平成8年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇47番(菊池雄光君) 社民党の菊池雄光でございます。
 ただいま提案されました発議案第7号に反対する討論を行います。
 まず第1に、新進党が消費税の引き上げに反対だというのは本当なのでしょうか。これは国民のほとんどが信用しておりません。今度の衆議院選挙が終わって、新進党が単独で政権をとることはあり得ませんが、仮に連立政権に加われば、1年もたたないうちに消費税率を7%とか10%に引き上げることを画策することは間違いないと私は思います。
 岩手県議会の新進党がなぜ今このような意見書決議を数の力で無理押ししようとするのか。それは、今度の衆議院選挙の選挙目当てではないかと。これは私だけではございません。新進党の小沢党首や細川元総理、野田政調会長や神崎総務会長など、党幹部の過去における言行や出版物などを見ますと、消費税を大幅に引き上げる意図を持っていることは明らかでございます。最近、新進党の小沢党首は、今次選挙の公約として5つの契約というものを発表いたしました。その中で、消費税率の3%据え置きと、所得税、住民税、法人税など18兆円も減税すると公約しております。そして、この代替財源対策として、行政改革、地方分権、規制撤廃によって20兆円以上の経費を削減し、あるいは税収を増加すると言っております。所得税、住民税、法人税の減税は来年度から実現すると言っておりますが、行革、つまり省庁の整理統合、これは人減らしでしょうが、どこをどうやって幾らの財政削減を生み出すのか、また、何を規制撤廃をしてどのような経済波及効果を生み出してどの程度の税収をふやすのか、何1つ明らかにされておりません。また、地方分権を経費削減の手段と考えているようでありますが、とんでもない話であります。地方分権は、今までの国の委任事務、その仕事を地方固有の事務、自治事務としてその経費を国から地方に移譲する、地方自治体の一般財源を大幅に増大させなければなりません。また、新ゴールドプランによる高齢者の施設や人的介護の増大などによって、地方の財政支出は当然増大いたします。地方分権によって経費を削減するなどという根拠は全くありません。 かつて私どもが日本社会党の時代、売上税、消費税に徹底して反対をしてきました。しかし、1987年7月に発足した竹下政権のもとで、88年12月に消費税導入を柱とした税制改革法案が参議院本会議で可決をされ、成立をいたしました。そして、89年4月1日から消費税がスタートしましたが、その後の国会でも、89年8月に消費税廃止法案を参議院で可決するとか、消費税法の一部改正に反対するなど、国会の内外で闘ってきました。その間、国政レベルの選挙で、89年の参議院選挙、90年の衆議院選挙では躍進をしましたが、93年の衆議院解散総選挙では大きく後退をいたしました。このことは、当時国会でも大きく問題になりましたPKO法案の国会闘争などにも問題がありましたが、消費税も、国民の間に不満がありながら定着してきている。これに対し、硬直的な反対だけでは国民の支持は得られないという反省もあり、かつまた、新政権の与党として消費税反対の方針を転換いたしました。しかし、私どもは、税制の根本的な理念として、税は単に行政に必要な収入を確保するということだけではなく、自由競争とか市場経済と言われる経済のシステムは、これを野放しにしますと、放任しますと、地域的にも個人的にも経済的な大きい格差が発生します。つまり、貧富の差が出てくる。これを解消するためには、税は所得の再配分機能を持たなければならないと思います。そういう意味では、税は直接税中心の累進的制度が最も望ましいと私は思います。
 第2次大戦後、当時占領下でございましたが、アメリカの経済学者シャウプの勧告した税制改革は適切なものであったと私は確信をいたしております。しかし、1980年代になって直間比率の見直しという主張が財界や一部学者を巻き込んで声高に言われるようになりました。この税制は、大企業や大金持ちが優遇され、貧しい者、弱者には相対的に重い負担となります。現在の我が国の政党では、直間比率見直し、法人税率の大幅な見直し減税を声高に唱えているのは新進党ではございませんか。私ども社民党は、税制、消費税に対し、当面次のような考えで臨みます。
 1つは、税制決定の仕組みを改善いたします。政府税調など、根本的に改革し、国民の意思が正しく反映されるようにいたします。
 第2は、消費税の大胆な改革を行います。特に低所得者への消費税の還付で逆進性の解消を図ります。飲食料品など、生活必需品に低い税率を導入いたします。益税を解消するために、インボイスを中小零細企業の事務負担を少なくするように実行いたします。そして、消費税が国民福祉のための税財政措置として使われるように推進を図りたいと思っております。
 第3に、この税率を5%にするという法律は、先ほどもお話ありましたように、平成6年12月に地方自治法の改正とあわせて国会で決められております。新進党はこれに対して修正案を出しておりますが、5%そのものは認めております。しかし、この改正された法律の第25条に、この税率は幾つかの事項を検討し、平成8年9月30日までに決定するということになっており、その検討機関は閣議でございます。ことしの6月25日の閣議で決定されましたから、法制上は問題はありません。しかし、我が党は、今日の消費税引き上げに対する国民の厳しい声を重く受けとめて、新しい国会で特別委員会を設置して徹底した論議を行い、決定すべきであると提案しております。したがって、私どもは、この意見書決議は、消費税は再検討すべきであるという各派共同提案とすべきであることを主張しましたが、新進党は反対でなければならないということで決議案を単独で提案してきました。その間--。
〇議長(堀口治五右衛門君) 菊池雄光君に申し上げます。申し合わせの発言時間を超過しておりますから簡潔に願います。
〇47番(菊池雄光君)(続) 総務委員会の努力もございましたが、この提案は、このような総務常任委員会の意向を無視して提案されたものであり、私どもは賛成することはできません。
 以上をもって反対討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、斉藤信君。
   〔1番斉藤信君登壇〕(拍手)

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