平成8年2月定例会 第5回岩手県議会定例会 会議録

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〇33番(工藤篤君) 自由民主党の工藤篤でございます。
 私は、党を代表して平成8年度当初予算並びに県政の諸課題について順次質問してまいりますので、増田知事の明快な答弁をよろしくお願いいたします。
 まず、平成8年度当初予算案に関連してであります。
 第1点は、新聞報道によりますと、知事は建設官僚の出身であり、県民生活や福祉の向上あるいは教育といったソフトの部門が弱いのではないかという見方もありますが、平成8年度当初予算案の編成に当たりどのような点を重視されたのか、まずお尋ねしたいと存じます。
 第2点は、財政の健全化についてであります。
 平成8年度当初予算を見ますと、歳入において、県税の伸び悩みから各種基金の取り崩しや歳入の15・2%を占める県債の大幅な発行が注目されます。特に県債が県税収入額を上回っており、財政運営の危機が心配されますが、各種基金の取り崩しによる歳入の確保及び県債の大幅発行による県財政の硬直化をどう見きわめておられるのか、今後の見通しなど、お聞かせいただきたいと存じます。
 第3点は、県北・沿岸地域と内陸部との格差是正についてであります。
 県北・沿岸地域は依然として人口が減少傾向にあり、また、所得も県平均の8割しかないなど、内陸部との格差是正が大きな課題となっております。知事は、この県北・沿岸地域と内陸部との格差是正のため真っ正面から取り組むと述べられており、県の組織改編も行うようでありますが、格差是正の具体的な目標をどこに置き、そのため当初予算においてどう配慮したのかについて具体的にお伺いいたします。
 一方、現在建設中の県立大学や今後建設される予定の県立美術館などの県の学術、文化の中核的な施設のほとんどが盛岡市及びその周辺の地域となっており、これでは地域間の格差は是正されるどころか、ますます広がるのではないかと懸念されるのであります。県北地域振興のため、核となるような施設の建設はないのか。例えば自治研修所の改築が取りざたされているようでありますが、これらは宿泊施設を伴えばよりよいのでしょうから、県北地域に建設しても十分利用できると考えられますが、今後、これら地域振興の核となるような施設の設置を検討していただきたいと思いますので、あわせて伺います。
 また、二戸・久慈地区拠点工業団地の整備については、県北・沿岸地域振興の起爆剤になるものと、その早期完成を期待するものでありますが、思いのほか二戸市、久慈市の負担も大きいようであります。県として何か支援策を講じられないものか、お伺いいたします。
 次に、新しい総合発展計画の策定についてであります。
 知事は、第三次岩手県総合発展計画を引き継ぐと公約されましたので、今回、3県総の後期実施計画を策定されることはいたし方ない部分もあろうかと思います。しかしながら、国においては平成8年度に新しい全国総合発展計画を策定することとして既に作業を進めており、また、東北ブロック開発の基本方向を示す新たな東北開発促進計画の策定にも着手するとのことであります。このような情勢を踏まえたとき、今回のような3県総の後期計画の見直し程度ではなく、県としていち早くこれら国の開発計画の内容を把握し、増田県政としての新たな県の発展計画を早急に策定する必要があると考えますが、いかがでしょうか。北東北のリーダーとしての本県の発展は、他県に先駆けて新しい情報に対応していくことによって開かれていくと思いますが、新しい県計画の策定について、知事の御所見を伺いたいと存じます。
 次に、東北新幹線盛岡以北についてであります。
 東北新幹線盛岡-八戸間のフル規格建設は、昨年4月に工事実施計画が認可された後、昨年5月にはその起工式が行われ、昭和47年の基本計画決定から実に23年目にして悲願の着工となったところであります。このことは、県選出の国会議員を初め、歴代県知事、県議会、市町村及び関係団体など、県民総参加による運動を続けた結果であり、感慨無量の思いであります。地元を代表いたしまして、改めて県を初め、関係者の皆様方に心から感謝を申し上げますとともに、いっときも早い完成を願うものであります。
 御案内のとおり、盛岡-八戸間は平成13年開業の予定で工事が進められておりますが、達成のためにはまだまだ幾つかの課題を解決していかなければなりません。
 その第1点は、工事予算の確保であります。盛岡-八戸間に平成8年度までに投入される工事費予算は全体事業費のわずか15・5%にすぎません。平成13年の開業の実現のためには平成9年度から毎年約1、000億円余の予算を獲得しなければならないのであります。予算の確保には私どもも努力をしますが、知事みずからが先頭に立ってあらゆる手段を尽くし、全力で取り組んでいく必要があると考えます。昨年冬の統一要望においては大臣に面会できなかったとの新聞報道もありましたが、今度こそ何としても運輸大臣にお会いして早期完成の必要性を訴えなければならないと思いますが、知事の考え方をお聞かせ願いたいと存じます。あわせて、今後の予算獲得のための知事自身の具体的取り組みについてもお示しください。
 第2点は、工事費の地元負担についてであります。平成元年1月の政府・与党申し合わせによりますと、447億円の地元負担をしなければならないとのことであります。そのうち、二戸市と岩手町の負担額は12億8、000万円となっております。しかしながら、東京-盛岡間の建設に際しては地元負担はなかったのでありまして、ましてや財政基盤の脆弱な二戸市や岩手町が負担できる額でないことは明らかであります。増田知事は、選挙公約や知事就任後も地域格差の是正に強い意欲で取り組むとの力強い考えを示しておられますが、この考え方からすれば、二戸市と岩手町の負担分についても県が負担するような策があってよいと思われますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 第3点は、並行在来線についてであります。平成6年12月、当時の工藤知事は、連立与党の求めに応じて経営分離の受け入れに努力する趣旨の文書を提出し、それを受けて盛岡-沼宮内間のフル規格への変更が正式決定され、現在に至っているのでありますが、去る平成7年の知事選挙に際し、知事、あなたはその選挙公報において、整備新幹線(盛岡-八戸間)並行在来線を地元が納得できる方法で存続させると力強く公約されました。JRから分離され、在来線が廃止になるという危機感と不満を持った沿線住民は、まさに救世主あらわれるの思いで、この並行在来線を地元が納得できる方法で存続させるとの公約に飛びついたのであります。存続とは、岩波書店発行の広辞苑によれば、引き続いて存すること、存在し続けることとあり、他の辞典もおおむね同様となっております。増田知事が選挙公報において公約した並行在来線を地元が納得できる方法で存続させるとの言葉は、辞書にもあるとおり、これまでどおりJRの経営で在来線を存続させるということを公約されたものと私たちは認識しているのでありまして、知事におかれましては、この公約を破ることなく、沿線地域住民の期待を裏切らないでいただきたいと思うものであります。   〔議長退席、副議長着席〕
 増田知事は、今でも公約どおりの考え方に変わりありませんか、お伺いいたします。
 また、知事は、この公約実現のためにこれまでどのような取り組みをされてこられましたか。その具体的な取り組みと在来線存続についての今後の見通しについてもあわせてお伺いいたします。知事は、今回の演述において、盛岡-八戸間の並行在来線等については、沿線地域住民の利便性が決して損なわれることがないように最大限努力する旨の発言をされましたが、これではJRの経営で在来線を存続させる趣旨の公約に違反するような気がしたものでありますから、この際、力強い御答弁をいただきたいと存じます。
 次に、不妊症対策についてであります。
 本県では約1万組の不妊症の夫婦がいると言われておりますが、これらの不妊症患者に適切な生殖医療と母子保健を提供することで、1夫婦に1人の子供ができたとしても1万人の自然増となるのであります。しかしながら、本県の不妊症患者は、県内に不妊症の治療センター的な施設がないため他県の大学や病院に遠距離通院している現状であり、健康保険も適用されないため、高額な治療費と旅費をかけて何回も他県の診療機関に通っているのであります。岩手県以外の東北各県では、一、二の医療機関が不妊治療センター的役割を担い、体外受精を含む配偶子操作を行っており、全国的に見てもほとんどの都道府県で体外受精が行われております。本県においても、高度不妊治療センターを設置することにより、不妊症に悩む夫婦に福音をもたらすとともに、活力あふれる郷土岩手の将来の礎となればと考えるものであります。仮にセンターの設置が種々の理由により近々には難しいということであれば、最終的には高度不妊治療センターの設置が望まれますが、当面は岩手医大や県立中央病院などの実施可能な医療機関に附属させるか、これら医療機関の施設設備の拡充を図って対処するかなどの方法により不妊治療を可能にしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。不妊症対策は、本県の少子・高齢化対策の切り札とも考えるのでありますが、全国一若い増田知事の早急な取り組みによって不妊に悩む方々の願いをかなえてあげてほしいと思います。
 次に、保健福祉施策の3つのプランの推進についてであります。
 国においては、このたび障害者プラン、いわゆるノーマライゼーション7カ年戦略を策定したところであります。これまで高齢者については新ゴールドプラン、児童についてはエンゼルプランが策定されており、ここに保健福祉施策の総合的な推進を図る3つのプランがそろうことになりました。特にも障害者福祉については、障害者基本法の趣旨を踏まえ、ノーマライゼーションの理念の実現に向けて、障害のある方々が社会の構成員として地域の中でともに生活を送れるよう、7つの視点に沿って住まいや働く場あるいは活動の場の整備を進めるとともに、ホームヘルパーの増員や授産施設、グループホーム等の各種施設の整備や障害者の介護サービスなどを充実するため、社会福祉施策の重点的な推進が求められておりますが、県においては今後どのように推進していくお考えか、新岩手県障害者福祉行動計画は改定しなくてよいのかなど、また、県版のゴールドプランである高齢者保健福祉計画、エンゼルプランである子育てにやさしい環境づくり対策指針については順調に推進されているのか、お伺いいたします。
 また、私は、障害者や高齢者に対する思いやりを育てる教育は、家庭はもちろん、学校教育においても重要であると考えております。障害者や高齢者を思いやる心を育てることはいじめをしない心を育てることにもつながると考えますので、学校教育の基本方針としてそのような点が配慮されているのかについてもお伺いいたしたいと存じます。
 最後に、女性の地位向上についてであります。
 私は、女性の地位と福祉の向上のためには、男女平等への意識改革や、あらゆる場への男女の共同参画が特にも重要であろうと考えるものであります。しかしながら、県の審議会などの女性委員の登用を見ても、平成7年度目標の15%にはほど遠い10%程度となっているなど、その取り組みのおくれが目立ちます。理由は種々あろうかと思いますが、組織の長でなくても、あるいは県レベルの団体でなくても活躍している女性は多いのですから、積極的に審議会委員などに登用するなど、まず、県が手本を示していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 以上で私の代表質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 工藤篤議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、平成8年度当初予算案の編成に当たり重視した点についてのお尋ねでございますが、私は、今後の県政を運営するに当たっての施策推進上留意すべき視点といたしまして、多様な地域連携、交流の促進による自立的な地域社会の形成、安全で安心感のある県民生活の確保、人と自然との望ましい共生の実現、そして、豊かな長寿社会、思いやりのある福祉社会づくりなど、7つの視点を掲げたところでございます。したがいまして、平成8年度におきましては、例えば地域の連携と交流を推進するため、個性や多様性を重視した地域づくりに向けた地域活性化事業調整費を拡充するとともに、安全な県民生活の確保については、防災ヘリコプターの運航やコミュニティー防災資機材の整備に対する支援など、消防防災体制の整備充実に努めることとしておりまして、また、自然との共生につきましては、新たに自然環境保全指針の策定に取り組むこととしたほか、福祉の充実を図るため、久慈、大船渡両地域への高次救急医療施設の整備や延長保育、休日保育などの特別保育の拡充に努めるなど、冒頭申し上げました7つの施策推進上の視点に立ちまして、さまざまな施策を積極的に展開したところでございます。
 次に、財政の健全化についてでございますけれども、平成8年度の予算編成に当たりましては、現下の厳しい経済動向から見ますと、県税収入や地方交付税、そして国庫支出金の伸びに多くを期待できない、こういう状況にございます。このため、従前にも増して徹底した歳出の洗い直しに取り組む一方、限られた財源の中で資金の重点的、効率的な配分に努めるとともに、県に内部留保しております基金の有効活用とあわせて県債を活用することによりまして、県民の方々の御意向や社会経済情勢の変化に対応した積極的な予算編成に意を用いたところでございます。特にも、この県債につきましては、近年、一定の条件のもとに後年度の財政負担が軽減される措置が講じられているところでございまして、より一層これら優良な県債を活用することによりまして、社会資本の整備を初め、各種事業を積極的に推進していく、こういう考え方をとったところでございます。しかしながら、公債費の増高が将来の財政運営に支障を来すことのないように、今後におきましても地方一般財源の安定的な確保につきまして国に対して要望するとともに、より一層経費の徹底した節減合理化によりまして財源の捻出に努めるなど、最大限の努力を傾注していく考えでございます。
 次に、格差是正の具体的な目標及び当初予算の状況についてでございますが、県土の均衡ある発展を図るために、まずもって地域みずからの発想と主体的な取り組みのもとに、活力に満ちた個性豊かな地域づくりを進めることが重要だと考えておりまして、これを促すために、交通基盤などの社会資本の整備や産業振興の施策を展開するなど、こうした活動を積極的に支援していくことが大切である、このように考えております。このため、平成8年度において、新たに組織面では企画調整部内に特定地域振興室を設置し、県北・沿岸などの地域の振興に重点的に取り組むこととしたところでございますし、また、当初予算においては、地域の自主的な取り組みを支援し、その特性を生かした個性ある地域振興を図るために地域活性化事業調整費を2倍に増額したほか、沿岸部と内陸部の間の一層の時間距離の短縮を目指した新たな交流ネットワーク道路の整備などを進めることとしております。さらに、県北農業技術センター、これは仮称でございますが、このセンターの整備に本格着手するほか、久慈及び大船渡両地域への高次救急医療施設の新規整備など、産業経済の発展と県民生活の向上の両面から総合的な施策を展開してまいりたいと、このように考えているところでございます。
 次に、地域振興の核となる施設の配置についてのお尋ねでございますが、各種の施設の整備に当たっては、施設の性格、規模などに応じて、それぞれの設置目的に沿って機能が十分に発揮され、同時にその地域の特性を生かし、地域振興にも寄与できるように配慮するということが肝要であると、このように考えております。こうした考え方のもとに、県北地域におきましても、平成8年度には一戸町においてすこやか子どもランド、これは仮称でございますが、このすこやか子どもランドの整備に着手するとともに、県北・沿岸地域などを対象として新たに地域活性化プロジェクト調査事業というものを起こしまして、平庭高原地域のオートリゾートの形成などについての調査検討を行うなど、地域振興の核となる施設の整備に積極的に取り組むこととしているところでございます。
 次に、二戸・久慈地区の拠点工業団地の整備について、地元市への支援策についてでございますが、新たに団地を造成し企業導入を図るためには、工場用地の確保はもちろんのことでございますけれども、関連する道路、そして上水道などの基盤の整備が極めて重要でございます。御案内のとおり、二戸・久慈地域におきましても、これらの基盤の整備が現在不十分な状態でございますことから、工業団地の整備とあわせまして、周辺地域の生活環境基盤をも整備することと、このようにしているところでございます。また、これらの関連公共事業の導入については、競争力のある工業団地の分譲価格を設定する上からも有効なものと、こういうふうに考えているところでございます。したがいまして、県といたしましては、こうした関連の公共事業に対しまして、国費の導入や有利な起債制度の活用など、地元市の財政負担の軽減が図られるよう支援協力をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
 次に、新しい総合計画の策定についてでございますが、いわゆる3県総の前期実施計画が平成7年度で終了するわけでございますが、現在、8年度から始まる後期実施計画の策定について、この間の経済社会情勢の変化や新たに生じた課題に積極的に対応するために特に留意すべきものとして、多様な地域連携、交流の促進による自立的な地域社会の形成など、7つの点を掲げまして、今、その策定作業に全力で取り組んでいるところでございます。
 なお、国におきましては、新しい全国総合開発計画が平成9年の春に策定される予定となっているほか、東北開発促進計画も新たに策定されることとなっておりまして、また、ことしの秋には、昨年の10月に実施いたしました国勢調査の詳細な結果が明らかにされると、そういう見込みとなっていることなどから、今後、こうした動向に的確に対応していくことが肝要である、このように考えているところでございます。
 次に、東北新幹線盛岡以北の予算の確保についてでございますが、平成8年度の政府予算案におきましては、工事がピークを過ぎた北陸新幹線の高崎-長野間から他の線区への整備新幹線事業費のシフトが始まっておりまして、盛岡-八戸間の243億円を初めといたしまして、全国にあります3線4区間に対前年比で一律に2・4倍増という事業費が配分されたところでございます。平成9年度以降は、これらの区間の間で予算の配分をめぐる競争の激化が見込まれるということでございまして、県といたしましては、この盛岡-八戸間の早期完成に向けた予算の重点配分が実現するよう、政府予算統一要望などにおきまして、県議会の方々と一体となりまして運輸省を初めとする関係機関への働きかけを積極的に展開していきたい、このように考えております。
 次に、この東北新幹線盛岡以北についての二戸市、そして岩手町の負担分についてでございますが、平成元年の政府・与党の申し合わせに基づきまして、盛岡-八戸間の工事費用についてもその一部を地域で負担することと、このようにされたところでございます。このため、県内における分担について県と両市町の間で協議を重ねました結果、線路などの鉄道施設に係る費用と共通経費は、これはすべて県が負担をする一方、地域の利便性の向上に資する駅の設置費用などについては、設置に伴う受益を考慮して、地元となる二戸市と岩手町がその一部を負担する旨をそれぞれ平成3年の6月と平成4年の3月にそれぞれ合意をしたところでございます。この分担方式につきましては他の多くの県でも採用されているところでもございまして、本県においてもこれを維持すべきと、このように考えておりますが、二戸市、そして岩手町の財政基盤の現状を踏まえますと、その負担分に対する交付税措置が望ましいというふうに考えておりまして、県といたしましては、その実現に向けて、国に対する要望を今後とも継続して行っていきたい、このように考えております。
 次に、並行在来線についてでございますが、この並行在来線のJRからの経営分離につきましては、平成2年、そして平成6年の2度の政府・与党申し合わせにおいて、フル規格による着工の条件として示されました。県において、沿線市町村との協議を重ねました上で、新幹線の早期着工を優先する立場から、やむを得ない選択として受け入れたと、こういう経過でございます。私といたしましては、こうした経緯を踏まえますとともに、並行在来線が地域住民の日常生活の足として担っている重要な役割にかんがみまして、経営分離後においても、健全な経営のもとで現在の鉄道輸送サービスの利便性が将来にわたって確保されることが何よりも必要である、こういうふうな考え方からその旨を表明したものでございまして、そのために万全の対策を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。こうした考え方に基づきまして、これまで経営分離後の鉄道輸送サービスの維持のために必要となる支援措置について、さまざまなあらゆる機会に国、そしてJRに対して要望してきたほか、昨年の8月に沿線市町村、そして青森県との間でこの問題を検討する協議会を開催したところでございまして、今後におきましても、こうした取り組みを一層展開してまいりたい、こういうふうに考えております。
 次に、不妊症対策についてでございますが、県といたしましても、最近の少子化や生殖医療を取り巻く情勢などを踏まえまして、不妊の方々の悩みに可能な限りこたえていくためにも、不妊症対策は検討すべき課題の1つであるというふうに認識いたしております。この不妊治療については、排卵誘発剤などの使用ですとか人工受精による方法のほか、先端技術による体外受精、胚移植などが主に大学病院や民間の医療機関で先駆的に行われており、最近の技術の進歩も大変著しいものがあると、このような状況でございます。本県においては、ごく少数の民間医療機関が先端技術による体外受精などを行っていると、このように聞いておりますけれども、御指摘のとおり、高度、中核的役割を担う病院では未実施でございまして、相当数の方が県外で相談治療を受けているものと、このように推測しております。
 一方、国においては、こうした生殖医療の動向や不妊治療への需要の高まりに対応して、不妊に悩む方々と一般医療機関に適切な情報を提供するため、新たに各都道府県に不妊専門相談センター、これは仮称でございます、このセンターを設置するということをしたところでございます。しかし、体外受精など、高度な不妊治療については、安全性や成功率の低さといったような課題のほか、生命の誕生に人為的に手を加えることに対する倫理上の議論もあるなど、多くの課題も一方で指摘されているところでございます。本県としても、これらの実態や動向を踏まえまして、相談治療体制について、行政として対応すべき範囲や施設面のあり方などを含め、来年度--平成8年度--に専門家や関係医療機関などによる検討会を設置して、そこでの意見を聞きながら鋭意検討を進めていきたいと、こういうふうに考えております。
 次に、保健福祉施策の3つのプランの推進についてでございます。
 障害者施策につきましては、これまで平成4年度に策定をいたしました新岩手県障害者福祉行動計画に基づきまして、ノーマライゼーション理念に基づく完全参加と平等を目指してさまざまな施策を実施してきたわけでございます。本県の障害者福祉サービスの水準は全国平均をおおむね上回る状況にある、こういうような状況でございます。この県の計画の理念は、昨年12月に策定された国の障害者プランと軌を一にするものではございますが、社会参加と自立の助長、ひとにやさしいまちづくりなどを一層推進するとともに、計画目標などについて、計画策定後の社会経済情勢の変化、障害者プランとの整合性を図るために、現在、見直し作業を進めているところでございます。また、新たに本県においては、きめ細かな施策を展開するため、各市町村に対しても計画の策定を促しておりまして、その計画的、総合的な促進を図ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
 次に、岩手県の高齢者保健福祉計画に基づく事業の推進につきましては、制度の比較的新しい二、三のサービス提供施設に若干のおくれはあると、こういう状況でございますが、ホームヘルパーの設置や特別養護老人ホームの整備などはおおむね順調に進捗をしている状況でございます。また、岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針に基づく事業、こちらの事業の推進につきましては、子育てと就労の両立を支援する特別保育事業の拡大など、さまざまなものを推進しております。子育てにやさしい環境づくりの推進組織につきましては、県、そして各地方振興局単位に協議会を設置して、県や市町村、関係団体が一体となって具体的な取り組み方策の検討や意識啓発を進めるなど、その活動が緒についたところでございます。
 次に、障害者や高齢者に対する思いやりの心を育てる教育についてでございますが、特にも学校教育においては、県教育委員会が学校教育指導指針で心豊かな人間の育成を掲げ、人間性の尊重を基本といたしまして、学校教育全体を通して障害者や高齢者など、他人を思いやる心の育成に努めるよう明示をしておりまして、具体的な取り組みをしているところでございます。今後におきましても、学校、そして家庭、そして地域の3者の連携をさらに進めながら、社会の変化に主体的に対応できる心豊かな人間の育成が図られるよう、教育諸条件の整備に努めてまいりたいと、このように考えております。
 次に、県の審議会等への女性の登用についてでございますが、県におきましては、従来から社会のあらゆる分野に女性の視点を反映させていくことが重要である、こういう認識のもとで女性の登用に努めてきたところでございますが、現段階においては、御指摘のとおり、必ずしも十分とは言えない状況にございます。したがいまして、今後におきましても、いわて女性洋上セミナーや女性海外派遣事業を実施するなど、女性が主体的に社会に参加し、その能力を十分に発揮できるような条件を整備しまして、男女共同参画社会の実現に努めてまいります。特に、審議会などの委員の選任に当たりましては、広く人材を求めまして、女性の登用に一層積極的に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
〇副議長(及川幸郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時25分 休 憩
出席議員(49名)
1番  斉藤 信  君
2番  黄川田   徹  君
3番  佐々木 一 榮  君
4番  小野寺   好  君
5番  佐々木   博  君
6番  中屋敷   十  君
7番  大久保   豊  君
8番  浅 井 東兵衛  君
9番  佐々木 大 和  君
10番  藤 原 泰次郎  君
11番  千葉 伝  君
12番  伊沢昌弘  君
13番  須藤敏昭  君
14番  折居明広  君
15番  田村正彦  君
16番  伊藤勢至  君
17番  佐藤一男  君
18番  高橋賢輔  君
19番  瀬川 滋  君
20番  渡辺幸貫  君
21番  谷藤裕明  君
22番  水上信宏  君
23番  船 越 賢太郎  君
24番  久保田 晴 弘  君
25番  千葉 浩  君
26番  長谷川 忠 久  君
27番  三 河 喜美男  君
28番  村上恵三  君
29番  村田柴太  君
30番  藤原良信  君
31番  吉田洋治  君
32番  飯澤忠雄  君
33番  工藤 篤  君
34番  菅原温士  君
35番  菊池 勲  君
36番  小原宣良  君
37番  樋下正光  君
38番  及川幸郎  君
39番  那須川 健 一  君
40番  伊藤 孝  君
41番  藤倉正巳  君
42番  山内隆文  君
45番  佐々木 俊 夫  君
46番  山 崎 門一郎  君
47番  菊池雄光  君
48番  佐藤啓二  君
49番  堀口 治五右衛門 君
50番  吉田 秀  君
51番  藤原哲夫  君
欠席議員(2名)
43番  佐藤正春  君
44番  千葉英三  君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時36分 再 開
〇副議長(及川幸郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。菊池雄光君。
   〔47番菊池雄光君登壇〕(拍手)

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