平成8年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇33番(工藤篤君) 自由民主党の工藤篤でございます。
 税制は国家存立の根幹であり、軽々に党利党略に利用すべきでないとの基本認識に立ち、今般、新進・公明会派から提案された発議案第7号消費税率5%引き上げの反対について、反対の立場から討論をいたします。
 消費税問題についての我が党の基本的な考え方は次のとおりであり、議題となっている案件はより慎重に取り扱うべきものであると考えます。
 第1は、この消費税率の改正は、多くの議論を重ねた結果2年前に決定したものであり、その見返り措置として、所得税、個人住民税をこれまでに年間5兆5、000億円、計約16兆円を先行して減税してきたのであります。
 第2は、これまでの我が国の税制がとかく働き盛りの方々に偏りがちであったのを見直して、直間比率のバランスをとり、我が国全体の活力を取り戻そうとするものであり、次の世代の幸せを考えた責任ある政策であります。
 第3は、いわゆる凍結論が一部の政党からにわかに主張されるようになったのは、間近に迫った選挙の票を目当てにした党利党略であると考えられるからであります。すなわち、昨年12月実施された新進党の党首選挙の立候補者である小沢一郎氏は、消費税を10年後には10%とすることを、羽田孜氏は、消費税の5%引き上げは予定どおり実施すべきことをそれぞれ主張したことはまだ記憶に新しいところであります。また、このたび示された小沢政権構想で、党首選公約であった10%への引き上げには一切触れず、また、財源の裏付けもなく18兆円の減税を打ち出すなど、選挙を意識した政策的迷走状態にあります。財源問題に言及しない凍結論は、県民に対し無責任と判断するものであります。このことは、例えば9月28日付読売新聞社説の中で、消費税を争点にしてはならない、国債発行残高は今年度末で241兆円にもなる。財政再建のための具体的な処方せんを提示しないまま凍結論がまかり通るようでは、日本の国家財政は破綻すると指摘しているところであります。また、同日付の朝日新聞社説においても、細川政権時代に7%の国民福祉税を打ち出した新進党が3%での据え置きを主張している。財源論議そっちのけの凍結論は有権者をあざむくものでしかないと断じているところであります。私たちは、消費税率改定に伴う年金受給者等、生活弱者対策、二重課税問題等については検討を加えるべきとの立場を堅持しながら、改善策に今後とも努力しなければならないと考えるものであり、この際、改めて言明するものであります。いずれにせよ、税制のあり方は党利党略を離れて、将来の国民生活に責任を持つ立場で冷静に議論すべきであります。
 最後に、消費税に係る請願が本議会に提案されており、その取り扱いについて2日間にわたり論議の結果、総選挙を目前にしている現在、慎重に取り扱うべきとの結論に達した結果、その取り扱いを継続と決定している中にもかかわらず、あえて今、新進・公明会派が数の力をもって単独での提案を強行してきたことに対し、常任委員会軽視であり、なおまた、満場一致を原則とする議会運営委員会において最善を尽くして努力したにもかかわらず、これをも無視した暴挙であり、将来に禍根を残すものとして猛省を促し、反対討論といたします。(拍手)
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、藤原良信君。
   〔30番藤原良信君登壇〕(拍手)

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