平成8年2月定例会 第5回岩手県議会定例会 会議録

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〇47番(菊池雄光君) 社会民主党の菊池雄光でございます。
 御承知のとおり、私どもは先般、日本社会党の臨時大会におきまして、第2次大戦以降、五十有余年にわたる党の歴史に幕を閉じ、社会民主党として出発をいたしました。社会民主党は、弱者や勤労国民の立場に立って、平和、自由と民主主義、公正と公平、人々の個性と連帯を何よりも尊重する文化と社会を創造いたします。
 今、世界の多くの国、特にヨーロッパの先進国において、社会民主主義勢力はその国の政権を担当し、あるいはこれをうかがう大きい政治勢力となっております。私どもの前途は厳しいものがございますけれども、そのような先進諸国の社民勢力の経験を学んで、我が国の中央、地方の強力な政治勢力、政権勢力として奮闘いたしてまいります。この場をお借りいたしまして、県民各位の御支援と御協力を心からお願いを申し上げます。
 それでは、早速、増田知事に、政治姿勢や当面する県政課題について質問いたします。 最初に、知事の政治姿勢をただす意味において、地方分権の推進について伺います。
 昨年7月に、地方分権推進委員会が発足して約半年有余になりますが、この委員会は2つの部会をつくり、かなり精力的に調査検討が進められ、既に機関委任事務、団体委任事務などについてはこれを原則的に廃止すると、それに伴う代替措置が示されております。そして年度内に中間報告を、ことしの12月に最終勧告を出すと、こういうことになっております。しかし、財源確保などまだまだ問題がございます。これからも各省庁の抵抗もあるでしょう。今こそ、地方6団体を初め国民の世論形成、バックアップが必要であるというふうに思います。私は率直に言って、県民の地方分権に対する意識は余り高まっていないのではないかということを危惧しておるものでございます。地方分権は住民に与えられるものではなくて、かち取っていくものであるというふうに私は考えております。県は、この地方分権の推進について、自治体の主人公である住民の意見をくみ上げるため、また、住民の意識を醸成するためにどのような努力をしてきたのか。また、市町村という最も住民と身近な関係にある側との具体的な分権に対する意見交換を、どのように行ってきたのかを伺いたいと思います。
 また、県に行政改革推進本部がございまして、先般、大綱を公表いたしました。この大綱の中には、地方分権の時代を展望してとか新しい地方分権の時代に対応してといった文言はありますが、依然として第2臨調の行革路線の踏襲であるというふうに私は思います。つまり、小さな政府の地方版で、人件費など経常経費の削減に重点が置かれております。昨年来、議会でも問題になっている保健所の統廃合を初め、職員定数の3%を縮減すると、こういうことを目指しております。地方分権の見直しの中で、特に固有の事務、いわゆる自治事務が増大をいたします。福祉や教育、住民サービスの拡大が必要となってくるわけでございます。そのことは何も示されておりません。聞くところによりますと、この分権推進に積極的な都道府県では、地方分権の研究、検討機関がつくられ、それとリンクして行政改革が進められていると言われております。本県も、昨年7月に庁内に地方分権推進会議を設置したようでありますが、これと行政改革は全くリンクされておりません。一体この組織は、今までどのような活動を行ってきたのでしょうか。
 次に、知事は、昨年統一地方選後の就任に当たりまして、私は21世紀の岩手県のあるべき指針をどのように示すかこれが最大の課題であると、こういうふうにおっしゃっております。そのことについては、私も大いに賛同するものでございます。21世紀、国はポスト4全総、県はポスト3県総の時代になります。一体、21世紀の我が国や世界の社会、経済、文化はどのように変化するのだろうか、だれも正確にはわからないと思います。しかし、確かなことは、18世紀の後半から始まった産業革命、そして特に第2次大戦後の重化学工業を中心とした重厚長大の産業社会の時代は終えんし終わっている。人類は、今、新しい文明の創造に向かっていることは間違いないというふうに私は思います。例えば、アメリカもそうですが、我が国でも各家庭にコンピューターが着実に普及してきております。産業のソフト化、パソコンネットワークからインターネット、マルチメディアの時代は足早にやってまいります。そしてそのことは、単に通信や情報、メディアが近代化されるということではなくて、人間の家庭生活から教育、政治、経済の構造すべてを一変させてしまうのではないでしょうか。つまり、21世紀は産業革命後の産業社会の延長線上にあるのではなく、全く新しい時代を迎えるということではないかと思います。我が岩手も、今は後進県と言われておりますが、先ほど申し上げました産業社会の大量生産、大量消費の時代は終わり、少量生産そして多様化が進み、生産が地方に分散される時代が来ると私は思います。そのことによって、本県はむしろ活力のある地域社会を創造する時代を迎えることができる。21世紀は岩手県の時代であるというふうに私は確信をいたしております。私は、今までの県の長期行政計画というのは国の計画に順応し、独自性に欠けるものがあったと思っております。この際、知事は本県の可能性を最大限に引き出して、イーハトーブ岩手を目指す創造的なビジョンを示していただきたいと思いますが、いかがですか。
 次に、当面する県政の課題に対し、幾つかの提言を含め質問をいたします。
 最初に、エネルギー政策について伺います。
 21世紀におけるエネルギー事情は、いずれ化石燃料を初め、非更新性の物質をエネルギー資源として利活用することは、地球環境の上からも21世紀の後半から不可能になることは必至であります。したがって、県はまず省エネルギー政策を積極的に進めるべきではないでしょうか。これは、今のライフスタイルを変えるとか低下させるということではなくて、効率の高いエネルギー社会をつくるということで、例えば公共施設や病院、ビル、ホテル、スーパーなどをコジェネレーション化するとか、効率的な輸送物流対策を行うごみ焼却の熱利用、高機密高断熱住宅の建設などを、行政指導あるいは県単補助などで誘導するということを考えるべきではないでしょうか。
 第2に、県は、大規模電源開発などを目標とするのはやめて、ソフトエネルギー開発の先進的な県を目指すべきであると思います。太陽光発電やその熱利用、風力発電、小水力発電、波力潮力発電を、県内の多様な地勢に応じて市町村と協力して開発を進めるべきであります。
特に、地熱については県内に有力な技術を持つ企業もおりますので、これと共同開発して県の公営企業に組み入れることを検討すべきではないかと思いますが、これらについての考えをお伺いいたします。
 第3に、昨年電気事業法の改正がございまして、鉄鋼とか石油化学、ガス等の企業が中小規模の発電及び小売供給に参入することが可能になりました。マスコミの報道によりますと、新日鉄も釜石等に石炭火力発電所を検討しているようでございます。石炭は賦存量も多く、賦存地も偏らない、価格も安定的で有望なエネルギーであります。しかし、最近、地球的規模の環境問題や我が国のように多くの過密地区を抱えている国では、環境基準をクリアして利用する必要がございます。幸い、釜石は地勢的にも環境上のリスクも少なく、当然、発電所は環境対策を配慮した構造となると思いますので、県としても、鉄冷えから脱却することができない釜石地域経済の振興のためにも積極的に誘致に協力していただきたいと思いますが、いかがですか。
 次に、交通問題について伺います。
 今、岩手では新幹線盛岡以北がフル規格で着工されておりますが、自治体の負担そして在来線のJRからの分離が問題になっております。この問題は、先ほど御質問がございました。私は、運動論について申し上げますが、まず、私は従来からのこの不当な政府・与党の方針に対し、関係する地方自治体がばらばらに運動するのではなくて、関係国会議員も含め一体的な運動が必要ではないかと、こういうふうに思います。今、着工している整備新幹線は3線でございますが、まだ福岡-長崎間がございます。青森-札幌間もございます。そして、まだ整備計画線にならない基本計画線は12線もあって、関係都道府県は32もございます。これらは同じ運命をたどるわけでありますから、これだけの関係都道府県が力をあわせれば、政府の方針を変えることができると私は思います。また、環境やエネルギー対策も含め、貨物輸送を自動車から鉄道や船舶に移転をするいわゆるモーダルシフトは、これからの重要な政策課題でございます。在来線のJR分離は、鉄道の貨物輸送をより困難にいたします。そのような立場からも在来線のJR分離はやめさせるべきであると思いますが、いかがですか。
 JRの岩泉線についての動きについてでございますが、国鉄の分割民営は、昭和61年12月に施行された国鉄改革法と清算事業団法によって、当時国鉄が抱えていた25兆5、000億円の借金は清算事業団が責任を持って償還する。そして旧国鉄の経営する鉄道は、これを承継する法人が経営するということで、岩泉線はJR東日本が経営を継続するということで、改革法第19条に基づいて基本計画が策定されております。この承継法人が、経営が悪い路線は地域が反対するのを押し切って切り捨てるということになると、法律違反、約束違反であります。昨年、JRの盛岡支社長は、岩泉線は昭和55年に施行された国鉄経営再建特別措置法、いわゆる地方線を廃止する法律の対象となる線区であるが、代替輸送道路が改良されるまで凍結された線区であると、こう言っております。この再建法には凍結などという条項はなく、既にこの法律は改革法施行とともに廃止をされております。昨年来、周辺の市町村がこの存続に対し熱心に運動を展開しておりますが、県の姿が余り見えません。知事は、年明け早々現地視察を行い、存続についてコメントを発表しておりますが、もっと積極的に存続のために関係市町村と協力して努力すべきであると思いますが、いかがですか。
 次に、農業政策についてでございます。
 県もそうでありますが、我が国の農業政策の基本的な戦略は規模の拡大でございます。しかし、全国的にはもちろん、岩手でも兼業農家、特に2種兼業農家が圧倒的に多いわけで、このような兼業農家を整理して大規模な専業農家をつくるという単純な発想はやめた方がいいと私は思います。今日、この就業構造をつくり出したのは、先ほど申し上げましたように産業社会であります。そして、この就業構造の形成が我が国を経済大国に押し上げ、同時に、緑と農業を守る農家所得を形成しているわけでございます。したがって、今後の農業政策は、この形態をベースにして類型別に地勢別に多様な生産、加工の技術指導や販売戦略を推進すべきではないでしょうか。
 次に、ウルグァイ・ラウンドの合意関連対策事業について。
 農業者の中に、効果に疑問があるとか農業政策でなく建設対策事業などという声がございます。むしろ、農業者の心配は、1996年には約50万トンになり2000年には80万トンになる米のミニマムアクセス、つまり輸入米の増加分が政府は減反しないと言っているが、結局は新たな減反となって米作農家に押しつけられてくるのではないか、これにどう対応するのか。これからの米の安定的な生産に対し、県はどのように考えているか伺います。
 最後に、福祉の問題についてお伺いいたします。
 老人福祉は、公的介護保険制度が導入されます。いろいろな問題もありますが、厚生省は関係法案を通常国会に提出し、平成9年度から実施することを目指しております。この案では、事業主体に市町村を想定しているようですが、市町村は保険財政は破綻しないのか、第2の国保になるのではないかと、こういうことを心配しております。また、市町村はどこまでサービスメニューの提供ができるのか、さらにホームヘルパーなどのマンパワーをどう育成確保するのか。いずれ県も確実にやってくるこの制度の実現に備え、市町村の意向を聞き取ることを含め、十分な協議と対応が必要であると思いますが、いかがですか。
 次に、老人保健福祉計画の実施状況について、その目標値と現状はどうなっているのでしょうか。
 特養など、施設福祉は平成11年目標に近い達成率を上げているようですが、その管内に入所できないで待機している御老人がかなり多くおられると聞いておりますが、この計画の見直しが必要ではないでしょうか。
ひとにやさしいまちづくりについて、条例の実効性をどのように上げていくつもりなのか、また、市町村に対しても同様の条例整備を指導していく必要があると思いますが、いかがですか。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 菊池雄光議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、地方分権の推進についてのお尋ねでございます。この地方分権の推進は、当面する県政の課題の中でも最も重要なものの1つと、このように認識をしているところでございまして、私は、住民に身近な行政は、最も身近な行政主体である市町村とその活動を広域的そして総合的観点から支援をする県との間で、よく緊密な連携をとりながら、できるだけ地域ごとに完結性のある形で展開されることが望ましく、本格的な地方分権の振興に伴って、我々地方公共団体の果たす役割が現在よりもますます重要になってくると、こういうふうに考えているところでございます。今後は、この地方分権推進法の精神にのっとりまして、地方のことは地方にゆだね、国は、本来果たすべき役割に専念することができるように、機関委任事務などはもう廃止をいたしまして、国及び地方公共団体の役割分担が明確にされることが必要であると、こういうふうに考えております。そして、地方が自主性や自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現することが時代の要請であり県民も望んでいる方向であると、このように確信をしているところでございます。このため、県といたしましては、国の動向に注目しながら、市町村と連携してその責務を自覚し、地方分権の時代の新たな役割を十分に果たすべくその条件整備に努める一方、国に対しては、全国知事会などを通じまして、財源に裏打ちされた実効性ある地方分権の推進を引き続き強く働きかけてまいる考えでございます。
 地方分権に対する県民の意識醸成及び市町村との意見交換などにつきましては、一昨年の9月に県政モニターに対する意向調査を実施しました。昨年10月には、広く県民を対象としたセミナーを開催するなど、県民の皆様方の意向把握と意識啓発に努めているところでございます。市町村に関しましても、昨年9月以来、地方分権の推進に関する協議の場をともに設けまして、継続的に検討協議を続けているところでございます。
 また、行政改革とのリンクにつきましては、行政改革との関連性も念頭に置きながら、庁内に岩手県地方分権推進会議を昨年の7月に設置をしました。これは、地方分権推進法の施行に合わせて設置をしたわけでございまして、県として統一的な地方分権の推進に努めているほか、県内におけるこれもまた1つの地方分権の一環といたしまして、市町村及び地方振興局に対する権限移譲を行政改革大綱、1月にまとめました大綱に盛り込んだところでございまして、今後はその計画的な推進を図ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
 次に、イーハトーブ岩手を目指すビジョンについてでございますけれども、私はこの21世紀の岩手の姿とは、個性的で多様性に富み、かつ、活力があって、人々が安心して暮らせるような心豊かな地域社会、これが21世紀の岩手の姿であると、このように考えております。今日、内外ともに変化の激しい時代の中にありまして、そのような理想的な岩手を築き上げていくためには、自由で新鮮な発想のもとに、国際的な視野に立って内外の経済社会情勢の変化に伴う諸課題に積極的に取り組むとともに、地域地域の発想と主体的な行動を基本として、それぞれの地域の魅力を最大限に引き出していかなければならないと、こういうふうに考えております。したがいまして、今後の県政の推進に当たりましては、まさしく住民に最も身近な行政を担っております市町村、この最先端の行政を担っております市町村との連携を密にし、個性や多様性を重視した地域づくりを積極的に進めながら、多様な地域連携や交流の促進を図ると。市町村同士あるいは市町村と県あるいは県境を越えた連携というのもあると思いますが、こうした多様な地域連携、交流の促進によって、それぞれの地域での自立的な社会の形成や安全で安心感のある県民生活の確保、そして人と自然との望ましい共生の実現など幾つかの視点がございますが、こうしたものに留意しながら多様な施策を積極的に展開をいたしまして、まさに理想郷岩手と言われるような地域社会の実現に向けて取り組んでいきたいと、こういうふうに考えております。
 次に、エネルギー政策についてでございますが、まず、省エネルギー対策については、国民のライフスタイルが変化をしてきておりまして、ゆとりですとか豊かさの追求ということを背景として変化をしてきている、こういうライフスタイル、こうしたものがございまして、エネルギー消費量は各種生産活動や国民生活を中心に高い伸びを示しております。エネルギー需給のバランスの確保そして環境保全の観点から、一層の省エネルギーの推進が必要不可欠となっているところでございます。県におきましては、従来からエネルギーの効率的利用を促進するための省エネルギー技術の開発及び導入に関する情報提供などに努めてまいったところでございますが、一方、資源とエネルギーを大切にする運動、県民のつどいを開催するなど、さまざまな普及啓発活動を実施をいたしまして、県民の省エネルギー意識の高揚を図っているところでございます。今後におきましても、引き続きこうした省エネルギー施策の推進に取り組んでまいる考え方でございます。
 次に、太陽光、風力などの新エネルギー、小水力などを利用した発電の開発についてでございますが、これらは地域の特性を生かし、かつ、クリーンで環境にも優しいエネルギーでありますので、本県におきましても小水力発電の開発はもとより、一部ではございますけれども太陽光発電、風力発電などの開発利用が実施をされているところでございます。今後におきましても、これらのエネルギーを開発利用していくことが重要でございまして、地域エネルギーに関する調査を行いまして、積極的にその開発利用の促進に取り組んでいきたいと、このように考えております。
 次に、地熱発電を公営企業に組み入れることについての御提案でございますが、公営企業が地熱発電に参入するには、蒸気供給事業者から蒸気の供給を受けて発電を行う、そしてこれを電力会社に売電をするという、こういうケースが想定をされるわけでございます。しかし、地熱開発は対象が地下資源であるため開発リスクが大きいと、また、多額の先行投資が必要とされることなどがございまして、国のさまざまな助成制度を活用いたしましても、蒸気の購入価格が高価なために、地熱を熱源に利用する場合の発電原価は他の電源に比べて相当割高なものと、このようになっているところでございます。したがいまして、将来において蒸気供給のコストが下がって発電原価が低減された場合はともかくといたしまして、現状のままではこうした卸供給を行う公営企業の参加は極めて難しいと、このように考えているところでございます。
 次に、新日本製鉄株式会社の釜石製鉄所における石炭火力発電についてでございますが、同社におきまして、既存の敷地を活用した発電事業の新規参入に向けて、現在種々検討中であると、このように承知をしております。この発電事業の実施は、釜石地域の振興に寄与するとともに、本県における電力自給率の向上にも資するものと、このように考えておりまして、その実現を大いに期待をしているところでございます。したがいまして、県といたしましては、今後の事業実施に当たりまして、自然環境、生活環境への適切な対応を要請するとともに、これを契機として一層の地域振興が図られるよう、その立地を積極的に支援してまいりたいと、このように考えております。
 次に、並行在来線のJRからの経営分離についてでございますが、この方針は、平成2年そして6年の政府・与党の申し合わせに従いまして、県において関係市町村との協議を重ねました上で、新幹線の早期着工を優先する立場からやむを得ない選択として受け入れたものでございまして、現時点においてその見直しを求めることは困難な状況にございます。このため、県におきましては、経営分離後における沿線住民の利便性の確保に向けた方策の検討を鋭意進めるとともに、国などに対しまして必要な支援措置を要望しているところでございますが、一方、連立与党の整備新幹線検討委員会においては、本年の1月から整備新幹線に関するスキームの年内見直しに向けた検討を開始いたしまして、いわゆる未着工区間の取り扱いに加えまして、こうした並行在来線そして鉄道貨物の問題もそこで取り上げることとしたと、このように承知をしているところでございます。御指摘のとおり、東北本線は首都圏と北海道、東北地方を結ぶ貨物輸送の大動脈でございまして、本県における並行在来線のあり方とそれから将来における鉄道貨物の取り扱いは密接不可分の関係にあることでございまして、県といたしましては、連立与党や国において、これらの問題に関する総合的な検討が十分に行われるように他道県とともに必要な働きかけを行っていきたいと、こういうふうに考えております。
 次に、JR岩泉線の問題についてでございますが、この岩泉線は、日常生活に密着した地域住民の足として現在重要な役割を果たしているところでございまして、沿線住民の交通の安全性と利便性が将来にわたって確保されることが何よりも重要であると、このように認識をしているところでございます。このため、JRに対しましては、公共交通機関としての重大な責務を踏まえた上で、地元との間で十分な協議を尽くして、地域住民が納得し得る結論を得るよう強く要請をするとともに、関係市町村とも密接な連携を図っているところでございます。現在、関係市町村におきましては、昨年末からJRとの間で協議を開始しておりますが、当面は、両者の間で岩泉線の現状と問題点などに関する共通理解を築くために建設的な話し合いを進めると、こういう方針でございます。私自身も1月の初めに現地を訪問しまして、岩泉線が地域で果たしている役割について改めて深く認識をしたところでございまして、今後ともこうした地元の意向に基づき、県として協議に参加することも含めまして、この問題に対する適切な対応を図ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
 次に、今後の農業政策の推進についてでございますが、本県農業の一層の発展を図るためには、地形的に平場から中山間地域まで変化に富んでいると、また、気象条件も同様に変化に富んでいると、多彩なこうした立地特性を生かし、稲作や園芸作物など適地適作を基本に、新鮮で安全性を重視した特色ある農産物の生産を進めるなど、体質の強い農業を確立していかなければならないと、このように考えております。また、こうした農業を進めるに当たりましては、その担い手となる農業従事者が近年、減少、高齢化と、このような状況となってきておりますので、専業を志向する主業型農家を育成しながら、これらの農家を核とした合理的な生産システムを構築することが肝要であると、こういうふうに考えております。このため、主業型農家におきましては、作業受託や農地の借り入れなどによりましてその経営を確立し、地域農業の中心的な役割を担っていただきますとともに、兼業農家におきましては、その労働力に応じまして栽培、管理作業などに携わっていただくほか生産組織へ参画するなど、ともに両者の利益が確保されるような地域ぐるみによる生産体制づくり、いわゆる地域ぐるみ農業を推進してまいりたいと、このように考えております。
 また、販売に当たりましては、県産農産物の銘柄確立を図りますほか、長期継続出荷によります市場競争力の強化、産地直送や宅配、地場供給の促進などきめ細かな戦略を展開するとともに、農産物の加工によるこの地域特産品づくりを進めることなどによりまして、総体として所得形成力が高い農業の構築に努めていきたいと、このように考えております。
 次に、これからの米の安定的な生産についてでございますが、国はガット・ウルグァイラウンド農業合意の実施に伴う農業施策の基本方針において、その中で米のミニマムアクセス導入に伴う転作の強化を行わないとする閣議了解がなされたところでございまして、今般、3カ年間の対策として示されました新生産調整推進対策のこの転作面積につきましては、こうした政府の閣議了解の方針を踏まえて算出をされたものと、このように考えております。県といたしましては、ミニマムアクセス米の導入に伴う転作の強化は行わずに、その使途についても加工用、飼料用、援助用などに仕向けて、国産米の流通に影響を与えないよう強く要望してきているところでございます。今後の米生産につきましては、昨年11月に施行されました新食糧法において流通規制が緩和されたことに伴いまして、産地間競争が一層激化すると予想されますことから、こうした状況に的確に対応して需要動向に即した米の安定生産と銘柄確立によりまして、本県が米の主産県としての地位を確固たるものにしていくことが重要であると、このように考えております。昨年の12月に県産米の生産、販売対策の推進方針を定めまして、売れる米づくりを基本として適地適品種の配置や品質、食味のすぐれた米の低コスト、安定生産に努めるとともに、全国トップクラスに位置しております有機・低農薬栽培、自然乾燥率など、本県産米の特色を強調したイメージアップを図るほか、新たな需要を開拓するために、消費地の販売店と一体となって重点的に県産米の宣伝を行いますエリア・マーケティングを展開する--消費地の販売店においていろいろな宣伝活動を展開するようなエリア・マーケティングを展開していきたいと、そして生産から販売に至る諸対策を関係機関、団体との連携のもとに積極的に進めていきたいと、このように考えております。
 次に、公的介護保険制度の実現に備えました対応についてでございますが、公的介護保険につきましては、現在、国の老人保健福祉審議会において審議が進められておりまして、県といたしましては、これに対しまして全国知事会などを通じて、負担と給付の均衡の確保、制度の安定性の維持、介護サービス基盤の充実などの諸課題について総合的な検討とともに、地方の意見を十分取り入れるように要望してきたところでございます。また、市町村に対しましては、これまで審議会の中間報告などの情報を逐次提供してまいりましたけれども、近く審議会の第2次報告や事務局試案についての説明会を開催することといたしておりまして、市町村から寄せられた意見につきましては、その趣旨が生かされるよう国に要請してまいりたいと、このように考えております。
 さらに、介護保険の導入に当たりましては、バランスのとれたサービスの提供が重要でございます。市町村における介護サービス基盤の充実を一層促進してまいりたい、このように考えております。
 次に、老人保健福祉計画についてでございますが、県計画の目標値に対する整備実績は、特別養護老人ホーム、老人保健施設、ホームヘルパーなどはおおむね順調に進捗をしておりますけれども、在宅介護支援センター、老人訪問看護ステーション、ケアハウスなど、制度の比較的新しい施設についてはなお整備の一層の促進を図る必要がある、そういう現状でございます。
 また、老人保健福祉計画の見直しにつきましては、国における公的介護保険制度に関する検討の状況を見きわめながら対応していきたい、このように考えておりますが、3県総の後期実施計画の策定において、在宅福祉サービスの拡充とともに、施設福祉サービスについてもさらに整備充実をしていきたい、このように考えております。
 次に、ひとにやさしいまちづくりについてでございますが、まず、条例の実効性については、県民に対する啓発広報を展開するとともに、公共的施設の新築や改築などの届け出の際に指導助言を適切に行いますほか、自動ドアやエレベーターなどの整備を行う民間事業者を支援する低利融資制度の利用促進などを図ることによりまして、その実効性を確保してまいりたい、このように考えております。
 また、市町村条例についてでございますが、県といたしましては、県条例により十分ひとにやさしいまちづくりを推進できるものと考えておりますけれども、市町村がさらに条例を制定するかどうかにつきましては、それぞれの市町村の独自の判断によるものと、このように考えているところでございます。
 以上でございます。
〇副議長(及川幸郎君) 次に、山崎門一郎君。
   〔46番山崎門一郎君登壇〕(拍手)

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