平成8年2月定例会 第5回岩手県議会定例会 会議録

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〇16番(伊藤勢至君) ただいま我が党の佐藤一男議員から、まことに時宜を得た質問と、気宇壮大な御提言があり感銘をいたしたところであります。さすが我々1期生の会長と敬意を表するものでありますが、この質問に関連して私からも2点質問させていただきます。
 その1点は、本県における医療サービスについては、他県に比べ多くある県立病院の役割が大切であると佐藤議員が触れている点に関してであります。
 知事は、演述における福祉の充実の中で、久慈及び大船渡両地域への高次救急医療施設の整備を進めてまいりますと力強く述べておられました。このことは久慈広域圏、大船渡広域圏にとりましては、大変喜ばしいことでありますが、沿岸の中心に位置する宮古広域圏11万5、000人にとりましては、何か高次救急医療サービスから取り残された感じが否めないところであります。宮古は県都盛岡の海の玄関口として、盛岡経済圏の方々からようやく認知をされつつありますし、宮古から盛岡間の国道106号が地域高規格道路として認定もされておりますが、これも緒についたばかりで、依然として2時間という時間距離があります。県立宮古病院は平成4年に宮古広域圏待望の医療サービスのメッカとして開業し、優秀なる医師団と最新鋭の医療機材を駆使してのスタッフの懸命の努力によって、献身的な医療のサービスに預かっていることに心から感謝を申し上げるものでありますが、高次救急医療となりますと、県では、宮古は比較的盛岡に近いので、盛岡の高次救急センターへ高規格の救急車にて搬送という考え方のようであります。しかし、前段申しましたように、宮古から盛岡間は2時間という時間距離があり、しかも、宮古市の花原市地区から盛岡の川目地区までの約1時間半という部分は、自動車電話の通じない区間であります。高規格の救急車が電波を利用してセンターとの情報を交換しながら、その情報によって患者に手当てを加えながら搬送ということであれば、この花原市から川目までの1時間半は全く情報的に盲目の状態になるわけであります。
 現在でも、宮古広域圏の救急患者は宮古病院に搬送され、場合によっては既に3次医療、つまり高次救急医療も受けており、過去3年間の統計では、久慈、大船渡を抜いて受け入れ患者数が断トツに多い状況にあります。そこで名称はともかく、県立宮古病院が高次救急医療を担うマンパワーの充実と、関係機材の補完をすべきと考えますがいかがでありましょうか。
 さらに、せっかく高次救急医療によって生命の危機を脱しても、機能回復訓練をするところがないために退院させられ、やむなく自宅に戻り回復訓練がままならず、寝たきりになってしまう大変残念な状況であります。そこで、この際沿岸の中心地である宮古にも、県においてリハビリセンターの設置を考えるべきと思いますが、環境保健部長の御所見をお伺いをいたします。
 また、マンパワーの充実という点について、医療局長からも御所見をお伺いをいたします。
 第2点は、いわゆる住専処理の問題についてであります。
 時あたかも確定申告、そして納税の時期であります。国民がこの1年間、額に汗して働いて、その結果を申告をして、国民として、また、県、市町村民としての義務をそれぞれが応分に負担する、これが税金であり、景気がよいとは決して言えない状況の中でありながらも、国民は歯を食いしばって義務を果たしているのであります。そして、その税金には国民の、あるいは県、市町村民としての生活の向上、福祉の充実、社会基盤の整備、あるいは21世紀を担う子供たちを健やかに育てるために使ってほしいという願いを持っているわけであります。
 また、当然の権利として、行政から応分のサービスを受けることを期待してもいるのであります。バブルの時代に大もうけをたくらんで、それが失敗して元気がなくなったからといって、なぜ国民の税金6、850億円を使って、しりぬぐいをしなければならないのか。また、住専という会社がもうかっていたとき、そのもうけ分を国民に還元してくれたことがあったのか、そんなことは皆無であります。それどころか足元が危うくなってきてからも大蔵省の高官が天下りをして、1年か2年勤めただけで1億から1億2、000万円もの退職金を手にして、はい、さようならと退職していくような、とてもとても庶民からすれば考えられないことが行われていたのであります。日本のサラリーマンの生涯所得は2億4、000万円、岩手県では2億円と言われておりますが、我々が中小零細の企業の中で、額に汗して40年働いてやっと手にする金額を、たった1年か2年の勤務で与えた組織の失敗を何で我々の血税で補うのか。大体において岩手県民が住宅を新築してきたとき、お世話になっているのは、国民金融公庫や労働金庫等県内の各金融機関等であり、住専7社に面倒になっている県民は99%いないと言っても過言ではないと思います。
 一昨日の笑点という番組の中で、ある師匠が、自分も銀行から金を借りて家を新築し、毎月こつこつと支払っている。この支払いが一度でも滞ると大変なことになるが、どうもこの国では小さく借りてこつこつ返すのには大変厳しいが、何十億、何百億と大きく借りれば返さなくてもいいらしい。自分も次は大きく借りるぞと言って大拍手をもらっておりました。これは大変に厳しい風刺でありまして、私たち地方議員の及ばない範囲のことであっても、是々非々の立場から、県民にしっかりと説明のできる行動をとらなければならないと肝に銘じたところであります。
 そこで質問をいたします。
 平成8年度の予算においても県税収入は横ばいの状況でありますが、今回の政府与党がごり押しをしようとしている6、850億円の財政導入がもし決定した場合、国民の中に、そして、県、市町村に満ちあふれているノーという声が、唯一残された納税という義務を放棄する行動に結びつかないかと危惧いたしております。現に、県内の税務署にもそのような気配があると伺いましたし、ある自治体では、首長が関係職員にひたすら頭を下げて税収の確保に努めるようにと訓示したとも聞いております。岩手県では、このようにある程度予測される事態にどのように対応されるおつもりか、お伺いをいたします。
 本来であれば、税務のことでありますから千葉副知事だと思いますけれども、この際、吉永副知事に御答弁をお願いをするものであります。
   〔副知事吉永國光君登壇〕
〇副知事(吉永國光君) 国の住専処理策に反対する納税者が税を納めなくなるのではないのかとのお尋ねについてでございますが、国の住専処理策をめぐっては、国政の場で十分論議がなされ、広く国民の理解を得られるような、適切で、かつ迅速な処理が図られるべきと考えているところでございます。いずれにいたしましても、県といたしましては、県税が県民の皆様への行政サービスを行うための貴重な財源であることについて御理解を求めながら、申告納税制度の本旨にのっとった適正な申告を確保するなど、適切な税務執行と税収確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) 県立宮古病院の高次救急医療の充実についてでございますが、昨年7月に岩手県救急医療検討会から出されました最終報告におきましては、3次救急医療体制について岩手県高次救急センターから比較的遠い地域にある宮古地域などにつきましては、中長期的見地から既存の救急医療体制を逐次充実する方向で整備することが望ましいとされたところであります。したがいまして、本県につきましては、久慈地域及び大船渡地域に設置される予定の救命救急センターの運営状況を見ながら、必要に応じて中長期的見地から段階的に国庫補助金の導入による機器の整備等行うとともに、当面は宮古保健医療圏など、各保健医療圏について、現在策定作業を行っている医療法上の医療計画の見直しの中で、救急医療体制のあり方を含め関係者と意見調整、要請を行い、その充実に努めてまいりたいと存じているところであります。
 続きまして、宮古へのリハビリセンターの設置についてでありますが、県では、平成5年にリハビリ医療の中核施設として、いわてリハビリテーションセンターを開設しておりまして、入院患者の約2割を宮古保健医療圏から受け入れるなど、県内各地から患者を広く受け入れ、高度なリハビリ医療の提供、地域リハビリ活動の支援、教育研修等を行っているところでございます。
 一方、県内各医療圏におきましても、県立病院や岩手労災病院などでリハビリ医療の充実が図られてきておりまして、県といたしましては、今後ともいわてリハビリテーションセンターと宮古地域など、各圏域の医療機関等との有機的な連携を図るとともに、宮古圏域等における医療計画の趣旨を踏まえまして、理学療法士の市町村派遣あるいは関係者の研修等を行い、地域リハビリ医療の充実に努めてまいりたいと考えております。
   〔医療局長中村盛一君登壇〕
〇医療局長(中村盛一君) 高次救急医療体制の充実につきましては、ただいま環境保健部長が申し上げたとおりでございますが、現在の宮古病院の救急体制につきましてのマンパワーの確保でございますが、現在、夜間、土日とも当直医師1名、そして待機を内科系、外科系それぞれ1名を待機させております。それから看護婦につきましても、当直2名、そのほか手術等のために待機を2名かけておりますし、薬剤師も1名それぞれ当直させておりますし、さらには放射線技師、あるいは臨床検査技師等も随時待機をさせておるところでございます。
 なお、今年4月以降、心臓欠陥外科につきましても、正規医師の配置の予定をしておりますので、今後とも充実に努めてまいりたいと考えております。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、佐々木大和君。
   〔9番佐々木大和君登壇〕(拍手)

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