平成8年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇43番(佐藤正春君) ただいまは我が党の政調会長の核心をついた質問でございまして、また、知事のこの老人対策も大した御答弁でございました。
 私は関連をいたしまして、2点についてお伺いいたします。
 まず、いわゆる奥産道でございますが、これは昭和40年に第一次指定をされまして--40年に指定をされまして、41年に事業着手、今日まで30年間、事業費全体でいいますと、75億円。平成7年で46億600万、順調に推移をいたしてきたわけでございますが、今回の調査事業におけるこの悪徳業者のミスによる事故は、決して許されるべきものではございません。もちろん、県の監督責任も同様でございます。かといって、法的手続や県の監督責任を声高に責め抜いて、工事を中止せよ、白紙に戻せというような論議はいかがなものでございましょうか。県民待望の地域の人たちが首を長くして待っておられる道路本体の事業と、今回の事件は分けて考えなければなりません。県民の貴重な税金46億円余りの事業費、このままむだに捨てていいのでしょうか。県民はそれで納得するのでしょうか。また、監督責任について増田知事の汚点との論説もあるようでございますが、知事の責任というのは少数の意見も聞く耳を持つことは当然でございますが、多数の県民の要望にこたえることこそ責任を果たすことになるのではないでしょうか。
 直接担当は盛岡の土木事務所でございますが、この盛岡土木事務所の私の調査では、土木事務所の組織運営は平成3年度事業費が184億6、800万、平成7年度の事業費は221億5、600万、これを執行する職員は平成3年度は100人おりました、平成3年度は。平成7年度は10人減って90人でございます。ですから、予算はふえても人が減っているわけでございます。土木部長は御存じだと思うんですが、職員は夜も寝ないで、実は働いているのが現状でございます。そして、その管理対象は道路延長が約860キロ、河川延長が約600キロ、このほかに県営住宅建設業許可等、あるいは建築確認の業務、この確認だけでも平成7年は3、000件を超えているわけでございまして、これらを90人の職員が中心になっておりまして、この体制で100%の無事故でやれるものでございましょうか。やれるわけはございません。事故は必ず起きるのです。将来もこの当然事故というものが予測されるわけでございますが、どのような体制でやっておられるのか。また、将来への事故対策についても重ねてお伺いしておきます。これは、ただいま私と同僚長谷川議員が紹介議員となって総務委員会に請願を出しております。いわば土木事務所の強化についてでございます。この採択につきまして、ただいまの私の質問は重大な影響がございますので、ひとつ土木部長は詳しく御説明をお願いしたいと思います。
 それから知事は、ただいまこの工藤篤議員の答弁に対しまして、復旧工事にいっぱいであり、今後の事業については慎重に対応したいと、こう答弁されておられます。これは、工藤議員が申しましたとおり、行政は継続が大切でございます。県民待望の奥産道30年の歳月と、今までの事業費46億円余りをむだにすることこそ、県民の批判を受けるものと危惧をいたすものでございます。知事の御見解を重ねてお伺いしておきます。
 次に、国見開発に関連してお伺いいたします。
 私は、この問題につきましては、さきの6月県議会定例会において大分しつこく質問をしたところでございます。繰り返しますが、計画については県が平成5年から国見地区自然環境保全特別調査を実施し、その調査結果を本年2月、県自然環境保全審議会に報告し、当審議会はその調査結果に基づき、開発は好ましくないという意見をまとめ、県はその意見を尊重すべきものであるとした結果、事実上この開発にストップがかかった。これは、今、関係の部長が答弁したとおりでございます。この特別調査については、6月議会でも再三私は質問をしたわけでございますが、環境保健部長は答えられない。なぜ答えられないかというと無理があるからなんです、これは。この特別調査は何ら法的な根拠がない、または何の権限もない。むしろ昭和63年のころから民間業者によって実施された立地調査や、地元雫石の自然を考える会の自然保護団体、学識経験者により行われた調査の結果がオーケーとなっているんですよ、これは、地元では。これら調査を重視すべきではないかと私は申し上げてきたわけでございます。特別調査とこれらの調査結果を比較検討してみましたかと、この間私は聞いた。環境保健部長は検討してないと答弁しているわけです。不思議ですね、これは。再度私は伺いますが、その後の状況は--この調査の状況はどうなっているのか、比較調査の状況はどうなっているのか。
 また一方、公共工事の環境への影響に関連して、胆沢ダム周辺地域には貴重な野生生物が生息しているところであり、この巨大ダムによってその生息環境を壊してしまい、また水系の生態系の破壊、淡水魚の死滅、土砂、栄養分のせき止めなど、悪影響が予想されるのですが、環境影響調査を実施する考えはあるかと、私の質問に対して、当ダムは国の直轄事業であり、県としては今後とも実施する考えがない、こう答えておりますが、全く公平を欠くこの部長の自然保護対策だと思います。本当にそれでいいのでしょうか。
 現在、私も調査を進めておりますが、自然破壊は確実に予想されるのでありまして、あなたはこの中で、こういう答弁もしているんですね。環境影響について検討、整理していきたいと述べておられますが、それは国も調査もするし、あなたの県でも調査をすると、双方で調査を開始するということなんですか。あなたは国でやっているからやってないとも言ってたんですが、どうなんでしょうか。
 国見地区における振興策は、非常に重要な問題と考えられます。知事は2月県議会において、県では今後の状況の推移を見守り、また、地元町や地元住民の意向を十分に尊重しながら、経済的効果や地域特性を勘案して、具体的な対応について検討を進めてまいりたい、こう答弁しております。ただいまは、企画調整部長の方から地元雫石町でまとめていただきました、県としては積極的に振興策について支援したいと、こういう答弁ありました。非常に心強いわけでございます。どうかひとつ知事、この点についても知事からはっきりと御答弁をいただきまして、確認をしていきたいと思っている次第でございます。
 以上でございます。議長、ひとつ答弁漏れのないように御配慮願いたいと思います。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) まず、お尋ねの第1点目の奥産道に係る事業についてでございますが、今、議員御指摘のとおり、これまで32年にわたりまして整備を行ってきたものでございますけれども、今回こういう形で重大な事態を招いたところでございまして、皆様方に対して深くおわびをするところであります。
 その後につきましての問題でございますが、これにつきましては、ただいま議員御指摘のとおり、さまざまな意見があることは十分認識をしているところでございます。今の段階で言えることは、まず、復旧工事に全力を傾注することが重要であるということでございまして、その上でさまざまな御意見がいろいろ県内にあるということを踏まえた上で慎重に検討してまいりたいと、このように考えております。
 それから次に、第2点目の国見地区におきます振興策の検討状況についてでございますが、これもこの地域の振興策について、全庁的に企画調整部を窓口にいたしまして、各部局でそれぞれ持っておりますさまざまな事業がございますが、こうしたものをそこを連絡調整の窓口としながら全庁的に取り組んでいるところでございまして、当然こうした作業には町などの基本的な考えや意向も踏まえることが重要でございます。そうしたところとも連絡調整をとりながら、特に、この地域にどういうものが導入可能かどうかというものを検討しているところでございます。
 具体的には、地方特定河川等環境整備事業といったものを推進いたしておりますし、また、道の駅の整備でございますとか、あるいは新エネルギーなどを活用した地域振興策のあの地区への導入といったようなことも含めまして、でき得る限りの支援を検討して行っていきたいと、こういうように考えております。
 また、あの地区の持っております特性を考えますと、県政運営の1つの柱として、県では自然との共生ということを掲げておりますけれども、この国見地区の振興については、こうした観点を踏まえて取り組むべきものということを考えておりまして、今後も町や地域住民の方々の意向も十分に尊重しながら、経済的効果ですとか、国見地区の持っております地域的特性といったようなものも十分踏まえて各種事業の展開につなげてまいりたいと、このように考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君) 土木事務所の職員の配置体制についてでありますが、職員定数が抑制基調にある中にありまして、公共事業を円滑に推進するため、これまでも土木職、建築職の技術職員の増員を図ってまいりましたし、また、道路パトロール業務、設計業務等の外部委託やOA機器を導入するなど、執行体制の充実と事務処理の効率化に努めてきたところであります。
 今後におきましても、各土木事務所の事業量の推移に応じた適正な人員配置に努めますとともに、このたびの事態を教訓といたしまして、監督補助業務の外部委託を進めるなど、現場監督の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) まず、国見開発の民間業者による立地調査との比較検討についてでありますが、事業主体による調査が行われていたとは聞いておりますが、県は、関係法令に基づく開発のための申請等の処理をする上で、学術的な観点から新たな調査が必要であると判断して特別調査を実施したもので、比較検討を行っていない旨、前回6月議会で答弁したところであることは議員も御指摘のとおりでありまして、その後の状況については比較検討は行っておりません。
 次に、胆沢ダム工事にかかわる環境に関する調査についてでありますが、昭和59年の閣議決定に基づいて、国は、平成元年に環境影響評価を実施しているところであります。この環境影響評価では、水質汚濁、植物及び動物等についての事前調査、予測、そして評価を閣議決定要綱どおり実施しております。また、関係者として、県は環境影響評価の内容に関して意見を述べているところであります。このことから、県としては環境影響評価を実施しておりませんし、今後も実施する考えはありません。なお、当該地域は栗駒国定公園に指定されていることから、同ダムの建設について平成3年に自然公園法に基づいて同意しているところでありますが、ダム本体や取りつけ道路などの具体的な施設については、実施設計が完了した時点で、その都度改めて協議を受けることといたしております。
   〔「議長、議事進行。議事進行について。」と呼ぶ者あり〕
〇43番(佐藤正春君) 先ほど議長に答弁漏れのないようにひとつ御配慮願いたいと、こう申し上げておりました。ただいまの環境保健部長は、私は、さきにこの質問書を提出をいたしておりまして、あえて避けたものか、漏れたものかわかりませんが、環境保健部長の責任というものは、本県における自然環境を守るということでございます。今、私がお尋ねした県の特別調査委員会というものは何の権限も、また、法的な根拠もない。地元の雫石では、この環境調査をやって学識経験者、自然保護団体でオーケーと出ていると、なぜこれを調査しないかということ、前回も申し上げてきました。今回も申し上げました。何らそれに対して答えがない、このことについて。ひとつ議長の方からお諮り願いたいと思います。こんなことじゃとても議員務まらない。何のための県民の代表かわからない、これは。議員に対して答弁無視だ、答弁漏れじゃない。お諮り願います。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) 私の答弁に十分意を尽さない……(「聞こえない。」と呼ぶ者あり)私の答弁に十分意を伝わらなかったことがあったといたしましたら、まことに申しわけないことだと思っておりますが、ただいまも述べましたように、民間業者による立地調査につきましては、比較検討は行っていないところでありますが、その後も比較検討をするつもりはないということで、現時点でも比較検討を行っていないという答弁をしたものでありますが、もし言葉遣い等について不適切な点がありましたら陳謝をさせていただきます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、先ほどの鈴木会長の兼職について、中村林業水産部長から報告をさせます。
   〔林業水産部長中村陽兒君登壇〕
〇林業水産部長(中村陽兒君) 先ほどの工藤篤議員の海区漁業調整委員会の知事選任委員に関する御質問の中で、鈴木甚左衛門氏の兼職数は幾つになっているのかという御質問があったわけでございますが、調査の結果、8つでございます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 進行いたします。
 次に、黄川田徹君。
   〔2番黄川田徹君登壇〕(拍手)

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