平成8年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(折居明広君) 無所属クラブの折居明広でございます。
 通告に従い、順次質問いたしますので、誠意ある御答弁をお願いいたします。
 まず、知事の欧州社会福祉事情等視察についてお伺いいたします。
 御承知のとおり、本県では全国に先行して高齢化が進んでおり、また、国においては介護を社会全体で支える仕組みの構築を目指して、かねてより介護保険制度の導入を検討しておられましたが、きょう招集された臨時国会に介護保険法案も提出されるとのことであります。今後ますます高度化、多様化が予想される介護ニーズに、本県としても的確に対応する必要があり、社会福祉施策の一層の充実が県政の最重要課題の1つであることは御案内のとおりであります。
 このような中にあって知事は10月21日から9日間の日程で、福祉先進国と言われているデンマーク、イギリス、ドイツの3カ国を訪問し、社会福祉事情等を視察されてきましたが、まことに時宜にかなったものと思います。デンマークの在宅福祉は世界一と言われておりますが、ボーゲンセ市では本県出身で日欧文化交流学院校長の千葉忠夫先生の御案内をいただき、市長さんを訪ね、同市の社会福祉政策や高齢者福祉の現状について説明を受け、さらにデンマークにおける社会福祉の歴史的背景等を学び、また、ロンドンやデュッセルドルフ市では有料老人ホームとデイサービスを組み合わせた高齢者複合施設を視察するなど、精力的に各地を回ってこられたようでありますが、本県における福祉サービス提供基盤の一層の充実のためには学ぶべき点も多かったことと思います。今回の視察の成果について、知事の忌憚のない御所見をお聞かせ願います。
 振り返ってみれば、知事は就任以来4度海外に出かけておられます。寸暇を惜しまず公務に精励され、しかも機会があれば、あるいは必要があれば、いつでも、どこへでもちゅうちょせずに出向いていかれる知事の積極性、若さに満ちた行動力に県民は好感を持ち、大いに期待しており、県政や知事の動向にも絶えず関心を寄せております。ことし納めの12月議会でもありますので、この際、過去4度の海外事情視察を振り返りながら、その主な成果なり課題なりを改めてお話し願いたいと思います。
 次に、エネルギー開発利用の取り組みについてお伺いいたします。
 エネルギーは国民生活や産業活動の基盤をなすものであり、その供給の確保は我が国経済の安定的発展のために必要不可欠であります。我が国では、1次エネルギーの8割以上を輸入に頼っており、その大部分が石油でありますが、石油供給における中東への依存度が高まるなど、現状におけるエネルギーの供給構造は極めて脆弱なものとなっております。また、エネルギー需要は生活水準の向上やオフィスのOA化、モータリゼーションの進展等を背景として民主、運輸部門を中心に、今後とも堅調にふえ続けていくものと予測されております。国際的に見ても、アジア地域などの発展途上国を中心にエネルギー需要の大幅な伸びが見込まれており、中長期的にはエネルギーの安定供給が懸念される状況にあります。このような中で、電力需要も、省エネルギー対策の着実な進展による減少要因を踏まえても、なお中長期的には確実に増加していくものと見込まれており、長期的展望に立った安定的な電力供給の確保が切実な課題となっております。さらに、地球環境問題への対応が国際的に重要視されている今日、エネルギー消費と密接に関連する二酸化炭素排出等の解決に向けた取り組みも必要で、これも我が国におけるエネルギー施策の重要な課題の1つであります。すなわち、我が国のエネルギー問題は、いかに安定供給を図っていくかということと、どのようにして二酸化炭素の排出を減少させていくかということの2点に集約されてくるのであります。
 また、国においては、エネルギーの安定供給の確保や地球環境問題の対応などから、平成6年12月に新エネルギー導入大綱を閣議決定し、新エネルギーの積極的な導入に努めておられますが、本県でも当然そのようなことを念頭に置きながら、エネルギーの開発利用に積極的に取り組んでいかなければなりません。かねてより通産省の外郭団体である新エネルギー・産業技術総合開発機構が雫石町国見地区を風力開発フィールドテスト事業対象地域に選定しており、雫石町と風況精査に関する契約を結ぶなど、いよいよエコエネルギー開発の動きも見え始めてきておりますし、県の地熱熱水開発利用促進検討委員会でも地熱熱水造成コストの低減化などを協議していますが、このような資源制約が少なく環境負荷の小さい太陽や風力などの新エネルギーや地熱エネルギーの導入を、より積極的に促進していくべきではないでしょうか。本県における電力エネルギーを中心としたエネルギー開発利用の取り組みについて、今後の見通しを含め詳しく御説明願います。
 次に、第18回日本文化デザイン会議97岩手についてお伺いいたします。
 今年度は、宮沢賢治、石川啄木の生誕記念事業や地域伝統芸能全国フェスティバル、全国農業青年交換大会などが次々に開催されました。ことし最後の全国大会となりました第6回食文化交流プラザ、食パラダイス岩手96も4日間の開催期間中に50万人余の入場者を集めるなど、大成功に終わっておりますが、ことしもまた多くの来県者を迎え、本県に対する関心を全国的に高めることができた年であったと思います。この流れを来年に引き継ぎ、継続して多くの人々に本県を訪れていただきたいものであります。そのためには、やはり各種イベントを連続して開催しなければなりません。幸い、来年度は第18回日本文化デザイン会議97岩手や、第7回全国和牛能力共進会、第17回全国豊かな海づくり大会などが予定されております。これらイベントの効果が最大限に生かされるよう期待するものであります。
 さて、来年5月30日から6月1日までの3日間盛岡市で開催される日本文化デザイン会議97岩手は、黒川紀章さんが代表を務める日本文化デザインフォーラムと、地元自治体を中心とする開催地実行委員会が共催して行うもので、多彩なジャンルの専門家を初め、海外から招いたゲストパネリト等が一堂に会して、未来のことからごく身近な生活のことまで、いろいろなことを題材に語り合い、交流するもので文化のお祭りとして高く評価されているシンポジウムと聞いております。いろいろな専門家の生の声を聞きながら、最新の情報を得る絶好の機会であり、また、情報化社会の中で人と人とがストレートに情報交換することの有効性からしても、まことに時宜を得た会議であると思います。主催団体である日本文化デザインフォーラムのメンバーは、各分野の第一人者ぞろいでありますから、そうしたメンバーと県民が直接交流できるということは、本県の活性化のために格好の起爆剤となるものと大いに期待しておりますが、それにしても何か1つ盛り上がりに欠けているような気がしてなりません。去る10月27日の日本文化デザイン会議96岐阜の閉会式の席上、岩手会議のテーマとシンボルマーク、そして第1次ポスターが発表されました。会議のテーマは、もの∞かたり、シンボルマークと第1次ポスターは、二戸市ゆかりのグラフィックデザイナー福田繁雄さんのデザインによるもので、そのポスターは既に各地へ送付されていると聞いておりますが、それにしても余り目につきません。来年2月にはプログラムの発表、第2次ポスターや第1次リーフレットの発表と続き、チケットの発売も開始される等々スケジュールがびっしりと組まれておりますが、大丈夫でしょうか。来年度早々の事業でもありますから、県としては組織的にも予算の面でも万全の体制を敷いて準備を進めているとは思いますが、現在の進捗状況とその会議に向けての抱負をお聞かせ願います。
 次に、老人保健施設の整備についてお伺いいたします。
 老人保健施設は、病状安定期にある主に70歳以上で寝たきりやそれに近い状態にある者、または痴呆のあるお年寄りなどが、リハビリを受けるなど家庭復帰できるための自立を支援する施設でありますが、先般発表された老人保健施設調査によれば、平成7年10月1日現在の本県における老人保健施設の開設数は、前年対比2施設増の23施設であり、入所定員数は1、988人で238人の増となっております。1施設当たりの入所定員は86・4人で、規模としてはほぼ全国平均並みでありますし、65歳以上の人口10万人当たり定員数で見ても、本県は全国平均を上回っております。また、デイケア定員も全国平均を上回っており、施設の整備は順調に進んでいるものと評価する次第であります。県では平成6年に策定した岩手県高齢者保健福祉計画の中で、平成11年度までに老人保健施設を4、400床整備するとしておりますが、現在の目標に対する進捗状況と、その達成の見通しについて御説明願います。
 また、高齢化の進展に伴って寝たきりや痴呆の高齢者が急速に増加することも予想されますが、こうした高齢者の方々の医療サービスと日常生活サービスをあわせて提供する老人保健施設の果たす役割は、今後ともますます大きくなっていくものと思います。そこでお伺いいたしますが、高齢者保健福祉計画に掲げる施設の整備目標達成後においても、さらに一層その整備充実を図っていく必要があると考えますが、今後の基本的な考え方や見通しについても御説明願います。
 次に、交通事故防止対策についてお伺いいたします。
 昨年、全国における交通死亡事故による死者数は1万679人となり、8年連続して1万人を超えてしまいました。本年6月には、戦後における事故の死者数が50万人にも達し、また、岩手県においても既に6、000人を超えたと報じられておりますが、まことに憂慮すべき事態であります。交通事故の恐ろしさ、悲惨さには想像以上のものがあり、単に加害者、被害者のみならずその波紋は双方の家族はもちろんのこと親類までにも及び、社会問題へと発展することさえあります。県内の交通死亡事故は、5年連続して減少してきた昨年までの状況から、一変して増加傾向に転じており、去る10月11日には、昨年に比べて1カ月以上も早いことし100人目の交通事故死者を出しております。さらに、10月14日午後10時現在の死亡者数が106人と、前年同期比27・7%の増であり、全国ワーストワンの増加率とも当時報じられております。
 県交通安全対策協議会と県警本部は、早速各市町村と各署長に対して抑止対策を実施するよう緊急通達を出しておりますし、21日から実施された夜間の交通事故防止県民運動では、高齢者の事故防止を第1の目標に掲げて積極的に活動しております。
 また、交通事故死亡者数年間1万人以下の抑止策を展開中の警察庁では、11月18日に全国の警察本部に対して次長名で、実に13年ぶりという緊急通達を出し、機動隊を動員するなど強力な抑止策の実施を呼びかけておりましたが、残念ながら本県では、11月20日に昨年1年間の死者数と同数の119人となってしまい、翌21日には120人を超えるに至っております。ことしの事故の特徴は、昨年と同様、高齢者の死亡事故が多く、夕方から夜にかけて、しかも道路横断中に犠牲となっているようであります。
 また、相変わらず青少年ドライバーが原因となっている事故も多く、スピードの出し過ぎからハンドル操作を誤り、電柱などに衝突するとか、夜間に歩行者をはね飛ばすという無謀運転が多いとのことであります。今後とも車両台数や運転免許所持者の増加に加え、高齢化や週休2日制の浸透、夜型社会への移行とかライフスタイルの変化などから、交通事故のますますの増加が懸念されております。交通事故防止という大きな命題は、単に警察だけでは対処できるものではなく、道路や交通安全施設、交通安全教育、さらには、交通指導取り締まりという、いわゆる3Eの原則が有機的かつ総合的に結びついて効果を上げるものと認識した上で、警察本部長にお伺いいたしますが、最近の交通死亡事故の特徴やその原因を分析した結果から見た警察としての事故防止対策について御説明願います。
 さて、私は平成3年の6月議会定例会から、既に8回一般質問の機会をいただき登壇しておりますが、その都度、毎回のように観光問題を取り上げております。観光客の誘致拡大策、大型イベントの誘致、広域観光宣伝の展開、国際観光の振興等々、時には提言を交えながら質問してきましたが、今回は観光立国への提言に関してお伺いいたします。
 去る9月25日、新潟県を含む東北7県の経済同友会が、秋田市で開催されたブロック会議において、21世紀に東北が豊かな地域として発展するための方策として観光立国への提言を決議しております。この提言において、東北地域が独自の発展を遂げていくための可能性を探ると、その方向性として、1つは先端技術基盤の確立であり、もう1つは観光立国を目指すことであるとしております。
 また、観光による効果として人、物、金、情報の移動は地域の所得の増加につながる、地場産業などへの2次的波及効果についても多大なものがあり、観光は所得と雇用を拡大し、地域経済を活性化するための大きな役割を果たすとしており、地域の自然や文化、歴史などを資源として活用することで、住民の郷土愛の醸成にもなると、観光の効用を挙げております。この東北ブロック会議の決議を受けて、新潟県を含めた東北7県の各経済同友会が、それぞれ各県の知事に対して、提言の実現に向けての取り組みや7県が足並みをそろえた観光立国の宣言を要望しており、岩手経済同友会でも先月初旬、知事あて要望したと伺っております。私は、この経済同友会からの提言が早急に行政に反映されることを強く望むものであります。
 本県における平成7年の観光客入り込み数は約3、936万人回、観光消費額では約3、900億円と推計されており、既に観光は第1次産業をしのいで、今や第4次産業と言われるほど大きな産業へと発展し続けているのであります。そこで、お伺いいたしますが、このたび岩手経済同友会から要請されました観光立国の提言に対する取り組みについて、県はどのように考えておられるのか。また、本県の経済や地域の活性化に大きな役割を果たしております観光について、今後どのようにしてその振興を図っていこうとしておられるのか、基本的な考え方と具体的な取り組み方向について御説明を願います。
 次に、新県立図書館の建設場所についてお伺いいたします。
 新県立図書館の建設候補地について教育長は、盛岡市内の県有地を中心に複数の用地を検討しているが、教育委員会としては現在の県立図書館が立地している岩手公園敷地が歴史的経緯や交通アクセス、周辺環境の面などから、また、視聴覚障害者情報センターの整備などをあわせて考えると、現時点では最優先の用地と考えており、今後、盛岡市等関係機関と調整を図りながら、できるだけ早く図書館の整備計画を策定していきたい旨7月1日の福祉文教常任委員会で答弁されたと聞いております。だそうでありますが、そのとおりでありますね。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、9月議会定例会でも、小野寺好議員の質問に対して、図書館の建設場所でありますけれども、県教育委員会としては、今まで30年間、極めて安定的に設置されていた環境のよい現在地を最も有力な候補地と考えていると答弁されております。
 さて、去る9月23日の岩手日報紙記者ノートには、県立図書館の全面改築の件が取り上げられており、再考の要因多い現在地案と、県教委案の再検討を求めております。盛岡市議会の全員協議会でも、岩手公園内の現在地建設案には反対の声が強く、市当局も現在地の敷地からはみ出すような建設計画には消極姿勢であり、このままでは事態の打開は困難なので、市は代案提示を検討しているとあります。現在地での全面改築となれば市民の憩いの場となっている芝生公園を削減されるおそれがあり、また、約3年の工事期間中は休館とせざるを得ず、しかも盛岡市の再開発上マイナスとなるともあり、将来展望に立って県教委と盛岡市は駆け引きのない、県民本位の立場で協議し円満に決着を図ってもらいたいと結ばれております。その後も同紙には郊外よりは市街地にとか、県民の利便性を考えるなら市街地は無理とか、賛否両論の投稿が掲載されるなど、県民の声もさまざまであり、多くの人々の強い関心を呼んでおります。
 ところが、去る11月16日の一部新聞によれば、盛岡市から県教委に対して、市議会内には現在地で現在の規模以上の拡充整備には反対との声が多く、拡充によって公園の緑地が少なくなったり、景観への影響が出るような計画では困るとして反対の意思を明確にし、計画を練り直すように県教委に申し入れたと報じられておりました。私は、県と市がもっともっと前向きに、より積極的に県民本位の立場で協議検討すべきと思いますが、このような状況で12年度までに着工、14年度開館は大丈夫でしょうか。そこでお伺いいたします。県教委は、8月22日に盛岡市教育委員会と同都市計画部に現在地での整備の考え方を示し、市の意向を尋ねていたはずでありますが、どのような検討を依頼したのでしょうか。また、盛岡市からの回答はどのような内容だったのでしょうか、御説明願います。盛岡市では代案を示す用意があるとも表明していますが、県としては今後どのような取り組みをするお考えなのか、あわせてお伺いいたします。
 最後に、行政機構再編整備案と政府予算統一要望について若干お尋ねいたします。
 20年前の千田県政による企画調整部の新設や10年前の中村県政による地方振興局の整備に匹敵する大胆な組織改革案が19日発表され、本議会で本格的に論議されるわけでありますが、これは高齢化や地方分権化が進む中で、多様化する県民ニーズに的確に対応し、しかも簡素で効率的な行政運営を目的とするものであり、本庁の組織は従来の4部内室67課17室の88の組織から、2部内室68課5室の75組織に再編されることとなっております。また、地方振興局の機能を強化して地方分権と住民へのより高度なサービスの提供を目指すとしており、従来からの土木事務所と保健所は地方振興局に統合され、土木部、保健福祉環境部として新設されるわけでありますが、要は、実効性の伴う改革でなければならず、やる以上ははっきりと成果の上がるように断行すべきであります。改めて県版行革にかける知事の決意のほどを御披瀝願うものであります。
 さて、11月15日に知事初め県の執行部と議長ほか10人の議員が議会を代表して97年度政府予算統一要望のために上京され、各省庁を回って陳情してきたのでありますが、従来慣行となっていた知事と閣僚との面会はことしも実現せず、新進党県政の悲哀を感じさせる形となったと報じる紙面もありましたし、知事が大臣と面会できなかった点を引き合いに出して、行政の責任者として特定政党の候補者を支援することは県民の不利益にならないのかなどと知事を追及する質問もありました。
 一方、11月28日の朝日新聞天声人語には、自民党の役員会で総選挙で特定の新進党候補を推した知事からの陳情など受けるべきではないといった声が相次ぎ、予算は自民党議員が多いところに重点的に配分すべしとの方針を確認したそうだ。国会議員とも思えぬ無節操な報復、その粗雑な云々とあり、3年前までの長期政権の時代と同じく傲岸不遜な姿勢に戻りつつある出来事だとありましたし、また、前日の日本経済新聞ほか数紙には、自民党内には10月の総選挙で新進党などに敗れた地域の予算を削り、同党が勢力を伸ばした地域を優遇すべきだとの議論が台頭してきたが、特定の地域を優遇すれば露骨な利益誘導政治を招く結果になりかねない云々と自重を求めておる記事もありました。知事の、いろいろな批判、意見に対しては謙虚に耳を傾けるという姿勢を了とするものではありますが、私は今までどおり知事は自分の信念に従って堂々と県民の先頭に立ち、県勢発展のため、県民の福祉向上のために邁進すべきであると思いますが、この際、知事の御所感をお聞かせ願います。
 以上で私の一般質問を終わります。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 折居明広議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、欧州社会福祉事情等視察の成果についてのお尋ねでございますけれども、今回の視察におきましては、デンマーク、イギリス、ドイツの3カ国の老人福祉施設を中心に視察をいたしまして、また、地方公共団体関係者からもお話を伺ってきたところでございます。また、今、議員が御指摘ございましたとおり、デンマークでは、本県出身で、デンマークで福祉の分野におきまして長年にわたり活躍しておられます千葉忠夫氏から御説明をいただきますとともに、ロンドンの岩手県人会などにも出席をしてまいったところでございます。
 まず、デンマーク、イギリス、ドイツいずれの国ともそれぞれの施設におきましては、入居者個々人の生活に重きを置きました個室が原則となっておりまして、各個人の部屋におきましては、自分の従来からの住居とほぼ同じ感覚でその中で生活ができますように、自分の愛用品などを自由に持ち込めるなど、インテリア等の面でできるだけ在宅福祉に近づけたいという観点から、さまざまな配慮がなされているというところが特に印象的でございます。
 北欧諸国ではいずれの国におきましても、いわゆる高福祉、高負担という考え方に基づきまして、50%ないし60%の国民負担率の中で、現状のサービス水準の維持向上に大変積極的でございます。ホームヘルプを中心といたしまして、市町村やコミューンが主体となりまして、それぞれの地域の特性や一人一人の要援護者のニーズに配慮したきめ細かな福祉サービス、あるいは日常デイサービスなどの展開が図られてきているところでございます。
 また、近年、介護保険制度、これを導入いたしましたドイツでございますけれども、施設に入所する場合の要介護度認定--この個々人に対します要介護度認定についてでございますけど--これにつきまして、制度移行時の問題点などにつきまして、施設関係者からさまざまなお話をお伺いしてきたところでもございます。
 御承知のとおり、我が国におきましても、介護保険制度の導入を初めといたしまして、大幅な福祉関係の制度改革が近々に予定をされておりますけれども、こうした制度改正の中で地方自治体の果たす役割というのは極めて大きいところがございます。こうした動向に的確に対応するためにも、今回の視察から学ぶ点は多々あったものというふうに考えておりまして、こうした成果を生かしながら、特に市町村とも十分に連携をとりながら本県福祉の一層の向上に努めてまいりたいと、このように考えております。
 次に、知事就任以降の海外事情視察の成果と課題というお尋ねでございますけれども、私は、本年3月に経済社会情勢の変化を踏まえまして、7つの視点に留意をして、第三次岩手県総合発展計画の後期実施計画を策定したところでございます。この中で、国際的視野に立った地域経済の構築や創造性と、国際感覚に富み社会の変化に柔軟に対応できる人材の育成といった、この国際化の進展に対応した視点を掲げたところでございます。
 本県におきましては、いわて青年海外セミナー、農産物海外マーケット展開事業など、多方面にわたりまして国際化の推進事業を実施しているところでございますが、私としましては、機会が得られる限り、こうした事業にも直接に出向いたりいたしまして、あるいは我が国とかかわりの深い国や先進的な施策などに取り組んでいる国々の事情を直接調査してまいりたいというふうに考えております。
 以下、海外出張しました順に申し上げますと、まず、昨年の11月にロサンゼルスにおきまして、農産物のアンテナショップの開催を行ったわけでございますけれども、この際に地元トーランス市長さんを初めといたしまして、行政機関、そして流通関係の皆様方に数多くお会いをいたしまして、直接御協力と御支援をお願いをしてきたところでございます。現在、ほぼ1年が経過をしたところでございますけれども、現地でも多くの日本食が出回っている中でのアンテナショップの開催ということでございましたけれども、本県からの出展品はすべてが本場のものということもございまして、当地に数多くおります在留邦人、日系人などを中心といたしまして大変好評を博しているところでございます。
 私は、この農業の国際化が進行する中で、県産農産物などの海外販売、展開ということは、農業者や食品製造業者が直接に複雑な流通の仕組みを学ぶ機会ともなるということもございます。また、その生産意欲の向上にもつながると、このように考えておりまして、大変大きな意義を持つものと、こういうふうに認識をしております。今後とも、こうした県産品の販路の拡大につながるように多彩な販売展開に努めていきたいと、このように考えております。
 次に、本年1月に実施をされましたいわて青年海外セミナーでございますけれども、これは本年が事業初年度ということでございましたので、総団長という形でシンガポール、そしてマレーシアの2カ国を訪問いたしまして、セミナー参加青年とともに現地青年などと交流を行いましたほか、関係の団体や政府機関を訪問いたしまして、本事業の受け入れに対しまして、私ども岩手県を代表いたしまして感謝を申し上げますとともに、今後のこれからの事業展開についての協力を要請してきたところでございます。こうしたセミナーの実施が訪問国との友好親善を図る1つの契機にもなるわけでございますし、また、こうした機会を通じて海外研修での貴重な体験が参加をいたしました青年たち、青年リーダーの養成に有益なものであると、このように考えているところでございますので、今後ともこの本事業の青年海外セミナー事業の充実に努めてまいりたいと、このように考えております。
 次に、本年4月にオーストラリア、ニュージーランド南半球の2カ国の農業事情調査に行ったわけでございますけれども、いずれの国、両国とも、近年農産物の輸出につきまして、従来は英連邦の加盟国ということで、イギリス--英国一辺倒ということであったわけでございますが、近年これからの転換を余儀なくされていると、こういう状況でございまして、我が国日本に対します輸出拡大の期待は大変大きいものがあると、このような状況でございます。
 特に、両国とも南半球で我が国とちょうど気候が正反対ということがございます。米や花卉、リンゴなど、日本への端境期出荷などを目指して、現在新しい米の品種開発、さらには、大規模な飼養管理方式によります牛肉の生産に大変意欲的に取り組んでいるところでございます。将来的に我が国農業も少なからぬ影響を受ける恐れがあるのではないかと懸念もしているところでございます。本県として、このような状況なども考慮に入れまして、多様化する消費者ニーズに的確にこたえ得るような品質のよい農産物の生産拡大によりまして、生産性の高い農業への再編を促進する必要があると、このように考えております。
 それから、最後の欧州社会福祉事情等視察については、さきに御答弁申し上げたとおりでございます。いずれも、4回とも大変有意義なものでございましたけれども、今後とも国際交流の推進を初めといたしまして、国際化の進展に対応した施策の推進に努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 次に、県版の行政改革にかける決意ということでございますけれども、この行政機構再編整備につきましては、本県が現在直面をいたしております高齢化、少子化などの課題あるいは地方分権など、時代の変化に適切に対応できる行政機構の構築と、こういうことを念頭に置きまして再編を行うこととしているところでございます。
 今回の行政改革は、一方で健全財政を堅持しながら、また、長期展望に立った施策展開にこたえ得る機動的でかつ効率的な行政執行体制の整備を図るということ、それからさらに、県民が行政に何を期待しているのかを十分に把握をし、県民に信頼され、公正でわかりやすい県政の実現を図ろうとするものでございまして、これも県民の皆様方の御理解と、そして十分な御協力をいただきながら行政改革を推進してまいりたいと、このように考えているところでございます。
 それから、政府予算統一要望を終えての私の所感ということでございますけれども、去る11月15日に県議会の方と一体となりまして、本県の重要な課題を関係省庁に要望してまいりました。本議会の中でも申し上げたとおりでございます。知事としての最大の使命は、常に140万県民の皆様が何を望んでおられるかということを的確に把握をいたしまして、それを着実にこの県政の上に反映をさせるということであると、こういうふうに認識をしているところでございます。したがいまして、この陳情の際にも、国の財政が例年に増して大変厳しいというようなことを感じたわけでございますけれども、特に地方にとりましては逆風下の状況ということではございますけれども、県政の責任者として常に県民の皆様方の先頭に立ちまして、本県の発展に全力を尽くしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長の方から答弁をさせますので、御了承をお願い申し上げます。
   〔企画調整部長武居丈二君登壇〕
〇企画調整部長(武居丈二君) 本県における電力エネルギーを中心としたエネルギー開発利用の取り組みについてでありますが、県民生活や産業活動の基盤をなすエネルギーの安定的な供給の確保と、地球環境に配慮したエネルギーの開発利用を進めることは、県といたしましても重要な課題であると認識しているところであります。
 本県におきましては、これまでも本県の地域特性を生かして、水力や地熱エネルギーなどの開発利用を促進してまいりましたが、水力発電につきましては電気事業用として34カ所稼働しており、最近におきましては県営松川発電所が運転開始したほか、さらに、大迫町に県営で12カ所目となる早池峰発電所の建設が進められているところであります。
 また、地熱発電につきましては、全国有数の豊富な地熱資源を活用し、我が国で最初の地熱発電所である松川地熱発電所や葛根田地熱発電所が稼働しておりますが、本年3月、葛根田地熱発電所2号機が運転開始したところであります。御指摘のとおり、国におきましては、二酸化炭素排出等による地球温暖化などの地球環境問題等への対応から新エネルギー導入大綱を定め、2010年を展望した新エネルギーの導入目標を設定し、新エネルギーの導入促進に向けたさまざまな施策を展開しているところであります。
 本県におきましても、このような情勢を踏まえ、全国に誇り得る豊かな自然環境を生かし、自然との共生を図りながら、クリーンエネルギーの活用を積極的に図っていくことが肝要と考えているところであります。このため、これまでソーラーシステムの普及促進を図るとともに、国の支援事業による住宅や公共施設への太陽光発電、下水熱を利用した地域冷暖房、電気自動車等の導入の促進に取り組んできたところであります。
 今後におきましては、本県の地域特性を踏まえ、引き続き水力発電や地熱エネルギーの開発利用の促進に努めるとともに、新エネルギーにつきましては、今年度からスタートしました岩手県地域新エネルギービジョン策定事業の中で、新エネルギーの賦存量や利用可能性を調査の上、その開発利用計画を策定し、このビジョンを指針として一層の普及促進を図ってまいりたいと考えております。
   〔商工労働部長佐藤孝司君登壇〕
〇商工労働部長(佐藤孝司君) まず、日本文化デザイン会議97岩手の進捗状況についてでありますが、現在、岩手会議中央実行委員を中心に、シンポジウムや展示会などの実施プログラムを作成しているところであります。また、地元といたしましては、実務者レベルを約80名で組織している実務委員会において、多くの県民に参加していただけるよう、広報宣伝、参加登録券の販売方法、関連事業について検討しているところであります。
 これまでに県、市町村、主要団体等での第1次ポスター2、000枚の掲出を行ったところでありますが、年明けからは事前イベントとして中央実行委員による連続的な講演会やテレビ、ラジオでの広告、インターネット、タクシーステッカー・商店街フラッグの掲示等による広報宣伝を積極的に進め、機運を盛り上げることとしております。さらに、岩手会議をより魅力のある意義深いものとするため、関連事業といたしましてデザインフォーラム会員による南部鉄器を用いたデザイン開発や、岩手と海外の芸能をジョイントさせたステージの創作など、岩手会議独自の取り組みを進めているところであります。
 また、この会議に向けての抱負についてでありますが、会議には文化、哲学、建築、デザイン、映像、評論など、多彩なジャンルの我が国のトップクラスの方々が100名以上も参加することが見込まれており、これら多彩な専門家と県民が会し、特定のテーマについて語り合い、交流し合うことから、県民との間に新たなネットワークの形成が期待できるものと考えております。したがって、会議後においても各方面での文化活動等が活発となり、本県の地域文化の創造や地域経済の活性化に弾みがつくことを期待しているところであります。
 次に、経済同友会からの観光立国の提言に対する取り組みについてでありますが、観光を切り口とし、東北各県が連携して地域の発展のために取り組むべきであるという提言の趣旨は、地域の交流拡大や活性化を図る上で大変重要なことでありますので、この提言を今後の観光施策に反映させるとともに、観光立国宣言につきましても、各県と協議しながら早期に実現できますよう取り組んでまいりたいと考えております。
 また、観光振興の基本的な考え方と具体的な取り組み方向についてでありますが、近年は家族やグループで地域と積極的に交流し、くつろぎながら心の豊かさを感じとることができる旅を手ごろな価格で求める傾向にあります。このため、地域の素材を発掘して新たなニーズに対応した観光コースを開発し、観光客の誘致拡大を図る必要があると考えております。幸い本県は、各地にそれぞれ特色のある観光資源が数多くありますので、地方振興局、市町村、観光関係者等と連携を図りながら、魅力ある観光地の形成に努めてまいりたいと考えております。
 また、観光宣伝におきましては、宮沢賢治や石川啄木をはぐくんだ風土、地域に伝えられてきた伝統芸能、伝統的食文化などの岩手の魅力を丸ごと売り込むことや、テレビやラジオ、インターネットの活用によって、岩手のよさを全国、世界に向けて情報を発信してまいりたいと考えております。さらに、旅行会社や航空会社とタイアップしながら、首都圏、関西圏及び九州などでの宣伝活動の強化や、観光客の落ち込む新緑シーズンと冬季における観光客の誘致拡大にも積極的に取り組むなど、観光振興の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) 老人保健施設の整備についてでありますが、本県では、これまで毎年おおむね4または5施設の整備が行われ、11月1日現在の開設済みの施設は31施設、2、662床で、これに現在整備中の施設を加えますと、平成9年中には合計36施設、3、163床が整備される見込みであります。これは、県高齢者保健福祉計画に基づく平成11年度における整備目標の4、400床に対して、着工ベースで約72%の進捗率となっており、若干地域的な不均衡は見られるものの、全体としてこれまでおおむね順調に推移しているものと認識しております。今後、さらに1、200床余りの整備が必要となりますが、整備率の低い圏域においても、具体的な整備計画に基づく協議を数カ所から受けている一方、国の整備方針に変化が見られることから、今後、国の動向を十分に注視し対応しながら、計画の達成に向けて鋭意努力してまいりたいと考えております。
 また、御案内のとおり、現在の本県における高齢者保健福祉計画は、国のゴールドプランに呼応して、平成11年までの計画として策定されたものであります。本県では、国を上回る速さで高齢化が進展しており、県といたしましては、今後においても老人保健施設は増加する要介護老人の家庭等への復帰の支援のため、さらに重要な役割を担うものと認識いたしております。
 国においては、その整備計画の目標年次である平成11年度以降の計画等については、今後、新たな公的介護保険制度の導入も踏まえて、サービスの必要量などを勘案し、改めて総合的に検討されるのではないかと考えており、県といたしましても、このような国における動向を見きわめながら適切に対応してまいりたいと考えております。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君) 新県立図書館の建設場所についてでありますが、教育委員会として最も有力な候補地として選定した現在地が都市公園内に位置し、史跡盛岡城址に隣接することから、都市公園管理者である盛岡市に対し、県立図書館の機能の拡充強化を図るとともに、ノーマライゼーション理念の実現という観点から視聴覚情報センター等との複合施設化を検討するため、現在の図書館管理地の敷地規模約6、000平方メートルの範囲内で建設し、高さも周囲の樹木を越えない範囲に抑さえ、できるだけ地下部分を活用した構造にするなど、都市公園機能の維持や周辺の景観にも配慮した整備を進めるとの考え方を示し、盛岡市の意向を聞いたところであります。
 これに対し、先般、盛岡市から現在地での建設について法令上は特段問題がなく、公共交通機関等の利便性もすぐれているが、市民の憩いの場となっている芝生広場の減少や史跡景観への影響が懸念されるとして、現在の図書館の規模を超える施設には同意できないという意向が示されました。
 今後の対応についてでありますが、30年前の施設規模ではやはり不可能であることと、現時点で県立図書館に併設を検討している視聴覚情報センターについて、障害者団体から現在地での建設を期待されていることを勘案し、関係部局と協議しながら早急に検討しなければならないと考えております。
   〔警察本部長池田克彦君登壇〕
〇警察本部長(池田克彦君) 交通死亡事故の特徴と事故防止対策についてでございますが、昨年の交通死亡者は119人と、最近10年間のうちでは最も少ない数でございました。しかしながら、本年は6月ごろから増加傾向を示し始め、昨日現在では122人と、昨年に比較して12人増加するという、まさに憂慮すべき状況にございます。御指摘のとおり、現在、全国警察が年間の死者数を1万人以下にするということを目標に総力を挙げているところでございまして、県警察といたしましても、死亡事故抑止を最重点課題として、危機意識を持って取り組んでいるところでございます。
 本年の死亡事故の特徴でございますが、昨年は国道4号線対策を強化することによって大きな成果を上げたわけでございます。本年も同様の手法を取りまして、さらに指定路線をふやして、その結果、昨年以上の成果を上げているわけでございますけれども、一方、死亡事故が指定路線の周辺地域に拡散するという傾向が出てきております。これが死亡事故の総数を押し上げる結果となっているわけでございます。そこで、現在強化対策を指定路線のみならず、その周辺地域にまで広げて実施し対処しているというところでございます。
 次に、これは本年だけではないわけなんですが、本県は、死亡事故率が全国に比べまして著しく高いということがいえようかと思います。全国平均の大体2倍でございます。東京都、神奈川あたりに比べますと、4倍から5倍という率になっております。特に本年は、昨年に比してこの率が高くなっております。この原因につきましては幾つか挙げられるかとは思いますが、1つは高齢者事故が多いという点があろうかと思います。そこで関係団体等と連携しつつ、機会をとらえた高齢者の安全教育、あるいはシルバードライビングスクールを実施するとともに、視認性の高い安全施設を整備するとか、あるいは夜光反射剤、これの普及にも力を注いでいるところでございます。
 死亡事故率の高いもう1つの理由としましては、県下の車の実勢速度、これが極めて高いということがいえようかと思います。これは、交通事故総合分析センターの分析においても指摘を受けております。そこでこのような実勢速度を押さえるべく、警察官の街頭活動を活発化するとともに、指定自動車教習所等においても、安全意識の高揚を図るように指導に努めているところでございます。
 警察といたしましては、このほか道路管理者と共同歩調をとりながらの交通環境整備、あるいは各自治体とタイアップした広報活動等を実施しているところでございますが、今後とも地域の交通安全対策協議会等と連携を図りつつ、死亡事故抑止に努力してまいりたいと、こういうふうに考えております。
〇14番(折居明広君) もう1度行政改革に関して、私の見解を交えながらお伺いいたします。
 行政改革の一翼をなす県の行政機構再編整備(案)につきましては、既に、本議会で先輩、同僚議員がさまざまな角度から質問しており、基本的問題点等については既に明らかになってきておりますが、私は、いかなる改革も事に当たるものすべてが正しい認識のもとに、常に県民世論を喚起しながら不断の努力を傾ける必要があるというふうに思っております。
 特に、行政改革を進めるに当たって重要なことは、改革はあくまでも手段であって目的ではないという素朴な認識を持ち続けることと、また、直線的考え方ではなく包括的な視点に立つこと、さらには、いかに時代を先取りしたすばらしい行政システムをつくっても、この機構を十二分に機能させるためには、組織を動かす人材の適正配置にも留意しなければならないということであります。もとより、行政改革のねらいは、究極の地方自治の確立、すなわち、自主、自立の精神に立脚した地方主権を確立することであると思います。国と地方の関係を対等、平等の立場にする努力が必要であるとの観点から、例えば国の派遣人事のあり方、特に副知事2人制の問題については、本会議での質疑を含め、これまでさまざまな角度から、たびたび議論があったところであります。例えば、増田知事就任以来の最近の状況を見ましても、平成7年6月27日における山内議員、佐藤啓二議員、平成7年6月29日における佐藤正春議員、菅原温士議員がそれぞれ一般質問で取り上げております。行政改革は終わりのない課題でありますし、これまでの教訓にかんがみれば、初動の段階で一定の成果を上げなければ低調な結果に終わるということが証明されております。新しい制度には新しい血を通わせる必要があります。この際、副知事2人制にかかわる議会のこれまでの論議と方向性にも考慮しながら、行政改革に関する諸課題を可能な限り調整し、新体制にふさわしいスタートとしなければならないと思います。
 もう1点、特に今議会の論議を通じて私なりに感じたことでありますので、皆様に批評を問うつもりで申し上げてみたいと思います。すなわち、岩手県の統一要望項目の性格と議会とのかかわりについてであります。今般、統一要望に関して、知事が大臣に会えなかったとか、県当局の努力が足りなかったとか、県からの依頼がなかったので動かなかったとか、さまざまな論議がありましたが、いずれも本質の議論ではないと思います。大事なことは政府に対する岩手県の知事名による要望であるとともに、県と対等の関係にある、岩手県議会議長名による要望であるということであり、これをいかに大事に伝え、成果を上げるかということであるのではないでしょうか。私は、議員の1人として思うのでありますが、県の執行部が、大臣との面会時間を取りつけることよりも、我々の代表として上京した議長が、どのようにして大臣に要望を伝えるかということに努力すべきであり、その責任は、議会を構成する議員全員に帰属するものと認識いたしますが、いかがでしょうか。県民の負託を受け活動している県と対等の立場にある県議会でもありますので、政府・与党の中心を担う自由民主党会派の議員におかれましては、さまざまなルートを駆使していただき、議会を代表する議長が大臣に面談できるように、ぜひとも取り組んでいただきたいものと念願するものであります。
 きょうの朝刊各紙を見ますと、きのう自由民主党県連は直接知事に対して、明年度の予算編成に向けた要望書を提出したとのことであります。まさに、双方ともノーサイドの精神を発揮されております。それこそあるべき姿であり、この記事をお読みになった多くの県民も称賛の拍手を心から送っているはずであります。原点に立ち返り、議会の何たるかを見詰め直し、県民の負託にこたえる義務があることを、議員1人1人が再確認するべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 以上、2点申し上げましたが、あえて今この場での御答弁は必要といたしませんが、私の意図するところを御理解くださいますようお願い申し上げ、要望にかえさせていただきます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
   日程第2 認定第1号平成7年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第32 議案第19号市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例まで
〇議長(堀口治五右衛門君) この際、日程第2、認定第1号から日程第32、議案第19号までを一括議題といたします。
 議案第17号から議案第19号まで、以上3件について、提出者の説明を求めます。大隅総務部長。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) 本日提案いたしました各案件について御説明いたします。
 議案第17号は、平成8年度岩手県一般会計補正予算であります。これは、一般職の職員及び市町村立学校職員の給与改定等に要する経費として、総額24億4、700余万円を補正しようとするものであります。歳出の補正に充てる財源は、国庫支出金5億1、300余万円などであります。
 議案第18号は、一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でありますが、これは、国の例に準じて、一般職員の給料月額並びに初任給調整手当、扶養手当、通勤手当、宿日直手当及び寒冷地手当の額を改定する等所要の改正をしようとするものであります。
 議案第19号は、市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例でありますが、これは、一般職の職員と同様に市町村立学校職員の給料月額等を改定し、並びに管理職手当の支給割合を引き上げる等所要の改正をしようとするものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
〇議長(堀口治五右衛門君) これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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