平成8年6月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

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〇36番(小原宣良君)伊沢昌弘議員の質問に関連をいたしまして、千厩町における中学校統合問題について質問させていただきます。
 質問の第1は、この問題に関し県教育委員会の置かれている立場と果たすべき役割についてであります。
 昭和48年9月27日付で文部省初等中等教育局長及び同管理局長通達によりますと、1、学校統合の意義及び学校の適正規模については、さきの通達に示しているところであるが、学校規模を重視する余り無理な学校統合を行い、地域住民との間に紛争を生じたり通学上著しい困難を招いたりすることは避けなければならない。また、小規模学校には、教職員と児童生徒との人間的触れ合いや、個別指導の面で小規模学校としての教育上の利点も考えられるので、総合的に判断した場合、なお小規模学校として存置し充実する方が好ましい場合もあることに留意すること。2、(1)通学距離及び通学時間の児童生徒の心身に与える影響、児童生徒の安全、学校の教育活動の実施への影響等を十分検討し、無理のないよう配慮すること。(2)学校統合を計画する場合には、学校の持つ地域的意義等をも考えて、十分に地域住民の理解と協力を得て行うよう努めること。(3)統合後の学校の規模が相当大きくなる場合や現に適正規模である学校について、さらに統合を計画するような場合は、統合後の学校における運営上の問題や児童生徒への教育効果に及ぼす影響などの問題点をも慎重に比較、考慮して決定することとなっておりまして、これは、文部省から各都道府県教育委員会あての通達文書の内容でございます。こうした文部省の指導通達を踏まえて、千厩町における中学校統合問題を考えました場合、県教育委員会はいかなる立場にあり、また、その果たすべき役割はどのようなものであるとお考えか、この際明確にお示しをいただきたいと存じます。
 第2は、この千厩町における中学校統合問題について、昨日千厩町議会において設置条例が議決されたようでありますが、県教育委員会としてこの事態をどう見ておられるのか、さきの通達に照らし御見解をお伺いいたします。
 第3は、文部省とのかかわりについてであります。このことに関して、文部省には賛成、反対双方の千厩町民から文書等で陳情といいますか、意見が届いているようであります。文部省はかかる事態について大変心配しているようでありますが、文部省から最近、県教育委員会に対して現地の実情等についてどのような照会があったのでしょうか。県教育委員会はこの文部省の照会に対し、どのように回答されたのか明らかにしていただきたいと存じます。
 なおまた、この際お伺いをいたしますが、千厩町の統合中学校が開校されるまでの間に、県教育委員会が行わなければならない行政手続を順を追ってお示しをいただきたいと思います。なお、県教育委員会としての告示行為は必要なのか。校舎建設等に当たって文部省への補助金申請について、県教育委員会の申請を必要とするかについても含めて御教示を賜りたいと思います。
 私は、不幸にして昭和33年8月に、私が中学校3年のとき、更木中学校と二子中学校の統合に際し、2週間ほど登校拒否をさせられた経験を持っております。夏休みが終わりかけたころ、親から学校に行くなとの指示を受けたのであります。我が耳を疑いました。それまで学校におくれるな、宿題したかと毎日言われておったのでありますが、親が学校に行くなというのであります。更木町をあげての登校拒否であります。ここに至った理由は、北上市教育委員会と地域住民との信頼関係の欠如、この一語に尽きるものであろうと、こう思います。いずれ来春は高校に入りたいと、入らなければいけないと、こういう思いは3年生みんなの思いでありました。私たち生徒は、更木町にある永昌寺というお寺に集められまして、その生徒の数は3学年で110人ほどであります。そのうちに3年生だけが集められまして、集中的に町出身の大学生や教師OBによって勉強が始まったのであります。実に妙な雰囲気でありましたけれども、それでも私たちは真剣でした。登校拒否が始まる以前から学校の先生方は全く授業に気が入っておりませんでした。気もそぞろ、浮ついて授業にならなかったことを思い出します。それは、あの先生は賛成派だと、あの先生は反対派だというふうな父兄のレッテル張りといいますか、そういうふうなところまでエスカレートをしていったからであります。そのことは私たち生徒にも敏感に伝わってまいりまして、学校内は実に不安定な、そういう雰囲気であったと思います。おかげで私は皆勤賞をもらいはぐりました。
 あの当時のことを思い出しますと、本当にいろんなことがございます。要は、学校統合のトラブルを子供たちには絶対に及ぼしてはいけないということを私は体験上本当に心から訴えたいと思います。現地は冷静さを失っている場合がございます。このとき、県教育委員会は他人事というふうに見ないで、さきの通達にありますように、主体的に判断をして対応すべきであると考えますので、あえて質問をさせていただいた次第でございます。 最後に、関係者の話し合いが冷静に、しかも誠意を持ってなされるよう、県教育委員会の適切な対応を強く要望して、私の関連質問を終わります。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君)まず、学校統合に係る県教育委員会の置かれている立場と果たすべき役割についてでありますが、過去において学校規模を重視する余り無理な学校統合を行い、地域住民との間に紛争を生じている例が見られたことから、昭和48年に御案内のような、文部省において、学校統合に当たっては十分に地域住民の理解と協力を得て行うよう努めること等について、都道府県教育委員会に対し市町村教育委員会を指導するよう通達されたものであります。
 学校統合は、市町村が地域の実情を踏まえ主体的に判断し決定するものでありますが、県教育委員会といたしましては、この通達の趣旨に沿い、学校統合が地域住民の理解と協力のもとに円滑に進められるよう、市町村教育委員会に対して指導、助言を行う立場にあり、また、その役割を有するものであります。
 次に、千厩町議会は学校設置条例を議決したが、この事態をどう見るかについてでありますが、千厩町議会において学校設置条例の改正が議決されたものの、現在、なお一部住民の根強い反対があることから、これまでも指導してまいりましたが、引き続き地域住民の理解と協力を得るために、なお一層努力するよう指導してまいりたいと考えております。
 次に、文部省からの千厩町の中学校統合に関する照会についてでありますが、去る6月24日に、最近の動向を知らせてほしい旨の電話連絡があり、関連する新聞記事を送付したところであります。
 次に、統合までに県教育委員会が行う手続についてでありますが、まず、中学校の統合に係る校舎整備の負担金交付の申請があった場合、県教育委員会は、関係法令に基づき申請内容を審査の上、文部大臣に進達することとされております。
 また、市町村教育委員会は、開校予定期日の30日前までに学校教育法施行令第25条に基づく市町村立小中学校の設置廃止等についての届け出を県教育委員会に対して行うこととなっております。なお、これに伴う県教育委員会としての告示行為等は、法令に規定されていないことから全く必要ないものであります。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、佐々木博君。
   〔5番佐々木博君登壇〕(拍手)

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