平成9年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇46番(山崎門一郎君) 県民クラブの山崎門一郎であります。
 県民クラブを代表して、県政の諸課題について質問をいたします。
 初めに、去る1月9日に御逝去されました同僚故飯澤忠雄議員に対しまして、謹んで哀悼の意を捧げ、心より御冥福をお祈り申し上げます。
 我が国は戦後50年を経て、これまで経験したことのないさまざまな事態に遭遇しており、国際的には企業の海外移転に伴う国内産業の空洞化、アジア諸国経済の急成長、国内的には依然として雇用不安が存在するとともに、伸びない財政規模と赤字国債の増発に象徴される財政構造の悪化、さらには、金融不安が発生している状況にあります。21世紀を間近に控え、期待と希望の持てる新世紀を迎えるためには、21世紀の中央集権システムから分権システムに強力に移行し、地域に潜在する人的、物的資源を巧みに生かした活力に満ちた社会、経済活動を展開し、真に豊かで安らぎが実感できる地方分権型社会の実現が広く求められているところであります。
 このような情勢のもと、増田知事は、21世紀を間近に控え、これからの数年間は、自由で新鮮な発想のもと、輝きのある岩手を創造していくための貴重な準備のときであり新しい時代の扉を開き、大きく羽ばたく助走の期間と位置づけるとともに、岩手のあるべき姿として自然、歴史、文化などを生かした地域づくりが各地で繰り広げられる躍動感あふれ、心豊かな地域社会、すなわちドリームランド岩手を創造するべく表明なされました。
 私もまた、全国を上回る速さで進む高齢化社会を間近に控えている本県にとって、地域の中核的都市を中心とし、中山間地域等を含む農山漁村などの豊かな自然環境に恵まれた地域を、21世紀の新たな生活様式の実現を可能とする国土の先導的な地域として位置づけ、産業の振興を図るとともに、生活基盤などの整備を行い地域の選択に基づく連携による生活圏の形成を積極的に図る必要があると思うのであります。
 知事は、平成9年度において新しい総合計画の策定に着手されることとされておりますが、21世紀における本県の地域における生産基盤の整備をどのようにして進め、地域の活性化をどのように図ろうとなされておられるのか、基本的な考えについてまずお伺いします。
 次に、景気対策等に関連してお伺いします。
 最近発表された経済企画庁の2月の月例経済報告によりますと、景気は回復の動きを続けている。そのテンポは緩やかではあるが、民間需要は堅調に推移しているとされており、昨年11月以降の景気認識を維持しております。しかしながら、個別項目では経営者心理が先行き悪化していることを踏まえ、企業部門の判断をわずかに後退させております。私は、現在の景気の状況は、なかなか回復の道は険しく、株式市場の低迷や為替動向のいかんによっては、なお一層回復の道は遠いものと思っております。
 このような状況において、本県において今なすべきことは、基幹産業である第1次産業を初めとする産業の振興を図り、若者の定着を促進していくことにより地域経済の活性化を図ることが必要であると認識しております。そこで、お伺いしますが、知事は、現下の景気状況をどのように認識しておられるのか、また、本県の産業振興をどのように進めていくお考えなのか、お伺いします。
 次に、農業問題についてお伺いします。
 世界的な経済の相互依存関係が強まる中で、我が国の農業は国際化の影響を強く受け、ガット・ウルグァイ・ラウンドの農業合意により、輸入制限などを中心とする国境措置が講ぜられているところであります。この農業合意に基づき政府は平成6年から平成12年までの6年間に国、地方を合わせて約7兆2、100億円の関連対策事業を決定し、対策費は毎年補正予算で次々と上乗せされてきております。
 本県においても、平成7年6月に合意関連対策推進方針が定められ、農業分野においては、足腰の強い農業構造の早期実現と担い手育成対策、確保あるいは生産体制の早期確立と加工、販売戦略の展開などを柱として積極的な対応が図られてきているところであり、合意関連対策は順調に推移しているかのように見えます。
 しかしながら、国における対策の中心は土地改良事業を主体とする農業農村整備事業であり、このような推進に当たっては当然のことながら、農家の土地改良事業に対する負担があり、農業後継者もなく稲作なども断念せざるを得ない農家にとって重い負担となってくるのではないでしょうか。また、一方では、高い負担金を払って基盤の整備を行い、米づくりのコストを削減しようとしているのに、今度は減反で米をつくるなと言うなど、農業に関する基本政策に対しても農家が信頼感を失う状況も見受けられるところであります。
 私は、中山間地域を多く抱える本県にとって、農業の振興は農業自体のみならず、国土保全の観点からもますます重要な位置づけにあるものと考えております。知事は、国際化の荒波にもまれる本県農業において、とりわけ農業農村整備事業の推進に当たり、農家負担の状況をどのように認識しておられるのか、また、今後この合意関連対策をどのように推進していくお考えであるのか、あわせてお伺いします。
 次に、産業の振興に関連して商工業の振興についてお伺いします。
 経済の国際化が進む中で、価格破壊、産業の空洞化現象、輸入浸透による国内生産の代替、国内雇用の喪失など大きな変化のうねりが日本経済を覆ってきております。1980年代の半ばの急激な円高においては、日本企業は地方への立地という形で切り抜けたものの、日本経済に隣接する、東アジアを中心とする新興経済圏において産業基盤の整備が進み工業化が著しく進展を遂げたことは、低賃金を武器とする工場立地先としての魅力にとどまらず、経済水準の向上による消費市場としての魅力も兼ね備え始めております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 このような東アジア経済圏の急成長を背景にして、我が国の製造業が国際競争力維持のために生産機能を海外に移転するという、いわゆる産業の空洞化現象が懸念されてきております。円高により、日本の輸出産業は大きな影響を受け、生産費の高コスト化により、大企業、中小企業ともに国際競争力が低下し、このことが生産機能の海外移転を早め、この大企業を中心とした海外移転が下請中小企業に大きな影響を及ぼしております。下請中小企業にとってコストのより一層の削減の要請や、受注量の減少は大きな打撃となっており、本県においても、人件費、資材費などのコストの引き下げ、取引先企業からの要請などから海外移転をする事例が見受けられてきております。
 私は、高齢化が進む一方で、労働力人口が減少に転じ、潜在的な成長力が低下する局面において、国際競争力を維持しながら地域の産業を振興していくためには企業の地域誘致が困難な状況を踏まえ、内発型の地域産業の育成が急務であると思います。知事は、この産業の空洞化をどのように認識するとともに、内発型の地域産業をどう振興していくお考えなのか、お伺いします。
 次に、規制緩和に関連して、商店街の振興についてお伺いします。
 規制緩和の流れの中で、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律の運用の見直しが図られ、平成6年5月に1、000平方メートル未満の原則自由などを内容とする改正規則等が施行されております。内外価格差の是正など規制緩和による経済活性化の流れの中で、中小企業あるいは零細企業保護の名目のもとに新規の投資の促進を拒む強い規制である大規模小売店舗に関する規制の緩和もまた時代の要請であるとも思うのであります。
 しかしながら、一方では、この規制緩和のあおりを受けて、地域の中心繁華街に立地するなどの立地上の優位が明らかに見られた商店街において、繁華街に立地しているゆえに、駐車場の不足、車社会への不適応、経営者層の高齢化、空き店舗の存在、個店の老朽化などの問題が顕在化するとともに、にぎわい感が喪失し、大型店に客足を奪われ、昼間から店舗を閉じ、人通りもまばらな光景が見られるなど深刻さを増してきております。
 私は、これまでも商業振興の問題を初めとして、地域の交流の核としての伝統ある商店街の振興が地域経済の活性化につながることを主張してまいりました。商店街の不振は、こと大型店の影響のみに帰することは早計であるにせよ、深刻化する商店街の魅力を取り戻しその活性化対策を講じていくことが大きな課題であると思います。この商店街の活性化対策をどのように進めていくお考えなのか、お伺いします。
 次に、水産業の振興についてお伺いします。
 水産業を取り巻く最近の情勢は、名実ともに200海里体制を迎えるとともに、国際漁業規制の強化、近海漁業資源の悪化などにより、ますます厳しい状況のもとに置かれております。このような情勢のもとで、本県水産業を振興していくためには、周辺海域の特性を最大限に生かした栽培漁業の振興を図ることが重要となってきており、サケ、アワビ、ウニの栽培漁業は大きな成果が見られるところであります。しかしながら、最近輸入量の増大による供給過剰や景気不況の影響を受けて魚価が暴落し、生産額が大幅に減少してきており、特にも本県の主要魚種であるサケの価格も低迷し、これに大きく依存する本県沿岸漁業の将来に不安を抱かざるを得ないのであります。そのため、私は、本県沿岸漁民にあすへの希望を持って水産業に取り組ませるためには、従来からの栽培魚種はもちろんのこと、新たな魚種の栽培に取り組んでいくことが必要であると思います。
 本県においては、平成9年度において、全国豊かな海づくり大会が大槌町で開催され、これを契機に、より一層の栽培漁業を推進する絶好の機会が訪れております。新たな魚種の栽培漁業には、技術的な課題や種苗生産施設の管理などさまざまの課題があるとは思いますが、今後どのようにして新たな栽培漁業を推進していかれるのか、お伺いします。
 次に、福祉の問題についてお伺いします。
 我が国における人口構造の高齢化は他に類を見ない速度で進行しており、このまま進むと2010年には国民の5人に1人が高齢者となる長寿社会が到来することが確実とされており、我が本県においても例外ではなく、この進行の速度を上回る高齢化が進んでおります。
 この高齢化社会において、老人の最大の不安は、自分や配偶者が介護を必要とする状況になることだと思います。高齢者の半数近くがひとりきりあるいは夫婦だけで暮らし、また、介護が長期間になることが介護する者の負担を重くしていることから、将来への介護に関する課題を解決していくことが緊要であります。高齢者の多くは、介護が必要となっても、できる限り住みなれた我が家で暮らしていくことを願っており、在宅での介護が十分受けられる24時間ホームヘルプサービスなどの在宅介護のサービス基盤の整備が急務であると思います。介護保険制度の幕あけが間近にある今日において、この在宅介護のサービス基盤の整備をどのように進めていくお考えなのか-。
〇議長(堀口治五右衛門君) 山崎門一郎君に申し上げます。申し合わせの時間が過ぎましたので、終わってください。
〇46番(山崎門一郎君)(続) また、介護を支える人材をどのように育てていくお考えなのか、お伺いします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 山崎門一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、生産、生活基盤の整備と地域の活性化についてのお尋ねでございますけれども、農山漁村などの有する豊かな自然環境などを生かしながら、県内各地域が持つ発展の可能性を最大限に引き出し、地域の個性や特色を生かした活力に満ちた地域づくりを進めることが極めて重要であると、このように考えております。
 したがいまして、今後におきましては、道路、下水道などの生産、生活基盤はもとよりのこと、地理的、地形的なハンディキャップを克服する高度情報通信基盤や新しい経済社会のフロンティアの源泉となります科学技術振興、試験研究基盤の整備を促進することが必要となってまいりますけれども、地域の活性化を推進するに当たりましては、ただいま申し上げましたこのような基盤整備とあわせまして、これらを効果的に活用し、地域の発展に結びつけていけるような新しいシステムの構築や、それを支える創造的な人材の育成を図っていくことが、ますます重要になってくるものと考えております。このため、今後、新しい総合計画の策定に際しましては、このような観点に立ちまして、広範な角度からの検討を加えて、計画に反映させていく考えでございます。
 次に、最近の景気動向についてでございますけれども、県内の動向について申し上げますと、乗用車の販売、鉱工業生産及び住宅建設は前年水準を上回って推移をいたしておりますけれども、大型小売店販売は昨年水準を下回って推移をいたし、また、有効求人倍率は改善の兆しが見られるものの、低い水準となっているところでございます。
 以上のことから言えますことは、県内景気は、一部に弱い動きが見られるものの、おおむね国内景気と同様に、基調としては緩やかながら回復の動きが続いているところでありますけれども、一方で、県内中小企業の業況判断指数は、依然としてマイナスで推移しているなど、幾つかの懸念材料も見受けられるところでございます。
 県といたしましては、公共事業が本県の地域経済に与える効果が大きいことにかんがみまして、景気回復基調が本格的なものになるように、平成8年度の上半期の契約目標を80%に設定をいたしまして、全庁を挙げてその達成に向け、全力で取り組んだわけでありますが、結果として上半期において事業費で過去最高の1、765億円というその額を確保したところでございます。
 このような中で、今後、産業振興を図り、本県の地域経済を活性化していくためには、引き続き東北新幹線盛岡以北や高規格幹線道路、地域高規格道路などの交通網の整備や高度情報化の急速な進展に対応した情報通信網の整備を進めまして、また、下水道などの良好な居住環境の形成や都市機能の一層の充実、教育環境の整備など、産業経済活動の基盤となる社会資本の整備充実に努めながら、地域の特性にそれぞれ応じた収益性の高い農林水産業、市場形成力の高い工業、魅力ある商業集積など、既存の産業の高度化を図ることはもとより、バイオテクノロジーですとか、超電導などの科学技術や高度情報通信技術を活用して、産業の構造転換を進めていくことも必要になってきております。このため、平成9年度予算におきましては、県民に身近な社会資本整備を初めとする公共事業について、国の伸び、これは1・3%ですが、これを大幅に上回る5・5%の伸びを確保したところでございまして、さらに高度情報化の推進と情報発信機能の充実強化、地域の連携、交流の促進、国際的視野に立った地域経済の振興と、以上の3点に重点を置きまして、新たな時代の産業振興に的確に対応できるよう予算編成に努めたところでございます。
 次に、農業農村整備事業の農家負担の状況認識と、そして今後の事業の推進の考え方ですけれども、ウルグァイ・ラウンド農業合意による新たな国際環境の中においても、力強い農業、活力ある農村の構築を図るためには、まずもって、効率の高い、いわゆる地域ぐるみ農業を展開できる生産条件と、そして若者も魅力を持って生活できる定住条件の改善を図っていくことが重要でございます。そのためには、圃場の大区画化などの生産基盤の整備とともに、汚水処理施設などの生活環境施設の整備を短期間に、かつ総合的に実施する必要があると考えまして、現在実施中のウルグァイ・ラウンド関連農業農村整備緊急特別対策を積極的に活用しながら、その整備の促進を図っているところでございます。
 また、整備を進めるに当たりましては、特に生産基盤の整備に係る農家負担、これが過重にならないよう十分に配慮する必要があると考えておりまして、近年、補助率の高い事業制度や農家負担金の借り入れに対する無利子資金制度など、こうした農家負担の軽減措置が講じられておりますので、こうした制度を活用いたしますとともに、工事の実施に際しましては、河川改修など他の公共事業との共同事業化などによりまして事業費全体を節減すると、あるいは公共用地の生み出しへの換地制度の活用などによりまして、個々の農家負担の軽減に努めているところでございます。
 なお、現行制度に比較して農家負担割合が高い制度でもう既に事業完了した地区につきましては、農家の償還に係る利子補給制度の活用などによりまして、その負担軽減に向けた支援を行っているところでございます。生産基盤や生活環境の整備がおくれている本県でございまして、今後とも、農家負担の軽減に努めるとともに、ウルグァイ・ラウンド関連農業農村整備緊急特別対策の実施をこれを好機ととらえまして、市町村、そして土地改良区などの関係機関と一体となりまして、事業推進に向けての合意形成を図りながら、本対策を最大限に活用いたしまして、農業農村整備の積極的推進を図る考えでございます。
 次に、産業の空洞化と内発型の地域産業振興についてでございますけれども、企業活動の国際化の進展や東アジア地域の急速な経済発展などを背景といたしまして、企業の海外生産や海外からの部品調達が拡大するなど、いわゆる産業の空洞化が進行いたしております。
 また、本県におきましても、親会社の海外展開などによりまして間接的な影響を受けて、工業出荷額や企業立地件数が伸び悩むなど、産業を取り巻く環境は厳しさを増してきているところでございます。
 したがいまして、こうした国の内外で進行しております状況の変化に的確に対応しながら、地域経済の発展を図っていくためには、地域の技術を活用した研究開発を進めますとともに、技術開発力を持った企業や意欲的な新規創業者を育成するなど、いわゆる内発型の産業振興を図っていくことが重要であると、このように考えております。
 このため、岩手大学におきます研究成果の事業化や、工業技術センターの研究機能の充実を図るなど、地域の特性を生かした独創的、先端的な研究開発を推進しますとともに、企業がみずから行う新製品、そして新技術の開発に対する支援の強化や、ベンチャービジネスの育成に努めたところでございます。今後におきましては、こうした施策の展開にさらに加えまして、工業技術センターや農業試験場などとの相互の間での共同研究の活発化を図るとともに、超電導や産業用三次元CT装置など、先導的分野の研究を充実するなど、本県での独自の技術形成が期待される研究を積極的に推進をしてまいります。
 また、高度情報サービス産業など新産業の育成を図るためのマルチメディア創造センター、そして創業支援機能を備えた起業家育成のための拠点施設を整備するなど、これは盛岡駅西口の地域交流センター内に整備をする予定でございます。こうした施設を整備するなど、意欲的な新規創業者の発掘養成の強化を図ってまいります。
 さらに、企業や研究機関、大学などが保有しております特許情報の有効活用を図りますために、知的所有権センターの機能を強化すると、これは工業技術センター内に昨年の10月に開設をしたものでございますが、この知的所有権センターの機能を強化するとともに、我が国の基幹産業を支えてまいりました鋳造、プレス、板金加工など、基盤的な技術産業の集積を図るなど、内発型の地域産業の振興に向けた施策を積極的に展開しながら、21世紀を視野に入れ、現在、我が国で進行している産業構造の変化に対応できる工業の振興に努める考えでございます。
 次に、商店街の活性化対策についてでございますが、商店街は、消費者に必要な商品を供給するとともに、コミュニティの核としても重要な役割を果たしております。しかしながら、近年、消費者ニーズの多様化や郊外への大型店の進出など環境変化が進んでおりまして、商店街は、来客数の減少や空き店舗の増加が見られるなど、厳しい状況に置かれております。
 このため県としましては、従来、駐車場や街路灯などの基盤整備を初め、イベントによるにぎわいの創出などの取り組みに対して助成措置を講じてきたところでございます。これから平成9年度におきましては、大規模小売店舗法の一層の規制緩和が予定されておりまして、一段と厳しい状況を迎えるということが予想されます。従前にも増して商店街みずからが消費者の求める魅力のある商店街づくりに努力することが不可欠でございますけれども、その取り組みに対しては、県として、市町村などとともに支援していくことが必要であると考えておりまして、このため、新たに空き店舗の解消対策などに先進的に取り組むモデル商店街を育成するほか、休日における公有地の駐車場開放を促進するなど、きめ細かな対策を講じていきたいと考えております。
 さらに、県単独事業によりまして、意欲的に事業展開を図る個店に対する長期、低利の融資制度を創設するほか、すぐれたリーダーを養成するため、成功事例の視察などを行う研修への助成措置を講ずるなど、商店街振興施策のなお一層の強化を図る考えでございます。
 次に、水産業の振興についてでございますけれども、本県におきましては、これまでにサケ、アワビ、ウニ、ワカメなどのつくり育てる漁業を積極的に推進してきたところでございます。しかしながら、ただいま議員御指摘のとおり、本県漁業は、生産額の大きなウエイトを占めておりまして、秋サケの価格の下落などによりまして、極めて厳しい状況にありまして、新たな魚類の栽培に取り組み、岩手の漁業の未来を切り拓いていく必要があると考えております。こうしたことで、平成7年度に設置した学識経験者などからなります岩手県魚類栽培漁業推進懇話会から、ヒラメとマツカワの魚類栽培に取り組むことが最も適切である旨の提言をいただきまして、これを踏まえて、平成8年度には、県、市町村、漁業者で構成する岩手県魚類栽培事業化推進協議会を設置いたしまして、魚類栽培の具体的な推進方向について検討してきたところでございます。
 県といたしましては、これらの検討結果を踏まえまして、平成10年度から3カ年計画でこれに必要な種苗生産施設を整備することとし、平成9年度におきましては、施設の基本設計を行うこととしております。
 また、この施設の建設場所についてでございますが、本年10月に大槌町で開催される全国豊かな海づくり大会会場の跡地を利用するとともに、岩手県水産技術センターの大船渡研究室の施設も増強して活用することといたしております。今後とも関係者一丸となりまして、マツカワなどのこうした新たな魚類栽培の推進に努めてまいります。
 次に、在宅介護サービス基盤の整備と人材の養成、確保についてのお尋ねでございますけれども、急速な高齢化の進展、そして家族介護機能の低下などによりまして、高齢者の介護ニーズは一層増大をしておりますし、かつ多様化しております中で、高齢者の自立を支援いたしまして、その多様な生活を支える総合的な介護サービス体制と、こうしたものの確立が求められております。このため、県民だれもが身近に必要とする介護サービスが適切に受けられるように、21世紀までに整備すべきホームヘルパーやデイサービスセンター、ショートステイ専用居室などの介護サービス基盤の目標量を定めた県と市町村のこの老人保健福祉計画の達成に向けまして、市町村と緊密に連携をしながら、全県的に均衡のある介護サービスが提供できるよう、こうした介護サービス基盤の着実な整備を促進していく考えでおります。
 特に、高齢者一人一人のニーズに応じた質の高い介護サービスの確保も必要となっておりますことから、県単独の24時間対応ホームヘルプサービス推進モデル事業を新たに創設をいたしまして、その全県的な普及を図りますとともに、新たに、共同生活を通じて、生活指導や各種の介護サービスを提供する痴呆性老人向けのグループホームを支援し、さらには、住民に身近な公民館などの公共的施設を活用しデイサービスを行うサテライト型のデイサービス事業を促進していく考えでございます。
 また、高齢者介護を支える人材の養成、確保につきましては、多様化、高度化する介護ニーズに対応し得る専門性の高い人材を養成するために、県立大学に社会福祉学部を新たに来年設置をするわけでございますが、また、さらに介護福祉士養成施設の拡充に努めてまいる考えでございます。
 さらに、福祉人材センターなどを通じた潜在的なマンパワーの発掘、県の社会福祉研究所や自治体衛星通信ネットワークを活用したホームヘルパーの養成、介護保険制度の創設により新たに必要となってまいりますケアマネージャーの確保に努めますとともに、中長期的な視点に立って、福祉人材対策を総合的、計画的に推進するために、福祉マンパワー養成、確保の対策指針を策定することといたしているところでございます。
 以上でございます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、千葉浩君。
   〔25番千葉浩君登壇〕(拍手)

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