員 今年度はそういう意味で絶好のチャンスである。ぜひ岩手を売り込んでまいろう。頑張ってもらいたい。
 農林水産に関連して、食の文化基地の形成についてお伺いをする。
 これまでの農政の立場は、いわゆる総合食料供給基地の形成を目指して推進してこられたと認識しておるが、農産物が食糧である以上、ただ単に多くの農産物を生産してこれを大量に出荷するというだけではなく、消費者の方々においしく食べていただくということが何よりも大事であり、このような視点に立った新たな取り組みは、まさに県農政の新機軸として高く評価されるものである。あたかも、本年の秋には、全国食文化交流プラザが本県で開催されると伺っておるが、本県には多彩な食文化が各地域にあることから、この機会をとらえ、ぜひとも岩手の食の文化を全国に発信し続けていただきたいと考えておる。
 そこで、これまでどのような取り組みをしてきたのか、また、平成8年度当初予算にはどのような事業を盛り込んでいるのか、そして今後どのようにして展開を図っていくのかお伺いをする。

〇吉永副知事委員 御指摘のとおり、単に多くの農産物を生産、出荷するだけでなくて、消費者の方々においしく食べていただくという、消費者の視点というのは大変に重要なポイントだと考えておる。この点から考えると、この秋、本県において開催されるいわゆる食パラダイス岩手′96は、これを絶好の契機として、本県の特産物や郷土食など食にまつわる本県の風土、文化、歴史など全面に打ち出して、これを丸ごと全国の消費者に発信していく、そういう取り組みを展開してまいりたいと考えておる。このためには、まず食に関する情報を一元的に収集し、加工を管理する仕組みづくりを進めてまいるとともに、首都圏における消費者ニーズや県産農産物、加工品に対する評価など、そういう基礎的情報をまず整備していくことが必要かと考えておる。また、県産農産物のよさを生かして新たな名物料理の開発など、食の文化の創造に向けた取り組みを行っていく必要があると考えておる。さらには、消費者等に向けた食の文化にまつわる多様な情報の発信、新たなイベント等企画、支援など、一元的に推進する体制づくりが必要であると考えておる。こうした方向に沿って、7年度は首都圏における量販店やスーパー、生協、販売店に対して、県産農産物に対する評価や普及宣伝方法などに対する意見について聞き取り調査を行うとともに、これと並行して、こういったことを踏まえた上で、食パラダイスにおける情報発信体制のあり方、あるいはその他一般的な県産農林水産物の販売展開対策など、総合的に検討してまいりたいと思っておる。また、食パラダイスが単に一過性のものにならないように、平成8年度は、地域に根差した郷土料理などの食文化を伝承しておられる方々を食の匠として認定する制度を創設して、その味とわざを本県の宝として広く紹介、宣伝する。また、このイベントの中においても、県内各地域の食文化を紹介する岩手の食いろいろといったようなもの、あるいは岩手の素材を用いて新たな食環境を提案する究極の食卓、あるいは岩手のすぐれた多様な食文化を広く一般に紹介するイーハトーブ食文化21など、60を超える催事を考えており、こういったことを通じて、食にまつわる岩手の情報を全国に向けて発信してまいりたいと考えているところである。

〇吉田(洋)委員 次に、21世紀の国産材時代への対応という観点からお伺いをしたいわけであるが、私は、今後ますます厳しくなるものと予想される国内外の産地間競争の中で、県産木材の需要拡大を図っていくためには、県産材のブランド化などを推進し、本県産の杉、アカマツなどの一層の需要拡大を図ることが肝要と考え、昨年の6月の定例会において、私は県産木材の需要拡大の取り組みについてお伺いをしたところである。これに対して、知事は、高性能林業機械の導入や林道網の整備を進めるとともに、集成材やプレカット等の高次加工施設や情報ネットワークの整備など、加工、流通体制の整備を進めると、また、県産材のブランド化を積極的に推進してまいると、このように答弁をされているわけである。
 そこでお伺いするが、まず第1点として、低コストで効率のよい林業生産を行うとともに、きつい林業労働を軽減し若者の新規参入を進めるためには、高性能林業機械の導入を早急に進めていく必要があると考える。本県では、高性能林業機械は既に県下に64台整備され、全国でも上位の配備状況となっておるが、まだ非常に高価な機械でもあり、さらにこれを操作するオペレーターの養成も欠かすことのできない重要なことである。そこで、県では今後どのような展望のもとに高性能林業機械の導入を図ろうとしているのか、まずこれが1点である。
 続けて2点目は、県産材のブランド化についてであるが、最近の新聞報道によると、円高に伴う外材の増加などによって、国産材の需要や価格の低迷が続いているとのことである。私はこのようなときにこそ、乾燥や規格など、適切に品質管理された製品を消費者のニーズに合わせて安定的に供給することが肝要であり、そのためにも消費者に信頼される県産材のブランド化を早急に確立し、積極的に県内外に売り込んでいくことが必要でないかと再認識した次第である。
 そこで、一体県のブランド化はどこまで進んでいるのであろうか。また、今後どのように進めていこうとしているのであろうか。
また、3点目として、これらのブランド材をさらに高次に加工して、付加価値の向上を図って県産材の利用を推進していくことが重要であると思う。本県における高次加工施設の整備状況、そして今後の見通しをお尋ねする。

〇吉永副知事 まず、3点にわたるわけであるが、第1点であるが、高性能林業機械の導入であるが、これは委員御指摘のとおり、林業にまつわる重労働から開放してその生産性を飛躍的に向上させ、林業労働災害の防止等を図るためにも、高性能林業機械の導入を図ることが非常に重要だと考えておる。ただ、この高性能林業機械はまだ開発されてから日が浅いことから、その普及を図るには、まず関係者に機械をよく知ってもらうこと、そして次には、この機械を操作できるオペレーターを養成することが必要だと考えておる。このため、県の林業技術センターには平成6年、7年に全体で6台の高性能林業機械を入れておるが、これを積極的に活用してこの機械の展示、実演、研修会、あるいはオペレーターの養成といったことを平成5年度から実施しているところである。それから、委員おっしゃったように現在64台の高性能林業機械が導入されているわけである。これは、会社、森林組合、個人あるいは県といったところが今持っているわけであるが、これを使うオペレーターが今30名養成しているところである。ただ、この高性能林業機械は価格が2、000万円程度と非常に高額なため、なかなか導入が進まないというのも現状であるので、今後できるだけ国庫補助事業等を活用して導入を促進するとともに、何かリース方式とかいろんなことを検討してまいりたいと、そう考えておる次第である。
 第2に、県産材のブランド化であるが、輸入材や産地間競争に打ち勝ち、県産木材の一層の需要拡大を図っていくためには、委員が御指摘になったとおり、消費者のニーズに合わせて適切に品質管理された製品を安定的に供給すると、そういうブランド化がぜひとも必要だと、そういう御指摘のとおりの観点も私どもは持っており、平成6年度にブランド化検討委員会を設置し、アカマツについて乾燥度合いや寸法等の品質基準を定めるとともに、7年度にはブランド材を安定的に供給するための製材業者等の組織化、あるいはブランドの品質を保証する認証機関といったようなものを設置してまいったところである。この結果、平成7年10月には、ブランド材の認証機関である岩手県産ブランド材推進協議会が設置され、ナンブアカマツというブランド名でそういうブランド材の生産販売共同出荷といったようなところの協議が整いつつあるわけである。この3月22日には、東京の中央木材市場においていわてブランド材フェアといったものを開催することとしておる。今後は、ナンブアカマツに続いて杉、カラマツとかいろいろその他の樹種についてもブランド化を進め、21世紀の国産材に向けて他県に負けないように頑張ってまいりたいと考えているわけである。
 第3の高次加工施設の整備であるが、激化する輸入材や産地間競争に対抗するには、この県産材の高次加工あるいは新商品の開発といったことがますます重要になってくるわけである。このため、林業構造改善事業あるいは木材産業高度化総合対策事業などを積極的に導入し、集成材やプレカット材、そういったものの高次加工施設の整備に努めてまいったところである。この結果、平成2年から平成6年までの5年間に集成材工場、プレカット工場、建具加工工場等、高次加工工場が14工場整備され、さらに平成7年度にはプレカット加工工場、パネル加工工場等の整備を進めているところである。ブランド材を高次加工してさらに付加価値を高めるという委員のお考えは、まさに県産材の需要拡大の点で非常に重要なポイントだと考えるので、8年度以降も、この3つのことを非常に頑張ってまいって県産材の振興に努めていきたいと考えておる。

〇那須川委員長 吉田委員の質疑中であるが、この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
 吉田委員、御了承願う。
   午前11時55分 休 憩
   午後1時3分 再 開

〇那須川委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 午前中の説明に対する質疑を続行する。

〇吉田(洋)委員 次に、道路整備についてお伺いする。
 盛岡-宮古間延長100キロメートル及び宮古-久慈間延長90キロメートルの路線が平成6年12月に地域高規格道路として国の指定を受けておる。一方、三陸縦貫自動車道は仙台-宮古間延長220キロメートルで、現在、建設省の直轄事業として事業実施中のところである。
 そこで、こうした広域道路ネットワークの整備状況と今後の見通しについて、まずお伺いしたいと思う。
また、長年の悲願であった早坂、土坂、平庭の各主要峠に風穴をあけるべく、大規模トンネルの建設が決定となったが、今後の具体的な計画をお示し願いたいと思う。

〇吉永副知事 まず、広域道路ネットワーク整備の現状についてであるが、高規格幹線道路や地域高規格道路及び一般国道などは相互に補完してその機能を発揮することが重要で、このため、県としては、基幹となる道路を体系的に総合的に整備してきているところである。このうち、地域高規格道路の三陸北縦貫道路として指定されておる国道45号宮古-久慈間については、昨年普代バイパス及び岩泉町中野バイパスが整備区間に指定されたことに伴って、自動車専用道路として高い規格で整備が行われることになっておる。現在、調査設計あるいは用地買収といったものが進められているところである。また、宮古盛岡横断道路として指定された国道106号の宮古-盛岡間のうち、整備区間に指定された川井村達曽部道路については平成4年度から規格の高い道路として整備を進めており、簗川道路についても平成8年度──本年度──、新規の国庫補助事業として採択されたところである。今後は、これらの事業の促進を図るとともに、調査区間に指定されておる盛岡市川目地区から手代森地区間についても調査設計を進め、早期の事業化を図るように努めてまいりたいと考えておる。
 次に、三陸縦貫自動車道であるが、県土の均衡ある発展を図るためにはその整備促進が極めて重要であるとの認識のもとに、これまでにも増して国に積極的に働きかけてまいりたいと考えておるところである。県としては、今後とも大船渡三陸道路、山田道路、釜石山田道路、高田道路などの事業実施区間の促進及び未着手となっておる山田-宮古間、三陸-釜石間などの整備促進についても国に強く要請するとともに、その他一般国道など、主要な幹線道路についても、平成8年度からスタートする新交流ネットワーク道路整備事業を推進することによって、これら広域道路ネットワークが体系的に機能するよう一層の努力を重ねてまいりたいと考えているところである。
 次に、委員御指摘の主要峠に風穴をあけるという話の方であるが、国道281号平庭峠、国道455号早坂峠及び県道大槌川井線土坂峠の3峠の整備についてであるが、これらの峠の整備は、平成8年度からスタートする新交流ネットワーク道路整備事業の中で取り組んでいくこととしておる。このうち、早坂峠については、平成8年度から新規事業として地質調査や実施測量などに入ることとしておって、より経済的で安全な通行が可能なルートについてさらに調査検討を重ね、3県総の後期実施計画の期間中にトンネル工事に着手できるよう取り組んでまいりたいと考えているところである。また、土坂峠と平庭峠についても、これらは2キロメートルを超える長大トンネルが予想されるところであるが、さらに具体的な検討を進め、3県総の後期計画中に地質調査など、峠部分の改良整備事業に着手するよう努力してまいりたいと考えているところである。

〇吉田(洋)委員 それぞれの思いが各委員にもあってあらゆる努力をしてきたと思うが、特に県道大槌川井線については山崎門一郎委員の初当選以来の大悲願であって、この2キロメートルの土坂トンネルをつくれば金銀が出てくるから、その財源でもってやれるから思い切ってやれと、こういう過去に御提言もあったし、私どももかつて県民クラブにおったときに一緒に行って現地の調査をさせていただいた。このたびこうした事業に着手をするということで非常に敬意を表しながら感動を覚えている1人であるが、願わくば早期に着工していただいて、山崎委員が在任中にくわ入れができるように私からも強く要望しておきたいと思う。
 次に、交通渋滞対策についてであるが、本県の都市交通においては、都市の膨張と道路整備の立ちおくれのふつり合いから近年急速に進展している車社会に対応できず、交通渋滞が慢性的に発生しておる。特に盛岡市の場合、古くから言われているように市内に3本の河川が集中しており、橋梁部での混雑が見られるなど、抜本的な対策が必要となっておる。このため、県では市街地の交通渋滞対策として、緊急渋滞対策街路整備事業を平成3年度から県単独で実施してきており、平成8年度は9、700万円余を計上しているようであるが、その全体計画と8年度の主な事業内容についてお知らせ願いたいと思う。
 また、盛岡市ではマイカー通勤自粛を呼びかけておるが、県としても、特に本庁、合同庁舎など、内丸周辺を中心とする盛岡市の交通渋滞の解消のため、積極的に取り組むべきではないのかと考えておるが、あわせてお伺いをする。

〇吉永副知事 まず、緊急渋滞対策街路事業であるが、渋滞対策については、従来からバイパスや環状線等の道路整備を行ってきているところであるが、こうした整備は御案内のとおり長期を要することから、緊急の対策として、局部的に右折レーンやバスの停車帯等、比較的小規模な改良によりスポット的に渋滞を解消するということをやってきているわけである。こういうことのため、平成3年度に県単独事業として緊急渋滞対策街路事業を創設したところである。
 この計画の全体計画であるが、これは、盛岡市等の7カ所で右折レーンやバスの停車帯等を設置するということである。このうち、盛岡市内の国道455号三ツ割地内と主要地方道盛岡環状線南仙北一丁目小鷹橋地内の2カ所については既に完成しておって、平成7年度は国道281号の久慈市長内橋と一般県道盛岡滝沢線の盛岡市青山三丁目地内及び滝沢村一本柳地内の3カ所で事業を実施しておって、このうち滝沢村の一本柳地内が完成し、進捗率は約65%となる見込みである。平成8年度については、久慈市長内橋付近の交差点を完成させ、盛岡市青山三丁目地内の整備を推進し、さらに一関市内山目地区内と二戸市橋場地区の2カ所については平成8年度から新たに着手し、これらの箇所についてできるだけ早い完成を目指してまいりたいと考えておる。
 次に、マイカー通勤自粛の件であるが、御指摘のとおり、内丸周辺の中心業務地には約8、000人程度の方が勤務しておって、ここは官公庁に勤務している方が非常に多いわけであるが、こうしたマイカー通勤者が公共交通機関、バスや鉄道等にシフトした場合は確かにその効果が非常に大きいと考えられる。県としては、盛岡市が職員を対象に、本年3月の1カ月間、マイカー通勤の自粛と水曜日のノーマイカーデーを試験的に実施すると伺っておるので、この効果等を十分見きわめて、盛岡市が交通渋滞の緩和策を協議するために設けている盛岡市官公庁快適通勤連絡会議といったものにも参画して、関係機関の御意見等もお聞きしながら、県としてどうするかを検討してまいりたいと考えておる。

〇吉田(洋)委員 よろしくお願いする。
 次に、花巻空港についてお伺いをする。
 花巻空港については、本県の空の玄関として、平成7年4月からは中型機対応の空港として利用されており、ハンガリーへの国際チャーター便が就航するなど、県民の関心が高く、大型ジェット化や国際化について強い要請がある。このため、平成4年度に大型ジェット機の就航を想定した2、500メートル延長の基本調査を実施しており、現在、拡張整備に向けて国の第7次空港整備5カ年計画への採択を要望しているところである。今後は、この計画に盛り込んでもらうよう、より一層強力に運動する必要があると思われるが、どのように考えているかお伺いする。
 またあわせて、福岡便や東京便の見通しについてもお伺いする。

〇小野寺企画調整部長 まず、花巻空港2、500メートル延長化への取り組みであるが、御案内のとおり、平成8年度を初年度とする国の第7次空港整備5カ年計画が今進められているところであるが、昨年8月に航空審議会の方からその基本的な考え方が示された。また、最近、2月の末であるが、その計画期間内全投資額3兆6、000億円というのが閣議了解されたところである。今後は、本年の11月ごろに予定されている計画の閣議決定に向けて鋭意作業が進められると伺っているところである。その計画に盛り込む選定に当たっては、先ほど申し上げた昨年8月の航空審議会の基本的な考え方が基本になるわけであるが、その中においては、まず、大都市圏拠点空港の整備を最優先とするということが述べられている。そしてまた、地方空港の整備については、これは需要が増大するということを前提とした整備を行うということである。かねていろいろ申し上げておるが、その需要の確保というのが非常に大きな課題になるということである。もちろんこの基本的な考え方は、本県花巻空港の整備にとって非常に厳しい内容でもあるわけである。そういうことを踏まえて、従前から、まず利用実績を上げることが肝心だということで、民間ともいろいろ組んで空港利用促進協議会を設置し、そして県も地元も民間も一体となって一生懸命取り組んできたところである。その結果、2月末の航空利用実績を見ると20万3、000人余となっておる。これは昨年の同期と比べると約28%増ということである。しかし、30万人ぐらいにしたいという当初のねらいからすると、これをもって十分というわけにはいかないで、まだまだ今後の努力が必要だと考えておる。このようなことから、今後、県としては、その利用実績の一層の向上を図ることに引き続き取り組んでまいりたいと考えておるし、国に対しては、これまでの伸びというものを強調して、こういうふうな伸びで将来ぜひ伸びるように頑張るということで、採択に向けて交渉してまいりたいということ、それからもう1つは、先ほど申し上げた航空審議会の基本的な考え方の中に、空港の質を高める、つまり例えて申し上げると、就航率を高めるとか、そういうことも1つの目安になるようなので、花巻空港の場合は冬期間における就航率の向上、こういったことを強く出して、そして、そのための延長だということもあわせ、強く訴えてまいりたい。いずれにしても、あらゆる機会をとらえて、今後とも引き続き11月の成案を得るまでの間、一生懸命取り組んでまいりたいと、このように考えておる。
 次に、福岡便と東京便の見通しについてであるけれども、まず、福岡便については、かねてから県においてその開設をJAS、つまり株式会社日本エアシステムや運輸省等に強く要望してきたところであるが、その結果、去る2月20日にJASの方から本年6月1日から週3便で福岡線を開設したいという路線免許の申請が運輸省に対して出された。運輸省においては、その手続を今進めていると伺っておるが、その見通しを申し上げると、今月中に免許が交付されて、6月から申請どおり福岡便の運航が開始されると、こういう見込みになっておる。県としては、今回の路線開設によって、花巻空港全体の利用拡大はもとよりであるが、特に先ほど申し上げた大阪線の既存路線の利用者もふえるということに非常によく弾みがつくものということで、大きく期待しているところである。
 次に、東京線であるけれども、御案内のとおり、昭和60年から新幹線の開通に伴う乗客の減を理由として休止されておる。その後、県としてもその復活について休止直後から要望してきたわけであるが、特にも首都圏との交流拡大あるいは羽田から他の地域への乗りかえ、そういったことから非常に重要だということで、今後とも強く要望してまいりたいと考えておる。ただ、その見通しについては、現在、羽田空港が満杯になっているというようなことで、発着枠が限界に達しているというようなことであるが、平成8年度末、新たな滑走路の供用開始が計画されておる。そこで、航空各社では、これに伴う発着枠の拡大、それを1つのチャンスととらえて、そして便をふやそうとかかっているわけであるが、本県においても、その動向を十分注意しながら、そのチャンスを生かすように頑張ってまいりたい、このように考えておる。

〇吉田(洋)委員 最後の質問になるが、本県が100%出資している県土地開発公社において、極めて憂慮すべき贈収賄汚職事件が発生をした。新聞報道等によると、資材選定に便宜を図ったとして、同公社の課長補佐を収賄容疑で逮捕、業者も同様に贈賄容疑で逮捕され、県土地開発公社、そして県教育委員会も家宅捜査を受けたところで、まことに残念な事件である。現在、理事長、副理事長が県OB、事務局長、建設部長は県からの出向者、企画調整部が指導監督機関で、企画調整、土木、商工労働の3部長も理事となっている。県の100%出資だけあってそのつながりは極めて強いわけであるが、県当局においてはこの事件をどう受けとめ、今後どう対処しようとしているのか、また、再発防止のためどのような対策を講じようとしているのか、まずその点についてお伺いをする。

〇小野寺企画調整部長 ただいま委員からお話があったように、岩手県土地開発公社建設部公共事業課長補佐川村寛48歳であるが、平成6年度に担当した県の受託事業である設計補助監督業務において、建設資材業者に有利な取り計らいをする謝礼として業者から現金を受け取ったという容疑によって3月4日に岩手県警に逮捕され、取り調べが行われているところである。この事件は、公の法人として絶対にあってはならないもので、いやしくも県民の信頼を著しく損なったということはまことに遺憾である。現在、その詳細な事実関係について内容の把握に努めているところであるが、公社においても、事件発覚後直ちに理事長を委員長とする業務改善検討委員会を設置し、その原因究明に当たっており、再発防止についても鋭意取り組んでいるところである。県としても、できるだけ早い機会に、その発生原因と問題点の究明に努め、再発防止のために必要な改善策を速やかに措置するなど、厳正な事務の執行、さらには職員のモラルの高揚が図られるよう指導に万全を期してまいりたいと、このように考えている次第である。

〇吉田(洋)委員 事件の今後については、今いろいろ捜査の段階にあって、詳細は司直の手にゆだねることとするが、私は、まず、公社等のあり方についてただしていきたいわけである。まず、県が出資をしてかかわっている公社等出資法人はどの程度あるのか、また、出資総額はどのくらいの額になっているのか、それとまた、これら法人に県から何人ぐらいの職員が出向しているのか、まずこの点についてお伺いする。

〇上田総務部長 まず、県が出資しておる法人の数であるけれども、平成8年2月1日現在で128法人ある。出資額で申すと275億8、300万円余、それから、これは出資法人に出向している県の職員であるが、これはちょっと時点が違うが、平成8年3月1日現在でとったところ、170人となっておる。

〇吉田(洋)委員 県が出資法人に大きなかかわりがあるということは今の数字でもって十分県民に理解できるわけであるが、そのうち、公社等運営協議会というのが設置されているようであるが、協議の対象法人は幾つになっているのか。

〇上田総務部長 公社等運営協議会の対象法人であるが、数としては15ある。全部はあれであるけれども、例えば株式会社岩手畜産流通センター、岩手県産株式会社、社団法人岩手県林業公社、財団法人岩手県中小企業振興公社、社団法人岩手県肉牛生産公社、こういったような法人が15ある。

〇吉田(洋)委員 私も実は公社等運営協議会のメンバーになっているようであるが、いろいろ規程とか、今までの状況を見てみると、この協議会は昭和45年3月4日に制定されて、その後9回手直しが行われている。そして、この規程は平成7年4月1日から施行されているわけであるが、この3年間、公社等運営協議会が開催されていない。これはどういう理由から開催されないのか。

〇上田総務部長 公社等運営協議会については、公社等の運営に関する諸問題について協議するため、必要に応じて知事が招集する、こういう仕組みになっているところである。この公社等運営協議会の発足時の経緯等も少々調べたわけであるが、45年当時に肉牛生産公社等の経営上の非常な危機等があって、そういう点に関して議会も入って検討すべきではないか、こういったところから発足したものと承知しておる。その時々に経営上の問題等を審議するために、庶務は総務部でやっておるが、各部局から対象法人で審議のあるものを提出をいただいてやっているわけであるが、近年においては、各部局の方から平成4年度に2件ほどあったけれども、近年はこの法人について審議をせられたいということがなかったということから、結果として、ここ約3年間開催実績がない、これが実態である。

〇吉田(洋)委員 例えばこの中に三鉄なども入っているけれども、三鉄の事故があったようなときもこの協議会が開催されてない。そういう基本的な問題にかかわる問題だと思う。あるいはまた、三鉄においても非常に赤字が累積している、これも非常に大きな問題だと私は思っている。同時に、今、部長から答弁あったが、128法人も出資法人があるわけであるが、今の御答弁であると15法人である。だから、私は、この協議会の機能をもっと高めていくべきだと思うし、15以外に、128もあるんだから、こういう法人も包含していくべきだと思うが、いかがであろうか。

〇上田総務部長 公社等運営協議会の対象となる法人については、これまでの考え方であるけれども、出資割合が4分の1以上の公社あるいは県の特別職の職員が役員をしている公社等ということで、その時々の経緯で指定が行われてきたものと認識しているところであるけれども、今後の公社等運営協議会のあり方、運営については、ただいま委員から御指摘があったとおり、大変大きな検討すべき問題があると考えておる。現在、行政改革大綱に基づいて、県出資法人全般について見直しを行うべきとされているところで、今後、この大綱に基づく見直しを行うつもりであるけれども、この県出資法人全般の見直しの一環として、公社等運営協議会のあり方についても見直しの時期にあると考えておるので、ただいまの委員の御提言、それから公社等の実態も勘案しながら十分検討いたしてまいりたいと存じておる。

〇吉田(洋)委員 ただいまの4分の1以上出資あるいはまた、特別職が入っている方々の公社と、こういうことに限定した御発言であったけれども、私は土地開発公社もこうした協議会の中に入ってくるべきだと思っている。その中で全体的な出資法人のあり方について積極的な検討を加えていく時期に来ていると思う。まず、私は、少なくとも規定の見直しを行う、そして同時に、最低でも年1回は定例的な総会を開催をする必要があると思うが、いかがであろうか。

〇上田総務部長 公社等運営協議会という名称の協議会のままでいいのかどうかということも含めて、やっぱり抜本的に見直す必要があると思う。これまであるものをただ規定を見直すだけでいいのか、これも含めて検討したいと思うし、また、こういった趣旨のチェックという体制を1年に1回もやらなくていいのかという御指摘についてはごもっともなこと、当然のことだと思うので、十分見直した結果において、1回になるか、1回以上になるかわからないが、しっかりとフォローアップできるような体制をとっていくべきものと考えておる。

〇吉田(洋)委員 規定によって、これは知事が招集するということであるが、私は、こういう大きな問題が発生をしたということと同時に、三鉄の問題などもある。したがって、緊急に、この議会終了後、知事に招集していただいて、まだ未開催である、この3年間。公社等運営協議会をぜひとも招集をしていただきたい、こういうふうに思うが、いかがであろうか。

〇上田総務部長 ただいまこの場での御提言であるので、確たるお答えを直ちに私が判断いたしかねるけれども、今会期というか、県議の委員に昨年の5月に新たに委嘱をお願い申し上げておるわけであるけれども、それから約1年間たった現在まで開催しておらない。したがって、日程上の問題があると思うけれども、これをできるだけ早く、少なくとも1度招集すべきであるということについては私も同感である。

〇那須川委員長 代表質疑を続行する。

〇菅原委員 自由民主党の菅原温士である。自由民主党を代表して、平成8年度予算について総括的に御質問する。
 さて、平成8年度の政府予算案は、戦後最大規模の景気低迷で税収が大幅に落ち込んだ結果、赤字国債約12兆円を含む21兆円の国債発行がなされ、結果として国債依存度がこれまでで最高の28%となるなど、極めて厳しい予算編成となったところである。しかし、歳出面では、経常経費を1・5%増に抑えつつ、投資的経費は5・2%増、うち公共事業費は4・0%増とし、苦しい財政事情にあったとはいえ、精いっぱいの景気への配慮をしたものと見ておるわけである。
 さてそこで、県民の立場からは、このたびの政府予算案の本県への影響が気になるところである。政府予算案の編成に向けた要望結果について、県当局は本議会において、それなりの成果を得たとの答弁をなされたわけである。
 そこでお伺いするが、とりわけ本県にとっては、おくれている社会資本整備の進展を左右し、また、地域経済を活性化する役割を担っている公共事業等投資的経費の状況はどうなっているのか御答弁を願う。

〇千葉副知事 公共事業等の投資的経費の関係であるけれども、まず、総額であるけれども、8年度当初予算において、公共事業等の投資的経費は予算額全体の約4割を占める3、184億6、300万円で、前年度6月現計対比で5・1%の伸びとなっておる。また、地方財政計画の2・2%を大幅に上回っているものである。
 次に、目的別の状況についてであるけれども、まず、生活基盤投資の関係である。これは476億2、500万円で、投資的経費総額の15%である。前年度に比較して35・3%の伸びになっておる。その主なものであるけれども、県立大学整備等の文教施設整備事業、これに254億1、100万円、また、老人福祉施設や高次救急センター整備等の厚生福祉施設整備事業に対して67億2、200万円などを投資しているところである。
 次に、国土保全投資の関係であるけれども、559億5、100万円で、投資的経費総額の17・5%、前年度に比較して1・9%の伸びである。その主なものとして、早池峰ダム建設等の治山、治水事業に458億7、100万円を充て込んでいるものである。
 産業基盤投資の関係であるけれども、1、966億2、000万円で、投資的経費総額の61・8%、前年度に比較して1・9%の伸びである。その主なものは、道路整備事業に対して709億4、800万円、農業基盤整備事業571億6、100万円、造林林道事業整備事業に対して144億6、900万円を投資しているところである。
 こういった状況であるけれども、御案内のとおり、厳しい財政環境にある。今後とも県土の均衡ある発展を図る観点から、社会資本の整備や地域住民の福祉の充実等を推進するため、国庫補助事業の効率的な導入や交付税措置のある優良な起債の活用等を図りながら必要な事業量の確保に努めてまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 次に質問するが、今、政局が混迷をしているわけであるけれども、国の当初予算成立がおくれた場合に伴う影響と対応についてお伺いする。
 2月9日の日銀盛岡事務所の県内金融経済概況によれば、県内景気は足取りの重さを残してはいるものの、緩やかな回復の動きが見られているとし、景気が回復過程に入ったとの認識を示しておったわけである。しかしながら、御案内のとおり、国家運営の基盤である国民生活や企業活動に大きな影響を及ぼす国の当初予算の成立がおくれることは、結果として前述したとおりの景気回復に水を差すことになるのではないかと懸念をしているわけである。暫定予算を編成するにしても、本来、公共事業などの政策的経費は含まれないものと聞いているわけである。
 そこでお伺いするが、当初予算成立のおくれにより本県経済に多大の影響を有する公共事業の契約等がおくれ、本県の景気回復に影響があるのではないかと存ずるが、県ではどのように考えているのか、また、県としての対応はどうかをあわせてお聞かせ願う。

〇小野寺企画調整部長 予算成立のおくれが県内景気にどう影響するかというお尋ねである。最近の県内の景気動向については、このところ明るい動きが見られて、基調としては穏やかながら回復の方向に向かっているけれども、その動きは引き続き弱いものとなっている。したがって、その回復の基調をより確実なものにするため一層努力しなければならない状況にあるわけである。一方、公共事業については、ただいまもお話あったように、県内の経済に与える影響は非常に大きく、また、固定資本形成、つまり投資の面でも、本県の場合、特に公共に依存する度合いが高いわけで、国の予算に負うところが非常に大きい現状となっておる。そういうことからも、国の平成8年度予算ができるだけ早い時期に成立することを強く期待しているところである。そしてまた、公共事業の執行に際しては、本県は積雪寒冷地ということもある。さらにまた、ただいま申し上げた県内景気の回復ということもあるので、今後ともその効果が速やかに波及するように早期発注に努めてまいりたい、このように考えておる。

〇菅原委員 平成6年の4月1日から5月20日までの50日間、それから、6月29日までの40日、合計90日間、これは前の内閣であるが、特別な暫定予算を組んだわけである。それの影響が岩手県でも相当あったと私は記憶しているが、当時の補正予算に対する岩手県の影響はどうであったのか。

〇小野寺企画調整部長 ただいま手元に資料を持ち合わせてないので定量的なことは申し上げられないが、先ほど申し上げたように、予算成立がおくれる、あるいは配分がおくれるということはそれだけ本県での契約事務等のおくれを来すことにもなるので、その分だけ後になって影響が出てきていると考えておる。ただ、定量的な議論はちょっと申し上げかねるので御了承いただきたいと思う。

〇菅原委員 次に、今後の政府予算においては、今回の国債の大量発行による重い償還費負担に伴いますます政策的予算が縮減され、財政の硬直化が一段と進むものと思うわけである。さらには、従来より懸案となっていた公共事業へのシェア見直しについては今回も微増の範囲にとどまり、今後においてもその硬直化した状況はさほど変わらないのではないかとの見方があるわけである。本県としては、今後、かかる動きをとらえながらも、社会資本整備の積極的な推進に向け、本県の地域事情を訴えながら、国に対しいろいろ要望してまいる必要があると存じるが、県当局の御所見を承りたいと思う。

〇小野寺企画調整部長 本県として、今後、社会資本の整備の面で国に対して要望していく必要があるというお話である。国における公共事業の配分については、御存じのとおり、平成5年11月に財政制度審議会の報告において、公共事業の方向として、今後、生活環境の整備に重点を置くとされたところである。そのような経緯もあって、今般、平成8年度の政府予算案を見ると、公共事業の事業別配分比は、その変動幅は継続事業等もあって小幅なものとはなっておるけれども、前年度に比べたシェアで申し上げると、例えば住宅、下水道、環境衛生などの生活環境整備、これは総じて比率が高くなっておる。また一方、治山、治水等の国土保全、そしてまた、漁港、港湾、農業農村整備等の産業基盤、そしてまた、生産、生活両面に共通する道路の整備、これらは軒並みシェアが下がっておる。わずかではあるが下がっておる。本県としては、県民生活の向上を図るという観点から、これら生活環境整備に積極的に取り組むことはもちろん必要であるが、ただ、本県の実情を見た場合に、高速交通幹線を初めとする総合的な交通基盤や治山、治水等の県土保全、さらには農林水産業の産業基盤の整備、こういったものもなお一層整備していく必要がある、このように考えておる。したがって、今後においても、あらゆる機会をとらえて、国等に対し、本県の先ほど申し上げたような事情を強く働きかけて理解を求め、そして本県の地域の実情に合った予算の配分について強く要請してまいりたい、このように考えておる。

〇菅原委員 次に、県財政への影響についてお伺いする。とりわけ地方交付税については、その算定の基礎となる国税5税の落ち込みに伴う地方財政への影響もあったものと存ずるが、平成8年度の本県分の見積もりはどうであったか。先ほど総務部長から話があったわけであるけれども、改めて御答弁をお願いする。
 また、地方交付税や国庫支出金等の依存財源に多くを頼らざるを得ない財政運営を余儀なくされている本県においては、真に自主的な財政運営を確立していくためには、可能な限り自主財源を安定的に確保していくことが必要であると存ずる。自主財源の状況とその確保について、いかなる今後方策をお考えになっておるか、あわせてお示し願いたいと思うわけである。

〇上田総務部長 まず、地方交付税について、全体額の話、委員御指摘あったけれども、算定の基礎となる国税5税の落ち込みによって、いわゆる法定ルール分が前年比7、200億円余、5・3%の減ということであったわけであるが、地財対策によって交付税特別会計からの借入金による加算や過去の減額分の繰り上げ償還等によって、出口ベースでは最終的には前年比4・3%増の16兆8、400億円、これが地方財政全体の交付税の額と相なったわけである。これに対して、本県分の地方交付税であるが、自治省において、各地方公共団体に示した算定の目安、基準財政需要額、それから、基準財政収入額の算定の統一的な目安があるが、例えば基準財政需要額で申すと経常経費2・0%、投資的経費0・5%、こういったような目安を用いて大体の推計をするわけであるが、平成8年度においては試算2、370億円程度と見込んでおって、おおむね平成7年度並みの額を確保することになるのではないかと考えているところである。
 自主財源の状況については、全体の説明のときに一部言及したけれども、8年度の自主財源の額は2、519億5、400万円、自主財源比率は31・2%というところであるが、この平成8年度における自主財源の主な確保対策であるが、まず、第1に使用料、手数料の見直し、15件で1億1、800万円、それから、法人県民税の特例税率、さきの議会で議決をいただいた特例税率であるが、これを100分の5・8としておるが、この分の差が6億200万円、それから、財政調整基金の取り崩しが10億円、県債管理基金の取り崩しが140億円、こういったようなことによって自主財源を確保したところである。こういった自主財源の多寡は、まさに財政運営の自主性、安定性に大変大きく影響することであるので、今後においても、県税の徴収努力はもとよりであるが、使用料、手数料の見直しあるいは各種基金の有効活用を図るとともに、また、優良かつ多様な業種の企業誘致による税源の涵養などにも努めて、片や、さらに国に対しては地方財源の制度的な拡充強化を引き続き要望してまいりたいと考えているところである。

〇菅原委員 くどいようであるが、引き続き財政問題についてお伺いする。
 本会議でもたびたび指摘されたようであるが、平成8年度の本県予算は、借金財政としての性格を一層強めたということ、言うなれば県債依存度が急上昇したということである。このことによって、後年度、公債費の増嵩を招き、ひいては将来における本県の財政運営に支障を生ずることになるのではないかと懸念されるわけである。
 そこでお伺いするが、本県の今後の公債費負担の見通しはいかがであろうか、限界はどの程度か、あわせて、県債発行についての基本的な考え方はどうか、御答弁を願いたいと思う。

〇上田総務部長 今後の公債費負担の見通しについてであるが、現在まで発行された県債、それから8年度発行を予定しておる県債について推計をすると、県債の元利償還額を一般会計ベースで見ていくと、今後5年間を見通すと大体700億円ないし900億円台で推移するものと見込まれるが、ピーク、一番高くなるところは、今のところ平成12年度と見込まれて、その際の元利償還額は約990億円と試算されるわけである。この場合、地方交付税によって措置されるものを除いた、いわば純県負担と申しておるが、こういうベースで見ると490億円程度になる、こういうふうに見込んでおるわけである。
 それから、県債発行の考え方であるが、本県財政は、現下の経済動向等から見ると、非常に自主財源の確保等、厳しい環境、片や義務的経費の増嵩という、そういう状況にはあるけれども、3県総の後期実施計画、これから具体になるけれども、いろいろな大きなプロジェクトもこれまたあわせて推進していかなければならない状況にあると考えているところである。そのためには世代間の負担の公平化なども考慮すると、どうしても県債の適切な活用を図っていくということは、これは必要なのではないかと考えておる。その場合の導入方針としては、後年度の財政負担ができる限り軽減できるように、地域総合整備事業債や臨時道路整備事業債等、こういった元利償還に対する交付税措置のある起債をできる限り導入するなど、県債の有効かつ適切な導入を図るとともに、当然であるが、先般策定した行政改革大綱に基づいて、行財政運営の全体の見直しによる経費の節減合理化もあわせて進めながら、もって財政運営の健全性の確保に鋭意努力してまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 将来心配のないように、ひとつお願いをする。
 さて、続いてお尋ねするが、財政難の自治体に求められるのは効率的な経営感覚である。時期よろしく県当局は、このたび行政改革大綱を策定され、機動的、効率的な行財政運営を目指さんとしておるので、本大綱に関連して幾つかについてお伺いをする。
 申し上げるまでもなく、地方自治法は地方自治体運営の基本として、最小の経費で最大の効果を上げるようにしなければならないと明記をしているわけである。バブル崩壊後の景気低迷の中にあって、民間企業は生き残りをかけ、人員整理や年功序列の見直しを初め、既存システムの総点検等、血のにじむようなリストラ、減量経営に取り組んでいるところである。自治体においてこそ一層真剣にその体質改善について、特にも行政の効率性を確保するということについて早急に取り組んでいかなければならないものと存ずる。そのためには、全職員がコスト意識に徹するということが肝要であり、したがって、まずは職員の意識改革を進めるということが何より早急な課題ではないかと存ずるが、いかがであろうか、当局の御所見を賜りたいと思う。

〇千葉副知事 厳しい行財政環境の中で、高度化あるいは多様化する県民ニーズに的確に対応するためには、行財政運営を簡素で効率的なものとすることを基本としながら、限られた行財政資源をできる限り有効に活用することが必要である。行政改革大綱においては、不断に事務事業の見直しに取り組むとともに、重点的かつ効率的な行財政運営に努めることとしており、また、職員の意識改革を進めることが大切であると考えているところである。そのため、職員1人1人が従来の考え方にとらわれない柔軟な発想を大切にしながら、費用と効果の関係を念頭に置いて事務事業を見直すとともに、各職場においては、職員が意欲的に仕事に取り組むことのできるような、そういった職場環境の醸成を図ることなど、職員の意識改革の推進に努めてまいりたいと考えているところである。
 また、職員研修においても、職員の創造性や政策形成能力の向上を図る観点から、民間との合同研修などを実施することにしておる。職員の自己啓発及び能力開発の一層の促進に今後とも努めてまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 次に、行政改革大綱に盛り込まれておる数項目について順次お尋ねをする。 まず、保健医療と福祉の連携についてである。
 高齢化社会の到来、疾病構造の変化等、保健医療、福祉に対する県民ニーズが多様化してきている中にあって、保健医療と福祉の緊密なる連携は時代の要請であり、積極的に取り組んでいく必要があるものと考えるわけである。県としては、その具体的な取り組みの1つとしては、まず、関係部門の組織的な統合を挙げておるが、要は施策の緊密なる連携により、もってサービスの総合化が図られるということが真の目的であり、県民としてもそのことを期待しているところである。しかしながら、省庁の縦割り行政のもとで円滑な連携が図られるかどうかという問題があり、組織を統合したことのみで期待どおりの成果が得られるのかという心配があるわけであるが、いかがであろうか。また、統合せずとも緊密な連携が確保できるのではないかという考えもあることから、統合すべきことについてはほかに積極的な意義があるのでなければならないと存ずるわけである。県当局の所見をお伺いする。

〇千葉副知事 保健医療と福祉の連携についてであるけれども、改正された地域保健法が、その基本理念として保健施策と社会福祉等の関連施策との有機的な連携の必要性を掲げているところである。したがって、保健医療と福祉を取り巻く環境は、従前と違って大きく変化してきているところである。これまでも本庁と地方振興局ごとの高齢者サービス総合調整推進会議の設置などによってその連携を図ってきたところである。しかし、このように最近変化してきておるので、こういった変化に適切に対応していくためには、本庁における環境保健部の保健医療部門と生活福祉部の福祉部門との組織的な統合や、あるいは出先機関における保健所と地方振興局の福祉部門との機能的な統合など、本庁、出先機関を通じた組織体制の整備が必要であると考えているところである。これらの組織の整備によって、本庁においては、保健医療と福祉の連携を必要とする施策の円滑な推進はもとより、高齢者等への総合的なサービスの供給を考慮した施策の企画立案が容易になるほか、出先機関においては、市町村に対する一元的な支援が可能となると考えているところである。
 また、出先機関における個別具体の例を挙げれば、高齢者、障害者、母子等の保健医療と福祉にまたがる事務の窓口の総合化による県民の利便性や、あるいは生活保護世帯を訪問する場合においても、保健、福祉スタッフの一体的な活動による在宅指導の充実などが期待できるというふうに考えておる。

〇菅原委員 次に、土木事務所の地方振興局への統合についてである。
 地域の振興施策を総合的に推進する拠点である地方振興局に土木事務所を統合することについてはさまざまな意見が出ておるが、行政改革大綱は、同僚の県議会議員も含む県内の有識者により構成されている行政改革推進懇談会の論議を踏まえて取りまとめられた最終報告を十分尊重して策定されたものであるということを想起すべきものと存ずる。このことについて県当局はどのような考えを持っているかお伺いをしたいわけである。

〇千葉副知事 土木事務所の地方振興局への統合についてであるけれども、地方振興局は地域づくりを推進する拠点として、市町村や県民の皆様方からも一定の評価をいただいているものである。昨年12月の行政改革推進懇談会の最終報告においては、地方振興の拠点としての地方振興局が施策の総合性を高める観点から、地方振興局の機能の充実をしていくようにとの御意見をいただいているところである。近年、ハードウエアの整備に当たっても、環境の保全やひとにやさしいまちづくりなど、県民生活のさまざまな面に一層配慮することが求められており、土木事務所が所管する道路、河川、建築物、下水道等、県民生活に密着した事業についても、環境あるいは福祉など、他の行政部門と連携する必要性が増大してきているものと考えているところである。
 また、地方分権の時代に向けて、地域に密着した事務はできるだけその地域において完結させることが大切である。地方振興局は、その総合性や完結性を一層高め、各行政分野を通じたより総合的な機関となっていくことが必要である。このような認識のもとに、行政改革大綱においては、行政改革推進懇談会の御意見を尊重して、土木事務所等の単独事務所を地方振興局へ統合することなどによってその機能の充実強化をするということにしたところである。今後においては、その実現に向けて、鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えておる。

〇菅原委員 10年前、振興局設置のとき、土木事務所の振興局内への統合を計画したようであるけれども、いろいろな事情によってそれが実現しなかったというようなことがあるわけである。この問題についてはいろいろこれからも論議がされてくるのではないかと思うが、いずれにしても行政効率が落ちないような体制、万全の体制をとる必要があるのではないかと、そんな感じがしているわけである。どうかそのようにお取り組みをしていただくようにお願いをする。
次に、県職員の充実強化についてである。
 行政改革の実施段階に当たり、これを推進する県職員自身についてもその資質向上が強く要請されるものと考える。さらにまた、地方分権の時代を迎え、今後一層地方独自の政策形成能力を高め、施策の展開を図っていく必要があると存ずる。こうしたことから、職員の新しい能力の開発も強く求められるものと思われるが、これに対応した今後の研修の進め方について、県の所見をお伺いする。

〇上田総務部長 大変多岐多様にわたっておる最近あるいは今後の行政課題に適切に対応していくためには、委員御指摘のとおり、職員の能力開発、これは極めて重要なことである。職員の視野を広げ、また、柔軟な発想力を伸ばすという観点に立って、例であるが、これまでも中央省庁あるいは自治大学校等への派遣研修を行ってきたところであるし、また、国際感覚を育てるという観点にも立って、平成元年度の外務省派遣を皮切りに、平成3年度からジェトロ──日本貿易振興会への派遣を行ってきたほか、ここ数年、県独自でも海外への派遣研修の拡大を図ってきておる。平成6年度において、新たに民間企業の経営感覚等の修得を目的として、県とそれから民間企業の管理者等の間での合同の研修、これを開始したところである。さらに、特に今後必要と考えられる政策形成能力の向上については、近年、自治研修所の基本研修コースの中で、行政課題研究などといった政策形成に関する科目を積極的に導入してきており、こういった派遣研修、合同研修、政策研修、こういったいろいろな研修を総合的に充実しながら、一層職員の能力開発に努めてまいりたいと存ずる。また、本会議でも議論があったけれども、民間派遣等の派遣研修の拡大にも努力をしてまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 次に、男女共同参画社会形成への具体化の1つ、女性職員の役づきあるいはまた参事職員の登用についてである。
 このことについては、私、たびたび質問しておるわけである。いわゆる私の専売特許であったわけであるが、平成7年度の定期人事異動の結果においてどのようになっておるであろうか。あわせて、過去数年間と比較して、実際、数字の上で目に見えた結果が出ているのかをお示し願いたいと思う。
 新聞報道によれば、57年以来女性の次長が誕生すると、そういうことが報道になっているわけであるが、まことに時宜を得た人事ではなかろうかと、そんな感じをしておるわけである。あわせて、御所見をお伺いする。

〇上田総務部長 県としても、委員の御指摘なども踏まえて、これまで女性職員の登用ということには意を用いてきたつもりであるが、御質問の近年の数字を申し上げると、過去5年間であるが、平成3年度に219人であった女性の役づき職員の数である。平成3年度219人が6年度に313人になって300人台に乗ったわけであるが、7年度では327人、3年と7年ではプラス108人、49%の増である。それから、役づき職員全体に占める女性の割合をとってみると、平成3年度に7・9%であったけれども、6年度に10%を超えて7年度では10・4%である。
 なお、係長級についてこれを見ると、平成3年度10・9%であった女性職員の割合が7年度には16・1%となり、6人に1人が女性という状況である。8年度の定期人事異動、まだこれは作業中であるけれども、基本的な方針として女性職員の積極的な登用を引き続き考えており、こういった方針に従って女性登用を図ってまいりたいと存じておる。

〇菅原委員 次に、本庁と出先機関との人事交流についてお伺いをする。
 大綱では、地方振興局の総合性を高め、その機能の充実強化を図るとされておるが、事務あるいは事業の実施において、これを支えるのが職員であることは申すまでもないわけである。従前にも増して、本庁と振興局との人事交流を活発化するなど、人事面での強化を図る必要があると考える。
 そこで、平成7年度定期人事異動における本庁と振興局等の出先機関との交流状況はどうか、また、平成8年度の状況はどうなっていくのかお教えを願いたいと思う。

〇上田総務部長 本庁と出先の交流であるが、平成7年度の定期異動においては、組織の新設、改廃あるいは同一所属における待遇職昇任者等に係る異動を除いたいわば実質的な異動者のうち、28・5%が本庁と出先機関との交流人事となったところである。本庁出先の人事交流については、振興局の発足以来積極的に取り組んできたところであり、最近5年の傾向を見ても毎年度大体30%程度、28から32ぐらいの幅があるけれども、大体3割程度の交流を行ってきているところである。平成8年度においても、まだ全体の作業が終わったわけではないが、本庁と出先機関との人事交流を積極的に進めてまいる考えである。

〇菅原委員 女性職員の登用の問題について数字がどうなっているか、後で結構であるから教えていただきたいと思う。
 次に、格差解消についてお伺いをする。
 全国との格差解消は県政の至上課題であり、3県総後期実施計画には、そのための諸施策を積極的に取り組むべきであると考えておる。
 そこで伺うが、まず第1に、格差解消の進捗を示す3県総における県民生活指標において、これまでの状況はいかがであろうか。全国との比較も含めその主なものについてお示しを願う。
続いて質問する。
 次に、県民所得であるが、このほど発表された本県の1人当たりの県民所得は平成5年度で237万5、000円であり、1人当たり国民所得の82・5%となり、前年度よりも0・7ポイント上昇し、縮まったとはいえ、相変わらずの格差が依然として存在するわけである。もとより、その格差の是正、すなわち私の持論である、先進県に追いつき追い越せは最大の重要課題であり、今後においても、常に県民所得の向上については高い関心と具体性を持った方策で取り組んでいく必要があると思うのである。本県においては、県民所得の向上のため、今後いかなる施策を展開していくお考えなのかお伺いをする。

〇千葉副知事 まず最初に、県民生活指標の進捗状況についてであるけれども、計画の中間年次である平成7年度の目標値に対する達成状況を見ると、平成6年度までの実績では、人口1人当たりの都市公園面積、乳幼児健康診査受診率、障害者授産施設定員数などの16の指標が中間年次の目標値を既に達成しているところである。また、平成7年度の見込みで見ると、自然歩道整備延長や新規学卒者の県内就職率、特別養護老人ホームの定員数など、さらに9つの指標の達成が見込まれているものである。したがって、現段階において25の指標が中間年次の目標値を達成すると見込まれているものである。また、市町村道の改良率、小中学校プール設置率など11の指標が中間年次の目標値に対して90%以上という、ほぼ目標値に近い数値に達するものと見込まれておる。
 以上のことから、県民生活指標については、おおむね順調に推移しているものと考えておる。
 次に、全国との比較であるけれども、県民生活指標44のうち、全国の状況を把握できる39の指標について見ると、1戸当たりの住宅床面積あるいは老人保健施設ベッド数、高校進学率など、25の指標が全国の数値を上回っている状況にある。しかしながら、水洗化率あるいは医師の数、障害者のデイサービスの事業実施箇所数など、14の指標についてはいまだ全国の指標を下回っておる。今後においても、生活と生産の両面にわたる基盤整備を初め、各般にわたる施策の積極的な取り組みを通じて、全国に比べておくれている面の底上げを図るなど、県民生活の質的な向上に努めてまいりたいと考えておる。
 次に、県民所得の関係であるけれども、本県の県民所得は年々向上してきておる。また、全国との格差も縮小してきているところであり、平成5年度では、1人当たり県民所得は237万5、000円と全国水準の82・5%になっており、前年度に比較して0・7ポイント上昇したところである。しかしながら、本県の所得水準は依然として全国平均より低い状況になっておる。これは、主として本県の第1次産業の占める割合が全国に比べて高く、また、それぞれの産業において労働生産性が低いことによるものだろうと考えておる。したがって、今後県としては、本県の所得水準を高めるために、産業活動の基盤となる社会資本の整備を進めるとともに、第1次産業においては、バイオテクノロジーの利用による独自品種の開発を進めるなど、農業の振興を図るとともに、県産材の安定供給体制の確立による林業の振興やつくり育てる漁業の新たな展開を図るなど、農林水産業の収益性の向上に取り組んでまいりたいと考えておる。また、第2次産業においては、本県の特性を生かした独創的、先端的な研究開発を推進するなど、いわゆる内発型の工業振興を図るとともに、創造力と技術開発力のある起業家の支援強化を進めてまいりたいと考えておる。また、第3次産業においては、魅力ある商業集積や物流拠点の整備を促進するとともに、産業支援サービス業の集積を図るなど、商業、サービス業などの振興に取り組んでまいりたいと考えておる。
 本県の基幹産業である農林水産業の振興に十分配慮しながら、それぞれの産業分野において、地域の特性を生かした産業経済活動の一層の活発化を図り、全体としての産業構造の高度化に努め、県民所得の向上に努めてまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 次に、県内格差の是正についてお伺いをする。
 県内においても格差が存在することも厳然たる事実である。これらの不均衡、格差是正の問題に対して、今後、どのように解消していくお考えなのか。特にも、県当局は新たに特定地域振興室を整備し取り組んでいくこととしておるが、具体的な施策を挙げてお答えを願いたいと思う。

〇千葉副知事 県内の地域間格差を是正して県土の均衡ある発展を図るためには、交通基盤等の社会資本の整備あるいは産業振興など、各般の施策を積極的に展開していくということが大切であると考えておる。このため、ただいま委員御指摘があったとおり、組織面では、平成8年度において企画調整部に特定地域振興室を設置して、県北、沿岸などの地域の振興に重点的に取り組むこととしたところである。
 また、県土の均衡ある発展を図るための施策の展開に当たっては、まず地域連携、交流の促進、2番目として、高速交通体系を軸とした広域ネットワーク等の整備、3番目に、産業の高度化と就業機会の確保、4番目として、都市機能の強化と居住環境の整備、こういったものを基本としてきめ細かな施策を強力に推進してまいりたいと考えておる。
 具体的には、まず第1の地域連携と交流の促進であるけれども、今般、地域活性化事業調整費を倍増したけれども、複数の市町村が連携して主体的に取り組む特色ある地域づくりを一層支援することとしておる。また、新たに平庭高原におけるオートリゾートの形成について検討を行うなど、地域の一体的振興や活性化のためのプロジェクトについて調査検討を行うこととしておる。
 また、第2の高速交通体系を軸とした広域ネットワーク等の整備であるけれども、東北新幹線盛岡以北や三陸縦貫自動車道の建設の促進、あるいは沿岸部と内陸部との一層の時間距離の短縮を目指した新たな交流ネットワーク道路の整備等をしていくこととしておる。
 また、第3の産業の高度化と就業機会の確保の関係であるけれども、県北農業技術センター、これは仮称であるけれども、本格的な整備や拠点工業団地の整備、あるいは企業立地促進奨励金の制度の創設など、商工業の振興に努めることとしておる。
 また、第4の都市機能の強化と居住環境の整備の関係については、新たに久慈と大船渡両地域に高次救急医療施設を整備する。また、県立一戸・北陽病院の新築、移転などを進めることにしておる。
 このように、産業経済の振興と県民生活の向上の両面から、各般にわたる施策を積極的に展開することにより、県土の均衡ある発展を図ってまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 次に、ベンチャー企業の育成と雇用問題、そしてまた老人福祉問題を質問する予定であったけれども、これを飛ばす。そして時間があれば質問したいと思う。
 次に、農業問題に移るが、まず本県のこれからの農業を見通す意味から、平成6年の農業生産の評価についてお伺いをする。
 岩手統計情報事務所が発表した本県の平成6年の農業生産額は総額で3、516億円であり、3、500億円を超えたのは昭和35年の統計開始以来、昭和60年に次いで第2回目となっておる。これは、官民一体となった努力の成果であり、とりわけ農政部関係者の皆様方の努力のたまものであると、そのように存じておる次第である。深く敬意を表する次第である。
 申し上げるまでもなく、本県農業は幾多の冷害に数多く見舞われてまいったが、そういった意味では、本県農業の歴史は寒冷気象との闘いであったと言っても過言ではないと思うのである。本県において、こうした農業生産の置かれた地域的なハンディを何とか克服し、生産者が意欲的に農業に取り組んでいけるような、農業振興策の基本とでもいおうか、希望の持てる筋道があってしかるべきだと思うのである。
 そこでお伺いするが、これまで本県農業のたどってきた道のりから見て、平成6年度の農業生産をどのように評価をしておるのか、また、今後の農業振興の方向を含めてお聞かせを願いたいと思う。

〇吉永副知事 これまでの本県農業は、寒冷気象との闘いというのは委員御指摘のとおりである。県としては、こうした寒冷気象に耐え得る農業への再編ということを農政の最重点課題としてとらえ、これまで米の耐冷品種であるかけはしの開発などにより、稲作の体質を強化しながらホウレンソウ、レタス等の野菜やリンドウ等の花卉など、園芸作物の生産拡大を柱とした作目再編を進めてきたところである。この結果、野菜、花卉などの全国に誇れる産地が形成されつつあり、平成6年の農業生産については、リンドウを初めとした花卉や工芸作物などの高収益作物の生産が増加したことや、天候に恵まれ米の生産が大幅に増加したことなどにより、委員御指摘の数字である昭和60年に次いで3、500億円台の実績となった。この数字は冷害であった平成5年に比べると34・5%の増、通常年と思われる最近年、平成4年に比べても1・6%の増加である。また、その内訳を見ると、そのうち米が37・4%、園芸が17・1%、畜産が39・5%となっておる。この中で園芸は17・1%ではあるが、この10年間で生産額、シェアとも1・5倍と大幅に拡大しており、農業の再編ということが着実に進展してきていると評価しているところである。今後においては、米、畜産という非常に重要な2大部門を効率的な生産体制に移行させながら、強化しながら、園芸部門を戦略部門として位置づけ、その生産を一層拡大するという、そういう方向を目指していきたいと考えておる。また、バイオテクノロジーを活用した耐冷性品種の開発あるいは安定生産技術の普及、農業生産基盤の整備、そういったものを進めるほか、農業労働力の減少や高齢化に対応できる効率の高い地域ぐるみ農業の展開といったことを図って、委員の言われた、生産者が意欲的に取り組んでいけるような農業といったものを確立していくことが農政の基本だととらえて、今後とも頑張ってまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 この平成6年度の農業生産で内訳を見ると、1位が米の1、314億円、2位がブロイラー454億円、3番、肉用牛256億、4番、成牛256億、5番が豚で200億、6番、葉たばこ140億、7番、リンゴ124億、8番、鶏卵114億、9番、キュウリ53億、10番、ホウレンソウ43億、こういう結果が出ておるわけであるけれども、県の方針として、これからもこの順位を高めるような方法あるいはこの中で特に力を入れて生産額を伸ばすという計画はあるのであろうか、お伺いをする。

〇吉永副知事 先ほど申し上げたとおり、今の中で、当県については米と畜産というのが非常に重要な2大部門であるので、これを効率的にその力を強めつつ、やはり最も今後力を入れていきたいというのは園芸の部門であり、ここは付加価値の高いところであり、また、価格も今後上がることが将来的にも見通せるものであるので、そこに力を入れつつ、農業の振興ということを全体として図っていきたいと考えているところである。

〇菅原委員 次に、米の販売促進策についてお伺いする。
 各産地の米が販売業者による競争入札という方式で取引がなされ、産地間の競争がますます激しくなっていく今、他の産地に打ち勝つ米生産地として生き残っていくことが大きな課題である。こうした中で、私は今後の米生産を考えるとき、米の商品化という視点に立つことが重要ではないかと考えておるわけである。すなわち、米をつくれば黙っていつでも売れるということではなく、消費者に買ってもらえる商品としてつくること、しかも岩手の米として指名して買ってもらえる商品としてつくるという生産意識を持つことが非常に大切ではないかと思うわけである。加えて、販売においては、いかに売り込むかという積極性が求められていくものと考えられるわけである。さきの本会議において、菊池雄光委員の質問に対して知事は、県産米の宣伝、販売対策の1つとしてエリアマーケティングを展開すると言っておられるが、今後、本県の一層信頼される米主産地としての地域を確保していくため、重要な米販売の促進策について、いまひとつ具体的にお示しを願いたいと思うのである。

〇吉永副知事 米の販売促進策についてであるが、今後の米の流通は、流通規制を大幅に緩和した新食糧法の施行に伴い、産地間、販売業者間の競争が一層激化してくるものと予想されておる。米を消費者に買ってもらえる商品をつくるという、米の商品化という視点に立つべきという委員の御指摘は、まさに御洞察のとおりだと考えておる。このような中で、産地としての評価を高め県産米を確実に売り切っていくためには、品質、味にすぐれた米を安定的に生産するとともに、県産米のイメージアップを図るための宣伝活動を展開していくことが大切だと考えておる。県としては、オリジナル品種のデビューを契機として、農業団体と一緒になっていわて純情米推進協議会を組織し、これを中心として県産米の評価を高めるため、各種のイベント、フェアでのキャンペーンあるいはオリジナル品種ゆめさんさのペットボトルでの販売など、活動を展開してきたところである。このようないろんな取り組みの成果もあり、7年産米については全国的に米の売れ行き不振が続く中で、本県産米は相対取引数量の全量について既に売買契約が成立しており100%売れていると、そういう非常に好調な売れ行きを示しているところである。今後は、マスコミあるいは業界誌を通して本県の持つ詩情の豊かさを背景に、有機、低農薬、自然乾燥といった本県産米の特色、これはいずれも統計数字でもって示すことが可能なわけであるけれども、そういう統計数字等も示しながら、そういう本県産米の特色を、あるいは良質で味がいいにもかかわらず値ごろ感はさらにいいという、そういったことなどを、また、品ぞろえも豊富であると、そういった本県産米の特色を強調した広告宣伝活動を一層強化して、消費者あるいはプロである販売業者といったものの認知度を高めていきたいと考えておる。また、特に消費者の購買ポイントである小売店頭での直接的な評価向上運動といったことが重要となってまいることから、東京の近辺、大阪、名古屋といった住宅地帯をターゲットとして折り込みチラシや地元ラジオ、新聞等を活用した販売セールあるいはキャンペンガールの派遣、販売組織による小物を提供するなど、地元の量販店あるいはスーパーマーケットへの直接販売支援を行うといった、そういう販売先を特定したエリアマーケティングといったものも重点的、効率的に実施して、新たな取引先の開拓、安定的販売ルート確保等、いろんな手段を使って頑張っていきたいと考えているところである。

〇菅原委員 再質問するが、今力強い対策を述べたわけであるが、1歩前進したなという感じをいたしているわけである。ササニシキが開発されたわけであるが、ササニシキは農林省の委託を受けて宮城県の古川農業試験場が開発した品種であるが、これを宮城県がいち早く開発した。そこで宮城のササニシキということで全国的に宣伝をしたわけである。当時の金で、私、聞いて記憶があるわけであるが、1億円の宣伝費をかけたと、こう言っているわけである。であるからササと言えば宮城だと、こういうことになったわけである。
 そこで、今、副知事からお話があったように、相当突っ込んだエリアマーケティングをするということであるが、いい考えだと思うわけである。先ほど申し上げたように、本県は何と申そうか、宣伝とかそういう売り込みというのは下手である。県民性もあろうか、そういうこともあり、やっぱり当時宮城県が1億円かけたというから、そして宮城のササと定着させた。であるから、岩手県ももっと積極的に宣伝活動、金をかけるというような姿勢、そうしないと私は効果が出てこないんではないかと、そんな感じをするから、一層の御努力をお願い申し上げる次第である。
 次に、農業担い手の育成確保についてお伺いをする。
 本県の農家数、農業就業人口は年々減少傾向にある。平成7年2月実施の農林業センサスによると、前回の平成2年に比較して農家戸数で7、600余、また、農業就業人口で2万1、000人以上少なくなっておる。特に、農業就業人口は昭和35年の実に4割までに落ち込んでいるわけである。このような中にあって、私は最近、北上市の43歳の主婦が、農作業の事故で夫を失った後の農業を受け継ぎ、4人の子供を育てながらたくましく農業に取り組んでいる様子、題して、牛を追いつつ新しい自分をクリエートと、これは毎日農業記録賞の最優秀賞に選ばれたわけである。これを目にしたわけであり、非常に感銘を実は受けたわけである。
 この方は作品の中で、私は農家の暮らしが大好きです。種をまいては出芽に感激し、四季の移り変わりに命の輝きを発見しながら、自分自身の創意と工夫で生活や農業を楽しむなど、人間本来の豊かさがここにあると信じ、次代を担う子供たちへのプレゼンターとして、これからの人生を楽しみながら輝いて生きていきたいと、このように言っているわけである。本来の農業の暮らしあるいは農業の姿は、まさにこのようにあるべきだと思うわけであるが、これは個人の努力の限界もあり大変難しい問題であるけれども、若者がどんどん農業から離れ、村には高齢者ばかり残されるのが現実の状況である。また、一方では、地域農業の担い手となる優秀な農家が県内各地で活躍していることも事実であるが、こうした農家を地域段階で表彰するなど、気概を助長していくことも大切であろうかと思うわけである。ともあれ、農業を基幹とする本県にあっては、農業に生きがいや楽しみを持って取り組むことのできる農業者を、どう育成確保するかが県農政の最大の課題である。そのことが、農村地域の活性化につながるものと思うのであるが、県当局のお考えをお示し願いたいと思う。

〇吉永副知事 本県における農家数や農業労働力は、御指摘のとおり年々減少しておるが、このような状況の中で、すぐれた技術と経営管理能力を持つ農業者の育成確保が重要な課題となってきておる。このため、県としては、農業の主要な担い手として農業を専業として、かつ、地域の中核となる主業型農家を今後1万5、000戸育成するということを目標とし、農家の年齢や経営の発展段階に応じた育成指導を行っているところである。具体的には、財団法人岩手県農業担い手育成基金とも連携しながら、小中学生や高校生を対象に、農業体験学習の支援、副読本の配布、実践研修などを実施しているほか、青年農業者には国内外の先進地研修なども進めているところである。また、農業を志向する青年に対しては、実践的教育を行ってきた従来の県立農業短期大学校を平成8年度から農業大学校と改め、高度な経営技術を付与する研究科を新設するとともに、自営農業者を対象とした研修内容の充実をあわせて行い、農業者の生涯にわたる研さんを側面から支えるといったことを考えていきたいと思っておる。
 以上のほか、学卒者あるいはUターン青年など、新規就農者に対しては就農支援資金の融通や円滑な経営開始への助成を行い、また、認定農業者を中心に長期低利資金の融資や農地利用集積を進め、地域ぐるみで農業を魅力ある産業として再編しながら、委員がおっしゃった農業に生きがいや楽しみを持って取り組む農業者といったものの育成確保を図ってまいりたいと考えておる。
 なお、すぐれた農業者に対し岩手農業賞の授与や全国段階の表彰事業に推薦するほか、がんばるファーマーの証を交付するなど高く評価し、かつ、勇気づけることが大事であると考えておる。
 最後に、委員が北上市の43歳の主婦の受賞に感銘をお受けになられたという話を聞き、私自身も非常にその話を聞き感激した。実は、私も同じような感銘を受けたことが最近あり、1月に、活力ある村づくりの集いというので、農業高校生あるいは青年がその抱負を述べていたわけであるけれども、1位をとった高校生は、これは農業というものを高齢化社会が進む中において、退職のない生涯の仕事として再編していくという視点を出し、さらにそれを福祉と絡めさせて夢を農業に託して語ったわけである。この女子高校生は高校卒業後、この4月、さっき申し上げた農業大学校に入ってくるということである。こうした、農業に対して将来を抱いている若者の夢を裏切らないようにしていくということが、県農政の基本ではないかと考えているところである。

〇菅原委員 再質問するが、副知事、この千葉洋子さんの手記を、記録はお読みになったわけであろうか。私、高校生のことを聞いたんではなくて、千葉洋子さんのことを聞いたのであるが。

〇吉永副知事 新聞記事の方で読んで、まだそちらの方は読んでいない。高校生の方は十分聞かせていただいた。これから必ず読みたいと思っておる。

〇菅原委員 この方、たしかこの記事を書いたので、受賞したので、知事表彰か何かもらっているのではないだろうか、違うだろうか。そんな話である。担当副知事が内容を見ないで知事賞を出したのであろうか。まずそのことはいい。後で上げるから読んでもらいたい。
 この手記、作文性もあるんではないかと思い、2月19日、千厩町の役場担当職員2人を連れて、菊池委員と小原宣良委員の許可を得て北上まで行ってまいった。そこで、実際この洋子さんと会ってきた。なかなか美人の方で、この人が農業をするかというほど本当にきれいな方であったが、とにかく誇りを持って農業をしたいと、こういう意欲のある話であった。それから、田んぼも見させていただいた。畜舎も見させてもらい、和牛40頭肥育しているわけである。私、畜舎何回も見ているが、こんな立派な畜舎見たことがない。建物が立派ということじゃなくて、環境が立派だということである。それからよろい、よろいがついていたのが1棟しかなかった。非常に恥ずかしいと、皆さん来るんだったらきれいにしておくんだったという冗談を言っていたが、それから農機具は60馬力のインターナショナルで、2トン車のダンプ、いろんな農機具がある。だんなさんが買ったんだそうであるが、だれが操作するのかと言ったら、私全部やると、こういうことであった。そこで、北上地方でそういうあなたのような優秀な方、立派な方、表彰されたことがあるかと言ったら、ないと言う。そういう表彰は私受けたことがないと、こういう話であったが、そこでお伺いするが、さっき質問の中にあったように、地域で農業振興を図っていくということ、これ非常に大切なわけである。県の基本方針も大切であるが、やっぱりそれに従って地方でも農業振興の体制を進めていくと、これは肝要である。
 ここにあるが、東磐井町農林業振興大会、これはことしで10回ぐらいになっているんじゃないだろうか。これは郡内の専業農家の方々の優秀な方を各部門にわたって表彰をする。みんなこれをもらうと感激をしている。後でこれを上げるから。そういうようなことは北上地方ではないという。こういう振興大会をやっているのは、岩手県では東磐井郡だけだというじゃないだろうか。盛岡も花巻もやりたいという問い合わせがあるそうであるけれども、やはり地域の農業を担う方──私は担い手という言葉は好きじゃない。負担が重い、担い手なんと言うと。ずばり専業農家と言った方が私はいいんじゃないかと思うが、そういう専業農家を育てるためにはやっぱり顕彰もすると、そういうことも必要ではないかと、そんな感じをする。県にはこういう東磐井郡のような農業振興大会をやっているところがあるのだろうか、お伺いする。

〇吉永副知事 委員が御指摘のとおり、それぞれの地域で農業を振興していくということは非常に重要なことだと思う。それぞれの地域地域あるいは県が絡んだものでも、そういった集いというものは幾つかあると私自身は思っておる。今手元にその資料がないけれども、私自身が参加した幾つかのところで非常に力強い地域の農業振興、農業興しの声というものを聞いておるので、そういったものは委員の御提言を踏まえてこれから各地域で大いにやっていく方向で考えていきたいと思う。私、委員の考えに大賛成である。

〇菅原委員 ありがたい。ひとつ頑張ってもらいたい。
 次に、老人の交通事故対策があるが、これは時間であるから割愛をする。
 次に最後になるが、北海道のトンネル事故について関連してお伺いする。
 先般の北海道の豊浜トンネル事故については、不幸にして多くの犠牲者を出すという痛ましい結果となり大きな衝撃を受けたところであり、亡くなられた方々に対して衷心より哀悼の意を表する次第である。本県のように、急峻な山間部を通り、トンネルも数多くある道路を毎日のように自動車で走り回っている私どもにとっては、この事故は対岸の火事と眺めているわけにはまいらないわけである。県において、安全な交通確保のため、日ごろ道路パトロール等により、鋭意、維持管理に努められてきているところであるが、今回の事故に際し、県では特に安全確保のためトンネルの出入り口やのり面の緊急点検を行ったと聞いておるが、この点検箇所数及びその結果について御答弁を願う。また一方、万が一かかるような事故が発生した場合、臨機応変の救援体制が必要になってくるのではないかと思う。北海道当局においては、対策のマニュアルがあったとかないとか批判があったようであるけれども、管理者としてこういう事態になった場合の対処の仕方、いわゆるマニュアルがあるかないか、あわせて御答弁を願いたいと思う。

〇吉永副知事 道路は安全で円滑な交通を確保することは最も重要であるとの認識のもとに、防災施設の整備やパトロールの強化などによって、常日ごろから道路の維持管理というものには万全を期してまいっているところである。去る2月10日朝の北海道・豊浜トンネルにおける大規模な岩盤の崩落による事故で20名の方が亡くなられるという痛ましい事故が発生したことであるが、県としては、国からトンネルの坑口部等の緊急点検ということが示され、この緊急点検要領に基づき、事故発生後、冬期交通どめになっておる区間を除く103カ所──103カ所の中には下達曽部トンネルあるいは白石トンネル、戸呂町3号トンネルといったようなところ103カ所について、トンネルの出入り口部等ののり面の安全性について緊急に目視や踏査により点検を実施したところである。この結果については、特に異常というものは認められなかったが、雪解けを待ってさらに詳細な点検をしたいと思っておる。
 急峻な山岳地帯を抱えておる本県の道路は、落石等の起こり得る箇所も多いと考えられるので、平成8年度にはのり面について全県的な一斉点検を実施するつもりである。
 道路管理者としての救援の話であるが、県管理施設で事故が発生した場合の救援体制については、第一義的には道路管理者である県が中心となり、警察や消防等の関係機関と連携を図りながら救援活動を図るべきと考えておる。今回のようなもし大事故が発生した場合は、こういった場合は地域ぐるみの救援活動が必要となると認められるので、そのときには全庁挙げて、全力を挙げてそれに対して迅速に対処してまいりたいと、そう考えているわけである。

〇那須川委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩する。
   午後2時50分 休 憩
   
   午後3時3分 再 開

〇那須川委員長 休憩前に引き続き会議を開く。

〇小原委員 社会民主党の小原宣良である。会派を代表して1996年度──平成8年度──予算について順次御質問をする。
 初めに、財政問題についてお伺いをする。
 今、日本の経済は、住専問題に見られるように、金融不安を抱えながら、経済回復の出口を探っている現状にあろうかと思う。バブル経済が残した負の遺産は余りにもすさまじく、その原因と責任は厳しく問われなければならない。バブル経済崩壊後、国は総合経済対策として巨額の財源を振り向けてきたし、地方自治体においても、補助事業、単独事業など、多額の地方財源が動員されてきたところである。
 さて、国の96年度地方財政対策によると、通常収支に係る財源不足額は5兆7、533億円と見込まれ、その補てん措置は、地方交付税3兆7、233億円の増額と地方債2兆300億円によって賄うとされている。ここ数年の地方自治体の通常収支不足分を見ると、94年度は2兆9、886億円、95年度は4兆2、572億円であり、96年度の5兆7、533億円は、減税による影響額を含まない当初計画額としては過去最高のものである。この額の大きさは、先ほど述べたバブル崩壊後の景気対策に動員された補助事業や単独事業の拡大、さらに、各自治体が抱える福祉や環境、さらに国際化などの新しい行政需要への対応策の拡大によってもたらされたものではないであろうか。つまり、地方自治体レベルでの景気対策と新規行政需要の拡大に伴う歳出の膨張に対し、今日の地方財政歳入構造、特にも地方税と地方交付税による一般財源確保に基本的欠陥があることを端的に示しているのではないであろうか。私はこうした認識を持つものであるが、御見解を含めて、以下お伺いをする。
 第1は、補助事業、単独事業の進め方についてである。
 県の当初予算は、昨年6月補正予算との比較で4・4%の伸びを示し、積極型予算と言われている。また、市町村の新年度予算でも、盛岡市を初め、積極型予算と報じられている。一方、1992年──平成4年──以降、景気対策として補助事業、単独事業が拡大され、これに伴い、県も市町村も地方債の発行額が年々拡大されてきた。その額は、県においては約4、334億円、市町村会計では約3、147億円となっているようである。
 そこで、これらの地方単独事業は、このままのペースでよいのかという点である。公債費比率の上昇など、地方財政の硬直化から、自治体には単独事業を積み上げる余力がなくなり、事業を消化し切れないという、いわば過剰感、息切れ感が強まっていないかが懸念されるところである。このことについて、県はどう認識をされ、県はもとより、市町村をどのように指導されるお考えかお伺いする。

〇上田総務部長 まず、事業の過剰感等があるのではないかという点についてであるが、県としては、確かに委員お話にあったとおり、大変、国、地方を通じて我が国全体としても財政環境は厳しいと考えるし、岩手県としても大変厳しい環境にあると考えているけれども、21世紀に向けて、この岩手県をすばらしい地域に築き上げていきたいというそのためには、産業基盤や生活基盤両面にわたる社会資本の整備など、やっぱり必要な施策についてはこれを着実に推進することが必要なことだと考えているところである。このため、景気動向などにも配意しながら、国も市町村もともにであるが、補助事業も活用するが、特に単独事業の積極的な推進に努めてきたところである。8年度一般会計当初予算においても、県の場合、地財計画の全体の伸び3・1%に対して16・8%という形になったところである。市町村の場合であるが、これはまだ8年度の計数がないので恐縮であるが7年度で申し上げさせていただくが、大体7年度において計画では5・0%であるが、実績見込みで11・9%ぐらいになると現在のところ見込まれておる。今後においても、21世紀を展望して、個性豊かな地域づくりを進めるためには、やっぱりこの時期にどうしても単独事業等を活用して、必要な施策の推進に努めていく必要があると考えておるけれども、一方で、当然ながら、御指摘あったが、中長期的に考えると、国の財政政策、それから地方財政対策の動向、もちろん将来における公債費負担、こういったものを勘案しながら、それぞれの時点において精いっぱい十分な配慮を行いながら適正な財政運営の確保に努力をしていかなければならないものと存じているところである。

〇小原委員 十分な配慮ということがあった。これらはぜひお願いを申し上げたいと思うわけである。
 財政問題の第2は、地方分権の論議とも関連をするが、当面の措置としては、地方交付税率を引き上げ、地方財政対策を具体的に強めることについてである。御案内のとおり、地方交付税法には、交付すべき地方交付税の総額が引き続き各地方団体について算定した額の合計額と著しく異なることとなった場合においては、地方財源もしくは地方行政に係る制度の改正、または第6条第1項に定める率の変更を行うものとするとある。多少省略して申し上げたけれども、ここで問題となるのは、引き続きとは、国会答弁によると3年以上とされているようであり、また、著しく異なるとは、普通地方交付税総額の1割以上の不足とされているところである。この判断基準に照らしてみると、94年度は地方交付税12兆7、578億円で、地方の不足額は2兆9、886億円、95年度は地方交付税13兆2、154億円で、不足額4兆2、572億円、96年度見込みが地方交付税13兆6、038億円に対し、不足額5兆7、533億円と、3年連続で通常収支の財源不足が1割以上となっているのである。これらの状況を見れば、当然96年度では地方交付税率の引き上げがなされてしかるべきである。県は、こうした財政事情を受けて、国に対してどのように地方財政の確立策を求めているのかお伺いをする。
 なお、市町村にあっては、国からの地方債の後年度交付税措置について、この補てん根拠が判然としないとの声も聞くのである。各自治体ごとに補てん措置をわかりやすく指導すべきである。財政見通しを誤らないためにも、改善すべき点があるとすれば適切な指導が必要と考えられるが、いかがであろうか。

〇上田総務部長 まず、地方財政全般について、平成8年度の地方財政がいわゆる減税関係を除く通常の収支不足額が5兆7、500億円余となって、大幅な財源不足で地方交付税法第6条の3第2項の規定に該当することになったということについては、国の方でもさすがに今回はこの事態に該当するという認識を持たざるを得ない状況にあると聞いているところである。この場合にとる措置というのは、今、委員から御指摘あったように、制度の改革か率の見直しかということであるけれども、諸般の状況を勘案して、詳細は省略するけれども、将来の国の負担とか地方の負担とかを整理しながら、今年度いろいろな国庫からの繰り入れを措置するということをもって1つの措置であるというふうに国の方では理解をしているようである。この問題、私も15年ぐらい前に直接この6条の3第2項の規定に該当するかどうかという話を大蔵省との間でかんかんがくがくやったことがあるけれども、その時点では、解釈のいろいろ議論があって、決め手になる事態ではなかったけれども、6、7、8については大体こういう状況だというふうに認識しておるわけである。したがって、地方の側としては、税、交付税を通ずる諸一般財源の充実確保という観点から、これまでにも地方交付税率の引き上げを含む地方交付税の総額確保について全国知事会等を通じて要望してきたところであるけれども、今後はさらにこういった活動を熱心にしていく必要があると思っておる。国、地方の財政関係から申すと、これは必ずしも国がいいとか悪いとかというレベルの問題ではなくて、どうしても日本国全体の財政構造の問題もあると思うのであるけれども、いずれ我々地方行政を担う立場からは、今、必要な施策があると考えておるので、それに必要な財源の確保について、制度を所管する国においてぜひとも必要な措置をとっていただきたいと念願しているところである。

〇小原委員 せっかくの機会であるから、吉永副知事、大蔵省からおいでになった方であるので、今の地方財源にかかわる議論あるいは3年連続こうした不足額が生じている状況あるいは多額の、その中で地方に対する財源措置のあり方、これをどうお考えになるか御見解をちょっとお尋ねをしたいと思う。

〇吉永副知事 ここで質問があるということはちょっと予想しておらなかったので、私、今、十分に勉強しているわけではないけれども、地方に参りまして、地方の財源を厚くすべきだということは、私、非常に強く感じているところである。法律に書いてあることであっても、それに基づいて当然のこととして大蔵省に要求しても、いろいろな理屈がこねられてそのとおりにならないというのは非常にあるわけである。そういうときはやはり説得力のある方が勝つわけであるので、そういう説得力のある方向で、私自身、実際に国と地方との間の大きな行政の分担ということを考えた場合、やはり一番仕事をしているところは地方であるので、地方の財政が揺らぐような方向になることは決して望ましくないと考えておって、そういう議論に参加する機会があったら、私自身はそういう方向で地方の財政が揺らぐことのないように、法律にあるものはその法律にあるとおりに手当てすべきということを主張してまいりたいと考えておるところである。

〇上田総務部長 大変失礼した。地方交付税措置に関する市町村の指導についての答弁を先ほどしゃべらないままに座ってしまって失礼した。
 地方債の元利償還に対する交付税措置についてであるけれども、確かに近年、地方債に対する交付税措置のルールが複雑になってきておる。例えば地域総合整備事業債の場合であると、地域総合整備事業債として起債を許可された額に対して、財政力に応じて元利償還金の30%から55%を各年度の理論償還額を基礎として算入するとか、それから、過疎債は元利償還金の70%を実額で算入するとか、いろいろなルールがある。市町村においては、当然起債を活用する際にこれらのルールについては十分な理解をして事務処理をしていただいていると思うわけであるけれども、やはり毎年毎年制度が変わって、いろいろなルールのものが出てきたりすることがあるので、県としても、そういった行財政指導の中で、いろいろな機会をとらえてそういった制度に対する理解が一層深まるように努力をしてまいりたいと存じておる。

〇小原委員 吉永副知事、ありがたかった。よろしくお願いする。
 次に、いわゆる官官接待の問題にかかわり、食糧費についてお伺いする。
 この問題は、予算の不正流用や常識の範囲を超えた飲食費の支出などにより、全国的に厳しい指摘を受けてきたものである。本県においても、食糧費の支出については適正、厳正であるべきとの県民の声を強く受けてまいった。96年度はまさに3県総後期計画の初年度であり、県民と県政との新たな信頼関係がより一層求められている時期である。さきの知事演述ではこの点に触れていなかったことはまことに残念であった。国においても、綱紀の粛正というか、そうした機会への出席の辞退があるとも聞いておるので、従来の慣行やしきたりを廃止し、新たな情報交換の工夫が各県ともなされるものと思う。
 そこでお伺いするが、県は、予算編成に当たって、食糧費の計上について総額を抑えるだけでなく、その支出のあり方についても一定のガイドラインを設定するなど、県民から指摘を受けることのないよう万全の対策を講ずるべきと考えるが、どのような方針のもとに食糧費を予算計上されたのかお伺いする。

〇上田総務部長 食糧費については、その支出が公費をもって賄われていることから、簡素かつ公正を旨として、節度ある対応と法の定めにのっとった適正な執行を図る必要があることを認識しているところである。このため、平成8年度の予算編成に当たっては、その必要について従前にも増して精査を加えた上要求するように各部局には当部から指示したところで、原則要求枠として、平成7年度9月現計予算額の30%相当額を減じた範囲内での要求を認めるということにいたしておる。さらに、その要求に対し、財政当局において内容を精査、検討した結果、9月現計予算に対し36・6%を削減した額を計上したと、こういうことである。個々具体の支出については、今後の執行に当たっても、食糧費をめぐる大変厳しい社会情勢の動向を見ながら、従前にも増して適正な執行に努めてまいりたいと考えておる。

〇小原委員 社会情勢もさることながら、みずからをしっかり律するというところが一番大事かと思う。
 次に、地域連携軸の形成についてお伺いする。
 国は、4全総に次ぐ総合計画において、地域連携を重視したものにすると伝えられておる。国土庁は、この地域連携軸をおおむね次のようにイメージしているようである。すなわち、交通、情報通信ネットワークを基盤とした産業、観光、文化等、各種活動や機能についての多様で重層的な交流や連携による地域の連なりのうち、国土全体あるいは国土の広い範囲を縦貫するものを国土の軸と呼んでいる。また、こうした地域の連なりには、全国的なものだけでなく、複数の中核的な都市圏間の交流、連携によるもの、複数の中小規模の都市圏間の交流、連携によるもの等、多様なパターンがあり得るが、これらをとらえるものとして地域連携軸という概念があると、このようにとらえておる。本県が国の次期全総計画に乗り込むには、やはり本県内における地域連携軸について、しっかりとした認識あるいは方針を持ち合わせていなければならないようである。また、自治体においても、自分のところで何でもそろえたいという構えから、どうやってみずからの特色を生かして、自分のところはこれ、こういうものはあなたの町に頼む、こういったような連携がないと地域連携は本物にならない、こういうことにもなりそうである。これは大変難しいことではあるけれども、考えてみれば効率的であり、また、地域間の親密さや信頼関係が強くなることでもあるかもしれない。
 さて、県は、国の次期全総策定に際し、どのような主張をなさるお考えであろうか。東北各県との連携、とりわけ秋田、青森、さらに宮城との連携についてどのような構想をお持ちかお伺いをする。
 さらに、県内各地域の連携はどうか、一極集中にならない発想の転換を望むものであるが、お考えをお伺いしたいと思う。

〇千葉副知事 地域連携軸の形成は、地域が提供するサービスの高度化が図られるほか、効率的な基盤整備が進められるなど、総体として地域の発展を図っていく上で有効な方策である。したがって、本県としても積極的に取り組む必要があるというふうに考えているところである。
 先般、本県で一日国土審議会が開催された。この審議会に知事も出席して意見を申し述べたところである。地域連携の促進のためには、整備された交通や情報通信インフラのもとで、人、物、情報の密度の高い交流、連携を図ることが不可欠である。したがって、新しい全国総合発展計画の中で、これらに係る具体的な施策が明らかにされ、地域連携の促進が確実になされるよう、あらゆる機会をとらえて国に対して要請してまいりたいと考えておる。
 また、青森県、秋田県、宮城県との連携についてであるけれども、これまで岩手、秋田、宮城にまたがるM・A・I栗駒ほっとプランの推進や北東北3県の広域観光キャンペーンの展開など、隣接県との連携と協調のもとに取り組んできておる。今後においても、これらの連携とともに、ほくとう銀河プランの推進等を通じて東北地域相互の連携に努めてまいる考えである。
 また、特に秋田県との連携であるけれども、平成6年度に国土庁、岩手県、秋田県と共同で地域連携軸事例調査を実施したところである。今後においては、両県でフォーラムを開催し、機運の醸成を図ってまいりたいと考えておる。また、この調査の結果に基づいて、宮古から盛岡を経由して秋田に至る地域については観光や文化面での連携を、また、釜石から北上を経由して秋田に至る地域については産業面での連携を念頭に置きながら取り組んでまいりたいと考えておる。
 さらに、県内各地域の連携についてであるけれども、平成8年度においては、地域活性化事業調整費を増額したところである。新たにその対象として、複数の市町村が連携して取り組む特色ある地域づくりを支援することとしておる。また、県土の均衡ある発展を図る観点から、地域活性化のためのプロジェクトについて調査検討を行うこととしたところである。今後、県内市町村の広域的な連携を促進し、地域の活性化に努めてまいりたいと考えておる。

〇小原委員 次に、福祉課題についてお伺いする。
 今、大きな課題は、家族、家庭のあり方にあるように思う。1980年代、今から十数年前から人生80年時代と言われたきた。特にも女性の平均寿命は、2人に1人は85歳以上まで健在でおられる。大変結構なことである。しかし、確実に進む少子・高齢化の傾向は、3世代、4世代同居というかつての家族構成を根本的に変化させつつある。しかも少子社会は、長男、長女同士の結婚という事例が多くなることをも意味しておる。こうした家族構成の変化が在宅介護を一層困難にしていくことも現実である。
 そこでお伺いするが、本県においてひとり暮らしのお年寄り世帯は幾らあるのか。また、お年寄り夫婦2人だけの世帯数もお知らせ願う。
 こうした世帯の中には、遠隔地で子供との同居に困難な事情あるいは子供と一緒に暮らせなくても、住みなれた土地の地域社会の中で老いていきたいと思っている方もいるものと思う。こうしたひとり暮らし、老夫婦暮らしの事情をどう把握されているであろうか。こうした実情把握の上に、市町村の老人保健福祉計画が着実に実行されるよう県は指導する立場にあるものと考えるが、いずれにしろ公的支援なしには在宅介護はなし得ない状況である。県は市町村と連携して、この介護システムをどう確立しようとしているのか。ホームヘルパーの増員、施設整備などを含めて具体的にお示しをいただきたいと思う。

〇千葉副知事 本県の高齢者世帯の数であるけれども、国民生活基礎調査によると、平成4年であるけれども、単独世帯が約2万7、000世帯、夫婦のみの世帯が約3万世帯となっておる。子供との同居が困難な事情については、ひとり暮らしの老人世帯の場合を見ると、平成6年の岩手県社会福祉総合動態調査においては、家族と同居したいができない状況にあるものが6割強となっておる。同居できない理由としては、家族の仕事の都合によるものが62%と最も多く、それに次いで現住地を離れたくないというものが2番目となっておる。高齢者介護に関する世論調査によると、介護が必要な高齢者の希望は、在宅介護のためのホームヘルパーや訪問看護などの充実あるいは特別養護老人ホームや老人保健施設などの増設などとなっているものである。今後は、県の高齢者保健福祉計画において、整備のおくれがちな在宅介護支援センターあるいは訪問看護ステーション、ケアハウスなどの一層の整備促進を図りつつ、現在1、054人設置されておるホームヘルパーの増員を初め、24時間対応のホームヘルプサービスや休日におけるデイサービスを実施したいということを考えておる。また、特別養護老人ホームの定員を4、055人からさらに増員するなど、3県総後期の実施計画において在宅と施設の福祉サービスが一体的に提供できるような体制の整備を図ってまいりたいと考えておる。

〇小原委員 ぜひ御努力をいただきたいと思う。
 次に、入院時食事療養費の患者負担に対する県単独助成についてお伺いする。
 この問題は、本県においては健康保険法の改正を機に、国の指導等を受けて県単独助成を見直した経緯がある。しかし、他県にあっては、入院時食事療養費の自己負担について、県単独助成措置をとっている県が多くある。本県においては県単独助成は行わないこととしているのであるが、やはり他県に倣い、一定の基準を設けて県単独助成を復活した方がよいと私は考える。検討してみるお考えがおありかどうか、副知事の御見解を賜りたいと思う。

〇千葉副知事 入院時食事療養費の取り扱いについてであるが、この制度は、健康保険法等の一部改正によって平成6年10月から導入されたものである。その趣旨は、入院と在宅等との費用負担の公平化を図り、その財源によって付き添い看護や在宅医療など、重い負担を負っている方々の負担の軽減を図ろうとするものである。県としては、入院時食事療養費の創設の趣旨が妥当なものと考えて、市町村初め、関係団体と協議を重ねた上で、助成の対象としないこととしたものである。
 また、全国の都道府県の医療費助成事業を見ると、実施している事業や対象者、その内容はさまざまであるが、これは各都道府県の県内事情を勘案して独自に判断して実施しているためである。本県の医療費助成の関係であるが、全国に先駆けて乳児医療費助成事業を実施したり、全国でも例の少ない妊産婦医療費助成事業を実施しているほか、平成7年度の東北各県の医療費助成に係る補助金を見てもトップクラスにあることから、本県の医療費助成事業は質、量とも東北の上位にあるものと考えているところである。今後の対応であるけれども、入院時食事療養費の取り扱いについては、平成6年の9月定例会において県議会から意見書が提出されているところである。国においては、法施行後3年目をめどに入院時食事療養費に係る患者負担のあり方を含めて給付と費用負担のあり方等に関し検討が加えられることから、今後、国の動向を注意していきたいと考えておる。

〇小原委員 ぜひ本県の生活者あるいは患者の状況、こういったものも含めて、あるいは他県の例、これも十分お調べのこととは思うけれども、あえてそうした形で助成をしておられるということについてはそれなりの根拠と実情があるわけであるので、ぜひこれは今後において検討課題として十分な関心をお持ちをいただいて、国の動向等も含めながら今後にぜひとも備えていただきたいと、このことを申し上げておきたいと思う。
 次に、自然環境保全指針の策定についてお伺いをする。
 私は、機会あるごとにこの問題について触れてきた。新年度予算においては約1、300万円の予算が計上され、いよいよ具体的に動き出した感があり、大いに期待をしておる。既に北海道は1989年に自然環境保全指針を策定しており、その内容については再三紹介させていただいているところであるが、指針策定の基本にかかわる点であるので、あえて触れさせていただきたいと思う。こう述べておる。自然は一度破壊されると復元することが大変難しいため、これからは自然環境を保全するための取り組みを計画的に進めることが大切である。このようなことから、良好な自然環境を将来にわたって適切に保全していくため、すぐれた自然の地域や身近な自然の地域がどこにどれくらいあり、これらの地域をどのようなレベルで保全していくのかを明らかにするとともに、自然環境の保護と利用に関する取り組みを長期的に進めていくための目標と方向を示すことを目的としてこの指針を策定したと、このように北海道の自然環境保全指針は述べているわけである。
 さて、そこで、本県における自然環境保全指針の策定であるが、平成7年度まで、つまり今年度までが調査事業となっており、各種資料収集の段階であろうかと思うが、現状はどうなっているのか、調査事業の概要についてお知らせいただきたいと思う。また、この資料収集に際しては、先ほど北海道の指針策定に当たっての基本認識を紹介したが、市町村との連携、つまり市町村からの積み上げが大変重要である。市町村では、その地域の自然環境をどのように保全しようとしているのか、また、その自然に対してどういう価値観を持っているのかということである。これらの把握は決定的に重要なことである。作業を進めるに当たり、市町村との連携をどう進めているのかお伺いをする。なお、96年度以降の策定作業計画についてもあわせてお伺いをする。

〇千葉副知事 自然環境保全指針の関係であるけれども、平成7年度までは既に指針を策定しておる北海道あるいは県に実際赴くなどして資料の収集を行い、また、研究を重ねてきたところである。また、平成7年11月には、学識経験者で構成する自然環境保全指針策定検討会議を発足させて、基本的な考え方、策定の内容、手法、スケジュール等について鋭意検討を行ってきた。
 自然環境の保全に当たっては、県と市町村が密接な協力のもとに、互いに共通の認識に立って行政を進めていく必要があると考えておる。自然指針の策定に当たっても、県のみがそれに携わるというのではなくて、市町村との連携を十分に図り、また、その意向を尊重しながら作業を進めていくことが重要だと考えておる。具体的には、特に身近な自然に関するデータについて、市町村からの情報の積み上げを行うとともに、地域の自然環境の保全についての市町村の基本的な考え方についても把握し、これらを指針の策定に生かしていきたいと考えておる。このため、新年度早々、指針策定のための市町村を集めた会議を開催し、協力をお願いすることにしているところである。
 それから、96年度以降の策定計画であるけれども、おおむね次のとおりと考えておる。平成8年度においては、身近な自然に関する市町村調査の実施や身近な自然データの評価、解析を行って、必要に応じて補完調査の実施を行う予定である。それから、平成9年度においては、すぐれた自然のデータの評価、解析を主に行い、必要に応じて補完調査を実施し、並行して保全目標、保全手法について検討を行っていく予定である。それから、平成10年度においては、自然環境の実態、評価を示す自然環境マップや地域ごとの保全目標等を内容とする指針の原案を作成し、市町村等関係機関からも意見を伺った上で、それを印刷、公表したいと考えておる。
 なお、自然環境マップは、本県の地図に自然環境の実態に係るデータを電算入力をして、1平方キロメートルごとにメッシュ化して表示するもので、常に最新のデータに更新していきたいと考えておるところである。

〇小原委員 ぜひ御努力をお願いする。
 次に、先ほど吉田洋治委員もお触れになったけれども、全国食文化交流プラザについてお伺いをする。
 このイベントは、生産者、流通加工、販売業者、そして消費者にとって極めて関心の高いイベントであると聞いておる。健康食品に対する関心が高い昨今でもあり、地域おこしとも相まって、多面的な波及効果も大きなものがあろうかと考える。岩手は、自然の恵みを受けた食の素材に恵まれておる。そして、地域、地域において継承されてきた伝統的食文化が存在している。このイベントを通じ、岩手から何を発信しようとしていくのかが課題であろうかと思う。例えば、古くから言われておる土産土法によるすぐれた食文化などは、自分が住む身の回りでとれた食材が自分の体には一番適するという例えであり、それからヒントを得ての安全、良質な食料の供給へとつながっていくものであると思う。いずれにしろ、これらを全国に紹介するとともに、今日の食環境に対応した新たな食文化の創造に向けた提言を全国に発信することとなるものと思う。
 そこでお伺いをする。第1は、このイベントを県はどのように位置づけ、また、岩手の特徴、特性のアピールポイント、セールスポイントをどう定めているのかお伺いをする。私は、かねてより岩手は北上山系、奥羽山系と、これをつなぐ県北、県南地域を円周型につないで、伝統、文化の発掘と継承を行うべきだと考えているものである。この機会に、このような食文化を通じた地域連携を形成してみてはどうかと考えるものであるが、いかがであろうか、あわせてお伺いする。
 第2は、開催会場を広く分散して、全県で取り組む方法とすべきと思うが、会場の持ち方等についてもお知らせ願う。
 第3は、イベント終了後の継続性が重要である。岩手からの食文化発信の継続性についてどうお考えかお伺いをする。

〇吉永副知事 本県は、広大な県土において、豊かな自然の恵みを受けて、委員御指摘のとおり、県内各地域に土産土法による多彩な食文化が培われているところである。こうした岩手の持っておる特色を全国に発信し、紹介していくという絶好の機会として全国食文化交流プラザを開催したい、そういうふうに位置づけたいと考えているところである。本県は、これまでにも農林水産物や県産品等、各分野ごとに積極的に本県の評価向上に努めているところであるが、今後はウルグァイ・ラウンドの合意の影響あるいは国内の産地間競争の一層の激化とか、そういった中でこうした競争に打ち勝っていくためにも、伝統食あるいは伝統工芸、委員が言われている、非常に自然に近い、そういう自然志向といったものの中で岩手をもう1回考えていく、売り込んでいく、そういったことを考えていきたいと思っておる。また、そういったものを生産から加工、流通まで、一貫した姿で全国に発信するということを考えておる。アピールポイントということであるけれども、アピールポイントあるいはセールスポイントといっておるのは、基本概念としては、自然に優る健康なし。新鮮に優る美味なしということをテーマにして、また、この開催テーマは、自然が育てた味覚王国岩手ということであるので、委員の御指摘のところは、こういうところには反映させていただいているかと思うわけである。
 また、地域連携については、委員のお話あった本県の食文化を奥羽山系、北上山系、県北、県南の4地域に分けるということであるが、これらの地域の食文化の特徴を行事の中では食の歳時記という1つのものでとらえて、日常の食事であるケの食、正月、節句、誕生、結婚等の行事食であるハレ食、ケとかハレという言葉はなかなか私にはわかりづらい言葉であるが、こういった2つの言葉をそれぞれ紹介しながら、地域食文化の連携を図り、多様化しているいろいろな消費者のニーズに対応した食文化の創造を提言していきたいと思っておる。
 会場であるが、中心的会場は盛岡市周辺とするが、一関地方のもち文化や遠野地方の民話と食文化など、県内数カ所にサテライト会場を設置して全県的な盛り上がりを図っていきたいと考えておる。
 委員御指摘のとおり、このイベントをイベント終了後継続させないというのはやはりまずいことであって、このイベントが一過性に終わることがないように、59市町村の食文化の再発見と定着化を図るという意味で、この食文化プラザを契機として、食の匠制度といったそういう制度あるいは食に関係した協議組織といったものを恒久的に設置するとかといったことを行って、食文化発信体制の整備を図っていきたいと考えているところである。

〇小原委員 もう1点ちょっとお伺いしたいのであるが、全国からかなり多くのお客さんが見えられる、このイベントは大変にぎわうというふうに伺っているわけであるけれども、そういう意味で、他県からおいでになる皆様方に対する観光面を含めた対応、そしてまた、この際、本県が有するすぐれた景観、観光地、こういったもののアピールも大変重要な要素になってくるのではないかと思うけれども、大体皆さん方何人ほどお見えになるとお考えか。

〇吉永副知事 なるべく多くの方に来ていただきたいということであるが、去年行われた高山の場合は、高山祭と一緒であったのでかなり大きな人数が来たわけであるが、私どもしては、少なくとも30万人ぐらいは来ていただきたいということで計画しているところである。
 それから、委員御指摘のあった、いろいろこの機会に食以外の観光とか、そういったものも当然ながら売り出してまいりたいと考えておる。

〇小原委員 次に、住宅金融専門会社、いわゆる住専処理に関する問題についてである。 政府は、巨大な不良債権を持つ住専処理等について、そのスキームを決定してまいった。もちろんこの問題処理の前提としては、私たちは、1、事実関係の徹底解明を図るため、住専各社の融資の実名開示など、可能な限りの情報開示、2、刑事責任を含め、借り手、貸し手、経営、行政、政治等、関係者の責任の明確化と徹底追及、3、回収体制の整備と徹底的回収及び財政支出分の国庫還元、4、このような事態を引き起こした金融システム並びに金融行政の徹底的見直しの4点を挙げてまいった。同時に、この処理策をこれ以上おくらせることは、金融不安の発生あるいは誘発、景気回復の後退要因となり、これまで投入した巨額の公共投資等の効果を失わせることになること、あるいは国際金融市場における信用問題波及などの厳しい認識を前提としてきたものである。幾ら時間がかかってもよいという、いわば無制限一本勝負とはいかない問題である。バブル経済については、我が党はその誤りについて厳しい指摘をしてきたものであり、その発生要因に何らかかわりを持ってきたものではない。しかし、歴代内閣はこの処理を避け、抜本的対策を講じないままにあり、昨年来、村山内閣の手によって、これ以上処理を引き延ばすことはできないとの危機感のもとに住専処理スキームを策定したものである。この処理方法をめぐって、公的資金投入はいけない、破産法等現行法の適用によって処理すべしとの意見、一方、景気低迷と金融不安の防止から一刻も早い処理が必要であるとの意見に二分化されているのが現状かと思う。
 さて、本県においては、この問題に関し、直接的影響としては、県信連、県共済連を含めた農林系金融機関から住専への融資額が焦げついている点にある。このことは、最終的には県内農家にその影響が及びかねないことを意味してもおる。さらに申し上げれば、破産法適用によった場合は、農林系金融機関は約2兆7、000億円を負担することになるとも言われており、もしそうなったとすれば、農協の経営を根底から揺さぶる問題に発展することになりかねない。県内経済にも深刻な打撃となって影響するものと思われる。
 そこで県は、こうした緊急的事態の中で、県信連、県共済連等とどのような話し合いを持たれているのか、この際、明らかにしていただきたいと思う。

〇吉永副知事 国の住専処理策をめぐっては、当県の議会が議決された意見書にあるようなポイントを中心として国政の場で十分論議が尽くされ、広く国民の理解が得られるような適切でかつ迅速な処理が図られるべきと考えているところである。県信連、県共済連に対する指導監督は国が行っておって、県が直接的に指導する立場にはない。しかし、県が育成、指導監督しておる農協あるいは組合員農家に与える影響、ひいては当県の基幹産業である農業の重要性にかんがみて、県信連等から適宜その考え方は聴取してきているところである。それによると、県信連等が申すところは、今、国会で審議されている住専処理法案が決定された場合にはその範囲内で協力することとしているが、資金贈与協力に伴う負担額を今年度決算で一括処理した場合でも赤字決算にはならず、農協や組合員農家に直接影響を及ぼすことはないと、そういったことを言っておる。

〇小原委員 先ほど副知事がおっしゃった県信連等の認識というのは、これは政府の、今、考えて決定されているスキームを前提にしているわけであって、そのスキームが崩れた場合にどうなるか。これはもちろん予測をして対応するということでは決してないと思うけれども、しかし、その認識の前提は、今、政府が出しておられる解決のためのスキーム、これが前提にあるということだけは確かだろうと思うわけである。いずれにしても、極めて緊急でかつ重要な課題であるので、直接の指導の立場にないとは言いながらも県も立場は極めて重要であるから、今後十分よろしくお願い申し上げたいと思う。
 次に、大型負債を持つ農家の救済対策についてお伺いする。
 私どもはかつて、県内農家が大型負債を抱えて大変困難な状況にあったことから、何班かに分かれて実態調査を実施し、県当局に対して改善策を求めたことがある。県当局には真剣な対応をしていただいたと記憶しておる。
 さて、ガット・ウルグァイ・ラウンド農業合意後の国内対策として1995年から2000年までの6年間に6兆100億円を投入し、基礎食糧の安全、安定供給、農業生産の振興による国内自給政策を堅持し、農業者、国民の不安にこたえていくとしてきたところである。この対策の1つとして、農家負担軽減支援のための特別対策が設けられたが、この利用実態はどうなっているのか。もしこの事業の活用に当たって有効的でない面があるとすれば、制度的にどのような不足があるとお考えかお伺いをする。負担農家の実情と今後の対応策についてもあわせてお伺いをする。
 なお、県の新年度予算におけるウルグァイ・ラウンド合意関連対策事業はどのように配置されているのか、予算総額と主な事業についてもあわせてお伺いをする。

〇吉永副知事 まず、大型負債農家の救済対策についてであるが、農家の負債対策としては、これまで昭和54年度に創設した自作農維持資金の再建整備資金、平成6年度に創設した農業経営基盤強化資金の両資金を中心に進めてきたわけであるが、委員が御指摘になったとおり、平成7年度、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策として、営農負債であれば固定化といったことに関係なく借りかえができる、あるいは貸付金利が5・0%を超える、そういう制度資金も借りかえできる、あるいは貸付限度額がないことなど、かつてない借りやすい農家負担軽減支援特別資金が創設されたわけである。それと同時に、先ほど述べた両資金の限度額の引き上げも行われたわけである。本年度の3資金の利用状況は、3月までの見込み額を含めて、自作農維持資金は1件、2、200万円、農業経営基盤強化資金のうち負債関連は約4億円で、従来型のは割と少ないわけであるが、この平成7年度に創設された農家負担軽減支援特別資金は104件、約23億円といった状況で、合計28億円程度と見込んでいるところである。負債を抱えた農家は、これらの資金を有効に活用することにより負担軽減が図られるものと理解しておるが、担保や保証人の設定が困難な農家もあることから、担保、保証人の徴求については、借入者の経営実績あるいは意欲といったものを勘案し、余り形式的なことをやらないよう、借入者の立場に立った弾力的な運用を指導するとともに、農業信用基金協会への債務保証制度を活用して貸し付けが受けられるよう、保証基盤の強化を図るために平成8年度の当初予算案に出資金の増額を計上しているところである。県としては、農家負債問題の解消のために、昭和49年度以降平成6年度末までに各種の負債整理資金により、延べ1万1、214件、510億円の融通対策を実施してきたところであるが、今後の負債対策の中核になると思われる農家負担軽減支援特別資金について調査したところ、現状においても今後160億円程度の借り入れ希望があるということ、これが逆に委員の言われている農家負債の実態といったものを現状においてあらわしているものではないかと考える。今後とも、こういった融資枠の確保、この融資枠がないと借り入れ希望が満たせないので、融資枠の確保に努めるとともに、農家負担軽減資金特別資金の融通に当たっては、融資機関に設置されておる特別指導員や指導班の活動を通じて、借入者の経営改善が確実に達成されるよう強く指導していくつもりである。
 次に、ウルグァイ・ラウンド合意関連対策事業であるが、ウルグァイ・ラウンド合意関連対策事業については、当初予算で64事業、予算額にして約63億500万円を盛り込んでいるところである。主な事業としては、公共事業関係では、担い手育成基盤整備事業等の圃場整備事業、農道整備事業などあわせて8事業、予算額31億9、900万円、また、非公共では、新いわて農業再編総合対策事業、米の安定生産体制確立推進事業、大規模野菜畑転換推進条件整備モデル事業、山間地域農業活性化特別対策事業などあわせて56事業で、予算額は約31億600万円となっておる。こうしたことによって、6年度2月補正予算以降、これまでのウルグァイ・ラウンド合意関連対策予算の総額は約543億9、500万円となっているものである。

〇小原委員 次に、水資源対策と、それに関連する問題についてお伺いをする。
 私たちは、快適な生活を送るためには、生活用水の確保や新たな水利用に対応するために、ダム建設を含む総合的な対策が必要と思われる。その中には、緑のダムと言われる森林機能の充実による水源涵養も含まれると思うが、いずれにしても、河川水量の確保を中心として、地域住民に安定的に水供給を図ることは本県にとっても重要な課題であると思う。ついては、本県における総合的な水資源対策についてお伺いをする。
 関連をして、昨年11月、北上選挙区選出の県議会議員である同僚菊池勲委員、そして高橋賢輔委員と私の3人が呼びかけ人となり、和賀川に感謝をする集いを開催した。湯田ダムができて30年の節目に当たること、河川法施行100年目を迎えることに機会を得て実施したものである。このときの集いに際しては、藤本土木部次長に県を代表しておいでいただいたことに今さらながら感謝をしておる。もちろん建設省本省、東北地建、岩手工事事務所、ダム統管がおそろいであった。その際に、特に湯田ダム水没移転者を含む湯田町民から出された意見は、まことに深刻なものであった。まず、水没移転者からは、初めて移転者に対して感謝された。なぜ国や関係者は我々に対して30年もの間感謝の気持ちをあらわしてくれなかったのかという痛烈な意見。これには、当時の地権者で、既にお亡くなりになっている方が多いことも意味していると思う。そして、湯田町の住民からは、このダムは湯田町に何の利益をもたらしたのか。ダム湖を利用して観光で栄え、湯田町は大いに発展すると言われ、バラ色の夢を追ってダム建設に協力してきた。しかし、現状はどうか。御所湖も田瀬湖も観光利用に役立っているのに、錦秋湖は、水位の落差が激しく湖面利用ができず、夏場には蚊やブヨが大量発生する。加えて外来種の雑草で通称ブタクサという草の花粉に悩まされるなどなど、さんざんな意見であった。
 そこでお伺いするのであるが、湯田ダムに景観保全の意味を込めて第2ダムをつくってほしいとの要望がある。このことについて、県はどうお考えになっておられるであろうか。また、この第2ダム建設について、国はどう対処しようとしておられるのかお知らせをいただきたいと思う。

〇小野寺企画調整部長 まず、総合的な水資源対策についてであるが、本県においては、昭和54年であるが、平成7年を目標年度とした水資源需給計画を策定して、ダム開発等、所要の水資源開発を進めてきたところである。本県の水利用の現状を申し上げると、生活用水、工業用水及び農業用水、この3つの用水の合計の需要量は、平成5年度において29億6、000万立方メートル、簡単にトンと言うが、29億6、000万トンとなっておって、平成6年のような異常に雨の少ない年においては一部では水不足が生じたけれども、全体として見た場合、これまで需要と供給のバランスはおおむね保たれてきていると、このように承知しておる。しかし、近年、工業用水や農業用水、これはおおむね横ばい傾向にはあるけれども、生活用水については、生活水準の向上、それに伴う水使用機器の普及あるいはデパートなどの人の集まるところなどを中心として、その需要が大きく増大してきておる。そしてまた、もう一方では、人々の快適で良好な水辺環境への関心も高まってきておる。そしてまた、全国的に見た場合、降水量の減少傾向が見られるなど、水資源を取り巻く環境が変わってきておる。そのような水資源を取り巻く環境の変化というのが1つあるし、もう一方では、冒頭申し上げた現行の水資源需給計画が平成7年をもって終了することになっておる。このために、平成5年を基準年次として平成12年を中間年次、そして目標を平成22年に置いた新たな水需給計画を策定することとし、今月中に策定することを目途に、目下、最後の詰めを行っている段階である。この新しい計画においては、基本目標を清らかな水の里岩手の創造ということでそこに置いて、施策の基本方向を、1つは、総合的な水資源対策の推進、それから2つ目は、ダム等を主体とする安定的な水資源の開発、それから3点目は、森林中山間地域等の農地など、水源地域の水質の保全などにより良質な水資源の創造と保全、そして4点目であるが、水を活用した潤いのある地域づくりを目指す豊かな社会をつくる水の活用、この4点において施策を総合的に推進することとしているところである。と同時に、水は循環しながらも限りある資源であるので、県民に対しても節水意識の高揚を図るなどして、その合理的な利用を促しながら、21世紀においても豊かで清らかな水に恵まれた岩手の形成、これを目指してまいりたいと、このように考えておる。

〇吉永副知事 湯田第二ダムの建設の部分についてお答えする。
 湯田ダムは、国の直轄事業により昭和28年に着工し、昭和41年に完成した多目的ダムであるが、洪水調節容量の確保あるいはかんがい用水の使用ということで、夏場には著しく水位が低下するということから、上流の川尻地区等で、委員御指摘のようなさまざまな環境問題が発生しているということである。そこで、湯田町は国に対してその対策として第二ダムの建設を強く要望してきたところである。県としても、町とともにその実現に向けて国に対していろんな場で要望してまいったところであるが、国は湯田ダムが抱えておる課題については十分な理解を示しており、ダムの機能を損なうことがないような、第二ダムの建設に向けて検討を進めていると聞いているところである。

〇小原委員 ダム建設に当たっては、先発部隊といおうか、30年代、それと後発部隊ということではかなり周囲の環境というものに対する認識、これが違っているわけである。そういう点で、当初建設をされたダムというのは、ダムサイトといおうか、水をためると、そしてそれを供給するんだというところにとどまっておったわけであり、後発部隊との間で格差が出ているというのが現状である。そういう意味で、地元が要望いたしておるような、そうした景観に配意することについて特段の御努力を県にもお願いを申し上げて、私の質問を終わる。

〇菊池(勲)委員 昨年の厳しい統一選挙で2期目の当選をさせていただき、そして今回は平成8年度予算特別委員会で、我が県民クラブから温かい御理解のもとに総括の質問の機会を与えていただいたことに衷心から感謝を申し上げ、順次通告のとおり質問をさせていただく。
 まず、平成8年度予算編成に係る基金の活用についてお伺いする。
 平成8年度一般会計当初予算における県債は1、222億8、700万円であり、対前年6月現計予算に比し15・4%増、予算に占める割合は15・2%とかつてない規模となっておる。一方、当初予算における主な基金の取り崩しの状況を見ると、財政調整基金が10億円、県債管理基金が140億円、公共施設等整備基金が160億円となっておる。御案内のとおり、各種基金は、その設置目的に沿って年度間の財源調整や社会資本の計画的整備など重要な機能を果たしており、ある程度の額は保有すべきものと考えるものであるが、近年の県債発行の増加に伴い、平成8年度末の一般会計地方債現在高見込額が7、782億円余と、ほぼ県予算に匹敵する額となっておる状況を考えた場合に、県債の発行は極力抑制し、可能な限り基金の活用によって財源の確保を図っていく必要があるのではないかと思うのである。そこで、本県の基金の規模、他県との比較などからどのようにとらえ、また、今後の基金活用方針についてどのような考えをお持ちかをお伺いする。

〇上田総務部長 財源調整のための基金の規模について、現状というか平成7年度末の見込みの現在高を申し上げると、財政調整基金については本県の場合64億9、700万円、それから県債管理基金が953億7、800万円、公共施設等整備基金が426億5、400万円、これら3基金をあわせると1、445億2、900万円と相なっており、これを東北各県の同種の基金の状況と比較すると、東北各県の平均が1、210億3、600万円となっており、単純にこの東北6県の順番で言うと、本県の場合は多い方から2番目となっておる。それから標準財政規模、これは地方公共団体の一般財源の標準的な規模であるが、これに対する基金残高の割合という点で見ると本県の場合は40・6%となっており、東北平均が33・8%であるが、これを順番で見ると3番目という実態にある。大体中位という状況かと認識しておる。この基金の活用の方法であるけれども、まず財政調整基金については、これは一般的な年度間の財源調整という観点に立ち、その年々の財政需要、財源の状況によって、財政の長期的な健全性にも留意しながらこの活用を図ってまいりたいと考えておる。
 それから県債管理基金については、県債の償還に必要な財源をあらかじめ確保して県債の適正な管理を行うために設置されており、この多くの部分については、しばらく前であるけれども、国の財源措置の中で、さらにその前に発行しておった財源対策債等の償還に備えるための基金費として、地方交付税の財源対策債等償還基金費というのが措置されておりこれを積み立ててきておるわけなので、これを原則として、かつて発行した財源対策債の償還時に合わせて、交付税で措置されたと想定された額に合わせて、これを取り崩していくというのが基本的な活用の仕方になると考えておる。
 それから公共施設等整備基金については、これは種々の公共施設の整備のための財源であり、今後主なもので申すと県立大学等について起債等も使うけれども、当然一般財源が必要になるので、こういう場合にはこれを活用してまいりたいと考えておるところである。

〇菊池(勲)委員 次に、現在、国会で論議されている住専処理問題と農協系統組織の再編整備に関連をしてお伺いをする。
 この処理策は、住専の設立母体である銀行等の母体行が責任を持って対処すべきと思うが、農林系金融機関が主張してきた経過から考えると、我が国の金融システムを維持するための苦渋の選択であったとはいえ、農林系金融機関の経営への影響いかんでは、農林系金融機関の存立そのものが重大な危機に立たされているのではないかと懸念するものである。このため、既に全国段階では農林中金と各県信連との合併など、農協系統組織の思い切った再編が必至であると伝えられておる。県内でも、住専問題が表面化する以前から、農協の広域合併の動きが各地で出ておったが、このたびの住専処理問題が今後の再編計画にどのような影響を及ぼすと考えているのかをお伺いする。

〇吉永副知事 住専問題などを契機として、国においては農政審議会の場で本年2月農協部会が設置され、農協事業や組織の再編について論議が行われているところである。また、全国農協中央会では、ことし1月にJA改革本部を設置し、農協の経営の合理化の徹底と事業、組織の改革を図るための論議を重ねているところである。本県の農協の合併は、平成2年1月に農協系統組織が中心になって、岩手県農協合併構想を策定し、21世紀までに12農協体制を実現することとされておる。この構想のもとで、平成6年3月には、遠野地方農協が合併により設立されたほか、平成9年3月には岩手地区、東磐井地区及び下閉伊地区の合併が予定され、さらに平成10年3月には西磐井地区の合併が予定されておる。ほかの地区についても、合併に向けての研究会あるいは組合長会議等で話し合いといったものが進められ、ほぼ県内全域で具体的な検討が行われているところである。県内では、住専問題が表面化する以前から農協合併というものに取り組んでおるわけであるが、今回の住専処理問題を契機として、農協系統組織の再編は一段と加速され、県内の農協合併も一層進むものと考えられる。県としても、円滑に合併が進むよう支援、指導を強めてまいりたいと考えておる。

〇菊池(勲)委員 細かいことは機会あるごとにお尋ねをしてまいるけれども、住専問題はその程度にさせていただく。
 次に、高齢者の地域活動についてお伺いをする。
 現在、我が国においては、平均寿命の伸長、出生率の低下等を背景に急速に高齢化が進展しており、21世紀初頭には全人口の5人に1人が65歳以上、労働力人口の約4人に1人が55歳以上となる超高齢化社会が到来することが見込まれておる。このような中で、地域連帯感の保持や社会の活力の維持を図り、また、人生80年代を迎える高齢者の1人1人が、できる限り健康で生きがいを持った生活を送られるようにするためには、従来にも増して、高齢者が地域のさまざまな活動などに積極的に参画することが極めて重要であると考えるものである。私は、高齢者が地域活動を通じて、その長い人生において培ってきた種々の知識や経験などを生かすことは、単に個々人の楽しみという範囲を超えて、連帯感のある地域づくりにも結びつくものと思うからである。本県では、これまで高齢者の生きがい対策を種々推進してこられたが、この高齢者の地域活動を推進するためにどのような支援策を講じようとされているのかをお伺いする。

〇千葉副知事 高齢者の地域活動を促進するため、活動リーダーの養成を目的として、岩手高齢者大学やシルバー洋上セミナーの事業を実施してまいった。また、家庭介護者の集いやひとり暮らし老人の交流の場を設けるなどの支援事業を実施してきたところである。また、公共施設の清掃活動などを展開する老人クラブへの助成とともに、高齢者保健福祉基金によるシルバー観光ガイドなどの民間地域活動に対する助成も行ってきておる。また、平成8年度からは、高齢者の1人1人がその能力と創造力を発揮しながら、生きがい就労や伝統工芸品の創作などの活動により、地域づくりに参加する高齢者地域活動促進センターの設置を促進することとしておる。高齢者による地域生活の支援活動として、ひとり暮らし老人や高齢者世帯を地域の高齢者がチームを編成して見守り、活動を行うシルバーメイト事業などの高齢者地域生活支援事業を実施しているところである。これらの活動を通じて、高齢者が生きがいの高揚を図りながら、地域において活躍できる機会の拡大を図っていくこととしているところである。

〇菊池(勲)委員 次に、高齢者等に対するリハビリテーションについてお伺いをする。 高齢社会の中にあって、寝たきりと痴呆と失禁の3つが、国民の老後の不安であると言われておる。特にも、高齢者の中には、脳卒中や骨折などの後遺症による障害を持ちながらも適切な支援を得られないために寝たきりとなり、介護を必要とする状態になる方が少なくない。高齢者が寝たきりの状態になると、本人の生活の質が著しく損なわれるばかりではなく、その介護に当たる家族などにも大きな負担がかかることから、このような家庭の介護疲れといった話もよく耳にすることがある。我が国では従来から、高齢者にとって、寝たきりは避けがたいという認識が一般的にもあったようであるが、寝たきりのかなりの部分は、適切な訓練と介護により予防することが可能であると言われているところである。したがって、高齢者が一たん脳卒中などの後遺症によって障害を持った場合でも、適切なリハビリを施すことによりその機能の回復と向上に努めていくことが、寝たきりの防止を図る上で極めて重要であると認識しているところである。高齢者の方々が住みなれた地域社会において、適切なリハビリテーションが受けられる体制を整備していくことが必要であると考えているところである。
 そこでお伺いするが、県はこのような地域におけるリハビリテーション体制づくりについてどのような支援を行っていくお考えなのであろうか。また、寝たきりの予防のためにリハビリテーションの重要性やその知識と技術について、障害のある高齢者やその家族はもとより、広く県民に普及啓発を行っていく必要があると考えるが、いかがであろうか。

〇千葉副知事 地域における高齢者等に対するリハビリテーションであるけれども、医療機関あるいは施設に入院している方々は、それらの施設においてそれぞれの機能に応じたリハビリテーションが実施されているところである。また、在宅の方については、医療施設あるいはデイサービスセンターにおけるデイケアあるいはデイサービスとして実施されておるし、また市町村においては、老人保健法に基づく機能訓練事業として実施されているところである。また、リハビリテーション等の各種保健、医療、福祉サービスの調整等を行う在宅介護支援センターの整備を現在進めているところである。また、県においては、先ほど委員から御指摘あったけれども、適切なリハビリ等の実施により、寝たきりは予防できることについての普及啓発活動を行っておる。また、退院患者が円滑にリハビリなどのサービスが受けられるよう、保健所を仲立ちとして脳卒中の情報システムによる情報提供を行っておるところである。さらに、県では平成5年度に雫石町内にいわてリハビリテーションセンターを整備したところであるけれども、ここで最新で高度なリハビリテーションを実施しているところである。また、地域におけるリハビリテーション活動への支援として、市町村が実施する機能訓練事業に対する理学療法士、作業療法士の派遣による機能訓練の具体的な指導、あるいは保健婦、社会福祉施設職員、家庭奉仕員等に対する研修会等の開催による人材育成あるいは各種の情報提供を行っておる。また、今後は、市町村、医師会等との関係との連携を一層強化しながら、いわてリハビリテーションセンターにおける地域支援活動の施策を積極的に推進するほか、県民に対してリハビリテーションに関する講座のテレビ放送やビデオの作成など、各種の普及啓発活動を実施してまいりたいと考えておる。

〇菊池(勲)委員 次に、高齢者の就業対策についてお伺いする。
 本格的な高齢化社会を迎えようとしている本県は、高年齢者の雇用、就業の場の確保を図っていくことが県政の大きな課題であろうと思う。本県における定年状況は、60歳定年制を定める企業が実施予定を含めて95・3%となっていると伺っておる。高年齢者の現状を見れば、60歳を超えてもまだまだ働ける体力を持っている方がたくさんいらっしゃるし、また、目下の少子化傾向からしても高年齢者の経験、技能を生かして働いていただく必要があろうと思うのである。もちろん、そのためには、職場環境の整備や制度面での支援が必要であると思う。ついては、60歳から65歳までの高年齢者の方々の雇用の場の確保、さらには引退過程にある60歳代後半の確保をどのように図っていくかをお伺いする。

〇吉永副知事 高年齢者の就業対策についてであるが、委員御指摘のとおり、60歳以上定年企業というのは、現在予定まで含めたところ95・3%であり、平成10年4月1日から60歳定年制が義務化されるということを踏まえた状況が生まれつつあると思うわけである。私どもとしては、この60歳定年制にとどまらず、それを65歳までの継続雇用制度の普及ということを推進しているところである。残念ながら、その水準というのはまだ満足できる水準にはないわけである。県としては、雇用保険の雇用継続給付制度の活用あるいは来年度から実施を予定しておる地域中高年齢者雇用支援事業並びに財団法人岩手県雇用開発協会といったものの各種助成措置等により、何とか65歳までの継続雇用の推進といったことに今後とも積極的に取り組んでまいる考えである。また、60歳代後半の高年齢者の就業について、就業を希望する高年齢者に対して、希望の仕事を地域において組織的に把握し提供するシルバー人材センターが現在県内に13カ所設立、運営されているところである。この事業については、県下全域をカバーできるような連合体組織の設立を内容とする法改正が今国会において見込まれておるので、本県としてはこれを受けて組織化するとともに、シルバー人材センター事業の充実を図って、その就労の機会を確保してまいりたいと考えているところである。

〇菊池(勲)委員 次に、地域活性化事業調整費についてお伺いする。
 地域活性化事業調整費は、御案内のとおり、昭和61年度に地方振興局が発足したことに伴い、地方振興局が独自に運用できる予算として創設されたものである。以来10年が経過し、この間2、346事業に総額33億5、000万円が活用され、地域おこしや特産品開発などに大きな成果を上げてきたところである。地域に最も密着した予算として、市町村から大変歓迎されてきたところである。新年度予算では、これまでの総額3億5、000万円の年間予算を7億円に倍増し、うち2億円が複数の市町村で取り組む広域的事業に充てる別枠として提案されているところである。このことは、地方振興局の権限強化と地域連携を強調する知事の姿勢のあらわれとして高く評価しているところである。しかしながら、地方分権の時代に向け、ますます多様化する地域のニーズに対応した個性的な施策を長期的視点に立ち地域の活性化に結びつけていくためには、今回の増額だけでは十分とは言えないと考えているところである。この1月に策定された県の行政改革大綱では、地方振興局の拠点性、総合性強化を打ち出し、保健所、土木事務所を振興局に統合し、権限を大幅に移譲する方針が示されているところである。ついては、地方振興局と保健所、土木事務所との統合とあわせて地方振興局の一層の充実強化を図るため、地域活性化事業調整費をさらに増額する必要があると思うが、そのお考えがあるかをお伺いする。また、地域の特性を踏まえた地域振興を図る上から、補助率の見直しや事業が十分推進できるように、必要に応じて継続して事業に活用できるようにするなどの改善の余地があると考えるがいかがであろうか、あわせてお伺いする。

〇上田総務部長 地域活性化事業調整費については、地方振興局管内で行われる事業間の調整あるいは補完を行うとともに、地域振興施策の支援、誘導を目的として創設し、これまでの10年間御案内のとおりであるが、それなりの効果を上げてきたものと考えているところである。平成8年度においては、これは知事の申し上げておる地方振興局の充実強化という方針の一環であるけれども、振興局の連絡調整機能の強化あるいは地域の一層の活性化を図るために、市町村のニーズあるいは従来、局からの要望も踏まえて7億円に倍増したところであり、このことは十分に意味があるものと考えているところである。運用面であるけれども、これまでにもそれぞれの時期に補助率とかあるいは1件限度額の改定とか図ってきておるが、平成8年度の場合には例えば限度額で申し上げると、従来は1件当たりハード1、000万、ソフト500万ということであるけれども、8年度についてはそれぞれ地方振興局長が基準を定めていただきたいと。数の多いところであれば限度額は低くなるかもしれないし、あるいは重点的にやろうと思う場合には、限度を高くするという場合もこれは局長の判断でやっていただきたいと考えておるし、また、補助率についても、7年度まではハードを3分の1以内、ソフト2分の1以内とあったけれども、ハード2分の1以内、ソフト3分の2以内ということで、これもその範囲内において局長において定めていただきたいというふうに局長の判断権限を重く、重くというか大きくしているわけである。それから、継続運用については、平成4年度から一応認めるという仕組みになっているところである。こういった額の改定とともに、運用方法の改定も行っているところであるのでもっとふやしたらどうかという御提案であるが、もちろん、今後、地方振興局の充実強化ということを図っていくことは重要であると認識しておるが、まずはとりあえず、今回新たに設けた広域連携枠の運用あるいは各振興局長の運用、こういった状況を見ながら適切に対処してまいりたいと存ずる。

〇菊池(勲)委員 大変前向きな答弁まことにありがたいけれども、マスコミの報道を仄聞すると、上田総務部長はこの3月でお戻りになるという話を聞いておるので、平成8年度は7年度に比較して倍増された予算を組んでいただいたけれども、各振興局地域の市町村の要望を聞くと、過去にふるさと創生事業として全国一律1億円という事業を行った記憶を新たに戻すと、岩手県の地方振興局にもそのような形の支援策はないのかという話もあるところから聞いてきたわけであるけれども、部長はお戻りになるのが間近であるから、当然、今答弁して、そうとはなかなかうまくいかないだろうけれども、後の方に引き継ぎをする意味で、そんな気持ちがもしあったとするならばお聞かせ願えれば大変ありがたいと思う。

〇上田総務部長 人事との関係で答弁をするというわけにはまいらないところであるが、地方振興局の充実強化というのはこれは何もただいま現在の総務部がどうこうということではなくて、これは知事の確たる方針である。したがって、地方振興局がより柔軟にその地域における仕事を処理しあるいは推進していくために、必要なツールを与えるということについてはこれは変わらない一貫した方針であるので、この当該事業の予算の額についてはこれはちょっとこの場でいかんとも申し上げかねるけれども、そういう方針についてはこれは県庁というか岩手県の方針であると御理解をいただきたいと存ずる。

〇菊池(勲)委員 大変いい答弁であったと褒めたいところであるけれども、時間もないところであるからありがたい。
 次に、県立大学の整備に関してお伺いをする。
 県立大学整備に関する基本構想が策定されて1年を経過したところであるが、この間、県ではこの構想のもとに、学部ごとのカリキュラムの作成や教員確保など、教育研究の充実に関する事項や施設関係の整備など、平成10年4月の開学に向けて各般の準備事務に鋭意取り組まれているところであり、これまでの関係者の御努力を多とするところである。県立大学の整備は進学機会の拡充を図るとともに、間近に迫った21世紀の本県の発展を支える深い知識と高度な専門知識を身につけたすぐれた人材の育成を目指すものであり、県民の1人として大きな期待を持ってその開学を待ち望んでいるところである。
 さて、新たに設置される県立大学は、社会的要請の高い看護、社会福祉、ソフトウエア情報及び総合政策の4つの学部に短期大学部を併設することとなっておるが、これは平成元年以降設置された公立大学の中では最も大きな規模になるところである。また、コンピューターシステムを初め、各学部とも最新の教育研究に対応できる施設、設備を整備する計画と聞いておる。したがって、県立大学を整備するためには、相当の経費を要するものと思われるが、県立大学の整備に要する総事業費としてどの程度見込んでおられるか、また、県立大学には多くの教職員が配置されるであろうし、設備関係のランニングコストも多額になると思われるが、開学後の管理運営に要する経費はどの程度見込まれているのかをあわせてお伺いする。

〇上田総務部長 県立大学の整備に要する経費についてであるが、現在、滝沢村の旧畜産試験場地の跡地を用地造成しておる。この用地造成関係については、もう発注もしておるし経費は20億6、700万円である。今後、建設工事に入るわけであるが、今回予算に一部計上しあるいは債務負担行為等をお願いしておるわけであるけれども、校舎等の建築関係それから敷地内の外構とか植栽、こういった部分に対する経費については、現在の見積もりは368億5、800万円、これだけ見込んでおる。このほか、新しい大学であるから、先ほどおっしゃったとおりコンピューターシステムとかあるいは教材、教具、備品、図書、こういったものがあるので、これはまだ査定しておらないので具体の数字はちょっと申し上げかねるけれども、10億単位の金が当然かかってくると思うので、これらあわせると大体400億円台の半ばぐらいの経費がキャンパスの関係でかかると見込んでいるところである。この財源について当然地方債導入を予定しており、今年度も先ほど申し上げたとおり地域総合整備事業債14億見ておるが、この交付税は償還つきの地総債というか、看護系、福祉系についてはこういう措置があるので、こういう起債を今のところ少なくとも100億円は充て込んでいきたいと考えておる。また、8年度から新しい制度が認められると見込まれておるが、臨時基盤整備事業債という、また、これ別途の交付税措置つきの起債が恐らく充当できるのではないかと見ておるので、こういった起債もできる限り活用を図ってまいりたいと考えておる。
 それから、運営経費であるが、こちらの方も現在国の方とも教員の数であるとかいろいろ詳細の詰めの過程であり確たることは申し上げかねるけれども、極めて大ざっぱな試算として、例えば教職員数をおおむね300人程度、それから教員の研究費を国立大学に準ずる、それから授業料は国立大学に準ずる、こういったような非常に大ざっぱな前提でいろいろな経費の試算をすると、経費については平年度ベース、すなわち1年生から順番に学生がふえてくるから、開学4年後の平成13年度の平年度ベースで、年間で大体50ないし60億円程度かかるのではないか。一方、今言ったような授業料等の収入がざっと10億円程度見込まれること等、それから公立大学の運営に対する交付税措置として、これは学生1人当たり幾らということで密度補正というか、要するに実際にいる学生の数に応じて交付税の需要が追加参入される、こういう措置があり、これによって15億円程度の交付税措置が考えられる、こういった歳入増要因が25億円程度ある。それから、現在、既に県では盛岡短期大学及び宮古短期大学を持っており、これらの運営経費がざっと10億円程度であるから、こうしたところから差し引き計算すると、現在の短大のみの経営の場合と比較して、純粋に県負担として増加すると見込まれるのが大体15億ないし25億、このくらいが見込まれると推計をしておる。

〇菊池(勲)委員 時間もないので、通告の順番が多少変更されるのでよろしくお願いしたいと思う。
 次に、青少年育成指導者海外派遣事業についてお伺いする。
 これからの21世紀は、本格的な少子・高齢化社会の到来、ライフスタイルの多様化や地球規模での国際交流の活発化、産業構造の変化などが進み、さまざまな既存の仕組みの見直しが行われるなど、大きな変革の時代と考えているところである。こうした中で、次代を担う青少年が心身ともに健やかにたくましく成長することは県民すべての願いであり、また、青少年をこのように育成することが私たち県民すべての責務である。そのためには、さまざまな参加体験活動を通して青少年のたくましさを培うとともに、個々を自立し、多様な人々とともに生きていくためには、豊かな感性をはぐくむことが重要であると考えるものである。これからは、1人1人の個性が尊重され、個々の多様性が認められる社会を形成していくことが大切と考えるものであり、青少年に地域社会のさまざまな活動への積極的な参加を促し、その中で実際に体験することによって、みずから社会を構成する主体者としての自覚をはぐくむとともに、社会生活を営む上で必要な規範やルールを身につけていく体験学習が重要であると考える。この青少年のさまざまな参加、体験活動や青少年団体活動などを展開していくためには、これらを支える豊かな人間性と専門的な知識や技術を持ったすぐれた指導者が不可欠であると考えるものである。
 そこで、新たに青少年育成指導者を対象とした海外派遣事業を実施するようであるが、その内容についてをお聞かせ願いたいと思う。

〇小野寺企画調整部長 青少年育成指導者の海外派遣事業についてであるが、現在、県内の各地域においてボランティア活動であるとかレクリエーションあるいは野外活動、さらには郷土芸能の伝承などに青少年育成の指導者として地道に活躍していらっしゃる方がたくさんいらっしゃる。今後、青少年の健全育成、これは今委員のお話もあったけれども、健全な青少年の育成への要請は一層高まってくる中で、家庭、学校、地域、それぞれがあるいはそれが連携を強化しながら一体となって取り組むことが肝要であると、このように考えており、この意味からも、青少年指導者への期待が大きいものがあるわけである。このため、地域に根差した活動をしている指導者を海外に派遣し研修を実施することにより、知識や指導技術の向上を図るとともに、豊かな人間性のもとで国際化時代にふさわしい指導者として今後青少年を育成していただくことを目的として、平成8年度から新規事業としてこの事業を行おうとするものである。
 事業の概要を申し上げると、まず派遣する指導者は、積極的に青少年指導に取り組んでいらっしゃる方を毎年10人程度、それから派遣期間は10日間程度、それから訪問国は青少年の育成に長い歴史と伝統を持っておるイギリス、ドイツ、フランスを予定しており、その費用であるが、参加経費の2分の1程度を県費として支援したい、このように考えておる。
 研修内容としては、それぞれの訪問国における青少年に関する施策あるいは青少年団体に対する指導状況の調査、あるいは指導者の養成機関、そしてまた青少年育成施設の視察、そしてまた実際にその青少年を指導している家庭へのホームスティ、そういったことを通じて、いろいろの角度から研修を重ねていただくことを期待しているものである。詳細については、今後、関係者と十分に詰めた上で実効性のあるものにしていきたいと、このように考えておる次第である。

〇菊池(勲)委員 次に、現在整備が進められている農業研究センター(仮称)における試験研究の基本方針についてをお伺いする。
 農業研究センターの整備については、予定地の近くの高速道路を通るたびに、本館建物の建築工事や圃場の造成工事が着実に進行している様子から順調に進められていると推察され、平成9年開所に向けて完成が今から心待たれる思いがいたしておる。
 さて、この研究センターは、21世紀に向けた本県農業の先導役として、大変重要な役割を担う機関として再編整備が進められておるところであるが、そうした観点から、新たな研究センターが取り組む研究の方向について各方面から注目されていると思う。試験研究は、これまでの研究蓄積に立脚しながらも、中長期的な展望のもとに、間違いのない方向を定めることが大変重要なことと思うのである。
 そこでお伺いをするが、新たな研究センターが取り組もうとしている研究の基本方向をどのように考え、また、どのように具体的な課題を設定しようとしているのかをお聞かせ願いたいと思う。

〇吉永副知事 農業研究センター(仮称)では、本県の立地特性を生かしながら新たな国際環境に対応し、持続的な展開が可能となる農業を構築するため、時代を先取りした試験研究を進めることといたしておる。そのため、(仮称)農業研究センターの試験研究推進にかかわる基本骨子を本年2月に策定し、その中で研究センターにおける試験研究の基本方向及び推進方向を取りまとめたところである。その内容であるが、まず1つは、遺伝子組みかえなどバイオテクノロジーを活用した独自品種の開発、あるいは家畜改良の推進ということである。2つ目は、自動化、システム化技術など先端技術の活用による超省力、低コスト生産技術の開発、第3は、環境保全に配慮し天敵生物あるいは有用微生物などの生態系を活用した持続型──環境を破壊しないという意味であるが──持続型の生産技術の開発、第4は、健康、安全、鮮度、風味にすぐれた農畜産物の流通加工技術の開発、第5は、洪水防止、緑空間の保健休養機能など、農村地域の持つ多面的な機能の維持向上に配慮した農業、農村基盤の総合的整備、管理手法、そういった面でのソフト面の開発、第6、これはコンピューターの利用による生産、経営、販売等の管理システムの開発といったようなものである。また、こうした基本方向から推進するものとしては、水田利用、畑地利用、野菜、花卉など20のそれぞれの研究部門ごとに研究目標、具体的には遺伝子組みかえによるいもち耐病性水稲品種の開発、あるいは天敵生物を利用した、生態系を利用した安全で高品質な作物生産技術の確立といったようなことを具体的な主要研究課題といたしておる。
 今後は、こうした基本方向あるいは推進方向に基づいて、国立の研究機関あるいは大学等の意見等も参考にしながら、平成8年度半ばを目途に、部門ごとのより具体的な研究課題を設定し、8年度末までには研究体制整備と総合的な調整といったものを行いながら、本県農業試験研究の基本となる第7次農業試験研究推進構想、これは平成9年度から13年度適用と考えており、これを取りまとめていくことにしておるのが現状である。

〇菊池(勲)委員 次に、林業問題についてお伺いをする。
 御案内のとおり、森林は木材生産ばかりでなく、県土の保全や水資源の涵養など重要な機能を持っており、さらに地球環境の保全のためにも重要な役割を果たしておる。本県は、県土の8割を森林が占めている全国有数の森林県であり、50万ヘクタールに及ぶ人工林を中心に、森林の蓄積は年々増加していることは承知しておるが、私はこの森林をしっかり整備して、豊かで潤いに満ちた山村社会を形成していくことが重要であると考えておる。しかしながら、我が国では昭和30年代以降、外材があたかもどしゃぶりのように入ってきた結果、現在では消費する木材の8割近くが輸入に依存することになり、その影響で国産材価格が長期にわたって低迷しておる。例えば、杉の立木価格は昭和50年代に比べると70%以下となり、その投資利回りは1%を切ると言われておる。このような状況のもとでは、林家は経営意欲を失い林業生産活動が低迷することは自明の理であり、あわせて林業従事者も減少し高齢化が加速度的に進み、ますます山に活気がなくなっているのではないかと思う。また、このような状況がこのまま続くならば、森林の維持管理は適切に行うことができず、山が荒れて森林の持つ公益的機能の発揮もできなくなるのではないかと危ぶまれておる。現に、地域ではせっかく植林したのだが、山の手入れをしないままとても手がつけられないとして、事実上、造林地の放置につながっている森林が見受けられる。このように、林業を取り巻く環境はまことに厳しいものがあるが、内外の産地間競争に打ち勝つ我が国の木材供給基地の確立を目指している本県にしては、今こそどのようにしたら林家の安定的経営を継続していくことができるのかという観点から、林業に夢と希望が持てるような対策を講ずることが喫緊の課題であると思うが、21世紀に向けた林政の基本的な考え方についてお伺いをする。

〇吉永副知事 林業を取り巻く環境は、委員御指摘のとおり、外材が増加し木材価格が低迷するとともに、林業労働力が減少、高齢化するなど年々厳しくなっておる。幸い、本県は戦後営々と植林してまいった杉、アカマツ、カラマツなどの人工林が着実に育っており、21世紀の国産材時代には、我が国の木材供給基地として大いに発展する余地を持っているものと考えているものである。こういったことを進めていくには、まず第1は生産基盤の整備だと考えておる。それによって、生産コストを引き下げることが何よりも重要だと考えておる。
 まず林内道路密度、これは平成12年度までにヘクタール当たり16メートルまで高めたいと考えておる。あとは林業労働対策基金の活用等により、林業労働力の確保ということに配意するとともに、高性能林業機械を積極的に導入して大幅に生産性の向上を図っていきたいと考えておる。
 第2は、生産から加工、流通に至る総合的な体制整備を進めていくことが重要だと考えておる。これまでも、木材の高次加工施設の整備やブランド化といったものの推進に努めてきたところであるが、今後さらに広報活動を強力に推進してブランド材の販売促進を図るほか、例えば遠野をモデルとして木材産業の拠点となる木材総合加工基地の整備といったようなことも進めたいと考えておる。そうしたことを進めて流通の効率化、低コスト低減を図るため、さらに住宅部門といったようなところとの連携も強化してまいりたいと考えておる。
 第3は、本県に特色のある特用林産物の振興による複合経営を進めるということである。本県では、木炭やシイタケなど生産額がそれぞれ全国1位、あるいは3位を誇っており、木材価格の低迷に悩む山村の貴重な収入源となっているわけである。特に、シイタケについては中山間地域の重要な作目であるので、林家の方々が将来に希望を持って林業経営に邁進していただけるよう、全国一を目指して懸命に取り組んでまいりたいと思う。
 この3つのことを着実に実施していくことをもって、委員がおっしゃった21世紀に向けて夢と希望を持てる林業といったものにしていきたいと考えているわけであり、折しも、国もこういった3つの考えを諸施策として、抜本的かつ総合的に推進するため林野3法を今国会に提出しているようであり、予算や融資、税制などいろんな対策がそこで総合的に進められるようである。県としては、こうした国が講じようとしている対策も政策も大いに取り入れ、そういった法案等がもし成立した場合には、他県に先駆けて関連事業を導入し本県林業の発展を図ってまいりたいと考えているところである。

〇菊池(勲)委員 次に、ふるさと林道緊急整備事業の整備状況等についてお伺いする。 県民の森林に対する要請は、多様化、高度化していることは御承知のとおりであるが、これまで森林を守り支えてきた山村地域は、基幹産業である農林業の不振、道路、生活環境等の社会資本の整備の立ちおくれなどから、過疎化、高齢化が進行し、森林の適正な維持管理に支障を来している状況である。このために、効率的な林業経営や森林の適正な維持管理に不可欠であり、かつ、通勤や通学など地域生活道としても大きな役割を果たしている林道の整備が重要であると存ずるが、林道整備のおくれを取り戻すために、平成5年度に創設されたふるさと林道緊急整備事業について私は大いに期待をしているところである。幸い、今年度はふるさと林道の予算が大幅に伸びたと聞いており、これを機会に本県の林道整備を大いに促進させるべきであると存ずるが、ふるさと林道のこれまでの整備状況そして今後の計画についてをお伺いする。

〇吉永副知事 林道整備を加速的に行うために、既存のそうした林道整備事業とは別に、このふるさと林道緊急整備事業が、優良地方債を活用した事業として平成5年度に創設されたわけである。この事業では、林道を高規格でかつ舗装も可能なことから、市町村から非常に大きな期待が寄せられているところである。県としては、本制度を積極的に活用して林道整備を促進してまいったわけであるが、市町村の要望を踏まえて、平成5年度から平成9年度までの5カ年間に約300億円の事業費をもって53路線、244キロを整備することとしたところである。この計画量は全国では岐阜県に次いで全国2位である。平成7年度末までには34路線に着手しており、事業費ベースの進捗率は123億円、41%となっておる。平成8年度は32路線を65億円の事業費で取り組む予定であり、今後とも本事業の進捗を図り、計画達成に向けて努力してまいりたいと考えているところである。

〇菊池(勲)委員 次に、水産技術センターにおける試験研究の成果とその普及指導についてをお伺いをする。
 水産業の総合的な試験研究機関として平成6年4月に開設した水産技術センターは、オープン以来3年目を迎えた。この間、当研究センターで秋サケを原料とした新しい加工技術の開発やアワビ、ウニの増殖に関する調査研究に成果を上げるとともに、森林が河川や海陸に及ぼす影響を調査するなど、幅広い取り組みを行ったと聞いておる。もとより、試験研究はその時代における行政需要に的確に対応した先導的な課題に取り組み、その成果を産業に役立てることが重要と考えておるが、水産業を取り巻く情勢が一段と厳しさを増している中にあって、センターにおける試験研究の果たす役割の重要性はますます深まっており、県内の水産関係者もその成果に大きな期待を寄せているところである。ついては、同センターがこれまで取り組んでこられた研究課題とその成果にどのようなものがあるのか、また、その成果を今後どのように普及、指導していかれるのかをお聞かせ願う。

〇吉永副知事 水産技術センターにおいては、時代のニーズに対応してそうした研究の推進をモットーに、当面3つのテーマを重点課題として研究してまいったところである。
 そのまず第1は、つくり育てる漁業に関する技術開発である。これまでに、ヒラメの放流効果を明らかにしたほか、岩手のブランドとして今後期待されておるマツカワについては、その種苗生産技術を確立したところである。あと、このマツカワについては大量生産技術あるいは放流技術といったものが研究途中ということである。1つの技術は、既に第1段階を確立したということである。
 第2は、消費者ニーズに合った新商品の開発ということで、これまでにサケの骨粉入りクッキーや揚げ豆腐といったものを商品化しておる。
 3つ目は、コンピューターを活用して、水温や魚群の位置等の漁業情報を迅速かつ正確に漁業者に提供するシステムの開発である。現在、ワカメ等の養殖管理に役立っているようである。
 次に、こうした研究成果の普及、指導については、水産技術センターみずからが随時研究発表会や講習会等を開催するほか、年間500件に及ぶ加工技術相談を通じて積極的にこういったことを推進するほか、沿岸4地区に配置しておる水産業改良普及員を通じた指導も行っているところである。今後とも、関係者のきめ細かな普及といった点でも配意してまいりたいと考えておるところである。

〇菊池(勲)委員 大変時間も過ぎたけれども、申しわけない。
 次に、水産物の輸入についてお伺いする。
 我が国の水産業は200海里時代の到来により、国際漁業規制の強化、マイワシ等に見られるように周辺海域での漁業資源水準の低下などにより、厳しい環境下にあるとともに、漁業就業者の減少や高齢化が進むなどさまざまな問題に直面しておる。こうした厳しい状況の中で、各国の200海里体制の進展と円高が追い風となって、近年の外国産魚介類の輸入攻勢は一向に衰えを見せる気配がない。平成6年の輸入状況を見ると、330万トンで我が国の水産物総供給量1、130万トンの約3割を占め、年々その比率は高まっているところである。このため、今後さらに国内マーケットで輸入水産物と国産水産物との競合が著しくなることが予想され、供給過剰による価格低迷などの影響が懸念されるところである。本県の最も重要な水産物である秋サケは、現在、大きな打撃を受けているところであるから魚価の安定が必要と考えるが、県は水産物の輸入についてどのようにとらえ、いかなる対策を考えておられるかをお知らせ願う。

〇吉永副知事 我が国の漁業生産量は平成6年で約800万トンとなり、ピークであった昭和59年の6割まで落ち込んでおる。その一方で、水産物の輸入量は平成6年に330万トンとなり、59年140万トンの2・4倍まで増加しておる。安い輸入水産物がこのように増加しているため、委員御指摘のとおり、サケを初めとする水産物、当県の関係する水産物の価格は軒並み下落し、水産業界は極めて厳しい状況となっているわけである。このため、秩序ある輸入ということを確立することが何より重要であるということで、この秩序ある輸入の確立ということを、水産庁、その他に対して、県としてはあらゆる機会をとらえてその厳しい現状を訴えてきたところである。秩序ある輸入ということを具体的に実現するとすると、具体的に考えた場合には、我が国の輸入のIQ品目──量的輸入制限品目──に追加するか、あるいはセーフガードを発動するということである。この2つとも、国際交渉の場でこれを実現するというのは極めて難しいという返事がすぐに返ってくるわけであるが、そういった返事がたとえ返ってきても、そういう平板的な返事ではなくて、とにかく困っているからこれは何とかせねばならないということを水産庁あるいは国に対して強く訴えていくということが当県にとって重要なことかと考えておる。水産庁もそういった繰り返し同じことを言っているうちに、輸入問題については何とか検討したいと言っているわけである。ただ、水産庁が検討したいと言っていることが、先ほど私が申し上げたIQの追加とかセーフガードとかといったようなことにそのまま結びつくとはなかなか考えにくいわけであるが、そこら辺は繰り返し強く当県の実情を訴えていくということが重要かと考えているわけである。
 他方、輸入水産物に対抗できる足腰の強い水産業の構築ということが非常に重要な課題で、特に秋サケについては、価格安定策を私どもできることを積極的に講ずるということである。まず、サケの消費拡大を図ることについては、マスメディアを使った大々的な宣伝を行うとともに、学校給食への利用促進、本年度予算では非常に大幅な増額を図っているわけであるけれども、そうした学校給食への利用促進あるいはイクラのブランド化といったようなことに積極的に取り組んでいきたいと思っておる。また、サケに関する新商品の開発、水産技術センターにおいても中骨罐詰に続くヒット商品の開発、そういったことを積極的に考えているところである。今後とも、関係業界あるいは県の総力を結集して、輸入外圧に対抗する足腰の強い水産業の構築、と同時に、先ほど申し上げた私どもが困っていると、秩序ある輸入が必要だということは強く訴えていくという、その2つの両面で努力してまいりたいと考えているところである。

〇菊池(勲)委員 次に、入札契約制度の改善についてお伺いをする。
 公共事業の発注をめぐる問題については、平成5年度において大手ゼネコン絡みの不祥事件が続出し、当議会においてもゼネコン小委員会を設置するなど、徹底的な調査、審議が行われたことはまだ記憶に新しいところである。これら一連の不祥事件の後、国においては、入札契約制度の改善に関し、中央建設業審議会の建議、行動計画の閣議決定が行われるなど、90年ぶりと言われる入札契約制度の改革が進められておる。県においても、中央建設業審議会の建議などを踏まえ、一般競争入札及び公募型指名競争入札の試行など、入札契約制度の改革に取り組んでこられたことは承知しておる。しかしながら、この間、葛巻町の工事発注に絡む贈収賄事件や綾里川ダムの入札談合情報など、問題が後を絶たない状況であり、さきの12月県議会において県営建設工事の入札契約における公正の確保についての意見書が全会一致で採択されたゆえんはそこにあると思っておる。こうしたことを考えると、入札契約制度については、さらなる改善の余地が残されているのではないかと思うのである。もちろん制度だけですべて解決するものでないことは十分承知しておるが、要は、公正な入札の確保に向けた不断の努力が求められているということであり、これが公共工事の発注者に課せられた責務であろうと考えるからである。
 そこでお伺いするが、県は、今後、入札契約制度の改善をどのように進めていかれるのか、これまでの改善の経過も含めて改めてお示しをいただきたいと思う。

〇吉永副知事 まず、これまでの改善の経過であるが、契約制度の改善については、公共事業の入札及び執行をめぐる一連の不祥事件や建設市場の国際化といったことを背景として、平成5年12月に中央建設審議会から一般競争方式の本格採用、現行の指名競争方式の改善といった、その2点を骨子とする建議がなされ、この建議を受けて、国においては、公共工事の入札契約手続の改善に関する行動計画が閣議了解され、県に対しても行動計画に準じた措置をとるよう要請があったところである。本県においても、これらを踏まえて、平成6年度から新しい入札契約方式として一般競争入札及び公募型指名競争入札の試行を行うとともに、談合等不公正な行為の防止のため、工事完成保証人の相指名業者からの選定を原則禁止すること、一般競争入札及び公募型指名競争入札については、入札に際して工事費内訳書の提出を義務づけること、入札前は指名業者名または資格確認業者名を公表しないことなど、入札契約制度の改善を図ってきたところである。今後の方向であるが、本年1月1日にWTO政府調達協定が発効して、これを受けて地方自治法の特例政令が公布、施行されていることを踏まえて、平成8年度からは21億6、000万円以上の工事については一般競争入札を、5億円以上の工事については公募型指名競争入札を試行から本格実施することとしておる。また、平成7年5月に全面改正された国の標準請負契約約款に準じて、契約関係の明確化及び工事完成保証人の廃止と金銭保証を中心とする新履行保証体系への移行を骨子として、県営建設工事請負契約書の全面改正を行うこととしておる。さらには、特定共同企業体に係る予備指名の廃止、特定共同企業体と単独企業による混合入札の導入、設計図書の閲覧方法や入札結果の公表の方法の改善、談合情報対応マニュアルの改善など、より一層の透明性、客観性、競争性の確保のため、各般にわたる入札契約制度の改善を図ることとしているところである。
 なお、県営建設工事に係る公正な入札の確保については、これまでも業界に対して機会あるごとに企業倫理の確立と適正な事業活動を行うよう要請してまいったが、これを継続するとともに、私どもとしては、談合等の不公正な行為は決して許さないということを基本として、それを実行するにはどうしたらいいかといったようなことでマニュアル等の改善等を考えているわけであるが、そういったことを通して引き続き入札契約制度の改善に努力してまいりたいと考えておる。

〇菊池(勲)委員 次に、下水道の普及拡大についてお伺いする。
 下水道の整備に当たっては、人と自然、都市と自然との共生が求められる中で、快適で豊かな生活環境やまちづくりに向けて、後世に引き継げる良質な資産として構築する必要がある。加えて、生活環境の改善から公共用水域の水質保全などの広域的な課題まで、個別の地域だけでは対処できない課題であり、広く下水道事業を展開することは本県においても必要欠くべからざるものであり、重要な意味を持つものと考えておる。このような中で、政府は、平成7年度を初年度とする公共投資基本計画を施行しているところであるが、下水道の整備目標については、整備のおくれている地方都市や農山漁村に重点を置きつつ積極的な展開を図り、21世紀初頭までにおおむね9割を超える程度にするとしているところである。本県においては、下水道整備を県政の重要施策として位置づけ、鋭意努力されていることには敬意を表するものであるが、下水道の整備状況として約40市町村が下水道事業を実施し、その下水道普及率は20数%と聞いており、全国平均を大幅に下回り、特にも町村部はまだまだ下水道整備がおくれていると言わざるを得ない。今後、このような現状の中で、いまだ下水道事業を実施していない町村の対応を含め、下水道の普及拡大をどのように推進されるのかをお伺いする。
 また、下水道整備には膨大な整備資金が必要なことはそのとおりである。市町村の財政にとっても厳しいものがあるので、そのお考えと市町村に対する財政支援の状況についてもあわせてお伺いする。

〇吉永副知事 下水道整備の重要性は、委員御指摘のとおりである。公共下水道、農業、漁業集落排水及び合併浄化槽等の各事業、こういったものを組み合わせて下水道の整備が推進されてきているわけであるが、県全体の現在の下水道普及率は26・2%である。ただ、この中で公共下水道だけを見ると、平成6年度末でその普及率は、委員御指摘の数字であるが22・9%で、全国平均の51%に比べ、まだまだ低い状況である。したがって、県としては、平成6年度に全県域汚水適正処理構想を策定して、建設、農林水産及び厚生の各所管省庁の事業区域を定め、その整備を効率的、計画的に推進してきたところである。公共下水道については、現在、県下38市町村で実施中である。平成8年度から始まる第8次下水道整備5カ年計画においては、11町村が新たに事業着手を計画しており、今後大幅な下水道普及率の向上が期待できるのではないかと考えておる。また、下水道の普及啓発活動も極めて重要なことで、下水道の役割や効果について県民の理解が得られるような広報活動にも取り組んでいるところである。
 次に、御質問の市町村に対する財政支援であるが、建設事業に係る下水道債償還基金費補助及び下水道計画策定費補助などの支援を行うとともに、過疎市町村の処理場等の建設については県による代行事業を行うこととし、現在、大迫町、田老町及び宮守村で実施中である。平成8年度は湯田町及び沢内村を予定しており、今後とも積極的に市町村のそうした活動の支援を行ってまいりたいと考えているところである。

〇菊池(勲)委員 質問がまだ3項目あるけれども、時間がちょっとオーバーするようであるので、これで終わる。

〇那須川委員長 お諮りする。時間も5時を経過したので、続く代表質問は明日にいたしたいと思う。これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇那須川委員長 御異議なしと認め、さよう決定させていただく。
 明日以降は毎日午前10時から開会するので、よろしく御協力をお願いする。 
 本日はこれをもって散会する。
   午後5時17分 散 会


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