平成8年6月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

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〇5番(佐々木博君)新進党の佐々木博でございます。
 通告に従い順次質問してまいりますので、誠意ある御答弁をお願いいたします。なお、前段者と一部重複する点については、あらかじめ御了承賜りたいと存じます。
 私は、昨年6月の定例議会の一般質問において、地方分権と行政改革につき質問いたしました。その後、本年の3月29日に地方分権推進委員会から中間報告がなされ、また、行政改革についても、本年の1月に行政改革大綱が公表されております。
 そこで、改めてこの2点につき質問させていただきます。
 最初に、地方分権についてでありますが、去る3月29日、地方分権推進委員会は、副題を分権型社会の創造とする中間報告を取りまとめ、橋本総理に提出しました。
 今回のこの中間報告書では、分権改革にかかわる諸課題がほとんど網羅されており、例えば、国と地方自治体を対等のパートナーと位置づけた上で、国の役割を外交、防衛など、国の存立にかかわる事務の執行などに限定し、自治体は地域行政を総合的に担うとしたほか、とりわけ日本の自治制度の形骸化の最大の要因である機関委任事務制度について、機関委任事務制度そのものを廃止する決断をすべきであると断言しており、推進委員の分権に対する熱意、思い入れがストレートに伝わってくる思いがいたします。
 また、自治体に対する国の関与を合理的必要最小限のものにとどめるため、新たに国と自治体の関係を調整するルールを行政手続法的な考え方に準じて一般法で定めるべきとする提言などは大いに注目すべきところであり、私は、この中間報告に対して総じて高い評価をしているところでありますが、知事の率直な御所見をお聞かせください。
 しかしながら、高い評価をする一方で、幾つかの懸念がないわけでもありません。
 1つは、機関委任事務を廃止し、国の関与を大きく制限することについて、現在でも中央官庁に強い抵抗がある旨報道されております。今後、地方分権推進委員会では、561件ある機関委任事務を自治事務と法定受託事務とに振り分ける意向とのことですが、その際、中央官庁は枠組みの変更は認めても、みずからが関係する事務について、より強い関与のできる法定受託事務とすべく強力な運動を展開するだろうと危惧するものであります。また、中立的な立場から国と地方を調整する第三者機関の設置が打ち出されておりますが、この第三者機関の性格が単なる調整役なのか、あるいは国や地方を無条件で従わせるだけの強い権限を持つものであるのか、その位置づけがあいまいと考えます。以上の点につき、知事はどのような御所見をお持ちかお伺いします。
 また、財源の裏づけのない権限は、いわば絵にかいたもちと同じと考えるものですが、今回の中間報告を見ましても特に税源の再配分など、地方財政の充実にかかわる部分の提言が相対的に薄いところが気になるところであり、この部分については議論が先送りされたとの印象がぬぐえません。これらについては、今後の議論の充実を期待するものでありますが、最終報告に至る過程では、なお曲折が予想されるところであり、充実した地方自治の確立のため、県当局のなお一層の御努力を願うものでありますが、知事の分権推進に向けた御決意をお伺いします。
 ところで、地方分権については、なぜ分権が必要なのか、よくわからないという声も時々耳にします。分権によって日常生活がどのように変わるのか、よくわからないというのがその理由であります。したがって、地方分権に対する機運を高めるためにも、なぜ今、地方分権が必要なのか、そして、分権することによって我々の日常生活がどのように変化するのかということを、広く県民に理解してもらうための啓蒙運動にもっと力を入れるべきではないかと考えるものでありますが、この点につき御所見をお伺いします。
 次に、行政改革についてお伺いします。
 昨年の12月に行政改革推進懇談会から出された最終報告を受け、県の行政改革推進本部は、本年1月29日、行政改革の具体化方策についてと題する行政改革大綱を決定されました。この大綱では、今後おおむね5年以内に取り組むべき課題について、行政改革の具体化方策を定めたとされておりますが、以下の点についてお伺いします。
 第1は、環境保健部の保健医療部門と生活福祉部の福祉部門との組織的な統合についてであります。この両部門は、本県が直面している高齢化、少子化の進行などから、今後飛躍的に行政需要の拡大が見込まれる部門であり、また、類似目的の施設でありながら、例えば、老人保健施設は環境保健部、特別養護老人ホームは生活福祉部と担当が分かれており、今まで県民にとっても非常にわかりづらかったところであります。市町村においては、保健や福祉に係る住民への直接的なサービスを実施するため、相当数において担当部署の一元化が進んでいると伺っておりますが、このたびの大綱において、県においても両部門の組織的な統合が示されたことは大いに評価すべきものと考えるものであります。
 そこで、その統合の方法についてでありますが、環境保健部か生活福祉部のどちらかに統合するということなのか、あるいは新しい部を1つ創設するのか、本庁の部の再編についての御所見をお伺いします。
 次に、土木事務所を地方振興局に統合することにつきお伺いします。
 なお、この点については、昨年の11月定例議会で佐藤正春議員が質問いたしておりますが、今回正式に大綱に示されたところであります。このことに対し土木関係者の間では、将来その方向で進むことについては異論はないものの、今、本県は平成6年10月7日に決定された総額630兆円の公共投資基本計画に基づく公共事業を積極的に導入しながら、第三次岩手県総合発展計画の後期実施計画に盛られた基盤整備の着実な推進を図らなければならない時期にあり、また、災害の発生などの緊急時には命令系統の一本化による臨機応変の対応を求められることなどをしんしゃくして、なお多方面からの検討が必要なのではないかとの意見もあります。知事は、このことに対し、どのように対処されるおつもりか、御所見をお伺いします。
 次に、観光の振興についてお伺いします。
 観光立県を標榜する本県にとって、観光産業は1つの大きな基幹産業であり、なお一層の振興を図るためには県の今以上の支援が必要なのではないかと考えるものであります。特にも、観光ルートの開発などは広域で取り組むべき課題でもあり、市町村との連携を深めながら、なお一層地域における観光の振興を図るとの見地から、地方振興局と本庁との連携を強化する必要があると考えるものでありますが、御所見をお伺いします。
 次に、県政と盛岡市政とのかかわりとの観点から質問させていただきます。
 最初に、盛岡駅西口開発整備事業との関係で、企業局所有地の活用についてお伺いします。
 この件については、昨年6月議会においても質問しているところでありますが、その後、この地区の土地区画整理事業や建設工事の進展は目覚ましく、盛岡駅本宮線の橋脚工事や地区内道路、人工地盤等の整備が進んでおりますし、地域交流センターの建設工事もいよいよ本格化し、来年度中にはオープンの運びになるということであります。まさしく21世紀に向けた県都盛岡市の新しい都市づくりが今後急ピッチで進んでいく時期に差しかかってまいりました。このような状況のもとで、県として果たす役割は非常に大きいものがあり、県企業局が保有している土地の活用方策が西口地区開発の成否を左右するものと言っても過言ではありません。また、現在、地域交流センターのテナントを募集中とのことでありますが、その際、企業局所有地には何が建つのかよく尋ねられるとのことであり、その建設構想が急がれるところであります。この企業局所有地の活用方策については、これまで企業局会館構想の見直しを経て、県政課題で見込まれる施設や民間活力の活用による複合施設などの検討が行われてきたものの、いまだ成案を得るに至っていないと聞き及んでおりますが、西口地区開発の先導的役割を担うものと期待されている土地でもあることから、ぜひともこの地区にふさわしい施設の建設構想を早期に樹立していただきたく、強く要望するものであります。
 その際、21世紀の到来を間近に控え、新しい岩手のシンボルとなるような施設とすることが望まれるところでありますが、そのような観点からすれば、新しい構想の策定に当たりましては、この問題を全庁的な課題として取り組んでいくという新たな展開が必要ではないかと思うものであります。知事は、この課題の解決に向けて、今後どのように取り組まれようとしておられるのか、御所見をお伺いします。
 次に、旧盛岡競馬場の跡地利用についてお伺いします。
 同地の利用計画については、当初、盛岡市が平成6年度までに策定するとしていたものが、いまだ策定されず現在に至っております。しかしながら、ここに来て盛岡市長が本年度中に跡地利用計画を策定することを表明し、また、知事に対しても協力を要請するなど、具体化に向けた動きが見えてまいりました。同地は盛岡市の中心に位置し、しかも約21ヘクタールにも及ぶ広大な面積を有していることから、その利用方法いかんでは県都のまちづくりに大きく影響するものと言っても過言ではありません。県は、盛岡市の協力要請に対し前向きに対応する旨報道されておりますが、県として、盛岡市が作成するとしている跡地利用計画の策定にどのようにかかわっていこうとされているのか、御所見をお伺いします。
 また、同地の所有形態を見ると、競馬組合が約12・2ヘクタール、県が約2・9ヘクタール、盛岡市が約0・1ヘクタール、民有地が約5・5ヘクタールとなっております。盛岡市の持ち分はほとんどなく、また、盛岡市の財政状況からも、跡地全部を市で取得するのは困難だと盛岡市長は言明しております。したがって、県は現在約2・9ヘクタールを所有しておりますが、それに追加して購入するよう要望されることが予想されるところでありますが、県として、その際どのように対処されるお考えか、御所見をお伺いします。
 また、この跡地のうち、県競馬組合が所有する約12・2ヘクタールについては、新競馬場建設費の一部として充当するため売却する計画となっております。県競馬組合では、新競馬場建設費のうち約252億円を起債で賄っており、その償還のピークは平成11年度で、償還額は約27億7、000万円に達すると伺っております。したがって、跡地の売却がおくれればおくれるほど競馬組合の経営を圧迫することになるのではないかと危惧するものであります。この点につき、御所見をお伺いします。
 いずれ競馬場の跡地につきましては、盛岡市の中心に残された最後の大空間でもあることから、細分化して利用するなどということにならないよう、県、盛岡市、競馬組合の3者が明確なビジョンのもとに広大な面積のスケールメリットを十分生かせるような利用計画を策定されるよう強く要望するものであります。
 次に、環境との共生の観点から、容器包装リサイクル法に関する諸問題について質問させていただきます。
 近年、廃棄物が増大傾向をたどって推移していることにより、最終処分場の残余容量が逼迫してきたこと、ごみ処理経費が増大していること、さらには地球環境の汚染などの問題が生じており、早期解決を図らなければならない全国的な課題となっております。そうした状況下にあって、県でも、環境保全計画の後期実施計画において、平成12年度の目標値をごみ減量処理率95%、ごみ資源化率10%と具体的数値で定めたことは高く評価できるところであります。
 さて、このような背景のもと、国において、一般廃棄物の中でも大きな割合を占める容器包装廃棄物をリサイクルさせる体制を整備することが必要と判断され、昨年6月に容器包装リサイクル法が公布されたところであります。これにより、来年の4月からは分別収集及び再商品化が部分施行され、市町村では分別収集計画を策定し、県ではそれらを取りまとめて分別収集促進計画を策定することとなっております。現在、市町村ではそれぞれ分別収集計画を策定中と思われますが、収集運搬車の確保や人員の確保あるいは保管施設の設置など、分別収集体制の整備についてどのように市町村を指導していくお考えかお伺いします。
 さて、来年4月から分別収集及び再商品化が部分施行されるのは、スチール罐、アルミ罐、ガラス瓶3色別、飲料用紙パック、ペットボトルの7品目についてであります。これらの容器包装廃棄物について、市町村が分別収集することとした場合に、消費者は分別して排出する義務を負い、市町村は、分別収集した上で、必要に応じて選別や圧縮をしてリサイクルしやすい状態にする義務を負い、事業者も、既にリサイクルされているスチール罐やアルミ罐以外のガラス瓶やペットボトルについて再商品化の義務を負うこととなります。このうち、例えばガラス瓶については、今までビール瓶などのいわゆる生き瓶は洗浄して再利用に供されていたほか、透明な瓶と茶色の瓶についてもカレット化してガラス瓶の原料などとして再利用されていましたが、それ以外の色のガラス瓶についてはほとんど最終処分場に埋め立て処分されており、その量も膨大なことから、処理に困っているのが実情でありました。しかしながら、最近、これらのいわゆる雑瓶を利用してタイルや人工軽量骨材などの建築資材として再商品化する技術が確立され、利用も増大していると伺っております。今後、分別収集が徹底すればするほど容器包装廃棄物を利用したさまざまな商品の生産量が増大するのは必定であり、環境保全の観点からもこれらの利用促進をすべきものと考えるものであります。平成8年3月25日付、環境、大蔵、厚生、農林水産、通産の告示第1号容器包装廃棄物の分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等に関する基本方針では、国はみずからが率先して、物品の調達に当たっては、分別基準適合物の再商品化等をして得られたもの、またはこれを利用したものの利用を促進するものとすると記されておりますが、県としましても、環境保全とリサイクル推進の観点から、今後このようなリサイクル商品を公共建築物等に積極的に活用すべきと考えるものであります。このことについての御所見をお伺いします。
 また、ガラス瓶やペットボトルを再商品化するには再商品化施設まで運搬しなければなりませんが、量も膨大で、しかもガラス瓶などは重量もあることから、その輸送コストが非常に高くなるものと思われます。現在、ガラス瓶についてもペットボトルについてもその再商品化施設が東北にないわけですが、本県としてこれらの再商品化施設の誘致に積極的に取り組むお考えはないか、あわせてお伺いします。
 また、ここで容器包装リサイクル法と直接関連はありませんが、資源の再利用の観点から再生紙の利用についてお伺いします。
 平成2年3月29日、再生紙の使用等についての通達が総務部長名で出され、県では、平成2年4月からコピー用紙やオフセット印刷用紙などには再生紙を利用しておりますが、その取り組みが早かったことに対し敬意を表するものであります。ところで、この通達では、逐次その範囲を拡大していくものとすることと記されておりますが、平成2年当時と比較して再生紙の品質も非常に向上しているところであり、県ではこの通達以後、再生紙の利用の拡大をどのように進めてきているのかお伺いします。
 最後に、学校週5日制についてお伺いします。
 第15期中央教育審議会は、今月の18日、審議のまとめ、21世紀を展望したわが国の教育のあり方についてを公表しました。審議のまとめは、子供の生きる力を育成するため、学校をスリム化するとともに、家庭、地域社会の教育力のアップを図り、これを実施する手段として、学校週5日制の完全実施を促しております。また、この審議のまとめでは実施時期には触れていないものの、奥田文部大臣は、学校週5日制の完全実施の時期について、2001年を目標に準備を進め、新しい学習指導要領でスタートしたいと述べ、そのためになるべく早く教育課程審議会を発足させる方針を明らかにしております。学校週5日制については、平成4年9月に月1回の学校週5日制が導入され、平成7年4月に月2回の学校週5日制が実施に移されるという形で段階的に進められ、これまでおおむね順調に実施されてきたところでありますが、学校、児童生徒、保護者それぞれの立場で学校週5日制に対する評価や課題が明らかになってきたものと思われます。このことにつき、教育委員会としてどのように把握されているかお伺いします。
 ところで、先日ある新聞に興味深い投稿記事が掲載されておりました。それは、ことしの県高校総体を振り返っての所感についてでありましたが、いわゆる伝統校で進学校と言われる学校は、昔はスポーツも強く文武両道と言われたが、ことしの県総体の成績を見るとどこも成績が振るわない、文武両道はどこに行ってしまったかというものであります。そして、その原因として学校週5日制が挙げられているのであります。今、進学校の多くは、授業時間の確保のため、授業の始まる前に朝学習と称して早朝授業を行い、午後は午後で授業時間を延長している。そして、休日に該当する土曜日には校外模試と称して業者テストをしたり、学校開放といって、生徒を登校させて図書館や教室で勉強させている。これでは部活動をする時間も制約され、スポーツが弱くなるのも当然だという内容のものでした。また、小中学校においても、修学旅行の日程を短縮したり、あるいは短縮を検討しているところも多いと聞いているほか、その他の学校行事に割く日程も縮められているとも伺っております。本来、ゆとりを生むための学校週5日制が逆に児童生徒のゆとりをなくしているとしたら大変ゆゆしいことでありますが、実態はどうなのかお伺いします。 私は、週5日制は社会の趨勢であり、学校の週5日制もまた例外ではないと考えるものであります。真にゆとりのある教育にするためには、教育課程の見直しこそが必要で、学校週5日制イコールゆとりある教育にはならないと考えます。これから教育課程の見直しがされるわけですが、学校生活という団体生活を通じてしか体験できない修学旅行や文化祭、体育祭、その他の学校行事につき十分な時間が確保できるよう見直すべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。
 ことしの3月、地方分権推進委員会から出された中間報告では、教育の分野では、地域が人をはぐくむという視点に立って、人々の個性をはぐくみ、そのさまざまな可能性を引き出し得るような教育、学習システムを確立するという問題意識のもとに具体的な検討がなされておりますが、義務教育の教育課程の編成については、より一層の弾力化を図る方向で検討が進められるようであります。教育の分野で地方分権が推進されるということは、地域の教育力が問われるということでもあります。この岩手から、心身ともに健康でたくましい人材が1人でも多く輩出され、岩手の教育力が高い評価を得られますよう特段の御努力を切望し、私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君)佐々木博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、国の地方分権推進委員会が去る3月29日に内閣総理大臣に提出をいたしました中間報告についてでございますが、その特色を申し上げますと、第1は、明治以来の我が国の中央集権型行政システムのその中核部分を形づくってまいりました機関委任事務制度の廃止を明示したこと、第2は、地方公共団体が行います事務を自治事務と法定受託事務に整理をいたしまして、あわせて国の関与のあり方について提案を行っていること、そして第3は、国と地方の関係を上下、主従の関係から対等、協力の関係とするため、国と地方公共団体との関係の一般ルールを定めるということとしたこと、第4は、必置規制を存置する場合においても基本的な事項は法律で定める方針で検討を行うこととしたこと、第5は、都市計画や農地転用などの地方公共団体の担うべき事務として大変関心の高かった各行政分野について、基本的に地方公共団体の自治事務といたしました。中央省庁による細部にわたる関与を可能な限り縮小する方向を示したことだ、こういうふうに整理をしております。このように、今回の中間報告は、従来から地方が主張してまいりました事項について、おおむね地方の意向に沿った形での報告がなされたものと、このように考えておりまして、地方分権の趣旨を一歩前進したものと基本的に評価をするものでございます。この地方分権推進委員会から早期に指針が勧告されまして、政府が速やかに地方分権推進計画を作成し、その実施に移されるよう期待しているところでございます。
 次に、機関委任事務を自治事務と法定受託事務とに振り分けることについてでございますが、現在、国の地方分権推進委員会が各省庁のヒアリングを実施しているところでございまして、そのヒアリング結果に基づきまして、年末にも予想される地方分権推進計画作成のための指針で一定の方向性が打ち出されるものと、このように考えているところでございます。私は、地方分権推進委員会におきまして、現行の地方自治法が前提としております公共事務、団体委任事務、行政事務及び機関委任事務という、こういう事務区分を撤廃をいたしまして、自治事務と法定受託事務とに整理をした今回のこの中間報告の趣旨に沿った形で、地方公共団体が担います自治事務にその多くが振り分けられ、法定受託事務には限定された事務が振り分けられるように、そういうことを望んでいるところであります。
 また、御案内のとおり、国の関与のあり方や条例の無効確認などに関する国と地方公共団体との間の係争につきまして、客観的、中立的な判断のできる第三者機関の仕組みを一般法で定めることを検討すると、こういうふうにしているわけでございますが、県としても、こうした中間報告の趣旨に沿った方向で成案が得られるように期待しているところでございます。
 次に、今回の中間報告においては、国家補助負担金は国と地方の責任の所在の不明確化を招きやすく、地方公共団体の自主的な行財政運営を阻害しがちである、こうしたことなどから、真に必要な分野に限定すべきである、このようにされておりまして、個々の国庫補助負担金の性格に応じて、地方一般財源にも留意しながら整理合理化を図ることと、このようにされているところでございます。また、地方税財源につきましては、国と地方の役割分担に応じ、その充実確保を図ることとされておりまして、交付税制度の運用や地方債の許可制度、運用のあり方については、地方公共団体の自主的、主体的な財政運営に資する方向で検討する、このようにされているところでございます。このような地方分権を真に実効あるものとするためには、国と地方との事務事業の見直しと同時に、地方税の財源が十分に確保されることがこれは絶対に不可欠である、このように考えているところでございまして、したがいまして、今後とも全国知事会や政府予算の統一要望などの場を通じまして、住民がゆとりと豊かさを実感することができて、個性豊かで活力に満ちた地域社会を築くために地方分権が確実に進展をするように、関係機関に対しまして強く働きかけをしてまいりたいと、こういうように考えております。
 次に、土木事務所の地方振興局への統合についてでございますが、近年、公共施設の整備に当たりましても、自然環境や高齢者などに一層配慮することが求められるなど、県民生活と密接なかかわりが増大をしてきておりまして、土木事務所が行います建設工事などにつきましても、他の行政部門と連携する必要性が増大してきているものと、このように考えているところでございます。また、地方振興局につきましては、地域におきます総合出先機関として定着をしてきておりまして、地域振興の拠点としてその総合性を一層高めまして、市町村におきます地域づくりを積極的に支援をする観点から、これまでにも地域活性化事業調整費の内容の拡充などによりましてその充実を図ってきたところでございますが、今後におきましても、こうした地方振興局への権限委譲等を積極的に進め、その充実強化に努めていく必要がある、こういうふうに考えているところでございます。このような考えから、行政改革大綱におきまして、行政改革推進懇談会の最終報告を尊重しつつ、保健所や土木事務所の地方振興局への統合を進めることとしたところでございまして、鋭意、現在検討を進めているところでございます。したがいまして、各地域におきます生活基盤はもとより、産業基盤の整備など、地域振興施策の展開において重要な分野を担当しております土木事務所を地方振興局へ統合することは地方振興局の総合性をさらに高め、よりバランスのとれた地域施策の推進や行政サービスの提供を強力に推進する方策になるものと、このように考えているところでございます。
 なお、今、議員から御指摘のございました3県総の後期実施計画に盛り込まれました基盤整備の着実な推進や災害の発生などの緊急時におきます対応などの点につきましては、地域、地域におきますより一層充実した対応が可能になるように、十分な検討をした上で措置をしてまいりたいと、このように考えております。
 次に、盛岡駅西口地区の企業局所有地の活用についてでございますが、21世紀の到来を目前にいたしまして、本県が北海道、東北地域における先導的でその中心的な役割を担える県といたしましてさらなる発展を遂げていくためには、活力に満ちた県土づくりを進めていくことが肝要でございまして、この盛岡都市圏におきましても、北東北の拠点性を高めるために都市機能の一層の集積を図ることが極めて重要な課題であると、このように考えております。このため、今後は、この圏域の有しております地理的、歴史的、文化的な個性や特色を大切にしながら、県内各地域との連携や交流にも配慮しつつ、この盛岡駅西口地区などの整備による新しい都市軸の形成を促進するとともに、高度情報、学術研究、サービス、教育、文化などのいわゆる高次な都市機能の一層の整備充実に努めまして、魅力ある都市づくりを進めていくことが重要であると、このように考えております。したがいまして、盛岡駅の西口地区における県の所有地の活用についての新たな構想の策定に当たりましては、今申し上げましたこうした認識のもとに、一企業局の課題としてではなくて、県政の全般にわたる重要な課題として、今後は広く各方面の声もお聞きしながら、全庁的な体制の中で幅広く検討を行ってまいりたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長大隈英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君)まず、地方分権に関する啓発についてでありますが、昨年7月の地方分権推進法の施行に合わせ、本県における地方分権の総合的な推進を図るため、庁内に地方分権推進会議を設置し、地方分権の推進に関する事項についての協議、連絡調整、さらには各省庁や市町村の動向についての情報収集等を行ってきたところであります。地方分権を推進するためには、県民の方々や市町村の理解と協力をいただくことが大切であり、地方分権推進の機運を醸成することが肝要であることから、昨年、一般県民、市町村等を対象に、地方分権の普及啓発事業としていわて・ふるさとづくりセミナーを開催したところであり、本年度におきましても引き続き開催する予定であります。また、本年、県民に対する啓発のため、イラストによりわかりやすく解説したパンフレットを関係機関等を通じて広く配布したところであり、今後も県の広報紙や各種媒体を通じて、地方分権と県民生活とのかかわりについて県民の方々に情報を提供してまいりたいと考えております。
 なお、地方分権の推進に当たりましては、市町村と連携をとり合って進めることが重要でありますことから、県及び市町村が構成メンバーとなっております地方分権推進市町村連絡会議等の場も活用しながら、国から地方への権限全般に関する具体的な権限移譲について協議を進めているところであります。
 次に、環境保健部の保健医療部門と生活福祉部の福祉部門との統合についてでありますが、行政改革大綱におきましては、保健医療部門と福祉部門の組織的な統合を図り、県民に対して保健医療、福祉サービスを総合的かつ効率的に供給するとともに、市町村における保健医療、福祉の施策を一元的に支援することのできる体制の整備を推進することとしたところであります。現在、これらの具体化につきまして検討を進めているところでありますが、環境保健部の保健医療部門と生活福祉部の福祉部門につきましては、高齢者等への総合的な保健医療、福祉サービスの供給ができるよう部の構成を見直し、保健医療部門と福祉部門を分掌する部に統合してまいりたいと考えております。
 また、環境部門と県民生活部門につきましては、快適で潤いのある県民生活の確保に向けた総合的な施策の展開を図るため、全庁的な見地で部、課の再編を進めてまいりたいと考えております。
 次に、再生紙の利用の拡大についてでありますが、県では森林資源の保護と資源の再利用対策の一環といたしまして、御案内のとおり、平成2年度から再生紙使用の推進を図ってきたところであります。その後、各種会議等を通じ、各部局、出先機関に対する周知徹底を図った結果、事務用紙の大宗を占める複写機用紙の再生紙使用率は、当初20%台から順次拡大をいたしまして、平成7年度では99・5%となっているほか、印刷物やその他の事務用紙も含めた全体の用紙類でも79・7%の使用実績となっております。これらの比率は、東北各県の類似の調査結果と比較いたしましても高い水準を示しており、また、当初通達では対象としなかった封筒類やトイレットペーパーについても再生紙を使用するなど、本県における再生紙利用の取り組みは着実に進んでいるものと考えておりますが、県といたしましては、今後とも再生紙使用可能なものについては、引き続き積極的に使用の拡大を図ってまいりたいと考えております。
   〔商工労働部長佐藤孝司君登壇〕
〇商工労働部長(佐藤孝司君)観光の振興に係る地方振興局と本庁との連携についてでありますが、地方振興局におきましては、市町村や関係団体等と連携しながら地域活性化事業調整費等を活用するなどして、観光ガイドマップの作成、地域の祭り、イベント等の支援を行うなど、管内の観光振興に取り組んできたところであります。一方、近年は、拠点型、滞在型でゆったりと過ごしたり、農作業や酪農、漁業を体験したり、地元の食材を用いた郷土料理を食べるというような地域の方々との交流や触れ合いを求めるなど、観光客のニーズは多様化してきております。このようなニーズに対応した観光振興を図るためには、地域の情報に詳しい地方振興局の役割がますます重要になってきているものと考えております。したがいまして、現在、このような観光客の新たなニーズに対応した観光資源の調査発掘や、いわゆる体験型の観光ルートの開発を推進するため、各地方振興局において市町村や民間の方々と協議しながら、地域提案型旅行商品の企画開発を進めているところであり、本庁におきましては、この企画の提案を受けてJRや旅行代理店等とタイアップし、具体的な旅行商品に結びつけるとともに、県内外に広く宣伝することとしております。
 今後におきましても、このような事例を積み重ねながら、本庁と地方振興局との緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君)旧盛岡競馬場の跡地利用についてのお尋ねについてでございますが、旧盛岡競馬場の敷地は全体で約21ヘクタールでありますが、御指摘のとおり、その所有者は、県、岩手県競馬組合及び個人24人などとなっており、それぞれの所有地が複雑に入り組んでおります。また、この用地は全体が市街化調整区域になっており、さらに、半分以上は風致地区となっているなど、都市計画法上の規制も受けているものでございます。したがいまして、跡地の利用に当たりましては、これらの権利の調整あるいは規制の見直しなどが必要となってまいりますことから、跡地全体の利用計画を策定した上で、関係機関や地権者等との意見調整を行う必要があるものと考えております。
 県としましてのかかわりにつきましては、従来からまずもって地元盛岡市に、この跡地をどう利用していくのか明示していただいた上で、関係機関や地権者等との協力を得ながら、最もよい方法について考えてまいりたいと考えています。
 盛岡市におきましても、このような認識に立ち、早急に利用計画を策定すべく、現在鋭意取り組み中でございますので、県といたしましても庁内関係部局との連携体制をとりながら、競馬組合を含めた三者間の協議を活発化し、機動的に対処してまいりたいと考えております。また、用地の追加購入についてでございますが、今後、盛岡市の土地利用に対する考え方がまとまった段階で検討してまいるべきものと考えております。
 次に、跡地の処分がおくれた場合の影響についてでありますが、競馬組合では地方債の償還が平成11年度でピークを迎えることから、平成10年度までに跡地を売却し、繰り上げ償還の財源とする計画を立てております。したがいまして、この償還計画に支障を生じさせないためにも、跡地利用の早期策定に向けてできる限りの協力をしてまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君)まず、市町村分別収集計画策定に当たっての収集運搬車及び人員の確保、保管施設設置などの分別収集体制整備に関する市町村に対する指導についてでありますが、分別収集を円滑に実施するためには、地域住民の協力と効率的な分別収集システムの構築が主要な課題になるものと認識しております。したがいまして、市町村の実態を踏まえ、車両及び人員を合理的に配置し、保管施設については既存施設の十全な活用を図り、不足する場合には国庫補助事業の効果的な導入による整備、民間施設の活用、市町村同士の広域的連携による対応などにより、効率的なシステムを構築するよう努めるとともに、あわせて子供会や自治会などが行う集団回収等の既存の資源化ルートを一層充実強化する方策についても検討を加えるなど、これまでの収集体制の総合的な見直しを指導してまいりたいと考えております。さらに、資源の選別効率を高めるため、分別排出の徹底について住民の理解と協力を得られるよう、合意形成に努めることについて指導してまいりたいと存じております。
 次に、環境保全とリサイクル推進の観点から、リサイクル商品を公共建築物等に積極的に活用することについてでありますが、御承知のように、資源を再商品化させるだけでなく、リサイクル商品を十分に活用することが資源循環型社会の構築に大きく寄与するものであります。
 このようなことから国の定めた再商品化計画においても、無色、茶色以外のガラス製容器については、瓶原材料となるカレットのみならず、タイルや人工軽量骨材等の建材としても利用することを想定しているところであります。
 具体的には、建築物の外壁や歩道舗装材としての用途があり、現に県内においても、このようなリサイクル商品を遊歩道の施工に活用するなどの事例もあることから、今後、安定的な生産供給体制の確立と相まって需要の拡大することが期待されるところであります。したがって、県としても、利用可能な領域においては積極的に活用を促進するよう、関係各方面に対する情報提供等を通じて幅広く普及啓発を行い、利用の拡大を図ってまいりたいと存じております。
 次に、ガラス瓶等の再商品化施設の誘致についてでありますが、これら施設の設置に当たっては、まず設置主体となる業界団体がガラス瓶等の排出量見込み、搬入搬出の輸送コスト、操業の規模、さらには生産する再生品の需要動向等を総合的に勘案し、みずからの判断に基づいて立地場所等の選定を行うことになるのではないかと考えております。
 県としては、それぞれの業界における情勢、市場動向のほか、現在実施している資源化ルートを実態調査の分析結果等も勘案しながら検討してまいりたいと存じております。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君)まず、学校週5日制に対する評価や課題についてでありますが、昨年10月に県教育委員会で実施しました学校週5日制の推進状況調査の結果から見ますと、おおむね順調に推移しているものとつかまえております。
 保護者や児童生徒は、家族と一緒に過ごす時間がふえた、自主的に生活するようになったなどの生活の変化を認めております。しかし、社会の週休2日制が定着していないことから、土曜日における家庭での対応が十分でない状況にあり、有意義な過ごし方をしていない、あるいは生活のリズムが乱れがちであるなど、心配される課題もあります。今後、保護者を初め、地域の理解と協力のもとに、円滑に進められる必要があると認識しております。
 次に、学校週5日制の実施で逆にゆとりがなくなっていないかとの御指摘でありますが、多くの児童生徒は、学校週5日制により家庭で過ごす時間がふえ、家庭や地域での過ごし方を工夫するなど、生活全体を通してゆとりが出ているとつかまえております。しかし、学校では行事の時間数などの削減に伴い、その取り組みの過程にゆとりがないと言われていることもあり、さらに工夫改善に努めていかなければならないと考えております。
 次に、いわゆる伝統校における文武両道の気風が低下しているのではないかとの御指摘でありますが、どの学校におきましても、それぞれ得意分野で努力し、その成果が着実にあらわれてきており、かつてのように伝統校が常に優秀な成績を修めるという状況ではなくなってきているものというふうに理解しております。また、大学進学の実情やインターハイの成績などから見ても、全国における岩手県の、いわゆる文武のレベルが下がっているような状況ではないというふうに認識いたしております。
 次に、修学旅行やその他の学校諸行事につきましては、御指摘のとおりの面もかなりございますので、それぞれの学校がその特色を十分に生かし、望ましい人間関係や児童生徒1人1人の充実感が得られるよう、行事の時間数の確保も含め見直しを進めてまいりたいと存じております。
〇副議長(及川幸郎君) この際、暫時休憩をいたします。
   午後3時20分 休 憩
出席議員(49名)
1番  斉藤 信 君
2番  黄川田   徹  君
3番  佐々木 一 榮  君
4番  小野寺   好  君
5番  佐々木   博  君
6番  中屋敷   十  君
7番  大久保   豊  君
8番  浅 井 東兵衛  君
9番  佐々木 大 和  君
10番  藤 原 泰次郎  君
11番  千葉 伝  君
12番  伊沢昌弘  君
13番  須藤敏昭  君
14番  折居明広  君
15番  田村正彦  君
16番  伊藤勢至  君
17番  佐藤一男  君
18番  高橋賢輔  君
19番  瀬川 滋  君
20番  渡辺幸貫  君
21番  谷藤裕明  君
22番  水上信宏  君
23番  船 越 賢太郎  君
24番  久保田 晴 弘  君
25番  千葉 浩  君
26番  長谷川 忠 久  君
27番  三 河 喜美男  君
28番  村上恵三  君
29番  村田柴太  君
30番  藤原良信  君
31番  吉田洋治  君
32番  飯澤忠雄  君
33番  工藤 篤  君
34番  菅原温士  君
35番  菊池 勲  君
36番  小原宣良  君
37番  樋下正光  君
38番  及川幸郎  君
39番  那須川 健 一  君
41番  藤倉正巳  君
42番  山内隆文  君
43番  佐藤 正春 君
45番  佐々木 俊 夫  君
46番  山 崎 門一郎  君
47番  菊池雄光  君
48番  佐藤啓二  君
49番  堀口 治五右衛門 君
50番  吉田 秀  君
51番  藤原哲夫  君
欠席議員(1名)
40番  伊藤 孝  君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時39分 再 開
〇副議長(及川幸郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木大和君。
   (9番佐々木大和君登壇〕(拍手)

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