平成8年2月定例会 第5回岩手県議会定例会 会議録

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〇18番(高橋賢輔君) まず、昨日御逝去されました千葉英三議員に対し、心から御冥福をお祈りいたします。
 私は、平成7年6月26日に急逝されました北上選挙区選出の片方盛議員の後任として繰り上げ当選いたしました新進党の高橋賢輔でございます。
 先輩故片方盛先生は、卓越した識見と的確な判断力、温かい包容力、飾らない人柄を備えられ、そして、事に当たっては常に全力を注がれ、岩手県勢の発展に御尽力されました。私は、その御功績をしのび、深い哀悼の意を表しながら、先生の遺志を継承し、県民生活の向上のために力を尽くす覚悟でございます。先輩、同僚議員各位の御指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 さて、増田知事は、若さと行動力に加え、柔軟な発想と明倆な判断力、気さくな人柄と際立ったリーダーシップにより、就任以来県政を円滑に運営され、21世紀への躍進の地歩を築かれておられることに心から拍手を送るものであります。時あたかも平成8年度は、県政運営の基本指針である第三次岩手県総合発展計画後期実施計画の初年度に当たります。この計画は、増田新知事のもと、前期実施計画を継承し、そして、全体計画を完結させるにとどまらず、若き知事の政治哲学と岩手の将来に寄せる情熱が具現化された21世紀の岩手への確かなかけ橋となるものと信じてやまないのであります。しかし、岩手を取り巻く諸情勢は、国政、経済、世相を見ましても、決して明るいものだけではありません。知事におかれましては、県勢のさらなる発展のために、揺るぎない信念を持ってかじ取りをなさいますよう強く望むものであります。
 ところで知事は、就任以来県民の生の声に直接触れようと、真摯な姿勢で県内各地域にみずから出向かれて数多くの人々とさまざまな課題について懇談を重ねてこられたものと承知いたしております。これは、県政を、市町村初め、県民1人1人のものとしていく上で、そしてまた、広く県政に対する協力を仰いでいく上で大きな意義を持つものであり、これがゆえに、単に意見、提言を聞きおくのではなく、可能な限り施策の中に具体的に取り入れていくべきものと思うのであります。
 そこで知事に伺いますが、これまでの県政懇談会を通じて出された地域の住民の声をどのように受けとめておられるのでしょうか。また、平成8年度の当初予算編成に当たって、具体的にどのように反映されたのでしょうか。知事御自身がこうやったんだというアピールを込めながらの御答弁をちょうだいいたしたいと存じます。
 さらに知事は、これまで住民と直接接する市町村の役割を重要なものととらえられ、市町村主導の地域特性を生かした振興策が必要であるとの観点から、これをサポートする県と市町村との連携の強化を図るべく意を用いてこられたものと存じております。私は、地域活性化事業調整費を思い切ってこれまでの2倍に増額したところに知事の強い意思があらわれたものと高く評価するものであります。市町村においては、この事業をフルに活用しながら、あわせて市町村独自の事業を展開し、地域振興に取り組んでほしいものであります。しかしながら、地域振興の主体であります市町村の財政は、近年、公債費比率や経常収支比率が高まり、新規の事業や投資的な事業に使う財源が減少している傾向にあると伺っております。県も健全で均衡ある財政を目指すことはもちろんではありますが、私は、地域振興や住民福祉の最前線である市町村の健全財政の確保こそ急がれる課題であると思うのであります。職員定数は妥当か、事務の合理化や簡素化による経費の節減の余地はないかなど、市町村の行財政全般を見直して、知事の言う県政の最前線の機能が十分に発揮されるようにすべきではないでしょうか。知事は、市町村が果たすべき役割をどのように考えられ、どのような市町村行政を期待されておられるのか、改めてお聞かせ願います。
 また、これが十分に機能するためにも、市町村の行財政全般についてどのように指導していくお考えか、あわせてお伺いいたします。
 ところで私は、少子化や高齢化の進行に伴って、今後、規模の小さな市町村ほど人口の減少や財政力の低下などが進み、現在行っている住民福祉サービスや公共投資の水準維持は困難になろうと思いますし、さらには、行政の基本単位としての団体そのものの存立にさえ非常に強い危惧を覚えるのであります。私は、このような近未来に対処するためにも、今のうちから広域的な行政体制を確立し、共同で効率的な行政が行えるよう準備を重ねる必要があろうと考えるものであります。御承知のとおり、広域的な行政の究極の姿は合併であります。また、昨年からは国や県の権限を委任されて、広域的な計画のもとに事務を処理する広域連合の制度が施行され、行政の広域的な執行が期待されているところでもあります。
 北上市は、平成3年4月に対等合併を果たし再出発しており、間もなく新市建設計画期間である5年を迎えようとしておりますが、この際当局に伺います。長期的な視点に立った市町村行政のあり方という観点からは、北上市の合併はどのように評価されるのでしょうか。
また、今後、広域的な行政、なかんずく広域連合制度の導入についてはどのように取り組んでいくお考えでしょうか。
 次に、県内の格差解消に関して伺います。
 広大な県内の各地域ではさまざまな面での格差が生じており、このことは、知事初め、各位には古くからの課題としてその解消に努力されているものと思います。新年度からは特定地域振興室を設け、取り組みを強化されると聞いており、この問題に対する知事初め執行部の並々ならぬ意欲を感ずるのであります。しかしながら、私は、この格差解消が議論されますときは、ともすれば沿岸部や県北部と内陸部との格差の問題が中心となり、奥羽山脈沿いの西和賀地方については忘れがちな傾向にあるのではないかと感ずるのであります。西和賀地方は、盛岡や北上と通ずる道路は狭く危険であり、また、県内屈指の豪雪地帯であることから、住民の生産活動や日常生活の上でさまざまな困難を生じておりますが、特に高齢の方々にとっては大きなハンディを負っている地域でもあります。このような中でも、住民は演劇による地域文化のアピール、雪を利用したイベントの創出、温泉の活用など、地域を振興しようと精いっぱい頑張っているのであります。私は、この機会に、特別豪雪地帯の振興、特に西和賀地方の振興についても忘れないでほしいと申し上げたいのでありますが、この地域の振興にどう取り組んでいかれるのか、当局のお考えをお聞かせ願います。
 次に、本県の基幹産業である第1次産業に関して幾つか伺います。
 今、農業、林業、水産業のいずれにおいても、輸入産物の増大など、国際化の渦に巻き込まれている現状にありますが、加えて、この現状からの脱却を目指して産地間の競争が激化して、これらの産業は大変困難な場面に遭遇いたしております。農業では、米穀、野菜、果実などの生産物の輸入量が年々増大しており、生産農家の将来展望に暗い影を落としております。また、北海道に次ぐ森林県岩手の林業は、輸入材の国内供給割合が8割になんなんとする現状のもとで、その地歩の確保には相当の努力が必要であります。水産業においても、漁業従事者の懸命な努力にもかかわらず、輸入水産物の増加に伴う価格の低迷を初め、遠洋漁業の国際的な規制の強化による規模の縮小など、ゆゆしき事態に陥っているのであります。加えて、これら産業の就業者の減少や高齢化が進行しており、今、抜本的な施策を講じなければ、広大な面積と豊かな自然に恵まれた岩手に暮らす県民の生活向上は成り立ち得ないと言っても過言ではないのであります。知事におかれましては、このたびの予算案を見ましても農林水産業の振興に並々ならぬ配慮をなされておりますが、広大な県土の自然条件などを生かした適地適産の一層の推進や新技術開発による高付加価値化を図り、産地間競争に打ち勝つような施策を強化されるよう望むものであります。
 そこでまず、知事は、3県総の後期実施計画の策定に当たって、本県の第1次産業の位置づけと今後のあるべき姿をどのように認識されておられるのか、また、その振興策の柱についての所見を御披瀝願いたいと思います。
 以下、当局に個別にお尋ねいたします。
 まず、農業についてであります。
 県の農政審議会は、さきに第3次新いわて農業確立計画後期推進計画について答申したところであります。この中の、高収益農業の推進、主業型農家の育成や法人化の促進などによる地域ぐるみ農業の確立についての答申は、認定農業者制度や適地適産品の生産などと相まって、総合産地化を目指すものとして、私は大いに賛同いたしておりますが、特に、法人化の促進という新しい視点に注目したいのであります。私は、法人化による効果を大きく上げるには、農地の集約が不可欠であると考えますが、本県農業地域の多くは中山間地域であり、過疎化や高齢化が進行し、また、農地が小規模で分散化している状況にあります。このため、法人化を進めて経営基盤を確立するためには、農地の権利関係の明確化など、多くの困難が生ずると思われますし、地域の理解、協力も必要と思います。このような課題がある中で、県は法人化の促進について、どのような手順や方途をお考えか、お尋ねいたします。
 また、総合産地化が名実ともにその地歩を占めるためには、その地域の条件に適した作目を生産することが何よりも肝心であると思います。このためには、自然条件を初め、年間を通じた全国的な需給関係の研究も必要でありますし、さらに、国際的な視点にも考慮する必要がありましょう。こういった研究を急ぎ、適切な作付指導を行い、さらに、短期間での産地形成のための思い切った助成を行うなど、1日も早く全国にその地歩を築くべきであります。県の適地適産品の選定とその産地形成に当たっての方針をお答え願います。
 次に、林業についてであります。
 県土の7割を超える広大な森林と多様な樹種に恵まれ、全国第2位の生産量を誇っているにもかかわらず、本県林業は国産材の価格の低迷などによって、その存続が危ぶまれる状況にあると言えましょう。これを打開するためには、木材搬出を容易にする搬出路の確保など効率的な集材方法の整備、県産材の付加価値を高める高次加工技術の開発、さらに出荷体制の整備などが急がれるところであります。県は、このような状況にある林業の振興について、どのように取り組んでいくお考えでしょうか。集材方法の整備の現状や高次加工技術開発の状況など、具体的な事例や課題などを交えてお答え願います。
 次に、水産業につきましては、先ほど申し上げましたとおり重大な時期を迎えておりますが、これを克服するためには、つくり育てる漁業の確立、高付加価値加工商品の開発、流通体制の整備が急がれると思うのであります。県は、これまで栽培漁業に多くの投資を行ってきましたが、このつくり育てる漁業が本県水産業においてどのような意義を有するとお考えか、今後どう進めていくのかについて、新たな栽培施設の必要性やマツカワなど養殖魚種の普及にも触れながらお答え願います。
 また、水産加工食品の研究開発の現状と将来展望をどのようにとらえているかについてもお聞かせ願います。
 次に、商工業振興に関連して1点伺います。
 本県の工業は、北上川流域テクノポリス圏を核として、広く県南地域まで先端産業が集積してきており、これまでの県や市町村の努力のたまものと敬意を表するものであります。私は、本県の商工業の一層の発展を考えるとき、これらの地域に産業業務団地や流通基地などの第3次産業の機能を整備し、製造業と一体となって経済活動を活発化していくことが必要と思うのであります。ところで、本県の輸出額はおおむね1、400億円前後で推移しているものと思われますが、今後こうした経済活動の活発化やボーダーレス化の進展に伴って、県内の貿易活動も着々と広がっていくものと期待されます。このような本県の経済活動の将来を展望するとき、本県の物流拠点の整備の一環として、また、業務、流通を含む幅広い企業の誘致のためにも、内陸通関基地であるインランドデポの設置について検討する必要があるのではないでしょうか。インランドデポに対する当局の御認識とその実現可能性について御所見をお聞かせ願います。
 次に、道路問題について伺います。
 広大な本県では、道路整備は県政の重要課題の1つであり、歴代知事もその整備に力を入れてこられ、今、増田知事のもと、さらなる取り組みが行われようとしております。しかし、広大な県土に四通八達させるためには、数多く残る危険箇所の改良など、まだまだ課題が山積していると思われるのであります。先ほど西和賀地方の振興に関するお尋ねの際にも触れましたとおり、特にこの地域には多くの改良すべき箇所、路線が残されております。まず、夏油方面を含めこの地方の道路整備の必要性について、当局はどのように認識されているのか、お考えをお伺いします。
 次に、冬期間の除雪、融雪対策についてでありますが、今年は、例年になく降雪量が多く、また、寒冷な冬でした。私は、西和賀地方のみならず、各地に出かけてみて、冬期間の通行の危険性を改めて身をもって感じた次第であります。車道の凍結はもとより、都市部の日陰における歩道の凍結は、とりわけ高齢者を初め、ハンディキャップを有する方々にはまことにお気の毒でなりませんでした。また、歩行者通路に除雪された車道の雪で、結局は歩行者が車道を通行せざるを得なかったりと、ひとにやさしい道路という観点からは、まだまだ市町村と一体となって取り組むべき課題が多いものと思います。県や市町村には、恐らくさまざまな県民の声が寄せられたのではないでしょうか。この厳しかった冬期間を顧みて、除雪、融雪対策についての今後の課題や対策の方向についてお聞かせ願います。
 最後に、教育に関して伺います。
 私どもには、人生の先輩として、子供の持つ感性や能力を伸ばしながら、次代を担う人材として育成していく務めがあると思うのでありますが、私は、最近のテレビや新聞で報道される、いじめと自殺、そして不登校の問題には、心の痛みを強く感じているところであります。多感な少年少女時代に受けた心の傷はいえがたく、その子の人間形成にも大きな影響を与えかねません。教育委員会では、学校適応指導を推進するため、新たに心の健康推進事業を取り入れるなどして、これらの対策に努めると聞いております。このようなカウンセリングの充実は、それなりに意味を持つものとは思いますが、私は、学校での教師1人1人のこれらの問題に対する取り組み姿勢にこそ落ち度はないかと、疑問を持つものであります。いじめられた子供自身の親も参加して開かれた日教組の教研集会でも、学校や教師の対応の問題が大きく取り上げられたとされております。ともすれば、その子自身の問題あるいは家庭の問題としてとらえられ、いじめられる側、登校を拒否する側に立った理解や、教師としての取り組み意識が不足しているのではないかとの印象をぬぐい得ないのであります。教育長は、今こそ教育現場に、教師自身の問題であるという認識を打ち立てて対処していくべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、小規模校の統合問題であります。
 小規模校は、地域の教育の場としてのみならず、地区住民が形づくる、いわば最小単位の組織のよりどころとして存在してきたものと言っても過言ではなく、実際、住民の愛着感には理屈であらわせないほど強いものがあります。したがいまして、私は人口の減少が進み、共同体としての地区の崩壊のおそれさえ懸念される今日では、統合に際しては、単に効率を高めるという観点からのみならず、地域社会での役割をも十分に考慮した上で、慎重にこれを行うべきであると主張したいのであります。教育委員会では、今後、小中学校の統合についてどのような方針のもとに市町村を指導するお考えか、お聞かせ願います。
 次に、インターハイの準備の状況について伺います。
 全国から3万人を超える選手、監督がこの岩手の地に集い、相互に技を競い合い、そして自己との戦いに情熱を傾ける平成11年度インターハイまで残すところ3年有余となりました。北上市をメーン会場として、県下20市町村で開催されるこの大会は、県の多大な御支援のもとに、会場の整備など、着々とその準備が進められております。私は、この大会は、円滑な競技運営は当然のこと、参加した若者たちの多くが、もう一度岩手を訪れてみたいと感ずるようなホスピタリティーあふれるものとなってこそ、真の成功と言えると思っております。この大会運営の基本方針については、どのようにお考えでしょうか。また、ハード面、ソフト面での準備はどのように進んでいるのか、あわせてお答え願います。 以上で私の一般質問を終わりますが、初めてのことでもあり、言葉足らずやお聞き取りにくい点があったとは思いますが、お許しを願い、よろしくお答えいただきたいと思います。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 高橋賢輔議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、県政懇談会で出された御意見、御提言をどのように受けとめたかという点についてでございますが、私は、県民の皆様の声をきめ細かくお聞きをするために、県政懇談会を現在までに県内各地の25市町村で開催をさせていただきましたほか、新たに女性の社会参加活動ということのテーマでの懇談会、また、21世紀の岩手を担う青年との懇談会なども開催をさせていただきまして、これまでにおおむね1、000件に及ぶ御意見や御提言をちょうだいをいたしたところでございます。これらの懇談会を通じまして、それぞれの地域で多くの方々が地域の発展のために日夜真剣に取り組んでおられる姿に接しまして、大変心強く感ずるとともに、今後ともこのような地域の熱意や発想を大事に大切にしながら、地域づくりを進めることが肝要であり、県としてもこうした各地域での皆様方の取り組みをできるだけ支援をしていきたいと、このように考えているところでございます。
 このため平成8年度当初予算編成に当たりましては、こうした考え方を具現化するため代表的なものといたしましては、まず、地域活性化事業調整費を大幅に拡充をさせていただきまして、特色ある地域づくりに対する支援を強化するとともに、特に広域的観点からの取り組みを強化するために、新たに、複数の市町村の共同、連携による活性化プロジェクトについて調査研究を行うこととしたところでございます。
 また、道路網の整備につきましては、開催をいたしました全市町村におきまして大変多くの御提言をいただいたところでございまして、いわゆる峠部分のトンネル化などによります整備や、内陸と沿岸を結ぶ幹線道路の整備を中心といたしました、新交流ネットワーク道路整備事業を積極的に推進をすることとしたところでございます。
 さらに、農業分野におけるウルグァイ・ラウンド合意に関連します対策や、中山間地域の特性を生かした営農についての地域ごとのきめ細かな支援、ベンチャー企業に対する資金的支援を行うなど、各領域分野にわたりまして可能な限り御提言の実現に努力をしたところでございます。
 次に、市町村の果たすべき役割と市町村指導についてでございますが、私は、住民に身近な行政は、住民に最も身近な行政主体、基礎的自治体でございます市町村において展開をしていくことが基本であると、このように認識をいたしておりまして、住民に一番身近なところで住民のニーズをとらえ、その解決に当たるという意味でのこの先端行政を担っております市町村の果たす役割は、これからますます重要となっていくと、このように考えております。
 また、これからの地方自治は、地域の個性を十分に発揮をして、多様で創造的な地域づくりができるように、市町村が創意工夫を凝らし、独自性のある行政を展開する必要があると、このように考えております。このために、市町村が自主的に行政改革などに取り組みまして、簡素で効率的な行政システムの確立を図って、それぞれの市町村の政策形成機能や総合調整機能などを高めますとともに、一方では、それに対応した行財政基盤の強化が図られる必要があると、このように考えております。県といたしましても、こうした観点から、市町村が意欲を持って地域づくりに取り組めるように、今後とも、行財政全般にわたりまして必要な助言指導をしてまいりたいと、このように考えております。
 次に、3県総の後期実施計画における第1次産業の位置づけと振興策についてでございますが、本県農林水産業は、全国屈指の生産を誇っておりまして、また、県民生活を支える大変重要な産業でもございます。したがいまして、後期実施計画におきましては、施策の最重点の1つとしてこれを位置づけまして、第1次産業たる農林水産業に携わる方々が、国際化の波にも揺るぐこともなく意欲を持って経営を展開し、県勢発展の一翼を担っていただきますように、その振興を図ってまいりたいと、このように考えております。
 このため、具体的にはまず農業につきましては、本県の主要作目でございます米、畜産の低コスト、高品質生産を確立するとともに、収益性の高い野菜、花卉を農業再編の戦略部門として位置づけまして、その生産拡大と有利販売に努めていきたいと考えております。また、こうした農業の中心的役割を担います主業型農家を県内各地に育成をするなど、諸施策を総合的に展開をしていきたいというふうに考えております。
 次に、林業につきましては、木材総合加工基地の整備、県産材のブランド化の推進など、生産の段階から加工、流通に至る総合的な対策を進めるとともに、木炭、シイタケの主産地形成を進めていきたいと考えております。
 さらに、水産業につきましては、ヒラメやマツカワの新たな魚類栽培を推進をいたしまして、つくり育てる漁業を新たに展開をするとともに、消費者ニーズに対応した新商品の開発やそれぞれのブランド化、販路の拡大を積極的に推進をし、秋サケを初めとする水産物の消費拡大に努めていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願い申し上げます。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) まず、北上市の合併の評価についてでありますけれども、もとより、市町村の合併の効果というものは、長期的な観点からこれを評価する必要があると存じておりますけれども、北上市におきましては、合併によりまして、行財政運営の基盤が強化され、地方公共団体としての総合力が大きく向上したものと考えております。また、新市建設計画が着実に推進され、都市機能の充実や生活環境の整備が図られますとともに、総合行政システムの構築等による住民情報の提供や公共施設の利用範囲の拡大など、住民の利便性が高まる一方、地方拠点都市地域として指定されるなど、相応の効果が出てきているものと承知しております。
 次に、広域連合制度の導入についてでありますが、今後、日常生活圏の拡大等に伴いまして、市町村の区域を越える広域的な行政需要が増大すると考えられまして、市町村がより一層連携して広域的な課題に対応していく必要があると存じております。そして、こうした多様な広域的行政需要に、適切かつ効率的に対処していくためには、広域連合制度の活用もこれもまた1つの有力な方策と考えております。したがいまして、それぞれの市町村の実情を踏まえながら、積極的な取り組みを促してまいりたいと考えております。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) 西和賀地方の振興についてでありますが、当地方は、豪雪地帯対策特別措置法で指定されております特別豪雪地帯でありまして、他の地域に比べまして積雪量が特に多く、円滑な交通が妨げられ、住民生活や産業活動に支障を来すなど不利な条件下にあります。このため県におきましては、これまでも国、町村と一体となりまして、国の基本計画に基づきます交通、通信の確保対策を初め、産業の振興、国土保全施設の整備など各般の施策を推進してきたところであります。近年この地域におきましては、住民の皆様のたゆまぬ努力と創意工夫によりまして、厳しい自然条件を逆に地域資源として活用し、農業の振興やイベント等において着実に成果を上げつつあります。さらにまた、平成9年度には、東北横断自動車道釜石秋田線の北上西-湯田間の完成によりまして、東北縦貫自動車道に結節されますので、将来に向かって一層の発展が見込まれております。
 したがいまして、県といたしましては、今後、当地域の発展可能性を一層顕在化させ、振興が図られますように、東北横断自動車道の整備促進や、県道盛岡横手線の山伏峠におけるトンネル工事の早期完成、公共下水道の整備など、生産、生活両面の基盤整備に取り組んでまいりたいと考えております。また、夏季冷涼な気象や雪、熱水などの地域資源を生かしまして、花卉、野菜の生産拡大などにより、収益性の高い農業の確立を図るとともに、錦秋湖サービスエリア周辺の開発構想、トナカイ牧場や地ビールを中心とした沢内銀河高原構想などを促進するなど、地元町村との密接な連携のもとに、西和賀地方の一層の振興を図ってまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤昭美君登壇〕
〇農政部長(佐藤昭美君) まず、農業経営の法人化の促進についてでありますが、法人形態の農業経営は、対外信用力が向上することや、雇用労働者の福祉増進が図られること、さらには、新規就農者の確保が図られることなどのさまざまな利点がありますので、法人化の条件が整った段階において、熟度の高いものから誘導していく考えでありまして、その対象としましては、稲作経営や中山間地域では、畜産、果樹や農産物加工経営が中心になるものと存じております。こうした法人の経営基盤の強化につきましては、構成員による農地の持ち寄りや、周辺農家からの農地の利用集積によりまして、経営規模の拡大を図ってまいりますほか、年間を通じて就労できる体制づくりを促進することが重要であります。このため、県といたしましては、集落の合意形成を図り、分散している農地を面的に集積する先導的利用集積事業や、農地の売買、貸し借りを円滑に推進する農地保有合理化事業を実施しているところであります。また、年間を通じて就労を促進するため、農産物加工施設の整備等を進めているところであり、今後とも、こうした各種事業の充実強化を図りながら、農業法人としての条件づくりについて積極的に支援、指導してまいる考えであります。
 次に、適地適産品の選定と産地形成についてでありますが、今後ますます激化する産地間競争の中で本県農業が着実に発展していくためには、多様化する消費者ニーズに対応しまして、地域の気象条件や地形を生かした特色ある農産物の生産を行い、また、その銘柄化を図るなど、有利販売につながる産地づくりを推進していくことが重要であると考えております。したがいまして、首都圏等消費地における時期別の売れ筋や、他県の生産、出荷動向等の情報を迅速に収集し、徹底した調査分析を行いますとともに、稲作については、適地に適品種の配置を基本としまして、味のよい主食用米を主体としながら、モチ米、酒米など多様な需要に対応した生産とその銘柄の確立を図り、また、野菜などの園芸作物につきましては、地域の立地条件に応じまして、需要の多い品目や夏の時期の高冷地野菜生産などのように端境期出荷をねらった作型を配置し、産地間相互の生産分担や長期安定出荷に向けた広域的な取り組みを促進してまいる考えであります。こうした考え方に立って、地域ごとの産地拡大ビジョンづくりや、その実践活動など、戦略的な産地活動の取り組みを支援してまいりたいと存じております。
   〔林業水産部長田尾秀夫君登壇〕
〇林業水産部長(田尾秀夫君) まず、林業の振興についてでありますが、輸入材や産地間競争に打ち勝っていくためには、議員御指摘のとおり、搬出コストの削減が何よりも重要でありますので、これまで林道や作業道の整備を行うとともに、木材の伐倒や集材、搬出作業等を効率的にしかも安全に行うことができる高性能林業機械の導入に努めてきたところでございます。この結果、林道の整備延長は3、800キロメートルに及び、整備目標の95%に達するとともに、高性能林業機械は県下に64台配備され、全国でも上位の配備状況となっております。しかしながら、今後ますます激化する輸入材や産地間競争に打ち勝っていくためにはより一層のコスト削減が必要でありますので、今後さらに林道や作業道の計画的な整備に努めますとともに、高性能林業機械の積極的な導入を図り、搬出コストの削減に努めてまいりたいと存じます。
 また、高次加工技術の開発については、県の林業技術センターにおいて、県の木でありますアカマツ材を燃えにくくする技術や表面をかたくする技術の開発に取り組んでまいりました結果、一応のめどがつきましたので、今後は高次木材加工に取り組んでいる企業と連携をとりながら、その実用化を図ってまいりたいと存じます。
 次に、県産材の出荷体制についてでありますが、大量出荷やブランド化を推進するため、共同出荷の促進に努めてきたところでございまして、この結果、県木材協同組合連合会がアカマツ材や杉材を関東地方の市場に共同出荷しているほか、気仙地区や東磐井地区において気仙スギや東磐スギの共同出荷が行われているところでございますので、このような取り組みがさらに拡大するよう努力してまいる所存でございます。
 次に、水産業の振興についてお答えいたします。
 まず、つくり育てる漁業の意義と今後の進め方についてでありますが、200海里時代を迎え、県ではサケ、アワビ、ウニ、ワカメなどのつくり育てる漁業を積極的に推進してきたところでございまして、この結果、つくり育てる漁業の生産額は本県漁業生産額の6割を超え、本県の最も重要な漁業に成長したところでございます。しかしながら、近年、秋サケの価格が下落するとともに、ワカメ、アワビなどの生産が伸び悩んでいるなど、極めて厳しい現状にありますことから、21世紀に向かって本県漁業の未来を切り開くため、新たにヒラメやマツカワなどの魚類栽培や養殖を積極的に推進してまいりたいと考えております。具体的には、マツカワの養殖につきましては、株式会社サンロックにおいて種苗生産がなされておりますので、今後、規模拡大や適地への普及を図りますとともに、釜石市など、関係市町村との連絡を図りながら販路の開拓に努めてまいりたいと存じます。また、ヒラメやマツカワなどの魚類栽培の推進につきましては、昨年、各界の専門家で構成する懇話会を設置し、魚類栽培の推進方向について御提言いただいたところでありますので、平成8年度には種苗生産施設建設のための立地条件調査を実施するなど、関係者と一丸となって着実に推進してまいりたいと存じます。
 次に、水産加工食品の研究開発の現状と将来展望についてでありますが、本県水産物の消費拡大を図っていくためには新商品の開発が何よりも重要であり、水産技術センターの重点研究課題として精力的に取り組んでいるところでございます。この結果、これまでにサンマの刺身のパックや塩分を控えたイクラ、サケの骨粉入りクッキーなどを青年加工研究グループなどと共同開発しているところでございますが、消費者はより健康的で、しかも安全、簡便なものを求めておりますので、このような消費者ニーズにマッチした新商品を開発するよう、精力的に今後取り組んでまいりたいと存じます。
   〔商工労働部長古館敏男君登壇〕
〇商工労働部長(古館敏男君) インランドデポに対する認識と実現可能性についてでありますが、御案内のとおり、インランドデポは、内陸部において輸出入貨物の通関業務等を行うことにより物流の迅速化などが期待される施設であり、全国で15カ所、東北地方では山形県に設置されているものであります。県といたしましても、インランドデポにつきましては、国際化に対応した新たな物流体制の整備を図る上での重要な検討課題の1つと位置づけまして、函館税関との連携のもと、これまでもその設置可能性について検討してきたところであり、平成2年及び本年1月にこの施設に対する県内企業の意向調査を実施したところでございます。この結果によりますと、県内の輸出入関連企業においては、本社や商社が一括して県外で貿易業務を行うことが多いことなどから、利用需要が少なく、現状では施設の設置に必要な通関量の確保が極めて厳しい状況にあるものと考えております。したがいまして、インランドデポの設置につきましては、まずもって施設の設置にふさわしい輸出入貨物の確保を図ることが必要であると考えております。県といたしましては、今後とも貿易の促進やインランドデポに対する県内企業の啓発普及等により、施設利用の喚起に努めるとともに、函館税関等との定期的な情報交換を行うなど、関係機関との密接な連携を図りながら、その施設について引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) まず、西和賀地方の道路整備の必要性についてでありますが、道路は、生活に必要なあらゆる施設を連続的なネットワークで結ぶ社会資本であり、特に特別豪雪地域に指定されている湯田町及び沢内村にとりましては、冬季の生産活動や日常生活を支えるための交通の安定的確保は何よりも必要であると認識しているところであります。この地方の道路網は、東北横断自動車道釜石秋田線や本県の中央部を横断する国道107号、西和賀地方と県都盛岡を結ぶ県道盛岡横手線及び貴重な観光資源となっている夏油地区と北上市を結ぶ県道夏油温泉江釣子線などで構成されております。このうち、国道107号の大荒沢地区、それから無地内地区、県道夏油温泉江釣子線の岩崎橋付近や県道花巻衣川線の横川目地区など、隘路区間について現在整備を進めているところであり、今後とも冬季交通に配慮しながら、地域の振興を図るため、その整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、除雪や融雪対策についてでありますが、雪国である本県にとりまして冬季交通の確保は極めて重要であることから、公共交通機関であるバスの始発時間に間に合うように大型除雪機械による早期除雪を実施しているほか、スタッドレスタイヤ社会への本格的移行により顕在化してきました凍結路面に対する対策として、凍結防止剤散布車の増強や消融雪施設の整備に努めているところであります。さらに、吹雪や雪崩等が発生しそうな箇所にはスノーシェルターやスノーシェッドあるいは防雪さくを設置するなどの総合的な雪道対策を進めているところであります。
 また、歩道につきましては、オペレーター不足などにより、車道除雪が終わってから歩道除雪を行わざるを得ないこともあり、若干おくれを生じている地域もありますが、市町村と連携を図りながらできるだけ早期に除雪するよう努めてまいりたいと考えております。また、駅や商店街、バス停や公共施設などへ通じる歩行者の多い区間につきましては、消融雪施設の整備を順次進めるなどの努力をしているところであります。最近は冬でも夏と変わらない生活が一般化しつつあるほか、本格的な高齢社会が訪れようとしていることから、道路管理者といたしましても、県民の方々の道路に対する多様なニーズに適切に対応しながら、より一層安全で快適な冬季交通の確保が図られるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) まず、いじめや登校拒否に対する教師の取り組み姿勢についてでありますが、これらの問題は、その要因や背景が複雑でありますが、学校生活における人間関係が直接、間接に起因し、問題化しているとの自覚認識のもとに取り組んでいるところであり、教師みずからが主体となって指導していかなければならないことは申すまでもないところであります。現在、市町村教育委員会が実施する諸事業とあわせ、各学校では、校内外での研修会を通して教師の指導力、実践力の向上に努めるとともに、早期発見、早期指導のための校内指導体制を確立し、教育活動を進めているところであります。県教育委員会といたしましては、教師みずからが個々の児童生徒との信頼関係をさらに深めるよう、カウンセリングの専門的領域をも加えた教育相談等の研修事業の拡充を図るなど、市町村教育委員会とともにこの問題への対応に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、小規模学校の統合についてでありますが、公立小中学校の統合は、学校の設置者である市町村が学校規模の適正化による教育効果の向上を目指し、行うものであります。学校統合に際しましては、学校の地域社会での役割をも考慮すべきとの御提言につきましては、基本的な認識として受けとめさせていただきます。県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会に対し、学校統合を計画する場合は、学校の持つ地域的意義などをも考慮しながら、これまでも地域住民の理解と協力を得て行うよう指導してきたところであり、今後ともこのように指導してまいりたいと考えております。
 次に、インターハイの準備状況についてでありますが、運営の基本方針といたしまして、県内すべての高校生の熱意と創意を結集した1人1役運動などを積極的に展開し、全国の高校生を温かく迎え入れ、お互いに友情をはぐくむとともに、岩手の魅力を全国に紹介するなど、6つの基本方針のもとに、鋭意、準備業務に取り組んでいるところであります。また、競技施設やアクセス道路などのハード面につきましては、県及び会場市町村において、関係機関等の積極的な協力のもとに当初計画に沿って準備が進められているところであります。さらに、円滑な大会運営を図るため、昨年7月、本大会の岩手県準備委員会を設立したところであり、現在、競技、広報報道、式典演技、宿泊保健などの専門委員会において活動の基本ともなる業務推進計画などのソフト面について具体的な検討を行っているところであります。今後におきましては、会場地市町村はもとより、関係機関、団体等とのさらに連携を密にしながら、大会の成功に向け、万全の準備を進めてまいる考えであります。

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