平成9年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成9年3月11日(火)
   

1開会  午前10時3分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長 村上勝治
議事課長 及川宣夫
議事課長補佐 西田幸男
主任議事管理主査 駿河 勉
議事管理主査 中澤 悟
議事管理主査 上柿 聡
議事管理主査 木村 稔
議事管理主査 南 敏幸

1説明員
副知事 千葉浩一
副知事 吉永國光
 
総務部長 大隅英喜
総務部次長 合田 武
県立大学整備室長 川崎 功
参事兼秘書課長 佐々木 徳治
参事兼人事課長 飛澤重嘉
総務学事課長 藤沢政則
行政情報室長 種田 勝
国際交流課長 小野寺 篤 信
財政課長 佐藤 勝
施設管理課長 菊池毅逸
税務課長 佐藤 健
地方振興課長 馬 場 竹次郎
消防防災課長 本田敏秋
通信管理室長 佐々木 全 爾
県立大学整備監 千葉俊明
県立大学整備監 石川 戡
企画調整部長 武居丈二
企画調整部次長 渡辺 勲
企画調整部次長 土田健治
企画調整課長 照井 崇
地域計画課長 上 野 賢一郎
交通政策課長 瓦林康人
 
議会事務局長 村上勝治
議会事務局参事兼総務課長 小瀬川 紀 夫
議事課長 及川宣夫
調査課長 武田牧雄
   

〇藤原委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入る。
 議案第6号から議案第25号まで、議案第27号、議案第32号から議案第49号まで、議案第51号から議案第68号まで、議案70号から議案72号まで、議案第74号から議案第84号まで、及び議案第86号、以上72件を一括議題とする。
 本日は、昨日に引き続き、総括質疑を行った後、議会、総務部関係を終わるように進行したいと思うので、御協力をよろしくお願いする。
 また、説明、質疑及び答弁については、簡潔明瞭に行い、議会運営委員会の申し合わせにより、効率的に審査が進行するよう御協力をお願いする。
 なお、関連質疑については、質疑冒頭に質疑を表明している委員より優先して発言を認めているものであるので、その性格上、関連性の強いもののみ、短時間、簡潔に発言されるよう御協力をお願いする。
 総括説明に対する代表質疑を続行する。佐々木大和委員。

〇佐々木(大)委員 清和会の佐々木大和である。会派を代表し、総括的に順次質問をさせていただくが、これまでの質問と一部重複することがあると思うが、御了承願う。
 まず、平成9年度予算案に関してお伺いする。
 国においては、平成9年度財政構造改革元年と位置づけ、一般歳出の増加額を極力圧縮することにより、全体としての歳出規模を3%増と厳しく抑制したところである。また、地方財政の指針となる地方財政計画においても、極めて厳しい地方財政の現状を踏まえ、徹底した歳出の抑制を図った結果、対前年度伸び率は2・1%増と、実質的には昭和59年度以来の低い伸びとなったところである。このような中で、本県の予算案は対前年度伸び率が8・6%と高い伸びを示しており、厳しい財政状況にあって意欲的に予算編成に取り組んだ結果として評価するものである。近年の厳しい財政環境は、どの団体も同様であろうと考えるのであるが、本県の予算編成に当たっては、当然のことながらスクラップ・アンド・ビルドを行ったと思う。スクラップした事業を含め、どのような点に工夫を凝らし、どのような施策に重点を置いて取り組まれたのか、お示しを願いたいと思う。

〇大隅総務部長 平成9年度の当初予算の編成に当たっては、厳しい財政事情にあることから、財源の確保と予算の重点的、効率的な配分に努めたところである。
 まず、歳入面では、使用料、手数料等の見直しを行っておる。使用料については、空港使用料など37件の見直しを行って7、800万円の増、手数料については衛生研究所検査手数料など14件の見直しを行って1、600万円の増額というふうになっておる。
 次に、県債の活用についても、交付税措置のある県債の有効活用に努めたところであり、例えば県立大学整備では133億円、それから新幹線整備促進対策では117億円という交付税措置のある起債を充てておるところである。それから、歳出関係でも見直しを行っており、まず、マイナスシーリングを行っておる。これによって経常経費7・5%の節減をして13億円の一般財源を確保しておる。それから次に、県単独補助金の整理合理化を行っておる。廃止、縮減を含めて79件で、55億円余である。それから次に、県単独事業の見直しを行って、これは廃止36件、24億円余となっておる。
 次に、施策についてであるけれども、第三次岩手県総合発展計画の後期実施計画に基づく諸施策について、その七つの視点を踏まえて計画的な推進に努めたところであるが、特に平成9年度予算においては、予算編成上の重点課題として掲げた三つの柱、これに基づく施策については、緊急性、重要性を勘案しながら積極的に予算編成を行ったところである。
 具体的にちょっと申し上げると、まず、高度情報化の推進と情報発信機能の充実強化においては、地域交流センターにマルチメディアに係るソフト開発の研究支援施設の整備を行う。それから、県立中央病院と国立がんセンターを情報ネットワークで結んで、最先端医療情報技術の活用を図るというようなこと。それから二つ目には、地域の連携交流の促進については、北東北3県の地域連携の促進を図る、あるいは地域活性化事業調整費の予算枠の拡大を行ったということである。それから三つ目としては、国際的視野に立った地域経済の振興であるが、工業技術センター内に独創的、先端的な研究開発の共同施設の整備を図ったこと、さらには、地域交流センター内に新産業創造のための交流、インキュベーター機能の拠点施設の整備を行った。概要は、大体以上のようなところである。

〇佐々木(大)委員 重点事業として、新規及び一部新規を含め80の事業を取り組まれ、新たに提案されたことを心から評価したいと思うし、その実現を期待申し上げたいと思う。
 次に、県民所得の向上策についてお伺いする。
 人々の価値観が大きく変化し、ライフスタイルが多様化する中にあって、本県のように豊かな自然や特色ある歴史、文化に恵まれた地域にあっては、私は単純に県民所得だけで生活の豊かさを比較することは適当ではないと思うのである。しかしながら、県民の生活の豊かさの基準は、依然として所得水準にあるという県民の意識には変わりなく、その向上を図ることは県政の最重要課題の一つであり、県政にかかわる我々一人一人の責務でもある。こうしたことから県民の経済活動の活性化を図るため、交通、情報通信基盤の整備を初め、さまざまな面で産業振興策を講じてきた結果、最近では県民所得の向上が進み、全国との格差も大幅に改善されていると思われる。反面、盛岡から一関にかけての北上川流域と県北、沿岸地域などの中山間地域との県内市町村間の所得格差は、むしろ拡大しているように思われるがいかがであろうか。
 そこでお伺いするが、県民所得の推移と全国との格差の推移はどうなっているであろうか。また、市町村間の所得格差の推移はどうなっているのかお伺いする。さらに、県民所得を向上させるための方策をどのように考えているのか、あわせてお伺いする。

〇武居企画調整部長 まず、県民所得の推移についてであるが、平成6年度の県民所得推計結果から見ると、10年前の昭和59年度の1人当たりの県民所得、これが160万4、000円であったが、1人当たりの国民所得を100とした1人当たりの県民所得の水準は、当時で79・2%、全国順位で42位であった。これが平成元年度以降所得水準が80%を超えて着実に向上してきており、平成6年度の1人当たりの県民所得は252万6、000円、所得水準は過去最高の84・7%ということで、全国順位も前年度の40位から37位に向上しているところである。
 次に、市町村間の所得格差の推移であるけれども、平成6年度の市町村民所得推計結果から広域生活圏別に1人当たりの市町村民所得を見ると、県平均の1人当たりの市町村民所得、これを100とした所得水準を各圏域ごとに比較すると、盛岡、それから岩手中部の2圏域が100%を上回っており、胆江、両磐の2圏域が90%、それから気仙、釜石、宮古、久慈、二戸の5圏域が80%台となっておる。これを10年前の昭和59年度における、同じく県平均の1人当たりの所得、これを100とした所得水準と比較してみると、胆江、両磐、久慈、二戸の4圏域で平成6年度に向けて上昇しており、盛岡それから岩手中部、気仙、釜石、宮古の5圏域が低下しているところである。それから、1人当たりの市町村民所得の最も高い市町村と最も低い市町村との比較、これは最も高いところはずっと盛岡であったけれども、これは59年度との比較でいくと、この格差が2・37倍あったが、平成6年度には1・92倍ということで、傾向としてはその差は縮まってきているところである。しかし、委員御指摘あったように、個々の市町村を見ると、県平均の1人当たりの所得を100とした所得水準が、昭和59年度よりも6年度の方が低下している市町村も17市町村あるということで、必ずしも全体として上昇にあるとはいえない傾向にある。
 県民所得の向上策についてであるけれども、所得を向上させるためには、各地域が持つ発展可能性を最大限に引き出しながら地域づくりを進める、これは肝要であると考えておるけれども、その上で産業振興を図り、本県の地域経済を活性化していくことが必要であると考えておる。このため引き続き、新幹線であるとか、高規格幹線道路を中心とした交通網の整備であるとか、あるいは高度情報化に対応した情報通信網の整備、さらには、下水道などの良好な居住環境の形成あるいは都市機能の一層の充実、また、教育環境の整備ということも大事であるし、産業経済活動基盤となる社会資本の整備充実、こういったものに努めながら、地域の特性に応じた収益性の高い農林水産業、市場形成力の高い工業であるとか、あるいは魅力ある商業集積など、既存産業の高度化を図ることはもちろんであるけれども、バイオテクノロジーを使った科学技術であるとか、高度情報通信技術を活用するとか、そういったことで産業構造の転換を図っていくことも重要ではないかと考えておる。

〇佐々木(大)委員 バブル崩壊以来、財産所得が低下し、そしてまた、低金利も加えておるであろうけれども、そういう中で岩手県は企業所得が伸びているということを聞いておる。ぜひ頑張っていただいて、県民所得を向上させていただきたいと思う。
 次に、移らせていただく。
 地域活性化事業調整費についてお伺いする。
 地域活性化事業調整費は、地方振興局が地域の振興において独自性を打ち出すなどの機能強化のため、昭和61年度に3億円の事業規模で創設され、今年度は7億円に大幅増額し、うち2億円については広域連携分として、これまでの行政単位の枠を超えた広域での交流、連携を促進する事業に活用されておる。この地域活性化事業調整費の活用により、この10年間に県北地域では、馬淵川アメニティ景観整備事業、沿岸地域では、全国太鼓フェスティバル開催事業など、数多くの地域振興に向けた事業が県内各地域で展開され、この調整費が地域の活性化に果たしてきた役割は非常に大きなものがある。分権型地域社会の創造に向けた各種の施策が展開される今、地方振興局の保健所、土木事務所との統合など、機能強化と相まってこの調整費の一層の充実が期待されるところである。
 そこでお伺いするが、この調整費のこれまでの評価及び平成9年度に2億円増額し、9億円とした意図はどこにあるのであろうか。さらに、この増額分の運用方法はどのように考えておられるのかお伺いする。

〇千葉副知事 調整費の評価についてであるけれども、制度創設以来これまで2、632事業に対して、約40億5、000万円が投入されたところである。その結果、各地方振興局において、それぞれの地域の特性を生かした個性ある地域振興事業、ただいま委員の方からお話があった地域イベントの開催や地域課題の解決に向けた取り組み、さらには、地域産業や地域文化の振興に係る事業の実施など、さまざまな事業に充当することによって地域振興に着実な成果を上げてきたと受けとめているところである。9年度においては分権型地域社会の創造に向けて、地方振興局が各地域の振興の拠点として、これまで以上に地域の活性化や広域的な連携交流の促進に向けた取り組みに努めていくことが必要であると考えておる。このため、地方振興局の体制面での整備とあわせて、調整費についても全体で2億円を増額してまいりたいと考えているところである。
 また、今回の増額分については、通常の地域振興事業に充当される一般分に1億円、広域的な連携を図る観点から複数の市町村等が連携して行う事業に充当される広域連携分に1億円をそれぞれ増額したいと考えておる。この増額分を含めて、各地域において調整費がそれぞれの制度の趣旨にのっとって、より効果的に活用されることにより、各地域が持つすぐれた発展可能性が最大限に引き出され、個性や特色を生かした活力に満ちた地域づくりが一層推進されることを期待しているものである。

〇佐々木(大)委員 次に、沿岸と内陸の格差是正を図るために、県が推進している具体的な事業についてお伺いをさせていただく。
 国道455号早坂峠の整備についてお伺いする。
 かつて、沿岸から塩や海産物を運んだ小本街道は、塩の道とも言われ、重要な役割を担ってきたところである。岩洞ダム建設を契機に、昭和27年着工された盛岡岩泉線であったが、その後、車社会の進展により交通量の増加とともに道路の整備が進められてきたところである。盛岡広域生活圏と宮古広域生活圏の北部を結ぶ社会、経済、文化、産業基盤に重要な役割を果たしておる。しかしながら、この路線の中間地点に標高905メートルの早坂峠があり、この峠を挾んだ10キロメートルの区間は、急カーブ、急勾配の連続で、ドライバーに大きな負担がかかる箇所である。特に、冬期間の5カ月間は路面が凍結し危険なことから、当地域の産業経済の振興、文化の向上等地域発展に大きなネックとなっておる。
 隘路区間の解消は沿岸北部住民の悲願であったが、県当局のお計らいで、平成8年度からスタートした新交流ネットワーク道路整備事業の中でトンネルとして整備されることになり、改めて感謝を申し上げるところである。仄聞するに、2、000メートルを超す長大トンネルになると伺っておるが、建設事業費も相当なものになると考えられることから国庫補助の導入も必要かと存ずる。
 そこでお伺いするが、国庫補助導入の見通しを含め、現在の取り組みの状況と今後の整備の見通しについてお聞かせ願う。

〇吉永副知事 一般国道455号の玉山村と岩泉町の境界に位置する早坂峠は、急勾配でカーブがきつく、ヘアピンカーブが連なっていることから、特に、冬期交通の安全性や走行性の向上を図ることが重要な課題となっておる。このため、平成8年度に創設した新交流ネットワーク道路整備事業の中に早坂峠を組み入れ、8年度より改良整備に着手したところである。現在は、経済的で安全な通行が可能なルートについて調査検討を進めているところであり、そのための測量調査あるいは地質調査といったものを実施しておる。整備手法としては大規模な事業であることから、委員御指摘のとおり、国庫補助事業として整備を図られるよう、現在、国とルート協議を進めているところである。
 今後の事業の見通しについては、平成9年度にルート確定後トンネルの詳細設計を実施し、建設省や、あるいは県立自然公園関係部局との協議調整を行い、それらの関係機関との協議が整い次第、できるだけ早期にトンネル工事に着手できるよう努力してまいりたいと考えておる。県としては、整備の緊急性も勘案し、国庫補助事業の導入に向けて、国に対しては積極的に要望してまいる所存である。

〇佐々木(大)委員 御期待を申し上げておるので、よろしくお願いする。
 次に、土地利用型畜産の振興についてお伺いする。
 本県の畜産は広大な県土を背景に、生産者、県及び関係団体一体となった積極的な取り組みにより、全国屈指の地位を確立しておる。しかしながら、畜産においてもWTO体制のもとで高品質、低コスト生産等経営体質の改善が強く求められ、畜産農家の経営環境は多難な状況が続いており、本県が今後とも畜産の主産県として地位を維持し、発展していくためには、畜産物の生産コストの低減を図るための抜本的な対策が必要であると思うのである。このためには、当県の豊富な草資源と土地条件を生かした土地利用型の酪農、肉用牛を積極的に振興することが極めて重要であると思うのである。一方、本県における最近の大家畜経営においては、飼養者の高齢化や労働力不足等により、粗飼料の生産性が低下している事態が見聞される。また、稲わらが稲作農家段階で焼却やそのまますき込みされているなど、有用資源としての十分な活用がなされていない状況が見受けられる。このような事態は、本県が目指す土地利用型畜産の推進に重大な支障を来していると思うのである。
 そこで、これらの状況を改善するために、公共牧場の積極的な活用を図るとともに、畜産部門と耕種部門の有機的な連携が必要であると思うのであるが、労働力が不足する中にあって、県として土地利用型畜産の振興を今後どのように進めようとしておられるのかお伺いする。

〇吉永副知事 今日の畜産情勢は、飼料用穀物の世界的な需給の不均衡、それらによって今後とも配合飼料価格の高騰ということが予測されており、生産コストの上昇が懸念されているところである。このような情勢を踏まえて、土地利用型畜産である酪農及び肉用牛の振興を図るためには、広大な県土と豊富な草資源を有効に活用した放牧促進、あるいは粗飼料の生産と自給率の向上によって、こうした配合飼料依存度を積極的に低減するということが一つの課題であると考えておる。このためには、県内各地に156ある公共牧場を広域的視点に立って、地方振興局ごとに放牧牛を品種別に妊娠、育成、子つき等に区分、経理、管理する集約放牧場、あるいは畜産農家に牧草等を供給するための採草牧場等抜本的な再編整備を促進するとともに、牧場機能の強化を図り、放牧頭数の大幅な拡大と粗飼料の自給率向上に取り組むこととしておる。また、牧草やデントコーン等飼料作物の優良品種の作付面積を拡大するとともに、良質粗飼料の増収を図るためのロール・ラップサイレージ等収穫調整技術の普及・定着、あるいは草地の低コスト更新技術等の開発にも取り組むこととしておる。
 それから、御指摘があった稲わらについてであるが、これは重要な資源として積極的に活用するために、稲わら収集機等の導入を図り、畜産と耕種との有機的な連携のもとで、堆厩肥の土地還元によって地力の増進に努めたいと考えておる。9年度の当初予算において、粗飼料・稲わら等広域生産利用対策事業を計上しているところである。
 また、担い手の高齢化対策としてのヘルパー組織や粗飼料自給率の向上対策としての飼料生産請負組織を育成するなど、積極的に地域営農の振興を図っていく所存である。

〇佐々木(大)委員 次に、分権型地域社会の創造についてお伺いする。
 増田知事は、今議会冒頭の知事演述の中で、県政運営に当たっての基本方針として、分権型地域社会の創造を提唱された。この中で、知事は、地方の自主性、自立性を高め、個性的な地域づくりを展開するなど、地方のことは地方で考えていくことを基本とし、これまで以上に地域を重視し、県民が主役の県政を推進するとしておる。このことは、地方分権の時代を迎えている今日、まことに時宜を得たものであり、賛同するものであるが、こうした分権型地域社会が目指すものは何か、また、それに向けて具体的な方法論をお示し願いたいと思う。さらに、人口減少、高齢化や地域間競争が激化する中で、複雑、多様化する社会環境にこたえ、質の高い自立的な地域社会を形成していくためには、既存の縦割型の仕組みを改善し、地域完結型社会の形成を図ることが必要であると思うのである。
 そこでお伺いするが、県においても自立的な地域社会の形成を目指し、地方振興局に機能を集中させたように、各施策分野の連携を図っていく必要があると思うのであるがいかがであろうか。

〇千葉副知事 分権型地域社会の創造についてであるけれども、今日、我が国を取り巻く環境は大きく変化している中にあり、従来型の画一的、横並び的志向では時代の変化に適切に対応できなくなってきている面が見られる。特にも、住民生活に密接に関連する施策については、地方が自主的な判断と責任のもと、地域の実情に即した運営ができるような行政システムの転換を図ることが必要であると考えられるところである。そのためには、国と地方の役割分担を明確にして、機関委任事務の廃止、国から地方への大幅な権限の委譲を行うとともに、地方税財源の充実強化を図る必要があり、これまでも知事会等あらゆる機会を通じて国に要望しているところである。また、県内各地域が持つ発展可能性を最大限に引き出し、地域の個性や特色を生かした地域づくりを進めることが極めて重要である。その基盤となる交通網や情報通信網、経済社会の発展の源泉となる科学技術振興、試験研究基盤の整備などを促進するとともに、これらを効果的に活用して地域の発展に結びつけるような新しいシステムの構築や、それを支える創造的な人材の育成を図っていくことが重要になってくるものと考えているところである。
 また、各施策分野の連携についてであるけれども、県においては、これまでも各分野の調整や連携を図りながら事業を実施してきたところであるが、平成9年度から、本庁においては保健医療部門と福祉部門、県民生活部門と環境部門をそれぞれ統合するとともに、企画部門と地域振興部門の一元化を図るほか、地方振興局においても保健所、土木事務所等の統合を進め、地域振興の拠点として総合性、自己完結性を高めるなど、地域における各分野の施策の連携に努めているところである。
 また、ひとにやさしいまちづくり、岩手ブランドの確立、下水道など排水処理施設の全県的な整備の推進に当たっては、各分野の事業の連携や調整を図りながら、総合的かつ体系的な施策の展開に努めているところである。今後においても分権型地域社会の創造に向けて、各分野の一層緊密な連携を図りながら、一体的かつ総合的な施策の推進に努めてまいりたいと考えておる。

〇佐々木(大)委員 分権型地域社会の創造に向けて、格差が出ないような方向をぜひお願い申し上げたいと思う。
 一面で、地域は社会の細胞であるということが言えるかと思うけれども、その地域という細胞が集まって村や町や市をつくる、そして県があり、国があると考えられるわけである。そういう中で一つ一つの細胞が正常で活発に活動することが基本になるわけであるけれども、中には異常に活性することもあり、言いかえればがん細胞が発生するということもあろうかと思う。名医である千葉副知事や吉永副知事、ぜひこの健康管理を進めていただいて、岩手県ががん患者にならないように地域均衡を図りながら、今後の行政推進をお願い申し上げたいと思う。
 次に、新しい旅推進事業についてお伺いする。
 御案内のとおり、昨年12月から、見る・食べる・体験する、冬の陸中海岸丸かじりというスローガンで、魚彩王国という旅行商品が首都圏を中心に売り出されておる。これは、冬場の観光客誘致に向けて、沿岸部の民間団体や市町村が主体となって取り組んできたものであるが、県においても事業内容に対する指導や旅行代理店への橋渡しをされるとともに、各種宣伝事業で積極的に取り上げてこられたと伺っており、県の適切な支援を高く評価しているところである。
 平成9年度においては、この魚彩王国をモデルにしながら、新規事業として新しい旅推進事業を実施する予定とのことであるが、具体的にどのような展開をするお考えであろうか。また、このような事業の展開により観光客の誘致や地域観光振興を図るため、一過性の事業に終わらせることなく継続的に取り組んでいくためには、観光協会等の事業主体の確立などが重要であると考えるものであるがいかがであろうか、お伺いする。

〇吉永副知事 新しい旅推進事業は、県内各地域の自然、歴史、文化などの資源を生かして、本年度実施した魚彩王国のような地域提案型の旅行商品の開発を進めるとともに、観光客の受け入れ態勢の整備、地域の特産品を活用した新しい料理や土産品を開発するなど、観光による地域の活性化を全県的に推進しようとするものである。県内を四つの広域的な地域に区分して、地域の主体的な取り組みを促進し、JRや大手旅行エージェントとタイアップして、新緑シーズンや冬季における地域提案型の旅行商品の開発などに努めてまいりたいと考えておる。このような新しい取り組みにはきめ細かな宣伝活動が必要であるので、これを実施しつつ首都圏を中心にし、積極的な情報発信をしてまいりたいと考えておる。この魚彩王国は、12月から3月までやって3、000人の予定だったのであるけれども、現在予約を入れて3、000人を超えているという非常に大成功をしたものである。御提言のように、このような事業は継続して実施していくことが非常に重要であると考えるので、各地域ごとに地方振興局、市町村、民間観光団体等を構成員とする推進組織を整備し、この組織と連携のもとに事業の展開を図ってまいりたいと考えているところである。

〇佐々木(大)委員 次に、地域に密着した中小商店の振興についてであるが、近年、いわゆる大店法の規制緩和を背景とした大型店の急激な出店増加などにより、県内の中小商店の廃業が増加しつつあり、また、商店街は衰退傾向にあると言われているのである。地域の商店は、長い歴史を持つものも少なくなく、かつては御用聞きや配達などを通じて、地域の中に根をおろした商売を行っておった。私は、中小商店が厳しい競争を乗り越えていくためにも、このような原点に立ち返って、たとえ小さくても地域に密着し、熱心な商売を行うことが求められているのではないかと考えるものである。
 超高齢化社会の中で、例えば生活必需品などを家庭に届ける福祉的なサービスなど、地域の人々のニーズに沿った商売も今後大いに検討されてよいのではないかと思うのである。商店街においても、こうした観点に立って、地域社会の人々と交流を深めるような事業を積極的に行うことが大切ではないかと考えるものである。県としては、このような地域に密着した中小商店や商店街の活性化について、どのように考えておられるのかお伺いする。

〇吉永副知事 中小小売店には委員御指摘のとおり、消費者に身近であるという優位性があるわけであり、これを生かし、食料品や日常衣料品などの生活必需品や地域の生活習慣等に根差した商品などの提供を初め、顧客のニーズを踏まえた対面販売、さらには消費者一人一人の触れ合いを大切にする接客など、中小小売店ならではのきめ細かなサービスを提供していくことが必要であると考えておる。また、商店街の活性化のためには、駐車場などの利便性の確保とともに、地域の人々が触れ合うにぎやかな市、あるいは祭りといったイベント事業にも取り組むことにより、地域のコミュニティーの核としての機能も強めていくことが必要であると考えておる。このような観点から、県としては、駐車場や街路灯などの基盤整備を促進してきたほか、商店街の活性化を目指したさまざまなイベントの実施等に対して支援を行ってきたところである。平成9年度においては、新たに地域の消費者に支持される店づくりに積極的に取り組む個店を支援するために、設備15年あるいは運転10年といった長期、低利の県単独の融資制度を創設するとともに、意欲的な商店経営者や商店街リーダーの育成のために、創意工夫により成果を上げている個店のケーススタディや地域密着型の商店街として成功している事例の視察などを行う研修事業を支援するなど、中小小売店や商店街の活性化に努めてまいりたいと考えているところである。

〇佐々木(大)委員 今、申し上げた御用聞きや、それからまた、配達というのは、現在の中小商店の体力ではやっていけないものになっているのではないかと、そんな感じがする。そういう中で、ひとり暮らし老人や車社会についていけない今の高齢者の人々などを対象にして、福祉的な観点からこれらの地域商工業者の持っているサービス網をジョイントさせていくならば、何か明るい商店街形成ができるのではないかと、そんな感じがする。商工会等の目的の中には、社会、一般の福祉に資する事業というのが掲げられておる。そういうところを考えながら、地域の福祉を担っておる民生委員の方々との接点を設けていくことはできないものかと、そんな感じを持っておるので、今後御検討いただければと思うわけである。
 次に、今後の森林造成についてお伺いをする。
 本県では毎年、針葉樹、広葉樹あわせて、およそ5、000ヘクタールの森林が伐採され、素材の生産量が150万立方メートル前後と北海道に次いで全国第2位となっておる。申し上げるまでもなく、森林は再生産が可能な唯一の資源であり、この伐採後の林地を森林として健全に育成し、林業経営を継続していくためには、木材資源についての効率的な循環利用、適切な保育、間伐の実施、水源涵養機能など公益的機能の高度発揮を重視した森林施業などについて、長期的な視点に立って進めていく必要がある。また、このことを確実に実行することによって、21世紀の国産材時代において、木材供給県としての本県の地位を揺るぎないものにすると考えておる。
 そこでお伺いする。
 県行造林、公社造林など、いわゆる機関造林についてである。
 機関造林は、本県の森林の公益的機能の維持増進と森林資源の整備充実、さらには、山村地域の雇用の場の創出に中心的な役割を担ってきたところである。現在、機関造林の面積は、8万8、000ヘクタールに及び、民有林造林面積の約3割を占め、また、私の地元の岩泉町では、町内の造林面積の6割を占めるなど、地域林業の振興や山村地域の活性化に大きな役割を果たしてきたところである。一方、本県の森林は、いまだ整備充実しなければならないところも多く、また、これまで整備してきた森林も間もなく主伐期を迎えるので、今後、伐採跡地の再造林などによる森林造成が必要不可欠であると考えておる。しかしながら、木材価格の低迷などから森林所有者の経営意欲が減退し、長期的に林業生産活動が停滞している中で、森林所有者にこれらの造林を期待することは困難な状況にある。このため、森林所有者にかわってその役割を担う機関造林の重要性がますます高まっておるが、県はこの期待にどのようにこたえ、今後、森林造成の中で機関造林をどのように位置づけて進めようとしておられるのかお伺いする。

〇吉永副知事 県行造林、公社造林などの機関造林は、森林所有者にかわって森林の整備を図ってきたわけであるが、これまで民有林造林面積の約3割を造成して、延べ2、200万人を雇用するなど、本県の森林資源の整備充実と山村地域の雇用の場の創出に多大な貢献をしてきたところである。本県の森林資源は着実に成熟してきており、21世紀の初頭には本格的な収穫時期を迎えようとしているところである。今後の森林造成は、森林資源の循環利用を図るための跡地造林や、森林の公益的機能の維持増進のための造林をいかに進めるかが課題になると思う。また、このことは国全体の森林整備の大きな潮流として、8年11月に森林資源の長期的な整備の基本方向を明らかにするため閣議決定された森林資源に関する基本計画の中で、水土保全、森林と水との共生等森林の公益的機能により着目した森林整備の方向が示されたところである。このため、森林の公益的機能の維持増進のための造林や一部の跡地造林については、委員御指摘のとおり、木材価格の長期にわたる低迷、林業の置かれている厳しい環境のもとでの森林所有者の自主的努力にのみ期待することが極めて困難な状況もあることから、機関造林の果たす役割については十分検討を加えていく必要があると考えているところである。

〇佐々木(大)委員 ぜひ推進方お願い申し上げたいと思う。
 第2に、間伐材の活用についてである。
 本県の森林資源は、人工林を中心に年々成熟しておるが、同時に、間伐を必要とする森林もピークに達しており、その実行がおくれている森林が随所に見られるところである。間伐が停滞している原因はさまざま考えられるが、間伐材の利用率が30数%と低いことも大きな要因ではないであろうか。森林所有者が数十年かけて育成してきた貴重な森林資源であることを考えると、このことは大きな損失であると考えられる。現在、利用されている間伐材の約7割が建築材に向けられておるが、間伐の一層の促進を図るためには、量的拡大を図って多様な用途に、より多く活用することを考える必要がある。例えば、スウェーデンにおいては、パルプ製造過程の発生液などを利用したバイオエネルギーが、同国の総エネルギー供給量の15%を賄っていると言われておる。
 そこでお伺いする。
 本県の森林整備の促進を図るためにも、今後の間伐材の活用に向けて積極的な取り組みが必要不可欠であると思うが、県はどのように取り組もうとしておられるのかお伺いする。

〇吉永副知事 間伐の推進や県産材の需要拡大を図るため、関係各部局との木材利用に係る連絡調整や県産材の需要の開発促進にはこれまでも努めてきたところである。その結果、平成7年度の間伐面積は1万1、900ヘクタール、素材換算で17万6、000立方メートルが生産されているということである。このうち、間伐材の利用量は約9万5、000立方メートルとなっており、建築材、こん包用材等製材用原木が79%、足場丸太、くい、支柱等丸太での利用が7%、パルプ・チップ等原材料としての利用が14%ということである。一方、採算がとれないということから約8万1、000立方メートルが林内に放置されており、大変に残念なことであると考えておる。スウェーデンにおいては、森林産業における廃棄物等の利用によるバイオエネルギーが総エネルギーの供給量の15%を担っているということであり、これは委員のお書きになった論文に述べられているところであり、私どもも勉強させていただいたところであるが、我が国においてはコスト面からなかなかそれが直ちに取り入れがたいというところがあるようで、極めて残念な状況である。これら未利用間伐材の活用を促進するためには、新たな需要開拓とあわせて間伐材の生産コストの低減と量的な安定供給体制の整備に取り組む必要がある。このため需要開拓を図る観点から、民間セクターによる需要拡大の取り組みとともに、県が発注する公共建築物や治山・林道、農業資材の利用などに取り組んできたところであり、また、土木部においては、今年度から間伐材等土木用資材として道路標識、公園等の施設などに積極的に利用を図ることとしておる。今後においても、こういった努力を続けていきたいと考えているところである。

〇佐々木(大)委員 スウェーデンのバイオエネルギーの資料は私の論文ではなくて、私が求めた日本語の資料であるので訂正……そこまでは私はできないのでよろしくお願いする。ぜひ間伐促進にいろんな工夫をしていただき、量的な拡大を図っていただくように御努力をお願い申し上げたいと思う。
 第3に、水源地域の森林整備についてである。
 森林は、緑のダムとも言われておるように、洪水の防止、渇水の緩和、水質の保全などに重要な役割を果たしておる。酸素一番宣言をした岩泉町の場合、その条件として森林が正常な活動をしていることが大前提となっており、手入れが行き届かない森林では十分な酸素も発生させることができないと言われておる。酸素同様に、水資源を安定的に確保するには、森林を良好な状態で保全することが必要である。特に、本県の森林面積の4分の1を占める29万ヘクタールの水源涵養保安林を適切に保全、整備することが重要であると考えておる。
 そこで水源涵養保安林の整備について、これまでの取り組み状況と今後の取り組みの方向についてお伺いをする。

〇吉永副知事 本県の水源涵養保安林は、奥地森林地域を中心に28万7、000ヘクタールが指定されておる。このうち、国有林が20万2、000ヘクタール、民有林が8万5、000ヘクタールとなっておる。民有林についてみると、盛岡市、岩手町、葛巻町など、北上川、馬淵川の上流地域に重点的に配備されているところである。民有林の水源涵養保安林の55%、4万7、000ヘクタールが人工林であり、この8割に当たる3万8、000ヘクタールは、地勢等の地理的条件が極めて悪い奥地の水源であり、これを対象に県有林事業、森林開発公団事業等の機関造林を行っていて、計画的に整備しているところである。一方、人工林の約4分の3が下刈り、除間伐などの森林整備が必要な35年生以下の若い森林となっておる。個人有林については、森林所有者による適切な森林施業を促進するための造林補助事業で高率の補助を行ってきたほか、気象災害等による森林所有者の責任において整備することが困難なものについては、保安林改良事業、保育事業などの治山事業により、県営で森林整備を実施してきたところである。今後はこれまでの施策に加え、9年度から新たに水源森林総合整備事業を導入し、荒廃森林の整備、路網の整備など、重要水源の流域一帯の保安林整備を総合的に推進してまいることにしておる。

〇佐々木(大)委員 これらの森林造成は、今後この人工林の造成とともに、天然林にも目を向けなければならないと思うわけである。五、六、七齢級を中心に、今、岩手県の森林の60%近いものが天然林として存在しておる。この天然林の価値を生かすのも、今後の本県の大きな課題である。岩手県の森林面積が118万ヘクタールと言われておるが、この100万ヘクタールを超す森林面積を今後森林造成をしていく上で、たくさんの可能性を持っていると思う。特に、100年後--一般質問で佐藤委員が22世紀を見据えて話をされたけれども--まさに100年後の岩手県の森林を100万ヘクタールで計画するならば、100年後には1万ヘクタールずつマイナスしていっても、この100年の木をつくっていく可能性を持つということが言えると思う。ぜひ今後の森林経営、岩手県100万ヘクタールの経営者として大胆な計画をお願い申し上げたいと思う。
 次に、これらに関係して、この2級河川小本川水系から岩洞ダムへの取水に伴う水の問題について、お伺いをさせていただく。
 岩洞ダムは昭和29年2月、閣議決定された北上特定地域総合開発計画に基づき、岩手山ろく約2、000ヘクタールの農業用水及び岩洞第一・第二発電所において最大出力4万9、300キロワットの発電を目的に、農林省直轄事業として昭和31年に着工し、35年に完成したダムである。本ダムの完成は、稲作振興、電力供給等において、本県の発展に多大な貢献をしているところは御案内のとおりであるが、しかし、岩洞ダム地点の流域面積は約49平方キロメートルと小さく、流入量を確保するため下流域や隣接する小本川流域などから流域変更して取水しておる。このため、小本川の大川取水堰直下流の河川流量は、洪水時等を除き、全く水無し川といった状態である。小本川は古来より、地域住民に豊かな恵みをもたらすとともに、人々の暮らし、歴史、文化等の風土形成に密接にかかわってきた河川であり、豊かな活力あるまちづくりに貢献できるような河川環境の創造を図るため、通年にわたり一定流量の確保が必要であると考えるところである。
 そこでお伺いするが、岩洞ダムへの取水後の小本川水系への必要流量の確保について、現状はどのようになっているであろうか。そして、この状況について明らかにしていただきたいと思う。

〇吉永副知事 岩洞ダムの水利権は、現在、更新手続中であり、御指摘のとおり、取水規模が大きいために、建設省においてその内容について審査しているところである。建設省ではこの審査に当たって、大川取水堰下流等の水質、動植物、景観への影響を検討し、必要流量を確保するため、水利使用者に対し諸調査を指示していると伺っておる。県としても、小本川水系の河川環境の向上を図るため、昭和63年度から河川水利用者と水利用にかかわる行政機関で構成する小本川水系水利連絡協議会を設置し、必要流量が確保されるよう毎年協議を重ねてきたところである。委員から御指摘あった水無し川となっておる大川取水堰下流については、正確な流量については今後の協議によるものであるが、基本的には川に水が返ると考えているところである。

〇佐々木(大)委員 地元では大変期待しておるし、以前、回復を待つ水無し川というようなサブタイトルでマスコミからも報道されたが、ただいまの御答弁のように、今後、部分的なのであるけれども、かれているところがあるわけであるので、今のお話を伺って安心をしたような次第である。ぜひその実現を図っていただきたいと思う。
 次に、障害者の福祉作業所への支援策についてお伺いをする。
 ノーマライゼーション理念などが浸透する中で、障害者の方々にあっては、住みなれた地域社会の中で暮らしたいとの希望が年々高まってきているようであるが、このような障害者の要請に沿っていくためには、福祉的配慮のされた働く場ないしは活動の場の確保もまた大変重要なことではないかと考えるのである。県内には現在、就労の意欲を有しながらも、さまざまな事情により一般就労ができない方々などのために、身近な地域の支援の場として福祉作業所が各所に設置され、親の会などの努力によって運営されておる。しかしながら、福祉作業所は県や市町村の助成を受けながら運営されてはいるものの、授産施設などに比べると財政基盤が弱く、厳しい運営状態にあるとも聞いておる。
 そこでお伺いするが、これら障害者の方々の福祉作業所に対し、県としてどのように支援策を講じておられるのか、そしてまた、今後どのような対応を考えておられるのかお聞かせを願いたいと思う。

〇千葉副知事 身体障害者、知的障害者の福祉作業所は、親の会などの努力によって現在、県内に38カ所設置されておる。運営基盤の弱いところが多いところから、県としても国庫補助などとあわせて県単独事業として助成を行ってきたところである。平成8年度の助成額は国が2、860万円、県が7、119万6、000円、あわせて9、979万6、000円で、1作業所当たり平均すると262万6、000円の助成を行ってきたところである。助成を行うに当たっては、作業所の意見を聞きながら必要な補助基準の見直しなどを行ってきておる。平成5年度においては定額補助から利用人員、職員割の補助方式に変更したほか、平成8年度においては重度の障害者が利用する小規模作業所も補助対象にするなど、助成内容の拡充に努めてきたところである。
 また、条件の整った作業所については、逐次通所型の授産施設への転換を指導してきているところである。この結果、現在15カ所の通所の授産施設が整備されておるけれども、平成9年度においては、さらに1カ所、授産施設への整備転換を図ることとしているところである。今後においても、国の障害者プランや3県総などに基づきながら、運営基盤のより一層の強化を図るため、財政支援のほか、制度化された授産施設への転換について積極的な指導、支援をしてまいりたいと考えておる。

〇佐々木(大)委員 次に、民間病院における施設近代化に対する県の支援策についてお伺いする。
 近年の人口の高齢化や疾病構造の変化、さらには健康に対する関心の高まりなどにより、医療に対するニーズも高度、専門的なものからリハビリテーションや在宅医療といったものまで、より広範囲かつ多様化してきており、これに対する適切な医療サービスが求められてきておる。こうしたことから、県においては、患者の状況に応じた良質な医療を効果的に提供するため、いわてリハビリテーションセンターの整備を初め、県立病院の機能充実のための計画的な施設の近代化が進められているところである。また、赤十字病院、済生会病院などの、いわゆる公的病院においても、それぞれの病院の機能に応じた施設整備が図られてきておる。しかしながら、民間病院においては、病院経営が厳しさを増している中で、多額の資金を要する施設の近代化を独力で進めていくことは大変困難になってきているのではないかと危惧するものである。私は、本県の医療施設がこのような医療需要の多様化、高度化に適切に対処していくためには、県立病院や公的病院の整備とともに、本県病院の半数以上を占める民間病院が、地域の医療需要に即して施設の近代化を図っていけるようにすることが重要であると考えておる。
 そこでお尋ねするが、このような民間病院の施設近代化に対する県の支援策はどうなっているかお伺いする。

〇千葉副知事 ただいま委員の方から御指摘があったとおり、病院経営が厳しさを増している中、医療の高度化やより質の高い患者療養環境の確保が必要となってきておるところである。しかし、多額の資金を要するため、民間の病院や診療所が独力で施設の建てかえを進めていくということは容易でない、そういう状況にある。こうしたことから国においては、病院における患者の療養環境、医療従事者の職場環境、衛生環境等の改善を目的とした医療施設近代化施設整備事業を定めて、民間病院等の施設の近代化を支援しているところである。この事業は、病床を削減しながら民間病院等が病室面積や階段、廊下の幅を広くしたり、患者食堂、リハビリルーム、ナースセンター等の拡充整備を内容とした建てかえをする事業に対して助成を行って、患者の療養環境等の向上を促進し、あわせて病院経営の安定確保を図ろうとするものである。本県においては、今年度、初めてこの事業を一つの民間病院が導入することとしておるが、県においても、さらに国からの助成のほかに県費を上乗せしているところである。今後とも施設の近代化に向けて、この事業を推進してまいりたいと考えておる。

〇佐々木(大)委員 民間事業への支援ということも、地域振興のためには本当に重要なことであるので、ぜひ重要課題として今後も推進をしていっていただきたいと思う。特に、最近の状況の中で、数年前、この日本の経済の状況をとらえて、か行経済ということがあった。価格破壊、規制緩和、空洞化、景気後退、雇用不安、このような課題が現在続いてきており、ここにまいってもやはり規制緩和によってボーダーレス化が価格破壊を生んでいる。そしてまた、アジアの発展は空洞化に拍車をかけている。景気後退はバブルの崩壊や、また低金利時代で、まさに資産収入が落ちていることから極端に見えてきていると思うし、雇用不安は当然である。こういう中で、行政の最大の可能性を持っている課題、権限はこの中の規制緩和と言われておる。この規制緩和の中で、国際化とともに民営化との関連が出ていると思うけれども、地方においてこれが不利益にならないように運営していかなければならないと思うが、大筋では国の動きで決まるけれども、県においても規制緩和に関係する地方の不利益を生まない方策というものをぜひ検討していただきたいと思う。
 地方分権の取り組みが進む中で、市町村行政に活性化を求めていくわけであるが、御承知のとおり、過疎化はどんどん進んでおる。その過疎化の中で、現在、新規事業に対する民間への支援ということも数々出ておるけれども、あわせてやはり地域の活性化ということは既存の事業者に対する、今取り上げた民間医療に対するのと同じような方策で、今後過疎地域に対しての民間業者への支援ということを検討いただければと思っているようなところである。
 以上で私の質問を終わらせていただく。

〇藤原委員長 要望でよろしいか。(佐々木(大)委員「要望である。」と呼ぶ)
 以上で総括説明に対する代表質疑を終わる。
 これより自由質疑に入る。自由質疑は答弁を除き1人15分を限度とすることとし、午後2時までに終了することを目途とすることになっておるので、御協力を改めてお願い申し上げる。
 ただいま日本共産党の委員から申し出があるので、発言を許す。

〇斉藤委員 日本共産党の斉藤信である。
 本会議の一般質問に引き続いて、県政の重要課題について質問する。
 第1に、大型店問題について。
 3月6日、県商工会議所連合会の知事を囲む懇談会が開かれた。大型店問題で要望が相次いだと報道されているが、要望の内容、知事の発言の内容を具体的に示していただきたい。

〇吉永副知事 去る3月6日に開催された県商工会議所連合会の知事を囲む懇談会についてであるが、この懇談会は、各商工会議所から商工業振興に関するそれぞれの取り組み内容の報告が行われ、それに対し知事が所感を述べるという形式で行われているものであるが、その中で、一部の商工会議所から、いわゆる大店法の規制緩和により、商店街の活力が低下していることから、県の支援、協力をお願いしたい旨の要望があった。これに対して知事からは、大型店の出店届け出がなされた場合には、地元の商店街や商工会議所、市町村の意見等を十分考慮しながら対応してまいりたいと申し上げているところである。
 また、商店街の活性化のため、商店街に加えて、その構成員である中小小売業者の意欲的な取り組みを支援してまいりたいと申し上げているところである。

〇斉藤委員 新聞報道では、10会議所のうち7会議所の会頭が大型店問題を取り上げたと、これは極めて重大である。私はそれで、本会議でも聞いて答弁がよくなかったわけだけれども、盛岡周辺に三つの巨大ショッピングセンター構想が明らかになっているが、どのように掌握しているか。

〇吉永副知事 盛岡周辺のショッピングセンター構想についてであるが、そういうものがあるということは新聞報道上で読んでおるが、新聞報道の範囲以上のものについては承知しておらない。

〇斉藤委員 報道されている三つの巨大ショッピングセンターが進出した場合、既存商店街とまちづくりに重大な影響を及ぼすと考える。新聞報道をちょっと紹介すると、盛岡南インター付近にはダイエー、盛岡インター東側にはマイカル、滝沢村の北部にはジャスコ、特にダイエーは28ヘクタール規模で開発をすると、マイカルは23ヘクタール規模の敷地で開発をすると、巨大な規模である。私は、これは大型店の届け出がなされてからの対応では遅いと思うけれども、このような巨大ショッピングセンター、ショッピングモールが及ぼす影響についてどう考えるか。

〇吉永副知事 委員と同じ新聞を私も読んでいると思うわけであるが、そういった影響については私自身、新聞報道以上のものは承知しておらないで、その影響について判断することは非常に難しいということである。
 出店届け出がなされ、その構想の内容が明らかになった場合には、消費者利益の保護に配慮しつつ、周辺の中小小売業の事業機会が適正に確保されるよう、大型店の事業活動の調整が行われることとなっておる。3、000平方メートル以上の大型店の所管は通商産業大臣であるが、その調整過程において、知事は、中小小売業への影響等に関して、大臣に意見を述べることができることになっておって、地元商工団体や市町村などの意見も踏まえながら、適切な対応をとってまいりたいと考えているところである。

〇斉藤委員 私は昨年の予算特別委員会でもこの問題を取り上げ、7市町村で影響調査をやっていただいた。その結果は、今、県内に進出している大型店の影響だけ見ても、売り上げが減少したと、2割以上は減少したと、こういうのがもう5割、6割を占めるわけである。今、盛岡周辺に進出を予定しているのはそういう規模じゃない。これはもう岩手県にない規模である。それで、私は県にお願いしたいんだが、例えばお隣の青森県の下田町には東北最大級と言われるジャスコのイオン下田ショッピングセンターが進出をしている。既に関連市町村に大きな影響を与え、八戸商工会議所がその影響調査をやっている。こういうものをぜひ調査をして、例えば弘前市には、これはマイカルが中心になったビブレシティというのが進出をしている。秋田にはダイエーが大規模に進出をしている。今度はいよいよ岩手だということなんである。であるから、東北各県にはそういう巨大なショッピングセンターが既に進出しているから、そういう影響調査を岩手県としてやって、届け出が出されてから対応する、そういうことでは私は遅いと、そういう調査を求めたいと思うが、いかがであるか。

〇吉永副知事 青森県内のショッピングセンターの調査については、委員が御存じのことと思うけれども、商工会議所が調査した結果、売り上げが開店5カ月後に10%減少した小売店等が16・5%というような調査は行われておるし、例えば前沢のジャスコ等についても調査が行われているところである。ただ、私どもとしては、今、御指摘の三つの巨大ショッピングセンターと言われているものについては、どこに出るのか、どういうふうになるのか、新聞報道等以上の知識が全くないわけであるので、現状においてはそういったことが明確にならないと、私どもとしてはいかんともしがたいということである。

〇斉藤委員 それで、例えば盛岡インターの東側のマイカルの構想などというのは2年前にもう新聞報道されているんである。かなり着々と進んでいる。ダイエーについては中内会長自身が現地を見ているという話まである。かなりこれは現実的な問題である。そういう点で大体東北各県にはそういうモデルとなるものがあるわけだから、ひとつ調査をしていただきたい。
 それで、専門家の指摘によると、例えば一つのショッピングセンターが進出するだけで盛岡の大通り商店街は2割、3割減少するだろうと、専門家は指摘をしている人もいる。一つだけでである。これが三つも周辺に出たらこれは盛岡の商店街は壊滅だ。岩手県の商店街壊滅という、こういうことさえ予想される。それで、例えば、これは静岡県だけれども、大型店が三つ進出した。競合して今三つとも逃げ出しているなんていうところもあるんである。だから、私は大型店というのは、進出するときはもう商店街をつぶして、大型店同士で負ければ自分も撤退する。こういうことを許してはいけない。その点で私は、23ヘクタールとか28ヘクタールとかの大規模だけれども、そうした大規模開発の場合、土地利用計画上どういう課題があるのか、クリアすべき課題は何なのか教えていただきたい。

〇吉永副知事 土地利用計画上の課題についてであるが、一般的には、郊外へのショッピングセンター等の出店の場合には、都市計画法、農地法などの規制が考えられる。ただ、今お話しになっている三つの地域というものについては、新聞報道以上の知識はないので、具体的な予定地等の内容がわからないので、クリアすべき課題の検討というのは非常に困難ではないかと考えておる。

〇斉藤委員 いずれにしても諸悪の根源は大型店の大店法規制緩和である。私はその点で、増田知事は国際化と言っているから、国際的な状況についてお聞きしたい。今ヨーロッパは大型店に対してどういう対応をしているか。

〇吉永副知事 ヨーロッパについてのお尋ねであるが、これは委員の方がよく御存じと思うが、フランスについては御指摘のように大店法に--大店法というか、規制緩和からむしろ規制強化と見れるような動きがあるようである。ただ、ヨーロッパ全体としてはこれは古い町並みの維持とか、景観の維持とか、そういう非常に広い観点から行われているものがあるかと考えておる。他方、米国、イギリス等ではむしろそういった規制は行われていないと承知しているところである。

〇斉藤委員 知事はヨーロッパにも海外にもよく行っているようだからよく調べていただきたいんだが、フランスは300平米から規制している。これは規制を一層強化しているのが現実である。ドイツは連邦建築法で床面積1、200平米以上の建物というのは、都市計画で指定された特別地域にしか立地できない。イタリアの場合には大型店の出店は県だけでなく州の許可が必要となっている。こういう厳しい規制というのが世界の常識で、私は大店法規制緩和に知事が、全国知事会、東北知事会を通じて強く反対をしていただきたい。大型店は届け出が出てからは、進出をとめることは極めて難しい。その点で私は全国的に大型店進出を阻止した例について紹介をして、取り組みの参考にしていただきたい。鳥取県の米子市ではダイエーの出店を断念させた。これは住民運動で、そして大店審が店舗面積半分以上の削減を答申した。それでダイエーは撤退した。京都市、これでもライフという出店の場合に売り場面積を3分の1に減少させた。これは住民の運動である。私はそういう点で行政が、待ちの姿勢ではなくて県を先頭に商工業者、消費者と共同して、特にまちづくりをやっぱり進める、こういう立場でこの問題を取り上げていただきたいと思うが、いかがであるか。

〇吉永副知事 県を先頭としたまちづくりということであるが、大型店の出店調整の段階で、県として国に対して意見の申し出ができるという、そういう制度上のことがあって、大型店の届け出がなされた場合には、まちづくりの観点などから、地元商店、商工団体や市町村などの意見を踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えておる。まちづくりということであると、県としては商店街の基盤整備などの取り組みに対して助成策を講じているところであって、9年度には新たに県単独事業によって、意欲的に事業展開を図る個店に対する長期低利の融資制度の創設、あるいは商店街リーダーや後継者を養成するための研修事業への助成措置を講ずるなど、商店街振興施策の一層の強化を図ることとしているところである。

〇斉藤委員 盛岡市長はこう言っているんである。このような三つの巨大ショッピングセンターが現実のものとなれば、盛南開発や西口開発など盛岡の都市開発にも重大な影響を与えると。私はそういう点で、これは単純な商店街振興策じゃないと、盛岡がどういうまちでなくてはならないのか、県都がどういうまちでなくてはならぬのか、そういう点で私はまちづくりの問題として今から取り上げていただきたい。
 次に進む。減反問題について。
 3月7日、県農政部長は急遽東和町長と会談したというが、その内容は何か。報道では自主減反方針の撤回を申し入れたとあるが、本当であろうか。

〇吉永副知事 東和町が生産調整の推進に当たって、平成10年度から生産者の自主的参加方式に転換するという方針を打ち出したことについて、その真意を伺うとともに、従前どおりの生産調整の協力を要請したという報告を受けているところである。

〇斉藤委員 東和町の自主的転作方針は、食糧法の法の趣旨に反するものであろうか。農水省から指導があったんであろうか。あるとすればどういう指導であろうか。

〇吉永副知事 新食糧法においては、生産調整は米の全体需給の調整を図るための重要な手段であるとともに、その円滑な推進を図ることが規定されておる。生産調整に関する市町村事務で、法令等で定められているものには、農業者ごとの生産調整対象水田面積の決定及び農業者への通知、食糧法施行令第2条第3項、米穀の生産調整の確認、食糧法施行令第3条、生産調整の確認に係る通知、食糧法施行規則第5条等がある。東和町が自主的参加方式、いわゆる手挙げ方式というのは、平成9年度に農家及び生産団体等の合意を得た上で、平成10年度から実施したいというものであって、これらの法令で定められている事務を町が実施するのかどうか明確でない現在においては、法的にどうかということについてはコメントできないと考えておる。また、農林水産省からは、特に指導されているところではない。

〇斉藤委員 新聞の市町村アンケートを見ると、東和町の方針を評価できるとしているのが58市町村のうち29市町村、5割である。現在の強制減反に問題があるとしているのが40市町村、76%、このアンケート結果を県はどうとらえているであろうか。今の輸入しながら減反、減反しても米価の下落という政府の農政の破綻、減反政策の行き詰まりが東和町の新方針の根底にあると思うけれども、どうであろうか。

〇吉永副知事 現行の生産調整については、いろいろな意見あるいは議論があることは承知しておる。しかしながら、米の需給が大幅な緩和基調にあって、平成9年度末の国内産米の持ち越し在庫量が290万トンから300万トンと、適正水準の2倍に達すると見込まれるなど、極めて深刻な事態となっておる。こうした状況のもとで、これ以上米の需給バランスが崩れることになると、価格が大幅に低落し、結果として、農家自体が損するということになるので、生産者の理解と協力のもと、生産調整を確実に実施し、その実効性を確保することが極めて重要なことと考えている次第である。

〇斉藤委員 一昨年に外米40万トンを輸入した。10万トンしか売れなくて30万トン残っているんである。ことし50万トン輸入する。80万トン、外米が。これは16万ヘクタールの作付に当たる。外米輸入が減反を拡大しているのではないだろうか。県内で8年度減反未達成となったところはどこであろうか。その理由は何であろうか。

〇吉永副知事 平成8年度の生産調整については、県全体として目標達成率が101・7%となっておる。目標面積を達成しなかった市町村はあるが、ごく一部である。これは非常に最大限の努力をした結果、ごくわずか達成できなかったということであって、その達成しなかった面積もごくごくわずかである。

〇斉藤委員 これはぎりぎり減反を押しつけたからそうなったんである。本当に限界だという声がどこからも出ているけれども、私は減反未達成の自治体を訪問して農協からも自治体からも意見を聞いた。もう限界で、ことしはもっと大変だと言っていた。なぜかというと、政府米が安くて売る気にならない、飯米農家までなぜ減反しなくてはならぬのかと。これは深刻である。そして、いわば政府米じゃなくて業者に売った場合に政府米より高かったという話もある。そこまで政府米が落ち込んでしまう。下支えの機能がないから減反する意味がなくなった。私はそこで聞きたいんだけれども、転作で関係する助成金は幾らであるか。

〇吉永副知事 転作で助成するというのは、今回措置された米の需給調整特別対策費のことであるかと思うが、これは国が米の需給調整の取り組みを促進する緊急措置として、農協等が地域の実態に応じて行う生産調整の円滑な推進を図るための活動費として交付するものであって、国から直接交付されることになっておって、県予算には計上されていないところである。

〇斉藤委員 私が調べたら、市町村別の助成金は助成補助金と地域調整推進事業、このとも補償事業で合わせて59億円である。ところが、平成7年度、農業粗生産額は米だけで299億円減少している。減反してもこれだけの、いわば59億円だが、減反した農業粗生産額の減少は299億円である。これならとてもじゃないけど減反する気にならない。私はそういう状況をよく、やっぱり農家にそういう深刻な矛盾があるという、それで平成9年度、10年度の米穀年度の需給見通し、これを見ると政府米が25万トン減少している。これは実質減反の強化となるんじゃないだろうか。政府は来年度、米需給調整特別対策費100億円をつかみ金で計上しているが、減反超過達成の資金じゃないだろうか。その中身、県予算ではどうなっているであろうか。

〇吉永副知事 政府米が25万トン減となっているという御指摘であるが、平成9年度の生産調整の目標面積は平成8年度と同面積に据え置かれるところであって、こうした政府米の買い入れ量とは関係ないものである。
 それから、米需給調整特別対策費については、これは国から農協等に直接交付されるものであって、県予算には計上されておらない。

〇斉藤委員 9、10年度の米穀年度を見ると、その需給計画の中に輸入米の51万トンが入っている。そして、結局、減反面積をふやさなかったけれども、それだけじゃ追いつかないというので減反超過達成を目指す。100億円というのはそのつかみ金である。それで、私は、これは3月8日の河北新報にこういうのが出ていたので、中身を聞きたいんだけれども、これは東北農政局長さんが言っている。選択基準として生産調整目標を達成した市町村に水田関連事業を優先する通達を示している。いわば転作しなければこれはペナルティーかけるよと、こういう通達があると言うんだがどういう通達であろうか。そして、減反が達成しない場合にどういう事業が影響を受けるのか、教えていただきたい。

〇吉永副知事 東北農政局長の新聞記事であるが、この中に優先採択措置ということについて話がある。国は水田にかかわる土地基盤整備、水稲及び転作作物にかかわる施設整備及び機械整備など、水田営農と関連した補助事業を実施するに当たって、生産調整に積極的に取り組んでいる市町村の要請に優先的に配慮するということでやっているものである。その具体的内容については極めて多岐なものにわたっておるものであるが、この場では、ここで紹介することはちょっと控えたいと思っておる。

〇斉藤委員 平成8年5月10日付の通達である。ここにはこう書いている。事業の優先措置等、別紙に掲げる事業の実施については、市町村または生産調整の目標の達成がその事業の実施により確実と認められる市町村の要請に優先的に配慮する。別紙で18事業書かれている。私はこれは新食糧法の立場でこんなものが許されるのかと思うけれども、どうであるか。

〇吉永副知事 この通達は新食糧法になってからこういったものが出されているわけであって、これは新食糧法のもとでの需給調整という非常に重要な事柄を達成するために出されているものであって、これはその一つの非常に有力な手段だと考えておる。

〇斉藤委員 詳しくは農政部でまた論議したいと思うけれども、ペナルティーをかけないというのが新食糧法の精神であるから、私はこの農水省の通知は極めて重大だと思っている。
 次に、重油流出事故対策についてお聞きをする。
 1月2日、日本海公海上で発生したロシア船籍ナホトカ号による重油流出事故について、県は事故原因と被害の状況をどう把握しているであろうか。

〇大隅総務部長 ロシア船籍ナホトカ号の重油流出事故の原因については、老朽化あるいは漂流物等の衝突と、異なる報道がされておるが、現在行われておる運輸省の事故原因調査委員会における調査究明の結果が待たれるところである。
 また、被害状況は、沿岸への漂着が日本海沿岸の1府8県に及び、被害額も漁業、観光被害を除き、現時点においては、推定総額170億円から180億円に及ぶと聞いておるところである。

〇斉藤委員 ロシアの老朽タンカーは津軽海峡を通ってカムチャツカ半島まで数多く航行していると聞いているが、状況を把握しているであろうか。

〇大隅総務部長 津軽海峡を航行するタンカーについては、本県では航行数等を調査しておらないので、承知していないところである。

〇斉藤委員 我が党はこの流出事故を大変重視をしてロシアにも調査に行った、ナホトカにも調査に行った。それによるとロシアのタンカーは日本海を通過して津軽海峡を通りカムチャツカ半島に向かう。特に冬は他の航路が氷結のために利用できないと、いわばかなり老朽タンカーが津軽海峡を渡ってカムチャツカに渡っているということである。それで、ロシア船の油流出事故はこの6年間で19件にも及ぶ。だから、今度の事件は本当にたまたま起きた事件じゃないんだ。もう破綻したロシアが、沿岸でしか使わなかった老朽タンカーを今、外洋にやっているわけである。これは本当に重大だ。だから、津軽海峡で事故が起こるかもしれない。津軽海峡を越えて事故が起こる可能性も強い。私はそういう点で太平洋、東北、岩手の外洋公海でのタンカー重油流出事故への具体的備え、体制はどうなっているか、お聞きしたい。

〇大隅総務部長 油の流出事故対策について、国を初めとする関係機関で構成する本県においては、岩手県流出油災害対策協議会が設置されて、それぞれの機関において、必要な資機材等、その体制が整備されているところである。しかしながら、今回の事故で明らかになったとおり、事故の規模によっては十分な対応ができないことも懸念されることから、今回見直しをした新しい地域防災計画において、情報交換等、北海道、東北各県との連携を図ることを明記するなど、体制の見直しを行ったところである。

〇斉藤委員 私は備えを聞いた。重油流出事故が起きたならば太平洋全体の備えは、東北は、岩手の備えはどうなっているかと、そのことについて答えがないんである。

〇大隅総務部長 先ほども申し上げたけれども、関係機関それぞれに備えはあるけれども、今までの対応が内湾型という考え方のもとで整備されておるので、外洋型の災害が起きたような場合、これはなかなか大変なことであるということで、見直しを行って今後そうしたことに対する対応も考えていかなければならないということである。

〇斉藤委員 外洋型に対応する油回収船は残念ながら1隻もないんである。これは深刻な事態である。軍事費にはどんどん金を使う政府が、このような住民の安全にかかわる問題について備えがないというのが、実は今度の重油流出事故が明らかにした我が国の安全保障の実態だと私は思うので、ぜひ国に対してやっぱり強く要望すると同時に、岩手県としても必要な油回収船や、また、外洋の資機材の配備をお願いをしたいと思う。
 最後に、ひとり暮らしの老人対策についてお聞きする。
 最近、ひとり暮らしのお年寄りの孤独死、餓死するなどの痛ましい事件が全国的に社会問題になっている。岩手県内におけるひとり暮らし老人の孤独死の状況を把握しているか。ひとり暮らし老人の現状と県の施策の状況を具体的に示していただきたい。

〇千葉副知事 県警察本部の死体取扱状況調べによると、平成8年の高齢者の変死は650件である。このうちひとり暮らしのものが99件となっておって、平成7年に比べ36件増加しておる。ひとり暮らし老人は、平成7年の国勢調査では2万1、059人であって、平成2年の調査に比べて6、321人増加しておる。また、平成6年度の社会福祉総合動態調査によると、現在のひとり暮らしの9割を超える方は、身の回りのことや食事の支度は自分で行うなど、ほぼ自立した生活を送っている状況にある。
 ひとり暮らしの地域における交流施設としては、老人福祉センター等が216カ所、自立生活が困難となった場合の養護老人ホーム、ケアハウス、高齢者生活福祉センターが27カ所、介護を要する状態となった場合の特別養護老人ホームは68カ所整備されているところである。
 なお、ひとり暮らし老人や高齢の夫婦のみの世帯の増加に対応して、高齢者地域生活支援事業や老人クラブの友愛訪問活動等、行政と住民が一体となった見守り体制づくりを進めているとともに、緊急通報装置の設置拡大に努めているところである。

〇斉藤委員 沖繩県との平和交流について本当の最後にお聞きする。
 沖繩問題、日本の平和と進路にかかわる重大な問題である。沖繩戦で18万人のとうとい命が奪われたが、岩手県出身者の犠牲者、戦没者はどうであろうか。私は沖繩県との平和交流をやるべきだと思うが、いかがであろうか。

〇千葉副知事 昭和47年3月発行の本県の戦後処理史援護の記録によれば、沖繩地域における本県出身戦没者は660余柱と記録されているところである。それから、本県においては、沖繩県との農業関係の交流を初めとして、青年海外セミナーや物産展の開催などを通じて交流を行ってきておる。これによって両県民の相互理解が深まっているものと考えておる。今後もこのような交流を深めることによって、おのずから岩手、沖繩県民相互の理解が一層深まっていくものと考えておる。したがって、今、御提言のあった交流については、今のところ考えておらないところである。

〇藤原委員長 ほかに質疑ないか。

〇山内委員 簡単に伺っていく。きのう佐藤正春委員が質問をした中で、生産組合による定置漁業、この問題について二、三お伺いをする。
 佐藤正春委員は、みずからの調査によるとして二つの生産組合、きのう質問に出た生産組合であるが、この両組合は登録住所は別であるが同一事務所で、同一事務員によって事務が行われ、使用する漁船、それから漁具、漁網、倉庫も共同使用であると、こういうふうに指摘しているわけであるけれども、その事実関係について県はどのように把握をなさっておられるであろうか。

〇吉永副知事 これについては昨日答弁した以上の事実関係は把握していないわけであって、今、委員がおっしゃったとおり、この二つの漁業生産組合、山丸定置漁業生産組合と山田定置漁業生産組合が、組合員と役員を同一のものとしつつ、かつまたその代表者と所在地を変えた形で二つ存在しているという事実、それは把握しているところである。ただ、この二つのこと以上のものについてはまだ県として把握しておらないものであるので、私どもとしてこれについて、例えば昨日の質問にあった役員が同じメンバーであるといったようなことについての違法性、その他についてはきのう答えたとおりであるが、その他わからないもの、例えば、この二つの漁業生産組合が全く組合員と役員が同じであってなぜ二つあるのか。昨日は私は不思議だと申したが、そういったものについてはなおわからない点、そしてそういう二つのものがあるために、今、御指摘の同一の漁船なり同一の漁網を使っていて、それに何らかのもし不都合があるのかないのか、そういったものについては私どもでできる限り調べてまいりたいと考えているところである。

〇山内委員 実態についてはまだ把握をされていないようであるが、今の御答弁のとおり、調査をぜひお願いを申し上げたい、このように申し上げておく。
 これは水協法78条だと思うんであるが、それについての解釈について若干お伺いする。
 この生産組合というものは、組合がみずから採捕または養殖した漁獲物を販売し、あるいはこれを加工して売ることはできる。要するに組合が組合の権利としてそういったことができる。しかし、その組合員がそれぞれの個人の資格において、いわゆる一個人の漁業者としてその立場において採捕または養殖して得た漁獲物を生産組合が共同販売することは許されない。また、同時に、共同購買もできない。こういうふうに一般的には解されているようである。こういった解釈、間違いないであろうか。

〇吉永副知事 今、委員がお読みになった解釈で間違いないと思う。まず、漁業生産組合は労働の共同化を中心とした人的結合体であって、生産組合に認められている事業は、漁業及びこれに附帯する事業である。漁業とは水産動植物の採捕または養殖の事業であり、この採捕または養殖のために必要な資材を買い入れ、採捕または養殖をし、その漁獲物を販売する一連の行為である。生産組合は、組合がみずから採捕または養殖した漁獲物を販売し、あるいはこれを加工して売ることはできるが、その組合員がそれぞれの個人の資格において採捕または養殖した漁獲物を生産組合が共同し販売することは許されておらない。また、購買事業についても生産組合自体の漁業に使用する資材以外の、組合員が各個に行う漁業のための資材等を一括して生産組合の名のもとに共同購入することは認められていないところである。

〇山内委員 そこで、さらに解釈を求めたいんであるが、要するにその法人は法人のためのみに共同購入あるいは共同販売を行っていくんだ、こういうふうに結論づけられると思うんである。したがって、他の法人格のためにはその法人は共同購入、共同販売というものができないと、こういうふうに理解できるんだと思うんであるが、いかがであろうか。

〇吉永副知事 今の問題については、協同組合、生産組合とその組合員が個人の資格ということになっておって、この個人のことを考えると、今現在、両生産組合の組合員はすべて自然人であるので、その個人を法人というふうに解釈することは難しいかと思う、できないと思うので、この生産組合の今おっしゃったようなこと、あるいはこの条項に書いてあるものはやはり個人を対象にしている、そういうふうに考えられるものである。

〇山内委員 解釈において私の理解と大分違うようであるが、確かに自然人と法人とはそのよって立つべき基盤は違うことはよく理解できる。しかし、法の趣旨に照らし合わせた場合に、自然人であれ法人であれ同じ営利を求めて行動していくと、こういう立場には変わりが全くないわけである。そういった意味において、もう少しさらに解釈について検討をしていただきたい、このように思う。
 それから、昨日の答弁の中で、例えば株式会社等も同一の人物が役員を務めると、こういったお話があったわけであるけれども、一般の株式会社なりとこういった生産法人組合、組合法人、それと同一に論じていいのかなあと、というのは専権的に、排他的に水面を所管していくと、管轄していくと、要すれば他の者にはその権利が本来あるんだけれども、その権利を排除して専権的に認めていくと、こういったことであるから、その株式会社等と同一に論じるのはいかがかなと、こう思うんであるが、いかがであろうか。

〇吉永副知事 株式会社と同一に論じたということではなくて、私は例えば、役員が同じメンバーであるということについて、そういったものを禁ずる規定がないことから、これは問題がないと申し上げたときに、そういうふうにしておる法人形態というものはこの世の中に数限りなくあって、そういったものは基本的には我が国はいろんな自由が認められている国であるので、特に法令がそれを禁じているものでない限りそういったもののことをつくること自体が許されないということはないであろうと、そういった意味で挙げただけである。

〇山内委員 角度を変える。きのうの答弁の中にもあったとおり、13の生産組合が県内にはある。その中で定置漁業を単独で営んでいる生産組合は11組合、こういうふうにお答えがあったと思っておるが、確認をさせていただく。

〇吉永副知事 今の数字には間違いない。そのとおりである。

〇山内委員 そこで、単独で定置を営んでいる11生産組合のうち、同一人物が理事を務めている法人、生産組合は幾つあるか。この二つ以外にあろうか。

〇吉永副知事 同一人物ということは、その二つの例えば漁業生産組合の役員なり組合員が同一でということであろうか。

〇山内委員 13生産組合中11生産組合が単独で定置漁業を営んでいると、その11のうち二つが今、話題になっている組合であるが、残りの九つの生産組合が存在することになる。定置漁業を単独で営んでいる生産組合、これがこの二つを除けば九つあることになる。その九つの組合のうち理事が兼務--兼務というか、兼任をしているというか、そういった組合というものは存在するのかどうか。

〇吉永副知事 それが存在するかどうかについては、私の手元の資料ではそこまで完全に明らかにはならないので、これは他日の場で正確にお答えしたいと思うが、お許しいただけないであろうか。

〇山内委員 法に規制がないと、そういうことだから逆に言えば適法だと、こういうことである。しかし、私は考えるに、法そのものがこういった状態を想定していないのではないのか。これは水協法の精神というものは、特定の経営者に壟断をさせない、すべての漁業者が利益を享受できるような、その状況をつくることが水協法の精神だと、こう思っておる。したがって、こういった場面というものをもともと想定していないのではないか。いわゆる慣習法というか、常識というか、そういった中で改めての規定がない。こういうふうに私は理解をするんであるが、このことについて所感があればお伺いをする。

〇吉永副知事 一般的にはまず書いてある法令に違反していないかどうかということがまず問われるわけであって、その後のレベルとしてそのことが当、不当というか、委員がおっしゃった常識というか、そういった慣習法というか、そういったものに照らして当、不当といったものが問われるかということは、そのとおりだと考えておる。

〇山内委員 わかった。また別の機会をいただいて質問を続けさせていただくが、いずれこういった状況は本当に県民に理解できる状況にあるんだろうかと言えば、私はなかなか理解を得がたい状況にあるのではないかと、こういうふうに判断をしておる。そういった認識を申し上げて私の質問を終わる。

〇藤原委員長 そのほかあるか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原委員長 ないようなので、これをもって総括説明に対する質疑を終わる。
 これより各部局の審査に入る。最初に、議会事務局長からの議会関係の説明を求める。

〇村上議会事務局長 平成9年度の議会関係の歳出予算について御説明申し上げる。
 議案その2の6ページをお開き願う。
 第1款議会費は、総額15億1、698万円余であるが、この詳細については、便宜、予算に関する説明書により御説明を申し上げる。予算に関する説明書の90ページをお開き願う。
 1目議会費の10億7、558万円余は、議員49人の報酬、旅費等議会運営に要する経費である。次に、2目事務局費の4億2、048万円余は、議会事務局職員34人分の人件費及び事務費等で、事務局の管理運営に要する経費である。次に、3目議員会館費の2、091万円余は、議員会館の管理運営に要する経費である。
 以上で議会関係の予算についての説明を終わる。よろしくお願いする。

〇藤原委員長 ただいまの説明に対して質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原委員長 ないようなので、これをもって議会関係の審査を終了する。
 この際、お諮りする。昼食のため、午後1時まで休憩をしたいと思うが、御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原委員長 ないようなので、そのとおりにする。休憩をする。
   午前11時50分 休 憩
 
   午後1時4分 再 開

〇藤原委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 次に、総務部次長から総務部関係の説明を求める。

〇合田総務部次長 それでは総務部関係の歳出予算等について御説明申し上げる。
 総務部関係の歳出予算等については、行政機構の再編整備に伴い、平成9年度において総務部から他部へ移管になる予算についても、あわせて御説明するので御了承願う。
 便宜、お手元の予算に関する説明書で御説明するので、予算に関する説明書の92ページをお開き願う。
 2款総務費1項総務管理費1目一般管理費39億5、641万円余のうち、総務部内各課の人件費等の管理運営費は22億3、374万円余、地方分権推進費は市町村長に対する権限委譲に要する交付金等であり、共通経費は休職者に係る人件費、人事異動に伴う赴任旅費等である。次の93ページ、2目人事管理費は56億7、871万円余で、この主なものは、退職手当及び公務災害補償費等に要する経費である。3目文書費は、文書収発、公文書公開等に要する経費であり、次の94ページの4目財政管理費は、財政調整基金、公共施設等整備基金及び地域振興基金の果実収入の積み立てが主なものである。次の95ページ、6目財産管理費は、県庁舎、地区合同庁舎、職員公舎並びに通信施設の維持管理に要する経費等が主なものである。96ページをお開き願う。7目東京事務所費は、管理運営に要する経費等を計上しており、8目公会堂費は、管理運営に要する経費、9目恩給及び退職年金費は、恩給、退隠料及び扶助料等に要する経費であり、10目諸費は、宗教法人設立認証事務等に要する経費である。11目庁舎等施設費は、地区合同庁舎及び職員公舎の整備に要する経費である。
 次に、98ページをお開き願う。2款総務費2項企画費2目計画調査費のうち、99ページの中段以下にあるが、オンラインシステム運営費から地域情報化モデル事業費までの5項目の事務事業が、行政機構の再編整備により総務部から企画振興部に移管するものであり、高度情報化への対応に要する経費等を計上しておる。
 次に、少し飛んで、101ページをお開き願う。3項徴税費であるが、1目税務総務費は、税務関係職員の人件費等の管理運営費であり、2目賦課徴収費は、個人県民税徴収取扱費交付金など、賦課徴収に要する経費である。
 次に103ページ、4項地方振興費から105ページ、選挙費までが企画振興部へ移管するものであるが、まず、ちょっと戻っていただいて103ページ、4項地方振興費であるが、1目地方振興総務費は、地方振興局総務部門職員の人件費を含む管理運営費を計上しており、2目市町村振興費は、自治振興基金貸付事業費、市町村振興宝くじ交付金、ふるさと創生推進事業費等に要する経費であり、104ページ上から7行目の土地評価協議会運営費までの事務事業を移管するものである。
 次に105ページ、5項選挙費は1目選挙管理委員会費6、065万円余、2目選挙啓発費は1、235万円余を計上しておる。
 次に、107ページをお開き願う。6項防災費1目防災総務費は4億7、355万円余で、この主なものは、航空消防防災体制強化推進事業費等に要する経費であり、2目消防指導費は、コミュニティー防災資機材等整備事業費補助が主なものである。
 次に、少し飛んで、125ページをお開き願う。3款民生費2項生活文化費3目国際交流推進費2億8、217万円余であり、この主なものは、国際交流推進及び国際協力推進に要する経費並びに財団法人岩手県国際交流協会出捐金等が主なものであり、これらの事務事業を生活環境部へ移管するものである。
 次に、大きく飛んで、262ページをお開き願う。10款教育費8項大学費1目大学費は404億4、368万円で、県立大学の整備に要する経費、2目短期大学費は11億7、153万円余で、短期大学及び付属幼稚園の運営に要する経費を計上しておる。
 次に、264ページをお開き願う。9項私立学校費は51億9、130万円余であり、その主なものは、私立学校運営費補助、私立高等学校の新時代を開く特色ある学校づくり推進事業費補助等である。
 次に、少し飛んで、271ページをお開き願う。12款公債費は総額772億7、664万円であり、前年に比べ8・6%の増となっておる。
 次に、275ページをお開き願う。13款諸支出金4項地方消費税清算金は、38億5、816万円余の計上額である。
 次の276ページ、5項利子割交付金は計上額12億5、023万円余、次の277ページ、6項地方消費税交付金は42億567万円余、次の278ページ、7項ゴルフ場利用税交付金は4億9、333万円余、さらに、次のページの8項特別地方消費税交付金は4億9、872万円余、引き続いて次の280ページの9項自動車取得税交付金は43億5、960万円余で、いずれも市町村に交付するものである。
 次の281ページ、10項利子割精算金は933万円余の計上額である。
 283ページをお開き願う。14款予備費は、前年度と同額の3億円を計上しておる。
 次に、債務負担行為について御説明を申し上げる。議案その2の11ページをお開き願う。第2表債務負担行為のうち、事項欄の1県立大学整備事業が総務部に関係するものである。これは、県立大学の整備工事にかかわるもので、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものである。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げる。議案その3、2ページをお開き願う。議案第27号岩手県職員定数条例の一部を改正する条例であるが、これは、県立病院における業務量の増加に応ずるため、医療局の職員定数を増加しようとするものである。
 次に、12ページをお開き願う。議案第32号行政財産使用料条例の一部を改正する条例であるが、これは、行政財産の使用料の額の算定方法を改定しようとするものである。
 次に13ページ、議案第33号岩手県公会堂条例の一部を改正する条例であるが、これは、岩手県公会堂の使用料の額を増額しようとするものである。
 次に、15ページ、議案第34号自治振興基金条例の一部を改正する条例であるが、これは、自治振興基金の額を増額しようとするものである。
 次に、16ページ、議案第35号県立短期大学授業料等条例の一部を改正する条例であるが、これは、県立短期大学の授業料等の額を増額しようとするものである。
 次に、18ページ、議案第36号岩手県立盛岡短期大学付属こまくさ幼稚園保育料等条例の一部を改正する条例であるが、これは、岩手県立盛岡短期大学付属こまくさ幼稚園の入園料の額を増額しようとするものである。
 次に、少し飛んで、38ページをお開き願う。議案第46号国際交流プラザ条例の一部を改正する条例であるが、これは、国際交流プラザの研修室の使用料の額を定め、会議室等の使用料の額を増額するなど、所要の改正をしようとするものである。
 次に、また飛んで、136ページをお開き願う。議案第86号当せん金付証票の発売に関し議決を求めることについてであるが、これは、公共事業等の財源に充てるため、全国自治宝くじ及び関東・中部・東北自治宝くじの発売限度額を89億円に定めようとするものである。
 以上、総務部関係の議案について御説明を申し上げた。よろしく御審議方お願いする。

〇藤原委員長 ただいまの説明に対して、質疑ないか。

〇佐々木(俊)委員 一番先で恐縮である。
 まず最初に、防災関係についてお伺いしたいと思う。
 昨日もいろいろ論議されたように、県の防災計画の見直し等、大変な努力をされておられる。そしてまた、防災関係の機器の整備等々、この進行状況については、その努力について私は率直に評価をしたいと、こう思っておる。
 ところで、現在、伊豆地方で地震が続発をしておる。日本のあらゆる科学というか、力を結集してあそこの観測を続けておるけれども、まだまだ住民を安心させ得るような予測をしかねている状況ではないかと、こう思うわけであるが、本年度の今説明のあった予算の中に地震調査研究費というのがあり、2、900万円計上されておる。これは、多分このことであると思うのであるけれども、新聞の報ずるところによると、岩手県で震度6以上の地震があった場合を想定して、500メートル四方の密集区域をつくって、その結果、震度の分布はどのようになるのかと、土地の液状化あるいは危険度はどのようになるのか。あるいは、がけ崩れの危険度はどうか。建築物の倒壊予想はどうなのか。道路、橋梁の危険はどうなのか。そしてまた、死傷者はどの程度予測されるのかということ等についてシミュレーションをすると、こういうことのようであるが、これは一つの必要な事項として私も期待をするけれども、一体こういうことがなされて、これが県民の中に結果が知れたとした場合、自分の地域はこういう危険度がある、家が壊れるそうである。あるいはまた、家の後ろの山が崩れるそうであるということになって、いたずらに人心に不安を与えないかどうか。調査の結果を見ながら、いろんな今後の公共事業をやるという材料としては、非常に私はいいものであると思うけれども、取り扱いのいかんによっては逆にそういう不安、あるいはまた動揺、場合によってはパニックを起こさせる恐れがある。将来の都市計画、まちづくりにも大きく影響してくる可能性があるのかなと、こういうことであるので、このことについては相当取り扱いを慎重にされなければならないであろうと、こう思うわけである。
 私が申し上げたいのは、岩手県は地震というと、ただいま申し上げた問題もあるけれども、何といっても津波ということが同時に問題にされるわけである。これは過去の歴史がそういうことであり、何万人死亡したこと、あるいは数千人、いろいろの歴史を繰り返しているわけであるけれども、そういう状況であるので、現在、国あるいはまた県、いろんな機関、市町村で観測機器をそれぞれ設置しているわけである。そしてまた、昨年の12月には東京大学地震研究所が中心になって、釜石市の沖合に大がかりな海底地震津波観測用の施設を設置したと、このように聞いているわけであるけれども、この東京大学の、いわゆる大がかりと言われる施設の概要はどんなものであるかということと、それから津波対策について、ただいま申し上げたようないろんな観測機器が今、投入されつつあるのであるが、それらを県ではどのように利用し、津波対策に利用しようとしておられるのか、その有機的な運用というか、利用というか、そのことについて第1点お伺いしたいと思う。
 それからもう一つは、昨日の質問にもあったが、津波防災マップを作成したい、つまり、予測される津波を想定したマップをつくりたいと、こういうお話があったようにお聞きしたけれども、その作成はいつごろつくられるのか、それからまた、それをどのように利用されようとしておられるのか、その概要についてお伺いをしたいと思う。

〇大隅総務部長 ただいまの防災対策についてのお尋ねがあったが、詳細は消防防災課長の方から御答弁申し上げるけれども、地震等の予測等に基づくデータの公表なり、あるいは周知、活用という点については、委員御指摘のような懸念もあるので、十分先進事例等もあるし、慎重にしかるべき機関で検討して、そうした住民の不安等を招かないように万全の配意をしてまいりたいと、こう存じておる。

〇本田消防防災課長 津波対策で、現在、国や県やそれぞれの市町村で観測体制がしかれておるということであるけれども、現在、沿岸市町村においては気象庁所管の施設が2カ所ある。それから、運輸省所管の観測施設が3カ所、それから海上保安庁所管の施設が1カ所、それから県の所管の施設が3カ所ということで9カ所の施設がある。それから、沿岸市町村でそれぞれ潮位観測あるいは予測観測システムという形で、7市町村でそれぞれシステムを設けてある。ただいま委員からお話があったとおり、そういった観測網が着実に整備されているわけであるけれども、特にも、海底地震、津波観測施設ということで、三陸沖に直接海底にケーブルを敷設して、海底の動きを直接キャッチし、それを津波の予測なり地震の解明につなげるということで、東日本では初めてであるけれども、東京大学地震研究所と東北大学地震予知噴火予知観測センターとの共同によって、昨年12月に設置されておる。釜石湾の沖合124キロメートルの地点まで海底ケーブルを敷設して、3台の地震計とそれから2台の津波計を備えた施設になっておる。ただいま申し上げたとおり、この目的は、三陸沖における詳細な地震活動の解明、あるいはなかなか予知ができない、予測が不可能であると言われておる津波の高さの予測、そういった手法を開発しようと、研究を行うために敷設したということで位置づけられてあるけれども、将来的にはやはり地震、津波の防災情報システムとして役立てていかなければならないものと考えておる。
 こういった認識に立って、昨年の暮れであるけれども、東北大学の方あるいは東大の方にも職員等出向かせ、いろいろ学者の先生方との連携もとらせていただいておる。今後、こういった観測データがそれぞれ積み重ねられてまいると、津波の高さあるいは到達時間、そういったものが極めて科学的に予測できるような体制ができるのではないかということが言われておるけれども、ただいまのところは全くの研究段階で、地震が頻繁に起きればかなりの研究データが蓄積されるということも言っておるけれども、そういうことも簡単にはできないわけであるから、いずれ先生方との連携のもとに、そういった形での体制を活用していきたいと考えておる。
 それから、二つ目の防災マップの件である。
 防災マップの件については、これは初めてであるけれども、沿岸14市町村と共同で作成をするということで作業を進めておる。ただいま申し上げたとおり、津波の予測なり、あるいはそういったものをあらかじめ予知するといったことは非常に困難であると、まだまだ科学的にも時間がかかると言われておる。したがって、私どもとしては、津波の対策とすればやっぱり避難すると、避難率の向上を図るということが被害を最小限にとどめる現在のところ有効な手だてと考えておるので、これまでの明治三陸大津波あるいは昭和35年のチリ地震、あるいは昭和8年の三陸大津波もそうであるけれども、どの程度の津波が押し寄せたのか、かなり風化されてきていると言われておる。明治29年はもう100年前であるし、昭和8年に至っても64年前であるということで、大分そういった経験者が今少なくなってきておる。したがって、こういった過去の津波がどの程度の場所まで浸水してきたのかといったことを沿岸住民の方々にもう一度覚えていただこうというか、周知していただこうと。津波注意報やら警報がでたとき、やはり逃げなければならないなと、避難指示に従わなければならないということをもう一度周知させようということでマップをつくろうということに至ったわけである。したがって、このマップが直ちにこれからの津波の押し寄せる波高なり何なりを示すものではなくて、過去のものを振り返りながら避難率の向上というか、避難するための住民の方々の意識の向上に役立てていきたいと考えているものである。

〇藤原委員長 執行部の皆様方にお願い申し上げる。
 答弁については再度申し上げるが、簡潔明瞭にお願いする。

〇佐々木(俊)委員 ただいまの答弁は、簡潔明瞭であると思っておる。
 よくわかった。ただ、いろんな施設ができても関心が薄れるということが事故を大きくすることになるわけである。私も海岸に住んでおり、過去のいろんな経験も積んでいるつもりであるが、最近はやっぱり意識も風化したことと、それからもう一つは、いろんな防波堤等の施設がぼちぼちと出てきたものであるから、それを信用して逃げなくても大丈夫であろうという風潮があることも事実であるので、やはり常に警告を発しながら避難をすることが大事であると思うが、幸い、岩手県の沿岸の方々は経験が豊富であるから地震、津波となれば逃げると、こういうことであるが、いつか秋田県で地震があって、子供を連れて海の方へ見に行き事故があったのである。ああいうことは岩手県にはないと思う。
 次に、防災関係はそれにして、財務に絡む問題であるけれども、既にこれも話題になったわけであるが、県が今日まで行ってまいった上乗せ補助、農道、林道あるいはまた、漁港の整備について継ぎ足し補助であるとか、いろいろ言われておるけれども、市町村の分担分について県が協力をしてきたということである。こういう関係町村というのは、どうしても財政的に弱い町村なわけであるから、善政としてやってきたことであろうと思うが、今回それを県では廃止して、それぞれの町村の起債でやっていただきたいと、こういう方向を打ち出されたものであるから、財政力の弱い町村ではびっくりして大変であると、せっかく地域格差の是正などといいながら、やることは逆のことであるということで非常に問題化しているわけである。内容を聞くにつれて、そんなに財政負担もないのであるからと、こういう方向にはなりつつあるようであるけれども、何分にも突然のことであったと。ことしの1月の末になってから、県がそういう方針を発表したので市町村ではもう大混乱であると、こういうところにも問題が紛糾した原因があるようであるが、そこでお伺いする。
 農道、林道あるいは漁港について、今の上乗せ補助をやっておって今回やめるというのであるが、そのほかの事業で県が上乗せ、あるいは継ぎ足しをしている事業があれば、その事業名をお知らせいただきたいし、どの程度の金額を県が負担して補助しているものであろうか。
 それから、市町村で市町村債でやっていただきたいということで、何か臨時公共事業債というそうであるけれども、それに乗り換えていただきたいと、こういうことなのであるが、こういう事業債は今後永久に続く制度なものであろうか。もしも、それが続かなくなった場合、どうしたらいいのであろうかと、そういう意味では非常に市町村の財政に大きくかかわってくるのではないかという不安があるようであるけれども、それについての保障はどうなるのであろうかと、かように思う。
 それから、県がこういうふうに制度というか、財政負担の構造を変えることによって、せっかく今ぼちぼちと進められている事業というものが、今までどおり進むのであろうか。あるいはまた、それ以上に進むのであろうか、あるいは停滞するのであろうか、どのような予測を持っておられるのかと、こういうことである。

〇大隅総務部長 私からは事業の進行等に影響がないかという点から申し上げて、残りについては財政課長から御答弁を申し上げる。
 今般の見直しは、あくまでも県、市町村も含めて全体から見た効率的な財政運営をしたいという観点から見直しを行ったものであり、事業の進行等についてはもちろん後戻りするとか停滞するということは絶対ないようにしなくてはいけないし、むしろ逆にさまざまな手だて、工夫をしながら少ない財源を有効に活用して促進をしていきたいという考え方に基づいておる。これについては、事業部とも十分連絡をとりながら、そうした方向で取り組んでいきたいと思っておる。

〇佐藤財政課長 まず、継ぎ足し補助金の状況についてであるが、本県においては継ぎ足し補助として、市町村あるいは団体が国庫補助金を導入して公共事業、あるいは農構、沿構、林構といった構造改善事業、これらの事業に係る基盤整備事業であるとか、あるいは機械共同利用施設あるいは集会施設、これらの事業に対して継ぎ足しの補助を行っておる。平成9年度の予算で申し上げると、市町村に対する継ぎ足し補助の総額は72件あり、49億2、300万円余となっておる。ただいま委員から御指摘のあった今回の見直しについてであるが、後年度に交付税で元利償還金の80%が措置される臨時公共事業債を充当する事業ということで、これは農道、林道、それから漁港関係事業、これが継ぎ足し補助の中で臨時公共事業債を充当して、そして交付税でその8割が措置される事業である。今回のこれに類する事業というのは、この3事業になっておる。継ぎ足し補助を見直しして、県の持ち出しを少なくして、一方では、市町村全体として交付税の入ってくる総額をふやして、市町村自体の負担については全く変えない、こういう基本的なスタンスで今回見直しをしたもので、今までの事業に対する補助方式からその起債に対する元利償還に要する経費に充てていただきたいという基金費補助という形に変えたものである。
 お尋ねのあった臨時公共事業債が果たして将来も確実に入ってくるかどうかと、こういうお話であるが、御案内のとおり、臨時公共事業債は国において財源対策として、そして大きく言えば地方財政計画があるわけであるが、その中で不足する部分については地方債をもって補っているわけであるが、その1種類として臨時公共事業債を用意しておる。これは、今の現状がこういう形で続く限りにおいては、自治と大蔵の間で協議をし、そして地方財政対策を定めておるから、したがって、それを活用することによって初めて成り立つ仕組みであるということで私どもも今回仕組んだものであるから、委員御指摘のどうであろうかという不安に対しては当分は大丈夫であろうと。ただ、景況等もあるし、交付税の総額等の問題もあるから、これはいつ訪れるかわからないが、そのときは当然ながら、また、市町村に対する負担を増高することのないような形でもう一度見直すということは将来的にはあり得ると、こういうことである。

〇佐々木(俊)委員 わかった。いわば臨時公共事業債がもしもの場合は、それに対応した別途を考えて市町村負担の増のないように約束しておると、こういうことと私はとった。ただ、今度は町村になると、それが臨時公共事業債であろうと何であろうと、それぞれ起債を起こして仕事をされておるわけであるが、それが公債費比率に加算をされると、財政力の弱い町村ではその他の事業に大きく影響するのではないかという心配を持っていると。過疎債等も全部加算されているのであるから、当然のこと加算されるであろうと、こういう意見を持っているようであるがいかがであろうか、別ものであるか。

〇佐藤財政課長 市町村で心配されているのは重々わかる。公債費比率であるとか、起債制限比率、これについてはその個々の市町村の財政の健全性を占うというか、判断する大きな指標となっておる。また、起債制限比率については、地方債を導入できるかどうかという大きい条件にもなっておる。ただ今回、臨時公共事業債を充てるわけであるが、その8割は交付税で入ってくると。交付税で入ってきて措置される元利償還金については、公債費比率も起債制限比率も控除されて、そして計算される。つまり、直接的には影響しないということになる。ただし、80%であるから、残りの20%相当分はダイレクトに公債費比率であるとか、起債制限比率にはね返るわけであるので、その部分については確かに増加するであろうと。ただ、これを試算するとわずかな上昇で済むというようなことから、財政運営についてはそれほど大きいものではないのではないかと、こういうことで認識をしておる。

〇伊藤(勢)委員 行政改革という部分について1点お伺いをしたいと思う。
 今の事務事業あるいは権限を市町村に委譲するということで、もう既に始まった部分もあると思うが、これからもその部分の話し合いを対市町村と継続をしていくと、このようなことのようであるが、この話し合いというのはどのような形で具体的にやっておられるのか。59市町村長さんそれぞれに個々とおやりになっているのか、どういう形で説明なり検討なりをなさっておるのか、まずそこをお伺いしたいと思う。

〇飛澤参事兼人事課長 権限委譲についてのお尋ねである。
 権限委譲については、本会議でも御説明申し上げておるが、事務的には昨年の10月以降説明をして、いろいろ検討、協議を重ねてまいったところである。1月に入ってからは、直接市町村長さんにお会いして、市長会、町村会に出向いて御説明を申し上げ、いろいろの御意見を賜っているところである。

〇伊藤(勢)委員 そうすると、県内の市長会とか、あるいは町村会の単位でお集まりをいただいて、そこに行って説明をしていると、こういうことである。これは、県政100年の中でこういう部分は初めてのことであると思う。したがって、いろいろ賛否両論というよりも初めての部分に戸惑って、いろんな意見があるようには思うが、これは初めてのことであり、むしろ県が本当に近くまでおりてきたという評価がある中で、各市町村長さんたちは本音の部分でお話がしたいと思っておる。今までは県といえば大変高いところにいて、あるいは知事はとても奥の院にいてなかなか出てこない。物言えば唇寒しみたいな、怖くて何もしゃべれないと、こういう状況があったやに聞くけれども、そうではなくて、どんどん前に出てきて最前線の市町村長さんと話をしてくれると、これは大いに評価をすべきであると思うのであるが、そこで県内には九つの広域圏というのがあり、幾らかずつの市町村で構成をしている。言ってみれば、企業目的を一つにした団体があるわけであるが、こういった部分は、例えば、し尿処理とか、あるいはごみとか消防とか、将来的には広域合併等々も含めて同じ課題のもとに、同じ命題のもとに一緒に前を向き連帯をしながら歩いていると、こういうことであると思うのであるが、そういう地域の中で一緒に広域圏ごとの部分に出向いていただいてお話をしていただきたい、その方が効率的ではないかという意見もある。これについてはどのようにお考えであろうか。

〇飛澤参事兼人事課長 権限委譲に伴う広域的対応についてのお尋ねである。
 今回の権限委譲については、個々の広域的観点からの権限委譲ということも視野に置きながら、当面、地方振興局、各市町村単位での権限委譲を中心に進めてまいって、その後、地方分権の国における進捗度合いと申すか、そういった点も勘案して段階的に進めてまいりたいと考えておる。確かに、権限委譲に係る事務については、専門的あるいは技術的な分野においては委員御指摘のとおり、広域的な対応というものが効率性の点からも有効なわけであるので、制度的には委員御指摘の一部事務組合あるいは広域連合、あるいは合併、県の支援体制の整備といったような対応の仕方があろうかと存ずるが、これはまた、事務の権限委譲が進んで、市町村も県もそういう仕組みに習熟して、かなり進んだ段階でのことかなと想定しており、ただ、どんどん検討協議という点については、私どもは積極的に進めてまいりたいと考えておる。

〇伊藤(勢)委員 どんどんキャッチボールをしていただいて、一方的なことのないようにお願いをしたいと思う。また、市町村の本音はいまだかつてなかった初めての部分、県と前向きに向き合って話をする機会をいただいて、戸惑ったり喜んだりしながらもなかなか1人では物申すに大変心もとないという部分もなきにしもあらずのようである、私が思うに。やはりみんなで渡れば怖くないという部分は、ひとつ県の方で度量を示して受け取っていただいてみんなで一緒にやろうと、こういう部分もお含みおきをいただきたいと思う。
 それから、市町村と県当局がいろんな話を進めていく、これは大いに結構であるが、私たち議員も各地区の課題をそれぞれが背負ってきているわけであり、行政と行政がいろんな話をする中に、私たちの存在が全く蚊帳の外というのはいかがなものかと私は思う。したがって、発言をする場はいただかなくても、オブザーバーとして、今、県と市町村がどんな話をしているのか、広域圏選出の議員はやはり同席をさせていただいて、後から何回も同じことを聞くよりもその場にいて聞いていれば私たちもわかるわけであるので、そういう部分を検討いただきたい。むしろ、ぜひこれはお願いをしたいと思うのであるが、その点を聞いて終わる。

〇飛澤参事兼人事課長 市町村との協議のほかにということであるが、今後、来年度以降、毎年度継続的に県と市町村との協議機関を設けて話し合いをしていこうと、これはもともとの指針をつくる際の中身としてうたってあり、市町村の方々も十分承知であるし、また、首長さん方も御存じである。ただ、権限委譲は非常に専門的、技術的な分野、実務的なレベルの内容が非常に多いのであり、これは市長会、町村会とも十分協議しなければならないと考えておるが、当面は実務者レベルの協議機関かなというふうには思っておるが、ただ場合によっては2段階方式と申すか、実務者レベルの協議段階と、それから首長さん方も構成員に入れた協議機関ということも想定しなければならないかなと思っておるので、その案でもって市長会、町村会と十分協議をしてその仕組みができてまいってから、委員御質問の点についてはあわせて検討させていただくと、そういうことにさせていただきたいと思う。

〇水上委員 防災と県単独補助制度の見直しの2点についてお伺いする。
 まず最初に、防災について3点ほどお伺いする。
 防災ヘリひめかみを約6億3、000万円で購入し、その後、幸いなことに大きな災害もなく経過しているわけであるが、若干の出動もあったり、また訓練等は定期的に実施し、災害時には万全のように見え、ほっとしていると同時に、地道な努力に敬意を表するが、大きな災害等が発生したときの対応として3点について質問させていただくのでよろしくお願いする。
 1点目として、ひめかみの基地--花巻であったと思うが、場所から一番遠いところはどこの市町村で、所要時間はどれぐらいかかるか、燃料は何時間ぐらいもつかを教えていただきたいと思う。
 また、2点目としては、燃料補給基地が県内に何カ所あり、その量は1カ所でヘリの活動が何時間ぐらい活動できる量を保管しているか。もし、保管量が少ないと、災害場所と基地の間の往復の時間の方がかかって、仕事をできないと思うからである。
 それから3点目は、全部燃料に関してのことであるが、燃料保管車という車があるものかないものか--燃料補給車という車があるかないか--あるとすれば、おおよその値段はどれぐらいか。そして、今後の購入の見通しを聞きたいと思うし、というのは、せっかく巨費を投じて立派なヘリを購入していても、十分活用しなければ宝の持ちぐされになり、危惧すると思うからである。燃料を満タンに入れたときと半分ぐらい入れているときの活動状況、能率が大分違うと私なりに考えているし、そうかそうでないか。燃料対策を万全にやり、ひめかみの性能を100%から120%以上もどんどん取り出してもらっていきたいと思うから。まず、いずれ3点、さきに防災についてお願いする。

〇本田消防防災課長 防災ヘリコプターひめかみの燃料に関するお尋ねかと思う。3点ほどである。燃料は何時間もつのか、あるいは一番遠いところはどこか、あるいは車両等はどうかということであったと思うけれども、現在、本県においては県内6カ所に空中補給基地ということで、花泉町、矢巾、二戸、三陸、宮古、久慈それぞれ6カ所補給基地を持って、ヘリポートも整備してある。ただし、この補給基地には、いろんな空中消火の資機材は備蓄してあるけれども、燃料を備蓄する体制にはまだなっておらない。したがって、現在、このヘリが使うジェット燃料については、本県では花巻市においてのみしか供給--その販売店というか給油店がそこにしかないということで、広い県内であるからいかに燃料を適正に備蓄し、災害時に対応するかということが一つの課題であるということは言えるかと思っておる。
 大体、このひめかみについては、満タン状態で1時間約400リットルの燃料を持って、1時間フライトするということになるのであるけれども、例えば山林火災等で空中活動をする場合、タンクあるいは水等を積むから、かなりの重量等を積む。そのほかに燃料も満タンにすると、もうほとんどパイロットと整備士の2人しか乗れないという状況になるわけである。そういった面ではかなり制約を受けるし、一番遠い委員の、例えば種市の方に飛んでいくということになれば、そういった満タンにし機材を持っていくと、やはり40分ぐらいかかるし、それから大体400リットルで1時間の活動をすることになるからかなり制約を受ける。また、花巻まで飛んで来て、給油して飛んでいくということになると、ますます時間のロスがあるということは現実であるので、10月1日から正式運行を開始した防災航空隊の方では、現在県内に適量適正な燃料をどのような形で備蓄するのがいいのか、各消防本部--14消防本部--と、いろいろ協議をさせていただいておる。したがって、大規模な災害等が起きた場合においては、そういった形で地上の、特に消防本部、消防機関とよく連携をとって、最寄りの補給基地に地上から燃料を運んで、時間のロスのない応急活動を展開するような方策をまず考えてみたい。
 それから、車両はあるのかということであるけれども、運搬用の車両は現在持ち合わせておらない。他県の航空隊においても、こういったものについては大体地上消防と連携をとりながらやっておるので、10月1日からスタートしてまだ6カ月であるから、今後いろいろなケースを積み重ねながら、一番いい備蓄の仕方、燃料の適正配置がどれが一番いいのかということを今後の検討課題として考えていきたい。

〇水上委員 よろしくお願いする。
 次に、県単独補助制度の見直しについてお聞きする。
 いろいろ先輩委員の方々からも話され、若干重複するところもあると思うし、私なりの考えを羅列する部分もあると思うので、当局の方で整理して答えていただきたいと思う。1回に全部話するという意味である。
 県単独補助金制度の見直しについてお聞きしたいと思うが、元久慈振興局長--現在は次長である渡辺次長や財政課長補佐の2人の方からいろいろ今度の見直しについて説明をいただき、さまざまな角度から教えていただいたわけであるが、数字的には私の能力では欠点を見出せないから、別な角度からいろいろお聞きするのでよろしくお願い申し上げる。
 一つは、なぜ市町村に事前に相談しなかったのか。今、地方分権が叫ばれているときであり、市町村の意見を聞き、相談し、全部とはいかなくてもある程度了解し合ってから大事なことはやっていかなければ、やっぱり官僚主義と思うし、知事の言葉とは全く反対な行動をとっていると言われても仕方がないと思う。知事の言葉は、いつも各市町村と相談して県政を進めたいと発言しているので、知事の発言と矛盾するような行動を部下の皆さんがとっているような感じがする。今回の県単継ぎ足し補助金の金は、今までのままでよいという市町村もあるようであるから、そういう市町村はそのままで今回の改正の方がいいと思う市町村には改正案の方でやるということも一つの考えではないかと思うので、そのことを第1点として--二つやった。
 そして、3点目として、沿岸市町村では今回の改正の賛成、反対の意見がどのような割合で評価していると県では把握しているのか、今までいろいろ調べた結果、どうなっているかということをお聞きする。
 それから、市町村長が今までどおりでよいという希望があるのに、なぜこのようなことになったか。何のため、だれのためにこのような方法をとったか。他県がやっていないのに、なぜ今までの方法を変えなければならないかの理由をお知らせいただきたいと思う。
 それから、知事と同じ立場にある市町村長で執行者の気持ちをよくわかっていると思う首長さん方が今度のことに反対していることは、やはり本当に地元のことを心配していると思うので心配のないようにしてもらいたいし、理解してもらうという課長補佐の説明がいろいろあったが、今回のこれらの行動は理解でなく、私の考えであったら押しつけのように言われても仕方がないようなやり方であると思う。それから、各市町村の了解をとってから執行すべき--若干重なるが、27日の知事答弁でも地方のことは地方で考え、地方のことを大事にすると言っている答弁があるので、ぜひそのことを実行してもらいたいと思う。
 それから、ここからは首長さんの意見なのであるが、市町村には1月31日に説明し、町村会の役員会には2月4日に話題を出し、正式には首長さんに2月18日説明があったと聞いているが、そのときは既にもう各市町村の予算編成が終わっているので、市町村では困っている。どうしても改正しなければならないようなものであったら、6か月ぐらい前に補正予算を組むとか6カ月ぐらい前の期間を置いていろいろ説明して、納得してもらってから実行してもらいたいという話をしていた。それから、今度の改正を県では交付税で返ってくると言っているが、今の国の財政状況を見て、今後の責任は県が持ってもらえるかどうかという心配もしていた。

〇佐藤財政課長 まずもって、ただいま委員から御指摘あったとおり、今回の見直しに当たってはその説明がおくれてしまった。お話あったように、予算編成作業等にも若干迷惑をおかけしたのではないか、あるいは個々の市町村で議会への対応ということで、かなり苦慮された面もあるのではないかということで、私ども申しわけなく思って反省しておる。
 今、委員からいろいろ御指摘をちょうだいした。順序はちょっとずれるかもわからないが、それに沿ってお答え申し上げたいと思うが、市町村との連携を密にして行うべき立場にありながら、なぜ市町村に事前に連絡しなかったのかということであるが、冒頭申し上げたように、これについては大変申しわけなく思っておる。ただ、私どもとして、これは行政改革大綱に基づく改革の一環ということで、昨年春からいろいろ見直しを図ってきたわけであるが、何分にもこれについては、まず予算であるということで、予算の時期との兼ね合いもあり、市町村に連絡を入れたのが1月の末ということになってしまった。先ほど来、この制度の仕組みについてお話申し上げているように、各市町村に対しては決して負担を増額させないという前提で見直しを図ってきたということもあって、市町村から了解をとれるのではないかということもあったし、また下水道事業に対する基金費補助というのが、今現在、実はある。これと全く同じ方法をとるので、したがって、個々の市町村から実施している団体にあっては一応慣れているというか、なじみのある方式であるということもあって、実はおくれてしまったこともある。いずれにせよ、御指摘あったとおり、まさに知事が言うように、市町村との連携を密にしながら事業を進めていかなければならない状況にありながら、おくれてしまったのを申しわけなく思っておる。
 それから改正案と、現行どおり、いろいろ意見があるので、そうやってみてはどうかというお話であるが、実は先ほども申し上げたように、単純に個々の市町村は負担がふえないけれども、県トータルでは交付税が入ってきて、その分県が継ぎ足しをやめるということで予算上の合理化につながる。したがって、確かに反対する嫌なところは現行どおり、それから改めてもいいという補助方式というのはないし、これは統一性がとれないことからちょっと難しいのではないかと考える。
 それから、反対、賛成というふうに委員お話あったが、私どもの方で把握しているのは反対とか賛成とかそういうお話ではなく、個々の市町村--市町村長さんも含めてさまざまな意見があるということは、市長会あるいは町村会、あるいは漁港協会を通じて耳にしており、それについてはできれば直接、あるいは電話ででもその疑義について私どもの方から説明させてもらっているということで、あえて反対とか賛成ということは把握しておらない。
 それから、なぜ今までどおりではだめかということであるが、先ほど言ったように今回の見直しの結果、県トータルでいえば、これは国からお金をたくさん持ってくるということで、浮く分が出る。それをここの中山間地域を中心とした市町村に還元できる財源が県の財政としていえば出るので、そういうことからこれはぜひ今実行したいと。同時に、先ほど言った起債、いわゆる臨時公共事業債の制度が3年目を迎えて、一応落ち着いて定着したということから、今回これに踏み切ったということにしておる。
 それから、市町村長さんの立場、執行者ということで、これは地元のことを心配されているということで、最も至極なことと思う。決して私どもお話あったように、押しつけということではないわけであるが、ただ、仕組みそのものを理解されずに制度そのものを実行するということがあれば、確かに押しつけに映る面もあったかもしれないが、ここは機会あるごとにこれまでも市長会、町村会あるいは市町村の財政主管担当の課長さんには2回これを繰り返し説明したので、この辺は御理解いただいたものと、こう考えておる。
 それから最後に、いろいろ市町村長さんの御意見あったが、期間を置いてということもあるが、これは先ほど言ったように、今この行革ということで、県としても真剣に考えなければならないということで行ったものである。いずれ、いろいろ委員が心配されたようなこと、あるいはいろいろ耳にされたようなこと、これについては私どもも大いに反省をして、これからの事業の進め方には今回の経験を生かさせていただきたいと、こう思っておる。漏れた点があったら、ひとつお願いする。

〇水上委員 やはり各市町村ではまだどうしても納得できない市町村もあるようであるから、押しつけでなく相談していろいろなことを想定し、そして今のことでも教えていただきながら、少しでもよくなるように指導しながら、そして相談しながらやっていただくことを心からお願いし、下手な質問に立派な答弁を御礼述べて終わる。

〇黄川田委員 平成9年度は地方分権の推進により、行政機構の再編、拠点機能の強化のため、地方振興局へ相当数の権限委譲が行われ、その内容について各委員から多くの質問があったところであるが、私からもひとつ具体的にお尋ねする。
 都道府県知事は、市町村に対し地方債を許可するものであるが、これまで総務部の地方振興課で担当しておった。そこで、この市町村債の許可等について、地方振興局に委譲するのかどうか、まずお伺いする。

〇飛澤参事兼人事課長 権限委譲についてのお尋ねであって、委員は起債お詳しいものであるから余り詳しくは申し上げないけれども、今回、9年度から枠配の中でも比較的縛りの少ないと申すか、取り扱いのしやすい臨時地方道整備事業債であるとか、臨時河川等整備事業債とか、そういったところを想定して現在準備をしているところである。

〇黄川田委員 自治振興基金はこれまで地域のまちづくりに貢献してきたところであって、また、全国高等学校総合体育大会施設整備事業分を設けるなど、市町村にとっては大いに期待しているところである。そこで、この自治振興基金についてはどのようにされるのか。

〇飛澤参事兼人事課長 自治振興基金についてのお尋ねであるが、これは地域づくり分と申すか、基金でもいろいろ枠があるけれども、個性豊かな地域づくり推進事業分ということで、これは今年度から局の方に権限をおろしておって、局での地域振興施策の推進と一体となった取り扱いができるものと期待しておって、徐々にその成果が出てくるのではないかと、そういうふうに思っておる。

〇黄川田委員 そこで、起債の指導についてなんであるが、これは相当程度の専門的知識を有するものと私は思うのである。そこで、地方振興局には十分な指導体制というか、人的な確保の方はどのようになっておるであろうか。

〇飛澤参事兼人事課長 委員御指摘のとおり、市町村債の扱い、かなりの知識を必要とすると思っておって、研修あるいはマニュアルの作成、あるいは人的な配置と申すか、そういった面で十分意を尽くした措置を講じてまいりたいと、そういうふうに思っておる。

〇黄川田委員 先ほど臨時地方道整備事業債と市町村債の許可の一部を委譲するとのことであるが、平成10年度以降も計画的に委譲していくのか、その見通しあるいはその考え方についてお尋ねする。
 それから、最後であるけれども、これ要望なんであるけれども、総務部の地方振興課から企画振興部の市町村課になるということであるので、今まで地方債の許可等については市町村の将来の財政負担、あるいは発行の適正限度の保持などあったけれども、これまで以上に市町村の地域づくりの観点に立った中での支援をお願いしたいと思う。いずれ地方振興局が屋上屋にならないように、よろしく御指導のほどお願いする。

〇飛澤参事兼人事課長 市町村債に対する平成10年度以降の見通しということであるが、現在、先ほど申し上げたとおり、自治振興基金の一部あるいは一般単独債の中の一部というふうに、枠配の中でも比較的取り扱いのしやすい部分というもので、地方振興局あるいは市町村の職員の方々、そういう仕組みに徐々になれていただいて、そういった段階を見ながら少しずつでも前進をさせていきたいと、そういうふうに思っておって、計画的に委譲を進めたいと思っておる。これは1回にやってもかえって市町村に御迷惑をおかけする部分もあるので、余り負担をかけないような進め方をしたいと、そういうふうに思っておる。

〇谷藤委員 先輩委員が総括でも若干触れた部分と重複するけれども、質問させていただきたいと思う。
 まず、盛岡広域圏における市町村の合併問題についてお伺いをしたいと思っておる。地方分権の受け皿としての行財政能力を強化するという観点から、市町村合併を積極的に推進すべきというのを私もかねてから申し上げてまいったわけであるけれども、自治体の職員の削減とか議員の削減もかかわるかもしれないけれども、そもそも行政圏は生活圏と基本的には一致した方が施設の効率的な配置が可能になるということもあるし、それから行政経費の重複支出も回避ができると、それからまた、結果として効率的な行政ができることになるのではないかということである。そしてまた、地域住民のニーズに沿った質の高い行政サービスの供給が可能になっていくだろうと思っておるわけであるけれども、特にこの盛岡地区の広域合併推進については、県都盛岡市を名実ともに北東北の拠点都市として育成していくためにも、人口、面積、経済等規模の集積が不可欠である。また、県都の底上げは県全体の発展をもたらすということからも、周辺町村との合併を強力に推進をしていく必要があると思っておるわけである。今後、合併による利点は財政上どのようなものになるのか、明らかにしていただいて、その判断材料を住民に提供するなど、下からの合併が盛り上がるよう県としても誘導策を講じていく必要があるのではないかと思っておるわけであるけれども、この合併問題についてはさきにも先輩委員が質問もされたけれども、その辺どのような形で踏み込んで今後取り組んでいくのか、ちょっとお聞かせをいただきたい。

〇馬場地方振興課長 盛岡広域圏の合併の推進促進についてという御質問についてである。
 先ほど委員から御指摘あったように、合併というものについてはさまざまなメリットという点があるわけである。広域的な視点から、道路あるいはスポーツ施設、各種の施設を広域的な観点から一体的に整備をすることができるという点があると、あるいは重点投資が可能になるということで、大型のプロジェクトを実施していけるようになると、さらには、先ほども御指摘あったように、行政経費の削減という観点から、効率的でしかも高い水準の行政サービスを供給できるというような、さまざまな合併のメリットがあるわけであって、合併の制度については、これも先ほど御質問あったけれども、さまざまな財政的な合併特例法に基づくメリットがあるわけであるので、さまざまそういう点について我々としては、市町村関係者を初めとした皆様方に、わかりやすくそのようなことを説明できるようなパンフレット等について作成をして、あるいは講演会等を開催して、そのような合併についてのさまざまな普及啓発というものを皆様にお知らせをして、いろいろな論議を深めていただくというようなことに取り組んでまいりたいと考えておる。

〇谷藤委員 そういうことでぜひ住民の方々にそういうパンフレット等も通じながら、ぜひメリット、どういうメリットがあるのか、また、中にはデメリットもある部分もあるのかもしれないが、いずれ判断をする材料がちょっと不足しているんじゃないかなと思っておるわけである。それで、実は岩手経済同友会の方で調査した結果があるわけであるけれども、昨年の8月に盛岡市の周辺の町村に対して調査をしたものがあるわけである。矢巾町、滝沢村、玉山村の住民を対象に調査をした数字が出ておるけれども、これらの数字を見ると賛成が42%、それから反対が26%、反対を15・6ポイント上回っているわけであるけれども、しかしここで注意して見なきゃいけないなと思ったのは、この31%に当たる部分の方々が判断できないということなんである。そういうことでやはり判断材料がちょっと不足しているんじゃないかなと思うところもある。これらをどういう形で今後の地方分権の形も含めて、できるだけ住民の方に速やかに浸透させていく、そういう作業がこれから非常に大切になっていくだろうと思うし、それから合併の特例法というか、そこの中でも必要な助言、情報提供等をしていかなきゃいけないということもうたっておるわけであるので、それに沿ってぜひこの分については速やかに対応していただきたいと思っておる次第である。
 次に、お伺いしたいのは、県立大学関係についてお伺いしたいんであるが、これもまた先輩委員も触れられたわけであるが、今のところは平成10年4月の開校に向けて大体頭がいっぱいかなと思うけれども、ただ、ここで、これは昨年の10月20日の日経に出ておった記事である。会津大学の評価という見出しで出ている記事があった。非常に施設も教授陣もピカ一、それから就職ももてもて、早々の内定ということで非常にいいようなことを書いている。ところが、地元に全然、さっぱり残らない。県立大学、莫大な資金を投入して、その後に地元に定着しないということでは、何のために大切な県税を投入して地元の発展につながっていかない事業に取り組んだのかということも指摘されかねないことになっていくんじゃないかなと、非常にどこの施設も後からできていく大学等は、前の大学を見ながらつくっていくものであるから次々と立派なもの、大変な資金を投入して、外側は立派なものになるし、それからまた、指導陣もそれなりにそろえていかれると、ところが、卒業する段になって就職の段になったらみんな外に行ってしまう。こういうことではなかなか県民は納得しがたいものがあるんじゃないかと思うわけである。そういうことで今のうちからその辺について室長はどのように考えておられるか、その辺のお考えをお伺いしたい。

〇川崎県立大学整備室長 県立大学の卒業生の進路の問題であるが、もともと県立大学は地元のあすを担う人材の育成ということを目的として設置するものであって、この県立大学の教育研究の内容についても実学実践ということを掲げておるし、さらには、学部も社会的要請の高い看護、福祉、情報、それに総合政策ということで進んでおるので、今後の就職対策についてもできるだけ多く地元に就職できるような対応を考えてまいりたいと、このように考えておる。具体的には、県立大学の事務局の中に開学と同時に就職対策の窓口をつくるとか、あるいは企業等とのネットワークを組んでいくとかというようなことをつくってまいりたいと、このように考えておる。

〇谷藤委員 ぜひ頑張っていただきたいと思う。そういうことで卒業する段階での、これは非常に就職率はいいんである、ある意味では会津大学というのは。ところが、外に行ったということなわけであるので、そういう意味では就職率が悪いのは一番問題なんである。大学は出たけれどで、どこにも行きようもないような状態になったんではこれは大変なことだろうと思うし、その辺でそれなりの能力がつくような、学力がついていくような対策も含めてやっていく必要があるのかなと。ちょっとここで心配しているのは、県内が推薦で30%であったか、そういうことで優秀な生徒さんたちをぜひ集めていただきたいと思う。ただ、指導陣が立派過ぎてちょっとついていけない生徒も大分出てくるなどというところがあるんで、ちょうどいいぐらいのところで進めていかないとえらいことになるなということも、記事を見るとそんな感じもちょっと出ているので、上手に指導していただきたいと思うところである。
 せっかくの機会であるからもう1点だけ質問をちょっとさせていただきたいと思うんであるが、予算に関する説明書の3ページに滞納繰越分というところで載っている。自主財源がなかなか確保していくのに難しい中で、一生懸命財政当局も自主財源確保のために頑張っておられることには敬意を表するわけであるけれども、個人県民税の1億6、300万円余というのがある。そのほかにも税目の中でも滞納繰越分というのはあると思うんであるけれども、大体どれぐらいあるものか、ちょっとお知らせをいただきたいし、効率のよい課税徴収にいかなる努力をしておられるのか、その辺ちょっとお伺いをしたいなと思う。

〇佐藤税務課長 県税の滞納繰越分についての御質問であるが、今、御質問あった個人県民税のほかに法人県民税がある。それから、個人事業税、さらに法人事業税、それから不動産取得税、それから特別地方消費税、それに自動車税等があるわけであって、総額で9億9、000万円ほどの滞納繰越分となっておる。この滞納繰越分については、適宜適切な処分をして、できるだけ徴収確保に頑張っておるわけであるけれども、いろいろな事情があってどうしても徴収できなかったというのがこのような形で残っておるわけである。個人県民税が大体6割ぐらいを占めておるところであって、これについては各市町村と連携をとりながら、協力体制を敷いて徴収確保に努力しておるところである。

〇谷藤委員 本当に大変な作業だろうと思うし、御苦労には本当に敬意を表するわけであるが、そこで、ここで県の方の考え方というのをちょっとお聞きしておきたいのは、読売新聞の2月20日付の記事であるけれども、ここに群馬県のある市で滞納者に対し、サービスを受けるには義務を果たさなければならない、そうでなければ公平な行政サービスはできない、行政サービスの制限を決めたと報じられておるわけである。これについてはそれぞれ学者の方々の意見も分かれておるけれども、県はどのようにこれらをとらえて、また、各市町村に対してもいろいろ指導していくこともあると思うけれども、税を払う意思がない人には究極的には助成金などは支給しない、それで訴訟されて負ければ仕方がないとか、いろいろ市の方では勝手なことを言っているし、それから自治省の方は、同市の方針についておどしをかける感じでいいものなのか、こういう感じでいろいろこの問題についてあるけれども、滞納されている、このことについてのそれぞれ行政側の対応というのは、それをどういうふうにとらえていけばいいと考えておられるか、お知らせをいただきたい。

〇馬場地方振興課長 たしか市町村の話だったと理解しておるので、私の方からお答えさせていただきたいと思う。
 私も新聞報道については中身を見たけれども、実は実際どういう具体的な措置であるかという内容については、他県の市町村のことでもあって実際詳細に事実を承知しておらないので、あともう一つは、他県の市町村のお話で、それぞれの県の指導があるかとも思うし、それがどういう事実関係のもとにどういう指導をしておられるかということもわからないので、ちょっと今のところその点についてどう考えるかということについては、この場でお答えについては差し控えさせていただきたいと考えておる。

〇谷藤委員 県内の市町村それぞれこういう滞納者というのがあると思うんである。そこに対してどのように対応しているというの、何か把握している部分、お知らせいただきたい。

〇佐藤税務課長 市町村民税にかかわらず、滞納するとそれに対応するいわゆる滞納処分という形で臨んでおるわけであって、特に滞納しておるために行政的な罰というようなものについては、県も何も考えておらない。現状ではそういう状況にある。先ほど地方振興課長からもお話あったように、市町村の場合は何か国保税を滞納した場合には保険証をおくらせるとか、あるいは納めさせてから、あるいは理解させて交付してやると、そういったことを考えておるというようなことであったけれども、岩手県については特にそういうことは、今の段階では処置をとっておらない状況にある。

〇浅井委員 ただいま谷藤委員の質問の中に県立大学の推薦入学のことについてお話があったが、県内の分は30%程度といったようなふうに聞いておったわけであるけれども、その30%の中にそれは一体県立だけをお考えであるのか、あるいは私立の高校等についてのお考えはどういうふうにお考えになっておられるのかということをお伺いする。

〇石川県立大学整備監 3割の中には公立高校、それから私立高校も含めて対象として全体での3割と考えておる。

〇浅井委員 そうするとその中に特にどういう割合でということはまだ、考えておられるかどうか。

〇石川県立大学整備監 具体的に各高校からどういう形で推薦を求めるかということについては、現在検討中である。

〇佐々木(一)委員 3点についてお伺いするので、よろしくお願い申し上げる。若干通告していない部分があるけれども、わかる範囲での御答弁をお願いしたいと思う。
 まず、地方債について今まで先輩方いろいろとお話があったけれども、この9、080億円の残高のうち金利が高いと考えられる県債がどの程度あって、この平均はどの水準になるか。また、高金利のものもあると思われるけれども、財政の健全性を図る観点から、借換えということも考えられると思うけれども、この辺についてのお考えを聞きたいと思うし、もしそれについて問題があればこの辺についても、まず第1点としてお伺いしたいと思う。

〇佐藤財政課長 高金利の県債の残高状況ということで、それで、今、現段階で今年度の年度末にかかる県債ということであるが、現段階では決算ベースでの数値で把握しておるので、それで申し上げたいと思う。便宜、5%を超える県債、これを高金利ということで整理すると、5%を超える県債残高はトータルで1、886億8、500万円になる。これは7年度県債の総残高7、028億9、200万円の26・8%に相当する。これが5%を超える部分、したがって、残りの5、142億円については5%未満ということになる。
 それから、平均の利率ということであるが、これは現在の残高と、それからことしの公債費、これをもとにして出すと4・1%程度と見込んでおる。
 それから、借換え、繰り上げ償還ということかと思うが、この借換えについては、地方債の発行については証書借り入れとそれから証券借り入れとあるわけであるが、証書借入分については理論的には借入先との合意があれば可能であるが、ただ、現実問題としては、借入先の方でも貸し付けした時点での金利というか、これをその収入は確保したいということがあるので、なかなか応じてもらえないということで、そういうことが佐々木委員からあったネックというか、隘路というか、問題点ということになるかと思う。これについては、できれば借りかえることが私ども財政にとっては有利ということもあるから、今後とも金融機関との話し合いなど継続しながら、引き続き努力をしてまいりたいと、こう考えておる。

〇佐々木(一)委員 26・8%が5%超ということであるが、一番高いものでちなみにどのぐらいであろうか。

〇佐藤財政課長 8%から8・5%の間で、ちょっと具体的な利率、今持っておらないが、8・5%から8%のものがある。ただ、金額にしては1億9、100万円ということで、金額的には小さくなっておる。

〇佐々木(一)委員 次に、監査制度についてお伺いしたいと思う。
 地方制度調査会、先月24日であるけれども、地方自治体に外部監査制度を導入するということで、早ければ今国会で制定されて、98年度からというように伺っておるが、私も昨年の一般質問でもいろいろとこの問題について取り上げさせていただいたけれども、98年ということになればもう来年度からいずれ準備段階ということに入ると思うが、現在の対応状況についてお考えを伺いたいと思う。

〇飛澤参事兼人事課長 委員御指摘のとおりであって、監査制度のあり方については去る2月24日、第25次地方制度調査会から、外部監査の導入を含めた答申が出されて、内閣総理大臣に提出されたところである。その内容を申し上げると、外部監査制度、都道府県、政令市等について法律で外部監査を義務づけるということが一つである。その外部監査人には、弁護士あるいは公認会計士、監査に精通した者を選ぶということである。一方で、現行の監査委員制度はどうなるかということであるが、答申の内容としては、当該地方公共団体の職員であった者を監査委員に選任する場合は1人に限ることということがその内容になっておる。委員御指摘のとおり、国として政府はこの答申を受けて、早ければ今国会にこの地方自治法の改正案を提出して、法案が成立すると平成10年度からの導入ということも見込まれるという状況下にある。県としてはこういった法改正の動向を見ながら適切に対応してまいりたいと、そういうふうに考えておる。

〇佐々木(一)委員 いずれ県の方の対応を速やかに、これは議会選出の監査委員も現在あるし、よろしくお願い申し上げたいと思う。
 次に、行政改革、非常に国でも議論されておるわけであるけれども、実は私、公社運営協議会の委員になっているんであるが、昨年の4月に吉田会長から招集がかかったけれども、この議会終了後の26日にもあるようであるが、公社運営協議会もなかなか開かれない状況下にあるようである。その中で県の職員人事の問題であるけれども、出資法人への出向の人数等、また、公社運営協議会の場合55法人が対象ということであるが、県を退職された後で長になっている方々、どのぐらいいらっしゃるのか。
 また、市町村への出向関係、この人数等もお伺いしたいと思うし、逆に市町村からの受け入れの人数等についてもお伺いしたいと思っておる。これからの地方振興局の権限強化というようなことで、市町村との連携を非常にうたっている中で、地元市町村との人材交流というのも非常に多くなってくるかと思うが、これからのこれらの考え方について御見解があればお伺いしたいと思う。

〇飛澤参事兼人事課長 出資法人に対する出向者等についてのお尋ねである。あわせて市町村との人事交流ということであるが、現在、県職員が県の出資法人等に出向しておる数と申すと、3月1日現在で申し上げると、18団体に対して168名が出向しておる。社会福祉事業団であるとか、あるいは財団法人の岩手リハビリセンターが大宗をなしておる。
 それから、県職員の市町村への派遣者数であるが、現在、12団体に対して12名、医師が多いけれども12名の者が出向しておる。
 また、市町村との人事交流についてのお尋ねであるが、市町村との人事交流、これは大分以前から議論があって、県と市町村との人事交流については、それぞれの職員の資質、能力を高めるという観点から申すと非常に有益であると思っておる。ただ、市町村、県、いろいろ交流が可能な仕組みにはなっているわけであるけれども、現実問題で各市町村と協議を進めると、お互いに希望しているポストあるいは処遇の面でネックがあるということで、まだ実現を見ていないというのが現状であって、ただ、地方分権その他が進むと、相互に県なり市町村の事務事業の内容をお互いに知るということは非常に大切なことであるので、そういった観点で、これは今後とも市町村とまさに本音で話し合って進めてまいらなければならない課題かなと、そういうふうに認識をしておる。
 それから、もう一つ、最初にお尋ねのあった出資法人、役員として就任している数というお尋ねであったけれども、しかとした数を把握しているわけではないけれども、課長以上が県の出資法人の役員に就任しておるけれども、トータルで申すと、延べ人数で申すと215人が就任しておるという状況である。

〇田村委員 佐々木一榮委員の関連で若干、2点ほど質問申し上げる。
 県職員の、言うなれば天下りという表現、ちょっと私も使いたくないんであるが、関連団体への再就職というんであるか、そういったのが通常行われておったわけであるけれども、特に私、農業団体にしばらくいた関係からかちょっと意識に偏屈なところがあるかもわからないけれども、農業団体への農政部からの出向というんであるか、天下りというんであるか、それが非常に目についたという記憶がある。実態もそうだと思うんであるが、天下りを私は否定するわけではないんであるが、同じ部局から同じ関連の団体への天下りというのは、果たしてどんなものか。私、実際天下った人にちょっと聞いたことがあったんだけれども、天下った団体あるいは天下った先の職場の活性化その他を考えた場合には、やはり異種の業種というか、そういったところに派遣するのもその団体の活性化を図る意味では非常に大切なことではないか。その方の経験からそうおっしゃっていた。そういったことも考えながら、関連団体への天下りというのを今後見直していく必要があるんじゃないのかなと感じているんであるが、その辺のところをまずお聞きする。
 そしてまた、これは総括であったか、一般質問であったか、答弁にもあったわけであるが、県と国との職員の交流、この件に関しては4名ほどの県職員の国への派遣があると、交流があるとお聞きしているわけであるが、これは毎年度そのような人数が交流になっているのか、平成8年度に限ってそうなのか。それをまずお尋ねする。

〇大隅総務部長 最初の方の御質問にお答えしたいと思うけれども、大変難しい内容のものだとお聞きしておったが、一般的には県職員が退職後再就職をすると、本来はいずれ御本人の自由な意思、あるいは採用される方の側の自由な意思に基づいて行われるべきものである。ただ、私どもの理解としては、県職員として在職中の主として専門的な知識、これを生かすというような観点から御要望があって、再度第2の人生に入っていると受けとめておるわけであるけれども、おっしゃるようにもっと違った活性化の観点とか、あるいは管理能力であるとか、違った分野の観点からの期待、御本人の方もそういう新しい人生を歩むということ、それから採用される方の側でも違った意味での活性化を図るという観点、そういう観点も確かに必要な一面であると思う。大変難しいことで一概にどちらからどちらとは参らないけれども、そうした点、今後においても十分我々も念頭に置いていきたいと思っておる。

〇飛澤参事兼人事課長 国との人事交流についてのお尋ねであるが、現在、厚生省、農水省に合わせて4名職員が行っておって、これは近年大体定着しておって、今後も続けたいと思っておる。

〇田村委員 ただいまの答弁で、要請があるから仕方ないという、これは表現はよくないんである。要請があったんで行くんだというお話だったんであるけれども、その要請する側がもう既に県から出向している人間なんである、実際の話は。そうなんである。そういうところもやっぱり加味しながら今後は対応するべきじゃないのかなと。そこで育った人間が同じパターンで回ってくる。非常に意欲の問題にもつながると思うし、一つの、今、盛んに改革改革と言われているけれども、改革につなげる意味でも一つの方法ではないのかなというふうに御提言申し上げる。
 そして、2点目であるが、国との職員の交流の関係であるが、せっかく優秀な県職員を国に交流のために派遣し、そしてまた、何年もそこで経験を積み、その結果がどう生かされているのか、中には帰ってきた途端にやめてしまった人間もいるはずである。その経験をどう生かすかという方策もこれから考えていくべきじゃないだろうか、いかがであろうか。

〇飛澤参事兼人事課長 国における経験を生かすべきだという御指摘であるが、委員御指摘のとおりであって、研修の成果を県に帰っても十分に発揮していただくと、それを目的に交流人事を行っているわけであるので、そういったことで今後とも研修の成果が、まさに上がるような対応をしてまいりたいと、そういうふうに思っておる。

〇千葉(伝)委員 私からは消防防災についてお聞きしたいと思う。
 本定例会の一般質問において、浅井議員から携帯電話中継基地についての質問があった。その時点では企画調整部長から前向きの答弁があったと思っておるが、私からは角度を変えて携帯電話のネックの一つとなっている119番の通報体制についてお伺いする。
 過日、2月19日付の岩手日報紙上で携帯電話からの119番通報に関する記事があった。御記憶の委員も多いと思う。今や携帯電話はビジネスのみならず、私ども議員活動を含めて迅速、円滑な対応のためにその便利さを享受しているところである。県内の加入契約数が13万件にも上っているということがそれを物語っているのではないであろうか。しかしながら、携帯電話から119番にかけたことがないこともあるが、県内では119番通報ができないということは驚きである。災害発生時あるいは火災、交通事故に遭遇した場合、携帯電話があるのに肝心の119番に通じない現状は早期に解消する必要があると考える。そこで、2点お伺いする。
 1点目は、現在、全国的にはこの携帯電話の通報についてはどのような状況になっておるのであろうか。
 あわせて、2点目は本県がこういったことに対しての解決に向けどのように取り組んでおられるのであろうか。
 以上、お伺いする。

〇本田消防防災課長 携帯電話からの119番通報ということでのお尋ねであるけれども、委員御指摘のとおり、本県、携帯電話から119番通報は接続しておらない。これだけ普及したのになぜかということで、電波の関係とかいろいろ技術的なことの点もあるけれども、東北だけで限ってみると、宮城県の方は仙台市消防局の管内は通じておる。それ以外の、本県も含めて秋田も青森も東北地区では通じていないというのが現状である。それぞれ電気通信事業者、それぞれメーカー--メーカーというよりも会社があるわけであるけれども、それによって対応が若干異なっていることから、一概には全国の状況ということを言えないわけであるけれども、東北地区だけ限ってみると、仙台市消防局以外通じていないというのが現状である。ただ、ただいま委員から御指摘があったとおり、火災あるいは事故、そういったものに対する119番通報というのは非常に大きな武器になるというように考えておる。このような点も踏まえて、全国消防長会、これは消防本部の消防長さん方によって構成されている全国消防長会があるわけであるけれども、そこにおいていわゆる民間事業者あるいは郵政省と関係機関等いろいろ検討しておる。当面、これは当面の対応であるけれども、各都道府県ごとに定められた代表消防本部で携帯電話からの119番通報を受けると、それで管轄の消防本部に転送接続する方法を考えてみたいということで、今いろいろ検討が進められておる。こういった動きに対しては、自治省、消防庁の方においても平成9年度の地方交付税においてその体制整備の財政措置なども講じるような動きも出てきておることから、近々中というか、いつごろになるかと言えば、来年度いっぱいになるか、あるいはもう少し10年ごろまでかかるかわからないけれども、いずれ本県においても県下14消防本部、それぞれ大体今の県の消防協会の方でいろいろ検討しているのは、岩手県の14消防本部を四つか五つぐらいのブロックに分けて、そこで一たん受けて管轄の消防署の方に転送するというような方法がいいんじゃないかというようなことで、いろいろ検討を既に始めておるので、私どもとしてもそういった動きを側面から全面的に支援して、なるたけ1日も早くつながるような体制を指導してまいりたいというように考えておる。

〇千葉(伝)委員 御答弁いただいたその各関係機関において鋭意取り組んでおられるということについては、大変ありがたいと思うところである。岩手県、そのとおり広大な県土であることから、火災、事故発生時のその第一報というものが大変大事なことと考えるわけである。県下の消防本部等に対する指導及びその中継基地等についての先ほどのお考えで、より早くできるようなことで今後ともよろしくお願い申し上げたいと思う。
 そこで、別な質問になるけれども、火災、事故の通報に関連したもので大事だということを今言ったけれども、そういった観点からお伺いするわけであるが、きのうの総括でも質疑が交わされたところであるが、高齢化社会ということを迎えているといったことで、いろんな意味で福祉とかも含めての県政課題となっておるが、消防防災という観点から、最近の報道等によると火災による犠牲者に占める高齢者の割合というものが高くなっているということであるが、高齢者の中にはひとり暮らしの老人というか、ひとり暮らしをしている方も多い。本県の高齢者に対する火災予防対策についてどのようになっているのか、お伺いしたいと思う。

〇本田消防防災課長 高齢者に対する火災予防対策はどのように講じているかということでのお尋ねかと思うわけであるけれども、委員御指摘のとおり、大変残念なことであるけれども、昨年本県においては火災による焼死者が24人発生しておる。そのうちの70%に当たる17人の方がいわゆる65歳以上という方になって数字があらわれておる。非常に痛ましいことであると考えておる。そういったことも踏まえて、私どもとしては県下の14消防本部も当然であるけれども、住宅防火展示会あるいは火災予防フェスティバルということで、これは婦人消防協力隊の方々、毎年2、000人ぐらい集まってフェスティバルをやるわけであるけれども、そういったフェスティバルの開催、あるいは春、秋の火災予防運動、これは各14消防本部で市町村と連携をとりながら非常にユニークな、あるいは独自な地域の特性を踏まえた運動を展開しておる。そのようなことをいろいろ展開しながら対応していくことが一番大事じゃないかなと考えておる。
 ちなみに、この1日から7日に春の全国火災予防運動が展開された。市町村の取り組み状況を見ると、非常にことしの特徴的なことというか、いわゆる高齢化社会を迎えてある意味においては当たり前のことと言うかもしれないけれども、常備消防本部あるいは消防団、それから福祉の現場の方々、特にもホームヘルパーの方々、いわゆる家庭奉仕員の方々であるけれども、その方々と連携をとった形で高齢者の方々の家庭訪問、いわゆる防火指導を行っているというケースが非常に多く見られるような傾向になってきておる。いわゆるきめ細かな対応がそれぞれの現場で行われているという傾向が見られてきておるので、今後においてもこういった、特にも福祉との連携といったところで高齢者の方々、特にもひとり暮らし老人の方々の火災を発生させない、あるいは万が一にも火災が発生した場合においては速やかに逃げるというか、そういった形で対応できるように指導してまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 いずれとうとい人命を守るという観点から、より一層火災予防について、あるいは万が一発生した場合ということについては、迅速、的確な対応をお願いして私の質問を終わる。

〇菅原委員 2点お伺いをする。
 まず第1点は、女子職員の任用についてお伺いしたいわけである。
 私、何回か女子職員を幹部に登用してもらいたいというような発言をしておったわけである。いわゆる今は男女雇用均等法とか、あるいはまた、男女共同参加型社会形成、あるいはまた、これに合わせての女性の地位の向上等々うたわれているわけであるが、そこで、東北6県の女子職員の任用の状況を見たわけであるが、岩手県の場合、女子の係長級、これは係長、主査、主任と思うわけであるが225人であるわけである。これは全体の係長級の女子の割合は16・5%である。青森県は、数だけ申し上げるが304人、宮城県295人、秋田県299人、山形県258人、福島県540人、東北6県の割合は22・2%、これが女子の係長級の東北6県の平均である。岩手県は先ほど申し上げた16・5%と、こういうふうになっておるわけである。数字からいけば少ないというような感じを受けるわけであるけれども、能力の再開発を進めて女子の職員の意欲の向上対策にも、やはりそういう幹部級の職員に登用すべきではないかというようなことであるわけである。
 なお、補佐級、課長級、部・次長級については大体各県と同じような状況なわけであるけれども、係長級においてはこの割合が非常に少ないというような現況なわけであるから、これを積極的に登用するようにお願いを申し上げたいわけである。もちろん数だけ多ければいいというものではなくて、やっぱり能力のない者、そういう者はもちろんだめ、あるいはまた、職員間の信頼のない職員、これももちろんだめなことはわかっておるが、いずれ私この間、代表質疑で申し上げたように、職員の意識改革を進めて女子職員のいわゆる役付の登用を積極的に進めるべきではないかと、そんなことを考えておるわけであるが、これについての所感をお伺いする。

〇大隅総務部長 女性登用ということであって、委員からお話があったが、全く委員のおっしゃるとおりだと存ずる。私ども人事配置するに際しては、本当に真剣に考えて最大限の検討を加えてやっておるところである。数字、既に委員御承知であるけれども、向上は逐次しておるけれども、そう急激な改善ということにはまだなっておらないが、一生懸命努力しておるので、ひとつ御理解を賜りたいと思う。

〇菅原委員 次に、平成9年度の一般会計貸付金についてお伺いするが、予算に関する資料、これ61ページに実はあるわけであるが、まず国民健康保険基金貸付金、これ1億円であるが、利率が3%なんである。これは1年であるから短期と言っていいんじゃないであろうか。それから、次に参って63ページ、畜産基盤再編総合整備事業等資金貸付金、これが16億円である。これも1年であって金利が3・5%なんである。次に、63ページの下の方に行くと水産物共販推進強化対策資金7、000万円で、これも短期で3・1%と、こういう形になっているわけであるが、今の金利市場から言って利率が高いんではないか。果たしてこの貸付先の方々はこの高い金利を利用するんであろうか。そんな感じをするわけであって、特に畜産関係の、これは岩手県農地管理3・5%であるから、こういう高い金利は今、余りないのではないかというような感じをするが、これの見解をお尋ねしたいと思う。

〇佐藤財政課長 ただいま委員から御指摘を受けた各資金に係る利率であるが、指摘あったとおり3%台の貸付資金についてお話あったが、利率の設定の方法としては基本的な考え方として、まず同種のものが国にあった場合には国の利率とのバランス、それからその他例えば県の単独で資金をつくった場合の貸付金については、例えばこれは金融機関に預託し、そして末端の方が借りる場合の協力してくれる金融機関の、これは事務的な経費かかるわけであるから、その分の取り分を見て、それぞれを見ながら利率の設定をするということにしておるが、ただいま御指摘あったものの、例えば県の林業公社事業の資金であるとか、国保関係とか、これらについては国あるいは他県とのバランスを見ながら利率を設定しているものである。確かに今お話しあったように、今の低金利時代においては3%を超える利率の設定というのは大変高い感じを受けるわけであるが、ただ、現実にはこれは政府資金であるとか、あるいは財投金利であるとか、それらを見ながらのあわせての検討した経過で出てくる数字である。

〇藤原委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分程度休憩をする。
   午後3時2分 休 憩
 
   午後3時18分 再 開

〇久保田副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 質疑を続行する。

〇小野寺委員 総務費について3点お伺いする。
 まず一つは、県の公用車のうち、いわゆる黒塗りの運転手つき高級乗用車、これは本庁及び出先を合わせると、全部で何台ほどあるかお伺いする。
 その使用目的、使う方はだれなのか、取得費とか維持管理費、運転手の方の人件費、こういったものを割り算した場合、1台当たりどのくらいになっているのか、そのコストについてお伺いする。
 ハイヤー、タクシーあるいはチャーターのような借り上げ車両、こういったものと比較した場合どうなのか、お聞きしたいと思う。
 県内の財政が厳しいと言っている市町村の場合、首長、助役あるいは議会議長ぐらいが黒塗りの乗用車で、そのほかはライトバン等で仕事をやっておる。県の場合は、議会棟のわきに行くと、常に20台くらい並んでおり、ちょっと余計ではないかという気がする。特にも、出先の地方振興局などはそれぞれ地元と協力して仕事をしていこうという姿勢であるけれども、地元を圧倒するような高級車で出かけるのはいかがなものかと、こういった感想を持ったのでお伺いする。
 第2点目は、説明書の95ページであるけれども、財産管理費、これは前年に比べて8億円の減となっているけれども、どのような背景によるものかお伺いする。何か特別な経費節減に努めたのであろうか、お知らせいただきたいと思う。
 3点目は、この庁舎の委託料が8億8、000万円となっておるけれども、どのような部門の業務を委託しているのか。昨今、民間委託がふえる傾向の中で、さらに委託できるものはないのかどうか。
 以上、3点お伺いする。

〇藤沢総務学事課長 公用車の関係で6点ほど御質問があった。3ナンバーのいわゆる黒塗り乗用車、これは全体で29台ある。内訳を申すと、本庁で24台、それから東京事務所3台、宮古短大、盛岡短大各1台で出先は5台である。地方振興局には黒塗りは配車してない。
 それから使用目的、利用者はだれかということであったが、三役であるとか部長であるとか、学長であるとか、その辺が中心になるかと思う。
 それから1台当たりのコストということであったが、各部局によってそれぞれの事情があり、年間走行距離なり、あるいは備品の購入年次による維持費の差というかそういうものはあるし、黒塗りに限ったコストということは特に出しておらないわけであるけれども、概算的にはじくと、1台年間600万円台かと、そういうふうに認識しておる。市町村あるいは首長さん、そちらの方では黒塗りの乗用車が少ないということであるが、総務部の使用を見る限り有効に使われているように思われるし、他部も1台か2台であるが同様ではないかと、そう思っておるところである。

〇菊池施設管理課長 私からは、後段の2点、財産管理費は前年に比べて8億円の減となっているがどのような背景なのか。もう1点は、委託料8億8、000万円となっているがどのようなものかということであったが、まず最初の、財産管理費の8億円の減であるけれども、これについては総務費、総務部全体の財産管理費のうち、当課の所掌をする分が大宗を占めるということから私が代表してお答えしたいと思う。
 これの主なものは、県庁舎、ただいまの議会等も含めて冷暖房の工事を行っておるけれども、これに関連する減少、実はこれは平成7年度から来年度までの3カ年の継続事業であるけれども、ピークが今年度の平成8年度で、これが過ぎて8年度では大幅な減少ということになっておるものである。ちなみに、冷暖房の機器の設置工事では3億9、000万円ほどの減、関連して電気設備の改修が1億円の減、送風管の改修工事が5、600万円の減という形になっておる。さらには、このほかに職員公舎の管理費、これも工事費関係であるけれども5、800万円ほど減、さらには通信施設の管理費で、これは消防防災関連であるけれども、これの防災行政無線の関係の模写伝送装置、これの工事が8年度で終了したといった1億1、900万円ほどの減、これらが8億円の減少の中身になるものである。
 なお、あわせて特別な経費節減に努めたのかというお話であったが、先ほど説明したように工事が終了したこと、あるいはピークが過ぎたということが主な理由で、このような減少となったものである。
 もう1点であるけれども、委託料が8億8、000万円であるがどのようなものかということであるが、これの主なものについては、庁舎等の集中設計管理費というもので3億9、800万円ほどになっておる。これは各部局で計画した県営施設の建築について、その設計業務あるいは工事の管理業務について集中的に施設管理課がその委託を受けて実施しているものであるけれども、これに要する経費が3億9、800万円ほどになるものである。このほかに県庁舎、合同庁舎の清掃業務に係る委託費、これが2億1、000万円ほど、その他県庁なり合庁のボイラー運転業務が3、000万円ほどになるものである。
 あわせて、さらに委託できるものはないのかということであったが、県としては既に民間業者への委託になじむものについては、極力委託しているものであるけれども、今後とも業務内容の点検あるいは民間業者の受け入れ態勢というものもあろうかと思うので、こういった動向を踏まえながら鋭意業務の民間への委託というものを進めてまいりたいと、そのように思っておる。

〇小野寺委員 総務部長にお伺いしたいのであるけれども、コストを意識した場合に、運転手つきの黒塗りの車についてちょっと見直すべきではないかと思うが、この点いかがであろうか。
 あともう1点であるけれども、庁舎の方の冷暖房の工事がピークを過ぎたというお話であったけれども、この工事について、工事が終わった後、かえって暖房がよくなくなったと、反射式とか対流式のストーブをわざわざやって暖をとっているとか、そういったちょっとうまくない部分があったのではないかと思うのであるが、ほかにも新年度の予算の中でこの改修について不都合なところがなかったかどうか、そういう部分が計上されているかどうかお伺いしたいと思う。

〇大隅総務部長 黒塗りの乗用車の件であるけれども、確かに、例えばタクシーの活用とか借り上げという方法もあろうかと思うが、以前に実は全庁的な検討をしたことがあり、かなりの整理をしておる。その際に、現在、三役等のほかに主として各部の主管課に何台か置いておるわけであるが、やはりこれはどうしても日常的な会議に頻繁に出るということ、それから来客があった場合に、失礼のないような対応をしたいということ、それから総務学事課において集中的に数台管理しておるが、これは行幸啓であるとか、大規模な行事等に備えて必要最小限の台数が要るということで措置されておるものであるが、おっしゃるように、確かに常にコストの意識を持った必要最小限のものであるべきであるという、これはごもっともであるので、今後においてもその辺十分配慮をし、検討を加えてまいりたいと思う。

〇菊池施設管理課長 冷暖房工事を行ったことによって、前より悪くなったのではないかということがあるのではないかというお話であったけれども、確かにあった。反省点として議会棟において、実は従前は窓の下のところの腰板のところに暖房の蒸気の吹き出しのための機械を置いていたわけなのであるが、今回は冷暖房を一気にやるということから、天井からつり下げたタイプの機器に取りかえて暖房をやったところ、議会棟の下が実は車庫になっておることから非常に冷える状況になったということで、あるいは一重のサッシということも考慮して工事を進めるべきであったわけなのであるが、こういったことを反省して、来年度4月には腰板内に温水が通るような機器を整備、設置したいと考えておる。したがって、足元から冷えることのないように万全を期したいと、そのように思っておる。

〇山内委員 簡単になるかどうか、3点お伺いをする。
 第1点は、防災ヘリひめかみの活用についてであるが、これは先ほどからいろいろな御意見、御提言が出されているところである。私もひめかみのことについては大いに関心を持っておったが、谷藤委員なんかといろいろな意見交換をすると、実は消防団の方々、これは体験搭乗というか、そういったものを逐次進めるべきではないかといった意見が少なからぬものがあると伺っておる。消防活動の一番の基本は、その地形、地理というものを熟知することにあるのであろうと思っておる。地元消防団の方々は訓練であるとか、その都度その都度の出動によって、自分の住む地域以外の地理までも把握をしていく、こういうことであろうと思うのであるが、もう一つには、やはり俯瞰をしてみるということも大きな消防団活動の上で重要なことになっていくのではないのか。特に、山林火災の場合なんか非常に広域にわたる場合が多い、そうすると近隣の市町村まで出かけて行くと、こういったこともたびたびあるわけである。そういった際に、やはりこの防災ヘリを活用して、県内全域とは言わないけれども、少なくても自分が住む広域圏ぐらいは上空から俯瞰をして地理の把握に努めていくといったことが必要なのではないのかと思っておる。さまざまなひめかみ自体の訓練出動等で時間が割けるかどうかという議論はわからないけれども、そういった要望等に今後どうこたえていかれるのか、必要性の有無などについて認識をまず教えていただきたいと思う。

〇本田消防防災課長 ただいまの委員から御指摘あった防災ヘリのひめかみ、消防団の方々は体験する必要があるのではないかということで、御指摘のとおりであると考えておる。今お話あったとおり、地元の地理等に非常に精通している消防団の方が多いわけである。そういった意味においても、情報収集活動あるいは発生した災害の対応等いち早く確認するために、もちろん防災航空隊員がプロとしてそれなりの訓練はしておるわけであるけれども、消防団の方々のいろんな支援というものをいただかなければならないと考えておる。
 実は先般、ヘリコプター運行協議会という組織を発足させておる。これは私どもの県と市町村と、それから常備消防でもって協議会を発足させておる。その中で防災ヘリを、言うなれば災害時ばかりというか--もちろん災害時に飛ばすことは当然なわけであるけれども--防災意識の啓発、あるいは、ただいま委員から御指摘あったような形での、防災関係者にいろんな面での県内の状況というものを把握してもらうような形で、いかにそれを有効に活用できるかを考えてみようということでいろいろ相談しておる。先般、市町村にいろいろ照会を申し上げて、9年度どういう訓練計画を立てるのか、そういったこともあるからいろいろ照会を申し上げた。そうしたところ約30市町村--まだ正確に把握してないけれども--約30市町村から防災訓練、消防演習にぜひ参加してほしいという要請もきておる。したがって、これから年間計画、特にも消防演習は前半の5月、6月、7月に集中するものであるから、これらに全部応ずることはちょっとできかねると思うけれども、計画的にこういったものに参画して、そういった際にできれば、ただいま委員から御指摘あったような機会も設けられれば幸いかなということで、この協議会の場でいろいろ検討してまいりたいと考えておる。

〇山内委員 一定程度の前向きの御答弁いただいたわけである。ぜひともそういった考えに基づいて、積極的にこれを進めていただきたい。特にも、消防団員の高齢化という問題があるわけである。若い層に消防団員になっていただくということ、それから消防団員の士気の高揚、こういった面でも効果があろうかと思うので、ぜひお願いをする。
 次の質問であるが、10款教育費9項私立学校費についてである。
 これは、ありていに言えば県立大学の開学に関してということになるけれども、県内の私立大学に対する県の助成といったものについて、大学は文部省の所管であるということで、県は開学当時は別としても、立ち上がってから後の経営等について、例えば専修学校であるとか私立の高等学校、幼稚園等々に対する措置とはまた別の措置の仕方というか、それほど手厚くない措置の状況にあると私は理解しておる。ただ、県立大学が開学をするということになれば、当然そこに一定の競合関係というものが出てくるのであろうと思うわけである。そういった場合に、その私立大学のさまざまな機能の中で、地元振興ということも実はあるわけである。子弟の教育のみならず、その地域に大学が存在するというそのことによる地域振興、若者が一定数そこにとどまるといったさまざまなほかの効果があるわけであり、これは地域振興という観点からも私立大学に対して県は何らかの新たな支援措置というものをそろそろ考えていくべきではないのかと、こういうふうに思うわけである。そういった観点から私立大学に対する県のこれからの支援措置について、どのような検討を行おうとしているのか、この点をお聞かせいただきたいと思う。

〇大隅総務部長 私立大学については、県での援助というお話であったけれども、基本的に国の方の所管ということである。さらにまた、非常に設備、教授陣、さまざまな内容からしても、あれも高いし、経費的にも非常に膨大なものがあるということであり、なかなか県がそれに対応するということは困難なことではないかと考えておる。

〇山内委員 そういうことで今までやってきていなかったということは私も承知している。ただ、県立大学が開学することによって、競合関係というのは私は生じると思っておる。そうすると、今まで困難な中でも経営を続けてきた私立大学、これが撤退するということになれば、これは別の角度から考えて県の発展ということに支障を来していくのではないのか、こう思うわけである。これは、地域振興という観点でも先ほど触れたわけであるけれども、今の段階ではそういうお考えはないということであるけれども、これから事あるごと機会あるごとに、このことについて議論を深めさせていただきたいと、このことを申し上げて、この質問は終わる。
 それから第3点、これで質問の最後の項目になるが、本会議一般質問において浅井東兵衛委員が取り上げた備蓄基地の問題についてである。
 これは浅井東兵衛委員の質問の中に、具体的にさまざまな数字が示されておった。久慈の備蓄は今166万キロリットルということなのであるが、水島から流れた場合、これが大体久慈備蓄の0・5%相当に当たる大体1万キロリットル弱が流れているわけである。そしてそのときに、さまざまな処理剤やオイルフェンス等が使われていったと、こういうことを浅井委員は指摘をしているわけである。これは例えば、オイルフェンス2万5、000メートルが水島のときに使われたと、これは久慈の備蓄基地に使われている長さの10倍強という具体的な指摘をしておる。それから、油処理剤1、000キロリットルが使われたと、これは久慈の場合、備蓄されているものの500倍弱、こういうふうに一つ一つ具体的に指摘をしているわけである。それに対する答弁は、まことにさらっとした答弁であった。確かに、法令上の備蓄量というものはあるいはクリアしているのかもしれないけれども、一朝事が起きたときに果たして対応し得る量なのかどうかと。わずか0・5%が流れ出しただけでも10倍なり500倍なりの量なり長さというものが必要になってくるという指摘をしているわけである。その点について、県当局はどのように判断をしているのか。

〇本田消防防災課長 ただいまの委員から御指摘があったとおり、久慈の石油備蓄基地、水島コンビナートとの事例を挙げて本会議でもいろいろ議論があったところである。私どもとしては、日本地下石油備蓄久慈事業所、ここでそれぞれの基準に定まった、ただいま委員が御指摘したとおりのオイルフェンスが2、300、あるいは泡消化剤等が37・1キロリットル、油処理剤が2・3キロリットル、油吸着剤が2、300キログラムといったような所要の定められた基準の資機材はそれぞれ備えてある。それから近隣のということで、久慈の広域消防本部あるいは八戸の海上保安部等にもそれぞれの資機材等が整備されておる。いずれ水島のコンビナートと久慈の備蓄基地等においては、非常に極めて強固な安定した岩盤をくりぬいた、それも地下水封式の基地ということで世界的にも事故の例がないということを言われておるので、そういった面においては極めて安全性が高いというようには考えておるけれども、御指摘のとおり、事故というものはいつ、どういう形で起きるかわからないということを考えれば、これでそれぞれの基準を満たしたものとしては整備しているわけであるけれども、先般の重油事故--日本海のロシアタンカーの重油事故等でもいろんな教訓を得たところであるので、国の方からもいろんな面での今回の教訓が示されてくると思うので、そういった点を踏まえ、今後の対策に久慈の基地の方ともよく連携をとりながら、また、毎年久慈基地を中心として行っておる防災訓練も昨年から--今年度からであるか--陸上訓練と、それから海上訓練と分けて、より実践的な訓練にしようということで、海上保安部等との関係者ともいろいろ連携をとりながら進めておるので、そういった点でこれからもいろいろな面で工夫を凝らしながら、より安全な体制というものを確実に努めてまいりたいと考えておる。

〇山内委員 これは、非常に理論的に矛盾した指摘になるかもしれない。というのは、例えば先ほど私は水島の流出量、これが備蓄量の0・5%ぐらいに相当するのであろうと、こういうことを申し上げたわけである。しからば今、常備されている資機材、そういったものは何リットル対応になるのかと、これは流出する時間経過というものもあるのであろうけれども、単純に計算したら、これは0・0何%相当のものしか備蓄されていないと言わざるを得ないわけである。しかも、御答弁にもあったとおり、強固な岩盤を持っているから事故は起きがたいであろうと、そういう想定なわけである。であるけれども、起きるであろう、であるからこそ常備をしていくのであると、こういうことに議論が向こうに行ったり来たりしてしまうのである。例えば、そういうことの指摘をしておくが、備蓄そのものに10倍なり500倍なりの量を常備できなかったとしても、する必要がないとしても、その0・5%あるいは1%相当の油が流出したというときに必要な量というものを今から試算をすべきではないかと、そしてそれに基づいて近隣県、近隣市町村、さまざまな関係機関といったものに何かあったら集まりやすいといった体制をこそ築くべきではないのかと、こう思うのであるがいかがであろうか。

〇本田消防防災課長 ただいまお話あったとおり、かなりの量ということで170万キロリットル以上の石油というものが備蓄されておるわけである。言うなれば大変な量なわけである。日本で消費する3日分というものが備蓄されていると承知しておるけれども、いずれ大変な量であると。したがって、万が一にもそれが漏れ出すということになった場合は、これはもうとてもじゃないがこういった資機材では対応できないことは常識的に言えるかと思っておる。ただ、今回の、特にも日本海でのロシアタンカー重油事故等に伴って、非常に大規模な油汚染事故というか、流出事故といったものが発生した場合にいかに対応するかということについては、正直なところ国の方でもいろんな点でこれから対策を講ずるということになっておるし、今回の事故というものを教訓にしながら、運輸省等を中心に、あるいは海上保安庁等を中心にいろんな面で対策を講じようという--それはいわゆる資機材の開発も含めてであるという--動きになってきておるので、その辺ともよく連携をとりながら、ただいま委員から御指摘あったとおり、特にもこういった大規模な場合は、他県との連携ということが非常に大事であるから、これは東北、北海道、新潟を含めて東北8道県での応援協定も締結しておるので、そういった点でお互いに連携を図りながら対応してまいりたい。特にも、今回のロシアの事故の場合においては、秋田であるとかあるいは山形であるとか、そういったところとの連携というものを、言うなれば大変勉強になったというか、非常に事例として教訓を得ることも多かったわけであるので、そういった点での他県との連携というものをより深めてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 最初に、消費税の問題からお聞きする。
 消費税の5%増税がもし4月1日から実施されると、水道、電気、ガス、電話、JR、大変な公共料金の値上げが相次ぐと。ある消費者団体の試算によると、平均世帯、夫婦、子供2人、年収700万円の標準世帯で約14万円の負担増が見込まれると、このように指摘をされている。それで私は、岩手県政の場合、消費税の公共料金への転嫁状況はどうなっているか、件数、額を示していただきたい。消費税の5%分で見ればどうなのか。消費税の転嫁をやめるべきであると思うけれども、いかがであろうか。消費税転嫁しなかった場合にペナルティーがあるのであろうか。

〇佐藤財政課長 まず、消費税の公共料金への使用料、手数料への転嫁についてお答え申し上げる。
 平成9年、この4月から施行される消費税の税率改定、それと地方消費税の創設、これに対応して、使用料、手数料については課税対象のものは適正に転嫁するということを基本として、単価の見直しを行った。その使用料は32件、手数料が9件、諸収入7件、都合48件の使用料、手数料に係る条例規則等を改正することとしておる。この課税転嫁による増収額であるが、2、510万円余となるものである。
 それから、消費税の5%分はどうなるかということであるが、消費税5%になることに伴って、県財政に与える影響ということでお答え申し上げると、入る方の歳入は地方消費税、それから地方消費税清算金、これらの導入等によって203億円の増。それから一方、歳出であるが、地方消費税の市町村交付金や他県への清算金、工事請負費などの負担増がある。これが142億円の増ということで試算をしておる。
 それから、消費税を転嫁しなかった場合にどうなるのかと、こういうお話であるが、消費税については、国においても既に法の改正を行い、また県においても地方消費税については条例が既に改正されて、この4月1日から施行されることになっておる。それについては、県としても正しく転嫁をしようということで、今回、使用料、手数料の見直しに踏み切ったものである。

〇斉藤委員 東京都の狛江市では、これは共産党員市長であるけれども、消費税の転嫁はやめると。私は、皆さんが地方分権とかいうのであれば堂々と、県民のこういう14万円も標準世帯で増税負担になるとすれば、こういう施策があって当然であると、このことは指摘をしておく。
 次に、財政危機の現状と要因についてお聞きする。
 国の経済対策、県単独事業のこの間の推移、累計はどうなっているであろうか。あわせて、県は優良起債を使っていると言っておるけれども、その実態はどうであろうか。交付税措置されると言っておるけれども、この交付税というのは交付税総額に足ささるのであろうか。国税3税の交付税率がある。その枠内の交付税措置なのか、それに足ささる交付税措置なのか、わかりやすく答えていただきたい。

〇佐藤財政課長 まず、第1点目の国の経済対策と県単事業であるが、その推移なり累計を示してほしいということであるが、まず、近年においての国の経済対策、これは平成4年の8月から平成7年の9月まで行われて、県としてもこれに呼応して総合経済対策、緊急経済対策ということで対応した形で事業を行ってまいった。そのトータルとして、平成4年の8月から平成7年度までの経済対策であるが、これが2、991億8、600万円ということになっておる。これには国の経済対策に呼応する形で行われた県の単独事業も含めておる。
 またもう一つ、県単事業であるが、今度は県単事業、これは経済対策をも含めておるけれども、全体としての経済対策は平成4年度においては972億円、それから平成5年が1、131億円、平成6年が1、135億円、平成7年が1、202億円ということで、平成4年度以降の累計額においては4、442億円ということになっておる。
 それでは次に、優良起債の実態ということで、平成9年度における元利の償還金が766億円ある。このうち便宜、優良起債と称しておるけれども、いわゆる地方交付税に参入される額は、388億円程度を見込んでおる。地方債の償還財源を含めて、地方財政全体の財源の確保ということについては、これは国において地方財政計画の策定を通じて、財政運営に支障を生じないように毎年度措置されてきておる。交付税について申し上げるならば、地方財政の健全性の確保という見地から、各年度の財政の状況に応じて地方交付税の総額の特例措置を講じて、その確保を図るという形になっておる。
 それで償還金が確実にくるのかどうか、いわゆる実額できちんと交付税で入るのかどうかというお話であるが、御案内のとおり、交付税は基準財政需要額から基準財政収入額を引いた不足額が基本になるけれども、その基準財政需要額に確実にその実額が、例えば8割ということであれば、その8割相当額の実額がカウントされるということになっておる。間違いがない。

〇斉藤委員 私、もっと単純に聞きたいのは、国の地方交付税、これは国税3税の32%であるか。であるから、いわゆる起債を起こしたときに、それに上乗せして地方交付税措置されるのかどうかと、そういうことをはっきり答えていただきたい。そうしないと、総額はふえないということになる。交付税全体の中でいろいろ措置されるということになれば、措置されたといっても総額は余り変わらないということになるのではないか。

〇佐藤財政課長 ただいま申し上げたとおり、その総額なのであるが、もともと地方財政対策ということで、国においては法に基づいて地方財政計画を策定する。この地方財政計画は地方をマクロにとらえて、地方が必要とする財政需要をすべて需要関係でとらえて、一方では、各地方が入ってくるお金をカウントするわけである。そして、その差額について不足する部分については、交付税の増額を図ったり、あるいは起債の増発をすることによって補うということであるから、一番最初に交付税があるのではなくて、地方財政計画の中で必要とする基準財政需要というか、その財政需要がどれほどあるかの中に、今言うところのお金が入るわけであるから、したがって、それに基づいて交付税の資本額を決定する、なおかつ不足するところについては、財源不足対策ということで地方債を起こすわけであるから、今、委員お話の形ではなくて、逆にそれが確実にカウントされるということになろうかと思う。

〇斉藤委員 私は結局よくわからないのであるが、地方財政そのものは今借金を抱えているのである。であるから、どんどん交付税措置であるといって公共事業をふやす、経済対策といってふやした、そして国にはお金がないから地方の単独事業でふやしたというのが実態であろう。それが岩手県の場合に9、000億円を超える県債になるわけである。であるから今、全国的な地方財政が既に破綻している、赤字で。そうしたときに優良起債であるからといって、本当に戻ってくるかといったら率直に言って根拠がない。これは国の借金を返すのと同じである。240兆円の借金に根拠がないのと同じある。であるから、優良起債であるといっても、9、000億円の年間の予算を超えるような、こういう借金財政というのは改めなければならない。私は本会議でも聞いたけれども、地方財政計画では2・1%であったのであろう。それが岩手の場合、8・6%である。県の単独事業は30%増である。
 私はそういう点で、本会議でも具体的な事例を挙げて公共事業の見直しをしなければならないと提起をしたけれども、どうであるか。今のままどんどん優良起債といって、将来的な見通しははっきりしないけれども続けるのか。それとも、本当に県民に必要な、知事は優先度、緊急度と言っているけれども、私は本当にそういう意味で、今やられている公共事業も総点検して見直さなければならないと思うけれども、いかがであるか。

〇佐藤財政課長 今、地方債の割合が高まって、そのことが結果として公債費の増高につながっているということで、これは決して好ましい状況ではない。したがって、もちろん基本的には地方債を起こさずして、一般財源をもってすべての事業に充てられるのが理想的な形ではあるけれども、これが税源の偏在であるとかいろいろ要素があり、こういう形になっておる。したがって、国に対してはもちろん一般財源の拡充強化、このことはひいて結果的には交付税の総額をふやしていただきたいと、あるいは安定的に確保していただきたいと。そのためには、例えば交付税率の改定ということまで踏み込んだ形で、全国知事会あるいはその他機会あるごとに、国に対しては言っているところがその理由である。おっしゃるとおり、できるならばそのとおりであると思う。
 それで公共事業についてであるが、今現在、平成7年度から進めておる国の公共投資基本計画、この中のスタンス、これは国民生活に直接というか、密接にかかわりのある、あるいは国民生活の質を高める、そういう生活環境、福祉に重点を置いた形でその配分を行おうということで進めておる。県としてもこの趣旨に対して、例えば平成9年度予算においても、特に下水道であるとか、あるいは住宅のような県民に身近な生活環境の整備ということで、着実にそれを進めようということでやっているわけであるが、一方では、本県の置かれている状況はまだまだ社会資本の蓄積が足りない。もともと公共投資基本計画においては、21世紀初頭はもちろん高齢化、少子化時代を迎える。そのために今現在、社会資本の蓄積をしておくべきであるという観点に立っておる。したがって、県としても、例えば東北新幹線盛岡以北の整備促進であるとか、あるいは高速交通幹線の整備、一方では、治山、治水等の県土の保全あるいは農林水産業の基盤の整備、そういうものについても、なおかつ進めていかなければならない状況に置かれていると。したがって、問題なのは財政運営をどうするか。つまり、例えば事業を休止してみるとか、あるいは先ほど来お話している優良な起債を導入するとか、その辺の健全財政を確保、維持しながらやっていきたいと、こういうことになろうかと思う。

〇斉藤委員 今の答弁長すぎるけれども、私、そういうのであれば、建前はいいのである。では福祉、教育、下水道などの生活基盤、投資、産業基盤投資の比率はどうであるか。
 もう一つ、私は本会議で公共事業を見直すべき三つの点を指摘した。奥産道、港湾整備、ダム--例えば大船渡の港湾整備はこれから始まるのであるけれども、予算のつき方では10年で済まないであろう。私は、これは大変なことになると思う。420億円の事業を利子を含めたら何ぼになるか。事業費は約倍になって、それに利子がつくのではないか。私はそういう点で、今進めようとしている公共事業そのものも本当に採算の点から、その必要度というものを見直さないと大変なことになると指摘しているので、その点答えがあれば……。

〇佐藤財政課長 私、先ほど申し上げたのは、個々具体なそういうことではなくて、本県の置かれている状況からすれば、まだまだ他県に比べて社会資本の立ちおくれと申すか、それがあると。したがって、それをどう進めていくかという観点からお話を申し上げたわけであるが、ただ、今お話あった投資的な経費の中で、どれほど目的別に見た場合に、生活基盤に対してウエートはどうであるかと、こういうお話であるが、9年度当初予算で申し上げると、これは全体の普通建設事業であるが、3、564億5、000万円ある。そのうち、生活基盤投資というのが全体の構成割合においては23%程度になる。それから、今お話あった産業基盤が22%、それから農林水産業投資が30%、それから国土保全関係14%、これはちょっとラフな上がりかと思うが、ただ、今、委員の御指摘があったように、生活基盤についてどうかというお話であるが、そのとおり、かなりの額を投じているということをお話申し上げたいと思う。

〇斉藤委員 社会資本の投資がおくれているのが事実、私は、本当に私たちの生活環境が改善されるような生活基盤に23%で満足するのではなくて、もっとやっていただきたい。山の奥とか、そういうところでの大規模なプロジェクトが多い、私はそういうことを指摘した。ひとつ見直すように、これは指摘をして次に進む。
 県の行政改革について。
 市町村、地方振興局への事務委譲についてマスコミでは報道されたが、なぜ県議会議員にこの素案は明らかにされなかったのであろうか。

〇飛澤参事兼人事課長 市町村に対する権限委譲については、委員の皆様に大変御心配をおかけして恐縮をしているところである。原因と申すのは、私どもは先ほども御説明申し上げたけれども、10月以来、事務レベルでの協議、検討を重ねており、その趣旨がそれぞれの首長さん方に伝わっているものということで事務を取り進めてまいったわけであるが、それが十分伝わっておらなかったということであったので、私が直接首長さん方に時間を割いていただいて説明をし、意見をちょうだいしたところである。その結果、首長さん方からは住民に身近な事務は、住民に身近なところで処理するという観点から、権限委譲は時代の要請であると考えていらっしゃるようであり、それを前提にして御意見としていただいたのは、市町村と十分協議して進めてほしいと、それから財政措置を適切に講じてほしいということ等があった。そのほかに市町村が進んで委譲を望む権限というものもあるから、それも追加検討してほしいという御意見等もあり、大筋で御理解を賜ったと考えているところである。私どもそれらの御意見をちょうだいして、これから毎年度県と市町村との協議機関を通じて、よく検討を行って円滑な委譲に努めてまいりたいと、そういうふうに考えておる。

〇斉藤委員 かみ合った答弁になっていないのであるけれども、今度の議会でもこの県の行政改革は大論議になっている。ところが、その素案がないわけである。県政のあり方の根本である、行政改革というのは、そうであろう。マスコミでも報道されているのに、なぜ我々にその素案が提案されないのか、私は全くおかしいと思う。直ちに是正していただきたい。答えを求めているから……。
 それで、県の素案は市町村への県の事務委譲推進指針(素案)となっていると思うけれども、その送付はいつやられたのか。その回答はどういう形式で、いつ受け入れたのか。市町村の回答の状況と内容はどうなっているか。

〇飛澤参事兼人事課長 権限委譲に係る指針、先ほど申し上げたとおり、現在、市町村と関係部局と最後の詰めの作業を行っているところであり、成案を得てから適切に対応してまいりたいと、そういうふうに思っておる。それから、市町村との協議の状況であるが、10月以来、事務レベルで調整を開始して、11月には市長会、町村会、具体に12月には各市町村あてに指針案を送付して御意見を伺っているところであるし、先ほど申し上げたとおり、直接説明に伺ったときに市町村長さんから御意見をちょうだいしているということである。市町村からの回答を文書でいただいたものもあるし、直接御意見として承ったものもあるということであり、その内容で一番多かったものがやっぱり先ほど申し上げた財政的な措置というものを十分考慮してほしいと。それから委譲に際して、慣れるまで事務指導を徹底してほしい、あるいは事務処理マニュアルをつくってほしいとか、そういった人的な支援の要望、そういったものが多かったように把握しておる。

〇斉藤委員 ぜひリアルに、県の場合は12月19日付で素案を市町村に出して、1月31日までに答えていただきたいと文書まで出しているであろう。文書で回答になったのが何自治体であるか。そして新聞報道によると、ある首長さんはこう言っている。権限委譲ではなくて大半が事務降ろしで、県のリストラを市町村にかぶせただけではないかと。これは極めて重大である。仕事は市町村におろす、では市町村の行革はどうなるのかと。仕事がおろされたら、市町村は人もふやさなければならない。例えば、中身によっては、県では1人、2人でやる仕事を59市町村にばらまくと、これは人の手当てはできないのである。そういう点でどういう仕事がどう委譲されるか、本当に吟味されなければならない。私は、それを一片の文書を通告して、いつまでに回答してもらいたいという事務的なやり方が大きな問題になったのではないかと思う。私は各論は各部でやりたいと思うけれども、回答の具体的な件数と中身、今の首長さんの抗議にどう答えるか。

〇飛澤参事兼人事課長 きょう現在で市町村からは、56市町村から回答をちょうだいしておる。中身としては、先ほど申し上げたとおりの内容が多いということであるし、確かに委員御指摘のとおり、十分に具体の事務処理の説明がなされておらなかったという点等もあるので、今後そういうことに十分配慮して対応してまいりたいと思う。

〇斉藤委員 知事は、市町村は先端行政であると言っているわけであるから、そういう立場でぜひやっていただきたい。
 次に、私学助成について。
 4月末の来年度予算の状況はどうなっているであろうか。総額で見ると、2・6%減となっているけれども、その理由、補助単価の引き上げ、高校運営費補助額と東北各県との比較について示していただきたい。

〇藤沢総務学事課長 平成9年度の私学助成予算額は、総額51億4、488万円となっておるところである。この予算額については、今年度当初予算と比較して御指摘のとおり、2・6%の減となってはおるが、これは本年度8年度の当初予算において、花巻東高校の全面移転に対する補助など、あわせて3億7、000万円ほどの施設整備費補助が計上されており、それとの比較によるものである。これらの補助は平成9年度にはないということであるので、実質的には4・7%伸びておると、充実されておると、そういうふうに認識しておる。
 それから補助単価の引き上げであるが、高等学校については27万2、501円、これは7・2%の増である。小中学校は22万7、200円、3・3%の増である。幼稚園12万5、530円、8・4%の増である。高等学校の運営費補助の水準については、東北各県の当初予算の比較で見ると、一般補助についてはおおむね中位の水準、それから過疎補助を加えると上位になっているかと認識しておる。

〇斉藤委員 私学助成は前進しているようなので、安心して次に進む。
 次に、国の天下り人事について。
 事実上、指定席化しているのではないか、きのうもこれは論議になった。部長級ポストは多すぎるし、交流人事が必要であるとしても、私は部長級でなくても交流人事はできると思うのである。この点で、きのう佐藤委員の質問に対して副知事から見直すニュアンスの答弁があったけれども、私は確認したい。これは県として来年度から見直すということであろうか。

〇大隅総務部長 昨日、国からの割愛人事の関係で副知事の方から御答弁申し上げた点について確認したいということであるが、きのう副知事のお話を私も聞いておった。そうした考え方に立って、今後努力してまいりたいということであったと思うので、私も同様、同じ考え方に立って今後努力してまいりたいと、こう思う。

〇斉藤委員 指定席化は見直すと受けとめてよろしいのか。急になるか暫時になるかわからないけれども、わかった。ぜひ改善すべきは改善してやっていただきたい。その上で交流人事、あわせて研修生、特殊法人への研修の状況がある。やっぱり状況、成果、効果について示していただきたい。研修というのは、私はただ働きではないかと思うのであるけれども、研修の人事上の位置づけ、定数上の位置づけ、研修の人件費総額、これはどうなっているであろうか。また一方で、市町村から県への研修、これもある。この実態はどうなっているであろうか。何市町村、何名であろうか。

〇飛澤参事兼人事課長 国あるいは市町村との人事交流の件についてであるが、現在、人事交流という観点から国との交流人事については厚生省に1名、農林水産省に1名、水産庁に2名と計4名派遣しているところである。それから、国等への派遣研修であるが、これは行政ニーズを先取りした職員の企画力、あるいは情報収集能力の向上を図ることを目的として、外務省、自治省等に計12名の職員を派遣しているところである。これらはいずれも人事上の派遣研修と位置づけているところであり、定数内の職員として取り扱っているところである。
 それから、市町村から県に受け入れている職員数であるが、8年度--ことし9年の3月1日現在であるが、市町村の研修生26市町村から28名の職員を受けておる。これはただ働きではないかという御意見もあったけれども、国に対する職員の研修派遣、これは先ほど申し上げた外務省、通産省、厚生省とそれぞれ行っておるけれども、実務能力あるいは日本全体の動き、そういったものを吸収する点も加えて、大変意義あることではないかと思っておるし、また、市町村から受け入れておる研修生についても、実務を通じていろいろな、従来は総務部に対する研修が多かったわけであるけれども、現在においてはいろんな部局に市町村からの職員研修生が参っており、職員の能力向上に果たす役割はいいのではないかと、市町村長さんからも一定の評価をいただいているものと理解をしておる。

〇斉藤委員 国との交流人事は4名であろう。そして、16名の天下りの皆さんが来られていると、これはアンバランスである。私は、国と県は対等、平等になっていないと思う。そして、県と市町村の場合もそうなのである。さっき具体的に答えなかったけれども、何件、何市町村。私は、市町村からただ働きで研修に来ると、これも県と市町村の関係で対等ではないと思う。この点をぜひ改善していただきたい。
 それと県幹部職員の天下りの規制について一定の報告が出た。この県職員の天下り規制について、これは総務部長通知なのであろうか。どういう形でこれは徹底されるのであろうか。それとその内容を聞くと、営業職に限り、総務、経理など、実際の入札に関係しない部署は外す見通しと、そうすると、技術職の場合はフリーパスということになる。私は、これでは全く片手落ちであると思うけれども、いかがであろうか。

〇飛澤参事兼人事課長 今回の勧奨により退職した職員に対する再就職の一定の制限、制約を設けたということであるが、これは委員御存じのとおり、退職前2年間にある職に密接に関連する民間企業等については、2年間だけまず就職することを制限したいということで本人に要請をするという措置であり、これは先ほど申し上げた職業選択の自由の問題と、それから県職員の使命と、そういったことで制約を設けたものであって、その趣旨が全うされるように運用をしてまいりたいと、そういうふうに思っておる。

〇斉藤委員 答弁がかみ合わないんで、ぜひかみ合って答弁していただきたいんだけど、どういう通知でこれは徹底されるのか。
 もう一つは、営業だけに限ったら片手落ちではないか。例えば、こういうケースがあったんである。ある県営ダムの建設にかかわって、ダム建設事務所長が受注したゼネコンに再就職した例があった。これは技術職である。今回、営業に限ったらこういうのはフリーパスということになるんじゃないか。その点をはっきり答えていただきたい。

〇飛澤参事兼人事課長 この取扱方針であるが、これは内規として決めたものであって、これは特に文書を発しておらない。内規である。
 それから、先ほど委員のお話にあった再就職に関する営業活動の件であるけれども、これは営利企業に再就職することは、これは絶対的に県でとめるということは、これは法律上できないことである。国は法律で決めて制限をしておるけれども、県の場合にはそういうことはできないということであるので、これは本人の強い希望で再就職した場合に、これは営業活動等に一定期間、2年間を想定しておるが、そういう営業活動には従事しないように、これは本人と再就職先の企業に対して要請すると、そういう内容のものである。

〇斉藤委員 聞いてわかるように、完全に私はこれは片手落ちだと思う。せっかく規制するんだからきちっと、これはもちろん法的根拠に基づいて規制するのでないことはわかっている。しかし、せっかく規制するんだから例外設けないでやるべきなんである。こういう片手落ちのやり方では私は功を奏さないと思う。
 あわせて、私はもう一つ、部長級の場合は公社等に再就職する。こうした場合に、この公社等の再就職の場合は、年金確保を除いて大体部長級のランクだと、報酬が。ところが、退職金が高い。私、調べてみたらこういう第3セクター、公社関係は勤務月数に掛けるんである。だから、退職金は皆さん職員の場合は年数だけれども、こういう特別職は月数に掛ける。これは競馬組合の場合もそうである。だから、数年で1、000万円を超えるような退職金をもらうケースも出てくるけれども、私はこういうのも含めてひとつ改善をしていただきたい。これは要望にとどめる。
 次に、食糧費、官官接待についてお聞きする。
 食糧費の96年度末見通しは1億2、700万円余となっておる。ところが、97年度の予算では2億290万円も計上されている。実績の2倍近い食糧費を計上した理由は何であろうか。削減見直しすべきじゃないであろうか。そのうち、総務費が7、441万8、000円の食糧費となっているが、これは95年度の決算額6、350万7、000円を超えている。一昨年の決算を超えた食糧費が総務は計上されている。どういう意味か。(「イベントにかかった。」と呼ぶ者あり)イベントの開催を理由にしているけれども、総務だけでイベントをするんであろうか。その点についてお聞きする。

〇佐藤財政課長 今、委員から御指摘のあったとおり、平成9年度の食糧費の額については、全国豊かな海づくり大会を初めとして、国民体育大会冬季大会、全国和牛能力共進会、国際青年の村97などの全国規模の大会が例年になく多く開催される。これらの事業を初めとする食糧費を要する事務、事業について所要額を適切に調整して予算措置した結果、トータルで2億200万円余となったものである。対前年度伸び率では8・7%の減となったものである。
 もう1点、総務費の関係であるが、総務費の食糧費についてもただいま申し上げたような、全国規模の大会が例年になく多いわけであって、これに要する懇談経費及び接伴や広報などの事務に携わる事務局職員の昼食代等の賄い費、これらも計上しておって、これらの大会に係る経費を除いた場合は、これが前年度並みの額となるものである。

〇斉藤委員 いずれにしても実績を上回るような食糧費、これは接待行政である。本当にこういう官官接待推進行政だから私こういうふうになると思うんだけれども、全国的には大幅に今、減っている。岩手県が実績を上回って計上するなどというのは全国的に異例じゃないであろうか。私は厳しく改善を求めたい。
 東京事務所、今年度1月末で73件、349万円余の接待ということになっておった。中央官庁は接待を受けないと言っている中でのこの件数、額は私は多いと思うけれども、どういう場合に中央官僚とのこういう懇談会が実現できたのか。
 また、東京事務所だけで対応したケースがたくさんあるのか、お聞きする。

〇藤沢総務学事課長 1月末の東京事務所食糧費の執行状況は73件の349万円である。このうち食糧費の一部を使って中央官庁と懇談した例はある。中央官庁がどういう場合に懇談に応じるかということであるけれども、各省庁いろいろ内規があるようであるけれども、その内規を当事者でないので承知しておらないので、理由は申し上げられない。
 それから、東京事務所だけの対応があるかということであるが、懇談の出席者、現在、非開示という事項になっておるので、お答えしかねる。

〇斉藤委員 非開示でわからないと、私は黒塗りの車よりこの黒塗りの行政が問題だと思う。
 次に、カラ出張疑惑について、私、本会議で具体的な事例を挙げて質問したが、残念ながらまともな答弁はなかった。監査請求の推移を見守るということはどういうことであろうか。私はみずから自浄作用を発揮して調査すべきと思うが、いかがであろうか。

〇飛澤参事兼人事課長 現在、出張の旅費に関して監査委員に対して監査請求を行っていると聞いておるし、あわせて土木部の方で実態把握の状況に努めているということも聞いておるので、この推移を見きわめながら適切に対処してまいりたいと、そういうふうに思っておる。

〇斉藤委員 私、具体的な事例は部局でやる。新しい事実も示して私はやりたいと思うけれども、カラ出張の背景になっている旅費規定について、ここでは質問したいと思う。
 交通事情の改善で東京出張の場合でも日帰りできるようになった。ところが、朝早く出て夜遅く帰盛した場合でも超過勤務の対象にならない。タクシー代も出ない。44年前の旅費規定、私はこれは現状に合わなくなったんじゃないかと思うけれども、これを実態に合わせて改善すべきだと思うが、いかがであろうか。

〇飛澤参事兼人事課長 旅費制度についてのお尋ねである。
 委員御指摘のとおり、旅費制度については実費制、定額制と2通りあるわけであるが、現在のところ国、他の都道府県ともに定額制というものを採用しているところである。なぜこの定額制というものを採用しているかと申すと、一つには、実費制の場合には出張に要した費用をすべて賄うという取り扱いになるけれども、定額制の場合には標準的な額の範囲内で出張に要する経費を賄うということで、総体として経費の節減につながるのではないかということが第1点である。
 それから、2点目としては、実費制の場合にはその費用の領収証等の確認、これらの事務が膨大な手数がかかるということであって、その点、定額制の場合には旅費計算等が機械処理が簡単にできるし、事務の簡素、効率化が図られるということがある。それから、定額制の場合には職員に対する支給の旅費額が公平な取り扱いになるという点等があって、国、都道府県とも定額制を採用しているということであろうと考えておって、これら経費節減あるいは事務処理の簡素、効率化等の観点を考慮して、標準的な実費額を前提とする定額制をとっていると思っておって、定額で日当や宿泊料を支給するという、この旅費支給の現在の考え方、これは現状においても妥当なものと考えておる。

〇斉藤委員 私は、旧態依然とした答弁だと思う。旅費規定は昭和28年、1953年につくられた。新幹線もない、飛行機もない、そういう時代である。そういう時代の旅費規定を、今、高速交通時代に今でもいいというのは、私は全く実態とかけ離れていると思う。カラ出張の背景にはこういうのがある。結局、松園に住んでいる県職員が朝早く新幹線で行く、夜中帰ってくる、タクシー代で数千円かかる、1万円近いお金かかるんである。日当は2、200円しか出ないであろう。完全に足が出るんである。だから、泊をつけるということになるんである。やっぱり今、交通事情と旅費規定というのは大きな矛盾、かなりかけ離れたものになっている。実態に合わせてやらないと、結局まじめに出張して仕事をすれば足が出るという状況は正しくないと思う。コンピューターの操作が面倒だとか、そういう問題じゃないと思うんだけれども、いかがであるか。

〇飛澤参事兼人事課長 委員御指摘の実態を踏まえた御質問であって、参考にさせていただいて、国あるいは他の都道府県との均衡という点もあるので、これは十分勉強して対応してまいりたいと、そういうふうに思う。

〇斉藤委員 ぜひ勉強して対応していただきたい。
 防災対策について。津波対策の最大の課題は避難対策だと、岩手大学の斎藤教授も力説をしておる。この間の避難訓練の成果、避難施設の整備の状況についてお聞きしたい。山田町では高齢者、障害者などの避難マニュアルをつくったと聞いておるけれども、どういうものであろうか。
 消防力の強化について。私は、消防職員の充足率は基準人員から見てまだまだ立ちおくれていると思うけれども、基準人員から見ても充足率、今後の見通し、計画はどうなっているであろうか。

〇本田消防防災課長 津波対策の場合避難が非常に大事だということであって、私どもも沿岸14市町村のそれぞれの関係者とそういった点でいろんな点で協議を重ね、その避難率の向上等に努めているところである。いろいろそれぞれ14市町村においては工夫を重ねて、地域住民の方々の参加をいただいて津波避難訓練を実施しているわけであるけれども、一番新しい数字でこの3月3日、いわゆる昭和8年3月3日に津波が起きているわけであるけれども、その3月3日に沿岸の7市町村で避難訓練を実施しておる。いろんな水門閉鎖であるとか、あるいは交通規制、救助訓練、初期消火なり炊き出し等のそういった訓練等も加えながら避難訓練を実施しておる。一応それぞれのこの7市町村の実態等を把握したわけであるけれども、9、500人、そのうち住民の参加が6、600人ほどであった。約であるけれども、約9、500人のうち6、600人ということで、残念であるけれどもそんなに大幅にはふえていないというのが実態である。でもわずかながら参加人員はふえてきてはおる。したがって、今後とも市町村ともよく連携をとりながら、訓練の内容等をいろいろ工夫しながら、その参加率の向上にも努めてまいりたいと考えておる。
 それから、避難施設のお話であった。これもかつて地域防災計画を見直す際にもいろんな形で議論になった。避難施設をそれなりにきちっと見直しをして、住民の方々が避難できるような施設にすべきだということで、やはりこれもいろいろ市町村と連携をとりながら進めておる。659カ所にあって、昨年と比較して61カ所ふえておる。そのうち避難の際に利用できるような、いわゆる寒さ対策というか、暖房問題なんであるけれども、これもそれぞれ市町村が限られた財政の中でいろんな面で努力しておって、昨年に比較してこういった暖房施設を持っているところが75%の施設になってきておる。これも昨年に比較して11・6ポイント上昇しているということで、着実に市町村の方々の努力がこうした形で実っていると考えておる。

〇久保田副委員長 斎藤委員、いいか。(斉藤委員「いい。」と呼ぶ)
 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇久保田副委員長 この際、先ほどの谷藤委員の質問に対する佐藤税務課長の答弁中、県税の滞納繰り越しについて発言を求められておるので、これを許す。

〇佐藤税務課長 先ほど谷藤委員から御質問あった県税の滞納繰り越しについてであるけれども、間違った数字で回答申し上げたので、おわびを申し上げ訂正させていただく。
 先ほど申し上げた個人県民税の1億6、300万円は、これは平成9年度の収入見込み額であった。確定した時点での滞納繰越額を申し上げると、平成7年度から平成8年度に繰り越した滞納繰越額を申し上げると、県税総額で9億5、800万円余となっておる。そのうち個人県民税が6億4、300万円余となっておって、約67%を占めておるところである。このように御訂正いただきたいと思う。
 それから、関連があるのでちょっと御報告申し上げるが、滞納繰り越しが約9億6、000万円あったわけであるけれども、県税に係る収入歩合い、徴収率とも言っているわけであるが、これについて平成5年度、平成6年度、平成7年度、3年度連続して全国第1の成績をおさめたことを御報告申し上げて、訂正にかえさせていただく。どうも申しわけなかった。

〇久保田副委員長 谷藤委員、よろしいか。(谷藤委員「はい。」と呼ぶ)
 ほかに質疑がないようなので、これで総務部関係の質疑を終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。本日はこれをもって散会する。
   午後4時35分 散 会


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