平成8年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(長谷川忠久君) ただいま議題となりました発議案第7号消費税率5%引き上げの反対について、新進・公明を代表いたしまして、提案理由を申し上げます。
 提案理由の大宗はお手元の文書に記載されているとおりでありますが、今、何ゆえに消費税の税率引き上げに反対しなければならないか、若干の説明をつけ加えさせていただきます。
 経済企画庁の月例報告によりますと、国内経済は、景気は回復の動きを続けている。ただし、足元、そのテンポは緩やかである。また、雇用情勢は改善の動きが見られるものの厳しい状況が続いているなど、懸念すべき点も見られるとされています。世界の経済は、ASEAN諸国を初めとする東アジアは依然として成長を続け、社会保障制度、社会資本の充実している西欧諸国におきましても安定した発展を遂げております。西欧諸国に比べると、日本の政治、経済の構造は基本から再構築しなければならず、世界経済の中で日本のひとり負けの状態であると言われておるのであります。そして、月例報告にありました日本経済の緩やかな回復テンポも世界同時好況が大きな役割を果たしておりまして、日本経済独自の要素ではないというのが大方の見方であるわけでございます。
 世界は今大競争時代を迎え、国が企業を選ぶ時代から企業が国を選ぶ時代へと様変わりをいたしました。日本はこのレースで大きくおくれをとり、80年代の繁栄はつかの間の幻だったかのように、我が国経済は衰退の一途をたどっているのであります。規制も多く、コストが高く、日本市場は国際的にも魅力を欠き、海外企業は日本を避け、法人企業は次々に海外へ逃げ、雇用不安は増大し、日本そのものの空洞化が進んでいるのであります。このような状況を放置すれば、日本国民が戦後50年営々として築いてきた繁栄はほどなく崩れ去る可能性さえ有していると言っても過言ではないのであります。今、私たちに求められている最大の課題は、徹底した行財政改革、規制緩和、内外価格差の縮減等による日本経済の活性化と新産業の誘導、育成等による経済構造改革であると確信をいたすのであります。
 一方、財政再建も、目先の財政均衡を図るだけでは、国、地方とも巨額の借金を抱える財政の再建は不可能であります。経済を再建し、日本経済の活性化と構造転換を図ることにより財政改革を断行する環境をつくらなければならないのであります。
 消費税率の引き上げを現時点で行えば、ここ数年沈静化している物価動向や回復基調が見られる景気への影響が懸念されるところでもあります。名目成長率3・5%で税収の増加は2兆4、000億円と言われます。その額は消費税率1%に相当いたします。地方税を加えれば、消費税率1・5%に相当することになり、このことからも経済の再建が必須の条件であることを御理解いただけるものと思うのであります。消費税率を2%上げれば、経済成長を0・7%程度引き下げ、物価も1・5%程度の上昇になるという試算もあるのであります。さらに、行政改革の具体的方策や社会保障ビジョンも提示せず消費税率を引き上げることになれば、際限のない消費税引き上げに道を開きかねないのであります。また、国民の多数が反対をしているとの報道を考えれば、現時点での税率引き上げは政治不信をさらに高めることになることは必至であると思うのであります。今、最も必要とされるのは、前述いたしましたように、日本経済の再建であり、それに水を差しかねない去る6月閣議決定された平成9年4月1日からの5%への消費税率引き上げは撤回されなければなりません。そして、消費税率の据え置きを求めなければなりません。
 我が党に対しまして、小沢党首が10%、そういうお話をされるわけでございます。これらの諸施策を行いまして、10%にとどめる、10年後10%にとどめる、こういうことであるわけであります。財源についてお話を申し上げるということであれば、先ほど申し上げましたように、まず、経済成長を行う。経済成長によって自然増収があるわけであります。停滞した経済をそのままにしておけば、先ほども申し上げましたように、増税に増税を重ねなければならないわけであるのであります。
 以上で終わりますが、賢明なる皆様の御賛同を心よりお願い申し上げまして提案理由といたします。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(堀口治五右衛門君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案第7号消費税率5%引き上げの反対については、会議規則第34条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、発議案第7号消費税率5%引き上げの反対については、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
 これより討論に入ります。討論の通告がありますので、順次発言を許します。工藤篤君。
   〔33番工藤篤君登壇〕(拍手)

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