平成8年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成8年12月5日(木曜日)
1開会    午前10時4分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長        村上勝治
  議事課長        及川宣夫
  議事課長補佐      西田幸男
  主任議事管理主査    駿河勉
  議事管理主査      中澤悟
  議事管理主査      上柿聡
  議事管理主査      木村稔
  議事管理主査      南敏幸
1説明員
  林業水産部長      中村陽兒
  林業水産部次長     篠田隆一
  林業水産部次長     飯岡主税
  林政課長        大槌典男
  森林造成課長      秋山英男
  松くい虫対策室長    塩井常文
  林産振興課長      井上榮
  木材振興対策室長    佐々木健策
  森林土木課長      橋本利一
  漁政課長        中山博文
  全国豊かな海づくり大会推進室長  篠谷隆
  漁港課長        小林貴史
  農政部長        中村盛一
  農政部次長       佐藤徳兵衛
  農政部次長       熊谷良夫
  農政部次長兼地域農政推進室長   猪股正二
  技術参事兼畜産課長   菊地茂樹
  農政企画課長      赤津征男
  農村振興課長      藤巻正耕
  農地計画課長      平野達男
  総合国営対策室長    佐々木忠正
  農地建設課長      渕沢光雄
  農業経済課長      大沼勝
  農蚕課長        佐々木正勝
  畑作振興課長      石川格司
  畜政課長        橋本裕治
  全国和牛能力共進会推進室長    帷子剛資
  地域農政推進監     千田勉
  出納長         高橋洋介
  副出納長兼出納局次長  山岸進一
  監査委員        源新義弘
  監査委員        橋本光男
  監査委員事務局長    川村禎佑
  総務課長        小野寺禎夫
  監査課長        山瀬宗光
  財政課長        佐藤勝
〇工藤副委員長 これより本日の会議を開く。
 これより議事に入る。
 認定第1号から認定第12号まで、決算12件を一括議題とする。
 本日は林業水産部及び農政部を終わるよう進行したいと思うので、御協力をお願いする。
 なお、7年度決算の審査であるので、できるだけ当該年度に関する質疑とし説明、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いする。
 昨日の審査において久保田委員の質疑に対し、児童家庭課長が後で報告することとした県内の不登校児童の数については、お手元に配付しておるので御了承願う。
 最初に、中村林業水産部長から林業水産部関係の説明を求める。
〇中村林業水産部長 平成7年度の林業水産部関係の決算について御説明申し上げる。
 決算の御説明に入る前に、まず、平成7年度の林業水産業施策の推進状況について御説明申し上げる。
 近年の林業及び水産業を取り巻く環境は、ともに輸入の増加などにより価格が低迷し、収益性が低下するとともに、労働力が減少、高齢化するなど、厳しい状況が続いておる。これらの諸課題を克服し、充実しつつある森林資源や豊かな沿岸漁場を活用して、本県を我が国の木材及び水産物の総合供給基地に発展させるため、平成7年度においても、平成3年に策定した林業及び水産業の基本計画に基づき、各般の事業展開に努めたところである。
 まず、林業であるが、第1に、県産材の安定供給体制の確立については、我が国の木材の総合供給基地の建設を目指して、大規模林道などの整備を促進したほか、アカマツ材のブランド化の促進、木材の高次加工施設の整備、公共施設等への県産材の利用促進など、県産材の一層の需要拡大と、生産、加工、流通体制の整備に努めたところである。
 第2に、林業の担い手対策の推進については、森林組合の広域合併や高性能林業機械の整備を促進したほか、林業労働対策基金を増額して、林業労働者の新規参入や就労条件の改善を促進するなど、林業労働力対策の拡充強化に努めたところである。
 第3に、多様な森林の整備については、計画的な造林や広葉樹林の整備、多様な樹種で構成される複層林の造成などを推進するとともに、森林病害虫の防除、除間伐、山腹崩壊地の整備など、森林の適正な管理に努めたところである。
 第4に、森林の総合的利用の促進については、地域の特性を生かした特用林産物の生産拡大を図るため、シイタケや木炭の生産施設の整備を促進したほか、森との触れ合いによる憩いの場を充実するため、県民の森や地域環境保全林の整備などを行ったところである。
 第5に、林業新技術の開発促進については、林業技術センターにおいて、アカマツ材の難燃化技術の開発やバイオテクノロジーを活用したキノコ類の新品種開発に取り組んだほか、林業技術の情報センター機能の充実や、試験研究成果の普及、定着に努めたところである。
 次に、水産業であるが、第1に、漁業生産の安定向上については、漁場の高度利用と資源の維持培養により、沿岸漁業の振興を図るため、増殖場や魚礁漁場の整備開発の推進、アワビ、ウニなどの種苗量産体制への整備を図るとともに、サクラマスの放流手法の開発、研究を行ったほか、マツカワの養殖試験を実施し、資源の培養や増殖生産の拡大に努めたところである。また、平成9年に、本県で開催される全国豊かな海づくり大会の準備を進めたところである。
 第2に、資源の管理については、水産資源の合理的な利用管理体制及び漁場秩序の確立を図るため、効果的な資源の培養や資源水準に見合った漁獲の適正化に努めたほか、漁業取締船による違反取り締まりを計画的に行うなど、資源の積極的な保護、利用管理の推進に努めたところである。
 第3に、生産基盤の整備については、加工流通基地や漁業生産活動の拠点となる漁港について、第9次漁港整備長期計画の整備方針のもと漁港の基本施設の整備のほか、漁港漁村の環境整備もあわせて一体的、総合的に漁港の整備を行ったところである。
 第4に、加工流通体制の整備については、水産物の安定供給体制の整備促進を図るため、卸売市場の整備を中心とした加工流通関連施設の総合的整備を行ったほか、消費者ニーズに対応した水産物の消費と販路の拡大を図るため、新製品開発、展示販売、消費宣伝を行い、高鮮度水産物の安定供給体制の確立に努めたところである。
 第5に、水産経営の安定充実については、漁業経営の低コスト化や水産関係団体の経営基盤の強化を図るため、漁業近代化資金の融通や沿岸漁業改善資金の貸し付けにより、漁業生産設備整備などの近代化を図ったほか、漁業担い手育成基金を活用して、漁業後継者の育成、確保対策を行ったところである。
 第6に、水産技術の高度化については、栽培漁業を推進するため、社団法人岩手県栽培漁業協会の育成の強化を図ったほか、先端技術の進展に即応した技術開発など、多様化する試験研究課題に積極的に取り組み、バイオテクノロジーを活用した魚介藻類の増養殖技術や水産加工技術の開発推進に努めたところである。
 第7に、住みよい漁村の形成については、快適で潤いのある漁村環境の形成を図るため、生活環境の整備を促進したほか、漁港機能を十分に活用した地域振興や漁村を津波や高潮などの災害から守るため、海岸保全施設の整備を促進し、住みよくて、活力ある漁村の形成に努めたところである。
 以上が平成7年度における林業水産部の施策の概要である。
 次に、決算の内容について御説明申し上げる。
 まず、一般会計歳出についてであるが、平成7年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願う。
 林業水産部関係の歳出の予算現額は、6款農林水産業費のうち、14ページの4項林業費、5項水産業費及び16ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の一部を合わせた総額629億604万1、160円である。
 これに対し支出済額は567億3、501万3、367円、翌年度繰越額は61億6、295万4、920円、不用額は807万2、873円である。
 なお、この予算の執行率は90・2%となるものである。
 以上、一般会計の総括について申し上げたが、この具体的な内容と特別会計については、お手元の平成7年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げる。
 210ページをお開き願う。表頭の歳出、第6款農林水産業費の4項林業費であるが、予算現額374億9、815万円余に対し、支出済額は335億5、403万円余、繰越明許費が39億3、826万円余である。
 以下、その主なものについて御説明申し上げる。212ページをお開き願う。2目林業構造改善対策費の支出済額17億3、811万円余の主なものは、林業構造改善事業費であるが、これは37地域において市町村等が実施した林道などの生産基盤及び木材加工施設などの整備に要した経費に対し助成を行ったものである。なお、繰越明許費19億5、754万円余は、国の第2次補正に伴い追加した事業などについて年度内完成が見込まれないため、21地区の林道整備などについて繰り越したものである。次に、3目林業振興指導費の支出済額69億7、745万円余の主なものであるが、備考欄3行目の木材産業振興対策事業費は、製材業及び木材チップ製造業の経営の安定を図るため、素材の共同購入などに要する運転資金の貸し付けに要した経費である。次に、県産材流通促進対策事業費は、県産材の需要拡大を図るため、地域材のブランド化を推進するほか、乾燥材の安定供給対策等に要した経費である。次に、財団法人岩手県林業労働対策基金出捐金は、森林整備の担い手対策を拡充強化するため、岩手県林業労働対策基金へ追加出捐したものである。次に、森林組合経営体質強化資金貸付金と林業振興資金貸付金は、森林組合の経営安定を図るための運転資金並びに系統事業の拡大に要する資金を、岩手県森林組合連合会に貸し付けたものである。次に、215ページの備考欄9行目の流域総合間伐対策事業費は、北上川中流及び大槌・気仙川流域の間伐や基幹作業道の整備などに要した経費に対し助成を行ったものである。次に、中ほどの森林計画樹立事業費は、北上川上流森林計画区の地域森林計画の策定に要した経費である。次に、干しシイタケ等主産地形成促進対策事業費と、シイタケ等原木安定供給促進資金貸付金は、県産干しシイタケの銘柄化の確立と、生産者の経営の安定を図るため、生産施設の整備に要する経費に対し助成を行ったほか、岩手健康シイタケモッコリくん流通促進資金貸付金や、森林組合が行うシイタケ原木等の安定供給事業に必要な資金の貸し付けに要した経費である。次に、少し飛んで、地域環境保全林整備事業費は、三陸町の大窪地区及び矢巾町の煙山地区の森林を、県民の保健、休養の場として活用するため取得した経費等である。なお、繰越明許費9、030万円余は、流域総合間伐対策事業費及び日本一の炭の里づくり事業費で、国の第2次補正に伴い追加したことなどにより、年度内完成が見込まれないため、基幹作業道整備など2カ所について繰り越したものである。次に、4目森林病害虫等防除費の支出済額2億3、656万円余は、松くい虫などの森林病害虫の防除や、五葉山周辺のシカ被害防止対策に要した経費に対し助成を行ったものである。次に、216ページをお開き願う。5目造林費の支出済額32億1、256万円余の主なものであるが、造林事業費は人工造林や保育事業などに要した経費に対し助成を行ったものである。次の健康とゆとりの森整備事業費は、金ヶ崎町六原地区と二戸市織詰地区において、県民の憩いの森を整備するために要した経費である。次に、6目林道費の支出済額114億4、582万円余であるが、林道開設事業費は、県営45路線、市町村営18路線の整備に、林道改良事業費は、県営4路線、市町村営1路線の整備に、農免林道事業費は、県営3路線、市町村営6路線の整備に、林業地域総合整備事業費は、県営11路線、市町村営9路線の林道整備に、県単独林道事業費は、県営3路線、市町村営11路線の整備に、ふるさと林道緊急整備事業費は、県営22路線の整備にそれぞれ要した経費である。次に、森林開発公団林道事業費は、森林開発公団が実施している大規模林道事業などに対する県負担金等である。なお、繰越明許費11億6、869万円余は、林道開設事業費、林業地域総合整備事業費及びふるさと林道緊急整備事業費で、国の第2次補正に伴い追加した事業などについて、年度内完成が見込まれないため、林道20路線について繰り越したものである。次に、218ページをお開き願う。7目治山費の支出済額71億4、488万円余の主なものについてであるが、治山事業費は210カ所の山地治山及び保安林整備等に、地すべり防止事業費は7カ所の地すべり防止に、県単独治山事業費は26カ所の崩壊地等の整備にそれぞれ要した経費である。なお、繰越明許費7億2、171万円余は、治山事業費及び地すべり防止事業費で、国の第2次補正に伴い追加した事業などについて、年度内完成が見込まれないため、治山工事等20カ所について繰り越したものである。
 以上で林業費関係を終わって、次に、水産業費関係について御説明申し上げる。
 220ページをお開き願う。5項水産業費であるが、予算現額245億5、235万円余に対し、支出済額は223億6、877万円余、繰越明許費が21億8、150万円余である。
 以下、目ごとにその主なものについて御説明申し上げる。222ページをお開き願う。2目漁業構造改善対策費の支出済額37億1、929万円余の主なものであるが、223ページの備考欄1行目、沿岸漁場整備開発事業費は、水産物を計画的に生産するため、地先型増殖場11カ所、広域型増殖場3カ所、大型魚礁13カ所、人工礁漁場2カ所など、沿岸漁場の整備開発に要した経費である。次に、沿岸漁業活性化構造改善事業費は、沿岸漁業の振興と経営の近代化を図るため、漁業近代化施設及び漁村環境の整備に要した経費に対し助成を行ったものである。次に、3目水産業振興費の支出済額18億2、199万円余の主なものであるが、備考欄3つ目のさけ、ます増殖費は、サケ・マス資源の増大を図るため、各河川に放流する稚魚の買い上げ費及び増殖施設の整備や、サケが遡上する河川の環境整備に要した経費に対し助成を行ったものである。次に、特定海域栽培漁業定着強化事業費は、釜石市及び三陸町で行ったアワビ種苗生産施設の整備などに要した経費に対し助成を行ったものである。次に、サクラマス資源増大対策事業費は、サクラマスについて経済効率の高い放流手法を開発するため、安家川において飼育試験と放流を行ったものである。次に、内水面漁業振興対策事業は、アユなどの稚魚放流経費に対する助成と魚道の整備を行ったものである。次に、225ページの備考欄をお開き願う。5つ目の事業、資源管理型漁業推進総合対策事業費は、水産資源の効率的な培養や資源に見合った漁業管理により、資源管理の将来方向と適正な漁獲管理の方法を明らかにし、資源管理型漁業の振興を図ったものである。次に、秋さけ等利用拡大推進事業は、秋サケを中心とした県産水産物の利用拡大を図るため、販路開拓、消費宣伝、学校給食への利用促進を図ったものである。次に、水産物流通加工活性化総合整備事業費は、労働力不足や流通の高度化、消費者ニーズの多様化などに対応しながら、水産物の加工流通業の振興及び地域の活性化を図るため、宮古地区における総合的な加工流通関連施設の整備に要した経費に対し助成したものである。次に、社団法人岩手県栽培漁業協会育成事業費は、本県栽培漁業の推進を目的に設立された社団法人岩手県栽培漁業協会の事業の円滑な運営を確保するため、委託事業や運転資金の貸し付けなどを行い、協会の育成を図ったものである。次に、全国豊かな海づくり大会対策事業費は、平成9年に本県で開催される全国豊かな海づくり大会の準備を進めたところである。次に、4目水産業協同組合指導費の支出済額3億3、931万円余の主なものであるが、備考欄5つ目の漁業協同組合事業基盤強化総合対策事業費は、漁業協同組合の再編整備と事業規模の拡大を図るため、合併や事業統合等の推進の指導に要した経費である。次の漁業近代化資金金融対策費は、漁業者に対し長期、低利の施設整備資金を融資した金融機関に対し利子補給を行ったものである。次に、少し飛んで、230ページをお開き願う。10目漁港管理費の支出済額1億1、078万円余は、県管理の漁港施設の管理運営に要した経費である。次に、11目漁港建設費の支出済額144億7、201万円余についてであるが、漁港修築事業費は、県営17港、市町村営3港の修築に、漁港改修事業費は、県営7港、市町村営17港の改修に、漁港局部改良事業費は、県営5港、市町村営22港の改良に、漁港関連道整備事業費は、県営1地区、市町村営4地区の整備に、海岸保全施設整備事業費は、県営7港、市町村営8港の整備に、海岸環境整備事業費は、県営3港の整備に、漁港漁村総合整備事業費は、市町村営2港の整備に、漁業集落環境整備事業費は、市町村営6地区の整備に、漁港環境整備事業費は、県営6港の整備にそれぞれ要した経費である。なお、繰越明許費21億8、150万円余は、漁港修築事業費、漁港改修事業費、漁港局部改良事業費、漁港関連道整備事業、海岸保全施設整備事業、海岸環境整備事業、漁港漁村総合整備事業費、漁業集落環境整備事業費、漁港環境整備事業費で、国の第2次補正に伴い追加した事業などについて、年度内完成が見込まれないため、合わせて22漁港について繰り越したものである。 以上で水産業費関係を終わる。次に、少し飛んで304ページをお開き願う。災害復旧費関係について御説明申し上げる。
 11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費である。次に、306ページをお開き願う。2目林道災害復旧費の支出済額2億8、437万円余は、過年災害に係る34路線の復旧事業に要した経費である。なお、繰越明許費4、318万円余は、工法検討に不測の日数を要したことから、年度内完成が見込まれないため、5路線について繰り越したものである。次に、3目治山災害復旧費の支出済額7、481万円余は、過年災害に係る林地荒廃防止施設1カ所の復旧事業に要した経費である。次に、5目漁港災害復旧費の支出済額4億5、301万円余は、県管理漁港5港の復旧事業に要した経費である。
 以上で一般会計の歳出決算を終わる。
 引き続き特別会計の決算について御説明申し上げる。336ページをお開き願う。平成7年度岩手県県有林事業特別会計の決算について御説明申し上げる。
 まず、歳入であるが、338ページの歳入合計の収入済額は49億501万円余で、その主なものは、県債及び一般会計繰入金である。
 次に、歳出であるが、344ページの歳出合計の支出済額は48億9、344万円余で、その主なものは、公有林造成資金の元利償還金及び新植718ヘクタール、保育1万2、222ヘクタールなどの実施に要した経費である。
 次に、346ページをお開き願う。平成7年度岩手県林業改善資金特別会計の決算について御説明申し上げる。
 まず、歳入であるが、348ページの歳入合計の収入済額は18億1、243万円余で、その主なものは、貸付金元利収入及び繰越金である。
 次に、歳出であるが、350ページの歳出合計の支出済額は12億8、590万円余で、その主なものは、林業改善資金貸付金及び木材産業等高度化推進資金貸付金である。
 次に、352ページをお開き願う。平成7年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計の決算について御説明申し上げる。
 まず、歳入であるが、歳入合計の収入済額は4億6、166万円余で、その主なものは、貸付金元利収入及び繰越金である。
 次に、歳出であるが、355ページの歳出合計の支出済額は3億1、266万円余で、その主なものは、経営等改善資金貸付金などである。
 以上で林業水産部関係の決算について御説明を終わる。
 なお、これらの主要な施策の成果については、お手元に配布しておる主要施策の成果に関する説明書にそれぞれ記載しておるので、ごらんいただきたいと思う。よろしく御審議のほどお願い申し上げる。
〇工藤副委員長 ただいまの説明に対し、質疑ないか。
   〔「議事進行。」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木(俊)委員 特別委員会に議事進行がかかったなどということは恐らくないと思う。私も記憶ない。そうであるがあえて立ったのは、拝見したところ、これは部長にお伺いするけれども、漁業振興課長がお見えでないようであるがどういうわけであるか。漁業振興課というのは水産部局では最も重要な部門であり、漁場開発、漁場整備あるいは構造改善、問題の栽培漁業、最も問題になっている流通加工、こうしたことを担当する課長なはずであるが、私の見るところおられないが、おられるか。
〇中村林業水産部長 菊池漁業振興課長は現在病気療養中であり、このことについては議会の方にもきょうの欠席については届けさせていただいておる。
〇佐々木(俊)委員 そうであるか。議会事務局から聞いておらないので大変失礼なことになったと思うが、しかし、しからば課長補佐がいるはずである。この席にもおる。ところが、そちらの正面の方には漁政課の課長補佐とか林政課長補佐ががらっと並んでおり、振興課の課長補佐は端っこの方にいるのである。課長がいなければ課長補佐を何で前に出して必要な答弁をさせようとしないのか。
〇中村林業水産部長 漁業振興課の業務は大変重要な業務、これはまことにそのとおりである。御答弁等については、飯岡次長の方を中心として対応させたいと私は考えておる。
〇佐々木(俊)委員 飯岡次長はプロであるし、何でも知っているので、それはそれで結構なんである。でも、物の考え方として、たとえ課長には答弁させないとはいいながらやっぱり重要な課長であるので、その席は正面に置いておくとか、課長が事故ある場合は課長補佐を正面に据えて、我々はこれだけ熱心に取り組んでいるという姿勢を見せてほしいために私は言ったのである。飯岡次長の答弁がどうであるとか、部長ではできないであろうかとか、そういう意味はまるっきりない。そういう意味で、物の考え方で私は立ったのである。
〇村田委員 トップを仰せつかって光栄である。大まかに4項目ほど伺うが、大規模林業圏の関係、それから国有林野の活用の問題、それから保安林について担い手対策と簡単に質問をしたいと思うが、大規模林業圏の現在までの二十数年になるだろうと思うのであるが、その進捗率の概況、そして、この決算書にもある森林開発公団の調査の委託事業費、それから森林開発公団の事業費2億9、500万、これらに関連してさきほどの部長の御説明では、この森林開発公団との県負担の分というお話であるが、従来の森林開発公団と県との負担区分の割合、そういう中身についてもうちょっと突っ込んだ御説明を賜りたいと思うのである。
 なお、大規模林道の実績であるが、何パーセントぐらいの進捗を示しておるか。それから、かつてあった中核林道網の整備というものが、その後換骨奪胎をして支線構想ということで逐次進められておるやに聞いておるが、それらの今後の見通しと取り組みの姿勢について承りたいと思う。
 それから、国有林などの活用についても、かつてスキー場の開発あるいはリゾートの用地、その他農用地に転用といろいろな場面に遭遇をしており、国有林の活用は大変地域の土地利用という観点からも各般の成果を上げておると思うわけであるが、国有林野の活用の現況について承りたいと思う。その総面積あるいはまた、現在は払い下げ条件あるいは貸付条件、林野行政の非常に厳しい背景のもとに条件が相当変わってきているのではないか、その辺のところにも触れていただきたいと思う。
 それから、保安林についてであるが、水源涵養保安林あるいはまた、保健休養保安林というような今までの張りつけておる保安林の経営については、県は大変細やかな配慮のもとに指導して管理されておると思っておるが、これの保安林の指定ということに伴って林地の保全、自然環境が保全される水源の涵養にも大変ひいきしておると、こう思うわけである。さらにまた、森林の所有者にとっては、税の減免という優遇措置等もあるわけであるが、現在の環境保全というような社会的背景のもとに考えると、民有林所有者の関心というものも高まっておるのではないだろうか。保安林指定を新たに指定を希望しておるという状況はどうなっておるか。それから保安林の解除の問題についてはどういう状況であるかということについて伺いたいと思う。
 最後には、林業の担い手対策であるが、労働力対策あるいは労働力対策基金の設定というようなことで、しかし、こういう制度そのものは大変漸進的であると思うけれども、基本的には絶対的な労働力の供給が低減しておると、どんどん減ってきておると。過疎化、そして高齢化の中で林業の担い手はますます林地の保全、あるいは経営を管理する環境としては厳しい状況に置かれている。何とか基本的にはもちろん林野関連の法律の問題にもなると思うけれども、当県の場合は大変これは大きな問題である。森林を守る、緑を守る先兵として誇りを持ち、しかも生活の安定を期するための環境としてはもう少し制度的な考え方を持ってもいいのではないかといつも考えておるわけであるが、明治の憲法以来聞いてみるというと、国家を治めるのはまず山を治めることであるということで、林業という、林政というものが国家の政治の中核であった。現在はそういうことは昔の話になりつつあるということであるが、その辺の今後の取り組みについて承りたいと思うわけである。どうぞそれぞれお願いする。
〇中村林業水産部長 それでは私の方から概括的なことを答弁させていただいて、個別については担当課長を指名させていただきたいと思う。
 まず、大規模林業圏であるが、本県は48年度に八戸川内線、それから51年度からは川井住田線の開設に着手しておるところであるが、大規模林業圏開発林道については地域の森林林業の振興はもとより、地域住民の生活の足としても、あるいは連絡道としても大変重要な林道であると考えておる。このため、県としてはその予算の総額確保等について一層努力をしてきておるところである。
 それから2番目の国有林の活用の成果であるが、東北地方--岩手県については、国有林は大変大きな面積を占めておる。国有林の活用を通じた地域の農林業の振興は大変大きく寄与をしてきておるところであるが、この活用については県としても今後とも国有林の方と協調を取りながら進めてまいりたいと、このように考えておる。
 それから保安林の整備であるが、これは委員御指摘のように、大変森林の持つ水資源の涵養、広域的な機能の増大に大変寄与しているわけであり、これの整備については国のレベルにおいても、あるいは県のレベルにおいても大変重要な課題というふうに存じておる。今後ともその整備について推進してまいりたいと思っておる。
 それから労働力の対策基金についてであるけれども、これは現在岩手県林業労働対策基金というものを設けておるけれども、特に、この林業労働力対策については岩手県は非常に先発的に取り組んできておるわけであるが、平成5年からは国の方で国土庁、自治省、林野庁の3省庁が共同する形で森林山村検討会というものを開いて、山の整備、森林の整備というものは、林業の振興ばかりじゃなく国土の保全と、あるいは水資源の涵養ということが非常に大切であると、こういうような観点から、これは各省庁とも共同をして山村の、あるいは森林の整備に推進していかなくてはならないと、こういうようなことで始めた制度のもとで、飛躍的にこの対策基金の積み増しというものを図ってきておる。現在、30億の基金を積み増して、基幹的な林業労働力の育成ということを図っておるところである。
 以上6点についてであるが、詳細を1点目の大規模と、それから3点目の保安林の問題、それについては橋本森林土木課長に説明させる。それから2点目の国有林の活用については、大槌林政課長に説明させる。それから4点目の労働力対策基金関係については、井上林産振興課長に説明させる。まず、森林土木課長から。
〇橋本森林土木課長 今、村田委員のお尋ねになった大規模林業圏開発林道事業のことについてであるが、部長からも今、御答弁なさったわけであるけれども、まず進捗率であるが、岩手県には本路線と単線路線として八戸川内線、それから川井住田線、この2路線がある。この計画延長は145・6キロということで現在仕事を進めておるが、平成8年度の開設見込みが約118キロとなる見込みである。そうすると延長での進捗率が81%と、こうなるわけであり、全国の43・6%に比べるとかなり高い進度で仕事が進んでいるということになろうかと思う。
 それから負担区分であるが、事業費の85%が国のものであるし、残りの15%のうち10%が県の負担、それから残りの最後の5%が地元負担という負担区分で現在仕事が行われておるわけである。
 それから3点目の中核林道の話があった。中核林道は現在公団幹線林道の支線ということで、岩手県では葛巻田子線ということで青森に結ぶ路線1つを実施しておるわけである。ただ、この大規模林道支線については岩手県の計画、約12路線という計画を持っておるので、この本線の進捗を早めながら、また、この支線の方にも事業を延ばして、本県の林業の振興のために図っていきたいと、こう考えておるところである。
 それから保安林のことであるが、現在本県では平成7年度末であるけれども、国有林が22万5、000ヘクタール、それから民有林が12万ヘクタール、合わせて34万5、000ヘクタールとなっており、これは県森林面積約118万3、000ヘクタールに対して29%の整備率となっておる。そうしてこのうちで、水源涵養保安林のウエートがかなり高いのであり、全保安林面積の約83%が水源涵養保安林面積となっておるわけである。これら保安林の指定等については、現在第5次保安林整備計画に基づいて指定、解除等を実施しているわけである。解除面積等は年間41ヘクタールぐらい、件数も五、六十件ということになっておるし、保安林の指定についてもそれぞれの要望等があるので、逐次その計画にのって整備を進めていきたいと考えておる。
〇大槌林政課長 国有林の活用状況であるけれども、現状から申し上げると、6年度の活用部分については青森営林局の事業統計書であるけれども、農用地では4、063ヘクタール、樹林地8ヘクタール、道路及び水路等が1、785ヘクタール、建物敷き等が108ヘクタール、その他1、466ヘクタールで、計7、430ヘクタールとなってきておる。また、レクリエーション等の森等の利用については、自然休養林が2カ所で3、619ヘクタール、森林観察教育林が13カ所で3、707ヘクタール、森林スポーツの森1カ所で712ヘクタール、野外スポーツ林12カ所で3、900ヘクタール、あるいはスキー場では14カ所で4、017ヘクタール、野営場が14施設で29ヘクタール、その他を含めて158カ所、1万7、384ヘクタールとなってきておる。
 お尋ねの条件等であるけれども、営林局の報告としては厳しい財政状況からこれまで貸し付けでの対応をしていただいたわけであるが、今後は売り払いの方向に変わってきているというようなことがあるし、またスポーツ・レクリエーション等の森の場合は協力金をいただきたいという方向も示されてきているわけであるが、活用については、むしろ現在の方が営林局側の理解が得られてやりやすくなっているというのが現状である。
〇井上林産振興課長 担い手対策であるけれども、まず林業労働力の現状であるが、平成7年度の見込みによると約3、600人ということであり、63年度6、400人ほどおったから大変減少、さらに高齢化の状況となっておる。こういうことで林業労働力の担い手基金を設置をして、いろいろな対策を講じてまいったわけであるが、御案内のとおり、今年の5月に林業労働力確保法というものが公布、施行になって、これに基づいてさらに林業労働力を育成確保するために、国が基本方針を示したわけであるが、それに基づいて県においては林業労働力確保のための基本計画を策定したところである。さらにまた、この法律に基づいて、ことしの10月であるが、林業労働力確保支援センターを設置して、このセンターが中心になって今後林業労働力の雇用の近代化の促進とか、あるいは事業の合理化の促進、さらには新規就業者の育成確保を図っていくということにしておる。内容的には労働省との協賛による労働者の委託募集が新たにできること、さらには新規就業のための無利子の資金を新たに設けておる。さらには、事業の合理化を進めるために、機械化をするための高性能林業機械のリース、レンタルも検討しておる。さらには、事業主の支援ということでいろいろな研修やら経営指導ということも予定をしておる。さらに、基幹的な林業労働者を養成するための研修等についても、支援センターが中心になって今後推進してまいるということで、新たな法律に基づいて積極的に担い手対策を講じてまいりたいと考えておる。
〇村田委員 ありがたかった。
 最後の林業の担い手対策であるが、本年6月施行の確保法関連に伴っての支援センターの設置と、大変これは力強いことであると思っておるが、しかし、店開きはしてもクモの巣がかかったりしておっては何ともならないわけであるが、現状の国内の各地を見て回って、林業に対する意識が高いところと低いところとあるようで、若者たちが活力と夢を持って一生懸命取り組んでおるという過疎、山村の中にもあるわけであるが、当県の場合にはそういう点の何か危機感というのが少ない。危機感はあっても若者たちの組織というか、みんなで手を合わせて、手を握ってやっていこうというふうな、そういう活力がどうも希薄ではないかということである。せっかく店開きをした支援センターがレンタルの機械を貸してほしいと、あるいは無利息の利息を何とか頼むということであるとか、一連の今置かれておるニーズというものにこたえるための支援センターでありながら、これが機能しないということは大変問題があると思う。したがって、もう手を打っていらっしゃるとは思うけれども、森林組合等を通じて新しいそういう展開を促すための施策については、どうぞよろしくきめの細やかな御配慮を願っておきたいと思う。以上、要望しておきたいと思う。
〇菅原委員 先般の総括質問の中で、林業関係2点準備したわけであるが、時間の関係上できなかったわけである。その1点お伺いしたいと思うわけである。
 まず、第1次産業--農業、漁業、林業とあるわけであるけど、いずれも厳しい状況になっておるわけである。農業はその年、種あるいはまた、苗を植えつければ秋には収穫できるという生産計画ができるわけである。あるいはまた、果樹においても四、五年で収穫ができる、そういう状況である。漁業についても栽培漁業というのも実はあるわけであるけれども、大半は海にある魚を収穫、とると、こういう状況である。これも秋サケのような一喜一憂の状況も続いているわけである。林業は植林から伐採まで何十年も実はかかるわけなのである。その間の管理そういうもの、金銭的にもあるいはまた、精神的にも大変苦労するわけなのである。そして、いよいよ伐採すると、製品にするという状況になると、価格が外材に押されて低迷しているということ、これも日本は外材の輸入では世界一なのだそうである。そういう中で、特に一番厳しいのが林業かなと、そんな感じをいたしておるわけである。であるから、農業も漁業も林業も生産者だけでは対応はできないと、そういう状況にあろうと思う。したがって、そういうものに対する行政の手助け、これが政治なわけである。そういう中で林業関係335億の費用を費やして、岩手県の林業振興のために関係者の方々は大変御努力なさっているわけであるが、この場をお借りして敬意を表する次第である。
 その第1点は、間伐対策である。本県では戦後の積極的な拡大、造林の推進によって、民有林の人工林面積34万ヘクタール、人工率は43%に達している。全国でも有数の森林県となっておることは御承知のとおりである。今さら申し上げるまでもないわけであるが、森林は木材生産の場としてばかりではなく、水資源の涵養、国土の保全、環境保全など、多く機能を有しているわけである。人工林の場合、この森林機能を高度に発揮させるためには、間伐を実施して健全な森林として育成、還流していくことが最も重要な課題に実はなっているわけである。近年、テレビや新聞等で台風やまた大雨に遭った都度、森林が大きな被害を受けている、そういう状況である。この原因の1つとしては、人工林に対して十分な手入れが行き届いていなかったためではないかと、いわゆる災害に弱い森林となっておるんではないかと、そんな感じをしているわけである。私もたびたびそのような状況に接するわけであるけれども、その都度森林の状況、間引きがあるというようなそういう関心を大きく持っているわけであるが、そしてまた、間伐をすればいいなというような状況もたくさん見ているわけである。このような状況が続くと、良質な木材の生産はもとより、水の確保や山地の災害の観点からも非常に憂慮せざるを得ない状況にあろうと、そのように考えているわけである。植林はするけれどもなかなか間伐までは手が回らないというのが現状である。ついては、早急に人工林の間伐の実施が必要であるわけである。一生懸命実施しておるようであるけれども、現在の状況はどういうことになっておるか。実績はどうであるか。あるいはまた、今後の間伐の促進対策、どのように取り計らっていくのか、お伺いしたいと思うわけである。
〇中村林業水産部長 菅原委員の御質問にお答えする。
 委員御指摘のとおり、間伐の実施は人工林の生育はもとより、病害虫や気象災害に強い健全な森林を整備し、水資源の確保や国土保全等、いわば公益的機能の維持向上を図るためにも、また、間伐の実施を通じて農山村の雇用の場を創出すると、こういった点からも極めて重要であると考えておる。さらに、本県は人工林化に取り組む年代が遅かったことから、全国よりもおくれて、今まさに間伐をしなければならない時期を迎えていると考えておる。その面積は約21万1、000ヘクタールであって、人工林の総面積の62%に達しておる。このため毎年約1万9、000ヘクタールの間伐の実施計画を立てて推進してきているわけであるが、その実績については1万2、000ヘクタール前後、実施率64%程度である。また、間伐材の利用についても年間15万立方メートルが森林から生産されておる。そのうち利用されたものは9万立方メートルであって、その利用率も58%と低い状況になっておる。このように間伐が進まない理由としては、先ほど委員御指摘のとおり、林業を取り巻く状況は大変厳しい。また、間伐対象地のほとんどが作業道から遠く離れておって、その生産コストがかかり過ぎるといったような問題から、森林所有者のいわば間伐意欲と申そうか、経営意欲が減退してきていると、こういうところが原因ではなかろうかなと考えておる。したがって、この間伐のおくれは申すまでもなく良質な木材の生産が困難になるばかりではなく、県民生活にも水資源の問題とか、あるいは国土の保全の問題とか、そういう観点から生活にも支障を及ぼしかねないと考えておって、この適正な実施が喫緊の課題となっておる。このため、これまでにも県としては国庫補助事業等の導入によって間伐予算の確保を図るほか、さらに作業道の開設やあるいは高性能林業機械の導入を促進するなどして生産コストの低減に努めてきたところであるが、今後とも予算の確保については積極的に努めるとともに、公益的機能を高度に発揮させる必要のある人工林の間伐を重点的に進めてまいりたいと考えておる。また、間伐材の有効利用については、試験研究機関や土木部など関係部局等と連携を強化しながら、護岸工事や道路ののり面工事等の公共土木工事への利用を進めるなどして、総合的な間伐材の利用促進対策を講じてまいりたいと考えておる。
〇菅原委員 そこで、お伺いするが、この間伐促進なんであるが、いずれ林家が高額な補助金があればやりたいと、あるいはまた、もうやりたくないと、そういう考えの方あろうかと思うんであるが、どういう状況になっているんであろう。感触があればお尋ねしたいわけである。
〇秋山森林造成課長 今、間伐の状況について部長からお話ししたけれども、実際に森林所有者の方で間伐をやるということになると、生産コストの面で所有者みずからというのではなかなか難しい状況というのが現状である。ちなみに、杉、アカマツ、カラマツというのが本県の主な樹種であるが、林道というか、作業道からの距離によって生産コストが大幅に変わってまいるけれども、ちなみに、杉で申すと、搬出したもののその販売価格と、それから生産コストで見ると、道路から、杉が一番採算ベースがよいわけであるが、400メートル以内でやっと採算ベースに合うという状況である。アカマツ、カラマツになると100メートル以内のところでないとなかなか採算ベースに合わないと、これが現状である。そういう観点からなかなか所有者みずからの資金で間伐を実施するというのは難しい状況であって、どうしても補助金と申すか、助成措置が濃密にならなければ本県のカラマツはなかなか進まないというのが実態である。ただ、所有者の意識としては、ぜひ自分の山は間伐をして良質な材をつくりたいし、その環境保全にも供与していきたいと、こういう考えは持っているようであるが、なかなか資金面で進まないというのが現状かと見ておるし、そういう観点からできるだけ助成措置を講じながら間伐が進むように我々も努力していきたいと考えておる。
〇佐藤(啓)委員 成果に関する説明書の65ページに関連してお伺いする。
 1つは、7年度の林業労働の災害の実情についてお伺いしたい。
 その際に、災害補償の面はどういうことになっているのか。保険加入等がどういう状況になっているのかに触れて明らかにしていただきたいと思う。
 それから、もう1つは、機械導入の問題であるが、これまた7年度においては1森林組合員に対して2台の機械導入があった。そういう報告がなされておる。これはどこの地域でどんな機械が導入されたものか。今後この施策の展開をどう考えておられるのか。つまり、森林組合から機械導入を図りたい、こういう申し出があった場合に、条件等を勘案されるんだろうと思うけれども、どういう機械の導入がこれから年次計画で考えられるものかどうか。この点に触れて明らかにしていただきたい。
〇井上林産振興課長 林業労働災害の状況であるけれども、平成7年度であるが、労働基準局の死傷病の報告によると、死傷者は93名と聞いておる。このうち死亡者数が1名ということであって、これは前年度に比べると死傷者数で10人ほど減少しておるし、死亡者数では3名減少しているということであって、発生状況については過去の昭和61年あたりからの推移を見ると年々減少してきているということであって、発生状況については改善の方向に向かっていると考えておる。
 それから、補償の関係であるけれども、林業労働については、事業主が雇用されている労働者に対してほぼ100%ということで労災に加入をしておる。したがって、労働災害ということで認定になると労災の方で補償があるということである。さらに、民間の保険等があるけれども、この加入については非常に加入率は低いという現状である。
 それから、高性能林業機械の導入の状況である。現在、本県に69台ほどの機械が導入されておる。林業機械の、特に高性能林業機械については非常に高価なものであって、それと一定の作業量が伴わないと採算上問題があるというようなことから、すべてに導入ができるというものでもない。そういったことで森林組合などを中心に資本装備がされているわけであるが、いずれ高価な機械なものであるから、補助を得ないとなかなか採算がとれないという実態である。したがって、高性能機械の導入については国、県の補助事業を活用しながら導入をしていくというのが実態である。具体的には、林業構造改善事業などを導入して、今後、高性能機械の導入を図りたい。さらには、先ほど申したように導入が難しい部分については、林業労働力の支援センターがそういう機械を整備しながらリース、レンタルという形で高性能機械の普及を図ってまいりたいと考えておる。
 それから、具体的に平成7年度、高性能機械と申すか、を導入した森林組合であるけれども、九戸村、それから衣川村、雫石町、一戸町、岩泉町、一関市、住田町が2台入っておる。それから、玉山村、矢巾町、計10台導入をされておる。
〇佐藤(啓)委員 どんな機械が導入されているものなんであるか。それから、国、県の補助があると、経費負担の面ではどういうことになっているんであるか。国、県で全額これは補助するということではないんだろうと思うので、その辺もお聞かせ願いたいと思う。
〇井上林産振興課長 機械の種類であるけれども、この平成7年度に入った10台については、グラップルソーが2台、プロセッサーが2台、ハーベスターが4台、そういったものが入っておる。グラップルソーというのは木材をつかんで積む機械であるし、プロセッサーというのは伐倒して束切りをして枝払いするという、そういうような工程を1回でやってしまうというそういう機械である。そういったものが10台入っておるということであって、補助率であるが、これは原則国が2分の1、それに県が1割をかさ上げするという形で6割補助というのが基本になっておる。
〇伊藤(勢)委員 漁業の部分について2点質問をする。
 この場には漁業の団体の方、あるいは漁業に造Xの深い方々いっぱいいらっしゃるが、私も魚が好きな一県民として、秋サケという分にかかわって価格の低迷という部分を心配する者の1人として質問をしていきたいと思うので、御答弁をよろしくお願いしたいと思う。
 大変大漁は結構であるが、今、雄ザケは1キロ30円と聞いておる。サンマは1匹300円、大体今、魚体が小さくなっておるから6キロから7キロ、大体雄ザケは1匹210円かそこら、男は安いなと、こう思うわけである。私、かつて新潟県の村上市に参った。あそこはサケがいろいろかかわりの深い市であって、行って最初にびっくりしたのは、新巻ザケのつくり方のつるし方が私びっくりした。何で逆さにつっているのかと私は聞いた。何、さかさ、あんたどこから来た、岩手県の宮古である、宮古ではどうつるんだ、えらのところにひもを通してつる。それは首つりと言うんだと、こう言われた。ぎゃふんとしたわけである。ただ、すばらしいと思ったのは、村上市では、ふ化養殖事業を始めたときから、上がってくるお金、そういった部分を奨学資金、育英資金、イオボヤ基金と言ったように覚えているが、イオボヤというのはアイヌ語でサケのことを言うんだそうである。そういう部分をつくってきた県と、それからそういう部分を怠ったわけでないにしても、子供たちに対する漁業というか、あるいは魚を食べてもらうと、そういった部分あるいはサケの上がりでもって教育をしていくという観点、視点がすばらしいものだな、こう思ったわけである。そういう中で今回、学校給食等にいろいろサケを使うようにやっている。これは大いに結構なことであるが、本当はもっと早くこういう部分があってほしかったなと、こう思っておる。そういう中でサケであるが、シーズンオフになると、言ってみれば浜値がつかないという状況もあるようである。つまり買う人がいなくなる。だったらこれを何とか活用していかなきゃならないだろう。
 こういう中で、私、議席をいただいてから二、三度サケの1本釣りをいかがかと、こういうことをお話をしてきた経緯がある。その辺をお聞きしたいと思うんであるが、実は北海道の標津町、ここでは海の部分で、もちろんこれは漁業者と協力の上ということであるけれども、サケの釣りを許可している。昭和63年から始まった国内初、国内唯一のサケの船釣り公式大会、ALL JAPAN サーモンダービー in標津、こういうことである。これは漁業者と共存する形でサケ釣りを楽しんでいる。9月1日の解禁前にやっていると、こういうことである。それから、もう1つは、これまでは川に上がってきたサケ・マスは釣れないと言われておったようであるが、ちょっと読めないんであるが、忠義の忠に種類の類というのを書いて忠類川であろうか、ちょっと読めないんであるが、この川で実は1本釣りをやっている。これはただやっているのではなくて、いわゆる調査をするんだ、サケがどういうのが上がってきているんだとか、どういう生態があるんだ、そういう調査をする。その調査員を全国から募集した。こういうことでやっているわけである。本県においても当然本州一のサケの県であるから、ぜひこういう部分を考えていただいて、それで本州の中でやるならぜひ他県に先駆けて岩手県がまず1発目にやっていただきたい、こういうふうに思うんである。その中の資料を分析すると、釣獲調査を実施したことにより多くの採捕従事者が標津町を訪れたため、旅館業、商業等、町の経済が活性化され町の知名度も高くなり、町全体が公益を受けた。であるから、サケの部分を釣るということ、魚体そのものは高くはないかもしれないが、釣るまでの間のファイティングというか、引きというか、これを楽しむ、こういう部分が今、国内の魚の中で多分釣れる対象魚としては一番大きなものだと思う、北海道のイトウを除いては。であるからこのやりとりを楽しむ。そうすると当然これは2泊なり3泊なりして来るわけであるから、その釣った魚を例えば1匹当たり3、000円でも5、000円でもいい。あるいはその船は漁業が余り元気がない状況で遊休している船に遊漁許可を与えて、もちろんこれは安全第1であるから波高が幾ら以上のときは出さないとか、あるいは1人2つ釣ったら終わりだとか、そういう方々はできれば漁業関係者が経営する民宿に泊まってもらいたい。そして、釣ってきた魚は魚拓をとって3枚におろしてお持ち帰りいただきたい。こういう部分までやって初めて漁業が県民と一体となった部分として売り出していける。岩手県の沿岸に来た方が、国内外を問わずであるが、帰りに買って帰るのは絶対これは漁獲物、海産物であるから、大きな観点から見るとこういう部分は必ず漁業の振興につながっていく。町の活性化、市町村の活性化につながる、こう思うわけであるが、ぜひひとつ、検討という分よりも、やるぐらいの御返事がいただければいいんであるが、いかがであろうか。
〇中山漁政課長 サケの1本釣りについてお答えする。
 委員御指摘のように、サケの場合は川でとる場合とそれから海でとる場合、1本釣りで釣る場合、若干事情が異なるので、まず海の方でとることについてお答えする。まず海でサケを1本釣りで釣る場合、これは陸上から釣る方法とそれから船に乗って船の上で釣るという2つの方法が考えられると思うが、陸上から釣る場合には現在サケ親魚の遡上保護を図るために、県の漁業調整規則で採捕が禁止されているところがある。ほとんど河口域であるけれども、その採捕が禁止されている区域を除けば、これは現在でも陸上からの釣りは可能である。次に、船を使用した場合であるけれども、本県では昭和55年ぐらいまでは特段の禁止をしておらなかった。その昭和55年ごろに秋サケを対象として漁業者がはえ繩でこれをとるという、秋サケのはえ繩漁業が急速に普及し出した。あわせてこれに合わせるように一部遊漁者の方もサケの1本釣りをするようになったということで、非常に釣りが無秩序な釣りによるサケの採捕というのが始まったために、本県の岩手海区漁業調整委員会が全国に先駆けて、昭和56年にまず漁業者に対してはサケ・マスはえ繩漁業を承認漁業とするという規制をした。あわせて遊漁者に対しては船舶を使用したサケの1本釣りを禁止する措置、指示というものを出しておった。その後、各県とも遊漁者によるサケの1本釣りを禁止する措置をとり始めたけれども、委員先ほど御指摘のように、全国的に見ると北海道の根室、それから網走の一部地先海域だけでは、これは遊漁者が海区の委員会の承認によるサケのライセンス制を取り入れて秩序ある1本釣りが行われているところである。確かに本県で秋サケを遊漁者に利用させるということについては、これまで漁業者を中心にサケの資源造成をやってきた長い長い歴史的経過というものがあるので、漁業者あるいは漁業団体はかなり強硬な反対も予想されると思っておるけれども、秋サケをこれを観光資源として大いに有効利用するということの1つの方法とも考えておるので、今後の研究課題としたいと考えておる。
 次に、川の方であるけれども、河川での、内水面でのサケをとるということは、これは水産資源保護法で厳しく規制されておって、試験研究とかあるいは増殖用親魚の確保という極めて例外的、特例的にしか認められておらない。したがって、河川において観光と、あるいはゲームフィッシングといったことのためにこれを認めるということは極めて困難であると考えておる。
〇伊藤(勢)委員 極めて困難であるというところからこれは始まっていくんである。営業でも何でも1回断られたところから始まると、こういうことである。人間がつくった法とか条例とかというのは時代に合わせて変えていけばいいんであって、例えば、今サケのことを例えて失礼かもしれないが、1匹釣って300円のサケは、かつては確かに海のダイヤモンドに近いものだったかもしれない。ところが、今はそれ以外の、例えばタラとかあるいはスズキ、それからアカウオ、キンキン、そういったものは無秩序に、だれが来て釣っても何のおとがめもないんである。だから、3、000円、4、000円する魚はフリーで、どこから来ても釣って結構だが、その部分はというのは私は相対的に見ておかしいと思う。ただ、これは今おっしゃったように長年の歴史のある部分であるから、あくまでも漁業従事者が優先されるべきものとは思うが、ただ、釣り人がふえてきたということによって共存をしていかなければならないという部分もあると思う。であるから禁漁区があるのならば、例えば許可して釣らせる場が少しはあってもいいんじゃないか。そういう部分にこれから議論がいくと思うけれども、いずれ何よりも漁業振興という部分から漁業従事者が日の目を見るようなことが根本であるけれども、その結果として漁民の皆さんに何かの形で反映をしていくということであれば、例えば釣らせることが漁民の皆さんの邪魔になるとかそういうことがなくて、むしろ間接的ではあってもお金か何かになって返ってくると、こういうことであればこれは大いに検討するべきだと思うし、現に北海道でやっていて、津軽海峡を越えればオーケーで津軽海峡からこっちがだめだというのも当たらないと思う。これだって同じ法で縛られている部分だと思う。最終許認可の部分は知事にかかわっている部分だと思うから、そういう部分が下から上がった部分で、よしと、こういうことになればあるいはできないこともないのではないか。そんなふうに思うんであるが、もう少し、非常に難しいでなく、もうちょっとトーンを優しい御返事をちょうだいしたい。
〇中山漁政課長 繰り返しになるけれども、海での、海面での釣りというものはこれは研究する価値大いにあると思うけれども、内水面、河川においてはこれは法律で厳しく規制されているもので、そういう意味で内水面については極めて困難であると申し上げた。海面の方については今後大いに研究したいと考えておる。
〇伊藤(勢)委員 魚でも網の目をくぐって上がっていく魚はいっぱいあるんである。あるいは逃げる魚もあるわけであるから。そういう部分はひとつ検討いただきたいと思う。 次に、委託料についてちょっとお伺いをする。230ページ、この説明書の中であるが、委託料3億4、000万円余計上してあるが、この中の島ノ越漁港気象海嘯観測1、565万6、000円と、こういう部分があるが、この委託料についてであるが、これはどういう内容の仕事を委託しているのか。
 それから、この1、500万円云々のこの原資というか、例えば国の補助があるとすれば国の補助が幾ら、県が幾ら、それからこういう観測をするについては、当然施設とか機械類とかがあると思うんであるが、この施設、機械類はどこに所有が帰属するのか。まず、これをお伺いしたいと思う。
〇小林漁港課長 島ノ越漁港気象海嘯観測業務の委託であるけれども、業務の内容については気象海嘯の観測全般についてやっておる。主なものについては、風向、風速とか波高、潮位、また天気、気圧、そういうことにまでやってきたわけであるけれども、そういう内容である。
 それから、委託の原資であるけれども、これについては国庫補助事業、漁港修築事業の中で測量及び市県費の分野で委託しているものであって、これは国の補助費とそれから県費で、(伊藤(勢)委員「幾らずつ。」と呼ぶ)国は50%、県が40%、地元が1割である。それで、機械類であるけれども、気象観測の機械が種々ある。これらの機械については県が直営で購入したものについて、一応委託先に無償で貸与するというような形で使わせておるわけであるけれども、実際その管理については県自体が行っておる。
〇伊藤(勢)委員 この委託している委託先はどこなんであろうか。それから、この委託先についてどのようにお考えになっているのか、どのように認識をされておるのか。いいかげんな団体とか人集まりのところに委託をするわけはないんで、ちゃんとしたところにやっているわけであるから、そのちゃんとしたところとしてどのように認識をして委託をしているのか。このことを。
〇小林漁港課長 現在の委託先は社団法人岩手県漁港協会である。この漁港協会に委託するようになったのは昭和43年ごろからだと思うけれども、岩手県漁港協会が社団法人になったのはたしか44年からでなかったかと思う。ここに委託しておる理由であるけれども、岩手県漁港協会にあっては観測業務に精通した職員がおって、この職員が協会の職員になっているという経過がある。もちろんこの観測員が職員になった経緯については、それ以前にいろいろな委託があったわけであるけれども、もともとその観測していた人が引き続いてやっていたものであるから、その職員の所属する社団法人岩手県漁港協会に委託するのが一番適切でないかということで、永年にわたってずっと引き続いて委託してきたところである。
〇伊藤(勢)委員 この観測したデータ類はどのように分析をして、どういう部分に資するようになってきたんであろうか。
〇小林漁港課長 実はこの波高観測については、その漁港関係で岩手県の島ノ越だけでやっているわけではなくて、全国約10カ所ぐらいで各海域ごとに調査しておる。太平洋北区においては岩手県の島ノ越漁港と、あともう1カ所福島県の四倉という漁港で観測をしてきておるわけであるけれども、これは漁港整備については海の中に構造物をつくるというようなことがあって、非常に未知な面が多かったものであるから、そういうことで、特に波の関係等の観測、しかもこういう観測については長年の観測した蓄積がなければなかなか使えないというか、そういうこともあって観測してまいった。そのデータについては漁港の施設の構造の設計に生かしたものとしてきておるし、時々災害があればそのデータを再分析して見直すとか、そういうことをやってきておる。また、地域でこういう観測をやっておると、気象協会がいろいろ天気予報とかそういうものにも利用してきたようであるし、また災害が起きたときの分析、また岩手県の沿岸は津波の常襲地帯であるから、常時潮位の観測を行ってきていて、そういう面で非常に役立ってきたんでないかなと思っておる。
〇伊藤(勢)委員 手短に質問を進めていく。平成8年度はこの事業はやめたと聞いておるが、何でやめるんであろうか。と申すのは、今、気象という部分にお触れになったが、今、地球的規模でいわゆる地球の温暖化とか言われておる。南極の氷が解けているとか、あるいはシベリアのツンドラがどうも解け出しているらしいとか、そういった部分は必ず水面、水位にあらわれてくるものだと思うんである。であるからむしろ今からやるデータの方がもっと重要になっていくんじゃないかなと、こう思うんであるが、何でやめたんであろうか。
〇小林漁港課長 その前にちょっと私、先ほどお答えした補助率の件でちょっと違っておったので訂正させていただく。
 島ノ越漁港については第4種漁港であって、岩手県で1カ所だけなんであるが、ちょっと補助率が4種漁港の場合違っておった。外郭施設にかかわる事業で、国は3分の2、県は3分の1の負担で、地元の負担はない、外郭施設については。
 それから、今年度やめた理由ということであるけれども、実は全くやめたわけではない。それで、だんだん観測施設も人が常に常駐しなくてもいい機器が出てきていることと、それから漁港協会の職員として観測していた方が、ちょうど年齢も60歳を超えるというそういう時期になったものであるから、一応その協会の職員として退職すると、そういうことを契機として一部機器の改良、無人化も図りながらこれからも観測は続けていくこととしておる。それで、ことしの4月からは一部観測の留守番については地元の人にお願いすることにしているんであるけれども、これは田野畑村役場の方に委託しておる。時々、月に何回とか週に1回とか点検してもらうことにしているし、あと観測したデータについては日本気象協会の方に解析整理してもらうということとして、また別途委託契約をして現在観測をしているところである。
〇伊藤(勢)委員 この観測の云々については、人様の法人の部分であるから私らがそんたくする部分ではないんであるが、どうも内部でちょっとごたごたがあったらしくて、いろいろ微妙な部分もはらんでおるようであるが、これは指摘にしておくけれども、ただ、ちょうど今おっしゃっている、長年観測をしてきた人にそのままと、こういう部分でずっとやってきた。約30年近く。そうした中で平成4年が1、390万5、000円、平成5年が1、583万1、000円と200万円上がっているんであるが、これは理屈にすると人件費が上がっているからと、こういうことらしいんであるが、実はこのときからその方は昇給停止になっていた。こういうことで今いろいろやっているみたいである。これは指摘にしておく。
 ところで、この漁港協会、社団法人岩手県漁港協会であるが、この協会にはいろいろ会費があるらしい。これは市町村レベルの考えとしてぜひ県が市町村を指導すると、こういう観点から、あるいはかかわりのある法人ということでお聞かせを願いたいんであるが、徴収している会費というのはいろんなのがあるようであるが、どの程度御承知しておられるか。
〇小林漁港課長 漁港協会、会費で運営しているということである。それで、漁港協会の会員であるけれども、沿岸14市町村の議会議長さん、それから漁協会員、その他の会員ということとなっておる。それで、この漁協協会の会費については、会則があって、その会則では総会においてその都度定めるということとなっているようである。その計算方法はいろいろあるんであるが、定額分が幾らとか、あと漁協関係の事業のうんと行っている市町村、それから余り事業を行っていない市町村、そこの辺によって定率分という部分を計算して、その定額分と定率分で会費を取っているということについて承知しておった。
〇伊藤(勢)委員 この会費であるが、会員割というのがあって、これは沿岸14市町村の市が5万円だそうである。恐らく町村は3万円ぐらいなのかなと思う。それから、今おっしゃった業者も当然会員であるから幾らか払っている。それから、関連する漁協にも負担金があって会員割が1漁協当たり5万円、ただ、この漁協負担金の中にも5万円で済んでいるところもあれば十二、三万円、あるいは20万円近くになっているところもある。そういう中で事業費割というのはさてという部分が単純に、純粋に疑問がある。ちなみに平成7年度の釜石市の協会に対する負担金、会費であろうか、210万2、000円である。内訳は、会員割が5万円、事業費割というのが205万2、000円、これは前年度の事業量で算出をしているかと思うので、参考までに平成7年度の主なところを言うと、平成8年度の久慈市の負担金会費は118万円、宮古市が200万円、釜石市が128万7、000円、大船渡市が64万1、000円、陸前高田市が81万8、000円、町の分で三陸町が158万円と、こういうことである。であるが、これはおかしいと言ったのは、これは事業費割ということである、今おっしゃった。事業費というのは、例えば国が補助をする、県もそれに補助をする、市町村も幾らかを出して事業をする。その事業は当然事業であるから仕事として末端に浸透していくわけであるから、そのお金は残らないわけである。そのお金に対して例えば1、000分の0・85とか、1、000分の0・86という数字が設定されてあって、そしてそれを掛けたお金を市町村から集めると、こういう部分はこれは税金を市町村の分からかすめ取っていると、こういうことになりはしないかと私は思うんである。事業費はもうないわけであるから。例えば、1、000分の0・85、こういう部分がそれなら国から来る予算に上乗せになってきているか、県が上乗せをしているか、市町村が上乗せをするか、あるいは発注のときこの0・85を残すか、そんなことはない。であるからこれは税金を、市町村民の税金を事業費割と称して集めている。私はこう思う。1、000万円だと8、500円、1億円であると8万5、000円、10億円だと85万円、20億円で170万円、30億円で250万円と、こうなる。これはおかしいと私は思う。そこで、当然これは県の補助が出ている部分であるから、県の監査の対象になっていると思うんであるが、監査の方に事業報告とか決算報告とかが出ているんであろうか。まず、そこ。
〇小林漁港課長 監査の報告については、県の事務局の方には出ていないと思う。私の方で指導することにはなっておったけれども、会費については先ほどお話ししたように、会員の総会での総意に基づいて決めるということで決めていたところであって、その事業費割で集めていた部分について、不満があるということについては今まで聞いておらなかったので、ちょっとわからないんである。
〇伊藤(勢)委員 不満があるとかないとかじゃなくて、こういう集め方はおかしいと、こう言っているんである。例えば、ある建設業関係の社団法人がやはり事業費割的な会費徴収をしておったところ、これは公取法にひっかかるからやめろということで、それを廃止をして、いろんな別なる会費徴収に改めた部分があるんである。そうすると完全に民間の社団法人でもこれは公取法の対象になる、抵触をしている。しかも、業界という、いわゆる海の業者も会員になっている。しかも、この会員にならないと海の仕事の指名がもらえない。こういうことがまず1つある。そして、このような1、000分の何ぼという割り当てがあるようである。これはやみカルテルである。絶対そうなる。公取法に抵触をしてやみカルテルに当たる。こういう部分を今まで四十数年看過してきた。これは大変大きな問題だと思う。しかも、その長たる人は日本の国政の中で頂点をきわめた方で、その方が漁港検診とか言って年に1回ぐらい岩手県の沿岸を視察される。検診である。補聴器持ってきたのは見たことないんであるが、そういう中で水産庁のお役人を連れてくる。そうすると水産庁のお役人が来たからこれは県も行かなきゃないなということで県のお役人も出てくる。そうすると、いやあ、国が来て県が来たら市町村も出なきゃない。大名行列である。こういうことはいかがなものか。公務員がそういう一政治家の政治活動に協力をしていることになってはいないか。全くこれはおかしいと思う。そして、この部分は沿岸の市町村の議会でもいろいろな討論になっておるんである、この会費のことについて。ところが、どうも各当局は言葉を濁して明確な答弁をした経緯がない。どうもこれはタブーになっているらしい。しかも、個々に沿岸の14の市町村長さんから聞いてみると、いやあ、地元市町村は本当に自主財源がなくて困っている。このくらいのお金があれば10倍の事業ができるから、例えば200万円払っているところもあるわけであるが、200万円払っているんであれば2、000万円の事業ができる、本当はこれはおかしいと思うよということをしゃべる人が、沿岸の首長さんの中には多いんである。こういう部分についてどのようにお考えであろうか。県は一体的に市町村を指導する立場なわけであるから、お答えを。
〇小林漁港課長 今の御質問、たくさんの項目があったんであるが、全部のことについてちょっとお話しできるかどうかはわからないんであるが、まず会費を徴収していることについて、独禁法に違反するかどうかということについては、ちょっとよくわからないので調べてみたいと思う。
 それから、岩手県の漁港協会のあり方のことだと思うけれども、確かに長年にわたって協会が組織されてきておる。その協会の事業の中に協会員である構成員の人たちが毎年漁港検診をするとか、いろいろ活動しながらどういうことを要望していくかというようなことで、いろいろ陳情活動等をやってきた経過があるわけである。県もそういう中で協会の意向を酌んでいろいろ施策をやってきたことは事実であるけれども、そういう経過で、お互いに何というか、業界と行政側が両輪になって沿岸の漁港整備のためにいろいろ取り組んできたということである。
〇伊藤(勢)委員 私は協会の今までの活動の結果、確かに岩手県は他県に負けないくらいの漁港整備ができてきた。このことは大変ありがたいと思うし、漁民にとってはすばらしいことだ。評価はするものである。しかし、どこの公益法人であれ、あるいは例えば期成同盟会とか何とか会、そういったものでも事業費割として、事業費で得た仕事に一定の数字を掛けてそれを徴収する。そういうことは私はないと思う。例えば、区界トンネルのところに道路愛好会か何かという団体をつくって、区界トンネルを通る、あるいは区界を通るたびに道路愛好会、はい、お金をもらいたい、これと同じである。県民は、市町村民は税金を払って、その結果として、義務、権利としてつくっていただきたいということをお願いをしてつくってもらっているわけであろう。こういうのを払わなければ港湾というのはできないんであろうか。返事は難しいであろうからこれはまた後にするが、そして県との関係という中で、どうも協会の事務局長さんになる人は県の首脳がずっと代々行かれておる。まるで定期航路ができているような感じである。そういう部分で政官業、こういう部分の癒着だと言われないように、ぜひ考えていただきたい。そしてこういうかすめ取り的な、コバンザメ的な部分というのは、このお金の徴収の方法についてはぜひ改めるように、県の方から御指導いただきたいと思うが、お金の出し入れであるから、出納長から一言御感想を伺えればありがたい。
〇高橋出納長 先ほど来お聞きをしておったが、大変難しそうな問題のようであるので、それぞれ関係の部局等と慎重に検討させるようにしたいと思う。
〇工藤副委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午前11時57分 休 憩
   午後1時5分 再 開
〇吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開く。 林業水産部関係の質疑を続行する。
〇斉藤委員 それでは最初に、大規模林道川井住田線についてお聞きする。
 早池峰山東部、いわゆるタイマグラ地区の林道計画路線及びその周辺の一帯において、天然記念物であるクマゲラの生息の情報が寄せられ、生息確認調査をしたようであるけれども、その報告書の内容はどうなっているであろうか。
〇橋本森林土木課長 大規模林業圏開発林道事業の川井住田線についてのお尋ねである。 クマゲラの生息確認調査の報告の内容はどうかというお尋ねであるが、森林開発公団が整備を進めておる大規模林業圏開発林道川井住田線は、昭和51年度に着手し現在2工区で工事を実施しているところである。この2工区のうち、横沢荒川区間が早池峰山の東のふもと--東麓をかすめるということから、クマゲラの生息の可能性について予定路線を中心に両側およそ500メーターの範囲をクマゲラ専門家の協力を得て、社団法人日本林業技術協会が調査を実施したものである。調査の結果によると営巣木は見つからず、現在のところ調査区域におけるクマゲラの繁殖は確認されておらず、クマゲラの可能性のある食痕木6本--ねぐら木5本と、食痕木1本、計の6本が確認されたとの報告があるところである。
〇斉藤委員 この調査は私も見た。生息の可能性があると、こういう指摘になっていると思う。今は営巣木の話だけしたけれども、もっと正確に生息の可能性があるかないか、私はあるとすればこの路線は見直しされるべきであると思うけれども、その状況はどうなっているであろうか。
〇橋本森林土木課長 先ほども申したように、調査の結果、計6回ぐらい現地の方に行っておるようである。ということで、その結果が食痕木の可能性があるという、その痕跡のある木があるということで本体そのものは見つかっていないということであるし、営巣木も見つかってないということである。いずれ、この大規模林業圏開発林道事業は山村地域において、林業振興を機軸とした地域産業の振興あるいは定住条件等の総合的な整備を図るために実施しているものである。当該林道の早期完成に寄せる地元市町村の要望が非常に強いということから、計画ルートの選定に当たっては専門家の意見を踏まえ、自然環境の保全に十分留意しながら事業を実施していきたいと考えておるし、またそのように要望もしてまいりたいと思っておるところである。
〇斉藤委員 あわせて私は、林道夏油湯田線についてもお聞きをする。
 林道夏油湯田線は、平成7年度から北上川の工事の着工が凍結をされている。それはイヌワシ、クマタカの情報が寄せられたからであると思うけれども、この間、平成7年度から調査をされているけれども、その調査の内容をわかる範囲でお示しいただきたい。
〇橋本森林土木課長 広域基幹林道の夏油湯田線についてのお尋ねである。
 この林道については平成6年の6月に工事に着手したわけであるが、地元の方から工事箇所の周辺に事前調査では確認できなかったイヌワシあるいはクマタカが観察されているという情報があったところである。このために翌年であるが、昭和7年2月に4名の専門家で構成する調査委員会を設置して、生息確認等の調査を行ってきたところであり、この結論を待ってこの工事の対応については考えていきたいと考えておる。
〇斉藤委員 私が仄聞するところによると、イヌワシの極めて重要な生息の情報、これが確認されているし、植生の問題でいけばトガクシショウマ、大変貴重な--トガクシショウマというのは、日本版レッドデータブックの危急種に指定されている--大きな群落がこの地帯にあることが明らかになっている。森林防災上では2カ所の大規模崩壊地、雪崩の常習地があって、路線の回避が望ましいと専門家も指摘をしておるので、私は厳正な調査をぜひやって、こういう貴重な自然環境や地質的にも極めて危険の多いこういう林道については、本当に中止を含めた見直しが必要なのではないかと、このことを指摘しておく。
 次に、ふるさと林道御大堂線についてお聞きをする。
 この林道整備の目的、事業費、整備状況はどうなっているであろうか。
〇橋本森林土木課長 ふるさと林道緊急整備事業についてのお尋ねであるが、この事業は山村地域の振興あるいは定住環境の改善に向けて林道を加速的に行うために既存事業、いわゆる国庫補助事業とは別に地方債を活用した事業として平成5年度に創設されたものである。高規格で舗装も可能ということから市町村から大きな期待が寄せられている事業である。
〇斉藤委員 実はこの地域付近に、これはイヌワシの巣立ちが確認された大変貴重な地域なわけである。私は、その点でこの御大堂線とあわせて、実はその隣にも米内川櫃取線という林道の整備も進められている。イヌワシの、いわゆる行動半径、これは250ヘクタールと、そうすると約周辺14キロないし15キロということになる。私は、その点でぜひ環境庁の猛禽類保護の進め方で、そういうところは本当に専門家の調査によって工事の影響、そういうものがないかどうか調べる必要があると。林野庁のマニュアルもある。これは、民有林林道事業における希少な鳥類への対応マニュアル、こういうものもある。私は、その点でそういう調査がやられているものなのかどうか、まずお聞きする。
〇橋本森林土木課長 このお尋ねの御大堂線、それから岩ノ渡櫃取線のこの地区に2路線が今、工事中ということであるわけである。今、おっしゃったように、この林道の開設については、民有林道事業における希少鳥類への対応マニュアルということで、林野庁が平成6年12月に出しておるわけであり、このマニュアルによると工事施行中にそのような貴重な鳥類等が発見された場合には、距離区分によって対応を考えるということになっておる。環境庁の方でも、それから林野庁の方でも大体同じような機運があって、例えばイヌワシについては、営巣地から2キロ以上については自然の条件には十分配慮しながらすることは当然なわけであるけれども、工事はしていい。あるいは1、200メーター以内であれば、調査をストップして調査委員会等設けながら工事の再開等について協議をし、そこで判断をしているということで実際に工事をやっておるわけであるが、この地区において御大堂線の起点からイヌワシの営巣地の地区までの距離は起点まで3キロぐらいであるが、現在仕事を始めてやっておる地区については約6キロぐらいあるということで承知しており、だんだん営巣地から遠ざかっていくような格好にもあるので、距離区分等からいってもこれで十分なのかなということで実施しておるし、新しく開設する林道でなく、既にもう開設してあった林道の舗装改良をやっていくということで御了解いただきたいと思う。
〇斉藤委員 結局、2キロ以外だからアセスの調査をしてないということである。それで私が言ったように、行動半径、ハンティング範囲というのは、さっき言ったとおりである。大体もう14キロから15キロぐらいである。私が心配するのは、1つは工事の影響である。もう1つは、そこに立派な道路ができた場合に、かなり交通量がふえると、この道路それ自身は本当にイヌワシの営巣地の付近を通る道路なのである。そういう点で将来的な影響も極めて大きいと思う。であるから、私は残念ながら影響を調査してないわけであるから、私は工事の影響だけではなくて、これが通った場合、確かに付近住民の利便にはなるかもしれないけれども、本当に今、将来にわたって守らなければならないこういう希少な猛禽類の保護、または豊かな自然を守るというのは、これで今、盛岡は全国的にも有名になっていることでもある。その対策会議なんかも開かれているので、私は、林業水産部長はどこにでも現地に出かけて自分の目で見て判断をするという、そういうすばらしい性格の持ち主なそうであるから、ここの林道工事の現場、2つの林道工事があるから、ぜひ私は部長に見ていただいて本当に調査が必要ならやっぱりやっていただくと、そういうことをこれは--どうであるか、部長。
〇中村林業水産部長 御大堂線については先ほど担当課長が申し述べたように、既設の林道の改良舗装であるということであり、現地についてはそのイヌワシの営巣等の状況についての報告は受けておる。
〇斉藤委員 答弁しなかったみたいであるけれども、これはぜひ現地を1度見て、やっぱり自分の目で見るのは大変である。私も現場を見て来た。それで今、舗装されてないけれども、今でさえ山菜とりのシーズンであると車がだあっと駐車になっている、こういう状況である。これが道路が舗装されると、本当に山菜道路になってしまう、付近の住民の利便よりも。私は、そういう点で最後ひとつやっていただきたいと思う。
 次に、安比開発について。
 第3セクター、安比総合開発がスキー場に大規模な温泉浴場、あわせてホテルの建設を今、計画をしている。どういう内容で、その必要性はどういうところにあるのであろうか。
〇橋本森林土木課長 今お尋ねの安比総合開発における温泉等の開発の中身であるが、松尾村のゲレンデの近くに1日あたり約1、500人収容可能な露天ぶろやサウナ等の温泉施設を今、建設中であるし、また隣接して建設中のホテルは、いわゆるコンドミニアムということで、オーナーが使わない日にはこれは一般に貸し出しするという形のコンドミニアム方式のホテルも建っておるわけである。低迷する入り込み客の増加を図るために、ゲレンデ近くに低廉な分譲ホテルと、あるいは若者に人気のある温泉施設をセットした新たな核を整備して、通年観光地安比高原をより一層アピールすることにより当該地区全体の観光効果、誘客効果が高まる、そういうことで考えておる。
〇斉藤委員 この安比スキー場の近辺には地元のペンション群、そして民宿がたくさんある。ところが安比の場合は、冬場は一定のスキー客が来るけれども、その他の季節というのはかなり悪戦苦闘して夏季には出稼ぎにも出て行って、ペンション経営で大変苦しんでいるという話も私は聞いておる。そういうときに、第3セクター--いわば岩手県も一緒になっている第3セクターが、もうどんどんホテルを建設するということは、私はこの地元のペンションや民宿業界と共存共栄ということにはならないのではないか。そういう点の話し合いはあったのか、そういう見通し、安比地域全体が潤うような計画なのかどうか、私はそういう点でどんな論議されたのかお聞きする。
〇橋本森林土木課長 いずれにしても、この地区の施設整備においては、ホテルの形式とか客層の好みあるいは単価等の関係から競合するものではないということで思っておる。このような温泉施設等が整備されることによって、むしろ通年客が来ると、そういう形で共存共栄の道が開かれるのではないかということで考えておる。
〇斉藤委員 岩手県が入ってどうしてそういう発想になるのか。スキー客の推移どうであるか--スキー客の推移。そして、今あるホテルやペンションの利用率はどうであるか。
〇橋本森林土木課長 スキー客の入り込み、この安比総合開発地区はスキー客が大半を占めておるわけであるけれども、平成7年期というか、対前年比92%の現在117万5、000人ということになっており、一応減少傾向にはある。また、ホテルの利用客を見ると横ばい状況ではあるが、民宿あるいはペンションは若干減少傾向にあると聞いておるところである。
〇斉藤委員 今の話でスキー客は減少している、ホテルは横ばい、ペンション、民宿は苦戦していると。私は、こういうときになぜ安比総合開発第3セクターは、さらに大規模な収容のホテルをつくるのか。私は、これで競合しないといったらうそになると思う。私は、せっかく岩手県が一緒になってやっているのであるから、本当にその地域のやっぱりプラスになるような、そういう開発でなくてはならないと思うけれども、どうであるか、最後に。
〇橋本森林土木課長 そのような観点から将来を見通して、このような温泉施設等、日本でも有数な規模のものになるということであるが、そういうものを設置して総合的な効果を発揮せしめて通年観光客が来るようなことを期待しながら、そういうものが建つということでお互い共存共栄の道を歩んでほしいと思っておるところである。
〇斉藤委員 残念ながら説得力がない。本当に客がふえて、そしてこういうホテルをつくれば民宿もペンションも潤うということであればいいけれども、私は、ペンションの話も聞いたけれども心配している。スキー場だけはどんどん開発されるけれども、私たちの方はどうなるのかと。私は、そういう点でやっぱり全体、地元の地域が潤うような、そういうことをぜひ検討していただきたい。
 次に、魚の問題に移る。
 サケのセーフガードの発動について。
 秋サケの単価が11月20日現在、キロ当たり173円、前年比78・4%と深刻な状況である。サケの輸入量も本年1月から7月で既に123万トン、前年比123%、9月実績では既に19万1、000トンと言われている。セーフガードの発動が必要と思うけれども、県はどう取り組んでいるであろうか、政府の対応はどうであろうか。
〇飯岡林業水産部次長 まず、セーフガードの発動についてであるが、一応国内の秋サケ価格の大幅な下落、これは委員御指摘のとおり、輸入の増加などによって構造的な供給過剰といったことが大きな原因であるということから、私どもとしても秩序ある輸入を確立することがまず何よりも大事であるということで、国に対してこれまでもいろんな機会を利用して秩序ある輸入を確立するよう訴えてきているところである。それで秩序ある輸入を実現するということでセーフガードの発動、これが考えられるが、このセーフガードについては、国の方からも輸入の増加に加えて国内のサケの生産も大幅に増加していると、こういったようなことから輸入増と国内産業、すなわち秋サケ産業、秋サケ漁業に与える損害との因果関係について厳密な証明--数値化した証明、こういったものや国内産業の構造調整なり、さらには輸出国に対しての保障処置といったようなことをすべてクリアしなければならないと、こういったことから大変難しいという説明を国から受けておる。
 私どもとしても、これからも引き続き大変な現状であるので、安定的な需給関係、これは確立していかなければならないということで、秩序ある輸入を粘り強く国に対しても訴えていきたいと、こう考えておる。
〇斉藤委員 12月3日に我が党の松本善明衆議院議員が保利政務次官に改めて要請をしたし、夏の時期には質問主意書でこのセーフガードの発動について求めたところである。
 それでこういう動きである。水産庁は来年度の概算要求で、輸入水産物による国内産地への影響を調査する調査費を要求している。セーフガードを発動しない理由をいろいろ述べたけれども、WTO協定にはそんなことない。であるから、本当に問題はやっぱり輸入と国産価格の低落の原因なのである。私は、そういう点で水産庁も調査する意向を見せているわけであるから、ぜひ漁業団体と一体となって輸入を規制すると、そういう取り組みを一層強めていただきたいと思う。
 サケを活用した学校給食について、船越委員から大変詳しい質問もあった。私は、それでつけ加えてお聞きしたいのは、現時点で34万食ということであったけれども、年間ではどのくらいになるのであろうか。何万食、何回の学校給食で活用されるのか、どういう調理品が出されているのか。そして、地場産業への波及効果はどうか。この事業は平成7年度から平成9年度の3カ年の事業になっておるけれども、本格的には今年度からであるといってもいい。私は、その点で定着するまでこの事業は続ける必要があると思うがいかがであろうか。さらに、県立病院や福祉施設への利用拡大も今から研究、検討すべきであると思うがいかがであろうか。
〇飯岡林業水産部次長 学校給食についてであるが、本年度は年間60万食程度は実施できると、こう考えておる。今、御質問のあった1人当たりにすると大体4回から5回ぐらいは提供できるのではないかと、こう考えておる。
 また、この品目についてであるが、前年度--平成7年度のメニューはちょうど4品目であったが、今年度は12品目までふえておる。その中で主なものというと、サーモンメンチ--メンチカツと似たようなものであるが、これはサケを材料にしているもの、また、サケの切り身のフライなり塩焼き、またサケの龍田揚げ--空揚げである--こういったようなもの、また、サケをきちっと型枠に押し込んでつくったサケポーションと、これもフライみたいなものであるが、こういったようなものが児童に人気があると、このように聞いておる。
 これをさらに地元の、地場産業への波及効果ということであるが、これまでは学校給食会の納入業者がちょうど3社であったが、現在、沿岸は今年度から8社にふえておる。また、取り扱い数量もそういったことで急増しておるので、地場産業に対しての波及効果は大いにあるのではないかと、このように考えておる。それから、この事業が平成7年度から3カ年でスタートしているということであるが、本年度は県下全小中学校にまで拡大して実施しておるし、これからもこの定着に向けて努力してまいりたいと、こう考えておる。
 また、県立病院とか福祉施設への秋サケの利用拡大については、いろいろ問題もあろうかと思う。そういう検討課題があるので、そういったことについて幅広く研究してまいりたいと、こう考えておる。
〇斉藤委員 ぜひこれは大いに推進していただきたい。久々のヒットであると、私は思っておるので。
 最後であるけれども、林業水産部関係の出張問題、情報公開にかかわる問題について私は聞く。
 私が最近調査した林業水産部にかかわる出張分23件、32人の分のうち10件、約3分の1が旅行命令票、それ自体が非開示となった。この非開示の理由は何であろうか。
〇中山漁政課長 さきに開示請求があった水産関係の旅行命令票23件のうち9件については全部非開示としたが、その理由としては、県が行う情報収集活動等の事務の円滑な執行に支障が生じる恐れがあること、及びそれに伴い特定個人が識別されることによるものである。その用務の内容から非開示としたものである。
〇斉藤委員 私は調査して大変興味深いことがわかった。実はその非開示となったのは、いわゆる官官接待で調査した非開示理由と同じなのである。それで私が調査した日程でいうと、7日間の出張を調査した。そのうち非開示となったのは4日分である。これはちょうど懇談会がやられている日程である。恐らく懇談会に参加した人たちが非開示になったと。ところが、この懇談会は実は7日間やられているわけである。あとの2日間は何かと、これはカラ懇談会ではないのかと。特に、これは出張者がだれもいない、それなのに懇談会がやられている、こういう日がある。そして、例えば林業水産部にかかわる官官接待の懇談会は8件あるけれども、全部その支出は漁港建設費の支出である。漁港建設費で全部懇談会をやっている。ところが、漁港関係の出張者はそんなにいないのである。私は、そういう点でこれは非開示件数が多かったけれども、非開示のところは懇談会をやった可能性はあるが、そうでないところはカラ懇談会ではないか。何かそこらわかるか。
〇中山漁政課長 懇談会に関する予算というものは漁政課の方で予算令達しておるけれども、その執行というのは東京事務所が行っているものである。したがって、個別具体のことについて申し述べる立場にはないけれども、出張者との関係でいうと、一般的には本庁職員以外の職員が対応する場合もある。
〇斉藤委員 私はこのことを聞きたい。
 懇談会の8件すべて漁港建設費の支出になっているけれども、この漁港建設事業にかかわらない、そういう人たちが参加する懇談会はあるか。
〇中山漁政課長 通常の懇談会というか、国と県における情報交換というものは非常に多岐にわたっておる。したがって、これは常識的にも考えられることかと思うけれども、一般に情報交換をする場合、漁港のことがメーンで情報交換をしようとしたときに、当然ながらあわせて関連する情報も得るわけであり、そこは情報交換というものがそもそもいろんな面に、多岐にわたっていると理解しておる。
〇斉藤委員 建設省、農水省は、公共事業の事務費はその目的以外に使ってはならないと今、指示している。林野庁そうではないのか--林野庁ではない、水産庁は。そうではないのか。
〇中山漁政課長 建設省に準じた通達をいただいておる。
〇斉藤委員 いずれにしても、私は出張で調べたけれども、まず非開示が多いということ、そしてかかわる懇談会、これがやっぱり私は適切に執行されてないのではないかと思う。漁港建設費で漁港関係の人たちが参加しないでやっていると、何の懇談会かと、本当にやられたのかと。私は、そういう点でぜひ担当としても東京事務所任せではなくて、漁港にかかわる懇談会をだれに頼んでだれが参加したのか、ぜひ調べていただきたい。
〇吉田委員長 要望であるか。
〇斉藤委員 調べていただきたい。調べるかどうかだけ聞いていただきたい。
〇中山漁政課長 いろんな予算の執行面については、適宜調査したいと思っておる。
〇吉田委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
 質疑がないようなので、林業水産部関係の質疑をこれで終わる。
 次に、中村農政部長から農政部関係の説明を求める。
〇中村農政部長 平成7年度の農政部関係の決算について御説明申し上げる。
 決算の内容に入る前に、平成7年度の農政の推進状況について御説明申し上げる。
 平成7年度は、前年の記録的な猛暑から一転し、4月から9月の暖候期を通して低温・日照不足の傾向が続くとともに、降ひょうや強風、さらには、8月初めの大雨や11月上旬の暴風雪等の影響を受けるなど、比較的気象の変動の大きな1年であった。こうした中にあって、米は一部でいもち病の発生や登熟不良などにより、作況指数96のやや不良となったが、農家の皆様方や関係者の御努力により、被害を最小限にとどめることができたものと存じておる。園芸のうち、野菜、果樹については、販売価格の低迷の影響を受けたが、本県農業の戦略作目の1つである花卉は、生産量、生産額とも伸びたところであり、また、畜産についても前年並の生産額となるなど、本県農業全体としてはおおむね順調な生産を確保することができたものと存じておる。
 また、平成7年度は、ウルグァイ・ラウンド農業合意の実施初年度であることから、本県への影響を極力緩和するとともに、新たな国境環境のもとで揺るぐことのない力強い農業、活力のある農村を構築し、地域経済社会の基幹をなす産業及び地域として21世紀を引き継いでいくことを期して、岩手県ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策推進方針を策定し、各般にわたる施策の推進に努めたところである。
 さらに、新食糧法の施行に基づく新たな米管理システムの導入や、農業労働力の減少、高齢化の進行、さらには、中山間地域における活力低下への懸念など、本県農業、農村を取り巻く環境変化に積極的に対応していくため、第三次新いわて農業確立計画の後期実施期間における推進方策を明らかにした後期推進計画を策定し、農家の方々の農業取得の向上と体質の強い本県農業の構築に努めてまいったところである。
 それでは、決算の内容について御説明申し上げる。
 まず、一般会計についてであるが、平成7年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願う。
 農政部関係は、6款農林水産業費のうち、14ページに参って、1項農業費、2項畜産業費、3項農地費であるが、平成6年度から平成7年度への繰越額234億4、691万6、000円を含めた予算現額は、1、397億3、712万8、000円と、16ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費のうち、同じく繰越額を含めた13億7、496万1、000円、4項庁舎等施設災害復旧費3、684万6、000円とを合わせた総額1、411億4、893万5、000円である。これに対する支出済額は、1、119億3、232万9、067円となっておる。また、平成8年度への繰越額は、6款農林水産業費の1項農業費から3項農地費までの43事業で、290億5、367万8、000円と、11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の1億2、003万8、000円とを合わせた44事業で、291億7、371万6、000円である。この内容の大きなものは、国のウルグァイ・ラウンド農業合意関連予算の補正措置によるものであって、工事の施行期間等の関係から繰り越しを余儀なくされたものである。この結果、予算現額に対する支出済額は79・3%となるものであり、また、県の一般会計決算額に占める農政部の決算額は14・0%となるものである。
 以下、個々の内容については、便宜、平成7年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げる。なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心にその内容を御説明申し上げるので、御了承を願う。
 歳入歳出決算事項別明細書の176ページをお開き願う。6款農林水産業費1項農業費1目農業総務費の主なものは、179ページに参って、農政部職員に係る人件費、農業委員会運営費補助及び28市町村で実施した173平方キロメートル余の地積調査等に要した国土調査事業費である。2目農業金融対策費は、農業近代化資金、地域農業担い手育成資金、農業経営基盤強化資金等の利子補給等、農業者等の資本装備の高度化や農業経営の近代化の促進に要した経費である。次のページに参って、3目農業構造改善対策費であるが、農業構造改善事業は、遠野市ほか6地区、地域農業基盤確立農業構造改善事業は、安代町ほか20地区であり、いずれも土地基盤整備、近代化施設整備、集落の環境条件の改善などに要した経費である。また、次の農村地域高密度情報社会形成事業は、花巻広域地区ほか2地区において、広域事業情報管理施設の整備等に補助した経費である。また、翌年度への繰越額は、16億9、190万円余であるが、これは、地域農業基盤確立農業構造改善事業費補助など3事業であって、平成7年度においては、国の1次補正、2次補正及びウルグァイ・ラウンド農業合意関連予算の補正措置により年度内の完成が困難となり、翌年度に繰り越したものである。以下、同様の事情による事業繰り越しが関係する目にあるので、その説明は省略させていただくので御了承を願う。次に、4目農業改良普及費は、地域農業改良普及センターの管理運営費、普及職員の研修、農山漁村の生活改善対策、農村女性活動促進対策、青年農業者育成対策に要した経費等であり、財団法人岩手県農業担い手育成基金出捐金は、同法人の基本財産の強化を図り、農業担い手育成の各種事業の積極的展開に資するため出捐したものである。182ページをお開き願う。5目農業振興費の主なものは、生物工学研究所管理運営費、また、仮称であるが、農業研究センター整備事業は、平成9年4月の供用開始に向けて、現在、北上市のセンター本部本館建設、圃場整備、軽米町の県北農業技術センター本館、圃場整備等、いずれも計画どおりの進捗状況となっておる。次に、山村等振興対策事業は、新里村ほか28地区で実施した定住環境の整備、都市との交流促進対策等の補助に要した経費、中山間集落機能強化等促進事業は、葛巻町ほか2地区、中山間地域活性化推進事業は、特定農山村法に基づき、市町村が作成した農林業等活性化基盤整備計画に即した、ソフトの取り組みを安定的に促進するための基金造成に助成したものであるが、大野村ほか16市町村に補助した経費である。次に、地域農業確立総合対策事業は、高収益作目の生産拡大を促進するとともに、主業型農家を中心とした集落の農業資源の有効活用と、地域の条件にあった集落営農の展開等のため、基盤、共同利用施設・機械等の整備をきめ細かに支援する事業であり、県下256地区において実施され、その経費に対し助成したものである。184ページをお開き願う。6目農作物対策費であるが、農業生産体制強化総合推進対策事業では、種子需要の拡大に呼応し、優良種子を安定的に確保するため、江刺市農協が実施した施設整備、機械導入の事業補助に要した経費、次に、農作物災害復旧対策事業費補助は、7年8月上旬の大雨被害による水稲の病害虫防除費補助で、川崎村ほか3市町村であり、11月上旬の暴風雪被害では、ブドウ棚復旧、改植費用など、大迫町ほか4市町村に補助した経費である。次の水田営農活性化対策費は、転作作物の団地化や高収益作物の導入など、地域の営農志向に即した水田営農を推進するため、市町村の実施した推進指導活動等事業に対し補助した経費等である。また、いわて純情米いきいき生産体制確立事業は、低コスト生産体制、高品質生産体制など、ソフト・ハード両面において、いわて純情米の生産体制の確立に向けて各種事業を実施した経費である。農作物対策費の繰り越しであるが、これは、国庫補助事業の共同利用施設等条件整備事業費補助であって、計画調整等に不測の日数を要したことによるものである。次に、7目畑作振興費の主なものであるが、農業生産体制強化総合推進対策事業のうち、リンゴわい化栽培等緊急推進対策事業は、省力化のためのわい化の促進や優良品種への改植、排水対策のための基盤整備等の事業であり、石鳥谷町ほか10市町村に補助した経費である。次の高付加価値型農業等育成事業は、野菜、葉たばこ、ホップ、そばなど、地域の条件を生かした栽培、流通体系の導入による産地育成、産地加工等、その条件整備の補助に要した経費であって、川井村ほか9地区で事業を実施したものである。次のページに参って、フードシステム高度化推進事業は、食品産業と地域農業の連携強化、地域資源の調査発掘、新製品実用化開発、販路拡大の促進等を図る事業補助のほか、盛岡食材加工協同組合が実施した処理施設の整備費に対し補助した経費等である。農産物海外マーケット展開事業は、アメリカのロサンゼルスに県産農産物の海外販路の可能性を探るため、試験販売をするアンテナショップの開設に対し要した経費等である。次に、花きセンター整備事業は、金ヶ崎町に整備しておる同センターの整備のうち、花卉生産農家等の研修施設等の建設に要した経費等である。なお、この目の繰り越しのうち、花きセンターは6億200万円余であるが、これは、大温室の建設工事に係る地質調査、計画調査、工法検討等に不測の日数を要したことによるものであるが、今年度中には完成し、来年春には一般公開する予定となっているものである。8目北上奥羽山系開発費は、農用地整備公団が事業主体となって実施した北上山系8地区、奥羽山系2地区の広域農業開発事業費に係る償還金がその主な経費である。9目植物防疫費であるが、次ページをお開き願う。この経費の主なものは、病害虫防除、農薬安全使用対策等に要した経費である。10目農業協同組合指導費の主なものは、農協系統組織整備促進事業、農業協同組合経営強化対策費補助等、農協の合併促進に要した経費である。11目農業共済団体指導費の主なものは、農業共済団体等事務費補助であるが、これは、農業共済事業に係る事務費等を県共済連及び市町村共済組合に交付したものである。190ページをお開き願う。12目食糧管理費は、米穀集荷対策、米消費拡大対策等に要した経費である。次に、13目農業試験場費、14目園芸試験場費は、それぞれ管理運営、試験研究に要した経費であって、次のページの15目農業短期大学校費の施設整備は、農業研修宿泊施設、情報処理施設の整備に要した経費である。194ページをお開き願う。16目蚕業費の主な事業は、良質繭のブランド化を進める、いわてシルクの里育成推進事業で、二戸市ほか3地区で実施した経費に助成した経費等である。17目繭検定所費、次のページに参って、18目蚕業試験場費は、それぞれの管理運営費等である。
 2項畜産業費1目畜産総務費の主な事業であるが、管理運営費は畜産関係職員の給与費等であり、岩手県肉牛生産公社経営改善対策費は、牧野改良資金及び事業運転資金の長期借入金に係る利子補給補助及び運営資金の貸付金である。198ページをお開き願う。2目畜産振興費の主な事業であるが、まず、畜産再編総合対策事業費のうち地域畜産活性化対策費は、生産性の高い畜産経営や中山間地域の活性化を図るため、生産条件の整備に対し助成したものである。雫石町ほか29市町村において事業実施したものである。次に、大家畜改良増殖センター整備事業は、住田町種山に整備した同センターの種雄牛造成関連施設の整備に要した経費である。家畜改良増殖対策事業費の日本短角種集団育種推進事業、黒毛和種牛群育種改良推進事業は、県産優良種雄牛の作出と産肉能力の直接検定、フィールド検定等に要した経費である。201ページをお開き願う。家畜畜産物価格安定対策事業は、肉用子牛価格の低落時に生産者補給金を交付するための同制度の生産者積み立て金に補助した経費、中ほどになるが、国産食肉産地体制整備事業は、県内で生産される肉畜の流通の円滑化、県産食肉の優位な販売体制の確保を図るため、岩手畜産流通センターが整備した肉牛処理加工施設等への補助に要した経費、次に、農業研究センター整備事業であるが、これは、同センターの畜産部門の整備として、大家畜の畜舎、糞尿処理施設等の建設に要した経費である。3目草地対策費であるが、主なものは、畜産関係公共事業であって、公共育成牧場整備事業では、宮古田代地区ほか9地区、担い手育成畜産基盤総合整備事業では、岩手中部地区ほか3地区、県営畜産経営環境整備事業は、軽米、九戸地区ほか3地区において事業を実施したものである。202ページをお開き願う。4目家畜保健衛生費は、家畜の衛生対策、伝染病予防等に要した経費、次の5目畜産試験場費、次のページの6目牧野費は試験場及び種山牧野の管理費である。
 3項農地費であるが、1目農地総務費から208ページの4目開墾建設事業費までは、土地改良関係の、いわゆる公共事業であるが、その主なものについて御説明申し上げる。205ページの下段のかんがい排水事業は、岩手町の一方井地区ほか15地区、207ページに参って、農道整備事業は、広域農道では盛岡西部地区ほか7地区、一般農道では松尾村南森地区ほか29地区、農免農道整備事業は、陸前高田市氷上山ろく2期地区ほか35地区、圃場整備事業は、花巻市豊沢川地区ほか35地区、中山間地域農村活性化総合整備事業は、玉山村薮川地区ほか17地区、農村総合整備モデル事業は、軽米町軽米地区ほか34地区、農業集落排水事業は、一関市黒沢地区ほか24地区、ふるさと農道緊急整備事業は、県単事業であるが、九戸村荒田地区ほか40地区、国営土地改良事業費負担金は、国営胆沢平野かんがい排水事業ほか17地区の負担金、防災ダム事業は、衣川4号地区ほか2地区、ため池等整備事業は、金ヶ崎町橇引沢地区ほか36地区、209ページをお開き願う。農地開発事業は、普代村普代地区ほか1地区、開拓地整備事業は、一戸町沢内地区ほか48地区などである。農業農村整備事業に係る投資額は、平成6年度からのウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策予算を含めて、総額、県営、団体営合わせて695億2、200万円余であるが、これによって、本県の平成7年度の整備率の見込みは、畑地では48%となるが、水田についてはまだ51%で、東北各県と比べると低位にある状況である。また、土地改良関係の公共事業の翌年度への繰越額は、245億1、300万円余であるが、これは、先ほど申し上げたとおり、国の補正措置等によって、年度内執行ができなかったものである。今現在の執行状況であるが、関係市町村、関係機関の努力によって、おおむね契約済みという状況である。次に、210ページをお開き願う。5目農地調整費の主な事業は、農地保有合理化法人、本県で言えば岩手県農地管理開発公社であるが、農地の売買、貸借等を通じて、農業経営規模の拡大、農地の集団化等を図る農地保有合理化促進事業の補助に要した経費である。
 次に、304ページをお開き願う。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費は、団体営農地等災害復旧事業に要した経費である。
 310ページをお開き願う。4項庁舎等施設災害復旧費1目庁公舎等災害復旧費であるが、これは、畜産試験場の外山分場の作業用道路が大雨被害を受け、その復旧工事に要した経費である。以上が一般会計である。
 次に、農業改良資金特別会計の決算について御説明申し上げる、332ページをお開き願う。
 まず、歳入決算であるが、決算総額は23億205万5、770円で、その主なものは、一般会計からの繰入金、前年度からの繰越金、諸収入は貸付金に係る償還金等である。
 次に、334ページをお開き願う。歳出合計は19億3、722万5、708円である。その主なものは、農業改良資金443件、就農支援資金貸付金及びこの事務推進に要した経費である。この結果、歳入決算額から歳出決算額を差し引いた3億6、483万62円が翌年度に繰り越しとなるものである。
 以上が農政部所管に係る平成7年度決算の概要であるが、農政部の主要な事業成果については、主要施策の成果に関する説明書にそれぞれ記載してあるので、ごらんいただきたいと存ずる。
 以上、説明を申し上げたが、よろしく御審議くださるようお願いを申し上げる。
〇吉田委員長 ただいまの説明に対し質疑はないか。
〇村田委員 それでは、3点ほど伺いたいと思う。
 まず、中山間地域の活性化対策の一連の事業であるが、大変この中山間地域の取り組みについては、夢のある、将来、複合地帯としての夢を託する事業であるということで、熱心なお取り組みの状況については見聞しておるところであって、深く敬意を表する。ただ、その緒についたという段階でもあるので、いろいろと御苦心があろうかと思うが、まず、本県のこの中山間地域としての高付加価値産業を目指す地域としての、現在評価されておるのは、純情野菜というような1つのキャッチフレーズで表現されておるように、イメージ的には大変国内広く歓迎されておるこの生産地として評価が高いということであって、御同慶の至りである。そのアプローチとしては、既に歴史的な高原作物である葉たばこ産業のもたらしたこの土壤の強さということは、大きな資産ではないだろうかと常々思っておるわけであるが、葉たばこの現在この平均の耕作反別が大変零細であると、県北と比してむしろ伝統のこの長い県央地区の、あるいは県南地区の葉たばこ産地としては単位面積が非常に零細である。むしろ県北の方が非常にこの集約化が進んでおるというようなこと、また、反当たりの収量あるいはまた品質も高いということで、これは県北産業としては大変な御努力のあるところだと思うわけであるが、今後、畑作は葉たばこ産業の基盤ということを1つの中心に置いて、この農地の集約化、すなわち農地の開発、あるいはまた、土地改良事業の導入、県営あるいは団体のみならず、それらの取り組みが今後もっと積極的に進められていいのではないだろうかということが1点である。その現状と将来に対する考え方をお聞きしたいと思うのである。
 そしてまた、この畑作地帯の問題としては、水利ということは常に問題になるわけであるが、かんがいの問題等も含めてこれは土地改良ということを取り組むべきではないだろうかと思うが、かんがいに対する現在の状況はどうなっておるだろうかと、こう思うわけである。
 次は、土壤ということであるが、従来、戦後、食料増産と、あるいは増反というようなかけ声の中で農業構造改善、あるいは土地改良、圃場整備等を急いできた陰に、いわば肥料をやって、そしてたくさん高収穫を得るということを目指してきたその結果としては、搾取農業であったと、土地が全く地力を失ってしまっておると、その場その場でこの投資をして完全に翌年それを再生産の段階で搾取してしまうと、これの繰り返しではなかったか。すなわち、現在はそういう意味において大変食材農業というか、そういうことを補って土地に還元していく、いわばリサイクル農業の産地として活性化する必要があるのではないだろうか、お聞きするところによると、いろいろなバイオテクノロジーにおける育種の開発、あるいはまた、耐酸性の有効性微生物の活用ということによるリサイクルの土壤の基盤整備というようなことを導入して、相当先進県においては取り組んでおる実例が出てきておるやに聞いておるわけであるが、土壤のそれらの問題についてのお考えを示していただきたいと思うのである。
 最後に、農業研究センターが相当このたびの決算でも二十数億円、さらに平成8年度においても着々と技術センターの整備に向けて、平成9年開所を目指しておるということは御同慶にたえないわけであるが、現在までの園芸試験場、あるいは農業試験場傘下に属する試験研究機関が、今後、全部集中的に管理されるということになるようであるけれども、現在まで機能してまいった、活躍をしてきたそれらの試験研究機関が今後平成9年までに地元のその市町村のコンセンサス、あるいはまた、今後の見通し等についてどうなっておるだろうかと、こういうことについてもお示しをいただきたいと思うわけである。
 以上、3点について逐次御答弁を願う。 
〇平野農地計画課長 私の方からは第1点目の土地改良事業の実施の実態、あるいは将来の見通しということについて答弁をさせていただきたいと思う。
 今、畑地帯の整備については、主として労働生産性の向上を上げると、あるいはアクセスの改善をするという観点から、農道整備事業を中心とした整備を進めておる。また、時折区画が非常に小さいと、あるいは形状が非常に不規則だという場合についてはその中で、それと合わせて区画整理事業もやるというようなことをやっておる。また、最近ではやはり委員の御質問の中にあった水ということについても、非常に重要だなという認識を深めておって、特に高付加価値作物への転換を図るということを契機として、畑地かんがいの導入というのは重要な役割を果たしておる。今まで本県の畑地かんがいの実施についてはそれほど例はないんであるけれども、九戸地区などにおいては相当の成果をおさめているというようなことがある。さらに今、国営事業で馬淵川沿岸事業というのをやっておるけれども、今ダムの着工がもうじきの状況なんであるけれども、将来はあの辺一帯、あの周辺の畑作地帯の畑地かんがいも進むものと理解しておる。現在、農業農村整備事業の事業費というのは、御存じのように大変な伸びをおかげさまで示しておって、大体3分の1程度の予算が畑作関係の方に使われておる。今後ともこの畑作整備については、本県の農業生産額の2割以上を占めると、なおかつ、特に中山間地域については畑地面積の75%以上があるということもあって積極的に、特に中山間地帯の畑作というのは非常に重要だと考えておるけれども、ここでの基盤整備を進めるに当たっては、まず条件不利な地域が多いということ、それからあと財政状況が非常に脆弱な市町村が多いということであって、できるだけ高負担、国の負担率の高い事業を活用することと、それから地方財政措置の改善について、これはかなりの改善がなされておるけれども、より一層の改善を呼びかけていきたいと、要望していきたいと、このように考えておる。
〇中村農政部長 私の方からは、今では搾取農業で地力が随分弱っているんじゃないかということで、土壤に対する取り組みということであるが、近年、健康で安全な農産物に対する消費者ニーズが高まってきておるということから、そういった要請にこたえる農産物の生産が要請されておるわけであるけれども、まさにそのためにはそういう地力が十分ある土壤での作付というものは大事だという、委員御指摘のとおりであると考えておる。特にも、本県は全国有数の畜産県であるので、豊富な堆厩肥を利用した有機資源の積極的な活用によって、土づくりをつくっているところであるし、また、化学肥料あるいは農薬をできるだけ少なく使用して、環境に優しい農業も標榜しておるところであるので、そういったことで取り組んでおるところである。
 そういう中で具体的に例を申し上げると、北上市の農協管内で畜産と耕種との連携による有機低農米の生産、あるいは県北の陸中農協などでは良質の堆厩肥の生産供給ということで、野菜などに非常に効果を上げておるということで、こうした考えで今後とも全県に普及していきたいと考えておる。特にも有機農法については、できるだけ化学肥料だとか農薬を少なくしていく栽培法を今、研究しているところであるし、また、有用な微生物等を利用した活用ということであるが、これについても本年度から燐酸の吸収を促進するための菌類の利用技術を普及段階におろしたところであって、今後ともこうした微生物の資材を活用してこういった農作物の生産をしてまいりたいと考えておる。
〇赤津農政企画課長 新しい研究センターの関連のお尋ねにお答えしたいと思う。今お話しあったように農業研究センター、仮称であるが、平成4年以来取り組んでまいって、おかげさまをもって来年春4月にはオープンという運びになっておるところである。御説明申し上げたとおり順調に進んでおるという状況にあるが、関連して大きな4つの試験場の統合、それから分場等の統合と、いろんな形で集中化されていくということになる。具体的には北上の方には従来の園芸試験場、それから滝沢にある農業試験場、さらには水沢の蚕業試験場と、この3つが統合になるというようなことであって、あとは県北にセンターをつくる、それから組織的にはセンター1本でまとめていくわけであるが、畜産部門は現地で整備していくと、こんな状況になっておるが、今後の課題としては、これまでそれぞれの地域でいろんな形でお世話になった各市町村等、分場その他含めてあるわけであるが、これらの跡地利用の問題等が出てくるということになるが、この問題についてはそれぞれ地元と現在調整中ということであって、有効に活用されるような格好で考えてまいりたいと考えておるところである。
〇伊沢委員 1点だけお伺いをしたいと思う。今の村田委員の御質問にも関連をするわけであるが、畜産振興という観点で、排せつ物の、昔、私は家畜ふん尿と呼んでいたんであるが、この主要施策の43ページの報告を見ると家畜排せつ物処理施設の整備を行ったという記載があるで、排せつ物と読ませていただくが、適正に行われているとは思うわけであるけれども、畜産関係、とりわけ小さな農家で個人的に30、40頭黒毛和種なり日本短角などを飼っているところ、過日、畜産議員クラブの皆さんと一緒に農家を見せていただいた、そのときの所感も含めながらお聞きをしたいわけであるが、県の政策を見ていくと畜産振興に当たっては、生産に当たっての、いいものをつくるに当たっての予算というのはかなり投入をされているように見受けられる。しかし、畜産農家が最終的にその排せつ物、ふん尿と呼んだ方が私はしくっとくるので家畜ふん尿と呼ばせていただくが、これらの処理に相当の神経を使っているんではないかなと、こういうふうに思うわけである。7年度予算の中にも環境整備を含めて予算化をされているようであるけれども、これまで県としてどのような御指導をされてきておられるのか、また、今後この対策についてどのような考えなのか、お示しをいただきたいなと思うわけである。今、部長の方からは地力をつけるために有機農法への兼ね合い、こういうことであったようであるけれども、それらも含めてお示しをいただきたいなと思う。
〇橋本畜政課長 ただいまの御質問であるが、家畜ふん尿、ふん尿と呼ばさせていただくが、家畜ふん尿の適切な処理については、資源の有効活用、それから環境保全、こういった観点から非常に重要なことであると県の方でも認識しておる。このため、家畜ふん尿の適切な処理、それからその有効な活用体制の整備、こういったものを柱とする岩手県環境保全型畜産確立対策基本方針を平成6年に策定して、そうした考え方を基本としながら取り組みを鋭意進めているところである。具体的には第1には、公共事業であるが、県営畜産経営環境整備事業によって堆肥の還元用の装置などの基盤整備、それからこれにあわせた堆肥舎等の施設整備、こういったものを実施しているところである。
 第2には、非公共事業であるが、環境保全型畜産確立対策事業、これによって耕種農家も含めた地域全体での堆肥の有効活用体制、こういったものを確立するためのソフト、ハード両面からの支援を実施しているところである。こうした事業の活用によって奥中山農協であるとか、住田農協、こういったところで広域利用の堆肥センターが実際に設置されているところであって、地域内の家畜ふん尿の堆肥化、それから耕種部門での活用が図られているというふうに考えておる。こういった考え方のもとで環境保全型畜産、着実に実施していくよう今後とも鋭意取り組んでまいりたいと考えておる。
〇伊沢委員 ありがたい。6年度以降そういう計画があるということなんであるが、実は私の手元に、古いデーターで申しわけないんであるが、産廃の関係の調査をさせていただいたんであるけれども、これ平成2年あたりなんであるが、岩手県内の産廃で一番多いのが家畜のふん尿であると、当時の数字で568万4、000トンが家畜ふん尿だ。次に多いのが汚泥ということで、これはクリーンセンター含めて今、廃棄物の関係、環境保健部がいろいろつくって、汚泥処理ということでやっているんであるが、これは167万トン程度になっている。圧倒的に多いのが家畜ふん尿であって、当時から、言ってみれば公害苦情を含めて家畜、畜産業にかかわる苦情というのが結構あったようである。6年度の公害苦情の関係で見てもこれは家畜、畜産業だけに限らないんであるけれども、水質汚濁とか悪臭の関係でいくと全体の15%から20%ぐらいがそれぞれの苦情の中身になっている。6年度のデータであるから県がいろいろ政策を始めた部分、スタートの時点だったと、こう思うわけである、これらが今後、今、課長の方からお話があったように有機的に結びついていろんな施策が展開をされていけば、農家の方も多分よくなるであろうし、逆に堆肥化を、堆肥にもいろいろなものがあると思う。肥料まで調製をしてやってしまうものとか、それから堆肥のままで田んぼに還元をするものとかいろいろあるわけであるが、そういう中で、これ将来的なことでお聞きしたいわけであるが、今、O-157を含めていろいろ騒がれているわけである。どうやら元凶はこの畜産業、とりわけ牛ではないかと、こういう中で、屠畜検査も含めて大変な装置を今後考えていこうとしているわけであるが、酪農なり和牛も含めてこれからの対策として、畜産試験場等で堆肥をつくる際の細菌学的なものも含めたその対応策というのは今後必要になってくるんではないかなと、私自身思うわけである。畜産試験場でも堆肥舎を含めていろんなつくる装置の実験装置などつくらせたようであるけれども、今後そういった意味でふん尿処理の安全性というか、確実なものにするための県としての施策、お考え等があればお示しをいただきたいなと思う。よろしくお願いする。
〇橋本畜政課長 ただいまの家畜ふん尿の発酵技術に関する試験研究、そういったものへの取り組みについてであるが、これまで県の畜産試験場で取り組んできた研究については、土壤への堆肥の施用効果の研究に関するものが中心であった。それが最近では短期間で良質堆肥を製造するという観点から施設型の発酵処理の技術開発、こういったものも国と連携しつつ行われているところである。特にふん尿処理の製造過程で発生する悪臭防止について、国の生物系特定産業技術研究推進機構、ここで新たにその技術開発が行われて、その実証試験が現在、県の方で行われているところである。こういった試験研究の成果を活用しつつ、また、先ほど御指摘のあったような安全性も含めて各種研究に今後とも取り組んでまいりたいと考えておる。
〇菊池(勲)委員 先般、農政部の計らいで日本短角種の肉を食べさせてもらった。あれを食べなければきょうは質問する気はなかったんだけれども、大変元気が出たので3点ほど質問させていただく。
 まず、第1に、今、盛んに建設し、来年の4月に開所する農業研究センター仮称についてお伺いをする。
 先ほど村田委員からもお話あったんだけれども、最近は農畜産物に安全性を求める消費者が大変ふえてきたということは新聞、テレビで御案内のとおりであるけれども、それをつくる人たちも結構県内にふえてきておるわけである。先般、ある場所に十数名ほど集まりのところに午前7時にお呼ばれした。私も朝は早い方であるけれども、農作業は早かったんだけれども会合は7時は初めてであったけれども、そこに出席をして1時間ほどお話を聞いてまいったが、菊池先生、北上に農業研究センターができるそうであるれども、もちろん将来の日本の食料供給県岩手のためにつくる試験場であろうから、私どもの気持ちなどは当然買ってもらえるんであろうけれども、もし、安全な食料を望む消費者が多いわけであるから、一農民として、岩手県民として食料供給県の農民として安全な食料を少しでもつくって消費者に与えたいものだが、いかんせん、そういう本を読んでもなかなか本に書いてあるとおりにはいかない。だとするならば、素人で不可能だからこういう大きな研究センターで、どこかの一角にそういう施設をつくっていただけないものかというような御要望があったので、このセンターの開所に当たって、安全の志向を考慮したそういう研究機関の一部をひとつ持っていただけないかということを、まず第1点聞きたい。
 時間の関係上、続けて3点いくので、委員長。次は畜産農家の負債対策についてお伺いをする。
 先ほど申し上げたように、短角牛は大変おいしかった。平成7年度畜産振興予算にはざっと62億円という巨費を投じて7年度一生懸命我々と、私と同じ農業者のために頑張ってくれた農政部の御努力に対しては心から感謝を申し上げたいわけであるが、その六十数億かけたその成果が果たして畜産農家には気持ちよく流れていっているのか、大変私は問題を1つ気にもしているところである。じゃなぜこんなことになるかというと、私ども農家は国の施策に応じて農業生産を続けてずっと今日まで来たわけである。特に畜産農家は北上奥羽山系開発、これは農林省の大型プロジェクトに乗って若い青年諸君が将来に希望を抱いて入植し、すばらしい大規模な畜産経営をしたわけであるが、途端に農畜産物の輸入の自由化に遭って、その国の施策によってしょい込んだ大型負債がいまだにずるずるずるずると流れておるわけである。だれかどこかでちぎって、住専処理みたいにだれかどこかでちぎってくれれば、岩手の農民くらい力になる農民はないわけなんだけれども、残念ながらずっと背負わされていまだにちくちく歩いている。私は大変同じ農民として残念だなと。元農政部長である出納長なんかは農業には大変詳しいわけであるから、まして今、出納長の肩書なんだから、どこかで切ってくれればいいんだと思うんだけれども、そういう予算は出てこないわけである。であるから伺うけれども、努力をして日本農業を救うような力を岩手農民が力を持っているんだけれども、その大型負債で、今、最低金利でも借りた時点の負債の金額の中で引きずっているものがかなりあると思うんだ。その実態をひとつお知らせ願いたいと思う。
 3点目であるけれども、同じ畜産でも今度は乳を搾る方である。酪農振興対策についてお伺いする。
 酪農は米と並ぶ岩手の農業の基幹の1つであるわけであって、飼養戸数、頭数が年々減少している現状にあるが、幸いにしてこの減少分は規模拡大によって酪農家が必死の努力により生乳生産量を確保していると認識をしておる。しかしながら、今年に入ってその酪農の環境は一段と厳しい状況にあり、とりわけ濃厚飼料、トン当たり2、500円以上の値上がり、一方、プール乳価は5円20銭の値下げと、とかく使う言葉で言えばダブルパンチを今、受けている状態である。今後とも岩手の酪農を米と並ぶ基幹作物として維持、発展をさせていくためには、生産コストの低減にも限度があり、県、農業団体が基本的方策を打ち出すことが重要だと思うのであるが、そこでお伺いをする。
 まず、1つ、高齢化による労働力不足、農地の流動化が進む中で、現状と今後の取り組みをどう進められようとしているのかをまず1つお伺いする。
 もう1つは、さっき伊沢委員からも質問があったんだけれども、近年の環境問題の高まりにより、家畜のふん尿の河川に流れ出す状態も県内にはかなり見受けられるわけであるけれども、これの処理方法と将来の問題点をどう対応していくつもりなのかを伺って終わる。余りいい答弁でなければ再質問で行くので、いい答弁なら1回でやめる。
〇中村農政部長 農業研究センターへの安全性を志向した取り組みということであるが、今次、非常に消費者のニーズとしてそういうことが大きくなっておるわけである。そういう中で一番あれなのは無農薬、無肥料での栽培がいいわけであるが、委員御指摘のとおり、これにはなかなかまた問題もある。そういうことで、そういう面を志向しながら技術開発では段階的に、総合的に解決していく考えである。そういう中において、現段階においては農薬あるいは肥料の使用を極力抑制することで、天敵あるいは昆虫の性フェロンを利用したり、あるいは微生物を利用した生産機能を活用した研究を進めておるところである。
 また、今後においては、センターにおいては、生産環境の専門研究部門を新たに設置して、そういう中で環境分野の研究のほか、例えばかけはしのいもちの耐病性だとか、遺伝子の導入による品種の開発だとか、そういった病気に強い品種の開発、あるいは有機物の利用などによる土壤の改善などの開発技術に努めてまいりたいと考えておる。いずれこうした成果が見られた段階で実証しながら実用化の可能性に向けて推進してまいりたいと考えておる。
〇千田地域農政推進監 北上山系入植農家の方々の実態であるけれども、確かに委員御指摘のとおりに、北上山系開発で入植された農家の方々、入植以降、生乳需給の不均衡による計画生産とか、あるいは子牛価格の、あるいは廃牛価格の低下といったことで、なかなか計画どおりの思うような収益を確保できないということもあって、大変な御苦労をおかけしてきたと思っておる。県としては、こういった状況を何とか打開していきたいということで、平成7年度からであるが、市町村それから農業団体と一緒になって、入植農家の方々が借り入れている制度資金、これの利子すべてを無利子にするという対策を打たせていただいたところである。おかげさまで、この結果、平成7年度の収支状況を見たところ、農家の方々の経営努力とも相まって、逐次、その経営が改善されてきておる。そしてまた、これまで大変な苦労しておったんであるが、その元金の償還、これができるような見通しになっておる。そしてまた、農家の方々、意欲的にその経営改善にも取り組んでおる。今後においてもこういった対策を続けてまいって、さらに何としても経営改善、技術的な指導、そういったことも必要であるので、専門の営農アドバイザーによって集中的な指導を重ねてまいりたいと思っておる。
〇橋本畜政課長 委員御指摘の第3番目の点である。酪農振興についてであるが、御指摘のとおり、最近、酪農家の高齢化、また近年の乳価の低迷、こういったことから酪農経営については大変厳しい状況にあると認識しておる。中央酪農会議が平成7年度に岩手県のアンケート調査を行ったところによると、全体の平均年齢は50・4歳、また、このうち60歳以上が22%を占めるというような高齢化が進んでいる状況にある。こうした状況のもとで、県としては、本年の10月に策定した岩手県酪農及び肉用牛生産近代化計画に沿って、まず1点目であるが、酪農ヘルパー等経営支援組織の育成、こういったものに引き続き努めていくとともに、本年度からであるがコントラクター組織の育成により効率的、それから低コストな粗飼料生産の推進、また、そういった飼料生産作業の外部化、こういったものを進めてまいって、高齢化の労働力不足に対して対策として実施していきたいと考えておる。
 また、他方であるが、フリーストール牛舎であるとかミルキングパーラー、こういった省力化施設の普及拡大、こういったものを行って、引き続き規模拡大の意欲を持っている農家の方々に対して支援を進めてまいるとともに、高能力の輸入受精卵の導入、牛群検体の拡充等による乳牛改良の促進を図って産乳能力を向上させ、高品質乳を生産していく。それからまた、あわせて県産牛乳のPRに努めて消費拡大、こういったもろもろの諸般の施策を引き続き推進してまいりたいと考えておる。
〇菊池(勲)委員 済まない、質問しないと言ったけれども、環境に対しては答弁はない。
〇橋本畜政課長 大変失礼した。畜産経営に起因する環境汚染問題については、御指摘のとおり、最近家畜から排せつされるふん尿量が増大傾向にあって、農村における混住化の進展、こういったことから悪臭問題であるとか水質汚濁問題、こういったものが、苦情などの発生件数については増加している状況にある。これらの原因については、処理施設が老朽化していること、あるいは急速な飼養頭数の拡大、あるいは労働力不足による堆肥の放置、こういったものが原因であると考えておる。こういった問題については、やはり環境保全に対する県民の関心が高まっており、地域社会あるいは自然環境と調和した畜産経営、こういったものを推進する観点あるいは産業廃棄物としての環境規制の遵守、こういったことから対策を講じてまいる必要があると考えておる。これについては先ほど申し上げたような家畜ふん尿の有効利用、これを基本とした諸般の対策を実施しているところである。
〇菊池(勲)委員 1点だけひとつ要望を交えてお願いしたいんであるが、今の最後の答弁。堆肥盤をつくってそこに有効に腐食をさせてから大地に還元をしたいわけであるけれども、農林省の基準であるか、県の農政部の基準であるか、ちょっと私はわからないけれども、とにかく住んでいる市町村の持ち分もあるわけである。具体的に言えば沢内村なんである。貝沢地区が全く酪農地帯であって、そこ何カ所かに堆肥盤をつくりたいと、もう3年ぐらい前から言われておったんだけれども、農政部の方々はいつでも補助金を出してあげるという話はもらっておったんだけれども、いかんせん市町村の持ち分があるんで、市町村の財政厳しいから、いまだになかなか前に進んでいない。そして垂れ流し、子供らは学生、高校生、大学生はいない。高校生、やっぱり酪農のふん尿というのは普通の黒毛和種とか短角と違って特殊なにおいがする。これはサイレージを利用しているからである。ふん尿はみんな同じだけれどもサイレージを利用しているために特殊なにおいがするために、衣服どころか体にも付着しているような感じなんだもの。そうすると、ひょっと通ったときに、あんた百姓の娘かという格好で、大変困ると言っているんだ。だけれども町にしゃべったって一切そこからは県の方に上がってきていないわけだ。だれかいるはずだな、私が頼んだから。だけど、それならば市町村の持ち分を県が肩がわりしなければそういう地域は一向に解決しない。部長、お願いする。
〇中村農政部長 そういう解消に努めるように頑張ってまいりたいと思う。
〇千葉(浩)委員 一般質問あるいは総括等でいろいろ農政問題出た。私からいろいろ大変な課題を抱えておる稲作に関連して3点ほどお聞きする。
 まず、1点であるが生産調整についてお伺いする。
 来年度の転作面積はこれ以上ふやせないという農家の切実な願いが通じて、本年と同じ面積で決着した。大変結構な私は決断だったと思っておる。しかし、ことしの転作の実施状況を見るというと、いわゆる水張り転作が大幅にふえた。来年度に向かっていろいろな課題を私は残してきたんじゃないかと思っておる。米の国内の在庫が来年には300万トンということに及ぶ在庫を抱える中で、当面は転作の緩和というものは考えられないじゃないかというような気がする。そうすると今まで緊急避難的と申しては少し語弊があるんであるが、いろいろな形でやってきたわけであるが、そういうことじゃなく、ある程度の所得が得られる、そして転作もまとめて団地化していくというようなことが、これから最も重要になってくるじゃなかろうかというような気がする。県は来年度に向かって生産調整を推進していくと思うんであるが、どのようなことに重点を置いて今後やっていくのか。そしてまた、具体的な転作のスケジュール等があったらひとつお示しを願いたいと思う。
〇中村農政部長 ただいま委員から転作に当たって水張り水田が多いし、また、転作の団地化を図るべきじゃないかというような御提言があったけれども、御指摘のとおり生産調整については、米の需給が緩和基調にあることから、今後も続くものと考えておって、そういう中においてやはり転作に当たっては、農家の所得の向上につながるようなことが必要だろうと考えている。しかしながら、御指摘のとおり、本年度の転作の状況を見ると、調整水田、いわゆる水張り水田などの低利用の水田が全体の20%を占めておるということで、この要因としては農家の労働力事情によるもの、あるいは転作の団地化あるいは集団化に向けた地域での話し合いが十分やれなかったというようなことが考えられるわけである。したがって、こういった低利用というのは余り好ましくないので、それを解消する上からも、先般、関係の農協の担当者の皆さんにおいでいただいて、解消に向けた話し合いをさせていただいたところである。
 また、来年度については、国、県のとも補償関連事業の活用などを通じながら、県、市町村あるいは団体が一体となってそういう調整水田の多いところに出かけて、実際の集落に入りながら話し合いをしていきたいというように考えておる。
 また、今後のスケジュールについてであるが、転作目標面積、いわゆるガイドラインが去る2日の日に国から通知されたので、これに基づいて市町村ごとのガイドラインについては農業団体と調整を行った上で、今月の17日に開催を予定しておる。そこで、市町村あるいは農協の担当の方々に事前に農業団体と調整を行ったものの配分についてお示しをしたいと思っておるし、いずれできるだけ早くおろして、市町村段階で農業者別のガイドラインを早期に決定して、地域での話し合いを早目に、円滑に進めるようにしてまいりたいと考えている。
〇千葉(浩)委員 やはり積極的に、避難的でなく、私は当分続くと思う。そうするとこれを、やっぱり転作面積が4分の1あるわけであるから、これをどう有効に活用していくかがこれからの岩手の農政にも非常に大事なことになってくる。したがって、私はそういう意味で話し合いを今後ずっとこれからやっていくという今お話であるから、そういうものもひとつ予算化でもしてどんどんどんどんそういうものの話し合いができるような、そういう場をどんどんこれからつくっていただくように、これは要望しておく。
 第2点目で申し上げる。さっきも申し上げたとおり、米の在庫が300万トンを超える見込みということになる。全く米余りの状況がますます深刻に私はなってくる。こういうふうに思う。この過剰在庫をいかに減らしていくかがこれからの大きな課題になってくると思う。在庫問題であるが、これは県とか農協とかということではなかなかいかない。やっぱり国の責任においてこれは対策を講じていただくのが必要だと私は思う。現在10万トンということで海外援助に回すということになっておるようであるが、これを数量をもっとふやしてもらう。そして、また新しい新規用途の開発であるか、そういうものをこれから進めていかなければ、この問題はなかなか私は解決していかないんだと思っておる。私はこうした中で、ことしに入ってからであるが、米の海外輸出に取り組んでいるという話を聞いたわけである。量的には余り多くは期待できないというようなことも聞いておるが、今まで農産物の輸入がいっぱい急増しておったわけである。外国の米も受け入れて今までやってきたわけであるが、逆に米を海外に輸出するという取り組み自体、私は大変画期的で本当に期待するところが大変多いわけであるが、そういうことで伺うが、県産米の試験輸出とは言っているんであるが、海外に輸出した結果どうであったか。そして、その内容と、そして今後、県産米を海外に輸出する、取り組む具体的な考えがあったらひとつお聞かせ願いたいと思う。
〇佐々木農蚕課長 県産米の輸出の結果と今後の取り組みという御質問であった。今回、県産米を輸出したことについては、考え方としては大きく2つあった。1つは、今お話があったように、米余りの中で生産者を元気づけるためにもやっぱり攻めの気持ちが必要だということが1つである。それから、海外で県産の良食味米を評価していただくことも非常に大切なことだということで実施したものである。具体的にはロサンゼルスとシンガポールに合わせて約4トン持ってまいった。ちなみに現地での販売価格は、通常購入しているのは加州米--カリフォルニア米なわけであるけれども、それに比べてロサンゼルスでは5倍、それからシンガポールでは2倍であった。全体的な現地の反応としては、少々高くてもおいしい米を食べたい。これは日本人が中心であるけれども、おいしい米を食べたい。それから、非常においしいけれども常食として継続して購入するのは価格面で非常に難しいという、大きく2つの評価があったと思っておる。その中でシンガポールでは特に日本人の良食味米に対する需要が強くて、価格面でも約2倍ということもあったけれども、大きな抵抗は余り感じられなかったというようなことで、セール期間中だけで約2トンの販売実績になったところである。
 今後の取り組みということであるけれども、今回の輸出を通じて一定の需要があるということがわかった。特にシンガポールは期待を持てるのではないかと考えておるところである。また、今後の検討課題としては、やっぱり輸送費が高くつくということで、船便になるわけであるけれども、他の荷物と抱き合わせで経費が節減できないかというようなことがあったし、それからもう1つ、特にシンガポールの場合は年間常時気温が高いわけであるので、品質保持などの面について、例えば玄米で持っていって店頭で精米するというようなことも考える必要があるのではないかと思っておる。いずれこの米の輸出については、県が直接ということじゃなくて、業者の買い取りによって実施されるものでもあるので、こうした課題を詰めながら継続的な輸出について業者に働きかけてまいりたいと思っておる。
〇千葉(浩)委員 画期的なことで、私もちょっと知らないでいたんであるが、やはりこういうことも今後重要施策として推進していただくようにお願いをしておく。
 最後である。米の生産流通の対応についてお伺いをする。
 先ほども申し上げたとおり、米余りの現象であるから、生産調整が据え置きになったけれども、9年度の政府米価1・1%下げられた。大変残念なんであるが、農政部長もいろいろコメント等も出しておる。全く私も同感である。そういう中で米価というものは低下傾向にあると思う。また、新しい米の流通システムの導入等があって、米の環境というものは大きくまた変化をしてきている状況である。そこで、私はこの岩手米のイメージアップをするのにはどうしたらいいだろうということなわけであるが、PRということになると思うんであるが、私はやっぱりまだまだこの努力と申すか、一生懸命やっているとは思うんであるが、工夫、いろいろな面が私は不足しているんじゃないかと思っておる。少し失礼なことを申し上げて申しわけないが、何で見て、今までは県産米をトータルで売り込んで、そしてやってきて、私はそういうことになるとなかなかこの向上アップにはつながってこない、限度がある。全体のトータルでやるというとそういうことが出てくるんじゃなかろうかというような気もしておる。ことしの県産米の食味、大変いいと、よいと私も聞いているんであるが、全くこういうおいしいという米が出ているわけであるから、そういう地域を先頭に立てて、そして他県に負けない主力産地ということできちんと先導の役を果たしていただくような、そういうことも1つの方法としてあるんじゃなかろうかというような気がする。何せ県南のひとめぼれなんかは特Aということの評価もいただいているわけであるから、新潟のコシヒカリ、コシヒカリと一生懸命やっているが、私は絶対劣らない。なぜあっちだけがどんどん全国へ出ていって、岩手のひとめぼれがどうして陰に隠れているだろうというその疑念も持っているわけであるが、絶対魚沼だって何だって私は負けない、私は対等にやれるというような気も持っているわけであるが、そういう意味で本県の米の生産、流通に対する農政部長の決意なり考えなりをひとつお聞かせ願いたいと思う。
〇中村農政部長 米のPRの決意ということであるが、やはり委員がお話しのとおり、産地間競争に勝っていくためには、品質がよくて、食味がよいという、食味の判定と申すか、そういったものをいい米を安定的に生産することが大事だと考えていて、そういう中において、ことしの11月20日現在の県産米の1等米比率は92・4%と過去最高となって、全国でも6番目、東北でも秋田に次いでいるという、この品質が年々高くなってきているところである。今後とも生産者の皆さんを初め、関係機関、団体力を合わせて品質、食味のワンランクアップを目標として、いわゆる売れる米づくりの全県運動として全県的に展開をしていきたいということと、それから最近は卸や消費者の皆さんからも、食味のよい米を求めて、特にも産地を指定してまいることがしばしばある。そういう中にあっては、ただいま委員お話しのとおり、県南の主力品種であるひとめぼれは日本穀物検定協会の食味ランキングでは特Aということで、これは全国でたしか7地区だったと思うが、そういう中では一番価格が高い新潟魚沼産のコシヒカリ、これも特Aなんであるが、これと遜色のない評価をいただいておるということで、県南の良食味地域を全国屈指の産地として、さらにもそういう評価を高めていくことが重要であろうと考えておる。そういうことのために、生産面においては品質あるいは食味を分析する機器を活用して科学的な分析結果に基づく栽培指導を行うとともに、販売面ではこうした良食味産地であることを卸や消費者の皆さんに一層PRしながら、特にもそういう特Aという地域を先頭に立てながら、本県をリードする産地としての役割を果たしていくようにまたお願いしたいし、また我々も支援をしてまいりたいと考えている。そしてまた、そういった米以外にいわゆる値ごろ感のある米についても需要があるので、こうした多様なニーズに対応できるような生産体制を確立して、米の主産県としての確固たる地位を確立していくために、今後とも諸対策を進めてまいりたいと考えておる。
〇吉田委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間程度休憩する。
   午後3時3分 休 憩
   午後3時19分 再 開
〇吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 農政部関係の質疑を続行する。
〇渡辺委員 私からは農協の合併についてお聞きしたいのであるが、農協の合併は平成9年、10年というか、10年には3段階制から2段階制に移行したいということで、岩手県は全国で最もその更新がおくれている県であり、宮城県なんかはまさに来年度からもう信連とか経済連とかなくなっていくということで、他県はどんどん進んでいくわけである。そして、その方針というのは、岩手県は12農協になっていこうということであるし、これらの例えば預金高とか出資金とか、そういうものも1、000億とか500億とか一応のガイドラインを設けて、そういう規模でやっていくということを農協大会を開いて農協自体が確認をし、それを本国会で追議をする格好で農協法の改正が今進んでいるということで言っているわけである。そして、そういう大きな流れの中で岩手県はどうなるのかと、他県は1県1農協のような佐賀みたいなところもあるから、岩手県はどうであるかというと、私の住んでいる胆江地域なんかは経営収支からいくとランキングのワン、ツー、スリーなんというのが私らの農協のあたりであるから、それらが合併していってもこれからは大変であるという危機感ばかり出てきて、なぜ合併するのかという議論が出てきても、それは、皆さんがいやだというのはわかるけれども農協の存続のためにやるということで忍びがたきを忍んでやろうと、こういうことであるが、ただ我が県全体を見ると、県北部、例えば二戸等さまざま合併が緒につかず、全然弱小農協が莫大な--さっき畜産なんかの話もあったが--負債、不良債権を抱えながら見通しが立たないと、まさに合併推進室なり何なりもつくって中央会さんも頑張っているようであるが、緒につかないという中で法律は出きていき、機構がそういうふうに進んでいって構造改革をすると。一方、存続の柱であった信用事業は住専の処理においては岩手県は二十何億であるからなんとかやると、うまくやったという返事があったのであるが、それはそれで処理するであろう。ただ、これからノンバンクもやっていくという中で、銀行は住専の処理なりノンバンクなりやっていかざるを得ないということになって、これからノンバンクにつくということであろうと思う。そういう危機の中で、今でももう赤字であるという農協なんかの合併をどういうふうにして見通しを立てて、県はどういう危機感を持っているのか。それがなければここで幾ら農政の議論をしてみても、かなりこれは大変な柱自身が崩れるのではないかという危機感を持つわけであるが、その点についてお考えをお聞かせ願いたいと思う。
〇中村農政部長 農協の合併については、今、12の農協に合併するよう進んでいるところであるが、そういう中にあっても県北については多額の赤字を計上しているということから、当面どういうふうに推移するであろうかということで先おくりみたいな感じになっているわけであるが、この合併のためには、やはり財務の状況がある程度しっかりしていないとなかなか難しいということから、まずはそういった経営基盤をしっかりつくりながら、そして、そういう経営計画に基づいてみんなで頑張っていかなければならないであろうと。特にも新しい農協法では、自己資本の拡充であるとか、あるいは資金運用の関係であるとか、それから監事の設置や役員の兼職であるとか、いろんな現行とは違ったそういう民間的な発想と申すか、企業経営的な面での制度が導入されてくるということから、県としてはそういった経営の改善計画をつくって、それに向けてきっちりまずやってもらわないと大変なことになると、そしてそういったことが、ひいて言えば地域農業の振興に関与させるような関係になっては大変であるなということで、農協中央会の方とも連携をとりながら進めていかなければならないと思っているし、今後の推移を見守っているところであるが、危機感と申すか、そういうものも持ち合わせているところである。
〇渡辺委員 例えば、私の地区であると、前沢牛であるとか、江刺であれば金札米とか目の前にあるリンゴであるとか、日本に冠たる名前と自負をしたいわけであるが、そういう名前すらもどうしようかといいながら、これは基本であるからしょうがないという覚悟をしながら前へ進んでいくわけであるから、それは名前をどうするかはこれから考えるけれども、それ自体も考えなければならないというふうにしながら合併をしていくわけである。そうすると、できなかったらどうかという危機感を中央会さんもはっきり言ってないのではないかと私は心配を持つのである。常に農協の合併というのはあすへの未来で大変あしたはすばらしいことがある、例えばスーパーができるとか、グリーン何とかという名前をつけて農産物の直売を開くとか、そういう話に終始をすることが多いわけであるが、実際に合併をするときにはどうなのかというと、そうではなくて支所でも何でもガソリンスタンドでも、そろばんがあわなかったらやめていくと、そしてうまくいかない、今、計画を立てているとおっしゃった。計画は立てているかもしれないけれども、もう要するにオリンピックにまであと何日というと逆算であり、何百日しかなく、あっという間に年が暮れて平成10年4月がまいる。そのときに恐らく1年や何やで解消できないであろうから、もしだめなときには1人頭このくらい引っ込むかもしれないと。正確にいうと、役員がまず責任を負うから無限責任で、現在の役員、そして今までの役員、要するに負債を発生させた一番責任のある役員から順番にくるし、もしその人が死んでいたら息子に存続するとか、法律では細かに責任の所在も書いてある。だめなら組合に1人頭何百万ずつかわからないがあるかもしれない。そういう危機感をやっぱりおくれている岩手県の合併の中では持ちながら、そして振興していくということが私は必要かなというふうに思うのである。その辺の何というか、仮に倒産したらというのは何であるが、そういう危機感についても指導の際に農協さんにもされておるのか、これからはそういうふうにしていかれるおつもりなのか、担当課の方の決意のほどというか、その辺の実情を教えていただきたい。
〇大沼農業経済課長 委員御案内のとおり、私どもとしても重大な危機感を持って、今、見守っているところである。ただいま部長から申し上げたように、特に県北地区の農協においては経営改善の方がまず先であると、財務の充実が先であるということで、今、中央会と連携をとって指導を加えているところである。なお、関係者の打ち合わせ、組合初めさまざまな打ち合わせの場があるので、その際にも私どもの方からも委員御指摘のような点について示唆し、危機感をともども持って前に進んでまいりたいと思う。よろしくお願いする。
〇渡辺委員 それともう1つ、さっき千葉浩委員から話があった。産地間、例えば米であると、先ほどの部長答弁では岩手米をPRして全県的にもよくしていきたいという話もあったし、産地指定についてはどうかという話もあったが、他県では新潟県では魚沼、岩船とか佐渡、これが3つの銘柄であるし、あとその他というふうになっている。であるから、まずいような村上地方のあたりも、それなりにいい値段の3万円以上のところに引っ張られて、ストップ高に引っ張られて値段がいくと。福島県では今度から会津、浜通り、中通りに分けた。これは今はスタートしたばかりであるから同じような値段でいっているけれども、最後には会津がいくのであろうと、大方米の取り扱い方の予想であるし、私も前にここで報告させてもらったときにそんな雑談もしておったが、現実にそういう産地間が分かれてきた。そういう中でこういう農協については、特に、今はある程度特Aといっても岩手県の米の値段というのは本当に大したことないのである。なぜかというと、やっぱり余りに品質の差の開きがあるから、そこら辺は一緒に売っていこうと、岩手県産をとにかく売り切ろうという精神の中でいっているわけであるから、何となく平準化--特Aといっても、大してそうでないところと値段の差がつかない。ところが、こういう農協の基本的なところに比がついてくると、産物であろうとも私のところはこう売らなければならないという、要するに抱き合わせのような岩手県全部でいくということが通らなくなっていくような時代がくるような気がするのである。であるから、やっぱりより一層そういう時代が目の前にくることも考えればこそ、そういう指導というのはぜひ強く、取り巻かれている状況も強く訴えながらやってほしいというふうに御期待を申し上げて終わる。
〇斉藤委員 3点質問する。
 1つは、減反問題について。
 減反の達成状況はどうであろうか。減反の中身、調整水田がかなり多い、昨年度より大幅にふえているようであるから、どういう中身なのかも含めてお知らせいただきたい。
 未達成市町村はあるのであろうか。自主流通米価格は94年以降、平均10%を下落する一方、米作農家の売り上げは全国で年間1、500億円も減収となったと言われている。95年度の農家の稲作所得は前年比19・5%減、岩手県の場合はどういう状況になっているであろうか。
〇佐々木農蚕課長 まず、今年度の転作の推進状況であるけれども、現段階では全県として目標達成できる状況になっておる。
 それから、未達成の市町村ということであるけれども、ごく少数ではあるがある。
 それから、転作の実施状況であるけれども、一番大きいのは牧草が中心になっておる。それから園芸作物、それから調整水田、それから保全管理、低利用水田と申し上げたわけであるけれども、それが2割というような形になっておる。
 それから、自主流通米価格の動向についてであるけれども、本県の平成6年産とことしの直近の11月の22日であるけれども、その入札結果で比較すると、加重平均で約6%値下がりしている状況にある。それから、平成6年と平成7年の稲作の所得の比較であるけれども、全国の数字の話があるけれども、全国の作況は平成6年は109、7年は102である。どちらも豊作の年である。一方、平成6年は110の豊作年であるけれども、7年は96というやや不良の年であり、直接比較はできないかというふうにも思うけれども、計算上は前年比31・1%の減ということで、全国の減少率を上回っている状況にある。
〇斉藤委員 特に、調整水田が前年の1、900から4、000ヘクタールに倍以上にふえた。これは文字どおり、減反がもう限界を超えていると、そういうあらわれであり、農家の抗議のあらわれであるというふうに私は思う。それで来年度は据え置きであると言っているけれども、これは3年間据え置くと決めていたことであるから、そう言われて当たり前なんであるけれども、私は新食糧法が1年経過して、減反はしたものの米価は守られるどころか下がりっ放しである。新食糧法の破綻ははっきりしたんではないか。農家はこう言っている、価格は競争、減反は強制と。農家に何もいいことがない。
 それで、ことし、来年度の米価の政府買い入れ価格はマイナス1・1%となった。95年の生産費--米の生産費、これと今度の米価はどうなっているか、ちょっと教えていただきたい。そして、私はその米価の下支え制度がなければ、農家の意欲を支えられない、この新食糧法の欠陥をやっぱり変えなければだめであると思う。日本共産党は、政府米300万トン、1俵2万円の政府買い入れ価格にして、安心して米がつくれるような、こういう制度が必要であると提案をしておるけれどもどうであろうか。
〇佐々木農蚕課長 1つに、今の米の生産費の状況と、それから実際の政府米の価格ということであるけれども、生産費--平成7年度であるけれども--これは実際にかかった費用というとらえ方での生産費であるけれども、家族労働費も含めて60キロ当たりで1万6、196円になっておる。そういうことで、一方、政府米については、今回旧米穀年度については1万6、217円ということになっておる。
 それから、備蓄量と米価水準のあるべき水準ということであるけれども、その数量については新食糧法の中で、国民に安定供給を図る観点から毎年度定めるということになっており、この量については国において十分検討されるものと思っておる。
〇斉藤委員 今の生産費は政府米買い入れ価格のものだけであるか、全体であるか。全体は確か1万9、728円であると思うけれども、であるから、全体の生産費は1万9、728円である。今度の生産者米価は1万6、000円台の低いところであろう。採算とれないのである。そして生産者米価が下がる。そして、それがまた自主流通米の価格を下げさせると、悪循環--これが新食糧法の実態である。我が党の提案は、さっき財源という話あったから言うけれども、政府米300万トン、1俵2万円確保するのにどのぐらの財源が必要かと、4、000億円程度である。ガット・ウルグァイ・ラウンド対策は6兆円である。これは農業土木事業に使われている。農家を守るために使ったら、このぐらいのことはすぐできる。私はそういう点で、新食糧法が1年たって、わずか1年で破綻が明確になったと、こういう点で大いに県としても米価の下支えが必要であると、そうしなければ中山間地はやっていられないと、こういう県民の声をぜひ国の方にも強く求めていただきたいと思う。
 関連して輸入米、海外援助米に回すべきであると思うが、政府もそういう方向で検討していると--最近10万トン--そういう方向であると報道もあったけれども、どう掌握しているであろうか。
〇中村農政部長 委員お話のとおり、私どももマスコミ等を通じて、閣議決定された内容として政府米を含めて10万トンを発展途上国に輸出することとしており、そのうち6万トン強をアフリカなどにも援助することを決めたと伺っているところである。
〇斉藤委員 次に、野菜の輸入問題、野菜対策の問題についてお聞きをする。
 私は7月に、県内の野菜の主産地を党国会議員団と視察もした。行く先々で生鮮野菜も含めて野菜の輸入の影響は大変であると、こういう話であった。こういう話なのである。価格は長期低落、潜水艦であると。低く潜ったまま上がってこないというのである。これが今の野菜価格で、平成2年当たりから出荷量は落ちても価格は上がらないと。いわば不作のときには価格が上がるというのが今までの流れであったけれども、最近は不作になっても価格は上がらないというのである。やっぱりその最大の理由は、生鮮野菜を含めた野菜の輸入の急増、その点で野菜の生鮮も含めた輸入はどういう状況か、そして県内の野菜生産で影響が考えられる品目はどういうものがあるか。
〇石川畑作振興課長 野菜の輸入状況と、それから県内の野菜に与える影響であるが、この野菜の輸入量については円高の進行などに伴って、平成5年から7年度までは前年を大体10%以上上回るような形で推移しておったが、昨年の後半以降については円高の傾向がおさまってきているといったようなこともあり、本年9月までの生鮮野菜あるいは冷蔵野菜、塩蔵野菜、これら野菜全体の輸入量というのは前年の96%程度に低下してきている傾向になっておる。中でも生鮮野菜については前年の88%というふうなことで、最近は少ない状況になっておる。
 なお、本県の野菜生産にとっての影響であるが、これについては生鮮野菜についてはほとんどがタマネギあるいはカボチャ、ブロッコリーといったような野菜であり、この品目について特に本県と競合するというふうなことはないし、さらにこの輸入の主体が端境期に集中するものであり、大きな影響は今のところはないというふうに思っておる。
〇斉藤委員 生産者の実感とちょっとずれている。私は、岩手町の農協に行ったときにアスパラの輸入の問題を言っていた。奥中山農協のレタス--レタスは直接競合しないのであるけれども、やっぱり野菜全体が輸入されて価格が下がってくると、競合しない野菜の品目も影響を受けると。私はどこに行ってもそう言われた。だから、アスパラなんかは直接競合しているのであるけれども、ひとつ岩手は大丈夫というふうに見ないでやっていただきたい。
 それでもう1つ、生産者、農協の方々から強く言われたのは、野菜の価格保証制度の拡充である。一番切実な課題であった。価格が保証されると、そうしないと本当にやっていかれないということであった。県の価格保証制度、また県内市町村のこの制度の実情はどうなっているであろうか。
〇石川畑作振興課長 県の価格安定対策についてであるが、県においては国の事業要件に適合しない産地品目などがあるが、そういったものについては県単独の価格安定対策を実施しているわけである。そのほか、山間地域の農協、これはかなり小さな規模でやられているところの農協独自でやっている農産物価格安定維持制度があるが、そういったものについても支援を行っているということであるし、さらに、市町村の価格安定対策については、市町村段階における単独の価格安定対策を実施しておるわけであり、それについては現在の、例えば遠野地方の農協のピーマンあるいは九戸村の農協のトマトといったようなことなど、18の農協について独自に実施しているというふうに把握しておる。
〇斉藤委員 それで価格保証制度の拡充の中身なんであるけれども、1つは保証基準価格を引き上げるということである。例えば、キャベツの場合こうなっているわけである。キロ63円50銭、1箱635円であると。ところが、800円が採算点で保証基準は635円である。700円切ればやめてしまうと。であるから、やめてしまうラインより保証基準額が低いという、こういう私は率直な指摘も受けたので、本当に再生産可能なそういうところに保証基準価格も上げて、品目も広げていくと。そして、国の場合は大産地大消費地という、こういう条件つきがうんと多いのであるけれども、私は、地場流通も可能な産地にもこういう野菜価格の安定制度の拡充も必要であると思う。それで私も県内市町村の制度を調べさせていただいたけれども、かなり市町村でもアンバランスがあるし、私は県としてももっと品目を広げる可能性があるのではないか。その点はひとつ、今後の改善を求めて私の質問を終わる。--終わらない。最後に1つ、忘れた。
 いずれ、米にしても野菜にしても、輸入がやっぱり一番大きな日本の農業を守る瀬戸際になっていて、最近、世界食料サミットが開かれてローマ宣言が挙げられた。ローマ宣言の内容はどういう内容で、どう受けとめておられるか。部分自由化も期限つきであと数年というところであるが、私はWTO協定の改定、これをやって本当に日本の米を守ると、自給を守るというふうにしなくてはならないと思うけれども、その点では今からWTO協定の改定を強く求める取り組みも県知事、農政部長先頭に県民ぐるみでやらなければならないと思うけれども、その見解を最後に求める。
〇中村農政部長 最初に、世界食料サミットについての宣言はどういう内容かというお尋ねであるが、これは飢餓の撲滅と世界の食糧安全保障の達成、それから2015年までに栄養不良人口の半減を目指したローマ宣言と、それに対する具体的な方策を示した7つの行動計画が採択された。行動計画の内容に際しては、貧困を解消し、食料に対する入手機会を向上させるための施策の実施、あるいは持続可能な農林水産業の振興と農村地域開発政策の実施など、7項目なわけである。そうした宣言であり、食料あるいは農産物が通常の経済原則を超えて、地球規模の問題である飢餓の撲滅あるいは食糧の安全保障の達成など、広い視野からの取り組みの重要性を全世界に向けて宣言した。そういう中で、日本の我が国の主張としても、特にも持続可能な国内生産の重要性、あるいは国内生産の推進が農業の持つ多面的な機能の発揮につながるなどというようなことの発言もあるので、こういった面においては、今後国内産業の振興にとっても意義があったのではないかと感じておる。
 それから、WTOの改定についてであるが、1年前に再交渉しているということなわけであるが、現在この協定は長い交渉結果の末に合意されて、国会における締結の承認を得て我が国が受託したものであり、現実の問題としては国際的な問題であり、国において議論されるべきものということで、その改定を現時点で求めるということは適当でないというふうに伺っておる。
〇斉藤委員 ちょっと回答が残念な結果なので……。ローマ宣言は持続可能な農業ということで、特に家族経営、これが大事であると。いわば大規模農家、大規模経営だけではだめであるということを打ち出した点は、私は大変大事であると思う。あわせて、WTO協定は農協中央会も改定を求めて運動すると。いわば直前で結果待ちではだめなのである。本当に今、8億4、000万人の方々が世界で危機に直面して--飢餓に直面しているという中で今、全国は文字どおり食料事業を高めなくてはならない。これも今度の世界食料サミットで明らかになった問題である。私はそういう点で、日本がWTO協定を改定して、自分で生産できる米を100%自給するなんていうことは世界の常識にかなうことであると、こういうことでひとつ求めるべきではないということではなくて、県民の願い、農家の願いにこたえて、私はそういうことを要望して終わる。
〇吉田委員長 ほかに質疑ないか。
 質疑がないようなので、農政部関係の質疑をこれで終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。本日はこれをもって散会する。
   午後3時50分 散 会

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