平成8年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇42番(山内隆文君) 自由民主党の山内隆文であります。
 私は、増田知事のもとであっても、すべての県民がひとしくその利益を享受し得る県政であり続けることを願いながら、以下、順次質問をいたします。
 まず、県の行政機構の再編整備について3点伺います。
 このたび提出された行政機構の再編整備案の主なる柱は、1つ、保健医療部門と福祉部門を本庁、出先とも統合して一体的に推進できる体制の整備、2つ、地方分権時代に向かって地方振興局の総合性、自己完結性を高めるための保健所、土木事務所の振興局への統合と企画振興部門の強化、3つ、同じ観点からの本庁の企画部門への地域振興施策の一元化などであります。また、縦割りの壁をできるだけ低くし、横断的、機能的な行政運営をねらいに、本庁各部の課、室で類似事務、関連事務の移管統合を進め、現在の88カ室を75に整理統合するという昭和51年以来の大幅な組織改革となる予定であります。県当局のこうした取り組み姿勢と努力を大いに評価したいと思いますが、機構改革の主目的を実効あらしめたいとの願いから、以下、伺うものであります。
 第1点は、県政推進の基本命題である県土の均衡ある発展、地域格差是正の考え方、特に県北沿岸地域の振興について、今次の再編整備はどのような考え方で臨まれたのかお示しいただきたいと存じます。先ほどの答弁で一定の考えが示されたところでありますが、例えば、新たな企画振興部内には地域政策課と課内室である特定地域振興室及び総務部から移管となった市町村課が設置されるようでありますが、これら3課室の連携を含め、地域格差是正という観点にどのように留意してどのように運営していこうとしているのかお示し願いたいと存じます。
 また、地方振興局の機能強化を実効あるものとするためには、地方振興局への権限委譲と財源の確保が不可欠であります。どのような権限委譲をお考えか、さらには、地域活性化事業調整費の増額とそれの使途の見直しの必要性について御見解を賜りたいと存じます。
 第2点でありますが、保健医療部門と福祉部門の再編及び統合後の保健所についてお伺いをいたします。
 本県における地域保健を取り巻く状況は、急速な高齢化の進展、少子化の進行、疾病構造の変化などにより著しく変化していることは御承知のとおりであります。このような中にあって、明年度に全面施行される地域保健法には、広域的、専門的、技術的拠点としての保健所機能の強化がうたわれており、今次の再編整備に際しましてもこの点を留意しながら進められるべきものと存じますが、まずはこの点についての御見解をいただきたいと存じます。また、保健所の業務は、母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事業はもとより、エイズ、結核、性病、その他伝染病の予防及び精神保健対策、難病対策など、医学上の専門的知識なしには行い得ないものが多く、加えて、緊急な判断を要する食中毒、急性伝染病などに対応しなければならないことから、所長が医師であることが求められてきたと承知しているのでありますが、再編後の所長の地位並びに権限をどのように考えているのか。そしてまた、次長級とされる技監たる所長の権限と局長との関係をどのように整理するのか、緊急対応が求められている場面での即応体制は確保されるのか、以上、明らかにしていただきたいと存じます。
 また、同様の視点から、再編後の本庁の保健福祉部長には、これまでの環境保健部長と同様に医師であるべきとの意見に対し、どのような見解をお持ちかお示し願います。
 次に、両部門の再編整備に当たり、関係諸団体に対する説明、話し合いがなされ、理解を得られているのか確認をさせていただきたいと存じます。
 保健所に関する最後の質問でありますが、岩手保健所は盛岡保健所に統合、廃止されるわけでありますが、岩手保健所管内は5市町、約1、700平方キロメートルと広大であります。住民サービスの低下や緊急時の対応が心配されますが、この対策についてお示しいただきたいと存じます。
 機構改革に関する第3点は、土木事務所の地方振興局への統合問題についてであります。
 統合問題が提起されたときに指摘された事項の中に、道路や河川の整備、管理は所管地域を超えてなされる場合が多く、その調整は本庁たる土木部と出先機関たる土木事務所が一体となって行ってきたが、統合により、一元的整備、管理がなし得るのかというものがありました。地方振興局の枠を超えて対策を講ずべき公共土木施設の整備について、今後どのように対応される予定なのかお示しいただきたいと存じます。
 また、災害の発生など、緊急時には地域住民の生命、財産を守るため、臨機応変に対応し得る体制の構築が求められるものと思いますが、統合により、的確かつ遅滞なき対応が担保されるのか、御所見を伺いたいと存じます。
 次に、病原性大腸菌O-157対策についてお伺いをいたします。
 盛岡市の緑が丘小学校で発生した病原性大腸菌O-157集団感染は、9月27日の発生以来、1カ月ぶりの10月29日、待望の終息宣言が出され安堵したところであります。一方、その原因については、施設構造、食材の取り扱いなど複数の要因が絡まり、調理過程で汚染されたとの最終報告案が示されています。学校給食施設の衛生管理については、先般の9月議会で同僚議員が取り上げましたように、岩手行政監察事務所が実施した地方監察の結果、県内の学校給食施設の大半が定期検査をせず、お寒い衛生管理意識と指摘され心配されていたところであります。また、文部省では、夏休み終了後の学校給食の再開に当たって、厚生省と連携を図りながら、O-157対策として、学校給食における衛生管理と食中毒の予防に万全を期するとしておりました。その矢先における本県での発生であります。今回の集団感染を契機として、これまでの対策の見直しが求められるものと考えます。施設の不備が指摘されておりますし、その後イエバエから病原菌が発見されるなどする中で、現状をどのように認識し、予算措置を含め今後どのように対応しようとしているのか伺います。
 次に、O-157対策に関連して、食生活の改善と児童生徒の内蔵器官の発育状況について伺います。
 同じ学校給食を食べながらも、発病する子と発病しない子がありました。腸内細菌、それの活発な子とそうでない子の違いがその原因の1つと言われております。子供たちの体格や運動能力についてのデータは相当蓄積されてはおりますが、内蔵器官の発育状況に関するデータの蓄積については見逃されてきたように思います。体位の向上と健康の保持増進にとり、最も重要な内蔵器官の発育状況について、もっと関心を寄せるべきであったと思います。内蔵器官の発育状況について、これまでどのような把握がなされてきたのか、検討の必要性はないのかなど、今後の対応についてお示しいただくと同時に、食生活の実態把握と、これに基づく食生活の改善に関する県の今後の対応についてお知らせ願いたいと存じます。
 次に、地域課題について伺います。
 平庭高原のオートリゾート整備についてであります。
 平庭地域の整備については、広域生活圏を異にする葛巻町と山形村が共同連携して取り組む、本県における最初の広域連携プロジェクトとして今後の進展が注目されます。県営施設等が少なく、町村の財政力の弱い地区に対し、県が率先して地域活性化のためのプロジェクトを導入することは県土の均衡ある発展に資するものであり、しかもその事業を複数市町村が連携しながら実施することは、地域連携を促進する観点からも評価すべき事業手法と思います。現在、モデル的なオートキャンプ場を整備し、それを核としたオートリゾートを形成するために基本構想の策定を行っていると承知しておりますが、県立自然公園に指定されている平庭高原は、シラカバの美林、初夏のツツジ等、自然景観のすぐれた地域でもあり、これらを保全しながら、憩いの場を形成していく事業として一日も早い構想実現が望まれております。
 そこで伺いますが、まず、平庭高原整備の基本構想策定に向けたこれまでの取り組み状況はどうなっているのか。また、平庭地域をどのように整備しようとしているのか、その方向性と事業化までのスケジュールをお示し願いたい。
 加えて、鹿角市のオートキャンプ場の管理運営を行っている第3セクターには、大手自動車会社と地元銀行が出資していると聞いているが、民間資本の参入についてはどのように考えているのかあわせて伺います。
 次に、県営ダムの活用と親水公園--水に親しむ公園の整備についてお伺いをいたします。
 県営ダムは、これまでに滝ダムなど4ダムが完成し、日向ダムも平成9年度完成予定となっており、さらに早池峰ダムなど、幾つかのダムが建設中であります。これらの事業の進展により、県土は着実に洪水や渇水の被害から免れるようになってきたことはまことに喜ばしいことであります。一方、ダムの効用は、このような治水、利水のみならず、ダム湖の持つ自然環境や水辺レクリエーション機能を生かした地域活性化に対しても地元の期待は大きいものがあります。 
 そこで伺いますが、県営ダムでは、ダム湖の活用、親水公園の整備についてはどのような考え方で取り組んできたのか、現状についてお示し願いたい。また、滝ダムなど、新たな整備が望まれている事案に対する今後の整備方針もあわせてお示し願います。
 ところで、今伺ったのは、いわばハード面への対応でありますが、ソフト面への対応についても伺います。
 例えば、滝ダムでは、地域住民が滝ダム周辺環境美化協会を組織し、ダム湖の活用を通して地域づくりをみずから考え、行動していこうという動きも始まっておりますが、こういう地元の動きに対して県はどのようにこたえていこうとしているのでしょうか。その取り組みについてお尋ねをいたします。
 次に、開発と保全というテーマについて伺います。
 種市町ゴルフ場建設問題、雫石町国見開発問題、一般県道雫石東八幡平線問題、これらは開発と保全との間に立ち、翻弄された事業の一例であります。これら事業に共通していることは、環境アセス等事前調査、事前審査をクリアし、既に事業が着手されあるいは事業着手目前のものであったことでありますが、いずれも環境保全という観点から問題視する声が事後的に挙がったために、事業推進の展望が閉ざされたあるいは閉ざされている事業ということであります。
 種市町ゴルフ場については、本来受理されてしかるべき書類が申請されずに経過したことや、提出期限の延長方針が一度は確認されたにもかかわらずこれが覆されるなど、不透明な処理が続きました。
 国見開発については、同僚議員のたび重なる質問で明らかにされたように、何ら法的根拠のない特別調査結果から導き出されたところの、これまた何ら拘束力を持たない県の見解が出されたことによって、開発主体が解散を余儀なくされております。これまでの答弁を要約すれば、県は見解を出しただけで、開発か中止かを決めるのは事業主体といったものになるはずであります。まことに無責任な答弁と言わざるを得ません。
 奥産道については、事件発生後の修復問題と事業そのものの推進問題は、本来、別個の課題であるにもかかわらず、必要性を認められた上で進んできた事業そのものの再開方針をいまだ決定していない状況であるなど、環境保全と開発という課題に対し、本県行政は迷走状態にあると言えます。また、最近に至り、新たに沢内村地内の奥産道に対する見直し論議の高まりや、大規模林道川井住田線の早池峰山周辺の保全が求められるなどなど、今後、開発と保全にかかわる問題が増大するものと思われます。
 こうした状況認識に立ち、私は、開発と保全に関する明確な方針と決定基準を定めるべきこと及び手続を県民に明示すべきであると申し上げたいのであります。開発と保全に関し明確な方針がないままに放置されれば、問題が生じるたびに事案ごとに処理方法が決定されるであろうし、結果として県政に不均衡を生じさせ、ひいては県民の不公平感を醸成させることになると懸念するものであります。
 さきに例示いたしました種市町ゴルフ場問題、国見開発問題、県道雫石東八幡平線問題について、地方自治体を初め関係者が今なお釈然としないままにあるのは、適正な手続を経てしかも合目的に進められてきた事業が、事後的に頓挫させられているからであります。今、私は、釈然としないままにあると申し上げましたが、直截に言えば、開発と保全をめぐり県政に対する不安、不信があると指摘をいたしたいのであります。いかがでしょう。この指摘に対する御所見をいただきたいと存じます。
 ところで、開発と保全に関する県の対応はと言いますと、本年3月に策定した岩手県環境保全計画の中に記載はあるものの、内容は乏しく具体性に欠けたものであります。また、平成10年度の策定を目指すとする自然環境保全指針も、1キロメートルメッシュごとの自然環境に関するデータベースを構築し、保全目標を定めるとしか説明されておらず、開発と保全との関係にまでは踏み込んだものとはなっておりません。
 本年6月定例会で知事は、保全すべき環境はしっかりと保全する。開発が必要な場合には、自然環境に十分配慮しながら計画的に進めていくと答弁されております。このことに対しては私も同感であります。同感ではありますが、私の申し上げたいことは、どういった条件を備えれば保全するのか、どういった条件をクリアすれば開発可能となるのかを、事後的にではなく、事前に明確にしておくべきであるということであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 そこで一例として、自然環境保全指針の策定について伺います。
 1つ、保全地域の指定はどのような自然環境条件を整えている場合になされるのか。その手続及び最終決定機関は何か。
 2つ、保全地域内での開発可能性はどうか。開発を制約できる根拠は何であるのか。指定地域の見直しの有無、あるいはその見直しの手続はどのようなものになるのか。
 3、保全指針と呼称する以上は、保全の視点が優先されると思うが、開発という視点を県はどう定めようとしているのか。
 以上、お示しいただきたいと存じます。
 最後に、前に申し上げたように、開発と保全に関する明確な指針と手続が確立し明示されなければ、県民の不公平感、不信感は増大するのでありますから、開発と保全に関する条例の制定が検討されてしかるべきと考えます。環境基本条例を定めているのは、全国で27都府県であると承知しております。私の条例を制定すべきとの提案は、開発と保全に関するものでありますから、他府県の環境基本条例とは趣を異にするものであるかとは思いますが、保全するにしろ、開発するにしろ、一元的に指針を示すことにより混乱を回避すべきであるとの判断から、基本条例の制定を求めるものであります。見解をお示しいただきたいと存じます。
 次に、知事の政治に対する基本認識について伺います。
 先ほどの佐藤啓二議員がお話しされたこと、私も同様の認識に立つものであります。特に、県民のために知事が十分に活躍し得る環境を整えることが大切との指摘には、深い感銘を覚えました。私自身、こうした心境にあることを御理解の上、順次質問をさせていただきます。
 まず、県政と国政とのかかわりについてであります。
 今、地方自治の確立という視点から、国と地方のあり方について、種々、議論、検討がなされております。私の願いは、恐らくは知事もそうだとは思いますが、近い将来、地方の権限と財源がしっかりと確保され、地域地域の実情に即した柔軟な施策の展開が可能となる、そういった真の意味での地方自治が確立することであります。その願いは願いとして持ち続けながらも、現行の制度下においては、その制度に従って行政判断、政治判断を下していかなければならない、このことは指摘するまでもないことであります。さきの定例会における工藤篤議員の質問、通達に対するペナルティー問題に知事は、水産庁の方でお考えになる話と答弁されております。知事は、国の指導、通達は守られるべきものとお考えか、守る必要はないとお考えか、基本認識をまず示されたい。
 次に、ペナルティーがあった場合、直接不利益をこうむるのは県民であります。県民の不利益を回避すべきが知事の職務であると存じますが、ペナルティーは水産庁が考えることとの答弁は、ペナルティーがあればこれを甘んじて受けると同義であり、県民の利益を守るべき知事の答弁としては適切を欠くものと御指摘申し上げたいがいかがか、御所見を賜りたい。
 ところで、通達に反しての知事指名を行ったことの理由について、本県漁業にとり、極めて厳しい状況下にあるとした上で、漁業団体との一層の協調が必要と答弁されたところであります。厳しい状況下にあるからこそ、国との連携も重要になってくるのではないでしょうか。知事指名の背景を、県民は敏感に察知しているのが実態であります。ペナルティー回避と本県漁業振興に臨み、水産庁との連携強化に向けてあなたは努力するのでしょうか、しないのでしょうか。努力するとお答えになるのならば、具体的に、何をどのような方法で行うのか明らかにしていただきたいと存じます。
 国との連携強化が求められるのは、漁業振興問題だけではありません。本県にはなお多くの政策課題があります。これら課題のほとんどが、国、政府との連携を求められるものであります。今の政治状況の中で、あなたにとっていささか厳しい質問であるとは思いますが、県民の負託を受けた知事、あなたでありますから、あえて伺いますことは、政府及び与党と県政、すなわち知事との信頼関係について、あなた自身どう認識されているのかということであります。現在、十分な信頼関係が築かれているとの御認識か、信頼関係構築に向けて新たなる努力が必要と認識されているのか、率直にお考えを披瀝いただきたいと存じます。
 あわせて、去る15日に行われた統一要望に際し、新規事業、重点事業の実現性についてどのような感触を得られたのか、御所見をお聞かせ願いたい。
 次に、今回の衆議院議員選挙に際し、あなたのとられた行動、発言について真意を伺いたいと存じます。
 あなたの知事就任以来、私はあなたに対し、機会あるごとに、あなたは特定政党の推薦のもとに立候補したが、県民の信任を得て当選し知事となった以上は、全県民の立場、県民の利益を第一に考え行動していただきたい。知事は県民から負託を受けたのであるから、特定支持勢力からの拘束を排除し、県民に対してのみ責めを負うべきである旨申し上げてまいりました。御記憶にお残りでしょうか。改めて、今申し上げたことに対する御所見をいただきます。
 次に、少なからぬ県民があなたの行動、発言に対し、疑問を抱いている状況にあることは、県政運営上決して好ましいものではありません。県民の抱く疑問を解消するために、あなたがあえて特定政党の支援を行ったことの背景を明確に示すべきであります。みずからの判断と言われるが、その判断の材料は何であったのか。常に県民の立場を念頭に置くとのことでありますが、これは県民の利益を守るとの意味を持つのでしょうか。ならば、今回のあなたの行動により、県民が得ることのできる利益とは何であるのか、具体的にお示しいただきたいと存じます。
 ところで、県衛生研究所のカラ出張の判明、奥産道事件にかかわっての県並びに職員2名の書類送検、県発注工事に絡む収賄の疑いによる職員の逮捕と、県民との信頼関係を損ねる不祥事、事件が相次いでおります。また、本年3月の土地開発公社職員のかかわった事件についても記憶に新たなものでありまして、綱紀の緩みを厳しく指摘しないわけにはまいりません。一連の不祥事件について、知事御自身の責任についてどのように考えておられるのか、お示しいただきたいと存じます。
 次に、警察本部長に伺います。
 県発注工事の贈収賄の容疑内容とはいかなるものでありましょうか。報道によれば、使われたブロックは規格品で、完成時の誤差はほとんどないとされており、実際に土木技術管理室が行った最終チェックでも、寸法や強度、品質には特に問題はなく、工事完成後、検査で合格された工事と聞いております。そもそも、220個の自社制コンクリートブロックを使ったことが悪かったのか、自社製コンクリートブロックに欠陥があったからなのか、また、完成後検査がずさんであったのか、この種事件としては不明な部分が多過ぎます。答えられる範囲内でお答えを賜りたいと存じます。
 以上、私の質問を終えます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 山内隆文議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、行政機構再編整備における地域格差是正の考え方についてでございますが、地域における行政ニーズを的確に把握をし、県と市町村などが連携をとりながら各般にわたる事業を推進していくことが、それぞれの地域における活力に満ちた個性豊かな地域づくりにつながるものと考えております。このような観点から、本庁機構につきましては、県北・沿岸地域などの振興を図るため、本年度、特定地域振興室を設置したところでございますが、さらに地方振興局に関する事務の企画振興部への移管、市町村の総合開発計画や、行財政に関する事務などを所管する市町村課の設置などによる地域振興部門の一元化によりまして、市町村あるいは地方振興局を通じた地域課題の把握と地域づくりに向けた各種施策の企画立案と事業展開によって、地域の均衡ある発展に努めてまいる考えでございます。
 また、地方振興局につきましては、本庁からの計画的な権限委譲や企画振興部門の充実強化により、自己完結性や総合性を高めるとともに、土木事務所などの統合を図りまして、それぞれの地域課題に対応した施策を推進してまいる考えでございます。
 こうした本庁、地方振興局を通じた行政機構の整備を図ることによりまして、県北・沿岸地域などを含めまして、より充実した地域振興施策の展開を図ってまいりたいと、このように考えております。
 次に、開発と保全についてのお尋ねでございますけれども、本県は全国に誇り得る豊かですぐれた自然に恵まれておりまして、この自然はかけがえのない県民の財産でございます。開発と保全の問題は、対立する概念ではなくて両立させるべきものでございまして、豊かな自然の中でいかに岩手らしさを発揮していくのか、自然と人間がいかに共生をしていくかが、岩手の今後のあり方を考える上での基本の1つになるものと認識をしております。
 御指摘のあった開発と保全との調整に当たりましては、適正な手続によりまして行っていくことが必要でございまして、今後、環境影響評価制度について、対象となる事業などの見直しを検討するとともに、平成10年度を目途に自然環境保全指針を策定いたしまして、この開発と保全との調整が事前に十分図られるよう対応してまいりたいと考えております。
 次に、国の指導、通達に対する基本認識についてのお尋ねでございますけれども、これについては原則的には指導、通達によるべきものと、このように考えております。しかし、法令などの趣旨にのっとりまして、実態に照らしながら柔軟に対応することもあり得るものと、このように考えております。
 次に、ペナルティーについてのさきの議会におきましての私の答弁についてでございますけれども、これはペナルティーがあるかどうかについて、県の立場ではお答えできかねるという意味合いで申し上げたつもりでございまして、また、そのように御理解をいただきたいというふうに存じます。
 そして、水産庁との連携強化についてのお話がございましたが、水産庁とは、これまでも本県水産業の発展のために、連携をとりながら種々の施策を推進してきたところでございます。
 また、先般の国への統一要望の際にも、直接水産庁長官にお会いいたしまして、国連海洋法条約に伴いますタック制度新設への対応でございますとか秋サケなどの魚価対策など、本県水産業の抱えております厳しい現状を説明いたしまして理解をいただくなど、連携強化に努めているところでございまして、今後ともそのように対処していく考えでございます。
 次に、政府・与党と県政、すなわち知事との信頼関係についてのお尋ねでございますけれども、従来から県の重要施策、そして主要課題につきましては、国や県選出の国会議員の皆様方に御説明や要請を行っておりまして御協力をいただいてきているところでございます。この信頼関係の保持につきましては、相互理解に立ちまして、不断の努力が必要かと、このように存じているところでございますけれども、今後におきましても、多面的に、しかも誠意をもちまして国などに県民の願いを訴えていく必要がある、このように考えているところでございます。
 次に、政府予算統一要望についてでございますが、去る11月15日に、平成9年度の政府予算編成において、新規の14項目を含む県政推進上重要な72の項目につきまして、制度改正あるいは本県への事業導入が図られるように、政府及び関係機関に対しまして、県議会の方の御協力も得まして一体となって要望してまいったところであり、本県の実情及び要望の趣旨については十分理解をいただいたものと、このように考えております。一方で、国の財政が例年にも増して厳しく、特に地方には逆風下の状況である、こういうような状況でもございまして、本県の要望が政府予算などに盛り込まれるかどうか予断を許さない状況にございますので、県といたしましては、県議会の御協力もいただきながら、要望の実現に向けて引き続き全力を傾注してまいる所存でございます。
 それから次に、特定支持勢力からの拘束を排除し、県民に対してのみ責を負うべきものである、このような御意見についてでございますけれども、知事という職は、地方公共団体の責任者としての立場と、そして、公選によって選ばれたものであるところから、おのずと政治家としての一面を持つものと考えておりますけれども、要は、常に県民の皆様が真に何を望んでおられるかを念頭に県政を推進することが最も重要である、こういうふうに存じております。私は、今後におきましても、公平、公正な県政の実現に向けまして全力を傾注してまいりたい、このように考えております。
 次に、特定政党の支援を行ったということにつきましての背景についてのお尋ねでございますけれども、今申し上げましたような立場がございまして、そうしたことからの私の信条、信念に基づき、総合的に判断をしたということでございます。
 また、そのような政治的行動をとることにつきまして県内にさまざまな御意見があるわけでございますが、それらに対しましては謙虚に耳を傾ける必要があると、このように存じております。引き続き私は、県民の皆様お一人お一人が夢を抱きながら生きがいを持って暮らすことができるように、県政の推進に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 次に、一連の不祥事に関する私、知事の責任ということについてでございますけれども、一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道の道路調査委託事業につきましての自然公園法及び森林法違反容疑によりまして、去る11月22日、岩手県及び盛岡土木事務所職員2名が書類送検をされたこと、また、翌23日には同じ盛岡土木事務所職員が収賄の容疑によりまして逮捕されましたことなど、一連の不祥事につきましては、本日冒頭の議会に私申し上げましたとおり、まことに遺憾でございまして、申しわけなく存じているところでございます。今後におきましては、このような事態を再び引き起こすことのないように、一層厳正な職務執行と公務員意識の高揚に努めまして、損なわれました県民の皆様方からの信頼の回復に向けて全力を尽くしてまいりたいと、このように考えているところでございまして、こうしたことについて、職員一丸となりましてその実現に向けて努力をしていきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) まず、地方振興局への権限委譲についてでありますが、地方振興局は、昭和61年度の創設から既に10年を経過し、旅券の発給事務や地域活性化事業調整費に係る事務などを通じて、県民生活に定着したものとなっていると認識しております。地方振興局への権限の委譲につきましては、行政組織の整備と相まって、地方振興局に期待されております地域振興における拠点としての機能を十分に発揮することができるよう積極的に行うことが必要であります。このため、県民生活に密着した事務、市町村に関連の深い事務を委譲し、県民の利便の向上を図るとともに、地方振興局が自主的に地域施策を企画、立案、実施するための機能の充実を図ること等の観点からも、権限を委譲してまいりたいと考えており、現在、その作業を鋭意取り進めているところでございます。
 次に、保健所の再編整備についてでありますが、平成9年度から全面施行されます地域保健法において、母子保健サービスなどの地域住民に身近な保健サービスにつきましては市町村に権限移譲することとし、都道府県の保健所においては、広域的な観点から市町村を支援するとともに、医療や福祉との連携を強化することとされております。このため、保健所につきましては、地域保健の広域的、専門的かつ技術的拠点として、その機能の充実強化を図ることとしております。具体的には、精神保健や難病対策、エイズ対策等の専門的、技術的な業務の充実、各地域が抱える保健医療の課題に対応した調査研究の推進あるいは保健医療、福祉に関する情報の地域住民に対する適切な提供や保健医療計画等の推進に当たっての企画及び調整など、広域的、専門的な観点から保健所機能の充実強化に努めてまいる考えであります。
 なお、岩手保健所の廃止に伴い懸念される住民サービス等につきましては、町村等からの求めに応じて技術的援助や調整を実施するなど、地域の実情に応じた的確な指導、支援に努めることとしております。
 また、定期的な巡回相談等の実施により、地域住民の方々の利便性の確保を図るとともに、きめ細かな訪問サービスの展開や機動的な監視指導体制の整備に努めるなど、保健サービスの低下を来さないよう配慮してまいりたいと考えております。
 さらに、緊急時の対応につきましても、専門職員の複数配置や試験検査設備の充実、機動力の確保等により、適時適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
 次に、保健医療部門と福祉部門の統合及び統合後の保健所についてでありますが、御案内のとおり、保健所につきましては、現行法令上、いわゆる必置機関とされているところであり、その所長につきましては医師をもって充てることとされております。再編後におきましても、従前と同様に保健所長は医師をもって充てることとなるものであり、地域保健法上、保健所が分掌することとされております事務につきましても、従前どおり保健所長の権限を行使するものであります。
 また、保健医療、福祉の連携を強化する観点から、地方振興局長のもとに設置を予定しております保健福祉環境技監の職については、保健所長の職にある者の兼任を考えておりますが、保健所長としての権限の行使には支障はないものと考えております。
 なお、環境保健部長につきましては、多様化する行政需要を的確にとらえながら、関係施策を積極的に推進するという重要な任務を担っておりますことから、従前から適材適所の観点から任用されているところでありますが、新設の保健福祉部長につきましても同様の考え方で対応されるものと存じます。
 また、保健医療部門と福祉部門の統合につきましては、各界の有識者で構成する行政改革推進懇談会の最終報告を尊重して行政改革大綱を定めたところであり、また、具体の行政機構再編整備案につきましても、去る10月に開催しました行政改革推進懇談会の意見等も踏まえながら、行政改革推進本部で慎重に検討の上、取りまとめたものでございます。
 次に、土木事務所の地方振興局への統合後の執行体制についてでありますが、現在、各土木事務所の管轄区域を越える道路や河川の整備につきましては本庁におきまして全県的な視野に立って調整を図っているところでありますが、土木事務所が地方振興局に統合された後におきましても、現在と同様に道路や河川の整備を進めてまいりたいと考えております。
 また、災害が発生した場合の体制につきましては、地方における災害対策の的確かつ迅速な実施を図るため、現在、地方振興局長を地方支部長とする災害対策地方支部が設置され、地方振興局の各部長とともに土木事務所長も地方支部の班長に充てられているところであり、統合後におきましても、現在の体制と同様に地方支部一丸となって災害応急体制に当たることができるものと考えております。
 なお、災害対応につきましては、医療機関、市町村あるいは自衛隊への派遣要請等もあり、地方振興局への統合により、総合性という観点から円滑な対応が可能になるものと考えております。
 また、公共土木施設災害につきましても、必要な権限を措置することによりまして十分適切な対応ができるものと考えているところでございます。
   〔企画調整部長武居丈二君登壇〕
〇企画調整部長(武居丈二君) まず、地域活性化事業調整費についてであります。
 昭和61年度の制度創設以来、この調整費は各地方振興局管内の各分野の事業調整や補完あるいは県と市町村が一体となって推進しております地域振興施策の支援誘導等に着実に成果を上げてきたものと認識しております。平成8年度におきましては、地方振興局のより一層の機能充実を図る観点等から、一般分を従来より1億5、000万円増額し5億円としたほか、新たに広域連携分として2億円を措置し、全体として調整費を7億円に倍増したところであります。これからの地域振興を進めるに当たっては、地方振興局が中心となって、各市町村との密接な連携のもとに、それぞれの地域における実情に即しさまざまな分野の課題に取り組んでいくことが何よりも重要であると考えており、このためにも調整費が効果的に活用されることを期待しているところであります。次年度の調整費のあり方についても、このような観点を踏まえ、これまで以上に各地方振興局において調整費を十分に活用していただけるよう、全体としてどの程度の額が適当か、また、運用の仕方に改善すべき点はないかなどの点を中心に、その内容の一層の充実について、現在、鋭意検討を進めているところであります。
 次に、平庭高原整備の基本構想についてでありますが、県及び葛巻町、山形村が一体となって計画的かつ総合的に進める必要があることから、庁内の関係各課、盛岡、久慈両地方振興局及び両町村を構成員とする平庭高原整備検討委員会を本年5月に設置し、鋭意検討を進めているところであります。
 また、委員会での検討とあわせ、リゾートやオートキャンプ場の専門家や地域資源を生かした地域づくりに造Xの深い有識者の意見や提言も参考にしながら基本構想づくりを進めているところでありますが、平庭地域は、御案内のように大変恵まれた自然資源を有しているところでございますから、自然と人間との共生や、あるいは地域文化の再発見を基本に、日本一とも言われるシラカバの美林やカタクリの群落あるいはレンゲツツジなどの自然や伝統的な山村の生活文化を体験、学習できるような施設整備を進めることが必要であると考えているところであります。このため、県と両町村との適正な役割分担のもとに、オートキャンプ場などの新たな施設の整備はもとより、スキー場を初めとする既存の施設や農林業との連携も必要であり、さらには、整備された施設を有効活用するための人材育成等のソフトの仕組みづくりも重要であると考えているところであります。今後のスケジュールにつきましては、平成8年度中に基本構想を策定し、平成9年度は全体の施設配置や規模等を確定させる基本計画を策定するとともに、両町村と協議しながら地域住民等によるソフト面の受け皿づくりを促進したいと考えております。
 なお、今後、計画に盛り込まれる施設の管理運営についても大変重要な問題でありますので、民間の活用も含め、どのような管理運営の方法が望ましいのか検討してまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) まず、O-157の対策に関連してでありますが、乳幼児や児童の内臓器官の発育状況についてはその調査の指標が十分確立されておらず、健診項目等にも取り入れられておらない状況にあります。しかし、腸内細菌叢の無害な大腸菌や乳酸菌等がO-157等の病原性大腸菌の増殖を抑制する可能性があることや、食生活が腸内細菌叢に影響を及ぼすこと等の研究報告があることは承知いたしており、今後、厚生省の実施するO-157に関する研究の中で、食生活と発症の関係等について調査することを要望したいと考えております。
 また、食生活の実態については、国民栄養調査や県民健康づくり調査等を実施しており、その結果を踏まえ、今後、子供の食生活環境づくり支援事業の実施などにより、バランスのとれた栄養の摂取による積極的な健康づくりをさらに疾病予防の側面も含め、進めてまいる所存でございます。
 次に、自然環境保全指針についてでありますが、指針においては、貴重な動植物の生息地域、学術的にすぐれた地形、性質を有する地域及びすぐれた景観や住民生活と密接なかかわりを持つ身近な自然を有する地域などが保全すべき地域となるものと考えております。今後、必要な調査と科学的な評価を行い、その貴重さのレベルにより数段階の自然保全目標を定めることとしております。策定手続につきましては、最終的には県が定めるものではありますが、学識経験者で構成する指針策定検討会議の検討を踏まえて原案を策定し、庁内関係部局や関係機関との調整を経た上、県自然環境保全審議会の意見を聞いて進めてまいりたいと考えております。
 また、保全すべきと評価された地域につきましては、その貴重さのレベルにより数段階の保全目標を定め、段階に応じて必要な保全を図ってまいりたいと考えております。その際、指針は、自然環境に係る情報提供、開発と保全との調整上の基準の役割を期待しているものであり、法的には拘束力はありませんが、県民や開発者に対して指針を示すことにより御理解をいただくとともに、具体的な環境影響評価を実施するに当たっての指針や個別規制法の指針の際の基礎資料ともなるものであります。さらに、自然環境の変化により必要に応じてデータベースの更新を行い、作成と同様の手続を経て見直しを図っていきたいと考えております。
 なお、指針は開発と保全の調整に資するものとして策定するものであり、開発を担当する庁内部局や関係機関から御意見をいただいて策定する考えであります。
 次に、開発と保全に関する基本条例についてでありますが、御指摘のとおり、開発と保全の調整に関する透明性のある手続を明らかにすることは重要であると考えております。県では、ゴルフ場等大規模開発行為指導要綱に基づき環境影響評価を実施してきているところでありますが、対象事業はレクリエーション施設の建設等に限定されており、また、第3セクター等の事業主体は除かれております。しかし、近年、環境保全への関心が高まってきており、現在、国が検討している新しい環境影響評価制度も注視しながら、今後、環境施策の展開の中で環境影響評価のあり方の見直しを検討してまいりたいと考えております。この中で、事業主体、対象とする事業の範囲、評価の実施時期、審査の方法及び評価後の調査等について検討していく所存であります。また、制度の制定形式は要綱が適切か条例が適切かについてもあわせて検討していきたいと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君) ダム湖の活用と親水公園の整備についてでありますが、御承知のとおり、ダム事業は、河川流量の調節を通じまして、治水、利水及び河川維持流量を確保することを主な目的といたしまして実施しているところであります。一方、御指摘のとおり、ダムによってつくられます湖とその周辺地域は、水と緑のオープンスペースとして地域の活性化に重要な役割を果たすことが期待されております。県といたしましては、このような社会の要請にこたえ、現在施工中のダムにおいてはもちろんのこと、既に完成しているダムにおきましても親水公園等の整備を積極的に推進してきたところでありまして、今後とも自然との共生を図りながら、地元の声を十分に反映し、個性ある整備を行ってまいる考えであります。
 御指摘のありました滝ダムにつきましては、くじ・川の会や滝ダム周辺環境美化協会等により、ダム周辺の清掃などボランティア活動が行われており、その積極的な地域の取り組みに対しまして深く感謝するとともに、新しい時代の住民参加の形の芽生えであると注目しております。県といたしましても、このような地元の動きにこたえ、現在、地方特定河川等環境整備事業を実施しているところであり、今後とも、親水施設等、ダム周辺環境整備の促進に努めるとともに、これら民間団体と協力しながら、森と湖に親しむ旬間等の行事をさらに充実する等、市民とともにダム湖の活用を推進してまいりたいと考えております。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君) 学校給食におけるO-157対策についてお答えいたします。
 県内におけるO-157集団発生を契機としまして、県教育委員会といたしまして調査をしましたところ、市町村の学校給食施設につきましては、根菜類の皮むきなどの下処理の場所と調理する場所との区分が明確になっていないなど、改善を要する施設が3割ほど残っているものの、床の色分け等により区分の明確化を図るなど、積極的に改善に努めているほか、給食従事者の衛生管理意識の高揚が図られてきていると認識いたしております。
 今般、O-157対策の一環として、国におきましては、食品冷却設備や食品の中心温度を管理する調理機など新たな助成について検討しているほか、検便や冷凍庫購入の費用等についても地方交付税による補てんを検討していると聞いております。
 なお、県立学校につきましては、冷凍庫など早急に整備すべきものについては既に予備費により充用済みであり、施設の面で改善が望ましいとされているものにつきましては、順次計画的に整備することとしております。
 また、小中学校につきましては、今後、国庫補助の積極的な導入などにより、施設設備の改善を図るよう、市町村教育委員会を積極的に指導してまいりたいと考えております。
   〔警察本部長池田克彦君登壇〕
〇警察本部長(池田克彦君) 盛岡土木事務所職員らによる贈収賄事件につきましては、11月23日の夜に被疑者2名を逮捕し、盛岡地方検察庁に送致したところでございます。事犯の概要は、盛岡土木事務所河川砂防課技師として河川砂防事業の設計、施工管理等の職務に従事する職員が、昨年からことしにかけて2回にわたりまして建設会社の代表取締役から松尾村地内の工事等について有利な取り計らいを受けた謝礼として合計十数万円相当の商品券の供与を受けたというものでございます。
 なお、容疑の事実関係の詳細については、現在、捜査中でございますので具体的な内容は答弁を差し控えさせていただきたいと存ずるわけでございますが、ただ、一般論で申し上げますと、仮にでき上がりがよかったからといいましても、刑事責任を免れるものではないということは言えようかと思います。
〇42番(山内隆文君) 再質問させていただきます。
 それぞれの項目にわたって再質問をしたいんですが、限られた時間ですので、的を絞って聞いていきます。
 知事の姿勢についてお伺いをしたいと思います。
 1つには、一連の不祥事件に対する知事の責任ということを私伺ったわけであります。それに対して、本会議冒頭の知事弁明といいますか、陳謝といいますか、そういった御発言がありました。その発言で済ませるおつもりなのかどうかということを含めてお聞きしたつもりだったのでありますが、その辺の対応について、知事の責任といったものをどのように御自身がとらえているのか、このことについてお話をいただければありがたいと、こう思います。
 それから、衆議院選に際しての質問でありますが、知事が支援をなさった候補者、これは1区では明らかにされて報道をされました。その方の所属する政党が掲げたいろいろな政策というものがあるわけです。知事はもちろんこういった政策にも共鳴をして御支援を申し上げたんだろうと、こう思うのでありますが、その公約についてどのように評価なさったのか、4つほどお聞きしたいと思います。
 1つは、18兆円減税を打ち出しましたけれども、その具体案としては、1つには所得税、住民税の半減という項目がございます。それから、法人関係税の40%化、50%であるものを40%にすると、こういった公約といいますか、契約という言葉を使っておられたようでありますが、そういった契約が打ち出されておりました。知事は、このことについてどういう評価をされておりますか。地方財源の確保という観点からして妥当なものと判断されたのでしょうか、こういうことをお聞きしたいと思います。
 それから2点、現在3、300ある市町村の数を300程度に統合すると契約したそうであります。この300という数字はくしくも全小選挙区の数と一致しているわけであります。このことから想定すれば、本県における自治体の数、これは市町村、どういう呼称になるかわかりませんが、自治体の数は小選挙区数の4と大体同程度になるのではないのかと判断されます。知事は、これを本県の実情に即した現実的な提案であると判断をされたのでしょうか。これが第2点。
 次に第3点、地方財源、特にも一般財源の確保、これは地方自治の確立に不可欠な要素であると私も思っておりますし、知事もいろいろな場面でそういったことを申されております。ところで、この議論のあった消費税率アップについてでありますけれども、アップ分の半分、50%が地方財源に充当されるということになっております。このことは来年度予算大蔵概算でも既に明らかにされておりまして、その大蔵概算によりますと、地方交付税の大幅増額、すなわち一般歳出の伸び率が3・4%と想定されるのに対して、地方交付税の伸びは26・8%、こういう具合に大幅にアップになるわけです。これは消費税アップ分の還元といいますか、地方への転嫁と、こういったことになるわけですね。となれば、3%据え置きとなっていれば、こうした地方交付税の伸びは望めなかった、こういうことになるわけでありますが、地方財源、一般財源の確保を訴えてこられた知事として、この3%据え置きを主張していた政党を支援することに、矛盾といいますか違和感というものは感じなかったんでしょうか、これが第3点です。
 第4点、彼らの公約の中に、公共事業5カ年計画の廃止というものがあります。御承知でしょう。公共事業5カ年計画の廃止と、こういった契約がございました。県内各市町村からの要望項目のほとんどが、基盤整備にかかわるものであることからも判断されるのでありますけれども、私は本県の場合、各種基盤の整備がまだまだ必要であると考えております。限られた財源の中で、市町村の願いにこたえていくためには、効率的かつ計画的--これは県執行当局がよく使う言葉でありますけれども--効率的かつ計画的に事業を進める必要があると、こういうふうに考えます。公共事業5カ年計画の廃止という契約を、あなたはどうとらえたのでしょうか。
 以上、4点でありますが、まとめてそういった4点を含め、政策面においてみずからの判断の材料にされたのでしょうか、この点をお知らせいただきたい。
 ところで、知事、あなたは選挙戦中盤、日時、場所を特定して申し上げてもよろしいんですが、盛岡市内のあるホテルの一室におられました。政務秘書の案内で入室してきた訪問者に対して、特定陣営への支援要請を直接された事実、これを確認させていただきたい。また、選挙期間中、特にこれは終盤でありますけれども、第1選挙区に限らず、建設関係業者あるいは農業団体等の責任者等に対し電話を入れて、特定陣営への支援要請を行った、このことの事実を確認させていただきたいと思います。
 とりあえずは以上です。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) ただいまのお尋ねについてお答えを申し上げます。
 幾つかございましたけれども、まず、一連の不祥事件、これに対する対応でございますが、私の責任も含めた対応ということでございますが、私はこの一連の不祥事件、大変県民の皆様方に遺憾であり申しわけなく存じているところでございますけれども、今、こうしたことにつきまして、このような事態を再び引き起こすことがないように、一層、厳正な職務執行と公務員意識の高揚に努めると、そして県庁職員一丸となって、県民の皆様方から損なわれたこの県政の執行に対します信頼の回復に向けて、先頭に立って全力を尽くしてまいることが私にとっての必要なことであると、このように考えているところでございまして、このとおり私は県庁の職員にも申し上げているところでございますし、また、そうした信頼の回復に一層努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 それから、衆議院選挙の今議員の方からお話がございましたのは、新進党の選挙公約、契約、これとそれから私が国政選挙、衆議院選挙におきましてとった行動との関係についてのお尋ねだったかと存じます。
 この1番目の所得税、住民税の半減の問題、それから3、300ある地方自治体の300へのこれを削減いたして財政力を強化するといったようなこと、あるいは消費税のアップ分についての使途をどうするかといったようなこうしたこれらの問題、これはいずれも国政の場で全国民一人一人が十分な議論を果たすべき問題でありまして、これを地方自治の立場からどういう形で判断するかということは差し控えるべきものと、このように考えているところでございますが、5カ年計画、これにつきましては、これは私は公共事業の計画的な執行を図っていく上からも、合理的な執行を図っていく上からも、従来からそうした5カ年計画にのっとりまして計画的に行ってきたところでございますが、こうしたものは公共事業の執行のあり方、そしてその配分の問題についていろいろ議論が行われているところでございますし、また、そうしたことをこれからも十分に行っていく必要があるものと、このように考えておりますが、こうした5カ年計画によって、そうした公共事業の効率的また効果的な執行が図られるものであればこうしたものが必要ではないかと、こういうふうに考えているところでございます。それから、それ以外のものについては、これはまさしく国民一人一人がどういう形で対応するかということを議論するべき問題でありまして、私が衆議院選挙におきまして特定の候補者の支援をいろいろな後援会の方々にお願いしたということも、こうした候補者との、その候補者の人柄などを判断してのことと、このように御理解をいただきたいと存じます。
 それから、最後に3点目で、ホテルでそうした支援のお願いをした事実があるのかどうか、それからいろいろなところに電話をかけた事実があるのかどうかと、こういうお尋ねがございました。選挙戦の間に多数の後援者の方々から、この選挙戦についての私自身の対応あるいは後援者の方々の対応ということで電話などで随分お尋ねもございましたし、そうしたことについて、私もそうした後援者の方々といろいろお話をさせていただいた事実がございます。そうした事実はございますが、不特定多数の方々に対しましてそうしたお願いをした事実はございません。
 それから、同様に、ホテルでそうした後援者の方々にお会いしたこともございますし、また、公の場におきまして、主として後援者の方々にいろいろな御支援をお願いした事実等もございます。また、向こうの後援者の方々を中心といたしまして、私のところにいろいろ来られた方々もございます。そうしたところで選挙戦についての私の考え方は申し上げたところでございますけれども、これも選挙につきましての政治的なそれぞれの立場を踏まえての上でございまして、結果といたしまして、そうした行動についての責任はすべて私に生ずるものと、このように考えているところでございます。
〇42番(山内隆文君) ありがとうございました。知事、私どももそうなんですが、政治的な信条、これを守ることは大切なことであると、こう思います。それがただし知事の場合には、行政官としての役割もみずから言われるようにあるわけでありますから、県民の利益につながるという視点からの信念であってほしいと、このことは申し上げておきます。
 それから不祥事件について、みずからの処分については触れられなかったことは非常に残念であります。というのは、本当にこれだけの頻度で不祥事件が発生をしている事実、これにはみずからの御処分も含めて厳しい姿勢を打ち出すことによって、初めて県民の信頼というものが回復できるのではないのかというのが私の考えでございましたので、あえてそのことに触れられなかったことに対しては今の時点では残念であると、こういうふうに申し上げておきたいと思います。
 それから、公選法136条の2、これには公務員が地位を利用して選挙運動をしてはならない旨規定してあることは御承知のとおりであります。これは一般職、特別職を問わずと解されるのが普通であります。したがって、知事及び政務秘書たる者もこの規定から免れるものではないと思います。法によりますと、選挙運動とは、推薦、支持もしくはこれに反対する目的を持ってみずからが関与あるいは援助することのほか、他人をして関与、援助させること及び演説会、後援団体への関与も含まれているとされるところであります。これが選挙運動という規定。
 それから、地位利用でありますけれども、対外的と対内的に大別されるとされております。
 対外的影響力の利用について申し上げますと、1つには、補助金、交付金の交付や契約の締結、事業の実施、許認可など、職務権限を有する公務員等が地方公共団体、請負業者、関係団体等に対し、その権限に基づく影響力を利用することとされているわけです。これが地位利用。
 次に、対内的影響力についてでありますけれども、公務員等の内部関係において、職務上の指揮、命令権、人事権、予算権に基づく影響力を利用することとされております。ちなみに、法令上、当然には指揮監督権はなくても、人事、予算等につき影響力--これまた影響力です--影響力を有する地位にあることをもって足りるとする判例もあります。あなたのとられた行動が、例えば先ほど盛岡市内のあるホテルにおいて行われたことや、あなたが直接電話をして支援要請を行ったこと等でありますが、この行動が法に触れるものであるか否かを今は私は問いません。今は問いません。しかし、今後このことに関して注視してまいりたいと思います。あなたに対しては、さらなる自制、そして自重を求めたいと思います。この自制、自重を求めたいという私の気持ちに対して、何か考えがあればお示しをいただきたい。
 ところで、知事はことしの4月、衆院選対応について、政党による無条件応援はしないと。新進党が来たって、お引き取り願うしかないと表明したと報道をされております。この報道された発言と今回の支援行動との間には、大きな隔たりがあります。そこで先ほどの質問になったわけです。あなたがとった行動の背景には何があったのか、どういった心境の変化があったのか。あなたは、知事として、このことを県民の前に明らかにすべきであるとの私の気持ちでありました。あえて伺うならば、組織面、資金面であなたを支えるフォーラム21に深くかかわる人物からの要請、圧力に屈したとの批判がありますけれども、あなたはこの批判にどう答えますか。
 政治家としての側面、行政官としての側面、1個の人格を分離するなどは議論のための議論であり、不毛であります。政治家としての信条、信念に従っての行動は、先ほど申し上げたとおり、知事の職にある以上は県民の利益をもってのことでなければならないでしょう。自己の地位保全のためであってはならない、そう思いませんか。
 報道された内容でありますが、大変だよ、県職員は、皆、知事が中立でいてくれればと思っていた。県幹部の1人の談話です。(「それは左遷だな。」と呼ぶ者あり)こういった発言をする人物に対して、知事は左遷をさせるのですか。そしてまた、知事、知事は動きたくなかったんだと思う。それだけ小沢さんサイドからの圧力が強かったんだろう、知事も気の毒だ。--新進党県議。だれのおかげで当選したのか、知事はわかっていると思う。--新進党県連幹部。
 以上は報道された記事の一部であります。あなたを応援したであろう議員の同情的な発言、あなたとともに県政執行に当たっている県幹部の言葉を、知事はどう受けとめますか。また、知事を私視したこととしか思えない。だれのおかげでとの発言報道に、知事は憤りを覚えませんか。感慨があれば伺いたいと思います。
 最後に、知事は、特定勢力の利益拡大のために、ましてや自己の保全のために行動してはならない、すべての県民のためにのみ判断し行動されるべきであることを今一度申し上げ、今後において、知事はこの規範に従い行動されるよう強く求めて質問を閉じます。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、議員の方から幾つかお尋ねが再度ございました。私の方で先ほどお答え申し上げましたとおり、不特定の方々に私の立場を使いながら、選挙のいろいろな御支援をお願いしたという事実はございません。後援会の方々との間の話の中でいろいろお願いした事実、そしてまた、いろいろ公の集会などでお願いした事実があるところでございますけれども、こうした行動も含めまして、今、議員の方からそうしたことと、それから県民の皆様方からのいろいろな私に対します御批判も含めたいろいろなお話、あるいは利益との、どのような形で両立させていくのかといったようなお話もございました。当然、政治的な行動をとったわけでありますので、これについてはこうした現在の選挙の状況を考えますと、当然のことながら、ある一定の勢力の側の政治的な立場を助けるということでございますから、そうしたことでない立場の思想、信条をお持ちの方々からしますと、大変な御批判をいただくということだろうと思います。いずれにしましても、私がそうした行動をとったことは、候補者御本人との間の十分な話し合いの上での話でございまして、それを私がまだ浅い政治経験の中からではございますけれども、すべて私のいわば政治的な決断ということで判断をし、行動をとったところでございます。この行動につきましては、いろいろと先ほど申し上げましたとおり御意見があろうかと思いますけれども、謙虚に耳を傾けるということの中でこれからすべて私の責めに帰すところでございますし、特に県職員、いろいろ公正にこれからまた県政を執行していくわけでございますので、そうした県職員がまた違った目で見られることのないように、これは私も十分留意しながら、いずれにいたしましても、県勢の発展のために先頭に立ちまして全力を尽くしていきたい、このように考えているところでございます。

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