平成8年6月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

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〇16番(伊藤勢至君)新進党の伊藤勢至でございます。
 平成8年6月県議会定例会に当たり、我が新進・公明会派の御配慮に感謝申し上げながら、2回目の一般質問をさせていただきます。
 なお、さきに登壇をされました先輩議員の方々から同じテーマの質問がございましたが、角度を変えて質問をさせていただきたいと思います。
 質問の第1点は、繩文時代の再認識についてであります。
 我が岩手県では、この地の草創について語るとき、大和朝廷の時代に、アテルイが敗れ、前九年、後三年の役によって安倍一族が滅ぼされ、さらには、藤原三代の輝かしい平泉文化が源頼朝によって滅ぼされ、おまけに戊辰戦争によっては、朝敵の汚名まで着せられて賊軍として敗れていると肩を落として話す人がおるようでありますが、私はこれは全く誤っていると思うのであります。戦争という戦いである以上、優勝劣敗の帰趨はおのずから明らかとなるものでありましょうが、精神的、文化的な面までがそのことによって勝敗づけられるものではないと思うからであります。大和朝廷の時代に都のあった奈良、京都、いわゆる近畿地方から見た東北は、蝦夷と呼ばれ、まつろわぬ民が住んでいた。そして、この蝦夷はまつろわぬばかりか、水稲稲作農業になじまないで、甚だ野蛮で、未開で、そのくせ傲慢で、容易に大和朝廷に服従しない甚だ厄介な人間たちであったということでありますが、これはあくまでも近畿地方から自分たちの物差しで東北を見た思いであって、それによって一方的に優劣をつけられるいわれはないと思うのであります。大和朝廷はたかだか約4、000年ほど前に大陸から渡来したとされる弥生人によって造営された日本の最初の朝廷であります。
 一方、我が東北の古代史は旧石器時代にさかのぼるわけでありますが、平成4年4月から調査が始まった青森県の三内丸山遺跡は、調査が明らかになるにつれ日本の考古学史上、江戸末期の黒船来航以上のショックを与えております。4、500年前の繩文の時代に500人から800人の人々が村をつくり、1、500年も継続してこの地で繁栄したということ、そして何よりも人々を驚かせたことは、直径1メートルもの巨大な柱の一部が等間隔に6本も発見されたことでありまして、当時の繩文人の土木技術のすばらしさに目をみはったのであります。今日まで一般の日本人が抱いていた繩文というイメージは、腰みのをつけた素足の人々が小さな集落をつくり、木の実や草の根を採取し、川や海の魚をとり、シカやイノシシやノウサギを狩猟し、細々と生活していたという程度のものだったと思いますが、三内丸山の繩文遺跡の発見は、これらのいわば常識的と言われる考え方をこっぱみじんに打ち砕くものでありました。岩手県においては、繩文時代草創期の1万年前の遺跡として、軽米町の馬場野遺跡、浄法寺町のコアスカ遺跡、岩泉町の龍泉新洞遺跡などがあります。また、4、500年前の遺跡として一戸町の御所野遺跡、宮古市の崎山貝塚、陸前高田市の中沢浜貝塚などがあり、これらの遺跡の中で、特に海岸部の遺跡にあっては、今後の詳しい調査によっては、三内丸山と同規模クラスの遺跡の発見が十分に期待できるのであります。宮城県出身の哲学者である梅原猛が書いた日本の深層・繩文蝦夷文化を探るという本の中に、繩文時代という時代、特に後期から晩期にかけて、東北はまさに日本文化の中心地であった。今日、日本の至るところで数多くの繩文遺跡が見出され、古くから日本において、狩猟採集文化としては、世界でも有数な高度の文化が栄えていることがわかり始めてきたと書いてあります。
 一例として、日本の土器は最も古いのは、カーボン鑑定の結果、マイナス1万2、000年と鑑定され、世界の文明の発祥地とされるメソポタミア地方のマイナス8、000年よりも4、000年も古く、日本は土器文化が最も早くから発生し、最も豊かに発展した国の1つであるということができるとも書いてあります。東北は決して文化果つるところなどではなく、むしろその内面にかつての輝かしい文化の記憶を持っている。東北人のあの沈黙と、羞恥と、そして誇り、それは恐らく東北人の心の中に潜んでいる過去の高い文化の無意識なる記憶が原因なのであろうか、そのように考えると、日本の文化、言って見れば日本の深層を知るには繩文文化を知らねばならない、繩文文化を知るには東北の文化を知らねばならない、東北が日本人にとって最も多く故郷のイメージを持っているのは、あるいは日本人はどこかでおぼろげながら日本人の魂の秘密を知っているからではないであろうかとも書いてありました。やがて時代はアテルイを生み、安倍一族を生み、平泉文化へと結実していくのでありますが、私たち東北人、いや岩手県人は繩文の時代から平泉文化までの間に、この地が日本全国に向けて文化の光を発信し続けてきたことに大いに誇りを持つべきであります。
 本年は宮沢賢治生誕100年の年でありますが、その生涯の中で、決して人をののしることのなかった賢治が、唯一、源頼朝を大盗人とののしる詩を書いております。七重の舎利の小塔に、蓋なすや緑の燐光。大盗は銀のかたびら、をろがむとまづ膝だてば、赭のまなこたゞつぶらにて、もろの肱映えかゞやけり。手触れ得ず舎利の宝塔、大盗は礼して没ゆる。つまり大盗人は金色堂のすばらしい仏像の威光に押されて、ついに舎利の小塔に手を触れずに去ったと言っているのでありまして、賢治はこのみちのくの真ん中に中尊寺というすばらしい寺をつくり、この地を世界の中心にするという藤原清衡の壮大な意図に心から賛意を表し、その平泉文化を自分の覇のために滅ぼした頼朝を責めているのであります。
 けさの朝日新聞に三内丸山遺跡の特集が載っておりましたが、その中で、詩人で昭和女子大の特任教授、宗左近氏が、これまでの日本は不思議な国でした。日本の歴史の始まりである繩文は疑いもなく日本人の母体です。それなのに繩文は日本の精神史の中に組み入れられていなかったのですと語っています。岩手県においては、考古学研究機関の整備についていろいろと構想があるやに聞いておりますが、平泉文化の創造に密接にかかわりのある繩文時代を再認識され、県立博物館の繩文時代の展示コーナーの充実などを初め、積極的に繩文文化の重要性を県民にアピールしていく必要があると思いますが、県としてどのように考えているか、お伺いをいたします。
 また、増田知事は県政運営に当たり、北東北、つまり青森、秋田との連携を盛んに説いておられますが、その精神的な連携を強める意味と、北東北人が持つべき誇りと魂のルーツを共有するという観点から、岩手、秋田地域連携軸構想、あるいは青森県も加えた環十和田プラネット構想の推進に当たって、繩文ロマンの視点を取り入れながら、この地域は繩文の時代から交流があったことを強調するべきと提言するものでありますが、知事の御所見をお伺いをいたします。
 次に、岩手県の平成7年度の事業の港湾整備長期構想策定事業の取りまとめの結果についてお伺いをいたします。
 昨年12月の決算特別委員会の場でこの件についてお伺いしたところ、平成6年から2年かけて策定しているとのことでしたが、その後どのように進展しているのか、まずもってお伺いするものであります。
 不勉強ながら、私なりにこれまでの県の施策を見聞いたしますと、その多くは陸地を中心としたものであったように思います。本県の広大な県土からすれば理解できる面もありますが、しかし、東に目を転ずれば太平洋があり、この海を通じて世界に門戸が開かれているのであります。前段の繩文時代に関する質問の中であえて触れませんでしたが、この太平洋に関して、アメリカ大陸を最初に発見したのは、コロンブスではなくて繩文人、それも三陸沿岸の繩文人であるとする学説を説いているアメリカの学者がおります。三陸・海の博覧会の運営にいろいろと御助言をいただいた海洋学者、茂在寅夫先生のあらわした本の中にはっきりと書いてあります。南米のエクアドルで繩文様式の土器が発見をされた。当時、世界の中で繩文の紋様を持った土器は日本にしかなかった。当時から海流としての黒潮は、三陸沖から北太平洋海流となり、北米まで流れ、アメリカ大陸の海に南下して、パナマ運河のあたりから赤道反流としてまた日本に戻ってくる。つまり太平洋を循環しているのでありまして、太平洋をひとりぼっちで往復した堀江謙一氏もまたこの海流を利用したということを考えれば、あながちまゆつばとは言えないと思います。また、今は御所湖の下に眠っている萪内遺跡から出土したトーテムポールと全く同じものを持つカナダの民族がいることを考えますと、繩文の時代からの交流を否定できなくなるのであります。
 そのようなロマンのある太平洋に関し、郷土の先輩である新渡戸稲造博士は、我太平洋のかけ橋とならんと言って、日本人の、いや岩手県人の目を海外に向けさせるべく努力されたわけでありますが、翻って、今日までの県政の中において、海を活用して世界へ羽ばたこうという意気込みがあったでありましょうか。
 私は、そのような観点から、今回の港湾整備長期構想策定事業の取りまとめる方向性に大いに期待しているのであります。平成7年6月に運輸省港湾局から出された大交流時代を支える港湾、世界に開かれ、活力を支える港づくりビジョンによれば、かつての大航海時代から、既に21世紀へ向かって大交流時代が到来していると述べております。この中で本県に関連すると思われる部分のみ引き出しますと、例えば2010年におけるフェリー貨物を含む内貿貨物量は26億から29億トンと推計され、これらの貨物の円滑な輸送を確保するため、海運とトラック輸送等陸上輸送との複合一貫輸送を可能とする物流ネットワークの形成が必要となる。このため、高規格幹線道路等との連携に配慮しつつ、国内海上輸送ネットワークの拠点となる内貿ユニットロードターミナルを1県に1港程度配置するとしています。
 また、TSLについては、TSLは国内の主要な地域間を半日で、我が国と東アジア諸国とを1から2日で結ぶことができる。TSLによる超高速海上輸送ネットワークは、国内や東アジアに輸送革命をもたらし、貨物の流れを大きく変えることが予想されるとしています。さらには、海の道を通した交流圏の形成の中では、経済のみならず、歴史、文化、観光などの資源を生かした交流により、行政範囲を超えて地域間の連携を図るとか、アジアを初め世界との交流を支えるため、国際物流機能やFAZを活用するとともに、国際フェリーなど多様な旅客輸送ニーズに対応する交流基盤の充実を図るとしています。
 また、平成7年11月、通産省貿易局が出しました輸入・対内投資法、いわゆるFAZ法の拡充、延長についての中では、輸入の促進及び対内投資事業の円滑化を柱に、要するに法律の期限を10年間延長しますから大いに活用してくださいということを言っているのであります。このFAZ制度により地方と海外を大都市圏を経由せずにダイレクトに結ぶことにより、地方に大きなメリットを与えようとしているわけで、例えば、標準的な40フィートコンテナの東京-新潟間の国内運賃は18万1、000円、これはシンガポール-東京間の外航運賃の2倍以上、また、アムステルダム-東京間の外航運賃にほぼ匹敵している。海外とダイレクトに地方が結ばれれば、地方の活性化に大きなメリットがあるというものであります。そこで、お伺いをいたしますが、現在、県においてまとめつつある港湾整備長期構想策定に当たって、運輸省が策定した大交流時代を支える港湾構想にのっとって、岩手の港湾構想を策定しようとしているのかどうか。
 また、通産省が策定しているFAZ法を活用して、県として輸入促進や物流の促進を図ろうとする気構えがあるのかどうか、お伺いをいたします。
 また、国においては、運輸省が言うところの大交流時代を支える港湾という政策と、通産省が言うところのFAZ法に関して、双方の呼吸がぴったりと一致しているように思われますが、我が岩手県においては、港湾をつくる立場の土木部と、流通、物流という観点に立っての商工労働部との連携はいかがでありましょうか。意見交換する場をどのように設定され、その中においてどのような方向づけをしてきたのか、できれば岩手の港湾100年の大計をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、河川整備のあり方について伺います。
 まず初めに、本年の1月にいわての川へ3つの提言として県民の意見をまとめられたいわての川づくりプラン懇談会の委員長、岩手大学工学部平山健一教授を初め、各委員の方々に敬意を表すると同時に、県の河川担当の方々の真摯な御努力に賛意の拍手を贈りたいと思います。
 また、県ではこれに先立ちまして、県内の各河川について河川環境管理基本計画の策定を進めてきたところでありまして、このことに対してもまことに時宜を得た取り組みであり、あわせて敬意を表するものであります。
 この河川環境管理基本計画とは、県内の各河川のそれぞれの特徴、特性を考えながら、防災を第一義としながらも地域と密着した、地域に喜ばれる川にしていこうとするものであり、これを推進しようとするときいわての川への3つの提言が生かされてくるものと思います。しかしながら、確かに防災ということで治水についても触れてはいますが、どうも少し弱いという感が否めません。閉伊川に限って見てみますと、昭和22年のカスリン台風、同23年のアイオン台風では、川井村、新里村、そして宮古市では両台風あわせて、死者・行方不明者110人、負傷者185人、家屋流失213戸、倒壊・半壊あわせて99戸、住宅への浸水2、848戸、そして閉伊川堤防決壊2カ所、延べ200メートル、護岸決壊4カ所、延べ300メートル、道路決壊、県内で2、464カ所、また、山田線にあっては、橋梁被害19カ所、鉄路の被害258カ所、不通4区間、同じく橋梁流失7カ所と、文字どおり寸断されたのであります。そのほか水田の冠水、さらに、港湾の被害6億円、その他となっております。さらに、昭和40年代に4つ、そして50年代に2つ、平成に入ってからも雨水による増水の被害は続いております。カスリン、アイオン両台風からそろそろ50年が経過しようとしている今日、河川の状況がどうなっているか、密接な関係にある山林の状態はどうなっているかと考えるとき、背筋に寒いものを覚えるのであります。山林は当時よりもその密度は濃くなっているとは決して思いませんし、河川敷の状況は土砂が堆積し、本来、流水をのみ込む断面が相当数減じているのではないかと思います。堆積した土砂の上には、15年から20年ぐらいのいろいろな木が繁茂しておりますが、一たび集中豪雨等があったとき、これらの土砂と根を流された流木が、例えば山田線の橋梁や軌道敷に、あるいは106号の橋梁や路盤にどのような影響を与えるのか。特にも、山田線が万一再び寸断されるようなことになったら、現在のいろいろな状況下でその復旧が果たしてと危惧されるのであります。一昨年の阪神・淡路大震災以来、地震と津波に注意が向きがちでありますが、文字どおり災害は忘れたころにやってくるのでありまして、洪水という災害にも思いをいたしておくべきと思います。そこで、公共物の保護という観点からも、閉伊川の堆積土砂の除去による断面確保についてどう取り組まれているのか、お伺いをいたします。
 また、閉伊川水系河川環境基本計画については策定を終わり、逐次いろいろな事業を張りつけていただき感謝にたえないのでありますが、昨年の6月の一般質問で伺いました津軽石川の基本計画策定についてはいつごろ行う予定であるか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、県政を担当されてこの定例議会でちょうど1年、一回りされた増田知事にお伺いをいたします。
 あなたが御自分の選挙戦を通じて県民に訴えてこられたことを忠実に、そして誠実に実行されておられることに対し、心から敬意を表するものであります。県庁の奥の院にいてふんぞり返っているようでは、これからの地方自治体の長は務まらない。自分が当選の暁には、みずからが県民のもとに足を運び、一緒になって地域の立場からその振興を考えると言っておられましたが、まさに有言実行の模範となっておりまして、県政懇談会の精力的開催に如実にあらわれているところであります。また、フランスの核実験強行のニュースが流れるや直ちに抗議の電報を打ち、県民感情を思いやり、防災のために購入予定のヘリコプターの、ほぼ内定していたと思われたフランス製を取りやめて米国製に変えられました。この逡巡しない決断力は大軍を束ねるリーダーの最も大切な能力であります。140万岩手県民の若きリーダーとして、県民の期待はますます高まっているところであります。かつてアメリカのケネディー大統領が就任演説において、アメリカが何をしてくれるかということよりも、我々がアメリカのために何ができるかを一緒に考えていこうと、国民の愛国心に訴えたことは余りに有名でありますが、就任1年を経過しての増田知事の感想と、県民に期待するところが何かありましたら、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
 次に、県営医療についてお尋ねいたします。
 まず、県立病院の運営について、各病院長及び関係職員が日ごろ懸命の努力をされていることに対して敬意を表するものであります。また、私は沿岸地域の中核病院である宮古病院の救急医療体制の充実について常々お願いしてまいりましたが、この4月から宮古病院に新たに心臓血管外科を設置していただくとともに、人工心肺装置などの関連設備や、2台目のCT、全身用エックス線コンピューター断層装置の整備、さらには、6月からは外科医師の増員を図っていただくなど、救急にも即応できるような医療体制の強化を図っていただき、地域住民からも大変喜ばれているところであります。このことについても改めて感謝申し上げます。
 ところで、本年4月の診療報酬の改定に伴い、200床以上の病院において、紹介患者や緊急その他やむを得ない事情による場合を除き、初診時の患者から特別の料金の支払いを受けることができることとなりました。そこで、医療局では、いわゆる紹介外初診時負担額の徴収を8月1日から実施しようとしていると聞いておりますが、私はこの制度を理解できるものであり、この制度を導入することについても理解できるところであります。しかし、岩手県全体の医療施設の配置に格差がある中で、なぜこのことを進めなければならないのかなどの若干の疑問もありますのでお伺いをいたします。
 まず、この制度を導入することにより、1つ、200床以上の病院とその他の病院、診療所を差別、選別することにならないのか。
 1つ、同時に、患者の病院選択の自由を脅かすものにならないのか。
 1つ、さらに、県立病院の場合、200床以上の病院とその他の病院のランクづけをすることになり、ひいては県営医療の創業の精神に反することとならないのか。これらのことについて医療局長にお伺いをいたします。
 以上で私の質問を終わりますが、御答弁によりましては自席より再質問をさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君)伊藤勢至議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、繩文時代の再認識と北東北における地域連携の推進についてでございますが、この北東北は御案内のとおり、狩猟、採集経済段階にあっては世界最高度に発達した文化であり、繩文文化の主要な舞台として栄えた地でございます。こはくやひすい、遮光器土偶などの遺物の分布によりまして、当時、既に広い範囲で交流が行われていたことが明らかになってきております。また、平安時代後期において、当時の日本を代表する仏教芸術としてこの地域に花開きました平泉文化においても、大陸との幅広い交流の証左が多く見られるところでございまして、このように古くからさまざまな交流を通じて特色ある文化圏を形成してきた地域でございます。
 私は、このような歴史にもかんがみまして、県政の推進に当たりましては、多様な地域連携や交流の促進に努め、各地域がそれぞれの特性に応じた役割を担い、総体として地域の発展を図っていくことが重要であると、このように認識をしておりまして、北東北3県の連携につきましても、各県と一体となりましてほくとう銀河プランや東北インテリジェント・コスモス構想に盛り込まれました交通体系の整備などのプロジェクトを推進いたしますとともに、北東北3県の広域観光キャンペーンを実施するなど、多様な分野における隣接県との連携交流の具体的な取り組みを通じまして、地域の特色ある発展に努めてきているところでございます。
 今後におきましても、古代から受け継がれてまいりましたこうした貴重な歴史的遺産や文化、風土、豊かな自然環境を大切にしながら、その価値の再発見に努め、これを各県が共有し、一体となって国内外に情報発信をしていくことが大切であると、このように考えておりますので、御提言の趣旨をも十分踏まえながら、県境を越えました連携や交流を一層促進をいたしまして、古代から現代へ、そして未来へと連なる新たな文化圏の創造を目指して取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 次に、就任1年を経過いたしましての感想についてのお尋ねでございますが、知事に就任いたしましてから経過をいたしましたこの1年2カ月を振り返っての感想は、率直に申し上げまして大変慌ただしくあっという間に過ぎたと、こういうような感じがいたしております。今21世紀に向けた県土づくりの重要な時期にありまして、こうした県民の負託にこたえるために、これまで県政懇談会の開催や、第三次の岩手県総合発展計画後期実施計画の策定、また、行政改革の推進など、多くのことに全力を尽くしてきたつもりでございます。県政の究極の目標は、県民の皆様お1人1人が夢を抱き、生きがいを持って暮らすことのできる地域社会を実現することでございます。このためには、これはぜひ県民の皆様方にお願いをいたしたいことでございますが、地域に住む方々がそれぞれの地域を理想的な地域社会に築き上げるために、主体的に地域の将来像や発展方向を自由な発想でお考えいただくことが何よりも肝要であると、このように考えております。私は、地域地域の方々のこのような意欲のある発想を積極的に支援をいたしまして、手を携えましてともどもにこうしたふるさと岩手の発展のために渾身の力を傾注してまいりたいと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので御了承お願いいたします。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君)まず、港湾整備長期構想についてでございますが、県はこれまで各港それぞれの港湾計画に基づき、湾口防波堤や公共埠頭の拡充など、鋭意その整備を進めてきたところでございます。近年、我が国の社会経済や産業構造の変革、そして本県においては高速幹線交通網の整備の進展等、港湾を取り巻く状況が変化し、改めて沿岸地域の発展の核として港湾への期待が高まってきております。このような状況を踏まえ、本県におきましては21世紀に向け、おおむね20年後を見据えた長期展望に立ち、本県の港湾整備の構想を策定すべく調査を実施してまいりました。一方、国におきましては、アジア諸国の急速な発展による産業や経済的な関係の強化等により、アジアとの交流を拡大していく中で、昨年6月に国際交流時代に対応し、豊かな国民生活を実現するため長期港湾政策、いわゆる大交流時代を支える港湾を策定したところであります。本県の長期構想策定に向けた調査におきましては、各界の有識者からなる委員会を設置し、本県における港湾の位置づけ、将来の方向性等、港湾整備のあり方につきまして鋭意検討していただいたところでありますが、現在、国の施策との細部についての調整等を図りながら、最終的な取りまとめの作業を行っているところであります。
 次に、本長期構想と国の長期港湾政策との関連についてでありますが、国の長期港湾政策、大交流時代を支える港湾では、港湾の国際競争力の強化や、地方圏において国際交流を支えるための物流機能の分散等の施策を推進することとしております。したがいまして、本県の長期構想におきましては、このような国の施策との整合を図りながら、各港湾それぞれの特色を生かし、国際流通機能を持つ多目的外貿ターミナルや海陸の複合一貫輸送を推進するための内貿ユニットロードターミナル等を整備し、港湾間の役割分担と相互補完を図り、効率性の高い港湾づくりを目指してまいりたいと考えております。
 次に、港湾の利用促進に当たっての庁内関係部局との連携についてでありますが、本県港湾の一層の利用促進を図るため、土木部に港湾振興担当職員を配置し、これまで積極的にポートセールスを展開してきたところであります。港湾の振興のためには、港湾物流の活発化、港湾利用型企業の誘致及び客船等の誘致が重要であるとの考えから、特に商工労働部との間では、誘致企業等に対する港湾利用の働きかけや本県の観光資源を生かした客船の誘致などに関し、従前から情報交換や一体となった企業訪問を行うなど、密接な連携を図りながら取り組んできたところでございます。その結果、宮古港における本県初の定期貨物船の就航を初め、大船渡港においてはいすゞキャステックや秩父鉱業の原材料の陸揚げと積み出し、また、釜石港におきましては、トヨタ自動車の陸揚げと関東自動車工業の完成車の積み出しなどが実現したほか、各港湾における工業用地への企業進出及び客船等の寄港も図られてきたところであります。沿岸地域の振興を図るためには、港湾機能の充実や各港湾と内陸部を結ぶ道路網の整備はもとより、なお一層港湾物流の活発化や港湾利用型企業の誘致等に努めていくことが必要であります。したがいまして、商工労働部との情報交換や意見交換を継続して行うとともに、港湾物流の活発化を図るため、物流動向の実態把握や港湾貨物の積極的な掘り起こしなどにつきましても、十分連携を図りながら取り組むこととしているところであります。
 今後におきましても、庁内関係部局との連携をさらに強化するとともに、関係市町村等と一体となりまして、広く県内外の企業等に対する港湾利用の働きかけを行うなど、本県港湾の振興に努めてまいりたいと考えております。
 次に、河川整備のあり方についてでありますが、河川の整備は自然災害から県民の生命、財産を守るとともに、有効な水利用を図り、さらには豊かで潤いのある県民生活を確保するために欠くことのできない根幹的な事業であると考えております。したがいまして、県といたしましては、河川整備等の治水対策を県土の保全を図る上での重要な施策の1つとして位置づけ、積極的に取り組んできているところであります。また、今後の河川整備につきましては、広く県民の声を聞いた結果を踏まえて、本年1月にいわての川づくりプラン懇談会から提言を受けた理念、つまり、いのちを育む私たちの川、わが子と楽しむイーハトーブの水辺、天の恵み溢れる水回廊という3つの理念を基本方針に据えて、今年度整備計画を取りまとめる考えであります。
 お尋ねの閉伊川の堆積土砂の除去についてでありますが、これまで県単独事業によりまして、流下能力を確保するため河道掘削を実施するとともに、立木の除去については関係者からの意見も聞きながら進めてきたところでございます。また、堆積土砂の除去につきましては、河道の現状に即した砂利採取計画に基づき骨材として利用するなど、限りある資源の有効活用にも配慮しているところであります。今後とも、土砂の堆積の著しい箇所から計画的に除去することとしており、河川の適正な維持管理に努め洪水対策に取り組んでまいる考えであります。
 次に、津軽石川の河川環境管理基本計画の策定についてでありますが、近年、人々の価値観が大きく変化し多様化している中で、河川が環境形成に果たす役割の重要性が広く認識されてきており、これに伴う新たな対応が求められてきております。このため、国及び県におきましては、水系ごとに河川環境管理基本計画を策定し、良好な河川環境の整備、誘導に努めており、これまで2級河川18水系を取りまとめてきたところであります。今年度は、津軽石川を初めとする2級河川6水系の河川環境管理基本計画を策定する予定としております。
 なお、策定に当たりましては、地域の代表者や有識者からなる協議会を設け、それぞれの地域の河川が持つ固有の景観との調和、さらに生態系や自然環境に十分配慮した基本計画にしてまいりたいと考えております。
   〔商工労働部長佐藤孝司君登壇〕
〇商工労働部長(佐藤孝司君)FAZ法の活用による輸入促進や物流の促進についてでありますが、いわゆるFAZ法は、対外貿易不均衡を背景として製品輸入の拡大を軸とした輸入の促進を図るため、平成4年7月に施行されております。具体的には、全国各地域に輸入促進地域を指定し、この地域を支援することにより、地方の輸入促進に係る基盤施設整備の促進と、輸入貨物流通の地方分散を図り、我が国への輸入を効果的に進めようとするものであります。県といたしましては、法律の施行と同時に、本事業の導入を検討し国とも内々協議したところでありますが、現状の輸入貨物取扱量が少ないことや、さらには今後の貨物量確保の見通しが立っていないなど、その時点では機が熟していないとの指摘を受け協議が整わなかった経緯がございます。しかしながら、輸入関連施設を特定地域に集積し、内外の物流拡大を図るFAZ制度は、本県の港湾を利用した物流機能の拡充に有効な手法であることから、県といたしましては、昨年11月の法改正で、適用期間が平成18年まで延長されたことを契機に、改めてFAZ制度の導入の可能性について検討していくこととしたところであります。
 なお、改正後のFAZ法においては、指定地域に対する支援処置が拡充された一方、新たな指定を受ける要件として、基盤整備や民間流通業者等の集積の確実性がより強く求められていることから、制度の導入の前提として、より一層、将来を含め確実に相当量の輸入貨物取扱量が確保されることが必要になっております。このため、今後におきましては、まず、県内に流通しております輸入貨物の実態を把握した上で、その取扱量を増加させる方策の検討を中心に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔医療局長吉田敏彦君登壇〕
〇医療局長(吉田敏彦君)まず、紹介外初診時負担制度の導入は病院等に差をつけることにならないのかについてでございますが、病院、特に200床以上の病院は、外来患者さんの診察はもとより、主として入院患者さんを中心に、高度専門的な医療を提供し、その他の病院及び診療所では入院もありますが、外来の患者さんの診察を主として、それから在宅医療を中心とした初期医療、いわゆるプライマリーケア的な機能を担うことが期待されているところでございます。したがいまして、医療機関の機能分担による効果的な医療サービスの提供とともに、相互の連携を推進することを目指してこの制度を導入するものであります。
 次に、患者さんの病院選択の自由についてでありますが、今や患者さんが病院や医師を選ぶ時代であると言われており、200床以上の病院に直接来られて差し支えないのでございますが、先ほど申し上げましたように、医療機関の機能分担による効果的な医療サービスを提供することが、より適切な医療提供のあり方であろうと考えているものであります。
 次に、県立病院のランクづけと創業の精神についてでありますが、県立病院は従来からセンター病院、広域中核病院、地域総合病院などと28病院を類型化してきており、それぞれの地域における役割と機能を担い、連携することによって県営医療全体としての総合力を発揮し、県民の医療ニーズにこたえようとしているものでございます。したがいまして、この制度を導入することは、その趣旨及びこれまでの県営医療全体の運営システムからしてランクづけするものとは考えておりませんし、決して県営医療の創業の精神に反するものではなくて、さらに県営医療をより県民の皆様が御利用しやすいように充実させるものとであると認識いたしております。このような認識のもとに、これまで県営医療を御支援いただいている県民の皆様に感謝し、幾多の県営医療の諸先輩の御労苦に思いをいたしながら、今後とも県民の皆様の県営医療に寄せる期待にこたえてまいる考えでございます。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君)繩文時代の再認識についてでありますが、御指摘のように、東北地方はかつて繩文文化が花開いた地であり、この岩手の地もその主要な舞台となっていたところであります。県といたしましても、このような点を踏まえまして、平成5年度に東北以北で初めて本県で開催されました第8回国民文化祭のテーマを、議員御指摘のような観点から繩文発信・未来発見と定め、国内はもとより、海外の方々にもアピールするとともに、県立博物館においてはじょうもん発信展を開催するなど、すぐれた文化を創造した繩文人の英知を明らかにし県民に紹介するよう努めてきたところであります。科学技術文明のあり方が問われている今、自然と共生してきた繩文人の生活を真摯に受けとめ、今日まで受け継がれてきた繩文人の文化伝統をつまびらかにすることは、一層重要な課題になってくるものと認識しております。このようなことから、今後とも、県内各地における遺跡の現地説明会の積極的な活用、埋蔵文化財展の開催や県立博物館の展示資料の充実等を進めるほか、県民に親しみやすい史跡公園の整備、活用について支援を行うなど、市町村との連携を図りながらさまざまな機会をとらえ、県民に繩文文化をアピールしていきたいと考えております。
〇16番(伊藤勢至君)いろいろと御丁寧に御答弁をいただき大変ありがとうございましたが、若干再質問をさせていただきますことをお許しをいただきたいと思います。
 まず最初に、繩文の部分にかかわってでございますが、ただいま教育長は、県立博物館において繩文コーナーを設けていろいろ展示をしている、今までもいろいろやられたと、こういうふうにおっしゃったわけでありますが、私は県立博物館にまず入ったときの、玄関をあけて入ったときの印象といいますか、この部分につきまして、これは憲法でも条例であっても第1条第1項の部分だと思いましてそれについてお伺いをするわけでありますが、まず、県立博物館に入ってすぐ目に触れますのは、兜包毘沙門天であります。東和町で約1、000年ぐらい前の平安時代の作とされておりますレプリカのようでございますが、この像そのものは大変立派なものだと思いますし、岩手県が誇れるものの1つであろうと思います。しかし、この毘沙門天、いわゆる当時の宗教観から申しますと四天王──毘沙門天、多聞天、持国天、日天、そういったいわゆる四天王が国の東西南北を守っていたんだと、そういう観点があるようでございますが、そういう観点からいきますと、この東和町にあったということは、いわゆる平安の時代に東和町に置いたということは、私が先ほど壇上で申し上げましたように、向こうから見た感覚のこれは設置だったと思うんであります。したがいまして、東和町にあったとしたならば、東和町にあって平安時代の平安京の方を見ている仏像の背後の我が岩手県の大多数のところは何なのか。これはやっぱり平安人から見て蝦夷という感覚があったんじゃないかと思いたくもなるわけでありますが、そういった観点からいきますと、先ほど知事が壇上から申し上げました、約4、000年前の土偶といたしまして出土いたしております遮光土偶という部分は、大変これは岩手県のここから出たものでありまして、しかも4、500年も前のものと、こういうことでありますから、当てつけでもこじつけでも何でもないんですが、まずその心の問題から展示を考えるべきであろうと。そういうことで、地元でとれた地元のものをまず一番目の玄関に据えるべきと思うんでありますが、そういったところから繩文文化についての考え方を変えていかなければならないと、こう思うんでありますが、このことについてまず教育長にお伺いをしたいと思います。
 それから第2点でありますが、港湾につきまして土木部長からるる御説明をいただきました。岩手県には久慈、宮古、釜石、大船渡と重要港湾が4つございまして、それぞれの地域が、それぞれの言ってみれば広域圏として港湾を活用しながら発展の道をたどろうということでそれぞれが一生懸命なわけでありますが、先ほど壇上でも申しました、国の政策からいきますと、1県に1港の指定というような文言が出てまいりました。そういう中で、これは6月14日の岩手日報でございますけれども、運輸省の川嶋第2港湾建設局長が釜石に来られまして記者会見をされた中での内容でございますが、川嶋局長は、東北沿岸域長期ビジョンの柱になっている国際流通港湾の整備に関連し、県内4つの重要港湾の中でどの港が国際流通機能を担うのか、県とともに考えなければならない云々としております。つまり、どの港がということは、4つの部分でなくて1つを指摘しているのか。そうしますと、これは県政の課題といたしまして4つの中からどれかを選び出していかなければならないという、決断の時期が近づいておるのかなというような気がするわけでありますが、それはそれでしようがないと思います。どの港の指定をすることが県の本当の利益につながるのかという大きな観点からこれは結論づけていかなければならないと思いますし、そういう議論を議会の中でもやっていかなければならないと思いますが、そういう部分についてどのようにお考えになっておられるのか。あるいはまたどこか1つを指定した場合に、残った3つはそれで終わりですよということであってはいけないわけですから、補完機能なりあるいは連携をするという形の中で、どのようにお考えになっておられるかをできればお知らせをいただければありがたいと思います。
 それからもう1つは、大東保健所に保健商工委員会で参りましたときに、その保健所管内の概況をいろいろお聞きをいたしました。これは河川にかかわっての部分でありますが、河川でありますから当然水が流れておって、それは工業用水でもあり水道用水でもあるという観点からお伺いをしたいと思いますが、他地域の者が地域のことを云々言うなとおしかりをいただくかもしれませんが、数字だけで私はお話をさせてもらいたいと思います。
 そのときの委員の中から質問が出ました、保健所の所長さんに対しまして。いろいろな説明の中で、水道の普及率が大変低かったんであります。岩手県の平均は86・9%でございますが、大東町にあっては47・1%、そして千厩町にあっては42・5%、そして室根村では17・1%でございます。このことについて委員から質問が出ました際に、水源の確保が難しいということ、それからあるいは集落がいろいろ点在をしておるがために水道事業になかなか取り組めないということ、いろいろお聞きをいたしました。しかし、その中で1点、水利権という部分にかかわって川の水に手をつけれない、こういう部分をお伺いしたわけでありますが、私はこの水利権という水を利用する権利と、言ってみれば水を飲むという人間としての基本的人権と生存権、生活権、こういった部分を戦わしたら、やはり水を飲む水道を普及させるという方が理論的に勝つのじゃないかなと思いましたが、しかし水利権というものは1回取得したものについてはずっと保護育成をしていかなければならない、そしてまた水が足りないということであれば、後から水利権という部分に介入をする人については保証をしなさいという、この保証という部分がダムということを言っているのかどうか不勉強でわかりませんが、いずれ我が県内にあって20%以下の普及率という、これは多分地元でも水は欲しいことだろうと思います。しかも今の生活ですと、どんどん下水道が普及をしてきておりまして、その下水道を普及させるためにもまず水道がなければならない。そしてまた先に権利を取得しております水利権を持っている人たちも、最初は1日当たり150リットルから200リットルの使用水量だったものが、どんどん下水道やらいろんな生活の向上に伴って使う水量がふえてくる。そうすると、片方はどんどん水量がふえていくが、水利権に対して手を挙げようとした人がたまたま遅かったがために、そういうことで水が引けないということがあって私は大変残念なことだと思いまして、許認可権が2級河川の場合は県知事にありますし、1級の場合は建設大臣にあると、こういうことでございますけれども、地域からそれぞれの内容、実情をお聞き取りをいただきまして、そしてその隘路になっている部分が県の努力で何とかできるという部分がありましたらば、そういう部分をほどいてあげて水道普及率を上げていくと、こういうことに努力をいただくべきと思うのでありますが、これについてもお伺いをしたいと思います。
 最後に1点でありますが、知事はいろいろ本当に岩手県のために公務からいろいろ積極的に御活躍をいただいておるわけでございます。大変感謝を申し上げたいと思いますが、そういう中で岩手フレンドシップセミナーということで、過日6月10日、11日、12日の3日間、外国の5カ国の駐日大使御夫妻をお招きして、そして宮古地方あるいは沿岸、三陸そしてまた平庭高原、そして宮沢賢治記念館あるいは中尊寺等を御案内をされたようでございますが、これは大変知事自身のトップマネージメントあるいはトップセールスとして大変敬意を表したいと思いますが、こういうものを今後もぜひ継続をされて、この岩手県をいろんな目から見た御意見を伺いたいと、そういうことを私たちにもお教えをいただきたいと、こう思うところであります。
 また、知事にはお忙しい中、プライベートな時間を割いていただきまして5月25日には、私が昨年の6月に一般質問でお話をいたしました月山においでをいただきました。残念ながら沖合の方が若干曇っておりましてアメリカは見えなかったわけでありますが、本来、陸側から海を見るという感覚とまた違いまして、海側から陸を見るという、違った角度からの御感想も一緒にあるいはお伺いをできれば幸いであります。同時に、こういうフレンドシップセミナーで外国の駐日大使の方々をいろいろお招きをいただく、こういった場合に、岩手県には我が沿岸の三陸海岸はリアス式海岸でございます。世界の4大──3大じゃなく4大らしいんですが、フランスのブルターニュのあたりにもリアス海岸があってアメリカにもあって、そして北欧にもあると、こういった部分の方々をリアス海岸ということを理屈に、リアス海岸サミットとかあるいは今は3大漁場とは言わないんだそうですけれども、いろいろな世界の漁場等がある国の方々、大使さんにおいでをいただくときにはそういう話題もぜひお話をいただきまして、岩手の地をあるいは三陸の地を海から見るあるいは世界から見るという観点をぜひお披露目をいただきたいと思うのでありますが、これに関して知事さんからお伺いをしたいと思います。
〇議長(堀口治五右衛門君) 伊藤勢至君に申し上げます。
 フレンドシップ再質問で新たな質問事項を取り上げることはできませんので、御注意を願います。
 増田知事。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君)まず、先ごろ実施をいたしましたフレンドシップセミナー参加大使の岩手の印象といったようなお話もございましたし、また、そのセミナーの継続について今御意見ございましたが、このセミナーは今回で2回目となるものでございまして、今お話ございましたとおり、去る6月10日から12日の3日間、国立公園の浄土ケ浜を主会場といたしまして開催をさせていただいたところでございます。参加をしていただきました国はモロッコ、ニュージーランド、グアテマラ、タイそしてブルガリアと、この5カ国の大使御夫妻に参加をいただきまして、企業立地の問題、農業問題、その他最近のさまざまな世界情勢を含めまして幅広く意見交換を行ったわけでございますし、また、浄土ケ浜からその後翌日は北山崎、平庭高原、宮沢賢治記念館、中尊寺などを御案内させていただきまして、特に参加大使は全員が浄土ケ浜のすばらしい景観に見とれておりましたし、また、本県の自然の雄大さ、歴史文化の豊かさなどに対しまして、一様にお褒めのお言葉をいただいたところでございます。大変ありがたく思った次第でございます。今後も、ただいまの議員の御提案の趣旨も踏まえまして、各国大使を通じました本県の世界へのPRと、また、具体の問題につきましてのさまざまな国際的なネットワークの形成ということにも留意しながら、そうした点のことが実際に効果が上がるように、このフレンドシップセミナーの開催を継続いたしまして、県としてもこうした点の努力を続けていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
 それから、あわせまして、過日、私もこの重茂半島の月山に登ったわけでございます。この宮古も私もたびたび訪れているわけでございまして、平地の方から浄土ケ浜のすばらしい景観を見たり、あるいは宮古湾、あるいは山里の方の地域といったようなものについても、再三訪れておりますので知っていたつもりでございましたけれども、月山の山頂に登りまして、ちょうど東は太平洋を望み、西に宮古湾、そして宮古市街地がその向こう側に見えまして、さらに、その背後に連なっております北上山地が一望にできる大変雄大な光景が目の前に展開をいたしておりまして、また、山頂からの眺望は格別のものがあったと、こういうふうに考えているところでございます。ちょうどこうしたすばらしい景観はまさしくこの岩手県の持っております雄大な自然、あるいは風景といったようなもの、岩手県の宝の1つであるというふうに感じたところでございまして、殊にもこの月山からの眺望はまことに印象深く感じたところでございます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君)まず、港湾の整備についてでありますが、港湾は、それぞれの地域の産業、経済、生活と密接に関係し、地域の発展に大きくかかわっていることから、その整備に当たっては、各港湾の地理的条件や、取扱貨物の動向、背後圏の状況等、港湾を取り巻く地域の特性を考慮して進めていくことが必要と考えております。現在、岩手県港湾整備長期構想の中で、これらの特性を考慮し、各港湾の役割分担と相互補完について検討しているところでありますが、本県の重要港湾4港、地方港湾2港が、物流拠点及び産業基盤として、それぞれの港の持っている特徴と役割を十分発揮し、それぞれの地域の振興に寄与していくよう、整備してまいりたいと考えております。
 次に、河川の水利権についてでありますが、御案内のとおり、河川法は、洪水等の防止とともに、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持を目的としており、水利使用に当たっては、それぞれの水利使用者の権利等がふくそうしていることなどから河川管理者の許可が必要とされているところであります。
 お尋ねの水道用水の新規水利使用許可に当たっては、河川法等で定められた、河川の流水の正常な機能の維持、安定的な取水の可能性など一定の要件が満たされた場合には、許可することとしておりますが、県内の多くの河川につきましては、流況の状況等から安定的な取水が難しく、しかも下流既得権者の調整等が極めて困難であり、新規取水は難しい状況であると考えております。
 なお、水道用水の確保につきましては、具体的な水道計画が策定された段階で、土木部としても対応できることがあれば考えてまいりたいと、このように思っております。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君)県立博物館の兜包毘沙門天についてでありますが、開館に当たり専門家等によりエントランスホールを飾る展示物の条件として、岩手の歴史、風土に密接な関連を持つ資料で、かつすぐれた国の重要文化財クラスの資料で、玄関の空間にマッチするもの等の検討がなされたところであります。御案内のように、成島毘沙門堂の兜包毘沙門天立像は、平安時代の前期の作とされ、土地の神である地天のたなごころの上に乗っており、これを含めて毘沙門天が1本の木から彫り出されたもので、この種のものとしては日本一大きなものであります。このように、造形的にも極めてすぐれた価値ある美術工芸品として、国の重要文化財に指定されており、岩手を代表する文化財として展示しているものであります。
 なお、繩文、平泉文化等につきましては、本県の歴史上重要な位置を占めておりますことから、既に県立博物館の常設展においても、相当の比重をかけて展示をしているところであります。
 なお、今後とも御指摘ありましたこと等を含め、十分に検証しながら展示をしてまいりたいと考えております。

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