平成8年2月定例会 第5回岩手県議会定例会 会議録

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〇6番(中屋敷十君) 新進党の中屋敷十でございます。
 質問に先立ち、故千葉英三先生の御逝去を悼み、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。 先輩、同僚議員の御高配により、議席を得ましてから早くも2度目の一般質問の機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げ、通告に従いまして順次質問をさせていただきますので、知事並びに県御当局の誠意ある御答弁をお願いいたします。
 さて、増田知事には、知事就任以来、丸10カ月が経過したわけでありますが、この間、持ち前の若さと行動力をもって、県政懇談会等を通じて広く県民との対話を実施し、本県が抱える諸課題を直接肌で感じ、また、21世紀の本県のあるべき姿に改めて思いをはせたことと御推察申し上げます。知事は、先般の演述におきましても、21世紀のあるべき姿とは、人々が生きがいを持ち、かつ安心して暮らせるような、躍動感にあふれ、心豊かな地域社会であるとし、常に県民と語り合うことを基本としながら、また、住民に最も身近な行政を担っている市町村との連携を図り、多様な施策を積極的に展開する決意を表明なされたところであります。
 私は、知事のこの力強い決意に対しまして衷心から賛意をあらわすものでありますが、戦後50年を経た今日、我が国の社会経済情勢は、急速な少子化、高齢化の進行や国際化、高度情報化の進展、さらには、産業構造の変化等により大きく変化してきておりますが、本県においても例外ではなく、この大きな変化の中で、生活の質や環境への意識の高まりなど、県民の行政に対するニーズはますます高度化、多様化してきているところであり、知事が21世紀の本県のあるべき姿として述べられた、人々が生きがいを持ち、かつ安心して暮らせるような、躍動感にあふれ、心豊かな地域社会を形成するためには、言いかえれば、この高度化、多様化する県民の行政ニーズにいかにして適切に対応していくかということであり、そのためには、社会経済情勢の変化に的確に対応し、かつ県民の理解が得られる県政の推進体制の確立、すなわち行政改革への積極的な取り組みが最重要課題であると思うのであります。
 幸い、増田知事におかれましては、知事就任と同時にこの行財政改革に積極的に取り組まれ、行政改革推進懇談会の特段の御尽力もあり、昨年の12月に行政改革推進懇談会が行財政運営の改善に関する基本的な方向について知事へ最終報告を行い、この提言を受けて、本年1月に行政改革の具体化方策についてというタイトルで行政改革大綱が策定されたところでありますが、総体的には高く評価できる内容となっており、知事を初めとする県当局の関係者並びに行政改革推進懇談会委員各位の御努力に敬意を表するものであります。しかしながら、過去の例から見ても、また行政改革推進懇談会の提言にもあるとおり、行政改革には多くの困難を伴うことも事実であり、実行に当たっては、知事の不退転の決意が必要であると考えられますが、あえて私からも、知事の行政改革への取り組みに対する基本的な考え方と、取り組みに対する決意のほどをお示しくださるようお願いいたします。
 次に、行政改革大綱の具体的な内容についてお伺いいたします。
 今般策定された大綱は、推進期間を5年以内とし、具体化方策として、行政機構の整備、事務事業の見直し、適正な職員の管理、財政運営の健全化の確保、県、市町村の連携の強化という5つの項目について行政改革の方策が言及されており、先輩、同僚議員がそれぞれ昨日までの代表質問及び一般質問で県の考え方をお聞きいたしておりますが、私は、本庁機構と出先機構の再編整備の関係についてお聞きしたいと存じます。
 知事は、常々、県民に最も身近な行政主体は市町村であり、各市町村が自主的、自立的に、特色のある地域づくりが展開できるよう支援、協力していくのが県の大きな役割だという考えを示されており、私も全く同感であります。そのため、大綱の中でも、市町村と最も密接で地域における総合出先機関としての役割を果たしている地方振興局の充実強化を掲げているところであり、地方振興局の充実強化については、大いに賛意を示すものでありますが、これを実現するためには本庁機構と出先機構の関係を徹底的に見直しする必要があると考えるところであります。むろん徹底した事務事業の見直しや定数管理の適正を図ることにより、本庁機構はスクラップ・アンド・ビルドを原則に組織の肥大化を抑制すれば、地方振興局の充実強化は可能との判断をお持ちでしょうが、私は、県の行政サービスはできるだけ身近な地方振興局で対応できるシステムを構築することを前提とするならば、本庁機構はでき得る限りスリム化を図り、地方振興局に大きな権限を持たせることが、最も県民への行政サービスにつながるものと考えますが、県の御見解はいかがでしょうか。
 次に、平成8年度予算についてお伺いいたします。
 第三次岩手県総合発展計画、いわゆる3県総の後期実施計画がいまだ策定されていない段階において、増田知事にとっては初めて編成されました当初予算が3県総の後期実施計画にどのように反映されているのかをお伺いすることは、原則的にはいささか変則的かもしれませんが、去る2月5日に開催されました岩手県総合計画審議会において、後期実施計画策定に当たっての視点が示され、また、同様の内容で、先般の知事の所信表明においても、今後、県政を運営するに当たっての施策推進上留意すべき視点とその方向が示されましたことからお伺いするものであります。すなわち、知事は、3県総後期実施計画の策定に当たり、多様な地域連携、交流促進による自立的な地域社会の形成、安全で安心感のある県民生活の確保、人と自然との望ましい共生の実現、国際的視野に立った地域経済の構築、豊かな長寿社会、思いやりのある福祉社会づくり、創造性と国際感覚に富み社会の変化に柔軟に対応できる人材の育成、男女共同社会の形成という7つの視点を掲げております。私は、当初予算の編成に当たりましても、これらの視点が十分に意識されたものと考えるところでありますが、これら7つの視点については、どのような予算措置がなされたのかお伺いします。
 また、平成8年度予算は、県土の均衡ある発展、格差是正のために、具体的にどのような事業を展開しようとしているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、自然保護と開発のあり方についてお伺いいたします。
 県においては、3県総の後期実施計画の策定に当たっての7つの視点の1つとして、人と自然の望ましい共生の実現を掲げており、知事の演述においても、生活水準の向上や地球環境問題を背景に、人々の自然志向や環境志向が高まってきており、人と自然との共生を実現していくことが重要であり、このため、本県の豊かな自然環境の適正な保全を図るとともに、県土、環境の保全に重要な役割を有する中山間地域等については、人々が安心して暮らせる条件の整備や、自然との触れ合いの場としての条件づくりなど、地域の特性に応じた整備を図っていく旨を述べられております。地球的規模での環境破壊が懸念されている現在、我が国においても、大規模なリゾート開発等により、森林や農地等が減少しており、絶滅の危機にある野生生物も数多くあり、本県においても例外ではないということは、私も強く認識しているところですが、現実的に自然保護と調和が図られた地域開発を考えた場合、非常に多くの問題を抱えることになろうと考えられるのであります。
 私の地元である雫石町の国見スキー場の開発問題は、その1つの課題を提起した例だと思うのであります。国見地区のスキー場開発は、昭和63年ごろから民間事業者により適地調査等が実施され、地元地権者の合意のもとに開発構想が取りまとめられ、協力要請を受けた町当局も、町の総合発展計画に十分に整合するとの判断から、これに協力することとし、平成3年度には、県とゴルフ場等大規模開発行為指導要綱に基づく事前協議に向けての打ち合わせに入ったわけでありますが、その過程において自然保護団体から開発計画の情報公開の要求があり、ブナ林伐採による森林生態系への影響や湿原の枯渇及び貴重な動植物の生息地への影響等、自然環境の破壊や地域経済への影響等を理由に反対運動が起こり、開発側と自然保護団体との話し合いは平行線をたどり、対策に苦慮した町当局は、保護対策や利活用について意見、提言を聞き、今後の施策展開の参考とするため、自然保護団体、町議会議員、学識経験者から構成する雫石の自然を考える会を発足させ、テーマを国見地区スキー場開発に絞り、住民公聴会も含めて議論を重ねた結果、民間企業主導の大規模スキー場開発ではなく、地域の特性を生かした中山間地域の振興を目的とする森林リゾートの創出を目指し、あわせて、農林業や地場産業との連携を図り、地域振興に寄与する形に事業計画を変更し、そのために、町も事業主体の一員となって管理、運営を行う第3セクター方式の開発に踏み切ったものでありました。しかしながら、この第3セクター方式導入は、反面では県のゴルフ場等大規模開発行為指導要綱に基づく県への事前協議逃れと解釈されたのか、その辺は定かではありませんが、県では、当該開発地域を対象に平成5年から国見地区自然環境保全特別調査を実施し、先般、その調査結果がまとまり、県の自然環境保全審議会に報告がなされたところであり、質疑の結果は、スキー場開発は好ましくないとの審議会意見が示され、さらに、県当局も同審議会の意向を踏まえた見解を示されたことは、記憶に新しいところであります。
 私も、自然保護の大切さは十分に理解しているところであり、人と自然との望ましい共生の実現には大いに賛同するものでありますが、国見スキー場開発計画に見られるように、自然保護団体等の意見、提言を踏まえ、民間企業主導の大規模スキー場開発を大幅に修正し、地域の特性を生かした中山間地域の振興を目的とする森林リゾートの創出を目指した形にしても、開発は不可能という現実を見れば、たまたま国見地区には貴重な自然環境が多く存在していたといえばそれまでかもしれませんが、これからの地域開発と自然保護との関係は非常に厳しいものがあると思われて仕方がないのであります。これは私の一方的な解釈かもしれませんが、国見地区のスキー場開発に限らず、自然環境保全特別調査という形で調査を行えば、何にも増して自然保護が優先され、地域の特性を生かした開発整備というものはほとんど不可能という感じがしてならないのであります。
 そこでまず、環境保健部長にお伺いいたしますが、自然環境保全特別調査は、どのような根拠に基づいて実施されたものであり、過去にどのような調査実績があるのかをお示し願いたいと存じます。
 また、今後、自然保護という立場から、この特別調査を実施する予定があるのか、あわせてお伺いいたします。
 さらに、今回の国見スキー場開発の教訓から感じたところでありますが、平成2年7月に制定されました県のゴルフ場等大規模開発行為指導要綱では、国もしくは地方公共団体、またはこれらが資本金、基本金、その他これらに準ずるものの4分の1以上を支出している法人が事業主体となる場合は、適用対象外としており、基本的には関係法令による許認可等をクリアすれば開発は可能ということに解されるわけであり、また、同要綱に基づくゴルフ場等大規模開発行為に関する環境影響評価実施要領は、あくまでも、要綱対象の開発行為にのみ環境影響評価を義務づけ、実施手続を定めており、公共団体等が行う適用対象外の開発行為については、100ヘクタール以上の大規模開発行為であっても、環境影響評価は実施しなくてもよいものと解されるのであります。私は、むしろ県が今後、人と自然との望ましい共生の実現を目指し、自然環境の保全と調和のとれた地域開発整備を進めようとするならば、指導要綱に定める適用対象の見直しや100ヘクタール以上の開発行為についての環境影響評価の義務づけ等、ゴルフ場等大規模開発行為指導要綱や環境影響評価実施要領の見直しを検討する必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。 次に、今回の国見地区自然環境保全特別調査において、国見地区には非常に多くの貴重な動植物や湿原等の存在が確認されたところであり、当該調査委員会においてもこのすぐれた自然環境を将来にわたって保全し、後世に残していくことが肝要であると提言されているところでありますが、私は、地域住民のスキー場開発に寄せる期待が非常に大きかっただけに、開発を断念せざるを得ない状況に至ったことはまことに残念でありますが、視点を変えて見ると、この貴重な自然環境は町民の大きな財産であり、この財産を生かして地域の活性化を図ることが必要であり、町及び町民も何らかの形での地域の活性化対策を強く望んでおります。例えば、県においては、3県総の前期実施計画において環境保全拠点整備調査事業として環境保全に関する試験研究、調査実施体制の整備検討が位置づけられており、3県総の重点事業進捗状況を見ますと、具体的には盛南開発地区に整備が予定されている環境保健センターの整備調査事業の中で検討されているようでありますが、環境保全に関する試験研究、調査実施となりますと、環境保全のモデル的なフィールドも必要になってくるものと考えられますが、国見地区についても、その有力な候補の1つであると考えられ、また、町当局と一体となって、開発が可能な場所につきましては、自然観察公園として整備するとか、ぜひとも自然保護を生かした形での地域の活性化を図るため、県当局のお力添えが必要でありますが、あえて国見開発の経緯等にも強い関心を示された知事から忌憚のない御見解をお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、観光宣伝についてお伺いいたします。
 本県は、申すまででもありませんが、すぐれた自然景観や温泉などのいわゆる自然系資源を初め、史跡、文化財、伝統行事などの歴史的・文化資源、スキー場やゴルフ場を初めとする各種の観光施設など、多彩な観光資源に恵まれているところでありますが、私は、岩手県が真の観光立県として確固たる地位を築くためには、観光客の誘致拡大が何よりも大切であると認識しているところであります。そのためには、まずもって宣伝活動の強化が必要であり、県ではこれまで観光客の誘致宣伝事業として観光宣伝媒体の作成、詩情ゆたかな岩手路観光宣伝の推進、観光連盟の育成強化、大規模観光キャンペーンの開催、さらには、北東北3県観光立県推進事業等を展開しており、その結果、観光客の入り込み数はここ10年間で20%、約70万人回の増加を見、平成7年には3、936万人回の入り込みがあったことは高く評価するところでありますが、観光客の多様な観光行動に的確に対応し、本県への誘客を図るためには、北東北3県のみならず、東北6県レベルで、しかも直接観光客に対応する旅行業者や宿泊施設、観光、運輸機関等の民間業者を巻き込んだ形で積極的に取り組む必要があると考えるものであります。
 また、昨年8月の下旬に、旅行業者や観光関連業界約1、000社で構成する東北観光誘致協議会が主催した95THE祭り東北に関する記事を新聞等で見ましたが、1日で2万人を超す入場者を数え、聞くところによるとテレビでも全国ネットで放映されたようであり、まさにこのようなイベントこそが観光客の心を東北、さらには、岩手へ向けるような感じを持つものであります。
 そこで、お伺いいたしますが、県では東北6県レベルでの宣伝活動にどのような取り組みをなされているか。また、東北観光誘致協議会が主催したイベントに対して助成措置を講じられているのなら、その状況をお示し願いたいと存じます。
 次に、高齢者の生きがい対策についてお伺いいたします。
 急速な高齢化の進行に伴う高齢者の増加に対応して、介護を要する方々への各種のサービスの充実はもちろんのことでありますが、7割とも9割とも言われる元気な高齢者に対する施策のより一層の充実も非常に大切であると考えているものであります。すなわち、高齢者の生きがい対策でありますが、これまで老人クラブの趣味創作活動やスポーツ活動を初め、各地域での老人大学、さらには、長寿学園や人材シルバーセンターなど多様な取り組みがなされてきておりますが、これらがより効果的に実施されるためには、相互に連携し、かつ地域の特性を生かした展開が重要であると思うのであります。知事は、所信表明において、豊かな長寿社会、思いやりのある福祉社会づくりを掲げ、高齢者の知識、経験を生かすため、高齢者地域活動促進センターの設置促進を示されたところであります。私は、元気な高齢者の増加、各種の生きがい対策の展開、本格的な長寿社会の到来といったもろもろの要件を考えるとき、高齢者が地域の主役として、その力を発揮していただくことがさらに必要となってくると思っているところであり、知事の考えは、まさに時宜を得たものと大いに賛意を表するところでありますが、県は今後、高齢者の生きがい対策として地域において活躍できるような環境づくりをどのように進めようとしているのかお伺いいたします。
 最後に、農村における情報施設の整備促進についてお伺いいたします。
 御案内のとおり、農村ではこれまでに有線や無線による情報連絡施設が各地に整備されており、これらの施設は、営農や生活情報の伝達などを通じ、地域農業、農村の振興発展に大きな役割を果たしてきたところであります。しかしながら、情報化が進展している今日において、都市部では有線テレビやパソコン通信などのニューメディアが急速に普及してきておりますが、農村部においては、一部地域においてこうした高度情報施設が見られるものの、大部分はこれまでの機能が中心であり、現状では必ずしも十分とは言えない状況にあります。多くの情報がはんらんしている今日、多くの農業者は必要な情報をみずから選択入手し、生産、生活に創意工夫しながら生かしておりますが、今後におきまして、効率の高い農業や快適な農村づくりを進めていくためには、こうした情報を一体的、集中的に収集管理するとともに、情報を受発信できるシステムを構築することが非常に大事であると考えるものであります。とりわけ、若い担い手は情報感覚が鋭く、内外の情報を活用して魅力ある農業経営や農村生活を求める傾向が強く、こうした若者の期待にこたえるためにも、情報交流機能の充実を図っていくことが必要であると思うのであります。総合食糧供給基地を標榜する本県において、21世紀に向けて発展を図るには、農村住民の求める情報ニーズに対応できる情報発信基盤整備を進めるとともに、そのネットワークの形成を促進するべきであると考えます。つきましては、高度情報社会に対応した農家段階における農業情報施設の整備状況はどうなっているか、また、今後どのような方法により施設整備を進めようとしているのかをお示し願いたいと思います。
 以上をもちまして、私の一般質問を終了させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 中屋敷十議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、行政改革への取り組みとその決意についてでございますが、今後とも厳しい状況が続くと予想される行財政環境の中で、急速な高齢化、少子化など、社会経済情勢の変化に伴います新たな行政課題に適切に対応すること、そして高度化、多様化する県民ニーズに即応いたしまして、良質できめの細かいサービスを効果的に提供すること、こうしたことのためには、行政の肥大化を抑えながら、限られた行財政資源を有効に活用いたしまして、長期的な展望に立った施策展開にこたえる、機動的でかつ効率的な行財政運営の執行体制の整備に努めることが大切であると、このように考えております。このような考え方から、本年1月に新たな行政改革大綱を策定したところでございますが、今後、本大綱の具体化に向けまして毎年度実施方針を定めるとともに、事務事業の全般的な見直しによって生じます行財政上の余力を一層強化すべき部門や事業に重点的に振り向けまして、来るべき21世紀に即応できるよう、県勢発展に必要なさまざまな施策を積極的に推進をいたしまして、県民お1人お1人がゆとりと豊かさを実感できる生活の実現を目指してまいりたいと、このように考えております。こうした行政改革は不断の課題でございますので、今後とも県民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、行政改革の推進に全力を挙げて取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 次に、雫石町の国見地区におきます自然保護を生かした形での地域の活性化対策についてでございますが、人々が自然の豊かな恵みの中で、伸び伸びと豊かな心をはぐくみ、ゆったりとした時を過ごせるような社会を実現していくことが、国民の価値観が経済的な裕福さから心の豊かさやゆとりというものを求めることに大きく転換をしている今日においては大変重要なことでございまして、それは自然と人間との望ましい共生の1つの姿ではないかと、このように思っているところでございます。首都圏などの大都市部におきましては、これまで集約的な開発が行われてきておりまして、確かに利便性を手にする一方で、それと引きかえに貴重な自然など多くのものを失う結果となってきたわけでございます。もとより、本県におきましても、生活向上の観点からはさらなる地域の開発、振興が期待をされるところでありますけれども、こうした先進都市の反省から申し上げますと、自然に配慮し調和のとれた開発による地域づくりが重要であると、このように考えております。殊にも、本県の場合には多くのすぐれた自然環境に恵まれておりまして、これを活用した振興策を持続的に展開をしていくならば、21世紀には自然との共生の実現という意味においては全国の先進的地位を占めることが可能であると、このよう思っております。また、このことは過疎地域の振興をどうしていくかという課題ともオーバーラップし得るものでございまして、中山間地域を多く抱えております本県にとりましては非常に重要な課題であると、このように考えております。
 雫石町の国見地区につきましては、今回の調査結果で明らかになったように、非常にすぐれた自然が残されておりまして、今後、鳥獣保護区の設定を推進することなどによりましてそれを適正に保全をしていく必要があると、このように考えておりますが、他方でそうした保全に支障のない範囲で、例えば自然資源を活用した環境教育のための自然観察施設、これも1つの例ではございますけれども、こうした施設やただいまの議員からの御提案の趣旨のようなことによりまして、自然保護を生かした形での地域の活性化を考えていくことが大切だと、このように考えております。
 県では、今後の状況の推移を見守る必要があると思っておりますが、また、地元の町や地域住民の方々の意向も十分に尊重しながら、経済的な効果や地域特性も勘案して具体的な対応について検討を進めてまいりたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) まず、本庁機構と出先機関の再編整備についてでありますけれども、行政機構の整備に当たりましては、組織の肥大化を抑え簡素で効率的なものとすると、こういう基本的な考え方に基づきまして、本庁におきましては、保健医療、福祉のサービスを総合的かつ効率的に供給していくための保健医療部門と福祉部門の組織的な統合など、全庁的な見地で部の構成を検討するほか、事務の消長に合わせた課、室等の見直しなどにより、組織が肥大化しないよう努めてまいりたいと考えております。
 一方、地方振興局の機構整備につきましては、単独事務所の地方振興局への統合の推進など、地域振興の拠点としての総合性をさらに高めていくこととあわせまして、地方振興局長の権限につきましても、地域に密着した事務は可能な限り地域において完結させることが重要であると、こういう基本的考え方に立ちまして、その権限の拡大を図る、こういったことによりまして事務処理手続の迅速化、それから県民サービスの向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、施策推進上留意すべき7つの視点に係る予算措置についてでありますが、平成8年度当初予算の編成に当たりましては、まず、連携、交流の促進という点につきましては、特色ある地域づくりに対する支援を強化するため、地域活性化事業調整費を拡充するとともに、沿岸部と内陸部間の一層の時間距離の短縮を目指した新たな交流ネットワーク道路の整備などを進めることといたしております。また、安全な県民生活の確保につきましては、防災ヘリコプターの運航やコミュニティー防災資機材の整備に対する支援など、防災体制の充実整備に努めるとともに、自然との共生につきましては、新たに自然環境保全指針の策定に着手いたしますほか、環境保健センターの整備に向けた調査を実施することといたしております。さらに、国際化時代への対応といたしましては、農林水産業についてはウルグァイ・ラウンド合意関連対策を積極的に推進するほか、商工業については、新たな企業化や産業の創造に対し積極的に支援することといたしております。また、福祉の充実の面におきましては、引き続き老人福祉施設の重点的な整備を図るとともに、在宅福祉に係るさまざまな支援措置を講ずることとしているほか、久慈、大船渡両地域への高次救急医療施設の整備などに努めることとしております。人づくりにつきましては、平成9年度に開設する職業能力開発短期大学校あるいは10年度に開学予定の県立大学の整備を着実に推進するとともに、新たに生涯学習推進センターの活用などを図ってまいります。
 最後になりましたが、女性の社会参加につきましては、男女共同参画社会の形成に向け女性の就業と子育ての両立を支援するなど、女性が主体的に社会参加し、その能力を十分に発揮できるような条件整備に努めてまいる考えであります。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、県土の均衡ある発展を図るための具体的な事業についてでありますが、平成8年度におきましては、県土の均衡ある発展対策に関します主要な事業といたしまして67事業を掲げてございます。一例を申し上げますと、まず、地域活性化事業調整費を従来の3億5、000万円から7億円に倍増し、複数の市町村が連携して主体的に取り組むなど、特色ある地域づくりを一層支援することとしたほか、新たに平庭高原におけるオートリゾートの形成についての検討を行うなど、地域の一体的振興及び活性化のためのプロジェクトについて調査検討を行うこととしております。また、東北新幹線盛岡以北の建設促進や県都圏と県内各都市間との90分交通を目指した新たな交流ネットワーク道路の整備など、交通基盤の整備を進めるとともに、県北部の農業技術の拠点といたしまして、仮称ではありますが県北農業技術センターの整備に本格的に着手いたしますほか、工業集積の低い地域への企業の立地を促進するために企業立地促進奨励金制度を創設するなど、産業の一層の振興を図ってまいります。さらに、県民生活の面では、新たに県立の久慈及び大船渡両病院の救命救急センターの整備や一戸・北陽病院の新築移転を進めるとともに、児童の健全育成のための仮称すこやか子どもランドの整備に着手するなど、保健医療、福祉の充実に努めることとしております。このように、地域の個性や多様性を重視した活力ある地域づくりを支援するために、産業経済の振興と県民生活の向上の両面から、各般にわたる施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。
 次に、ゴルフ場等大規模開発行為指導要綱の適用対象の見直しについてでありますが、御指摘のとおり、この指導要綱はゴルフ場の総量規制や適正な開発行為の指導を行い、無秩序な開発の防止を図ることを目的といたしまして、平成2年7月に定めたものであります。この要綱におきましては、国や地方公共団体のほか、公的資金が出資された法人の開発行為を適用対象外とする取り扱いとしておりますが、この趣旨は、国や地方公共団体は公共の福祉の増進を目的とすることから、適切な開発を行うものと期待したものであり、また、その地方公共団体等から4分の1以上の出資を受けた法人についても、同様の趣旨で適切な開発を行うものと期待し適用の対象外としたものであります。この要綱を制定して以来今日まで、ゴルフ場につきまして7件、スキー場について2件の開発行為について調整協議を行って、適正な土地利用が図られるように指導してきたところでありますが、おおむね指導要綱の目的を果たしてきたものと考えております。また、指導要綱の適用対象外であります地方公共団体等が行う開発行為につきましても、関係法令などの諸規定に基づいておおむね適切な開発がなされてきたものと承知いたしております。しかしながら、要綱制定後数年を経過しており、また、環境保全への関心の強まりなど、その後経済社会情勢の変化等が生じてきておりますので、これらを十分に考慮し、要綱の適用対象の除外規定につきましても、必要な検討を加えてまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) まず、自然環境保全特別調査についてでありますが、スキー場等リゾート開発が計画されている雫石町国見地区は十和田八幡平国立公園に隣接しており、自然環境保全の見地から開発に慎重を期する必要がある地域が含まれている可能性があったことや、県内外から1万名に上る反対署名があるなどの自然環境の保全を求める世論に配慮したことから、庁内合意のもとに実施したものでございます。
 なお、調査の結果、自然環境保全の必要性等から、開発を調整する必要の認められる地域となることが判明した場合は、関係法令に基づき保全等のための必要な措置をとることとしていたところでございます。過去においては、昭和52年に岩泉町の安家地区において石灰石開発プロジェクトが計画された際、自然環境保全上必要な行政判断のための科学的データ及び知見の集成を行うとの見地から、県が自然環境保全特別調査委員会を設置して調査を実施した例がございます。今後、自然保護という立場から、この特別調査を実施する予定があるのかにつきましては、現時点においてこのような調査を実施する予定はありませんが、いずれにしましてもこのような調査を実施するに当たっては、手続における透明性の増大を図ることが重要な課題であると認識しておりまして、今後、このような調査を実施することの必要性について検討するとともに、仮に実施する場合にあっても、その対象、手続等を含め、県民にわかりやすいルールづくりが肝要であるというふうに考えております。
 なお、本県の自然環境の実態を即時的に明らかにし、保全目標を設定し、地図の上にわかりやすく表示する自然環境保全指針の策定を、平成8年度から本格的に着手することとしております。新策定後においては、この指針を有効に活用して、本県において自然環境の保全と開発行為の調整が事前に十分に図られるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、環境影響評価実施要領の見直しについてでありますが、環境影響評価は、事業の実施前に事業が環境に及ぼす影響につきまして調査、予測及び評価を行うとともに、その結果を公表し、地域住民や関係自治体の意見を聞いて十分な公害防止等の対策を講じ、公害や自然破壊を未然に防止しようとする制度であります。国におきましては、閣議決定された環境影響評価実施要綱に基づき国がみずから行い、また、国が免許や補助金等に関与する事業であって、規模が大きくその実施により著しい影響を及ぼすおそれがある高速自動車国道の新設、ダムの新築、飛行場の設置、土地造成等の事業を対象として環境影響評価を実施しているところであります。本県における環境影響評価は、ゴルフ場等大規模開発行為指導に基づき、ゴルフ場等の建設を事業対象としており、また、国、地方公共団体またはこれらが資本金の4分の1以上を出資している法人が事業主体となる開発行為については、これを適用除外としているところであるわけです。一方、各都道府県におきましては、47都道府県中、平成7年現在で41都道府県が、おおむね国と同様に開発行為指導要綱を前提としない要綱を設置しており、38都道府県においては対象事業をレクリエーション施設に限定せず、44都道府県においては、地方公共団体等の事業に対しても環境影響評価を義務づけているところであります。
 今後につきましては、環境影響評価実施要領の制定後数年を経過し、環境保全への関心の強まりなど、その後の経済社会情勢の変化等が生じてきておりますので、そのようなことを十分に考慮し、また、現在、国において実施している環境影響評価制度の実施状況等に関する調査研究の動向も踏まえ、評価の対象となる事業につきまして必要な検討を加えてまいりたいと考えております。
   〔商工労働部長古館敏男君登壇〕
〇商工労働部長(古館敏男君) 観光宣伝についてでありますが、近年の観光レクリエーションは、自由時間の増大や高速交通機関の整備拡充に伴いまして、広域化、多様化しているところでありまして、これらに対応した観光宣伝は県単位にとどまらず、隣接県等との共同による広域的な事業展開が重要になってきているところでございます。このため、県におきましては、これまでも東北各県や運輸、旅館ホテルなどの観光関連業界と共同して広域観光ルートを設定し観光ガイドマップを作成しているほか、首都圏等での大型観光キャンペーンや旅行代理店、マスコミ関係者などの招待事業、海外での観光ミッション事業などを展開し、観光客の誘致拡大に努めてきたところであります。特に、本年度におきましては、豊かな自然を満喫した農業や酪農などに触れ、いわゆる体験型観光に取り組むなど、観光客のニーズに即した新たな事業にも取り組んでいるところであります。今後におきましては、東北新幹線の延長や花巻-福岡間の新空路の開設などもありますので、広域的観光への需要が一層高まるものと考えられますことから、これらあらゆる機会をとらえまして、各県との連携を強化する中で本県の独自性を確保しながら、積極的な観光宣伝を展開してまいりたいと考えております。また、東北観光誘致協議会に対しましては、東北6県でその経費の一部を負担しておりますほか、同協議会が主催するTHE祭り東北には、観光コーナーへの出展やさんさ踊りの派遣に要する経費の一部についても、県が独自に支援しているところであります。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) 高齢者の生きがい対策の推進についてでありますが、高齢者による主体的な地域活動を促進するため、活動リーダーの養成を目的とする岩手高齢者大学やシルバー洋上セミナーを実施しているほか、高齢者保健福祉基金による民間活動の助成などを行っているところであります。また、平成8年度から、このようなリーダーを中心とする高齢者のグループが地域のニーズを発掘しながら生きがい就労を初め、趣味、創作活動への指導者の派遣、工芸品の製作、販売などの活動によって、高齢者が地域づくりの一翼を担う高齢者地域活動促進センター15カ所の設置を促進することとしているほか、高齢者による地域生活の支援活動として、ひとり暮らし老人や高齢者世帯を地域の高齢者がチームを編成して見守り活動を行うシルバーメイト事業などの高齢者地域生活支援事業を、県内全域において実施することとしているところであり、これら事業の展開によって、高齢者が長年にわたって培った知識、経験を生かしながら、地域社会に参加し活躍できる環境づくりを積極的に進めてまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤昭美君登壇〕
〇農政部長(佐藤昭美君) 農村における情報施設の整備状況と今後の推進方向についてでございますが、本県におきます情報施設の整備状況につきましては、現在、2地区において農村型有線テレビが設置されており、市町村を超えた広域地域の2カ所においても、農業者と直接農業情報や経営管理情報を受発信する管理センターの整備が進められております。また、県段階におきましては、本庁と地域農業改良普及センターをコンピューターで接続し、農業気象情報や水稲、リンドウなどの生育診断システム、葉いもち発生予察システム等が稼働しているところであります。さらに、土壤診断や集落の農業特性を診断するプログラムなどを数多く開発しておりまして、また、全国の最先端技術や先進地事例、市況情報等を内容とする全国普及情報ネットワークとアクセスできる状況になっております。したがいまして、今後におきましては、既に開発されております各種情報システムや新たに開発されるものを含めまして、一元的に管理し地域農業改良普及センターや農協などの指導機関はもとより、農家自身の経営管理に活用できるような情報ネットワークの構築が重要であると考えております。このような考えのもとに、先般、総合農業情報システム整備基本構想を策定したところであり、この構想に基づき、平成9年度開設の仮称でありますが農業研究センター内に、全県をカバーする農業情報センターを整備してまいる考えであります。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、斉藤信君。
   〔1番斉藤信君登壇〕

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