平成8年6月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

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〇1番(斉藤信君)日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第2号、4号、5号、14号について質疑を行います。
 議案第2号は、県税条例の一部を改正する条例の専決処分の承認を求めるものですが、その内容は、個人の県民税の均等割の税率を700円から1、000円に引き上げるものであります。そもそも県民の税金を決定することは議会の最も重要な課題であります。なぜ県議会で審議することなく専決処分となったのか、議会制民主主義を尊重する立場でどう考えているのかお聞きをいたします。
 今回の均等割の増税は、特別増税の恩典を受けない低所得者にとっては増税だけを押しつけるものであります。県内で特別減税の対象とならない県民はどれほどいますか。今回の増税の税収額はどうなりますか。市町村民税も500円の引き上げとなっていますが、県民にとってこれをあわせると幾らの増税となるでしょうか。
 今回の改正では、特別減税が今年度も延長実施されるという内容です。深刻な不況のもとで、これは当然のことであります。これまでの特別減税の実績はどうなっているでしょうか。年度ごとにお示しを願いたい。
 議案第4号県税条例の一部を改正する条例案は、長期譲渡所得の課税について、これまで4、000万円を超える譲渡益について税率3%だったものを、8、000万円を超える譲渡益まで引き上げようとするものであります。これは、高額所得者優遇とならないでしょうか。減税額は幾らとなる見通しでしょうか。平成6年度、7年度の実績はどうでしょうか。そもそも長期譲渡所得への課税強化は、1991年にバブル対策として行われたものであります。ところが、財界の土地税制緩和の要求にこたえた今回の減税、税率引き下げはバブルの再燃が心配されますけれども、どうでしょうか。県民税、市町村民税、所得税あわせますと6・5%の減税であります。
 議案第5号農村地域における県税の課税免除に関する条例の一部改正案は、農村地域への工業等の用に供する設備の新設または増設の県税の課税免除について、その期限を定めようとするものであります。平成10年3月31日、いわゆる98年3月31日までの期限つきということになります。これまでの課税免除の実績はどうなっているでしょうか。期限つきにする根拠は何でしょうか。期限つきによって農村地域への工業の導入に支障が出ることはないでしょうか。
 議案第14号国土利用計画岩手県計画の全面変更について伺います。
 今回の変更の新しい特徴、変更された重要事項はどういう内容でしょうか。特に県土の質的向上に関して、①安全で安心できる県土利用、②自然と共生する持続可能な県土利用、③美しくゆとりある県土利用というのが新しい観点とされていますが、これまでの安全、快適、健康の観点とどう違うのか、具体的にお示し願いたい。
 自然維持地域が地域類型に新たに加わっていますが、自然環境の保全地域の新たな指定となるのでしょうか。
 県土の利用目的区分を見ると農用地も拡大される計画となっています。水田、畑地はそれぞれどうなっているでしょうか。その根拠は何ですか。
 森林は1、000ヘクタール減少の計画となっていますが、なぜでしょうか。自然維持、環境保全に逆行するのではないでしょうか。
 以上、答弁次第によっては再質疑をいたします。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君)まず、個人の県民税の均等割の税率引き上げの改正を専決処分した理由は何かということでございますが、平成8年度の税制改正に係る地方税法等の一部を改正する法律が平成8年3月31日に交付され、個人の県民税の税率について標準税率が700円から1、000円に改正され、平成8年4月1日から施行されることとなったため、専決処分を行ったものでございます。
 なお、地方税法の改正がなされた場合の専決処分につきましては、去る3月の議会運営委員会等におきましてあらかじめお願いを申し上げておいたところではございます。
 次に、県内で特別減税の対象とならない県民は何人ほどかということでございますが、平成8年度の個人県民税の賦課に関する報告書の報告期限が6月末までとされていることから、現在、特別減税の対象とならない県民は何人ほどかということは把握していないところでございますが、平成7年度実績を御参考までに申し上げますと、約5万6、000人となっているところでございます。
 今回の均等割の改正による増収額でございますが、平成7年度の課税人員数から試算いたしますと、県民税で約1億4、000万円、市町村民税で約2億4、000万円見込まれるところでございます。
 個人県民税の特別減税の年度ごとの実績でございますが、平成6年度は約37億円、平成7年度は約19億円、平成8年度の見込みもやはり19億円というふうに見込んでおるところでございます。
 次に、長期譲渡所得の関係で、高額所得者優遇とはならないかというようなお話でございますけれども、土地譲渡益課税は、土地の公共性を基礎としまして、土地譲渡益に対して通常の所得に比べて高い負担を求めているものであり、資産格差の拡大に適切に対処する観点から、大きな土地譲渡益には相応の税の負担を求めるという基本的な考え方で構成されたものでございますが、その後の急激かつ継続的な地価の下落する中で、保有税負担が年々上昇する一方、取引ごとの譲渡益規模が大幅に縮小している状況から、土地の公共性を基礎とする制度の基本的な枠組みを逸脱しない範囲内において税率等の見直しがなされたものと承知いたしております。
 減税額は幾らとなる見通しかということでありますが、土地の譲渡がどれほどのものとなるか予測が困難でありまして、その影響額は算定いたしかねるところでございます。なお、平成6年度、7年度の実績ということでございましたが、資料を持ち合わせておりませんので、御了承賜りたいと存じます。
 それから、今回の税率引き下げはバブルの再燃が心配されると、どう見ているかということでございますが、この税率引き下げが将来的にバブルを再燃するかどうかということについては考えてはいないところでございます。
 それから、農村地域における県税のこれまでの課税免除の実績ということでございますが、平成5年度は1億5、000万円、平成6年度は5、000万円、平成7年度は8、000万円程度というふうになっております。
 それから、期限を定める根拠とのお尋ねでございますけれども、農村地域における県税の課税免除については、工業等導入地域内において工業等の用に供する設備のうち、自治省令で定めるものを新設または増設したものについて県税の課税免除をした場合には地方交付税において原資補てんを受けることができることになっており、この自治省例の一部が改正され、工業等の用に供する設備の新設または増設の期限が定められましたことから、今回そのような改正を行おうとするものでございます。
 農村地域への工業の導入への影響につきましては予測いたしかねるところでございますので、御了承賜りたいと存じます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔企画調整部長武居丈二君登壇〕
〇企画調整部長(武居丈二君)まず、国土利用計画岩手県計画案についてでありますが、この計画は、国土利用計画法に基づき、県土の利用に関する基本的事項について定める計画でありまして、国土利用計画全国計画を基本として定めることとされているものであります。
 今回提案しました計画の特徴としては、安全で安心できる県土利用、自然と共生する持続可能な県土利用、それから、美しくゆとりある県土利用という3つの新たな観点を基本としたことであります。また、現行計画の地域類型である都市、農山漁村のほかに、新たに自然維持地域という地域類型を加えております。さらに、地域区分につきましては、従来盛岡広域都市圏と地方圏の2区分であったものを、今回、自然的、社会的、経済的条件を勘案しまして、盛岡地域等6区分としております。
 次に、県土利用の質的向上に関しての現行計画と改定計画の観点の違いについてでありますが、改定計画におきましては、県土利用の質的側面をめぐる状況の変化を踏まえまして、具体的には国土の安全性に対する要請の高まりを踏まえまして、安全で安心できる県土利用とし、また、心の豊かさや自然との触れ合いに対する志向の高まりなどを踏まえまして、自然と共生する持続可能な県土利用、美しくゆとりある県土利用としたところであります。
 先ほど具体的にどのような違いがあるのかという御質問がございましたが、例えば、具体的に安全で安心できる県土利用の観点という面でいきますと、バックアップ機能でありますとか、あるいはライフラインの多重化、多元化等、こういった記載が新たに加わっておりますし、自然と共生する持続可能な県土利用の観点からは、自然の健全な物資循環の維持でありますとか、あるいは生物の多様性が確保された自然の保全創出とそのネットワーク化等を図る、こういった観点が新しくなってございますし、また、美しくゆとりある県土利用の観点からは、景観の形成といった観点でありますとか、県民の余暇志向や自然との触れ合い志向への適切な対応、こういった観点が新たに加わっているところでございます。
 次に、自然維持地域についてでございますが、この地域は自然が良好な状態で維持されてきた地域でありまして、今後ともそれを維持すべき地域を指してございます。これは、今度の県土利用の基本的方向、政策の指針としての類型を示したものでありまして、この計画により新たな地域指定を行う趣旨ではありません。
 次に、農用地の目標面積についてでありますが、これは、第三次新いわて農業確立計画に掲げるところの収益性の高い農業への再編を実現するため、必要な面積を設定したものであります。水田につきましては、近年の情勢等を踏まえまして若干減少することとなりますが、畑地につきましては、園芸の重点的な振興を図るため面積の増加を見込んでおりまして、全体として農用地面積が増加するものであります。
 次に、森林の目標面積についてでありますが、これは、過去の開発面積等を勘案し、推計したものであります。なお、主な減少要因としましては、農用地造成に伴うものであります。
 また、この計画では森林の利用の基本的方向としまして、木材生産等の経済的機能のほか、県土保全、自然環境の保全等の公益的機能を総合的に発揮し得るよう、その適正な維持管理を図ることとしているところであります。
〇1番(斉藤信君)2点ほど再質疑をさせていただきます。
 均等割の引き上げについて、3月31日公布なので専決処分になったと、こういうことですけれども、私は、地方分権が言われる時代に、県民の税金を県議会が決めるというのは最も大事な議題であり、課題であると思うんです。私は、こういう国のあり方というのは正しくないと思うんです。そういう点で、例えば1年経過してから実施するとか、3月31日公布で4月1日実施だと、こういう決め方自身に私は極めて重大な問題があるし、地方分権に逆行するのではないか。その点で、税額も5万6、000人の方々が減税なしの増税ですから、極めて重大な問題ですから、一言総務部長にお聞きします。
 土地利用計画について、森林が1、000ヘクタール減少計画になっているんですが、地域ごとに見ますと、北上中部地域、両磐地域、釜石大船渡地域、この3地域がマイナスなんです。この3地域の森林減少の理由は、今お話しされた農用地造成なのか、それぞれ理由があるのかどうか。
 最後ですが、環境保全と美しい県土の形成、このところで、例えばこういう記述があります。高い価値を有する原生的な自然については、公有地化や厳格な行為規制等により厳正な保全を図る。この公有地化、厳格な行為規制等、この具体的な中身は何か。
 歴史的風土の保存、文化財の保護等を図るため、開発行為等の規制を行う、こうあります。これは恐らく大規模開発指導要綱には入らない対象ですから、どういう形での規制を行うのか。
 さらには、良好な環境を確保するため、公共事業の計画段階等において環境保全上の配慮を行うこと、開発行為等について環境影響評価を実施することなどにより土地利用の適正化を図ると。この点は、大規模開発指導要綱とのかかわりで、これを規制強化しようとするものなのか、新たな規制を検討しているのか、その根拠は何なのか、以上改めてお聞きします。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君)均等割についてのお話でございますが、議員のお話の御趣旨は理解をいたしました。ただ、現在の財政制度全般の中では据え置くことは不可能になっております。御了承賜りたいと存じます。
   〔企画調整部長武居丈二君登壇〕
〇企画調整部長(武居丈二君)何点かにつきまして御質問ございました。
 まず、森林地域の関係でございますが、先ほど私、森林面積の減少につきまして御説明しましたが、これは、地域、地域のそれぞれの実態に応じて面積を推計しているものでございますが、これは、具体的には実は増加面積と減少面積がございまして、それぞれの地域の実態に合わせて、それで増減が出てくるものでございます。増加面積の具体的なものは、人工林の新たな造成というものが行われるわけでございまして、これによりまして、全体としましては1、000ヘクタールほど人工林率が上がると。これに対しまして、減少面積、大きくはこの中で農用地造成に伴うものが2、000ヘクタールほどございますが、こういった観点からそれぞれの地域の森林面積が変わってくるものでございまして、私の手元に詳細な地域ごとの区分はございませんが、こういったそれぞれの地域、地域の実情に応じまして森林面積のそれぞれの増減が計算されているところでございます。
 それから、先ほど環境の保全と美しい県土の形成の中で何点か御指摘がございました。高い価値を有する原生林的な自然については、公有地化や厳正な行為規制等により厳正な保全を図る。当然のことながら、こういった問題の中には自然環境保全のそういった各種規制にかかわるものもございましょうし、当然ここに書いてございますように、野生生物の生育、育成あるいは自然風景あるいは希少性等の観点から見て、すぐれている自然につきましてはそういった行為規制等を図る必要が出てまいりますので、こういったものにつきましても適切にそれぞれ対処していきたいというふうに考えております。
 それから、最後のカの部分で、良好な環境を確保するため、公共事業等の計画段階等において環境保全上の配慮を行うこと、それから、開発行為等について環境影響評価を実施することなどにより土地利用の適正化を図ると、こういった点につきましての御質問がございました。これは、昨日、私なり環境保健部長の方から答弁させていただいた部分でございますが、環境影響評価につきまして、あるいは大規模開発要綱につきましては、現在の制度を踏まえまして、私どもの開発行為につきましては、要綱につきましては現在フォローアップしているところでございますが、国におきましては、現在、環境影響評価制度についての法制化の動き等もございますので、今後、この計画期間内にそういった国の新しい環境影響評価制度に関する新しい制度の動向等がございますれば、そういった状況をも勘案しつつ、かつ本県の特性等も踏まえまして、十分に適切に対応できるようにしてまいりたいというふうに考えております。
〇議長(堀口治五右衛門君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第14号までは、お手元に配布いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれの所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
(第6回県議会定例会平成8年6月28日)
総務委員会
1 議案第1号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第2款
   第2条
2 議案第2号
3 議案第3号
4 議案第4号
5 議案第5号
6 議案第6号
7 議案第14号
福祉文教委員会
1 議案第10号
2 議案第11号
3 議案第12号
農林水産委員会
1 議案第8号
2 議案第13号
土木委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第8款
2 議案第7号
3 議案第9号
   日程第16 議案第15号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてから日程第18議案第17号公害審査会の委員の任命に関し同意を求めることについてまで
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、日程第16、議案第15号から日程第18、議案第17号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。千葉副知事。
   〔副知事千葉浩一君登壇〕
〇副知事(千葉浩一君)本日提案いたしました人事案件について御説明申し上げます。
 議案第15号は、公安委員会の委員であります畑山新信氏の任期が7月2日で満了となりますので、同氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 議案第16号は、収用委員会の予備委員であります高桑星氏の任期が6月29日で満了となりますので、同氏を再任するため議会の同意を求めようとするものであります。
 議案第17号は、公害審査会の委員が欠員となっておりますので、鷹觜紅子氏を新たに任命するため議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に同意くださるようお願いいたします。
〇議長(堀口治五右衛門君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第15号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第15号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立多数であります。よって、議案第15号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。 次に、議案第16号収用委員会の予備委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第16号収用委員会の予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立多数であります。よって、議案第16号収用委員会の予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。 次に、議案第17号公害審査会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第17号公害審査会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立全員であります。よって、議案第17号公害審査会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時6分 散 会

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