平成8年6月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

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〇12番(伊沢昌弘君)社会民主党の伊沢昌弘でございます。
 通告の順に従い質問いたしますので、県民生活向上に向けた知事並びに関係部局長の誠意ある答弁をお願いいたします。
 さて、県は、昨年12月の行政改革推進懇談会最終報告を受け、本年1月29日に行政改革大綱を策定しました。この行革大綱の推進期間はおおむね5年であり、第三次岩手県総合発展計画の後期実施計画の期間とほぼ同じになっており、単なる職員定数の削減を進めるだけでなく、施策の展開によって必要な事務事業の見直しを進めることを考慮すれば、理想的な期間設定であると思います。県政推進の基本は、多くの施策を進めることによって、県民が安心して座ることのできるじゅうたんをつくることにあるのではないかと私は考えています。3県総の後期実施計画が県政の縦糸であり、行革大綱は横糸であると仮定すれば、岩手県政が21世紀に向かって、大きなそして丈夫な織物として着実に発展していくためには、大胆な政策である縦糸と県民の信頼に裏打ちをされた横糸がしっかり結びついていくことが必要であると私は考えております。
 また、行革大綱の初めには急速な高齢化、少子化の進行など、社会的経済的情勢の変化に伴う新たな行政課題や、第三次岩手県総合発展計画などに基づく県政の推進方向に適切に対応し、県民に信頼される、公正でわかりやすい県政を推進するため、地方分権の時代を展望した施策展開にこたえ得る、機動的かつ効率的な行財政運営の執行体制の整備を図る必要があると明記されております。県民に信頼される、公正でわかりやすい県政を推進するという点については、私も賛同するものであります。
 そこでお伺いいたしますが、知事は行政改革大綱に明記されている県民の信頼を得るため、今後どのように行政改革を進めていこうとしているのか、その基本姿勢についてお伺いをいたします。
 また、知事は就任直後に県内すべての市町村で県政懇談会を開催する計画を立て、その後精力的に県内を回り、多くの県民の声に耳を傾けてこられていますが、県政に対する県民の信頼度についてどのように感じておられるのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、機構改革に関して具体的な検討状況についてお伺いをいたします。
 まず、保健医療・福祉の連携を図るために出先の再編整備を進めることが明記をされていますが、連携することによって期待される効果をどのように考えておられるのかお示し願います。
 また、関係する福祉部及び環境保健部との綿密な検討が必要であると考えますが、現在までの検討の進捗状況と今後の計画についてお示し願います。
 特に、現行の社会福祉事業法及び地域保健法は、福祉事務所と保健所をそれぞれ独立の機関として設置することを前提としておりますが、この点についてどのように対処していこうとしているのか、考え方をお示し願います。
 また、保健所の地方振興局への統合については、地方振興局の総合性を高めるために推進するとの方向が示されていますが、市町村を初めとする関係機関、団体の意見を聞くことが必要と考えますがいかがでしょうか。あわせて、統合に向けた具体的な時期と検討スケジュールをお示し願います。
 次に、県が設置している審議会等についてお伺いをいたします。
 本年3月26日に、岩手県監査委員が審議会等の運営についての平成7年度行政監査結果を報告書として公表しました。その中で、改善を要する事項や今後の課題として検討が必要な事項があるとして指摘している委員会構成について、及び会議状況についての2つの項目について、これまでの改善策と今後の対応策についてお示しいただきたいと思います。
 まず、委員会構成について指摘のあった女性委員の積極的な登用の必要性については、我が党がこれまでも女性の社会参画と登用を推進するよう求めてきたものであり、本年3月に策定されたいわて女性さわやかプランの中でも、審議会等における女性の登用の促進が掲げられており、平成12年度までに審議会等における女性委員の割合を25%まで高めることを目標にしています。私は、この25%という率にはこだわらず、今後積極的に女性の登用を進めるべきものと考えますがいかがでしょうか。
 次に、会議状況について審議会等が長期間開催されないもの、会議内容が形式化しているもの、会議内容が類似しているものとして、審議会のあり方等について検討する必要があると具体的に指摘を受けた審議会があります。今後の検討に向けた基本的な考え方を示していただきたいと存じます。
 次に、保健医療・福祉施策についてお伺いをいたします。
 まず、精神保健福祉施策についてお伺いをいたします。
 精神障害者に関する法律は、この間大きく変化してきております。平成5年12月に心身障害者基本法が改正されて障害者基本法が成立し、精神障害者がその法律の対象として位置づけられるとともに、昨年5月には精神保健法が改正され、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律が成立をいたしました。精神障害者の社会復帰の促進及びその自立と社会参加を図るための法的枠組みの整備が図られたわけであります。
 また、本年1月19日付、厚生省保健医療局長通知で、実に27年ぶりの改正という保健所及び市町村における精神保健福祉業務運営要領、それと精神保健福祉センター運営要領が示されました。地域精神保健福祉における保健所の役割や職員の配置を含む実施体制及び詳細な業務内容に関しての指針が示されており、今後の施策強化に向けて大いに期待されるところであります。
 さて、現在岩手県内には精神病院が22カ所で、病床数は4、915床であります。平成7年度の病床利用率は95%強となっております。ほぼ満床の状況にあり、通院医療費公費負担受給者の数が約4、800人おります。さらには、在宅で療養している方も多数おられることと思います。この間、保健所や市町村の指導により、各地域に障害者を抱えた家族で結成された家族会がつくられ、小規模作業場の運営や患者の社会復帰に向け、あらゆる努力を行ってきていますが、精神障害者社会復帰施設はいまだに少なく、今後の生活に不安を抱いている状況にあります。
 そこでお伺いをいたしますが、先ほど述べた法律と保健所及び精神保健福祉センターの運営要領の改定に伴い、現在の保健所における精神保健福祉業務を大幅に改善していく必要があると考えますがいかがでしょうか。
 例えば、実施体制について要領では、精神保健福祉業務は原則として単一の課において取り扱うものとし、精神保健福祉課あるいは少なくとも精神保健福祉係を設けるなど、業務推進体制の確立を図るとしている点や、職員の配置では精神保健福祉法第48条の規定に基づき、資格のある職員を精神保健福祉相談員に任命をし、積極的にその業務に当たらせることが必要で、相談業務に専任させるために複数配置することなど、現状の保健所の体制にはないものも掲げられており、精神保健福祉センターについても、現状の体制とは比較にならない組織体制や業務内容が要領の中に示されています。これらのことも含めて改善に向けて検討しておられると思いますが、その内容をお示し願います。
 また、社会復帰施設の増設や小規模作業場に対する支援も強化していくべきと考えますがいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 加えて、今後の精神保健福祉施策の推進に当たっては、県立病院との連携強化が不可欠であると考えます。岩手県医療局がさきに策定をいたしました岩手県立病院等事業経営計画には、精神医療についても行政の対応、方向を踏まえながら、医療と保健福祉の綿密な連携の必要性が述べられております。それを踏まえて、精神保健福祉施策の上で、医療と保健福祉との連携を今後どのように進めてまいられるつもりなのか、環境保健部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、介護保険法についてお伺いをいたします。
 新たな公的介護保険制度の創設を目指して、厚生省が準備を進めてきた介護保険法案は調整がつかず、さきの通常国会への提出が見送りとなりました。我が社会民主党は、家族、医療及び国の3つに依存してきたこれまでの介護を、社会、生活支援、地域に着目をして改革するとの視点で介護保険制度の成立を目指してきたところであります。国民の6割以上の方が介護保険の導入に賛成であるとの世論調査結果がある中で、実施主体とされた市町村の全面的な理解が得られないことや、保険料の徴収方法及び財政面での支援体制のあり方などの不安があったことから見送りされたものが原因と考えられるわけであります。この制度は、21世紀に向かって早急に整備すべき制度であると私は考えますがいかがでしょうか、増田知事の御所見をお伺いいたします。
 また、今後の国会審議の中で本制度が成立するとすれば、現在進められている在宅ケア及び施設ケアの充実をさらに進め、被保険者である県民が必要な介護をどの程度受けられるのかを創設時に示す必要があると考えます。3県総後期実施計画の目標年次である平成12年度におけるそれぞれの目標が示されておりますが、県民が等しく介護を受けるためには、不足している地域や施設等があるのではないかと懸念をしております。再検討が必要であると考えますがいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 次に、県立病院について医療局長にお伺いをいたします。
 県立病院等事業計画及び200床以上の病院に係る紹介外特別負担額については、既に前の議員の方々から質問があったところでございますが、私も視点を変えてお伺いをしたいと思います。
 県立病院ヒューマニティー21計画と題した県立病院等の事業計画は、創業の精神を基本理念に据えて、心の通う患者中心の医療の展開、働きがいのある人間尊重の運営を基本方針として、県立病院が果たすべき機能を明確にしております。私も地域の中核病院として他の病院との連携が綿密に図られる必要があると考えていたことから、本計画について基本的に賛同するものでありますが、それぞれの機能分担の中で、将来的に広域中核病院の機能をさらに充実させていくことが必要であると思いますがいかがでしょうか。
 中央病院に対する県民の声は、これまで、待たされる、そのことから派生をする苦情として上げられております。入院患者は全県から集中し、手術が必要な場合でも検査を行うために待たされ、結果が出て、さらに手術を行うまでに一、二カ月待たされるというケースもあるやに聞いております。これを解消させるためにも、県立病院全体の底上げを図る必要があると考えるわけでありますがいかがでしょうか。
 次に、200床以上の病院に係る紹介外特別負担額について伺います。
 導入の趣旨は、今、私が申し上げた大病院への患者の集中を避け、真に高度医療の必要な患者に適正な医療を施すためのものであると認識をしておりますが、そうであれば紹介外特別負担額の設置以前にとるべき措置があったような気がいたします。
 例えば、かかりつけのお医者さん、ホームドクター制度については早くから言われてきましたし、診療所等からの紹介患者優先のシステムを定着させるべきではなかったでしょうか。また、厚生省では徴収できる特別初診料の幅を5、000円までとしていますが、導入の趣旨を考えれば安易に引き上げるべきものではないと考えますがいかがでしょうか、医療局長の御見解をお伺いいたします。
 次に、商工業の振興策についてお伺いいたします。
 初めに、ベンチャー企業の育成についてお伺いいたします。
 情報通信技術の発達や自由貿易体制の拡大等に伴い、経済活動分野における国際競争は一層激しさを増しているところでありますが、こうした国境を越えた競争の激化に対応しながら雇用を確保し、地域経済の発展を図っていくためには、創造力と技術開発力のある企業の育成や新たに事業を起こそうとしている人たちの支援強化など、いわゆるベンチャー企業の育成が重要な課題となっております。
 こうした中で起業家に対する投資制度が本年度から創設されましたが、この制度は研究開発に対する助成や新製品製造のための融資からさらに一歩踏み込み、投資により資金援助を行おうとするもので、ベンチャー企業育成に向けて極めて重要な制度であると考えます。私は、この制度が積極的に活用されるためには、まず、モデルとなる企業を育成し、起業家を目指す人たちの具体的な目標とすることにあると思います。現時点で、この制度を利用したいと申し出ている起業家はあるのでしょうか。また、起業家を育て、企業として成り立たせるためには、基礎研究から応用技術まで含めた、いわゆる産学官の共同研究が必要と思われますがいかがでしょうか。県としての取り組み状況と今後の進め方についてお示し願います。
 次に、大規模小売店舗の進出に伴う既存商店街の抱える問題についてお伺いをいたします。
 4月23日付、岩手日報では、異変大変一関商圏と大きな見出しをつけて、一関周辺に郊外型ショッピングセンターの開店と出店予定が相次いでいることから、既存商店街の危機感を報じています。岩手県内の大規模小売店の出店届け出件数は、大店法の規制が緩和をされた平成4年以降急激にふえ続けてきています。現時点で開店をしている第1種大規模小売店が45店舗であるのに対し、調整中のものも含めると現在新たに15件もの届け出がなされていると伺っています。このような状況に対して、県内の商店街振興組合で組織する岩手県商店街振興組合連合会では、去る6月21日に開催された総会で、大店法の規制緩和に反対する決議を上げています。都市郊外への大型店舗の進出は、消費者にとってみれば、価格や駐車場の問題、さらには1カ所で必要な商品が買うことができるなど、利便性の高いものになっている一方で、既存の商店街の衰退の要因となり、中心部と言われた地域の空洞化を招き、閉店による雇用問題も生じることになります。今後の街づくりを考え、高齢化社会を考えた場合、地域に密着した中小小売店の存在も大切なものであると主張する声も上がっており、私も同様に感じているものです。
 このような視点に立ってお伺いをいたしますが、大店法のこれまでの規制緩和についてどのような所見をお持ちでしょうか。また、今後も規制緩和の方向が示されていますが、一定の歯どめが必要なものと考えますがいかがでしょうか。
 一方、県では商業振興策について、これまでも多くの施策を展開してきています。一部の商店街では各種事業を取り入れ、街の整備やイベント、さらには消費者サービスを地域で発案し、大型店に対抗しようと努力しているところもあるわけですが、これらの施策の実績をお示しいただくとともに、今後の振興策についてどのように進めていくお考えなのかお示し願います。
 次に、試験研究機関における研究成果である特許出願についてお伺いをいたします。
 各試験研究機関は、農林水産及び工業技術の基礎研究を初め、応用化技術研究、実用化技術研究のほか、共同研究や技術交流、技術指導、情報の収集及び提供を行うとともに、依頼試験や分析、加工等の業務を通じて、それぞれの産業界の育成に貢献をしてきております。また、衛生研究所・公害センターでの保健衛生、環境保全を含めて、地域の発展に大きく貢献しており、施設の拡充整備が進められていることと相まって、今後、県民の期待がますます膨らむものと考えております。数多くの成果を地域経済により生かしていくためには、研究員の方々の研究意欲を増し、研究成果が正しく評価される必要性があるのではないでしょうか。
 昨年12月議会で平成6年度一般会計決算書の歳入の中に特許実施料が計上されており、内容を伺ったところ、平成2年に園芸試験場で開発した米を原料とした飲料の製造方法に関する特許を用いて、県内の事業者が商品化した特許実施許諾料であることがわかりました。日本は特許の出願件数が世界一であり、92年度出願件数の推計では38万件と、2位のアメリカの18万件を大きく引き離しています。私は、各試験研究機関で職員が単独、もしくは企業等との共同で開発した技術を県内の企業が使用して製品化するためにも、特許出願を県が積極的に支援していくことが必要であると考えますがいかがでしょうか。もちろん、研究員に対して特許等の出願を強要するようなことがあってはならないと考えておりますが、特許出願に係る県の基本的な考えをお示し願います。また、これまでの特許出願件数及び特許取得状況についてお知らせ願います。
 最後に、教育問題について教育長にお伺いをいたします。
 御承知のとおり、第15期中央教育審議会が今月18日に第一次答申を前にして審議のまとめを公表しました。また、地方分権推進委員会のくらしづくり部会でも教育問題について検討しており、本年3月に中間報告を行っています。いずれも今後の教育のあり方について示唆に富んだものであり、教育改革を考えていく上で一定の指標ととらえてよいのではないかと考えております。しかも、これらが検討されてきた時期は、いじめによる自殺が続発するという深刻な状況の中にあっただけに、学校教育のゆがみをどう改めるかについて、学校、家庭、地域、そして行政が一体となって真剣に取り組まなければならない課題であると強く感じているところです。
 さて、中教審の審議のまとめは、学校週5日制の導入について教育改革の一環であり、今後の望ましい教育を実現していくきっかけになるものとして、積極的にとらえる観点が大切としています。その今後の望ましい教育について知識を教え込む教育から、みずから学び考える教育への転換を目指し、教育内容を厳選、授業時間を減らすことを柱にしながら、学校、家庭、地域社会の役割と連携を図りつつ、時期こそ明らかにしていませんが、学校週5日制の完全実施を打ち出しています。また、地方分権推進委員会くらし部会では、教育の分野で義務教育制度を取り上げ、地域が人をはぐくむという視点に立って、いかにして人々の個性をはぐくみ、さまざまな可能性を引き出し得るような教育、学習システムを確立するかという問題意識のもとに検討、整理したとしております。
 こうした状況を踏まえ、県の考えをお伺いいたしたいと思います。
 県は、学校週5日制完全実施に向け、学校教育の分野でどんな課題があるととらえ、その解決のための検討をされておられるのか、その現状をお知らせ、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、管理職の登用についての基本的な考え方についてお示し願います。
 学校週5日制完全実施を展望した場合、学校における管理職の役割は大変大きくなるものと考えます。管理職は、管理と指導という両面を持つことは言うまでもありませんが、同時に教職員から信頼されることも大変重要なことと考えます。望ましい管理職像に触れながらお答え願います。
 次に、環境教育、福祉教育についてお伺いいたします。
 小中学校において、人を思いやる心を育てる社会福祉や、環境について関心を持たせるための体験的な学習が必要であると考えております。私は、県職員として岩手保健所に勤務していたころ、先生の御協力をいただきながら沼宮内小学校、一方井中学校の児童生徒の皆さんとともに、水生生物の調査を行ったことがあります。このときの子供たちは、身近な環境に触れて驚くほどの好奇心を示してくれました。また、時々新聞報道などで目にしますが、中学生が福祉施設を訪れて寝たきり老人の身の回りのお世話をしたり、話し相手になって慰問活動を行っていることがあります。このような実体験を通じて、環境の大切さを知ることや福祉の心を学ぶことは、将来に向かって必ず生きてくるものであると考えていますが、県内における環境教育や福祉教育の実態と今後の進め方についてお示し願います。
 次に、千厩町における中学校の統合問題についてお伺いをいたします。
 学校統合に当たっては、何よりも地域住民の理解と協力を得て行われるべきであることは論を待たないところであります。しかし、最近及びけさの新聞報道によりますと、千厩町における3中学校統合問題においては、昨日千厩町議会で町小中学校設置条例の一部改正案が可決されたようでございますが、地域住民の理解が必ずしも十分ではないように思えてなりません。
 この件について、長い間地域で論議されてきておりますが、県教育委員会としても、文部省指導通達等により市町村教育委員会に対し指導助言を行い、教育現場にトラブルを生じさせないよう努力すべき立場にあるものと考えますし、一方、文部省から市町村教育指導面において、指導を、指摘を受けることのないよう適切に対応すべきものであると考えますが、これまで県教育委員会が千厩町教育委員会に対してどのような指導をなされ、今後どう指導していくおつもりなのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
 以上で、私のこの場からの一般質問を終わらせていただきます。御清聴いただきまして大変ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君)伊沢昌弘議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、行政改革を推進するに当たっての基本姿勢についてでございますが、今後とも厳しい状況が続くと予想されております行財政環境の中で、急速な高齢化、少子化など、経済社会情勢の変化に伴います新たな行政課題に適切に対応しながら、高度化、多様化する県民ニーズに即応して、良質できめの細かいサービスを効果的に提供する、このようにするためには、一方で行政の肥大化を抑えながら、他方では限られた行財政資源を有効に活用しまして、長期的な展望に立った施策展開にこたえ得るような機動的でかつ効率的な行政執行体制の整備を図ることが大切である、このように考えております。また、県民が県政に何を期待しているのかということを十分に見きわめながら、県政の進むべき方向との調整を図りながら、行政運営の透明性を高めますとともに、県民に信頼され、公正でわかりやすい県政の実現に努めることが私どもに課せられた使命である、このように考えております。このような考え方から、本年の1月に行政改革推進懇談会の最終報告を十分に尊重しながら新たな行政改革大綱を策定したところでございまして、その具体化に当たりましては、毎年度実施方針を定めまして、行政改革推進懇談会の御意見も伺いながら、また、県民の皆様方の御理解と御協力をいただきながら、行政改革の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、県政懇談会に出席して県政に対する県民の信頼をどのように感じているかについて、こういうお尋ねでございますが、この21世紀に向けた県土づくりの重要な時期にございまして、私も就任以来これまで3県総の後期実施計画の策定あるいは行政改革の推進などを行ってきたところでございますけれども、県民の皆様方から県政に対するさまざまな御意見や御提言を直接にお聞きいたしまして、きめ細かく地域の実情を把握し、こうしたことを県政の上に反映をさせていくためには、県内各地で現在実施をしております県政懇談会が大変効果的なやり方であると、こういうふうに考えているところでございます。これからの県政の目標は、県民の方々お1人1人が夢を抱き、生きがいを持って暮らすことのできる地域社会を実現することである、このように考えているところでございまして、そのためには、各地域に暮らしておられる方々がそれぞれの地域を自分たちが理想とする地域社会に築き上げるために、主体的にその将来像や発展方向を自由な発想でお考えいただくことが何よりも重要である、このように考えているところでございます。この県政懇談会におきましても、それぞれの会場で多数の方々の御参加をちょうだいいたしまして、熱意あふれる建設的な御意見、御提言をいただきまして、県政に対します県民の皆様方の期待の高さを感じているところでございますし、それぞれの地域において、多くの方々が地域の発展のために真剣に取り組んでいる姿に接しまして、大変心強く感じているところでもございます。私は、このような地域、地域の方々の意欲、熱意をしっかりと受けとめまして、今後も県政に対します県民の皆様方の信頼にこたえるために全力を尽くしていきたい、このように考えているところでございます。
 次に、介護保険制度についてでございますが、この制度は、高齢者介護が大きな問題となっております現在の状況を踏まえまして、介護を社会全体で支援することを目指すものでございまして、県といたしましても、介護サービスの充実に大きな役割を果たすものと、このように考えております。これまでに国から示されました制度案につきましては、国と地方の役割分担や費用負担、保険者への財政支援策などにつきまして全国市長会や町村会からも意見が出されておりますなど、関係者の合意形成がいまだなされていない状況にある、このように認識いたしております。県といたしましては、これを長期にわたり安定した制度とするために、全国知事会を通じまして、地方公共団体との十分な協議とともに、関係者の了解を得ることなどを厚生大臣に要請しているところでございまして、今後、これらの課題が早期に解決されまして、地方公共団体の意向を十分踏まえた制度が構築されることを期待しているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君)まず、機構改革に関しての具体的な検討状況についてでありますが、行政改革大綱におきましては、県民の皆様に保健医療、福祉のサービスを総合的かつ効率的に供給するため、本庁及び出先機関を通じた保健医療部門及び福祉部門の組織的な統合を進めることとしたところであり、現在、その具体化について鋭意検討を進めているところでございます。
 出先機関の保健所と地方振興局の福祉部門の連携による効果につきましては、保健医療、福祉施策の市町村に対する一元的な支援が可能となると考えているところであります。また、高齢者等の保健医療と福祉にまたがる事務の窓口の総合化による県民の利便性の向上や、生活保護世帯等を訪問する場合においては、保健、福祉スタッフの一体的活動による在宅指導の充実などが期待できるものと考えております。具体的な組織の統合方法につきましては、関係部とともに現在検討を進めているところでございますが、御案内のように、保健所及び地方振興局の福祉部門につきましては、それぞれ地域保健法及び社会福祉事業法により設置が義務づけられているところでございます。
 また、福祉部門の現業を行う職員につきましては、当該職務にのみ専念しなければならないなどの諸規定がございます。したがいまして、この統合に当たりましては、これら法令の諸規定を勘案しながら、機能的な統合組織として整備する方向で検討を進めているところでございます。また、関係機関等の御意見についても十分参考にしながら進めてまいりたいと考えております。
 なお、この機構整備の具体化につきましては、改正された地域保健法が全面施行されます平成9年度当初の実施を目途といたしまして、今後、行政改革推進懇談会の御意見も伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、審議会等の運営についてでありますが、審議会等につきましては、県行政について各種の意見や専門的な立場からの提言をちょうだいするなど、行政の透明性、公正、信頼性を確保する上で重要な役割を担っているものと認識しております。県におきましては、このような審議会等の果たす役割に配意し、従来からその適切な管理運営に努めてまいったところであります。先般、監査委員から、各審議会等に関しては、おおむね適正に運営されているが、変化する経済社会情勢に的確に対応しながら、効率的かつ弾力的な運営に努め、その機能が十分発揮されるよう一層努力されたい旨の平成7年度行政監査報告をいただきまして、審議会等の運営の改善に向けた検討を行ったところでございます。
 女性委員の登用につきましては、現在、県の審議会等における女性委員の割合が少ない状況にありますことから、女性委員の登用推進計画を作成し、広く人材を求め、平成12年度までにいわて女性さわやかプランに定める目標の25%以上の女性委員の登用に努めてまいりたいと考えております。
 また、会議の運営状況につきましても、このたび休眠状態の審議会等の統廃合、女性委員の積極的な登用、委員定数の適正化、代理出席や持ち回り審議の見直しなどを主な内容とする審議会等の運営に関するガイドラインを定めたところであり、今後は、このガイドラインに沿って、必要に応じた改善措置を逐次実施し、さらに適正な運営に努めてまいる考えであります。
 次に、試験研究機関における研究成果である特許出願についてでありますが、県におきましては、職員がその職務に関連して行った発明、考案及び意匠について、職員の職務発明等に関する規程に基づき、発明者の権利を明確にすることにより、職員の研究開発を奨励しているところであります。現在、県において所有している特許権等は、鋳物砂の水分調整方法など登録済みのものが5件、木材の熱処理方法など出願中のものが22件となっており、前年度に比較して登録済みのものが2件、出願中のものが6件それぞれ増加しております。県といたしましては、所有する特許権等の民間使用が新たな商品開発等、地場産業の振興に寄与しているものと考えており、今後とも研究開発の環境整備に積極的に取り組むなど、関係部局との連携のもと、職員の研究意欲の向上を図ってまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君)まず、保健所及び精神保健福祉センターにおける精神保健福祉業務、体制の改善についてでありますが、御指摘のとおり、精神医学の進歩や人権意識の高まり等により、精神保健福祉に関する施策の方向が入院医療中心から在宅や地域などへの社会復帰や自立及び社会参加へと大きく転換が図られております。こうした流れに沿って関係法令も改正され、精神障害者の社会復帰や自立及び社会参加に向けての法的な整備が図られてきたところであります。地域精神保健福祉活動の中核としての保健所や精神保健福祉センターの役割は今後ますます大きくなると考えておりますが、平成9年度に予定されている地域保健法の施行に向けて、事業の実施体制の充実を図るべく、現在、保健所等の機能強化に向けた組織や業務の見直しを行っているところであります。保健所の精神保健を担当する精神保健予防課や精神保健福祉センターにおいて、これまでも精神保健相談、デイケア、小規模作業所等への指導及び患者家族会等、地域組織の育成、ボランティアの育成などの業務を一括して取り扱い、かつ多面的に取り組んでおりますが、相談業務等をより充実させるためには計画的な精神保健福祉相談員の有資格者の養成が必要と考えており、こういったことに努めてきたところであり、現在、資格を持つ保健婦は約40人となっております。県といたしましては、これら有資格職員を積極的に活用するとともに、専門性をより発揮できるような体制づくりを進めていく考えであります。
 次に、精神障害者社会復帰施設の増設や小規模作業所に対する支援についてでありますが、今後、障害者の社会復帰等を具体的に進めるための大きな柱の1つは、援護寮や授産施設の整備あるいは小規模作業所やグループホームなどの社会復帰促進事業の充実であります。県としては、国の障害者プランに準じ、岩手県精神障害者社会復帰促進計画推進会議において県の促進計画を本年度内に策定することとしておりますが、これを踏まえ、医療機関、家族会、市町村、福祉団体等の協力を得ながら、計画的な施設整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県立病院等の医療と保健、福祉との連携方策についてでありますが、精神障害者については、疾患に対する医療と生活の支援の両方が必要であると考えており、社会復帰を円滑に推進するため、医療の支援は必要不可欠であります。現在、県内には県立3、国立1、民間18の22の精神病院がございます。県立病院等事業経営計画の中では、精神障害者の社会復帰等に向け、医療サイドから積極的な支援を行っていく上での方針が示されており、社会復帰等の事業に取り組む保健所、社会復帰施設にとって心強いことであります。地域における精神障害者に対する通院医療に加え、緊急時の救急医療、精神科デイケア等の地域医療サービスの提供の充実が図られるよう、今後、社会復帰促進計画において、医療からの支援施策のあり方についても検討するとともに、保健所における地域精神保健推進協議会等を通じ、保健、福祉の連携について積極的な取り組みを進めてまいりたいと存じております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇生活福祉部長(佐々木孝太郎君)介護サービス基盤の目標値の再検討が必要ではないかとのお尋ねでありますが、3県総後期実施計画におきましては、24時間対応のホームヘルプサービスや在宅複合型施設など、新たに制度化された福祉サービスを積極的に展開するため、高齢者保健福祉計画で設定していたホームヘルパーや特別養護老人ホームなどの目標値を引き上げ、介護サービス基盤のさらなる充実を図ることとしたところであり、当面この目標の達成に向けて、地域的にもバランスのとれたサービスが提供されるよう、介護サービス基盤の計画的な整備に努めてまいりたいと考えております。
 なお、現在、国において介護保険制度創設の検討がなされておりますが、その動向を見きわめながら、新たな対応が必要な場合には、市町村の実情等を十分勘案しまして適切な対応をしてまいりたいと考えております。
   〔医療局長吉田敏彦君登壇〕
〇医療局長(吉田敏彦君)まず、広域中核病院の機能充実についてでありますが、限られた医療資源の中で、県民に良質な医療を提供していくため、機能分担と連携を基本とし、全県域を対象とする中央病院と2次保健医療圏を診療圏とする9つの広域中核病院を各圏域における連携ネットワークの拠点とし、ここにマンパワーや医療器械、医療情報などの医療資源を重点的に整備し、機能の充実に努めていくことといたしております。そのネットワークの拠点としてのこれら中央病院と、広域中核病院がネットワークで結ばれた地域総合病院などに対する診療支援機能をも一層強化することにより、圏域全体としての診療機能を充実させてまいりたいと考えております。したがいまして、広域中核病院につきましては、これまでも新築や改築にあわせて診療科の増設や医療器械の整備を行ってきたところでありますが、今後におきましても、がんの診断、治療機能、心疾患や脳血管疾患に対する医療等、診療機能を一層高めるように努め、それぞれの生活圏の中で医療が完結できるよう病院の整備に努力してまいる所存であります。
 次に、紹介外初診時負担額についてでありますが、医療局といたしましては、従来から病院や診療所との機能分担と連携を進めているところであります。特に、岩手県医師会や郡市医師会の協力をいただきまして、診療機能を進める病診連携推進事業を平成2年度からは県立中央病院の地域医療部を中心に、また、平成7年度からは県立宮古病院及び県立大船渡病院にも拡大して実施しているところでございます。今後とも、このような事業を導入しながら、患者さんにとりましてより効果的な医療システムの確立、定着に向け努力してまいりたいと考えております。
 また、議員から御質問のありましたこの紹介外初診時負担額の改定をすると仮定した場合、全国自治体病院協議会の方針や他の都道府県の県立病院等のほか、国立の附属病院等の改定状況等を勘案いたすことになりますが、慎重に対処すべきものと考えているところでございます。
   〔商工労働部長佐藤孝司君登壇〕
〇商工労働部長(佐藤孝司君)まず、ベンチャー企業の育成についてでありますが、いわゆる中小企業創造活動促進法が昨年施行されたことにより、本県におきましては、この法律に基づき、テクノポリス財団を事業主体とする新産業創造支援事業を創設するなど、ベンチャー企業への投融資制度を充実したところであります。この制度の利用希望につきましては、同法に基づく研究開発等、事業計画の認定を受けた企業等が現在22社となっており、このうち既に数社から新たな制度による投融資の相談を受けているところであります。また、起業家の育成を図るためには、その成長の基盤となる技術が重要でありますことから、岩手大学の研究成果を企業化するための研究プロジェクトを推進するとともに、工業技術センターにおける技術指導及び試験研究の充実を図るなど、基礎的研究から応用研究まで産学官の共同研究を進めており、これらの施策を通じ、新たな地域産業の創出に努めてまいりたいと考えております。
 次に、大店法の規制緩和についてでありますが、いわゆる大店法は、中小小売業の事業活動機会の適正な確保と営業活動の自由及び消費者利益の保護との間の均衡を図る観点から立法措置されたものでありますが、その後、経済規制の自由化を基本にした新たな事業機会の創出、多様な商品、サービスの供給など、さまざまな観点からの論議を経て数次の制度改正が行われ、規制緩和が図られてきたものと承知しております。この結果、地域全体の商業集積の形成に一定の役割を果たしているものと考えております。今後の規制緩和につきましても、この法律の趣旨に沿って、変化する経済社会ニーズを踏まえながら、適切に検討が行われていく必要があるものと考えているところであります。
 次に、商業振興施策についてでありますが、これまで商店街の駐車場やカラー舗装などの基盤整備事業に対し、平成3年度から7年度の5カ年間で57事業に7億5、800万円の助成を行い、また、にぎわい創出のためのイベント事業などに対し、同じくこの5カ年間で208事業に4億3、800万円の助成を行うなど、意欲的な商店街の取り組みに対し支援してきたところであります。今後におきましても、今日的な課題である空き店舗対策やポイントカードシステムの導入による商店街の情報化を促進するほか、市町村との連携を強化し、商店街を核としたまちづくりを推進する観点から、商業振興施策の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君)まず、学校週5日制完全実施に向けた学校の課題についてでありますが、授業時数の減少による学力水準の低下や学校行事のあり方、また、部活動や子供の休日の過ごし方などが課題であるというふうにとらえております。なお、学校週5日制の完全実施については、現在、中教審のまとめでその方向性が示された段階でありますので、今後、学習指導要領の改訂作業等の動向を見きわめながらこれらの課題に対応してまいりたいと考えております。
 次に、管理職の登用についてでありますが、今、学校教育においては、家庭や地域社会と一体となった取り組みが重要になってきております。したがいまして、管理職には、従来にも増して豊かな人間性を持ち、地域に開かれた学校づくりを積極的に推進する情熱と幅広い視野を持った人材の登用に努めなければならないと考えております。
 次に、環境教育や福祉教育の実態と今後の進め方についてでありますが、各学校では、海水の汚染調査やごみゼロ作戦などの実践的な環境教育を行い、また、社会福祉研究協力校では、特別養護老人ホームでの入浴や食事の介助、高齢者との交流等の活動を行っておりますが、今後とも地域社会等と連携をとり、学校教育全体を通して環境や福祉に対する理解と関心を深めるとともに、実践的な態度や資質、能力の育成に努めてまいります。
 次に、千厩町における中学校の統合問題についてでありますが、県教育委員会といたしましては、学校統合を進めるに当たっては、十分に地域住民の理解と協力を得て行うよう指導してきたところであります。千厩町議会におきましては、これまでの取り組みの経緯を踏まえ、このたび中学校の統合に係る条例を議決したものと思われます。しかしながら、県教育委員会としましては、現在なお一部住民の根強い反対が見受けられることから、引き続き地域住民の理解と協力を得るために、なお一層の努力をするよう指導してまいりたいと考えております。
〇12番(伊沢昌弘君)大変多くの項目を挙げて御答弁をいただいたことに、まず感謝を申し上げたいというふうに思います。
 知事から、行革に関連して、透明な県政、さらには信頼を得る県政を進める、こういうことで御所見を賜ったわけでありますが、後段、各部局長の方から、今進んでいる施策を含めて前向きに検討したいと、ただ、いろいろ地域に問題があると。こういうことを実は今後の県政課題の中で、それぞれ住民が不安を抱いていること、不満を抱いていることを1つ1つ解決をしていくことが県民の信頼を得るのではないか、そういうふうに私は考えて知事の御答弁を実はいただきたかったわけであります。そういった意味で、今までの部長の発言も含めて、今後の県政の中に、ここは知事の決断の中でぜひ生かしていただきたいというふうにまず御要望申し上げておきたいと思います。
 総務部長に再度御質問したいと思います。
 保健、福祉部門の統合についての基本的なお考えをお伺いいたしました。連携をとることによって、高齢化社会を迎えるに当たって、保健指導を行う中で福祉分野の施策を講ずるという、連携プレーを講ずるという意味では私も理解をしているわけであります。しかし、県民が望むことというのは、健康で社会活動に参加しながら長生きするということではないかと思っています。そういう意味で、保健、福祉の連携をとる場合においては、健康づくりを初めとする保健衛生分野における業務を重視していただきたいものだと思うわけであります。万やむを得ずリタイアをした場合には福祉施策の指導を行う、そういう視点がなければ、単に机上のプランの中で、一緒にすればうまくいくということではないと、こう思うわけでありますが、部長の御所見もここはお伺いをしておきたいというふうに思います。
 次に、環境保健部長に2点ほどお伺いをいたします。
 精神保健福祉施策を推進していくための今後の決意を込めて御答弁をいただいたというふうに思っています。部長にお答えいただいたとおり、医療と保健福祉の連携がまさに必要なことでありまして、法改正と運営要領の改正の趣旨に沿って施策の強化をしていただきたいと、ここはまずお願いを申し上げたいと思うわけであります。ただ、社会復帰事業を本格的に実施をしていくためには、通院及び在宅で療養している患者さんの数を的確に把握をしながら、その上に立って施設整備計画や種々の施策をやっていくことが必要になると思うわけであります。現時点で、推計数字しか把握ができていないと伺っています。いろんな問題点があろうかと思いますが、推計数字だと伺っています。今後、医療機関との連携が図られれば、調査も含めて可能になるのではないかなと、こう思うわけであります。こういった意味で、環境保健部長の御所見を重ねてお伺いをしたいというふうに思います。
 次に、県立病院の紹介外特別負担の設置につきまして、医療局長から御答弁をいただきました。先ほど質問の中でも申し上げましたように、この制度の導入の趣旨である大病院への患者の集中を避ける、そして適正な医療を行うということを考えれば、私が先ほど申し上げたような、かかりつけ医師の制度を本当の意味で推進してくるべきではなかったのかと思っているわけであります。このためには医療機関との調整、県民に対する啓蒙についても、今後も継続をして推進していく必要があるというふうに考えているわけであります。環境保健部としてのこれまでの取り組みと今後の推進方針につきまして、ぜひ御所見をお伺いしたいというふうに思います。
 それから、試験研究機関における研究成果として、特許出願を取り上げて、多くの出願件数があって、県も積極的に支援していく方向を示していただいたということに感謝を申し上げたいというふうに思うわけであります。
 研究機関における成果については、かけはし、ゆめさんさ、リンドウの新種など、これまで多くのものがありました。バイテクの駆使をして病害虫に強い作物なり、松も含めたそういうものを今後研究していく、さらには、工業技術センターで企業への技術指導を通じて産業界への貢献が大いに期待をされるわけであります。今後も私が申し上げたように、研究者の研究意欲の向上を図って成果を県内の産業に活用できるようこれは各部にわたるわけでありますので、それぞれ御答弁をいただくわけにはいかないと思いますが、各試験研究機関の拡充整備に今後ともぜひ御努力をお願いしたいというふうに思っております。
 それから、教育長から御答弁をいただいた部分で再質問と思いましたが、ここも御要望を申し上げたいというふうに思うわけであります。
 福祉教育、環境教育について答弁をいただきました。協力校なり環境教育推進校という位置づけがあるやに伺っているわけでありますけれども、私は教育長に御答弁いただいたように、家庭とか地域社会、それから関係機関との連携強化を図っていくことで、こういった分野もある程度進むと思います。しかし、教育の機会均等を考えれば、今後はこの指定校とか推進校という少しのものではなくて全体化をしていって、それぞれのところで適正な時期にこの福祉の問題なり環境の問題が子供たちの脳裏に残るような、そういうことが必要だと、こう思いますので、今後の検討課題として御要望申し上げたいというふうに思うわけであります。
 要望を申し上げましたけれども、再質問した部分についてよろしく御答弁をお願い申し上げたいと思います。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君)保健医療・福祉の連携についてでありますが、高齢化社会を迎えるに当たりまして、保健医療部門それから福祉部門ともに大変重要であります。なおかつ、住民の多種多様なニーズがございます。先ほど申し上げましたように、制度的な制約等もございますけれども、それらの解決を待たないで早急に取りかかって、これらを総合的に対応してまいりたいということでございます。十分議員のおっしゃる趣旨に対しまして、いろんな面から検討を加えまして、より効果の上がるように、実効が上がるように組織体制を整備してまいりたい、こう考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君)精神障害者の実質把握についてでありますが、プライバシーの保護や家族の反対等の事情によりまして、国では、昭和58年度以降実態調査の実施を見送っておりまして、岩手県におきましても、現時点では正確な実質把握のための調査は困難と考えております。しかしながら、本県において、現時点で把握している医療機関における精神障害者は、入院患者が約4、700人、通院公費負担患者が約4、800人の計9、500人でありまして、この数字をもとに考えていきたいと考えております。
 また、精神障害者社会復帰計画の策定に向けて、平成7年度において県の精神保健福祉センターが精神障害者や家族会等を対象として、病院、市町村等の協力のもとに、通院患者等の実態や市町村、社会復帰施設等のニーズに関する調査を実施しておりまして、今後、これらの結果を踏まえて計画づくりに反映させていきたいと考えております。
 次に、地域においてのかかりつけ医、ホームドクター制度についてでございますが、かかりつけ医、2次医療を担う病院、3次医療を担う大きな専門的な病院、これらがそれぞれの機能に応じて適切な医療を提供し、また、相互に連携していくことが、患者さんに対して良質の医療を効率的に供給するために重要であると考えております。
 この中でかかりつけ医、いわゆるホームドクターは、地域住民が近くの開業医さん等で日ごろ気軽に日常的な病気の診断治療だけでなく、健康に関する相談指導や健康管理などの保健医療サービスを包括的かつ継続的に受けられるような役割を果たすものであります。このようなかかりつけ医は、多くの住民が望んでいると考えておりますが、一方、各地域における医療施設に関する事情に加えまして、患者さんの大病院指向、医師の専門指向が強いことから、これまで必ずしも地域において十分にかかりつけ医が定着しているとは言いがたい状況にあります。県では、保健医療計画においてかかりつけ医を充実し、各種施設間の機能役割分担を明確にし相互の連携をすることとしており、各医療圏ごとに具体的理想のあり方について策定をいたしております。
 また、平成4年度からは、かかりつけ医に関する相談窓口の設置や住民へのかかりつけ医マップの配布を行う、かかりつけ医推進モデル事業を盛岡地区で実施し、また、かかりつけ医と県立病院の地域医療部門との間の患者の紹介、あるいは高度医療機器の共同利用を行う病診連携推進事業を大船渡地区、宮古地区で実施しておりこれは、先ほども医療局長からも御指摘ありましたがさらに、かかりつけ医を担う地域の医師の研修事業を実施してきております。議員御指摘のとおり、かかりつけ医の定着は大切なことと認識しておりますので、今後、地域保健医療計画の見直しやこれらの事業の充実の中で、その推進に努めてまいりたいと考えております。

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