平成8年2月定例会 第5回岩手県議会定例会 会議録

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〇40番(伊藤孝君) 私は、新進・公明代表として、増田知事の最初の予算構成に対する質問ができますことを大変光栄に思い、提言を含め順次質問させていただきます。
 1つ、予算編成について。
 平成8年度は、増田県政誕生から2年目となりますが、通年の予算編成という観点に立てば、増田県政元年であります。昨年の政治、経済すべてがかつてない大混迷をきわめ、その尾を残したままに平成8年度を迎え、経済性の高揚も大きく飛躍するとは思えない世相のとき、予算編成に当たり、県民全般にこたえるということはまことに苦慮するところもあったろうと思うが、その密度のある配慮と、さらに国際的視野に立った地域経済の構築の面まで努力の成果を上げられたことに、深く敬意を表する次第であります。予算の伸び率は、7年度6月補正予算段階との比較で4・4%と積極的に構成され、事業は随所に新鮮な増田カラーで出だしはまことに好評でありますが、知事の政治哲学、数多い岩手に対するロマンも、限られた中で今後の県政推進上で具体的実行を次年度に持ち越さなければならない案件があっただろうと思われますが、抱負も含めお聞かせ願いたいと思います。
 2、災害対策について。
 昨年1月17日に発生した阪神・淡路大震災を契機に、国においては計測震度計の増設、三陸沖への海底地震津波観測施設の設置、全国強震ネットワークの整備をすることとなっているようでありますが、折しも、今年は1万8、158人の県民が犠牲となった明治29年の三陸大津波から、100年目の輪廻の年に当たっております。本県においても、災害対策として米国製防災用ヘリコプターベル式412型の新規購入や、気象庁が設置している地震観測施設8カ所に10カ所を増設し、計18カ所にされるなど、今後の気象観測、津波の観測整備体制に一段と強化を図ることになりましたが、起こり得るであろうと思う地域から、内陸を結ぶ道路路線が1カ所につき複数以上が必要と思われますが、その予算が今回意識された構成になっているのでしょうか。
また、門扉を人力により開閉する画像がテレビで放映されておりますが、そのようなものでよいのでしょうか。近代的思想を持ってお答えをお願いする次第であります。
 3、福祉施設と一体の公園建設の必要性についてであります。
 建設省は、今年度から福祉施設や医療・健康施設と一体となった都市公園づくりを進める方針を決めたという。この構想は、老人ホームや精神薄弱者入所施設、リハビリテーション病院などが隣接しているか、また、これらの施設と一体的に整備する公園を、21世紀初頭までに計画的に整備するものと行政から発信されておりますが、県南部には福祉施設も数多くありますので、この際、ぜひこの制度の重要性を深く御理解いただきたく、知事の御所見をお伺い申し上げる次第であります。
 4、次に、保健所の機能強化と再配置についてであります。
 このことについて一部新聞報道もありますが、県においては地域保健法の改正により、保健所の広域的、専門的、技術的機能の強化と再配置を検討されてきたところであり、この際、その計画の具体的な内容について明確にしていただきたいと存じます。
 次に、最大の政治問題となっている住専についてであります。
 まず、住専関係各社社長には、大蔵省のOBが指定席となっているなどが判明し、大蔵省が深く介入しており、彼らは金融制度調査会を通じ、住専は将来の有望な職種であると答申させて、全国、地銀を初め各金融機関より数十億円以上の金額を強制的に出捐させ、実務行為の背任は明白であります。内容については、金融機関の膨大な不良債権を職権をもって無税償却させ、また、住専処理に税金を投入するなどの問題が最大の政治問題になっておりますが、我が新進党といたしましては血税の投入は絶対反対であり、予算案よりの削除を主張して闘ってまいります。さらに、住専各社の総会決議ということで、大蔵のOBの退職者は、赤字決算となりながらも1億円から2億円以上の退職金を引き出し、住専問題発生以来次々と退職するなど、まさに職権を利用した横暴としか言えない、まれなる政治問題と思いますが、知事の御意見はいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、時代の変革に対応する県政の施策についてお伺いいたします。
 世界の経済情勢は、21世紀への移行という時間軸の変化に対応し、急激な変革を巻き起こしております。昨年は戦後50年の節目の年を迎え、静かに過去の歩みを見るとき、いろいろな問題と障害がありました。特に、数限りない時代進展の早さの中で変化する産業を見ると、半導体がその中核となり科学新時代を築き、ますますその度を早め、21世紀にはメガビットからギガビットへと進展し、今後はナノテクノロジーによって情報量のスケールの広がりをさらに可能とするのであり、21世紀の20年前後には、ナノテクノロジー中心の機構産業がテクノヘゲモニーの決定要因になると言われております。このように、技術が大変革を起こそうとしているこの時代に、本県のテクノポリス構想を初め各種の産業振興策を考えるとき、知事は政策進行を途中で引き継いだのでありますが、私がかねてより提唱しているPHP研究所の目指す北上ハイテクポリス、すなわち北上盆地の都市に大規模研究開発拠点を形成する大構想の実現に向けて、今後、産官学一致協力の度を深め、力強く取り組まれるように望むのでありますが、この御所見をお示し願います。
 次に、超電導工学について。
 さて、今、我が国は、政治や経済の構造そのものが激変しようとしておりますが、このような中、今後の経済や社会の発展は、新たな科学技術の振興にこそ求められております。本県では、超電導工学研究所を誘致し、超電導体の単結晶やバルク材の先端技術の開発を促進し、早くも国際的にも高度な成績を上げているのであります。私は、この研究に対する知事の取り組みは、時代を先取りした行動と高く評価するものであります。何となれば、超電導工学は広大な県土の発展に必要な新たな交通手段の開発や、電気エネルギーの確保、さらに次世代コンピューターの開発など、21世紀の経済活動やライフスタイルのニューパラダイム思考を構築していく上で欠くことのできない重要な分野であり、将来の県勢はもとより、我が国の発展に大革命をもたらすものと思われるからであります。この際、超電導研究の推進について、知事の先見的な御所見をお伺いいたします。
 次に、自然環境保護についてであります。
 本県は、大自然に恵まれた宝を持っていると言われますが、率直に申し上げますと、まず目立って感じるのは小河川の汚染であります。現在では、雑排水、し尿からの汚染でカニもメダカも何もいないただの川では、自然の宝庫とはとても言い切れないのではないでしょうか。私は、16年も前から、バイオの研究機関の必要性を毎回の議会で言い続けてまいりました。おかげさまで立派な研究所をつくっていただき、その成果も立派で着実であり、大変感謝いたしております。研究員も立派で教授もそろっております。しかし、1カ所では完全とは言えません。遺伝子組みかえ、細胞融合、組織培養、バイオマス、バイオリアクター、この5種類の専門分野は絶対必要であります。現在、主として進めているのは、細胞融合と組織培養の2科目ではないでしょうか。遺伝子の組みかえとバイオマスの研究は、どの程度になったのでしょうか。ほかに私の考えるバイオリアクター、つまり微生物とは汚染された微生物を食う微生物であります。このたび、この課題もいよいよやる気にさえなれば解決の道が出てきたと思い、御提言を申し上げます。
 微生物がつくる酵素入りの洗剤で汚れた衣類を洗濯するのは、すっかり日常の光景になっておりますのが今の生活環境でありますが、これと同様、生きた微生物を使って土壤や水を丸ごと洗濯するバイオ新技術が日本にも上陸いたしました。
 1つ、土壤や水を微生物で浄化する。2、汚染物質を食べて分解、3に、地下水をも洗濯、バイオレメディエーション--生物的環境浄化という新技術で、土壤に染みた油や地下水に溶け込んだ有機塩素化合物などを安全に除去する低コストの手法として、米国などでは既に実用化に向かっており、日本でも準備が進んでいると言われております。これこそ、念願の物質であります。また、原油汚染のトリクロロエチレンを分解する高性能微生物としては、米環境保護局--EPAが発がん性の疑いがあるトリクロロエチレンも低濃度にすることができるとされ、その研究に全力を挙げていると言われております。バイオレメディエーションは低コストと安全性から、今後広く普及すると見られる2000年には、世界市場規模は2、000億ドルを超えるとも言われております。私は、この遺伝子組みかえによる新微生物--バイオリアクターの新技術を計画的に1小河川をサワガニのすめる、カジカの生きられる、ゲンジボタルのすめる、メダカの集団が見られるなど、その他諸生物のすめる川としてどこかをモデルにして実行してはどうでしょうか。森がなければ川がなく、川がなければ海がなく、自然がうたわなくなると地球は終わりとも言われております。幸い、中山間地域総合整備事業や地域の水環境整備事業等、し尿処理事業費や生活雑排水事業、バイテク研究費など、あらゆる予算をまぜあわせて、小河川の汚染整理対策事業を思い切って断行する決意のほどをお聞かせくだされば幸いと思いますが、知事の決断をお伺いいたす次第であります。
 次に、FAZ--輸入促進地域のことについて申し上げます。
 4回目ですからしつこいと言われるだろうと思いますが、各県では、今話題の大量物流輸送時代を目の前にして、海外の輸送を含めどのようにして乗り切るかと必死の状態で運動を展開中であり、通産、運輸、農林水産、自治の4省もただならぬ力を入れ現在取り組み中でありますが、我が岩手県は21世紀の経済改革は気にもせず、三陸海岸という長い距離を持ちながら、1つには、輸入貨物の見込みがない、2つ目には、現在の施設の状況から見て、FAZの整備をしても輸出入の実績が規定に満たしていないとし難色を示しておりますが、私はさらに調査をしてみる必要が大きくあると思います。そのためにも、テクノポリス構築が必要であり、PHP研究所のあの大構想をなぜ研究しようとしないのでしょうか。今をなくして、我が県の均衡ある県土の発展とは言えないのではありませんか。テクノポリス構想で推進されてきた県南部工業団地を初め、岩手県全体の輸送貨物量の調査で示された輸出入のトン数は完全な数値とは思われません。港湾が小さいので、仙台、八戸、秋田港などへ入港させ、そこから自動車輸送に切りかわった数量もお調べでしょうか。青森県、秋田県、山形県に比較してみて、本県の海洋利用政策への消極さにただただ憂慮するのみであります。
 岩手県北のアカマツもそろそろ活用時期を迎えようとしております。丸太や原木のみではなく、今はプレカット用材や集成材、加工用材など出回り始めてはいるものの、全部自動車運搬になっております。さらに壁面までつくり、1戸建て組み立て建築材料として需要の多い関東、関西地方へ運賃の安い海上輸送でと考えられないのでしょうか。木材のみではなく、FAZの役割は前述のとおり、県内各誘致工場でも同じことであります。港湾さえ完備すれば、沿岸テクノポリス群も可能であります。PHP研究所の語るジャパンコリドールプラン--リニアネット21が日本を変えるテクノポリスと国土創成研究分科会を他人のことのように扱うことなく、今までのような御答弁ではなく、真剣に県政全般にわたる21世紀の均衡ある県勢発展計画を時期を失することなく、旺盛なる政策をもって、新知事の知行合一主義の明るい御答弁をお願い申し上げる次第であります。
 最後になりましたが、数限りない規制緩和、本県に適合する地方分権など、岩手県政に欠くことのできない重点項目について御調査を今から考えることをお願い申し上げ、一切を終わりたいと思います。御清聴まことにありがとうございます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 伊藤孝議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、平成8年度予算編成についてでございますが、平成8年度は、私にとりまして知事として初めての年間を通ずる本格的な予算編成の年でございます。また、3県総後期実施計画の初年度でもありますので、最近の景気動向に配慮をし、国のさまざまな施策に呼応するとともに、県単独でも新規、政策的経費を盛り込むなど、厳しい財政環境にはありながらも、県民の方々のさまざまなニーズにこたえるため、そして県勢発展のために、可能な限り積極的な予算編成に努めたところでございます。
 今後の県政を運営するに当たっての施策推進上留意すべき視点といたしましては、私は今議会冒頭に申し上げましたとおり、地域の連携と交流、県民福祉の充実など7つの視点が必要と考えておりますけれども、平成8年度予算におきましては、これらの視点を踏まえながら、種々の施策、事業を盛り込んだところでございます。今後におきましても、引き続きこのような方向性を見定めつつ、国際的な視野に立って、絶え間なく変わっていく社会経済情勢にも適切に対処していきたいと考えております。
 次に、災害対策についてでございますが、阪神・淡路大震災を契機とする県の地域防災計画の見直しに際しましては、災害が発生した場合、応急活動を迅速かつ効果的に行うために、この津波の被災地から内陸を結ぶ道路網を緊急輸送道路として、地域防災計画の中に位置づけをしたところでございます。この緊急輸送道路でございますが、道路交通の骨格を形成する高規格幹線道路、そして一般国道の国の直轄管理区間を基本といたしまして、これらの代替路線や隣県同士の救助応援のためのアクセスも考慮しながら、県内主要都市と地域防災計画上重要な施設との確実な連携が図られるように構成するものでございまして、特にも、本県の県土の東西に横断するルートは限られた路線でありますので、新交流ネットワーク道路整備事業で位置づけたルートを基本に設定をしているところでございます。したがいまして、平成8年度の当初予算の編成に際しましては、このことを踏まえまして、沿岸部と内陸を結ぶ道路整備に対しての重点配分を行うなど、複数の道路ネットワークづくりのために、積極的に取り組むこととしているところでございます。
 次に、津波対策の門扉等の開閉操作についてでございます。
 現在、本県には、津波対策として大小あわせまして全部で約480の水門、門扉が設置をされております。その管理は、沿岸の市町村長さんに委任いたしまして、日常の点検や開閉操作の試運転を行っております。そのほか、必要に応じまして県が補修を行うなど、緊急時に円滑な操作が行えるように保守管理に努めているところでございます。これらの門扉のうち、時間と労力を要する手動式のもの、これにつきましては開閉の迅速化、省力化を図るために、順次、軽量化や動力化などの改善を今進めてきているところでございます。平成8年度におきましても、阪神・淡路大震災を教訓にいたしまして、背後に人口や財産の集中しているそのような地域の安全性を高めるために、国において新たに海岸保全施設緊急防災機能高度化事業と、このようなものが創設されましたが、これを導入いたしまして、大船渡港の茶屋前地区の水門の自動遠隔操作化を図るなど、施設の改善に取り組むこととしているところでございます。
 今後とも、地元市町村との連携を密にいたしまして適正な管理に努めるとともに、避難する住民や通行車両、そして操作に携わる方々の安全確保など、現地の状況1つ1つを十分に把握をして、門扉の規模や特性に応じて適切に操作ができますように、施設の改善整備に積極的に取り組んでいきたいと、そして津波災害からの県民の生命、財産を守るように努力をしていきたいと、このように考えております。
 次に、福祉施設などと一体となった都市公園の整備についてでございますが、近年、高齢者や障害者に優しいまちづくりの必要性が高まっているわけですけれども、都市公園を整備していく上でも、緑に囲まれた安全で快適な公園で高齢者や障害者の方々に野外活動の機会を提供するとともに、そこで地域の方々と交流をして触れ合うことによって、相互に思いやりや助け合いの心をはぐくむことができるよう、福祉施設などと一体となったこうした新しいタイプの都市公園の整備も推進することが大切であると、このように考えております。本県におきましては、平成7年度に東山町が老人保健施設に隣接した一体型の都市公園の整備を行ったところでありますけれども、現在、大船渡市などにおきましても福祉施設に隣接した都市公園の整備を検討しているところでございます。県といたしましても、豊かな長寿社会、思いやりのある福祉社会の向上に向けまして、保健医療や福祉施設などと一体となった都市公園の整備につきまして、市町村との連携を図りながら取り組んでいきたいと、このように考えております。
 次に、保健所の機能強化と再配置についてでございますが、保健所の機能強化につきましては、例えば精神障害者の社会復帰支援、難病患者の実態把握を通じたきめ細かなサービスの提供、輸入食品の監視強化、さらには地域特産物の衛生管理に関する調査研究、市町村に対する専門的また技術的支援など、その拡充強化を図ってまいりたいと、このように考えております。
 この保健所の再配置につきましては、地域保健法の趣旨にのっとりまして、保健医療圏ごとに1カ所を基本としながら--我が県9保健医療圏ございますが--そこに1カ所を基本としながら、交通事情など本県の地域特性や保健医療と福祉の連携などを総合的に勘案をいたしまして、具体的には圏域に複数の保健所が設置されております盛岡保健医療圏につきましては、岩手保健所を盛岡保健所に統合をすると、胆江保健医療圏につきましては江刺保健所を水沢保健所に統合する、岩手中部保健医療圏につきましては花巻保健所及び北上保健所をそれぞれ存続をする、両磐保健医療圏については一関保健所のほか大東支所を置くと、釜石保健医療圏については釜石保健所のほか遠野支所を置く、宮古の保健医療圏については宮古保健所のほか当面岩泉に出張所ないしは駐在を置く、このような考え方でございます。
 なお、圏域に単独で設置されている大船渡そして久慈及び二戸の保健所は、従前どおりに存続をいたしたいと、このように考えております。
 今後は、この保健所機能強化計画案によりまして、国ともさらに協議を重ねまして、最終的には保健所設置条例改正案として県議会にお諮りをしてまいりたいと、このように考えております。
 次に、いわゆる住専問題についてでございますが、この問題については国の財政資金を投入することなどをめぐって、目下、国民が強い関心を寄せているところでありますし、この住専問題というのは私自身も極めて大きな問題であると、このように受けとめているところでございます。しかしながら、金融システムのあり方などにつきましては、基本的には国政の場で十分論議されるべきものであり、私といたしましては、広く国民の理解が得られるような適切な処理が図られるべきであると、このように考えております。
 次に、いわゆる北上ハイテクポリス構想についてでございますが、PHP研究所の提案をしておりますジャパンコリドールプランにおきましては、リニアネットを基本とした21世紀における我が国全体のグランドデザインを提示して、その中で本県の北上盆地に構想する北上ハイテクポリスを、先端技術産業の創造的な研究開発拠点として位置づけているものでございまして、本県のポテンシャルが高く評価されたものと、このように受けとめているところでございます。県といたしましても、3県総の21世紀を開く主要構想というものが中にございますが、そこで我が国有数の学術研究機能集積地域やハイテクゾーンの形成を目指し検討を進めているところでございます。これまで、先端的な研究施設でございます生物工学研究所や超電導工学研究所を開設しまして、さらに工業技術センターを初めとする試験研究機関、県南技術研究センターなどの産業支援施設を整備するとともに、先端技術産業の集積にも努めているところでございます。
 今後におきましても、我が国内外の競争に耐え得る地域経済を構築していくためには、学術そして技術、情報機能の集積と高度化を目指す東北インテリジェント・コスモス構想の推進を図ることや、産学官の連携によります先端的そして独創的な研究開発の促進を図るとともに、従来にも増しまして先端技術産業や研究開発型の企業の集積にも取り組んでまいる考えでございます。
 次に、超電導研究の推進についてでございますが、超電導は御承知のとおり、リニアモーターカーや電力貯蔵施設など、輸送や電力さらには医療、エレクトロニクスなど幅広い分野での実用化など、まさに次の時代を担う基幹技術として大きく期待をされているところでございます。県としては、今後の県勢の発展を図っていくためには、こうした先端的そして独創的な研究開発の促進など、科学技術の振興が極めて重要であると、このように考えておりまして、まさしく世界的な研究機関でございます。超電導工学研究所の盛岡への開設を契機に、工業技術センターとの共同研究を進めて超電導研究の推進に今努めているところでございます。この結果、従来困難とされた超電導体同士の接合技術の開発や世界最大の単結晶の作成に成功するなど、短期間の間に注目すべき研究成果が上がっているほか、岩手大学におきましても超電導研究が活発化してきておりまして、さらに県内企業の中にも超電導に関心を寄せる企業が出てくるなど、大きな効果をもたらしているところでございます。このようなことから、今後におきましても、昨年、超電導国際学術シンポジウムというものを開催をいたしましたけれども、これに引き続き本年も6月に国際超電導ワークショップを開催いたしまして、超電導研究に対する県民の皆様方の関心を高めるほか、盛岡研究所と工業技術センターや岩手大学との共同研究を一層推進をいたしまして地元企業にも参画を働きかけるなど、産学官一体となった取り組みを展開し、本県における超電導技術力の向上を図っていきたいと考えております。
 さらに、超電導工学研究所に対して盛岡研究所の拡充強化を要望するとともに、県としてもその受け入れについて可能な限り支援を行うなど、我が国内外に向けて情報発信できるような超電導研究の拠点の形成を目指してまいる考えでございます。
 次に、自然環境保護についてでございますが、本県におけるバイオテクノロジーの研究は、財団法人の岩手生物工学研究センターを創設いたしまして、これまで作物や食品微生物などを対象に遺伝子組みかえ、細胞融合、そして組織培養を中心として取り組みを進めてきたところでございます。一方、近年、議員御指摘のとおり、環境を汚染しております特定の物質を微生物を用いて無害な物質に分解するという、このバイオレメディエーションの新技術が国際的に注目をされております。特にも、アメリカにおきまして、アラスカ沖でのタンカー座礁に伴う流出原油の処理で好成績をおさめたということもございまして、この分野での研究、開発が進んでいるというような状況でございます。我が国におきましては、昨年、環境庁が中心となってトリクロロエチレンで汚染された地下水の浄化実験で好結果を得ておりまして、引き続き実証試験を行うということとされておりますけれども、遺伝子組みかえなどによります新しい微生物はもとより、天然の微生物でありましても全く新しい環境で使用された場合には、人間や生態系に与える影響が解明されていないということから、当面は天然の微生物を利用した場合における安全性評価手法の研究が進められているところでございます。したがいまして、バイオレメディエーションにつきましては、国の研究などの動向も踏まえまして、河川浄化に対する有効性や安全性などについて、この財団法人の岩手生物工学研究センターとの連携を深めながら検討をするというふうにしておりまして、また、今後とも可能な限り生態系に配慮した河川整備などの対策を講じてまいりたいと、このように考えております。
 次に、輸入促進地域、いわゆるFAZへの取り組みについてでございます。
 このFAZへの取り組みの従来の経過は、本県の沿岸地域の振興を図る観点から、平成4年、いわゆるFAZ法の施行と同時に本事業の導入を検討いたしまして国と協議をしてまいりましたが、その当時は第3セクターによる基盤整備などの維持、運営に必要な輸入貨物の集積に問題があるというふうにされまして協議が成立しなかったと、こういう経過でございます。しかしながら、本県が21世紀に向けて国際的視野に立った地域経済を構築していく上では、今後、港湾を活用した国際経済交流を促進していくことも重要でありますことから、これらの機能を備えた港湾の整備はもとより、安定した輸出入貨物などの確保に向けた取り組みが必要になってきているものと、このように考えております。
 国においては、昨年10月に、地域における輸入の一層の促進を図るため、従来のハード面のみではなく、ソフト面での支援を拡充することなどを内容としたFAZ法の改正を行いました。いわゆるFAZ法の改正を行い、適用期間を平成18年までと10年間延長したところでございます。本県におきましても、高速交通体系の一層の整備などによりまして、港湾の背後の物流圏域の拡大が期待をされると、こういうことでございますので、こうしたFAZ法の改正を念頭に置きながら、本県における輸出入貨物あるいは物流などの実態把握を行うほか、民間企業などの港湾利用の機運の醸成を図り、輸出入の促進に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
 以上でございます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、工藤篤君。
   〔33番工藤篤君登壇〕(拍手)

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