平成9年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇24番(久保田晴弘君) 社会民主党の久保田晴弘です。
 故飯澤忠雄氏の御冥福を申し上げつつ、社会民主党を代表して通告をしております6項目につき質問をしてまいります。
 最初に、県政担当3年目を迎えます知事の所信と政治姿勢についてお伺いをいたします。
 本県のあるべき姿は、ドリームランド岩手であると考えを述べ、イーハトーブの新しい風を興すことに全力を傾注すると申された知事の演述は、さわやかな語感があり、感触のよい新鮮さを感じました。宮沢賢治生誕100年祭の余韻がにじみ出ているように感じたのでありますが、岩手のあるべき姿をドリームランドと表現した意味づけをまずお伺いいたします。
 政治は、高い理想を掲げつつも、幻想や夢に浸っている余裕のない現実の世界であります。言葉だけのパフォーマンスでもない県民が抱いている不信、不満、不安に対し、真っ正面から立ち向かっていく気構えが何よりも求められるからであります。知事の所信表明からは、厳しい政治、経済社会の情勢分析と対応がいま一つ伝わりませんでした。さて、県政にかかわる人々にとっての関心事は、いわゆる国政とのねじれに対する懸念に、知事は、今後どのように対処していくのだろうかということであります。私は、実のある県政の発展を期待するものでありますだけに、懸念をなくす努力を求めます。知事の政治姿勢、基本的スタンスをお伺いいたします。
 次に、県政運営の基本、分権型地域社会の創造について伺います。
 地方自治法が施行されて50年であります。しかし、この間の地方自治体は、中央集権、中央依存、補助金依存の陳情行政でありました。知事は、これまでの岩手の地方自治をどのようにとらえておりますか。みずからはどうあらねばと考えておりますか、御所見を伺います。
 また、機動的かつ効率的行財政運営の推進にかかわって地方振興局の権限強化について伺います。
 総合性、自己完結性を高める具体をお示しいただきたいと思います。市町村及び住民が、本庁参りをしなくてもいい完結機能をもたせるため、権限付与をどこまで本腰をもって取り組む考えでありますか、決意のほどをお伺いいたします。
 質問の第2は、県政の信頼回復について伺います。
 昨年発生した一連の不祥事は、職務上の義務に違反し、職務を怠って発生した事件であります。過去においても、県政の不祥事件の発生がありました。その都度、職員の綱紀の保持について依命通知を発し、本庁各部局長、本庁各室課等の長及び各出先機関の長などに、服務規律の確保、適正な事務処理、不祥事件の防止等に努めるよう、指導監督の徹底をもって対処してきたのでありますが、またしてもこれが徹底を欠き、信用を失墜させた結果が生じてしまいました。
 まず、このたびの事件について、その処分の結果、理由を明らかにしていただきたいと思います。これまでの依命通知のやり方だけで、果たして職員の意識、自覚が醸成されるような管理職の指導監督が適切に行われたのか疑問なしとしません。再発防止について、これまでどう反省し、指示なさるのか、知事の決意のほどをお伺いいたします。
 次に、食糧費に対する基本姿勢をお伺いします。
 県民が抱く行政に対する一方の不信は、公金のむだ遣いがあった場合に向けられます。官官接待がそのやり玉であります。食糧費支出について、新年度はいかなる是正と改善を図られるつもりでありましょうか。地方自治50年、陳情政治の弊害が生み落とした陰の部分を解消する努力が新年度の課題であります。知事の取り組む姿勢をお聞かせください。
 また、適正を欠いた出張問題が批判を浴びています。他県の例では、予算流用の経理手続をしておらず、慣例、慣行に流れ、処理してきたことが不正事件にとらえられています。知事は、これら実態をどう把握されておりますか。そして、本県における指摘されている事例に対し、どのような認識でありますか、御所見を伺います。
 質問の第3は、いわゆる奥産道の工事凍結にかかわる検討課題についてお尋ねをいたします。
 当問題につきましては、私は昨年9月、一般質問において、今後、事業をどうすべきかについて問い、検討専門委員会の設置を求めました。これに対して県は、皆様の御意見を踏まえて慎重に対応してまいるとの答弁をいただきました。県民は工事を凍結するのか、工事を続行するのか、県の決断、特に知事の姿勢に注目をしています。県は、検討専門委員会を設置し、これに諮問して判断を仰ぐべきと考えますがいかがでしょうか。
 あえて私の所見を述べさせていただくならば、1、当該道路の完成による奥産道開発効果は、建設当初予想したよりも効果が期待できないのではないか。
 2、当該地域に介在する他の道路が逐次整備されており、当該道路の機能効果は薄らいでいるのではないか。
 3、幅員が狭く、バスの対面通行ができず、観光道路としての機能を果たせないのではないか。
 4つ、松川工区の崩壊箇所に見られるように安全性に不安が残るのではないか。
 5、環境に優しい道路建設が今日的命題であります。これに沿うものになっていないのではないか。
 以上、私の見解、私見を述べ申し上げましたが、知事は、工事凍結を踏まえ、将来のあるべき姿を構想されていると存じます。御所見をお伺いします。
 第4に、次期県総合発展計画策定の視点と作業手法について質問をいたします。
 先ほど、那須川、菅原両議員が質問をされましたが、多少異なる視点からお尋ねするものであります。
 知事は、ことしの年頭記者会見において、21世紀に向けた次期県総合発展計画策定の検討を開始する考えを示されました。第三次県総合発展計画後期5カ年の実施計画は、昨年3月に策定したばかりであります。本年を含め、まだ4年の期間が残されているのでありますが、知事が年頭記者会見において、いち早く次期発展計画に触れられた本意は何でありましょうか、まずお伺いをします。
 先行き不透明な21世紀をどう見通すか、早目に対応が重要と述べられたと報じられていますが、過去三次の発展計画を策定した視点を基本的に変更することを示唆していると解してよろしいでしょうか。
 いずれ、計画策定に向けて検討をスタートさせ、関係部局が論議を重ねていくことそれ自体異論がないのでありますが、21世紀の到来、21世紀に向けての岩手の創造のために、これまでと異なる手法が当然あってよろしいものと考えます。策定作業に取り組むに当たって、いかがなる手法を指示する考えか、御所見を伺います。
 さて、県土の均衡ある発展を図るを施策の展開の基本として策定された3県総でありますが、依然として地域間格差が生じ、不均衡が解消されていません。この現実について、その要因を確かめなくてはなりません。知事が言われるところの各分野ごとに検証し、分析しなくてはならないと考えます。そのためには、各界各層から幅広い意見を求め、特に、審議会においては情報を公開し、新しい枠組みをどこに求めていくべきかの議論を深め、形式的論議に終わらせない工夫が必要であります。知事は、県政懇談会、全市町村をめぐり見て、均衡ある発展をおくらせている原因をどのように見ておられますか、率直な所感をお伺いいたします。
 質問の第5は、花巻空港滑走路延長整備計画の推進と今後の課題について伺います。
 花巻空港の滑走路2、500メートル延長整備は、昨年12月、国の第7次空港整備5カ年計画に採択されました。採択に向けて努力されました県当局並びに関係機関、団体の各位の御尽力に感謝と敬意を表する次第であります。
 花巻空港が現在の規模に整備されるにつきましては、県政史上に残る激しい拡張反対の闘争がありました。私は、当時の事態を見、経過と結果を承知している者の1人であります。当時の苦い経験の思いに照らし、本整備計画を展望しますとき、かつてのように地権者や住民に表立った反対運動がなく、計画が促進されようとしていることに安堵していますが、私が経験した教訓は、行政当局者は常に地権者の心情を酌み、公平、公正を旨とし、情報を公開し、関係者の理解と納得を前提にして事に当たらなければならないということであります。県は、このことを推進の基本に据えて事業に当たっていくべきものと考えます。知事は、地権者住民及び当該自治体の要望等に積極的に対応し、陣頭指揮に当たってほしいと考えます。推進に当たって、知事の御決意と御所見をお伺いします。
 さて、当面は2、500メートル滑走路早期完成に全力を注ぐことでありますが、21世紀の早い時期に3、000メートル滑走路の時代の到来が予想されるものであり、戦略的取り組みが必要と考えます。空港の国際化を予期して、次なる構想を打ち立てていく必要があるものと思います。また、懸案の第2空港の整備についても課題になります。将来展望と戦略をどのようにお持ちなのか、その認識をお伺いします。
 また、空港周辺には、学校等の公共施設や住宅等があり、騒音対策が重要な課題と考えられます。拡張に伴う新たな騒音対策について、どのように考えられておるのかお聞かせ願います。あわせて、新年度及び今後の空港整備促進に向けた基本的な事業計画をお聞かせいただきます。
 質問の最後は、県行政機構再編整備及び権限委譲について触れます。
 このたびの行政機構の整備は、平成8年度の行政改革推進方針に基づいて策定され、さきの12月議会において設置条例が改正されました。私たち議員は、事務当局から通り一遍の形式的な説明は受けましたが、全体で議論する機会がなく、その余地もありませんでした。したがって、これで十分であるのかという、そういう疑問なしとしないのであります。そもそも機構は、総合発展計画の実施計画を推進する機能発揮のために整備されるべきものだと思うのであります。次期県総との整合性を考えたものなのかどうなのか、また、農政部等のこのたびの機構整備の対象にならなかった部局の整備はいつ行うのか。行政改革推進の目指すところ、人員削減が目につきます。その延長線上で機構整備を図ろうとしたら問題であります。一体、機構整備によって人員はどうなりますか。人員配置の基本方針をお示しいただきたいと思います。
 さて、権限委譲をめぐって論議が高まっています。受け入れ側の市町村から積極的受け入れの賛意はなく、反発の姿勢が強く感じられます。これは地方分権の行動指針といいながら、その実は県行政改革の推進の一環ではないのか、権限の委譲でなく県事務の移譲でしかないと感じとっているからであります。また、市町村から見れば、振興局の権限強化についても、全体像が見えず疑問視しています。我々議員に対しても、これまで何らの説明もありませんでした。意見陳述の場も当然ないのであります。これではスムーズに事は進まないと思います。知事は、この状態をどうとらえておりますか、基本認識をお聞かせいただきたいと思います。手順が安易過ぎるとも思います。仕切り直しが必要でありませんか。もっと議論を深め、納得のいく手法を講じていくべきと主張するものであります。
 知事は、吾、21世紀へのかけ橋とならんの志を持ち、市町村や県民一人一人としっかりとしたパートナーを築くとする知事の姿勢に私は期待するものであります。これら一連の問題について積極的に対応し、解決に当たっていただきたいことを申し述べ、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 久保田晴弘議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、ドリームランド岩手の意味づけについてお尋ねがございましたけれども、本県は広大な県土を有し、豊かな自然、特色ある歴史、こうした自然と歴史に培われてきた固有の文化に恵まれております。また、進取の気性を持った人材を幾多も輩出するなど、輝きのある21世紀の創造に向けて、無限の可能性を秘めたフロンティアでございます。
 私がドリームランドと言いましたのは、県民一人一人がお互いに価値観や個性を尊重し合いながら、このような自然、歴史、文化などを生かした地域づくりが県内の各地域で繰り広げられまして、それぞれの県民が将来の夢や人生の目標を抱き、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できるような、そうした地域社会であると考えておりまして、こうした輝きのあるドリームランド岩手の創造に向けて全力を尽くす決意でございます。
 次に、知事としての政治姿勢、基本的なスタンスについてお尋ねがございましたが、私は、県民の皆様方から負託を受けた知事といたしまして、県民に開かれた、わかりやすい県政を実現し、また、県政を身近なものとするために、これまでも可能な限り県民の皆様から直接御意見、御提言をお聞きするなどいたしまして、県民の方々が真に何を望んでおられるかを的確に把握し、県政のそれぞれの分野に反映させるよう努力をしてきたところでございます。これからは住民に身近な行政は地方が担い、地方のことは地方で責任を持ちながら考える、いわゆる分権型の地域社会の創造に向けて、県政の主役は県民であり、県民の皆様のためであることを特に強く意識をして、引き続き厳正かつ公正を旨として、躍動感あふれる、心豊かな地域社会を実現するために、積極果敢に県政を推進してまいります。
 次に、地方自治についてでございますが、現行の地方自治制度は、50年の歳月を経て着実に伸展をして、県民生活の向上に相応の役割を果たしているものと評価しております。しかし、国と地方の関係を見た場合、現行システムは権限や財源などを中央に過度に集中させて、全国的な画一性と公平性を重視する余りに、地域的な多様性や個性ある生活文化の尊重など、経済社会の進展に伴います価値観の変化に柔軟に対応できない、いわゆる一種の制度疲労に陥っているものと、こういうふうに認識をしております。これからの地域社会は、地方自治の本旨に基づきまして、住民に身近な行政は地方が担い、地方のことはみずからの責任において地方で考えていくことを基本とする地域社会の創造を目指すべきであると、このように考えております。
 次に、地方振興局への権限強化のお尋ねですが、地方振興局の総合性、自己完結性の向上についての具体化に関しましては、今回の機構改革によりまして、生活福祉部門と保健医療部門の連携による効果的な高齢者サービスの提供、そして土木部門と他の部門との連携による効率的な基盤整備、環境の保全に配慮した施策の推進など、いわゆる地域に密着した総合行政を推進することが可能になるものと、こういうふうに考えております。
 また、権限の地方振興局への委譲につきましては、今後5年間程度に計画的に権限を委譲するための指針を策定いたしまして、各種団体や施設の指導監督、土地利用に関する事務など、産業振興、住民福祉、地域開発に役立つ権限をできるだけ数多く委譲することによりまして、特色ある地域振興施策を地方振興局段階で企画立案するとともに、住民の方々の利便性に配慮して迅速な事務処理ができるように、今後とも積極的に取り組む考えでございます。
 次に、昨年発生した一連の不祥事についてでございますけれども、まず、盛岡土木事務所における収賄事件につきましては、事件の当事者を懲戒免職処分といたしましたほか、当時の関係職員に対して監督不行き届きによる戒告などの処分を行ったところでございます。また、花巻地方振興局税務部、衛生研究所、そして花巻土木事務所におきます旅費の執行につきましては、旅費の返納を遅滞した事務処理の不適切などによりまして、当時の関係した職員に対し訓告などの処分を行ったところでございます。
 なお、再発防止についてお話がございました。庁議などにおきまして各部局に対し、事件の再発防止について周知徹底を図りますとともに、年末に副知事依命通達を発して、適正な事務処理や不祥事件の防止を図るための具体的な方途を示したところでございます。
 この問題は、結局は職員一人一人の公務意識に根差した問題であるというふうに思っておりますけれども、今後におきましても、行政管理委員会における内部考査を徹底するなど、一層厳正な職務執行を心がけるとともに、一人一人の公務意識の高揚に努めていく考えでございます。
 次に、食糧費を伴う中央官庁との懇談についてでございます。
 食糧費につきましては、その支出が公費をもって賄われることにかんがみまして、簡素かつ公正を旨として節度ある対応と法の定めにのっとった適正な予算執行を図る必要があるものでございます。このような観点から職員に対しましては、その適正な執行について周知徹底を図りますとともに、平成9年度の当初予算編成に当たりましては、その必要性を精査しまして、総額で2億298万円余、対前年度当初比で8・7%減の予算を計上したところでございます。
 なお、中央官庁などとの間では、必要性を十分吟味しまして、簡素かつ公正を旨として節度ある対応を図ることといたしております。
 次に、適正を欠いた出張についてお尋ねがございました。他県の状況につきましては、その実態を把握しておりませんけれども、本県において指摘をされました事例は、いずれもその出張命令の取り消しや返納手続が適時適切に処理されなかったものでございまして、極めて遺憾なものでございます。今後におきましては、適正な事務の執行に万全を期してまいりたいと、このように考えております。
 次に、一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道についてでございますけれども、この奥産道の事業につきましては、県民の方々にさまざまな意見がございます。こうした議論を十分踏まえて対応することが重要なことであると、このように考えております。このため、平成9年度に今後の事業のあり方についての意見を交換する場といたしまして、自然環境などに関する有識者の方々からなる検討委員会を設置いたしまして、この委員会でさまざまな角度から検討していただきたいと、このように考えております。
 私は、奥産道問題を考える視点といたしましては、自然との共生が図られるかどうか、ここが重要なポイントというふうに考えておりますが、検討委員会の議論を十分踏まえた上で適切に判断をしたいと、このように考えております。
 次に、次期県の総合計画についてのお尋ねでございますけれども、我が国が少子・高齢化や高度情報化の進展などの課題に対して、これまでの経済構造や社会構造を支える制度や仕組みでは解決できない状況に直面をしておりまして、さらには、地方分権の推進が極めて重要な課題となってもいるところでございます。
 本県は、さまざまな発展可能性を秘めている一方で、このように極めて難しい時代を迎えているところでございまして、これから本県が歩むべき方向をしっかりと見定め、明確な戦略を持って県政を運営していくことが非常に必要なことであると、このように考えております。このため、3県総の着実な推進を図りながら、これと並行して十分時間をかけて新しい総合計画を策定することと、このようにしたものでございます。
 この新しい計画は、21世紀の初頭、すなわち2010年ごろまでを展望して、県の行財政運営や県民の方々一人一人が、地域において活動する際の基本指針となるものにしていきたいというふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたような、そうした時代背景を踏まえまして、新たな観点に立って検討していく必要があるというふうに考えております。
 また、計画づくりに当たりましては、その計画の策定過程を重視いたしまして、各種の懇談会や調査のほか、インターネットを利用した提言募集などの新たな手法も含め、県民の皆様方にできるだけ多く参加していただくような機会を設けますとともに、県の内部におきましても、地方振興局も含めまして全庁的に取り組むことといたしております。
 なお、県土の均衡ある発展を重視するためには、各地域が持つ発展可能性をそれぞれで最大限に引き出しながら、地域の特色などを生かした活力ある地域づくりを進めることが極めて重要であると考えておりますけれども、現状では必ずしも十分とはいえないというふうに思っておりまして、新しい計画の策定に当たりましても、これらの点についてもさまざまな面から議論を深めていきたいというふうに考えております。
 次に、花巻空港の整備についてのお尋ねでございますが、地域間交流の活発化や本格的な国際化時代を迎えまして、その滑走路の延長整備を県政の重要な課題として位置づけまして、県民が一体となってその実現に努力した結果が、昨年の12月、国の第7次空港整備5カ年計画への花巻空港の組み込み実現に結びついたと、このように考えているところでございます。
 今後は早期事業化に向けて、国や関係機関に積極的に働きかけていく考えでございます。空港の拡張整備におきましては、ただいまの議員御指摘のとおり、過去にさまざまな困難な問題があったことは私も承知をいたしております。今回の拡張整備に当たりましては、これまで地元関係者の方々から多大な御協力をいただいてまいりましたけれども、今後も花巻市と緊密な連携を図り、特にも、貴重な土地を御提供いただく地権者の方々と十分対話を行い、その意向を尊重しながら、地域住民の皆様の御理解と御協力のもと取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 次に、空港整備の将来展望と戦略についてお尋ねがございましたが、本県が内外に開かれた県土の形成を図っていくためには、高速性にすぐれた航空輸送の能力を最大限活用することが必要でございまして、今後ともハード面、ソフト面のこの両面にわたって空港機能の拡充を積極的に進めていく考えでございます。
 このため、花巻空港につきましては、さきに国の5カ年計画に組み入れられた滑走路の2、500メートル延長事業のその早期完成を目指していくことはもちろん申し上げるまでもございませんけれども、これに加えまして、周辺整備の推進や国際チャーター便運航の大幅な拡大、さらには、国内路線の新設、増便への取り組みを通じて、この空港の機能や利便性を一層向上させて、県内各地域と国内外との交流がさらに促進されるよう全力を挙げてまいる考えでございまして、こうしたことへの取り組みのその成果が将来におけるさまざまな問題の検討に役立っていくものと、こういうふうに認識しております。
 なお、県内における新たな空港の整備につきましては、昨年策定いたしました岩手県の総合交通体系基本計画に基づきまして、高速交通空白地域の解消に向けた長期的な観点から、コミューター航空の導入に関する調査検討を続けていく考えでございます。
 次に、空港の騒音対策についてでございますけれども、空港の拡張に当たりまして、空港周辺における航空機騒音を緩和し、地域の良好な居住環境を確保することが極めて大切であるというふうに考えておりまして、従来もジェット化や中型機の就航の際には、国の航空機騒音に係る環境基準に照らして、空港周辺の公共施設、民家などの防音工事を実施してまいったところであります。今後の空港の拡張整備におきましても、新たな航空機の就航実態と騒音の影響範囲を把握するために、事前の騒音予測調査や実測調査を実施いたします。また、花巻空港騒音対策協議会や地元説明会を開催するなどいたしまして、地域の皆様方の十分な御理解を得ながら、騒音対策に取り組む考えでおります。
 そして、空港拡張整備に向けた取り組みについてでございますけれども、これまで事業化に必要とされる環境アセスメント調査や空港基本設計など、所要の調査を進めてきたところでございます。このたびの第7次空港整備5カ年計画への組み入れを受け、今後は事業の早期着手が重要でありますことから、平成9年度には先行的に県の単独事業によりまして、空港アクセス道路の調査を進めるほか、新たに事業を創設いたしまして、つけかえ道路の調査、設計を行うなど、平成10年度の国の事業採択に向けて積極的に取り組んでいく考えでございます。
 次に、行政機構の再編整備でございますが、このたびの行政機構の整備に当たりましては、昨年に策定いたしました行政改革大綱に基づいて、急速な高齢化、少子化の進行などの社会経済情勢の変化に伴う新たな行政課題、そして3県総後期実施計画などに基づく県政の推進方向に適切に対応して、県民に信頼され、公正でわかりやすい県政を推進するために、地方分権の時代を展望した施策展開にこたえ得る、この機動的かつ効率的な行政機構の整備に努めたところでございます。
 農政部門につきましては、現在、その試験研究機関の再編整備を進めておりますけれども、この機構整備に当たりましては、本庁と試験研究機関など、出先機関との整合性を図りながら総合的に検討する必要がございますので、現在行っておりますこの試験研究機関の再編整備が終了する平成9年度から具体的な検討を進めてまいる考えでございます。
 また、職員配置に当たりましては、簡素で効率的な組織を基本といたしまして、多様化する県民の皆様方の行政ニーズに的確に対応しながら施策の円滑な推進を図るために、これは毎年度事務事業の見直しを行いまして、新規行政需要の動向などを十分的確に把握しながら、適正配置に努めていく考えでございます。
 次に、市町村への権限委譲についてでございますけれども、県としましては、今後、地方振興局と市町村に対して可能な限り数多くの権限の委譲を計画的に推進して、県と市町村が連携を図りながら、県民の利便性をより一層向上させていくことが肝要であるというふうに思っております。このような観点から、おおむね5年間に地方振興局や市町村に段階的に権限を委譲していくための指針を策定中でありますが、特に、この市町村に対しては、市町村が最も身近な行政主体として、地域の実情に応じた行政を行うというその役割分担を基本として、権限の委譲をしていく考えでございます。
 市町村との協議につきましては、昨年10月から事務レベルでの意見交換を開始いたしまして、11月には市長会と町村会に、12月には個別の各市町村に素案を提示して御意見を伺っているところでございます。この素案に対して各市町村から一定の評価をいただきながらも、さまざまな御意見があるところでございますが、私はこれを契機といたしまして、県と市町村との役割分担などについて十分に議論がなされまして、地方分権を推進するためのそれぞれ相互の理解が促進されることを期待するものでございます。また、これからの権限委譲につきましては、県と市町村による協議機関を設置して、市町村と十分な協議を行いながら委譲を進めていく考えでございます。
 以上でございます。
〇副議長(及川幸郎君) 次に、山崎門一郎君。
   〔46番山崎門一郎君登壇〕(拍手)

前へ 次へ