平成9年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成9年3月10日(月)
   

1開会  午前10時4分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長 村上勝治
議事課長 及川宣夫
議事課長補佐 西田幸男
主任議事管理主査 駿河 勉
議事管理主査 中澤 悟
議事管理主査 上柿 聡
議事管理主査 木村 稔
議事管理主査 南 敏幸

1説明員
副知事 千葉浩一
副知事 吉永國光
 
総務部長 大隅英喜
総務部次長 合田 武
県立大学整備室長 川崎 功
参事兼人事課長 飛澤重嘉
総務学事課長 藤沢政則
行政情報室長 種田 勝
国際交流課長 小野寺 篤 信
財政課長 佐藤 勝
施設管理課長 菊池毅逸
税務課長 佐藤 健
地方振興課長 馬 場 竹次郎
消防防災課長 本田敏秋
 
企画調整部長 武居丈二
企画調整部次長 渡辺 勲
企画調整部次長 土田健治
企画調整課長 照井 崇
地域計画課長 上 野 賢一郎
交通政策課長 瓦林康人
   

〇村上議会事務局長 年長の委員を御紹介申し上げる。
 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっておる。出席委員中、藤原哲夫委員が年長の委員であるので、御紹介申し上げる。藤原哲夫委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いする。
   〔年長委員藤原哲夫君委員長席に着く〕

〇藤原年長委員 ただいま紹介のあった藤原哲夫である。よろしく御協力をお願い申し上げる。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開く。
 これより委員長の互選を行う。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行う。
 何とぞよろしくお願いを申し上げる。
 お諮りする。委員長互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることに決定した。
 お諮りする。指名推選の方法については、当職において指名することにいたしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。
 予算特別委員長に、藤原良信君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した藤原良信君を、予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した藤原良信君が予算特別委員長に当選された。
 ただいま当選された藤原良信君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。
 藤原委員長、委員長席にお着き願う。
   〔予算特別委員長藤原良信君委員長席に着く〕
   (拍手)

〇藤原委員長 一言ごあいさつを申し上げる。
 平成9年度の予算審査に当たって、予算特別委員長に御指名いただいてまことに光栄に思っておる。
 皆様方の御指導と御協力を賜りながら、誠心誠意、円満な議事運営に努めたいと思うので、よろしくお願いを申し上げてごあいさつとする。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原委員長 御異議なしと認め、さよう決定する。
 これより副委員長の互選を行う。
 お諮りする。副委員長互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原委員長 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることに決定した。
 お諮りする。指名推選の方法については、当職において指名することにしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原委員長 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。
 予算特別副委員長に、久保田晴弘君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名をした久保田晴弘君を、予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原委員長 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した久保田晴弘君が予算特別副委員長に当選をされた。
 ただいま当選をされた久保田晴弘君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。
 久保田副委員長、ごあいさつを願う。

〇久保田副委員長 久保田晴弘である。
 ただいま予算特別副委員長に御指名をいただいた。各位の御推挙をいただいたので、円滑な予算審議の運営に努めてまいる。どうぞよろしくお願いする。(拍手)

〇藤原委員長 お諮りする。当予算特別委員会に付託された議案72件についての審査の方法であるが、お手元に配布してある日程案のとおり、本日から14日まで、及び17日から19日までの8日間は、関係部局長の説明を求め質疑を行うこととし、議案72件に対する意見の取りまとめと採決については、19日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原委員長 御異議なしと認め、さよう決定する。
 これより議事に入る。議案第6号から議案第25号まで、議案第27号、議案第32号から議案第49号まで、議案第51号から議案第68号まで、議案第70号から議案第72号まで、議案第74号から議案第84号まで、及び議案第86号、以上、72件を一括議題とする。
 これより、平成9年度予算の総括説明を求める。

〇大隅総務部長 総括について御説明申し上げる。
 特に資料は御配布申し上げておらないけれども、まず、国の予算と地方財政対策についてである。
 国においては、平成8年度末には約241兆円に達する多額の公債残高を抱え、財政構造の改革が急務とされておることから、平成9年度予算は歳出全般の徹底した見直しを行い、一般歳出の伸びを極力圧縮することを基本として編成された。この結果、平成9年度の国の一般会計予算規模は77兆3、900億円余と、前年度に比較して3・0%の伸びとなり、国債費、地方交付税交付金等を除いた一般歳出では1・5%の伸びとなっておる。
 次に、地方財政については、財政の健全化と行財政改革の推進が最重要課題とされていることから、徹底した歳出の節減合理化による限られた財源の重点的配分と借入金への依存度の引き下げを基本としながら、地方消費税の税収が平年度化しないことによる影響額1兆2、000億円については、臨時税収補てん債の発行により、また、引き続き生ずることとなった財源不足額4兆6、544億円については、地方交付税で2兆6、644億円の増額と財源対策債1兆9、900億円の増額により補てんされ、当面の財政運営に支障が生ずることのないよう配慮されたところである。この結果、地方財政計画は2・1%の伸びとなっておる。
 地方財政計画の主な内容であるが、まず地方税は9・6%の増と見込まれておる。地方譲与税は、消費譲与税の廃止等により46・3%の減、地方交付税は1・7%の増、また、国庫支出金は1・5%の増と見込まれておる。地方債は、借入金依存度の引き下げを図るためにその規模を圧縮することとし、自主的、主体的な地域づくりや生活環境づくりなどを重点的に推進することとしておるが、全体では6・4%の減となっておる。また、使用料及び手数料については、2・1%の伸びが見込まれておる。
 歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化を図るとともに、自主的、主体的な活力ある地域づくり、住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安全なまちづくり、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域の活性化などを図ることとし、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化を行うことが基本とされているところである。
 次に、本県の予算編成についてである。
 国の財政と地方財政が厳しい状況にあることから、平成9年度は、歳入面では国庫支出金と交付税の伸びが見込めない中にあり、県税収入についても、経済動向等から多くを期待できない状況にある一方、歳出面では、公債費等の義務的経費の増加や、3県総後期実施計画に掲げる重点事業の計画的な実施などによる財政需要の増大が見込まれることなどから、厳しい予算編成となったところである。したがって、平成9年度の予算は、国の予算編成方針や地方財政計画の内容を踏まえながら、スクラップ・アンド・ビルドを基本として、従来にも増して事務事業の徹底した見直しによる整理合理化と、優先度、緊急度等による施策の選択を行い、限られた財源の重点的かつ効率的な配分を図ることを基調として編成を行ったものである。
 予算の大綱について申し上げると、歳入面では、平成9年度の税制改正により、県税としての地方消費税が創設され財源の充実が図られるとともに、消費税率の改定等に伴う使用料、手数料の見直しなど、自主財源の強化に努めたほか、国庫支出金や優良な県債の効率的な導入を図ることとし、歳出面では、一般行政経費の節減合理化、県単独補助金の整理合理化等、事務事業の徹底した見直しを行い、限られた財源の効率的、重点的配分に努めたところである。この結果、当初予算の規模は8、764億6、400万円余で、前年度当初予算対比で8・6%の増となるものである。
 次に、歳入歳出予算の概要について申し上げる。
 便宜、お手元の予算に関する資料をお開きいただきたいと思うが、1ページをお開きいただく。
 平成9年度一般会計歳入歳出予算総括表の第1表歳入のうち、自主財源は、県税、地方消費税清算金、分担金及び負担金、使用料及び手数料、さらに財産収入から諸収入までであり、その総額は2、997億8、800万円余で、前年度当初予算に比べると19・0%の増となり、歳入に占める割合は34・2%と前年度よりも3・0ポイント上昇しておる。これは、地方消費税とその清算金、さらに繰入金が増加したことなどによるものである。また、依存財源は地方譲与税、地方交付税、交通安全対策特別交付金、国庫支出金、県債であるが、総額5、766億7、600万円余で、前年度に比べると3・9%の増となり、その構成比は65・8%となるものである。
 次に歳出であるが、主要事業についてはそれぞれの所管部局の審議の際、関係部局長から詳細に御説明いたすので款別歳出については説明を省略し、私からは性質別の主なものについて申し上げる。
 予算に関する資料の3ページをお開きいただきたいと思う。人件費は、表の右側の増減率欄をごらんいただくと2・5%の増となっておる。同様に、物件費は9・9、維持補修費は9・0%の増となっておる。4ページであるが扶助費2・3%の増である。補助費等は16・1%の増であるが、これは地方消費税の創設に伴う関係支出であり、市町村に対する交付金や都道府県間の清算金が主なものである。普通建設事業費は12・5%の増となっており、うち、県単独は31・7%の増と大幅の伸びとなっておるが、これは県立大学の整備と東北新幹線盛岡以北の整備促進の経費の伸びによるものである。次に、5ページの公債費は8・6%の増となっておるが、これは平成4年度以降、国の経済対策に伴い、地方負担額の財源とされた補正予算債の発行が増加しており、この元金償還の開始などによるものである。積立金は22・9%の増となっておるが、これは県債管理基金、公共施設等整備基金等の果実収入の積立金の増加を見込んだことによるものである。出資金58・6%の増となっておるが、これは財団法人林業労働対策基金に対する出捐などによるものである。貸付金は5・6%の増、繰出金は1・6%の増となっておる。
 一般会計歳入歳出予算の概要は以上のとおりであるが、特別会計については所管部局において説明申し上げるので、私からは省略をさせていただく。
 なお、歳入、その他については、合田総務部次長から御説明を申し上げる。
 以上で、総括説明を終わる。

〇合田総務部次長 それでは、歳入、その他について御説明申し上げる。お手元の議案その2の1ページをお開き願う。
 議案第6号平成9年度岩手県一般会計予算であるが、第1条は、歳入歳出の総額を8、764億6、486万4、000円と定めるものである。第2条は、債務負担行為の限度額等を、第3条は、地方債の限度額等を定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を700億円とするものである。第5条は、職員の給与についての流用を定めたものである。
 次に、歳入について御説明申し上げる。
 便宜、予算に関する説明書で御説明申し上げる。
 3ページをお開き願う。まず、1款県税1項県民税は298億6、400万円余で0・4%の増となっておるが、これは特別減税の廃止による伸びが見込まれるものの、3目利子割が預貯金利率の低下により、13億7、500万円余の減収が見込まれることによるものである。
 次、4ページをお開き願う。2項事業税は326億1、900万円余で11・3%の増となっておるが、これは企業の業績見通しなどから、企業収益は前年度を上回るものと見込まれることによるものである。
 次の5ページ3項は、平成9年4月から新たに導入される地方消費税で、地方財政計画等をもとに46億6、000万円余を見込んだものである。
 次に、6ページをお開き願う。4項不動産取得税は48億1、700万円余で6・1%の減となっておるが、これは民間設備投資が減少する見込みであることなどによるものである。
 次の5項県たばこ税は23億4、200万円余、8ページの6項ゴルフ場利用税は7億300万円余、次のページの7項特別地方消費税は9億9、500万円余となっておる。
 次に、10ページをお開き願う。8項自動車税は、197億7、900万円余で5・4%の増、次の9項鉱区税、12ページの10項狩猟者登録税は、最近の課税実績等を勘案しそれぞれの収入見込み額を計上したものであり、次の13ページの11項自動車取得税は65億5、500万円余で2・3%の増となっておる。
 次に、14ページをお開き願う。12項軽油引取税は244億7、800万円余で4・4%の増となっておるが、これは軽油使用車両の保有台数が増加していることなどによるものである。
 次の13項入猟税は、狩猟者登録税と同様、課税実績を勘案し計上したものである。
 次に、16ページをお開き願う。14項は平成元年度に実施された税制改正に伴う旧法による税である。
 以上、県税の合計額は1、269億3、400万円余で、前年度当初予算額に比べ87億7、300万円余、7・4%の増となるものである。
 次に、17ページであるが、第2款として地方消費税の導入に伴い、地方消費税清算金の予算科目が設けられておるが、これは一たん都道府県に納付された税収を、各都道府県の消費相当額に応じて清算し再配分する仕組みとなっていることから、本県が受ける額を見込んだものである。
 次に、18ページの3款地方譲与税であるが、1項消費譲与税は、地方消費税の導入に伴い廃止されることから、経過措置としての平成9年7月譲与分24億6、300万円余を見込み66・4%の減、次の2項地方道路譲与税は28億500万円余で6・4%の増となっておる。
 次に20ページをお開き願う。3項石油ガス譲与税は3億5、300万円余、次の4項航空機燃料譲与税は3、800万円余と見込んでおる。
 次に、22ページの4款地方交付税であるが2、393億1、100万円余、3・0%増を計上しておる。
 次に、23ページの5款交通安全対策特別交付金は6億7、600万円である。
 次に、24ページをお開き願う。6款分担金及び負担金であるが、1項分担金は、圃場整備事業等に係る分担金であり、次の2項負担金は民主、衛生、農林、水産、土木及び教育に係る受益者負担金を計上したものである。
 次に、少し飛ぶが28ページをお開き願う。7款使用料及び手数料であるが、平成9年7月から消費税の税率改定と地方消費税が創設されることから、課税対象のものについては適正に転嫁し料金を改定することとしておる。
 使用料の主なものを申し上げると、2目民生使用料では、肢体不自由児施設使用料、ちょっと飛ぶが30ページの7項土木使用料では、県営住宅使用料がその主なものである。
 次の9項教育使用料では、高等学校の授業料が主なものである。これら使用料の総額は31ページのとおり、85億420万円余で4、900万円余の増となっておる。
 次に、32ページをお開き願う。2項手数料であるが、1目総務手数料から9目教育手数料まであわせて、ちょっと飛ぶが36ページに記載のとおり総額26億9、100万円余で、3億4、300万円の減となっておるが、これは8目警察手数料の運転免許が優良運転者に係る免許証の書きかえ期間の延長による減である。
 次に、37ページをお開き願う。8款国庫支出金であるが、1項国庫負担金の主なものを申し上げると、1目民生費負担金では、7節の児童扶養手当23億1、600万円余、9節の生活保護29億5、400万円余であり、次の38ページの3目農林水産業費負担金では、1節の農業共済団体等事務18億5、500万円余、4目土木費負担金では中小河川改修事業、砂防事業などがその主なものである。5目教育負担金では、義務教育人件費に係る国庫負担金がその主なものである。次に、39ページの災害復旧費負担金であるが、これを含め国庫負担金の総額は664億5、700万円余となっており、前年度比1・3%の減である。
 次に、40ページをお開き願う。2項国庫補助金であるが、その総額は、60ページまで飛んでいただき、1、231億7、400万円余で、前年比2・0%の増である。
 次に、61ページの3項委託金であるが、総額は少し飛んで64ページに記載してあるとおり14億5、300万円余で、前年比3・2%の増である。
 次に、65ページの9款財産収入1項財産運用収入は、2目利子及び配当金収入の基金運用収入の増などにより総額を19億7、200万円余見込んでおり、次の66ページの2項財産売り払い収入は、67ページの計の欄のとおり6億5、600万円余と見込んでおる。
 次に、68ページの10款寄附金は4、000万円余を計上しておる。
 次に、69ページの11款繰入金1項特別会計繰入金は5億9、300万円余となっておる。
 次に、70ページの2項基金繰入金は550億5、800万円余となっておる。前年に比べ、239億8、000万円余の増となっておる。これは、県立大学の整備や東北新幹線盛岡以北の整備促進などの建設事業に充てるため、公共施設等整備基金から420億円を繰り入れたほか、県債の償還に充てるため、県債管理基金から120億円を繰り入れたことによるものである。
 なお、平成8年度末の基金残高は、財政調整基金は58億7、400万円余、県債管理基金は882億8、600万円余、公共施設等整備基金は592億6、900万円余を見込んでおる。
 次に71ページ、12款繰越金は整理科目である。
 次72ページ、13款諸収入1項延滞金、加算金及び過料は2億6、300万円余を計上しており、次の2項預金利子は、金利動向等から6、700万円余としておる。
 次に、74ページの3項公営企業貸付金元利収入は170億1、600万円余で、県立病院等事業会計からの収入が主なものであり、次の4項貸付金元利収入は、総務、民生、衛生など、各行政分野における貸付金元利収入であり、合計額は77ページに記載してあるが、539億3、000万円余となっておる。
 次に、78ページをお開き願う。5項受託事業収入総額は28億3、900万円余となっておる。
 次に、80ページの6項収益事業収入は、宝くじ収入及び競馬収入であるが、岩手県競馬組合の競馬収益が思わしくないことから、前年度より7億6、700万円余減の28億8、400万円余に見込んでおる。
 7項利子割精算金収入は1、800万円余、次の8項雑入の総額は、86ページまで飛んで68億6、700万円余となっておる。
 次に、87ページは14款県債であるが、その総額は89ページに記載してあるように1、399億4、200万円余であり、前年度比で14・4%の増となるものであるが、これは県立大学の整備と東北新幹線盛岡以北の整備促進に係る起債の増が主なものである。
 なお、県債の残高については、327ページから328ページをごらん願う。328ページに合計で表じてあるが、平成8年度末では、328ページの計の欄であるが、前年度末現在高見込み額の計で8、124億900万円余、一番最後の欄になるが、平成9年度末では右側の一番最後の欄の当該年度末現在残高見込み額の欄で、9、088億5、300万円余と見込まれておる。
 以上で、歳入についての説明を終わらせていただく。

〇藤原委員長 ただいまから総括質疑に入るわけであるが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は代表質疑、自由質疑の順に行うことになっておる。代表質疑は各会派1人ずつとし、発言時間は答弁を除き、新進・公明45分、自由民主党、社会民主党、県民クラブ及び清和会はそれぞれ30分となっておるが、会派の発言時間に残時間があるときは、その範囲内で当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることとなっておる。自由質疑は、答弁を除き1人15分を限度とし、交渉団体に属していない委員を優先して質疑を認めることとなっておる。また、説明、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議会運営委員会の申し合わせにより、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力を賜りたいと存ずる。特に、執行部側には簡潔明瞭にお願いする。これは世話人会の申し合わせであった。
 これより代表質疑に入る。

〇伊藤(孝)委員 私は、新進党の伊藤孝である。新進・公明を代表して質問をさせていただく。
 まず、質問に先立ち、2月20日の知事の所信表明演述を拝聴し、その的確な現状認識とそれに立脚した政策の重点施策の分野の絞り方、そして肉づけとしての政策事業は、従来にない斬新な発想とまことに卓越した眼力を持ち、知事の21世紀に向けての岩手のあり方の創造に対し、非常な意気込みを感じ得るものであった。また、予算の配分に関しても、今の構造変革の中で、これから岩手が求めなくてはならないもの、岩手が対応しなくてはならないものなど、各分野においてまことにバランスのとれた構成になっており、知事のリーダーシップのもと、各部局の御苦労がにじむものとなっており、非常に評価するものである。
 それでは、質問に入らせていただく。
 今、政府は、社会構造の変化に対応すべく、また、制度疲労を起こした諸制度を改革すべく、行財政改革を中心に、さまざまな改革を持って推し進めなければならない状況に追い込まれておる。その中で、地方行政に関して地方分権が大きく注目されておる。地方自治法は今年、施行から満50年を迎えるが、バブル経済期の東京一極集中などの試練を経て、効率優先の集権型システムの限界が明らかになり、地域のことは地域でという分権型社会に向けて確実に動き出し、平成7年には地方分権推進法が成立いたした。しかし、充実し自立した地方自治の実現には取り組むべきさまざまな課題が累積しておる。それら課題に対し、県御当局にお尋ねいたしたいと思う。
 平成9年度予算について、まず財政についてであるが、本県の9年度当初予算案において、公債依存度が15・4%と増加し、県債残高も9、088億円と初めて9、000億円台に達する見込みである。そのうち半分は償還時に交付税措置されるようであるが、今後地方分権が進んでいく中で、健全で自主性のある県財政を構築しなければならない。
 そこで、これからの県財政の見込みを教えていただきたい。また、自主財源比率34・2%という低い数字も地方分権の進行の中でどのようにお考えなのか、お答えいただきたいと思う。

〇千葉副知事 まず最初に、今後の県財政の見込みについてである。
 財政環境は国、地方を通じて、今後とも一層厳しい状況で推移することが見込まれているところである。本県の財政についても、国庫補助金や交付税を初め、あるいは自主財源の大宗を占める県税にも多くを期待できない、そういう状況下にある。また、歳出面では、公債費などの義務的な経費の増高が見込まれるほか、3県総の後期実施計画に掲げる施策の計画的な推進が求められており、今後とも厳しい財政運営が迫られておる。特に、公債費については、平成4年度以降の経済対策に伴う補正予算債の発行や、平成6年度以降の地方財源不足に伴う臨時公共事業債の発行等の影響により、年々増加する見込みである。今後の償還見通しを推計いたすと、そのピークは平成13年度であり約1、100億円程度になるものと見込んでいるものである。しかしながら、このうち元利償還金について交付税算入額等を控除した純県負担ベースでは、おおむね半分程度が実負担額になるものと試算しておるところである。今後とも、県債の発行に当たっては、適正な発行規模を見定めながら、交付税措置のある県債の効果的な活用を図るなど、財政の健全性に配慮した財政運営に一層努めてまいりたいと考えておる。
 次に、自主財源についてであるけれども、平成9年度当初予算において、使用料、手数料等の見直しや県単独補助金の整理合理化などを行い、自主財源の確保に努力したところである。その結果、自主財源の比率は34・2%と、前年度に比較して3・0ポイント上昇したものである。自主財源の多寡は、財政運営の自主性あるいは安定性に大きく影響するものである。今後においても、企業誘致などによって税源の涵養に努めるとともに、県税の徴収努力はもとより、使用料、手数料の見直しなどに一層努力していく必要があると考えているところである。また、地方分権の時代を展望した場合は、地方の税財源の抜本的な強化を図り、住民生活に密接に関連する施策については、地方公共団体が各地域の実情に応じた取り組みが展開できるような行財政のシステムが確立されることが必要であると考えておる。特にも、地方税財源の充実については、その安定的確保が図られるよう、国の地方分権推進委員会等に対して、機会あるごとに要望していく考えである。

〇伊藤(孝)委員 次に、地方分権と権限委譲についてお伺いする。
 地方分権推進委員会は、先般、政府に対して第1次勧告を提出し機関委任事務制度の廃止を示したが、機関委任事務を自治事務にすることに相も変わらず各省庁の激しい抵抗に遭い、地方分権に必要な自治事務のうち、数多くの事務について法定受託事務とするという内容になっておる。このことは、今年前半に予定されている補助金、税財源などに関する第2次勧告にも不安を残すのである。一方、本県においては、9年度から本格化する市町村に対する権限委譲に市町村から不満が出ているとお聞きしておる。
 そこで、県として、地方分権と市町村に対する権限委譲をどのように考えられているのか、お聞かせいただきたいと思う。

〇千葉副知事 まず、地方分権についてであるけれども、国の地方分権推進委員会が昨年12月に内閣総理大臣に提出いたした第1次の勧告は、対等、協力を基本とした国と地方公共団体の新たな関係を構築するための抜本的な改革を目指したものである。したがって、地方分権推進の見地から、全体の方向としては評価しているところである。今回の勧告において、機関委任事務を廃止し、地方公共団体の事務を自治事務と法定受託事務に区分しているところである。法定受託事務に区分されたものは、統一性、国民の利便性などの観点から、地方公共団体が受託して行うこととされた国政選挙事務や旅券の交付事務などである。これらについては、国の関与を必要最小限にとどめるとともに、十分な財源措置の伴うものであればやむを得ないものと考えているところである。第2次勧告が本年前半にも予想されるものであるけれども、地方分権推進委員会においては、補助金、税財源の見直しや必置規制の整理合理化など、地方分権の実効性を確保する形で勧告の取りまとめを行い、また、政府においては、速やかに地方分権推進計画を作成いたして、地方に対する十分な財政措置を講じた上で計画の実施に着手するよう、全国知事会や政府の予算統一要望等を通じて強く働きかけてまいりたいと考えておる。
 次に、市町村への権限委譲についてであるけれども、市町村に対しての権限委譲は、これまでも市町村との合意のもとに147件の権限について既に行ってきているところである。このたびの権限委譲についても、これまでと同様に住民の利便性の向上の観点から、今後おおむね5年間程度を目途に、市町村において執行することが適当と考えられる権限について、各市町村の意見を十分に踏まえながら、本年度内に権限委譲に係る指針を取りまとめることといたしておる。
 市町村との協議の状況であるけれども、これまで市長会、町村会の御意見を伺っているところであるが、あわせて各市町村長に対して直接説明を行い、理解と協力を求めたところである。この結果、市町村からはさまざまな意見や要望があったが、基本的な考え方については大筋で理解が得られたものと認識しているところである。
 具体の委譲に当たっては、県と市町村による協議機関において毎年度協議を行い、各市町村との合意のもとに委譲を進めてまいる考えである。また、権限委譲に伴う財政措置については、委譲初年度に係る準備事務とその後の事務処理に係る経費について措置することといたしておるところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、組織改革等について伺う。
 本県においても、平成6年10月の自治省通知を受けて行政改革大綱を策定し、リストラへの取り組みとして組織機構や事務事業の見直しを行い、昨年、知事の強力なリーダーシップのもと組織改革を行ったばかりであるが、これからの地方分権の進展や社会構造の変化を考えるに、今後とも臨機応変に組織改革やリストラは行わなければならないと考えるものである。県御当局のお考えをお聞かせいただきたいのである。

〇大隅総務部長 今般の行政改革は、昨年1月に策定いたした行政改革大綱に基づいて毎年度実施方針を定め、また、行政改革推進懇談会の御意見も伺いながら進めているところである。その考えの基本となっておるのは、長期的展望に立った施策展開にこたえ得る機動的で、かつ、効率的な行政執行体制の整備を図ることと、さらに県民が行政に何を期待しているのかを把握し、県政の進むべき方向との調整を図りながら、公正でわかりやすい県政の実現を図ることであると考えておる。また、地方分権の進展に伴い、地方公共団体の役割が増大することが見込まれるが、これに対応する行政システムは簡素で効率的なものにする必要があると考えており、県としては民間委託の推進、高度情報通信技術の活用など、積極的に事務事業の見直しを進めながら、時代に即応した組織、機構の見直しを、さらには定員管理の適正化など、自主的、主体的な行政改革を不断の課題として進める必要があると考えておるところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、市町村合併の促進についてをお伺いする。
 地方分権が進むことにより、今、また市町村合併の機運が高まってきておる。従来の市町村の枠組みを超えた広域行政が求められていることに加えて、地方分権の受け皿として行財政能力を強化する必要が出てきたからである。収支の目途が立たない同じような箱物を各市町村が争って建設し、維持管理費もまた住民の税金で補てんするという地方が非常に目立っているというのも一因と思われるが、合併には、定数削減を恐れる市町村議会議員が地域住民サービスの低下を理由に反対しているのと、今の世の流れの認識不足が原因と見られる一面もある。しかし、平成7年の市町村合併特例法の改正をきっかけに合併を求める住民発議も各地で相次ぎ、行政主導から住民主導による合併機運も出てきておる。このような中で、地方分権の恩恵を地域住民にあまねく受けさせるため、県は合併促進のため、今後どのような取り組みをしていくのかをお伺いいたしたいと思う。

〇大隅総務部長 住民に身近な行政は市町村において展開していくことが基本であり、今後、地方分権が進む中で市町村の役割はますます重要になってくるものと考えておる。また、高齢化、国際化、情報化など、社会経済情勢の変化に対応した新たな行政課題や多様化する住民ニーズ、あるいは市町村の区域を超えた広域的な行政需要に的確にこたえていくことが、今後ますます求められてくるものと考えておる。このため、市町村において自主的、主体的に行政改革に取り組み、政策形成や総合調整などの機能の強化を図りながら独自性のある行政を展開するとともに、市町村間の連携を図るため、合併や広域連合制度の活用などを含めた広域行政を推進していくことが重要になってくるものと考えておる。もとより、市町村の合併については、住民の間で論議が深められ合併の機運が高まっていくことが肝要であるが、平成7年度に改正がなされた市町村合併特例法においては、市町村の合併について合併協議会の設置に関する住民からの直接請求制度の創設が盛り込まれるなど、従前に比べ積極的な内容となっておる。県としては、市町村関係者を初め、広く住民の方々に合併を含めた広域行政の意義、仕組みについて理解を深めていただくため、市町村合併特例法の概要等についてわかりやすく解説したパンフレットを作成するとともに、講演会を開催するなど情報提供に努めるほか、市町村の意向やその取り組み状況に応じ、積極的に対応してまいりたいと考えておる。

〇伊藤(孝)委員 次に、地域経営についてお伺いする。
 知事は、地域経営という言葉をお使いになられておるが、これも画期的なことだと思う。県は、経営という概念をどのように行政に取り入れ実行しようとするのかお伺いする。

〇千葉副知事 地域経営についてであるけれども、県民の皆さんが豊かさとゆとりを実感できる魅力ある地域社会の形成をするためには、地方はこれまでのように国に過度に依存することなく、地域の将来を見据え、地域の持つ特性や資源を生かし、地域の実情に即した地域づくりを積極的に進めていくことが必要である。特に、今後の施策の展開に当たっては、地方みずからが地域経営の視点を強く意識して、限りある人材や財源を有効に活用しながら、コスト意識など経営感覚を持ち、効率的かつ効果的な行政運営に努め、県民が望む質の高い行政サービスを提供していくことが必要である。このため、県としては、職員一人一人の意識改革と政策形成能力の一層の向上を図るとともに、県民ニーズを的確に把握しながら、事務事業の見直しを絶えず行い、施策の優先順位を厳しく選択し、機動的、効率的な行財政運営に努めてまいる考えである。特に、地域の実情に即した地域経営の実践という観点からも、地方振興局については、行政機構の整備や本庁権限の委譲を通じ、総合性、自己完結性を高め、地域振興拠点としての機能強化を図ってまいることにいたしておる。また、住民に身近な先端行政については、市町村が総意と工夫を凝らしながら推進できるよう、また、広域的な課題に対しても市町村が連携して取り組んでいけるよう、それらを支援する体制の整備に努めてまいりたいと考えておる。

〇伊藤(孝)委員 次に、高齢化対策についてお伺いする。
 本県において問題となっているのが少子化、高齢化対策である。1月、厚生省の附属機関から公表された将来推計人口によると、今年中に老年人口が年少人口を上回る逆転現象が起き、2050年には老年人口が32・3%となり、3人に1人が老人という超高齢化社会の到来を予測しておる。特に、現在の本県の高齢化社会は、全国平均の14・5%を大きく上回り18%となっておるが、今後の県内の人口動態予測と高齢化対策をお聞かせいただきたいと思う。

〇千葉副知事 高齢化対策についてであるけれども、本県の高齢化率は、平成7年の18%から平成12年には21%になるものと予測いたしておる。また、平成4年9月の厚生省の人口問題研究所による将来推計人口によれば、平成17年には24・4%、平成22年には26%に達するものと見込まれているところである。このような高齢化の急速な進展に対応し、3県総後期実施計画に基づき、24時間対応のホームヘルプサービスやサテライト型デイサービス、住宅改善費の助成等の住宅福祉サービスの拡充や特別養護老人ホームなどの老人福祉施設の整備を促進するとともに、高齢者による地域ボランティア活動など多様な社会参加を促進するため、高齢者大学やシルバー洋上セミナー、福祉コミュニティー形成などの事業の充実に努めていくことにいたしておる。また、各分野において、高齢社会に向けた総合的な施策が求められているところから、平成9年度に社会福祉審議会や各地方振興局の高齢者サービス総合調整推進会議などを通じ、県民各層の幅広い意見を聞きながら、長寿社会総合対策指針を策定いたし、21世紀初頭を展望した高齢化施策の充実を図ってまいりたいと考えておる。

〇伊藤(孝)委員 次に、高齢者の住宅対策について伺う。
 高齢者が日常生活を安全かつ快適にしかも生きがいを持って暮らすためには、生活の基盤であり生活時間の大部分を過ごす住宅に対する高齢化対策が重要になる。高齢者は運動能力の低下などから、ちょっとしたことでけがをしたり、住宅の物理的条件が整っていないことから活動が消極的になったり、自立活動に支障が出るおそれがある。このため、将来的には、すべての住宅が高齢化に対応できるようにするための住宅施策の展開が必要である。県営住宅においては、こうした社会の変化や県民のニーズなどを踏まえ、床面積の拡大などの質的向上を図っているようであるが、高齢者等に対する対策を今どのように取り組んでいるのかお聞かせいただきたい。また、民間住宅における高齢化対策についてどのような取り組みを行い、今後はどのような施策の展開を図っていくのかお聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 高齢化社会における住宅対策についてお答えする。
 住宅は生活の基礎であり、今後の高齢化社会に対応するためには、高齢者の自立した居住を確保し、生活の安定を図っていくことが重要であると認識しておる。このため、県営住宅については、従来より中層住宅--これは5階ぐらいであるが--へのエレベーターの設置、あるいは床面の段差解消等、住宅のバリアフリー化といったものを進めてきておる。既存の住宅については、それぞれ改善事業などによって段差の解消あるいは手すりの設置など、高齢者に配意した住宅の整備、改善を推進しているところである。平成2年度以降に新築された県営住宅は、すべてこうした高齢者仕様となっているほか、平成4年度以降、既存住宅285戸について改善してきた結果、本年度末には累計で1、121戸の県営住宅が高齢者対応住宅となり、管理戸数の約22%となる見込みである。また、昨年の公営住宅法の改正によって、高齢者住宅の入居収入基準の引き上げ、これは20万が26・8万円である。それから、単身高齢者の年齢制限の緩和、これは男子60歳、女子50歳だったものがともに50歳、こういった緩和等が図られ、また、老人福祉施設等の併設といったようなことも可能となるなどの措置がとられたところである。今後とも、県営住宅について市町村との連携も十分に図りながら、施策の一層の充実に努めてまいりたいと考えておる。
 次に、民間住宅についての高齢者対策であるが、平成4年度に岩手県高齢者・障害者建築・住宅整備基本方針といったものを策定し、高齢者対応の住宅整備の普及を推進してきたところである。今年度も県下11カ所において住宅祭を開催し高齢者住宅コーナーを特設するなど、その一層の周知を図ってきたところである。また、盛岡あるいは水沢のけんみん住宅プラザにおいて高齢者住宅コーナーを整備し、建築技術者あるいは介護者を対象とした講習会の実施など、幅広く知識や技術の普及に努めてきたところである。今後とも、福祉・医療施設との連携の強化を進めながら、こうした高齢者に配意した住宅の整備が促進されるように努力してまいりたいと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、少子化問題をお伺いいたしたいと思う。
 1・57ショックと言われたのは平成元年である。その後、平成7年の合計特殊出生率は1・42と、異常なスピードで少子化が全国的に進んでおる。人口が減って豊かさを維持し続けた国や自治体はかつてない。本県における合計特殊出生率と少子化対策をお伺いする。

〇千葉副知事 少子化対策についてであるけれども、本県においても少子化が進行しておる。平成7年における合計特殊出生率は1・62に低下しておるところである。こうしたことなどを背景として、次代を担う子供たちを安心して生み、健やかに育てる環境を整備することが重要な課題となっておるところである。このため、県においては平成7年に岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針を策定して、育児休業の普及や特別保育の充実など、女性の社会進出に対応した子育てと仕事の両立支援、子供と家庭の問題や子育て支援の重要性についての意識啓発など、今後の子育て支援の取り組みの基本的な方向を明らかにし、幅広い分野にわたってさまざまな施策を庁内関係部局との相互の連携のもとに総合的、かつ計画的に推進しているところである。
 また、行政はもとより、地域社会、学校、企業等が一体となって子育てに優しい環境づくりに取り組むため、福祉、保健医療、産業、労働、教育等の幅広い分野の代表者から成る岩手県子育てにやさしい環境づくり推進協議会を設けるとともに、各地方振興局単位に同様の協議会を設置して、社会全体で子育てを支援するための環境づくりを推進しているところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、就労対策について、女性や高齢者の就職促進についての内容をお伺いする。
 ただいま少子化の問題で御説明を賜ったが、高齢化が著しく進行する中で、15歳から64歳までの生産年齢--私はその該当に外れるが--人口が逆に急速に減少していく。そのため、既婚女性や高齢者の就労をさらに促進することが不可欠になってくると考えるが、本県の対応をお聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 既婚女性や高齢者の就労を一層促進すべきであるとの委員の御指摘はまさにそのとおりである。既婚女性の就労促進については、育児等の理由で一たん職場を離れた女性の就労を促進するため、再就職に必要な技術、技能を習得する施設としての婦人等就業援助センターあるいは高等技術専門校等があって、ここで再就職が容易となるような職業能力の向上を図るとともに、多様なニーズに対応した求人情報の提供を行うなど、職業紹介の充実を図っているところである。
 また、仕事についている女性については、仕事と家庭を両立させて働き続けることができるように、雇用保険の育児休業給付制度等の各種助成制度を活用しながら育児休業制度の定着指導を図るとともに、平成11年4月に義務化される介護休業制度の早期導入の指導に努めるなど、これらの制度を活用して既婚女性の就労促進を図ってまいる所存である。
 一方、高齢者の就労促進については、60歳以上定年制あるいは65歳までの継続雇用の普及を図るため、各種の支援を行うとともに、公共職業能力開発施設において高齢者の再就職のための職業訓練を実施してまいりたいと考えておる。
 また、60歳代後半層については、県内13市町村に設置されておるシルバー人材センターにおいて、臨時的、短期的就業の場の提供を行っておる。さらに、平成10年10月を目途に、他の市町村の高齢者の方々もこの事業のサービスを受けることが可能となるように、県下全市町村を対象とするシルバー人材センター連合を設立し、就業機会の確保を図ってまいりたいと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、求人と求職のミスマッチについて伺う。
 既婚女性や高齢者だけの問題ではないが、産業の構造改革が進むことにより、求人と求職とのミスマッチが発生していることにどのように考えて対応なさるのか、あわせてお聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 求人と求職のミスマッチであるが、委員が構造改革が進むとおっしゃったが、産業構造が大きく転換していく中において、求人側である産業界は、高度情報通信化あるいは技術革新といったようなことに応じた人材を求める、また、求職者の側には、このような産業界のニーズに対応した知識や技術、技能を習得することが求められる、そういったことも一つの求人と求職のミスマッチの原因かと考えるわけであるが、こういったことに対処するために、現在、人材育成といったことにひとつ取り組んでいるところである。
 平成10年度に開学をする県立大学にはソフトウエア情報学部を設置するほか、平成9年度に開校する県立産業技術短期大学校においては、メカトロニクス技術科や電子技術科、産業デザイン科、情報技術科等を設置するなど、県立職業能力開発施設の再編整備を行って、こうした高度情報通信化といったものにも対応できる人材の育成を進めてまいりたいと考えているところである。
 また、生涯能力開発給付金など、個人の自主的な職業能力開発に対する各種支援策を講じておるほか、一般的な不況との関連で、構造的不況業種から成長業種等への出向あるいは転職のための教育訓練といったものにも助成措置を講じているところである。
 さらに、職業あっせんの観点から、全国の職業安定所に設置されておるコンピューターネットワークを活用した広域的、かつ迅速な職業紹介を行うための総合的な雇用情報システムといったものも利用して、求人と求職のミスマッチの解消に一生懸命取り組んでまいりたいと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、マルチメディアの取り組みについてお伺いいたしたいと思う。
 本県の姿勢についてお伺いするが、昨年は日本においてもインターネット元年と言われ、高度情報通信化により大都市圏と地方との距離感はなくなり、さらに国境というボーダーラインもなくなりつつある。その中で、従来の産業の高次元化、多次元化を図り、また、新しい創造性のある事業を創出することを促進しなければならないと考えるが、県御当局の取り組み方をお示しいただきたいと思う。

〇吉永副知事 マルチメディアに対する本県の取り組みであるが、委員御指摘のとおり、インターネットが急速に拡大しているわけである。こういった本格的な高度情報通信化社会といったものが到来している中で、県においては、平成8年度から県内企業へのインターネットの普及拡大あるいは高度利用を促進するモデル事業を実施しているところである。
 きょうここに来る前に、私の部屋にあるパソコンで、例えばインターネットのホームページを岩手という名前でどのくらいの数があるかというのを調べてみたのであるが、現在、岩手という名前のホームページは163ある。この数字は、宮城が217、青森が県と市とあわせて124であるから、かなりのものではないかと思っておる。この数字そのもの、一昨年は20ぐらいしかなかったから、やっぱりインターネット化が相当進んでいるという感じがある。また、プロバイダーも一昨年であると二つとか三つとかという数字だったと思うけれども、今、これは10ある。こういうふうに、本県のインターネットを使ったいろいろな情報通信化というのが進んでいる感じがある。
 私ども、9年度においては、県と商工関係団体が連携して、こうしたインターネットを活用した県内の企業情報あるいは物産情報を効果的に県内外に発信していくということを考えておる。また、先進的なマルチメディアソフトを研究開発する拠点として、盛岡駅西口地区に建設中の地域交流センターマリオスの中にマルチメディア創造センターといったものを整備していきたいと考えておる。今後とも、県としては、高度情報通信化社会に対応した産業の高度化あるいは新しい事業の創出のために、マルチメディア関連施策について一層積極的な展開を図っていきたいと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、高度情報通信化の問題をお伺いしたいと思う。
 通信化の進展は、社会・経済システムを根本から大きく変革してしまう可能性をも持つものであるが、それだけに創造性を持ち、未知の領域にまで踏み込まなければならないと考える。ましてや新技術の開発がすさまじいまでの勢いで進んでいる中で、政策の向かう方向や進め方を誤ることは、確実に全世界の流れから岩手県という自治体が取り残されてしまうことになるのは明白である。そのため、今まで以上に各部局間の調整や産学民も含めたコミュニケーションは非常に大事なことと思われるが、いかがお考えかお聞かせいただきたいと思う。

〇大隅総務部長 高度情報通信化に対応する部局間調整等についてのお尋ねであるが、高度情報化はそれぞれの行政分野に関連があり、各部局が協力しながら総合的、体系的に施策を実施することによって相乗的な効果も期待できるものであるところから、これまでも庁内の調整会議等、あらゆる機会を活用して部局間の調整を図るとともに、横断的な連携に努めてきているところである。今後、情報化の進展は一層激しくなることが予想され、これまで以上に庁内の調整機能を強化する必要があると思われることから、平成9年度において新たに企画振興部に情報科学課を設置し、同課を中心に庁内における情報化関連施策の総合的な企画及び調整が図られるよう、組織の整備拡充を予定しているところである。
 また、高度情報化については、県や市町村の機能に加えて、民間企業の技術力、情報力や大学等の研究開発力などを活用するとともに、県民のニーズを的確に把握しながら施策を進めることが重要であると考えておる。このような観点から、今後においても一層高度情報化の普及啓発を図り、県民の情報化に対する理解と協力を十分に確保するとともに、共同研究等を初めとした産学官の連携を強化し、一体的な取り組みを進めてまいりたいと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、高度情報通信化への取り組みについてお伺いする。
 ちょっと手前みそになるが、今から15年前より、私は、バイテクや超電導、リモセン、ニューメディアなどを包括した最先端技術をいかに本県に取り入れ、本県を創造的技術立県とし、本県の持つ豊かな自然と調和させるかを論戦してまいった。その後、本県行政施策に取り入れていただいた成果の中で、生物工学研究所は13年もかかっておる。超電導工学研究所なども、産声を上げた当時からいうと12年かかっておる。このことは、いかに必要性を認識していただき事業となるまでの歳月がかかるかを示すものである。今回の高度情報通信化の対応は、個人のレベルで周知され、使いこなすことが必要とされる。
 そこで、県民の高度情報通信化に対する必要性の認識向上と、使用する側が便利で使いやすく、そして、限りなく使用する側に近づいた使用手段の促進をスピーディーに構築していくことが課題になる。予算を盛り込んでいることに対しては高く評価するものであるが、今後の取り組みについてお答えをいただきたいと思う。

〇千葉副知事 高度情報通信化への取り組みについてであるけれども、高度情報化の推進は、産業の振興はもとより、県民生活の向上を図るために必要不可欠なものである。そのためには、県民の一人一人がその必要性を理解するとともに、情報化に参画することが重要であると考えておる。このため、平成9年度において、新たに全県を対象とした情報化シンポジウムや地域情報化モデル事業を実施するなどして、県民の高度情報化に対する意識の普及啓発を図ることとしたところである。
 また、本県が今後進むべき情報化社会の基本的方向を明らかにするため、高度情報化構想を策定することとしているところであるが、その策定を通じて県民の意向を把握するほか、策定後の構想の普及に努めて県民の理解と協力を得ることとしている。
 一方、県民が高度情報化の恩恵を受けるためには、だれでも、いつでも、どこでも容易に情報通信ネットワークを利活用できるようその整備促進を図るとともに、その使いやすいシステムや機械の普及に配慮することが重要である。このため、来年度策定予定の情報化構想の中においては、このような視点も取り入れながら検討してまいりたいと考えておる。

〇伊藤(孝)委員 吉永副知事はインターネットの専門家のようであるから再度お伺いするが、岩手県の情報スーパーハイウエー構想について、インターネットを使っての、例えば中小企業情報発信強化支援事業については、通信ネットの最終段階としてインターネットを手段として用いることは共感するが、御承知のとおり、インターネットのサイト数は膨大な量であり、ヤフー等の検索エンジンを使用しても手間がかかるものである。また、対外的にそのサイトまたはホームページにアクセスしてくれるものとは限らない。
 そこで、企業などがより低コストで互いのネットを構築、またはネットに参加できるようにするため、県主導で県内のあらゆるニューインフラ、例えば日本道路公団の光ファイバー網等のネットを結び、エリア内イントラネットをインターネットに結ぶ前に構築し、言うなれば岩手県版情報スーパーハイウエー構想というべきものをつくられた方がより有意義に使用することができると考えるが、いかがであろうか、県の考え方をお聞かせいただきたいと思う。

〇千葉副知事 県版の情報スーパーハイウエー構想について、私の方から御答弁させていただく。
 高度情報化社会の形成にとって情報通信基盤の整備は重要な課題である。光ファイバー網の整備を初めとする情報通信基盤は社会資本の整備として位置づけられて、全国的に民間主導によって進められている状況にある。本県における情報通信基盤については、光ファイバー等基幹回線が順次整備されてきているところであるけれども、今後の整備の方向については、基本的にはNTTを初めとした電気通信事業者による整備を促進しながら、県としても、平成9年度において策定を予定しておる高度情報化構想の中で検討し、県内の情報通信基盤の整備に取り組んでまいりたいと考えておるところである。
 また、インターネットは、地域の情報発信や産業振興にとって大きな効果が期待されているところである。本県としても、新たな情報通信基盤の一つとして引き続き積極的な活用を図ってまいりたいと考えておる。

〇伊藤(孝)委員 次に、高度情報通信化におけるネットワークの重要性について、一昔前、パソコンはソフトがなければただの箱と言われてまいったが、最近はソフトがあるのが当たり前で、ネットがなければただの箱と言われておる。先ほど来、私は、県御当局が使用しておられる高度情報化という語句に通信を入れ、高度情報通信化として質問を進めてまいった。今でもインターネットを含めたネットの構築技術、ネットの使用応用技術は著しく進化をしておる。
 そこで質問であるが、これからのパソコンを使用しての生活や仕事は、ただ扱えるだけではなく、新たな通信手段としてコミュニケーションを図ることが求められておる。ネットワークの重要性についていかがお考えであろうか、お答えいただきたいと思う。

〇千葉副知事 高度情報通信化におけるネットワークの重要性についてであるけれども、近年における情報通信技術の発達によって、情報通信ネットワークは、インターネットに見られるように、国内のみならず、世界的な規模での広がりを見せており、従来にも増して情報受発信者相互のコミュニケーションを図ることが容易な状況となってきておるところである。このような状況を背景として、県内各地域においてもインターネットによる地域間交流や学校間交流などが活発となってきておる。今後、情報通信によるコミュニケーションを図るためのネットワーク形成が一層重要になるものと考えておるところである。特にも、広大な県土を有する本県にとっては、情報通信ネットワークを活用して時間と距離の格差を克服して、個人と個人のコミュニケーションにとどまらず、地域間の連携と交流を促進することによって地域の活性化を図ることが課題となっているところである。このため、県としては、新たに地域情報化モデル事業を実施するとともに、地方振興局単位で地域情報化に対する自主的な取り組みを進めることなどによって、引き続き情報通信ネットワークの形成や拡充を促進してまいりたいと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 同じようなことばかりお伺いするが、次に、マルチメディア創造センター整備事業についてお聞きする。
 今まで述べたように、高度情報通信化は、社会・経済システム、そして、生活様式を一変する可能性がある。そして、この事業は、高度情報通信化に絞り、それら事業化しようとする人や企業を育てるベンチャーインキュベーター的役割を担うようであるが、私としても大いに共感するものである。しかし、今後の事業施策として、県都盛岡だけではなく、各地域においてサブセンターなるものの展開を図ることがこの広い県土の中から次世代を担うことになるかもしれない人や企業の発掘につながり、また、県民に平等にその機会を与えるものになるのではないかと思うが、県のお考えをお聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 高度情報通信化の進展に伴って、情報通信サービス産業といったものの成長の可能性は非常に多大であって、特にもマルチメディア関連事業というものは今後あらゆる産業分野での活用が見込まれる。また、ベンチャー性にも富む21世紀のリーディング産業だと考えているわけである。県としては、こういう認識のもとに、マルチメディア関連産業の振興を図るために、頭脳立地構想に基づいて、情報関連産業の人材養成を担う岩手ソフトウエアセンターと一体となるものとして、盛岡駅の西口地区の地域交流センターマリオス内にこのマルチメディア創造センターを設置しようとしているものである。この施設は、高性能の3次元コンピューターグラフィックシステムあるいはリモートセンシングの解析処理システム、それから、これは日本でも余りないもののようであるが、ヒューマンパフォーマンス解析処理施設といったような最新の高性能機械を備え、体験型のマルチメディア簡易工房といったものを備えた開放型のマルチメディアソフトの開発、そういったものを行う施設である。当施設のマルチメディアデータベースには、県内各地の企業あるいは個人のコンピューターからのアクセスが可能な情報通信ネットワークシステムを備えるということを今考えておる。委員御案内のとおり、情報通信技術が高度化すると、こういった施設にはそれぞれのコンピューターからどこからでもアクセスできるということを考えているわけで、県内全域からの利用がまずここにおいて図られるのではないかと考えている次第である。県としては、岩手大学あるいは現在建設中の県立大学といったものとの連携のもとに、この施設が本県全域のマルチメディア関連産業などの振興拠点としての役割を担っていくようにまずは運営してまいりたい、そういうように考えている次第である。

〇伊藤(孝)委員 次に、超電導工学研究所盛岡研究所はいよいよ本格的になってまいったが、技術センター内に立地したその後大変な成果を上げていると聞いておるが、現時点までの研究成果をエレクトロニクス、輸送、エネルギー等の分野別に具体的に教えていただきたいと思う。

〇武居企画調整部長 超電導研究についてのお尋ねがあった。
 御案内のように、比較的高い温度で超電導現象を示す物質、これは高温超電導であるけれども、これが1986年、今から10年ほど前に発見されてからこの分野の研究が大変盛んになってきておる。御案内のように、国際超電導産業技術研究センターが1988年に東京で設立されたけれども、この附属機関である超電導工学研究所、これは世界最大規模の高温超電導の研究機関であるが、この関連施設として、平成6年7月に関係者の皆様方の大変な御努力、それから、委員の皆様方の御理解も得て工業技術センター内に開所した。ここで半導体産業での応用が期待される超電導単結晶の製造技術の開発、あるいは強い磁気浮上力を発生する超電導バルク材の研究開発に取り組んでいるところである。
 今、御質問があった分野別の成果ということであると若干詳しくなるかもしれないがお許しいただきたいと思うが、この盛岡研究所においては、これまで約2センチメートル角の世界最大の超電導単結晶の育成、それから、これまでは困難とされていた超電導材料同士の接合技術の開発に成功しているところである。この超電導単結晶は、既に電子部品としての動作の確認にも成功しておって、今後、より高品質で大型の単結晶が育成されることによって、低消費電力で、かつ高速演算処理が可能なコンピューターなどのエレクトロ分野での利用が期待されているところである。
 また、接合技術の開発によって、超電導材料の大型化であるとか、複雑な形状への加工を可能とするとともに、このようなバルク材はこれまでの材料と異なって環境の変化に強く、かつ冷却に安価な液体窒素を使用することができることから、超電導ベアリングであるとか、超電導ポンプなどの産業機械分野において実用化が検討されているところであるし、さらに今後、より高品質で大型の材料の開発や、より強い磁界を補足する技術が開発されることによって、リニアモーターカーであるとか電力貯蔵装置など、輸送やエネルギー分野における活用が期待されているところである。
 このほか、超電導工学研究所全体としては、高温超電導物質の特性を解析する基礎的研究を初め、数多くの研究開発が行われているところであるけれども、主なものを紹介すると、エネルギー分野では、より高い温度で超電導現象を生ずる新材料の開発であるとか、送電ケーブルなどに利用が見込まれる高温超電導線材の開発、また、医療分野においては、脳波の測定など、新たな診断装置の開発に必要な超微弱磁気の測定技術の研究であるとか、さらに通信分野では、移動体通信用のアンテナであるとか、小型レーダーなどに利用が見込まれる高品位の薄膜あるいは電子デバイス化のための研究開発などが行われて着実な成果を上げていると聞いているところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、先端科学技術研究施設整備事業についてお伺いする。
 前述のマルチメディアと同様に、本県において先端的科学技術の振興は、独創的、または創造的な産業、企業の創出や従来の産業をより高次元化、高度化し、さらには雇用の場を拡大するものであるが、超電導関係の研究開発拠点として、今後どのように民生に応用し、展開を図っていくのか、あわせてお聞かせいただきたいと思う。

〇武居企画調整部長 先端科学技術研究施設整備事業の関連である。
 本県における超電導研究は、先ほど申し上げたとおり、盛岡研究所において短期間のうちに注目される成果が上がってきているほか、共同研究を通じて、工業技術センターあるいは岩手大学においても活発に研究開発が行われておって、また、県内企業の中にも関心を寄せている企業が出てくるなど、大きな成果をもたらしてきているところである。県としては、このような研究活動の活発化や超電導に対する関心の高まりを踏まえて、盛岡研究所の研究スペース、現在のままでは若干狭いということもあって、これを新たに確保するとともに、将来、この先端技術の県内への普及を目指して、超電導を中心とする先端科学技術研究の拠点施設を工業技術センターに隣接して平成9年度、10年度の2カ年で整備することとし、その関連予算について現在御審議いただいているところである。
 また、平成9年度には、新たな研究開発プロジェクトの導入に向けて、超電導技術の実用化可能性調査や超電導技術を活用した新しい分野の研究の方向について調査を行うこととしておって、その成果を踏まえながら、この施設を中心として、岩手大学あるいは工業技術センター、それから県内外の企業など、さまざまな分野の研究者、技術者が結集して超電導技術の応用化、実用化研究を行うなど、幅広い研究活動を展開してまいりたいと考えておる。今後、この施設を中核として、こうした産学官一体となった新たな共同研究を展開することによって、県内において超電導技術を生かした先端的、独創的な研究や技術開発が促進されて、県内企業への技術移転も図られ、ひいては超電導技術を活用した新たな材料、装置、そして製品の開発がなされるなど、本県が超電導研究分野に関しては、ある意味では我が国あるいは海外にも名前がとどろくような、そういった努力をしてまいりたいと考えておる。

〇伊藤(孝)委員 次に、先ほどリニアモーターカーの話が出たが、リニアモーターカーは超電導を利用した国家的プロジェクトであるが、今年4月より磁気浮上式で山梨リニア実験線において走行実験が開始され、平成11年度までに実質的な実用化のめどをつけようとしておる。その中で、本県においては、東北地域への優先的な導入と、本県内にリニアの路線化導入をするため関係機関とどのように折衝し、進めておられるのかお聞かせいただきたいと思う。

〇武居企画調整部長 委員御指摘のとおり、超電導を活用した磁気浮上式鉄道、いわゆるリニアモーターカーについては、国が将来の超高速輸送システムとしての技術開発を進めておって、かつて宮崎実験線における基礎的実験を行ってきたところであるけれども、先ほど委員御指摘のあったように、本年4月から山梨実験線で本格的な走行試験を開始して、平成11年度までその実用化のための実験を行って計画を立てていくと承知しているところである。県においては、全国との時間距離を大幅に短縮するリニアモーターカーの導入、これは、今後のいろいろな応用技術、先ほど超電導のところでもお話ししたように、技術の進展とのかかわりというものが当然出てくるかと思うが、こういったリニアモーターカーの導入は、今後の県勢の発展や東北、北海道地方の広域的な振興にとって極めて有効な手段になり得るものと認識しておって、まずは本県を含む東北地域への優先的な導入を目指す必要があろうかと考えておる。このような考え方に基づいて、関係県とともに設立を既にしておる東日本リニア鉄道建設促進協議会において、現在、専門調査機関への委託による東北地域におけるリニア鉄道の将来展望に関する調査研究を行っているところであるし、また、それぞれの実験線の視察等も進めているところである。さらに、東北他県及び北海道とともに策定したほくとう銀河プランの中にもその整備の方向性について盛り込んでいるところで、今後とも山梨実験線における研究動向等に関する情報収集に鋭意努めながら、関係県と一体となった活動を続けてまいりたいと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 逆戻りした質問になるようであるが、次に、いわて起業家育成貸付事業等のベンチャー育成制度に対してお尋ねする。
 昨年11月の日経の調査において、ベンチャー企業への投融資を始めているのは7割強の44都道府県に上っておる。本年度の予算総額は前年度12倍の247億円に上っておるが、実行額は18%の44億円にとどまっておる。自治体の投融資のテンポが遅いのは、企業の将来性を見抜くという肝心な仕事をベンチャーキャピタルや銀行など、外部に頼っているからではないかと結論を出しておるが、企業の将来性や技術力を見抜くことは大変であるが、本来のベンチャー投融資という育成制度は、先端技術と企業家精神を武器として、新しい独自の事業展開に基づき、成長する可能性を持ち、なおかつ経営基盤が弱い中小規模企業を自治体が資金面で支援し、地場に根づく成長企業をつくるということが目的である。
 本県においての体制と、財政と8年度における予算に対する実行率、そして予算額に達しなかった理由と今後の対策をお聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 資金力の弱いベンチャー企業等を支援するために、今年度、中小企業創造活動促進法に基づいて、財団法人岩手県高度技術振興協会を通じて行う投資制度、それと研究開発計画等の認定を受けた企業を対象とする無担保、無保証人の新たな融資制度、投資と融資の両制度を設けたところである。このうち、投資の申し込みについては、当財団が公認会計士、弁理士、大学教授、金融機関の融資担当者等で構成する投資委員会を設けて審査を行ったわけである。委員御指摘のとおり、投資の方の数字は本年度は4社、4億円という予算額であったが、実際の投資決定額は2社、1億6、490万円で、その実行率は41・2%にとどまったものである。実行率が100%にならなかった理由については、投資をする会社の側から企業の将来性等を十分に見きわめたいという声があったこと、また、投資を受ける企業にとっても、外部資本を受け入れることになるので、双方とも非常に慎重な対応といったことがあったようである。しかし、今後ともこの制度の周知徹底を図るとともに、この制度の利用促進といった点では県としては頑張ってまいりたいと考えているところである。他方、融資の方であるが、これは予算額3億円に対して1月末現在で3億6、000万円の需要があることから、2月の補正でお願いして、融資枠をさらに1億円増額して4億円としたところである。今後においては、いわて起業家大学の開催あるいは来年度に新たに導入する貸付対象者を知事認定者に限らないいわて起業家育成資金等、そういったものを活用して、新規創業者の発掘あるいはベンチャー企業等の育成に積極的に取り組んでまいる所存である。

〇伊藤(孝)委員 次に、インフルエンザの対策についてお伺いする。
 本県でも高齢者を中心に多数の死者を出したインフルエンザの対策についてお聞きするが、今シーズン流行しているのはA香港型なそうであるが、専門家の間では、過去の流行の発生間隔から、人が免疫を持たない新しいタイプのインフルエンザウイルスが生まれて大流行--パンデミーを起こすかもしれないと時期を警戒しておる。平成8年に開かれたインフルエンザ研究者のパンデミー国際会議では、次のパンデミーには、最悪の場合、およそ世界の4人に1人、ざっと十数億人がインフルエンザにかかるおそれがあるとの試算の発表がなされておる。政府も、薬害エイズを教訓に1月に設置された危機管理調整会議において、ワクチン増産体制を含め、来冬までに感染防止対策に乗り出すと言われておる。本県においては、この新しいタイプのインフルエンザに対してどのようにして政府と連携し、対応するのかお伺いしたいと思う。

〇千葉副知事 新しいタイプのインフルエンザについてであるが、インフルエンザは、10年から40年周期で大変異が起こると言われておる。国際会議等で多くの研究者が近々ウイルスの変異が起こり、新型ウイルスの出現で世界的な大流行が起こるのでないかと、こう予測しているところである。こうした状況を背景として、国においては、世界的なネットワークの確立、新型ウイルスの検出と流行予測体制の確立、ワクチン、抗ウイルス剤の開発など、基礎研究の推進、大流行に備えた社会全体の危機管理体制の早急な確立など、感染防止対策に取り組みを始めたところである。県としても、新しいタイプのインフルエンザの大流行の発生に対応するため、今後とも国のインフルエンザ予防対策と緊密に連携をとりながら、国、県の感染症サーベイランスシステムを有効に活用して、医療関係者や県民に発生状況など最新の情報を提供するとともに、衛生研究所のウイルス検査体制の充実、県医師会や医療機関との連携のもとに、国の示す新しいワクチンの接種の勧奨や的確な診断、治療法など、医療体制の充実に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇伊藤(孝)委員 同じような質問になるが、エマージングウイルス対策についてお伺いする。
 地球規模の温暖化や人と物資の行き来の国際化により、エボラウイルス、ラッサ熱ウイルスやデング、ハンタ等、さまざまなエマージングウイルスの侵入が危惧されておるが、その対応についてもあわせてお聞かせいただきたいと思う。

〇千葉副知事 エマージングウイルスの対策についてであるけれども、エボラ出血熱やラッサ熱など、いわゆるエマージングウイルスによる新興感染症の対策については、現在、国の公衆衛生審議会において、今後の感染症対策について見直し検討を進めているところである。平成9年度の危機管理対策事業としては、感染症に関する情報収集、解析を行う感染症情報センター、これは仮称であるけれども、これの設置、緊急感染症ファクスの創設、都道府県が実施する医療従事者の研修支援、地方衛生研究所職員等に対する専門研修事業の創設など、感染症危機管理体制の整備や緊急感染症対策等の充実強化を図ることとしておる。県においては、こうした国の動向を踏まえて、これまでの取り組みをさらに進めることとしておる。日本感染症学会、希少感染症診断技術研修会等への衛生研究所の職員等の派遣、国内外の新興感染症に関する発生状況、検査、治療法などの最新情報の収集、また、ウイルスの検出など、検査体制の充実強化を図るため、衛生研究所に遺伝子レベルの検査機器等を整備するほか、人員増等も行うこととしておる。
 昨年O-157の集団食中毒が発生したわけであるが、これの対応を参考としながら、県医師会、大学等、各関係機関との連携のもとに、エボラ出血熱、ラッサ熱など新興感染症に対する予防法、検査体制、治療体制の確立など、必要な対策に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇伊藤(孝)委員 次に、内容は大きく変わって、自治体の特産品等を対外的にアピールする場として、各自治体がアンテナショップを盛んに出店してきた。本県においては、岩手ふるさとショップを東京有楽町に出店するとともに、アメリカのカリフォルニア州トーランス市にも近年の農産物輸入の増大等の国際化に対応するため県産品アンテナショップを設置し、販路拡大を図ってきたことは大変な御努力であると思う。
 そこでお伺いするが、9年度予算では、海外マーケット展開と称し、ニューヨークに農産物アンテナショップを置く予算が組まれておるが、出店の論拠をお聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 海外マーケットの展開は、海外における県産品の販路開拓の可能性の調査あるいは大量流通の仕組みといったものの研修などをねらいとして、アメリカ合衆国において平成7年度から9年度までの3カ年間実施してきたものである。この取り組みは、平成2年から3カ年、アメリカで実施させていただいた調査販売の成果をもとにして、平成7年11月にロサンゼルスのトーランスにあるスーパーマーケット内に常設のアンテナショップを設置し、県産品の普及宣伝や試験販売を行ってきたものである。一方、ニューヨークは世界の経済、金融といったものの中心であるし、また、国際的な食品の流通動向を占う上でも非常に重要な地域である。昨年10月にこのニューヨークで試験販売を行ったところであるが、県産品に対する高い関心、具体的には、試験販売期間の販売額はロサンゼルスの約1・8倍あった。また、アンケート調査をやっても、例えば納豆とかじゃじゃめんが非常によく売れて、特にじゃじゃめんは2日で完売したというふうに、非常に県産品についての関心度合いはロサンゼルス以上に高い点があった。ということで、ニューヨークにおいても、新年度は10日間程度ではあるが、短期間のアンテナショップを開設したいと考えているものである。
 この海外マーケットの展開は、農産物や加工食品流通の国際化が進行する中で一定の意義を持つものとは考えるが、我が国の食糧自給率というものが低下している現状においては、今後、県としては、国内での県産農産物の販路拡大ということになお一層力を入れて進めていくことが重要だと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、FAZに対する取り組みについて伺う。
 本県の物流拠点対策についてお聞きするが、御承知のとおり、FAZ--フォーリン・アクセス・ゾーンは、貿易不均衡の打開策の一環として、輸入の促進と地域振興の対内投資の促進を推進しようとする制度で、その整備計画に対しさまざまなインフラ整備、また、支援措置、特別措置がとられるものである。当初は平成8年までの時限立法であったが、10年間延長し、2006年までとなった。平成8年3月の時点で、港や空港を持つ自治体の多くが申請中並びに申請準備中のうち、21地域が指定されておる。物流コストが県民の生活に影響を与える中、輸入だけではなく、もっとグローバル的に、また、為替の変動を考え、輸出入の促進も念頭に置いて県内においてのFAZは必要と考えるが、県のFAZに対する取り組み姿勢と、8年度において調査した結果をお聞かせいただきたいと思う。

〇藤原委員長 執行部に申し上げるけれども、世話人会の申し合わせによって、答弁の方は簡潔明瞭にお願いを申し上げる。

〇吉永副知事 輸入促進地域、いわゆるFAZに取り組む姿勢についてであるが、本県が21世紀に向けて国際的視野に立った地域経済を構築していく上で、今後、港湾を利用した国際経済交流を促進していくことが重要であること、このために有効な手段であるFAZ制度の導入可能性について検討しているところである。この制度の導入のためには、将来を含めて相当量の輸入貨物が確保される見通しのあることが必要である。平成6年度の港湾統計によると、輸入貨物量は本県港湾全体で171万トンになっておって、東北で既に指定を受けている仙台港の720万トンあるいは八戸港の529万トンなどに比較して低い水準にあることから、その増加方策を中心に検討を進めることとして、その基礎となる物流実態調査に取り組んでいるところである。この調査については、県内の製造業及び卸売業などの1、311事業所を対象として実施したところである。この調査結果については、今、取りまとめを急いでいるところで、なるべく早い時期に公表したいと考えているところである。その細かい数字は今ちょっとここではまだないわけであるが、輸出入の貨物のうち、ほかの県の港湾を現在利用している貨物が大体3割程度あるという状況であるので、この3割程度あるものをまず本県の港湾利用に持っていくといったような動きが必要ではないかと考えているところである。FAZ制度の導入というものについてはいろいろ厳しいものがあるけれども、こういう調査を繰り返して、また、いろいろな働きかけをしてその方向に持っていきたいと考えているところである。FAZについては、単に現在の数字が小さいから困難であるということであきらめずに、あらゆる努力を傾注して、FAZ制度の導入を含めて、港湾を利用した国際経済交流の促進といったものに努力してまいりたいと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 このFAZの問題については、今後の物流輸送の問題からして県民の生活に大きなかかわりが出てまいるから、絶対頑張ってやっていただきたいと思う。
 次に、前段と少しかかわりを持つが、先ほどの高度情報通信化は、時間と距離の壁を越え、新たなコミュニケーション等の場としてあらゆる分野に影響を与えるものであるが、人、物の動きだけは輸送に頼らなくてはならないのが当然である。物流は社会システムの維持、発展に不可欠な機能である。その中で、花巻流通業務団地整備事業や花巻空港延長整備は的を射て、県の施策として立派なものであると評価をする。そして、大船渡港の機能を高めるための大船渡港港湾整備事業であるが、これは、施設計画が将来構想においてただいま申し上げたFAZと深く連携し、そのための事業計画なのかをお聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 大船渡港の港湾計画であるが、これは、県南地域を背後圏とする物流拠点としての港湾機能の充実を図るとともに、地域振興のための産業基盤の確保や旅客船埠頭の整備を行うこととして平成4年3月に改定したものである。その計画は、企業の立地が進む県南内陸部を背後圏として、外貿貨物に対応する水深13メートルの大型岸壁2バースを中心とした港湾の整備を進めることとしておる。その時点では特にFAZとの連携を考慮し、計画したものではない。今後、沿岸と内陸部を結ぶ道路網の整備と連携しながら、多目的外貿ターミナルを中心とした施設の整備を進め、外国との貿易の拠点の一つとして大船渡港の振興を図っていく考えである。
 また、FAZ制度の導入については、相当量の輸入貨物の確保が必要とされることから、なお一層積極的なポートセースルを展開し、新たな需要を掘り起こし、港湾取扱貨物の増大といったものに努めてまいりたいと考えているところである。

〇藤原委員長 伊藤孝委員の質疑中であるが、この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午後0時4分 休 憩
 
   午後1時4分 再 開

〇藤原委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 午前中の説明に対する質疑を続行する。

〇伊藤(孝)委員 次に、本年10月5日に開催される第17回全国豊かな海づくり大会についてお伺いする。
 つくり育てる漁業の推進と海の環境保全を図り、水産業の一層の振興に資することを目的に、全国豊かな海づくり大会が、本県大槌漁港を会場に開かれることは喜ばしい限りである。特に、天皇皇后両陛下が御来県となれば、昭和49年の全国植樹祭以来ということでもあり、県を挙げた取り組みとなるであろう。万全の準備を整えておくことが必要である。大会の開会もあと7カ月足らずとなったが、県の大会を一過性の大会に終わらせることのないよう、本県水産業の一層の振興と沿岸地域の活性化の好機会となるような、未来志向型の大会とすることが重要であると思う。県では、大会に向けた取り組みをどのように展開しようとしているのか。開催に当たっては、どのような特徴づけをしようとしているのかお聞かせをいただきたいと思う。

〇吉永副知事 大会に向けて機運醸成ということが今何よりも肝要なことだと考えており、海づくり大会に向けては、沿岸市町村を結ぶ三陸鉄道のお魚のデザイン車両の運行、あるいは沿岸市町村、漁業関係団体等における各種のシンポジウムの開催、そういったことをやりつつ、各分野で多様な取り組みを現在やっているところである。今後においても、100日前イベントとして、内陸部と沿岸部との交流を目指した豊かな海と森を歌う集いを実施するなど、多様な展開を図ってまいりたいと考えておる。また、本大会においては、特にヒラメ、マツカワ等の放流により、本県が進めようとしておる新たな魚類栽培への機運を大いに盛り上げるとともに、海づくり少年団の大会の積極的活用あるいは森や海の連携などいろんなことをやり、あるいは水産加工の実演、サケのつかみどりコーナーの設置などサケの消費拡大に向けた取り組み、あるいは地域の伝統を生かした勇壮な網起こしの実演など、岩手らしさを特徴づけて実施していきたいと、今準備に頑張っているところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、農業分野に対し質問させていただく。
 数年前までは、アジアは日本の台所を支える基地と称して、国内商社や大手食材メーカーが争って、アジア各国から日本国内に向け食材全般の輸入を進めてまいった。しかし、ここ数年で様相が一変してきた。特に、中国は豊かさの比例とともに食の高級化が進み、エビや飼料用穀物の輸入が著しい勢いで進み、今や世界の穀物貿易量の約2億トンのうち1万5、000トン程度を輸入する屈指の輸入国に転じてまいった。他の伝統的な米づくり地帯のインドネシア、フィリピンまでが米を輸入するようになってきておる。これは今後も工業化が進み、国内農業が弱体化するアジア一帯に言うことができると思う。一方、構造改革が進まない日本に嫌気がさし、日本売りと称して市場では円安が進んでいるのとあわせ、輸入食品が徐々に値を上げてきておる。ところが、国内に目を向けると、高齢化などで生産力が衰退し、いまだに内外価格差が縮まらず、日本の自給率は低下の一途を示しておる。しかし、今輸入食材価格の上昇傾向と国内自給率バランスは、微妙な峠に近づいてきていると予測する専門家は数多くおる。このグローバルな見地で見た場合、我が岩手県農政の考えと政策をお聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 我が国の食料自給率が低下の一途をたどっており、農産物の国際需給に不安定要因を抱えていることは委員御指摘のとおりである。平成7年度の農業白書も、穀物需給は中長期的に逼迫すると懸念されると書いておる。こうしたグローバルな状況を視野に入れつつ、県経済の根幹をなす重要な産業である農業は、今後とも一層振興してまいらなければならないと存じておる。そのためには、まず、農家の方々の意欲の喚起に努めながら、農家が魅力ある産業として選択され、他産業と遜色のない所得を得られるよう経営体を育成していくことが重要であると考えておる。農業生産基盤の整備あるいは技術革新の開発、普及に努めながら、各地域における農地、労働力等の農業指針を十分に活用した効率の高い地域ぐるみ農業の形成を促進し、米、園芸、畜産を根幹とする収益性の高い農業を形成してまいりたいと考えておる。このため、平成9年においても、新規就農者経営確立支援事業、地域営農組織高度化特別事業あるいは大区画圃場整備等、農業生産基盤の整備を行う農業・農村整備事業等を実施するなど、各般にわたる施策の展開によって国際化の波を乗り越えられる力強いいわて農業を構築してまいりたいと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、生物工学研究所の成果についてお伺いする。
 このような状況に対し、アメリカはバイオテクノロジーの技術で増産し輸出をふやす傾向にある。特に、遺伝子組みかえ技術により、害虫がつきにくいトウモロコシや除草剤に強い大豆、トウモロコシが相次いで商品化された。農家にとって、害虫による収穫減が防げ除草剤の散布量を減らせるなど、経済効果は非常に大きく、作付面積は倍々と広がってきておる。このようなバイオテクノロジーの技術において、効果的に収量を上げ経済コストを下げることができるわけであるが、本県の生物工学研究所での成果をお教えいただきたい。また、研究成果の応用をどのように図るのかも教えていただきたいと思う。

〇吉永副知事 生物工学研究センターでは、環境条件を克服する耐冷性や耐病性あるいは省力栽培に向けた直まき適性、そういった生産現場で具体的に求められておる品種開発を目標として、本県の主力作物である水稲やリンドウ、レタス、リンゴといった園芸作物を対象に、産地間競争に打ち勝つ競争力と独自性を兼ね備えた新品種の母本作出に取り組んでいるところである。
 御指摘の遺伝子組みかえについてであるが、水稲では既に耐冷性、いもち病抵抗性、直まき適性等に関与する遺伝子等2、300余りを収集しており、これら遺伝子のうちに、いもち病抵抗性に関与するキチナーゼ遺伝子を本県オリジナル品種のかけはしに組みかえることに成功しており、現在、特性評価の段階でその効果が確認されたところである。今後とも、この効果の安定化に取り組むとともに、環境への影響等安全性を評価した後で実用特性の検定、交配、選抜等、実用化試験に移行することとしておる。あと数年たてば、実用化といった動きが出てくるのではないかと考えておる。園芸作物についても、同様な遺伝子組みかえを実施中であり、ウイルス病抵抗性遺伝子を組みかえたトルコギキョウでは、特性評価でその病気の抑制効果を確認したところである。これは9年度以降、その効果の安定あるいは環境への安全評価を経て実用品種の開発に寄与することといたしておる。

〇伊藤(孝)委員 もう一つ、新しい交配技術の導入についてお伺いする。
 一方において、日本原子力研究所が細胞融合や遺伝子組みかえの技術とは異なる新しい交配技術を開発しておる。これはイオンビームを当てて遺伝子の動きをコントロールすることにより、これまで交配が難しかった異種の交配が可能になる。バイオ技術の多くが欧米で確立したのに対し、日本生まれの技術でもある。この技術をぜひ本県のバイオテクノロジーの一政策として取り入れていただき、既存のバイオ技術ではできなかった新種の作成につながる可能性を持っていただきたいと考えるが、県御当局の認識と対応をお聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 イオンビームを利用した技術は、大規模な加速器で加速したイオンを、花粉や植物体に照射して、花粉内等に含まれる遺伝子を切断することにより、突然変異やこれまで困難であった異なる種間の交配をねらいとする新しい技術であり、委員御指摘のとおり、日本原子力研究所で研究が行われているようである。この研究は開始されてから日が浅く、たばこ、菊など、限られた作物を対象に突然変異の発現度合いを調査するなど、まだ基礎研究の緒についたばかりかと思っておるので、今後、その研究の進展状況を注視してまいりたいと考えておる。

〇伊藤(孝)委員 次に、クローン技術の導入についてお伺いする。
 最近、羊でクローンがつくられたとの報道があった。これは親羊の乳腺から取り出した細胞からDNAの入った核を採取し、他の羊の未受精卵へ移植し化学処理で刺激した後、別の親の子宮に移す。そうしたところ、親羊と遺伝子が全く同じ羊、クローン羊が生まれたということであるが、このクローン技術の応用は、本県の日本一と言われる和牛を安定的に生産することが可能となる。本県の研究所においても、いつかは種切れになる受精卵の冷凍保存による優秀な和牛の確保だけではなく、クローン技術の確立を研究していただき、長期において安定した生産をしていただきたいと願うものであるが、倫理上の問題があろうかと思うが、県の考え方をお示しいただきたいと思う。

〇吉永副知事 牛におけるクローン作出の技術は、受精卵分割と核移植がある。受精卵分割については、我が国では昭和59年に国の機関で成功して以来全国で取り組まれており、本県の畜産試験場においても平成5年から現在まで、受精卵分割による双子クローン7組を作出し、優良種雄牛の造成のための産肉能力検定に取り組んでいるところである。県としては、今後、家畜改良の飛躍的な向上を図るために畜産試験場を組織化してバイオテクノロジー部門の充実強化を図り、平成10年度より、こうした核移植の技術確立に取り組んでまいることといたしておる。核移植によるクローン作出は平成2年千葉県で初めて成功いたして、現在、栃木県など11県で取り組まれ、平成8年6月までに全国で155頭の産子が生産されているところである。
 新聞等で話題になった御指摘のイギリスのクローン羊は、生殖細胞以外の細胞から取り出した核移植に初めて成功した事例として、専門家から注目を集めているところである。現在、世界的には大量のクローン作出と遺伝子組みかえを容易にする技術確立が取り組まれており、家畜の改良増殖に活用されるのみならず、医薬品の生産など幅広い活用が期待されるところである。しかしながら、無制限なクローンの応用拡大は倫理面、医学面などで論議を巻き起こしている状況であるから、県としては遺伝子組みかえ研究については慎重かつ大胆に進めてまいりたいと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、中山間地域対策であるが、バイオマスを用いた資源循環型水質浄化システムの導入を提案させていただく。
 これは、農林水産省の農業研究センターが開発した技術であるが、水質浄化、新鮮な野菜・ハーブ、パピルス資源などの生産、有害物質の使用自粛などによる資源循環型の生活様式への転換、子供たちの環境教育、自然観察の場としての親水空間を創出し、小川からの浄化を目的としておる。バイオジオフィルター水路を用い、バイオマスには紙の原料になるケナフ、パピルスやモロヘイヤ、シュンギク、大麦などを用い、天然鉱物瀘材としてゼオライトを組み合わせておるようであるが、冬季間の浄化態勢能力は落ちるが、有用植物の栽植組み合わせ方法等のシステム、研究により改善するものと思われるし、市場性のある有用植物との組み合わせになれば、中山間地域における新しい収益の場になると思われる。県御当局の今後の御検討をお願いし、対応をお聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 このシステムは委員御指摘のとおり、農林水産省の農業研究センターで現在開発を進めているものである。植物の養分吸収機能、ゼオライト等の天然鉱物瀘材の吸着、瀘過機能及び付着微生物の浄化機能といったような三つのものに着目した水質浄化システムである。排水中の汚濁物質処理のために、シュンギクあるいはパピルスといった植物を植えることで、それがまた食用あるいは紙などの加工原料として利用できると聞いているところである。しかし、これは浄化能力が植物の生育と密接な関係があり、委員がお挙げになったとおり、冬季はその能力が落ちるというか季節による変動が非常に大きいものである。また、窒素分の浄化能力が高いのであるが、燐の浄化能力は落ちるといった問題もある。そういったいろんな問題を抱えつつ、今いろんな検討が行われておるところであり、導入経費等の問題も、浄化槽をどうするかといったような問題が残っているところであり、今農業研究センターと農水省の農業研究センター等で引き続きそういった課題の解決に努力していると聞いているところである。県としては、この御指摘の本システムについてそういう試験が継続中であり、当面はその動向を見守ってまいりたいと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 本県は御承知のとおり中山間地帯が非常に多いわけであるから、真剣にこういう問題には取り組みをしていただきたいと思う。
 次に、グリーンツーリズムについてお伺いする。
 中山間地域振興に対し、グリーンツーリズムという施策に提示されておる、これは平成6年に制定された農村休暇法に基づく対応と思われるが、具体的な対策あるいは支援についてあわせてお聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 グリーンツーリズムは、農山漁村と都市との交流などを通じて、特に御指摘のとおり、中山間地域の活性化を図る上で重要な施策と認識しておる。県はこうした観点から、国が制定した農山漁村滞在型余暇活動促進法に基づき、平成8年の9月にグリーンツーリズム推進に関する岩手県の基本方針を定めるとともに、市町村に対しては、具体的な取り組みを内容とする推進計画の策定を指導しているところである。現在、これに基づいてやっているわけであるが、遠野市あるいは葛巻町など一部市町村にその取り組みがあるだけであり、県全体から見れば、まだまだグリーンツーリズムというのは緒についたばかりだという状況である。したがって、今後においては、そういう市町村や地域の主体的な取り組みを支援していくために、県段階において農林漁業団体、市町村、観光業者などを構成員とする協議会を設置して、また、地方段階にも広域連携による周遊型のグリーンツーリズムを推進するための地方協議会を設置して、その推進を図りたいと思っておる。具体的な取り組みは、農作業体験施設といったあるいは登録民宿といったようなところの、そういったものの組織化を促進すること、あるいはそういったことを実践できる人材を育成すること、あるいはインターネット、その他による都市住民に対するグリーンツーリズムの情報発信を行うといったことを行いつつ、岩手ならではのグリーンツーリズムといったものを確立していきたいと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、輸入食品の安全性の確保についてお伺いする。
 近年、我が国は食品についても国際化が著しく、国民の食生活の多様化等より多くの食品が海外から輸入されており、国の統計では、平成7年の食品の輸入件数は100万件を超え、輸入件数ではこの10年間で約2・2倍となっておる。このようなとき、輸入食品、特に輸入量の多い農産物の残留農薬の問題は関心が高いものがあるが、輸入農産物などの輸入食品安全性を確保することは、国民の健康を守る上で極めて重要な課題である。本来的に輸入食品の監視業務は国、すなわち検疫所の所管事項であるが、一たび国内に流通された場合、各自治体の保健所等がそれらをチェックし安全性を確保しなければならない。そこで、現在、県内に流通している輸入食品の安全性確保をどのように行っているのか。
 これは私個人の考えであるが、保健所が合併して少なくなってまいると、そういう意味合いから申したわけであるが、また、今後どのようにして輸入食品を検査していく考えなのかお示しいただきたいと思う。

〇千葉副知事 輸入食品の安全性の確保については、県下の15の保健所に配置しておる73名の食品衛生監視員が県内に流通しておる食品の衛生状態について監視指導を行っているところである。また、県内での流通状況を踏まえて、毎年計画的に衛生研究所で野菜等の残留農薬や食肉等の抗菌性物質あるいは加工食品の食品添加物等の検査を実施しているところである。平成8年度の輸入食品の検査状況であるが、カボチャ、アスパラガス等の野菜、ウナギ、エビ等の魚介類、オレンジ等の柑橘類、チーズ、ソーセージ等の加工食品等51検体について残留農薬、抗菌性物質、食品添加物、細菌等、延べ566項目について検査を行ったところである。その結果、食品衛生法に基づく基準違反は認められなかったところである。
 今後の輸入食品の検査についてであるけれども、農畜水産食品や加工食品等の残留農薬や抗菌性物質等について衛生研究所等において計画的に実施し、安全性確保に一層努めてまいりたいと、このように考えておるところである。

〇伊藤(孝)委員 次に、県警の対応強化についてお伺いする。
 人、物、情報の行き来の国際化により、犯罪も国際的になってきておる。特に、蛇頭の存在が問題化し、密入国者の増大になってきておる。県内においても外国人の犯罪が非常にふえてきておるが、これら外国人が起こす犯罪に対しての対策をお尋ねする。また、犯罪の低年齢化が一段と進み、犯罪の都市化も言われている中、県民の安全を担う県警の対応強化をどのように図っていくのかお聞かせいただきたいと思う。

〇千葉副知事 ただいまの御指摘があったとおり、県内の来日外国人犯罪検挙件数は平成5年以降、年間平均50件以上で推移してきており、増加傾向が顕著になってきているところである。これらのことから、県警察においては国際室の設置、国際捜査係の配置、通訳体制の拡充などを行うなどして適切な対応に努めているところである。当面は、中国圏に精通する捜査官等国際捜査官の育成の強化を図るとともに、三陸海岸からの集団密航事犯に対する警戒を強化しているところである。また、高速交通網の整備や情報通信手段の高度化により、警察事象は広域化、巧妙化が一段と進行していることも御指摘のとおりである。複雑化、困難化する治安情勢に的確に対応するため、県警察の組織体制については、警察署を中心とする現場部門により多くの人員を投入するなど、充実強化を図っているところである。平成9年度には、犯罪の質的変化に対応するため、科学捜査研究所を独立組織に昇格させ科学捜査力を強化するとともに、盛岡南地区の治安対策強化のため、紫波警察署見前幹部交番と本部機動捜査隊庁舎を併設新築の予定である。このほかに、高度化、複雑化するコンピューター犯罪に対応するため、本部捜査第2課にコンピューター犯罪係を新設するなど、変容する犯罪情勢への的確な対応を図っていくことといたしておる。今後とも、県民の安全を担う警察官の組織体制強化について努力してまいりたいと考えておる。

〇伊藤(孝)委員 最後に、知事は所信表明演述の中で、ドリームランド岩手という言葉で21世紀において岩手のあるべき姿を表現しており、新しい岩手の創造を内外ともに認知させ、そして構築しようとする強い意思を感じさせていただいた。そのドリームランド岩手を、いま一度県民にもわかるように御説明いただきたいとお願い申し上げて、私の総括質問を終わる。

〇千葉副知事 岩手県は広大な県土、豊かな自然、特色ある歴史、あるいは固有の文化に恵まれておる。また、幾多の人材を輩出するなど、全国に誇れる無限の可能性を秘めた県であるということが言えると思う。ドリームランド岩手は、ただいま申し上げた岩手の特性を背景に、県民一人一人がお互いに価値観や個性を尊重し合いながら、地域の個性や特色を生かした地域づくりが県内各地で行われ、それぞれの県民が将来の夢や人生の目標を抱き、創造性とチャレンジ精神を十分に発揮できるような望ましい地域社会のことである。こうしたドリームランド岩手の創造において、各般にわたる施策を積極的に展開してまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 まず、委員長に申し上げるが、ただいまの執行部の答弁が非常に長い。申し合わせのようにひとつ簡潔に、議員方はみんな頭がいいから、わかるから、そのようにひとつ取り計らっていただきたいと、こう思っておる。

〇藤原委員長 そのようにお願いいたす。

〇佐藤(正)委員(続) ただいまは大変に格調の高い、しかも高度な質問であり、よくまた当局もそれにこたえて御答弁をいただき、まことに感服をいたしておる。
 私は、格調はちょっと落ちるが、中身でひとつ勝負をいたしたいと思うのでよろしく御答弁をお願いする。
 まず、私は、与野党の立場を超えて、その前に議会はどう機能すべきか、議員はいかに行政側をチェックすべきか、まさにおらほの自治が問われていると思う。昨年来、北海道の豊浜トンネル事故、長野の土石流事故、官官接待、食糧費問題、奥産道問題、県職員の贈収賄問題、カラ出張、0-157(後刻「O-157」と訂正)集団感染と、振り返ると改めて議員としての責任を痛感するものである。
 まず、吉永副知事にお伺いするが、あなたは昨年暮れの本県政府予算獲得に大いに頑張ってこられ、その成果について、12月24日県内紙の記者と県東京事務所において対談をされ、ことしの予算要望は各分野で満足できる成果を上げることができたと、こう述べておられるが、その成果については、具体的に新年度の、今年度の予算にどのように生かされておるかお伺いする。
 また、対談の中で、昨年に比べ遜色のない要望成果を見れば報復予算はなかったと思うと、こう述べておられるが、この報復予算とは私よくわからないが、具体的にどのようなことなのか県民にお示しを願いたい、こう思う。

〇吉永副知事 平成9年度の政府予算編成に当たっては、県議会と一体となって統一要望を実施し、その実現に向けて積極的に活動を展開してまいったところである。その結果、政府が平成9年度財政構造改革元年と位置づけ、また、特に地方への逆風が非常に強い中で厳しい予算編成が行われたわけであるが、県選出国会議員、県議会の皆様方の力強い御支援によって、本県の要望項目については本県への実情等を理解いただき、所期の成果を上げることができたものと考えておる。県としては、平成9年度の当初予算の編成に当たって、厳しい財政環境にある中、創意と工夫を凝らして統一要望の成果を積極的に反映させてまいったところである。その一端を申し上げると、東北新幹線の盛岡以北の建設事業費の大幅な増額、花巻空港の2、500メートル延長整備に向けた所要の調査費、あるいは国道283号仙人道路の整備あるいは国営土地改良事業、松くい虫被害防除対策、漁港漁村の整備、超電導等先端科学技術研究施設の整備、特定産業集積活性化事業、痴呆性老人グループホームの運営費補助、救命救急センターの整備、運営などに対する経費にそれぞれ盛り込んだところである。
 次に、報復予算ということはどういうことかということであるが、平成9年度の政府予算の編成過程において、さきの衆議院議員の選挙結果と予算の地域配分とのかかわりの中で、新聞報道等マスコミの一部においてそういった言葉が用いられたものである。これについては、昨年12月の衆議院の本会議において橋本総理大臣が、予算の配分及び執行は、政策目的に照らして厳正かつ公正に行われるべきは当然と述べられており、政府予算の編成は厳正に編成されたものと存じておる。また、このような新聞報道等があったのは事実であるので、そういう新聞報道等があったことから、県選出の国会議員の方々あるいは県議会の皆様方、与野党を問わず、例年にも増して熱意を持って要望の実現に取り組んだところである。これで、さっき申した国の財政が非常に厳しく、特に地方にとって逆風下において本県の重要要望事項については、先ほど申し上げたように所期の成果を上げることができたと、そう考えておる。

〇佐藤(正)委員 先ほど私の発言の中で、0-157をO-157と訂正する。議事録を直してもらいたい。
 わかった。よく副知事、一生懸命やってこられて御苦労さんであった。ただ、報復予算というのはどんなものだろうと思って、私も地方自治法から会議規則を調べたがない。それから辞典の中にもないわけである。であるから、報復予算というのはいわゆる政党間におけるやりとりであるとか、あるいはマスコミがわかりやすいためにそういう言葉を使うので、現職の副知事がそういうことを使うのはおかしいのではないだろうか、それは。不見識というものである、これは。県民から見れば、現職の副知事が、報復予算などという言葉はどこにもないのだから、どうであろうか、それは。

〇吉永副知事 私としては積極的に使ったことはないけれども、新聞記者の問いに、報復予算はあったのであろうかと言われたので、報復予算といったものはないと、そういう使い方をしたものである。

〇佐藤(正)委員 あなた副知事なんだから、新聞記者に言われたからそれにそのとおりだということはない。自分の自主的な立場というものを考えて、そして言葉というものは選ばなければいけない。今後注意してもらいたい。
 次に、新年度であるので予算についてお伺いする。
 地方財政の状況を見ると、財源不足を地方債あるいは地方交付税特別会計の借入金などで穴埋めをしており、その9年度末残高は146兆円と見込まれ、まさに借金財政であり、財政の健全性が失われつつあると言っても過言ではない。
 そこで伺うが、今後の財政運営に当たって、この借金財政の体質をいかにして脱却していくのか、これはかねて一般質問でも、各党の代表質問でも取り上げられてきたわけであるが、財政構造の弾力性を示す経常収支比率を見ても年々上昇傾向にあり、7年度の決算を見ても78・3%となっているわけである。このように厳しい財政環境の中で、今後大きな財政負担を余儀なくされ、命取りになりかねないものとして新幹線の地元負担、本年度は約130億である。県立大学が約361億、その他美術館、図書館等の建設費及び運営費等数多くあり、いかにして財政の健全性を図っていくのか、その基本的な考えと具体的な方法、取り組みについて確認をいたしておきたいと思う。
 知事は、機会あるごとに優良な起債の導入を図っていくとよく言われるわけであるが、公債費のうち地方交付税に算入されている金額はいかほどあるか。また、全体に占める割合は幾らになるのであろうか。この際お聞かせをいただきたいと思う。
 交付税の算入率も削減とか変更ということも予想されるわけであるが、果たして県が言っている優良な起債というものは将来とも確実に保証される見通しがあるのかどうか、重ねてお尋ねをしておく。
 昭和48年度、49年度当時のオイルショックのときは、事業費補正を廃止して地方債に切りかえたり、単位費用も削減をした経緯があり、私はこういう過去の例を調査した結果、必ずしも保証された優良な起債ということにはならないのではないかと非常に危惧しておる。心配しておる。したがって、将来の中長期の財政見通しの上に立って、健全性を維持するための起債発行というものを考えていくべきではないかと思うわけである。今後、毎年度、どの程度の公債費負担を生じるのか、また、今後も引き続き、地方債を財源とした事業を実施した場合の県税などの一般財源により捻出しなければならない公債費の範囲はどの程度になるのかを検討し、計画的に発行していくことが重要と考えるわけであるが、財政の健全性を維持するための起債の上限を決めて、その範囲内での地方債の導入、発行というものを考えていくべきではないかと思うが、いかがであろうか。ひとつ責任を持って御答弁を願う。

〇千葉副知事 まず、財政の健全性の確保についてであるけれども、本県の財政構造であるけれども、県税を初めとする自主財源の比率が総体的に低く、国庫支出金や地方交付税あるいは県債などの依存財源によって財源を確保しているのが現状である。このため、本県の予算は、毎年度の国の予算や地方財政計画、さらには地方債計画などの内容によって大きく影響を受けることから、ただいま御提言のあった中長期的な財政の見通しを立てて起債の上限を定めていく方法を導入することは難しい状況にある。したがって、今後とも財政の健全性を確保していくためには、毎年度の予算編成を通じて適切に対応していくことが肝要であり、特にも県債の導入に当たっては、世代間の負担の公平化と適正な発行規模をその都度見定めながら、交付税措置のある県債の効果的な活用に極力努めるなど、公債費の増高によって財政の硬直化を招くことのないよう、適切な財政運営に努めてまいりたいと考えているところである。

〇大隅総務部長 まず、公債費の地方交付税算入額についてであるが、平成9年度の元利償還額は約766億円であり、このうち地方交付税算入額は約388億円程度と見込んでおる。また、元利償還金について交付税で算入されるものの割合は、50・7%となっておるものである。
 次に、優良な起債の将来の保証見通しはどうかということであるが、優良な県債という言い方は制度的にはないが、本来一般財源を充当すべき元利償還について後年度に交付税で算入されるという地方にとって財源対策上、有利な起債であるということから使用しておる用語である。この元利償還金の交付税算入率については、地方交付税法及び普通交付税に関する省令によって定められており、当該算入率どおり地方交付税に算入されてきており、今後とも引き続き算入されるものである。
 なお、地方交付税の安定的確保については、これまでも国に要望してきており、今後とも引き続き強く要望してまいりたいと、こう考えておる。

〇佐藤(正)委員 わかったけれども、どうであろうか。例えば今度の各党の代表質問を見ても、非常に財政に対して心配しておられる、各議員方が。やはりこのような一つの県立大学であるとか大きな問題が出ているというときに、計画的に持っていかなければ私は必ずこのツケというものは残っていくのではなかろうかと心配しておる。と同時に、総務部長に、あなたのところを信用しているわけであるから、そういう意味において問題ないようにひとつ取り計らっていただきたいと、こう思っておる。
 それから、白川勝彦自治大臣は、自治省から地方自治体に出向している人事制度について、先般、ポストが自治省の指定席化しているところがあればやめさせる、こう大臣が言っておる。
 武居部長、本省出身のあなたがこれに対して、大臣の言っているこのことに対してどう見解を持っておられるか。それから、昨年は官官接待やO-157などに関して本省通達なるものがあったようであるが、このことを地方にいてどのように受けとめておられるか、この2点についてお伺いする。

〇武居企画調整部長 白川自治大臣の発言について新聞報道等でいろいろとマスコミ報道されていることは私も承知しているところである。こういったことについてはもろもろの背景があろうかと存ずるが、私自身、改めて誠心誠意、職務に全力を尽くさなければならないと感じたところである。国等における経験であるとかあるいは情報収集力、こういったものを生かして、生まれ育ったわけではないが、ふるさと岩手のためという思いとか気概を持って、本県の行政政策の推進のために尽くしてまいりたいと考えておる。
 それから、本省通達についての受けとめという話があった。昨年は委員御指摘のようにさまざまな通知、通達が国から出されたこと、これはすべて私必ずしも把握しているわけではないが、そういったことは承知しておる。特に暮れ、昨年末には、行政及び公務員に対する国民の信頼を回復するための新たな取組等についてといった自治事務次官名の通知が出されたところであり、これについては、本県においても、総務部長から12月24日付をもって各部局長あてに通知されたことも承知しておる。地方自治の場に身を置く者として、改めて、公務員には我が国あるいは地方の置かれている状況を十分に認識し、全体の奉仕者であるということを自覚し、国民本位あるいは住民本位の行政の推進に全力を尽くしていくことが強く求められている、そういう原点に帰らなくてはならないという思いを強くしたところであり、地方自治の発展と本県の振興発展のために使命感あるいは熱い思いを持って職務に全力を尽くしてまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 なかなか内容のある答弁であるが、あなたおっしゃるように、天下りと言っては失礼だけれども、本省からわざわざ優秀な人材が来ているのだから、大いに情報を収集してやらなければいけない。ところが、過去の事例を見ていると、どうも知事の方の手伝いではなくて、知事の足を引っ張っているのではないだろうか。そういうことでは、せっかく来ても意味がないのではないかと思う。先般の大臣の面会等についても、さっぱり働きが見えなかった。そういう点を大いに反省をしてほしい。
 さて、次であるが、私は、いわゆる天下りに反対をしてきた反対同盟の会長みたいなものである。今のところ1人であるが、過去10年間、大蔵省から天下りは副知事5人、企画調整部長と総務部長は自治省から2人、環境保健部長は厚生省から4人、林業水産部長は林野庁から4人、土木部長は建設省と新潟から4人と、こうなっておる。特に副知事、環境保健部長、林業水産部長は固定してしまっている、天下りが。知事は、天下りについて国と自治体が対等の関係で人事交流し、有望な人材を迎えるのであれば、組織が活性化するなどメリットが大きいと、こうおっしゃっておられるが、1、今までもこれからも、国と自治体は対等でいられるのかどうか。さらに、岩手県から国に派遣しているのは何人か。2、有望な人材は、昨年の厚生省岡光のスキャンダルを初め、通産省、大蔵省のスキャンダルを見るにつけ、本県の方が県民性を熟知しており、誠実であり人材は豊富だと思うがどうか、この点について。

〇千葉副知事 天下り人事の関係であるけれども、県の人事については、国派遣の職員あるいは地元採用職員を含めて適材適所で人事配置をしているところである。ただ、部長級以上のポストについては数が少ないところから、ともすると一定のポストが派遣人事の職員でもって占められると、そういう傾向が強くなっているところである。特定のポストに一定の派遣の人事が長く行われるということになると、これは職員の士気にも関係してまいる。ただ、一方で国からの派遣人事の実績もある。これは高く評価しなければならないということである。人事のことであるのでここで確約するわけにはいたしかねるけれども、今のような状態を解消するためには、国派遣人事と地元採用職員との交互による人事発令が一番いいのではないかと感じているところである。最近でも、指定ポストと言われた土木部長を地元採用の職員で充てたケースもある。そういったところから、今後、これらの職については、相手のあることであるから確証はできないけれども、できるだけ交互に人事発令できるような、そういう取り組みをこれからしてまいりたいと考える。その他の数の関係については総務部長の方から答弁いたさせる。

〇大隅総務部長 現在、国から県の方に割愛を受けておる職員は、先ほどちょっと申し上げたけれども16名。それから、県の方から国に対して派遣をいたしておる職員は4名である。

〇佐藤(正)委員 せめてやはり同等ぐらい派遣しないと。
 それから、副知事は、国から来られた方も優秀な人がいると言うけれども、あなたの後ろを見てもらいたい。優秀である、皆。どなたも皆務まる方だから、それを忘れないで。
 次、知事は振興局を重視しているようであるが、本当に振興局なるものは十分に機能を果たせるのか。例えば、ここに8年度の分の地域活性化事業調整費、広域連携分についての資料がある。私のところに届いている。これは千厩、大船渡、遠野、宮古、久慈、二戸とあるが、事業に当たった市町村の生の声を聞いてみると、当初は振興局から、今までどおり当局で決めるので従来と余り変わらないのでよろしくと、こういうことであった。4月に入り、いきなり広域で建てる建物を考える対象はハードだけだと、しかも、補助率、補助対象事業、事業主体も決まっていないと、こういうお粗末さである。次に、4月末までに約2週間ぐらいでつくれという指示であった。そのときは、まだ市町村では予算化もしていないし、議会にも説明していない。さらに市町村が補正予算を出す前に県は勝手に事業の実施を決め、新聞発表してしまった。御承知のとおりである。要領では、知事と協議し振興局長が決めることになっているが、広域連携分については、本庁がある盛岡で決めてしまったようであるが、これは知事の言う振興局の強化に全く相反するのではないであろうか。大体、四、五千万では大した事業もできないが、こんなやり方なら全くかけ声だけで終わってしまうのではないかと、こう危惧をしておる。新年度はどうであろうか、その取り組みについて伺いたい。

〇武居企画調整部長 調整費の広域連携分についてであるが、市町村の広域的な連携、交流を一層促進し、その特性を生かした地域の発展を図るために、平成8年度2億円の枠を新設したものである。御案内のように、調整費の一般分については、一定のルールに基づいて各地方振興局ごとの総額を算出した上で、これを枠配分していくものであるのに対して、広域連携分については、それぞれの事業ごとに配分するものであることから、予算の配分事務を担当する本庁と配分に基づき事業決定を行う振興局との間の調整が必要になってくるということで、このための時間を要するというわけで、その過程で本年度は初年度ということもあり担当職員も一生懸命頑張ったわけであるけれども、本庁、振興局、市町村の間で、初年度ということもあったし、それから一方で、事業の中には早く着手したいというものもあり、最も早い事業着手が行われたものは6月15日であるけれども、そういった時間的制約の中で私どもも精いっぱいやらせていただいたわけであるが、反省すべき点もあったと考えているところである。分権型の地域社会の創造のためには、振興局が中心になって各市町村との密接な連携のもとに、それぞれの地域における実情に即して、さまざまな分野の課題に取り組んでいくということが何よりも重要であるということは私自身も考えておる。平成9年度からは、組織が企画振興部と名称変更し市町村課が移ってまいるし、あるいは振興局の担当窓口も一本化されることであるので、各振興局それから各市町村との意思疎通というものをより円滑にしていきたいと考えているところである。現在も努力しているところであるけれども、一層努力していきたいと考えているところである。
 平成9年度の広域連携分に係る事務の進め方については、本年度のいろいろの経験、反省もあるので、そういったことを踏まえて改善すべき点は改善し、時間的にも昨年以上に余裕を持って振興局との間で調整作業を進め、振興局を中心にして各地域で実効ある事業が展開されるよう支援してまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 とにかくやってもらいたい。知事が一生懸命になって振興局振興局と言っているのである。ところが、当事者がさっぱりやらないではないか。大体こういう問題が、当事者に上がらないで私らの議員に上がってくることすら、あなた方、末端を把握していないのである、それだけ。そうであろう。市町村を把握していないからこういう問題が我々に来る。
 次は競馬組合、これは知事が関連しているから。この問題は斉藤信議員からも先ほどあったが、私からも申し上げる。
 先般の競馬組合臨時議会によると、年度当初7億5、000万計上していた収益配分金を2億円に削減し、9年度交付金ゼロと予想されておる。8年度の配分をあてにしている各自治体では、議会にて修正を余儀なくせざるを得ない、まさに知事が言っている市町村を大切にするではなく--ここもそうである、市町村は切り捨て御免である。これは何が原因であろうか。地方競馬は、7年度の決算で25団体のうち18団体が赤字と聞いている。将来ともに中央競馬以外は赤字は免れないと言われている。特に、本県では9年度以降、新競馬場建設事業借入金の償還が始まるが、運営上の見通しについてはどうなっているか。また、2月22日、県内紙の声の欄の、益なし、競馬やめてほしいの県民の声を、どう受けとめておったかお尋ねする。

〇吉永副知事 平成8年度の岩手競馬は、入場人員については新盛岡競馬場の開場効果により、女性や若者の入場者が増加し、5%増しの163万9、000人と過去最高を記録したものであるが、1人当たりの購買金額が少なくなっており、総発売金額については前年から3・9%の減収になった。こうしたことから、人件費あるいは開催経費、その他についていろいろコスト削減に努力をやったわけであったが、それでも及ばず、構成団体配分金を御指摘のとおり前年度の7億5、000億円から2億円に、県への配分金は1億1、000万円に減額するということで補正予算が組まれ、1月28日に開催された競馬組合の議会において承認されたものである。配分金は本県予算において貴重な自主財源、一般財源であり、その大幅な減額は県としてまことに遺憾であると考えておる。競馬組合は独自の議会を有する独立した地方公共団体であり、県としての指導は極めて難しいものがあるが、構成団体配分金の重要性について繰り返し訴えていくとともに、競馬組合運営協議会等を通じ、組合に対する実質的な指導を強化してまいりたいと考えているところである。
 なお、9年度の配分金については、競馬組合に対して経営努力を重ね、8年度並みの配分金が確保されるよう申し入れるところであり、ゼロではなくて、県としては1億1、000万円の配分金を9年度の予算に計上したところである。
 次に、9年度以降の運営の見通しであるが、新競馬場建設にかかわる起債の償還は平成2年度から平成27年度までの間に行うことになっておるが、平成10年、11年にそのピークを迎えることとなっておる。9年度以降の運営の見直しについては、競馬組合では、こうした厳しい経営環境を踏まえ、事業の安定的な経営基盤を確立するために、昨年11月に組合内に経営改善委員会を設置し、組合の組織体制、業務執行、財務運営各般にわたる効率化、改善のための検討を行っているところであり、その中で今後の収支の見通しを含めた経営計画について検討しているところであり、夏ごろまでには結論が出ると考えているところである。
 それから、新聞に載った益なしという県民の声についてであるが、このような声が出るというのは、やはり競馬組合からの配分金が減少し県あるいは関係の盛岡市、水沢市の財政に与える影響が大きいということも背景の一つにあるのではないかと考えておる。基本的に、競馬あるいは競輪、競艇といったようないわゆる公営競技の開催が地方公共団体に許されているのは、その売上金の一部が地方公共団体の収入財源となって期待され、社会福祉の増進、医療、教育文化の振興に役立っているからであると思うわけである。県としては、競馬組合に対してその健全な公営競技としての運営が図られるよう強く要請していくとともに、県、市への構成団体配分金の重要性について組合に再認識してもらうよう繰り返し訴え、先ほど申した競馬組合運営協議会等の場を通じて、組合に対して実質的な指導を強化してまいりたいと考えているところである。

〇佐藤(正)委員 副知事、本当の原因は違うのではないか。本当の原因は、新競馬場の建設にあるのである。私は平成7年2月の予算議会において、今日の事態を予測して警告しておる。議事録を見ればおわかりのとおりであるが、原因は新競馬場のむだ遣いにある。当初230億円の見積もりが、前濱田副知事の答弁のとおりに総工費410億円に膨れ上がっているのである。その理由が、軟弱岩盤地層の発生に伴う工法変更、さらにはファンサービスの充実を図るためのスタンド施設の高度化のためとしてまた増額しているわけである。そのほかに1億300万円のスー・チン作なる油絵まで買っている。この購入についてもいまだはっきりしない。当時の濱田副知事は、私の質問に対してこのように答弁している。よく聞いていただきたい。当時の濱田副知事は、当初の計画に詰めの甘さがあったということは否めないと存ずる。いずれにしても、競馬の運営については、県民の批判を招くことのないよう適正に行っていく必要がある。県としても、構成団体の一員として適切な助言、指導を行ってまいりたい。このように、濱田副知事は、ずさんだということを認めているのである。であるから、このような事態になったのはだれの責任であるのか。県民の批判のないように助言して指導したいと明言しているわけだから、いかに助言したのか、この点について説明を願う。

〇吉永副知事 助言の仕方についてであるが、私どもは、競馬組合については、先ほど申したとおり、独立の地方公共団体であるという点は、これは否めず、独自の議会を持っておって、私どもは、例えばこの構成団体の運営協議会というものを開こうということで競馬組合にも強く呼びかけ、そういった私どもにできる力を振り絞ってこの競馬組合のあり方については指導をやっていきたいと考えているところである。
 それから、今、委員御指摘の点については、私もその建設費の問題あるいは絵の問題、その他については十分勉強して、建設費の問題について、濱田副知事が答えられた建設費の見積もり、その他について詰めの甘さがあったということは全く同じ考えを持っている次第である。今後については、例えば建設費については、公債費の償還といったようなことが委員が鋭く指摘されているとおり今後出てくるわけであるので、そういった中で、競馬組合の今後のあり方について、また、競馬組合の経営のあり方については県としてできる限りの指導を強めてまいりたいと考えている次第である。

〇佐藤(正)委員 わかりやすく、私は、今日の事態というのは新競馬場の建設にあるんだと、こういう甘さがあるからと、こう指摘しているわけである。あなたはそのことは認めるが、実際には不景気やなんかいろいろな原因があってこういう事態になったと、どっちであるのか。

〇吉永副知事 新競馬場の建設は、現在においてその償還計画については関係はしていると思うわけであるが、総工費があれほど膨らんだということ自体については、濱田副知事の答弁どおり詰めの甘さがあったと考えているわけである。

〇佐藤(正)委員 それでは、さきの本省通達についてお伺いする。
 ここに平成8年4月15日付、水産庁長官より岩手県知事あて海区漁業調整委員会の知事選任委員の選任について長官通達がある。そのうち、知事選任委員の人選については、平成8年9月議会において工藤篤委員が質問しておる。そこで、このS委員の内容を見ると、生年月日は大正10年1月4日生まれ、平成8年現在で九つの兼職を持っておる、審議会、委員会。8年はこのうち未開催が二つあり、本人欠席は3回となっておる。これは、さきの通達に反した委員であるが、あなたの御見解はどうか。

〇吉永副知事 海区の漁業調整委員会の知事選任委員についての水産庁長官の通達であるが、これは、委員御案内のとおり、前段において、選挙制による被選挙資格を有する者が知事選任になる者については、そういったものの是正に積極的に取り組まれたいということが本文に書いてあって、また、以下のところで、会議によく出席して、十分その職責を果たし得るよう、本人の健康状態及び出席状況に留意し、これに該当しないような高齢者または兼職の多い者は極力避けることと書いてあるとおりである。これについては、まず、事実としては、御質問の海区漁業調整委員の年齢は76歳である。兼職数もこれを含めて九つである。出席状況は、例えば63年から平成4年までの海区漁業調整委員会については、24回開催中、22回出席されておる。現在、八つの兼職の委員会等の出席は、6回開催中、3回。これが事実関係としてあるわけである。
 この通達であるが、この通達をよく読むと、例えば最初の被選挙資格のある者についての知事選任のところについては、是正に積極的に取り組まれたい、それから、年齢、その他のところについては極力避けることといった、非常に含みの多い表現になっているところである。私どもとしては、例えば委員御指摘のところについては、高齢者、その他のところについては、先ほど言った出席状況を見ると、本人の健康状態あるいは出席状況を勘案すると、十分にその責務を果たし得ると判断したわけである。通達の趣旨を踏まえつつ、かつまた当県が抱えておる国連海洋法条約への対応あるいは秋サケ等の魚価対策等、難問が山積しておる現在の状況を踏まえて、水産業振興を第一と考える県としては、これらの厳しい状況に対処できるように、長年にわたって本県水産業をリードし、かつ全国の漁業団体の役員も経験するなど、漁業に関し豊富な経験を有する方に対して人選を行ったところである。

〇佐藤(正)委員 次に、それではこのS委員に関連して、漁業権免許についてお尋ねする。
 今、私の手元に1通の投書が来ておる。私は、この漁業問題に余り詳しくないので、先般支給された議会の調査費--いろいろ書いている人がいるが--を使って調べたところ、どうも腑に落ちない、不思議な問題があるものだと思ってお尋ねをする。
 まず、定置漁業は、膨大な面積の漁場を独占的、排他的に使用するため、知事の免許が必要である。それは、公費によって増殖されたサケ、ヒラメ等を漁獲し、大変収益性が高く、経営希望者が多く、激烈な争奪が行われていると聞いているからである。そのため、漁業法では免許の手順について厳しい定めをしているようである。すなわち、適格性、優先順位がそれであり、海区調整委員会制度により公平、厳正に免許がなされる制度になっておる。したがって、海区調整委員が自分自身で免許を受けようとする場合、利害関係者なるがゆえに、最も慎重で厳正で適法なものでなければならないことは当然である。もしそこにいささかなりとも疑問があるとすれば、調整委員会制度の信頼はもとより、これを指名した知事の責任も重いと、こう思っておるが、どうであろうか。
 ところが、漁業法によると、定置漁業権の優先順位の第1は地区漁民の大多数が加入している漁業協同組合であり、第2は少数漁民で構成する漁業生産組合と定めているようである。本県で漁業生産組合を結成して定置漁業権の免許を受けているのは13組合と聞いておるが、その中の2つの漁業生産組合について質問をする。
 これは、投書によると、山田町内に住所を持つ山田定置漁業生産組合と山丸定置漁業生産組合である。前者の山田定置組合は山田町大沢8-53にあり、後者の山丸定置組合は山田町大沢8-46にある。8-53と8-46の地番は、実態は同一地内である。前者山田定置組合は氷場漁場、後者の山丸定置組合は松島漁場の免許を受けておる。前者山田定置生産組合の組合長はこのS氏である。理事は奥さん--妻である。ほかに理事が1名あるが、その監事3人はいずれもS氏の息子の嫁さんになっている。1人は盛岡市上田、1人は盛岡市長田町、1人は盛岡市名須川町に住む盛岡市民である。大体こういう組合は、大方の役員というのは地元に住居しているのが普通であるが、ここの組合の方は盛岡に住んでおられる。後者山丸定置漁業生産組合の組合長は、このS氏の妻--奥さんである。理事はS氏であり、他に1人理事があるが、監事3人は先ほどと同じ盛岡市民の息子の嫁さん3人になっておる。この2組合は別法人になっているが、夫と妻がそれぞれの組合長になり、しかも夫の住所が山田町大沢8-53、妻の住所が山田町大沢8-46となっておるが、その実態はどうであろうか。また、一族で組合役員を独占している弊害というのはないものであろうか、この点についてお尋ねをする。
 この二つの組合がそれぞれ海区調整委員会の了承のもとに知事から免許を与えられているようであるが、これは問題があるのかないのか。この免許により、公有する広大な漁場が独占的に排他的に使用権を与えられていることに当局は異存はないのか御見解を承りたい。
 次に、水産業協同組合法によれば、漁業生産組合は漁民が協同化して漁業生産を行う組織であるので、加入漁民の3分の2以上が組合の事業に常時従事すること、あるいは組合事業に従事する者2分の1以上が組合員でなければならないと厳しく制限をしている。調査によれば、この両組合は登録住所は別であるが、同一事務所で同一事務員によって事務が行われ、使用する漁船、漁具、漁網、倉庫も共同使用。何よりも問題なのは、就業するところの漁民も同一であるようであるが、したがって、実際は従業員自身も実態は同一経営である、こう見られるわけであるが、そのとおりであるのか。免許を受けるため形式上2法人をつくり、一方は夫、一方は妻が組合長になり、経営実態は同一ということになれば明らかに違法行為があるのではないかと、こう疑いたくなるのであるが、その点はどうであろうか。
 海区調整委員会は海の議会と言われ、行政権をチェックする機関と承知しておるが、このような人が海区調整委員でいることは公平さが保たれるのであろうか。県民から見てふさわしい人かどうかについてお尋ねをする。

〇吉永副知事 多くの問いがあったので、精いっぱい答えさせていただきたいと思う。
 まず、二つの漁業生産組合であるが、委員御指摘のとおり、組合員も役員の数も全く同一人の者が、住所を変え、その代表者だけを変えて二つ存在しているというのは事実そのとおりである。
 その役員、組合員が同じメンバーであるということについて、それがどうかということであるが、この本生産組合設立の根拠法である水産業協同組合法には、そういったものが同じメンバーであることや、あるいは一族であることを禁ずる規定があって(後刻「規定がないので」と訂正)、問題があるとは言えないわけである。また、監事の1人が、答えがいろいろ飛んで申しわけないが、監事の1人が盛岡在住者だということであるが、理事の場合は原則として正組合員であることが資格の要件になっておるが、監事についてはこの定めがない。そのために、監事についてそういう制限がない限り、家族等の親族あるいは盛岡在住者が選出されても、これは問題がないと考えるわけである。名前の違う二つの組織が、役員の構成、組合員の構成を全く同じで代表者だけを変え、住所を変えてあるというのは不思議な感じはするが、それがそのままおかしいとか、そういうことにはならないと思うわけである。日本は自由の国であるので、そういうやり方をやっているのは、例えば株式会社組織の場合においてもしばしば見られることではないかと考えておる。
 次に、こういう役員構成が同一である漁業生産組合への定置漁業権の免許についてであるが、本県の定置漁業権は95件あって、漁業協同組合が関係しているものが63件、漁業生産組合単独のものが11件、その他個人や株式会社にかかわるものが21件ということになっておる。定置漁業権の免許申請の手続は、漁業者、漁業協同組合、漁業生産組合などが自由な意思に基づき申請することができることになっておるけれども、委員御指摘のとおり、漁業法では免許に際しての優先順位が決められておる。地元の漁業協同組合、それから漁業生産組合、これは、この順序で他の者に優先して免許を受けられるということになっておる。当該この二つの山丸、山田両定置漁業生産組合は、平成6年3月に免許された。このとき免許された定置漁業権の地元組合は山田町であり、もし町内の漁業協同組合が申請すれば最優先となったわけであるが、このときは両生産組合以外からの申請はなかったので、この免許が下付されたのは何ら問題はないということである。
 また、この海区調整委員が公平さが保たれるかということであるが、私どもは、海区調整委員の選任に当たっては、現下のところで最もふさわしい方ということで選任したところである。

〇藤原委員長 執行部に申し上げるけれども、先ほど申し上げたけれども、簡潔明瞭に答弁を行っていただきたいと存ずる。

〇佐藤(正)委員 副知事、今のあなたの答弁は明瞭ではない、委員長が注意したとおり。問題があるから、ないからというのは、そこらあたりはっきりしていただきたい。何を言っているかさっぱりわからない。
 私の聞いているのは、要するに、海区調整委員会というのは海の議会であるから、そこで、海区調整委員をしている人が、夫婦、子供、家族でこういう組合の役員を独占していて公平さを欠かないのかということを聞いているのである。

〇吉永副知事 公平さは欠かないと考えておる。

〇佐藤(正)委員 それでは、あなたが今おっしゃた公平さは欠かないということが、これはすぐあしたから新聞に出るから、県民が何と言うか。そのときは責任をとっていただきたい。常識で考えて、二つの組合があって、夫婦、子供が全部役員を独占していて、公平は欠かないとあなたはおっしゃったんだから、言い切ったんだから、責任をとっていただきたい。
 次に行く、花巻空港についてお尋ねする。
 今まで年間50万人以上の旅客人員が見込まれる路線ということで頭を痛めてまいったが、7空整地方空港整備特別事業が新設され、知事初め、自民党議員も特に力を入れ、官民一体となって2、500メートルの滑走路延長にこぎつけたことは御同慶にたえない。みんなで協力すればできるものである。そういうことで、大変にいいことだと思っておる。
 そこで伺うが、御存じのとおり、山形と花巻を除くと東北の各空港はいずれも3、000メートルの国際規格である。今後の本格的な国際空港となると5、000メートルの滑走路と言われている。この花巻空港は、将来国際空港とするのかローカル空港なのか乗り継ぎ空港なのか、今まで工藤前知事、前小野寺企画部長もはっきり答弁しておらない。さきの久保田議員の質問に対して増田知事は、国際チャーター便の大幅拡大、国内路線の新設、増便への取り組み、これらの取り組みの成果が将来における問題の検討に役立つものと認識していると答弁している。将来の花巻空港の位置づけは何を目指しているのか、この際重ねて確認をしておきたいと思う。

〇吉永副知事 空港の問題について、国際空港あるいはローカル空港、どれに当たるかということであるが、法的な国際空港というのは第一種空港だと思うけれども、これには現在のところ三つの空港しかないわけである。ただ、今、国際線が入っていない伊丹空港が国際空港という名のままであるとか、そういった呼び方でもって空港を呼んでいくということには必ずしも意味がないと考えておる。
 花巻空港については、頭から名前をつけてこれをどうするということではなくて、ハード、ソフトの両面にわたって空港機能の充実強化を図っていって、その位置づけを浮き彫りにさせていく、そうしていくべきではないかと考えておる。
 現在の花巻空港においては、国内線で使用できる機材の大きさに制約があるほか、国際チャーター便が直行できるところもアジアの一部に限定されておる。これが第7次空港整備5カ年計画への組み入れで確定した滑走路の2、500メートル延長がなされると、国内線においてはボーイング747型、大型機の就航が可能になるほか、米国東海岸、西ヨーロッパ、アフリカ等、そういったところへダイレクトに行く直行便を除いたところ、ほかのところには全部運航が可能ということになる。このようなハード面の機能強化による効果とすぐれた立地条件を生かしながら、国内線と国際便の双方において輸送力の増強や運航拡大を図っていく。将来的には花巻空港は、国際定期便の就航も可能な空港という考えで環境整備を進めていきたいと考えているところである。

〇佐藤(正)委員 花巻空港に関する質問は、本会議だけでも平成6年から平成8年度までの3年間で各議員から17回行われておる。私自身も4回質問しておる。
 そこで、次の点について伺う。
 1、供用開始時50万人は本当に見込まれるのか。運輸省東北運輸局の昨年の発表によると、花巻空港利用客居住地は、盛岡地区32・6%、花北地区27・3%、県北久慈地区1%、県南西磐井地区3・1%である。
 2、平成10年度以降の着工となるが、国4割、県6割となると、滑走路だけで270億円プラス27億円、ターミナルビル、関連道路を含めると約500億円近くになる。9年度は8、000万円計上しているが、さきに県財政の際にも申し上げたが、7年度決算経常収支比率78・3%とボーダーラインに近づいている本県にとって平成10年前後にはかなり厳しくなると思うが、本当に大丈夫か。
 3、さて、国際空港となると、アクセス道路周辺には流通団地、空港施設など膨大な土地を必要とする。東側では圃場整備事業も進められておる。地元の花巻市企画部長は、地元の意見を聞きながら事業間の調整をどう進めるかが課題、こう述べておるが、いかがであろうか。
 4、最後になるが、他県他空港、特に仙台空港、青森空港と競合してまで優位性が保証されるのかどうか、その見通しについてお示し願いたい。

〇吉永副知事 まず、事業調整及び土地取得及び花巻空港とほかの空港との関係あるいは優位性についてまずお答えして、企画調整部長から人数についてのお答えをしたいと思う。
 まず、空港の位置づけについては先ほど申し上げたわけであるが、現在、飛行機材の性能向上ということがあって、現在において、もう1回繰り返すことになって申しわけないが、滑走路が2、500メートルに延長されると、花巻空港の規模でボーイング747の就航ができる。そして、関空、成田で現在運航しているようなところ、米国東海岸あるいは西ヨーロッパといったような直行便を除いて、ほかの地域は世界各国への国際便の就航は可能になる。県としては、こうした国際線におけるチャーター便の運航拡大を図って、将来的には定期便の就航も可能な空港としてやっていきたいと考えておるわけである。この点において、仙台や青森といったような、既に国際便の就航している空港と比較しても、基本的には遜色はないと考えている次第である。
 この2、500メートル延長についてのいろいろな環境整備であるが、既に地元関係者の了解を得て、平成7年3月より圃場整備に着手し、空港に隣接する区域の整備を今年度終了したほか、新たな県道となる空港アクセス道路あるいは花巻市が中心となって進めておる流通業務団地整備等と整合を図りながら調査、計画を進めているところである。今後においても、地元関係者からの御協力をいただきながら、平成10年度の事業着手に向け、全力を傾注していきたいと考えているわけである。こういうことをやっていくと、花巻空港は、新幹線あるいは高速道路との結節点という位置もあるし、ここに一つの流通業務団地とか、そういったものができていくと、北東北における21世紀の人、物、情報の交流拠点として北東北のゲートウエー的な役割が出てくるのではないかと考えている次第である。

〇武居企画調整部長 花巻空港の利用客の見込みについてである。
 県においては、御案内のように、国の第7次空港整備5カ年計画への花巻空港の組み入れを図るに当たって、運輸省が定めた需要に関する組み入れ基準の達成を最大の目標として位置づけ、特に大阪線に対する利用促進運動に官民一体となって全力を挙げてきたところである。その結果、今年度の大阪線の利用実績は、まだ最終的には出ておらないけれども、約24万人に達することが見込まれておって、最近で見ると、平成5年度が15万人で平成6年度が17万人を超え、平成7年度が22万人を超えるということで、ここ最近の話でも最近3年間で60%増と、全国的に見ても他の空港に見ない大幅な増加を記録しておって、私どもも概算要求の段階から国の運輸省等にいろいろ要望活動を行ってくる際にも、そういった点で大変いろいろと説得材料になったのではないかと考えているところである。その際に、利用促進に当たっては、いろいろ県議会の皆様方あるいは関係団体、その他いろいろと御協力いただいて、感謝申し上げたいと思っておる。
 大阪線を初めとする国内路線については、機材の大型化や増便あるいは新規路線の開設等を実現していく上で引き続き利用促進が重要な手段であるので、今後とも鋭意取り組んでまいりたいと考えておる。
 一方、5カ年計画への組み入れとの関係であるが、これは、御案内のように最終的に組み入れを実現することができたわけであるが、その後の経緯を申し上げると、運輸省において、計画策定の最終段階において、地方空港整備の必要性について、空港需要に関する、例えば何十万人以上でなければ絶対だめだというような、そういった画一的な基準のみで判断してきた従来の方針を転換して、各地方空港の機能の向上効果にも着目する方法も取り入れてまいったところで、例えば国際チャーター便の運航拡大等による地域の活性化であるとか、あるいは冬季の就航率の向上を目的とした滑走路の延長可能性、こういったものも勘案した地方空港整備特別事業というものを創設して、このため、極めて異例ではあるけれども、空港整備法を大幅に改正して、それで花巻空港が他の5空港とともにこの事業の対象として組み入れられたところである。
 先ほど申し上げたように、国内線の利用促進というのは、空港の機能強化の観点から今後とも継続してまいる考え方であるし、特定の需要見込みのみを基本的に前提としているわけではない地方空港整備特別事業、こういったもとで、今後、早期の着工を目指すためには、当該特別事業の趣旨に沿った環境整備に努める必要がこれから出てまいるので、今後は、そういった面から国際チャーター便の運航拡充、その他、さまざまな環境整備を一生懸命やっていきたいと考えておる。

〇藤原委員長 答弁する者に申し上げる。もう少し大きな声でお願いする。

〇大隅総務部長 空港整備の財政に与える影響についてであるが、従前型の5割から、今回は4割補助ということになった。少なからぬ財政への影響があるものと思うけれども、この事業を実現するために工夫を凝らし、中期的な事業でもあるので、影響をできるだけ及ぼさないような方法を工夫をしてこの実現に努力してまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 副知事、あなた大分疲れたようだけれども、青森や仙台に遜色ないと、あなたは事実そう思っているのか。
 ただいまの御答弁を伺っても、この財政難の中で500億円に近い膨大な投資をしてまでも花巻空港を強化する理由というのはまだはっきりしていない。県北、県南の住民にとっては果たしてこれが均衡ある発展の起爆剤になり得るのか、もう一度花巻空港のあり方を考える必要があると思う。
 ちなみに、この空港を利用する県民の所得は、平成6年調べ252万6、000円、全国37位、東北6県で5位である。ここで働く県職員の給料は平成7年4月現在全国33位、東北で3番目の安月給である。このような行き先の見えない空港拡大に膨大な経費を投入することよりも、まず、県民の所得向上、こういう施策を考えることが先ではなかろうか。私は、現状では花巻空港の将来の強化について反対である。
 次に、県立大学についてお伺いする。
 工藤前知事の最大の公約であり悲願であった県立大学も来年春の開校に向けて順調に推移していることに敬意を表したい。大学の顔とも言われる初代学長候補には世界の西澤と言われる西澤先生の就任が決まったことは大きな話題である。西澤先生は、開学に当たって、宮沢賢治の精神を広めるため、勉学の若者に賢治の精神をはっきりつかませたいと述べておられるが、宮沢賢治の精神を教えるには、岩手の大地、農業と切り離せないと思うし、岩手の基幹産業である。
 そこで伺う。
 1、農業に関する学部がないのは寂しいが、なぜつくらなかったのか。
 2、外国留学生の特典枠、受け入れを考えているのかどうか。
 3、今、少子時代で進学者が減っているが、ことしは隣県宮城県立大学が開校する中で、教授陣の充実、学部の時代の先取りがなければならない。教授の内諾を得たとのことであるが、現在までの分を発表していただきたい。
 4、知事は、定員の30%を推薦枠として県内高校出身者を優先すると述べている。特に問題は卒業後の就職であるが、もう一歩魅力ある大学とするには、卒業生の10%ぐらいは県職員として推薦就職を保証してはいかがであろうか。

〇千葉副知事 まず、県立大学の学部の関係であるけれども、県立大学は、社会的要請の高い四つの学部で構成することとしておる。農業に関する学部の設置については、岩手大学農学部と競合しないよう配慮した結果によるものである。
 次に、外国人留学生の受け入れについてであるけれども、県立大学の整備に当たっては、世界に開かれた大学として、外国人留学生の受け入れを初めとして、多様な国際交流を積極的に行うとともに、豊かな人間性と国際的な視野を有する人材を育成することが極めて重要な課題と認識しているところである。特に外国人留学生については、日本語教育の充実、教育研究面でのきめ細かな指導等、学生の国際交流に配慮した受け入れ態勢の整備や受け入れ時期、選抜方法について、現在、鋭意検討を行っているところである。
 次に、教員の確保についてであるけれども、教員の確保については、学長、副学長のほか、学部長等の主要教員については各先生方から就任の内諾を得ているところである。一般教員については、教員配置計画でおおむね最大230人程度の専任教員を確保する必要があると考えておるけれども、これまでの教員確保の状況は、確実に就任の内諾を得た教員予定者が採用予定数の半数を超えた120人程度となっているところである。教員は、各学部ごとに、教授等の中心となる教員から確保しているところであるが、内諾を得た教員の内訳は、教授が採用予定数の7割を超えた70人程度、助教授と講師の合計で50人程度となっており、助手を除く講師以上の専任教員で採用予定数の6割を超えた状況となっているところである。なお、内諾を得た教員のほか、折衝中の有力な先生を含めると、全体では7割を超えた170人程度の状況となっているところである。
 次に、卒業生の進路であるが、県立大学は、地域社会への貢献を大学の基本方向の一つとしているところである。したがって、県立大学のそれぞれの学部で育成する有能な人材が社会における実践的な対応力を身につけて、県あるいは市町村の職員として地域の発展を支える原動力となるよう、強い期待を抱いているものである。

〇佐藤(正)委員 私の計算によると、看護学部の卒業生は、第1回卒業生を出す平成14年3月には過剰になる、こういうふうに計算されるが、どうであろうか。
 次に、特定産業集積活性化法案についてお伺いする。
 北上川流域において集積する工業地域のより一層の活性化を図るために、私は、この法律に基づく指定を受けるべきものと考えるが、本県の取り組み状況はどのようになっているのか。
 また、県は、集積地域等を定めた計画を策定しなければならず、特に国の地域指定要件はどのようなものになっているのかお尋ねしておく。
 あわせて、国は、全国約20カ所程度の指定を見込んでいるようであるが、本県が手を挙げるとした場合に、その候補地域はどのように想定しておられるのか。私は一関地区が最適地と思われるが、いかがであろうか。

〇千葉副知事 看護職員の需給の見通しであるけれども、これは、国の需給計画に合わせて策定してきているところである。現在の見通しは平成3年に策定したものであるが、その期間は平成3年から12年までの10カ年となっているため、県立大学が第1回生を輩出する平成14年3月の時点における需給バランスについては、現在のところ正確な見通しを持ち合わせてないところである。しかしながら、この需給見通しにおける計画値とこれまでの実数値と比較すると、ほぼ見通しどおりに推移してきているところである。また、平成14年3月の時点では、県立衛生学院の看護学科等を段階的に廃止して、県立大学の卒業生数に見合う分の減員調整を行うこととしているところである。
 また、今後、高齢化社会の進展等によって、訪問看護ステーションや在宅介護支援センターなど、看護の職域は一層拡大していくものと見込まれているところである。したがって、平成14年3月の時点においては、現在の見通しの最終年である平成12年の状態からそう大きな変動はなく、需給のバランスはほぼ均衡しているものと考えているところである。

〇吉永副知事 特定産業集積活性化法案についてお答えする。
 この本施策の本県への導入については、アイデアの段階から国に強く働きかけ、昨年末の平成9年度政府予算案に対する統一要望において最重点項目として要望するなど、これまでも積極的に取り組んでいるところである。去る1月31日に閣議決定された特定産業集積の活性化に関する臨時措置法案によると、委員御指摘のとおり、県は、国が定める指針に基づき、基盤的技術産業が集積し、かつ自然的、経済的、社会的条件から見て一体的な地域を対象に計画を作成して主務大臣の承認を得るということになっておる。国のこの地域指定要件については、まず、指針について示されるものであるが、その具体的内容については、現在のところまだ明確になっているものはない。本県の候補地域については、基盤的技術産業の集積状況を勘案しつつ、北上川流域地域ということで国に要望しているところであるが、具体的にこれがどの範囲かといったようなものについても、国の定める指針の策定状況を見きわめながら検討してまいりたいと考えているところである。

〇佐藤(正)委員 そこで一関地域と言えばもう終わったんだけれども、ひとつ頼む。
 以上をもって質問を終わる。御答弁並びに御清聴ありがたかった。

〇菊池(雄)委員 社民党を代表して、本県の経済と財政の現状と問題点についてお伺いをする。
 まず、経済であるけれども、先般、県は、平成6年度の県民所得及び市町村民所得を公表した。この報告書は、次のような特徴を持っていると私は思う。一つは、1人当たりの県民所得は252万6、000円、国民所得の84・7%、東京都民の約半分、都道府県では37位、依然として下位グループにある。しかし反面、この年度の県民総生産の前年対比の伸び率は名目で5・3%、国の伸び率が0・4%であるから、かなり高い水準である。このような傾向はこの年度だけではなくて、1990年代に入って持続しているわけである。例えば1991年--平成3年度であるけれども、名目成長率は5・6%で、全国で5番目の高成長県になっている。政府の工業統計調査では、製造品出荷額の対前年増加率で、電気機械では岩手県は全国で平成4年が7位、平成5年が5位、平成6年が2位、こういうふうに上昇しているわけである。1980年代には、以前には考えられなかったけれども、今、こういう数字があらわれてきている。このように、本県の経済の高成長を持続させたのは、製造業、特に電気機械などの工業出荷額である。この認識は間違っていないと思うが、この傾向の中長期の展望についてお伺いをする。

〇千葉副知事 近年の本県経済について、その特徴的な動向を県民所得推計結果から見ると、製造業については全国の製造品出荷額が平成4年から3年連続で減少している中で、本県は国を上回る伸びを示しておる。特に、平成5年、6年については、電気機械等の加工組み立て型産業が好調であったほか、建設業については、4年以降の景気回復に向けた一連の経済対策の効果によって、公共工事や住宅建設が堅調であったことが考えられる。その結果、4年度以降3年連続で国の経済成長率を上回ったところである。
 なお、昨年の国の経済審議会、産業構造審議会において相次いで中長期の経済見通しの試算結果を公表したところであるが、今後の行財政改革、経済構造改革、社会保障構造改革など、いわゆる構造改革の進展度合いによってさまざまなケースに分けて試算されているところである。本県経済もこれらの構造改革の進展度合いによって大きく変化するものと考えられ、現段階で中長期の経済を見通すことは極めて難しいものと考えているところである。

〇菊池(雄)委員 次に、平成6年度の県民分配所得であるけれども、名目で3兆5、763億円、これは前年度対比3・6%の伸びであるが、このうち、平成6年度の分配所得のシェアは、雇用者所得が65・7%、財産所得が6・5%、企業所得が27%、こういうふうになっている。企業所得が前年対比14・7ポイント増と異常に伸びたが、雇用者所得はわずか1・4ポイントで、構成比も伸び率も企業所得が大幅にふえ、雇用者所得が減少しておる。この原因と問題点は何かということをお伺いする。

〇千葉副知事 平成6年度の県民所得推計において企業所得が伸びている原因であるけれども、製造業については、本県の製造品出荷額が全国を上回る伸びとなっており、また、建設業も住宅建設などが引き続き好調であったことなどにより堅調な伸びとなっているなど、全国と比較すると、製造業や建設業において活発な企業活動が行われたことによるものと思われる。また、農業が米の豊作により回復したことを背景に、個人企業所得が大幅な増加となったことによるものと考えるものである。
 次に、平成6年度の雇用者所得が低かった原因であるけれども、雇用情勢など、さまざまな要素が考えられ、特定することは困難であるけれども、全国的な傾向として、いわゆるバブル経済崩壊後、賃金の伸びが従来に比較して低率で推移してきており、6年度においても同様の傾向が見られたということである。

〇菊池(雄)委員 雇用者所得は以前は70%近くの構成比があった。それが65%台に下がったということは問題ではないかと私は言っておる。
 本県経済は、光と影を持っておる。端的に申し上げると、2次産業と3次産業が伸びて1次産業が落ち込んでいるということである。一つの象徴として、県内の工業団地の造成及び活用の状況を見ると、平成7年3月末で造成された工業団地が約1、800ヘクタールで、広域生活圏別に見ると、盛岡、岩手中部、胆江、両磐などの4地域、つまり北上川流域は1、500ヘクタール、約83%である。気仙、釜石、宮古、久慈、二戸、つまり県北・沿岸部は約300ヘクタール、わずか17%で、分譲率も岩手中部、胆江、両磐は65%台であるが、県北は28%、沿岸は38%である。この工業導入の進捗と並行して関係市町村の純生産と1人当たりの市町村民所得が伸びているわけである。そして、この傾向は、さっきも部長の答弁にあったように、バブルの崩壊後に特に着実に伸びている。最近、あるテレビ局がこの岩手の北上川流域を中心とした工業導入の展開を特集して、これは一時的な現象ではなく構造的なもので、今、我が国で進行している産業の空洞化に歯どめをかける現象として注目をし、特に部品加工、修理部門での中小企業の健闘を紹介しておる。これは光の部分であるが、このような状況と展望を県はどうお考えになっているか。

〇吉永副知事 工業用地、その他において北上川地域と県北・沿岸地域との間に格差があるという問題については、まず、その工業用地の面積が県北・沿岸地域に少ない理由としては、従来から北上山地が南北に連なっているという地形的条件から大規模な面積を確保できなかったこと。また、どちらかといえば第1次産業を重点とした産業振興が図られてきたといったことが言われておる。また、分譲率が少ない理由としては、高速交通体系のおくれ、地理的な条件、そういったことから、残念ながら企業の立地化が思うように進まなかったということがある。ただ、ここ3年を見ると、県全体から見た同地域への立地割合が高まってきておる。平成3年から5年度までは全体の中での県北・沿岸のシェアは19・4%だったのであるが、平成6年から8年度までは29・6%に上がってきておる。しかし、格差があるというのは事実である。今後、県としては、例えば久慈、二戸両拠点工業団地の整備を促進するとともに、県北・沿岸地域等の市町村を対象とした企業誘致のための助成制度として、本年度新たに創設した企業立地促進奨励事業費補助金を活用して、既に設定しておる工場適地、農工団地への企業の新たな導入、あるいは最近一つの傾向としてある2次展開といったものを促進して分譲率の向上を図ってまいりたいと考えているわけである。
 また、企業が立地しやすいような環境づくりのため、おくれていた都市基盤や交通体系の整備、情報の格差是正等を積極的に進めてまいりたいと考えているところである。

〇菊池(雄)委員 影の部分は1次産業である。平成6年度、本県の農業は、前年の異常な冷夏による減収を大幅に回復したけれども、県内総生産が約4兆5、000億円であるのに対して農業の総生産は約2、200億円であるから、構成比はわずか5%にすぎない。ちなみに、冷夏であった前年度の構成比は3・2%である。水産業は約380億円で、県内総生産に占めるシェアはわずか0・8%である。そして、水産業の平成6年度の総生産の前年対比の伸び率はマイナス17%である。平成5年度の前年対比の伸び率もマイナス7・9%である。これは、サケや養殖業におけるホタテの値崩れ等もあったと思うけれども、異常な低成長である。しかも、農業も漁業もこれからよくなるという先が見えない。また、本県の平均的な販売農家所得では、農業依存度は平成7年度22・5%、4分の1以下である。70%以上は農外所得だと。それからまた、平均的な漁家収入も同年度漁業依存度は40%で、60%が漁業外所得である。この厳しい現状を踏まえて、農業や漁業が本県の基幹産業だとか主産業と言ってもむなしさを覚えるだけである。この現状と展望についての認識をお伺いする。

〇吉永副知事 農業と漁業と両方であるが、例えば農業については、本県の産業の純生産に占める農業の割合は、委員御指摘のとおり全体では5%であるが、これを市町村別に見ても1番最大のところで23・5%、最小のところは0・4%といったようなものである。同じように、漁業を同じような数字で見ると、全体では御指摘のとおり0・8%である。ただ、漁業の場合は、沿岸14市町村の中で見ると、これは18%という数字になって、漁業は沿岸地域においては基幹産業である。また、農業も、例えば就業者について見ると、当県の就業者数は産業全体の15%、11万人が従事をしておって、これはサービス業、卸小売業、製造業に次いで第4位である。また、農業について、農業生産の61%を占める中山間地域で見ると、農業の就業者数割合は20%、最も高いところは43%になっておって、この点から見ても農業あるいは漁業というのは我が県の基幹産業として考えているところである。
 また、農業、漁業ともそれぞれ非常に重要な産業であって、農業については県土の環境保全機能等、いろいろな役割がある。農業については、今後とも野菜、花卉等の園芸部門を戦略作物に位置づけるほか、米あるいは畜産部門の効率的な生産体制の整備、その他で私どもいろいろな新たな需要を掘り起こしつつ、農業生産の拡大、それを通して農業所得の向上ということを図っていきたい、一生懸命やっていきたいと考えておる。また、漁業についても、漁業生産を拡大させ、それが漁家所得の向上を図る道だと考えておって、秋サケの価格対策等を強力に進める等、また、つくり育てる漁業の推進、その他を一生懸命やって、やはり漁業所得の向上に努めてまいりたいと考えているところである。

〇藤原委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩をしたいと思う。菊池雄光委員、御了承願う。
   午後2時58分 休 憩
 
   午後3時18分 再 開

〇藤原委員長 休憩前に引き続き会議を開く。

〇菊池(雄)委員 吉永副知事、先ほどは岩手県のある部分、農業、漁業の生産高のシェアは高いと、これは当たり前である。私は岩手県全体のことを言っているわけである。それで、県は5年ごとに産業連関表というのをつくっているわけである。直近のものは平成7年3月に平成2年分--これは暦年であるけれども--を公表しておる。これは、それぞれの産業の生産が他の産業に波及する係数などを調査したものであるが、これを見ると、35の産業分類でこの生産波及の大きさは約1・3であるが、農業、水産業は1・2と平均を下回っていると、こういうことである。私は随分、農業、水産業、陰の部分を強調したけれども、これは農業や漁業がだめだということではなくて、頑張ってもらいたいと、こういう意味で申し上げていることである。
 それから、本県の平成7年2月の農家数は約10万戸ある。うち、専業農家は約1割、圧倒的に兼業農家、2種兼業が多いわけである。漁家もそうであるが、農家の農外所得は圧倒的に雇用者所得が多い。これは間違いない。したがって、無理に農業の規模の拡大を図ると、こういうのではなくて、農村地域に工業導入などを図ってそして雇用者所得を拡大させると、これとミックスして農業の経済を安定させ農業を守ると、こういうことが現実的で戦略的な課題ではないかと、こういうふうに私は思うが、いかがであろうか。

〇吉永副知事 農村地域に工業導入を図って全体として農家所得の向上を図るという委員の御指摘はそのとおりと考えておる。農村地域における工業導入については、昭和46年に施行された農村地域工業導入促進法に基づいて、市町村や業界と連携して地域社会、自然環境との調和に配慮しながら企業誘致を進めてきているところである。その結果、平成8年の3月現在で314の企業が操業し、2万2、000人の雇用が図られているところである。地域で生産される農産物の付加価値を高めるために、また、農家や農業協同組合あるいは第3セクター等で加工を行っている事業主体は108あり、その販売額は43億円に上るとともに、1、000人の雇用機会を生み出しているところである。また、最近は農村女性起業グループによる加工販売活動等も活発になっているところである。県としては、今後とも農業の振興はもとより、農村で生まれた加工産業に対しても技術の高度化あるいは施設の整備等を積極的に支援し育成するとともに、また、企業誘致にも努め、両者が共存することにより、農村で安定した就業の場と所得の向上が確保できるように頑張ってまいる所存である。

〇菊池(雄)委員 県内の格差も依然として拡大基調にある。代表的な幾つかの部門の数値を広域生活圏別に申し上げると、人口であるけれども、これは昭和50年を100として平成7年度の盛岡生活圏人口は21%も増大しておるが、釜石生活圏では21%逆に減少しておる。二戸、久慈、宮古、気仙、両磐の生活圏は軒並み減少しておる。それから、市町村民所得も平成6年度で盛岡生活圏は1人当たり平均を15%上回っておるけれども、二戸地区は18%も下回っておると。それから生活保護率では、1、000世帯当たり、平成6年度県平均が11世帯で、盛岡生活圏が8・8世帯であるけれども、久慈地区が19・9、約20である。それから宮古・二戸地区が17・3と、差が非常に顕著である。それから本会議でも取り上げられたけれども、医師が人口1万人当たりで盛岡が26人、久慈が8人、約3分の1というように差が顕著である。若者の地元雇用についても、平成9年1月末現在、ことしであるけれども、高校生の同一職業安定所管内に就職が内定している者の割合は、盛岡が76%、釜石が28%、こうなっておる。このような数値を見て感想と対策をお伺いする。

〇千葉副知事 県内における人口や所得の格差についてはいろいろな原因があろうかと思う。しかし、基本的には自然的、社会的な条件によって地域ごとに産業構造に違いが生じ、その結果、就業機会や所得水準の格差となってあらわれているのではなかろうかと考えているところである。このような格差を是正して県土の均衡ある発展を図るため、地域間の連携、交流を支える高速交通体系を軸とした広域ネットワーク等の基盤整備を積極的に進め、さらには産業の高度化と就業機会の確保に努めるとともに、都市機能の強化と居住環境の整備を進めるなど、各分野にわたる施策をきめ細かく推進してまいることが必要であると考えておる。平成9年度においては、東北新幹線盛岡以北や東北横断自動車道、三陸縦貫自動車道の建設促進、新交流ネットワーク道路整備事業の推進など、交通基盤の整備を積極的に進めるとともに、地理的、地形的なハンディキャップを克服する高度情報化に対応した各種の施策に鋭意取り組んでまいりたいと考えているところである。また、産業面では、各種の中山間地域振興対策、魚類栽培事業の推進など、漁業振興、優遇措置を活用した優良企業の導入促進、三陸地域への観光客誘致促進などを展開してまいりたいと考えておる。また、下水道整備の促進を図るとともに、久慈病院など県北沿岸地域の県立病院の整備などによって、地域の生活、居住環境の充実に努めたいと考えておる。このように、今後においても産業の振興と県民生活の向上の両面から、各般にわたる施策を積極的に推進してまいりたいと考えておるところである。

〇菊地(雄)委員 それでは、地域間の格差解消のために特に三陸地域振興を中心に二、三お伺いをする。
 格差は先ほどもお話しあったように地理的な条件もあるが、第1に、北上川流域と三陸沿岸の経済活動に密着した社会資本、つまりインフラストラクチャーの格差が挙げられるわけである。特に高速道路、鉄道などでは、昭和53年に東北縦貫道が盛岡から東京圏まで供用が開始をされ、東北新幹線は昭和57年から盛岡-大宮間が開通された。つまり、県央内陸部は高速交通時代から十数年を経過しているわけである。今、沿岸部にようやく三陸縦貫自動車道が着工されると、あるいは東北横断道も、先般、基本計画線や整備線に格上げをされたと。新仙人道路の着工など、ようやく高速交通時代の幕開けを迎えようとしているわけである。県もこの実現に向け積極的に対応しておる。しかし、これが供用開始をされるのは一体いつなのだろうか。これが三陸沿岸住民の切なる願いである。この見通しを伺いたいと思う。この事業は、県でなく国の事業であることも承知しておるが、県政の最高のブレーンとしての担当副知事からその展望と決意をお伺いいたしたいと思う。

〇吉永副知事 高規格幹線道路は二つあるが、まず東北横断自動車道釜石秋田線については、その完成時期については、北上ジャンクション-秋田南インターチェンジ間については、本年夏ごろの予定と伺っておる。釜石-花巻間については、昨年12月27日に開催された第30回国幹審--国土幹線自動車道審議会で宮守-東和間23キロが整備計画に、釜石-遠野間24キロが基本計画にそれぞれ格上げされたところである。この区間は、今後、事業熟度の進展に応じ順次整備を行うこととなっており、現時点では路線全体の完成時期は明確になっておらない。
 次に、三陸縦貫自動車道については、現在大船渡三陸道路、山田道路で工事中であり、本年2月5日に三陸町-釜石市間15キロ及び気仙沼市-陸前高田市間14キロが基本計画に、釜石市-山田町間23キロが整備計画にそれぞれ格上げされたところである。このうち、大船渡三陸道路及び山田道路については現在60%程度の進捗状況となっており、国ではこれらの区間が平成10年から始まる次期道路整備5カ年計画期間内の供用を目指しておると伺っておるが、全線にわたる完成時期については東北横断自動車道同様に明確になっていないのが現状である。国では、こうした2種類の高規格幹線道路のネットワーク全体の供用は21世紀初頭、2010年から2015年ということを目標としておる。最近、公共事業を取り巻く環境は極めて厳しいものがあるが、県としてはこれら道路の重要性にかんがみ、その早期完成を目指し、引き続き事業主体である日本道路公団あるいは国に対して強力に要望してまいりたいと考えているところである。

〇菊池(雄)委員 第2に、三陸には海洋がある。海洋は水産業だけではなくてエネルギー効率の高い大量輸送機関である海上輸送の航路となり、港湾の機能を果たすことができる。そしてその貨物を加工し流通する2次、3次産業の展開を可能とする。本県には4つの重要港湾が存在し、それぞれ船舶を係留するバースや工業用地などが造成されておるけれども、しかし先行投資であろうが、もう少しこれからの県内の産業の展開、陸上輸送ルートとの整合性を図って各港湾の特性、連携など、総合的、計画的な港湾の造成を進めるべきではないであろうか。特に、新しい県の総合発展計画が今つくろうというこの時期に、最初にバースや工業団地ありきではなくて、内陸で生産された物資あるいは原料をどの陸上ルートを使ってどの港湾で輸出入をするのか、その数量はどの程度か、そのためバースや陸上施設はどの程度必要なのかと、こういったような新しい発展計画と整合性のある港湾開発を展開するべきではないかと思うが、いかがであろうか。

〇吉永副知事 これまで、港湾整備については県及び地元市の総合発展計画等と整合をとりながら、物流拠点あるいは産業基盤として沿岸地域の振興を図るために整備を進めてきたところである。近年、御指摘のとおり、県内陸部の企業の立地の進展によって、物流内容等も変わってきておる。内陸部と沿岸地域を結ぶ東北横断自動車道や、沿岸の地域間を結ぶ三陸縦貫自動車道等のそういった幹線道路網の整備も進められているところである。さらに、国内においては物流における海上輸送と陸上輸送の連携による複合一貫輸送といったようなことも推進されるなど、そうした輸送体系そのものの変化が見えてきておる。このような状況を背景にして、今後、大きく変化する県内物流の実態あるいは港湾に対するニーズ等的確に把握して、また、高速道路網の進展による広域的な連携を視野に入れつつ、そういったものを港湾計画に反映させながら、港湾整備に取り組んでまいりたいと考えているところである。

〇菊池(雄)委員 次に、総合保養地域整備法の、つまりリゾート法の制定以降、本県は大変な努力をして平成元年3月にさんりく・リアス・リゾートの基本構想の承認を受けた。あのころ、お互いにこの構想の実現に大きい期待を持っておったが、残念ながらこのプロジェクトは計画倒れに終わるのではないであろうか。もともとこの発想は、我が国が国際的に内需の拡大や労働時間の短縮を迫られ、長期滞在型の観光、レクリエーションやリゾートをつくりつじつまを合わせようとしたわけであるが、バブルの崩壊もあった。そんなに多くのリゾート地域をつくっても客が来るものではないと思う。さんりく・リアス・リゾートでは、今、七つの重点整備地域がありそれぞれ事業計画を立てておるが、もはや全く実現できない地域もあるわけである。このリゾート構想は白紙に返して撤退をして、市町村が独自性のある観光やリゾート開発に転換をさせると、そうすべきではないかと私は思うが、いかがであろうか。

〇武居企画調整部長 三陸沿岸地域においては、恵まれた自然環境、歴史・文化遺産あるいは豊かな農林水産物の資源、こういったものを有しており、リゾートの先ほど時代背景について委員御指摘あったけれども、その時々で社会経済情勢は違うけれども、このリゾートの理念を生かして地域の特性を最大限に生かすリゾートの構想というものは、地域活性化の重要な戦略の一つであると考えているところである。同構想のおのおのの重点整備地区においては、例えば釜石市の根浜シーサイドパークであるとか大船渡市のおさかなセンターなど、それぞれの特色ある施設が整備されてきているところであるが、そういったもの以外にソフト面で、例えば住田町のスターうおっちんぐであるとか陸前高田市の全国太鼓フェスティバルなど、全国的にも有名なイベントが育成されてきているところである。本県のリゾートの推進というのは、大手資本の誘致のみに依存する短期的な集中投資型でないものであるから、特に地元資本を中心とした地域主体の手づくり開発方式というもので、地味な部分はあるけれども、長期的視野に立って現在の構想を着実に推進していくことが重要ではないかと考えているところである。今後においては、特に施設の整備を単に進めればいいということではなく、自然環境であるとか歴史的な遺産を生かし、リゾート地域にふさわしいような景観形成を意識した総合的なまちづくりが必要になってこようかと思うし、さらに最近商工労働部の方でも魚菜王国、地元と一緒になって魚菜王国ということで大変力を入れておるけれども、そういった観光分野との協調であるとか、農林水産資源を生かした特産品の開発であるとか、あるいはJR、三陸鉄道とのイベント共催など、地域づくりにかかわる、地域に根差したそういった事業をいろいろ展開していく必要があろうと思う。さらに、私どもの所管しているところの地域活性化事業調整費、こういったものもあるが、こういったさまざまな事業を活用して特色あるソフト施策が各地域において展開されることにより、それぞれの単発の施設整備ではなくて、相互にネットワークが強化され、同構想が一層推進され全体として地域の活性化が図られるように努めてまいりたいと考えておる。

〇菊池(雄)委員 今言ったように、七つの重点整備地域、その中のメーンになるものでもう既になくなったところもあるわけであるから、それはやっぱり見直しをしなければならぬと思う。
 それから、これ六、七年前であるけれども、リゾート法制定のころに、宮崎県の日南海岸リゾート構想を県議会の特別委員会で視察をし説明を受けた。昨年、土木委員会の視察で、この宮崎県の地元経済界が参加してつくった第3セクターの設立するリゾートライフ、シーガイアを視察した。すばらしい施設だなと思っておったが、その後いろんな情報を入手してみると、今500億ぐらい赤字があってにっちもさっちもできないと、こういう状態にあると。陸前高田のキャピタル1000もあるが、他山の石としてもう一遍洗い直してみる必要がある、このリゾート開発というのは、そのことを私は申し上げておきたいと思う。
 沿岸県北の工業導入については、先般、一般質問で商工労働部長から答弁があった。一層の努力をお願いしたいと思う。
 少し観点が違うが、今度盛岡生活圏に県立大学をつくると。先ほど佐藤委員からもお話しあったが、三陸沿岸にも一つぐらい学部をつくってもいいのではないだろうか。例えば海洋学部。釜石には、我が国でもすぐれた県の水産技術センターがあると。すぐ隣には農水省や通産省がバックアップしている試験研究施設もある。このゾーンは市の都市計画でも研究開発ゾーンということになっておる。風光も明媚であるから、ぜひ海洋学部をつくってもらいたいと思うが、いかがであろうか。

〇大隅総務部長 県立大学の設置に当たっては、進学希望者や産業界のニーズを踏まえて社会的要請や地域における人材育成の必要性から、御案内の四つの学部を設置することとしたものである。また、進学率や18歳人口に対する県内大学への入学者の割合、いわゆる収容力及び大学進学者の県外流出の状況など、本県の高等教育機関の整備状況を踏まえ、進学機会の充実を図り、県内において優秀な人材の確保に努めるため入学定員は440人、収容定員では1、840人としており、この大学の規模は近年では極めて大規模の大学として整備するものである。文部省においては、18歳人口が今後大幅に減少するということから、大学学部の新設は原則として抑制するという方針をとっておるところであり、県立大学の認可申請に当たっては、この計画どおりの認可が得られるよう、現在、全力を挙げて取り組んでいるところである。県立大学整備事業は、まずもってこれらの構想の実現を図ることが当面の課題であると考えているところである。

〇菊池(雄)委員 そんなかたいこと言わないで、ひとつよろしくお願いする。
 それから、次、財政についてお伺いするけれども、これ質疑の流れから言って、前の委員の方と重複する部分があるが、委員の方には御了承願いたいと思う。
 借金を抱えた財政から借金に抱えられた財政という憂慮すべき時代になった。国はもちろんであるが、地方財政の赤字、借金、これを加速させたのは私は二つの要因があると思う。
 一つは、昭和50年の年度途中に地方財政に約2兆1、000億円の財源不足が出た。以降、昭和63年までこの財源不足が続き、政府はこの対策として、おおよそ地方交付税特別会計からの借り入れと地方債の増発で賄ってきた。それが一つである。第2は、昭和60年代になって急激な円高となり、内需拡大に迫られ、それに景気浮揚対策が加わって公共事業、地方単独事業などを地方自治体が借金をしてやらせられると、こういうことになったと。この二つが借金がふえた私は要因だと、こう思っておる。間違いがあったら御指摘をしてもらいたい。であるから、責任は専ら政府の政策、財政対策にある。ここ数年間の財源不足も5兆とか6兆とか規模が大きくなってきて、しかも持続しているわけである。地方交付税法の第6条の3第2項の規定によれば、このような場合、制度の改正もしくは税率の引き上げを行わなければならない。国会の審議なんかでも、交付税法第6条3の2項にある交付税率の変更を必要とする財源不足の額は交付税総額の1割である。ことしは15兆であるから1兆5、000億であろうか、とっくに超えているわけである。年限は3年以上だと、3年どころじゃない、十数年ずっと続いているわけであるから。税率の引き上げはかなり前にやらなければならなかったはずである。この税率を上げないで、今、小手先のことをやってきているというところに問題がある。この交付税率の引き上げのために、あるいは制度の改革について県あるいは地方6団体などはどのような動きをしてきたのであろうか。そして見通しはどうなのであろうか。

〇大隅総務部長 地方財源不足対策としての地方債発行を回避して地方交付税の確保を図るということについては、地方6団体でも国に要望をいたしておる。具体的には、昨年12月3日に地方6団体による総決起大会を開催し、交付税率の引き上げ等により地方交付税の所要総額を安定的に確保するよう決議し、この旨国に要望いたしておる。また、全国知事会においても、交付税特別会計が多額の借り入れを余儀なくされている現状にかんがみて、地方交付税率の引き上げ等により、地方交付税総額の安定的確保を図るよう国に要望したほか、その他の団体においても交付税所要額の確保について要望しておる。県としては、引き続き知事会等を通じて交付税率の引き上げ等により、地方交付税総額の安定的確保を図るよう要望するが、また、現在地方分権推進委員会においては、国と地方の財政関係を見直すことにより、地方分権の推進を図るため、平成8年5月に補助金税財源検討グループを設置して検討を進めており、この中では地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保についても検討課題としておることから、県としては地方分権推進委員会に対して、本県を初めとした地方公共団体の考え方が反映されるよう、強く今後要望していく考えである。

〇菊池(雄)委員 私、一番問題だと思うのは、地方交付税は御承知のとおり国税3税、それに最近は消費税、たばこ税の一定割合を調整財源として地方に交付し、地方はこれを一般財源として自主的な判断で使うことができると。いわゆる地方固有の財源であり一般財源である。それが最近では、地方債や国庫補助金のような形で特定財源化しているところに問題があると思う。今、地方分権委員会の財源対策についてもお話しあったけれども、やっぱり特定財源じゃなくて、一般財源をこれからふやしていくと、そして地方自治体が自由に使えるように財源化していくということが私は必要だと思う。今のやり方では、これは明らかに地方自治の後退だと、こう思うがいかがであろうか。

〇大隅総務部長 この一般財源いわゆる交付税等がいわば特定財源化しているのではないかというお話であるけれども、お話の御趣旨はわかるけれども、地方交付税は基本的に客観的な指標をもとに配分されておる。財政力の弱い団体においても、河川とか港湾とか大規模な公共事業が行えるよう、従来から、現実の事業費を反映させる事業費補正等を加味して算定されておるわけである。また、最近においては、地方公共団体において地域の特性を生かした多様かつ個性的な地域社会を形成するための多様な財政需要への対応が求められており、このため、地方交付税においても各団体におけるこれらの財政需要をより的確に反映させるため、従来のような客観的な指標によるいわば静態的、あるいは画一的な配分方式に変え、地方公共団体が地域の実情に応じて行う単独事業に係る現実の事業費を反映させるような動態的な配分方式を加味するようにしてきておる。このことにより、財政力の弱い団体でも単独事業を推進しやすくしておるものである。地方交付税はまた地方の団体固有の財源であり、使途が制限されていないような一般財源であることは変わりがないわけであるので、その補助金とは根本的に異なるものと申し上げざるを得ない。

〇菊池(雄)委員 土木費の中に、地方特定道路とか地方特定河川とかという事業があるであろう。あれの中には15%交付税を充当すると。あとは8割ぐらいは起債でと、そしてその支払う償還のときに半分は交付税で見るのだと、こういったようなことであるが、その15%の財源というのはつまり補助金みたいなものであろう、これ。そういうのは私は専らおかしいと思う。
 いずれ、それは後からまたいろいろ議論することにして、財政に借金がふえ続けてきてから、財政のルールとか秩序といったようなものが乱れてきているようである。かなり前であるが、自治省などは公債費比率、これは公債費の一般財源に占める割合であるが、10%を超えると赤信号だと、こう言ってきた。本県は平成7年度決算で13・5%となっており、全国的に都道府県も市町村もそのような状況で、特に本県の市町村では平成7年度決算で公債費比率が17%を超える団体もある。交付税で見てもらうと言ってこの先どうなるのか、心配である。つまり、国の財政は大ピンチであるが地方にはゆとりがあると。いわゆる地方財政ゆとり論というのがあるわけで、以前からこういう論理があり、この交付税対応というのはチャラにされる心配があるのではないかと私は思う。さっき佐藤委員からも発言があったけれども、いずれにしても地方が自由に使える固有の財源がひもつき財源になっているというところに私は懸念を持つものであるが、いかがであろうか。

〇大隅総務部長 例えば、臨時公共債等を導入し事業を実施すると、その起債の償還時に交付税で措置されるということによって、いわば交付税が特定財源化されるあるいは交付税全体が圧迫されることになるのではないかというお話であるけれども、制度的にはあくまで必要な事業費として基準財政需要額に参入される。それで、交付税総額の歳入ベースが不足する分については、従前においても財政対策として措置をされてきておるので、今後においても国との信頼関係においてそうしたことは補償されるものと思う。ただ、先ほども申し上げたように、なり得ることであれば、さらに交付税総額の安定的確保について制度的な改善があればさらに望ましいと、こういうことである。

〇菊池(雄)委員 先ほど佐藤正春委員の質問に対する答弁で、地方債残高の約半分は交付税で見ると、こういうことであるけれども、例えば平成9年度の地方財政計画を例にとると、地方交付税の法定総額は15兆1、200億余円ということである。そして地方財政計画の公債費は9兆6、400億ということであるから、このうち半額が交付税に算入されるということになると4兆8、200億、これを法定総額から差し引くと、その年度で措置される交付税の交付額は10兆4、600億余円ということになるようである。この額の範囲内で基準財政需要額と収入額の不足分を自治省が交付するということになると、どこかやっぱり節減をしなければならなくなるのではないかと。であるから、私は交付税で見るという対策は不確かなものではないかと、そう思う。それは時間もなくなるから次に進む。
 財政には、予算の単年度主義という原則がある。その例外規定として継続費とか繰越明許費とか債務負担行為などがある。最近、いずれも増加しておる。繰越明許費は、翌年度、単年度の支出である。継続費は、支出負担行為を条件としない。本県の一般会計にはない。債務負担行為は、年度以降における債務負担を定めるもので、これに基づく経費の支出は必ず歳入、歳出予算に計上しなければならない。したがって、その中には明らかに隠れ借金があると私は思う。本県の債務負担行為の合計額は約2、957億円ある。そのうち、損失保証、つまり公共団体、土地開発公社なんかの保証人になっている額を除いた利子補給とか工事関係、その他建物の賃借など、9年度以降の支出額が1、239億余円ある。少なくとも、この部分はいわゆる隠れ借金ではないであろうか。

〇大隅総務部長 債務負担行為は御案内のとおり、予算で定められた将来にわたる地方公共団体の債務を負担する行為であり、その限度額を定めるものである。しかしながら、この債務負担行為、地方債と同様に後年度の財政負担を伴う、これはお話のとおりである。したがって、事前に議会の議決をいただき、実際に債務を履行する際は、その年度の歳出予算として改めて議会の議決を得るという方式になっておるものである。したがって、県としては、制度として認められた範囲内で議会の御審議をいただきながら行っておるものである。しかしながら、確かに後年度負担を伴うものであるので、財政運営に当たっては将来の財政硬直化をもたらすことのないよう、十分な配意が必要だと考えているところである。

〇菊池(雄)委員 自治省とか学者の解説によると、この債務負担行為は、予算の単年度主義及び地方自治の本旨から言って余り乱発すべきではないと。特に、首長や議会の任期もあるので、むやみに長期間の債務負担を決定して後世代にツケを回してはならないと、こう言っておるわけである。そういう意味で、県の債務負担行為は私は余り問題ないと思うけれども、最近市町村で行っている債務負担行為の中に、例えば特別養護老人ホームの建設に際し、設置者である公益法人が国や県、市町村から約4分の3の助成を受け、4分の1の自己負担を厚生省の外郭団体である社会福祉医療事業団から借り入れをしておる。この場合、事業団は公益法人に対し、借り入れの条件として市町村の債務負担を強要しておる。したがって、市町村は債務負担行為を議決してその元利償還金を20年間ぐらい支払わなければならない。このような債務負担行為は、自治法や地方財政法の本旨に反するものではないであろうか。

〇大隅総務部長 債務負担行為の設定については、市町村が政策上の必要性に基づいて予算として議会の審議を経て適正に行っているものであると存じておるが、しかし長期的に見て、この債務負担行為は財政運営の安定性に影響を及ぼすことも考えられることから、財政運営の健全性の確保の観点に立って適正な運用に努める必要がある。市町村においても、この点を配慮しておるとは思うけれども、県においてもその指導に当たっては十分留意をしていきたいと存じておる。

〇菊池(雄)委員 これは要望として申し上げておくが、今御承知のとおり、厚生省の前岡光事務次官を中心とした一部官僚等、彩グループの贈収賄が明らかになって国民の怒りを買っているわけである。これは許認可権限を持っている官の側の法を無視した、つまり悪役人的な手法。それから、大義名分を立てた公益法人を名乗る民の側の悪人的商法、こういうものが癒着した結果だと思っておる。やっていること、どこがだめだとかそういう判断は法の本旨に基づいて行うべきであり、今弱い市町村あるいは福祉法人は物を言えないと。そのことに対して県はかわって物を言ってもらいたいということを要望して終わる。

〇菊池(勲)委員 県民クラブを代表して、平成9年度の予算に対し総括的にお伺いをする。
 また、質問に際しては既に代表質問等により、あるいは先輩各委員から広範にわたる質疑があり、重複する点があろうかと思うのでよろしくお願いをする。
 通告に従って順次質問してまいるけれども、15点ほど通告いたしておるのでよろしくお願いする。
 まず、平成9年度の県税収入についてお伺いをする。1月20日に閣議決定をされた平成9年度の経済見通しと経済運営の基本的態度によると、平成8年度の我が国の経済は回復の動きを続けており、そのテンポは緩やかではあるものの民間需要は堅調さを増しておることから、民間需要中心の自律的景気回復への基盤が整いつつある状況になっておる。このことを踏まえ、平成9年度の国の経済対策は自律的な景気回復の実現、経済社会の構造改革の推進、行財政改革の推進、国民生活の充実及び国際的役割の遂行を経済運営の基本として取り組むこととしておる。また、本県においては、今回提案されている平成9年度の当初予算案を見ると、平成8年度当初に比べて8・6%増の積極型予算となっておる。知事は、第三次総合発展計画の後期実施計画に基づく施策、特に高度情報化の推進と情報発信機能の充実強化など、関係新事業を積極的に導入したものとなっておる。このような中にあって、本県の自主財源の大宗を占める平成9年度の県税収入は1、269億3、400万円余で、前年度当初予算に対して7・4%増と見込んでいるところである。これはどのように見込まれたものか、主な税目の増減理由についてお伺いをいたす。

〇大隅総務部長 平成9年度の県税収入についてであるが、この見積もりに当たっては、平成8年度の決算見込み額をベースに、国の経済見通しにおける経済指標、地方財政計画における税収見込み額の伸び率及び各種統計資料等を参考にしながら、県内の景気動向等を勘案し積算したものである。特に、景気の影響を受ける法人2税については、主な企業に業績見通しを照会調査するなどして見込んだところである。また、実質的な伸びとなる平成8年度の決算見込み額との比較では、平成8年度当初は景気回復の動きが弱いこと等から、法人関係税を中心に税収が落ち込むものと予想され1、181億6、100万円余と見込んだところであるが、本年1月末現在の課税実績等の状況を見ると、法人2税及び軽油引取税等で当初予算に対し58億余の増収が見込まれることから、平成8年度の決算見込み額を1、239億9、800万円余として、先日補正をお願いしたところである。この決算見込み額に対する伸び率では、2・4%増となるものである。
 主な税目の増減理由について申し上げると、これは平成8年度の決算見込み額に対する状況で申し上げるが、まず増収となる税目では、個人県民税が、特別減税の廃止による増収分が、税制改正による県から市町村への税源移譲に伴う減収分を上回ることから7・6%の増、自動車税が、定期課税台数が増加すると見込まれることから4・9%の増、平成9年4月から新たに創設される地方消費税で46億6、000万円余の収入が見込まれるところである。また一方、減収となる税目であるが、県民税利子割が長期ものの預金金利の関係からその影響を受けて27・5%の減、法人2税が、金融業等において不良債権の償却による大幅な減収が見込まれることから5・3%の減、県たばこ税が、税制改正による県から市町村への税源移譲により35・3%の減、自動車取得税が、消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動で課税台数の減少が見込まれることから2・1%の減、主なところはこういうところである。

〇菊池(勲)委員 次に、佐藤正春委員また菊池雄光委員からも質問あったけれども、県債の発行において伴うことについてお伺いする。
 我が国経済は、緩やかながら回復基調にあるというものの、国の財政の引き締め、消費税率の引き上げ、特別減税の打ち切り等の要因もあり、依然として楽観を許さない状況にある。平成9年度の本県当初予算案は、県立大学や東北新幹線整備に多額の予算を計上したこともあって、単独事業費が高い伸び率となったほか、これらに伴って県債の発行額も過去最大の1、399億円余となったところである。私は、かつてのような右肩上がりの経済成長が見込めない中にあって、大量の県債発行を行い、後年度負担を増大させるのに懸念を抱かざるを得ないのである。県税や地方交付税の原資となる国税収入が伸びない場合、県債の償還が重く肩にのしかかり、他の必要な事業に手が回らなくなることが考えられるのであるが、そこでお伺いをするが、県は、県債償還の後年度負担額についてどのような規模になるととらえているのか、また、将来の財政運営に支障を生じるおそれがないのかをお伺いする。

〇大隅総務部長 今後の県債償還額の見通しについて、平成9年度の発行予定債を織り込んで推計すると、平成10年度から今後5年間の一般会計ベースの県債償還額は、各年度おおむね大体900億から1、100億程度で推移するものと見込まれておる。しかしながら、元利償還金について交付税算入されるものを除いた純県負担ベース、先ほど申し上げたようにおおむね2分の1程度が実負担になると試算いたしておる。
 次に、県財政に及ぼす影響であるが、このようなことから、将来の財政運営に大きな支障を生じることはないと考えてはおるけれども、県債発行に伴う公債費の増嵩、これは財政の硬直化を招く一つの要因となる。したがって、従前にも増して行財政運営の簡素効率化に努めるとともに、県債管理基金の活用、借換債の発行等により、公債費の増嵩が県の行財政運営に支障を来すことのないよう努力を重ねてまいる考えである。また、公債費の増嵩は本県のみならず、地方財政全体の問題となっておることから、地方財源不足額について財源対策債等の借入金依存による財政措置を避け、一般財源所要額の安定的確保が図られるよう、国に対して強く要望してまいる考えである。

〇菊池(勲)委員 次に、防災計画の見直しについてお伺いをする。
 地域防災計画は、災害対策基本法第40条の規定により、毎年度見直しを行うことと承知しておるが、一昨年に発生した阪神・淡路大震災を契機とした本県の地域防災計画も、大規模災害が発生した場合において適切かつ円滑な対策を実施できるよう、災害応急対策を中心に大幅な見直しを行ってきたが、今年度においても、先般の防災会議で昨年度に引き続き大幅な見直しが決定され、これにより全面的な見直しがなされたことと伺っておる。
 そこでお伺いするが、この計画は災害発生時のマニュアルの性格を有するとともに、被害を少なくするための予防計画でもあると認識しておるが、今回の見直しの内容及びこの計画に基づくこれまでどのような施策を講じられてきたのか、平成9年度当初予算案では、計画具体化のためどのような事業を予定しているのか、その事業目的を含めてお伺いする。

〇千葉副知事 地域防災計画の見直しについてであるけれども、今回の見直しの内容としては、災害予防に関しては火山災害予防計画などを新設したほか、消防団の活性化方策の明示や消防水利の多様化などの施設整備面での見直しを行ったところである。また、災害復旧、復興対策に関しては、新たに復興計画の作成に係る指針を明記するとともに、被災者の生活相談等に関する事項を追加したところである。また、災害応急対策に関しては、先般のロシア船籍タンカーによる重油流出事故災害の重大性にかんがみて、新たに海上災害応急対策計画を独立して整理するなど、昨年度の見直しに引き続きさらに内容の充実を図ったものである。
 次に、計画に基づく事業としては、防災ヘリコプターひめかみの導入を初めとして、地震津波・職員参集システムの整備や緊急初動特別班の設置など、初動体制の確立を図ったものである。また、警察ヘリコプターのテレビ伝送システムなど、通信情報体制の整備を進めたほか、北海道・東北8道県や県内全市町村はもとより、民間団体とも各種応援協定を締結するなど、防災関係機関との応援・協力体制の整備を図ったものである。さらに、地域住民の方々が行う初期消火や救助など、自主防災活動を支援するための資機材の整備を進めるとともに、防災パンフレットの全世帯配布、実践的な防災訓練や県民の集いなどの各種行事の開催により、県民の防災意識の高揚や自主防災組織の育成を図ったところである。
 9年度の事業としては、被害想定調査を実施することとしておる。この調査は、本県に大規模な地震が発生した場合、どの程度の被害が生ずるか調査するものであり、その被害想定を踏まえて、大規模な災害にも十分対応し得る防災関係施設等の整備や災害発生時における効果的な応急対策に役立てようとするものである。また、沿岸14市町村と共同して津波防災マップを作成することといたしておる。これは明治三陸大津波など、過去に襲来した津波の浸水域を示したマップを作成して、何よりもまず津波に対する防災意識の高揚と避難率の向上を図ろうとするものである。さらに、防災機能強化推進委員会を設置し、広大な県土におけるさまざまな災害に対応できる体制のあるべき方向について調査検討を進めるなど、引き続き災害に強い県土づくりに向けた施策を進めることといたしておる。

〇菊池(勲)委員 次に、情報発信機能についてお伺いする。
 本県は、賢治、啄木など、人材を多数輩出し、四季折々の変化に富んだ自然や特色ある歴史、そして全国にも誇れる数々の伝統文化に恵まれ、人情味ある心豊かな県民性と相まって、まさに日本のユートピアになり得る可能性を持っておる。しかし、一方では、本県のイメージには活力に乏しいとか地味という声もあり、こうした批判を払拭するため、本県の有する豊かな観光資源や特産品の宣伝はもとより、県民全体で、前向きで積極的な姿勢を全国に向けて発信する必要がある。このため、すべての県民に対して岩手のよさを見直すような働きかけを行うとともに、特に県外に対しては岩手らしさ、岩手の独自性を強調し、岩手を丸ごと売り込むような積極的な取り組みを行う必要がある。知事は演述の中で、本県の魅力を総合的に発信していく旨述べておられるが、県外への情報発信についてどのような取り組みを行うのかをお示し願う。

〇千葉副知事 情報発信機能についてであるけれども、平成8年度は、宮沢賢治生誕100年・石川啄木木生誕110年生誕祭や全国食文化交流プラザの開催により、予想を上回る多くの方々を岩手に迎えることができた。県民の皆さんとの交流を通じて、岩手の認識を広げることができたものと考えておるところである。こうしたイベントの開催やさまざまな交流を通じて、岩手への理解を着実に広めることに加え、品質の高い農林水産物やすぐれた工芸品についてのブランド化の促進、海外でのアンテナショップの開設、さらには全国紙へのイメージ広告の掲載など、各分野で積極的にイメージアップにつながる事業の展開に努めているところである。平成9年度においては、全国豊かな海づくり大会や日本文化デザイン会議の開催など総合的なイベントの実施、首都圏における地場産品の紹介や観光客誘致へ向けての物産展の実施、農産物アンテナショップの海外での開催などを通じて、新しい岩手を内外に積極的に情報発信することといたしておる。また、銀河系いわて情報発信事業などの県外広報誌の発行、首都圏を対象としたラジオ放送、全国紙やインターネットのホームページの一層の活用などを行うこととしておる。さらに、銀河系いわて大使などの岩手にゆかりのある方々との人的ネットワークの形成や各種マスメディアの利用などにより、効果的な情報発信に努めるとともに、真の岩手のよさや県民の温かさへの理解を深め、全体として本県のイメージアップが図られるよう積極的に対応してまいりたいと考えておる。

〇菊池(勲)委員 次に、ひとにやさしいまちづくりについてお伺いをする。
 県が、平成8年4月から施行しているひとにやさしいまちづくり条例について、県の責務として、県は、ひとにやさしいまちづくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施するものとするとされておるが、県は条例の目的を達成するためにどのような事業を展開しようとしているのか。また、県は率先し、既存の県立施設についても公共的施設整備基準に適合するよう配慮しなければならないと考えるが、既存県立施設の整備基準への適合状況及び今後の改善方法についてどのように考えているかもあわせてお伺いする。

〇千葉副知事 ひとにやさしいまちづくりの推進であるけれども、県はこれまでに、県営施設については条例に適合するよう施設整備を進めてきたところである。また、ひとにやさしいまちづくり賞やシンポジウムの実施、障害者や高齢者の住宅の改善に対する助成、民間事業者が行う高齢者や障害者等に配慮した施設整備に対する融資等のほか、条例による届け出を通じて民間施設の適合率を高めてきたところである。平成9年度においては、まちづくりを推進するための啓発事業や高齢者や障害者に配慮した県営住宅を整備するほか、既存の県立施設の改善を行う公共施設の整備事業等49事業を行うこととしておる。現在の既存県立施設の適合割合は約60%となっているものである。平成9年度からおおむね3カ年計画で、高齢者や障害者等の利用頻度が高い順に改善を行うこととしており、平成9年度においては62施設を改善することといたしておる。今後とも、条例の趣旨に基づき県民意識の高揚を図るとともに、総合的な施策の実施に努めてまいりたいと考えているところである。

〇菊池(勲)委員 次に、環境問題についてお伺いする。
 地球規模での環境破壊、本年1月、島根県沖の日本海に沈没したロシア船籍ナホトカ号からの重油流出による海岸汚染や、本県でのスキー場等リゾート開発と自然環境との保全の調整問題、さらには公共事業に関連して貴重な自然が破壊されるなど、自然環境問題が大きく取り上げられ、県民の環境に寄せる関心はますます高まってきておると思う。このような状況を背景に、私は県民に対して、環境に関する知識を広め関心を高めていくことが本県の環境保護、自然保護を推進する上でますます重要になっていくものではないかと考えておる。そこで、県では、これまで環境問題の普及啓発の観点からどのような事業を実施され、今後、どのように展開されていくおつもりなのかをお伺いする。
 また、私は特に、幼少時における環境問題をわかりやすく具体的に教えていくことが、環境問題に関心を持ち、自然をかけがえのない大切なものとして守り育てていく心を養っていく上で極めて有効ではないかと考えるものである。この幼少時における環境教育についてどのように考えているのかもあわせてお伺いをする。

〇千葉副知事 環境問題の普及啓発についてであるが、県民の方々に環境や自然に対する関心を持って理解をいただくことは、本県の環境保全行政、自然保護行政を推進する上で極めて重要な課題であると認識しているところである。このようなことから、自然観察会の開催や環境アドバイザーの派遣、県内のボランティアの方々に参加していただく身近な生き物の調査、水生生物調査の実施、さらには小学生、中学生を対象とした自然保護ポスター、作文コンクールなどさまざまな視点から事業を展開し、県民に対する環境問題や自然保護思想の普及啓発に鋭意努めてきたところである。今後とも、継続して実施してまいりたいと考えておる。
 また、幼少時における環境教育についてであるけれども、小学生を対象とした環境副読本を既に県内小学校に配布したところであるけれども、平成9年度には、新たに環境について科学的な見方を自分で深めていく時期である中学生を対象とした環境副読本を作成して、教育委員会や各学校の協力を得ながら、環境問題全般に係る基礎知識の習得や環境、自然をかけがえのない大切なものとして守り、育てていく心をはぐくむなど、幼少時における環境教育の一層の推進に努めてまいりたいと考えておる。

〇菊池(勲)委員 次に、企業誘致の動向についてお伺いする。
 2月に発表された経済企画庁の月例経済報告によると、最近の国内の景気は回復の動きを続けており、設備投資は回復傾向にあるとされておるが、一方、雇用情勢は依然として厳しい状況にあり、企業の業況判断にはなお先行き慎重な見方がある。また、いわゆるバブル経済の崩壊後は、恒常的な円高、高い労働力コスト等により、労働集約型産業を中心に一層海外移転が進展しておる。最近、設備投資が回復傾向にあり、為替レートも円安に振れてはいるものの、依然として国内における企業立地は低迷しており、我が国製造業の空洞化が懸念される状況に変わりはないのである。
 そこで、このような状況の中で、本県の企業誘致はここ数年思うように進んでいないように見受けられるが、最近の誘致件数の状況はどのようになっているのか。また、最近の企業誘致の特徴があるとすればどのようなものか、今後どのような方策により企業誘致を進めていくかをあわせてお伺いする。

〇吉永副知事 ここ3年間にわたる企業の立地件数は、平成6年度11件、平成7年度6件、平成8年度は現在まで10件となっておって、年度末さらに一、二件の立地が見込まれている状況である。
 最近の企業立地の特徴としては、既に県内で操業しておる企業の県内での新たな展開、いわゆる2次展開の占める割合が増加しておる。これは、平成3年から5年では22・6%だったのが33・3%まで上がっておる。地域別に見ると、県北・沿岸地域への立地件数は北上川地域と比較して少ないものの、その割合は高くなってきておる。平成3~5年が19・4%だったのがここ3年は29・6%となっておる。業種別には、一般機械、電気機械等のいわゆる加工組み立て型業種の立地が依然として多いものの、水晶発振子あるいは空気圧機器を製造するといった特殊な技術力を持つ企業の立地も見られておる。
 今後の方策としては、拠点工業団地を初めとする基盤整備を進めるとともに、各種の優遇措置を有効に活用しながら、研究開発型企業や先端技術型の付加価値生産性の高い企業あるいは住宅関連、医療、福祉関連等の内需関連型の企業、農水産物等の地域資源活用型の企業、そういったものの導入を初めとして、自動車産業等、既に立地しておる企業の関連企業の導入あるいは立地企業の県内での2次展開といったものの誘導に努めたいと考えておる。また、ソフトウエア産業を初めとする産業支援関連分野の企業あるいは民間の研究機関の導入といったことについても積極的に進めたいと考えているところである。

〇菊池(勲)委員 次に、広域連携による観光振興についてお伺いする。
 来る3月22日のJR東日本のダイヤ改正に伴い、秋田までの新幹線が開業するほか、東京-盛岡間を最短2時間21分で結ぶ速達タイプの新幹線が増発されるなど、ますます首都圏との時間的距離が短縮されてきておる。また、ことしの夏には東北横断自動車道秋田北上線が全線開通する予定になっておる。これは、観光客誘致に向けて絶好の機会であり、県においても、民間団体や市町村と一体となって各種宣伝事業に積極的に取り組んでいただきたいと期待するものである。しかし、今後、首都圏のみならず、関西圏や九州圏あるいは発展著しいアジア諸国など海外からの観光客誘致を考えたとき、このような高速交通幹線の整備を背景としながら、青森県、秋田県との連携や東北各県と連携した広域的な観光振興の取り組みが重要になってくるのではないかと思う。
 そこで、広域連携による観光振興について、どのように展開していく考えなのかお伺いする。

〇吉永副知事 青森県や秋田県、東北各県との連携による広域的な観光振興の取り組みについては、これまでも北東北三県観光立県推進協議会あるいは東北地方観光推進協議会等を組織して、各県の魅力を紹介するためのパンフレット等の発行、あるいは共同キャンペーンといったことを展開しておる。自然との触れ合い、農業体験や雪遊びを体験するおもしぇ学校といった旅行商品の開発、あるいは韓国、台湾等、アジア諸国からの観光客の誘致に向けたモデルコースの開発と宣伝、観光ミッションの派遣、旅行エージェントやマスコミ関係者等の招待事業なども各県共同で行っているところである。9年度は、これらの事業に加えて、九州地区での観光懇談会を北東北3県で共同で開催することとしておる。また、首都圏で東北の夏祭りを紹介するイベントも東北6県共同で開催することとしておる。さらに、全国のJRや旅行エージェントと連携して、平成10年度に計画しておる北東北大型観光キャンペーンの諸準備を進めるなど、各県と連携した事業を予定しているところである。今後とも、東北地区における新幹線の整備や航空路の開設などに伴って、海外をも対象とした観光客の誘致を図るため、各県との連携を一層強化しながら、広域連携による観光振興に取り組んでまいりたいと考えているところである。

〇菊池(勲)委員 次に、技能労働者の育成対策についてお伺いする。
 昨今の生産拠点の海外シフトの進展等による産業構造の転換が進む中で、本県産業の振興のためには、産業技術の発展と相まって、これを物づくりの現場で支える技能の充実向上が肝要であると考えておる。事実、国内の産業の空洞化もそのようであるが、むしろ恐ろしいのは、産業を支える技能の空洞化であると述べている経営者もおり、企業によっては社内の技能水準の向上を図るとともに、熟練した技能を後継者に伝えるための特別の訓練を行い始めたところもあると伺っておる。これらは工場生産に限らず、さまざまな分野ですぐれた技能がすぐれた製品を生み出し、本県産業の振興とともに、生活への潤いを与えているものと考えると、幅広い技能者育成策が必要と考えるものである。県では、昨年12月に岩手産業文化センターにおいていわて技能フェスタ'96を開催し、県民の技能への理解を促進したようであるが、このような社会情勢を考えると、このような施策に加え、本県の技能者、特にも青年技能者の技能向上を促進する必要もあると考えるが、いかがであろうか。この取り組みの状況についてお伺いする。

〇吉永副知事 本県産業の活性化を図るためにすぐれた青年技能者の育成が重要であるという委員の御指摘はそのとおりである。県としても、同じような問題意識のもとに、ことし4月にメカトロニクス技術科等5科を設けた産業技術短期大学校を開校し、産業技術の高度化、先端化に対応し得る高度な技能技術者を養成することとしておる。また、御指摘の今年度開催したいわて技能フェスタについては、若者の技能離れの解消、後継技能者の確保を図るために、平成9年度においても引き続き開催することとしておる。さらに、従来から技能水準の向上のための技能検定制度の普及拡大を図ってきたところであるが、9年度からは、これを助長するための方策として、本県では初めての青年技能者競技会を開催するとともに、この大会の上位者が全国大会に出場する際には、派遣する事業所に対する助成を行うこととしているところである。

〇菊池(勲)委員 次に、農政問題についてお伺いする。
 圃場整備事業の実施地区における農地の利用集積などの取り組み状況と今後の推進方策についてお伺いをする。
 最近、新聞報道や国会の平成9年度予算審議の場で財政再建の議論が盛んに行われており、特に公共事業を対象に、ウルグァイ・ラウンド農業対策事業を含めた予算の削減や事業内容について見直し論議が高まってきておる。御承知のとおり、ウルグァイ・ラウンド関連農業農村整備緊急対策事業は、農産物の関税化に備え、力強い農業構造、農業経営を実現するための生産基盤を柱に、農村生活環境の整備や総合的視点に立った中山間地域の活性化対策を重点かつ加速的に推進することとして平成12年度まで実施が約束された施策であり、農業を主要な産業と位置づけている本県にあって、おくれている農業生産基盤や農村生活環境の整備を躍進的に推進させる好機であると考えるものである。そのためにも、今後のウルグァイ・ラウンド関連緊急対策特別事業を積極的に推進するに当たり、これまで実施した事業の成果を明らかにし、各種対策の重要性と必要性について十分理解を得ながら着実に推進していくことが大切であると思っておる。
 そこでお尋ねするが、高生産性農業の実現や担い手の育成を目指すために、圃場整備事業等の実施を契機として農地の利用集積などを促進するソフト事業を県がウルグァイ・ラウンド関連対策事業の一つとして重点的に進めておるが、そのソフト事業の実施地区ではこれまでどのような取り組みが行われ、現在どのような成果が出ているのか、その状況と今後の推進方策についてあわせてお伺いをする。

〇吉永副知事 大区画圃場整備などを契機として、農地の利用集積と担い手の育成をあわせて推進し、低コスト水田農業の確立を目指す21世紀型水田農業モデルほ場整備促進事業や、あるいは担い手育成農地集積事業を今県内37カ所で実施しているところである。これらの施策を推進するために、県及び地元の農業関係機関で構成する支援チームを編成するとともに、農地管理開発公社の地方駐在員の協力を得ながら、地域に密着した指導、支援活動を行ってきているところである。特に先進的に取り組んでおる21世紀型事業においては、小規模に分散していた農地の利用集積が図られ、事業実施地区全体で約30%まで集積が進んでいるところである。中でも前沢町の大桜地区や川崎村の薄衣地区では50%を超える集積状況となるなど、生産性の高い営農システムが形成されてきておる。今後とも関係機関が一体となって指導の強化を図りながら、さらに農地の利用集積を推進し、生産性の高い水田農業と安定的な農業経営の確立に努めてまいりたいと考えておる。

〇菊池(勲)委員 次に、県産牛肉の消費宣伝対策についてお伺いする。
 牛肉は本県の主要な農産物の一つであり、近年、県産牛肉は生産者による肥育技術の改善努力や優良種雄牛の活用などが成果を上げ、市場関係者や販売業者等の間ではかなり評価が高まってきていると伺っておる。しかし、末端の消費者の知名度は、最近、前沢牛は全国のトップ銘柄としてマスコミなどでも取り上げられて高まってきておるものの、前沢牛以外の県内銘柄は、量的、質的ともに前沢牛や松阪牛、神戸牛にも比肩するレベルに向上してきているところであるが、その内容に知名度が伴ってなく、甚だ残念である。我が国の牛肉の消費量は、輸入自由化により安い牛肉の出回りがふえるとともに着実に増加してきておる。輸入攻勢は厳しいものがあるが、牛肉消費の内容的には国産牛肉と輸入牛肉のすみ分けが進められており、国産牛肉に対する需要は根強く、国内産地から見ても牛肉の消費市場の展望は明るいものがある。このような好機であるので、主産地としては、子牛資源の維持拡大とか、おいしい牛肉の生産を一層拡大していくとともに、有利販売の展開と産地間競争への対抗のために、消費者に対する県産牛肉の銘柄普及を促進していくことが急務となっておる。特にも、首都圏など大消費地における末端消費者に届く宣伝とか、岩手の自然の幸や食文化を求めて訪れる旅行者等への対応などが大切であると思うが、そこで、今後の県産牛肉の消費宣伝対策についてお考えをお伺いする。

〇吉永副知事 県産牛肉の消費拡大を図るためには、大消費地である首都圏に向けて平成2年度からいわて牛フェアを開催しているところである。高品質で本物のいわて牛のよさをアピールしてきたところである。バイヤー向けには、東京食肉市場でいわて牛枝肉共励会を開催しておる。いわて牛の品質のよさというものはそういうところにおいて毎年高い評価が得られているところで、安定的な出荷頭数の確保を要請されているところである。さらに、いわて牛取扱推奨店として、これまで首都圏及び県内の小売店やレストラン等87店舗を開拓し、消費宣伝をしているほか、昨年10月にいわて牛のホームページを開設したところである。9年度は、首都圏で新たに開催される銀河系いわてブランドフェア、9月に本県で開催される第7回全国和牛能力共進会の場においていわて牛フェアを開催することとしており、県内外から集まる入場者等に対して積極的にPRすることとしておる。また、県内においては、タウン誌の活用あるいは料理講習会の開催など、短角牛も含めた普及宣伝と消費拡大に努めているところである。このような取り組みに加えて、いわゆる外食の普及に伴う消費形態の変化に応じて、レストランやホテル等でのいわて牛の取り扱いを働きかけるなど、多面的な取り扱いを強化して県産牛肉の消費宣伝対策の一層の拡充強化に努めてまいりたいと考えているところである。

〇菊池(勲)委員 次に、治山事業についてお伺いする。
 森林は、木材等の林産物の供給とともに、水源涵養、山地災害防止等の公益的な機能の発揮を通じて国民生活と深く結びついてきたところである。特に治山事業は、森林の維持造成を通じて山地に起因する災害から県民の生命、財産を守り、また、水源の涵養、生活環境の保全、形成等を図る上で極めて重要な県土保全施策の一つであり、安全で住みよい県土づくりのために必要不可欠の事業であると認識しておる。しかし近年、地震や噴火、洪水等に起因した多様な災害が発生している状況を見るにつけ、治山事業の重要性を痛感している次第である。昨年12月には長野県と新潟県県境の蒲原沢において大規模な土石流が発生し、死者13名、行方不明者1名という大きな災害をもたらしたことは記憶に新しいところである。
 そこで、災害の発生原因等については、現在、国において調査、検討中と聞いておるが、このような災害が本県においても起こり得ないのか、その予防対策は十分なのか等、県民の方々も非常に心配しているところではないかと思うのである。そこでお伺いするが、本県における治山事業の現状はどのようになっているのか、また、今後の取り組みについてあわせてお伺いする。

〇吉永副知事 本県における大きな山地災害としては、戦後間もないころのアイオン、カザリン台風によるもので、このときに大きな被害が発生したわけである。この復旧のために国の直轄治山事業を導入するとともに、復旧治山事業を重点とした荒廃森林の整備等に努めてきた結果、昭和30年代の半ばには一応の概成を見たところである。この災害を教訓として、以降、予防治山事業を中心とした治山事業を積極的に進めてきたところから、幸いこれまで大きな災害は発生していない。
 現在、治山事業については、4年度から8年度までの第8次治山事業5カ年計画に基づき、緊急性の高い地域から山地治山事業などを計画的に推進してきているところである。8年度末までの累積投資額は313億円に及び、計画額297億円を上回る105・3%の実績となっておる。しかしながら、本県の民有林の山地災害危険地区は3、457カ所に上っており、これまで危険度の高い地区を優先的に1、600カ所で事業を実施してきたが、残りの地区についても計画的な整備を進めてまいるつもりである。このため、国においては、平成9年度から新たに第9次治山事業5カ年計画を策定し、災害に強い地域づくり、水源地域の機能強化、豊かな環境づくり基本方針のもとに事業を推進していくことになっておるが、本県においても、これに沿った形で岩手県治山事業5カ年計画を策定し、必要な予算額の確保に努め、計画的な事業の実施を図っていきたいと考えているところである。

〇菊池(勲)委員 次に、水産関係の試験研究についてお伺いする。
 知事は、演述において、独創的な研究開発、技術の向上を促進し、科学技術に立脚した新産業の創出と豊かな暮らしの実現に取り組むとし、試験研究機関の充実等について触れておられるが、まことに同感であり、ぜひその実現に向けて積極的に取り組まれるようお願いをする次第である。
 さて、本県の大きな課題として県北、沿岸地域の振興が挙げられており、この地域の活性化のためには水産業の振興が非常に重要であるが、近年、沿岸地域において地域産業の柱の一つである秋サケ漁業が輸入の増加等による供給過剰により価格が低迷し、沿岸漁業生産額が大幅に落ち込んでいることから、沿岸漁業の振興が急務となっておる。また、本年10月5日には大槌町において第17回全国豊かな海づくり大会が開催されるが、この目的の一つに海の環境保全に対する国民の意識の高揚を図ることが挙げられておる。近年は、海の環境を守るためには、山と川と海のかかわりの重要性が認識され、私ども内陸に住む者もしっかりと環境保全への対応を進めることが大切であると考えておる。こうした情勢を踏まえ、地域の活性化を図るためには、従来にも増して試験研究の役割が重要となるが、水産技術センターにおいては、県の試験研究機関の再編整備のもとに試験研究が進められていると考えておる。
 そこで、水産技術センターは、沿岸漁業の展望を切り開くため、どのようなテーマに力を入れて取り組みを進めておられるのか、また、海の環境保全に対する試験研究の取り組み状況はどうなっているのかあわせてお伺いする。

〇吉永副知事 水産技術センターにおいては、沿岸漁業の振興を図るため、時代のニーズに対応した研究に鋭意取り組んでおって、その数は平成8年度で約50に及んでおる。また、その研究成果を随時地域関係者に還元するよう心がけているところである。
 その中では、まず、本県漁業の主要魚種である秋サケについて、価格が低迷し、漁業経営を圧迫していることから、付加価値を高める加工品の開発研究に努めており、これまでにサケのハンバーグ、フレーク、ソーセージなど、加工原料として大口消費が期待される製品を開発してきたところである。
 次に、秋サケ依存から脱却するためには、つくり育てる漁業の対象魚種をさらに広げて、足腰の強い漁業にする必要があると考えておる。このため、ヒラメやマツカワなどの新しい魚類栽培の技術開発を進めているほか、アワビについて、10年以上にわたる研究の成果として、成長のいい系統をつくり出すことに成功しておる。平成9年度から5カ年計画でこのアワビの系統を用いて実際に養殖試験を行い、経済性の高い養殖技術を開発することとしておる。
 また、海の環境保全に関しては、つくり育てる漁業を推進しておる本県にとって重要な課題であるので、このため、各養殖漁場における水質などを定期的に調査し、漁場環境の監視を行うとともに、適正な漁場利用及び管理システムの開発に努めているところである。委員御指摘の山と川と海のかかわりについては、近年、森は海の恋人との観点から社会的関心も高まっておって、河川水が養殖漁場の生産力に与える影響についても科学的な解明の研究に着手したところである。
 なお、この機会をかりて、同じ水産業のところであるので、申しわけないが、先ほど佐藤正春委員に対する答弁について、私の間違いがあったので、修正させていただく。
 先ほど、山丸定置漁業生産組合と山田定置漁業生産組合の役員が同じメンバーで占めていることについて、問題があるかないかというところに対して、私の答弁の中で、私は、生産組合設立の根拠法である水産業協同組合法には、役員が同じメンバーであることや、一族で占められていることを禁ずる規定がなく、特に問題がないと考えるとお答えすべきところであったが、そこは、役員が同じメンバーであることや一族であることを禁ずる規定があるとお答えしたところがあって、これについては全くの誤りであって、同じメンバーであることや一族であることを禁ずる規定がないので特に問題がないと考えると訂正させていただく。これについては、佐藤正春委員、また、委員長及びすべての委員の方々に対して大変御迷惑をかけたことを心からおわび申し上げたいと思う。どうも申しわけなかった。
   〔「議事進行について。」と呼ぶ者あり〕

〇佐藤(正)委員 あなたは本庁から来たいわゆる優秀な役人であるから、だからなかなか表現の仕方がお上手であるから、私は岩手県であるから、なかなかよくわからない。
 要するに、今、訂正したことは、私が聞いているところの両組合に夫と妻、子供が皆役員に入っている。このことについては問題がないと。さらに申し上げるなら、最後に念を押したことは、そういうことは、いわゆる漁業の免許につく非常に利害の多いところだから、公平が保たれるか、こういうことを聞いたことに対して、公平は保たれるとあなたはおっしゃった、そのとき。そうすると、今後、みんな家族でもって申し込んでもいいということだ、これから、そういうふうに理解してよろしいか。

〇藤原委員長 議事進行に申し上げる。
 菊池委員の質問が終わってからお願いする。

〇佐藤(正)委員 今申し上げたとおり、頭はいいんだが言葉がよくわからない、私は、今おっしゃったことが。だから、わかりやすく言ってもらえば、このS氏のやっておられることは間違いないんだ、いいことなんだということを言ってもらえばいいのである。

〇藤原委員長 それでは、続ける。

〇吉永副知事 私が申し上げたのは、私の答弁中、間違った表現をしているところについて、その答弁の修正をしただけである。そのほかのことについては、私がさっき答弁をしたものそのとおりと考えていただいて結構である。

〇藤原委員長 御了承いただきたい。

〇菊池(勲)委員 順調にいっておったのである。何か横やりが入ってしまって、あと2点あるんだけれども、私は嫌になった。やっぱり質問にはテンポがあるのである。テンポを乱されたら質問にならないであろう、委員長、はっきり申し上げて。
 あとは質問しない。終わる。
   〔「議事進行について。」と呼ぶ者あり〕

〇菅原委員 菊池勲委員の質問に対して答弁をきちっとするべきものを、佐藤正春委員の質問に対する訂正をその場でするということは、これは間違っている。そんなことが許されるのか。訂正をするとすれば、この会議が終わった後に発言を求めて、そして訂正をするのが本当であろう。リズムが狂ってしまう、これでは本当に。失礼な話である、これは。

〇藤原委員長 休憩する。
   午後4時49分 休 憩
 
   午後4時52分 再 開

〇藤原委員長 ただいまから再開をする。
 菊池勲委員の質問中に、先ほどの佐藤正春委員の質問に対しての訂正を吉永副知事が答弁をした。この件に関して議事進行がかかった。過去においても前例があったけれども、その進め方について異議申し立てがあるように、説明不足と手続上に不備があったことを委員長において陳謝をする。よって、菊池委員には、継続をして残りの質問をお願い申し上げる。

〇菊池(勲)委員 特別な御配慮まことにありがたい。
 委員長が閉会宣言をしないから途中また戻ってきたけれども、実は二つ大事な質問を残しておった。順調に進んでおって、まだ8分あるからちょうどいい時間にいくと思ったら横やりが入って、ちょっと気分を害して大変申しわけない。
 あと2点質問させていただく。
 次に、都市公園についてお伺いをする。
 都市公園は、都市の潤いの創出やコミュニティーの形成あるいはスポーツ、レクリエーションの活動の場などとして、県民の多様なニーズに対応する都市の基幹的な施設の一つである。また、災害時の延焼防止や避難地としての目的もあわせ持つものであり、さきの阪神・淡路大震災の際にも貴重な空間として重要な役割を担ったところである。このため、現在、県内各地で地域住民が日常楽しむ公園から、例えば運動公園等のようにスポーツやイベント等が行える総合的な公園まで、多様な内容の公園の整備が進められておる。特にも、平成11年度に本県で開催される全国高校総合体育大会においては、北上市の大堤公園が開会式などのメーン会場となるなど、県内各地の都市公園が競技会場として利用される予定である。
 会場となるそれぞれの公園の中には体育館等の競技施設が配置されるようであるが、全国から訪れる選手や役員の方々が気持ちよく参加し、競技を行うにはこれらの競技施設にあわせた整備が必要と思われるが、現在、全国高校総合体育大会関連として整備が進められている都市公園の整備状況はどのようになっているのか、また、今後の見通しはどのようになっているのかもあわせてお伺いする。

〇吉永副知事 都市公園は、都市の緑の中核として、活力ある長寿、福祉社会の形成、都市の潤い創出に資するとともに、自然との触れ合いやコミュニティーの形成、広域レクリエーション活動等、住民の多様なニーズに対応する都市の根幹的施設である。近年、自由時間の増大に伴って、スポーツ、レクリエーション活動の場として陸上競技場や体育館等の運動施設を備えた総合的な都市公園の整備が望まれておる。平成11年8月、本県で開催される全国高等学校総合体育大会インターハイにおいて20市町村で28の競技が行われることになっておって、その競技会場として12都市公園の使用が決定されておる。このうち、施設を新たに整備しておる公園は北上市の大堤公園など8公園で、関係市町村が事業主体となって取り組んでいるところである。
 その整備状況と見通しであるが、大会のメーン会場として総合開会式と陸上競技等が行われる北上市の大堤公園では、補助陸上競技場が今年度末には概成し、陸上競技場、体育館等の各施設が平成9年度から10年度にかけて順次完成することになっており、あわせて選手役員や観戦に訪れる大勢の方々が緑豊かな環境の中で快適に過ごしていただけるよう、競技場周辺の植栽や花壇等の修景施設、グレードの高い園路等の各施設についても同時期の完成を目指して鋭意整備が進められているところである。
 また、ほかの7公園についても、サッカー場である盛岡南公園については平成11年度春に、バレーボール会場である花巻市日居城野運動公園は平成10年度にそれぞれ完成が予定されており、平成8年度から整備に着手したバスケットボール会場である一関遊水地記念緑地公園についても平成10年度末の完成を目指しているなど、修景施設等の整備を含め、関係市町村で積極的に取り組んでいるところである。
 県としては、平成11年度のインターハイ開催の成功に向けて、これらの整備が計画どおり進むよう、関係市町村を積極的に支援してまいりたいと考えているところである。

〇菊池(勲)委員 最後になるけれども、昨年の予算特別委員会でもお聞きしたが、再度下水道の整備についてお伺いをする。
 下水道は、住みよいまちづくりに欠くことのできない重要な基盤整備であり、県民が快適で住みよい地域づくりや若者の定住化を進める上で、下水道が果たす役割は非常に大きいものがあると思う。県では、下水道整備を県政の重要施策として取り組まれておるが、普及率を見ると、平成7年度末で全国が54%、本県は24・4%と半分以下と大幅に下回っておる。さらに、県内の市町村を人口規模別に見ると、盛岡市は76%、5万人から10万人の市町村が20・3%、5万人以下では8・2%と、盛岡市以外の市町村における普及率は低くなっておる。また、市町村は厳しい財政事情の中で整備促進を図っておるが、平成9年度政府予算における生活関連予算を見ると厳しい内容となっており、今後、下水道事業費の大幅な伸びが期待できない状況にあると思われる。
 そこでお伺いするが、県として、盛岡市以外の市町村の普及率拡大についてどのように推進をされるお考えか、また、今後の整備目標をどのようにとらえておるのかをあわせてお伺いする。

〇吉永副知事 御指摘のとおり、本県の下水道普及率は全国平均を大幅に下回っており、今後の普及拡大が重要な課題と認識しておる。下水道の普及拡大を図るためには、着手市町村数をふやすことと市町村に対する支援の拡大という、その二つのことが必要だと考えておる。
 まず、着手市町村については、平成8年度に新規着手した湯田町と沢内村を含め40市町村で事業を実施しており、着手率が68%、全国平均の62%を上回っておる。平成9年度においても3町の新規着手を要望しており、今後の下水道普及率の向上につながるものと考えておる。
 市町村への財政支援については、県単独費による公共下水道の下水道計画策定費補助や下水道事業債償還基金補助を行ってきたところで、また、財政力など一定の採択要件を満たす過疎町村に対しては、公共下水道の根幹的施設の建設を県代行事業として支援を行っているところである。さらに、平成9年度には、厳しい財政事情の中で整備促進を図っておる市町村の一層の普及拡大を図るため、下水道事業債償還基金費補助制度の対象を広げ、新たに緊急下水道整備特定事業--これは市町村単独の管渠事業であるが--に対しても県費補助を行うこととしたところである。今後の整備目標は、平成12年度末で下水道普及率46・8%を掲げているところで、この目標達成に向けて、市町村と密接に連携しながら、公共下水道、農業・漁業集落排水、合併処理浄化槽等、各種整備手法を明らかにした全県域汚水適正処理構想によって各種事業を計画的、効率的に展開し、下水道の普及拡大に一層努力してまいりたいと考えているところである。

〇藤原委員長 お諮りする。時間もおおむね5時である。続く代表質疑は明日行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原委員長 御異議なしと認め、さよう決定をする。
 明日以降は毎日午前10時から開会をするので、よろしく御協力をお願いする。
 これをもって散会する。
   午後5時2分 散 会


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