平成9年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇34番(菅原温士君) 菅原温士でございます。
 自由民主党を代表して質問させていただきます。
 質問の前に、今は亡き飯澤忠雄議員のみたまに対しまして、改めて哀悼の誠をささげ、深く御冥福をお祈り申し上げます。
 さて、戦後50年の間、我が国は豊かな国民生活の享受を目標に、社会保障、教育行政、国と県のかかわりなどのシステムを通じて長期間にわたり総じて効率的に機能してまいりました。しかしながら、世界経済がボーダーレス化し、人、物、資金や情報が自由に移動する時代にあって、必ずしも現在のシステムが機能せず、我が国の活力を失わせる状況が生まれてきておるところであります。
 このような状況のもとで、我が国経済は、バブル崩壊後に加えて、公共事業の波及効果が90年代の世界経済の変化や長期的円高で、かつてと比べると大きく低下していることにも留意せず、平成不況以来、財政が大規模出動を繰り返し、また、地方においても、単独事業の推進の名のもとに、いわゆる箱物行政を競うように、地方債に頼って行政投資を行い、このまま推移するとしての大蔵省の試算によりますと、10年後の国債残高は、544兆円に達する見込みとなっております。よほどの大胆な歳出削減等を基本とする財政再建を行わなければ、日本の財政状態は、最悪の事態が予想されることから、公債費依存度を極力抑えるなど、財政構造改革元年として財政再建に着手しているところであります。
 一方、本県の財政状況においても例外とは言えず、平成5年度以来の国の経済対策に呼応した公共事業や県立大学を初めとする大規模建設事業の推進により、地方債残高は、ここ数年ウナギ登りに大幅に増加し、平成9年度末では9、000億円を超える見込みとなっております。公債依存度も2年続けて15%を超え、来年度から本格的になってくる東北新幹線への事業費投下も膨大になるものと予測されているところから、さらなる財政状況の悪化が危惧されるところであります。たとえ地方債の償還に交付税措置がなされるとしても、巨額の投資は、財政圧迫の要因となることは明らかであり、少子・高齢化社会を迎える前に、思い切った行政改革を断行し、ぜい肉を断ち切る努力をしなければ、本県の財政は硬直化を招くのではないでしょうか。幸い、平成9年度は、行政機構改革を通じて新たな出発点となる年度でもあります。そこで、思い切った財政改革を今後どのように進めるお考えであるか、知事の決意のほどをお伺いいたしたいわけでございます。
 次に、新しい総合計画の策定についてお伺いをいたします。
 本県においては、環境の保全と創造、若者の定住促進、長寿社会への対応、科学技術の振興と高度情報化の推進等を施策の重要な視点としてとらえながら、緑あふれる県土の整備の推進等4つの基本政策のもとに第三次岩手県総合発展計画を策定し、この計画に基づき交流ネットワーク道路整備や福祉の施設の整備など諸施策を重点的に推進しているところであり、県政は順調に進展しているものと認識をいたしているところであります。しかしながら、世界が一体となって進む今日において、なお時代に的確に対応した施策の展開が必要であり、平成9年度からポスト3県総の策定に着手なされることは、まことに時宜を得たものと思うのであります。21世紀が間近にあり、輝かしい未来を築くためには、少子・高齢化への対応など、山積する課題を解決していく必要がありますが、計画策定に当たっては、知事は、どのような時代認識を持っておられるのか、まずお伺いいたしたいと思います。
 また、計画づくりの基本的な考え方をどのようになされるのか、さらには、計画策定に当たっては、何よりも策定のプロセスを県民にわかりやすく進めていくことが重要だと思いますが、この点についてもあわせてお伺いいたしたいと存じます。
 次に、行政改革に関連してお伺いをいたします。
 県においては、平成9年度において、行政改革の一環として、保健分野と福祉部門の統合や土木事務所の地方振興局への統合など、本庁、出先機関を通じて大規模な機構整備を行い、加えて、本庁の権限を地方振興局へ委譲し、その自己完結性や独自性を高めるなど、機能の強化を図ろうとしており、住民に身近なところで行政を完結させるという地方分権時代において、その姿勢を高く評価するところであります。しかしながら、実際の行政の質は、そこで実際に事務を行う職員一人一人の意識にかかわってくる事柄であります。仏つくって魂入れずになるようなことがあってはならないと思うのであります。知事は、この機構整備等に伴う職員の意識改革についてどのように認識しておられるのか、また、どのようにして職員の意識改革を進めていくお考えなのか、お伺いいたしたいと存じます。
 次に、北東北の拠点としての盛岡都市圏の整備についてお伺いをいたします。
 県都盛岡市は、北東北の拠点都市として目されて久しいものがあり、今、まさに秋田新幹線の開業を目前として、また、盛岡-八戸間の東北新幹線建設工事が順調に進む中にあり、真の意味でのリーダーシップが問われている時期にあると思うのであります。知事は、演述の中において、従来の行政単位の枠を超え、県内外においてさまざまな連帯、交流を促進し、各地域がそれぞれの特性に応じた役割を担い、総体として地域の発展を図っていくことが重要であると表明したところであり、特に、北海道、東北各県との連携の促進を図るとされておりますが、現在の盛岡市及び周辺市町村を含めた盛岡都市圏というものを見た場合、北東北における盛岡都市圏の果たす役割をどのように認識されておるのか、また、盛岡駅西口や盛岡南開発、あるいは平成10年度開学予定の県立大学、盛岡西リサーチパークの整備等を視野に入れた、盛岡都市圏の将来ビジョンをどのように考え、さらには、そのビジョンに向けてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたしたいと思います。
 次に、高齢者施設の集団風邪に関連してお伺いをいたします。
 昨年来、インフルエンザが猛威を振るい、県内でも2月5日現在、特別養護老人ホームなどの老人関係施設の入所者のうち、23人がインフルエンザが原因と見られる症状で死亡したと報じられており、まことに痛ましい出来事と感じているところであります。このインフルエンザの流行に対する予防対策については、ワクチンでインフルエンザを抑えるのは限界がある。比較調査でもワクチンによって重症化を防げる根拠はない。お年寄りにワクチン接種を勧めることで副作用も予想されると言われる一方では、藤沢町民病院と隣接する特養ホーム光栄荘が、積極的にワクチン接種を実施したところ、風邪の患者が出なかったことからワクチンの有効性が明らかになった。来年は、さらに接種者をふやすように啓発したいとも言われており、総じてワクチンの有効性が再び見直されてきていると思うのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 実際に、千厩町の特養ホーム千寿荘においてもワクチン接種を公費で行ったところ、接種者にインフルエンザの感染者がなかったと聞いておるところであります。
 このワクチンの接種は、以前は予防接種が義務づけられておりましたが、異変を繰り返すウイスルを予測してワクチンを接種するため、確実な効果が不明なことや、接種による副作用があるなどの理由から、平成6年10月の予防接種法の改正で、公費負担の対象から外され、任意接種となり、さらに、1回の接種で5、000円前後の費用がかかることもあって、接種率が大幅に低下いたしておるところであります。私は、再びこのような痛ましいことが起こらないよう、特にも高齢者入所施設の入所者に対する効果的な予防対策を講じていくためにも、予防接種に要する経費に対する何らかの助成制度を設ける必要があると思うのでありますが、いかがでしょうか、お伺いいたしたいと存じます。
 次に、林道網の整備についてお伺いいたします。
 本県は、県土の約8割が森林で占められ、自然に恵まれた県土は県民の誇りであります。県民生活は、古来から森林と深いかかわり合いを持ってきたところであります。近年、県民の森林に対する要請は、多様化、高度化していることは御案内のとおりでありますが、これまで森林を守り支えてきた山村地域は、基幹産業である農林業の不振、過疎化、高齢化の進行などにより、森林の適正な維持管理や林業生産活動に支障を来している状況であります。
 このような中にあって、林道は、効率的な林業経営の展開や森林の適正な維持管理にとって必要不可欠なものであります。また、森林空間の総合的な利用の推進、山村の生活環境の改善、地域産業の振興等に重要な役割を果たしていると認識をいたしているところであります。したがって、今後、本県の豊かな森林資源を有効に活用し、山村地域の活性化を図るためには、これらの資源の適切な保全、育成はもちろんでありますが、その基盤となる林道網の整備促進が緊急の課題ではないでしょうか。本県における林道網の整備状況がどのようになっているのか、今後の取り組みをどうなされているのか、まずお伺いいたしたいと思います。
 また、今後、森林資源が成熟化し、本格的な収穫時期を迎えようとする中で、外材との競合や産地間競争に打ち勝つためには、高密路網による徹底した低コスト化を図る必要があると考えられますが、その対策をどのようにするお考えなのか、お伺いいたしたいと存じます。
 次に、研究開発型工業団地の設置についてお伺いをいたします。
 私は、長引く不況と円高を背景とした、製造業の海外移転が進み産業の空洞化が進む中においても、企業の立地は、就労の場の確保や若者の定住に大きな役割を果たし、また、地場産業の育成強化につながるものと考えております。幸い本県には、広大な県土、豊かな自然、有能な人材をはぐくむ風土や堅実な県民性に加え、県工業技術センターの設置や超電導工学研究所の立地など、科学技術振興の基盤が整い、全国に誇れる有形、無形の財産があるのであります。
 また、さらに、内発型の工業振興に寄与する新産業創造支援事業として、ベンチャー企業2社の支援を行うことが報道されているなど、本県の研究開発型工業の立地要件は、かなりの水準にあると思われます。確かに研究開発型の企業の立地については、相当の努力が必要と思われるところでありますが、これらのすぐれた要件を有効に活用するためにも、本県における研究開発型工業団地の設置は、重要な課題と思うのであります。第1次産業振興は言うに及ばず、第2次産業の振興は、県民に活力を与えるとともに、県民所得向上の大きな起爆剤となると思われますが、研究開発工業団地の設置に向けて、県はどのように取り組んでいくお考えなのか、お伺いをいたしたいと存じます。
 次に、本県のシンボルについてお伺いをいたします。
 現在、県のシンボルとして県章、県民の歌があり、また、県の木、花、鳥、魚としてナンブアカマツ、キリの花、キジ、南部さけが選定されておりますが、県章については使用する場合が多く県民への浸透度合いも大きいものがあります。県民の歌はなじみが少なく、県の花等においてもキリの花は見当たらず、むしろリンドウが岩手の花としての地位を得ているなど、時代の変遷とともに県民の意識との間にずれが生じてきているのではないかと思うことから、この際、これらのシンボルについて見直しを行う考えはないでしょうか、お伺いをいたします。
 また、他県においてもイメージアップ戦略の一環としてCI戦略が行われておりますが、歴史、文化、地理、気象等すぐれた自然を有する本県において、新しいイメージを創出するためにも、現在も使われているこれらのシンボルとは別個に、県民が心を一つにすることができるような、何らかの新しい県のシンボルを策定するお考えはないでしょうか、あわせてお伺いいたしたいと存じます。
 最後に、地域課題でありますが、スーパーやまびこ一関駅停車推進協議会において、昭和57年6月の東北新幹線の開通以来、15年間、いまだに東磐井郡へのフォローができていない。一関、千厩の地方振興局が前向きになっている今が絶好の機会として、新幹線に通じる東口の通路開設が提案されているところであります。市が実施しようとしている駅東地区の土地区画整理事業を待っていては15年、20年と待たなければならない、とりあえず通路を開設し、駅裏の顔を表にしたい、駅の拠点性が高まり、人、車の流れも変われば、まちづくりの方向性も見えてくるとされており、両磐地域においては、この一ノ関新幹線駅の東口通路の優位性を核とした広域市町村圏域のまちづくりに取り組んでいこうとする機運が高まっております。
 私は、この機運の盛り上がりを大きなうねりとして、両磐地域の一体性の確保や一関市のまちづくりの活性化を図っていく必要があると思います。通路開設の費用負担の問題や駐車場の確保など数々の課題がありますが、県はこの事業について積極的に助言、指導、支援していくべきものと考えておるところでありますが、この事業への県の支援策や取り組みはどのように進めていくお考えか、知事の所見をお伺いいたしたいと思うのであります。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 菅原温士議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、財政改革についてでございますけれども、国におきましては、財政構造の改革が喫緊の課題とされまして、地方財政についても、財政の健全化と行財政改革の推進が最重要課題とされている中にございまして、本県の財政につきましても、数次にわたる経済対策などによりまして公債費が増高するなど、厳しい状況となっております。このような財政環境は、今後とも厳しさを増していくものと、このように見込まれますけれども、本格的な高齢社会の到来を間近に控えておりまして、経済社会情勢の新しい変化に適切に対応するとともに、地方分権の時代にも対応し得る機動的、効率的な行財政運営を確立するためには、行財政改革に積極的に取り組むことが肝要であると、このように認識をいたしております。
 このため、歳入面では、地場産業の振興や優良企業の誘致などにより税源の涵養を図るとともに、使用料、手数料の適切な見直しを行うほか、県債導入に当たりましては、世代間の負担の公平化と、適正な発行規模を見定めながら、交付税措置のある優良な県債の効果的な活用を図る一方で、国に対しましては、自主性、自立性が地方公共団体として十分に発揮できるようなそうした地方一般財源の充実、強化について、強く要望していく必要があると考えております。
 また、歳出面では、従前にも増して、事務事業の徹底した見直しを行いまして、スクラップ・アンド・ビルドを基本としながら、歳出の合理化を図りますとともに、施策の選択に当たっては、緊急性と優先度を見きわめながら、重点的かつ効率的に事業を推進するとともに、常に事業実施の効果を検証するなど、限られた財源の効果的活用に一層努めまして、財政の健全化の確保のために最大限の努力を傾けていきたいと考えております。
 次に、新しい総合計画についてのお尋ねでございますが、今日、人々の価値観、そして生活様式が大きく変わりつつある中で、我が国全体におきましては、本格的な地球時代、そして人口減少、高齢化時代、高度情報化時代の到来が見込まれておりまして、これまでの経済構造や社会構造、それを支えております制度や仕組みでは、こうした課題に対応できない状況となってきております。
 また、地方分権を推進して、現在の中央集権型の行政システムを変革していくことが、明治維新、戦後改革に次ぐいわゆる第3の改革を実現する道であるとも言われておりまして、こうした動きは時代の大きな潮流となっております。新しい総合計画の策定に当たりましては、私はこのような認識のもとに、21世紀に向けて輝きのある岩手を創造していくために、こうした分権型地域社会の創造を基本とするとともに、国際化や高度情報化の急激な進展などの経済社会情勢を的確に見据えながら、21世紀初頭、すなわち2010年ごろまでを展望して、県の行財政運営や県民一人一人が地域において活動する際の指針となるものにいたしたいと、このように考えております。
 また、私は、県政の主役が県民でありまして、県民の皆様のためのものであるという、その本来のあり方を考えますときに、これからの計画づくりやその推進に当たりましては、ただいまの議員のお話にもございましたとおり、県民の提案型、そして県民参加型のその推進が何よりも重要であると、このように考えております。このため、この計画の策定過程におきましても、各地域の住民の方々にも参加をいただいて開催をいたします地域デザイン会議などの各種懇談会や、県民や企業に参加いただき幅広く実施する大規模なアンケート調査など、あらゆる機会をとらえまして、できる限り多くの県民の方々から御意見、御提言をいただくことといたしておりますし、これらの実施に際しましては、さまざまな情報や検討の素材も提供することとしておりまして、こうした計画の策定プロセスが県民にとってわかりやすいものとなるように努めていく考えでございます。
 次に、行政機構の再編整備に伴う職員の意識改革についてでございますけれども、今後、これまで以上に地域の実情に応じた総合的な行政運営や地元の市町村との連携の強化が重要となりますので、職員が常に住民の立場に立って、地域のことは地域で完結させるという意識を持って仕事に取り組むことが大切であると認識しております。このため、主体的に仕事に取り組むことのできる職場環境の醸成や、意欲にあふれる職員の登用に努めますとともに、政策形成能力の向上に力点を置いた研修の充実強化などによりまして、職員の意識改革を図り、視野の広い、創造性に富む積極的な職員を育成する考えでございます。
 次に、北東北の拠点としての盛岡都市圏についてでございますけれども、この圏域は、東京圏から青森を経て北海道に至る縦の国土軸と、そして三陸と秋田を結ぶ横の連携軸との結節点にちょうど位置をしております。北東北3県における人、物、情報の交流拠点として、近年、各種高次都市機能の集積が進み、北東北における拠点としての役割がますます高まってきているものと認識しております。
 また、この圏域の将来方向については、花巻空港、新幹線、高速道路などの高速交通体系、光ファイバーなどの高度情報通信体系の整備や、これらの機能強化とあわせまして、国際的な学術、文化、研究機能など高次都市機能の集積を一層推進、促進することによりまして、21世紀における北東北発展の新たな扉を開く牽引車として先導的、中核的な役割を担っていくべきそういう地域であるというふうに考えております。このため、県といたしましては、豊かな自然環境や、こうした特色ある歴史、文化などのすぐれた個性を大切にしながら、圏域内の市町村の主体的かつ一体的な取り組みを基本としつつ、盛岡南地区や盛岡駅西口地区の整備により新たな都市軸の形成を促進するとともに、国際的な視野に立って、県立大学や県立美術館、地域交流センター、先端科学技術の研究開発拠点、盛岡西リサーチパークなどの整備を推進しているところでございます。
 さらに、こうした整備とあわせまして、県内90分交通の実現などを通じて、県内の各地域との交流を一層活発化させまして、盛岡都市圏の高次都市機能の集積がもたらすさまざまな効果が、県内の各地域に広く及ぶように努めたいと考えております。
 次に、インフルエンザの予防接種についてでございます。
 この冬のインフルエンザ様疾患が、医療の確保が手薄な年末年始にかけて流行したこともございまして、本県の老人関係施設でも肺炎などを併発して亡くなる方が続発をいたしまして、まことに心痛む思いでございます。インフルエンザの予防には、うがいや栄養摂取などが基本的な対応策でございますけれども、症状を軽くしたり、重篤な合併症を防ぐには、インフルエンザワクチンの接種が有効であるというふうに聞いております。本県でも、本年の2月に県内の老人入所施設を対象に予防接種状況の調査を行いましたけれども、施設からの報告では、一定の感染の予防効果があるとの結果が得られております。厚生省においては、高齢者などに対し、かかりつけの医師とよく相談をして、早目の接種を受けるよう勧めるとともに、老人ホームでのワクチンの予防接種にかかる費用につきましては、措置費からの支出を認めるなどの方針を示しているところでございまして、入所者の負担の軽減が図られることとなったわけでございます。また、老人ホーム以外の老人施設に対する軽減策についても、今後国に要望するとともに、今後とも、老人関係施設に対して、的確な感染症情報の提供や入所者の健康管理に対する職員研修を行うなど、必要なこの予防対策に努めてまいりたいと考えております。
 次に、林道網の整備状況及び今後の取り組みについてでございますけれども、これまでは県では国庫補助事業による林道の開設や、全国一、二を誇る大規模林道及びふるさと林道の整備に努めてきたところでございます。しかし、本県の広大な森林資源の適正な整備はもとより、山村地域の活性化を図る上では、いまだ十分とは言いがたい状況にあるのは事実でございまして、今後とも、こうした林道網の整備につきましては、県政の上での重要な課題として位置づけまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、高密路網化への取り組みについてのお尋ねがございましたが、本県の森林資源がいまだ育成途上にある中にございまして、激化するこの産地間の競争に打ち勝って、我が国における主要な木材供給基地として整備していくためには、森林資源の成熟化が進んでいるそうした森林地域について、林内路網の整備をそうした地域に重点的に進めて、高性能林業機械システムの導入による木材生産コストの低減などによりまして、県産材を安定的、計画的に生産、供給できる体制を順次整備していくことが喫緊の課題でございます。このため、平成9年度から木材生産団地路網整備事業を新たに創設をし、県下各流域内において、森林資源の成熟化が進んでいる県の県行造林地などの大規模造林地を中心とする木材生産団地を順次モデル的に設置をして、団地内の林内路網整備を重点的に進めるとともに、これら団地を核としまして地域林業の活性化を積極的に進めてまいりたいと、このように考えております。
 次に、研究開発型工業団地の整備についてでございますが、本県の工業が比較的労働集約型の企業が多くて、付加価値生産性が低いことから、高度化を促進する必要があり、そのためには、研究開発型企業、先端技術型企業、高度情報関連企業などの優良企業を積極的に導入する必要があると考えております。その受け皿となる研究開発型工業団地につきましては、第三次の岩手県総合発展計画において、都市機能や工業集積の進んだ北上川流域に3団地を先導的に整備することとしておりまして、既に滝沢村の盛岡西リサーチパークと北上市のオフィスアルカディアの2団地の整備に現在着手をしております。残る1団地につきましては、両磐地区に整備をすることとしておりますけれども、一関市が両磐地区の中心都市として、交通条件や都市機能など企業の立地環境に恵まれて、また、既存の工業集積も高く、国立の一関工業高等専門学校、県南技術研究センターが設置されているなど、研究開発型企業を誘導する条件が満たされていますので、同市に整備する方向で、現在、団地の基本的なコンセプト、規模、アクセス道路などの調査検討を進めております。研究開発型の工業団地は、企業が研究開発を行うにふさわしい環境を整備する必要があり、研究開発を支援する機能の整備に十分配慮しまして、他県の類似する工業団地と比較して優位性のある団地となるように整備していきたいと考えております。
 次に、いわゆる本県のシンボルについてでございますけれども、これらにつきましては、県が制定したもの、そして国が制定したもの、あるいは民間が公募したものなど、制定された経緯はそれぞれでさまざまでございますけれども、いずれも本県のシンボルにふさわしいものとして選ばれたものでございまして、長年にわたり広く県民の間に定着をしてきているものばかりでございます。したがいまして、このシンボルの見直しについては、現時点においては、特段の検討を行っていないところでございます。
 しかしながら、今後21世紀に向けて、幅広い連携、交流を促進して、県民が誇りを持つことのできる、躍動感あふれ、心豊かな地域社会、すなわちドリームランド岩手でございますが、これを築いていくためには、本県の持つすぐれた自然、歴史、文化などの魅力を一層高めるとともに、これを内外に積極的に情報を発信していくことが極めて重要であると、このように認識しております。このため、本県のイメージアップにつきましては、施策展開上の重要な視点として位置づけをしておりまして、これを推進しているところでもございますが、平成9年度におきましても、全国豊かな海づくり大会、日本文化デザイン会議の開催、それから首都圏における地場産品、観光客誘致などのこうした総合的なイベントの実施、それから農産物アンテナショップの海外での展開などを通じまして、こうした新しい岩手を内外に積極的に情報発信をしてまいりたいと、このように考えております。
 次に、一ノ関駅東口通路の開設についてのお尋ねでございますけれども、この問題につきましては、一関の地方振興局、それから千厩の地方振興局、両振興局から、地元の経済界を中心といたしまして東口の通路開設の促進に向けた動きがあり、今後のこの問題に関係する市町村の動向を見定める必要があるとの、こうした報告を受けているところでございます。この実現に際しましては、国の地方財政再建促進特別措置法に係る寄附金などの支出の問題、この問題がございますし、また、周辺環境の整備の問題といったような、これから解決をすべきさまざまな問題が生じることが想定をされるところでございまして、地元の市町村などにおいて十分に検討が行われることを私ども期待をしているところでございます。その推移によりまして、地元市町村などと関係機関の間での協議が必要となりますので、県におきましては、こうした地元における対応を注視してまいりたいと、このように考えているところでございます。
 以上でございます。
   
〇副議長(及川幸郎君) この際、暫時休憩をいたします。
   午後2時23分 休 憩
   
出席議員(49名)
1  番 斉  藤     信 君
2  番 佐 々 木  大  和 君
3  番 須  藤  敏  昭 君
4  番 佐 々 木  一  榮 君
5  番 黄 川 田     徹 君
6  番 小 野 寺     好 君
7  番 佐 々 木     博 君
8  番 中 屋 敷     十 君
9  番 大 久 保     豊 君
10  番 浅  井  東 兵 衛 君
11  番 千  葉     伝 君
12  番 伊  沢  昌  弘 君
13  番 藤  原  泰 次 郎 君
14  番 田  村  正  彦 君
15  番 伊  藤  勢  至 君
16  番 佐  藤  一  男 君
17  番 高  橋  賢  輔 君
18  番 瀬  川     滋 君
19  番 渡  辺  幸  貫 君
20  番 長 谷 川  忠  久 君
21  番 谷  藤  裕  明 君
22  番 水  上  信  宏 君
23  番 船  越  賢 太 郎 君
24  番 久 保 田  晴  弘 君
25  番 千  葉     浩 君
26  番 折  居  明  広 君
27  番 三  河  喜 美 男 君
28  番 村  上  恵  三 君
29  番 村  田  柴  太 君
30  番 藤  原  良  信 君
31  番 吉  田  洋  治 君
33  番 工  藤     篤 君
34  番 菅  原  温  士 君
35  番 菊  池     勲 君
36  番 小  原  宣  良 君
37  番 樋  下  正  光 君
38  番 及  川  幸  郎 君
39  番 那 須 川  健  一 君
40  番 伊  藤     孝 君
41  番 藤  倉  正  巳 君
42  番 山  内  隆  文 君
43  番 佐  藤  正  春 君
45  番 佐 々 木  俊  夫 君
46  番 山  崎  門 一 郎 君
47  番 菊  池  雄  光 君
48  番 佐  藤  啓  二 君
49  番 堀  口 治五右衛門 君
50  番 吉  田     秀 君
51  番 藤  原  哲  夫 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時35分 再 開
〇副議長(及川幸郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。久保田晴弘君。
   〔24番久保田晴弘君登壇〕(拍手)

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