平成8年2月定例会 第5回岩手県議会定例会 会議録

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〇21番(谷藤裕明君) 自由民主党の谷藤裕明でございます。
 質問に先立ち、我が党、我が議会の先輩として日ごろより尊敬いたしておりました千葉英三先生の御逝去に対し、心から哀悼の意をささげる次第であります。
 さて、私は、去る22日の本会議において行われました増田知事の演述並びに関連する県政の諸課題について質問いたします。
 知事演述の中でまず挙げられる第1の問題点は、地域振興において最も基本とすべき岩手らしさ、いわば岩手の独自性についての認識が明確ではないのではないかということであります。したがって、演述の中の岩手という名称をどこかの県に置きかえ、どこかの県において演述したとしても不思議ではないような印象でございました。県内各地においてかけがえのない独自性、豊かな自然環境や文化的、歴史的遺産などを生かした特色ある地域づくりに鋭意取り組まれている中にあって、県として、県外、世界に向けて発信すべき最も大切な岩手らしさについて、知事としての認識が具体的に示されておらないからであります。私は、従来から県政を推進する上で最も重要なことは、本県独自の活性化を目指すということ、すなわち個性化志向であると存じております。決して他の地域に追随するものではない、我が国全体にとどまらず、国際化社会も視野に入れて本県の持つ比較優位の新たなポジションを明らかにした上で、それらを生かす個性的な政策手段を推進していくことが肝要であると考えておりますが、いかがでしょうか、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 知事演述において次に指摘をしておきたいことは、産地間競争に打ち勝つ地域経済の構築を目指すとし、例えば地域の核となる農業者の育成を図ると述べられておりますが、本県は、生産性が低く、しかも労働力が高齢化している中山間地域を多く抱えております。この地域は経済的な合理性のみでは決して切り捨てることのできない地域であります。このような状況の中で求められるのは、経済的合理性の観点のみに立った施策ではなく、それぞれの地域の特性を生かした地域経済社会の発展を念頭に置いた、血の通った総合的な施策の推進が必要であると思いますが、知事の御所見を伺います。
 次に、高齢化社会対策についてお伺いいたします。
 本県の老齢人口比率は平成5年で16・5%と、全国平均の13・5%を3ポイント上回っており、また、21世紀には高齢者人口が一層増大するとともに、総人口に占める割合がさらに高くなっていくことが見込まれております。このような中にあって、県民すべてが高齢化やみずからの高齢期に不安を抱くことなく、長寿を喜び合えるような、生き生きと暮らせる思いやりのある社会の実現が最重要課題となるわけでありますが、知事の演述においては、その目指すべき方向が具体的に示されなかったのであります。さらに、高齢者を受益の受け手としかとらえていないという印象を受けたところでもあります。そもそも高齢者対策において基本となるのは、人間としての生きがいであります。高齢期は単なる余生ではなく、心の豊かな充実したものとなることが望まれ、このためには、生涯学習や長年にわたって培ってきた経験や技術を生かして活躍するなど、まずは積極的に社会参加の促進を図ることが重要ではないかと存じます。
 そこで、具体的には、第1に、高齢者に対して生きがい対策として多様な就業機会を確保することであります。
第2には、生きがいを高め、豊かに生活を高めるためには、生涯にわたって学習活動、文化活動、とりわけ健康につながるスポーツ活動の推進が重要であると存じます。このため、公民館、図書館、スポーツ施設等の社会教育施設の整備はもちろんのこと、各種の活動についての情報提供体制の整備など、行動のための環境条件を整備するとともに、それは例えばスポーツの場合であるならば、その人の健康度、体力に合ったメニューが提供できるような血の通ったものでなければならないと存じます。県当局の御所見をお伺いいたします。
 次に、行政改革についてお伺いいたします。
 行政改革の断行は今や県民注視の的であり、待ったなしの最重要課題であると存じます。単なる数合わせや格好づけで事を済ましてはならないのであります。行政改革は、規制の緩和や地方分権と一体として明確に県民の目に見える形で目標と効果を提示し、その実効が担保されることが不可欠であると存じますが、県における行政改革大綱においてはこの点が明確ではないのであります。この際、具体的にお示し願います。
 次に、若者の定住促進等、人材確保対策についてお伺いいたします。
 知事は、人口がわずかながら増加しているなど、県勢は着実に発展しているとの認識を示されました。しかし、これは自然増によるものであり、地域の活力を推しはかるものとされる転出と転入を差し引いた社会動態では引き続き県外への転出超過をたどっているとのことでありますから、かかる認識はいかがなものでありましょう。しかも本県は、全国平均を上回る高齢化率であり、そしてまた少子化が進んできております。
 ところで知事は、人材の育成についての諸施策を示されましたが、大賛成であります。しかし、育成した若い人材が県外に流出するのでは元も子もないのであります。知事が言う躍動感にあふれ、心豊かな地域社会を支えるのは、もとより多くの若い人材がそのかぎを握っているのでありますから、その確保が最重要課題となるべきものと存じます。
 そこで伺いますが、本県における若者の流出の実態をお示しいただき、さらにその若者定住対策について御答弁願いたいと存じます。
 次に、科学技術振興の推進について伺います。
 知事演述の中で欠落していたのは、科学技術振興の推進への取り組みではないかと存じるものであります。これからの社会は、知事も語られておりますように、全地球的規模で対応すべき環境、資源エネルギー、食糧問題を解決する大きな力となるのは、もとより科学技術であると存じます。また、海外諸国との競争が激化する今後において、我が国の経済社会を発展させる原動力は、独創的な研究開発によるイノベーション、すなわち尽きることなき知的資源、科学技術がかぎであると言われております。知事が演述においてグローバルな視点を強調するのであるならば、科学技術振興の推進に向けた真剣な取り組みについて決意を表明すべきではなかったのでしょうか。昨年11月には科学技術基本法が成立し、国においても積極的に取り組まんとしており、また、本県としても、従来からいわゆる北の学術研究集積構想に基づき科学技術立県を目指してきているはずであります。いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 次に、財政問題について伺います。
 本県の平成8年度予算は、その規模は8、071億円で、前年度比4・4%の伸びとされておりますが、最大の問題点は、県債の大量発行により県債の残高が平成8年度末で7、800億円に達しようとしていることであります。このような借入金の累増は、義務的な経費である償還費等の公債費をも膨張させることとなり、平成8年度においても前年度比13・8%増の711億円計上されており、この結果、本県が政策的な判断で増減できる予算を圧迫し、財政の硬直化がさらに進むことが懸念されるのであります。極めて深刻な財政状況にあるものと存じますが、知事は、この財政の現状をどのように認識しておられるのか、まずお伺いをいたします。
 次に、このように厳しい財政環境であるからこそ立ちおくれている社会資本整備を積極的に推進する必要がある本県にあっては、国費をどこの県にも負けず、より多く導入してこなければならないものであり、それが県民の期待でもあるわけであります。しかるに、遺憾ながら、新聞報道等によりますと、平成7年度の2月補正予算においては何と公共事業費を三十数億円も減額せざるを得なかったということであり、これはどういうことでありましょうか、県御当局の御答弁を求めるものであります。
 次に、知事は、多様な地域連携、交流の促進を高らかに提唱されており、北海道、東北地区各県と広域的な連携を図りながら、本県はその先導的な役割を積極的に担っていくべきものとしておりますが、具体的にどのような取り組みを考えておられるのかお示し願います。
 また、連携、交流の基盤となる交通網の整備を図るとしておりますが、例えば、私がかねてからヘリ・コミューターについて県内諸都市のみならず、北東北一体としての便益効果の追求の観点から、ヘリ・コミューターのネットワークを形成すべきものと訴えてまいりました。3県連携のもと、県内諸都市のほか、さらには秋田市、青森市、八戸市、仙台市等の県外諸都市とを結ぶものとして構想するならば、最大の難関である採算性についてもクリアできるのではないかと期待されますが、いかがでしょうか、御所見をお示し願います。
 次に、国際ハブ空港について伺います。
 先日、長谷川議員が取り上げられておりましたが、重ねてお伺いをいたします。
 東北産業活性化センターは、このほど北東アジアと日本の交流拠点となる国際ハブ空港を新たに東北地方に建設すべきであるという東北国際拠点空港建設整備構想をまとめたところであります。それによると、主に内陸型空港を想定し、東北7県から18のエリアを立地可能点として挙げ、本県においては、知事が目指すオートリゾート形成の地、平庭高原と外山高原が選ばれております。構想によりますならば、当該拠点空港の面積は2、400ヘクタール程度で、4、500メートルの滑走路2本を整備する計画とのことであります。折しもアジア各国においても、韓国の新ソウル・メトロポリタン空港、香港のチェク・ラプ・コク空港、東南アジアのハブを目指すマレーシアのクアラルンプール新空港等、21世紀のハブ空港の座を巡って激しい競争状態にあります。国際空港は、物資や情報の窓口となり、経済発展を左右するものと言われ、本県としても積極的に取り組むべきものと存じますが、県御当局の御所見をお伺いいたします。
 次に、盛岡都市圏の機能充実についてお伺いをいたします。
 まず、盛岡駅西口と盛岡南地区の両都市開発総合整備事業のプロジェクトについてであります。名実ともに北東北の拠点性の向上を目指し、その都市機能を拡充していくためには、これら事業の進捗により、行政や都市型産業、商業及び生活文化等、広域的な機能を有した魅力に満ちた複合都市の早期建設が期待されているところであります。県におかれましても、両地区の整備が順調に進展できるよう積極的に取り組んでいただいているものと存じますが、目下における進捗状況はどうかお伺いいたします。
 次に、これらプロジェクトにつきましては、都市機能を高めるため、経済的文化的機能の集積が必要であり、そのためには民間資本の導入が不可欠でありますが、まずもって行政レベルの先導的な施設について計画的かつ積極的に配置していくことが必要であります。かかる観点から期待される企業局会館の建設構想はどうなっているのか、
また、盛岡市が整備している盛岡地域交流センターに対する県の指導はどうか、その中に予定されている物産観光センターの概要をお示し願いますとともに、
当該施設の利便性を確保するための関連道路の整備についてでありますけれども、盛岡南地区と西口地区を結ぶ盛南大橋の開通のめど、中央大橋の検討状況はどうか、あわせてお答え願います。
 次に、体育、スポーツの振興について伺います。
 県御当局は、このたびの教員採用試験におけるスポーツ特別選考で4名のすぐれたスポーツ指導者を確保されましたが、これにより今後の本県競技スポーツの一層の振興が期待されるところであり、今回のお取り組みに対し敬意を表する次第であります。すぐれたスポーツ指導者の確保については、平成元年3月7日の本会議において、敬愛する我が党、我が議会の大先輩坂本昭三議員がいち早く訴えられたところでありましたが、このたびようやく結実いたしたところであり、まことに喜ばしいことと存じております。時代を見据えた的確な御提言をされた議員に感謝を申し上げるとともに、この壇上よりエールを送る次第であります。
 さて、まずはスポーツ振興の絶好の機会となる平成11年開催のインターハイに向けて、具体的な選手強化策についてお示し願いたいと存じます。
 また、体育、スポーツに関する総合的な研究、研修を行い、もって指導者の養成と資質の向上を図るためのスポーツ研修センターの取り組みの現状はどうなっているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、新総合運動公園についてであります。
 過日、岩手日報が伝えるところによりますと、知事は、盛岡広域生活圏内に現在の県営運動公園の倍以上の60ヘクタール以上の広さの総合運動公園を建設したいという意向を示されたとのことであります。2巡目の岩手国体はともかく、近年のオリンピックや日本開催が取りざたされているワールドカップ等の競技スポーツ熱の高まりを背景に、今後、国際的にも対応し得る高度なスポーツ施設の整備が求められてきているところと存じます。従来から提言しております全国スポーツ・レクリエーション祭の本県開催や国際的なスポーツ交流等も今後取り組みの対象となってくるとすれば、かかる将来を見通した上で、早急に整備構想を固め、取り組んでいくべきものと考えますが、いかがでしょうか、知事の御所見を求めるものであります。
 次に、学校スポーツ活動推進事業について伺います。
 県の平成5年度小、中、高を対象とした体力、運動能力調査結果によれば、全般的に運動量の不足が指摘され、かつまた一昔前と比較して運動能力もまた低下してきているとのことであり、極めて憂慮すべきことであります。このような中にあって、県が新たに実施しようとしている学校スポーツ活動推進事業はいささか遅きに失したという感がありますが、かかる問題解決のための有効な処方せんとして大いに期待しているところでありますので、その具体的な取り組みについて御答弁願います。
 次に、学校教育における武道の振興について伺います。
 平成元年度の学習指導要領改定に伴い、中学、高校の体育授業で柔道、剣道などの各種武道を積極的に推進することとされたところであり、これらの授業を安全かつ本格的に行うためには武道場が必要であります。本県における設置状況及び取り組み状況についてお示し願います。
 次に、防災対策の強化について伺います。
 これは急がなければなりませんが、そのためにはまず、既存の公用施設を有効に活用した防災体制の充実を図ることが得策であると存じます。学校等の施設については、阪神・淡路大震災の際における調査結果によれば、学校などへの被災者受け入れ状況は、ピーク時の発生7日後には兵庫県全体の約34%に当たる384校に被災者全体の約6割に当たる18万1、000人を受け入れたとのことであります。その一方では、救済物資等の備蓄倉庫等は備えておらず、避難所としての運営方法や職員の役割等の分担についても明確ではなかったとの指摘があります。地域における防災体制の充実のためには、学校を避難所として積極的に活用する必要があると存じます。そのためには、ハード面においては、まず、校舎等の耐震性の確保はもちろんのこと、シャワー室、備蓄倉庫の整備が必要であり、また、プールについても耐震性を強化し、生活用水として活用できるよう浄水機能をあらかじめ整備しておく工夫が必要であると存じますが、いかがでしょうか。さらに、文部省では前述したように中学校への武道場の設置を促進することとしておりますが、武道場には畳敷きの部分があり、避難場所として適しており、整備すれば学校の防災機能の拡充にも資するものと存じます。
 一方、ソフト面においては、各学校が防災計画を作成し、教職員の役割分担や情報連絡体制について事前に備えておくことも必要であると存じます。さらには、地域住民が負傷し、学校に運び込まざるを得ないことも想定されますことから、地元医師会等、医療機関との連絡体制を整備しておくことも必要であると存じますが、いかがでしょうか。県当局の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、いじめ問題について伺います。
 昨今、学校でいじめにより痛ましい自殺が相次ぐなど、大きな社会問題となっております。これは根の深い問題であり、短期間で解消することは難しいことかもしれませんが、一時的な議論で終わらせることなく、全力を挙げて取り組んでいくことが焦眉の急であると存じます。文部省においても、地域で活躍する社会教育団体にいじめ問題について異例の要請をしたのを初め、平成8年度からは家庭や地域向けの社会教育事業を初めていじめ対策と位置づけ、市町村単位で集中的に行うと聞いております。高齢化社会を迎える今日、人間としてお年寄りやすべての人に対する思いやりや人の痛みがわかる心をはぐくんでいく教育が何よりも肝要であり、そのためにも教師と子供の信頼関係、父母と子供の家庭における暮らし、しつけ、子供同士が助け合う気持ちを持ち合うことが何よりも大切なのであります。学校、家庭、地域社会が連携して、21世紀の担い手としての子供たちをはぐくんでいく必要があると存じます。県御当局の取り組みについて御答弁を願うものであります。
 次に、地域ソフトウエアセンターについて伺います。
 この地域ソフトウエアセンターは、地域交流センターにあわせて設置が予定されておりますが、盛岡駅西口開発や今後の盛岡南開発の先導的中核施設として、あるいはテクノポリス構想推進の拠点として大きな役割を果たすものと大いに期待しているところであります。円高等に伴う製造業の海外シフトなどにより、国内産業の空洞化が深刻な問題として取りざたされている中にあって、情報産業を育成し、支援し、もって地域経済を活性化していく上で極めて重要なことと存じます。県においては、平成6年に第3セクター岩手ソフトウエアセンターを設立し、情報サービス産業の振興に取り組んできておられますが、これまでの取り組み状況、今後の対応について御答弁をお願いいたします。
 最後に、知事は、常に世界に目を向け、従来の発想にとらわれず、諸課題に積極的に取り組むとされておりますが、その意気やよしであります。しかし、治をなすは多言にあらず、力行いかんを顧みるのみ。すなわち、国を治める道は決して多言を弄することではなく、いかに政策を実行するかにかかっているということであります。今、知事にこの言葉を贈り、私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 答弁に先立ちまして、昨日、御逝去されました千葉英三議員に対しまして、その御冥福をお祈りし、心から哀悼の意を表するものでございます。
 それでは、谷藤裕明議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、本県の独自性を生かした施策の推進についてでございますが、本県は、広大な土地、清浄な空気や水、豊かな緑など、すばらしい自然環境に恵まれておりまして、また、歴史的、伝統的文化、さらには多くのすぐれた人材をはぐくんだ風土などが存在をしている。こうしたものは、都市化が急激に進展して過度の経済的な集積が進んだ首都圏など、他の地域には見られないもので、ほかに誇り得る我が県の特性だと、このように考えているところでございます。こうしたものは、今後、価値観が多様化する中で、ゆとり、心の豊かさ、人間らしさなど、21世紀に向けて多くの国民が強く求めるものでございまして、また一方で、新幹線や高速道路などの高速交通網の整備が進み、東北の枢要な位置を占めております本県は、未来に向けて大きく発展する可能性を高めてきているところでございます。すなわち、岩手県は、ゆとり、心の豊かさといった生活の質の面での充実を図りながら、経済的な発展を遂げるという、従来の我が国では見られなかった、21世紀に向けての飛躍が期待できるところだと、私はこのように考えております。したがいまして、このような特色を十分に踏まえまして、県内外との多様な地域連携や交流を促進しながら、また、地域における住民の発想と熱意を大切にしながら、自立した地域社会の形成を図るなど、多様な施策を展開をしまして、東北、さらには、我が国の発展にも貢献する豊かな岩手の創造に向けて取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 次に、中山間地域における総合的な施策の推進についてでございますが、中山間地域は、特産的な生産が可能な気象や土地、水などの資源を有しておりまして、また、美しい自然や伝統文化などにも恵まれているところでございます。したがいまして、中山間地域の振興に当たりましては、それぞれの地域において、こうした豊富な資源を高度に生かした特色のある農林産物の生産や、地場産業のノウハウの活用による高付加価値化、創意工夫を凝らした地域おこし活動など、住民の内発的な取り組みを助長していくことが肝要であると、このように考えております。こうした観点から、今後とも生産や生活基盤の両面の整備、これは圃場や農道を整備する、あるいは集落排水の整備を行うなど、そうしたことでございますが、そうした整備を初めといたしまして、地域特産物の加工、販売施設、今、各地に建設しております直売場、レストランの整備などでございますが、そうしたもの。あるいは都市との交流拠点の整備、例えば体験施設、野外施設、宿泊施設などでございますが、こうした都市との交流拠点の整備、さらには、農協が今、単独で行っている価格支持制度に対する行政としての助成、いわゆる価格安定対策などでございますが、こうした地域地域の特性に応じたきめ細かな施策を今後も積極的に講じてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 次に、科学技術の振興についてでございますが、産業の振興や県民生活の向上を図っていく上では、科学技術は、極めて大きな役割を果たすものと、このように私は考えておりまして、特にも、国際化が進展する中で、その重要性はますます高まってきているものと、このように認識をいたしております。こうしたことから、これまでも生物工学研究所、超電導工学研究所など、先端的な研究施設の整備を初めといたしまして、独創的、創造的な研究開発などを進めてきたところでございますが、今後におきましても、産学官によります共同研究の推進や人材の育成、さらには、研究開発拠点の整備に努めるなど、科学技術の一層の振興に取り組んでいきたいと、このように考えております。さきの所信表明におきましては、このような趣旨から、バイオテクノロジーなど先端技術の開発、導入や、独創的そして先端的な研究開発の推進について申し述べたものでございます。
 次に、財政の現況の認識についてでございますが、平成8年度の本県財政でございますが、歳入面では、現下の経済動向から見ますと、県税収入や地方交付税の伸びに多くを期待できない状況にございまして、歳出面におきましては、公債費など義務的経費の増加が見込まれますなど、厳しい環境下にあるものと、このように認識をいたしております。このため、公債費の増高が将来の財政運営に支障を来すことのないように、地方一般財源の安定的な確保につきまして、国に対して要望をするとともに、県債の発行に当たりましても、できる限り償還時に交付税措置のある優良な県債の活用を図りますほか、より一層経費の徹底した節減合理化に努めるなど、健全財政の確保に最大限の努力を傾注していく考えでございます。
 次に、北海道、東北地域における先導的な取り組みについてのお尋ねでございますが、近年、ほくとう銀河プランの推進などを通じまして、北海道、東北地域の連帯感が醸成をされてきておりまして、また、交通網の整備も相まって、今後一層、各道県相互の交流と連携が強まっていくものと、このように考えております。このため、北海道、東北地域の枢要な位置を占めております本県といたしましては、こうした広域的な連携に努めながら、ほくとう新国土軸の形成など、これまでの施策を一層強力に推進をしたいと、このように思っておりますし、1つの例ではございますが、特に北東北3県、とりわけ秋田県との連携につきまして言えば、国土庁を交えて昨年調査を行いまして、その結果などに基づきまして、宮古から盛岡を経由して秋田に至る地域については観光や文化面での連携を、また、釜石から北上を経由して秋田に至る地域については産業面を中心にした連携を念頭に置いて取り組んでいきたいと、このように考えております。
 次に、新総合運動公園、いわゆる総合的なスポーツ施設についてでございますけれども、スポーツは、県民が生涯にわたりまして、豊かで生きがいのある生活を営む上でますます重要な役割を果たすものと考えておりまして、スポーツ施設の総合的な整備を一層推進することが必要であると、このように考えております。また、全国的、国際的規模の競技会を招致、開催することによりまして、本県を世界に向けて大いにアピールすることも大変重要なことと、このように考えております。私は、このような考え方のもとに、全国的、国際的規模のスポーツ大会の開催が可能な施設の整備につきまして、第三次の岩手県総合発展計画の後期計画におきまして、現在その策定中でございますが、その後期計画におきまして整備構想をまとめるなど、積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願い申し上げます。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) 高齢者の生きがい就労についてでありますが、高齢者の生活の安定と生きがいの高揚を図るため、これまでも県内3カ所に高齢者能力開発情報センターを設置するなど、高齢者の就労の場の確保や各種福祉情報を提供してきているところでありますが、さらに、高齢者が地域社会において、その知識経験を生かし、主体的に活躍できる機会を拡大するため、平成8年度から、新たに高齢者地域活動促進センター15カ所の設置を促進することとしており、同センターやシルバー人材センターを設置する近隣市町村間の連携を図りながら、就労等を通じた高齢者の積極的な社会参加を促進してまいりたいというふうに考えております。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) まず、行政改革と規制緩和あるいは地方分権とがどうかかわっているかということについてでございますが、まず規制緩和について申し上げますと、許認可等の規制につきましては、県の場合、機関委任事務が大部分となっておりまして、県独自でこれを改廃するということができるものは大変数が少ないというのが実態でありますけれども、先般定めました行政改革大綱におきましては、申請書類の見直し等事務手続の簡素化などに取り組み、県民負担の軽減等に努めることとしているところでございます。
 また、地方分権につきましては、県内における地方分権の一環として、大綱において、市町村及び地方振興局への権限委譲を積極的に進めることといたしておりまして、できる限り住民に身近なところで事務処理が完結するように、その計画的な推進を図ってまいる考えであります。
 今後におきましては、社会経済情勢の変化に伴う新たな行政課題に適切に対応し、機動的かつ効率的な行財政運営の執行体制を整備するため、行政改革大綱の着実な実施に向けて、毎年度実施方針を定め、行政改革を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、2月補正の公共事業費の減額理由いかんということでありますが、平成7年度2月補正予算につきましては、今議会に追加提案をお願いする予定で事務を取り進めているところでありますが、全体としては減額補正となる見込みでありますし、公共事業費についても減額が予定されておるところであります。この理由でございますけれども、今年度、相次いで国の経済対策が打ち出されたこともありまして、県としては、これに対応して、配分可能性のあるものについて、最大限見込むという方針で、積極的に予算計上をしてきたところであります。しかしながら、最終的に国の予算の配分の決定がなされた結果、2月の補正の段階では減額をする必要が生じたものであります。
 次に、防災対策の強化を図るために、公立学校を積極的に活用すべきではないかというお尋ねでありますけれども、学校は、大規模災害時において、公民館や集会所などとともに、住民の避難にとって重要な役割を担い得るものと存じております。したがいまして、学校を避難所として活用する場合には、必要な機能を果たし得るよう所要の施設整備、物資等の調達あるいは教職員の果たすべき役割、学校教育との兼ね合いなどにつきまして、市町村や関係機関の間で十分協議を図る必要があると考えております。県といたしましては、県立学校について、計画的に耐震診断を行うこととしており、また、国におきましては、シャワー室等の整備について助成措置を講ずることとしておりますので、市町村に対し、その積極的な活用を奨励するなど、学校の防災機能の整備充実に努めてまいりたいと考えております。
 なお、医療機関との連絡体制の整備につきましては、地域防災計画において、医師会等との協力を得て、学校等を含む避難所に医療班を派遣することといたしておりますので、訓練などを通じて、実際に円滑な運用が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、若者の県外流出の実態とその定住対策についてでありますが、新規高校卒業者の動向を見ますと、その県内就職率は年々高まってきておりまして、平成7年3月の卒業者の場合は、速報値でありますが71・8%となっております。しかし、なお2、200人余の者が県外に就職いたしております。また、十八、九歳の若者の動向を見ますと、進学者も含めました県外への転出者、この数も年々減少してきておりますものの、平成6年において、なお6、900人余となっております。したがいまして、今後におきましても、若者の定住をより一層促進するために、県立の4年制大学や職業能力開発短期大学校の整備による多様な就学機会の充実、さらに、拠点工業団地の整備等による就業機会の創出、そしてまた、若者のニーズに即したレクリエーション施設や商店街の整備、あるいはイベントの開催等によりまして交流機会の拡大を図るなど、積極的に取り組んでまいる考えであります。
 次に、ヘリ・コミューターの導入についてでありますが、昭和63年度から3年間行った県内都市間の実験運航の結果、事業化のためには、計器飛行方式の導入によります就航率の向上及び定時性の向上、そしてまた、技術革新による大幅なコスト低減を通じた需要の確保など、数多くの課題が判明したところであります。また、東北7県の都市間を結ぶヘリ・ネットワークの事業成立可能性につきましても、平成2年度に、大船渡-仙台間などの8路線を対象といたしまして、東北運輸局及び東京航空局が各県などと協力して行った調査において、同様の課題の解決が必要であることが報告されております。したがいまして、県といたしましては、事業化のために必要な技術革新や制度改正の状況等の把握に努めながら、研究を続けてまいりたいと、このように考えております。
 次に、国際ハブ空港についてでありますが、財団法人東北産業活性化センターが昨年10月に取りまとめました報告書におきまして、次世代の超音速旅客機にも対応し得る国際拠点空港につきまして、東北地方における物理的な立地可能地域として、4キロメートルメッシュでの地形条件などから18カ所を候補として掲げております。しかしながら、超音速旅客機の実用化にはなお相当の期間を要するものとされておりますし、また、国におきましては、当面、既存の航空機に対応した国際ハブ空港について、需要が大きい3大都市圏における整備の推進を最優先課題としているところであります。したがいまして、県といたしましては、国際ハブ空港につきましては、長期的な視点から取り組むこととし、国の空港政策の動向等の把握に努めてまいりたい、このように考えております。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) まず、盛岡駅西口地区の進捗状況についてでありますが、この地区につきましては、盛岡市が土地区画整理事業の認可を受け、順次仮換地指定を行いながら整備を進めているところであります。現在、建物等の移転補償を行うとともに、地区の主要道路の高架橋や交通広場を含む人工地盤及び電線地中化等の工事について、平成10年の完成をめどに努力しているところであります。
 さらに、旭橋から盛岡駅構内を経て西口地区に連絡する道路と、盛南大橋から西口地区に連絡する道路につきましても、平成8年度より工事に着手する予定で、現在、JR東日本など関係機関と協議を行っているところであります。
 また、地域交流センター内に設置される高度情報センターなどにつきましても、平成9年の完成をめどに取り組んでいるところであります。
 また、盛岡南地区の進捗状況につきましては、地域振興整備公団が土地区画整理事業の認可を受け、物件調査や換地設計、埋蔵文化財の調査を実施しており、昨年11月には、待望の起工式を行い、整地工事に着手したところであります。この事業区域は約313ヘクタールと大規模であり、関連する他の公共事業も多いことから、その事業が円滑に推進されるよう、県といたしましても国、地域振興整備公団、盛岡市などに呼びかけ、盛岡南新都市開発整備協議会を設置し、各種調整を図っているところであり、今後とも、事業が着実に推進されるよう支援してまいりたいと考えております。
 次に、盛南大橋及び中央大橋の整備についてでありますが、盛南大橋の開通は、当面2車線の暫定で、平成9年の供用開始を目指し盛岡市が整備を進めているところであります。
 また、中央大橋を含む市道盛岡駅本宮線につきましては、西口地区内を盛岡市が、盛岡南地区内を地域振興整備公団がそれぞれ事業に着手しており、残る中央大橋の整備につきましては、県道昇格等について、関係機関と協議を始めたところであり、できるだけ早い時期に着手できるよう努力してまいりたいと考えております。
   〔企業局長千葉克君登壇〕
〇企業局長(千葉克君) 企業局会館建設構想見直しについてでございますが、これまで盛岡駅西口地区の立地条件を最大限に生かす観点から、県民に広く利用される施設、さらには、周辺施設との調和にも配慮することなどを基本とし、当面する県政課題で見込まれる施設をも含め、関係部局とも協議しながら、幾つかの素案をもとに検討を重ねてきたところであります。しかし、施設には、その利用目的や機能などにより、それぞれに立地条件というものがあり、それにふさわしい場所が求められることや、公営企業として活用する場合には、どうしても採算性という問題があることなどから、なかなか成案を得るには至っていない現状にあります。もとより当地区の先導的役割をという期待があることは重々承知しているところであり、今後とも、各方面から幅広い意見などを聴取するとともに、厳しい経済情勢下ではありますが、民間活力の導入による複合施設をも視野に入れながら、鋭意検討を進めてまいる考えであります。
   〔商工労働部長古館敏男君登壇〕
〇商工労働部長(古館敏男君) まず、盛岡地域交流センターに対する県の指導についてでありますが、これまでも、いわゆる民活法に基づく施設整備補助金や融資の導入などを図りながら、同社の経営基盤の確立に向け種々指導してまいったところでありますが、県といたしましても、本プロジェクトが本県産業の振興に大きく寄与するものとの観点から、今後とも、事業運営に不可欠なテナント企業の確保対策などを含め、盛岡市を初め関係機関と協議しながら努力してまいりたいと考えております。
 また、物産観光施設の概要についてでありますが、この施設は、同センタービル内におよそ800平方メートル程度の規模で整備しようとするものでありまして、岩手ならではの特産品や観光資源を全国に広く情報発信することができる施設とすべく、市町村との連携にも留意しつつ、その内容に工夫を凝らしてまいりたいと考えているところでございます。このような考え方のもとに、現在、有識者等で構成する委員会を設置しまして、具体的な施設内容等を鋭意検討しているところでございます。
 次に、地域ソフトウェアセンターについてでありますが、これは、本県の情報サービス産業の振興と頭脳立地構想の推進のため、平成6年4月、国、県、盛岡市並びに県内情報サービス産業界の出資によりまして設立されたものであります。同社のこれまでの取り組みといたしましては、高度情報処理技術者の養成事業などを実施してきているところでありますが、平成8年度においては、新たに県内におけるインターネットの利用を促進するための事業を実施していくこととしております。
 さらに、平成9年度の本格開業に当たりましては、企業に対する高度なソフトウエア開発のための支援事業を開始するなど、本県情報サービス産業の振興のための中核的な役割を担っていくこととしているところでございます。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) まず、高齢者に対する文化、スポーツを含めた各種学習情報に関する情報提供体制の整備についてでありますが、県教育委員会では、現在、県民の学習活動を支援していくため、その基幹的な事業として生涯学習情報提供システムの整備を進めているところであります。このシステムは、平成8年4月に開所する県立生涯学習推進センターを中心として、県内各市町村などに設置する端末機を介しまして、適時適切に学習情報を提供しようとするものであります。今後におきましても、民間における多様な学習機会の情報につきましても、広く一般県民の方に提供できる方法について検討を進めながら、学習活動に必要とする情報の提供に努めてまいらなければならないものと考えております。
 次に、平成11年のインターハイに向けた選手強化策についてでありますが、具体的には、これまで全国高等学校総合体育大会選手強化対策事業として、小学校、中学校、高等学校の指導者の養成や、中学生、高校生を対象とした県外交流と強化合宿、さらに、特殊で高額な競技用具を必要とするヨットなどの用具の整備、未普及競技と言われております水球競技などの選手育成を行ってきたところであります。来年度におきましては、中学生、高校生の強化を主眼といたしまして、県外交流の拡大や、新たに飛び込み競技の選手、指導者の養成を行うこととし、所要の予算につきまして今議会に御提案をいたしているところであり、今後とも、インターハイに向けた選手強化事業の充実強化に努めてまいる考えであります。
 次に、スポーツ研修センター整備の取り組み状況についてであります。
 今年度、関係各分野の学識経験者の方で構成するスポーツ研修センター整備基本計画策定専門委員会を設置いたしまして、調査検討を行ってきたところであります。委員会におきましては、当センターの事業計画及び施設整備内容、スポーツ医・科学を取り入れた研修のあり方など、その役割、機能について検討を行いました。今後におきましては、この委員会を継続して設置をいたしまして、事業内容をさらに具体化するための協議検討を行い、早期整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、学校スポーツ活動推進事業についてでありますが、本県におきましては、近年、小学生の敏捷性、瞬発力が全国と比較し運動能力の面で弱いという傾向が見られます。このことから、東京大学教育学部の協力のもとに、平成5年度から小学生の運動能力の向上を図るため、トレーニング方法についての研修事業を行うとともに、必要な体育理論を学ぶため、平成7年度から体育科教員1名を同大学に研究生として派遣してまいりました。県教育委員会におきましては、これまでの事業を踏まえ、平成8年度から学校スポーツ活動推進事業として、引き続き同大学に研究生を派遣するとともに、特にも小学校低学年のバランスのとれた運動能力の向上を目指したプログラムを新たに加え、研修等の事業を実施してまいりたいと考えております。
 次に、学校教育における武道の振興についてでありますが、本県の中学校及び高等学校における柔道場、剣道場など武道場は、平成7年度におきましては、県立高等学校ではすべての学校に設置されております。市町村立中学校では全学校221校のうち、約30%に当たる66校に設置されているところであります。県教育委員会といたしましては、武道場の整備の促進を図るべきであるとの国の指導なども踏まえまして、本県の中学校における選択教科の動向など、指導面の条件をも考慮し、市町村教育委員会に対し、整備について指導を行ってまいりたいと考えております。
 次に、いじめ問題についてでありますが、いじめは、その要因や背景が複雑でありますが、学校生活に直接、間接に起因しているという自覚のもとに、教師が主体となってその解決に取り組まなければならないと考えております。県教育委員会といたしましては、学校適応指導支援チームを設置し、いじめの調査や問題事例の解決のための協議を行い、各学校を指導援助するなど、学校適応指導推進事業に取り組んでいるところであります。あわせて、各学校におきましては、道徳教育や福祉教育、スポーツ活動など、実践的な体験、これを通し、思いやりやいたわり、そして協調する心の育成に努めているところであります。今後におきましても、学校はもとよりでありますが、家庭、地域のそれぞれの役割についてより具体的な取り組みを進め、いじめの根絶に向けて万全を期してまいりたいと存じております。
〇21番(谷藤裕明君) 再質問をさせていただきたいと思います。
 いろいろ御答弁をいただいて、それが着実に1つ1つ実行されていく中で県政の推進が図られてすばらしい県がつくられていけばいいなと思います。そこの中で2点ほどお伺いしたいわけですが、子育ての環境に関連して、県内の保育料の実態等についてちょっとお伺いしたいと思います。
 私は保育園に自分の子供も行っているから、何となく感触としてわかるところもありますけれども、今、子育てにやさしい環境づくりということでいろいろ事業は進めておるわけですけれども、女性の社会進出の増大に対応して、仕事と子育ての両立支援を図っていくための施策として保育対策が今一生懸命取り組まれておるわけでありますけれども、しかし、最近の報道によれば、本県の保育料の負担が重いということが挙がっておるわけであります。県におかれましては、この保育料の実態について把握していると思いますが、市町村間の格差の状況、本県と東北各県との比較はどうなっているのか、まずこれをお示しいただいて、そして、この状況を県はどのように受けとめられているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
 次に、行政改革についてでございますけれども、地方分権については、県民に対するよりよいサービスの提供が可能となるよう、その受け皿づくりやその効率化が前提となるものと存じますが、具体的にそのことはどこにどう生かされているのでしょうか。
 また、知事がその強化について努めるとされる危機管理体制についてでありますけれども、阪神・淡路大震災を教訓として行政の硬直的な対応を排し、臨機応変の救援体制の整備が、今、求められているわけでありますけれども、それは具体的にどういう構想になっているのかお示しいただきたいと思います。
 また、行政の高度情報化についてでありますけれども、県民に対し迅速で効果的なサービスを提供するとしておりますけれども、具体的には電算システムの適用範囲を図ることを挙げておりますが、このことにより、行政側において業務が簡素化され、もって経費が大幅に節減されるものと期待されているわけですが、あわせて県民の申請手続、入札業務の電子ネットワーク化等により、民間側においてもその業務の効率化が図られるものでなければならないと存じるわけであります。このことについてどう考えているのか、あわせてお伺いをいたします。
 また知事は、このたびの地域活性化事業調整費の内容を充実するとして、地方振興局の権限をさらに強化するとしておられるわけでありますけれども、しかし、地方分権の流れは、住民の身近な基礎的な自治体である市町村への分権が究極的な地方分権の姿であるのであれば、この流れにむしろ逆行するのではないか。むしろ県民の立場からすれば、地方振興局よりも市町村に権限をおろした方がサービスの向上につながっていくのではないかと思うわけでありますけれども、考え方をお伺いいたしたいと思うわけであります。
 そのほかいろいろ御答弁ありました。特に私は、平成11年のインターハイに向けていろいろ強化策等にも今取り組んでおられますけれども、何といってもやはり県外にどんどん出向いていって、強い、それなりのレベルの高いチームと交流試合をどんどん繰り返していく中で底力というか、底辺がアップされるということは間違いないわけです。そのためにはどうしても強化費が多くかかることは仕方のないことでありますけれども、とにかくそれを継続していくという中で底力をつけていく。平成11年の段階にはその成果があらわれるように、繰り返し繰り返し積み重ねていく、それをぜひお願いいたしたいなと思っているわけです。
 それから、企業局は非常に駅の西口にとっては大切な、民間の力を導入していくための大きな魅力ある場所でありますから、それの先導的役割という認識はお持ちですが、なかなかこれというアイデアまではたどりついてないようですけれども、ぜひ今後とも頑張ってやっていただいて、県民の期待にこたえていただきたいと思うわけであります。
 以上、申し上げまして御答弁をお願いいたします。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) 保育料の実態等についてでありますが、対象児童の年齢区分ごとの最高額を市町村間で比較してみますと、約3・5倍から5・5倍の開きがあるという状況であります。また、国が定める保育料の徴収基準額に対する保護者負担の軽減割合を本県と東北各県の平均と比較しますと、本県は約10ポイント程度保護者負担が重いという状況にあります。
 保育事業の実施主体は市町村でありますことから、保育料につきましては、市町村でそのあり方について検討を行う必要があるというふうに考えておりますが、県といたしましても、市町村の取り組みに対しましては、必要に応じて情報提供など、助言指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
 また、従前と同様、機会あるごとに国に対しまして保育料の徴収基準の改善を要望してまいりたいと考えております。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) まず、地方分権の受け皿づくり等についてでありますけれども、国と地方の新たな役割分担に適切に対応するためには、まず、税財源の確保、それから行政体制の整備、そして人材の育成等が必要であると考えております。このため、新しい行政改革大綱におきましては、地方分権を推進するため、税財源の配分等、地方財政確立のための十分な財源保障について国に対し強力に働きかけることのほか、行政機構整備については、簡素で効率的なものを基本とした、新しい県民ニーズに対応した行政機構の整備充実ということ、それから、人材の育成につきましては、政策研究に重点を置いた職員研修の充実等による職員の資質向上などをそれぞれ盛り込んでいるところであります。 次に、大規模災害時における危機管理体制の強化についてでありますが、今般、修正を行いました県地域防災計画におきましては、緊急初動特別班の設置、衛星通信などの複数の情報伝達手段の確保など、職員の早期参集や情報通信、防災関係機関との応援協力体制の整備を行いますとともに、これら盛り込まれた事項については、防災訓練を行い、具体的に検証するなど、危機管理体制の強化に努めているところであります。特にも臨機応変の救援体制につきましては、まず、県下14消防本部で構成される緊急消防援助隊あるいは県警察本部に設置されました広域緊急援助隊、さらには、県警のヘリコプターのほか、近く導入いたします県の防災ヘリコプターを有効に活用いたしますとともに、相互応援協定に基づく北海道、東北8道県あるいは自衛隊と密接な連携を図りまして、円滑かつ迅速に対応してまいりたいと考えております。
 次に、行政の高度情報化についてでありますが、県といたしましては、これまでの行政情報ネットワーク回線の高速化、大容量化を図ってきたわけでありますが、さらに市町村とのネットワーク化をも視野に入れて、いわゆるマルチメディアにも対応できるよう機能を大幅に強化してまいることといたしております。一方におきまして、議員御指摘のとおり、行政の内部ばかりでなくて、県民の皆様方との間での情報化ということにつきましても、県民サービスに大きく貢献できるものでありますから、今後十分に検討していく必要があると考えております。ただ、例えば申請等といった法的効果を伴う行為につきましては、その行為の法的効果がどうなるのかといったような課題もあるわけでありますけれども、できる限り工夫を凝らし、導入できるものがあれば積極的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、市町村への権限移譲についてでありますが、地域に密着した事務は、できる限り地域において完結できるようにするということが大切である、こういう考えでありますが、したがいまして、こういった観点に立ちますと、今後、県と市町村との役割分担を十分検討しながら、市町村に対して必要な協議を行った上で権限の移譲を積極的に進めてまいりたい、こういうふうに思っておりますし、また、事務の性格上、やはり県が実施すべきものというものにつきましては、できる限り地方振興局への権限の委譲を行うというような努力を行ってまいりたいと考えております。
〇議長(堀口治五右衛門君) 谷藤裕明君に申し上げます。その他は要望事項と聞きましたが、答弁を求めるのであれば再々質問を願います。(21番谷藤裕明君「いや、結構です。」と呼ぶ。
 進行いたします。
 次に、高橋賢輔君。
   〔18番高橋賢輔君登壇〕(拍手)

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