平成8年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 発議案第7号消費税率5%引き上げ反対についてに賛成の討論を行います。
 本県議会では、私が紹介議員となった消費税の税率引き下げの請願が審査されましたが、その結果は、残念ながら継続とされました。しかし、その審査の取りまとめで、請願の願意を酌み取りつつ、発議案について各会派誠意を持って調整に当たるとされました。これは、請願の趣旨を生かして発議案を上げることを目指したものであります。
 そもそも前回総選挙で消費税引き上げを公約した政党はただの1つもありませんでした。5%への引き上げは明白な公約違反であります。消費税率が5%になれば、4人家族の標準家庭で11万円の負担が18万円にもふえ、国民生活に深刻な打撃を与えます。中小企業向けのさまざまな特例措置が縮小廃止されると一挙に30倍もの増税になるケースも出ます。経済企画庁は、この増税が住宅建設や個人消費を落ち込ませ、景気回復にも悪影響を与えることを認めています。消費税増税法案を強行したとき、当時の村山内閣は、行財政改革や不公平税制の是正もやるからと言ったのに、全くやりませんでした。高齢化社会のためと言いましたが、新たに拡充された高齢者対策は、消費税収入のわずか6%にすぎません。新進党は3%に据え置くと言っていますが、もともと最初に7%増税を言い出し、消費税率引き上げの旗を掲げたのは今の新進党が中心となった細川内閣でした。これへの反省もなしに今3%に据え置くと言っても、選挙目当てと言われても仕方がありません。
 今回の消費税増税の背景には、日本の税制を消費税など間接税中心に組みかえ、国民の犠牲と負担で大企業や高額所得者の税金を大幅に減らすという財界中心の大計画があります。これが財界や自民党が唱えてきた直間比率見直し方針で、消費税など、間接税を日本の税制の中心に据えて、所得税や法人税など、直接税の比重を小さくしようというものであります。5%増税はいわばこの計画の第一歩で、これを許せば必ずそれに第2の税率引き上げが続き、果てしない増税に道を開きます。現に政府税調の加藤会長は、将来は税率18%と言い、さきがけの武村前蔵相も税率12%と明言しています。日本の税制を消費税中心にするというこの方針は、現在の政府・与党だけの方針ではありません。新進党は、小沢党首の日本改造計画は消費税中心の税制改革を経済政策の柱にうたっていることに見られるように、もともと自民党以上の消費税増税推進の立場をとってきました。いわゆる鳩山、菅新党民主党の基本政策も5%容認、直間比率の是正をうたっています。
 日本共産党は、消費税そのものに反対です。消費税は所得の低い人ほど負担が重くなる上、経済界でも中小商工業者がとりわけ重荷を背負わされる最悪の不公平税制であります。しかも税率の数字をいじるだけで簡単に大増税ができるという点でも政府には都合がよいが、国民には極めて不都合な悪税であります。私たちは、この消費税に対して最初の導入から反対の立場を終始貫き、今でも日本の税制の上で消費税というこの悪税をなくしていかなければならないと考えるものであります。ですから、今回の増税に反対する日本共産党の立場は一貫したもので、選挙目当ての一時的なものでは決してありません。だからこそ日本共産党は、今日本が落ち込んでいる財政危機の問題についても財政再建10カ年計画を提起をして、ゼネコン優先の公共事業の見直し、軍事費の半減、大企業優遇税制の是正などで十数兆円の財源を示し、福祉、教育、社会保障の拡充の方策を打ち出しているのであります。この立場から、私は消費税率の5%引き上げに反対の発議案に賛成をするものであります。
 以上であります。(拍手)
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより発議案第7号消費税率5%引き上げの反対についてを採決いたします。
 本案は原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立多数であります。よって、発議案第7号消費税率5%引き上げの反対については原案のとおり可決されました。
   
   閉 会
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第7回県議会定例会を閉会いたします。
   午後5時34分 閉 会

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